平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号


平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 このたび、台風21号は大きな被害がありました。被災された皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。
 私も、5晩、ろうそく生活を経験いたしました。その後、私は紀美野町に入りまして、その被害の大きさに驚きました。谷合いの集落には木が倒れ、車が入れなくなっている。そこに町の職員は、3リットルのウオーターバッグを一輪車に載せて1軒1軒訪問したといいます。
 この議会の冒頭で、知事は、配付文書につけ加えて「日本で初めてのことと思いますが、立木の伐採を助けながら停電の解消に努めている」と述べられた。私は、大変大事なことだと感じながらお聞きしました。県民の苦難に心を砕き、やれることは何でもやるということは大事だと思います。紀美野町の町長さんも、仁坂知事からは何度もお見舞い、激励の電話をいただいたと感謝しておられました。
 災害といっても、道路が崩れたとなると道路の担当課が出かけて修復する、川があふれたとなると河川課が担当することになるのですが、停電となりますと、基本的には関西電力の復旧を見守るしかありません。
 では、行政がまずやるべきことは何だろうか。第1は、情報を共有して住民の安心を担保することでしょう。第2は、災害弱者についての安全を担保することでしょう。
 私自身、自分の家が停電になったときに考えたのは、私の家が停電になっていることを電力会社が把握してくれているのかどうかという不安でした。関西電力の停電窓口にはなかなかつながらない。和歌山市役所に電話してみました。少しつながりにくかったのですが、間もなくつながり、事情を申し上げると「関西電力に伝えます」と言ってくれました。停電を把握するシステムにふぐあいが生じたという報道があったから、なおさら心配しました。
 そこで、質問であります。
 第1点、停電があったとき、電力会社は、どこの家に電気が送れないのかということについて検知するシステムは持っているのでしょうか。停電情報システムのふぐあいというものは、どういう性格のものだったのでしょうか。商工観光労働部長から御説明いただきたいと思います。
○議長(藤山将材君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 関西電力では、高圧の配電線の停電状況を自動で感知し、市町村ごとの停電件数の概数をホームページで公表する停電情報システムと呼ばれるシステムを運用していると承知しております。
 ただし、このシステムでは、高圧の配電線より需要側にある変圧器のふぐあいや、建物への引き込み線の断線などに起因する停電については、個別に把握することができないと聞いております。
 また、関西電力に確認したところ、9月の4日午後から生じた停電情報システムのふぐあいは、台風21号の影響により想定以上に多くの停電が発生したことで、システムの処理能力を超えた情報処理を行った結果生じたものであるとのことです。同社では、システムサーバーの増強及びソフトウエアの改修を行い、6日の夜には同システムの機能を回復させたと聞いています。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 第2点、停電になれば、問い合わせ電話が殺到するのは当然です。電力会社だけではさばき切れない状況で、県、市町村にも電話が殺到したと聞いています。住民の安心を担保するための仕組みが必要です。自治体に関西電力が職員を派遣してくれたということも聞いたのですが、どういうことをしてくれたのか。今後、どういうことを検討しているのでしょうか。危機管理監からお答え願います。
○議長(藤山将材君) 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 関西電力が市町村に職員を派遣した理由についての御質問ですが、関西電力に確認したところ、市町村に台風第21号による停電に関しての問い合わせが殺到したことから、市町村からの要請により、停電箇所などの問い合わせ等の対応を行い、自社へ報告するなどの情報連携を行うことを目的に、市町村へ派遣したとのことです。
 なお、関西電力では、今後、今回のような停電の際には、必要に応じ、あらかじめ職員を市町村へ派遣する方針であると聞いております。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 このたびの停電が予想外に大規模で、復旧に時間がかかったということから、どういう課題が浮かび上がってきているのでしょうか。電線の老朽化というような問題はないのか。電線の地中化ということが進んでいたら、もう少し被害が少なかったのではないかなども考えます。
 特に紀美野町では、どんどん木が大きくなってくる山中に電線が走っているわけです。電線の地中化というのは、今までは都市部の話だと思っていたけれども、山林地域にこそ必要ではないかなとも思いました。1本の電線が切れても、別のルートで電気を送れるようなバイパスは考えられないのか。一遍にできることではありませんが、重点的にでもこうしたことが検討されなくてはならないと感じたんですが、関西電力はどう考えているのでしょうか。危機管理監にお伺いします。
○議長(藤山将材君) 危機管理監。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 議員御質問の山林地域での電線の地中化につきましては、関西電力に確認したところ、樹木の倒壊や風雨の影響を受けにくいものの、電線の破断などの事故点の把握に時間がかかることや、土砂災害の場合には復旧がさらに長期化するなど、さまざまな課題があるとのことです。
 また、電線ルートの複線化については停電を回避する有効な方法でありますが、山林地域で複数のルートを確保することは極めて困難であるとの回答がありました。
 一方、関西電力では、今回の停電を受け、9月14日に社長を委員長とする台風21号対応検証委員会を設置し、早期復旧、顧客対応、自治体との連携などの課題について改善策の検討を行い、それぞれの地域特性に応じた適切な送電ルートのあり方や、自然災害を踏まえた電線などの設備強度化の可能性についても検討されると聞いております。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 紀美野町でお伺いした地区には、10人のお年寄りが泊まり込んでいる介護施設があり、隣には集会所がある。1週間、停電しました。地域の業者の方が発電機を貸してくれて乗り切ったのですが、大変だったそうです。
 地域の消防団は、詰所ごとに発電機を持っているところがある。消防団なども含めて、地域の防災資源をフル動員できるシステム、例えば、町長が判断すればそれを使えるようなシステムが必要ではないかと思ったのですが、どのような対応をされたのでしょうか。危機管理監からお答えください。
○議長(藤山将材君) 危機管理監。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 市町村長は、災害時において住民の生命と財産を守るため、それぞれ地域の持てる資源を最大限活用して災害対応を行っております。
 議員御質問の紀美野町におきましても、停電が長期化した地域において、町、消防団、自主防災組織等が備えている発電機を診療所や避難施設等で活用するとともに、家庭用ボイラーを使用する各家庭に発電機を持ち回るなどの対応も行ったと聞いております。
 また、県としても、企業からの貸し出しの申し出があった発電機を調達して、町の希望を聞いて配布を行ったり、尾崎要二議員から直接御指導をいただきながら、紀美野町や有田川町と連携をとり、関西電力の移動電源車の配備を行うなど、支援に努めたところであり、今後とも災害時には、あらゆる資源を総動員して対応してまいります。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私の生活相談所に、電話がかからないので困るという相談が入りました。そこで、故障窓口、113番に電話をしてみました。時間はかかったんですが、やっと通じた。それで、電線が切れているようで、修理予約を受け付けますが、10月26日になりますという返事をもらったのです。もらったのは、たしか9月13日ごろだったと思います。NTTも随分、人減らし、合理化を進めてきた。その結果がこういうことかと思いましたが、今はそんなことを言ってもどうもなりません。
 そこで、私が考えたのは、電話回線にふぐあいが起きたところはたくさんあっても、今や携帯電話が普及している、電話線のふぐあいが起こった家庭で家族が1人も携帯電話を持っていない家庭に絞り込めば極めて少数ではないか、優先して修理するか携帯電話を無料で貸し出すことができるんではないか、こんなことも考えたわけでございます。
 県では、これまで固定電話の早期修復に向けてどのように働きかけてこられたのか。企画部長にお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) まず、NTTが電話のふぐあいをどのように把握するかについてですけれども、NTT西日本によりますと、通信ビル間の中継伝送設備の障害は自社システムにより把握できるものの、通信ビルから加入者宅までの電柱、ケーブル等の損傷については、主に利用者からの申告によって把握しており、また、それによって復旧対応を開始するということです。
 さらに、県内には停電時には利用できない光IP電話が約12万回線提供されておりまして、復電、要は電気が復旧するまでは通信ができるかわからず、復電後に利用者から申告があって始めてふぐあいがわかると、こういうふうになっているということです。
 このことを踏まえまして、県では、復電状況に鑑み、9月14日に知事の指示により、危機管理局から住民の方々に対し、固定電話のふぐあいがあった場合は、NTT側ではわからないので、NTTに申請を行うよう注意喚起いたしました。
 結果的に、県内でのNTTへの固定電話のふぐあいの申請については、発災翌日の9月5日では284件であったものの、復電するに従って増加し、昨日、9月20日までに延べ3556件あったということでございます。
 県では、NTT西日本が固定電話の復旧に長時間を要しており、県民生活に多大な影響を生じていることから、9月14日に、知事からNTT西日本の小林代表取締役に対し、通信復旧人員の増強を含め、早期の復旧を要請し、昨日9月20日時点までに2640件の復旧が完了したところです。
 また、9月19日には、NTT西日本から、今月末、9月末までに県内の全ての復旧作業が完了見込みとの報告がありました。議員の御質問にあった10月26日よりは早くなっておりますが、電力や携帯電話等の他のインフラと比較してやっぱり復旧のペースが非常に遅いということから、復旧を前倒しするよう強く要請しているところです。
 県としては、NTT西日本の固定電話の復旧状況を引き続き注視し、必要な対応をとっていくとともに、今回の台風第21号における通信事業者等の対応の検証を踏まえまして、今後の災害時における通信の確保や復旧のさらなる円滑化に向けた取り組みについて、協議を進めてまいります。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 実は、この質問通告を出した19日の昼過ぎなんですが、NTTの工事担当者から電話がありまして、私がお願いしていた2軒のうちの1軒、今から修理に向かいますということでした。10月26日に修理予定であったお宅です。こんなことになるのは結構なんですが、いろいろ考えますが、まずは、工事の担当者にはお礼を申し上げておきたいと思います。
 さて、次へ行きます。
 私は、県議会に出て16年目になります。気になるのは、何度も取り上げてきた事業がどこまで進んできたのか、見通しがどうなのかという問題です。
 その一つは、阪井バイパスをめぐる問題です。この道路は、海南市の西部と東部、さらに紀美野町へ向かうのに大動脈とも言うべき道路、私が県議会に出さしていただいたころに、ちょうど法線が煮詰まりかかっておりました。その間、いろいろなことがありまして、思い出深い道路なんですが。
 最近、道路協議会が開かれて、委員の方から、「今年度末までに供用というが、大丈夫なのか」という心配の声が出ておりました。残事業はどれだけあるのか、今年度予算はどれだけついているのか、年度内にできるのか、見通しを県土整備部長からお答えいただきたいと思います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 国道370号阪井バイパスの年度内完成につきまして、お尋ねをいただきました。
 国道370号阪井バイパスにつきましては、事業区間全線で工事を鋭意進めているところでございまして、事業の進捗はおおむね9割の状況でございます。
 残事業といたしましては、竜部池にかかる仮称・竜部橋の上部工事を初め、道場山の山切り工事や国道424号のつけかえ橋梁の上部工事、舗装工事などとなっております。
 平成30年度予算につきましては、全線の供用に必要な予算といたしまして、事業費12億5000万を当初予算で計上してございます。
 工事の見通しにつきましては、大規模な山切りなど時間を要する工事が残っており、工程は厳しいものの、しっかりと工程管理を行い、平成30年度末の供用に向け、引き続き取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 いよいよあと一歩まで来ましたので、安全には十分気をつけながら頑張っていただきたいと思っています。
 次に、海南市の津波防災堤防の問題です。
 私は、海南市は津波に弱い町と申し上げて、津波対策をお願いしてきました。この津波防災堤防にも紆余曲折がありました。国土交通省が、世界最初の浮上式津波防災堤防をつくりましょうと言い出したときには、私も期待いたしました。しかし、国土交通省の内部情報が伝わってきて、どうも雲行きがおかしくなって、結局、技術上の問題で浮上式防災堤防は中止になって、堤防のかさ上げが決まったわけでございます。
 事業の進捗はどうでしょうか。残事業は、予算ベースでどうなっているんでしょうか。今年度予算は幾らつき、完成年度はいつになるんでしょうか。県土整備部長からお願いいたします。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 海南市の津波防災堤防の進捗などに関しまして、お尋ねがございました。
 和歌山下津港海岸海南地区におけます直轄海岸保全施設整備事業につきましては、事業の進捗はおおむね4割の状況でございます。平成29年度末までに、関西電力海南発電所の西側護岸のかさ上げ改良や津波防波堤の新設、琴の浦水門の新設工事が完成しております。
 海南地区の沖側につきましては、琴の浦水門の取りつけ護岸工事が完成する今年度末で防護ラインが完成する見込みであり、また、湾奥部につきましては、日方水門の築造工事を実施しており、順次、日方護岸や築地護岸の改良工事を実施していく予定と伺っております。
 今年度予算及び残事業費につきましては、平成30年度当初国内示額は約20億円となっており、平成31年度以降の残事業費といたしましては約270億円となります。
 本事業につきましては、目標年度でございます2023年度の完成を目指し、事業の推進に取り組んでいくと国土交通省より聞いておりますので、県といたしましても、引き続き国の事業進捗に協力してまいりたいというふうに考えております。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 こちらは、ちょっと心配なんですね。事業完了が2023年の予定、つまりあと5年であります。残事業は270億円、そこに国の内示は20億円。県では50億円事業を予定していただいておりまして、これなら大体予定どおりにと思っていたんですが、国の内示は20億円しかついていない。これでは、12~13年かかってしまいます。
 南海・東南海地震、津波は、いつ来るかもしれない。ひとつこれは、国土交通省に計画を変更したんだから、その責任はしっかりとって約束を守っていただけるように迫っていただきたいと思っています。
 なお、この問題では、地元海南市や地元企業負担はおかしいということを申し上げていることも、つけ加えておきたいと思います。
 それでは、議長、次へ行かしてもらいます。
 第3は、河川整備計画に基づく整備の進捗状況です。
 異常気象、大雨が多くなり、大変心配です。亀の川下流、岡田・室山地域では、大雨のたびに浸水に悩まされています。特に、大坪川の水を亀の川がのみ込めないという問題があります。亀の川水系河川整備計画に基づく整備の進捗状況はどうでしょうか。大坪川沿川地域の浸水被害の軽減は図られるのでしょうか。
 そして、あわせて日方川水系河川整備計画に基づく整備の進捗状況はどうなっているのかをお聞かせください。日方川上流では、海南市重根メガソーラーのための林地開発が計画されています。この林地が開発された場合、山の保水力が低下することが懸念されます。日方川水系河川整備計画にどういう影響があるのかもお聞かせいただきたいと思います。県土整備部長からお願いいたします。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 亀の川と日方川の整備の進捗状況などにつきましてお尋ねがございました。
 亀の川につきましては、平成22年10月に亀の川水系河川整備計画を策定し、河口から紺屋橋までの約4.8キロメートル区間の堤防整備や河床掘削等を位置づけております。河川整備計画に基づき、河口から紺屋橋までの区間につきましては順次整備を進めておりまして、河口から約700メートル区間につきまして完成しているところでございます。
 今年度は、引き続き右岸の上流約200メートルの護岸工事を予定してございまして、今後も上流に向け、河川整備を実施してまいりたいというふうに考えております。
 また、支川の大坪川につきましては、亀の川合流点からJR橋までの約1.2キロの県管理区間のうち、平成28年度から室山団地前におきまして護岸の一部かさ上げなどの局所的な対策に着手し、今年度は合流点より河床掘削等を実施する予定でございます。
 さらに、市の管理区間でございますJR橋上流の岡田地域につきましては、浸水対策といたしまして、海南市が排水ポンプ場の整備に取り組んでいるというふうに聞いております。
 これら県・市による連携した取り組みによりまして、大坪川沿川の浸水被害が軽減されるというふうに考えております。
 続きまして、日方川について申し上げます。
 日方川につきましては、平成25年9月に日方川水系河川整備計画を策定し、河口から神田橋までの約1.5キロの区間の河道拡幅や河床掘削等を位置づけております。河川整備計画に基づき、河口から神田橋までの区間について順次整備を進めており、下橋付近から大橋付近を除く区間について護岸工事が完了しているところでございます。平成29年度より下橋かけかえ工事に着手し、平成31年度完成に向け進めており、残る大橋、新町橋のかけかえ等についても順次実施する予定でございます。
 これらの河川につきましては、今後ともさまざまな機会を通じて予算を確保し、事業を推進してまいりたいというふうに考えております。
 それから、海南市重根のメガソーラー計画によります日方川水系河川整備計画への影響についてでございますが、一般的に、森林には水源の涵養などのさまざまな機能がある中、森林伐採を伴う開発は、その機能を損なうこととなり、河川への雨水の流出が増加するおそれがあると考えております。
 そのため、森林法に基づき県で定めた林地開発許可制度の手続におきまして河川担当部局に対する協議が位置づけられており、雑賀議員御指摘の海南市重根のメガソーラー計画につきましても、事業者から河川担当部局への協議が必要となっております。その際に、当該メガソーラーの開発により日方川への雨水の流出が増加し、治水上の影響が予測される場合には、そうした影響が出ないように調整池を設置するなどの必要な防災措置を求めることとなるため、日方川水系河川整備計画に対する影響はないものと考えております。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 心配しておりますメガソーラーの関係、結局、治水に悪い影響があるような森林開発は認めないということ、だから、森林開発をするからには、そういうことの対策が必要だというふうにお答えいただいたと思いますので、これから住民の皆さんと一緒にこの問題はしっかりと見守っていきたいと思っています。
 大きな3点目なんですが、知事は、引き続き県政を担当する意欲を示しておられます。一方、ゆたかで住みよい和歌山県をつくる会から畑中正好氏が立候補することになり、先日、記者発表もし、私も同席いたしました。
 きょうの質問でも、私はこのたびの台風災害について、知事が県民の立場で頑張っておられることは評価いたしました。3人っこ政策なども努力しているもんもある。そのことは、決して否定する気はありません。
 しかし、何でこんなことをと思うことも少なくないわけであります。
 大きな国際的な問題で言えば、核兵器禁止条約への参加をめぐって、一旦「核兵器禁止条約については、日本政府はこれまで加わりませんでした。それはどうかなと正直に言って私は思いました」とまで言われたので、これはいい線行ってるなと思ったんですが、結論としては、結局、安倍内閣は条約に加わらないということについて理解できるとして、署名も結局されなかったと。あるいは、原発再稼働にブレーキをかけた福井地裁判決でしたか、これを評価して「原発が危ないと言うのなら、自動車だって危ない」と言い放って、私たちを唖然とさせたこともあります。
 そこで、きょうは、そういう大きな問題は別にして、幾つか知事の真意をお伺いしたいことについて聞いておきたいと思います。
 一つは、カジノを含むIR誘致であります。
 私は、この問題について、県議会で2回取り上げました。まず、その中ではっきりした事実問題を整理しておきますと、一つは、6月県議会でも依存症対策についてお伺いしました。和歌山県内でのパチンコなどギャンブル依存症の実態はどうかということに対して、県内での実態はつかめていないというのが担当課からのお答えでありました。
 カジノを含むIRによってギャンブル依存症はふえないのかという問題では、一時は日本人は入らせないから危険性はゼロだという話もあったわけですが、そうはならなかった。しかし、法律のカジノ規制は当初考えていたよりもはるかに厳しいものになっている。県独自の運営上の工夫と合わせれば弊害は完全に除去できると断言されておられる。私は、そのギャンブル依存症の実態もわからないのに、カジノによってふえる心配がないというふうにどうして断言できるのか、ここがよくわからないわけでございます。
 もう一つは、和歌山県IR基本構想に示されているカジノの入場者数や売上高の試算については、監査法人トーマツが独自のノウハウと知見を用いて推定を行ったというふうに担当課からお答えいただいたんですが、その独自のノウハウ、知見というものの中身というのは企業秘密で、根拠もよくわからないというふうにお聞きしたと思うんですが、知事は、IR誘致によって和歌山県を元気にすると言うが、トーマツ任せの試算がその根拠になっているんでしょうか。
 以上2点だけ、知事の見解を改めてお伺いしておきたいと思います。
○議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在の日本におけるギャンブル依存症は、既存の公営競技やパチンコを原因として発生しておりまして、そういう意味ではギャンブル等依存症と言わないといけないんですけど、今後、本県においても、この依存症対策を進めていくことは重要であると思っております。
 IRによって、あるいはカジノによって依存症がふえるかどうかということについては、IRの制度の問題であります。したがって、別にインチキなことを言ってるわけではないわけであります。ということは、よくおわかりだと思います。
 今般成立したIR整備法には、マイナンバーカードを必ず提示せよ、入場回数制限もかけるぞ、高額の入場料の設定をするぞ、本人・家族申告による入場制限措置があるぞ、現金を持ってこないと入れてあげない、クレジットカードの使用は禁止、現金引き出し機の設置は禁止するという、既存の公営競技やパチンコにはない重層的で多段階的な厳しい規制が設けられているところであります。
 こういうえらい厳しい規制ができたというのは、考えてみたら、制度いかんによっては和歌山県は外国人専用で行くぞというふうに宣言したこともちょっと影響を与えたかなというふうには思っておるところでございます。
 加えて、さらに想像力をたくましくして、弊害を除去する策として、本県独自のIRカード導入による破産リスクを排除する仕組みを事業者に求めるということによって、論理的に考えれば、カジノ施設を起因とするギャンブル依存症については防ぐことができるというふうに思うわけでございます。そうでないと言うんなら、その論理性を議論しないといけないということではないかと思います。
 誰でも、いつでも、何回でも、どんな対応でも楽しめるというのが、他のギャンブルであろうかと思います。あるいはギャンブル等ということだろうと思いますが、これとは全く違うわけでございます。したがって、IRについては、あんまり既存概念で決めつけないで、あるいは思い込みで決めつけないで、説明をちゃんと聞いて、本当にそうかどうか考えればわかるんではないかなというふうに思うわけであります。
 特に、雑賀議員におかれましては、元先生をやっておられました。立派な先生は、多分、既成概念にとらわれないで、決めつけないで、それで自分で考えて、ほんまかいなというふうに考えて、よく考えてやんなさいよというふうに言っておられたと思いますので、そういう雑賀議員におかれましては、このことはよく御理解いただけるんじゃないかなあというふうに思います。
 次の問題でございますが、監査法人トーマツが行ったカジノ施設の入場者や売上高の試算方法については、その詳細を県は承知しておりますが、それは企業独自のノウハウとか知見にかかわるところもありますから、全部明らかにすることはできません。
 また、何でこんなことをという中に、IRなんかも雑賀議員は言われると思います。ほかはちゃんとやってるのに何でこんなものに手出すんですかと。これは、やっぱりこの議会で申し上げましたとおり、今のままでいけると思ったら、かなり先が難しくなってくる。新しい要素も足していかないとなかなかいけないんで、弊害がとってもあるというんならともかく、そうでなければ、ちゃんと挑戦をしていこうということではないかというふうに思います。
 IR誘致によりもたらされる経済効果、雇用効果がこれまでにない規模となることは、シンガポールやなんかで先進的な成功事例を見ればわかることであります。
 例えば、2010年に二つのIRが開業したシンガポールでは、開業前後を比較すると、これは前の年と次の年でございますが、観光客数が約1.4倍、観光収入にあっては約1.8倍まで増加し、開業に伴う2万2000人の直接雇用を創出したという事実があります。
 加えて、先般実施したRFI、これは投資意向調査ですが、和歌山県IR基本構想で示した投資規模2800億円、経済波及効果約3000億円を超える規模の計画を出したいと言ってるところもありまして、別に本県は根拠のないことを言ってるわけじゃなくて、本県の構想は十分に合理的で実現可能性のあるもんだというふうに思っております。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私も、そんなに知事のやることは何でも悪く言おうというそんな気はありませんで、いいところはいいというふうに、割合にそういう公平な見方はできる人間だと思ってるんですが、しかし、ギャンブル依存症の実態というのもわからないのに、とにかく危険は除去できたというふうに断言されるのは、ちょっと私は今の話を聞いてもよくわからない。これも、これでまたゆっくりと議論するほかございません。
 もう一個は、トーマツの試算というものなんですが、これをどういうものなのかということ、県との間でどういう協議がなされたのかということを知りたいということで、市民団体の方が情報公開を求めました。ところが、出されてきたのは、いわゆるノリ弁当という黒塗りの資料でございました。もっともっとこの情報は公開したほうがいいのになというふうに思うところです。
 それで、今シンガポールの話もしてくれたんですが、数字というのは、いろんな場所で切ったらいろんな数字も出るんですけども、私の手元の資料で言いましたら、2011年を起点として、2016年のシンガポールの観光客数の増加という数字がございます。カジノを導入したシンガポールでは、2011年と2016年を比較すると124%、確かに伸びています。ところが、日本は386%、もっと伸びている。大阪は595%。それでそういう数字があるんで、これに合わせた和歌山の数字を調べてもらったんですが、何と622%。シンガポールが124%に対して、和歌山は622%。
 和歌山県の商工観光行政は、大変よく頑張っている。もちろん、これは知事も頑張られた結果でございます。どうして知事は、このことに誇りを持って、和歌山の自然と歴史を生かした観光振興の道を進まれないのか、大変いまだに疑問だということを申し上げておきたいと思います。
 さらに、カジノというものは、誰かがギャンブルで負けることで得をする人もあり、カジノ企業は利益を上げるという性格のものでしかない。このことを改めて申し上げておきたいと思います。
 もう1点お聞きしたいのは、これもどうかなと思うんですが、教育の困難、学校現場の忙しさ解消の上でどうしても必要な1クラスの生徒数の上限を30人なり35人なりに抑えるというクラスサイズの縮小であります。これを、知事にこのこと自身をお伺いしたんではなかったんですが、別のことを聞いたときに知事が言われたので、「あれ?」と思ったんですが。
 2016年2月の予算特別委員会のことですが、知事はこんなに言われた。「もともとの持論だが、1学級当たりの人数を必ずしも少なくしなければいけないとは余り思っていない」とおっしゃるので、びっくりしたことがあるわけです。そして、自分の子供のころはもっと多かったし、大勢の中でやっていくのも大事だというふうにも言われた。この持論を今でもお持ちで、知事としての施策で、この立場でお進めになるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほど観光客数の議論がありましたが、外国人の伸び率で議論されるのと、それから、その伸び率が今回によってどうなるかというようなこととは桁が違うんでございますんで、その辺について御理解いただきたいと思います。
 少人数学級による指導が必ずしも教育的な効果が高いわけではないと、これが全てであるというふうには思いませんということでございます。
 また、児童生徒が大勢の中で人間関係を学んだり社会性を身につけたりすることも大事だと私は思います。ここにいる全ての方々がもっと多人数学級で育って、いろいろもまれながらやってきたということも考えると、それが全てであるというふうには私は思えないということを言っております。
 しかし、最近は、子供たちがいろいろ悩んだり、あるいは対応ができなくなったりするたくさんのことができております。それについて、学校の先生も大変、そういう方々をみんなケアをしていかないといけないわけですから、それは大変だということもわかります。
 したがって、別に大人数に戻せというようなことを言うてるわけではございません。それよりも、教育環境の整備というのは、各学校の状況に応じて教員を配置するということが重要ではないか。その上で、教えた後、いろんな問題を抱えてる人たちに対しては、個別の指導とか補充学習とか、個々の児童生徒の実情に応じたきめの細かな対応を行うことがより重要なので、そのために教師の配置なんかもできるだけやっていったらいいんじゃないか、そんなふうに私は思っております。
 教育委員会には、市町村教育委員会としっかり相談して、学校や児童生徒の課題解決のために必要な教員を配置し、きめ細かな対応ができるよう、今後も取り組んでもらいたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 少人数学級が全てじゃないという意味だというふうに言われたんで、少し安心したんですが、それが全てだとは私も言っておりませんが、しかし、少人数学級というのは非常に大事な要素であります。
 全国の県の教育長の協議会では、クラスサイズを小さくしてください、そこでは35人以下学級という言葉が使われておりますが、そういう方向でやってくださいということを、あれは多分、文部科学省に対する要望なんでしょう。そういうことを言っておられるわけですから、知事もやっぱり教育長をしっかりと応援してあげていただきたいと思っています。
 第3は、仁坂知事というのは合理的な考えをお持ちの方だから、こんな施策には多分もうしがみつくことはあるまいと思っていたんです。がっかりしたのが、特定の子ども会への偏った施策の問題でございます。
 和歌山県には地域子ども会支援事業補助金というものがあって、その中で、地域総合活動というふうに区分される子ども会に対しては、市町村が補助する場合、その補助金額の2分の1は県が補助することになっている。それで、一つの子ども会ごとに最高56万円、仮にその半分、56万ですから半分は28万ですが、28万にならなくてもいいので、和歌山市が25万円つければ県も25万円つけて50万円にする。しかも、それだけじゃなくて、20人の子供で1単位として、その地域に10単位の子ども会があるというふうに認定をすれば、その地域の子ども会の補助金が年500万円になる。
 お手元に、担当課からいただいた「平成29年度 地域子ども会活動支援事業補助金 確定額一覧」というものの最初の1ページだけお配りしています。これは担当課のケアレスミスなんですが、紀の川市の分が町というふうになってるのは、これは紀の川市から叱られたら担当課のミスなんですが、それは訂正しておいていただきたいと思うんですが、こういうことがやられている。
 一方では、例えば同じ和歌山市内の子ども会でも6万円の補助金の子ども会もありますし、子供クラブもありますし、あるいは県がかかわらない子ども会、親子クラブというものも、もっと少ない補助金でやりくりしているところもあるでしょうし、補助金がないところもあるんだろうと思います。
 いかにも、これはバランスを欠くのではないか。こういうものは、知事ならちょっとおかしいねというふうに言われると思っていたんですが、なかなかいろいろ政治的な力関係があるんでしょうか、言われないんですが、こういうものはどうお考えでしょうか。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員が今、政治的な何とかとかおっしゃいましたけれども、そういう何とかの勘ぐりみたいなことはやめていただきたいというふうに思います。
 子ども会の補助金につきましては、その活動を支援している市町村に対し、子供の人数や活動日数、活動内容などに応じて補助をしております。どの市町村に対しても、どの地域の子ども会にも、ルールに従って補助してるわけでございます。当然、活動が活発な子ども会は、相応の補助額となるということになります。
 議員は、額の結果によって何か不合理があるんじゃないかというふうに言われて、そういうものを是正するのは私の仕事だというような感じでおっしゃったんですが、結果ではなくて、大事なことは、制度が差別的ではないかどうか、合理的にできてるかということだと私は思います。
 本件については、制度は透明で、基準も公表してるし、結果的にはたくさん活動しているところがたくさん補助金をもらっているというのは、どの時代でも、どこにもある話で、合理的でもあると私は思うんでございます。
 子ども会活動は、保護者や指導のもと、地域の子供の健全育成を目的として、異なる年代の子供たちが集まり活動するものでありまして、地域の連帯意識を育て、校外における学習やさまざまな体験・交流活動を通した子供たちの健やかな成長を目的とする有意義な活動であると認識しております。
 県としては、引き続き市町村とともに、こうした子ども会活動に対して支援を行っていきたいと思っております。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 これが不合理であるかどうかは県民が判断する問題ですが、私は、10単位もの子ども会があって500万円というのがあり、一方では本当に少ない予算でやっているのは、県民から見て納得が得られないんではないかというふうに思っています。
 知事選挙では、それ以外に福祉の問題、中小企業活性化のための住宅リフォーム助成の問題、いろいろな議論がなされると思います。活発な議論を期待し、そして、知事の御健闘をお祈り申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。

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