平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(貴志八郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(西本長浩君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番貴志八郎君。
 〔貴志八郎君、登壇〕(拍手)
○貴志八郎君 私は、社会党議員団を代表する形で消費税の問題を取り上げるわけでありますが、その前に、和歌山県警察本部交通部長佐竹晋吾君の急逝を悼み、心から御冥福をお祈り申し上げます。特に、日ごろ和歌山県の交通事故死が多発することに心を痛め、その対策に腐心をされていた交通部長がこのような形で交通安全の警鐘を乱打する形となったことに、言葉がない思いでございます。
 さて、ただいま自民党議員団を代表いたしまして、鈴木俊男議員から消費税の問題について御質問がありました。拝聴しながら、なるほど弁護というものはこのような形で行うものかと聞かしていただいたわけでございますが、お話の中にありましたように、今日、リクルートの問題と消費税の問題に関しましては国民総検事、県民が検事・検察の立場に立ってこの問題を見ている、こういうことを認識するわけであります。そのような立場から、私は、厳しく質問をいたしてまいりたいと思うのであります。
 御承知のとおり、今回の消費税という大型間接税は、昭和五十四年に超党派で「今後は導入しない」という国会決議を受けた大平内閣時代の日本型一般消費税と同じものであり、租税類型としては国民的反対規模でついには廃案となった中曽根内閣の売上税と同じ非累積型の付加価値税であると、私は認識をいたしております。
 そこで、話を進めるために、まず知事に対して質問をいたします。
 一番目、知事は、大型間接税は導入しないとする国会決議、及び同内容の自民党の公約を御存じないはずはないのでありますが、今回の消費税は国会決議や公約違反と考えるかどうか。
 二番目、消費税は、納税者の意思とは無関係に所得の低い者ほど負担率が高くなるという逆進性を持っております。例えば、生活に欠かせない食料品にまで課税されることになっておりますから、年金生活者や生活保護世帯の負担が目に見えて大きくなることは自明の理であります。これによって憲法が示す税の応能負担原則が破綻をする大変な問題点であると思いますが、知事はどのように考えておるか、お聞かせを願いたいものであります。
 三番目、昨年、政府・自民党の強行採決で成立した消費税を受けて、本県の平成元年度当初予算にも消費税が盛り込まれております。これに対してただいまの知事答弁は、国民全体の中に税の不公平感がある、これを解消し、高福祉の観点からこれを導入するのもやむを得ないというふうな意味の、むしろ積極的評価の側面を受けてのお話があったようにお聞かせをいただきました。
 売上税のときに知事は、そのような立場ではなしに、計算上やむを得ないからこれを計上したのだという意味の説明がありました。今度の売上税創設は国の税制体系の根本的見直しと思う、だから国民にもっとPRし国会でも論議を尽くすべきだと、県予算に組み入れたときの説明において述べられておるのであります。
 あの答弁と今日の答弁を拝聴いたしておりますと、むしろ消費税に一歩踏み込んだ形のお答えをされておりますが、過去の経緯と照らしまして知事はこのことに対して矛盾を感じていないか、また消費税の導入によって知事の言うところの県民生活にプラスになるというふうにお考えになっておるのか、県民生活との関連で消費税導入が正しいとしてお組みになったその理由をお答えいただきたいのであります。
 四番目、知事は、今、世上を騒がせておるリクルート問題について政治家としてどのような考えをお持ちになるか、お答えをいただきたいのであります。
 また、問題の江副氏が政府税調の委員であったと聞いておるのであります。その人物が参画した間接税導入などについて知事として抵抗感をお持ちにならないか、県民の立場からお伺いをいたしておきたいと思うのであります。
 五番目、新聞報道によりますと、当初予算で公営住宅等の公共料金の四月転嫁を見送った都道府県は全国四十七のうちで二十二と、約半数であります。また、政令都市では十市に上りまして、その意味では見送り自治体が過半数に達しておるということになります。近畿では、四月よりの完全実施は和歌山県ただ一県ではなかったかと思うのであります。なぜ、近畿で本県だけが転嫁を強行するのか、その強行することの県民に対するメリットはどういうことになっておるのか、ぜひお伺いをしたいのであります。
 先ほどの知事答弁では、もしこれを入居者に転嫁しなければ県民全体の負担になるというお答えでございました。まことに事務的であります。本来、低家賃住宅というものは一つの住宅政策であります。なぜ、事務的に数千万円の処理をするために転嫁をして、低家賃住宅政策としての立場にお立ちになることができなかったのか、私はぜひお伺いをしなければならないと思うのであります。
 六番目、消費税導入について県民の世論をお確かめになったことがあるかということを聞いておきたいのであります。消費者団体、労働組合、中小企業団体、またスーパー、百貨店等の声を聞かないで実施することは県民世論に背を向けることになりはしないか、見解を承りたいのであります。
 七番目、八○年代は地方の時代であり、地方分権こそ民主主義を定着させるものと、八○年代当初に知事はこの演壇で演説をされました。しかし、今回の消費税導入で自主財源がぐっと落ち込み、その分、中央依存が高くなるわけであります。財政の中央集権化が進み、地方の時代は形骸化する方向にあるということについて、知事はどのような感慨を持ち、今度の消費税を受け入れられたのか、お答えを賜りたいと思います。
 八番目、消費税は、法形式上、納税義務者が事業者となるわけでありますが、今回の方式が帳簿式付加価値税となっているために、所得がなくとも従業員に給与を支払っているような場合は、付加価値が存在するものとして多額の新消費税を帳簿に基づいて支払うことになります。この事業者は消費者に税の転嫁ができないことが予想されますから、このような場合はその中小企業者にとっては第二法人税または第二事業税となりかねないと思いますが、そういった心配をどのように受け取っておられるか、特に中小企業対策の問題としてお答えをいただきたいのであります。
 次に、具体的な問題について関係部長にお尋ねをいたしておきます。
 一番目、今回の予算の中で消費税絡みの収支は金額でどうなっているか、数字を挙げ、その内訳を知らせていただきたい。
 また、特別会計や県が関与するところの公社会計等の関連も含め、収支についてお答えをいただきたいのであります。
 二番目、消費税徴収等の事務量はかなりの量に上ると推定をされます。特に、住宅課等は一軒一軒相手があるわけであります。そういった事務量等の費用はどのように見積もっているか。
 三番目、消費税導入見送りをすると一体どういうことになるか。国からの配分が減額されたり、ペナルティーがあるのか、ぜひその辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
 四番目、消費税導入によって消費者物価が確実に上昇する、これは、さきの鈴木議員も指摘されたとおりであります。私は、その見通しを聞きたいのであります。消費税を導入することによって、現在、横ばい状態にある本県の消費者物価指数が果たしてどのような変化を起こすであろうか、その見通しはどうなっているか、その見通しに対して県は物価対策としてどのように予算を割き、物価の上昇を抑える手だてをとっておるのかということ。ただ単に監視制度だけに頼るようなことでは心配でありますので、物価抑制の自信のほどをお伺いしておきたいと思うのであります。
 五番目、物価上昇と事務量の増加は当然人件費にはね返るものと予測されますが、当初予算ではそういった面での対応がされているかどうか。
 六番目、新消費税では三千万円以下の事業者は免税となっておりますけれども、仕入れの段階で税込み分だけ値上がりとなっているのに消費者に転嫁が難しいことになるおそれがあります。このような零細業者の救済を考えているか。
 七番目、今回の予算で見ても明らかなとおり、地方自治体である本県が、税法上の納税義務者として国の徴税権のコントロールのもとに置かれることに相なっております。さらに、国税と地方税の徴収一元化を志向している今、地方自治体の職員が現在以上に国の徴税行政の下請的地位に追いやられる心配はないか。
 以上、申し上げましたが、私は本当は、県自身が積極的に消費税を取り入れたのか、やむを得ずやったのかということの真意を聞きたいのであります。その答弁を聞いた上で、議論をかみ合わせるために再質問で内容を深めてまいりたい、このように思うわけであります。
 次に、私は中小企業の立地問題について申し上げたいと思います。
 先ほど総務部長は、自主財源を確保するためには法人税の確保と企業立地を推進しなければならんと抱負を述べられておりましたが、まことにそのとおりであろうと私も思います。
 そこで申し上げるわけでありますが、県は「企業立地のごあんない」と題する美しく行き届いたパンフを用意いたしておりまして、その中で知事は、「今後の企業立地を容易にしていただくため、思い切った優遇措置を講じ、また、県の組織を一元化した企業誘致体制を整えております」とあいさつ文を寄せております。
 私は、この体制なり方針にいささかも異論はないのであります。他府県からの企業誘致によって雇用を拡大し景気の上昇を図ることは、大変結構であります。今回、私が強く申し上げたいことは、肝心の県内企業、特に県内で再開発して立地をしてくれる中堅企業、要するに拡張のために移転して県内で大きくやり直すというふうな企業に対する施策であります。この県内の中堅企業の移転再立地に対する県の施策が、誘致企業と比較して大きなおくれをとっておるのではないかということを、まず指摘をしなければなりません。私は、過去何回か本県の工業振興政策の誤りを、そういう意味では指摘してきたことがございます。特に、臨海工業のいわゆる素材産業と呼ばれる鉄鋼、石油産業に重点を置き過ぎ、本県の産業構造が「企業城下町」と呼ばれるに至り、その上、鉄鋼、石油における景気の陰りがもろに本県経済を痛撃していることは、既に関係者の御案内のとおりであります。
 ここで申し上げる県内中堅企業は、こうした政策的誤謬の中にあって、専ら自助努力によって不景気を乗り越え、乗り越えしてきた企業戦士であると思います。このけなげな中堅企業が、いよいよ次の飛躍のために、あるいは大企業の下請工場として責任を果たすために移転し再開発をしようとするとき、県は具体的に何を援助することができることになっているのか、少なくとも県外から誘致する企業に匹敵するだけの優遇政策があるのか、お聞きをしたいのであります。税金を納め続けてきた県内のかわいい企業に対してであります。
 そこで私は、政策論議はこれから再質問で深めたいと思いますけれども、単純に質問を申し上げますから、この件については単純明確にお答えをいただきたいと思います。具体的に聞きます。
 業種が製造業、従業員が四十名、昨年の売上高の実績が十二億二千万円、うち県内売り上げはわずか二・四%の三千万円、昨年度の利益は約一億二千万円、和歌山市における納税序列は七十一位、納税額九千五百万円、工場所在地は和歌山市で移転予定地も和歌山市、そして移転に備えてあらかじめ採用する従業員が十名、新しい敷地面積二千百五十九平米、建物面積延べ二千八百九十二平米、投下資本約七億円。この工場移転拡張に対して、県内業者育成の立場から具体的に援助を協力できる制度を示していただきたいと思うのであります。
 答弁に当たっては、一番目、工場の移転計画に伴い、あらかじめ採用した十名の新規採用に対する奨励措置が行えるか、二番目、敷地購入、工場新設、機械設備購入に対する税の優遇と奨励措置があるかどうか、三番目、利子補給等の補助の有無について、具体的にお答えをいただきたいと思います。
 最後の課題として、またもや不老橋を取り上げます。
 二月十八日、不老橋のたもとで開かれました和歌浦文化の集いに参加した私は、万葉研究の第一人者である犬養孝先生の万葉ロマンの香り高い講演を拝聴いたしました。そして、二月定例会でも、どうしてももう一遍不老橋問題の再考を求めて取り上げなければならないというふうに思ったわけであります。
 以下、私は、犬養先生の話を要約してみます。
 今から千三百年前、聖武天皇のお供をして玉津島にやってきた山部赤人こそ我が国有数の歌人である。この山部赤人が残したすぐれた和歌に万葉の人々はあこがれ、競って名勝地和歌の浦を訪れ、これを題材にしたという。その不朽の名作の一つが、「若の浦に潮満ち來れば潟を無み葦邊をさして鶴鳴き渡る」。当時、「若い浦」と呼ばれていたのが、「和歌の浦」と呼ばれるようになったのである。自来、名勝地和歌の浦は、日本人の心の中に万葉のロマンとともに生き続けてきた。後世開発された地域に「新和歌の浦」と名づけたのも、さらに雑賀崎、田野方面を「奥和歌浦」と呼んでいるのも、和歌の浦と結びつかなければ景勝地と考えてもらえないという地元の知恵が働いたものである。全国四十七都道府県の中で三文字のところは、北海道、鹿児島、和歌山の三つである。中でも、「和歌山」という地名の持つ、他に類例のない奥ゆかしい響きと「和歌山」というロマンチックな呼び名こそ「和歌の浦」から引用したものであり、万葉こそこの「和歌山」の名づけの親である。そして、玉津島を基点とする景観こそが和歌の浦の原点である。この原点を破壊するなら、県名の変更をしてもらわなければならない。また、この和歌の浦は和歌山県の所有物ではない、日本の宝だ。奈良の正倉院の宝物以上の宝物だ。何人といえども、この景観を侵すことは許されない。
 ──犬養先生は、御老齢にかかわらず、格調高い講義に熱情を込めてくださったのであります。
 そこで私は、あえて問いたいのであります。
 万葉文学の第一人者犬養先生のこのお話に対して、このお考え方に対して、知事はどのように反論をされるのでしょうか、お伺いをしておきたいと思うのであります。
 さきに知事は、私は和歌山県の知事である、県民に対して責任はとれても他府県の人々に対して責任はとれない旨の発言をされましたが、私は、一県の知事は時には日本全体に対して胸を張った知事であってほしいし、時には世界に対して物を申す和歌山県の知事であってほしいと念願をいたすのであります。犬養先生の言われる「日本の宝・和歌の浦」に対する見識に、今でも知事は従来の考え方を直しになることはできないのかということをお伺いしておきたいと思うのであります。
 土木部長は、新不老橋が和歌の浦の交通渋滞をなくし和歌の浦の発展を促すとお答えになっておりますが、道路計画も明確でありません。一体、この計画路線なるものは、いつ、どこで協議をされ、審議をされ、決定をされたのか。今、その計画路線がないはずでありますが、入り口のない、出口のない現在の計画道路に車道橋をかけて何が地元発展になるのか、さっぱりわからないのであります。
 一つだけ質問をします。
 この車道橋の完成予定はいつになるか、完成直後の車の通過量は一日何台と見るか、その場合、津屋交差点の渋滞はどうなっているか。いつ計画が出されるのかもわからない、そういう入り口のない計画路線──今、計画路線がないんです。この道路に大型バスがどこから入ってくるのでありましょうか。
 〔「私語する者あり」〕
○議長(西本長浩君) 御静粛に願います。
○貴志八郎君 (続)多くの日本人から宝物の破壊だとそしられ、文化度を問われてまでも強行しなければならないほどの理由がわかりません。
 土木部長、計画課長は、失礼でございますが、他府県の方であります。後世に非難を浴びなければならないのは、知事以下、和歌山で生活する私たちであります。心してお答えをいただきたいと思います。
 以下、再質問にゆだねることにいたしまして、私の初回の質問をこれで終わります。ありがとうございました。
○議長(西本長浩君) ただいまの貴志八郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 貴志議員にお答え申し上げます。
 消費税についての基本的な考え方、国会決議の問題、公約違反等の問題でございます。
 いわゆる財政再建の手段として、一般消費税を導入しないという国会決議とか中曽根前総理の公約との関係等、議員御指摘の諸論点から、国政上の課題として税制調査会、国会の審議を経て議論されてきたものでございます。基本的には、将来の福祉社会を安定的に維持するために必要である税制改革の一環として、所得、消費、資産の間の負担のバランス等の見地から消費税が導入されたものと考えておるわけでございまして、鈴木議員にお答え申し上げたとおりでございます。
 先ほども言いましたけれども、私は知事として、県民生活や県内企業の経済活動、さらには地方財政に対して悪影響がないかどうかについて特に留意してきたわけでございます。予算編成に当たりましても、県財政に支障がないことを確認するとともに、便乗値上げ防止の監視体制を整え、また中小企業等に対する転嫁が円滑に行われるなど、新税制のスムーズな定着に努力してまいる所存でございます。
 話ございましたリクルートの問題については、私はまことに遺憾だと思っております。
 また、県民の世論については、常日ごろからその動向に注意しておりますけれども、今回は取り立てての調査はいたしておりません。
 それから、消費税の公共料金への転嫁でございます。
 各府県違った形でございまして、話ございましたように、公営住宅については和歌山を入れて二十七県が和歌山と同じような形をとっております。消費税については別の数になっておるわけでございますけれども、それぞれの判断で行ったわけでございます。
 本県としては、国の指導もございますし制度の趣旨ということもあって、当該事業のために県が歳出面で負担する消費税については、最終の消費者である利用者、受益者の皆さんに御負担いただく方が県民全体で肩がわり負担するよりも妥当であると考えるとともに、また消費税が中小企業等の県内経済活動に悪影響を与えないためには適正かつ円滑な転嫁が重要であるとの認識から、今回の取り扱いをさせていただいたわけでございます。その分については先ほども答弁させていただいたように、修繕料に増額をさせていただいておる次第でございます。県民全般の利益の見地から、今後とも御理解、御協力をお願いいたしたいと思います。
 また、料飲税等の一部が吸収され、その補てんのための依存財源である消費譲与税にシフトするということについては御指摘のとおりでございますけれども、他方、実質的な国と地方の財源配分については、これまで地方が五二・四%であったのが五三・一%と、実質的な配分率は向上しておるわけでございます。従来の形であると、東京都のような大きなところは集中的にやるわけでございます。
 また、転嫁がスムーズに行われなければ事業者の所得に対する三%の課税強化になるのではないかという御懸念でございますけれども、おっしゃいますように、県としてもそのような事態となることのないように中小企業等の指導を充実させるとともに、入札等、県自体が行う取引について転嫁が行われるよう運用を工夫する等、その姿勢を明らかにしているところでございます。
 次に、不老橋の件でございます。
 犬養先生の万葉、そして和歌の浦を愛する気持ち、その言葉は、和歌浦、そして和歌山県にとっても非常にありがたい言葉として、私は常に深く感謝しているところでございます。現在、訪れる人が少なくなった和歌浦を、万葉時代、あの不便な時代に多くの宮廷人が訪れたように、今後、多くの人が和歌浦を愛して訪れていただく、そして万葉の息吹を感じていただけるような整備を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。そうした面で、犬養先生の心を心とし、和歌浦を立派なものにしたいと思っておるわけでございます。
 過日、私も、犬養先生にはお会いしておるわけでございます。私の和歌浦を愛する構想を説明もさせていただき、また先生の御意見も承っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 消費税が導入されることに伴う歳出増については、一般会計で約三十四億円、一般財源ベースで十七億円を見込んでいるところでございます。一方、消費税の転嫁については、使用料等の改定によって約四千六百万円を見込んでいるところでございます。また、消費税導入に伴う既存間接税の減収は約三十五億円が見込まれるところでございますが、この減収については消費譲与税約四十億円により補てんされる見込みでございます。特別会計、公社会計における歳出増については、特別会計で約四億円、公社会計で約二億五千万円となる見込みでございます。
 次に、消費税徴収の事務量及び費用負担、それから国税との関係でございます。
 県の特別会計には納税義務を負うものもございまして、消費税法により一般企業等と同一の取り扱いがなされており、納税義務者としてこれに係る事務を当然負うことになりますが、通常業務の中での事務処理としているところであり、そのための増員その他の特別の措置は考えていないところでございます。
 次に、消費税の導入に伴う地方公共団体の使用料等については、自治省においても各地方公共団体に対して消費税の円滑かつ適正な転嫁を図るべきものとの指導が行われているところでございますが、御質問にございました交付金等の減額が生じるかどうかの問題については、現段階では承知していないところでございます。
 また、元年度予算において人件費にはね返るんではないかというお話でございますが、今回の当初予算における人件費については、昭和六十三年十月一日における現員現給をもとにして定期昇給、新陳代謝等を考慮の上、計上いたしたところでございます。平成元年度における物価上昇等に伴うベースアップについては、国の予算及び地方財政計画の方針に沿って本県の当初予算においても計上いたしておりませんが、職員給与については、必要に応じ人事委員会の勧告を受け、例年のような取り組みになると考えております。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 消費税に関連しての物価上昇の見通しとその対策についてお答えを申し上げます。
 先ほど鈴木議員にお答え申し上げましたとおり、消費税の導入に伴う県民生活への影響、とりわけ生活関連物資についての転嫁に関して、便乗値上げを監視するため、物価モニターの増員及び調査の品目や回数の増加を図ることといたしてございます。
 経済企画庁の試算によりますと、物価への影響については、物品税の廃止など減税との絡みもあり、消費者物価の上昇は一・二%程度と見られてございます。今後、県といたしましては、調査・監視体制を充実し、物価上昇の抑制に努力するとともに、あわせて消費者の相談業務を行い、その意見、情報等を国に報告し、施策に反映できるよう対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、物価対策予算でございます。
 従来より実施してございます物価行政推進事業の一千七百余万円に、今回新たに物価安定特別対策事業として三百余万円を計上し、生活関連物資の調査の充実を図るための経費としてお願いいたしているところでございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 商工労働部長花岡 弘君。
 〔花岡 弘君、登壇〕
○商工労働部長(花岡 弘君) 初めに、消費税に関する零細業者の救済についての御質問でございます。
 課税売上額が三千万円以下の免税事業者でありましても、仕入れ段階で転嫁されてまいった消費税については、これを次の売却先に転嫁する必要がございます。こうした小規模事業者のために、消費税分の上乗せを申し合わせるカルテルをつくって転嫁することもできることになってございます。また、小規模事業者の事務負担等を配慮して、できるだけ簡素なものになるよう措置されてございます。
 まず第一に、お話にございましたように、年間課税売り上げが三千万円以下の事業者については免税となってございます。
 第二に、売り上げが三千万円を超えて六千万円未満の事業者については、限界控除制度により税の軽減が図られてございます。
 第三に、売り上げが五億円以下の事業者については、簡易課税制度が選択できるようになってございます。
 また、消費税に係る記帳事務等の負担を軽減し合理化を行うために、商工会、商工会議所等においてコンピューターのオンライン化による会計処理等の記帳代行業務を実施すべく、ただいま対応を進めているところでございます。
 さらにまた、下請中小企業者の消費税の転嫁に際し、下請代金の減額や買いたたきなど下請代金法に違反するおそれのある行為とか、親企業等が仕入れ価格を一方的に設定したり値引きをさせるなど独占禁止法に違反するおそれのある行為を防止するために、公正取引委員会の指導のもとに公正な転嫁について周知徹底を図っているところでございます。
 そのほか、中小企業者向けの支援措置といたしましては、低利融資制度の創設と債務保証料の引き下げが行われることになってございます。
 今後、特に小規模事業者の消費税の転嫁が円滑に行えるよう、関係機関と連携をとりながら対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、企業立地、特に県内中堅企業に対する施策でございます。
 県の産業振興にとって地場産業の発展が大変重要でありまして、そのためにそれぞれの中小企業が今後とも発展性のある企業経営を遂行するために、一層の近代化や新しい展開に努力していただくことは大変ありがたいことと存じております。そのために県といたしましても、これまでも各種の制度を十分活用しながらその対応に努めてまいってきたところではございますが、御質問のケースについて三点の御質問がございましたので、端的にお答えを申し上げます。
 まず第一に、従業員を事前採用した場合の奨励措置でございますが、ただいま実施いたしております制度の中での企業立地の雇用奨励金については対象とはならないと考えてございます。
 また、国の制度でございますが、地域雇用開発助成金についても事前に計画書等を職業安定所に提出していただく必要がございますので、お話のケースのように提出されていない場合は支給対象にならないと考えます。
 次に、敷地の購入、工場新設、機械設備等に対する県税の優遇措置といたしましては、県外からの企業誘致だけでなく県内での企業の増設移転にも適用されますが、近畿圏整備法の都市開発区域である和歌山市において新増設される場合は、「建物等の取得価格の合計額が五億円を超える」、これは該当するわけでございますが、次の「増加する雇用者の数が五十人を超えること」が要件となってございますので、この場合、やはり該当しないことになろうかと存じます。また奨励措置については、中小企業先端機器導入等に対する資金融資、企業立地促進資金融資については、新たに五人以上新規雇用していただければ対象になるかと存じます。
 三番目の利子補給につきましては、市町村が行う用地造成に対しては利子補給を行ってございますが、企業に対しては、誘致企業であっても利子補給の制度はただいまのところございません。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 不老橋問題につきまして、順次お答え申し上げます。
 まず、新不老橋の完成予定年度は平成二年度を予定しております。
 次に、不老橋の交通量といたしましては、和歌浦廻線完成後は一日約四千台が見込まれておりますが、新不老橋完成直後のまだ道路ネットワークを形成していない状況での交通量は推計しておりません。しかし、完成直後、夏場には多数の海水浴客が利用するほか、週休二日制の定着等による余暇時間の増大等により、家族や仲間たちと都市近郊で気軽にレクリエーション等を行う需要は今後急増するものと考えられ、平成二年度に供用開始する和歌公園には一年を通じて多くの人々がこの橋を利用するものと考えられます。
 次に、津屋交差点の渋滞解消につきましては、まず市町川沿いのあしべ通りから通過交通を排除することが必要であり、そのため平成元年度より国道四十二号和歌浦口の交差点の拡張工事に着手し、新和歌浦方面から海南方面へ右折できるよう、現在、建設省と協議中です。また津屋の交差点についても、右折レーンの設置計画について関係機関と協議中でございます。
 大型バスの乗り入れについては、和歌公園内に大型バス用の駐車場を整備することにより片男波地区への大型バスの進入が可能となり、多くの団体客の利用が見込まれるものと考えております。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 38番貴志八郎君。
 〔貴志八郎君、登壇〕
○貴志八郎君 知事は、自民党の政策の誤りをまともにひっかぶったような答弁で、大変苦しい見解であったのではないかと思うのであります。
 先ほども申し上げたように、そう遠くない昭和六十二年度の当初予算に売上税関連予算が計上され、そのとき私は今回のように演壇に立って、天下の大悪税を受け入れてはならんということを訴えました。そのとき知事は、先ほど質問で申し上げたような答弁をされましたが、その直後に行われた統一の自治体の選挙で、自民党公認の候補者の中には「売上税絶対反対」と大書して事務所にスローガンを掲げられ、そして堂々当選された方もいらっしゃるわけであります。そして、その年の九月には売上税が廃案となったということで、定例本会議で本県の補正予算が上程されたわけでありますが、そのときにこの売上税の導入について政治的、道義的な反省論というものは全く聞かされておらないのであります。
 そういう意味では、今回、名前を変えた大型間接税を本年度予算に組み込んだのでありますから、経過から言いましても知事の政治姿勢が問われることになるのではないかと私は思うわけであります。特に、和歌山県知事は和歌山県民の知事でありますから、断じて中曽根さんや竹下さんのコピーであってはならないのでありまして、その独自の見解や政治哲学がなければならないはずであります。そういう意味で、今回の消費税の問題についても独自の見解というものを示されてしかるべきではないか。
 また、我々の質問に対して、各府県の動向を見きわめた上で決定するというふうなことを議場でも時々答弁されますが、近畿各府県の動向を今回は余り見きわめられておらないように思うわけであります。そういった点についての論評は特にお控えになさったのでありましょうか。
 さらに、応能負担の問題についてお答えがなかったのでありますが、そういった点についてのお考えはどうなのか。
 さらに、リクルートに関する知事の「まことに遺憾である」という答弁は私も同感でありますが、NTTの真藤会長が逮捕されるということにまで発展し、次は中曽根元総理かとささやかれるほど大事件に発展しているだけに、政治家として襟を正し、地方自治体としても厳しい取り組みと態勢が要請されておると思うのであります。昨日の新聞によりますと、関西各自治体ではNTTの指名等についてもいろいろと考えておるように報道されておりますが、それでは本県での取り扱いは一体どのようなことになっておるのか。
 先ほど教育長から、リクルートの情報提供の問題についての答弁がありました。文部省の方からの通達があったからそれを守っていきたいというふうなことでありまして、県は自主的にどうするかという姿勢が打ち出されていない。私は、リクルート問題を厳正に受けとめるなら、それを受けて県は自主的にどういう判断をし、何をするかということが示されてこそ、和歌山県の県としての姿勢がはっきりするのではないかというふうに思うわけであります。
 それから、地方の時代の問題について申し上げましたが、私も実に三十年、議員を経験させていただきましたが、前半の二十年の間に中央への陳情などに余り駆り出された記憶がございません。八○年代の地方の時代になってから、他府県もやっているから陳情しなければということで、我々は年に何回か、中央へ中央へと草木もなびく陳情に参加をいたしておるのであります。ある意味では、中央集権化がとみに進んでおる現状ではないかと思うわけであります。そして、その分、逆に市町村から県に対する陳情というものが質量ともに大変ふえておるのではないかということを心配するのであります。
 ところで、今回の消費税について県は、県下の市町村に対して相当強力に行政指導し、これが転嫁の見送り等については厳に戒めておるというふうに聞いておるのであります。県下の市町村の自主的な判断を待たないで県がこのような強力な指導をするというのには、一体どういう背景があるのか。ある町では、見送りを予定しておりましたが県の指導によってそれを取りやめ、せめてもの抵抗として百円未満は切り捨てて課税をしないことにしたというふうな話でありますが、そういう点についてのお答えをいただきたいものであります。
 また物価対策については、監視体制を強めるということで積極的な答弁がありました。予算を割いて、消費者を守るための物価対策をもっと強力に進めてもらいたいということを要望しておきます。
 さて、経済の問題についてであります。
 今お答えいただいたように、もう少し手をかしてやれば大きく伸びられるという状況にある県内の中小企業が移転して拡大、拡張するというときに、ほとんど見るべき援助措置がございません。それらの中小企業の皆さん方が納めた税金を割いて誘致企業のために金を使うのに、なぜ納税者であるそれら中小企業の人々に対する援助奨励の政策が具体化しないのか、私は極めて残念に思うわけであります。この際、県内の既存の中小企業を育成強化するための政策を打ち出してもらいたい、そういう用意があるかどうかということを商工労働部長にお尋ねをいたしたいのであります。
 時間がありませんから少し先を急ぎますが、和歌山県の場合は、企業立地について県外の企業誘致ばかり考え、県内の問題を考えなさ過ぎるのではないかということを一例として申し上げます。
 和歌山県に企業誘致された大企業から下請の相談をされたある和歌山の企業が、工場を拡張して新しい機械を入れなければならんということで工業地域に土地を求めて購入いたしました。そして、工場を建てたいからといって地元へ相談に行くわけです。そうすると、明くる日に「工場建設絶対反対」というのぼりを掲げられました。工業地域です。その人は、これではもうとても先が思いやられるということで、せっかく購入した土地を処分することにして下請関係も撤退せざるを得ない、そういうことになります。
 また一方、準工業地帯に市内の工業地帯から移転した化学工場ですが、隣にマンション建設の確認の許可がおりた。マンションができれば、その化学工場はまたしてもどこかへ移らなければならない運命になるわけであります。
 公害は許されない。当然であります。けれども、和歌山県の経済の活性化を考えるならば、こういった面での調整活動ができる県政でなければ生きた県政ではない。よそから来るものは大事にするけれども地元の企業の育成に対しては余り目を向けないとか、あるいは地元の企業が工業地域で工場をつくるのにも反対が起こってどうにもならんというふうな、そういったことに対する調整機能が働いていないというのが、今日の企業立地、県内企業の育成に対する一つの盲点ではないか。これを何とかしてもらわなければならん。私はこういうふうに考え、意見を交えながら質問いたしますので、お答えをいただきたいと思います。
 最後に、不老橋の問題であります。
 これは、「勝鬨橋は残った 海底にトンネル」ということで、東京では景観を守るために海底トンネルにすることになったという記事が報道されております。また、「シカの森残します 箕面市が決断 受水場より自然保護を」ということで決定をいたしております。
 私は、多くは申しません。終戦当時、米軍が不老館を使ったことがありますが、そのときでも付近の景観にマッチした不老館を、改築しないでそのまま使用したということであります。また、このほど日本の指折りの学者が続々来和をされております。郷土が誇る芥川賞作家・新宮の中上健次先生は、「高度成長の中で物質的豊かさが追求され、そのために大事な精神的豊かさが損なわれようとしている。特に、大切な自然や文化の破壊が進むことに心が痛む。何千年の歴史の中で自然を愛し、自然への回帰を求めた先輩たちは、美しい環境こそ穏やかな人間性回復に最高の良薬と考えていたことを忘れてならない」と書かれました。県政の中において、こうした文化人との対話の中で柔軟に不老橋問題に対応されることを強く切望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(西本長浩君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 貴志議員にお答え申し上げます。
 消費税の問題につきましては、知事として先ほど所見を申し述べさせていただいた次第でございます。
 ただ今回の消費税は、前のときは国会審議中でございましたけれども、法律が国会で可決され公布されているという現状でございます。
 それから応能負担の問題については、消費税並びに所得税等々、やはり一体的に考えていくべきであると考えております。
○議長(西本長浩君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 市町村への指導の問題でございます。
 中小企業における転嫁を円滑に進めるという趣旨からも、国の指導の方針に沿って市町村への指導を行ったところでございます。
○議長(西本長浩君) 商工労働部長花岡 弘君。
 〔花岡 弘君、登壇〕
○商工労働部長(花岡 弘君) 中小企業対策でございます。
 お話のございましたように、そういった企業があるということを十分認識いたしております。今までも、資金面あるいは技術面の支援、また工場用地の仲介については、例えば野上工業団地とか印南町のしらこ協栄企業団地については県内企業に仲介、あっせんをして種々施策を講じてきたところでございます。お話のような企業にとっては、こういった県の施策にはまってこないと申しますか、言い方が変でございますが、いわばその谷間にはまったような企業があるということについても認識をいたしまして、今後そういった面について、関係の方々の意見も聞きながら検討する必要があると考えてございます。
 また、進出予定先の地元対策については、これまでも地元市町村とともに鋭意努力をしてきたところでございますが、新年度からさらにその機能を強化するため、市町村を含めた企業立地連絡協議会を設置いたしまして、そういった対応に万全を期してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 38番貴志八郎君。
○貴志八郎君 消費税の問題については、私は、あくまでもこれを許容するわけにはまいらないという立場から、これからもいろんな角度から問題を追及してまいりたいと考えております。
 それから、中小企業対策です。
 これから何とかやる、谷間にあるものを救済したいという部長の答弁であります。それは早速取り上げてもらわなければ、和歌山県全体の中小企業の中から県の経済行政に反発が来るようなことでは和歌山県の発展はあり得ない、このように強く思うわけでございます。
 なお、リクルート問題について、私はそれぞれどういう態度であるかということの答えを求めたつもりでありますけれども、まあ本論と言えば、リクルート問題について襟を正せ、これはただ単に他山の石ということだけではなしに、本当に自分の襟を正すという意味で受けとめてもらいたいということでありますから、そういうふうに受け取っていただきたい。
 以上であります。終わります。
○議長(西本長浩君) 以上で、貴志八郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(西本長浩君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時二十一分休憩
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