平成30年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(中 拓哉議員の質疑及び一般質問)


平成30年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(中 拓哉議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 24番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 おはようございます。
 ちょっと声をやられてまして、お聞き苦しいかと思いますけど、張り切ってやりますんでよろしくお願いします。
 一般質問、質疑、討論を含め、32回目の登壇となります。「なかなか頑張る中拓哉」、県民から託された議員としての役割、本会議で質問権、行使いたしますので、適切な御答弁、よろしくお願いします。
 やっぱり質問するとなると、原稿を書き出したらとまらんで徹夜してしまうんですけども、疲れがたまるんでしょうか。反省もしながらしっかり頑張りたいと思います。
 まずは、仁坂知事の4期目の御当選、おめでとうございます。17日間にも及ぶ選挙戦、お疲れさまでした。県下くまなく遊説する中で、さまざまな課題もお気づきのことと思います。あなたの公約に賛同して熱心に応援された支持者を含め、県民から託された知事としてのお務めを果たしていくことに期待いたします。
 私ども公明党もいち早く御推薦を決め、党員への徹底を図り、激励の集会も開催し、あなたの当選に少なからず貢献できたのではと総括しております。
 私も、推薦のおはがきを書き友人、知人に依頼しましたし、和歌山市内の懇意にしている企業の朝礼などの幕間の演説に同行するなど、応援いたしました。中でも、最終日11月24日土曜日の午後、バイクで市内を票固めに奔走しているさなか、高松の忠霊塔の交差点で遊説中の仁坂候補と出くわし、思わず信号を見送って握手に駆け寄りました。私の激励に対して、知事からもマイクを通して感謝の言葉もございました。
 坂井弘一、西博義代議士通して7回の総選挙、自分の市会議員、県会議員として5回の選挙、さらに参議院選、応援する首長選、また県下の公明党の議員の選挙、数多くの選挙に取り組んでまいりました。
 選挙事務所のスタッフとして働く上でつらいこともありましたが、一方、運動員としてぽつんと1人支持拡大に選挙区内を駆け回るさなか、現場で出くわす我が陣営の選挙カーから流れてくる声に、大いに励まされた思い出があります。
 あたかも第二次世界大戦のヨーロッパ戦線において、ドイツ軍に占領された戦地に分け入り、任務を遂行するサンダース軍曹が、絶体絶命のピンチの中で援軍として駆けつけてくれたアメリカ軍のタンク・戦車と出会ったときのような喜びと安心を感じるものです。「コンバット!」、御存じでしょうか。ちょうど本当に寂しい中でこの遊説の車に出会うと奮い立つ、そういう思いでございます。
 マイクから流れる仁坂知事の声に、「ようし、もう一丁頑張るぞ」と夜まで走り回ったものです。24万6303票の支持した方々はもちろんのこと、棄権した方、さらには対立候補に投票した方も含めて、県民の幸せのための県政であってほしいものでございます。
 さて、選挙戦最終日の未明に、2025年万博が大阪での開催と決まりました。愛知万博以来20年ぶり、大阪での開催は55年ぶりとのこと。世耕経済産業大臣のジャンプ姿とともに第1報が入り、報道も万博一色となりました。二階自民党幹事長が超党派大阪万博誘致推進本部長を務め、公明党の関西の国会議員らも一丸となって取り組んだ運動のたまものだと思います。
 福沢諭吉らが文久遣欧使節団として参加した1862年(文久元年)のロンドン博覧会にその起源を持ち、「exposition」を「博覧会」と訳したのも福沢諭吉とのことです。
 EXPO''70は、私、中学生でしたので、中学校の遠足で行ったり家族でも行ったことは、写真があるので何とか覚えていますが、余り鮮明なものではありません。月の石や太陽の塔、堺屋太一のプロデュースといった話題は、後に繰り返される報道での知識です。
 東京五輪の記念硬貨──1000円とか100円ですね──あるいはつくば国際科学技術博覧会、沖縄国際海洋博覧会のときの記念硬貨は持っているんですけども、どういうわけか大阪万博の硬貨は持っておりません、見当たりません。ほかにEXPO''70のペナントとかバナナの皮をむいた形の帽子を逆さにしてかぶっているような、そういう記憶はございます。
 大阪の片田舎の竹林がニュータウンとして栄え、高度成長の象徴として大阪万博が語り継がれることも意味があるでしょうし、「いのち輝く未来社会のデザイン」とのテーマで大阪湾の人工島・夢洲で開催されることも、和歌山にとって大きなチャンスかとも思います。
 2020の東京五輪のオリンピック・パラリンピックに加え、2025の大阪万博といった国家的プロジェクトが決まりました。大阪市長が提案する新たな会場交通を含む各種インフラの整備はもちろんのこと、例えばマリーナから、和歌山港から船で行くというようなこともあるんかわかりません。そういった海上交通が生まれるかもわかりませんけども、そういったインフラ整備はもちろんのこと、Kii peninsulaの人気とともに、本県のインバウンドも期待されるかと思います。
 本県浮揚につながる施策があれば、知事、お示し願います。よろしくお願いします。
○議長(藤山将材君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 東京オリンピック・パラリンピック、大阪万博は、日本全体にプラスの効果を及ぼし、それは和歌山県にも及ぶと考えております。特に万国博につきましては、日本の中でも大阪に近い関西への波及効果は特に大きいと考えます。したがいまして、和歌山県も一般的には物すごくたくさんのチャンスがあって、それを生かすようにいっぱい考えなきゃいけない点はあると考えておりますが、本日は特に2点申し上げたいと思います。
 まず第1に、開催を契機として外国人観光客の増加が期待できるために、これを絶好の機会と捉えて、和歌山県のいいところを味わってもらえるように、本県への誘客に積極的に取り組むべきだと考えております。
 そのため、これらの開催に向け、事前に国内外の旅行会社に対し、海外メディアから高い評価を得ている世界遺産「高野山・熊野古道」や自然景観、温泉、食など和歌山県の豊富な観光資源をPRし、県内宿泊を含む周遊ツアーの商品化を働きかけるとともに、大手海外メディアや有名スポーツ選手と提携した観光キャンペーンを展開してまいりたいと思っております。
 また、ゴールデンルートである東京、京都、大阪から本県への周遊の増加や、特に大阪万博に関しましては、来場された多くの方々に例えばバーチャルリアリティー等を利用して本県の魅力を伝えるなどして、積極的な誘客を図っていくとともに、外国人による県内消費の拡大に向けたキャッシュレス決済の県内導入を促進していきたいと考えております。プレミア和歌山を初め県の特産品のPRも、機会を捉えてどんどん取り組んでいく所存であります。
 加えて、東京オリンピック・パラリンピックに関しましては、関連するさまざまな大会や合宿の誘致が期待でき、既にオーストラリア陸上チームとカナダ競泳チームのキャンプが決まっておりますが、さらなる誘致を進め、地域の活性化につなげてまいりたいと思います。また、県内出身のアスリートが活躍すれば、県民に元気を与えるとともに、子供たちが夢や憧れを抱き、スポーツが盛んになるきっかけになると思います。
 県としては、オリンピック・パラリンピック出場を目指す選手をサポートし、競技力の向上を図ってまいりたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 御丁寧な答弁、ありがとうございました。
 私も期待いたしますし、またオリンピックでは、ゴールデンキッズが国体で頑張ってくれてまして、そういった方々もオリンピックに出れるような年ごろかと思いますので、期待いたしたいと思います。
 また、パビリオンがどんなことになるんかわかりませんけども、和歌山が常に夢洲の中でイメージが湧くような、そういったことを考えていただければなと、かように思います。
 続きまして、次の質問に移ります。
 地方自治体カジノ研究会、こういったものが平成15年2月発足しまして、そこから始まるカジノ・エンターテインメントの運動が本年7月20日の特定複合観光施設区域整備法(Integrated Resort実施法)として実を結びました。
 和歌山県においても、5月に策定したばかりの和歌山県IR基本構想を10月に再び改訂し、さきの知事選においても争点かなあと期待されました。報道機関の出口調査などにおいては、カジノに反対と表明する有権者の7割が仁坂知事に投票とのことですので、必ずしもカジノの是非が問われたわけでもなさそうです。
 県は、平成21年1月から2月にかけて、二十以上の1000人に郵送によるアンケート調査を行っております。調査目的は、カジノ・エンターテインメントの設置可能性を検討するため、カジノ・エンターテインメントの情報を県民に周知するとしています。老若男女を問わず家族でも楽しむことができるテーマパーク、劇場、シネマコンプレックス、ショッピングモール、スポーツ施設、国際会議場、ホテルなどにカジノを含んだ複合施設との説明もされた上での調査でした。
 6月議会で奥村議員が指摘したごとく、反対が賛成を上回っており、21年の結果とともに、現時点でのカジノ誘致の是非を問われた田嶋企画部長は、21年3月以降調査を行っていない旨答え、この5月にできた基本構想の周知に取り組む旨の答弁でございました。それを受けた奥村議員の再質問に、IR整備推進法と実施法の提案者の違いに誤解が見られたので、議事を整理していただいたところでございます。
 あの折、私も申し上げましたとおり、県民意識調査を尊重すべしとする意見には賛同いたします。私が提案する住民投票には残念ながら知事は耳をかそうとしませんでしたけども、その後、県はシンポジウムを開いたり、国ではギャンブル依存症の対策法制も整備されましたし、政令で定めるべき事項の各種基準の案もまとまり、カジノの面積が3%であるとか、ホテルの客室の広さや部屋数、マネーロンダリングへの対策もこのほど示されました。
 IR基本構想も、浮島文科副大臣のアドバイス等も参考にされ、写真も工夫され、改訂されました。これですね。(資料を示す)
 整いつつある事態を踏まえ、和歌山にとって改めてこのIRが必要だとする、IR誘致の理解を求める県民意識調査を改めてなさってはいかがでしょうか。仁坂知事、お答えください。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) IR整備法では、県と民間事業者が共同で区域整備計画を作成する段階において、立地市町村に協議するとともに、公聴会の開催やパブリックコメントの実施など、住民の意見を反映する措置を講ずるよう義務づけられています。
 さらに、区域整備計画を作成し、国土交通大臣に区域認定の申請を行うに当たっては、立地市町村の同意を得た後、県民の代表である県議会の議決を得ることになっております。
 これらの手続を通じて、立地市町村や住民も含めた地域における合意形成が十分図られるよう措置されているので、県民意識調査の実施は考えておりません。
 あえて言うと、今回の知事選挙の争点が、対立候補によればでございますが、カジノだそうでございまして、「反対の人は自分に入れろ」、「カジノの仁坂県政をとめよ」ということでございましたんで、とまりませんでしたから、そういう漠とした、嫌いとか好きとか賛成、反対という意見はもういいんじゃないかというふうに思うわけであります。
 ただ、心配な人がたくさんいるということは、まだまだそうだと思いますので、よくわかっておりますから、IRに関する正確な情報を提供する。そのために、まあ1回やったらいいというわけでもありませんので、5月には和歌山県IR基本構想を策定し、その後、投資意向調査の内容を受けて改訂を行い、IRが地域にもたらす経済波及効果とか雇用効果とかのメリット、また一方で、私も心配しているギャンブル依存症などデメリットにどう対処するかということについてわかりやすく示し、かつ、何度もシンポジウム、セミナーをやってるところでございます。
 このようなセミナーあるいはシンポジウムの開催や説明会の実施、広報番組の活用等さまざまな機会を捉えて、IRに関する正確な情報の提供に努めてきたところでありまして、今後とも丁寧な説明を継続して行ってまいりたいと思っております。
 特に県議会におかれましては、好きか嫌いか、賛成か反対かということだけではなくて、イエスならどうなり、ノーならどうなるか、トータルに議論していただける場だと思っておりますので、県民はもちろんでございますが、特に県議会の皆様方からの御意見もいただきながら取り組んでまいる所存でございます。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ですからここで議論するんですけども、それでシンポジウム開いたりこんなんつくってもらったり、いろいろ説明はしてくれてます。
 また、知事がおっしゃったように、この選挙でも対立候補の方はこれ一本で県民に訴えましたから、その点では、ある面通ったんだと思いますし、さっきも申し上げましたように、カジノ、IRがもう一つ、ばくちという形で見れば反対の方が7割あるんですけども、仁坂さんに投票したと、こんな分析でございます。
 それで私は、前の世論調査というか県民意識調査が有効だったもんですから、有効というかかなり丁寧だったもんですから、こういう改訂版もつくったんですから、今おっしゃるように正確な情報を示した上で聞いてみたら、巷間、まちへ行けば、「万博も大阪で決まったし、もう大阪IR決まりやな」と、「そしたら、もう3カ所やったら和歌山はなかろうかい」と、こういう意見も一方であるわけですね。「いやいや、そんなことないらしいですよ」と、「何も関西で二つはあかんことないらしいですよ」というふうなことも、私らもそれなりに説明しますけども、そういった話の中により正確に分け入って、入っていって、ほんで県民一人一人に尋ねたらな、こんなん思うたんで、ここの意見も聞くと言うんですから、私の意見も参考にしてもらえたらなあと思います。
 それで、次にこの10月にいただいた改訂版は、ずっと後のスケジュールなんか見ましても丁寧になってるんですけど、5月策定のくだりは省いてまして、もういきなりこの改訂版というようなことになるんですけど、6月に指摘した幾つかの点は改善されまして、わかりやすくなったように思います。
 しかし、見ててちょっと疑問に思いましたが、一番最後のページのところに、「IRによる課題と対策(地域の合意形成に向けた取組)」に、どういう経緯か知りませんけど、同僚議員が1人だけ掲載されております。
 IRの本県誘致に、あるいはマリーナシティへの誘致には、賛成、反対、中立など、ここにいらっしゃる40名のさまざまな議員がいる中で、なぜお1人の議員だけがこの立派な改訂版に掲載されているのでしょうか。企画部長、お答えください。
○議長(藤山将材君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 和歌山県IR基本構想改訂版に1人の議員のみが掲載されているのはなぜかという趣旨の御質問ですが、尾﨑議員によるIR勉強会は、県議会議員として唯一マスコミを入れたオープンな場で県民約400名を集めて開催されたものでございまして、その模様はテレビで全国放送され、和歌山IRの認知度が高まり、IRに関する県民理解も深まったものと認識しております。
 和歌山県IR基本構想改訂版への掲載は、IR誘致に向けた地域の合意形成のために、県や経済界のほか、県議会議員も取り組まれていること、すなわち多方面でIRに関する正しい情報の提供や誘致機運の醸成が図られていることを説明するためのものでございます。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 田嶋部長の今の答弁では、一生懸命取り組んでるから載せたんやと言うんですけども、そんなことでいいんでしょうかね。ほかにも取り組んでらっしゃる議員さんはいっぱいいらっしゃいますし、また、県議会のいろんな意見があるというんであれば、反対の意見もありますし、まだよう決めやんよ、いろんなこと勉強してるよ、そういう過程もあるわけですから、少なくとも県のお金を使ったパンフレットに──私は尾﨑さんは仲よしやし尊敬もしてますし頑張ってるなということで、いっこも尾﨑太郎さんにけったくそ悪いわけじゃありませんよ。
 しかし、一部の議員さんがこうやって県のパンフレットに載ることについての是非を問うてるんですから、やっぱり一日も早く改訂されて、もっと中立なといいましょうか、議会の一部を取り上げるようなことのないようなパンフレットにすべきが、恐らく本来じゃないでしょうか。
 ほかのパンフレットで見たことありませんよ。ほかのいろんな事業をやってても、県会議員がこぞって推薦してても、その一部の議員さんだけがこうやって取り上げられるというようなことは見たことありませんので、そこは一遍再考なさったらいかがでしょうか。 再考なさるべしと思いますけど、いかがでしょうか。
○議長(藤山将材君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) ただいま御答弁いたしましたように、今回取り上げさせていただいたのは、多方面でIR誘致に取り組んでいるということを説明するためでございますので、今後また同じような取り組みがなされた場合は、それはそれぞれにまた対応してまいりたいと、そのように考えております。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 いや、それでいろんな集会を皆載せれたらいいですよ。そうはいかんじゃないですか。いろんな議員さんがこれからする中でですよ。だから、もうこんなところは議員さんは避けたほうがいいんじゃないかなと思ったんで、まあ平行線ですから以上にします。
 それでは、次の問題に行きます。
 関西国際空港建設の埋立用地の土砂搬出の跡地を利用するコスモパーク加太、その活用に頭を悩まし続ける日々でございますが、県消防学校が移転、開校し、消防分団員の私としてもポンプ操法大会などの利用や、あるいはメガソーラー発電やら、あるいは高砂建材工業の進出など、一部明るい兆しもうかがえます。
 とは申せ、250ヘクタールの巨大な用地、この企業用地のセールスポイントは一体どういったものだったんでしょうか、改めてお尋ねします。
○議長(藤山将材君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) コスモパーク加太のセールスポイントにつきましては、まず一つ目として、高台にあり、かつ地盤が強固であることから、津波や地震といった自然災害に強い敷地であること、二つ目としては、20ヘクタール以上の用地が確保できることから大規模な工場の進出も可能である、こういったことであります。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 今のお話では、津波や地震といったことには強いということはありましたけども、私がいただいているこのパンフレットには、確かに「海抜100メートルの高台に位置し」とは書いてますけども、「自然災害に強い用地です」と、こういうことでございました。
 それで、ここについて自然災害に強いということが書いてあるもんですからお聞きするんですけど、関西国際空港が開港して、コスモパーク加太では当時、通年でスキーのできる室内スポーツ施設の進出も発表され、期待が膨らんだのもつかの間、ぬか喜びに終わりました。
 その後、平成16年3月、大手食品メーカーのカゴメと県・市で進出協定が結ばれ、ハイテクのトマト菜園・加太菜園が操業し、当初の計画は縮小されたものの、130人の雇用とともに、各種納税もしてくださって県に貢献してくれてるところでございます。
 にもかかわらず、今回、加太の菜園が撤退してしまうのはどういうことでしょうか。
○議長(藤山将材君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 加太菜園からは、8月23日の台風20号、続く9月4日の台風21号により、ガラス温室全体及び生産設備に甚大な被害を受けたことから、再開には多額の再投資と相当数の時間を要し、その回収を見込むことが困難であるため、撤退することに至ったと聞いております。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 本当に残念です。あの台風で雑賀崎の金属団地なんかも大変やられましたし、いろんなことがあったんですけども、少なくとも加太のパンフレットには「災害に強い」ということを書いておりましたんで、風が強うてあかんということは、やっぱり先に言うてあげなあかんの違いますか。一般消費者にこんなパンフレットつくって品物売ってたら、パンフレットにうそがありきと消費生活センターから御指摘をいただくような、そういう話やと思いますんで、お聞きしました。
 それで私、現場見に行こう思うて行かしてもうたんですけど、もう入り口からゲートが閉まってまして、詳しい様子は見れませんでした。
 さっきのロケット射場に新しいPFIでいっぱい用意するとか、あるいは今回の台風でもいろんな制度を用意するとかして、何とか再建してもらおうと思って用意してるわけですから、加太の菜園さんもやめることなく再建できたらいいのになあと思いながら、この質問をしてしまうわけです。
 一方で、もう撤退決めましたけども、何人か雇用されてましたし、いろんな面で、またあそこ空き地になってしまいますし、この加太菜園の撤退による本県への影響はどういったものがございますでしょうか、お答えください。
○議長(藤山将材君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 加太菜園は、創業以来、雇用の確保等地域振興に寄与されてきたところであり、撤退により雇用等が失われることになりますので、今回、台風被害からやむなく解散の決定に至ったことは大変残念であります。
 従業員に関しましては、加太菜園では来年3月まで雇用を継続するとともに、再就職については、産業雇用安定センターとの連携、取引先企業へのあっせんなどに取り組まれていると聞いており、県としましては、再就職が円滑に進むよう、適宜支援してまいりたいと考えております。
 また、今後の同社撤退後の土地に関しましては、当地を含めてコスモパーク加太全体で引き続き企業誘致に取り組み、雇用の創出等、地域振興を図ってまいる所存です。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ぜひよろしくお願いします。
 それでは、次の問題に移ります。
 次に、おせっかい公務員の拡充について提案いたします。
 平成21年2月議会の一般質問で、自殺予防、相談業務の拡充について、誰ひとり見捨てない相談員の設置を求めて、同じく21年6月、29年12月と自殺対策を中心に相談員の充実やSNSを活用した相談業務の新設もここで迫ってまいりました。
 自殺の原因としてはさまざまでふくそうしていますから、エキスパートの専門家を置いた、そういった対応でよしとはまいりません。また、精神を患っている人が、その治療に服する薬のことでまた悩んで、多量の服薬で命の危機に及ぶケースもございます。
 昨年の2月議会で、「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部の設置に関して質問いたしました。当時、幸前部長からは、施策の実施に向け、市町村に働きかけ、地域共生社会の実現に取り組むといった答弁をいただきました。
 そこで、まずは生活困窮をもとに考えてみたいと思います。
 滋賀県野洲市に、生水裕美さんという市民相談課課長がいらっしゃいます。彼女は、合併前の野洲町の消費生活相談員に採用されたことから公務員生活が始まり、その業務の中で、消費生活相談におさまらない各種の問題と取り組むことで、とことんかかわるスタイルを身につけ、国の生活困窮者自立支援法の立法にも結びつけた方なのであります。
 税金の徴収に携わる公務員は、滞納者に督促して納めてもらうことが仕事です。しかし、滞納者には払えないから滞納するという理由があります。そこで彼女は、なぜ払えないのだろうか、そこに思いをいたすわけです。払えなくなった生活に目を向けて、その原因の問題を解決しようと一緒に取り組むんです。
 そのためには、家計簿をつけるように勧めて、その生活の癖を見きわめ、改善に導きます。家計簿からその背景を探り、医療、介護、福祉などの今の現存するサービスに結びつける「おせっかい」をするんです。
 自然災害の被災者が公共のサービスを受けるのと同じように、生活困窮者も自己責任とは断じられないさまざまな要因で困っているのです。目の前の困ってる人の生活を再建することで、滞納が解消されて納税につながってまいります。
 たくさんの相談窓口を用意している役所が互いに連携して総合力を発揮できれば、生活再建の支援につながります。サーチライトで闇を照らし、困っている人を探し出していくのです。
 行政のサービスの仕組みや制度のパンフレットを配ることが仕事ではありません。そういった制度を活用してもらってこそ困り事をなくすことができますし、それが本来の公務員の仕事です。そのために雇われているのが私たちではないでしょうか。
 そのようなおせっかい公務員を拡充すべきと考えますが、福祉保健部長、見解をお述べ願います。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 議員御提案の生活面のさまざまな困り事を抱えている人に積極的に寄り添って生活再建を支援するおせっかい公務員の取り組みが国に評価され、平成27年度に制度化されたのが、生活困窮者の社会参加や自立を支援する相談員を配置する生活困窮者自立相談支援事業でございます。
 県におきましては、この国の事業を活用し、生活困窮者の抱える生活、就労、居住、医療、介護など多岐にわたるさまざまな相談に対応するため、平成27年度に那賀振興局を除く6振興局及び串本支所に7人の自立支援相談員を配置し、必要に応じて相談者を訪問するなど、課題解決に向けた支援を行っているところです。
 なお、市におきましても、各福祉事務所に計19人の自立支援相談員が配置されております。
 県の支援状況でございますが、平成29年度には、278人から延べ1468件の相談が寄せられ、そのうち課題解決まで継続した支援が必要と判断した42人の相談者に対しては、個々の課題に応じた支援プランを作成し、多重債務の整理やひきこもりの方に対する関係機関への同行、さらにはハローワークの求職活動への同行など、関係機関と情報交換しながら、課題解決に至るまで相談者に寄り添ったきめ細やかな支援を行っております。
 今後も、生活困窮者の方に対する支援の充実を図るため、年金や貸し付け、子育て支援、介護保険、障害福祉など各種制度の周知や、家族のそれぞれが抱えている事例などの解決に向けた手法の検討を行う相談員研修の内容を充実し、個々の自立支援相談員の資質向上に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 現在、そういうことで動いてるんですけど、それでも今おっしゃったように278人が御相談に見えて、いっぱいあって42人の方が解決したということは、ほかの方は解決せんまま終わってるかな、あるいは相談してきただけでよかったんかもわかりませんけども、少なくとも途中でやめてしまって終わってるんじゃないかと推測します。
 ここで生水さんのことで御紹介したのは、そうじゃなしに、とことん最後までつき合って──私らもそうです。相談受けたら、ここへ行ったらええん違う、あそこへ行ったらええん違う、電話番号ここやで、担当者に言うてあげらよと、こうなりますけども、行ったかどうか、あるいは片づいたかどうか、あるいはその返事の上で、次のことがあったら次へ行きませんかと、こうやってやっぱり最後まで親身になって乗っていってあげるのが本来やと思いますんで、市町村も含め一生懸命やってくれてるのかわかりませんけど、少なくともそういうお気持ちでやってもらえたら、かように思います。
 また次に、その相談員のスキルアップはもちろんでございますけども、そういった部署をつくってもらうとともに、今の自立支援だけではなしに──今、何か言いたいんでしょう。自立支援のことではちゃんとやっておると言いたいんでしょうけど、それだけではなしに、さっきも申し上げた自殺の問題であるとか、多岐、多難なことに対応できるようなことを総合的につくってもらいたいということが私の質問の趣旨でございました。答弁する機会、次ありますから、どうぞそのときに言うてください。
 次に、9月25日に、県民文化会館で読売テレビの「そこまで言って委員会」のキャスターを務める辛坊治郎の講演で、今年度のノーベル医学・生理学賞が本庶佑京都大学特別教授の免疫研究オプジーボのことだと、彼はその当時予測しておりました。予測するとともに、彼が怒ってたことなんですけども、法治国家の日本で、離婚した後、自分の子供の養育費を渡さない男の多いことに彼は怒りをぶつけていた話がとても印象に残っておりました。
 そうしたところ、先ごろ報道で、明石市が未払いの養育費を受け取れるようにするモデル事業を始めるとの記事がございました。弁護士でもある泉房穂市長が、子供の権利を守ろうとする見地から発案したとのことでした。2月議会の予算特別委員会でも取り上げた犯罪被害者支援条例の取り組みにおいても参考にした、この明石市の先進的な取り組みでございます。
 面会交流のことにも明石の市長は取り組んでおられるようでございますが、今回、この養育費の仕組みは、離婚時に調停調書か公正証書で養育費の支払いを取り交わしていることを条件に、明石市が保証会社に業務委託し、滞った額、上限5万円ですけども、その養育費を保証会社がひとり親世帯に立てかえて払い、その同額の債権を母子家庭から譲り受けて相手側から回収するといった仕組みでございます。
 ひとり親世帯が本来納めるべき保証会社への保証料5万円を明石市が払うことでこの契約が成り立って、年間60万円までの養育費を確保することができます。養育費の取り決めの有無にかかわらず、離婚した母子家庭のうち7割が父親からの養育費を受け取っていない現状の改善に、大きな一石を投じるものと考えます。
 本県も導入して、ひとり親世帯の福祉の向上につないでいただけないでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 答弁の前に、先ほどの中議員の質問に対し、誤解のないように御答弁したいんですが、先ほど、相談者が278名いまして支援プランの作成者数が42名と言いましたが、その残りの方々は、支援プランを作成して関係機関と一緒になって支援していくというところまで必要のない方々でございましたので、直ちにそういった対応をとって支援しております。
 ただ、支援プラン作成者数42名のうち、生活困窮の中で自立支援が、今現在脱している人が26名いらっしゃいます。そのほかの方々でいいますと、例えば生活保護の適用になったという方もそのほかにはいらっしゃいますので、自立達成ができたのが26名で、引き続き支援を行っているという状況でございます。
 それでは、先ほどの御質問の中の養育費立てかえ事業の創設についてのお答えでございます。
 議員御提案の明石市の養育費立替パイロット事業につきましては、明石市が民間保証会社と契約し、離婚事例全体のうち、調停調書や確定判決等による強制執行が可能な養育費の取り決めを行っている事例のみを対象とするとともに、立てかえ保証も最大12カ月分までという限定的な支援制度となっております。
 一方、本県では、調停離婚や裁判離婚等で取り決めた養育費を支払ってもらえない場合のみならず、協議離婚で養育費の取り決めをしていない場合や相手に督促しても支払ってもらえない場合等に、調停の申し立てから履行勧告の申し出、そして行政執行の申し立てに至るまで、専門的な司法手続に係る弁護士相談を随時実施し、申し立て書類の記入方法や裁判所への提出方法について具体的な提言や指導を行う等、きめ細やかな支援を行っているところです。
 なお、養育費の確保のための裁判や強制執行に係る弁護士費用、養育費が確保されるまでの当面の生活費につきましては、母子父子寡婦福祉資金で対応しているところです。
 県といたしましては、引き続き経済的支援や就業支援等、ひとり親家庭の生活の安定と自立に向けた施策の推進に取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 部長、そういうことでおっしゃるんですけども、例えば養育費の問題についてもいろいろ制度をつくってると言うんですね。来てもろたらええよと言うんですね。あるいは、母子父子寡婦福祉資金です。これは貸し付けですよ。貸し付けの資金を用意してると言うんですよ。
 そうじゃなしに、こうやって、もう既に取れる権利のお金なんですから、それを県が助けてあげたらどうですか、県がパイロットとしたら、県下の市町村も見習ってくれるんじゃないですか。
 あるいは細やかな支援を行ってると言いますけども、いろんな支援制度で、じゃ、どんだけの方が利用されてるんですか。支援制度を利用してる人の人数を教えてくださいよ。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 平成27年度から平成29年度までの直近3カ年の養育費に係る弁護士相談件数は、合計5件となっております。その内訳としましては、調停離婚の養育費の取り決めに係るものが3件、養育費を受け取る前提となる子供の認知調停の申し立てに係るものが1件、調停離婚による養育費未払いに対する強制執行の手続に係るものが1件でございます。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 でしょう。結局、未払いに係る執行に関して頑張ったのは1件じゃないですか。1件しかないじゃないですか、未払い執行についてはね。そんなもんなんですよ。
 だから、用意してても、皆さん現況届は出しに行きますよ、市役所へ。児童扶養手当がもらえるね。せやけど並んでて、もう事務的に出して、そのまま帰っていくんですよ。そうじゃないですよ、もっと相談乗れますよという仕組みをつくってあげたらどうですか。直接県の仕事じゃないと言うかもわかりませんけども、県もそういうことを含めて、市町村にやっぱり取り組んでいくことが大事じゃないかと思ってお尋ねした次第でございます。
 時間もございますので、次の問題伺います。
 次に、企画部長にお尋ねです。
 国土交通省では、移動等円滑化の促進に関する基本方針や明日の日本を支える観光ビジョンといった政策のもと、ユニバーサルデザインタクシーの普及に力を入れております。
 トヨタのジャパンタクシーや日産のNV200といった屋根の高いバンタイプの車両です。障害者の輸送対応、外国人の大きなトランク対応にすぐれているとのことで、1台につき60万円もの補助を用意している上に、関東方面では各県や政令市も60万、80万といった補助をしているとの報道でございました。
 このほど、一般社団法人和歌山県タクシー協会から公明党和歌山県本部に対し、要望をお受けしました。内容は、ライドシェアは認められないので阻止運動に支援協力をしてくれというものと、このUDタクシー導入への自治体補助を和歌山県にもお願いするというものでございました。
 ノンステップバス導入に補助しているように、市民の移動手段に欠かせないこういったUD、ユニバーサルデザインタクシーにも補助を設けてはいかがでしょうか。御答弁願います。
○議長(藤山将材君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) ユニバーサルデザインタクシーの導入についての御質問ですが、タクシー専用車両につきましては、これまでのセダン型のトヨタ・コンフォートが既に製造を終了しておりまして、現在はトヨタのジャパンタクシーのほか、日産のNV200という箱型バンタイプのみとなっております。これらの車両は、室内空間が広く、スライド式のスロープが標準装備となっており、いずれもユニバーサルデザインタクシーであると聞いております。
 国では、移動等円滑化の促進に関する基本方針におきまして、平成32年度末までに約2万8000台のユニバーサルデザインタクシーを含む福祉タクシーを導入する目標を設定しまして、目標達成のため、事業者に対し1台60万円を限度として補助を行うことで買いかえを促進しているところです。
 一方、ジャパンタクシーの購入費用は従来型より150万円程度高くなりますが、燃費性能がほぼ2倍に向上し、価格差を埋め合わせることができるとの経営判断から、県内でも既に一部の事業者が導入し、平成30年9月現在で約50台が運行しているとのことです。
 県としましては、ユニバーサルデザインタクシーの導入により高齢者や障害者等の利便性が向上すると認識しておりますが、ノンステップバスなどとは異なり、その導入に当たって採算が見込めるため、車両の更新に合わせてユニバーサルデザインタクシーの導入が図られていくと考えていることから、新たな補助制度を設けることは今考えてございません。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 田嶋さん、冷たいですね。ノンステップバスは、しかし、毎年予算組んでますけど、結局使われんまま流れてるんですよ、お金だけ積んでおいて。ノンステップバスもどんどん普及してほしいですよ。しかし、会社を待ってたら来ないじゃないですか。タクシーもほっといたら自分で買うと言うんじゃないですけど、国が2800万台用意すると言って用意してるんじゃないですか。やっぱりそこは和歌山県も一考があってよろしいんじゃないかな、かように思います。またこれはおいおい勉強していきます。
 次に、文化に関する質問です。
 海南高校3年生のときの担任で、私の恩師と仰ぐ小関洋治先生が「わかやま新報」に連載する「紀州つづら折り」のエッセーの11月10日の記事に、今福の郭家住宅の文化財指定が急がれるとありました。
 砂山に住む私も、南に向いてバイクで走るとき、この郭さんの洋館の前を通ります。空襲を免れた今福の中でもひときわ目立つ立派な洋館です。既に登録有形文化財には登録済みとのことですが、保存活用に向け、郭家住宅の会も設立され、関係者らが重要性を訴えておられるところでございます。
 明治10年の建築で、当時としては珍しい洋風ベランダを持つ日本人住宅、その裏手に建つ和風の屋敷は陸奥宗光の生家の可能性もあるとのことでございます。貴重な文化財を一刻も早く補修して後世に残すには、市や県の指定文化財に位置づけ、最終的には国の重要文化財にしていきたいといったことでございました。
 教育委員会の早急なお取り組みを求めます。教育長、何代か前の先輩の教育長からのお声でございます。お答えください。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 郭家住宅は、代々紀州藩の御殿医であった郭家の6代目百甫氏が明治10年に医院兼住宅として建設したもので、洋館を初め、診察棟、主屋など7件が平成9年に国の登録有形文化財に登録されております。
 洋館は、初期洋風建築の住宅では全国最古級で、全国的な学術団体である建築史学会からも貴重な文化財と高く評価されております。また、豊富に残る医学関係の資料は、和歌山県の近世・近代の医学史上貴重なものであり、重要な文化財と認識しております。
 このようなことから、県教育委員会では本年秋より詳細な調査を進めており、文化財としての価値づけを行っているところでございます。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。ぜひかなうようにお願い申し上げます。
 もう1点、今、和歌山市も天守閣再建60周年、頼宣公入城400年など、和歌山城の観光に力点を置き、便益施設のお天守茶屋のリニューアルやら動物園のイベントにも取り組んでおられます。
 先日、孫を連れて久しぶりに登ってみると、忍者の装束を着た若者がいました。お城に忍者とはと興味を覚え、調べてみると、寺町の曹洞宗の恵運寺に、日本三大忍術秘伝書の一つ「正忍記」を著した紀州藩の軍師・名取三十郎正澄の墓石が祭られており、イギリス人の研究家アントニー・クミンズ氏の指摘で、これがこのほど判明したとのことでございます。
 忍者は、外国人にとっても人気でございまして、観光資源にうってつけではないかと考えます。「正忍記」といったこの忍術の本の哲学的な側面も含めて、「わかやま歴史物語100」などに取り上げてみてはいかがでしょうか。商工観光労働部長、お答え願います。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 議員御指摘の「正忍記」の著者とされる名取三十郎正澄については、県観光連盟が本年8月、「The Japan Times」や「BBC Travel」に寄稿実績のあるアメリカ人ジャーナリストに対し、ゆかりのある恵運寺を案内し、和歌山の忍者文化について紹介したところでございます。
 しかしながら、「正忍記」を起源とする忍者を知っていただいたり楽しんでいただく本県の施設は乏しく、観光客を呼び込むには至っていないのが現状でございます。
 県では、神話の時代から近代に至る豊富な歴史を発掘し、地域の食や温泉と組み合わせて旅の楽しみ方を提案する「わかやま歴史物語」を展開しており、「正忍記」についてはこの中で和歌山城に関連するストーリーのこぼれ話の一つとして紹介しております。
 今後、和歌山の忍者に関する歴史について研究を深め、観光資源としての価値を高めるとともに、恵運寺を含めた寺町通り周辺とおもてなし忍者などの取り組みを行っている和歌山城を組み合わせた周遊ルートを提案するなど、和歌山市と連携して誘客に取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 こういった紀州わかやま歴史物語100、こういったところにもぜひ取り上げてもらえたらと思いますんで、よろしくお願いします。
 次に、県民から寄せられる要望からのお願いでございます。
 平成23年紀伊半島大水害の折、多田議員とともに勝浦の被災地に同僚議員の無事を確認した後、三重県を回って、土砂で塞がれたところで自動車を乗り捨てて、徒歩で真っ暗なトンネルを抜けて、流れ着いた流出物に塞がれた宮井橋を渡り、ひたすら歩く中で軽トラックに出くわし、荷台に乗せてもらって、ようやくにして日足地区にたどり着きました。家の上に家が乗ったり、電柱の先端に軽自動車が刺さっておったり、悲惨な状況でございました。
 支援者のお宅にお見舞いに伺うとともに、後片づけのお手伝いをいたしたんですけども、あのときのぬれた畳の重かった感触は今もこの体に残っております。救助に来てくださっていた自衛隊や警察官の頼もしかったことも忘れてはおりません。
 その折からのおつき合いでこのほど相談をお受けしましたのが、この日足地区や能城山本地区の浸水対策として、県が進めようとする輪中堤などのかさ上げに対する住民の不安のお声でございます。
 輪中堤の整備で補償を受ける人は不満もないようですが、輪中堤の整備によるかさ上げで浸水地域が変動することの不安を訴える住民も大勢いらっしゃいますし、今回の整備に反対していらっしゃる方もいらっしゃいます。
 こういった反対の方のお声に応えて、いま一度、県の整備計画を再考願えないもんでしょうか。県土整備部長、お答え願います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 熊野川の浸水対策に関するお尋ねをいただきました。
 熊野川流域では、たび重なる浸水被害が発生したことから、平成21年6月に、和歌山県が新宮川水系熊野川圏域河川整備計画を策定いたしました。この計画におきましては、当時における近年大規模洪水でございます平成16年8月洪水を対象といたしまして、日足、能城山本地区につきましては、輪中堤の整備を位置づけていたところでございます。
 しかしながら、平成23年の紀伊半島大水害により甚大な浸水被害が発生しましたことから、昨年、平成29年10月に三重県と共同いたしまして、新たな河川整備計画を策定いたしました。この新たな計画におきましては、輪中堤の整備に加えまして、日足、能城山本地区の下流において、和歌山県と三重県とが共同して河床の掘削等のハード対策を行うとともに、ソフト対策といたしまして、洪水予報河川に指定し、水防活動や避難行動に資する情報の提供を行うなど、さまざまな手法を用い、浸水被害の軽減に努めているところでございます。
 日足、能城山本地区の輪中堤等の盛り土施工による周辺地域への浸水被害拡大の懸念につきましては、盛り土箇所が局所的でありますことから、浸水深さの増大や浸水範囲の拡大につながるものではございません。また、水位低下を目的といたしました熊野川本川下流の田長地区におきましても河床掘削を実施することとしておりまして、当該地区の治水安全度は高くなるものと考えております。
 日足、能城山本地区の輪中堤整備につきましては、先月11月に日足地区の用地買収等の協力を得たところでございまして、引き続き速やかに工事着手するとともに、早期完成を目指し、地域の方々の御理解及び御協力を得ながら進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 部長、そうやって専門的に考えてくれるのはいいんですけど、河床掘削されたら本川の川が下がってええんですけど、伏流水で水をくみ上げてた別のところの地下水が上がってこないというような事例もあったりして心配してるようなんで、住民の方に丁寧に説明していただけたらなと思います。
 最後に、初島漁港未竣工工事の件で、監査についてお尋ねいたします。
 平成24年の2月で、西牟婁振興局地域振興部の県証紙売りさばき代金横領事件の折、監査委員から議会に対して行われる監査報告では、12月12日、監査で「支出負担行為が会計主幹に合議されていなかったので、適正に処理されたい」と注意事項まで書いておきながら、肝心の県証紙と証拠書類の突合不備などの指摘はなかったことがあったんで、疑問を持って質問しました。
 楠本代表監査は、「台風12号の被害対応に忙殺されている西牟婁振興局には出向かず、実地検査は行わず書面による監査だったので、金庫内の証紙の保管は確認してなかった」。それであれば議会の報告にも現地調査してないと書けと聞いたんですけども、「今後、それは議会の報告にはその旨書きます」、こういった答弁でした。
 改めて、今回も監査してると思いますので、初島漁港の監査、9月3日、4日に予備監査として有田振興局の建設部の監査に出向いていらっしゃいます。台風のさなかではございましたですけども、そういった監査してるじゃないですか。してるのに、どうして未竣工な工事まで代金が支払われてしまったのか。監査で発見すべきではなかったですか。いかがでしょうか。代表監査委員、お答え願います。
○議長(藤山将材君) 代表監査委員保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○代表監査委員(保田栄一君) 有田振興局建設部発注の初島漁港の防波堤に関する工事につきましては、平成29年度予備監査として、本年9月4日に有田振興局建設部で実施をいたしました。同監査では、入札、契約、施工管理、完成検査、支払い等の各段階での事務手続等が法令や規則等にのっとり適正に行われているかを、担当職員へのヒアリングや関係図書を確認する方法により実施をいたしました。
 しかしながら、同監査において提示された設計図書や書面の一部が改ざん、偽造されていた上、工事の完成を確認する検査員により作成された正式な検査調書も添付されていたため、工事が計画どおり施工されたものと判断したところでございます。
○議長(藤山将材君) 所定の時間が参りましたので、以上で中拓哉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時48分休憩
────────────────────

このページの先頭へ