平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(鈴木俊男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時六分開議
○議長(西本長浩君) これより本日の会議を開きます。
○議長(西本長浩君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第四十八号から議案第五十一号まで、並びに議案第六十四号から議案第六十六号まで、議案第六十九号及び議案第七十号は職員に関する条例の制定及び改正でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴したところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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   和人委第311号
   平成元年3月2日
 和歌山県議会議長 西 本 長 浩 殿
  和歌山県人事委員会委員長 寒 川 定 男
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成元年2月27日付け和議会第301号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
  記
 議案第48号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第49号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第50号 職員等の旅費に関する条例の一部を改正する条例
 議案第51号 昭和天皇の崩御に伴う職員の懲戒免除及び職員の賠償責任に基づく債務の免除に関する条例
 議案第64号 教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第65号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第66号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第69号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第70号 警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 ( 意 見 )
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(西本長浩君) 日程第一、議案第一号から議案第八十三号まで、並びに知事専決処分報告報第一号及び報第二号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 8番鈴木俊男君。
 〔鈴木俊男君、登壇〕(拍手)
○鈴木俊男君 平成元年二月県議会一般質問のトップに質問する機会を与えていただきましたことに、先輩、同僚の議員の皆様方に心から御礼を申し上げます。
 質問に先立ちまして、昨日、県警交通部長・佐竹晋吾氏には、痛ましい事故で逝去されました。心からお悔やみを申し上げます。御家族のお悲しみはいかばかりかと、お察し申し上げる次第でございます。また、交通取り締まりのトップにおられた方が交通事故の犠牲になられたということで、県警察も大きなショックを受けていると存じます。県警察は、この際、この佐竹交通部長の死去をむだにせずに、従来にも増して交通事故防止に全力を挙げていただきたいと存じます。
 さて、質問に入らしていただきますが、リクルート疑惑の拡大、消費税導入決定に対する国民の反発など、政権政党である我が自由民主党に対する批判が、かつてないほどの高まりを見せております。吹きすさぶアゲンストの風が、今や春のあらしの様相すら見せていると言っても過言ではありません。
 さきの参議院議員福岡補選での大敗に続き、二月二十七日告示の宮城県知事選には、自民党推薦候補が告示直前にリクルート社からの政治献金が明るみに出て出馬を辞退し、ついには自民党宮城県連が独自候補擁立を断念したことは、皆様も御承知のとおりであります。
 作家の曽野綾子さんが一月の我が自民党大会に出席されてリクルート疑惑に触れ、自民党が日本じゅうのサイレントマジョリティーの真の恐ろしさを忘れていると手厳しくあいさつをされたことが、今、現実のものとなってきております。
 リクルート事件は、検察当局によって真藤恒前NTT会長を逮捕するなど、NTTルートを中心に疑惑の解明が精力的になされており、やがてその全貌が明らかになるでありましょう。しかし、リクルート問題は検察当局による疑惑解明にとどまらず、国会でも政治倫理の問題を含め大きく取り上げられており、国会での予算審議はまさに波乱含みとなってきておるのであります。
 ところで、今までの税制では、赤字国債のツケを次の世代に背負わせることになるのみならず、所得税、法人税など直接税に偏り過ぎて国民の重税感、不公平感をますます募らせるとともに、中小企業を含む企業活動を圧迫することになり、国境なき国際経済の中で、やがて迎える高福祉社会に対応できなくなってきていたわけであります。
 そこで、政府・自民党は責任政党の立場から、この問題を先送りすることなく真正面から取り組んで、所得税を中心に直接税の大幅な減税を行うとともに、キャピタルゲインの原則的課税、医師課税の見直しによる負担の公平化を行い、さらに従来の個別的な間接税にかえ、新たに薄く広く消費者に負担を求める税を導入することにより、全体で差し引き二兆六千億円の減税となる税制の改革を行ったものであります。この改革は、政権政党たる我が自民党の基盤をも揺るがせかねないアレルギーを国民の間に巻き起こすことを予想しつつも、あえてこれを断行したのは、まさに国家百年の計を考えたからにほかなりません。
 この税制論議と並行して取りざたされてまいったリクルート問題が大きな疑惑となって拡大し、国民の政治不信が今や極限に達した感がございます。政府が国民の理解を得るために最も活発な動きをしなければならないこの大事なときに、国民の政治不信が増大の一途をたどっているときと重なり合ったわけであります。いわば、国民の理解を得るに最も悪い環境の中で、税制改革、特に消費税が離陸しようとしているのであります。
 古くから「新税は悪税なり」という言い回しがありますように、いかなる税も、新税はその負担を強いられる国民に嫌われるという宿命を持ってございます。ましてや、消費税は国民のすべてに課税される税であるだけに、国民に理解を得るための環境としては、今が最悪の状態であります。まさに消費税はあらしの中で離陸し、平成元年度国の予算に軟着陸させることができるかどうか、まことに懸念されているところであります。
 我々自民党県議団としては、リクルート疑惑が検察当局によってすべて解明され、一日も早く国民の政治に対する信頼が回復されるとともに、消費税に対する国民の正しい理解が得られ、所得税などの減税と相まって、結果としてこの税制改革がよかったと国民に評価される日が到来してくれるものと信じております。
 翻って県の平成元年度予算を見ますと、知事の予算編成にかける並み並みならぬ決意と意欲をひしひしと感じるのであります。
 そこで、自民党県議団を代表して、知事並びに関係部長に、予算編成に当たってのスタンスといいますか、基本的な考え方についてお伺いをいたしたいと思うのであります。
 まず、今回の予算議論で避けて通ることのできない論点である、消費税導入に伴う本県予算の取り組みについてであります。
 知事、あなたはかつて、政府が売上税を新設されようとしたとき、その年の当初予算にそれを取り込んだ予算編成をなされたことがありました。忘れもしません、つい二年前の昭和六十二年二月議会のことであります。あなたは、そのときの本会議で、この売上譲与税は国の地方財政計画に沿って機械的に組み入れたものだと説明されました。この売上譲与税の予算計上について賛成をしたのは、我が自由民主党県議団だけであります。そのときの我々のスタンスは、知事が売上譲与税を地財計画に沿って計上してくるのはやむを得ないんじゃないか、目前の選挙は厳しいけれども、知事を守って予算には賛成していく、しかし我が党内では、県連の組織を挙げてこれを断念させようということでありました。そしてまた、今回の消費税を導入した平成元年度予算であります。
 我が自由民主党は、再び厳しい局面に立たされております。自民党県議団三十二名の一人一人は、それぞれ厳しい選挙の洗礼を受け、県民の痛みを我が痛みと受けとめて県政に取り組んでいる議員ばかりであります。それだけに県民に負担を強いることはまことにつらく、耐えがたいことであり、選挙だけを意識し、目先だけの県民受けを考えるならば、消費税に反対することがマスコミでも大きく取り上げられるでありましょうし、いっとき県民の拍手を受けることになるかもしれません。しかし、それでは、県勢活性化のためのビッグプロジェクトや県民福祉のための施策を盛り込んだ予算が否決されることになってしまうのであります。
 我が会派だけでなく県政に携わる者はだれしも、財政力の弱い本県が国の地財計画の方針に背いて予算編成ができないことぐらいは知っているはずであります。しかるに、この平成元年度予算に賛成しようとしているのは我が会派のみになるのではないかと懸念をいたしておるのであります。そうだとすれば、まことに残念と言わざるを得ないのであります。
 我が会派があえて泥をかぶろうとしているのは、知事の元年度予算の提案説明をお聞きし、今こそ「ふるさと和歌山」の時代が来たと信じているからであります。しかし、リクルート疑惑の強風にあおられた消費税反対のあらしは、一向におさまりそうもありません。このようなアゲンストのあらしの中、全国の地方自治体で、現在、元年度予算が審議されておるわけであります。
 そこでまず、このたびの税制改革について、国政上の問題ではありますけれども、知事としてあなたはどのような所見を持っておられるのか、お尋ねをしておきたいと思うのであります。
 次に、県の元年度予算では、公共料金について消費税三%を一律上乗せして予算編成をされております。しかし、地方自治体の中には、元年度当初予算での消費税転嫁を見送るところもあります。中でも、公営住宅家賃について見送る自治体が多いのも事実であります。
 公営住宅家賃は納税する必要がないんだから転嫁するのはおかしいという議論もありますし、建設省が最初、消費税上乗せについて地方自治体に出した通達に「低所得者のための住宅提供であることを留意するように」とされていたことも、この問題を混乱さしているように思うのであります。
 大阪府も、公営住宅家賃について消費税の上乗せを見送っておりますが、なぜ和歌山で上乗せをするのかという疑問が県民の間に出てくるおそれがございます。
 大阪の予算を新聞で読みましたけれども、府税収入の歳入に占める比率が六五・四%と出ておりました。県の歳入に占める県税の比率が二〇・六%でありますから、全くうらやましい限りであります。これは、国の四月からの完全転嫁方針に従わざるを得ない我が県と好調な税収に支えられた地方自治体との間に差が出たとも思われるのであります。
 また、公営住宅入居者に消費税を負担してもらわないとすれば、その分、県民全体で負担する結果になるとも言えるのではないでしょうか。さらに公営住宅家賃は、消費税の上乗せ分も含め、公営住宅の維持管理経費に充てるべきでないかとも思うのであります。
 県は、なぜ公営住宅家賃についても消費税を上乗せした予算編成をなされたのか、その理由についてお尋ねをしておきたいと思うのであります。
 また、公営住宅は低所得者に低廉な家賃で住まいを提供するという施策であることと入居者の家賃負担能力との関係で、消費税上乗せに問題がないのか。この点については土木部長にお尋ねしておきたいと思うのであります。
 次に、今回の税制改革、特に消費税導入が地財計画に悪影響を及ぼし、県財政が県民に対して課すべき使命を全うできないような懸念はないかという点であります。
 既存の地方間接税、料理飲食等消費税、娯楽施設利用税が減収となり、その補てんのために消費譲与税が新設されるなどの措置がとられておりますが、元年度予算において税制改革による支障が生じていないかどうか、具体的な数字を示してお答えをいただきたいのであります。
 この問題の最後に、この消費税導入が便乗値上げ等で県民生活を脅かすことのないようにすることも県行政の重要な責務であることは、申し上げるまでもありません。新しい制度であるがゆえに、運用の問題であるとか影響について漠然とした不安が県民の間にあるのも事実であります。
 消費税の執行自体は国税当局の問題でありますけれども、県民生活に不測無用の混乱が生じることのないよう物価の監視等の面でどのような対応を考えているのか、お尋ねをしておきたいと思うのであります。
 次に、知事は、今年度の予算を「新時代幕あけの予算」というキャッチフレーズで投資重点型の予算の編成をしたと記者会見で発表し、先日の予算提案説明でも、国土幹線軸との接続が間近に具体的な形になって見えてきたとの認識のもとに編成に当たったと述べられております。激動の「昭和」から「平成」新時代へと歴史の節目を迎え、県議会も県当局も、ともに「ふるさと和歌山」創生のために、それこそ命がけで県勢活性化に向けて全力を傾注しなければならないときに差しかかっております。
 関西国際空港は平成五年に開港する予定であり、近畿自動車道和歌山線のうち、岸和田─阪南間の接続が平成二年に、待望の松原までの供用開始まであと五年となってきておるのであります。また、もっと近い日程としては、この夏には紀勢本線の新大阪駅乗り入れが実現する見通しとのことであります。県民の悲願である国土幹線軸との接続がいよいよ具体的な日程に上ってきているという実感がわいてまいります。この絶好のタイミングを決して逃すことなく、県勢の活性化につないでいかなければなりません。
 平成元年度は、将来の和歌山県にとっても大変重要な年であります。せっかく国土幹線軸との接続が果たされると言っても、県内における交通・産業基盤の整備が不十分であれば、その経済効果を県民生活に浸透させることはできないのであります。
 今回の予算で見ますと、投資的経費に占める構成比が前年度の三三%から三五・二%と大きく伸び、特に道路事業等を含む土木と農林の投資的事業は、公共事業で前年比八%増、単独では前年比四七・四%増となっております。また、限られた財源の中で、ハードな面ばかりでなく、健康・福祉等ソフト面にも思い切った予算配分がなされておりますが、県税の伸びが二・八%増と極めて低位にあり、財源面での厳しい状況の中で予算編成に当たられた知事の基本的な考え方、それに財政面での工夫についても、この際、お聞かせいただきたいのであります。
 しかし、元年度予算がいかに意欲的に編成されていると言っても、手放しに評価することのできない点があります。私どもが編成された予算を見てすぐ目をやるのは、歳入に占める県税の構成比、歳出に占める義務的経費の構成比であります。
 県税の伸びは相変わらず鈍く、伸び率が全国平均から大きく離され、むしろ全国最下位に近くなっていると聞いております。一方、歳出に占める義務的経費は四六・九%で、前年度の五〇%を大きく割り込み、財政構造に好転の兆しが見えたかに思えるのであります。しかし、その中身をよく調べてみますと、退職者の減少で対前年比三〇・八%減となったことや低金利の公債償還で公債費が抑えられたことなどから四六・九%になったにすぎず、今後予想される公債費の伸びなどを考えると、義務的経費が五〇%を超える状況は特に変わっていないと思うのであります。つまり、今回の予算では、幸運にもというか、たまたまというか、義務的経費が五〇%を割ったというだけにすぎず、財政の硬直化が依然として続いておると思うのであります。
 県はこれまでも、職員定数の削減を初め人件費の抑制にも取り組んでこられたことは承知いたしておりますけれども、今後さらに財政の健全化をどう進める方針か、お聞かせをいただきたいのであります。
 以上で、予算編成上の問題について、代表する立場での質問を終わりたいと思います。
 続いて、私が最近ただしておきたいと考えておりました県政上の問題について質問をいたします。
 まず、関西国際空港に関する問題についてであります。
 私どもは常に、関西国際空港問題には、国内便の確保、とりわけ東京、札幌、福岡等の国内幹線便の関西国際空港乗り入れが必要であると、かねてから口を酸っぱくして訴えてきたところであります。ところが最近、大変気がかりな動きがございました。
 関西経済連合会の宇野収会長が、この二月三日、佐藤運輸大臣に対し、地元財界の総意として、関西国際空港の全体構想の推進を中核に、大阪国際空港の存続、神戸沖空港構想の推進を三点セットで要望したというのであります。
 大阪国際空港は、現在、国において地元へのアンケート調査などを行い、存廃の結論を出すことになっていると聞いております。また、大阪国際空港の存続に加え、今後、第六次空港整備計画で神戸沖空港が明確な位置づけをなされるということになりますと、中長期的な関西圏の航空需要から見て、関西国際空港の全体構想、とりわけ国内便確保に重大な影響を及ぼすことになるのではないかと大いに懸念をいたしているところであります。
 その後、宇野会長は、この三点セットを否定し、三空港を同時並行的に推進する考えはないとの発言訂正がなされたということであります。
 この五月にも、関西新空港の全体構想推進協議会が結成されると聞いてございます。県もこれに参加されるわけでありますが、関空の全体構想実現のためには、参加メンバーの経済団体はもちろん、兵庫県など関係自治体も、当面、大阪国際空港の存続や神戸沖空港建設の動きを自粛すべきであります。また、大阪国際空港が存続した場合、関西国際空港が開港しても、東京便などの幹線路線の大部分が大阪国際空港に残るのではないかという一部の声もございます。
 今回の当初予算において関西国際空港全体構想推進の予算が計上されておりますが、まず知事の全体構想推進への取り組み姿勢と現時点での国内便確保の取り組み状況について、最近のこの問題に対する動きを絡めてお聞かせいただきたいのであります。
 また、加太の土砂採取事業がこの四月から開始されるということで、跡地利用計画の具体化が急がれてまいりました。加太地区は、瀬戸内海国立公園を前面に、すばらしい環境を備えた地域であり、新しい社会のニーズに十分こたえていける空間であります。
 高齢化社会を迎えた今日、シルバーエージのセカンドハウス、あるいはハイテク研究施設などもコスモパーク加太にマッチするのではないかと考えておりますが、コスモパーク加太計画をどう推進されていくのか。これと関連する加太岬スカイライン構想の取り組み状況についても、企画部長にお尋ねをしておきたいと思います。
 次に、湯浅御坊道路の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。
 この湯浅御坊道路は海南湯浅道路に連結する道路でありますが、海南湯浅道路は昭和四十七年十月に事業認可されまして、最初、対面四車線、吉備町水尻まで延長十三・二キロとなっていたものが約三キロ短縮され、吉備町明王寺までとなって二車線に変更されて、昭和五十九年三月、ようやく完成を見たのであります。着工以来、実に十一年余りの歳月を要し、総事業費がほぼ倍額近くに膨れ上がったのであります。
 ところで、湯浅御坊道路十九・四キロメートルは昭和六十二年度に全線事業化されており、その現況は、湯浅バイパス六・九キロは既に用地測量を終えて用地買収にかかっているということでありますし、日本道路公団の担当する区間七キロは路線測量中であり、川辺町から御坊までの五・五キロは路線測量を終え、基本ルートを示して地元と調整中であると聞いております。
 この湯浅御坊道路を予定どおり供用開始するためには、建設工事に約五年近くかかるということでございます。逆算をいたしますと、遅くともこの元年中に用地のめどをつけておかなければならない計算になります。用地買収に入った湯浅バイパス六・九キロに地権者が三百名以上もいると言われておりますが、御坊までの残り十二・五キロについては、まだ用地測量が行われていない現状であります。
 県は、建設省、道路公団、それに地元自治体と一体となって必死に取り組まれていると聞いておりますが、客観的に見て、現在のスタッフでは計画どおりに用地のめどをつけることは極めて難しいと思うのであります。しかし、近畿自動車道和歌山線の松原までの供用開始が平成五年四月の見通しでありますし、せめてその二年後の平成七年春までに御坊まで有料道路を南伸させなければ大阪経済圏、国土幹線軸との接続が大幅におくれ、交通・産業基盤の整備に重点的な投資を行ったことが実を結ばなくなるおそれがあるのであります。
 そこで、現在までの用地取得の進捗状況や今後の見通しについて、土木部長の答弁を求めます。
 次に、健康・福祉の問題であります。
 懸案の一つでありました南紀療育園の建てかえ、古座保健所の新築など、巨額の事業費をつぎ込んでの取り組みに、まず知事に心から敬意を表するものであります。
 今回は、中でも老人福祉の問題、精神障害者の社会復帰の問題に絞ってお尋ねをいたします。
 本県の六十五歳以上の老齢者人口は年々着実に増加してきておりまして、六十三年度においては十五万三千人余、全県民人口のうち一四%を占めるに至っております。全国ではこの数字が一一・二%でありますから、全国の中で高齢化の進んだ県と言われているところであります。
 県の老人福祉施策の中で、例えば老人施設整備率が昨年四月現在で一・三%と近畿府県で最高と聞いておりますし、元年度予算においても、四カ所に特別養護老人施設が建設されることになっております。しかし、老人福祉施策の現在の潮流を見てみますと、入所用の施設整備から、いわゆる在宅福祉施設の充実にも力を入れるものになってきておりますが、本県におけるその分野の対応はどうなっているのか、お尋ねをしておきます。
 また、これまでの老人福祉は、どちらかと言うと、ひとり暮らしあるいは寝たきりなど、いわば弱者対策としての位置づけが大きかったとも考えるわけでありますが、人生八十年時代を迎え、お年寄りに生きがいを持っていただく施策が必要となってきていると思うのであります。
 元年度において、明るい長寿社会づくり推進機構が設立されるなど、新しい施策が織り込まれておりますが、今後の老人対策について、その基本方針をお尋ねしておきたいと思います。
 続いて、精神障害者の社会復帰の問題についてお尋ねをいたします。
 精神薄弱者等のいわゆる措置施策についてはかなり充実をしてきておりますが、施策の谷間に置かれてきた、回復途上にある精神障害者のための適切な施設がなかったというのが実情であったと思うのであります。国において精神保健法の改正を行い、六十三年度から新しい施策として、精神障害者の社会復帰施設の整備に対する補助制度が導入されました。今回の予算では、障害者のための援護寮と通所授産施設の複合施設が全国で初めて建設されることになりました。これからの精神障害施設の一つの方向を示すものとして、厚生省初め関係者が強い関心を持って注目していると聞いておりますが、今回の施策の概要及び今後の精神障害者施策についての考えを保健環境部長にお尋ねしておきたいと思います。
 最後に、教育長にお尋ねをいたします。
 まず、新学習指導要領案についてであります。
 それによりますと、二十一世紀に向け、社会の変化にみずから対応できる子供の育成を目指し、四つの基本方針が立てられております。この中には「心の教育の充実」について掲げられておりますが、この教育を推進することは国家主義的な道徳教育の復活であると、戦前の修身教育を想定した議論もあります。しかしながら、今日の社会は物質的に豊かで生活水準が向上したとはいえ、子供たちが集団で弱者をいじめたり、乗車の際、老人をはねのけてでも座席に座るといった、人を思いやる心に欠けるなど、心の貧しさが顕著になってきており、その教育の必要性が求められておるところであります。
 また、「文化と伝統の尊重と国際理解の推進」についても重要な柱となっておりますが、近年、多くの海外旅行をする人々が外国の各地で翻っているそれぞれの国の旗に感動したり、オリンピックなどの国際大会における我が国の旗の掲揚や国歌の演奏は、ひときわ国民が自国を敬愛する感情を高揚するところであります。
 こうした意味からも、新しい学習指導要領案の重要な方針である「心の教育の充実」と「国旗・国歌の取り扱い」の今後の指導について、教育長の所見をお伺いしたいと思うのであります。
 次に、リクルート問題であります。
 リクルート問題は国会で取り上げられておりますが、我が県議会でも教育委員会に対して質問せざるを得ないと思うわけであります。
 県下の高等学校三十四校のうち二十九校では、リクルート社が二年生を対象に進路指導のアンケート調査を行って、リクルート社では、このアンケートに書かれた情報をもとに進路情報誌を生徒に送っていたというのであります。つまり、二十九の高等学校では、結果としてリクルート社に協力をしていたということになるわけであります。
 最近、リクルート問題が大きく取り上げられるようになりまして、文部省も慌ててといいますか、こうしたアンケート調査について見直すようにとの文書が届いていると聞いておりますが、教育委員会では県下の高等学校に対してどのような指導をなされたのか、お尋ねをいたします。
 また、県内の高等学校に進路情報を提供している企業はほかにもあると聞いておりますが、その中でリクルート社の情報誌は圧倒的な情報量を誇り、信頼性が高いとも言われており、各高等学校での生徒の進路指導に当たって、生徒の希望や適性に合った進路先を提供するために、このリクルート社の情報誌をすべて排除することもできないのではないかとも考えます。この点について、教育長のお考えをお聞かせください。
 以上で、私の質問をすべて終わります。よほどのことがない限り再質問はしない予定でありますので、ひとつ明快な答弁を期待いたします。御清聴を感謝申し上げます。ありがとうございました。
○議長(西本長浩君) ただいまの鈴木俊男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鈴木議員にお答え申し上げます。
 まず第一点の問題、消費税を含む税制改革についての基本的な考え方でございます。
 お話ございましたように、消費税の問題につきましては、従来から国政上の課題として論議されてきたわけでございますが、基本的には、現行制度においては所得税、法人税という直接税に偏重していることから国民の重税感、不公平感が募っておりますし、また国際経済環境の中で企業活動をなお一層活発にして雇用を拡大するとともに高福祉社会を安定的に維持するため、税制改革が重要であると理解しておるわけでございます。
 その税制改革の一環として、所得、消費、資産における負担のバランスの問題、また現行間接税の問題等から消費税が提案され、種々議論された結果、昨年末に成立したと、私たちは理解しておるわけでございます。
 知事といたしまして、地方公共団体の財政の問題、県民生活の問題、また県内中小企業の経済活動を脅かすようなことにならないかという点に最大限の留意を払ってきたところでございまして、今般提案させていただいている当初予算編成に当たっても、本県の財政に支障が生じていないことを確認するとともに、便乗値上げの特別監視体制を整え、さらには円滑な転嫁が行われることなどを目的とした中小企業に対する新税制普及を推進する所存でございます。
 次に、公営住宅の家賃を含む公共料金に消費税の転嫁を行った趣旨についてでございます。
 消費税の制度趣旨にかんがみ、課税対象となっている公営住宅家賃を含む使用料等に消費税分を上乗せし、最終の消費者である使用者や受益者の皆さんに御負担をお願いしたところでございますけれども、その際、特に考慮した実質的なポイントは次のとおりでございます。
 その第一点といたしまして、受益者負担の問題でございます。
 すなわち、県は、それ自体、事業者として、例えば公営住宅事業を行う際に、そのための経費支出、歳出の負担増として消費税を負担いたしますが、これを公営住宅入居者等受益者の皆さんに負担していただかないということになりますと、その分が一般財源、つまり県民全体で肩がわり負担する形になります。
 国におきましても、法の性質上、転嫁を指導しているところでもありますので、本県としては、その消費税を一般財源に食い込むことができないと考え、このような取り扱いをいたした次第でございます。その際、公営住宅入居者の皆さんに負担いただいた額につきましては、あくまでもこれは公営住宅事業自体に充てるべきだという考え方から、公営住宅修繕費の増額を行ったところでございます。
 次に、県内の中小企業等の事業における転嫁問題でございます。
 県といたしましては、県内の中小企業等の経営を守る見地から、先ほど申し上げたような所要の施策を講じておりますけれども、経費節減の名のもとに実質的な転嫁ができないということがないように特に配慮する必要があると考えているところでございます。
 以上のような点から、住宅入居者等の受益者の皆さんに消費税の負担をお願いせざるを得ないと決断したものでございます。御理解、御協力を切にお願い申し上げる次第でございます。
 次に、本年度の予算編成についての基本的な考え方でございます。
 ただいま鈴木議員から御指摘のように、国土幹線軸への接続を間近に控えた絶好のチャンスの時代にあって、平成を迎えての基本的な考え方はどうかということでございます。
 まず第一点には、交通網や産業基盤の整備のために、投資的事業に重点的に財源を配分いたした次第でございます。特に、将来の和歌山の発展にとって意義の深い新白浜空港の建設やマリーナシティ等のビッグプロジェクトの本格的な事業化を図っております。
 第二の点は、和歌山県の産業構造の改善、高度化を促進する観点から、リゾート産業の振興、企業立地促進、輸入自由化の影響を受ける農業の構造改善を図るため、新規事業を含め、積極的な施策を講じておるところでございます。さらには、健康・福祉、教育・文化の面においても、すばらしいふるさと、そして新しい「ふるさと和歌山」を実現するため、積極的で、きめの細かい施策を展開いたしております。
 このような積極的な予算を編成するに当たりまして、税収の伸び悩みの問題がございます。また、一部改善したとはいえ、国庫補助負担率の引き下げが継続されるなど、財源面でも困難な事情があるわけでございます。なお一層の行政改革推進に加え、ふるさとづくり特別対策、また皆さんに大変御努力いただいた半島振興法においても半島振興道路の財源のついた起債を活用するなど、財政面の工夫を行ったところでございます。
 次に、関西国際空港の全体構想の推進でございます。
 御指摘のように、現在の状況は、大阪国際空港の問題、また神戸沖空港の問題など、関西経済界初め各方面で種々な考え方が出ておりまして、非常に重要な、また厳しい現段階であると認識しておるわけでございます。
 航空審議会の答申で位置づけられた全体構想の推進については、関係府県、関西経済界全体の総意に基づいてなお一層推進しなければならないということで今回も予算計上させていただいておりますし、また御指摘いただいたとおりでございます。そのためには、関西全体のエネルギーを結集してまいらなければなりません。関西だけではなしに、静岡、愛知等においても国際空港が問題に上がっております。また、羽田空港の拡張問題もあるわけでございます。そうした重要な時期でございますので、今後とも県議会初め関係の皆さんの総意を結集していただくとともに、私も努力させていただきたいと思っております。
 また、国内便につきましても、当然、大阪国際空港の問題との関連もありますので、なお一層積極的に努力してまいる所存でございます。
 次に、老人対策の基本的な考え方はどうかということでございます。
 お話ございましたように、和歌山県の老人の数がふえつつございますし、それらについて諸施策を進めておるわけでございますけれども、過日実施した調査においても、県内の高齢者の八割が、自分が健康であるということを認識しておるという実情でございます。
 こうした方々の知識や経験を地域社会に今後生かし、生きがいのある長寿社会を築いていくことが極めて重要なことだと思います。そうした意味において、このたびも全国に先駆けて、明るい長寿社会づくり推進機構というのを提案させていただいておるわけでございます。
 また、高齢化の進行に伴い、介護が必要となるお年寄りが増加することも事実でございます。こうした方々に対し、行政的な援助すなわち在宅福祉等をなお一層積極的に進めるべきじゃないかということには同感でございまして、今後とも在宅福祉についてなお一層の努力をしてまいる所存でございます。
 残りについては、部長から答弁させていただきます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 消費税に伴う問題でございます。
 低所得者に対して公営住宅に消費税を上乗せすることにより、住居者の能力負担に問題はないのかという問題でございます。
 今回の消費税導入に伴う公営住宅の家賃に、その消費税の円滑かつ適正な転嫁がなされる必要があると考えております。しかしながら、公営住宅は低額所得者に低廉な家賃で供給するものであることから、負担能力を超える者については家賃の減免、徴収猶予などの措置を講ずることの検討も必要であり、本県においては、家賃負担能力を超える入居者の方については和歌山県営住宅管理条例の規定に準じ、個別に検討してまいることとしております。
 次に、湯浅御坊道路の用地取得の進捗状況及びその達成の見込みについてお答えいたします。
 本年度の本路線の用地費二十八億一千万円に対し、現在、その進捗率は四一%でございます。残りにつきましては、用地関係者と鋭意交渉を進めているところでございます。残り少ない日数でございますが、所期の目的を達成するために、なお一層の努力をしてまいる所存でございます。
 さらに、平成元年度には新たに現地体制を強化充実し、地元御坊市、川辺町と一体となって用地取得に最大限の努力をしてまいる所存でございます。
 また、全線十九・四キロの用地買収の概成の見込みは平成二年秋を目途としておりますが、建設省においては、一定の用地買収の完了した区間について順次工事を実施することとしており、平成六年度の供用に向け、国、県、地元市町が一体となって取り組んでまいります。
○議長(西本長浩君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 今回の税制改革は総額で差し引き二兆六千億の減税となっておるわけでございますが、この改革が本県の平成元年度予算にどのような影響があるのかという御質問でございます。
 まず歳入の面で、料理飲食等消費税、娯楽施設利用税等の既存間接税の改組による減収が約三十五億円見込まれているところでございます。これは、消費税の一部として地方団体に譲与される消費譲与税約四十億円により、完全に補てんされる見込みでございます。また、今回の税制改革の一方の柱である個人県民税の減税による減収は、約十五億円程度と見込んでいるところでございます。
 次に歳出の面では、消費税が導入されることに伴い、一般会計として負担すべき消費税相当額が約三十四億円、一般財源ベースで十七億円となる見込みでございます。
 これらの歳入の減、歳出の増を補てんする財源につきましては、県税の自然増収、地方交付税の伸び、国庫支出金等により完全に措置されたところでございまして、平成元年度予算編成において税制改革による支障は生じていないものと考えているわけでございます。
 次に、本県の財政構造の健全化をどう進めるかという問題でございます。
 本県の財政構造について平成元年度予算で見ますと、県税の伸びが地方財政計画を大きく下回っておりまして、その結果、地方交付税等に依存せざるを得ないこと、また退職手当の一時的な減少により低下したとはいえ、人件費の割合は全国に比べて依然として高水準にあることなど、ただいま御指摘のとおりでございます。
 県の地方財政の運営に当たりましては、自主財源の涵養が何よりも重要でございます。中でも、県税の大宗を占める法人関係税に期待するところが大きく、このため、社会資本の整備を一層図るとともに、企業立地をより促進することによって本県の産業構造を高度化し、その改善を図ることが緊急の課題でございます。
 このため、今回の予算編成においても、特に重点を置いて取り組んだところでございますが、さらに足腰の強い税構造の構築に努める必要がございます。また同時に、人件費を初めとする経常的経費の抑制はもとより、不要不急の事務事業については極力見直しを図るなど、行財政改革に積極的に取り組み、より一層効率的な財政運営が図れるよう努力してまいりたいと考えております。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 二点の御質問にお答え申し上げます。
 まず第一点は消費税に関連して、物価の監視等の面での対応についてでございます。
 消費税の導入に伴う県民生活への影響、とりわけ生活関連物資についての転嫁に関して便乗値上げを監視するため、物価モニターの増員及び調査の品目や回数の増加によって調査・監視体制を充実いたします。あわせて、消費者の相談や問い合わせに対応するとともに、その意見や情報等を国に報告し、施策に反映できるよう対応してまいりたいと考えてございます。
 第二点は、コスモパーク加太計画及び加太岬スカイライン構想についてでございます。
 まず、コスモパーク加太計画についてでございますが、加太の持つすばらしい自然環境、さらには関西国際空港に近い立地条件を生かした、議員お話しのような研究開発型施設、リゾート施設、良好な住宅を配置した複合的な市街地を形成し、二十一世紀に向けて国際化、情報化等に対応できる新しい町づくりを行いたいと考えてございます。
 この計画につきまして、現在まで数カ年かけて調査検討を重ねてきたところでございますが、本年中には基本計画としてまとめたいと考え、鋭意作業を進めているところでございます。今後は、民間の開発ノーハウ、資金力を生かしながら、事業主体をできるだけ早く設立するよう努力してまいりたいと考えてございます。
 次に、加太岬スカイラインについてでございますが、関西国際空港方面へのアクセスといたしまして、本県の北西部、とりわけコスモパーク加太にとって重要なルートと考えてございます。平成元年度から、その具体化のため、大阪府と共同調査に着手することといたしてございます。今後は関係機関の協力を得ながら、できるだけ早く事業化が図られるよう努力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 在宅老人福祉施策についてお答えいたします。
 お年寄りの多くは、住みなれた地域で、家族や友人、知人とともに生活していくことを望んでございます。こうしたお年寄りの地域での生活を支援する在宅福祉施策の充実は、高齢化の進む本県にとっても重要な課題であり、新年度予算案においても、ホームケア、またナイトケア等、各種の新規メニューを盛り込むなど、きめの細かな配慮を行ったところでございます。
 一方、国におきましても、今後三年間で家庭奉仕員派遣事業、デイ・サービス事業、ショートステイ事業を緊急に整備するとともに、その初年度分として、平成元年度の政府予算案において大幅拡充のための予算が盛り込まれておるところでございます。
 本県といたしましても、国の具体的方針が示され次第、市町村とともに協議し、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 精神障害者の社会復帰対策についてお答えを申し上げます。
 御指摘がございました、精神障害者の社会復帰の促進を図ることを大きな目的とした精神保健法が、昨年七月一日に施行されたところでございます。
 精神障害者の社会復帰、社会参加の促進のためには家庭や地域での受け皿づくりが重要であり、とりわけ精神障害者の社会復帰を援助するための施設の整備はこの核となるべきものと位置づけをしているところでございます。
 今回、予算案に計上いたしておりますのは、回復途上にある精神障害者の方に一定期間生活の場を提供し、生活適応のための訓練及び指導を行い、自立への促進を図るための施設として定員二十名の援護寮と、相当程度の作業能力を有する精神障害者の方に必要な訓練を行い、自活への助長を図るための施設として定員二十名の通所授産施設の複合施設を全国に先駆け、市内岩橋に社会福祉法人が新設を計画いたしておるものでございます。この施設の整備に対して県として補助を行うものでございますが、県としても適切な運営について指導してまいりたいと考えております。
 また、この社会復帰施設の整備充実とあわせて、従来から実施している通院患者リハビリテーション事業、共同作業所通所訓練事業、保健所におけるデイケア事業等の精神障害者社会復帰対策の体系化を推進していくことにより、なお一層、精神障害者の福祉の増進に努めてまいる考えでございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) まず、新しい学習指導要領案の「心の教育の充実」についてでございますが、その方針は、教育活動全体を通じて児童生徒が豊かな心を持ち、たくましく生きる人間を育成することでございます。物質的な豊かさの中で子供たちが基本的な生活習慣を身につけ、人間関係を大切にすることを教えるということは、極めて重要でございます。
 次に、次代を担う児童生徒が将来にわたって国際社会において信頼をされ、すばらしい日本人として成長するためには、自国の文化を大切にし、そして外国を正しく理解・認識し、交流を深めていくことが大切であると考えてございます。こういった意味におきまして、自国の国旗・国歌を大切にする態度を養うということは、すなわち諸外国の国旗・国歌を大切にし、尊重するということにつながるものと考えてございます。
 新しい学習指導要領案におきましては、これまでは、祝祭日などに国旗を掲揚し、国歌を斉唱させることが望ましいということでございましたけれども、このたびは「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」というふうに改めてございます。
 教育委員会といたしましては、間もなく告示をされる新しい学習指導要領案に準拠し、国旗を掲揚し、国歌を斉唱するように指導してまいりたいと考えてございます。
 次に、リクルート社の進路調査についてでございます。
 まず、二月十六日に私どもが受けた文部省初等中等教育局長名による通知文についてでございますが、これは、生徒に対する進路指導のあり方についての留意点を付したものでございます。
 その趣旨でございますが、民間企業からの進路希望調査等に協力をしないようにということ、企業から送付をされる情報資料等についての取り扱いには十分慎重に対処し、特定企業を利することのないように留意することとなっております。
 県教育委員会といたしましても、各県立学校長に去る二月二十一日付でこの趣旨の徹底を図るとともに、進路指導のあり方について改めて指導をいたしたところでございます。
 また、民間企業の発行する情報誌の取り扱い等についてでございますが、御指摘のように、進路指導の充実のためには、生徒一人一人の能力、適性等、十分な生徒理解に基づいて行うことが必要であると考えてございます。そのためには適切な情報資料を得ることが求められるところでございますので、新しい学期当初において県立学校長会等の会議を開催し、さらにこの指導の徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(西本長浩君) 以上で、鈴木俊男君の質問が終了いたしました。

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