平成30年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(尾﨑太郎議員の質疑及び一般質問)


平成30年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(尾﨑太郎議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 13番尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕(拍手)
○尾﨑太郎君 議長の許可を得ましたので、一般質問をいたします。
 本年は、2回、海外へ視察に行く機会に恵まれました。フランスとインドネシアであります。時間軸は逆となりますが、インドネシアについて、まずは質問してまいりたいと思います。
 本年3月に議長として出席いたしましたサイクリングフェスタで、和歌山へいらっしゃっていたインドネシアの方々との知遇を得ました。和歌山にはなじみがあるとは言いがたいインドネシアから、はるばるサイクリングをしに来ていただいたのかと感慨深いものがありました。聞けば、当時の髙瀨企画部長は深くインドネシアの方々と交流され、信頼を得ているとのこと。私も、興味ある国であったので、一度、機会があればぜひ訪問してみたいと部長に伝えていたのですが、本年10月3日からのインドネシアへの出張に同行させてもらえることになりました。
 大東亜戦争は、侵略戦争であったのか否か。安倍総理が戦後70年の節目に談話を発表しましたが、これは基本的には村山談話を継承するとしたのですから、私は全く気に入りません。結局、日本は悪いことをしたということになってしまっています。私の尊敬する渡部昇一先生は安倍談話を評価されていたので、あのような表現が精いっぱいであったのかもしれませんが、それならいっそ談話など出さないでくれたらよかったのにと思ったものです。
 さきの大戦で、我が国はたくさんの過ちを犯しました。それは事実です。戦史を読んでいて、何でこんなことをしてしまったんだろうと慨嘆することしきりであります。しかし、当時の日本人は何てすごいんだと感心することもまたしきりであります。
 「空の神兵」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。彼らこそは開戦劈頭、当時、蘭領東インドと呼ばれた現在のインドネシアのスマトラ島にあるパレンバンに舞い降りた落下傘部隊の精鋭たちです。
 先帝陛下は、さきの大戦の原因を次のように分析されておられます。「この原因を尋ねれば、遠く第一次世界大戦後の平和条約の内容に伏在している。日本の主張した人種平等案は列国の容認するところとならず、黄白の差別は依然残存し加州移民拒否のごときは日本国民を憤慨させるに十分なものである」、「実に石油の輸入禁止は日本を窮地に追い込んだものである。かくなった以上は、万一の僥倖に期しても、戦ったほうがよいという考えが決定的になったのは自然の勢いと言わねばならぬ」。
 産業の血液ともいうべき石油の90%以上を輸入に頼っていた我が国にとって、石油の禁輸は死を意味するものでありました。いわゆるABCD包囲網を突破し、乾坤一てきの勝負を挑むためには、何としても蘭印の油田地帯を手中におさめる必要がありました。しかも、破壊する余裕を与えず、速やかに石油基地を確保しなければなりません。かくして、久米精一大佐率いる陸軍第一挺進団によるパレンバン空挺作戦が発動されたのであります。
 この戦いは、結果としてインドネシア独立の萌芽となりました。マレー、インドネシアには、12世紀から伝わるジョヨボヨの予言と呼ばれる伝説があります。「我が王国はどこからかあらわれる白い人に乗っ取られるであろう。彼らは魔法のつえを持ち、離れた距離から人を殺すことができる。白い人の支配は長く続くが、やがて北方の白い衣をつけた黄色い人が白い人を追い出し、トウモロコシの寿命の間、この地を支配した後に、正義の神の支配する祝福される治世が来る」。ノストラダムスの大予言も真っ青ですが、破竹の勢いで進撃を続ける日本軍を、350年にわたりオランダの圧政にあえいでいた人々は好意的に迎えてくれました。
 この作戦に小隊長として出陣した奥本實中尉がいます。何と作戦の翌年、天皇陛下に拝謁を賜るという栄に浴しています。この方には「パレンバン落下傘部隊戦記」なる手記がありますが、これを読めば、いかに当時の我が軍将兵がすごい存在であったかがわかります。
 奥本中尉らは、降下予定地の草原から離れた密林に降下しました。武器を格納した箱が見つからないため、奥本中尉ら5名は拳銃と手りゅう弾だけで遭遇戦を展開。その後、敵増援部隊も退けますが、奥本中尉は足を撃たれ、2名が戦死するも、150名もの敵兵を倒しています。戦闘の詳細は手記に譲りますが、想像を絶する戦いぶりは、まさに鬼神もかくやであります。
 激戦のうちに石油タンクのうち2基は破壊されましたが、ほぼ無傷で石油基地を制圧することに成功しています。350年にも及ぶオランダの植民地支配を日本軍はたった9日間で終わらせました。神のごとく君臨した白人も、決して自分たち有色人種がかなわない存在ではないことを日本軍は示した。このことの世界史的意味は、とてつもなく大きいものであります。
 20世紀最大の歴史家と言われる「歴史の研究」で有名なイギリスのアーノルド・トインビーは、「第二次大戦において、日本人は日本のためというよりも、むしろ戦争によって利益を得た国々のために偉大なる歴史を残したと言わねばならない。その国々とは、日本の掲げた短命な理想であった大東亜共栄圏に含まれていた国々である。日本人が歴史上に残した業績の意義は、西洋人以外の人類の面前において、アジアとアフリカを支配してきた西洋人が、過去200年の間に考えられていたような不敗の半神でないことを明らかに示した点にある」と述べています。
 多くの悲劇を生んださきの大戦。決して繰り返してはならない戦争。それでもなお、あの戦争には偉大なる歴史と呼べる側面が確かにあったのです。
 敗戦までの3年半、日本はインドネシアに軍政をしきました。あたかもそれが過酷なものであったかのような言説も散見されますが、実態はどうであったのでしょう。
 ASEANセンター編「アジアに生きる大東亜戦争」は、日本の敗戦後の1958年発行のインドネシアの中学生の教科書を紹介しています。「第1に、オランダ語と英語が禁止されたので、インドネシア語が成長し、使用が広まった。日本軍政の3年半に培われたインドネシア語は驚異的な発展を遂げた。第2に、日本は青年たちに軍事教練を教え込み、勇敢に戦うことや耐え忍ぶことを訓練した。第3に、職場からオランダ人が全ていなくなり、日本はインドネシア人に高い地位を与えて、我々に高い能力や大きい責任を要求する重要な仕事を任せた。第4に、日本は特にプートラ(民族結集の意)や奉公会を通じて、ジャワに本部を置き、国土の隅々にまで支部の広がった統合的組織を運営することを我々に教えた。我々が独立を宣言した後に、オランダの攻撃から独立を守らなくてはならなくなって、急に我々自身で国内を組織する必要に迫られたときなど、以上の4点は特にはかり知れないほどの価値ある経験だった」。
 日本の敗戦の2日後、大統領となるスカルノの私邸においてインドネシアの独立が宣言されました。何とその日付には皇紀が使われています。「17/8/05」、すなわち皇紀2605年8月17日。
 その後、舞い戻ってきたかつての宗主国、イギリス、オランダと、インドネシアは独立戦争を戦います。日本にインスパイアされたインドネシアの人々に、もはや英、蘭は歯が立ちませんでした。また、この独立戦争に、日本の将兵2000名が帰国を拒み、みずから信じる大義に殉じるべく残留し、身を投じましたが、かなりの方が戦死され、ジャカルタ郊外のカリバタ国立英雄墓地に葬られている方々もいます。
 今回の視察で大変お世話になりましたパナソニック・ゴーベル社の常務取締役で尼日友好協会事務局長であるヘル氏の御尊父も、残留日本兵のお一人であったそうであります。
 さて、初めて見るジャカルタは、想像以上の大都会でありました。シンガポールやマレーシアのクアラルンプールの繁栄ぶりは時折目にしておりましたが、正直に言ってジャカルタがこれほどの活気あふれるまちであるとは思ってもみませんでした。
 早速、インドネシアの民族衣装であるバティックを買いにデパートに出かけました。色も鮮やかなバティックを選びながら、先進国と変わらない消費を楽しむインドネシアの人々の活力に驚かされました。
 ただ一つ閉口したことは、余りにも急激に発展を遂げたせいか、インフラの整備が追いつかず、道路の渋滞のひどさは、やはり渋滞で有名なマニラをも上回るものでありました。しかし、道路にあふれる車は日本車ばかり。聞けば、インドネシアの日本車の比率は日本よりも高いとのことであり、少しうれしくなってきます。
 今やインドネシアは、人口約2億6200万人、GDP約1兆200億ドルという大国であります。総人口の約88.6%、約2億1000万人という世界最大のムスリム国家でありながら、イスラム教は国教ではなく、イスラム、カトリック、プロテスタント、ヒンドゥー、仏教、儒教から、自身の信仰に従い、それぞれの神に祈ることとし、多様性の中の統一を標榜するインドネシア、女性の社会進出が目立つインドネシアには、改正出入国管理法が成立しましたが、近い将来、今以上に異なった文化圏の人々と暮らすようになるであろう我が国には、大いに参考となる点が多いと思います。
 ただし、女性の社会進出はともかく、多文化との共生は相当な痛みを伴うことは、ヨーロッパを見れば一目瞭然であります。多様性の中の統一は、まさに至難のわざでありましょう。
 ちなみに、私自身は、この入管法の改正には賛成しかねます。ようやく賃金の上昇が始まろうとしているときに、これに水を差すことになりかねませんし、この法律は、主要項目を法律成立後に省令等で定めるとしており、事実上の移民の解禁にもつながりかねない国家の根幹にかかわる法律を、立法府が役所に丸投げしているかのように見えるからであります。
 さて、今回の視察では、インドネシア工業省においては、昨年の10月の共同声明を踏まえた今後のインドネシア企業と本県企業との経済交流について協議しました。その際、同行していた本県の企業からプラスチック再生事業の提案があり、インドネシア側から提携先を探したいとの回答がありました。
 観光省においては、本県とインドネシアの観光資源についてお互いに意見交換を行い、本県と観光省との間でも共同声明締結に向けて努力することで合意しました。
 外務省では、本県主催の記念プロモーション行事に協力を要請するとともに、世界農業遺産登録のノウハウをインドネシア側に伝授する用意がある旨を伝えました。
 また、10月6日には、本県主催の国交樹立60周年記念プロモーション行事が、イオンモールガーデンシティにおいて開催されました。本県のプロモーションも行われましたが、予想に反してと言えば担当課に怒られるかもしれませんが、大盛況であり、驚きました。本県を訪問したことがある有名女優やタレントが参加してくれ、本県の魅力を熱く語ってくれましたが、皆さんこぞって、和歌山で食べたイチゴの味を大絶賛してくれました。当日はマスコミも多数取材に来てくれており、宣伝効果も非常に高かったように思います。
 さらに、パナソニック・ゴーベル社の工場見学では、いわゆる日本型経営を確立した松下幸之助の教えを実践した運営が図られており、昭和へタイムスリップしたような気がしましたが、古きよき日本がインドネシアに松下イズムとして息づいていることに、和歌山県人として少しだけ誇らしい気持ちになりました。
 尼日友好協会事務局長で常務取締役であるヘル氏には、ジャカルタ市内を一望できるタワーマンションの御自宅に御招待いただき、ヘル氏の御友人とともに夕食をごちそうになりました。その際、御友人からは、「インドネシアの仏教徒は、比率は少ないが、かなりの人数がいる。しかも、所得水準は非常に高い。和歌山は高野山もあり、仏教の聖地とも言える。インバウンドは、ここに働きかけてみてはどうか」という示唆に富んだお話をいただきました。ヘル氏からは、「インドネシアでは、人と人とのつき合いが何よりも大事だ。単に正規のルートだから、それだけで物事を進めようとしてもうまくはいかない。髙瀨が来たから私は協力するが、ほかの人間なら会わない」とインドネシア社会の特質について御教授いただきました。
 今回の視察を通じ、インドネシアの市場としての魅力、可能性について私も認識を新たにしましたが、いち早く共同声明を締結し、かの国との交流を推進してきた知事の炯眼に敬意を表し、質問いたします。
 第1点、知事は、インドネシアをどのような国であると認識しておられるか。特に人脈の大切さについて、どのように考えられるか。今後の戦略についてはどうか。
 第2点、今回のインドネシア訪問をどのように総括しているのか。また、多くのマスコミに取り上げられたプロモーションについては、どのような評価をしているか。企画部長にお尋ねします。
 第3点、インドネシア観光省とのMOU締結の進捗状況はどうなっているのか。商工観光労働部長にお尋ねします。
 第4点、本県産果実の輸出はかなり困難であることは理解しているが、現状はどうなっているのか。一方で、イベントのサンプルとしてであっても、インドネシアの人々に本県産の果物を食べていただくことは、大いに本県へのインバウンドにつながると考える。ぜひ検討してみてはどうか。農林水産部長にお尋ねいたします。
○副議長(岸本 健君) ただいまの尾﨑太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) インドネシアは、若年層が多い2億6000万人を超える世界第4位の人口、豊富な天然資源、政府主導のインフラ投資などを原動力とした力強い成長を見せており、今後とも高い経済成長を期待できる国だと思います。
 こうした情勢を踏まえ、私も平成28年の4月に、ジャカルタにおいてトッププロモーションを実施し、インドネシア商業省と経済交流促進の共同声明を発表したところであります。
 これは、二階俊博日本・インドネシア友好議員連盟会長が、その前年に、たくさんのビジネスマンをお連れになって、それから地方公共団体も何県かお連れになって訪問されたわけですが、そのときに、先ほどお話がちょっと出た髙瀨前企画部長をつけて、それでいろいろ工作をしてもらいまして、そこからどんどんと発展をして、和歌山県とインドネシアとの関係が開けているというようなことでございます。
 また、本県と津波対策分野で交流のあるアチェ州の津波博物館と稲むらの火の館、それから本県に多くの優秀な留学生を送り込んでいただいているジャカルタのビヌス大学と和歌山外国語専門学校との協力のてこ入れなどもやらしていただきました。
 さらに、平成29年10月にはインドネシア工業省と本県が共同声明を発表いたしまして、これをもとに両者間における経済ミッション団の派遣・受け入れ、ビジネスセミナーを開催するなど、インドネシアと和歌山県の経済交流が一段と高まったということでございます。実際に、和歌山企業がインドネシアとの関係を強化できた例も、少しずつではございますが、見られるようになってきております。
 こうしたインドネシアとの友好な協力関係をより確かなものとし、一層の成果につなげていくためには、人と人との信頼関係が重要な要素であると認識しておりまして、そのようにいろいろ配慮しながら人材の活用をしてるんですが、一般に、インドネシアだけに限らず、全ての国とも同じようなことが言えるかなあということで、それぞれの役割だけじゃなくて国別の担当者制度というのを設けておりまして、地道に継続的なフォローアップを実施さしているところでございます。
 今後とも、インドネシア商業省、工業省との共同声明、これまでに築いてきた人的ネットワークなどを基礎といたしまして、経済交流や観光客誘致などの分野での互恵的、実質的な交流に取り組んでいきたいと思っております。
○副議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 今回のインドネシア訪問に関する総括についてでございますが、本年は、議員御質問にございましたように、日本インドネシア国交樹立60周年の節目の年を迎えまして、和歌山県としてジャカルタにおいて記念プロモーションを実施しました。現地のイオンモールを会場とし、本県に多くの優秀な留学生を送り込んでいただいているビヌス大学や本県の友好団体である尼日友好協会の協力を得まして、プロモーション行事を開催し、20社以上の現地メディアに取り上げていただきました。
 こうしたプロモーション行事を通して、現地における和歌山県の知名度向上に大きく貢献し、今後のさまざまな取り組みにも役立つものと考えております。
 また、本県と良好な関係にあるインドネシアの関係省庁やビヌス大学などの関係機関を訪問し、今後の協力について協議できたことは非常に有意義であったと考えております。
○副議長(岸本 健君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 本年10月のインドネシアプロモーションの際にインドネシア観光省を訪問し、インドネシアと和歌山県の観光交流促進を目的とした相互協力について意見交換を行い、前向きな意向をいただいたことから、11月のインドネシア観光省幹部の来日に合わせ、観光地開発促進担当の幹部と改めて面談し、意見交換を行いました。
 県からはインドネシアから和歌山へのインバウンド誘客への取り組みに対する協力を依頼したところ、インドネシア側から、現在整備を計画しているインドネシア国内の10の観光地開発促進エリアへの投資について協力依頼があったところです。
 つきましては、引き続き、双方が協力できる具体的な内容について調整を行ってまいります。
○副議長(岸本 健君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) インドネシアへの果実類の輸出につきましては、植物検疫の面では、ほとんどの品目で検疫証明書を添付すれば輸出可能となっていますが、それ以外に、インドネシア国内の規則でさまざまな条件がございます。
 具体的には、インドネシア政府による安全性確保措置の認定、もしくは事前に登録された日本国内の検査機関での残留農薬検査の証明書の添付に加え、農場の登録情報の提出またはGAP認証の証明などが必要となります。
 さらに、青果物の輸出は17品目に限定され、品目によっては数量割り当てがあるなど、農林水産物・食品の輸出のハードルは非常に高い状況にあります。現在、本県果実は、輸出ができないという状況にございます。
 議員御提案のように、インドネシアの方々に魅力ある県産果実を食べていただくことは、本県へのインバウンドにつながる有効な手段であることから、インドネシアでの条件緩和に向けて、我が国政府はもちろんのこと、共同声明の趣旨を踏まえ関係部局と連携し、インドネシア政府へも働きかけてまいりたいと考えています。
○副議長(岸本 健君) 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 イオンで行われました和歌山県のプロモーションでは、ちょっと心配してたんですけど、すごくたくさんの人に来ていただいて、いい意味でびっくりしたんですけど、本当に改めて和歌山県の果物ってすごい競争力があるんだなと思ったんです。あれだけのたくさんの人が来ていただく中で、いろんなプロモーションのビデオも上映してもらいましたけど、もしあの場で、ちょっと和歌山のめちゃめちゃおいしい果物を1切れ2切れ食べてもらったら、「わあ、こんなん食べれるんやったら和歌山へ行こうかな」と思ってもらえたと思うんです。
 輸出が厳しいことは理解しておりますけれども、せっかく共同声明というのを出してるんですから、これに基づいて、粘り強く一度交渉していただいて、何とかインドネシアの方々にインドネシアの中で和歌山の果物をちょっと食べていただけるように頑張っていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 私は、安倍内閣の最大の失敗は消費税を上げたことにあり、最大の功績は消費税率を凍結したことにあると考えています。ですから、来年の10月には消費税を引き上げるとの発表には非常に落胆をいたしました。
 我が国のGDPのおよそ60%は個人消費であり、景気の動向はまさに消費の回復にかかっていると言えましょう。したがって、景気の回復を優先させるならば、消費にかかる税金を減税するというならばともかく、増税するということは全く理解に苦しみます。増税により消費が抑制されるのは火を見るより明らかというより、本来増税とは抑制のためにこそ行うものでありましょう。
 1800兆を超える個人金融資産を持つ大国である我が国は、無理やり円安にして他国の需要を取り込み成長せずとも、内需を喚起し、世界中のよいものを買い、感謝されつつ成長する道があるように思います。
 日本には再建すべき財政問題など現在のところ存在しないことは、過去にも論じましたので繰り返しませんが、「モノ」はあふれたとはいえ、やりたい「コト」はまだまだ見出していけるのではないでしょうか。「必要だから買う」から、特に必要はないけれど、おもしろそうだから買う、かわいいから買う、楽しいからやる、仕事に必要はないけれど、あれがやりたい、あそこへ行ってみたい。遊び心こそがキーワード。消費のあり方が変われば、日本経済にはまだまだ伸び代はあるのです。
 日本人は、アリとキリギリスの話が大好きで、アリたらんと頑張ってきましたが、消費してくれるキリギリスがいなければ、アリの提供する生産物やサービスは過剰となり、経済は停滞します。日本人は今こそキリギリスから人生の楽しみ方を習うべきです。消費の楽しさを味わうときに来ているのです。
 そもそも、人間存在は複雑で不合理なもの。清く正しく美しくだけでは、文学も芸術も生まれない気がします。猛毒であるヒ素もごく少量は人体に必要なように、ある種の退廃も社会に不可欠なものでありましょう。
 飲酒も喫煙も夜遊びも、成熟した大人の楽しみとしてあっていい。その中にカジノゲーミングがあってもよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 私が必ず見る映画に007シリーズがあります。中でも一番の傑作だと思うのは、ダニエル・クレイグの「カジノ・ロワイヤル」です。タキシードを着てポーカーをするダニエル・クレイグ、ジェームズ・ボンドの格好いいこと。私が着ればホテルのボーイと間違われることは必定ですが、一度ヨーロッパのカジノを見てみたいと思っておりました。
 幸い本年の4月16日より、フランスのバリエールグループの施設を視察する機会に恵まれました。北フランスのドーヴィル市にあるホテルバリエール・ル・ノルマンディーは、建設後100年以上経過した大変重厚感のある、いかにもヨーロッパらしいホテルでありました。カジノは別棟に設置されており、ホテルとは地下の通路でつながっています。視察当日には併設されていた会議場で教育関係者のセミナーが開催されており、盛況でありました。
 同地区には、ほかにホテルバリエール・ル・ロイヤル、ホテルバリエール・ロテル・デュ・ゴルフがあり、いずれも部屋数は300室程度であり、まちの景観との親和を図った設計で、スパ、ヨガスタジオ、託児所、劇場などが併設され、周辺施設とともに、まち全体で家族が楽しめる場となっています。最近は特にスパが注目されており、美容だけではなく健康増進のため、1週間程度のプログラムが人気だそうであります。
 カジノはもちろん大きな収入源ですが、あまたあるアトラクションのうちの一つというような位置づけで、いわゆるばくち場とはほど遠いイメージでありました。
 現在、フランスでは、カジノの入場にはIDチェックが義務づけられておりますが、法改正前は、入場料に15ユーロを徴収し、IDチェックは行われておりませんでした。法改正の前後で特に入場者数に目立った変化はなかったそうであります。
 ドーヴィル市のフィリップ・オージェ市長は、ダンディーという言葉がぴったりなおしゃれな方で、依存症についての我々の問いに、「ドーヴィルでギャンブル依存症が問題となったことはない。そのため、市は特に対策といったものを立ててはいない。顧客情報を国が管理し、それに基づき国が入場制限をする制度はある」と答えてくれました。また、「市民はドーヴィルのカジノ文化に誇りを持っており、カジノ側との関係は非常に良好だ」とのコメントがありました。
 確かにヨーロッパには、カジノ文化と呼べるものがある気がいたします。イギリスのギャンブルも有名です。何でもかけの対象にしているようで、ウィリアム王子のお子様の名前までかけの対象となっていました。もちろん合法ですが、日本の宝くじのような感覚なのでしょうか。ダービーは我が国でも余りにも有名ですが、ディック・フランシスのミステリーを読んで、行ってみたいと思った人は少なくないでしょう。
 対照的に、韓国人が唯一入場できるカジノがある韓国のカンウォンランドは、周辺に一文なしになったホームレスがあふれ、質屋が乱立していると言われ、事実そのとおりなのでしょうが、カジノ、統合型リゾートも適切な運営ができなければ地域社会を破壊しかねない例として、やはり目を背けてはいけないでしょう。
 私も、経済的に許すならばドーヴィルへは家族を連れていきたいですが、カンウォンへはもちろん行きたいとは思いません。我々は、ドーヴィル、カンウォン、双方から多くを学ばなければなりません。
 カジノを含むIRの設置運営には、それなりのノウハウと哲学を持つ事業者の選定が非常に重要となります。
 知事は、今回の選挙戦でもIRの誘致を掲げられました。知事のもとで策定された本県長期総合計画に明記されているのですから当然ですが、いよいよ知事のこの任期中に結果が出ます。和歌山を人生を楽しむ舞台にしたい。外国人も日本人も男性も女性も大人も子供も、それぞれに楽しめる舞台、和歌山の自然、歴史、食材、文化とコラボしたIR、それも大きな舞台の一つでありましょう。
 そこで、知事にお尋ねします。
 知事のイメージする統合型リゾート・IRとはどのようなものなのか。また、本県にふさわしい事業者を選定するために、どのような選考を考えているのか。
○副議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県は、マリンスポーツや海洋レジャーが満喫できるほか、高野山や熊野古道、温泉、美しい海岸線といった魅力ある観光資源が豊富にあるため、リゾート型のIRを目指すのがよいと思っております。また、候補地でありますマリーナシティは、まさにそういう意味で海洋レジャーのもう既に中心地でございますので、相乗効果も大きくなるんじゃないかなというふうに思っております。
 また、関西国際空港が近いという地の利を生かして、大規模な国際会議等が開催可能な世界と競合できるスケールとクオリティーを実現するIRを目指したいというふうに思います。
 和歌山IRが実現すれば、新たな観光のゲートウエーとして、ここをハブに、和歌山県内はもちろん、関西一円の観光地に多くのお客様が周遊し、結果として経済が潤い、県民の皆様の幸せに大きく寄与すると考えております。
 次に、議員御質問の事業者選定のスキームでございますけれども、IR整備法では、県が作成する実施方針において民間事業者の募集及び選定に関する事項を定めよということになっておりまして、民間事業者の選定に当たっては和歌山市との協議が求められるというところでございます。
 しかしながら、実施方針を策定するもととなる国の基本方針がまだ示されていないもんですから、県としては今後その内容を確認した上で、事業者選定プロセスを示すことになります。その際には当然、公平性、客観性、透明性が求められると思っております。
 その上で、どのような選考を行うかについては、現時点ではもちろん未定でありますけれども、県としては、和歌山県IR基本構想──これは改訂版ですが──に記載している内容に即し、投資規模や事業実現性はもとより、地域経済への貢献度や県内の観光資源の活用策、あるいは本県独自の依存症・破産リスク対策であるIRカードの運用方法等の観点より、本県の発展に最も寄与する事業計画を提出した事業者を選考するという仕組みにするつもりでございます。
○副議長(岸本 健君) 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 県もいろいろ御努力いただいているようですけれども、なかなかこのIRの法律というのは複雑でして、県民が、どのようにして事業者を選定していくのか、また事業主体は誰なのかという基本的なところも、まだまだ理解が進んでいないように思います。
 私も、県民と接する中で「和歌山県がやるんでしょ」と言われることもあるんです。民設民営なんで和歌山県が関与するということは間違いなんですけども、それに基づく誤解で、和歌山県がやるんですかとか、あるいは、手を挙げてる県が和歌山、大阪、北海道とかそういう報道がありますから、つい自治体主体でまだまだカジノが、IRが進んでいくんじゃないかと思っている人もいるんですね。その辺のところをもう少しきちんと県民にお伝えをしていく必要もあるのではないかと思います。
 また、2段階の選考で、まず和歌山県が事業者を選考して、その選考者とともに計画をつくって国に審査を仰ぐということになっておりますけれども、どの事業者を選ぶんかということも国の選定をかち取る上で非常に重要なポイントだと思うんです。この辺のところ、しっかりと選考の方法も考えていただいて、国との、他の県との競争に勝ち抜けるよう頑張っていただきたいと思っております。
 それでは、最後の質問に移ります。
 本県のキャラクターには、今、きいちゃんとわかぱんがいます。昔はワックンというのもいました。最近はとんと見かけませんけれども、きいちゃんはちょっと太りぎみなので、ぱっと見はシロクマと見えなくもないですけれども、もちろん紀州犬であります。国体のときには、大活躍してくれました。その後もいろんなイベントに大忙し。和歌山県民はもとより他県の方にもファンがいる、愛されるキャラクター・きいちゃんには、本県は随分お世話になっています。
 そんなきいちゃんの仲間たちが絶滅の危機という報道が最近ありました。
 小学生のころ、空手を習いに拳武館宇治田道場に通いましたが、道場の裏手のおりに何匹かの紀州犬がいました。紀州犬は中型犬だそうですが、父から「この犬は自分の何倍もの大きい相手にも果敢に向かっていく。熊を相手にしてもひるまない」と教えられました。精悍な顔つき、しなやかで強い筋肉、あふれる闘志、揺るぎない忠誠心。紀州犬は、男の中の男ならぬ、犬の中の犬であります。まさに、小さなまち道場でありながら、当時、「和歌山に拳武館あり」と全国にその名をとどろかされた道場を守るにふさわしい犬でありました。
 いつの間にか道場の紀州犬もいなくなり、御近所で飼われていた紀州犬も見かけなくなってから久しくなりました。日本犬保存会によりますと、1年間に発行する血統書の数は、1992年には約3600頭余りであったが、去年は約370頭にとどまったとのことであります。
 中型犬を飼いにくい住宅事情と飼い主の高齢化が主な原因であるそうですが、なるほど、そういえば最近は猫を飼う人の数が犬を飼う人の数を上回ったようです。平成も終わらんとしていますが、質実剛健、剛毅朴訥はもはや時代おくれなのか。明治どころか昭和も遠くになりにけり。日本人が好ましく思う気風の変化も飼い犬、特に紀州犬のような犬の減少の底流にはあるのでありましょう。
 しかしながら、県民の中からも何とかしようという声が上がってきています。一般社団法人天然記念物紀州犬保存会が結成され、精力的に活動してくれています。まずは紀州犬を知ってもらう機会をつくろうと、2頭の紀州犬を和歌山公園動物園に寄贈。来園者からは好評を得ているとのことであります。獣医師で会長の林剛司さんは、「頭数の減少に危機感を持っている。紀州犬の歴史や愛らしさを知り、末永く守っていきたい。関心のある人には飼育することも考えてほしい」と話しています。
 ともあれ、きいちゃんに友達がいなくなってしまうのは何とも寂しいではありませんか。お世話になっているきいちゃんのためにも、ここはひとつ県としても一肌脱いでいただきたいと思います。
 そこで、質問いたします。県は紀州犬の減少をどのように捉えているのか。また、これに歯どめをかけるために、どのような対策を講じているのか。教育長にお尋ねいたします。
○副議長(岸本 健君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県PRキャラクター・きいちゃんは、紀州犬をモチーフにしたマスコットで、県民に広く親しまれております。
 紀州犬は、昭和9年に国の天然記念物に指定されている学術的に貴重な犬種でありますが、近年、飼育頭数が減少してございます。
 紀州犬を初め、天然記念物に指定されている日本犬は7犬種あり、公益社団法人日本犬保存会等の血統書発行によって保存されているのが現状であります。
 県教育委員会では、これまで日本犬保存会が主催する展覧会に対し、後援や広報活動を支援してまいりました。ことし8月には、天然記念物紀州犬保存会が一般社団法人として活動を再開されたことから、今後、両団体と連携いたしまして、保存のための方策について検討してまいりたいと考えてございます。
○副議長(岸本 健君) 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 私も尾﨑太郎と、ちょっと名前が犬っぽいですから、どちらかというと猫より犬派なんですけど、議長もさしていただいて、きいちゃんとよく会う機会もあったんで、お仲間が減って寂しい思いをしてるのかなあと思っております。ぜひ、知事にもその認識をお持ちいただいて、紀州犬の数、まあ人口の数が減るんも困りますけど、和歌山県の誇るべき天然記念物である紀州犬も一定程度の数は確保できるように御努力をいただきたい、そのようにお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(岸本 健君) 以上で、尾﨑太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時43分散会

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