平成30年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成30年12月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従って質問させていただきます。
 最初に、知事には、選挙、大変お疲れさまでしたと申し上げたいと思います。
 今回の選挙は、カジノを中心としたIR・統合型リゾート誘致の是非を問う選挙ではなかったかと思います。選挙の結果は、IR反対を訴えた畑中氏は前回と比べて6900票増、得票率では2.96ポイント伸ばし、29市町で前回よりふえています。畑中候補が20%以上得票したのは、上富田町、白浜町、田辺市、和歌山市、新宮市、岩出市の6市町で、これは前回の3市町の2倍です。
 知事の県民に対する約束事として、選挙公報には、IR・カジノの推進について一言も書かれていませんでした。マスコミのインタビューなどでは、「カジノができれば県民の所得が1割ふえる」、「雇用が2万人ふえる」などと答えられていました。
 特にマリーナシティのある和歌山市では投票率が上がり、両者とも得票数を伸ばす結果となりました。知事は2033票増、畑中氏、3018増です。また、NHKの出口調査では、58%の方がカジノ反対と答えているということでした。
 今回の知事選挙で、政党では、日本共産党以外の多くの政党・会派が知事を応援したことから、カジノ反対の方も7割が知事に投票したとも報じられ、知事は圧勝されました。しかし、カジノを含むIR誘致が県民に支持されたわけではありません。
 そこで、カジノをめぐる選挙結果をどのように受けとめておられるか、お尋ねしておきたいと思います。
○議長(藤山将材君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今回の知事選挙におきまして、奥村議員がIRの是非を問う選挙であったというふうにおっしゃるように、対立候補はIR誘致の是非を一番大事な争点と主張して、「誘致を阻止するためには私に投票をしてください」というふうに訴えていたと思います。その結果、選挙前から「これからの和歌山にとってはIR誘致を進めるべきだ」という主張を掲げた私が信任をされた、当選をしたということは、IR誘致も推進してよろしいと考えられるのではないかというふうに思います。
 確かに、カジノについて賛成か反対かで聞くと、「そんなものは嫌いだから反対」とか、あるいは「好きか嫌いでいうと嫌い」という方は、特にかけごとの嫌いな人には結構いらっしゃるんじゃないかというふうに思います。しかし、同じ方に、「そうすると経済発展のチャンスがその分失われるわけだから、人口がうんと減っていくのに歯どめはかけられませんけども、いいですか」と聞くと、「これは困る、何とかしろ」とおっしゃる方が多いんじゃないかと思います。そこまで露骨に聞かなくても、「人口減でも構いませんか」と聞くと、「これは困る。いかなる手段を講じてもとどめよ」とほとんどの人がおっしゃるのではないかというふうに思います。
 したがって、嫌いと言われる方がいるからといって誘致をとめてしまい投資の機会を逃せば、本県の経済発展のチャンスは失われてしまいます。
 こうしたことも踏まえて、政治家としては、どうやってやるかというその手段も含めて、今後の本県の進むべき道を、隠したりごまかしたりすることなく示さなければならないと私は思っております。今回の選挙では、その点が県民に評価されたのではないかと思います。
 「バカの壁」で有名な養老孟司さんという人がおりますが、養老孟司さんの最近の著書で、「これは反対、あるいは問題と言いまくるけれども、その結果、あとは誰かにお任せ、不都合が起こってもその対応は誰かにお任せという態度が一番日本を悪くする」と書いておりました。畑中さんのことは私は申しませんが、私はそうならないように、和歌山の将来のトータルな青写真を、しかも実現可能なそれを県民に示したつもりでございます。
 とはいえ、誘致に対して心配や不安を抱かれている方もまだまだたくさんいらっしゃるというふうに思います。したがいまして、引き続き、謙虚にかつ丁寧に、また何度でも、例えば地域経済への効果、あるいは大阪との関係、あるいは懸念される社会的リスク、依存症などの排除などについて県民の皆様によく説明し、御理解を得ながらIR誘致に関する取り組みを推進してまいる所存でございます。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 選挙結果について、やはり県民の声として真摯にまず受けとめていただきたいなというふうに思いましたが、残念な答弁をいただきました。好きや嫌いだと県民が言ってるのではないと思います。そういったことを私は耳にしていません。IRについての、本当に切実な御家庭の状況など、カジノのギャンブル依存、その以前にさまざまな依存症で家庭が大変な状況になったお話、そういったことを伺いました。
 選挙中は、街頭から畑中候補へのたくさんの声援を聞きました。駆け寄って「カジノはやめて」と言って去っていく人もありました。人の不幸でもうけるカジノの反社会性を感じ、見抜いてのことだと私は思います。依存症対策をすればよいというものではありません。
 また、経済効果を言うのであれば、カジノで生じるマイナスの影響、例えば依存症対策費用や倒産、失業、自己破産、生産性の低下などの社会的損失についても示すべきではないでしょうか。
 地域経済への効果や懸念される社会的リスクの排除について、謙虚に丁寧に説明し、理解を得ながら推進すると言われていますが、これまでシンポジウムや行政報告会、勉強会、セミナーなど、県民向けに行ってきたのではないでしょうか。その上の選挙結果だということをぜひ考えてみていただきたいと思います。
 そういったことの中で、先ほど人口減少に対してはどうするのかといった、そういう人口減少とあわせてカジノを引き合いに出すのは、全く県民に対しても失礼なことではないかと私は思います。
 選挙公報、知事はごらんになったかと思いますが、この公報の中で、人口減少の前にしっかりと県民の暮らしに寄り添う、そういった施策を皆様に訴えているのが畑中さんでした。「カジノストップ!くらしと地域を応援する県政へ」ということで書いていますので、再度ごらんいただいて、これが和歌山県の歩む道ではないでしょうか。しっかりとその政策についても書いております。こういったことも含めて、やはりカジノに頼らないまちづくり、そのことを訴えてきたのではないかと思います。
 知事は、選挙の勝敗でいえば信任されましたが、県民がIR・カジノ推進に賛成したということではないと思います。先ほど申し上げたとおり、NHKの出口調査で58%の人がカジノ反対と答えています。その70%の方がカジノ反対にもかかわらず、別の理由で知事に投票したというのが出口調査から読み取れるかと思います。選挙で勝ったからIR・カジノを推進してもよいなどというのは、決して謙虚とは言えないと思います。知事に投票した多くの県民の気持ちを踏みにじるものということで申し上げておきたいと思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 2番目に、オスプレイの飛行についてお尋ねいたします。
 和歌山県平和委員会は、日高川町の椿山ダム付近に米軍機オスプレイが飛来したと発表しました。10月13日午後0時28分に、東から西に向けオスプレイが飛行しているのを日本共産党の日高町議が確認をしています。同日午後3時44分にオスプレイ2機の西から東への飛行も確認し、カメラにおさめています。
 オスプレイは事故多発の欠陥機です。一昨年12月には、沖縄県名護市の海岸に墜落しています。そのほかにも事故が多発し、県民からは不安の声が届いています。
 そこで、お聞きいたします。最近の国から提供された飛行情報の件数はどのくらいでしょうか。危機管理監にお尋ねをいたします。
○議長(藤山将材君) 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) オスプレイの飛行情報につきましては、近畿中部防衛局から県に対し、電子メールにより情報提供がなされているところでございます。
 その件数につきましては、直近の3カ年で申し上げますと、平成28年度は約90件、平成29年度は約60件、平成30年度は、12月1日現在で約80件でございます。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今年度は、12月10日現在の集計だとお伺いしています。ふえる可能性が多いということだと思います。
 それでは、飛行情報の内容とはどのようなものですか。危機管理監にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 危機管理監。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 近畿中部防衛局からの飛行情報につきましては、オスプレイが本県上空を飛行するか否かにかかわらず、機体の数、離陸及び着陸予定基地名のみ提供されることとなっております。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 危機管理監にもう一度御確認いたしますが、飛行ルートや飛行目的については情報提供されていないということでしょうか。再度お尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 危機管理監。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 先ほども答弁いたしましたとおり、近畿中部防衛局から提供されている飛行情報は、機体の数、離陸及び着陸予定基地のみでございます。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 先ほど、飛行情報をどのように提供と言うたときにも、年度で言えば80回とかそういったことでお答えがありましたが、こういったことが飛行ルートも飛行目的もはっきりとやはり情報が提供されないというようなことだったと思います。
 それで、知事にお尋ねしたいんですが、和歌山県の上空を飛行することに対する知事の所見をお聞かせいただきたいと思います。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) オスプレイを含む回転翼機、固定翼機、ドローンに至るまで、空を飛ぶもので100%安全なものは存在いたしません。ゼロリスクを求め過ぎると、全ての飛行体は飛ぶな、特に県の上空を飛ぶなということになりかねません。
 オスプレイがヘリコプターや他の航空機に対し危険度がより高いということを示す根拠が、奥村さんはございますでしょうか。私に関しては、今入手しているデータでは少なくともそれはございません。もし奥村議員が、オスプレイは上空を飛ぶな、そのリスクはオスプレイが特に危ないということをお示しできないのに飛ぶなと言うことは、例えば、機体としてよりリスクが高い機種として、防災ヘリも飛ぶな、あるいはドクターヘリも飛ぶなというふうにおっしゃるのでありましょうか。
 また、南海トラフ地震のような大規模な災害が発生したとき、いかに県民を守るかが私の任務でございます。航続距離が長くて速度が速いオスプレイを含むあらゆる資源を活用しなきゃいけないというふうに私は思います。
 オスプレイについて問題になるのは県民に危険が及ぶ可能性が高い低空飛行訓練であって、オスプレイに限らず、県民から危険と感じるような米軍機の飛行についての情報提供があった場合は、外務省、防衛省に対して、米軍に訓練中止を申し入れるよう要請していきたいと思います。
 また、米軍機一般について、住宅地域及び工場地帯上空での飛行制限等、徹底した安全対策を講じるよう、全国知事会を通じ要望もしているところでございます。
 山本七平さんという人がいましたが、「日本では空気というものが大きい」と言うております。「空気が決まると、すぐみんなが、そうだそうだと考えてしまう、それが問題だ」と言っております。オスプレイも、一度どこかのマスコミが「危ない」と言うたもんですから、みんながそれが本当かどうかと確かめることなく行動してしまっているような気がします。私は、人間の尊厳は、ほんまかいな、なぜ、どうしてと考えることにあると思っております。オスプレイについても、聡明な奥村議員におかれましては、空気とか何々党の方針とか離れて、一度じっくりお考え願いたいと考えてる次第でございます。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 私は、オスプレイについての安全性がどうかということで知事に質問したわけではありません。危険だということは、1990年代の開発段階から現在に至るまで、墜落事故を初め、さまざまな事故が相次いでいます。沖縄で墜落して以降、普天間所属のオスプレイがオーストラリア沖で着艦に失敗、シリアで墜落、わずか10カ月間、3回も重大な事故を起こしています。
 さらに、沖縄県名護市の海岸に、一昨年12月だったと思うんですけども、その墜落した際には日本の捜査機関が原因究明の蚊帳の外に置かれました。基地外での日本の警察権行使を拒否し証拠隠滅する行為、日米地位協定上も許されない無法が通っていること自体、県民の命を脅かしているものであることを申し上げ、県民の命と暮らしを守る知事におかれましては、このオスプレイの上空飛行に抗議をするべきではないでしょうか。そのことをお伝えして、次の質問に行かせていただきます。
 外国人労働者の受け入れについて。
 外国人労働者の受け入れ拡大のための出入国管理法の改定が強行採決され、8日未明、参議院本会議で、自民、公明、日本維新の会などの賛成多数で可決成立しました。
 「毎日新聞」朝刊の1面見出しは、「外国人就労、議論半ば」、「審議38時間、中身後回し」という大見出しでした。このような短い審議時間の中でも、外国人技能実習制度をめぐるデータ捏造が明らかになりました。同制度のもとで失踪する実習生が昨年7000人超と深刻化していることなどについて、政府は、まるで実習生が勝手に仕事を投げ出したかのような印象の資料をまとめられていました。実際は、野党の調査などで、最低賃金違反や暴行、パワハラ、セクハラなどの違法、無法がまかり通っていることが明らかになりました。
 そこで、お尋ねいたします。県内における外国人労働者の雇用状況についてお尋ねをいたします。商工観光労働部長、お答え、よろしくお願いします。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 外国人の雇用について、全ての事業主は雇用対策法に基づき、外国人の雇い入れと離職の際に、その氏名、在留資格、在留期間などについて確認し、ハローワークに届け出ることが平成19年より義務づけられており、県内の届け出状況については和歌山労働局から年に1回公表されています。
 平成29年10月末現在、県内の外国人労働者の状況につきましては、外国人労働者数は2260人で、前年に比べ262人、13.1%増加し、3年連続で過去最高を更新しています。外国人を雇用している事業所は617カ所で、前年に比べ70カ所、12.8%増加し、製造業、宿泊業・飲食サービス業、卸売業・小売業、医療・福祉で全体の6割を占めています。
 県におきましても、経済団体や幾つかの企業と外国人労働者等に係る意見交換を行っているところであり、その中では、人手不足を補うため外国人労働者を受け入れている企業や、現在の受け入れ人数を今後ふやしていくことを考えている企業、また、近く外国人労働者を受け入れることを検討している企業もあります。
 県としましては、今回の出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律の成立を受け、外国人労働者の受け入れを考える県内企業に対し、制度や受け入れ方法について、さまざまな機会を通じて周知してまいります。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今お答えいただいて、外国人労働者の受け入れもふえているというお話でした。そういう中で、今起こっていることをぜひお伝えしたいと思っています。
 ある市の市会議員さんからの生活相談でわかったことですが、福祉法人で働いていたフィリピンから来られた方が相談に見えました。そのときに、フィリピンの送り出し機関のところで多額のお金を支払って、それで日本に来るということになったんですが、その中で、やはり当座の生活費ということで、そのお金を借り、そしてそれが給与のほうから月3万円引かれるというような状況があり、失踪をするというような状況がありました。パスポートがその働いてる事業者さんに、それは事業者さんが心配をしてのことかもしれませんが、大事なものなので預かっておく、そういうことでパスポートはその事業者さんのところに置いたままということになり、スマホなどの手続の際に必要で取り戻したいと、そういったことでの相談でした。
 また、食品加工に働く中国の方は、毎日働いて月6万円しか受け取っていない、そういうお話もあります。和歌山市内でも、アパートを寮にし、そこに7~8人の方が住まわれている、こういうことを聞いています。
 日本で働くことを希望する外国からの人たちや家族をどのように受け入れ、安心して働いて暮らせる共生社会をどうつくっていくかは、日本の国のあり方の基本と将来にかかわる大変重要な問題だと思います。ぜひとも、外国人労働者の人権と尊厳を最優先で保障する姿勢を和歌山県として率先して取り組んでいただきたいと思います。
 また、働いている環境や状況など、労働基準監督署並びにそういった国とも力を合わせて、ぜひ取り組みをよろしくお願いしたいと思います。これは要望でございます。
 次に、4番目、豪雨・台風被害対策についてお尋ねをいたします。
 台風7号は7月4日に日本海中部で温帯低気圧となり、この低気圧から伸びる梅雨前線に南側から暖かく湿った気流が流れ込み、梅雨前線の活動が活発となり、西日本では大雨となりました。和歌山県北部では、7月5日夕刻から降り始めた雨が翌6日朝にかけて降水量300ミリを超える大雨となり、土砂災害、浸水被害が発生しました。大規模太陽光発電所が計画されている千手川、高川流域でも多くの斜面崩壊、土砂の流出が発生しました。
 資料1をお配りしていますので見ていただきたいと思いますが、千手川上流では、斜面崩壊、土砂流出も発生しています。この地図の上のほうの黄色の部分です。細長く千手川に流れ込んでいるところがあります。それまでの千手川の各箇所で、黄色で土砂流出が起こっていることを示しています。これは大変暑い夏の日でしたが、この台風の後、ずっと調査をさせていただいた調査報告のこれは一部でございます。土砂流出によって、このコンクリート橋が押し流され、流木が積み重なり、道が塞がれてしまいました。
 このような状況で、お尋ねをいたします。一般的に、山崩れの原因としてどのようなことが考えられるでしょうか。また、山崩れを予防するためには、どのようなことが重要と思われますか。農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 一般的に、山崩れにつきましては、雨量や地形、地質、森林の状況など、さまざまな因子が重なり合って発生するものと考えられます。
 また、山崩れを予防するには、間伐等の森林整備により健全な樹木を育成するとともに、林内に太陽光を取り入れ、下層植生の繁殖を促すことにより、災害に強い森林に育てていくことが重要となります。
 さらに、必要に応じて災害を予防する治山施設を設置することが有効であると考えます。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 災害に強い森林を育てていく、そのようにおっしゃっていただいたので、ぜひとも今後、森林の整備、また自然を守る、災害を予防する、そんな点で頑張っていただきたいなと思うんです。
 今回示した中で私は気になっているのは、例えばなんですが、千手川のような下流域が古い古期扇状地ということで書かれています。こういった扇状地を形成していく地形になっているというようなことは、和歌山県のさまざまな川でもたくさんあるかなと思いますので、そんな点で示していただいて、土砂、砂防指定区域になっているところもありますので、ごらんいただきたいなと思っています。
 この千手川上流部の土砂流出は、災害マップには指定されていないところです。先ほどの一番上のほうの細長く土砂がずっと流出しているところ、ここは砂防指定区域にはなっていないところです。災害マップは、家屋や公共施設等に土砂災害、土石流災害、洪水及び地すべりなど、被害のおそれがある区域が指定されているものです。災害が発生する可能性があるところ全てが指定されるわけではないことに注意する必要があると考えています。下流域への影響を心配しています。災害に強い森林に育てていくということが重要と答えていただきました。ぜひ、具体的な施策をしっかりと進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、台風21号による停電時の対応についてお尋ねをいたします。
 一昨年、熊本地震などの大規模災害が相次ぐ中、災害時の部隊指揮や消防、自衛隊などとの調整役として、警察庁は全国の警察本部に指揮支援班の設置を決めたと聞いています。初動の救助活動をスムーズに行うのが狙いということです。
 そこで、今回の21号台風による長時間にわたる停電被害がありました。町なかでは、信号が消えていたところが何カ所もありました。また、一部地域では街灯も消え、地区全体が暗闇の中に置かれた状態でした。
 そこで、県民の安全を守るためどのように対応されたか、警察本部長にお尋ねをいたします。
○議長(藤山将材君) 警察本部長檜垣重臣君。
  〔檜垣重臣君、登壇〕
○警察本部長(檜垣重臣君) 災害発生時における住民の安全・安心を確保する上で、まずは被害情報の迅速、的確な収集と把握は不可欠であり、警察では、警察官の現場派遣や警察ヘリ等による活動を通じ、被害状況について情報収集を行うこととしております。
 このほか、事前に選定した地域住民の方から優先的に情報提供していただく制度や、一般社団法人日本アマチュア無線連盟和歌山県支部との協力関係を築くほか、自治体等との連絡用として通信機器の整備を行うなど、広く被害情報を収集できるように努めているところであります。
 また、長期停電地域に対しては、交番・駐在所勤務員や各警察署のパトカー等による警戒活動を強化して、住民の不安の解消に努めております。
 先般の台風21号、24号の被災時には、被害状況の把握に努めるとともに、信号機が滅灯した交差点での警察官による交通整理や可搬式の発動発電機による信号機への電力供給、警察本部の自動車警ら隊や航空隊を長期停電した被災地域に派遣し、パトロールを強化したところであり、今後も災害等に際して県民に寄り添った活動に努めてまいる所存であります。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ぜひパトロールを強化していただきたい。というのは、やはりこのときには人的な体制も非常に重要な状況になってくると思います。街路灯も消えてしまって本当にもう真っ暗な状態で、治安の問題やいろんな不安が起こってくると思います。そんな点で、ぜひよろしくお願いしたいなと思います。
 そして、自動復旧型信号機というのが全国的に今設置をされていっても、なかなか、やはり費用がかかるので進みにくいという点などもお聞きしています。県民の安全や不安の解消ということも含めて、ぜひそういった信号機を拡充していただきたいなあということと、停電時の駐在所の対策もあわせてお願いしたいと思います。
 警察の所管ではないと思うんですけども、避難路に設置されている誘導灯のような街路灯も、停電時には消えないような街路灯など、ぜひそういったことも考えていただきたいなということを要望いたしまして、5番目に行かせていただきます。
 医療提供体制と地域医療構想についてお尋ねをいたします。
 県の資料の地域医療構想において定めた2025年の必要病床数と2017年7月1日現在の病床数の資料によると、高度急性期病床が和歌山圏域は673床オーバー、那賀、橋本、御坊、田辺、新宮の圏域では軒並み不足しています。不足数を合計すると243床マイナス状態ということです。那賀医療圏や新宮医療圏においても、現在、高度急性期病床が1床もなく、和歌山市から遠い新宮地域で高度急性期の医療を必要とする患者が発生した際に適切な入院医療を受けることができるのか、不安に感じるところです。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねいたします。高度急性期の病床はどのようになっていますか。また、今後どのように進めていかれるのか、お聞きをいたします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 和歌山県地域医療構想では、2025年における高度急性期機能病床の必要病床数は885床と定めています。
 この機能の病床は、重症疾患患者に対して緊急的かつ高度な医療を提供するため、医療従事者を初めとした医療資源を集中させる必要があります。このため、圏域ごとの必要病床数につきましては、各圏域の医療需要にとらわれることなく全県的に考える必要があり、医療提供体制を考慮し、和歌山医療圏及び田辺医療圏に一定の集約化を図っています。
 現状におきまして高度急性期機能病床が全くない圏域は、那賀、有田、新宮の3医療圏となっています。このうち那賀医療圏及び新宮医療圏においては、高度急性期機能を地域で担っていきたいとの意向があり、必要があると認められるため、公的病院を対象とした補助制度を設け、急性期機能病床からの転換を促進しています。
 なお、有田医療圏において必要とされる高度急性期機能病床につきましては、和歌山医療圏においてその機能を担うこととなっております。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 地域医療構想で急性期の病床転換という話なんかもあるんですが、まず、やはりこの高度急性期の病床を確保して、県民にやっぱり安心・安全の医療提供体制をやっていくということにぜひ力を注いでいただきたいなというふうに思います。
 また、有田は、そういった県としても和歌山医療圏とあわせて考えていくということですが、本当に有田地域も大きな面積を有する地域でありますし、やはり人口をふやしていくというようなことも含めて、医療や教育というのはまちづくりの基本になっていくものだと思うので、本当にそれでいいのかというようなことは疑問に思います。そういった点でも、ぜひ検討もしていただきたいなというふうに思います。
 そういったことを踏まえて、次に、地域医療構想における知事の権限行使についてお尋ねをしておきたいと思います。
 地域医療構想では、都道府県知事に、稼働していない病床の廃止について、医療機関に対して命令や要請を行うなどの権限が付与されています。地域医療構想調整会議で議論が進まなければ、知事がその権限を行使し、病床が削減されることにならないのか、不安を感じています。
 知事は、先日の知事選挙で、医療の充実、健康の維持、安全な社会を実現して命を守りますと県民に約束されました。そのようなことから、知事の権限行使についてどのようにお考えなのか、聞いておきたいと思います。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 医療法におきましては、地域医療構想を進めていくに当たって、知事の権限が規定されております。その内容は、稼働していない病床の削減、急性期機能病床などの地域で既に過剰な病床機能への転換の中止及び回復期病床などの地域で不足している病床機能への転換に限定されておりまして、県医療審議会の意見を聞いた上で、公的医療機関に対しては命令、指示を、また公的以外の医療機関に対しては要請、勧告をすることができるというふうになっているものでございます。
 なお、これらの知事の命令等に従わない医療機関に対しては、医療機関名の公表や地域医療支援病院の承認取り消し、管理者の変更命令などの措置を講ずることができるものとされております。
 こうした権限はあるものの、そもそも地域医療構想は、各医療機関が圏域におけるみずからの役割や機能について客観的に認識した上で、相互に自主的な協議を進め、圏域の医療需要に応じた病床機能転換を図っていくというのが基本でございます。このため、県が各医療圏において全ての病院と地域医師会などの関係者で構成される地域医療構想調整会議を設置し、医療機関相互の自主的な協議をこれまでも積み重ねてきたところであります。
 県としては、地域医療構想調整会議において、個別の医療機関への意向調査やヒアリングによって得られた各医療機関の目指す方向性を共有し、お互いの医療機能について議論を深めるなど、引き続き、丁寧な合意形成を図りながら地域医療構想を進めていく所存であります。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 要望をさせていただきたいんですけど、各医療圏で地域の実情などしっかり話し合いが行われるように、知事を先頭に努力をされていると思います。地域医療構想では、病床から在宅医療への移行について盛り込まれており、医療の必要度が低い人の7割が将来在宅へ移っていくものとされています。
 しかし、京都府が病院に行った調査では、「在宅での対応が不可能」との回答が7割を超えたそうです。推計には、貧困で病院にかかれない方が入っていません。本来は病院にかかりたくてもかかれない方などもおられるため、そのような実態を踏まえた上で今後の地域医療構想を進めていただくよう、ぜひ要望をしたいと思います。よろしくお願いします。
 次、市町村国保料の引き下げについてお尋ねをします。
 さらなる国保料の引き下げについて、公費負担を求めることについてお尋ねしたいと思います。
 全日本民主医療機関連合会では、2005年から「経済的事由による手遅れ死亡事例調査」を行っています。50件を超える死亡事例が集まり、記者会見で発表をされています。昨年は63人に上る深刻な事態です。和歌山県の団体からも報告をされていました。
 その中で、女性の方ですが、離婚後、養育費がないまま児童扶養手当やひとり親家庭等、医療費助成制度に頼って生活していましたが、子供が18歳になり、収入が減った上に医療費の負担がふえ、糖尿病治療を中断し、少しでも収入のよい夜間の仕事を選び、食品会社のパートの仕事をしていました。収入は約13万円、支出は、家賃2万円、駐車場代6000円、光熱費1万円台、そのほか受診料や薬代、携帯利用料、生命保険料、車のローン、滞納金など支払うとほとんど手元に残りません。そのうち目が見えにくくなり、体重も20キロ減り、職場の知人に勧められ、やっと受診。その結果、膵臓がんも見つかりました。これまで生活保護を利用しようとしましたが、申請に至らなかったり却下されています。
 日本共産党の市議団が行った市政アンケートでは、「暮らしやすいまちづくりを進めるため、今、和歌山市に力を入れてほしいことは何ですか」、その設問に対して、1位は税、保険料の軽減、2位は高齢者福祉、介護施策の充実、3位は保健医療サービスの充実です。
 県も、国保の保険料は高過ぎる、制度の構造的問題だと認識をされています。全国知事会は、2014年に国保料・税を協会けんぽの保険料並みに引き下げるために、1兆円の公費負担増を政府に要望しています。全国で均等割、平等割として徴収されている保険料・税額はおよそ1兆円です。公費を1兆円投入すれば、均等割、平等割をなくすことができ、多くの自治体では協会けんぽ並みの保険料にすることができます。
 県民みんなが楽しく暮らすために、保険料の負担軽減を考えていただきたいと思います。そして、さらに公費をふやすように強く国へ働きかけてほしいと思いますが、知事のお考えをお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 平成30年度の被保険者1人当たりの県平均保険料は年8万9244円で、平成29年度の9万1586円と比較して2342円減少しております。おおむね被保険者の負担は軽減されているわけでございます。これは、本年度から施行された国民健康保険改革に伴う約1700億円の公費拡充の効果だと考えております。
 しかしながら、今般の改革では、健康保険などの被用者保険と比べて、被保険者の年齢構成が高く医療費水準が高い、所得水準が低く保険料負担が重いといった国民健康保険が抱えている構造的な課題は依然として解消されておりません。
 昨年の12月議会でもお答えいたしましたが、今後も医療費の増加が見込まれる中で、ナショナルミニマムとして国民皆保険の根幹をなす国民健康保険制度を持続可能なものにしていくということは、国の責任であると認識しております。したがって、我々もそれに対しては一種の理解も示していかないといけないということだと思います。
 このため、県では、全国知事会を通じ、これまでも繰り返し国庫負担金の増額など、さらなる財政支援の拡充を国に要望してきたところでございますけれども、今後も被保険者の負担軽減がより一層図られるように、国の財政も大変でございましょうけれども、他の都道府県とも連携しながら要望していきたいと思っております。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 国保料の引き下げは、社会の公平、公正を確保する上でも緊急の課題だと思います。国保料をけんぽ並みに下げる上で不可欠なのは、均等割など国保にしかない仕組みを廃止することです。均等割は、世帯人数がふえるごとに負担がふえるため、子供の多い世帯などを直撃し、子育て支援に逆行するものになっています。ぜひ一層国へ働きかけていただき、安心してやはり県民が暮らせるように、ぜひよろしくお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(藤山将材君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。

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