平成30年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号


平成30年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(全文)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成30年12月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 平成30年12月10日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第142号から議案第181号まで、報第4号並びに諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第142号から議案第181号まで、報第4号並びに諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 中西峰雄
 2番 秋月史成
 3番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 花田健吉
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 川畑哲哉
 10番 玉木久登
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 尾﨑太郎
 14番 藤山将材
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 山本茂博
 20番 岸本 健
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 堀 龍雄
 24番 中 拓哉
 25番 森 礼子
 26番 服部 一
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 4番 欠員
 40番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      藤川 崇
 総務部長       田村一郎
 企画部長       田嶋久嗣
 環境生活部長     山田成紀
 福祉保健部長     山本等士
 商工観光労働部長   山西毅治
 農林水産部長     原 康雄
 県土整備部長     髙松 諭
 会計管理者      中西 淳
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   溝端莊悟
 警察本部長      檜垣重臣
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       田村公一
 次長         糸川 徹
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     山田修平
 議事課議事班長    岸裏真延
 議事課主任      保田良春
 議事課主査      伊賀顕正
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       田中健司
 政策調査課長     中平 博
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  午前10時0分開議
○議長(藤山将材君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第146号から議案第150号まで及び議案第153号から議案第155号までは、職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 日程第1、議案第142号から議案第181号まで、知事専決処分報告報第4号並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 11番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 皆さん、おはようございます。
 平成30年12月定例会、仁坂知事にとりまして再選後初めての定例会ということになりますが、その一般質問のトップバッターという、まだまだ議員経験の浅い私に光栄な機会を与えていただきました先輩・同僚議員の御配慮に心から感謝申し上げまして、精いっぱい務めさせていただきます。
 それでは、早速ですが、議長のお許しをいただきましたので、これからの県政に対するお考えや多岐にわたる政策について、全て知事にお聞きしたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 まずは、見事4期目の当選を果たされ、和歌山県のかじ取りを引き続き担われることになりました仁坂知事に、改めてお祝いを申し上げます。
 仁坂知事におかれましては、17日間にわたる選挙戦で県内各地をくまなく回られ、みずからの思いを大いに語るとともに、県民のさまざまな声を直接お聞きになったことと思います。
 選挙戦の中でも、また開会日の所信挨拶でも、知事は、これまでの3期12年間で県の課題や発展を阻害していた要因は随分と克服したと発言されていました。県政の課題を解決した具体的な取り組みとしては、清潔な県政実現のための公共調達制度の改革や職員倫理規則の制定、行財政の健全化に向けた改革の断行などが挙げられると思います。
 また、本県の経済的発展を阻害していた要因を克服する取り組みとしては、高速道路を初めとする交通ネットワークの改善、少子化対策や高齢者対策、さまざまな産業振興制度の創設や農林水産業の振興策、県独自の教育制度ができてきていることなどがこれに当たると思います。
 さらに、総務省統計局の一部機能移転や町なかへの4大学誘致、ITを初めさまざまな分野の企業誘致、南紀白浜空港の民営化、南紀熊野ジオパークの推進、下津港、日高港、新宮港における大型クルーズ船誘致の対象範囲を広げるための大がかりな施設整備などに取り組まれ、「県民みんなの力で県勢を発展させ、高みに駆け上がろう」と発言されていたとおり、新たな要素も加わった上昇機運を的確に捉えて、さまざまな施策を実行されてきました。さらに、本県の将来的発展を見据え、統合型リゾート施設・IRの誘致、小型ロケット射場誘致など、県民が夢と希望と期待に胸を躍らせる元気の糧を創生するための大胆で新しい取り組みに、果敢にチャレンジしていくことにも賛同をいたします。
 その知事の強い思いは、初登庁のときに出迎えた県職員を前にしてかけた言葉、「さあ、みんなで仕事だ」という言葉にあらわされていると感じました。しかし、その言葉は県職員だけにかけたものではなく、県政の両輪を担う県議会にも、そして、県民一人一人に向かって、積極的に県政に参加して盛り上げてくださいという気持ちも込められていたのではないでしょうか。
 さて、このように知事のこれまで進めてきた施策により、和歌山がもう一度力強く発展するための条件がようやく整ってきたことが実感できる状況になってきましたが、一方では、少子高齢化の進展や人口減少、県内経済の活性化や自然災害への備えなど、和歌山県が抱える解決されていない問題もまだ残っていると感じます。
 このような問題の解決に向け、知事は4期目の県政に当たって、長期総合計画をもとに、全ての知識や経験や人脈を総動員し、和歌山県が目指す将来像に向けて全力投球で取り組むと発言されていましたが、これらの政策を推し進めることで和歌山県が持っている潜在力を解き放ち、さらに元気な和歌山県をつくってもらいたいと考えます。
 そこで、知事4期目の初年度に当たる平成31年度当初予算編成に向けて、まず、新政策の基本的な考え方についてお聞かせください。
 あわせまして、財政運営についてもお聞きします。
 新たな施策を進めていく一方で、財政の健全性を損なわないような財政運営を行っていくことが重要です。
 これまでも知事は、新政策を積極的に推進しつつ、同時に県財政の健全性も確保するよう取り組んでこられたと思いますが、来年度の予算編成に向け、どのような財政運営をされようとしているのか。
 以上の2点を知事にお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) これまでの12年間で、御指摘のように、和歌山県がもう一度発展できる条件がそろってきたというふうに思います。
 長年の懸念であった高速道路や府県間道路など幹線道路の整備が進み、さまざまな産業振興策も整ってまいりました。また、子育て支援を充実させるとともに、町なかへの大学の誘致も進めたところです。
 さらに、安全・安心の取り組みにおいても、医療の崩壊や福祉の後退を避けつつ、高齢者に向けた施策も着々と進みつつあるわけでございますし、災害への備えもだんだん充実して、全国トップレベルになっとるというふうに自負できるまでになってきております。
 これからの和歌山県は、これまでのように競争条件で他地域に負ける要素が減り、頑張ればその分だけ報いられる時代になってきたのではないかというふうに思っております。
 しかしながら、現在の状況は発展の入り口に立ったにすぎないと考えておりまして、その持てる潜在力に比べれば、まだまだ満足できるところではございません。
 また、避けられない少子高齢化やたび重なる自然災害への対応など、さまざまな課題が存在しております。特に、過去からの高齢化が重くのしかかっておりまして、数少ない──相対的にでございますが──若い世代、まだ元気な高齢者も含めて、よっぽどみんなで頑張らないといけないという状況だというふうに思います。
 平成31年度新政策では、これまでの取り組みを力強く加速、深化させて、大きな波にしないといけないと思っておりまして、本県が抱えるさまざまな課題の解消に向けて取り組んでいきたいと思っております。
 まず第1に、残っておりますやりかけの課題を解決しなければいけませんので、紀伊半島一周高速道路の実現を初めとする道路などのインフラの整備を加速させ、また、河川整備、津波対策などの防災対策も加速さしていかないといけないと思います。
 第2に、和歌山県の経済発展を進め、雇用を増加し、県民の暮らしを豊かにするため、これまで以上に産業振興に力を入れ、特にその執行も含めて力を入れて、かつ、IT産業の集積など新しく芽が出てきたものについても推し進めていかないといけないというふうに思います。さらに、地域を発展させる新しい要素として、IRの誘致や小型ロケット射場の誘致を推進していきたいと思っております。
 第3に、地震・津波や風水害への対策を油断なく進め、また、医療や福祉、高齢者施策、教育などの充実に取り組んでいかないといけないと思います。地域医療構想、健康長寿、子育て対策など、充実していかなければならないものがたくさんございますし、ICT教育など新時代に対応しなければならないこともございます。
 第4に、ねんりんピック、ワールドマスターズゲームズ、国民文化祭など、県民皆で力を合わせてつくり上げていかなければならないものも多うございまして、これの準備を着々とやっていかないかんというふうに思っております。
 現在、こうした思いで新たな施策を鋭意検討中でありまして、議員の皆様の御意見も伺いつつ、来年度予算案を作成し、2月県議会に提案をしたいと思っております。
 次に、財政運営についてでございます。
 先ほど申し上げました新たな施策を着実に実施していくためには、財政の健全性を同時に確保していく必要がございます。
 このため、平成33年度までの5年間の中期行財政経営プランを昨年3月に策定いたしておりまして、財政運営に関しては、社会保障関係経費が増加する中、新たな施策の展開も図っていくため、人員体制の見直しや事業の見直しによる財源確保に全庁を挙げて取り組むとともに、自然災害等不測の事態に備えるため、プラン期間中、財政調整・県債管理基金について、あんまりため過ぎるとこれはいけませんので、必要なところには予算をきっちりつけるわけですが、一方、放漫にならないように、少なくともこの目標年度で150億円を維持するという方針を示しているところでございます。
 本県の昨今の経済情勢は緩やかに回復しつつあるということでございまして、県税収入についても法人2税を中心として堅調に推移しておるわけでございますが、絶対額からいうと小さいところからちょっと上がったぐらいでございますんで、米中貿易摩擦とか原油価格の動向など情勢を楽観できない要素もこれまたありまして、先は見通しにくいところでございます。
 そのような中での来年度の予算編成は、引き続き県税を初めとした歳入の確保等に努めるとともに、中期行財政経営プランの方針に基づきまして、国の予算編成の動向にも留意しながら、スクラップ・アンド・ビルド等の事業見直しの徹底、既存事業についてマイナス5%のシーリングの実施によりまして、新たな施策の展開と持続可能な行財政運営の両立に努めてまいる所存でございます。
○議長(藤山将材君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 知事は、選挙戦の中で大変精力的に活動をされていました。私も、選挙戦序盤の新宮市や那智勝浦町、太地町での個人演説会や街宣活動に参加をしました。特に太地町内では、沿道で待つ大勢の町民のもとに知事みずからが街宣車をおりて一生懸命に駆け寄り、一人一人と握手をされている姿には感動すら覚えました。県民の幸せのためには手を抜かない、県政に全速力で取り組むんだという姿勢をかいま見たように思います。
 県議会も、県当局と重要な両輪としての責務を果たし、ふるさと和歌山県を元気にするため頑張りますので、今後とも和歌山県のかじ取り役をしっかりとよろしくお願いいたします。
 では、ただいまの御答弁にもありました二つの施策について、もう少し詳しくお聞きしたいと思います。
 まずは、津波災害対策についてお尋ねをいたします。
 知事は、これまでも、また選挙期間中も、自然災害による犠牲者ゼロを目指すと一貫した決意を声を大にしておっしゃっています。
 地震、津波、豪雨、最近では台風による強風など、自然の猛威をとめることは不可能だとしても、とうとい人の命と大事な財産を守ることは必ずできるという信念を私も持ち続けておりますが、その達成のためには、過去の経験や他地域で発生した自然災害の状況を分析し、先進的な事例や効果に期待ができる最新のアイデアを駆使し、緻密な計画を立て、行政や地域力で対策を講じることが必要不可欠であることは言うまでもありません。ハード面とソフト面の両面で何か有効なものはないだろうか、日々勉強しているところであります。
 そうした中で、今回取り上げますのは、津波災害からの避難についてです。
 このことにつきましては、先日開催されました「世界津波の日」2018高校生サミットin和歌山、また、東京で開催されました南海トラフ地震等に対する緊急防災対策促進大会に参加しましたが、国内外が大変な危機感を持ち、早期の対策に迫られていることを痛切に感じました。
 さて、担当部局にお尋ねしますと、津波避難困難地域を判断する基準は、3連動地震及び巨大地震の津波浸水想定をもとに、避難開始の時間から1分間で30メートルの避難速度、逃げ方、距離、地形などを総合的に検証し、地区単位で決定していることや、10年間の計画で津波避難困難地域を解消していくと伺いました。
 しかしながら、東日本大震災での迫りくる津波の様子などを映像で見ておりますと、特に津波が到達するまで短時間と言われる地域では、健常者でも避難行動が決して容易ではないと思われる中、避難弱者と言われる高齢者、幼児、身体的に病気やけがや障害をお持ちの方などがその想定どおりに逃げ切れるのかと考えると、不安要素もあります。
 また、地震による建物などの倒壊が、想定された避難路の妨げとなる懸念もあります。「ほかの人たちの迷惑になるし、状況が厳しそうなので避難施設へ逃げることは無理」との声、避難弱者のみならず、家族の方からも「この人を置き去りにはできない」と避難を諦めている声は少なくありません。全ての県民に逃げる意欲を持ってもらわなければ、災害による被害者ゼロの達成が難しいと感じます。
 そこで、知事にお尋ねしますが、今現在、南海トラフ地震においては、平成27年度からの10年計画の真っただ中であり、各市町村において基準を満たすための避難対策が着々と進んでいるとは思いますが、現在の計画をもって津波対策は十分だと考えますか。
 高齢者など災害弱者を含む全ての人々が逃げ切れるために、さらに細かく対策を講じていくことが必要だと思いますが、今後の津波対策に対する知事のお考えをお聞かせください。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県では、東日本大震災の直後から、防災・減災対策の総点検を実施して、避難路の整備等を推進するとともに、避難場所の安全レベルの設定や津波予測システム、和歌山県防災ナビの構築など、全国トップレベルと言ってもいいと思いますが、そういう津波避難対策に取り組んでおります。
 本県は、南海トラフの震源域に近い、そのため津波の到達が早いため、安全な場所に避難することが困難というか、できない避難困難地域が存在しております。これを詳細に分析、抽出いたしまして、平成26年に「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」を策定して、堤防整備に460億円を投じるとか、それから内陸対策もやっていただくとか、そういうことも含めておおむね10年間でその解消を図ろうとしているわけでございます。
 現在、東海・東南海・南海3連動地震に対しては、堤防整備を進めるとともに、避難路、津波避難タワーの整備等が進められておりまして、4町22地区に避難困難地域があったんですが、既に13地区で解消が図られております。
 また、南海トラフ巨大地震に対しては、これはもっとふえてまいりまして、田辺市など12市町の津波対策検討協議会で具体的な対策の検討が進められておりまして、美浜町では命山の整備等によりまして、津波避難困難地域が既に解消されました。さらにこのような取り組みを加速させていくことが大事であると考えております。
 津波からの犠牲者ゼロを実現するためには、津波避難困難地域以外の避難対策ももちろん充実していかなければいけないと思いますし、また、外国人を含む旅行者、あるいは旅行者とは言えないまでもたまたまその町によそから来ている人、こういう人も含めて、ちゃんと避難をしていただくということを徹底していかないといけないと思います。
 特に、議員御指摘の高齢者あるいは障害者等の避難行動要支援者への避難対策については、これは大変難しい問題でございますが、一人一人に対応する個別の避難計画の策定が重要でございまして、早期策定に向けて市町村への助言を行ってまいりたいと思っております。
 今後とも、全ての人々が確実に避難できるように、国や市町村と協力し、避難路、避難場所の整備や安全性の確保をさらに進めるなど、津波対策の一層の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、避難訓練、これも大変重要な要素だと思いますので、これについても怠ることなく熱心に進めていきたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 地震と津波は、いつ発生してもおかしくない状況でありますので、市町村との連携をさらに強化していただき、10年と言わず早急に避難環境を整えて、避難困難地域を解消していただきますようお願いいたします。
 次の質問に移らしていただきます。
 串本町への小型ロケット射場誘致については、9月議会において地元選出の前芝議員が進捗状況、経済効果、積極的な誘致策について質問されています。それに対し、知事から、鹿児島県や北海道などでも民間ロケット射場を誘致する動きがあるとの報道があったように、本県への立地が実現するかは、なお予断を許さない状況である、こうした状況の中、一層強力に当県への誘致を働きかけるために、先方に資金面での支援を行うことを提案するのが効果的である、そこで、これまで企業誘致のために設けてきたわかやま版PFI制度の仕組みの一部を見直し、誘致対象企業が行う土地の造成等に係る費用の一部に充てるため、県から無利子で長期の資金を貸し付けることを考えているという趣旨の答弁がありました。
 そこで、知事にお尋ねします。
 誘致の成功に向けて、県としてさまざまな支援策を講じているとは思いますが、実際は事業者との交渉事ですので、なかなか思うように進んでいかない部分もあるのではないかと思います。PFI制度の活用も含めまして、その後の進捗状況についてお聞かせください。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 9月議会において御説明申し上げましたわかやま版PFI制度を活用した長期・無利子の資金支援について、既に先方に提案をしたところでございます。先方からは、「地元の受け入れに向けた本気度がよくわかった」といった好意的な反応がありまして、本件を前に進める上で効果的な提案ができたのではないかと考えております。
 実際、その後、先方からは、用地の取得見通しが立つことや、地元関係者が事業の受け入れに賛同してくれること等が事業化決定の前提条件であるといった一定の留保条件がついとるんですが、和歌山において事業を行う場合にはぜひ同制度を活用したいという支援申請がありました。
 その支援申請を受けて、県としても好機を逃がすことがないよう、可及的速やかに申請内容を精査し、支援の可否を判断するように指示をしたところでございます。民間事業者による日本で初めてのロケット射場の一日も早い本県への立地決定に向け、引き続き全力で取り組んでいきたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 小型ロケット射場誘致が前に向かって進んでいることがよくわかりました。
 前芝議員が9月議会において述べられたように、この誘致が実現すれば、紀南地域にとって千載一遇のチャンスであります。
 以前、「県としては事業リスクをとらない」と慎重なお話もありました。もちろんこれは重要な原則ではありますが、余りにも厳格な審査を行うことによって好機を逃すことのないよう積極的に取り組んで、ぜひ和歌山県への立地決定を早期に実現させていただきますよう、なお一層頑張ってください。
 次に、国の動きに目先を変えて質問をさせていただきます。
 日本国憲法は、昭和22年に施行以来、70年を超えるこの間、一度も改正されることはありませんでしたが、今や我が国を取り巻く国内外の情勢は制定時と比べ大きく変化していることは、国民が周知するところであります。昨今の東アジア情勢や頻発するテロなど、我が国の安全保障は一層緊迫度を増しており、国内においても各地で頻発する大規模災害等の緊急事態への対処、そのほかにも日常生活、環境問題等にさまざまな課題が生じています。
 そのため、憲法を新たな時代にふさわしいものに改めるという機運が、昨今、政治のみならず、社会における動向の中でも必然的に沸き起こっており、国民が憲法改正論議の具体的な進展を望んでいる状況を国会は真摯に捉えるべきであります。
 自由民主党は、ことし3月に自衛隊の9条明記などから成る改憲4項目をまとめ、憲法審査会での議論を目指しましたが、通常国会では政権の不祥事が相次ぎ、与野党が対立、自民党は案の説明すらできないまま閉会しました。また、今臨時国会においても、今月6日の審査会の開催自体が見送られるなど、党の改憲案の提示は来年に先送りされる情勢となっています。
 このように、憲法審査会でもいまだ活発な議論が行われていないのが現状であります。国会においては、国民の前で堂々と議論を展開することにより、我が国の将来のためにはどのような憲法がふさわしいのか、守るべきところ、改正を目指すべきところなどを国民に示した上で、国民がみずから判断する国民投票の実現を求めるところであります。
 日本国憲法が国民主権、平和主義、基本的人権の尊重の三つの原則により、日本国のあり方、日本人の生活の根幹をなすことは言うまでもありませんが、改正が実現すれば、国はもちろんのこと、地方にも大きく影響を及ぼすことから、日本各地で活発な議論が行われることも重要であると考えます。
 そこで、このような情勢でありますが、仁坂知事は憲法改正についてどのような所見をお持ちでしょうか。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 憲法は、昨年5月3日に施行70周年を迎えました。その制定経緯については、さまざまな議論はあるわけでございますが、理想主義的なところが戦後の国民の心情に広く合致し、これまで改正されることなくやってきたと考えております。また、憲法制定以降の安全保障環境や国内及び国際経済情勢が後押ししたこともございまして、理想として掲げた平和主義に徹することができたというふうに私は思っております。
 私は、理想主義者でありますけれども、それが現実の中でしか実現しないということもよく知っているつもりでございまして、平和を唱えたら、あるいは憲法に平和と書いたら平和になるという説にはくみいたしません。
 昨今、我が国の安全保障をめぐる国際環境も大きく変わり、また、衆議院及び参議院の議員定数をめぐり、一票の格差が全てに優先をするような判例が確立しつつあるところであり、そういう意味では、時代の大きな変化を踏まえ、憲法がこのままでええのかなあというようなことを考える時期に来ているのではないかというふうに思います。憲法の制定過程も少々残念でございますし、憲法の条文も一つ一つ見ると、何か変だなあと思うところも個人的にはあります。それから、先ほどのような話として、ちょっと変えなきゃいけないんじゃないかというふうに思うところもあります。
 だけど、そういうところを全てすぱっと変えてしまうと、我々の日本が調子に乗って、行き過ぎの世相が強くなってもいかんかなというような、そういう気持ちも一方では私はあります。
 しかし、憲法改正について議論することすらまかりならんというようなことはいけないんでありまして、要は今のような議論を国民みんなでよく考えて議論すればいいんじゃないかというふうに思うわけであります。憲法について、決して変えてはいけないというような話が結構ありますが、時代とともに正当な手続のもとで改正し得るものであると私は思っております。一番いけないのは、当今はやりのワンフレーズで「憲法改正反対」、すなわち「戦争反対」と言って、「はて、中身は」と聞くと「さてさて」というのは、いささかどうかというふうに思うわけであります。
 こういった状況を踏まえれば、憲法のあり方について一人一人が真剣に考えて皆で議論を重ねていくことは、とても大事であるというふうに思っております。
○議長(藤山将材君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御所見をお聞かせいただきました。
 それでは、最後の質問に移らしていただきたいと思います。
 最後は、ペルー・メキシコ県人会を訪問してであります。
 まず、活動報告をさせていただきます。
 去る10月10日から18日の日程で、下宏副知事を団長とし、藤山将材県議会議長、南北アメリカ諸国友好議員連盟会長の谷洋一議員、秋月史成議員、玉木久登議員と私、和歌山県国際交流協会と県の職員らで構成された総勢13名の訪問団で、ペルー移住110周年記念式典への出席を初め、和歌山県人会との交流、また、経由地であるメキシコにも滞在し、日墨会館で在メキシコ和歌山県人会交流会に出席するなど、和歌山県と本県出身者、子弟とのきずなをさらに深めてまいりました。
 一行は、10日に県庁を出発し、関西空港、成田空港を経由し、約15時間をかけてメキシコシティー空港に到着、在メキシコ和歌山県人会の皆さんに大変な歓迎を受けました。
 翌日は、世界遺産に登録されたティオティワカン遺跡とその敷地内にあるシティオ博物館において、展示物などについての詳しい説明を受けました。そして、メキシコ国立自治大学では、学校関係者らと意見交換を行いました。その後、日墨会館にて盛大に催された歓迎交流会に参加しました。和歌山県出身者及びその子弟、清水駐メキシコ日本国領事、中村日墨協会副会長ら約60名が集まられた中、アドルフォ・キムラ会長の歓迎挨拶や来賓祝辞などがあり、下副知事より県出身の80歳以上の長寿者及び功労者に表彰状や記念品を贈呈し、激励を行いました。
 翌12日は、再び日墨会館を訪れ、メキシコ各地において亡くなられた日系の開拓先没者に対し敬意と哀悼の意を表するため、献花と平和の鐘を鳴らしました。そして、日本人メキシコ移住あかね記念館と財団法人中央学園を訪問した後、メキシコを後にしました。
 約6時間を要してペルーのリマ空港に到着、早速ペルー県人会主催意見交換会に出席し、ネッダ会長を初めペルー県人会の皆さん、式典に出席するためにやってこられたメキシコ県人会キムラ会長夫妻並びにブラジル県人会谷口会長夫妻を初め、ブラジル県人会の皆さんらと親交を深めました。
 私は、それぞれの県人会の方々とも以前のブラジルやアルゼンチン訪問の際に面識がありましたので、当時の話にも花が咲き、有意義な時間となりました。
 その後、ペルー日系人協会、ペルー日本人移住史料館を訪問しました。中でも、以前に日系人協会や和歌山県人会の会長を務められた斎藤カルロスさんは、ペルー国立銀行総裁などの要職を歴任し、日系人の名誉を高めた長年の功績に対し日本政府から叙勲を受けるなど、社会的地位の高い方でありましたが、私の地元新宮市三輪崎にもゆかりがあるということで、特に親近感を抱いていただき、親切にいろいろなお話をしてくださいました。
 そして、今回の訪問団のメーン行事であります和歌山県人ペルー移住110周年を記念した式典並びに祝賀会に出席、リマ市周辺を中心にペルー全土から集まった和歌山県出身者及びその子弟ら約110名から歓迎を受けました。
 式典中、下副知事、藤山議長から、本県からのペルー移民に尽力した初代移住者22名を顕彰するとともに、本県出身者への激励を行いました。式典には、土屋在ペルー日本国特命全権大使を初め多くの団体関係者が出席していたことは、ペルー和歌山県人会の長年にわたる活動が現地で広く認知されているあかしであり、同じ和歌山県人として深い感動を覚えた式典でありました。
 翌日、一行はリマ空港からクスコ空港へと移動し、ネッダ会長夫妻の案内でペルー日系人協会クスコ支部を訪問、スエナガクスコ支部会長や併設された日本語学校に通う現地の生徒らと交流をいたしました。
 翌日、マチュピチュ村の発展に尽力した日本人の野内与吉氏が初代村長を務めたということで、我々も敬意を表するため村役場を訪問し、地元の子供たちのかわいい歓迎を受けた後、記念品の交換など関係者との交流を深めました。
 私たち訪問団は、滞在中のペルー、メキシコの両県人会の皆様方の熱烈な歓迎と心温まるおもてなしに感激するとともに、両県人会の皆さんにも大変喜んでいただくことができ、とても有意義な訪問になったと確信しております。お世話いただいた皆様方に御礼を申し上げ、9日間にわたる訪問団の一連の活動報告とさせていただきます。
 続きまして、県人会世界大会開催についての質問に移ります。
 これまで、国内外で活動を続けている県人会とは、周年を祝う記念式典等に知事や議員が御招待をいただき、それを受けて各地に訪問をしたり、逆に、先方の役員や子弟が和歌山県を訪問してくれるといった相互の交流を続けてきました。
 県人会世界大会について、9月定例会の一般質問で谷議員も触れておりましたが、来年、平成31年11月下旬に、海外に移民として移住された方々やその子弟から成るブラジルやアメリカなどにある九つの県人会並びに国内の在京や東海等の六つの県人会に広く参加を呼びかけ、開催する予定と伺いました。
 和歌山の地を離れ、一言では語り尽くせないほどの多くの苦労を重ねてきた先人やその子弟の方々に、改めて和歌山にお越しいただき、和歌山の文化や伝統に触れ、県民や県人会相互の交流を深めることでより強い結びつきを築いていただけることと思います。
 そこで、和歌山県人会世界大会の内容や規模について、あわせて、大会開催によって期待する効果について、知事にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私自身も、これまで国内外で活動を続けている県人会とは、式典にお招きいただくなど交流を続けてまいりました。
 ふるさと和歌山から移住された方々は、厳しい住環境や労働条件など幾多の困難を乗り越え、文化や風習、言語の異なる異国の地での生活の基盤、あるいは異郷の地での生活の基盤をつくり上げ、多くの犠牲を時には出しながら、その勤勉さと創意工夫、あるいはたゆまぬ努力で信頼をかち取り、今日の繁栄を築かれています。
 県人会世界大会は、まず、我々和歌山に残る県民が、これら異国異郷の地で活躍された方々の御労苦に深い敬意の意を表することが大事であるというふうに思います。それは、県人会の皆さんにとって、移住した一世、それからその子弟子孫に受け継がれてきた道程が理解され称賛を受けることで、誇りと自信を新たにし、さらなる活躍につながるというふうに考えております。
 第2に、我々残された県民が同胞の歴史と思いを理解し共有することで、みずからも生きる勇気、それから、ふるさとをよくしていこうという意志、そして、活力を得るものになるだろうというふうに考えております。こういう思いを持って開催したいと考えています。
 大会については、記念式典や歓迎レセプションのほか、ふるさと和歌山の魅力を肌で感じていただくために文化を体験する催しや、県民の皆様と広く交流していただくために県内各地をめぐるツアーを企画しております。
 世界大会の名にふさわしいものとなるよう、県人会の方々に広く参加を呼びかけてまいりたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 海外から和歌山に来られるということで、次世代を担う若者や夫婦での参加は経済的にも相当な負担がかかると思われます。県人会ごとの経済状況も踏まえた上で、多くの方が参加できるような環境づくりをお願いしたいと思います。
 また、他県では沖縄県、福岡県、山口県、鹿児島県などが同様の大会を実施しているそうですが、せっかく和歌山に来ていただくのですから、ぜひ日程の中で県民と交流する機会を設けるなど、地域とのつながりがより高まるような和歌山県独自の工夫をしていただき、参加した皆さんが改めて和歌山ファンとなるようなすばらしい大会にしていただきたいと思います。
 これで、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 24番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 おはようございます。
 ちょっと声をやられてまして、お聞き苦しいかと思いますけど、張り切ってやりますんでよろしくお願いします。
 一般質問、質疑、討論を含め、32回目の登壇となります。「なかなか頑張る中拓哉」、県民から託された議員としての役割、本会議で質問権、行使いたしますので、適切な御答弁、よろしくお願いします。
 やっぱり質問するとなると、原稿を書き出したらとまらんで徹夜してしまうんですけども、疲れがたまるんでしょうか。反省もしながらしっかり頑張りたいと思います。
 まずは、仁坂知事の4期目の御当選、おめでとうございます。17日間にも及ぶ選挙戦、お疲れさまでした。県下くまなく遊説する中で、さまざまな課題もお気づきのことと思います。あなたの公約に賛同して熱心に応援された支持者を含め、県民から託された知事としてのお務めを果たしていくことに期待いたします。
 私ども公明党もいち早く御推薦を決め、党員への徹底を図り、激励の集会も開催し、あなたの当選に少なからず貢献できたのではと総括しております。
 私も、推薦のおはがきを書き友人、知人に依頼しましたし、和歌山市内の懇意にしている企業の朝礼などの幕間の演説に同行するなど、応援いたしました。中でも、最終日11月24日土曜日の午後、バイクで市内を票固めに奔走しているさなか、高松の忠霊塔の交差点で遊説中の仁坂候補と出くわし、思わず信号を見送って握手に駆け寄りました。私の激励に対して、知事からもマイクを通して感謝の言葉もございました。
 坂井弘一、西博義代議士通して7回の総選挙、自分の市会議員、県会議員として5回の選挙、さらに参議院選、応援する首長選、また県下の公明党の議員の選挙、数多くの選挙に取り組んでまいりました。
 選挙事務所のスタッフとして働く上でつらいこともありましたが、一方、運動員としてぽつんと1人支持拡大に選挙区内を駆け回るさなか、現場で出くわす我が陣営の選挙カーから流れてくる声に、大いに励まされた思い出があります。
 あたかも第二次世界大戦のヨーロッパ戦線において、ドイツ軍に占領された戦地に分け入り、任務を遂行するサンダース軍曹が、絶体絶命のピンチの中で援軍として駆けつけてくれたアメリカ軍のタンク・戦車と出会ったときのような喜びと安心を感じるものです。「コンバット!」、御存じでしょうか。ちょうど本当に寂しい中でこの遊説の車に出会うと奮い立つ、そういう思いでございます。
 マイクから流れる仁坂知事の声に、「ようし、もう一丁頑張るぞ」と夜まで走り回ったものです。24万6303票の支持した方々はもちろんのこと、棄権した方、さらには対立候補に投票した方も含めて、県民の幸せのための県政であってほしいものでございます。
 さて、選挙戦最終日の未明に、2025年万博が大阪での開催と決まりました。愛知万博以来20年ぶり、大阪での開催は55年ぶりとのこと。世耕経済産業大臣のジャンプ姿とともに第1報が入り、報道も万博一色となりました。二階自民党幹事長が超党派大阪万博誘致推進本部長を務め、公明党の関西の国会議員らも一丸となって取り組んだ運動のたまものだと思います。
 福沢諭吉らが文久遣欧使節団として参加した1862年(文久元年)のロンドン博覧会にその起源を持ち、「exposition」を「博覧会」と訳したのも福沢諭吉とのことです。
 EXPO''70は、私、中学生でしたので、中学校の遠足で行ったり家族でも行ったことは、写真があるので何とか覚えていますが、余り鮮明なものではありません。月の石や太陽の塔、堺屋太一のプロデュースといった話題は、後に繰り返される報道での知識です。
 東京五輪の記念硬貨──1000円とか100円ですね──あるいはつくば国際科学技術博覧会、沖縄国際海洋博覧会のときの記念硬貨は持っているんですけども、どういうわけか大阪万博の硬貨は持っておりません、見当たりません。ほかにEXPO''70のペナントとかバナナの皮をむいた形の帽子を逆さにしてかぶっているような、そういう記憶はございます。
 大阪の片田舎の竹林がニュータウンとして栄え、高度成長の象徴として大阪万博が語り継がれることも意味があるでしょうし、「いのち輝く未来社会のデザイン」とのテーマで大阪湾の人工島・夢洲で開催されることも、和歌山にとって大きなチャンスかとも思います。
 2020の東京五輪のオリンピック・パラリンピックに加え、2025の大阪万博といった国家的プロジェクトが決まりました。大阪市長が提案する新たな会場交通を含む各種インフラの整備はもちろんのこと、例えばマリーナから、和歌山港から船で行くというようなこともあるんかわかりません。そういった海上交通が生まれるかもわかりませんけども、そういったインフラ整備はもちろんのこと、Kii peninsulaの人気とともに、本県のインバウンドも期待されるかと思います。
 本県浮揚につながる施策があれば、知事、お示し願います。よろしくお願いします。
○議長(藤山将材君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 東京オリンピック・パラリンピック、大阪万博は、日本全体にプラスの効果を及ぼし、それは和歌山県にも及ぶと考えております。特に万国博につきましては、日本の中でも大阪に近い関西への波及効果は特に大きいと考えます。したがいまして、和歌山県も一般的には物すごくたくさんのチャンスがあって、それを生かすようにいっぱい考えなきゃいけない点はあると考えておりますが、本日は特に2点申し上げたいと思います。
 まず第1に、開催を契機として外国人観光客の増加が期待できるために、これを絶好の機会と捉えて、和歌山県のいいところを味わってもらえるように、本県への誘客に積極的に取り組むべきだと考えております。
 そのため、これらの開催に向け、事前に国内外の旅行会社に対し、海外メディアから高い評価を得ている世界遺産「高野山・熊野古道」や自然景観、温泉、食など和歌山県の豊富な観光資源をPRし、県内宿泊を含む周遊ツアーの商品化を働きかけるとともに、大手海外メディアや有名スポーツ選手と提携した観光キャンペーンを展開してまいりたいと思っております。
 また、ゴールデンルートである東京、京都、大阪から本県への周遊の増加や、特に大阪万博に関しましては、来場された多くの方々に例えばバーチャルリアリティー等を利用して本県の魅力を伝えるなどして、積極的な誘客を図っていくとともに、外国人による県内消費の拡大に向けたキャッシュレス決済の県内導入を促進していきたいと考えております。プレミア和歌山を初め県の特産品のPRも、機会を捉えてどんどん取り組んでいく所存であります。
 加えて、東京オリンピック・パラリンピックに関しましては、関連するさまざまな大会や合宿の誘致が期待でき、既にオーストラリア陸上チームとカナダ競泳チームのキャンプが決まっておりますが、さらなる誘致を進め、地域の活性化につなげてまいりたいと思います。また、県内出身のアスリートが活躍すれば、県民に元気を与えるとともに、子供たちが夢や憧れを抱き、スポーツが盛んになるきっかけになると思います。
 県としては、オリンピック・パラリンピック出場を目指す選手をサポートし、競技力の向上を図ってまいりたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 御丁寧な答弁、ありがとうございました。
 私も期待いたしますし、またオリンピックでは、ゴールデンキッズが国体で頑張ってくれてまして、そういった方々もオリンピックに出れるような年ごろかと思いますので、期待いたしたいと思います。
 また、パビリオンがどんなことになるんかわかりませんけども、和歌山が常に夢洲の中でイメージが湧くような、そういったことを考えていただければなと、かように思います。
 続きまして、次の質問に移ります。
 地方自治体カジノ研究会、こういったものが平成15年2月発足しまして、そこから始まるカジノ・エンターテインメントの運動が本年7月20日の特定複合観光施設区域整備法(Integrated Resort実施法)として実を結びました。
 和歌山県においても、5月に策定したばかりの和歌山県IR基本構想を10月に再び改訂し、さきの知事選においても争点かなあと期待されました。報道機関の出口調査などにおいては、カジノに反対と表明する有権者の7割が仁坂知事に投票とのことですので、必ずしもカジノの是非が問われたわけでもなさそうです。
 県は、平成21年1月から2月にかけて、二十以上の1000人に郵送によるアンケート調査を行っております。調査目的は、カジノ・エンターテインメントの設置可能性を検討するため、カジノ・エンターテインメントの情報を県民に周知するとしています。老若男女を問わず家族でも楽しむことができるテーマパーク、劇場、シネマコンプレックス、ショッピングモール、スポーツ施設、国際会議場、ホテルなどにカジノを含んだ複合施設との説明もされた上での調査でした。
 6月議会で奥村議員が指摘したごとく、反対が賛成を上回っており、21年の結果とともに、現時点でのカジノ誘致の是非を問われた田嶋企画部長は、21年3月以降調査を行っていない旨答え、この5月にできた基本構想の周知に取り組む旨の答弁でございました。それを受けた奥村議員の再質問に、IR整備推進法と実施法の提案者の違いに誤解が見られたので、議事を整理していただいたところでございます。
 あの折、私も申し上げましたとおり、県民意識調査を尊重すべしとする意見には賛同いたします。私が提案する住民投票には残念ながら知事は耳をかそうとしませんでしたけども、その後、県はシンポジウムを開いたり、国ではギャンブル依存症の対策法制も整備されましたし、政令で定めるべき事項の各種基準の案もまとまり、カジノの面積が3%であるとか、ホテルの客室の広さや部屋数、マネーロンダリングへの対策もこのほど示されました。
 IR基本構想も、浮島文科副大臣のアドバイス等も参考にされ、写真も工夫され、改訂されました。これですね。(資料を示す)
 整いつつある事態を踏まえ、和歌山にとって改めてこのIRが必要だとする、IR誘致の理解を求める県民意識調査を改めてなさってはいかがでしょうか。仁坂知事、お答えください。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) IR整備法では、県と民間事業者が共同で区域整備計画を作成する段階において、立地市町村に協議するとともに、公聴会の開催やパブリックコメントの実施など、住民の意見を反映する措置を講ずるよう義務づけられています。
 さらに、区域整備計画を作成し、国土交通大臣に区域認定の申請を行うに当たっては、立地市町村の同意を得た後、県民の代表である県議会の議決を得ることになっております。
 これらの手続を通じて、立地市町村や住民も含めた地域における合意形成が十分図られるよう措置されているので、県民意識調査の実施は考えておりません。
 あえて言うと、今回の知事選挙の争点が、対立候補によればでございますが、カジノだそうでございまして、「反対の人は自分に入れろ」、「カジノの仁坂県政をとめよ」ということでございましたんで、とまりませんでしたから、そういう漠とした、嫌いとか好きとか賛成、反対という意見はもういいんじゃないかというふうに思うわけであります。
 ただ、心配な人がたくさんいるということは、まだまだそうだと思いますので、よくわかっておりますから、IRに関する正確な情報を提供する。そのために、まあ1回やったらいいというわけでもありませんので、5月には和歌山県IR基本構想を策定し、その後、投資意向調査の内容を受けて改訂を行い、IRが地域にもたらす経済波及効果とか雇用効果とかのメリット、また一方で、私も心配しているギャンブル依存症などデメリットにどう対処するかということについてわかりやすく示し、かつ、何度もシンポジウム、セミナーをやってるところでございます。
 このようなセミナーあるいはシンポジウムの開催や説明会の実施、広報番組の活用等さまざまな機会を捉えて、IRに関する正確な情報の提供に努めてきたところでありまして、今後とも丁寧な説明を継続して行ってまいりたいと思っております。
 特に県議会におかれましては、好きか嫌いか、賛成か反対かということだけではなくて、イエスならどうなり、ノーならどうなるか、トータルに議論していただける場だと思っておりますので、県民はもちろんでございますが、特に県議会の皆様方からの御意見もいただきながら取り組んでまいる所存でございます。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ですからここで議論するんですけども、それでシンポジウム開いたりこんなんつくってもらったり、いろいろ説明はしてくれてます。
 また、知事がおっしゃったように、この選挙でも対立候補の方はこれ一本で県民に訴えましたから、その点では、ある面通ったんだと思いますし、さっきも申し上げましたように、カジノ、IRがもう一つ、ばくちという形で見れば反対の方が7割あるんですけども、仁坂さんに投票したと、こんな分析でございます。
 それで私は、前の世論調査というか県民意識調査が有効だったもんですから、有効というかかなり丁寧だったもんですから、こういう改訂版もつくったんですから、今おっしゃるように正確な情報を示した上で聞いてみたら、巷間、まちへ行けば、「万博も大阪で決まったし、もう大阪IR決まりやな」と、「そしたら、もう3カ所やったら和歌山はなかろうかい」と、こういう意見も一方であるわけですね。「いやいや、そんなことないらしいですよ」と、「何も関西で二つはあかんことないらしいですよ」というふうなことも、私らもそれなりに説明しますけども、そういった話の中により正確に分け入って、入っていって、ほんで県民一人一人に尋ねたらな、こんなん思うたんで、ここの意見も聞くと言うんですから、私の意見も参考にしてもらえたらなあと思います。
 それで、次にこの10月にいただいた改訂版は、ずっと後のスケジュールなんか見ましても丁寧になってるんですけど、5月策定のくだりは省いてまして、もういきなりこの改訂版というようなことになるんですけど、6月に指摘した幾つかの点は改善されまして、わかりやすくなったように思います。
 しかし、見ててちょっと疑問に思いましたが、一番最後のページのところに、「IRによる課題と対策(地域の合意形成に向けた取組)」に、どういう経緯か知りませんけど、同僚議員が1人だけ掲載されております。
 IRの本県誘致に、あるいはマリーナシティへの誘致には、賛成、反対、中立など、ここにいらっしゃる40名のさまざまな議員がいる中で、なぜお1人の議員だけがこの立派な改訂版に掲載されているのでしょうか。企画部長、お答えください。
○議長(藤山将材君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 和歌山県IR基本構想改訂版に1人の議員のみが掲載されているのはなぜかという趣旨の御質問ですが、尾﨑議員によるIR勉強会は、県議会議員として唯一マスコミを入れたオープンな場で県民約400名を集めて開催されたものでございまして、その模様はテレビで全国放送され、和歌山IRの認知度が高まり、IRに関する県民理解も深まったものと認識しております。
 和歌山県IR基本構想改訂版への掲載は、IR誘致に向けた地域の合意形成のために、県や経済界のほか、県議会議員も取り組まれていること、すなわち多方面でIRに関する正しい情報の提供や誘致機運の醸成が図られていることを説明するためのものでございます。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 田嶋部長の今の答弁では、一生懸命取り組んでるから載せたんやと言うんですけども、そんなことでいいんでしょうかね。ほかにも取り組んでらっしゃる議員さんはいっぱいいらっしゃいますし、また、県議会のいろんな意見があるというんであれば、反対の意見もありますし、まだよう決めやんよ、いろんなこと勉強してるよ、そういう過程もあるわけですから、少なくとも県のお金を使ったパンフレットに──私は尾﨑さんは仲よしやし尊敬もしてますし頑張ってるなということで、いっこも尾﨑太郎さんにけったくそ悪いわけじゃありませんよ。
 しかし、一部の議員さんがこうやって県のパンフレットに載ることについての是非を問うてるんですから、やっぱり一日も早く改訂されて、もっと中立なといいましょうか、議会の一部を取り上げるようなことのないようなパンフレットにすべきが、恐らく本来じゃないでしょうか。
 ほかのパンフレットで見たことありませんよ。ほかのいろんな事業をやってても、県会議員がこぞって推薦してても、その一部の議員さんだけがこうやって取り上げられるというようなことは見たことありませんので、そこは一遍再考なさったらいかがでしょうか。 再考なさるべしと思いますけど、いかがでしょうか。
○議長(藤山将材君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) ただいま御答弁いたしましたように、今回取り上げさせていただいたのは、多方面でIR誘致に取り組んでいるということを説明するためでございますので、今後また同じような取り組みがなされた場合は、それはそれぞれにまた対応してまいりたいと、そのように考えております。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 いや、それでいろんな集会を皆載せれたらいいですよ。そうはいかんじゃないですか。いろんな議員さんがこれからする中でですよ。だから、もうこんなところは議員さんは避けたほうがいいんじゃないかなと思ったんで、まあ平行線ですから以上にします。
 それでは、次の問題に行きます。
 関西国際空港建設の埋立用地の土砂搬出の跡地を利用するコスモパーク加太、その活用に頭を悩まし続ける日々でございますが、県消防学校が移転、開校し、消防分団員の私としてもポンプ操法大会などの利用や、あるいはメガソーラー発電やら、あるいは高砂建材工業の進出など、一部明るい兆しもうかがえます。
 とは申せ、250ヘクタールの巨大な用地、この企業用地のセールスポイントは一体どういったものだったんでしょうか、改めてお尋ねします。
○議長(藤山将材君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) コスモパーク加太のセールスポイントにつきましては、まず一つ目として、高台にあり、かつ地盤が強固であることから、津波や地震といった自然災害に強い敷地であること、二つ目としては、20ヘクタール以上の用地が確保できることから大規模な工場の進出も可能である、こういったことであります。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 今のお話では、津波や地震といったことには強いということはありましたけども、私がいただいているこのパンフレットには、確かに「海抜100メートルの高台に位置し」とは書いてますけども、「自然災害に強い用地です」と、こういうことでございました。
 それで、ここについて自然災害に強いということが書いてあるもんですからお聞きするんですけど、関西国際空港が開港して、コスモパーク加太では当時、通年でスキーのできる室内スポーツ施設の進出も発表され、期待が膨らんだのもつかの間、ぬか喜びに終わりました。
 その後、平成16年3月、大手食品メーカーのカゴメと県・市で進出協定が結ばれ、ハイテクのトマト菜園・加太菜園が操業し、当初の計画は縮小されたものの、130人の雇用とともに、各種納税もしてくださって県に貢献してくれてるところでございます。
 にもかかわらず、今回、加太の菜園が撤退してしまうのはどういうことでしょうか。
○議長(藤山将材君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 加太菜園からは、8月23日の台風20号、続く9月4日の台風21号により、ガラス温室全体及び生産設備に甚大な被害を受けたことから、再開には多額の再投資と相当数の時間を要し、その回収を見込むことが困難であるため、撤退することに至ったと聞いております。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 本当に残念です。あの台風で雑賀崎の金属団地なんかも大変やられましたし、いろんなことがあったんですけども、少なくとも加太のパンフレットには「災害に強い」ということを書いておりましたんで、風が強うてあかんということは、やっぱり先に言うてあげなあかんの違いますか。一般消費者にこんなパンフレットつくって品物売ってたら、パンフレットにうそがありきと消費生活センターから御指摘をいただくような、そういう話やと思いますんで、お聞きしました。
 それで私、現場見に行こう思うて行かしてもうたんですけど、もう入り口からゲートが閉まってまして、詳しい様子は見れませんでした。
 さっきのロケット射場に新しいPFIでいっぱい用意するとか、あるいは今回の台風でもいろんな制度を用意するとかして、何とか再建してもらおうと思って用意してるわけですから、加太の菜園さんもやめることなく再建できたらいいのになあと思いながら、この質問をしてしまうわけです。
 一方で、もう撤退決めましたけども、何人か雇用されてましたし、いろんな面で、またあそこ空き地になってしまいますし、この加太菜園の撤退による本県への影響はどういったものがございますでしょうか、お答えください。
○議長(藤山将材君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 加太菜園は、創業以来、雇用の確保等地域振興に寄与されてきたところであり、撤退により雇用等が失われることになりますので、今回、台風被害からやむなく解散の決定に至ったことは大変残念であります。
 従業員に関しましては、加太菜園では来年3月まで雇用を継続するとともに、再就職については、産業雇用安定センターとの連携、取引先企業へのあっせんなどに取り組まれていると聞いており、県としましては、再就職が円滑に進むよう、適宜支援してまいりたいと考えております。
 また、今後の同社撤退後の土地に関しましては、当地を含めてコスモパーク加太全体で引き続き企業誘致に取り組み、雇用の創出等、地域振興を図ってまいる所存です。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ぜひよろしくお願いします。
 それでは、次の問題に移ります。
 次に、おせっかい公務員の拡充について提案いたします。
 平成21年2月議会の一般質問で、自殺予防、相談業務の拡充について、誰ひとり見捨てない相談員の設置を求めて、同じく21年6月、29年12月と自殺対策を中心に相談員の充実やSNSを活用した相談業務の新設もここで迫ってまいりました。
 自殺の原因としてはさまざまでふくそうしていますから、エキスパートの専門家を置いた、そういった対応でよしとはまいりません。また、精神を患っている人が、その治療に服する薬のことでまた悩んで、多量の服薬で命の危機に及ぶケースもございます。
 昨年の2月議会で、「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部の設置に関して質問いたしました。当時、幸前部長からは、施策の実施に向け、市町村に働きかけ、地域共生社会の実現に取り組むといった答弁をいただきました。
 そこで、まずは生活困窮をもとに考えてみたいと思います。
 滋賀県野洲市に、生水裕美さんという市民相談課課長がいらっしゃいます。彼女は、合併前の野洲町の消費生活相談員に採用されたことから公務員生活が始まり、その業務の中で、消費生活相談におさまらない各種の問題と取り組むことで、とことんかかわるスタイルを身につけ、国の生活困窮者自立支援法の立法にも結びつけた方なのであります。
 税金の徴収に携わる公務員は、滞納者に督促して納めてもらうことが仕事です。しかし、滞納者には払えないから滞納するという理由があります。そこで彼女は、なぜ払えないのだろうか、そこに思いをいたすわけです。払えなくなった生活に目を向けて、その原因の問題を解決しようと一緒に取り組むんです。
 そのためには、家計簿をつけるように勧めて、その生活の癖を見きわめ、改善に導きます。家計簿からその背景を探り、医療、介護、福祉などの今の現存するサービスに結びつける「おせっかい」をするんです。
 自然災害の被災者が公共のサービスを受けるのと同じように、生活困窮者も自己責任とは断じられないさまざまな要因で困っているのです。目の前の困ってる人の生活を再建することで、滞納が解消されて納税につながってまいります。
 たくさんの相談窓口を用意している役所が互いに連携して総合力を発揮できれば、生活再建の支援につながります。サーチライトで闇を照らし、困っている人を探し出していくのです。
 行政のサービスの仕組みや制度のパンフレットを配ることが仕事ではありません。そういった制度を活用してもらってこそ困り事をなくすことができますし、それが本来の公務員の仕事です。そのために雇われているのが私たちではないでしょうか。
 そのようなおせっかい公務員を拡充すべきと考えますが、福祉保健部長、見解をお述べ願います。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 議員御提案の生活面のさまざまな困り事を抱えている人に積極的に寄り添って生活再建を支援するおせっかい公務員の取り組みが国に評価され、平成27年度に制度化されたのが、生活困窮者の社会参加や自立を支援する相談員を配置する生活困窮者自立相談支援事業でございます。
 県におきましては、この国の事業を活用し、生活困窮者の抱える生活、就労、居住、医療、介護など多岐にわたるさまざまな相談に対応するため、平成27年度に那賀振興局を除く6振興局及び串本支所に7人の自立支援相談員を配置し、必要に応じて相談者を訪問するなど、課題解決に向けた支援を行っているところです。
 なお、市におきましても、各福祉事務所に計19人の自立支援相談員が配置されております。
 県の支援状況でございますが、平成29年度には、278人から延べ1468件の相談が寄せられ、そのうち課題解決まで継続した支援が必要と判断した42人の相談者に対しては、個々の課題に応じた支援プランを作成し、多重債務の整理やひきこもりの方に対する関係機関への同行、さらにはハローワークの求職活動への同行など、関係機関と情報交換しながら、課題解決に至るまで相談者に寄り添ったきめ細やかな支援を行っております。
 今後も、生活困窮者の方に対する支援の充実を図るため、年金や貸し付け、子育て支援、介護保険、障害福祉など各種制度の周知や、家族のそれぞれが抱えている事例などの解決に向けた手法の検討を行う相談員研修の内容を充実し、個々の自立支援相談員の資質向上に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 現在、そういうことで動いてるんですけど、それでも今おっしゃったように278人が御相談に見えて、いっぱいあって42人の方が解決したということは、ほかの方は解決せんまま終わってるかな、あるいは相談してきただけでよかったんかもわかりませんけども、少なくとも途中でやめてしまって終わってるんじゃないかと推測します。
 ここで生水さんのことで御紹介したのは、そうじゃなしに、とことん最後までつき合って──私らもそうです。相談受けたら、ここへ行ったらええん違う、あそこへ行ったらええん違う、電話番号ここやで、担当者に言うてあげらよと、こうなりますけども、行ったかどうか、あるいは片づいたかどうか、あるいはその返事の上で、次のことがあったら次へ行きませんかと、こうやってやっぱり最後まで親身になって乗っていってあげるのが本来やと思いますんで、市町村も含め一生懸命やってくれてるのかわかりませんけど、少なくともそういうお気持ちでやってもらえたら、かように思います。
 また次に、その相談員のスキルアップはもちろんでございますけども、そういった部署をつくってもらうとともに、今の自立支援だけではなしに──今、何か言いたいんでしょう。自立支援のことではちゃんとやっておると言いたいんでしょうけど、それだけではなしに、さっきも申し上げた自殺の問題であるとか、多岐、多難なことに対応できるようなことを総合的につくってもらいたいということが私の質問の趣旨でございました。答弁する機会、次ありますから、どうぞそのときに言うてください。
 次に、9月25日に、県民文化会館で読売テレビの「そこまで言って委員会」のキャスターを務める辛坊治郎の講演で、今年度のノーベル医学・生理学賞が本庶佑京都大学特別教授の免疫研究オプジーボのことだと、彼はその当時予測しておりました。予測するとともに、彼が怒ってたことなんですけども、法治国家の日本で、離婚した後、自分の子供の養育費を渡さない男の多いことに彼は怒りをぶつけていた話がとても印象に残っておりました。
 そうしたところ、先ごろ報道で、明石市が未払いの養育費を受け取れるようにするモデル事業を始めるとの記事がございました。弁護士でもある泉房穂市長が、子供の権利を守ろうとする見地から発案したとのことでした。2月議会の予算特別委員会でも取り上げた犯罪被害者支援条例の取り組みにおいても参考にした、この明石市の先進的な取り組みでございます。
 面会交流のことにも明石の市長は取り組んでおられるようでございますが、今回、この養育費の仕組みは、離婚時に調停調書か公正証書で養育費の支払いを取り交わしていることを条件に、明石市が保証会社に業務委託し、滞った額、上限5万円ですけども、その養育費を保証会社がひとり親世帯に立てかえて払い、その同額の債権を母子家庭から譲り受けて相手側から回収するといった仕組みでございます。
 ひとり親世帯が本来納めるべき保証会社への保証料5万円を明石市が払うことでこの契約が成り立って、年間60万円までの養育費を確保することができます。養育費の取り決めの有無にかかわらず、離婚した母子家庭のうち7割が父親からの養育費を受け取っていない現状の改善に、大きな一石を投じるものと考えます。
 本県も導入して、ひとり親世帯の福祉の向上につないでいただけないでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 答弁の前に、先ほどの中議員の質問に対し、誤解のないように御答弁したいんですが、先ほど、相談者が278名いまして支援プランの作成者数が42名と言いましたが、その残りの方々は、支援プランを作成して関係機関と一緒になって支援していくというところまで必要のない方々でございましたので、直ちにそういった対応をとって支援しております。
 ただ、支援プラン作成者数42名のうち、生活困窮の中で自立支援が、今現在脱している人が26名いらっしゃいます。そのほかの方々でいいますと、例えば生活保護の適用になったという方もそのほかにはいらっしゃいますので、自立達成ができたのが26名で、引き続き支援を行っているという状況でございます。
 それでは、先ほどの御質問の中の養育費立てかえ事業の創設についてのお答えでございます。
 議員御提案の明石市の養育費立替パイロット事業につきましては、明石市が民間保証会社と契約し、離婚事例全体のうち、調停調書や確定判決等による強制執行が可能な養育費の取り決めを行っている事例のみを対象とするとともに、立てかえ保証も最大12カ月分までという限定的な支援制度となっております。
 一方、本県では、調停離婚や裁判離婚等で取り決めた養育費を支払ってもらえない場合のみならず、協議離婚で養育費の取り決めをしていない場合や相手に督促しても支払ってもらえない場合等に、調停の申し立てから履行勧告の申し出、そして行政執行の申し立てに至るまで、専門的な司法手続に係る弁護士相談を随時実施し、申し立て書類の記入方法や裁判所への提出方法について具体的な提言や指導を行う等、きめ細やかな支援を行っているところです。
 なお、養育費の確保のための裁判や強制執行に係る弁護士費用、養育費が確保されるまでの当面の生活費につきましては、母子父子寡婦福祉資金で対応しているところです。
 県といたしましては、引き続き経済的支援や就業支援等、ひとり親家庭の生活の安定と自立に向けた施策の推進に取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 部長、そういうことでおっしゃるんですけども、例えば養育費の問題についてもいろいろ制度をつくってると言うんですね。来てもろたらええよと言うんですね。あるいは、母子父子寡婦福祉資金です。これは貸し付けですよ。貸し付けの資金を用意してると言うんですよ。
 そうじゃなしに、こうやって、もう既に取れる権利のお金なんですから、それを県が助けてあげたらどうですか、県がパイロットとしたら、県下の市町村も見習ってくれるんじゃないですか。
 あるいは細やかな支援を行ってると言いますけども、いろんな支援制度で、じゃ、どんだけの方が利用されてるんですか。支援制度を利用してる人の人数を教えてくださいよ。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 平成27年度から平成29年度までの直近3カ年の養育費に係る弁護士相談件数は、合計5件となっております。その内訳としましては、調停離婚の養育費の取り決めに係るものが3件、養育費を受け取る前提となる子供の認知調停の申し立てに係るものが1件、調停離婚による養育費未払いに対する強制執行の手続に係るものが1件でございます。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 でしょう。結局、未払いに係る執行に関して頑張ったのは1件じゃないですか。1件しかないじゃないですか、未払い執行についてはね。そんなもんなんですよ。
 だから、用意してても、皆さん現況届は出しに行きますよ、市役所へ。児童扶養手当がもらえるね。せやけど並んでて、もう事務的に出して、そのまま帰っていくんですよ。そうじゃないですよ、もっと相談乗れますよという仕組みをつくってあげたらどうですか。直接県の仕事じゃないと言うかもわかりませんけども、県もそういうことを含めて、市町村にやっぱり取り組んでいくことが大事じゃないかと思ってお尋ねした次第でございます。
 時間もございますので、次の問題伺います。
 次に、企画部長にお尋ねです。
 国土交通省では、移動等円滑化の促進に関する基本方針や明日の日本を支える観光ビジョンといった政策のもと、ユニバーサルデザインタクシーの普及に力を入れております。
 トヨタのジャパンタクシーや日産のNV200といった屋根の高いバンタイプの車両です。障害者の輸送対応、外国人の大きなトランク対応にすぐれているとのことで、1台につき60万円もの補助を用意している上に、関東方面では各県や政令市も60万、80万といった補助をしているとの報道でございました。
 このほど、一般社団法人和歌山県タクシー協会から公明党和歌山県本部に対し、要望をお受けしました。内容は、ライドシェアは認められないので阻止運動に支援協力をしてくれというものと、このUDタクシー導入への自治体補助を和歌山県にもお願いするというものでございました。
 ノンステップバス導入に補助しているように、市民の移動手段に欠かせないこういったUD、ユニバーサルデザインタクシーにも補助を設けてはいかがでしょうか。御答弁願います。
○議長(藤山将材君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) ユニバーサルデザインタクシーの導入についての御質問ですが、タクシー専用車両につきましては、これまでのセダン型のトヨタ・コンフォートが既に製造を終了しておりまして、現在はトヨタのジャパンタクシーのほか、日産のNV200という箱型バンタイプのみとなっております。これらの車両は、室内空間が広く、スライド式のスロープが標準装備となっており、いずれもユニバーサルデザインタクシーであると聞いております。
 国では、移動等円滑化の促進に関する基本方針におきまして、平成32年度末までに約2万8000台のユニバーサルデザインタクシーを含む福祉タクシーを導入する目標を設定しまして、目標達成のため、事業者に対し1台60万円を限度として補助を行うことで買いかえを促進しているところです。
 一方、ジャパンタクシーの購入費用は従来型より150万円程度高くなりますが、燃費性能がほぼ2倍に向上し、価格差を埋め合わせることができるとの経営判断から、県内でも既に一部の事業者が導入し、平成30年9月現在で約50台が運行しているとのことです。
 県としましては、ユニバーサルデザインタクシーの導入により高齢者や障害者等の利便性が向上すると認識しておりますが、ノンステップバスなどとは異なり、その導入に当たって採算が見込めるため、車両の更新に合わせてユニバーサルデザインタクシーの導入が図られていくと考えていることから、新たな補助制度を設けることは今考えてございません。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 田嶋さん、冷たいですね。ノンステップバスは、しかし、毎年予算組んでますけど、結局使われんまま流れてるんですよ、お金だけ積んでおいて。ノンステップバスもどんどん普及してほしいですよ。しかし、会社を待ってたら来ないじゃないですか。タクシーもほっといたら自分で買うと言うんじゃないですけど、国が2800万台用意すると言って用意してるんじゃないですか。やっぱりそこは和歌山県も一考があってよろしいんじゃないかな、かように思います。またこれはおいおい勉強していきます。
 次に、文化に関する質問です。
 海南高校3年生のときの担任で、私の恩師と仰ぐ小関洋治先生が「わかやま新報」に連載する「紀州つづら折り」のエッセーの11月10日の記事に、今福の郭家住宅の文化財指定が急がれるとありました。
 砂山に住む私も、南に向いてバイクで走るとき、この郭さんの洋館の前を通ります。空襲を免れた今福の中でもひときわ目立つ立派な洋館です。既に登録有形文化財には登録済みとのことですが、保存活用に向け、郭家住宅の会も設立され、関係者らが重要性を訴えておられるところでございます。
 明治10年の建築で、当時としては珍しい洋風ベランダを持つ日本人住宅、その裏手に建つ和風の屋敷は陸奥宗光の生家の可能性もあるとのことでございます。貴重な文化財を一刻も早く補修して後世に残すには、市や県の指定文化財に位置づけ、最終的には国の重要文化財にしていきたいといったことでございました。
 教育委員会の早急なお取り組みを求めます。教育長、何代か前の先輩の教育長からのお声でございます。お答えください。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 郭家住宅は、代々紀州藩の御殿医であった郭家の6代目百甫氏が明治10年に医院兼住宅として建設したもので、洋館を初め、診察棟、主屋など7件が平成9年に国の登録有形文化財に登録されております。
 洋館は、初期洋風建築の住宅では全国最古級で、全国的な学術団体である建築史学会からも貴重な文化財と高く評価されております。また、豊富に残る医学関係の資料は、和歌山県の近世・近代の医学史上貴重なものであり、重要な文化財と認識しております。
 このようなことから、県教育委員会では本年秋より詳細な調査を進めており、文化財としての価値づけを行っているところでございます。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。ぜひかなうようにお願い申し上げます。
 もう1点、今、和歌山市も天守閣再建60周年、頼宣公入城400年など、和歌山城の観光に力点を置き、便益施設のお天守茶屋のリニューアルやら動物園のイベントにも取り組んでおられます。
 先日、孫を連れて久しぶりに登ってみると、忍者の装束を着た若者がいました。お城に忍者とはと興味を覚え、調べてみると、寺町の曹洞宗の恵運寺に、日本三大忍術秘伝書の一つ「正忍記」を著した紀州藩の軍師・名取三十郎正澄の墓石が祭られており、イギリス人の研究家アントニー・クミンズ氏の指摘で、これがこのほど判明したとのことでございます。
 忍者は、外国人にとっても人気でございまして、観光資源にうってつけではないかと考えます。「正忍記」といったこの忍術の本の哲学的な側面も含めて、「わかやま歴史物語100」などに取り上げてみてはいかがでしょうか。商工観光労働部長、お答え願います。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 議員御指摘の「正忍記」の著者とされる名取三十郎正澄については、県観光連盟が本年8月、「The Japan Times」や「BBC Travel」に寄稿実績のあるアメリカ人ジャーナリストに対し、ゆかりのある恵運寺を案内し、和歌山の忍者文化について紹介したところでございます。
 しかしながら、「正忍記」を起源とする忍者を知っていただいたり楽しんでいただく本県の施設は乏しく、観光客を呼び込むには至っていないのが現状でございます。
 県では、神話の時代から近代に至る豊富な歴史を発掘し、地域の食や温泉と組み合わせて旅の楽しみ方を提案する「わかやま歴史物語」を展開しており、「正忍記」についてはこの中で和歌山城に関連するストーリーのこぼれ話の一つとして紹介しております。
 今後、和歌山の忍者に関する歴史について研究を深め、観光資源としての価値を高めるとともに、恵運寺を含めた寺町通り周辺とおもてなし忍者などの取り組みを行っている和歌山城を組み合わせた周遊ルートを提案するなど、和歌山市と連携して誘客に取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 こういった紀州わかやま歴史物語100、こういったところにもぜひ取り上げてもらえたらと思いますんで、よろしくお願いします。
 次に、県民から寄せられる要望からのお願いでございます。
 平成23年紀伊半島大水害の折、多田議員とともに勝浦の被災地に同僚議員の無事を確認した後、三重県を回って、土砂で塞がれたところで自動車を乗り捨てて、徒歩で真っ暗なトンネルを抜けて、流れ着いた流出物に塞がれた宮井橋を渡り、ひたすら歩く中で軽トラックに出くわし、荷台に乗せてもらって、ようやくにして日足地区にたどり着きました。家の上に家が乗ったり、電柱の先端に軽自動車が刺さっておったり、悲惨な状況でございました。
 支援者のお宅にお見舞いに伺うとともに、後片づけのお手伝いをいたしたんですけども、あのときのぬれた畳の重かった感触は今もこの体に残っております。救助に来てくださっていた自衛隊や警察官の頼もしかったことも忘れてはおりません。
 その折からのおつき合いでこのほど相談をお受けしましたのが、この日足地区や能城山本地区の浸水対策として、県が進めようとする輪中堤などのかさ上げに対する住民の不安のお声でございます。
 輪中堤の整備で補償を受ける人は不満もないようですが、輪中堤の整備によるかさ上げで浸水地域が変動することの不安を訴える住民も大勢いらっしゃいますし、今回の整備に反対していらっしゃる方もいらっしゃいます。
 こういった反対の方のお声に応えて、いま一度、県の整備計画を再考願えないもんでしょうか。県土整備部長、お答え願います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 熊野川の浸水対策に関するお尋ねをいただきました。
 熊野川流域では、たび重なる浸水被害が発生したことから、平成21年6月に、和歌山県が新宮川水系熊野川圏域河川整備計画を策定いたしました。この計画におきましては、当時における近年大規模洪水でございます平成16年8月洪水を対象といたしまして、日足、能城山本地区につきましては、輪中堤の整備を位置づけていたところでございます。
 しかしながら、平成23年の紀伊半島大水害により甚大な浸水被害が発生しましたことから、昨年、平成29年10月に三重県と共同いたしまして、新たな河川整備計画を策定いたしました。この新たな計画におきましては、輪中堤の整備に加えまして、日足、能城山本地区の下流において、和歌山県と三重県とが共同して河床の掘削等のハード対策を行うとともに、ソフト対策といたしまして、洪水予報河川に指定し、水防活動や避難行動に資する情報の提供を行うなど、さまざまな手法を用い、浸水被害の軽減に努めているところでございます。
 日足、能城山本地区の輪中堤等の盛り土施工による周辺地域への浸水被害拡大の懸念につきましては、盛り土箇所が局所的でありますことから、浸水深さの増大や浸水範囲の拡大につながるものではございません。また、水位低下を目的といたしました熊野川本川下流の田長地区におきましても河床掘削を実施することとしておりまして、当該地区の治水安全度は高くなるものと考えております。
 日足、能城山本地区の輪中堤整備につきましては、先月11月に日足地区の用地買収等の協力を得たところでございまして、引き続き速やかに工事着手するとともに、早期完成を目指し、地域の方々の御理解及び御協力を得ながら進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○議長(藤山将材君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 部長、そうやって専門的に考えてくれるのはいいんですけど、河床掘削されたら本川の川が下がってええんですけど、伏流水で水をくみ上げてた別のところの地下水が上がってこないというような事例もあったりして心配してるようなんで、住民の方に丁寧に説明していただけたらなと思います。
 最後に、初島漁港未竣工工事の件で、監査についてお尋ねいたします。
 平成24年の2月で、西牟婁振興局地域振興部の県証紙売りさばき代金横領事件の折、監査委員から議会に対して行われる監査報告では、12月12日、監査で「支出負担行為が会計主幹に合議されていなかったので、適正に処理されたい」と注意事項まで書いておきながら、肝心の県証紙と証拠書類の突合不備などの指摘はなかったことがあったんで、疑問を持って質問しました。
 楠本代表監査は、「台風12号の被害対応に忙殺されている西牟婁振興局には出向かず、実地検査は行わず書面による監査だったので、金庫内の証紙の保管は確認してなかった」。それであれば議会の報告にも現地調査してないと書けと聞いたんですけども、「今後、それは議会の報告にはその旨書きます」、こういった答弁でした。
 改めて、今回も監査してると思いますので、初島漁港の監査、9月3日、4日に予備監査として有田振興局の建設部の監査に出向いていらっしゃいます。台風のさなかではございましたですけども、そういった監査してるじゃないですか。してるのに、どうして未竣工な工事まで代金が支払われてしまったのか。監査で発見すべきではなかったですか。いかがでしょうか。代表監査委員、お答え願います。
○議長(藤山将材君) 代表監査委員保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○代表監査委員(保田栄一君) 有田振興局建設部発注の初島漁港の防波堤に関する工事につきましては、平成29年度予備監査として、本年9月4日に有田振興局建設部で実施をいたしました。同監査では、入札、契約、施工管理、完成検査、支払い等の各段階での事務手続等が法令や規則等にのっとり適正に行われているかを、担当職員へのヒアリングや関係図書を確認する方法により実施をいたしました。
 しかしながら、同監査において提示された設計図書や書面の一部が改ざん、偽造されていた上、工事の完成を確認する検査員により作成された正式な検査調書も添付されていたため、工事が計画どおり施工されたものと判断したところでございます。
○議長(藤山将材君) 所定の時間が参りましたので、以上で中拓哉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時48分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行わさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
 まず最初ですが、統合型リゾート、いわゆるIRについて質問をさせていただきます。
 県では、企画部IR推進室を設置、またIR誘致推進プロジェクトチームを設置して誘致活動を加速化させていると認識しています。
 私も先般、IRについて、マカオ在住でホテルの一部門を任されている方と意見交換をする機会を得ました。その方との懇談の中で、まず「和歌山県は御存じですか」と話を切り出したところ、この方は「最近、マカオでは和歌山県のことは有名になっています。日本でIR整備法ができたので、第1弾として3カ所でIRができることは当然知られています。私たちは、その候補地として和歌山県は有力な県だと認識しています。そして、大阪府が最有力だと聞こえてきますが、和歌山県は北海道、長崎とともに有力地であると認識されているので、関心のある多くの人が和歌山県を訪問しています。現地を訪れた人たちの評判は、とてもよい印象になっています」ということです。続けて、「私も、和歌山県はよい県だと思っています。温暖な観光地であり、温泉もあります。そこに加えて食材がよいので、IRを誘致すれば世界中から和歌山県にお客さんが来ることは間違いないですよ」と話してくれました。
 そこで、気になる治安あるいは所得についてもお話を伺わせていただきました。そうしたところ、まず治安ですが、「マカオは、日本よりも治安はよいです。私は、東京のホテル、その次はシンガポールのIRでいました。3年前にヘッドハンティングがありマカオに来たのですが、当初は単身でしたが、治安がよいことがわかり、現在は家族をマカオに呼び寄せて一緒に住んでいます。治安のよさは世界でもトップレベルではないでしょうか。夜間も含めて治安はとてもよいので、安心して暮らせるのがマカオです。しかも、カジノができてから治安が格段によくなりました。カジノができる前までは治安が悪いので、今ほど観光客は訪れてくれていませんでした。カジノができてから今のような治安が保たれていますが、もしこのまちの治安が悪ければ、当然、観光客を初めとするお客さんは来てくれません。お客さんは安心して楽しめる環境を求めていますから、まちの治安確保、安全確保がカジノ立地のための絶対条件です。それが実現しなければカジノはできていませんでしたし、仮につくったとしても、お客さんは来てくれることはありません。このことから、マカオの治安は世界最高レベルであることをわかってもらえると思います」、こういう話をまず治安について聞かしていただきました。
 続いて、所得。これに関しては、「所得は驚くほどよいのです。私の場合、東京で働いていたときよりも所得は2倍になっています。所得がよければ優秀な人材が世界中から集まりますから、さらにレベル、サービスがよくなっていきます。サービスレベルがよくなればお客さんが集まるという好循環になっていますし、やはり働く条件として所得は大事だと思います。参考までに、私のホテル──この方のホテルですが──平均所得は800万円。東京でいたときのホテルの平均所得は一般的に400万ぐらいだそうですから2倍の差があります。だからマカオに人材が集まってくるのですよと、こういうことをおっしゃいました。
 「では、どんな人材ですか」という話に関しては、「当然のことですが、ホテルをマネジメントできる人材、腕のよいシェフ、ホテルの現場で働ける有能な人、こういった人材が集まってくれています」と話してくれました。
 治安がよくて所得が高い、しかも若い人たちが働く場所ができるなど、よい一面をここで聞かせてもらう、確認することができました。そして、「和歌山県でぜひIRを実現してください。もし和歌山県で実現できるようになったら、私も行きますよ」と笑顔で答えてくれました。
 実際のIRというのは、ショッピング、おいしい食事、こういったものが楽しめ、ショーなどのエンターテインメント性のあるリゾートです。そこに世界のスーパーブランドがホテル内にあり、有名なブランドストリートよりも多くのブランド店が立ち並び、ホテル内だけで全てが完結できる、このような環境にあります。どちらかというとIRは、ショッピング、レストラン、エンターテインメントが楽しめ、その施設の中の一部にカジノがある、そんな配置と感覚があります。
 ただ、IRは、どちらかというと、我が国、我が県では、まだ負の印象も拭い切れない状況です。不安視されているのは、まちの治安が悪化するんではないか、ギャンブル依存症がふえるのではないか、青少年への悪影響があるのではないか、そして、経済効果が言われるほど広がらず、限られているのではないか、こういう声があると思います。
 しかし、世界中の都市でカジノは受け入れられている娯楽であり、実際は設置される前と比較して治安はよくなっていること、所得が高いことから世界中から人材が集まってくる、地元の人が地元を離れることなくふるさとで働ける、こういったよい面もあります。現実、実際を知った上で対応し、実現を目指していただきたいと思います。
 そこで、まず最初にです。
 候補地認定までのプロセスについて。
 候補地が3カ所を認定を受けるまでについてのプロセスと決定時期、候補地が決定してから開設する時期についてお聞かせをいただきたいと思います。この点につきましては、企画部長からお願いします。
○議長(藤山将材君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 候補地認定までのプロセスについてですが、まず、来年の夏をめどに、国土交通大臣が特定複合観光施設区域、いわゆるIRの整備のための基本方針を示す予定となっています。
 県では、この基本方針に即して、IR整備の意義及び目標や有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策のほか、民間事業者の募集及び選定に関する事項などを記載した実施方針を策定することになります。その後、IR事業者の公募、選定を行い、選定されたIR事業者とともに区域整備計画を作成し、和歌山市の同意を得た後、県議会の議決を得た上で国土交通大臣に区域認定を申請し、申請を行った自治体の中から3カ所を上限として区域が認定されるという流れになっています。
 区域認定の申請や、その認定の時期については、国の基本方針が示された後に明確になるため、現在のところは未定となっております。また、候補地が決定してから開業までの時期についても現在のところ明らかになっていませんが、国は2020年代の半ばに日本で初めてのIRが開業するとの見通しを示しているところでございます。
○議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、和歌山県は現在、知事を筆頭に強力に誘致を推進しているところですが、県として一体どのような取り組みをしているのでしょうか。また、IR誘致推進プロジェクトチームでは、どのような取り組みが行われているのでしょうか。そして、大事なことは、IR誘致のためにはさらなる県民の皆さんの理解、誘致機運の醸成が必要だと思いますが、いかがでしょうか。この点、知事にお尋ねしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県では、本年4月のIR整備法案の国会への上程を受け、5月に和歌山県IR基本構想を公表し、それをもとに民間事業者の投資意欲を具体的な形で提案いただくために、投資意向調査──これはRFIと言いますが──を実施したところであります。その結果、海外事業者7社、国内事業者26社から提案をいただきました。
 10月には、この民間事業者からいただいた提案内容も反映をさせた和歌山県IR基本構想改訂版を公表し、関係事業者に周知を行うとともに、実施方針の策定に向け、意見交換を重ねているところでございます。
 今後も国の動向を注視しつつ、最終的に国に提出する区域整備計画の作成に向けた準備をいち早く進め、国の認定を受けられるよう取り組みを進める所存であります。
 議員御質問の和歌山県IR誘致推進プロジェクトチームは、教育委員会や警察を含む20課で構成しておりまして、食材やサービス等の地元優先調達や他の観光施設との連携など、IR誘致を契機に地域経済を発展させるための施策や、またギャンブル依存症対策や反社会的勢力の排除、青少年への悪影響の除去などの対策、あるいは交通インフラの整備などといったIR誘致に係る諸課題の解決に向けた施策の立案等に取り組んでいるところでございます。
 次に、議員御指摘のとおり、IRの誘致を円滑に進めるためには、県民の理解が必要であると考えております。そのために県では、これまでもシンポジウムを初め、経済団体や企業での「出張!県政おはなし講座」の開催など、さまざまな機会を捉えて、和歌山県が目指すIRとはどのようなものなのか、なぜ本県が誘致を目指すのか、また、地域にもたらされるメリットや課題への具体的対策等について積極的に発信してきたところであります。
 引き続き、本県へのIR誘致の機運醸成に向けてこうした取り組みを積み重ねるとともに、地元経済界などと共同したIRビジネスセミナーの開催など、新たな取り組みも行っていく所存であります。加えて、IRの誘致に反対あるいは心配をお持ちの方がいることを前提にして、より謙虚にかつ丁寧に説明を重ねていく所存であります。
○議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、大阪府との近接性について質問をさせていただきたいと思います。
 大阪府では日本万博開催が決定したことから、IRに関しても大阪府が有利になったという話があちこちから聞こえてきます、根拠があるかないかは別として。残る2カ所は、北海道、長崎など、ほかの府県と争う状況にもなっているかもしれません。ただ、大阪府が有力地だとすると、近接する和歌山県は不利になるのではないかと県民の方々が思っているようで、そういう質問をたくさん受けております。和歌山県は候補地にこれでなり得ることはないでしょうという問いもたくさんあります。
 そこで、大阪府と和歌山県の両方が決定地になることの可能性について、知事の答弁をお願いしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) IR整備法では認定区域数の上限が3カ所とされたために、本県は他の誘致自治体と競争しなければならないということになりました。そういった状況の中で、一部の人の間では、関西では二つは認定されないだろうという余り意味のない臆測があるようでございます。
 確かに、そういった区域認定の決定の際に地域バランスが法律にビルトインされていると、これは大変でございまして、かなり不利になるわけでございます。そこで、県ではいろいろ調べておりまして、大変はらはらと法律のできぐあいなども見ていました。法律には、そんな地域限定の話、そういう地域バランスのような話は全然書いておりませんし、また、国会での議論もそういうものはありませんでした。
 実は、3カ所ということになったときの話が、このIR整備法に先立つIR基本法の際の国会審議のときにちょっとそういう話が出たというのがあって、それがどうもひっかかってしまって、最終的にいろいろ議論の結果、もう一回やっぱり3カ所ということになったというのもあるんです。
 したがって、法律の議論の際あるいは附帯決議、そういうものにいろんなものが書いてあるとまずいなあとか、そういう議論されているとまずいなあということがございまして、はらはらしておりましたが、全然ございません。
 それから、法律の運用をするのは国交大臣初め政府の方でございますから、国交大臣とは直接はそういう議論はしておりませんが、さまざまな政府関係者に対して「地域バランスが前提となりませんよね」というようなことを申し上げ、「法の趣旨に沿ったよい計画から選定されるということですよね」というふうに確認したところ、関係者からは、全員、そのとおりだという回答をいただいております。
 したがって、我々は、このベストスリーの中に入ればいいんで、別に大阪に勝つ負けるというのはあんまり関係ないというふうに考えております。
 ただ、そういうこともあんまり踏まえず、頭の中に新しい情報というか正しい情報を入れないで、すなわちちゃんと取材をしないで、今までの自分の思考回路だけで、こうなるはずだといううわさ話をしたり、ミニコミ誌などで流したりする向きが多くて困ったもんだなあというふうに思っております。
 そういう事態を踏まえまして、民間事業者との面談の際には、「地域バランスを考慮して選定するとは法に規定されておらず、また、そのことを政府にも確認していますよ」と。「ですから、安心して和歌山に申請してくれたって結構ですよ」というようなことを言うておって、民間事業者の理解が得られております。
 実は、民間事業者の意見は、これはほとんど全ての人だと思いますけど、オペレーターになりそうな全ての人だと思いますが、「IRは近くに複数あったほうがビジネスとしては相乗効果があっていいんです」というようなことを全員が口をそろえたように言うてました。
 日本のIR制度の手本とされてるシンガポールでは、都市型のマリーナベイ・サンズとリゾート型のリゾート・ワールド・セントーサという二つのIRが、大変狭い国ですから、大変近接したところに二つございまして、同時に開業して同時に相乗効果を上げております。
 和歌山のIRは、大阪とはコンセプトが多分異なる、本県の観光資源を生かしたリゾート型のIRになると思うわけでございまして、シンガポールの事例と同様に、大阪と和歌山、二つのIRは十分共存可能だと考えております。
 実は、大阪でも、近接地は不利だと考えて、どうやら和歌山IRを敵視する向きがあるような懸念があると感じられましたもんですから、共存すればいいというようなことを例えば知事さんとか、あるいは政治家さんとか財界人に言って回ってるところでございます。
○議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事の答弁をいただきまして、僕もIRに関してはいろんな説明というか、そんなのを集めてやってるわけなんですけど、一番多いのが、やっぱり大阪ができると和歌山は難しいんではないかという声だったんですけど、今の丁寧な答弁をいただきまして、そういった口調で僕なりにはまた対応していきたいと思いますんで、よろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、2問目であります。
 外交史料展について質問をさしていただきます。
 ことし、外務省外交史料館で開催された外交史料展は、会期を延長するなど好評のうちに閉会をいたしました。最初は、「明治150年記念展示国書・親書にみる明治の日本外交」、これが開催されまして、続きまして、「明治150年記念展示条約書にみる明治の日本外交」が開催されました。どちらの記念展示も、先ほど言いましたように、会期を延長したほど好評だったようであります。
 この外交史料展を来年度は和歌山版というふうな形で開催する方向で企画を進めてくれていることから、明治維新150年記念の翌年に和歌山県がその精神を受け継いで開催してくれることになり、この心意気にどうしても期待が高まります。
 展示物の中でも特に今回、目を引いたのが、明治21年11月30日に調印された日墨修好通商条約批准書、この実物だったわけですが、貴重な資料として多くの来場者が鑑賞していたようです。この批准書は、当時の陸奥宗光駐米公使、ロメロ駐米メキシコ公使との間で調印されたもので、日本の法律に従うことを条件にメキシコ人の内地雑居を認めた総合対等の条約であり、欧米諸国との条約改正を目指す我が国にとって重要な先例になったものです。
 批准書の表紙は赤色。メキシコらしいワシのワークが批准書の表紙に飾られています。このワシは銀製で、重厚な歴史の重みを伝えてくれるようなものでありました。この歴史の重みを感じられたのは、陸奥駐米公使とロメロ駐米メキシコ公使が交わした本物だけが宿している批准書だからこそだと思います。
 和歌山県からもこの外交史料展に多くの方、特に若い人に見に行っていただきました。同資料館の冨塚日本外交文書編さん室長は、「和歌山県庁の方々が来訪され、県議会で日本の明治外交展を和歌山県で開催したいという申し出をいただきまして、来年の秋の10月から11月にかけて陸奥宗光外務大臣を中心とした日本の明治外交展を和歌山県で開催することを進めています。ぜひ楽しみにしてください」と、こういった説明もあって期待感が膨らんだと感想を聞かせていただきました。
 偉人がかかわった歴史的偉業の批准書などを間近で見た和歌山県の皆さん方から意見をいただいてます。「こんな大事なものを見られるなんて、すごい体験をしてきました」、「和歌山県で開催されることがとても楽しみです」。感激したことの報告を受けることができました。
 特に、ことしは日墨修好通商条約締結130周年の節目の年であり、来年度の和歌山県開催の外交史料展において、この批准書を展示することは歴史の重みを感じられて意味のあることだと思います。とにかく本物の史料を提示することに和歌山県開催の意味があり、価値のあることだと思います。
 外交史料館には、この日墨修好通商条約批准書を初め、陸奥元外務大臣にかかわる史料があることから、和歌山県での開催においては、この批准書や日英通商航海条約調印書及び批准書など、陸奥元外務大臣がかかわって成立した全ての史料もお借りして展示すべきだと思います。とにかく本物の史料に触れる機会、歴史に触れる機会、それこそ価値があり、歴史を感じることができるのです。レプリカでは、歴史の出来事を想像し感動を味わることは絶対できません。
 また、以前、和歌山市立博物館で開催した陸奥宗光展の資料や民間の方々がお持ちの資料をお借りするなど、和歌山県らしさとふるさとに誇りを持てるような史料展に仕上げてほしいと思います。
 そこで、質問であります。現在計画している外交史料展の開催概要について、来年10月だとお聞きしておりますが、お示しをいただきたいと思います。開催時期、規模、展示物の点数などについても言及していただけたらと思います。
 なお、展示史料は本物であることが一番大事だと思います。和歌山県開催のときは本物の史料を展示したいので、貸し出しを外交史料館に尋ねたところ、「必要な史料を示してくれたら前向きにお応えできるよう検討します」という話をいただいておりますから、よろしくお願いしたいと思います。
 また、開会あるいは開会式に合わせて専門家にお越しいただき、明治の我が国の外交について講演してもらうことも希望したいと思います。一級品の展示物とともに専門家の話を聞くことで、県民の皆さんの歴史観が深まると思うからです。開会後の講演会についても検討してほしいと希望しますが、いかがでしょうか。
 以上、企画部長の答弁をお願いいたします。
○議長(藤山将材君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 外交史料展につきましては、陸奥宗光に関する史料を中心に展示を行うために、来年秋ごろの開催に向け検討を重ねているところです。
 開催期間、規模、展示点数につきましては、史料を所管・保有している外務省の外交史料館と調整中でありますが、議員御提案のように、本物の唯一無二の貴重な史料に触れることができるように、引き続き協議を進めてまいります。
 また、多くの方々に陸奥の功績を理解していただけるように、外交史料展に合わせて講演会等の関連行事を開催することについても検討してまいります。
○議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えをいただきました。
 ちょうど、これ、さきの新聞なんですけれども、「湊町365」という記事がありまして、今、東京でフェルメール展というのがやられてます。少し観点が違うんですが、このフェルメールというのが、御存じのように残された作品が少なくて、非常に贋作が多い、にせものが多いということなんですが、今回、本物の──当たり前ですけど──フェルメール展をしたところ、非常に好評で、多くの人が入ってきていると。
 やっぱり多くの人は歴史的なものについては本物を求めているんで、しっかりとそういった観点から、今、データ改ざん、検査不足などいろんなまがいものが多いんですけども、ほんまもんをすべきだという、こういう展示物の中で、これは「産経新聞」ですが、こういった論調が出ております。ぜひ和歌山県でこの史料展を開催の場合は本物を展示して、しっかりと県民の皆さんの歴史観を深めていただく、このような開催を期待したいと思います。
 続きまして、外交史料展を教育に生かすことについてお尋ねしたいと思います。
 この外交史料展は、県内の中学生、高校生にも修学のために訪れられる企画に、そして学校教育の一環にしてほしいと思います。和歌山県において外交史料に触れられる機会は、今回を逃すと次の機会はなかなかないと思うからです。県内の中学生と高校生に外国史料展を学校教育の一環として見てもらい、先人たちが命がけでこの国を守ってきた歴史を学ぶことは、学生の将来に大きな影響を与えると確信しています。
 教育の一環として県内の中学生、高校生に外交史料展を修学する機会にしてほしいと思いますが、教育長、ぜひ県内の中高生に本物の近現代史に触れるチャンスを生かすように熱望したいと思います。
 また、講演会を開催する場合、県内の高校生もしくは中学生に特別授業として位置づけを行い、その後に開催場所で史料展を見てもらう、こういった企画はいかがでしょうか。教育長の答弁をお願いしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、子供たちが和歌山ゆかりの先人や豊かな自然、伝統と文化などについて学び、ふるさとに対する愛着と誇りを育むよう取り組んでいるところです。また、各学校では、さまざまな教育活動において実体験や実物に触れることによる教育的効果を重視し、博物館や美術館を初めとする県内の各施設の活用を図っております。
 こうした中、明治の外交史にさん然と輝く陸奥宗光の業績に触れる機会となる外交史料展の見学や、日本の外交史等について専門家から直接話を聞くことは、ふるさと教育とともに歴史への興味・関心を高め、深い学びにつながる有意義なものと考えております。
 本県で外交史料展及び講演会が開催される際には、市町村教育委員会とともに活用できるよう進めてまいります。
○議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 続きまして、日墨修好条約締結130年記念シンポジウムについて少し触れさせていただきたいと思います。
 12月8日に和歌山市内で開催されたのが日墨修好条約締結130周年記念シンポジウムです。ここには、佐藤外務副大臣から「陸奥宗光外務大臣が結んだ平等条約の想いと、これからの私たちの歩み」と題した講演があり、続いてパネルディスカッションでは、「明治150年-新国家への夜明け-」と題して討論がなされました。
 パネリストは、郷士坂本家──これは坂本龍馬ですが──10代目の坂本匡弘さん、中野外務省中南米局中米カリブ課課長、県内の小中学校に出かけて陸奥伯の出前授業を実施している福田光男元和歌山市立雄湊小学校校長が参加してくれました。進行役はたしか県の職員さんが務めていただいたと思うんですが、坂本さんからは、坂本龍馬についてこんな話がありました。
 龍馬は、身分制度をなくさないと、この日本はよくならないと幼いころから感じていたようで、平等な国をつくるための行動へとつながっていったのは、この若いころというか幼いころの経験に基づくものだったと伝えてくれました。そして、その龍馬の弟子であった陸奥宗光は、その精神を引き継いで明治国家の基礎を築いていってくれたように思うと話していただきました。
 さて、その精神とはどういうことかと尋ねたところ、人のため、国のために尽くす、言葉で言いますと自忘他利、この精神であり、他人のために尽くすことこそ価値があるということです。もう少し言いますと、自分のこと、自分の利益を忘れてでも他人の利益を優先させ、人、国のために平等な社会を築こうとした龍馬の精神が陸奥に宿り、後の不平等条約改正へとつながっていく、この師弟の思いが明治時代の基礎を築いてくれたように感じました。
 シンポジウムの翌日、昨日ですが、この10代目・坂本匡弘さん、それから外務省からも職員さんが来てくれまして、ともに岡公園に行き、陸奥宗光伯銅像を見学、その後、和歌山城の見学と天守閣へ上る、そういった案内をさしていただきました。和歌山市の歴史を感じられる現地を訪ねることで、和歌山県の歴史と偉人の功績を強く認識してもらったと思います。
 このシンポジウムには企画部長も出席してくれていましたから、このシンポジウムの感想及び来年開催の外交史料展に向けての意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
○議長(藤山将材君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 議員御質問の「陸奥宗光外務大臣」の功績を教育に活かす実行委員会主催のシンポジウムの感想についてでございますが、まず、陸奥宗光伯の功績を顕彰しようという取り組みが民間主導で行われていると、こういったことはまず大きな意義があると思っております。
 シンポジウムの内容についても、佐藤外務副大臣が陸奥伯の「最悪に備えて最善を尽くす」という外交方針は現在の外交にも通ずるものだということを、みずからのイラク派遣の体験談などを踏まえながら、かなり説得力を持ってお話をされて、感銘深いものであったというふうに思っております。その基調講演、パネルディスカッションにつきまして、出席された多くの方が熱心に聞いておられる姿を拝見しまして、改めて陸奥宗光と彼が生きた時代への関心の高さを実感いたしました。
 このような郷土の歴史や偉人の功績を知ることは、ふるさとへの愛着や誇りへとつながり、継続的で多様な取り組みが重要と考えております。
 県におきましても、平成24年度に陸奥の外務大臣就任120年を記念して、東京と和歌山の2カ所でシンポジウムを開催し、昨年9月にも没後120年を記念してシンポジウムを開催いたしました。さらに、来る12月15日、この土曜日でございますが、陸奥を中心に明治150年を記念したシンポジウムを開催いたしますので、県民の皆様とともに歴史の歩みを振り返り、来年の外交史料展につなげていきたいと、そういうふうに考えております。
○議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、第3問目、宇宙教育について質問に入らしていただきたいと思います。
 和歌山県の宇宙に関しての取り組みは教育委員会が以前から実施していますが、早くから宇宙というものを受け入れるための土壌を醸成してきた、その炯眼に敬意を表したいと思います。
 そのきっかけとなったのが、平成23年3月、和歌山県教育委員会が教育現場で宇宙教育を推進する教師集団・JAXAスペースティーチャーズ和歌山を設置し、教職員など9人にスペースティーチャーズ和歌山を委嘱して以降、活動を行ってきたことがその証左になります。これは、当時、宇宙航空研究開発機構、いわゆるJAXAですが、和歌山県教育委員会と協力して設置したもので、JAXAが全国で初めて都道府県と連携して取り組んだすばらしい事例です。
 このように、これまで和歌山県は全国のどの都市よりも宇宙に関する教育や講演会を実施してきました。これまでの主な経緯、私の知ってるのを述べさせていただきますと、まず平成22年7月、アメリカ・アラバマ州ハンツビルで実施されたボーイング2010年度・教師のためのスペース・キャンプ・プログラム、この日本代表に和歌山県から教師が参加しています。世界12カ国102名の教師が参加したのですが、日本からはただ1人、和歌山県から選出されています。
 これは、JAXA宇宙教育センターとの連携による宇宙を切り口とした総合的教育システムの構築による地域再生、すなわち「宇宙の可能性は無限で、宇宙教育は理数の分野に限らない」という概念に基づいて、英語教育を専門とする指導主事──当時の指導主事ですが、推薦が認められ、見事日本代表に選ばれて選出してます。科学の分野ではなくて英語の教師が選ばれたというところに、和歌山県のすごさがあると思います。
 そして、同年10月8日から10日まで、JAXA筑波宇宙センターの宇宙飛行士訓練施設を活用した和歌山県の教員を対象としたJAXA教師のためのスペース・プログラム、これはJAXA宇宙教育センターと和歌山大学観光学部が共同で企画・開発したものが開催されております。研修には和歌山県内から教師が参加し、将来、全国の教師並びに海外の教師、これは教育を切り口とした外交ツールとしても活用できるものを習得してきました。実は私は、このとき、つくば市にあるこのJAXAを訪問して、現地でこの研修の様子を見学、体験させていただいた1人であります。
 さて、和歌山県とJAXAとの協定によって、理数系の教科だけではなく、環境教育、外国語教育などの学習活動の充実を図り、子供・生徒への学習への興味、関心、意欲を高めるとともに、宇宙への夢をきっかけとして子供たちに広く科学への関心を持たせることを目的に教育委員会はこの教育を推進していると思います。
 具体的には、中学生にはスペース体験プログラムへの派遣、教師のためのスペース・プログラムへの派遣──これは先ほど紹介したものです──JAXA筑波宇宙センター職員と連携した教育実践も行ってきたことによって、宇宙教育プログラムの活用が図られてきたと思います。
 こうした本県での宇宙教育についてお聞きする前に、関連して、今議会で債務負担行為を予定しているわかやま版PFI制度の趣旨について、まずお尋ねしたいと思います。
 企業の初期投資を軽減するために、わかやま版PFI制度を設立し、今議会への提案となっていますが、いま一度、この制度についてお聞かせをいただきたいと思います。商工観光労働部長の答弁をお願いします。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) PFI法に基づくPFIは、民間のノウハウを活用し、行政が運営する公共施設等の建設、維持管理等をより効率的に行うものであります。
 一方、議員御質問のわかやま版PFIにつきましては、和歌山県独自の制度として、高級ホテルや今回の小型ロケット発射場など、大規模な民間投資を積極的に呼び込むための支援策として県が企業の初期投資の負担を軽減するもので、現在、2種類の制度があります。一つは、県内に投資をしようとする企業にかわって県が土地を調査、取得、造成し、企業に賃貸する制度で、もう一つは、企業自身が土地の調査、取得、造成を行う場合、その費用に対して県が無利子で長期に融資を行う制度であります。
○議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えいただきまして、ありがとうございます。
 きょう、お昼の時間にたまたまなんですけどもJAXAの方から電話を偶然いただきまして、「きょう昼から宇宙教育とか質問するんですけど、わかって電話くれたんですか」と言うたら「たまたまです」ということがありまして、JAXAでも和歌山県の今言いました民間ロケットを何とか支援したいというふうな話をいただきましたし、「宇宙教育、23年度から続けてくれてるんで、ちゃんとした土壌があるよね」と、「また、力を入れて、そっちへも講演しに行きたいんだとちょうど考えていたところなんで電話をしました」ということで、「いや、きょう昼からするんですよ」と、こんな話をさせていただいたところで、多分、これ見てくれてると思うんですけども、しっかりとこういった土壌づくり、土台づくりというのを今から進めていけたらなと思います。
 さて、スペースティーチャーの活動についてですが、和歌山県において、教育委員会においては、このスペースティーチャーを筆頭とする宇宙教育が実践されていることから、学習した子供たちの宇宙への関心が高いと思いますが、それは和歌山県の教育として誇るべきことだと思います。民間ロケット事業者にも、和歌山県では宇宙教育を実践、今までしてきたからこそ、この事業には関心が高いことを説明することで、誘致に有利に運ぶかもしれません。
 全国に先駆けて発足し活動しているスペースティーチャーの活動について、教育長の説明をお願いしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) JAXAが主催する研修事業、教師のためのスペース・プログラムは、平成22年度に行われたもので、当時受講した教員がスペースティーチャーとして現在も活動を続けております。
 スペースティーチャーの活動につきましては、宇宙及び科学に関する教育活動等を目的に設立された公益財団法人日本宇宙少年団の和歌山分団において、講師としてロケットの制御に関するプログラミング、水ロケットの製作・打ち上げ、国際宇宙ステーションでの公用語である英語などを指導しております。
 また、勤務する学校においては、人工衛星の太陽電池パネルの展開方法であるミウラ折りなど、JAXAの資料を活用して指導したり、惑星について学ぶカードゲームやビニール袋を使ったロケット等の教材をみずから開発し、教科や科学部の指導に生かしております。開発した教材はJAXAにも提供され、その一つはすぐれた教材であると認められて、NASAのジョンソン宇宙センターで開かれた教員研修会で日本の代表として発表しております。スペースティーチャーは、本県の宇宙に関する教育を推進する役割を果たしてきてございます。
○議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、この項目の最終です。
 宇宙教育の成果と今後の取り組みについてお尋ねしたいと思います。
 宇宙教育は理数系教科のみならず、環境教育、外国語教育、学習活動の充実を図り、生徒の学習への興味・関心の意欲を高めるために、宇宙への夢をきっかけとして子供たちに広く科学への関心を持たせられると教育委員会では考えていると今の答弁では思いますが、宇宙教育の成果と今後の取り組みについて、教育長からお聞かせいただけたらと思います。
○議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、JAXAとの連携協定に基づき、JAXAの職員が中学校や高等学校に出向いて宇宙に関する講義を行ってもらったり、高校生がJAXA種子島宇宙センターを見学したりするなどの機会を提供しております。
 また、県教育委員会が実施している講演会・高校生のための和歌山未来塾において、JAXAを初め、宇宙に関する研究機関等の研究者にも講師を務めていただいております。
 宇宙に関連した取り組みの一つとして、缶サット甲子園がございます。この競技会は、高校生が自分たちでつくった模擬人工衛星を打ち上げ、気象状況の観測等、みずから設定したミッションを遂行させる技術力や創造力を競うものです。本県の高校生は、これまで毎年のように上位入賞を果たすなど優秀な成績をおさめており、高度な知識と技術を有する生徒が育っております。今年度は、スペースティーチャーである教員が指導する県立高校生が全国大会で優勝し、来年6月にヨーロッパで開催される世界大会に招かれております。
 今後も引き続き、宇宙を初め、科学への興味・関心を高める取り組みを進めてまいります。
○議長(藤山将材君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今回は、統合型リゾート、外交史料展、宇宙教育についてと3問で議論を交わさせていただきました。
 統合型リゾートについては、これからますます県民の皆さんの理解が必要だというふうに思いますし、史料展についても郷土の偉人を敬うというんでしょうか、郷土に誇りを持つ、こういった意識を醸成したいという思いで質問をさせていただきました。
 そして、宇宙教育については、全国に先駆けて科学であるとか英語であるとか、そういった教育に取り組んでいる子供たちの意識の高さというふうなものを何とかつなげていきたいという思いで質問をさせていただいたわけなんですが、仁坂県政4期目については、過去、県の課題について県民の皆さんの理解を得る、あるいは意識をこっちへ向いてもらう、醸成していく、そういった形で進めていただけたらと思いますので、そのことを祈念しつつ一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 28番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 仁坂知事、当選おめでとうございます。新たな気持ちで難局に立ち向かっていただきたい、そのように思います。
 ちょっと気になることがあります。知事は、今議会から眼鏡を外しています。なぜなんだろう。そんなこと、そんな小さなことが気になるきょうこのごろであります。
 初日の4人目であります。皆さん、お疲れのことと思いますが、いましばらくおつき合いをいただければありがたいな、そのように思っております。
 ことしも大変たくさんの大きなニュースがありました。その中でも本庶佑さんがノーベル賞を受賞された。これは私も思いましたけれども、晴れやかで誇らしい、うれしいニュースであったと思っています。
 きょうもお昼のニュースで記者会見の模様を映しておりましたが、今、ストックホルムではノーベルウイークが始まっており、6日の会見では、2050年までにはほとんどのがんが免疫療法で治癒できるようになると言い、完全にがんが消せなくても増殖を抑えられるのではないか、そんなことを言っています。もうすぐがんのなくなる時代がやってくる、そのように実感をいたしました。
 また、本庶さんは、ノーベル賞が決定したとき、「私が医者になっても治せる患者には限りがある。しかし、基礎研究から病気を治療する方法を発見すれば、多くの人たちを治すことになる」と言っており、基礎基本の大切さを力説しておられました。
 私などは、人生の基礎基本より野球の基礎基本ばかりを教えられ、まだまだ修行が足りない、そんなことを自覚させられています。これは中本議員も藤山議長も同じような立場であったかと思いますが、お2人はもっと立派な方ですんで、私も勉強をさせていただきたい、そのように思っております。
 たしかノーベル賞の授賞式が本日の夜中といいますか、あすの朝というか12時とか1時とかその辺にあるそうですが、厳粛な授賞式をお迎えになるんだと思います。さらなる御活躍をお祈りするとともに、和歌山県からノーベル賞をもらう人が出たらいいな、また和歌山県人が、ほかのことでもいいんです、どこの土地でもいいですから、ノーベル賞というものがあったらうれしいな、そんなことを思っています。
 余り余談が長くなると失言をしてしまいます。議長のお許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。
 ことしは、大変自然災害が多かった年だと思っています。たくさんの方がお亡くなりになり、今も避難をされている方も多くいます。心からお悔やみ申し上げますとともに、お見舞いを申し上げます。
 この自然の力が関西経済に大きな打撃を与え、我が県にも多大なる被害が出ています。企業によれば損害が大きく、今後の経営に支障を来すかもしれないと大きなため息をついています。それでなくても地方都市の中小企業や零細企業は経営不振にあえいでいる会社も少なくありません。まずは県内の復旧活動が大切ですし、県を挙げて一丸となって県内企業が元気な姿に戻れるよう、最大限の応援をお願いいたします。
 そこで、気になるのが関西国際空港の連絡橋であります。台風の影響でタンカーがぶつかり、通行が不能になり、多くの人が空港島に取り残されました。前から言われていることでありますが、24時間運用の国際空港に道路が1本しかない。鉄道も1本しかない。これは欠陥と言わざるを得ないのではないか。何とかもう1本と私が声を張り上げても、影響力はありません。
 そこで、知事、いつやるの。今でしょ。和歌山県は厳しい状況にあります。それを救う手段の一つとして関西国際空港の南ルートをつくることであると声を上げてほしいのであります。
 南ルートはトンネルでつなぎ、連絡橋がだめになってもトンネルは大丈夫だということにしていけば、この空港は本当に24時間365日、運用ができていくんだろうと思いますし、当然そのトンネルには車も走れる、列車も通る。南海電車のラピートが空港を経由して和歌山市駅に乗り入れる。JR和歌山駅を出発したはるかが関西空港を経て京都まで行く。そんなルートをつくることが和歌山の飛躍につながるものと考えています。
 これは、関西国際空港の利便性を考えるだけではなく観光用にも利用でき、京都から大阪から外国人観光客が白浜へ、高野山へ、熊野古道へと来てくれるルートができるのであります。
 実は、私も1日違いで関空に閉じ込められるところでありました。東京での会議が台風のため中止になり、難を逃れました。
 自然災害に見舞われた関西国際空港、この空港は和歌山県にとって大切な空港であることを再認識し、観光や経済活動に十分生かしていく必要があると考えています。それは知事も考えていることだと思います。
 関西国際空港のある場所は和歌山県ではありませんが、生活や仕事、教育や医療、福祉など幅広い分野にかかわっています。この関西国際空港を和歌山県のために大いに利用するため、どうしても南ルートが必要です。今こそ声を大にして言うべき時期だと思います。
 しかし、ここで問題があります。和歌山県の長期総合計画には、この南ルートのことは書いていません。まあ知事のことですから、そんなもんに書いていなくても必要だと判断すれば、事業化なり行動を起こすことは今まででもありました。トップダウンで事業をされたこともあります。ですから、必要だと判断するかしないかということになってきます。
 別の考え方をすれば、今後、和歌山県が厳しい時代を生き抜くために、どう戦略を練り、どんな戦術を使って大都市や元気な地域に立ち向かっていくのかということに対し、どれだけ我々が知恵を出し汗をかくか、正念場に来ていると思います。
 知事も4期目です。勝負の4期目だと思います。県民は大変な期待をしていると考えねばなりません。そこで、関西国際空港南ルートに関しての知事の思いを聞かせてください。
○議長(藤山将材君) ただいまの新島雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 関西国際空港と対岸を結ぶルートについては、建設計画案検討の過程で、当面、北ルートが適切と判断されたことから、南ルートについては当初の建設計画には盛り込まれず、その後は地元の自治体等から国に対して整備の要望がなされてきたところであります。
 本年9月の台風21号によりまして、関西国際空港連絡橋が被災し、通行が制限される事態が生じたことから、南ルートの整備は災害時におけるリダンダンシーの確保や広域的な交通ネットワークの強化に寄与するものであると認識しております。
 とりわけ四国新幹線でございます。それと関空新幹線、これは最近でございますけども、橋下知事などが言い出して、ちょっと脚光を浴びました。ほかのものは道路関係ですが、これら全部あわせて実現をしようということで、「今でしょ」ということで、私が関係府県の知事に直接働きかけをいたしまして、平成25年に関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会を結成いたしました。
 これで早期整備を要望している四国新幹線のルートとして、当然、南から関空に入っていく何かのルートが要るもんですから、それはまさに南ルートだなというふうに思っておるわけでございます。まだそれがそうだというふうに決まってるわけではございませんが、南ルートの実現に当たっては、もちろん多額の建設費もかかることや採算性精査等の問題があることから、まずは国や関西国際空港のある大阪府の理解を得られるように働きかけるとともに、四国新幹線の関西国際空港へのアクセスになるからということで、今後も前向きに対応してまいりたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 知事が答弁をした中で、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会というのは、仁坂知事が肝いりで周りの行政の人たちを巻き込んでつくった協議会でありますんで、これをもっともっと前面に押し出していただいて、和歌山だけのことではないよ、日本の一つの方向性を出すためには必要なんだということを声高らかに言っていただいて、1年でも2年でも早く着工ができるような、そんな夢のような話を──夢ではないと思いますけれど、何とか実現していけるように力を入れていただきたい、そのように思っていますので、よろしくお願いをいたします。
 続いて、2問目に入ります。
 約1カ月少し前であります。フィリピンのマニラを訪れる機会をいただきました。私1人ではなく、同僚の前芝議員と2人であります。この2人ですから、当然、珍道中になります。しかし、内容はここでは言えません。聞きたい人は聞きに来てください。
 そのとき、調査項目は5項目ありました。その中の一つ、フィリピンと和歌山県の観光についてお尋ねをいたします。
 ことし10月1日付で、マニラにおいて日本政府観光局が事務所を開設いたしました。略称JNTO、ジャパン・ナショナル・ツーリズム・オーガナイゼーション。この事務所、開所の宣言だけはしていたのですが、実際に動き出したのが11月からであります。ですから、私たちが訪問したのは、実際の事務所が開設して1週間もたっていないような時期に伺いました。
 そこで、私は担当者に聞いたんです、「ほかの都道府県は営業に来てますか」。それは、今まで何らかの動きがJNTOにあった都道府県もあるんで、気になっておりました。新しい事務所の方はそれを聞いて、「お2人が初めてです」と言っていただいた。気持ちのいいもんですね。全国からいろんな都道府県の中で最初に訪問したのが和歌山県であるということ、大変気分がよくなったのを覚えています。
 そんなよい気分で話をしていますと、関西圏においてフィリピンからの観光客誘致に関する催しを開催する、そんなお話をいただきました。和歌山にはフィリピンの人たちが喜ぶ施設や歴史に加え、食べ物や温泉にも興味を持ってくれそうなのでうれしく思いますし、大きな市場と考えています。
 フィリピンと日本との間では、観光客、ビジネスも含めて42万人の人が来てくれています。日本からは58万人がフィリピンを訪れています。仕掛けをすれば、もっと多くの人々がフィリピンから日本に観光に来てくれて、営業次第で和歌山に多くの観光客が来てくれそうな予感を持って帰ってきました。ましてや、親日の国であります。
 じゃ、どうしたらいいやろう。勝手に、ない頭を絞ってみました。やってるかもしれませんが、フィリピンの有名なコメディアンか何かを和歌山へ呼んだらいかがかな。この人を和歌山の紹介したい場所へ連れていって紹介してもらう。これをユーチューブで流す。ちょっと安上がりで、いいんじゃないか。また、案外、今の若い人たちは僕らが思う以上にそういうものを見ているようであります。
 それと、もう一つはやっぱりこのJNTOをどう利用するかということですね。この人たちを利用した上で、フィリピンのマスコミ関係に取り入っていく。それも一つやと思います。僕が言うたからやらないかんとは思わないでください。でも、ぜひやってください。
 今回、マニラを訪れてみて感じたこと。関係者の話を聞いてみると、和歌山県としてはもっとフィリピンのほうを向いて営業せえよという意見が聞こえてまいりました。他府県も頑張っとるぞというような話も出ました。
 経済的な交流も大切やと思います。しかし、まず観光客を誘致することが手っ取り早いんではないか。その観光客を誘致する場所には、必要な地域や仕組みやと私は思っています。何にしても、このJNTO、ここに一つのチャンスがあるはずです。そういうことが、今回行ってみて初めてはっきりわかりました。
 そこで、商工観光労働部長にお聞きをいたします。今後のJNTO・日本政府観光局とのおつき合いの方法など現状認識をお示しいただくとともに、フィリピンからの観光客誘致に関して当局としてどのように考えているのか、お尋ねいたします。
 また、JNTOが開催すると言っていた関西圏でのイベントについて教えていただきたい。それ以外にも和歌山県としてかかわっていけるイベント等があると思いますので、今後の取り組みについても教えてください。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 日本政府観光局・JNTOは、現在21の地域に海外事務所を展開しており、それぞれの地域においてネットワークを有していることから、3年前からシドニー事務所に県職員を派遣しているほか、県外でのプロモーション活動や情報発信、旅行会社・メディアの招聘など、これまでも密接に連携してきたところです。
 フィリピンからの観光客誘致につきましては、平成29年の県内宿泊者数は478人とまだまだ少ない状況にありますが、本県にはフィリピン人の嗜好にマッチする美しい自然や景観やグルメなど、観光資源が豊富にあることから、今後、大きく伸ばせる余地のある有望市場であると考えています。
 このようなことから、県では、3年前から毎年7月に開催されるフィリピンの旅行博覧会にブースを出展し、県内の観光事業者とともに職員が現地に赴き、海外プロモーションを行ってまいりました。また、本年4月には、JICAフィリピン事務所に派遣していた職員を観光交流課付とし、フィリピン市場担当として、滞在経験を生かしたプロモーションに取り組んでいます。
 議員御指摘のとおり、現地の有名人を活用したプロモーションも有効な手段であり、本年2月には、フィリピンでカリスマ的人気を誇る女性シンガーソングライターにお越しいただき、SNSで情報発信をいただいたところです。また、先月末に日本政府観光局主催の商談会が神戸で開催されましたが、その機会にフィリピンの旅行会社10社に県内を視察いただくなど、旅行会社のファムトリップにも取り組んでおります。
 今後も、日本政府観光局が募集する国内外における旅行博覧会や商談会、セミナー等に積極的に参加をしていくとともに、今回新たに開設されたマニラ事務所とも連携を密にし、県内の観光協会や観光事業者とともに継続的にフィリピンへのプロモーションにも取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 答弁の中で478名という人数が言われました。なかなか厳しいなというのが現状であります。しかし、それは今までの行動から考えれば一遍にはいかないし、しかし、やり方によったら大きく伸ばせるということが言えると思います。
 一つ思ったのは、ハングル文字がちょくちょく見受けられました。なぜかなということをいろいろ現地の人に聞いたりすると、マニラは韓国から時差もほとんどない、3時間半ぐらいで来れるということで、物価も安いということで、3カ月の短期の英語研修に来るらしい。フィリピンの人たちは英語が話せます。もともとはタガログ語なんですが、小学校からの教育が全て英語なんです。だから、英語が絶対話せるんです。だから、韓国の人は英語を勉強しに3カ月とかの短期でマニラを訪れる、そう言ってました。
 この方法というのはちょっとした知恵なんだなというふうに思いましたし、観光だけじゃなしに日本語を勉強するのにフィリピンから日本で住んでもらう、和歌山に住んでもらうというのも一つなんだなというやり方もあるんだなと、反対をやれるんだなと、そんなことも考えましたので、またいろんな知恵を絞っていただけたらと思っています。
 まだまだスタートしたところだと思いますので、方法はいろいろ考えられると思います。よろしくお願いをいたしたいと思います。
 3問目に移ります。
 消費生活条例施行規則の一部改正に関してということであります。
 現在、第12期消費生活審議会の委員が、ことしの4月に委嘱をされました。そして、10月に第1回の会議が開催されています。内容は、学識経験者として大学の先生3名と弁護士2名、消費者として5名の方々、事業者として5名の計15名の方で構成をされています。
 いろんな議論をしていると思うのですが、私が注目するのは、訪問販売に関して新たな規制をするかしないかということであります。
 内容をちょっとだけ説明しますと、訪問販売には悪質な詐欺まがいの訪問販売もあるのは事実であります。高齢者がだまされて高価な買い物の契約をしてしまったとか、不要な商品を次々に購入させられるようなとんでもない話が後を絶ちません。それを防ぐためにという理由で、「訪問販売お断り」のステッカーを張っている家に訪問販売を行うことを一律に禁止するための規制改正について議論をしています。ただ、ステッカーでなくても、手書きでも効力があるようなことも言っておられます。
 私は思います。悪徳業者は、そんな法律ができようができまいが、お構いなしに今までどおり堂々と訪問販売を続けていくと思います。しかし、良識のある業種の人たちは、この規則を守る余り、経営が悪化したり、活動が縮小したり、近所づき合いがなくなったり、ひいては地域の安全・安心が守れなくなる事態にならないとも限りません。
 審議会の議論は、今のところ結論には至っておりません。アンケートの状況や全国の動き、必要なのか不必要なのか、そんなことを議論していただいてる最中だと聞いています。
 そのような中、ことし10月に知事宛てに日本新聞販売協会から、規制されれば新聞販売店が行っている社会貢献活動に支障を来すおそれもあり、社会的、公共的な役割を考慮していただき、慎重な検討をしてほしい旨の意見書が出されています。
 実は、私、数年前まで新聞販売店をやってました。はい。もう今はやっていません。潰れました。その経験を踏まえて、新聞販売店の業界ではどのような社会貢献をしているかといえば、先日も高齢者等の見守り活動に功績があったとして知事から感謝状をいただきました。この内容は、毎朝配達する新聞が夕刊を届けた折に、朝刊が朝のまま郵便受け、また新聞受けに残っているとか、いつもの電気がついていないとか、何かふだんと違うことがあり、通報することで一命を取りとめたとか、大きな事故や事件にならなかったと、そんなことがありましたし、あります。未然に防ぐ見守り隊の役目も担っています。
 その新聞販売店も消費生活条例施行規則の一部が改正されると規制がきつくなり、訪問販売による新聞の普及ができなくなってしまうだけでなく、地域貢献も危うくなってきます。新聞の訪問販売も、過激なときもありました。購読者を奪い合うような、そのために無理な勧誘をした時期もあります。しかし、自浄作用により改善を重ねてきました。新聞販売店だけではなく、業種によれば訪問販売をしなくても大丈夫だという業種もあるでしょう。しかし、だめな業種もあり、今後の審議を注目しているのが現実であります。
 そこでお聞きします。消費者保護の観点や事業者の立場を考慮していく中で、非常に難しい問題と捉えていますし、結論の出にくい問題であるとも考えています。しかし、消費者被害の防止は重要な問題であると思いますので、ステッカー等の貼付による訪問販売の規制と消費者保護について、環境生活部長はどう考えているのか、答弁を求めます。
○議長(藤山将材君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 「訪問販売お断り」と書かれたステッカー等を貼付した家庭への訪問販売を、規制の一部改正により不当な取引行為として規制することについての御質問についてお答えいたします。
 訪問販売事業者の一部には、消費生活センター等に苦情や相談が寄せられる悪質な事業者もいますが、その大半は従業員教育を徹底し、法令遵守に努めている健全な事業者です。消費者は、そうした事業者から新しい製品やサービス、情報を入手したり、商品配達時に高齢者の見守り支援を受けるなど、訪問販売により生活の利便性が向上しているという面もあります。
 また、規制については、ステッカーが貼付された時期が訪問の前か後かの特定や、貼付しているにもかかわらず訪問を行った事業者の特定、さらにステッカーを貼付していても不当な取引行為かそうでないかが消費者の意思によって左右される場合も想定されるなど、運用面での課題があります。
 こうしたことから、法律で認められた法律販売を「訪問販売お断り」ステッカーの貼付により一律に規制することは困難と考えます。
 しかしながら、悪質な訪問販売による消費者の被害防止については喫緊の課題であり、これまでも市町村や関係機関と連携して消費者への教育、啓発に努めるとともに、法令違反に対しては迅速で厳格な指導を行っているところであり、特に悪質なものについては警察に協力して検挙に至った例もあります。
 引き続き消費生活審議会の意見も伺いながら、悪質な訪問販売から消費者を守る方策について取り組みを充実してまいります。
○議長(藤山将材君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 答弁をいただきましたが、本当に消費者保護というのがまず第1だと思います。しかし、この問題についてはなかなか難しくて、部長もおっしゃっていたように運用面での課題もある。そして、その上で一律に規制することが困難であるというふうなところだと思います。
 確かに悪い業者がおれば、やっていただいたら結構なんです。やっていただいたら結構なんですが、頑張ってる人までやられるという、そこらが難しい、せめぎ合いがあると思いますので、今後とも注意深く見守ってやっていただけたらと思いますので、よろしくお願いを申し上げて終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時26分散会

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