平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号


平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成30年9月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
────────────────────
議事日程 第5号
 平成30年9月21日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第117号から議案第138号まで並びに報第3号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
────────────────────
会議に付した事件
 第1 議案第117号から議案第138号まで並びに報第3号(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案等の付託
 第4 休会決定の件
────────────────────
出席議員(40人)
 1番 中西峰雄
 2番 秋月史成
 3番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 花田健吉
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 川畑哲哉
 10番 玉木久登
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 尾﨑太郎
 14番 藤山将材
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 山本茂博
 20番 岸本 健
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 堀 龍雄
 24番 中 拓哉
 25番 森 礼子
 26番 服部 一
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 4番 欠員
 40番 欠員
────────────────────
説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      藤川 崇
 総務部長       田村一郎
 企画部長       田嶋久嗣
 環境生活部長     山田成紀
 福祉保健部長     山本等士
 商工観光労働部長   山西毅治
 農林水産部長     原 康雄
 県土整備部長     髙松 諭
 会計管理者      中西 淳
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   溝端莊悟
 警察本部長      檜垣重臣
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長       田村公一
 次長         糸川 徹
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     山田修平
 議事課議事班長    岸裏真延
 議事課主任      保田良春
 議事課主査      伊賀顕正
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       田中健司
 政策調査課長     中平 博
────────────────────
  午前10時0分開議
○議長(藤山将材君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第117号から議案第138号まで並びに知事専決処分報告報第3号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 5番前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 皆さん、おはようございます。
 質問に先立ちまして、さきの台風20号、21号でお亡くなりになられた皆様に心からお悔やみを申し上げます。また、被災された皆様にも心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興を願うものでございます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、以下6項目にわたって質問をさしていただきます。
 まず最初に、ロケット発射場誘致の進捗状況、経済効果についてでございます。昨年12月の和歌山県議会においても一般質問させていただいた、串本町への小型ロケット発射場の誘致についてお伺いをいたします。
 本年1月27日の「日本経済新聞」朝刊1面では、「民間初ロケット発射場 キヤノン系など 和歌山に21年」という見出しで、串本町での発射場建設の検討を進めることが記事となりました。
 従来の宇宙開発は、国家主導で進められてきた大型プロジェクトによらなければならないものでしたが、技術の進歩の中で小型ロケットが実用化され、民間でも取り組み得る事業となってきました。アメリカなどでは、民間ベンチャーによる宇宙ビジネスが本格化しようとしており、小型衛星を活用した宇宙ビジネスは、21世紀の最先端産業の一つになるものと思います。
 こうした中で、キヤノン系企業などによる新たなロケット企業の誕生は、我が国の宇宙産業を牽引する貴重な礎になるものと思いますし、その活動の中核となる発射場が我々のふるさとにできれば、串本町、そして和歌山県が日本の宇宙産業の一大拠点となり得るものと、大きく期待をしております。
 本格的に誘致活動を開始してから1年余りがたとうとしていますが、串本町への小型ロケット発射場誘致の進捗状況はいかがでしょうか。
 また、昨年12月の議会の一般質問でも述べたとおり、誘致が実現すれば、観光客の増加も含め、地域に大きな経済効果を生むものと期待しております。県としては、小型ロケット発射場を誘致した場合にどのような経済効果があると見込んでいるのか、商工観光労働部長にあわせてお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 議員御指摘のとおり、県では、昨年より、キヤノン電子を初めとする4社が出資して立ち上げたスペースワン株式会社が計画する小型ロケット射場の誘致に取り組んでおります。
 誘致を行う中で、先方から、立地場所を決定するに当たっては、地元との関係では、一つ目として、現地での測量等の技術的な調査を行い、当該土地が射場建設にふさわしい土地であることが確認できるか、二つ目は、土地の取得見通しが立つか、三つ目として、地元関係者の理解が得られるか、この三つの要素を見きわめる必要があるとの話を聞いておりましたので、これまで主に同社と地元との関係構築のための支援を行ってまいりました。具体的には、地元で地権者等の直接事業に関係する方々を対象とした説明会を5回開催したほか、地元自治体、漁協、自治会等の方々を御紹介するなど、先方が事業化判断を行うために必要な情報収集への協力を、きめ細かく行ってきたところです。
 こうした取り組みの成果もあり、本年1月には、同社より、串本町は射場建設地の有力な候補地の一つとの評価をもらうまでに至っております。
 また、同社は、もともと資本金1億円の会社としてスタートしたのですが、本年7月には増資をし、事業化に向けた検討を本格化させていると承知しております。
 これらのことから、事業は着実に前に向かって進んでいるものと考えておりますが、一方で、和歌山県への射場の立地実現については、現時点で、同社から、既存の射場の活用も含め、他の選択肢との比較考量を行いながらあらゆる可能性を検討している段階であると言われており、なお予断を許さない状況であると認識しております。
 こうした状況にあることから、県としては、気を緩めることなく、可能な限り早期に当県への立地が実現するよう、引き続き積極的な誘致活動を行ってまいりたいと考えています。
 次に、小型ロケット射場の立地が実現した場合の県内への経済波及効果についてでございますが、県で独自に行った試算では、建設投資による経済波及効果が28億円、射場運営による経済波及効果が年51億円、観光消費による経済波及効果が年13億円と見込んでおり、単純にこれらの数字を積み上げますと、10年間で670億円程度の経済波及効果があるのではないかと見込んでおります。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 ありがとうございました。
 大変大きな経済効果があることが、数字を示していただけると、本当に心に響いてきます。どうか頑張ってくれるようお願いします。
 それを受けまして、積極的な誘致策についてお伺いをいたします。
 新たなビッグプロジェクトには、また大きな困難も伴います。ロケット発射場ともなれば広大な敷地を必要とし、その確保だけでも大変な労力が必要となると思います。
 これまで県の取り組みについて答弁がありましたが、地元である串本町においても、本年3月、旧古座町役場である古座分庁舎内に民間ロケット射場誘致推進室を開設し、町役場のOB2名を臨時職員として配置するなど、用地交渉を中心に、全力で事業者をサポートしています。
 これまでの取り組みは大いに評価いたしますが、引き続き地元の人たちとも協力し、小型ロケット射場の誘致実現に向け、全力で取り組んでほしいと思います。
 一方、事業者は、串本町はあくまで有力な候補地の一つであり、他の選択肢との比較考量を行いながらあらゆる可能性を検討しているとのスタンスであるとのお話がありました。一部報道では、北海道、鹿児島県も民間ロケット発射場の誘致に取り組んでいるとの情報もあります。宇宙産業は、今後の日本経済を牽引する有力な産業の一つであり、10年で670億円という大きな経済効果を生む事業ということであれば、全国の地方自治体も黙って見ていないのではないかと心配をしております。
 本年6月議会で坂本議員も述べておられましたが、経済産業省出身の知事は、個人的なネットワークも生かしながら、本県の産業振興、とりわけ企業誘致に積極的に取り組んでこられ、就任以降198件の企業誘致に成功しているなど、着実に成果を上げていることを評価しています。
 一方で、私の住む串本町を初めとする紀南地域においては、企業誘致実績が乏しいことも事実であります。都市部からの物理的な距離が離れているため、不利な状況に置かれてきた紀南地域にとって、本件は千載一遇のチャンスであります。ライバルとなる他の地域に打ち勝ち、何としても和歌山、串本への小型ロケット射場の立地を実現していきたいと思っています。そのためにはこれまで以上に積極的な誘致策を展開すべきであると考えますが、県としてはどのように考えているのか、知事にお答えをお願いします。
○議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、鹿児島県や北海道などで民間ロケット射場を誘致する動きがあるとの報道があることは県としても承知しており、本県への立地が実現するかは、なお予断を許さない状況だと考えております。
 こうした状況の中、一層強力に当県への誘致を働きかけるため、先方に資金面での支援を行うことを提案していきたいと思っております。
 具体的には、これまで企業誘致のために設けてきたわかやま版PFI制度という仕組みの一部を見直し、誘致対象企業が行う土地の造成等に係る費用の一部に充てるため、県から無利子、長期の資金を貸し付けることを考えてるわけでございます。いわば、もともとのPFI制度──わかやま版でございます。わかやま版というのは、世の中と逆になっとるんでございますけども、これについては、現物でそういうのを用意をしますがどうですかというようなことでございましたが、今度はお金でそれもできるんじゃないかということで、その可能性も開きたいと思ってるわけでございます。
 こうした取り組みを行うことについては、お金の貸し借りでございますから、貸し倒れの懸念などがあるといかんというふうに思っとるわけであります。このため、わかやま版PFI制度では、支援の決定を行う前に、法律や金融の専門家による第三者委員会の意見を聞き、確実な返済が担保されていると認められるかどうかといった一定の条件を満たした場合に、支援を行うことをルール化しようと思っております。
 県といたしましては、この支援を行うことによって、いわゆる事業に参加して事業リスクを負うということとか、あるいは、割と過去には多かったんですが、第三セクター的に一緒にやるということではない。そういうことを考えているわけでは、全くございません。ルールに基づき、支援を行うかどうかをしっかり見きわめていこうと考えております。
 実際に支援を行うかどうかは、事業者からの申請内容を精査してからでないと明確なことは申し上げられませんが、このような支援策があるということを先方に伝えることができれば、当県への立地を働きかけるための強力な手段になるというふうに考えております。
 これまで企業誘致が進んでこなかった紀南地域における千載一遇のチャンスであるということは、議員の御指摘のとおりでございまして、県全体の発展に大きく寄与することが期待できる本件、この案件の実現のために、議会の皆様にも、ぜひ御理解、御支援をいただきたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。知事の本気度が伝わってまいりましたが、具体的には、最大でどのくらいの規模の支援策となる可能性があるのでしょうか。お答えをお願いいたします。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、実際の支援規模については、事業者からの申請を待った上で、その内容を精査してみないとわかりませんが、融資の対象となる土地の取得、造成費は、県独自の試算として、最大で50億円程度になるんじゃないかと想定しております。
 もちろん県としても、この全額をどうぞどうぞと言って支援をすることは考えておりませんで、相手に自分で調達してもらうというのが基本ですから、相手がある交渉事のため、現時点での見通しを正確に申し上げることは難しいんでございますが、最小限の負担で射場立地の実現という最大限の効果を上げるべく、支援額については先方とよく議論をしていきたいと思っております。
 その上で、今後事業者から支援の申請があった場合には、その内容をしっかり精査し、必要な予算については改めて議会にお諮りしたい、そんなふうに思っております。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 今、知事から力強い答弁をいただいて大変うれしく思いましたが、やはりこの事業は串本町だけではなく、本当にオール和歌山、それで取り組まなくちゃならない事案だと思いますので、私たちも全員頑張りますが、議会の皆様もどうかよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、南紀ジオパークについて質問をさせていただきます。
 南紀ジオパークについては、独特の地形で従来から観光地として人気のあった一枚岩なども地形の成り立ちなどの観点から再度魅力が発信されており、また、これまでスポットが当たっていなかったものの、世界的にも珍しい地形を誇るジオサイトが新たに紹介されるなど、ラムサールの海や高野・熊野の世界遺産と並んで、熊野観光の魅力の一つの柱となってきております。
 そのような中、南紀熊野ジオパークの拠点施設として南紀熊野ジオパークセンターが串本町潮岬に建設されるということで、平成28年12月議会で質問させていただきました。その際には、環境生活部長から、地域の魅力を幅広く発信する拠点として、観光客、地元、学校など幅広い分野の方々に利用してもらえる施設を考えているという趣旨の答弁をいただきました。
 あれから2年弱たち、来年夏の完成まで1年を切ってきましたので、施設の建設計画は、より具体的に進んでいることと思います。地域の方々も、南紀観光の一つの拠点にもなる施設として期待をしております。建設計画は順調に進捗しているのか、どのような施設になるのか、環境生活部長にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) まず、ジオパークセンターの建設状況についてでございますが、来年7月のオープンを目標に、現在、順調に進捗しております。
 次に、施設の内容についてでございますが、ジオパークセンターは、プロジェクションマッピングによる迫力ある映像や、手動により大地の動きやでき方を再現する体験装置、スタッフによる津波や河川の実験など、ジオパークの魅力や大地の成り立ちをわかりやすく学び、楽しむことのできる観光学習施設でございます。また、英語や中国語にも対応し、世界に向けて南紀熊野の魅力を発信するとともに、専門家が常駐する調査研究機能や、ジオパーク関係者が集う地域活動育成機能を備えた施設でございます。
 さらに、このジオパークセンターは、各ジオサイトを双方向のネットワークで結ぶ拠点施設とするとともに、エリア内の観光や各種イベントなどの情報も備え、観光客、地元、学校などさまざまな方に利用していただく、南紀熊野全体の地域振興に寄与する施設にしていこうと考えてございます。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。でも、話をいろいろ聞いても、言われるだけでは、映像とかそういうのを見ないと、でき上がってみないとやっぱりわからないもんだなあと思いましたけど、知事を初め和歌山県紀南の観光の拠点になるようにやるというんで、それを信じて完成を待ちます。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 次に、ジオサイトまでのアクセスについてでございます。
 拠点施設が整備されれば、センターを基点としつつ、より多くの方がジオサイトを訪れることが期待されます。
 南紀熊野ジオパークは、プレートの沈み込みにより生み出された付加体、前弧海盆堆積体、火成岩体という3種類の大地を見ることができる、全国的にも貴重な地域であります。せっかく紀南の地まで足を運んでいただいた方には、それらの大地をできるだけ多く間近に見ていただき、何千万年もの時間をかけてつくられた大地の歴史を感じて帰っていただきたいと思います。
 そのためには、観光に来られた土地カンがない方でもスムーズにジオサイトを訪問することができるように、標識の設置や歩道の整備などが重要となると考えます。そのような目で主要なジオサイトを見ていきますと、一枚岩や橋杭岩、千畳敷などはアクセスもよく、休日などには多くの観光客が訪れているようです。
 一方で、気になっているのが、すさみ町のフェニックス褶曲へのアクセスです。このフェニックス褶曲は、砂岩層が折り畳まれた様子がよくわかる世界的にも有名なものであり、ぜひ見て帰っていただきたいものですが、現状では、観光客の方が気軽に訪れることは難しい状況です。歩道の整備等も必要と考えますが、いかがでしょうか。環境生活部長にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 世界的にも有名なすさみ町のフェニックス褶曲へのアクセスにつきましては、途中が急な崖地になっており、また一部のいそ場は干潮時にしか渡れないなど、議員御指摘のとおり、観光客の方が気軽に訪れることは難しい状況です。
 このような中、海路からのアプローチとして渡船によるフェニックスツアーが可能となっており、例えば、すさみ町観光協会による「枯木灘海岸満喫!ジオクルージング」なども実施されております。
 陸路につきましては、すさみ町が民有地を買い上げ、現在、環境省が現地の自然環境に適したアクセス歩道の整備に向けての準備を進めているところでございます。
 地形などの制約がある中で、安全にアクセスできる仕組みづくりを含め、すさみ町、環境省、県の3者で知恵を出し合い、できるだけ早急に整備ができるよう努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁をいただきました。やはりフェニックス褶曲は、写真で見ましても、近くで見たいですよね、さわってみたいですよね。船で遠くから眺めるもんじゃなしに、やはり近くで歴史を感じたいと思うんですよね。船で見た人も、多分、あれちょっと近くへ行きたいなと思うはずです。ぜひ3者が力を合わせて、歩いて行けるように、そういう歩道をつくっていただけるように要望しておきます。
 次に、日本ジオパーク再認定の見込みについてお伺いをします。
 地形的な制約もあることと思いますが、すばらしいジオサイトを多く見に来ていただけるよう、整備を進めていただくようお願いします。
 最後に、ジオパークについては、4年前に初めて日本ジオパークの認定を受けたところですが、日本ジオパークは、4年に1度の再認定をクリアしないと認定が取り消されてしまうと聞いております。
 世界ジオパークを目指すための重要なステップとして日本ジオパーク認定を受けるのですから、再認定は確実にクリアする必要があると考えますが、再認定の見込みについて、環境生活部長にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 日本ジオパークの再認定の見込みについてでございますが、議員御指摘のとおり、南紀熊野ジオパークにとって今回が初めての再認定審査であり、11月の現地審査を経て、来年1月の日本ジオパーク委員会で審査結果が公表される予定となってございます。
 南紀熊野ジオパークでは、この4年間、ジオパークによる持続可能な地域づくりのため、100名を超えるジオパークガイドの育成や、ガイドブック、ホームページ、SNSなどによる情報発信、解説看板の整備などに努めるとともに、研究助成事業の創設、県内全ての中学1年生への学習用ハンドブックの配布、国内外のジオパークとの連携や交流など、積極的にジオパーク活動に取り組んでまいりました。
 これらの活動実績が評価され、再認定されるものと考えてございます。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 ありがとうございました。
 日本ジオパークの再認定については、昨年の山陰海岸ジオパークの審査では、「ジオパーク内のあらゆるレベルでの連携を欠いており、持続的な運営形態になっているとは言いがたい」などの厳しいコメントが並ぶなど、条件つき再認定となり、また、過去には、茨城県北ジオパークが認定を取り消しになった例もございます。
 和歌山県ではそのようなことはないと思いますが、油断せずに準備していただいてぜひ今回の再認定をクリアしていただき、次の世界ジオパークの認定に向けて頑張っていただきたいと思います。
 次の質問に入ります。修学旅行の誘致についてでございますが、県内への修学旅行の誘致の実績について、お伺いをしたいと思います。
 修学旅行の誘致については、平成21年ごろから、漁家民泊などの制度を活用し、地元の家庭に修学旅行生を受け入れるという取り組みが行われており、地元の串本町でも活発に受け入れが始まりましたので、そのころから関心を持ち、制度の構築などにもかかわってまいりました。
 和歌山県では、世界遺産に認定された寺社、仏閣、参詣道を含む歴史に彩られた文化遺産があり、また、美しい海や山、川など豊かな自然を生かした体験型観光のメニューも充実しており、地元の方との触れ合いを感じることのできる民泊なども含めて、豊富なコースをそろえて、県内への修学旅行に多くの生徒に来ていただけるよう、全国の学校に対して旅行誘致の働きかけを進めていると思います。
 漁家民泊を始めたころから考えると10年程度たってきましたが、これまでの旅行誘致の働きかけの状況や、最近の修学旅行に来られている実績などについて、商工観光労働部長にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 修学旅行等教育旅行につきましては、平成22年度より、宿泊施設や市町村、県及び県観光連盟等から構成される和歌山県体験型教育旅行誘致協議会を設立し、官民一体で国内外からの教育旅行の誘致に取り組んでいるところです。
 国内の教育旅行につきましては、協議会メンバーで他府県の学校及び旅行会社を年間約120カ所訪問し、本県のPRを行うとともに、各学校のニーズに沿った提案を行う等、誘致活動を行っております。
 訪日教育旅行につきましては、今年度より教育旅行コーディネーターを配置し、来県する生徒と県内生徒がともに異文化に触れる絶好の機会である学校交流のマッチングを行うとともに、台湾、香港、オーストラリア等現地に赴き、プロモーション活動を実施しているところです。
 また、教育旅行誘致の実績につきましては、昨年度は国内66校、海外22校の計88校、本年度につきましては、9月20日現在、予定を含みまして国内51校、海外29校、計80校となっており、平成21年度以降、順調に推移しています。
 今後とも、和歌山ならではの資源を活用した教育的効果の高い九つのテーマ別学習プログラムや、地域の人と交流する民泊体験など、和歌山だからこそできる教育旅行プログラムをセールスポイントとして誘致に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 すばらしい成果に驚きました。ましてや、日本だけではなしにインバウンドまでもやっていただいてるという、本当にありがとうございます。ぜひ、これからも頑張って続けていただきたいなと思います。
 それで、一つ提案なんですけれど、クルーズ船、我々の県では、和歌山下津港、日高港、新宮港においてクルーズ船を呼び込むことができるよう、港湾設備の整備、改良が進められておりますので、最近では、その新宮港にもよく入ったという話も伺いますが、その教育旅行へクルーズ船を使うということは考えられないのでしょうか。そういうのがあれば、ちょっとお答えを願います。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) クルーズ船を活用した教育旅行につきましては、東京の私立の小学校が過去に来県していただいておりますが、全国的に採用している学校は、まだまだ少ないと承知しております。
 教育旅行は、将来和歌山県を再訪する潜在的なお客様である県外の児童生徒が、和歌山の魅力に触れる絶好の機会であると言えます。今後とも、未来の和歌山ファンをふやすために、和歌山ならではの教育的効果の高い旅行プランを提案するとともに、来県方法につきましても、クルーズ船や飛行機、新幹線利用など各学校の要望に沿って提案を行い、公立学校はもとより、私立学校の教育旅行誘致にもさらに努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 ありがとうございました。1校でもあったというのは、ちょっと質問した僕もびっくりしたんですけど、学生の教育旅行は非常に少ないようなんですけれど、企業の新入社員とか企業教育の中で、非常に今クルーズ船が使われているという話もございますので、ちょっと教育のほうと違いますけど、それを要望しておきます。それのほうを一生懸命頑張っていただければと思います。
 次に、コミュニティ・スクールについてお伺いをいたします。
 コミュニティ・スクールについては、平成24年9月議会、また平成28年12月議会でも質問をさせていただき、教育長から御答弁をいただきました。
 平成24年9月議会時点では、新宮市立光洋中学校1校での導入ということで、慎重に検討を進めていくという御答弁であり、平成28年12月議会の答弁では、市町村教育委員会とも連携して、コミュニティ・スクールの小・中・高等学校での導入について、平成29年度から推進していく旨の答弁をいただきました。
 十分な検討がなされて、いよいよ積極的に進められているのだと理解しましたが、その後、県内でのコミュニティ・スクールの導入は順調に進んでいるのでしょうか。8月23日には、コミュニティ・スクールの全国フォーラムを県民文化会館で開催し、盛り上がったとも聞いております。また、きのくにコミュニティスクールを形式だけ導入するのではなく、地域と保護者、学校の職員が一体となり、子供たちのためにさまざまな活動を行っていくという実のあるものにしていく必要があると考えます。
 導入の進捗状況と、コミュニティ・スクールの導入によりどのような効果を見込んでいるのか、あわせて教育長にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) きのくにコミュニティスクールにつきましては、県教育委員会では、市町村教育委員会とともに、平成29年度からの3年間で県内全ての公立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校に導入するよう取り組みを進めているところです。現在、小中学校では68%、県立学校では100%の学校で設置しております。
 学校と保護者、地域住民が目標を共有し、一体となって子供たちを育んでいくことは、子供の豊かな育ちを確保するとともに、そこにかかわる大人や地域のきずなを深め、地域づくりの担い手を育てていくことにもつながります。既にコミュニティ・スクールを進めている県内の学校からは、学校と家庭や地域が連携した取り組みとして、通学路における安全確保や、家庭における読書習慣の定着、高校生による小学生への学習支援、伝統行事への参加、地元産品を使った商品の開発等が報告されております。また、学科改編を含めた学校の長期ビジョンについて議論をした高等学校もございます。
 このような取り組みを通して、子供たちは地域の実情や課題に気づき、地域の一員であるという意識が高まるとともに、大人も地域を改めて見詰め直す機会となってございます。これは、コミュニティ・スクールの大きな成果であると考えております。
 本県の取り組みは全国的にも評価され、去る8月23日に文部科学省主催のコミュニティ・スクールの全国フォーラムが本県で開催され、本県の各学校の取り組みが紹介されたところです。また、県内からも多くの参加者があり、コミュニティ・スクールの意義を共有するとともに、機運の醸成を図ることができたと考えております。
 コミュニティ・スクールでは、学力やいじめ、不登校、家庭教育、また現在課題となっている部活動や教職員の多忙化、さらに将来に向けての学校や地域のあり方など、各学校のさまざまな課題について具体的に協議し、学校、家庭、地域が一体となって実践されていくものと考えております。
 県教育委員会といたしましても、コミュニティ・スクールが形骸化することのないよう、市町村教育委員会とともに、地域が人を育み、人が地域をつくる取り組みを推進してまいります。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 次に、学校の職員についてお聞きをいたします。
 学校には、教員や事務職員を初めさまざまな職員がいます。学校のあり方も変わってきている中、各学校において、どのような体制でそれぞれの役割を果たしていくのでしょうか。
 また、平成29年3月には学校教育法が一部改正され、事務職員の職務内容が「事務に従事する」から「事務をつかさどる」に改正されております。この改正によりどのように職務が変わってきているのでしょうか、あわせて教育長にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 子供たちを取り巻く課題は複雑化、多様化しており、その解決のためには、学校が組織的に教育活動に取り組む体制を整備するとともに、専門スタッフと連携、協力する体制を整備し、チームとしての学校の機能を強化していくことが重要となっております。
 県教育委員会では、さまざまな課題に対応するため、教職員に加えてスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、不登校児童生徒支援員、部活動指導員等、多様な専門性を持つ職員を配置しております。各学校においては、校長のリーダーシップのもと、教職員とこれらの職員が一丸となって、一人一人の子供へのきめ細かな対応や教育活動を充実させているところです。
 議員御質問の学校事務職員につきましては、平成29年4月1日に学校教育法第37条第14項の事務職員の規定について、「事務に従事する」から「事務をつかさどる」に改正されました。今回の改正は、教育指導面や保護者対応等により、学校組織マネジメントの中核となる校長、教頭等の負担の増加や、教員が子供の指導以外の多種多様な業務に携わっている状況がある中、総務、財務等に通じる専門職である事務職員が管理職を補佐し、教員の事務処理を軽減する役割を担うことが求められております。具体的には、地域や外部と連携するための会議の事務処理について、管理職の指示のもと、文書の作成や発送、管理職が立案した議案の作成、会場準備などのことも考えられます。
 県教育委員会としましては、校長のリーダーシップのもと、多様な人材がそれぞれの専門性を発揮し、チームとしての学校の機能が一層高まり、学校運営が円滑に行われるよう各学校を指導してまいります。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。コミュニティ・スクールの導入が進んでいることがよくわかりました。また、事務職員のかかわりについても、より積極的なものに変わってきているということがわかりました。
 このように、地域一体で支えるチーム学校という考え方に学校運営が転換していく中、学校が地域と連携しながら一つのチームとして機能するためには、校長のリーダーシップのもと、学校にかかわる全ての職員がチームの一員としての意識を持って、新たな学校運営にかかわっていくことが必要になってくると思います。
 また、コミュニティ・スクールの主な機能として、学校運営の基本方針を承認すること、学校運営について教育委員会または校長に意見を述べることなどがありますが、学校運営協議会の各委員がそれぞれの知見を生かして、より効果的に学校運営にかかわっていただくためには、学校は学校運営協議会の情報をしっかりと公開に努めるとともに、地域の方々がコミュニティ・スクールについての認識を深め、学校運営に関する理解を高めることも必要だと思います。
 文科省では、地域住民などを対象に研修会や制度説明会を行うコミュニティ・スクール推進員の派遣なども行っているとお聞きしておりますので、さまざまな制度を活用し、研修の場を設けることなども有効ではないかと思います。
 現場の各学校、市町村教育委員会ともに連携し、チーム学校という流れが和歌山県において有効に機能するよう進めていただくようお願いを申し上げます。
 次の質問に移らせていただきます。
 次に、串本古座高校での生徒の全国募集についてお伺いをいたします。
 串本古座高校での生徒全国募集も3年目を迎えます。来年の募集に向けては、一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームが全国から生徒を募集する公立高校の合同説明会、地域みらい留学フェスタ2018を全国4カ所で初めて開催し、串本古座高校も、6月23日の大阪会場、6月24日の東京会場、6月30日の名古屋会場と3回の説明会に参加したとお聞きしております。
 参加してみた際の感触やその後の学校への問い合わせなど、手応えはあったのでしょうか。教育長にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 串本古座高校は、平成29年度に、グローバルな視点から地元の豊富な学習資源を活用し、地域に貢献する人材の育成を目指すグローカルコースを新設すると同時に、全国募集を開始いたしました。
 全国募集を進めるため、昨年度までは学校単独で他県で説明会を開催しておりましたが、今年度は、他県への進学を希望する生徒がより多く集まることが見込まれる一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームが主催する合同説明会に参加いたしました。
 6月に大阪、東京、名古屋で行われたこの合同説明会では、串本古座高校のコーナーに69名という多くの中学生や保護者が訪れ、校長からは、学校の特色や魅力を十分説明できたと報告を受けております。また、この合同説明会に参加したことで、夏季休業中に実際に串本古座高校を見学に訪れた生徒もいました。
 串本古座高校は、今年度が創立100周年ということもあり、「101回目の出発」をキャッチフレーズとしたポスターの制作、ホームページ及びSNSの活用、さらには学校紹介動画の作成など、工夫を凝らした広報活動を行っております。こうしたことにより、例年に比べ資料請求や電話等による問い合わせも多く、学校は、全国募集に関する手応えを感じているとのことです。
 現在、全国募集枠で入学しているのは、1年生4名、2年生3名、計7名の生徒ですが、他の生徒とともに勉学やクラブ活動に励み、充実した学校生活を送っております。また、地域の方々からは温かいさまざまなサポートをいただき、生徒からは、地域の人はみんな優しく親しみやすいという声も聞かれてございます。
 教育委員会といたしましては、今後とも、さまざまな機会に学校や地域の魅力を伝えるとともに、学校の取り組みを支援してまいります。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。今度は確かな手応えがありそうだなと、答弁を聞いててもそのように思いました。
 この串本のグローカルコースは、串本古座高校が存続するかどうかの、本当にそれによってどうなるかわからないと思っていますので、ぜひ教育長、期待しております。よろしくお願いいたします。
 それでは続きまして、最後に、10月から11月にかけて開催される「世界津波の日」2018高校生サミットin和歌山について質問をいたします。
 11月5日の世界津波の日は、皆さん御承知のとおり、津波の脅威と対策について理解と関心を深めることを目的に、2015年12月の国連総会において全会一致で採択されたものであり、安政元年(1854年)11月5日、安政南海地震による津波が現在の広川町を襲った際、濱口梧陵が稲むらに火をつけ、津波から逃げおくれた村人を高台へ導き、多くの命を救った「稲むらの火」の故事にちなんだものです。
 「世界津波の日」高校生サミットは、一昨年の高知県、昨年の沖縄県に引き続き、今回で3回目の開催となりますが、今回は世界48カ国、国内からは49校、過去最多となる約400名もの高校生がここ和歌山に集まり、災害から命を守るため自分たちに何ができるかを議論し、ともに学ぶということで、大変すばらしい取り組みであると思います。
 8月22日には、主催者である仁坂知事、西岡広川町長、また、世界津波の日の提唱者である二階自由民主党幹事長、さらに、サミットの進行を務める日高高校3年生の中井さん、串本古座高校2年生の伊森さんが、東京で記者会見を行ったとお聞きしております。
 開催を間近に控え、改めてサミットの開催内容や本県で開催する意義について、知事にお伺いをいたします。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 「世界津波の日」高校生サミットは、地震・津波などの自然災害から国民の生命、財産等を守る国土強靱化を担う将来のリーダーを育成することを目的に創設されました。
 「稲むらの火」発祥の地である和歌山に世界各国の高校生たちを招き、このサミットを開催することで、世界津波の日制定の由来となった濱口梧陵の精神を全世界に発信することは、大変意義深いものと考えております。
 11月5日が何ゆえ世界津波の日になったか、あるいはなるべきかということかもしれませんが、ある本によりますと、この世界津波の日の提言者の二階代議士は、国連総会で、この日は人類史上初めて人間が津波と闘って、部分的ではありましょうけれども、勝利した日だと。だから、アチェの震災に遭った日とか、チリの大地震の日ではなくて、この日がいいんだというようなことをおっしゃったそうであります。
 自然災害は必ず来るけれども、備えをしっかりして、そして、起こったら適切な行動と対策をとるということが大事なことだと思います。このことを世界の次代の指導者である高校生に学んでもらえれば、大変いいというふうに思います。
 日本は、濱口梧陵さんのひそみに倣って、国土強靱化に今乗り出しておりますし、和歌山では、特に世界有数の防災対策を備えつつあるわけでございます。こういうことをこの高校生たちが学んで、そして、次の時代には彼らが人々を守るリーダーになっていくわけですから、そういう意義がこのサミットにはあると思っております。
 サミットは、10月31日と11月1日の2日間、和歌山ビッグホエールで開催し、参加高校生は、災害について知識を得る、2番目に、災害に備え意識を高める、3番目に、災害から生き抜くの各テーマについて議論し、その成果を宣言文に取りまとめる予定でございます。
 なお、サミットの開催に先立ちまして、海外の高校生は10月28日に広川町で稲むらの火祭りに参加をしてもらう。それから、10月の29日と30日には、日ごろから防災活動に取り組んでいる耐久高校、日高高校、串本古座高校の生徒たちと一緒に防災学習を行うということになっております。
 サミットの開催を契機として、世界各国の若い世代の皆さんがお互いの交流を深め、サミットでの経験を生かして、将来それぞれの国における防災対策の指導者として大いに活躍していただくことを心から期待しております。
○議長(藤山将材君) 前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕
○前芝雅嗣君 御答弁ありがとうございました。
 やはり防災というのは大変大事だと思いますので、ぜひこれが途切れることなく続けていってほしいなあと思いますし、今、新聞をちょっと見たんですけど、小学校の運動会なんかでも、父兄が防災の訓練を競技にしてるような、そういうところもあるらしくて、棒を二つ置いて、洋服の袖にその棒を通して、その父兄を乗せてと、そういう運動会に取り入れているというような話もございますので、これからそういうのも少し教育長のほうなんかいろいろ考えていただいて、防災というのを皆さんで盛り上げていってほしいなと、そのように思います。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 皆さん、おはようございます。4日目ということで大変お疲れのことと思いますが、しばらくよろしくお願いいたします。
 まず、1番目に、運動部活動における体罰の防止についてお伺いしたいというふうに思います。
 県議会においては、8月6日に臨時の文教委員会が開かれ、教育委員会から県内の高校における体罰の問題について報告がありました。
 事案の詳細は省きますが、7月13日から3泊4日、校内で行われたラグビー部合宿中の出来事でした。バーベキューで飲酒した教師が部員の発言に激高し暴力を振るった上、けがをさせたものでした。当該教員は懲戒免職という厳しい処分を受けたのですが、校長への報告、保護者への報告が全て後回しになっていたことを考えると、暴力に対する当事者意識が欠落していたと言わざるを得ない状況だと考えます。
 文部科学省では、平成24年12月に発生した、大阪府内の高校のバスケットボール部の顧問が同部キャプテンの男子生徒に体罰を加え生徒が自殺するという事件をきっかけに、体罰禁止の徹底を図るための実態把握を都道府県に指示しています。
 平成25年の調査結果によると、平成24年度の体罰の状況は、国公私立の小学校、中学校、高校、特別支援学校を合わせると、発生学校数4152校、発生件数は6721件となっています。被害児童生徒数は1万4208人にも上り、体罰の場面は、小学校では授業中が最も多く、中学校、高校では部活動中が多いという結果になっています。
 その後、毎年、体罰の実態把握が行われており、平成28年度の状況では、発生学校数748校、発生件数838件と徐々に減少していると言えますが、これは認知できた数であり、実際にはもっと多いと考えられます。また、体罰の場面は、小学校では授業中がやはり最も多く、中学校、高校では部活動中が多いということに変わりはありません。
 このたびの県内の高校の事件を見ても、体罰という名の暴力について理解と認識がまだまだ浸透していないと考えます。そこで、今回は教育の一環であるスポーツと暴力について、以下でお伺いしたいと思います。
 最近は、スポーツ界でのパワーハラスメント、暴力についてのニュースは枚挙にいとまもありません。レスリング、アメリカンフットボール、ボクシング、体操と次から次へと報道されています。日本におけるスポーツは感動と勇気を与えてくれる一方で、スポーツ界全体が暴力を容認し内包していると考えます。その体質は、教育的指導という名のもと、中学校や高校の運動部活動にも及んでいるのではないでしょうか。
 文部科学省では、平成25年5月に、運動部活動での指導のガイドラインを作成し、体罰等の許されない指導と考えるものの例を具体的に示し、これを禁止しています。しかし、なぜ今なお体罰という名の暴力が終わらないのでしょうか。そこには、スポーツという分野以外では許されないけれども、スポーツでは許されるという文化が内在しているように思われます。
 さて、名古屋大学大学院の教育発達科学研究科の内田良准教授が、「教育という病」という本を書いておられます。その中で、学校の管理下の災害を過去にさかのぼって運動部活動の死亡事例を独自に集約、整理したものがあります。その結果を見ると、昭和58年度から平成25年度の過去31年間に850人もの児童生徒が命を落としています。そのうち、中学校が308名で36.2%、高校が524人で61.6%を占めています。
 一方、中学校、高校の主要運動部活動について部活動別に見てみると、ラグビーと柔道の死亡率が突出して高くなっています。
 また、8月10日の「産経新聞」に、日本スポーツ振興センターがまとめた調査結果が載っています。これによると、昭和50年から平成29年の42年間で、高校や中学校のクラブで活動中に熱中症で亡くなった生徒は146人で、そのうち最も多いのが野球で32人、次いでラグビー17人、柔道16人と続きます。
 部活動で命を落とす、これは全て指導者が注意をすれば防げた事故であります。また、学校全体が責任を負うべき行為であると考えます。学校関係者だけではなく、そういった行為を容認してきた社会も責めを負うべきだと考えます。
 高温の環境下での練習をさせる、正座や直立等の姿勢を続けさせる、無意味な運動を繰り返す、連帯責任として罰則のような運動をさせる、これらはいまだに日常にありがちなものばかりです。
 また、顧問が生徒に暴力を振るったとしても、「暴力はしたけれど、生徒の成長を願っての指導で、体罰ではない」とか「強くなってほしいから指導の一環で行った」という教育の名をかりた暴力が行われている現状があり、これを変えていかなければなりません。
 先日、プロのラグビー選手と体罰の問題や指導のあり方についてお話をする機会がありました。彼が言うには、「日本の部活動は精神論的な指導が多過ぎる。プロは、練習時はけがをしないことを最優先にしているし、練習時の休憩のとり方や水分の摂取などについてもよく考えている。この間、高校の指導に行ったが、余りにも非科学的な指導内容で、僕たちさえもすごくしんどかった」というふうに話されていました。
 さて、テニスでは、大坂なおみさんが全米大会で優勝するという快挙をなし遂げましたが、彼女を支えたコーチがクローズアップされました。なおみさんの精神を支えたのは、彼女への励ましや、あなたならできるというメッセージでした。毎日、パワハラ情報ばかりの日本のスポーツ界も見習うべきことが多いと思います。
 先ほどお話ししたように、文部科学省が運動部活動での指導のガイドラインを示しています。この前書きは、「全国各地域の学校において、体罰が根絶されるとともに、指導の内容や方法について必要な検討、見直し、創意工夫、改善、研究が進められ、それぞれの特色を生かした適切で効果的な指導が行われることにより、運動部活動で生徒一人一人の心身の成長がもたらされることを願っております」というふうに結ばれています。
 文部科学省のガイドラインは、あくまでもガイドラインであるため、各都道府県によって取り組みに温度差もあり、体罰はやってはいけないと認識されていても、それが現場にどれだけ説得力を持って伝わっているのかは、甚だ疑問であります。
 そこで、教育長にお伺いします。
 教育委員会として体罰の実態を把握されていますか。体罰防止について、これまでの取り組み状況をお伺いします。
 勝ちたいために、つい過度な練習になってしまうことはよくあることです。それが全て悪いということではありません。ただ、熱心になればなるほど閉鎖性を強め、非民主的な上下関係をつくってしまいます。また、顧問による体罰、しごきなどが生まれやすく、けがや命のリスクを高めてしまうという事例もよくあります。
 教育委員会として、今後、部活動から体罰を根絶するためにどのような対策を行っていくのか、お伺いします。
○議長(藤山将材君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 体罰についてでございますが、体罰は、学校教育法第11条において禁止されており、児童生徒の心身に深刻な影響を与えるとともに、教員及び学校への信頼を失墜させる決して許されない違法行為であります。
 議員御指摘のとおり、平成25年に国が実施した体罰に関する調査において本県でも相当数の事案があったことから、該当教員に対して厳正に対処するとともに、体罰根絶に全ての学校で徹底して取り組むよう、校長、教員を指導いたしました。また、平成25年度から運動部活動指導者研修会を毎年開催し、指導方法に関する顧問の意識改革を図っております。ことし4月には、国の運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインの内容を加えた和歌山県運動部活動指針を策定し、体罰を根絶するよう指導してまいりました。
 こうした取り組みを行っている中でも毎年数件の体罰が報告されており、その都度、厳正に対処してまいりました。しかしながら、ことし7月に県内の高校において顧問による生徒への暴力事案が発生したことは、まことに遺憾であり、大変厳しく受けとめております。
 このことから、7月末に臨時の県立学校長会を開催し、改めて体罰根絶に向けて各学校等で取り組むべき4点について私から指示いたしました。
 1点目は、服務規律の遵守と綱紀の厳正保持及び県運動部活動指針を徹底することであり、各学校において直ちに校長が全教職員を指導いたしました。
 2点目は、全ての顧問を面接し、課題や問題点を洗い出し、改善に向けた取り組みを進めるよう指示いたしました。
 3点目は、今後の部活動のあり方について、コミュニティ・スクールにおいても議論を深めることであります。
 4点目は、高等学校体育連盟や高等学校野球連盟等が重要課題であるとして再認識し、みずから体罰をなくす取り組みを徹底して行うよう指導いたしました。高体連では、運動部活動適正化推進委員会が新設され、体罰根絶に向けた検討が進められております。高野連においても11月に研修会が計画されております。また、中体連においては、既に適切な部活動の運営についての研修を実施しており、今後は高体連と連携を図りながら取り組むよう指示しております。
 県教育委員会といたしましては、今後、体罰根絶や科学的根拠に基づいた指導方法等に関する研修を体系的に実施するなど、体罰を根絶するため、粘り強く取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 体罰というのが違法行為であるというふうに今指摘をされておりますし、体罰を根絶するために取り組んでいくというふうに今答弁いただきました。
 私が知る範囲ですけれども、過去、体罰をしている教員を管理職に任用したり教育委員会に出向させたり、そういう事例もあるわけですね。教育委員会が、その当時ですので、体罰というのは余り重要視していなかった時代だったんかなあというふうにもまた思っているんですが、また、部活動で体罰をしている顧問が、強くなるために仕方がないというふうに、周りがその顧問にも何も言えなかったりという、そういうこともあったわけです。
 しかし、何度も言いますけれども、教育という名のもとの体罰は決して許されないと私は思います。社会や教育現場には、まだまだ体罰を容認する体質というか空気がまだ残っているということを前提に、今後さらに関係者、関係団体とともにしっかりと取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
 次の質問に入ります。人権行政の推進についてお伺いしたいというふうに思います。
 部落差別の解消の推進に関する法律が施行され、丸1年半が過ぎようとしています。法律では、現在もなお部落差別が存在していることを認め、部落差別の不当性を明確に規定しています。この法律では、国及び地方公共団体の責務が明らかにされました。この間、法律に基づき、どのような具体的な施策が行われてきたか、以下でお尋ねしたいと考えます。
 法律に、「情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ」とあるように、インターネット上における差別行為についても指摘しています。
 昨年2月の定例会の質問時に、「県といたしましては、インターネット上での差別的な情報について、通報を受けたり発見した場合は、被害者への助言や、法務省と連携してプロバイダー等へ削除要請を行っているところでございます。また、同和問題を正しく理解していただくとともに、情報モラルや情報リテラシーを持ってインターネットを利用するよう、関係機関と一緒に県民の皆様への教育啓発を引き続き行ってまいります。さらに、インターネット上での本県にかかわる差別的な情報について現状把握を行い、国に対して働きかけていく材料といたします」というふうに答弁されています。
 インターネット上の差別的な情報について、通報やたまたま発見した場合に被害者に助言する、法務省と連携して削除要請を行うという大変消極的なものでありました。このような方法でインターネット上の差別事件はなくなっていくんでしょうか。
 和歌山市では、部落差別解消推進法をきっかけに、本年度よりモニタリング事業を開始しました。毎日2時間程度、非常勤職員と担当課の職員によるモニタリングを実施し、プリントアウトした上、法務局やプロバイダーに削除依頼を行っているとのことでした。しかし、個人にかかわるもの以外の削除は難しいとのことでした。
 全国的に見ると、篠山市、三田市、尼崎市、福山市、伊丹市等々も実施しており、兵庫県や三重県、鳥取県でも実施されています。まだまだ数は少ないですが、監視することの意義は大きいと考えます。
 市町村だけではなく県として、本県にかかわる差別的な情報について現状把握する必要があると思います。市町村にお任せではない、県としての主体的な取り組みが必要と考えますが、見解をお聞きします。
 次に、人権相談についてです。
 昨年の答弁では、「相談体制の一層の充実に向け、改めて県や市町村の担当職員が相談に的確に対応できるよう研修を実施したところであります。加えて、市町村に対しても、法の趣旨を踏まえた取り組みを強く働きかけてきたところです」とあります。
 これも和歌山市なんですが、これまでも人権相談の窓口を設置してきましたが、今年度は人権ホットラインを設置するなど、新たな取り組みを開始したと聞いています。県内の市町村の相談体制の状況はどうなっていますか、また市町村へどのような働きかけをされているのか、お伺いします。
 次に、部落差別解消推進法が制定された平成28年度は、障害者差別解消法、ヘイトスピーチ対策法も制定、施行されました。これら3法は、差別をなくすことを目的として制定されました。
 その一方で、悪質なインターネット上での差別書き込みなどの行為は、とどまるところを知らず拡散されています。しかし、それに対して有効な対策が講じられていない現状であります。また、ヘイトスピーチに至っては、公衆の面前で堂々と差別言動が繰り返され、差別をあおっている実態が報告されています。
 県では、平成14年に和歌山県人権尊重の社会づくり条例を制定しています。条例が制定されてから16年がたとうとしていますが、この間、社会の状況は大きく変化しました。私は、県の条例において、規制や救済を盛り込むべきだと考えます。差別に対する規制、救済措置をどのようにするかなど、あらゆる差別を許さない姿勢が求められていると思いますが、県としての見解と取り組みをお伺いします。
○議長(藤山将材君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) インターネット上の差別的な情報につきましては、差別の拡散、助長につながる悪質なものと認識しております。
 県では、これまでも国の人権擁護機関である和歌山地方法務局と連携し、プロバイダー等への削除要請を行ってまいりましたが、今後は、差別的な情報のモニタリングも実施し、差別の拡散、助長の抑止に努めてまいります。
 次に、市町村における人権相談につきましては、県内全ての市町村におきまして人権相談窓口を設置し、対応していただいております。県では、市町村の担当職員が相談に的確に対応できるよう毎年研修を実施するなどの取り組みを行ってきたところであり、今後も引き続き、市町村と連携、協力して相談体制の充実に努めてまいります。
 次に、あらゆる差別を許さない姿勢につきましては、県では、不当な差別が行われることなく、全ての人の人権が尊重される平和で明るい社会の創造を目指しております。そのため、和歌山県人権尊重の社会づくり条例に基づき、和歌山県人権施策基本方針を策定し、人権施策の総合的な推進を図っているところであり、今後も、社会の状況の変化や新たな法令の施行などの動きを踏まえ、時宜に応じた基本方針の改定を行い、市町村等と連携しながら相談体制の充実や教育、啓発など、必要な取り組みを推進してまいります。
 また、差別に対する規制や差別された場合の救済措置については、全国的な課題であり、国が法制度を整備するなど、責任を持って対応すべきであることから、国に対して実効性のある法制度の整備を求めてきたところであり、一日も早く整備されるように引き続き強く働きかけてまいります。
○議長(藤山将材君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 インターネット上の差別というのは、まるでモグラたたきのようでありまして、たたいてもたたいても次から次へと新たな差別が生み出されているわけですよね。現状では削除要請することが精いっぱいでということで、何か差別はやられたい放題だなというふうな感じもしまして、県では今回モニタリングを実施するというふうにしておりますので、これも全ての市町村と連携して取り組んでいただけるように要望したいというふうに思います。
 また、現状では規制とか救済が難しいということなんですが、国へ要望していただけるということで、県としては今後何ができるかということは検討を続けていただきたいというふうに要望したいというふうに思います。
 次に移ります。児童虐待の防止についてお伺いしたいというふうに思います。
 昨年9月定例会でも児童虐待の防止について質問させていただいています。児童福祉法改正に伴う新しい社会的養育ビジョンの提言を受けた上で、児童虐待への取り組みをただしたものです。
 冒頭では、児童虐待の相談件数が右肩上がりの増加の一途をたどっている現状をお話しさせていただき、虐待を受ける子供たちを年齢別に見てみると、学齢前の子供が44%という高い割合を占めていることも指摘させていただきました。また、虐待者の約5割が実の母親であり、実の父親も合わせて8割以上が実の父母であるという結果でありました。
 国としても、本年7月20日付で、児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議による児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策を発表しています。本年3月に東京都目黒区で起こった5歳児の死亡事件を契機に発表したもので、児童虐待防止対策に関する閣僚会議において、国、自治体、関係機関が一体となって子供の命を守り、子供が亡くなる痛ましい事件が二度と繰り返されないよう、児童虐待防止対策の強化に向け、厚生労働省を初め、関係府省庁が一丸となって対策に取り組むこととしたとあります。
 国の緊急総合対策では、児童虐待防止対策体制総合強化プランの骨子が示されており、2019年度から2022年度までに児童相談所、市町村の専門職の配置を図るための取り組みを進めるとしています。この緊急総合対策の中で私が一番注目しているのは、児童虐待の早期発見・早期対応の項目であります。私は、最近、虐待が起こってからの対応では虐待から子供たちを守れないという危機感を感じています。
 さて、ことし6月に、県立医科大学保健看護学部において、トリプルPジャパン研究会わかやま大会が開催され、全国から子供たちの養育にかかわる研究をされている皆さんがお越しになりました。トリプルPとは、ポジティブ・ペアレンティング・プログラムの略称で、聞きなれない方もおられると思いますが、親子関係をよくするため、ふだんの子育ての場面で親が子供にどのように向き合えばよいのか、どのような声かけがよいかを学ぶプログラムです。
 その中で、NPO法人トリプルPジャパンの理事長をしている柳川先生は、「養育者の子供への不適切な言動は子供の虐待へと進展する」と述べられています。
 また、その大会に講師としてお越しになっていた医療法人井上小児科医院院長の井上登生先生のお話を聞く機会をいただきました。
 井上先生のお話は、虐待予防のためには、虐待をしてしまう養育者を支える視点が大変重要であり、子供への不適切なかかわりを改善できるような具体的な支援が必要であるとのことでありました。
 井上先生は、母子保健・地域医療分野では知らない方がおられないぐらい著名な方で、大分県中津市で井上小児科医院を開業しており、医院には地域子育て支援センターとともに発達行動相談室も併設しています。その井上先生は、中津市における児童虐待予防の中核を担っていただいています。
 ヒントをいただきたくて、中津市に視察に行かせていただきました。
 中津市の母子保健の大きな特徴は、妊娠期から乳幼児期、その後の発達過程において、養育者と市町村関係者、医療関係者が顔の見える関係を築きながら養育を見守っていく形ができていることでした。
 支援は、母子健康手帳を交付するときから始まります。母子健康手帳を交付するときは、面接室で必ず保健師が行い、妊娠中や出産前後に周囲のサポートがあるかどうかを確認しながら、支援が必要と判断した妊婦について特定妊婦としてかかわりを開始する体制が整えられています。出産後も乳児家庭全戸訪問、健診時ごとのかかわり等を通じ、顔の見える連携した関係づくりが進められています。健診時に気になる事案は訪問を引き続き行い、関係機関への連携も進められています。訪問や健診でのデータは全ての関係者が共有できるように蓄積されており、必要に応じ、ケース会議やカンファレンス会議が行われています。
 中津市の取り組みは、県としても大変参考になるものです。
 県でも、虐待防止に向け、さまざまな対策を行っています。それでもなお虐待件数は減少していません。子供たちを守るために何が足りないのか、真剣に考え込んでいます。
 9月11日の「朝日新聞」に、「虐待、心取り戻した親」という見出しで記事が掲載されていました。悪いと知りながら感情が抑えられない、子供に手を上げてしまう、そんな親たちに向けての研修の記事でした。
 その研修を主催している森田ゆりさんは、「事件のたびに親への非難が沸き上がるが、本当に必要なのは精神的なケア。当事者を袋だたきにして終わりという構造を変えない限り、事件はなくならない」とコメントしています。虐待防止にかかわる方がよく言われることが集約されています。子供の問題は、親の問題なのです。
 県内でも、中津市と同じように母子保健の施策として、母子健康手帳交付時の聞き取り、乳児家庭全戸訪問、健診事業などを実施しています。同じ施策は行われているのですが、例えば、養育者と保健師との関係を顔の見えるものにまで発展させ、それを継続されているのでしょうか。全戸訪問した後や健診後のフォローは、きめ細かく続けられておられるのでしょうか。
 厚生労働省から、平成30年7月20日付で、母子保健施策を通じた児童虐待防止対策の推進についてという通知文が都道府県に対して出され、子育て世代包括支援センターに関しては、「児童虐待の発生予防のためには、妊娠期から子育て期まで関係機関が連携し、切れ目のない支援を実施することが重要」と明記されています。児童虐待は、発生してまってからでは遅いのです。
 そこで、福祉保健部長にお伺いします。
 児童虐待の未然防止に重要な役割を果たすことが求められている子育て世代包括支援センターの本県での設置状況と取り組み内容はどうなっていますか。また、県として、児童虐待の未然防止のために、市町村支援も含め、どのような施策を進めていますか、お伺いします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 児童虐待の未然防止のためには子育て家庭の悩みや不安が深刻化する前に早期対応することが極めて重要であることから、子育て世代包括支援センターでは、親の不安や孤立感を軽減するため、妊娠期から子育て期まで切れ目なく必要な支援を行っています。
 県では、これまで市町村に対して、センターの開設準備経費や運営費の財政的支援と、支援プランの様式提示などの技術的支援による設置促進のための取り組みを行ってきており、現在、19市町村において設置運営されています。
 国においては2020年度末までに全ての市区町村での設置を目指していますが、本県では、こうした取り組みにより2019年度末までに全ての市町村に設置される予定となっております。
 このセンターでは、保健師などの専門職が母子健康手帳の交付や健診などの機会を捉えて妊産婦や乳幼児の実情を継続的に把握し、相談支援や、必要に応じ個別の支援プランの作成を行っています。その上で、気になる親子につきましては家庭訪問や保健指導の実施、親子教室の紹介などを行うとともに、専門的な支援が必要な場合には、保健所の療育相談や発達相談につなげたり、医療機関など関係機関と対応を協議し、適切な支援を行っています。
 また、育児によるストレスは児童虐待につながるおそれがあるため、地域全体での見守りがその予防に重要であると認識しており、広く県民に対し、リーフレットの配布や広報紙、ホームページ等を活用した啓発活動のほか、課題を抱える親子への相談や行政との橋渡しを行う児童委員や母子保健推進員に対する研修の実施など支援を行っているところです。
 あわせて、子育ての悩みや不安を抱える方に対する相談体制として、全国共通ダイヤル189などにおいて、24時間365日体制での電話相談を実施しています。
 県としましては、今後、県内どの市町村においても同様の支援が受けられるよう、母子保健や子育て支援にかかわる専門職の知識と技能の向上を図るための研修を実施するとともに、一部の市町村で実施されている親と子供のかかわり方を学ぶ親支援プログラムを周知し、他の市町村での取り組みを促進するなど、児童虐待の未然防止に一層努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 虐待の未然防止について御答弁いただきました。
 子育てを経験された方ならおわかりいただけると思うんですけど、子育ては本当にストレスのかかる作業です。若い親たちが子育て中は多かれ少なかれ悩みを抱えています。忙しい中、言うこと聞かない子供をたたいてしまうというようなことはよくあることでして、虐待の未然防止のためには子育てのスキルを学んでいただける機会を提供することだというふうに考えます。切れ目のない支援の中に、前向きに子育てに取り組むスキルを学ぶペアレンティングというソフト面での支援策をしっかりと整えていただきたいというふうに要望します。
 次の質問に入ります。全国知事会の米軍基地負担に関する提言について、知事の所見をお伺いしたいと思います。
 8月14日に、全国知事会は、政府及び在日米国大使館に対し、米軍基地負担に関する提言の要請活動を行いました。
 全国知事会では、先日お亡くなりになった翁長沖縄県知事から、米軍基地負担の軽減について検討する場を全国知事会で設定すべきという提案を平成27年12月に受け、米軍基地負担に関する研究会が翌年の28年7月に設置されました。これは、米軍基地に係る基地負担の状況を基地等の所在の有無にかかわらず広く理解し、都道府県の共通理解を深めることを目的に設置されたものです。
 このたび、北海道で開催された全国知事会議の場において、「米軍基地負担に関する提言」を7月27日付全会一致で取りまとめ、その後、先ほど申し上げました8月14日に、政府や在日米国大使館に要請活動を行いました。
 提言では、日米安全保障体制は重要であるとしながらも、米軍基地の存在が航空機騒音、米軍人等による事件、事故、環境問題により基地周辺住民の安全・安心を脅かし、基地所在自治体に過大な負担を強いている側面がある等々、5点にわたって現状の指摘がなされています。
 その上で、地位協定の抜本的な見直しなどを提言しました。提言が要求していることは当たり前の項目ばかりであります。
 「1、米軍機による低空飛行訓練等については、国の責任で騒音測定器を増やすなど必要な実態調査を行うとともに、訓練ルートや訓練が行われる時期について速やかな事前情報提供を必ず行い、関係自治体や地域住民の不安を払拭した上で実施されるよう、十分な配慮を行うこと。2、日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立入の保障などを明記すること。3、米軍人等による事件・事故に対し、具体的かつ実効的な防止策を提示し、継続的に取組みを進めること。また、飛行場周辺における航空機騒音規制措置については、周辺住民の実質的な負担軽減が図られるための運用を行うとともに、同措置の実施に伴う効果について検証を行うこと。4、施設ごとに必要性や使用状況等を点検した上で、基地の整理・縮小・返還を積極的に促進すること」を求めています。
 知事会が住民の安全・安心を最優先に取りまとめた日米地位協定の見直しに言及したこの提言は、今までにない画期的なことであると思います。この提言は、沖縄本島の約15%の面積を占める基地の現状や、全国の米軍専用施設の面積の約70%が沖縄県に集中することによる沖縄県民の苦しみの声を代弁したものとなりました。
 折しも横田基地へのオスプレイ配置が報道され、住民の不安が増大している中での提言は、大きな意味を持つものと考えます。
 生前、翁長知事は、「憲法の上に日米地位協定がある。国会の上に日米合同委員会がある」とおっしゃっていました。飛行ルートの説明もない、訓練の事前報告もない、事故があっても立ち入りすらできない、事件があっても取り調べもできない現状を改めていかなければならないと思います。
 そこで、知事にお伺いします。
 知事は、全会一致で採択したこの提言についてどのような所見をお持ちなのか、お伺いします。
○議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私自身は欠席でございましたんですが、全国知事会議において他の知事の方々も賛成したように、私もこの提言の内容にはもちろん賛成であります。
 その上で、私が思ってることを申し上げたいと思います。
 在日米軍基地問題に関しては、日米両政府が合意して、日本と極東の平和と安全を確保するため、安全保障上の観点から配備され、その上で、地政学上の観点からも沖縄に基地が集中していることは事実であるというふうに思います。今の世界情勢を考えると、日本の安全保障上、どうしてもこれは必要だと私は思います。しかし、それにより沖縄県民に多大な負担をおかけし、その負担のもとで日本の安全が何とか保たれている状態であるということについては、日本国民の1人として、沖縄の方々に頭を下げて、済まないと思っております。
 提言にある地位協定の関係で申し上げますと、日本の安全保障上、米軍の飛行訓練は必要かもしれませんが、かつて米軍の実施するオスプレイの低空飛行訓練ルートが急遽、本県上空を含むオレンジルートに変更されたにもかかわらず、事前に我々に連絡がないということがございましたが、これについて、この議会で不快感を表明したこともあります。そのときも、現行法制上こうなることが予定されていることは自分としてはよくわかっているけれども、不快だというふうに申し上げたわけでございます。
 現行法制上は米軍も国土交通大臣に事前に飛行計画を通報しなければならないということになっておりますけれども、民間機と違いまして、国交省の管制に服さなくてもよい場合も多うございます。さらに、県に対して知らせることは予定されておりません。有事の際は別といたしまして、平時の訓練においてもこれでよいのかと私は常に疑問に思うところでございます。そのため、日本地位協定による現行法制はそうであるとしても愉快でないというふうに申し上げたわけで、今もその考えに変わりはありません。
 しかしながら、これらの取り扱いは、日米安全保障条約の締結以来、日米両政府の合意に基づき決定してきた経緯があり、また、その他のさまざまな取り扱いとパッケージになっていることから改めることは容易ではないというふうに思いますが、長い目で見て、日本人として努力して、いつかは改善していくべきものだと私は思います。
○議長(藤山将材君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁ありがとうございました。
 私も、この提言の日米地位協定の改善というのは、改善の第一歩、きっかけになって、これが実現されるようになればいいというふうに思っております。御答弁、本当にありがとうございました。
 これで、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時38分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 このたび、台風21号は大きな被害がありました。被災された皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。
 私も、5晩、ろうそく生活を経験いたしました。その後、私は紀美野町に入りまして、その被害の大きさに驚きました。谷合いの集落には木が倒れ、車が入れなくなっている。そこに町の職員は、3リットルのウオーターバッグを一輪車に載せて1軒1軒訪問したといいます。
 この議会の冒頭で、知事は、配付文書につけ加えて「日本で初めてのことと思いますが、立木の伐採を助けながら停電の解消に努めている」と述べられた。私は、大変大事なことだと感じながらお聞きしました。県民の苦難に心を砕き、やれることは何でもやるということは大事だと思います。紀美野町の町長さんも、仁坂知事からは何度もお見舞い、激励の電話をいただいたと感謝しておられました。
 災害といっても、道路が崩れたとなると道路の担当課が出かけて修復する、川があふれたとなると河川課が担当することになるのですが、停電となりますと、基本的には関西電力の復旧を見守るしかありません。
 では、行政がまずやるべきことは何だろうか。第1は、情報を共有して住民の安心を担保することでしょう。第2は、災害弱者についての安全を担保することでしょう。
 私自身、自分の家が停電になったときに考えたのは、私の家が停電になっていることを電力会社が把握してくれているのかどうかという不安でした。関西電力の停電窓口にはなかなかつながらない。和歌山市役所に電話してみました。少しつながりにくかったのですが、間もなくつながり、事情を申し上げると「関西電力に伝えます」と言ってくれました。停電を把握するシステムにふぐあいが生じたという報道があったから、なおさら心配しました。
 そこで、質問であります。
 第1点、停電があったとき、電力会社は、どこの家に電気が送れないのかということについて検知するシステムは持っているのでしょうか。停電情報システムのふぐあいというものは、どういう性格のものだったのでしょうか。商工観光労働部長から御説明いただきたいと思います。
○議長(藤山将材君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 関西電力では、高圧の配電線の停電状況を自動で感知し、市町村ごとの停電件数の概数をホームページで公表する停電情報システムと呼ばれるシステムを運用していると承知しております。
 ただし、このシステムでは、高圧の配電線より需要側にある変圧器のふぐあいや、建物への引き込み線の断線などに起因する停電については、個別に把握することができないと聞いております。
 また、関西電力に確認したところ、9月の4日午後から生じた停電情報システムのふぐあいは、台風21号の影響により想定以上に多くの停電が発生したことで、システムの処理能力を超えた情報処理を行った結果生じたものであるとのことです。同社では、システムサーバーの増強及びソフトウエアの改修を行い、6日の夜には同システムの機能を回復させたと聞いています。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 第2点、停電になれば、問い合わせ電話が殺到するのは当然です。電力会社だけではさばき切れない状況で、県、市町村にも電話が殺到したと聞いています。住民の安心を担保するための仕組みが必要です。自治体に関西電力が職員を派遣してくれたということも聞いたのですが、どういうことをしてくれたのか。今後、どういうことを検討しているのでしょうか。危機管理監からお答え願います。
○議長(藤山将材君) 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 関西電力が市町村に職員を派遣した理由についての御質問ですが、関西電力に確認したところ、市町村に台風第21号による停電に関しての問い合わせが殺到したことから、市町村からの要請により、停電箇所などの問い合わせ等の対応を行い、自社へ報告するなどの情報連携を行うことを目的に、市町村へ派遣したとのことです。
 なお、関西電力では、今後、今回のような停電の際には、必要に応じ、あらかじめ職員を市町村へ派遣する方針であると聞いております。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 このたびの停電が予想外に大規模で、復旧に時間がかかったということから、どういう課題が浮かび上がってきているのでしょうか。電線の老朽化というような問題はないのか。電線の地中化ということが進んでいたら、もう少し被害が少なかったのではないかなども考えます。
 特に紀美野町では、どんどん木が大きくなってくる山中に電線が走っているわけです。電線の地中化というのは、今までは都市部の話だと思っていたけれども、山林地域にこそ必要ではないかなとも思いました。1本の電線が切れても、別のルートで電気を送れるようなバイパスは考えられないのか。一遍にできることではありませんが、重点的にでもこうしたことが検討されなくてはならないと感じたんですが、関西電力はどう考えているのでしょうか。危機管理監にお伺いします。
○議長(藤山将材君) 危機管理監。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 議員御質問の山林地域での電線の地中化につきましては、関西電力に確認したところ、樹木の倒壊や風雨の影響を受けにくいものの、電線の破断などの事故点の把握に時間がかかることや、土砂災害の場合には復旧がさらに長期化するなど、さまざまな課題があるとのことです。
 また、電線ルートの複線化については停電を回避する有効な方法でありますが、山林地域で複数のルートを確保することは極めて困難であるとの回答がありました。
 一方、関西電力では、今回の停電を受け、9月14日に社長を委員長とする台風21号対応検証委員会を設置し、早期復旧、顧客対応、自治体との連携などの課題について改善策の検討を行い、それぞれの地域特性に応じた適切な送電ルートのあり方や、自然災害を踏まえた電線などの設備強度化の可能性についても検討されると聞いております。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 紀美野町でお伺いした地区には、10人のお年寄りが泊まり込んでいる介護施設があり、隣には集会所がある。1週間、停電しました。地域の業者の方が発電機を貸してくれて乗り切ったのですが、大変だったそうです。
 地域の消防団は、詰所ごとに発電機を持っているところがある。消防団なども含めて、地域の防災資源をフル動員できるシステム、例えば、町長が判断すればそれを使えるようなシステムが必要ではないかと思ったのですが、どのような対応をされたのでしょうか。危機管理監からお答えください。
○議長(藤山将材君) 危機管理監。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 市町村長は、災害時において住民の生命と財産を守るため、それぞれ地域の持てる資源を最大限活用して災害対応を行っております。
 議員御質問の紀美野町におきましても、停電が長期化した地域において、町、消防団、自主防災組織等が備えている発電機を診療所や避難施設等で活用するとともに、家庭用ボイラーを使用する各家庭に発電機を持ち回るなどの対応も行ったと聞いております。
 また、県としても、企業からの貸し出しの申し出があった発電機を調達して、町の希望を聞いて配布を行ったり、尾崎要二議員から直接御指導をいただきながら、紀美野町や有田川町と連携をとり、関西電力の移動電源車の配備を行うなど、支援に努めたところであり、今後とも災害時には、あらゆる資源を総動員して対応してまいります。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私の生活相談所に、電話がかからないので困るという相談が入りました。そこで、故障窓口、113番に電話をしてみました。時間はかかったんですが、やっと通じた。それで、電線が切れているようで、修理予約を受け付けますが、10月26日になりますという返事をもらったのです。もらったのは、たしか9月13日ごろだったと思います。NTTも随分、人減らし、合理化を進めてきた。その結果がこういうことかと思いましたが、今はそんなことを言ってもどうもなりません。
 そこで、私が考えたのは、電話回線にふぐあいが起きたところはたくさんあっても、今や携帯電話が普及している、電話線のふぐあいが起こった家庭で家族が1人も携帯電話を持っていない家庭に絞り込めば極めて少数ではないか、優先して修理するか携帯電話を無料で貸し出すことができるんではないか、こんなことも考えたわけでございます。
 県では、これまで固定電話の早期修復に向けてどのように働きかけてこられたのか。企画部長にお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) まず、NTTが電話のふぐあいをどのように把握するかについてですけれども、NTT西日本によりますと、通信ビル間の中継伝送設備の障害は自社システムにより把握できるものの、通信ビルから加入者宅までの電柱、ケーブル等の損傷については、主に利用者からの申告によって把握しており、また、それによって復旧対応を開始するということです。
 さらに、県内には停電時には利用できない光IP電話が約12万回線提供されておりまして、復電、要は電気が復旧するまでは通信ができるかわからず、復電後に利用者から申告があって始めてふぐあいがわかると、こういうふうになっているということです。
 このことを踏まえまして、県では、復電状況に鑑み、9月14日に知事の指示により、危機管理局から住民の方々に対し、固定電話のふぐあいがあった場合は、NTT側ではわからないので、NTTに申請を行うよう注意喚起いたしました。
 結果的に、県内でのNTTへの固定電話のふぐあいの申請については、発災翌日の9月5日では284件であったものの、復電するに従って増加し、昨日、9月20日までに延べ3556件あったということでございます。
 県では、NTT西日本が固定電話の復旧に長時間を要しており、県民生活に多大な影響を生じていることから、9月14日に、知事からNTT西日本の小林代表取締役に対し、通信復旧人員の増強を含め、早期の復旧を要請し、昨日9月20日時点までに2640件の復旧が完了したところです。
 また、9月19日には、NTT西日本から、今月末、9月末までに県内の全ての復旧作業が完了見込みとの報告がありました。議員の御質問にあった10月26日よりは早くなっておりますが、電力や携帯電話等の他のインフラと比較してやっぱり復旧のペースが非常に遅いということから、復旧を前倒しするよう強く要請しているところです。
 県としては、NTT西日本の固定電話の復旧状況を引き続き注視し、必要な対応をとっていくとともに、今回の台風第21号における通信事業者等の対応の検証を踏まえまして、今後の災害時における通信の確保や復旧のさらなる円滑化に向けた取り組みについて、協議を進めてまいります。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 実は、この質問通告を出した19日の昼過ぎなんですが、NTTの工事担当者から電話がありまして、私がお願いしていた2軒のうちの1軒、今から修理に向かいますということでした。10月26日に修理予定であったお宅です。こんなことになるのは結構なんですが、いろいろ考えますが、まずは、工事の担当者にはお礼を申し上げておきたいと思います。
 さて、次へ行きます。
 私は、県議会に出て16年目になります。気になるのは、何度も取り上げてきた事業がどこまで進んできたのか、見通しがどうなのかという問題です。
 その一つは、阪井バイパスをめぐる問題です。この道路は、海南市の西部と東部、さらに紀美野町へ向かうのに大動脈とも言うべき道路、私が県議会に出さしていただいたころに、ちょうど法線が煮詰まりかかっておりました。その間、いろいろなことがありまして、思い出深い道路なんですが。
 最近、道路協議会が開かれて、委員の方から、「今年度末までに供用というが、大丈夫なのか」という心配の声が出ておりました。残事業はどれだけあるのか、今年度予算はどれだけついているのか、年度内にできるのか、見通しを県土整備部長からお答えいただきたいと思います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 国道370号阪井バイパスの年度内完成につきまして、お尋ねをいただきました。
 国道370号阪井バイパスにつきましては、事業区間全線で工事を鋭意進めているところでございまして、事業の進捗はおおむね9割の状況でございます。
 残事業といたしましては、竜部池にかかる仮称・竜部橋の上部工事を初め、道場山の山切り工事や国道424号のつけかえ橋梁の上部工事、舗装工事などとなっております。
 平成30年度予算につきましては、全線の供用に必要な予算といたしまして、事業費12億5000万を当初予算で計上してございます。
 工事の見通しにつきましては、大規模な山切りなど時間を要する工事が残っており、工程は厳しいものの、しっかりと工程管理を行い、平成30年度末の供用に向け、引き続き取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 いよいよあと一歩まで来ましたので、安全には十分気をつけながら頑張っていただきたいと思っています。
 次に、海南市の津波防災堤防の問題です。
 私は、海南市は津波に弱い町と申し上げて、津波対策をお願いしてきました。この津波防災堤防にも紆余曲折がありました。国土交通省が、世界最初の浮上式津波防災堤防をつくりましょうと言い出したときには、私も期待いたしました。しかし、国土交通省の内部情報が伝わってきて、どうも雲行きがおかしくなって、結局、技術上の問題で浮上式防災堤防は中止になって、堤防のかさ上げが決まったわけでございます。
 事業の進捗はどうでしょうか。残事業は、予算ベースでどうなっているんでしょうか。今年度予算は幾らつき、完成年度はいつになるんでしょうか。県土整備部長からお願いいたします。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 海南市の津波防災堤防の進捗などに関しまして、お尋ねがございました。
 和歌山下津港海岸海南地区におけます直轄海岸保全施設整備事業につきましては、事業の進捗はおおむね4割の状況でございます。平成29年度末までに、関西電力海南発電所の西側護岸のかさ上げ改良や津波防波堤の新設、琴の浦水門の新設工事が完成しております。
 海南地区の沖側につきましては、琴の浦水門の取りつけ護岸工事が完成する今年度末で防護ラインが完成する見込みであり、また、湾奥部につきましては、日方水門の築造工事を実施しており、順次、日方護岸や築地護岸の改良工事を実施していく予定と伺っております。
 今年度予算及び残事業費につきましては、平成30年度当初国内示額は約20億円となっており、平成31年度以降の残事業費といたしましては約270億円となります。
 本事業につきましては、目標年度でございます2023年度の完成を目指し、事業の推進に取り組んでいくと国土交通省より聞いておりますので、県といたしましても、引き続き国の事業進捗に協力してまいりたいというふうに考えております。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 こちらは、ちょっと心配なんですね。事業完了が2023年の予定、つまりあと5年であります。残事業は270億円、そこに国の内示は20億円。県では50億円事業を予定していただいておりまして、これなら大体予定どおりにと思っていたんですが、国の内示は20億円しかついていない。これでは、12~13年かかってしまいます。
 南海・東南海地震、津波は、いつ来るかもしれない。ひとつこれは、国土交通省に計画を変更したんだから、その責任はしっかりとって約束を守っていただけるように迫っていただきたいと思っています。
 なお、この問題では、地元海南市や地元企業負担はおかしいということを申し上げていることも、つけ加えておきたいと思います。
 それでは、議長、次へ行かしてもらいます。
 第3は、河川整備計画に基づく整備の進捗状況です。
 異常気象、大雨が多くなり、大変心配です。亀の川下流、岡田・室山地域では、大雨のたびに浸水に悩まされています。特に、大坪川の水を亀の川がのみ込めないという問題があります。亀の川水系河川整備計画に基づく整備の進捗状況はどうでしょうか。大坪川沿川地域の浸水被害の軽減は図られるのでしょうか。
 そして、あわせて日方川水系河川整備計画に基づく整備の進捗状況はどうなっているのかをお聞かせください。日方川上流では、海南市重根メガソーラーのための林地開発が計画されています。この林地が開発された場合、山の保水力が低下することが懸念されます。日方川水系河川整備計画にどういう影響があるのかもお聞かせいただきたいと思います。県土整備部長からお願いいたします。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 亀の川と日方川の整備の進捗状況などにつきましてお尋ねがございました。
 亀の川につきましては、平成22年10月に亀の川水系河川整備計画を策定し、河口から紺屋橋までの約4.8キロメートル区間の堤防整備や河床掘削等を位置づけております。河川整備計画に基づき、河口から紺屋橋までの区間につきましては順次整備を進めておりまして、河口から約700メートル区間につきまして完成しているところでございます。
 今年度は、引き続き右岸の上流約200メートルの護岸工事を予定してございまして、今後も上流に向け、河川整備を実施してまいりたいというふうに考えております。
 また、支川の大坪川につきましては、亀の川合流点からJR橋までの約1.2キロの県管理区間のうち、平成28年度から室山団地前におきまして護岸の一部かさ上げなどの局所的な対策に着手し、今年度は合流点より河床掘削等を実施する予定でございます。
 さらに、市の管理区間でございますJR橋上流の岡田地域につきましては、浸水対策といたしまして、海南市が排水ポンプ場の整備に取り組んでいるというふうに聞いております。
 これら県・市による連携した取り組みによりまして、大坪川沿川の浸水被害が軽減されるというふうに考えております。
 続きまして、日方川について申し上げます。
 日方川につきましては、平成25年9月に日方川水系河川整備計画を策定し、河口から神田橋までの約1.5キロの区間の河道拡幅や河床掘削等を位置づけております。河川整備計画に基づき、河口から神田橋までの区間について順次整備を進めており、下橋付近から大橋付近を除く区間について護岸工事が完了しているところでございます。平成29年度より下橋かけかえ工事に着手し、平成31年度完成に向け進めており、残る大橋、新町橋のかけかえ等についても順次実施する予定でございます。
 これらの河川につきましては、今後ともさまざまな機会を通じて予算を確保し、事業を推進してまいりたいというふうに考えております。
 それから、海南市重根のメガソーラー計画によります日方川水系河川整備計画への影響についてでございますが、一般的に、森林には水源の涵養などのさまざまな機能がある中、森林伐採を伴う開発は、その機能を損なうこととなり、河川への雨水の流出が増加するおそれがあると考えております。
 そのため、森林法に基づき県で定めた林地開発許可制度の手続におきまして河川担当部局に対する協議が位置づけられており、雑賀議員御指摘の海南市重根のメガソーラー計画につきましても、事業者から河川担当部局への協議が必要となっております。その際に、当該メガソーラーの開発により日方川への雨水の流出が増加し、治水上の影響が予測される場合には、そうした影響が出ないように調整池を設置するなどの必要な防災措置を求めることとなるため、日方川水系河川整備計画に対する影響はないものと考えております。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 心配しておりますメガソーラーの関係、結局、治水に悪い影響があるような森林開発は認めないということ、だから、森林開発をするからには、そういうことの対策が必要だというふうにお答えいただいたと思いますので、これから住民の皆さんと一緒にこの問題はしっかりと見守っていきたいと思っています。
 大きな3点目なんですが、知事は、引き続き県政を担当する意欲を示しておられます。一方、ゆたかで住みよい和歌山県をつくる会から畑中正好氏が立候補することになり、先日、記者発表もし、私も同席いたしました。
 きょうの質問でも、私はこのたびの台風災害について、知事が県民の立場で頑張っておられることは評価いたしました。3人っこ政策なども努力しているもんもある。そのことは、決して否定する気はありません。
 しかし、何でこんなことをと思うことも少なくないわけであります。
 大きな国際的な問題で言えば、核兵器禁止条約への参加をめぐって、一旦「核兵器禁止条約については、日本政府はこれまで加わりませんでした。それはどうかなと正直に言って私は思いました」とまで言われたので、これはいい線行ってるなと思ったんですが、結論としては、結局、安倍内閣は条約に加わらないということについて理解できるとして、署名も結局されなかったと。あるいは、原発再稼働にブレーキをかけた福井地裁判決でしたか、これを評価して「原発が危ないと言うのなら、自動車だって危ない」と言い放って、私たちを唖然とさせたこともあります。
 そこで、きょうは、そういう大きな問題は別にして、幾つか知事の真意をお伺いしたいことについて聞いておきたいと思います。
 一つは、カジノを含むIR誘致であります。
 私は、この問題について、県議会で2回取り上げました。まず、その中ではっきりした事実問題を整理しておきますと、一つは、6月県議会でも依存症対策についてお伺いしました。和歌山県内でのパチンコなどギャンブル依存症の実態はどうかということに対して、県内での実態はつかめていないというのが担当課からのお答えでありました。
 カジノを含むIRによってギャンブル依存症はふえないのかという問題では、一時は日本人は入らせないから危険性はゼロだという話もあったわけですが、そうはならなかった。しかし、法律のカジノ規制は当初考えていたよりもはるかに厳しいものになっている。県独自の運営上の工夫と合わせれば弊害は完全に除去できると断言されておられる。私は、そのギャンブル依存症の実態もわからないのに、カジノによってふえる心配がないというふうにどうして断言できるのか、ここがよくわからないわけでございます。
 もう一つは、和歌山県IR基本構想に示されているカジノの入場者数や売上高の試算については、監査法人トーマツが独自のノウハウと知見を用いて推定を行ったというふうに担当課からお答えいただいたんですが、その独自のノウハウ、知見というものの中身というのは企業秘密で、根拠もよくわからないというふうにお聞きしたと思うんですが、知事は、IR誘致によって和歌山県を元気にすると言うが、トーマツ任せの試算がその根拠になっているんでしょうか。
 以上2点だけ、知事の見解を改めてお伺いしておきたいと思います。
○議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在の日本におけるギャンブル依存症は、既存の公営競技やパチンコを原因として発生しておりまして、そういう意味ではギャンブル等依存症と言わないといけないんですけど、今後、本県においても、この依存症対策を進めていくことは重要であると思っております。
 IRによって、あるいはカジノによって依存症がふえるかどうかということについては、IRの制度の問題であります。したがって、別にインチキなことを言ってるわけではないわけであります。ということは、よくおわかりだと思います。
 今般成立したIR整備法には、マイナンバーカードを必ず提示せよ、入場回数制限もかけるぞ、高額の入場料の設定をするぞ、本人・家族申告による入場制限措置があるぞ、現金を持ってこないと入れてあげない、クレジットカードの使用は禁止、現金引き出し機の設置は禁止するという、既存の公営競技やパチンコにはない重層的で多段階的な厳しい規制が設けられているところであります。
 こういうえらい厳しい規制ができたというのは、考えてみたら、制度いかんによっては和歌山県は外国人専用で行くぞというふうに宣言したこともちょっと影響を与えたかなというふうには思っておるところでございます。
 加えて、さらに想像力をたくましくして、弊害を除去する策として、本県独自のIRカード導入による破産リスクを排除する仕組みを事業者に求めるということによって、論理的に考えれば、カジノ施設を起因とするギャンブル依存症については防ぐことができるというふうに思うわけでございます。そうでないと言うんなら、その論理性を議論しないといけないということではないかと思います。
 誰でも、いつでも、何回でも、どんな対応でも楽しめるというのが、他のギャンブルであろうかと思います。あるいはギャンブル等ということだろうと思いますが、これとは全く違うわけでございます。したがって、IRについては、あんまり既存概念で決めつけないで、あるいは思い込みで決めつけないで、説明をちゃんと聞いて、本当にそうかどうか考えればわかるんではないかなというふうに思うわけであります。
 特に、雑賀議員におかれましては、元先生をやっておられました。立派な先生は、多分、既成概念にとらわれないで、決めつけないで、それで自分で考えて、ほんまかいなというふうに考えて、よく考えてやんなさいよというふうに言っておられたと思いますので、そういう雑賀議員におかれましては、このことはよく御理解いただけるんじゃないかなあというふうに思います。
 次の問題でございますが、監査法人トーマツが行ったカジノ施設の入場者や売上高の試算方法については、その詳細を県は承知しておりますが、それは企業独自のノウハウとか知見にかかわるところもありますから、全部明らかにすることはできません。
 また、何でこんなことをという中に、IRなんかも雑賀議員は言われると思います。ほかはちゃんとやってるのに何でこんなものに手出すんですかと。これは、やっぱりこの議会で申し上げましたとおり、今のままでいけると思ったら、かなり先が難しくなってくる。新しい要素も足していかないとなかなかいけないんで、弊害がとってもあるというんならともかく、そうでなければ、ちゃんと挑戦をしていこうということではないかというふうに思います。
 IR誘致によりもたらされる経済効果、雇用効果がこれまでにない規模となることは、シンガポールやなんかで先進的な成功事例を見ればわかることであります。
 例えば、2010年に二つのIRが開業したシンガポールでは、開業前後を比較すると、これは前の年と次の年でございますが、観光客数が約1.4倍、観光収入にあっては約1.8倍まで増加し、開業に伴う2万2000人の直接雇用を創出したという事実があります。
 加えて、先般実施したRFI、これは投資意向調査ですが、和歌山県IR基本構想で示した投資規模2800億円、経済波及効果約3000億円を超える規模の計画を出したいと言ってるところもありまして、別に本県は根拠のないことを言ってるわけじゃなくて、本県の構想は十分に合理的で実現可能性のあるもんだというふうに思っております。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私も、そんなに知事のやることは何でも悪く言おうというそんな気はありませんで、いいところはいいというふうに、割合にそういう公平な見方はできる人間だと思ってるんですが、しかし、ギャンブル依存症の実態というのもわからないのに、とにかく危険は除去できたというふうに断言されるのは、ちょっと私は今の話を聞いてもよくわからない。これも、これでまたゆっくりと議論するほかございません。
 もう一個は、トーマツの試算というものなんですが、これをどういうものなのかということ、県との間でどういう協議がなされたのかということを知りたいということで、市民団体の方が情報公開を求めました。ところが、出されてきたのは、いわゆるノリ弁当という黒塗りの資料でございました。もっともっとこの情報は公開したほうがいいのになというふうに思うところです。
 それで、今シンガポールの話もしてくれたんですが、数字というのは、いろんな場所で切ったらいろんな数字も出るんですけども、私の手元の資料で言いましたら、2011年を起点として、2016年のシンガポールの観光客数の増加という数字がございます。カジノを導入したシンガポールでは、2011年と2016年を比較すると124%、確かに伸びています。ところが、日本は386%、もっと伸びている。大阪は595%。それでそういう数字があるんで、これに合わせた和歌山の数字を調べてもらったんですが、何と622%。シンガポールが124%に対して、和歌山は622%。
 和歌山県の商工観光行政は、大変よく頑張っている。もちろん、これは知事も頑張られた結果でございます。どうして知事は、このことに誇りを持って、和歌山の自然と歴史を生かした観光振興の道を進まれないのか、大変いまだに疑問だということを申し上げておきたいと思います。
 さらに、カジノというものは、誰かがギャンブルで負けることで得をする人もあり、カジノ企業は利益を上げるという性格のものでしかない。このことを改めて申し上げておきたいと思います。
 もう1点お聞きしたいのは、これもどうかなと思うんですが、教育の困難、学校現場の忙しさ解消の上でどうしても必要な1クラスの生徒数の上限を30人なり35人なりに抑えるというクラスサイズの縮小であります。これを、知事にこのこと自身をお伺いしたんではなかったんですが、別のことを聞いたときに知事が言われたので、「あれ?」と思ったんですが。
 2016年2月の予算特別委員会のことですが、知事はこんなに言われた。「もともとの持論だが、1学級当たりの人数を必ずしも少なくしなければいけないとは余り思っていない」とおっしゃるので、びっくりしたことがあるわけです。そして、自分の子供のころはもっと多かったし、大勢の中でやっていくのも大事だというふうにも言われた。この持論を今でもお持ちで、知事としての施策で、この立場でお進めになるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほど観光客数の議論がありましたが、外国人の伸び率で議論されるのと、それから、その伸び率が今回によってどうなるかというようなこととは桁が違うんでございますんで、その辺について御理解いただきたいと思います。
 少人数学級による指導が必ずしも教育的な効果が高いわけではないと、これが全てであるというふうには思いませんということでございます。
 また、児童生徒が大勢の中で人間関係を学んだり社会性を身につけたりすることも大事だと私は思います。ここにいる全ての方々がもっと多人数学級で育って、いろいろもまれながらやってきたということも考えると、それが全てであるというふうには私は思えないということを言っております。
 しかし、最近は、子供たちがいろいろ悩んだり、あるいは対応ができなくなったりするたくさんのことができております。それについて、学校の先生も大変、そういう方々をみんなケアをしていかないといけないわけですから、それは大変だということもわかります。
 したがって、別に大人数に戻せというようなことを言うてるわけではございません。それよりも、教育環境の整備というのは、各学校の状況に応じて教員を配置するということが重要ではないか。その上で、教えた後、いろんな問題を抱えてる人たちに対しては、個別の指導とか補充学習とか、個々の児童生徒の実情に応じたきめの細かな対応を行うことがより重要なので、そのために教師の配置なんかもできるだけやっていったらいいんじゃないか、そんなふうに私は思っております。
 教育委員会には、市町村教育委員会としっかり相談して、学校や児童生徒の課題解決のために必要な教員を配置し、きめ細かな対応ができるよう、今後も取り組んでもらいたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 少人数学級が全てじゃないという意味だというふうに言われたんで、少し安心したんですが、それが全てだとは私も言っておりませんが、しかし、少人数学級というのは非常に大事な要素であります。
 全国の県の教育長の協議会では、クラスサイズを小さくしてください、そこでは35人以下学級という言葉が使われておりますが、そういう方向でやってくださいということを、あれは多分、文部科学省に対する要望なんでしょう。そういうことを言っておられるわけですから、知事もやっぱり教育長をしっかりと応援してあげていただきたいと思っています。
 第3は、仁坂知事というのは合理的な考えをお持ちの方だから、こんな施策には多分もうしがみつくことはあるまいと思っていたんです。がっかりしたのが、特定の子ども会への偏った施策の問題でございます。
 和歌山県には地域子ども会支援事業補助金というものがあって、その中で、地域総合活動というふうに区分される子ども会に対しては、市町村が補助する場合、その補助金額の2分の1は県が補助することになっている。それで、一つの子ども会ごとに最高56万円、仮にその半分、56万ですから半分は28万ですが、28万にならなくてもいいので、和歌山市が25万円つければ県も25万円つけて50万円にする。しかも、それだけじゃなくて、20人の子供で1単位として、その地域に10単位の子ども会があるというふうに認定をすれば、その地域の子ども会の補助金が年500万円になる。
 お手元に、担当課からいただいた「平成29年度 地域子ども会活動支援事業補助金 確定額一覧」というものの最初の1ページだけお配りしています。これは担当課のケアレスミスなんですが、紀の川市の分が町というふうになってるのは、これは紀の川市から叱られたら担当課のミスなんですが、それは訂正しておいていただきたいと思うんですが、こういうことがやられている。
 一方では、例えば同じ和歌山市内の子ども会でも6万円の補助金の子ども会もありますし、子供クラブもありますし、あるいは県がかかわらない子ども会、親子クラブというものも、もっと少ない補助金でやりくりしているところもあるでしょうし、補助金がないところもあるんだろうと思います。
 いかにも、これはバランスを欠くのではないか。こういうものは、知事ならちょっとおかしいねというふうに言われると思っていたんですが、なかなかいろいろ政治的な力関係があるんでしょうか、言われないんですが、こういうものはどうお考えでしょうか。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員が今、政治的な何とかとかおっしゃいましたけれども、そういう何とかの勘ぐりみたいなことはやめていただきたいというふうに思います。
 子ども会の補助金につきましては、その活動を支援している市町村に対し、子供の人数や活動日数、活動内容などに応じて補助をしております。どの市町村に対しても、どの地域の子ども会にも、ルールに従って補助してるわけでございます。当然、活動が活発な子ども会は、相応の補助額となるということになります。
 議員は、額の結果によって何か不合理があるんじゃないかというふうに言われて、そういうものを是正するのは私の仕事だというような感じでおっしゃったんですが、結果ではなくて、大事なことは、制度が差別的ではないかどうか、合理的にできてるかということだと私は思います。
 本件については、制度は透明で、基準も公表してるし、結果的にはたくさん活動しているところがたくさん補助金をもらっているというのは、どの時代でも、どこにもある話で、合理的でもあると私は思うんでございます。
 子ども会活動は、保護者や指導のもと、地域の子供の健全育成を目的として、異なる年代の子供たちが集まり活動するものでありまして、地域の連帯意識を育て、校外における学習やさまざまな体験・交流活動を通した子供たちの健やかな成長を目的とする有意義な活動であると認識しております。
 県としては、引き続き市町村とともに、こうした子ども会活動に対して支援を行っていきたいと思っております。
○議長(藤山将材君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 これが不合理であるかどうかは県民が判断する問題ですが、私は、10単位もの子ども会があって500万円というのがあり、一方では本当に少ない予算でやっているのは、県民から見て納得が得られないんではないかというふうに思っています。
 知事選挙では、それ以外に福祉の問題、中小企業活性化のための住宅リフォーム助成の問題、いろいろな議論がなされると思います。活発な議論を期待し、そして、知事の御健闘をお祈り申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 16番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 平成30年9月定例会、私が最後の登壇者となりました。しばらくおつき合いいただきたいと思います。
 このたびの台風20号、21号で被災されました県民の皆様に心からお見舞いを申し上げます。今回の二つの台風は、近年経験しなかった大きな爪跡を本県に残していきました。私は、直後から御坊市内を巡回しましたが、特に台風21号は強風と高潮で市内各所がびっくりするほど傷んでおりました。
 最初に気づいた交通信号機の停電は市内各所に及んでおり、被害の大きさを予感させました。屋根や看板が飛散した道路などでは解体除去作業が始まっていました。
 塩屋漁港では漁船が転覆し、隣の漁船に乗り上げるありさまで、物揚げ場の瓦れき、製氷施設の損傷状況などから、とんでもない強風と高潮、大波が押し寄せたことが容易に想像できました。
 議場配付させていただきました写真の1、2は、御坊市名田町のかべご海岸で、国道42号と民家に打ち寄せる大波の様子であります。このかべご海岸や写真3から5の楠井海岸など自然海岸が残る箇所では、海産物直売所やビニールハウスの足元近くまで洗掘され、大量の流木が打ち上げられました。
 また、パラペットが施工された防潮堤海岸でも陸閘がないため、写真6のように高波が民家の基礎や庭先を洗いました。
 第2問で取り上げる日高港小型船だまりは、平時は写真8のような状態ですが、当日、風が弱まった午後2時40分ごろでさえ、写真9のように桟橋への通路が波浪により空中に舞い上がっている始末です。
 また、停電についてはまことに深刻で、特養では非常用電源では賄えない貯水槽へのくみ上げやエレベーター、空調が使用できず、職員が対応に走り回っていました。
 農業集落排水の終末処理場では非常用電源が漏電のためポンプが作動せず、衛生会社の社員が徹夜でバキュームカーによりくみ取りを行いました。
 水利組合ではろ過機が停止して、長時間使用すればポンプや給水装置は目詰まりを起こす心配もありました。
 災害を免れたハウスでは、換気設備が作動せず、作物が高温でなえる寸前でした。
 以上は、私が当日見た状況ですが、その後の報道を見るにつけ、被害の大きさに驚くばかりです。どうか県においては、台風被害対策に全力で取り組んでいただくとともに、ぜひ南海地震を含む今後の災害への教訓にしていただきたいと思います。
 そこで第1問は、台風被害への支援と今後の対策について質問します。
 台風21号では、近年にない長時間の広域的停電が発生し、県民生活初め産業界にも休業や食品の廃棄など大きな被害が発生しました。電気のありがたさを実感するとともに、関西電力の対応には大きな問題がありました。
 以前は、御坊市に関電の営業所があり、日ごろから地域ともつながり、何でも対応してくれましたが、技術サービスセンターになって、市民からは連絡もできません。今回は、いつ復旧するのかわからない中、市民から私たちにも停電の苦情が寄せられました。ようやく6日夕方になって関西電力が市内放送により当日中の復旧を通知したことで、市民は留飲を下げました。しかし、御坊市内全域が復旧したのは翌日の昼前でした。
 今回は停電箇所が多過ぎて停電情報システムがダウンしたと聞きますが、南海地震ではこの比ではなく、この程度のシステムしか用意してなかったとすれば、防災計画の他の分野も推して知るべしです。
 関西電力は会見で役員が謝罪や復旧状況の説明を行いましたが、余り要領を得ませんでした。今後は、検証委員会を設置し、年末までに利用者への対応や自治体との連携などの課題をまとめるとのことです。私は、ぜひとも早くやっていただきたいと思います。なぜなら、南海地震は待ってくれません。
 ぜひとも関電には、今回の停電の被害の実態、原因究明、今後の南海地震を含めた対策の見直しを求めたいと思いますが、県の考えはいかがか。
 また一方で、県民や事業者に対しても、自家発電の準備や強化、停電に耐える生活、事業継続計画などの停電対策を促すべきと思いますが、県の考えはいかがか、あわせて危機管理監に伺います。
○議長(藤山将材君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 関西電力は、今回の台風第21号により広範囲かつ長期間にわたる停電を発生させたことから、議員御指摘のとおり、岩根社長を委員長とする台風21号対応検証委員会を今後の大規模災害時において的確な対応を図るために設置し、早期復旧、顧客対応、自治体との連携などの課題について改善策の検討を行うとのことです。
 県といたしましては、当該委員会の検証過程において、早急に今回の停電の原因究明や被害の実態把握を行うとともに、台風だけではなく南海トラフ地震への対応も見据えた改善策となるよう、本県の意見を述べる機会を設けるよう強く申し入れてまいります。
 次に、県民の皆さんへの停電対策の促進については、これまでも県政おはなし講座などで懐中電灯やラジオなどの非常時持ち出し品の準備や電池やろうそく等、災害時に自給自足できる備蓄を呼びかけるとともに、自主防災組織の発電機を含めた資機材の整備について、わかやま防災力パワーアップ補助金により積極的に支援してきたところです。
 また、県内事業所の事業継続計画の策定につきましては、和歌山県BCPステップアップ・ガイドを作成するとともに、経済団体等と連携して毎年研修会を開催する等、その普及、策定に取り組んでいます。
 一方、病院や社会福祉施設等においては、議員御指摘のとおり、自家発電機が未整備であったり、整備されているにもかかわらず燃料確保が十分でないところもあると認識しております。このため、自家発電機の整備など停電対策がしっかり進むよう、関係部局と一緒になって積極的に働きかけてまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、住宅被害について。
 現在、各地ではブルーシートの屋根が目立ち、工務店などの話を聞くと、40~50件待ちで、見積もりをする間もなく屋根にブルーシートを置いて回ったというふうに聞いております。専門店や職人が減少する中、何カ月もかかるのではと心配しております。
 しかし、空き家となると、壊れていても心配すらしません。近所に迷惑のかけっ放しでも、不可抗力のため被害者は泣き寝入りです。
 本来、住宅は私有財産で個人が管理すべきものですが、今回の被害状況を見たとき、住宅の保全はまことに大切で、火災保険の加入も含め、県民に対して住宅施策として何かできないものでしょうか。県土整備部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 住宅被害に関するお尋ねがございました。
 今回の台風によりまして住宅の被害に遭われました方々への支援といたしましては、まず、住宅が半壊するなどにより居住することが困難となられた方に対しましては、公営住宅を一時的な仮住まいとして提供しております。
 次に、住宅の修理に関しましては、災害救助法による住宅の応急修理制度の適用に至らなかったため、独立行政法人住宅金融支援機構による災害復興住宅融資制度の活用につきまして、市町村を通じて被災されました方に周知を行っております。
 さらに、住宅の修理などに関する県民からの相談への対応につきましては、県から建築士関係団体に対しまして依頼をし、対応していただいているところでございます。
 県では、住宅被害に対してこうした支援を実施しておりますが、中村議員御指摘のとおり、日ごろからの住宅の保全や保険等の加入による災害への備えが非常に大切であるというふうに考えております。
 県といたしましては、住宅所有者に対しまして、万一被災した場合にも被害を軽減できるよう適切な維持管理を行うことや、円滑な住宅再建が果たせるよう保険等の加入により自然災害リスクに備えておくことの重要性について啓発してまいりたいというふうに考えております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 3番目は、農林水産被害についてであります。
 農林水産業は、自然と調和する本県らしいすばらしい産業ですが、台風などの自然災害をまともに受ける大変な仕事です。今回の二つの台風では、ビニールハウスの損壊や強風による倒木、塩害、漁港施設など大きな被害が出ました。
 幸い、知事初め農林水産部にはいち早く対応していただき、お礼を申し上げるとともに、その対応策について農林水産部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員お話しのとおり、先般の台風20号、21号により、県内の農林水産業において甚大な被害が発生しました。今回の台風は、猛烈な風が吹き、特に農産物やハウスなどの施設に大きな被害をもたらしました。
 こうしたことから、パイプハウスや果樹棚等の復旧を支援する県単独事業の野菜花き産地総合支援事業、果樹産地競争力強化総合支援事業の予算増額を今議会にお願いするとともに、市町村やJAとの連携による県独自の無利子、緊急融資を実施することとしております。
 また、過日、知事を先頭に国や国会議員に対し、農業用ハウスや果樹棚、防風ネット等の復旧が円滑に進むよう、被災農業者向け経営体育成支援事業と強い農業づくり交付金について今回の被害を対象とするとともに、必要な財源の確保を、また、果樹の改植について今年度の果樹経営支援対策事業で実施できるよう財源確保を要望したところです。
 さらに、園芸施設共済における被覆資材の被害面積は、園芸施設共済評価要領に基づき修復に必要な面積をもとに算定されていますが、屋根面の一部が損壊した場合でも屋根面全体を張りかえる農家が多いことから、国に対し損害評価方法の検討を要望してまいりました。
 林業関係においては、林道施設、山腹崩壊、風倒木等の被害が発生しました。国の採択要件に満たない小規模な山腹崩壊等の復旧については、県単独の県土防災対策治山事業予算の増額を今議会にお願いしているところです。また、国に対しては、これら林業関係被害の復旧が円滑に進むよう林道施設災害復旧事業、治山施設災害復旧事業、災害関連緊急治山事業、森林環境保全整備事業の財源確保を要望したところです。
 水産関係においては、漁港施設などに被害が出ており、国に対しては、復旧が円滑に進むよう公共土木施設災害復旧事業の財源確保を要望したところです。
 今後、共済や保険制度に加え、補助事業や融資制度等を活用し、被災された農林漁業者の支援に努め、一日も早い復旧・復興に全力で取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今回の台風では、被災をいたしました商工業者の皆さんにも、建物、設備について、県のほうで10%の支援をされるということであります。この話を御坊市内の商売をなさっている人なんかに言いますと、大変すばらしいと、みんな喜んでくれております。しかし、残念ながら知らない人が多いので、ぜひPRをしていただければいいんではないかというふうに思います。
 昨日、秋月議員と議論をいたしておりますと、商工関係者の人の中には、被災したときに保険に入っておりますけども、保険はもう今、査定するのにもずっと順番待ちというふうに言われております。実際に保険がおりてもずっと先になるので、短期の融資、できたら無利子のようなものがあればいいんじゃないかという、私は商売したことがありませんので、秋月議員が言われてました。
 同じように、やっぱり御坊の商売なさってる人に言ったら、それはすばらしい方法だというようなことがありましたので、ぜひ今後、御検討いただければ幸いでございます。
 次、4番目は、観光産業への影響であります。
 連続した台風の襲来で、近畿各地では長期停電、公共交通機関、高速道路の不通により観光産業に大きな被害が生じました。とりわけ関西空港の機能停止は、訪日観光客を中心に大きな影響があり、被災直後から9月末ごろまでの予約がキャンセルされたと聞きます。本日より全便が回復したとの報道がありましたが、繁忙期の10月初旬の国慶節にも客足は回復せず、香港自体の台風被害もあり、見通しは立っていません。私が事情を聞いた観光会社では、数日間で数千万円のキャンセルが発生し、業界全体ではまことに深刻な状態であります。
 一刻も早く回復するようPRや営業活動に努力すべきと考えますが、観光産業における台風被害の状況や県の支援策について、商工観光労働部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 台風20号では、紀南地方を中心に浸水被害が発生し、特に本宮の川湯温泉の旅館、ホテルにおいて平成23年の紀伊半島大水害を上回る甚大な被害を受け、現在、2軒は営業を再開したものの、残りの施設はいまだ復旧に向けて取り組んでいるところです。
 また、熊野古道中辺路でも参詣道の崩落や倒木が多数発生したことを受け、発災直後に職員を現地に派遣し、被害状況を詳細に把握した上で優先順位をつけ復旧を進めた結果、多くのお客様が歩かれる滝尻王子から熊野本宮大社間は早期に通行可能となりましたが、いまだ潮見峠や赤木越などは通行を制限している状況です。
 一方、台風21号では、紀北、紀中地方を中心に暴風や高潮、高波により和歌浦の旅館、ホテル、白崎海洋公園などが被害を受けたほか、高野参詣道において多数の倒木が発生し、関係者と協議を進めているところですが、現在も通行どめとなっております。
 これらの被害を受けた施設に対しては、一刻も早く通常の営業を再開できるよう、議員、今お話をいただきました融資制度も御用意してございます。融資制度や今議会で提案させていただいております補助制度を活用したきめ細やかな支援を行ってまいります。
 また、関西国際空港の被災につきましては、国内外から誘客に大きな影響がありましたが、鉄道線については18日、ターミナルについては本日、それぞれ全面復旧し、旅客機の運航についても本日には国際線、国内線を合わせ、災害前のほぼ100%に回復すると聞いております。
 県としましては、これまでの取り組みの中で関係を築いてきた国内のメディア、旅行会社はもとより、海外26カ国の関係者を含めた約1000の観光関係事業者に対して、逐次メールにより、関西国際空港や和歌山の観光が元気であることを迅速かつ正確に伝え、和歌山へのより多くの送客を強く働きかけているところです。
 特にインバウンドにつきましては、本日発表された観光庁の関西インバウンド観光リバイバルプランとも連携しながら、今年度予定している海外プロモーションを拡充、強化してまいります。
 さらに、今後、県観光連盟が発行する観光情報誌「紀州浪漫」による特集や、メディア及び旅行会社を対象としたファムツアーを随時実施するなど、国内外の誘客を図る取り組みを迅速に進めてまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 メール等で連絡をしていただいてるということでありますけども、香港なんかも台風で困ってるという話も聞きます。
 やっぱり、私はこんなときこそ訪問をして、こちらの厳しい状況を言うだけじゃなくて相手の意見も聞いて、どんなことをすればいいか、私はやっぱりそういう丁寧な対応をすべきだというふうに思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。また、関係業界の人たちの声を聞くということもすごく大事だと思いますので、あわせてお願いをしておきます。
 次、行きます。5番目は、海岸の保全について要望します。
 先ほど御坊市内の被害状況を報告しましたが、海岸保全事業が実施されている場所はびくともしておりません。やはり防災においてハード事業の大切さを実感しました。どうか、未整備箇所での海岸保全事業の早期実施や陸閘の設置をこの機会に強く要望しておきます。
 さて、以上のように、二つの台風は、幸い人的被害は少なかったにもかかわらず、近年にない種類の大きな被害を残していきました。
 そこで、知事は今回の台風を経験して、また、来るべき南海地震への教訓としていかにお考えか、御所見を伺います。
○議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 南海トラフ地震においては、地震・津波により甚大な被害がさまざまな分野で発生することが予想されますが、議員御質問の今回の台風第20号、21号を経験した上での南海地震への教訓ということであれば、今回は特に電力、通信の早期復旧対策であるなあというふうに思います。
 紀伊半島大水害時も大規模な停電が発生いたしましたけども、復旧のスピードは目覚ましかったもんですから、JRとはもめたのですが、今回も、関西電力に任せておけばまあ大丈夫かなあというふうに思っておったんですが、それは少し過信であったと今は反省しております。
 南海地震発生時には、その被害が西日本全体の広範囲に及ぶことが予想されます。紀伊半島大水害時のように、全国から救援がたくさん来てくれるということは期待できないと思います。まずは現有戦力でいかに早く対応するかということを考えないといけないということだと思います。
 今回の台風において関西電力は、当初、和歌山エリアが中心の376人、91班の体制で対応しておりまして、他府県からの応援はなく、その上、山間部で電柱への倒木が多数発生して関西電力の復旧部隊がその対応に苦慮しているということが判明したため、恐らく日本史上初めてと思われますけれども、倒木等の撤去作業に県の土木部隊を投入したところであります。
 ついては、今回極めて異例の措置として、そのときに行った県の支援体制を今度は常設化しておきまして、速やかな復旧作業を行うために関西電力とあらかじめ約束事をしといたらいいんじゃないか、そんなふうに思っております。
 さらに、政府の協力も得て、早期に全国の電力会社の応援を確保し、できるだけ多くの復旧部隊を本県に派遣していただくことも重要であると考えております。
 次に、今回の台風においては、言いにくいことなんでございますが、関西電力の指揮命令系統があんまり機能していませんでした。全体で部隊展開がどうなっておるか、被害がどこでどうなってるかというようなことを、支社の中枢部がほとんど把握できない、できていないということだったんだろうと思います。
 また、県民からの苦情が関西電力に殺到し、処理できなかったことから、県、市町村も協力して苦情を受けとめる体制整備を検討する必要があるというふうに思っております。
 つきましては、関西電力の指揮命令系統や相談体制の強化を図ってもらうため、今回の経験を踏まえ、具体的な改善点をリストアップして、関西電力に対して申し入れを行ったり協議していきたいと思っております。
 その他、電力以外でも、今回の教訓を生かし、改善しなければならない点がないか、さらに検討を行い、すべきところ、準備、備えなければならないところは早急に対応していきたいと思います。
 これは地震・津波で申し上げましたが、台風や水害の場合でも同様でございますので、いろいろ全面的に反省をして、改善をどんどんしていきたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、今回の停電を経験して、電気は安いほうがいいんですが、やっぱり安定供給ということが大切だなというふうに思いました。
 次に行きます。第2問は、小型船の転覆についてです。
 台風20号は8月23日、近畿や四国を暴風域に巻き込みながら北上し、強い勢力を保ったまま21時ごろ徳島県南部に上陸しました。
 日高港小型船だまりでは、小型船が1そう転覆しました。その船は、85歳の老人が所有する船外機つきの遊漁船ですが、長年日高川に係留していたところ、県が進める放置艇対策のあっせんにいち早く応じ、抽せんにより、ことし1月に日高港小型船だまりに移動したばかりでした。
 ところが、最初の台風で転覆したのです。今回の両台風でも、違法といえども無料で静穏性が高い日高川に係留した遊漁船は、写真10のように何の影響もありませんでした。たま丸は、この船は県のあっせんに率先して応募し、日高港で経験する最初の台風で転覆しました。まさに正直者がばかを見るようなてんまつに、これを聞いてまことに気の毒に思いました。
 そもそも、日高港小型船だまりは小型船が係留できるような静穏性が確保されているのか、県土整備部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 日高港の静穏性につきましての御質問をいただきました。
 日高港の小型船舶係留施設の整備水域における静穏度につきましては、国が平成14年度に30年確率の波を用いて解析を行っております。
 その結果では、整備水域の波高は異常気象時で31センチメートルであり、「港湾の施設の技術上の基準・同解説」などに記載されている基準値、50センチメートル以下を満たしていることから当該水域で整備することといたしまして、平成27年1月に日高港港湾計画の変更を行いました。
 なお、同施設は、平成28年度に完成して、平成29年4月1日に供用を開始したところでございます。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 先ほど写真で提供いたしましたように、21号台風は20号よりも確かに大きい台風でしたが、桟橋に行く通路がもう空中に舞い上がるほど荒波が押し寄せる日高港でございます。明らかに西川だとか由良湾とは違う気がいたします。
 日高港は、全体計画のうち、早く施工するために1期、2期と分けまして、関電寄りの1期を先に施工いたしました。その過程で海の静穏性を確保するのにいろいろ工夫をしまして施工をしてくれたんですが、できた直後の台風では、港湾計画に基づいて、王子川という川が日高港へ注いでおりますけども、ここを河口を開削しました。すると高潮が押し寄せて、上流1キロぐらいのところの田んぼとか農協の倉庫が浸水したということがありました。
 県のほうで慌ててその後、河口を塞いで、消波ブロックを二重に置いてくれました。その後は事なきを得てますけども、その隣接する小型船だまりは、特に何か手を施したという、そういう形跡はないので、私は十分できてないんじゃないかというふうに思ってます。
 日高港では、今、御坊市や地元の振興団体が、客船を含めて振興のためにポートセールスをやろうというふうにしております。そういう振興の観点からも、一度、静穏性がどの程度あるのか、ぜひ調査していただきたいというふうに要望しておきます。
 次に行きます。次にといってもまだ2番目ですが、県では、数年前から日高川の係留船を日高港、西川、由良にあっせんしていますが、係留場所の静穏性は船を係留する上で最も重要な情報です。津波や台風など異常時にどんな取り扱いをするのか、利用者に説明をしているんでしょうか。また、この転覆した船の所有者にも説明をしたのか、県土整備部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 静穏性や異常時の取り扱いの説明につきまして、お尋ねをいただきました。
 県は、このたま丸を所有されている方を含め、小型船舶係留施設の使用希望者に対しまして、申込書の送付の際に、使用者の遵守事項をまとめた「小型船舶係留施設使用上の注意事項等」という文書を送付させていただいております。
 この中では、船舶の係留や管理に関する安全確保等については、使用者の自己責任及び自己管理であるということを明記しております。さらに、これに加えまして、風水害が予想されるときは、事前に係船ロープの増し締めなど十分注意すること、使用者の責任により、気象情報等を収集し、波浪等により船舶に被害が及ぶことが予想されるときは、使用者の責任と負担により船舶の安全措置を講じることなどについても明記させていただいております。
 その上で、使用許可申請の際には、使用希望者から、風水害等による避難についても自己の責任かつ自己の負担により行うことを書面により誓約していただいております。
 なお、静穏度につきましては確保ができているという前提でございますので、また、風水害等が予想されるときは自己の責任で対策を講じていただくことから、「小型船舶係留施設使用上の注意事項等」への記載はしておりません。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 質問を数々用意しておりますが、時間がなさそうなので、省略しながら行きたいと思っております。
 県では、申し込みに当たり、船名、船舶の長さ、幅、深さなど船の特徴を申告させています。この沈没した船は長さが約6メートルしかなく、船外機つきのプレジャーボートです。写真7のように、私は転覆した船を見て、こんなに小さい船だったら転覆するのは無理はないなというふうに思いました。
 由良港や西川に比べて静穏性が明らかに低い日高港について、長年日高港を管理した経験があって、しかも土木工学の知識がある港湾管理者である県が、ちょっと小さい、係留に不適切な船舶としてなぜ断ってくれなかったのか、係留許可に当たり適切な審査が行われたのか、県土整備部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) あっせんの適切性についてお尋ねをいただきました。
 今般、日高港塩屋地区における不法係留対策といたしまして県が整備いたしました塩屋小型船舶係留施設におきましては、あきがあったことから、日高川に不法に係留されていた船舶を対象に公募したところでございます。
 議員御指摘のたま丸につきましては、日高川に不法に係留されていたことから、当該施設に申請がありましたことからあっせんしたものでございます。
 その使用許可申請につきましては、船舶検査証書等によりまして船舶の長さや幅などを把握し、使用を希望する小型船舶係留施設に収容できるかを確認した上で許可を行ったところでございます。
 なお、中村議員より御指摘いただきました船舶の係留時の安定性についてでございますけれども、船の大きさにはもちろん関係いたしますが、船の大きさ以外に波の周期ですとか、係船索、いわゆるその船を係留するロープの張力など、あるいはその結び方などさまざまな要素が関係しておりますので、船舶の大きさのみに関係しているとは言えないというふうに考えております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は造船工学の専門家ではありませんけども、先ほどからお配りしました写真の波を見たら、やっぱり小さいということは、いろんな要素の中でも一番転覆するのにかかわってるんじゃないかというふうに思います。
 先ほどから部長の答弁の中で、私も言いましたけど、不法、不法係留と。だけど、和歌山に住んでて家の近くに船を所有して、20分ぐらい行ったらすばらしい漁場があって、いつもおいしい魚が食べられるというのは、和歌山県民の特権だというふうに思うんです。置くとこをつくらんと船持った人はみんな不法やと。私は、船を置くような施設を整備することは県政の大きな課題の一つだというふうに思いますので、今、和歌山、海南、有田、そして日高のほうでも調査中というふうに聞いておりますので、ぜひ整備をしていただきたい、要望をしたいと思います。
 しかし、さっきから申し上げておりますように、船を持ってるといっても日高川にしか置いたことがなければ、海のことはやっぱりよくわかりません。港をつくるすばらしい土木工学の知識を持って、しかもできてもう10年以上たつ、管理をしてる県が、本当に県民に置かせてやってるみたいなことで、事故があったら自己責任と。私は、本当に不親切なやり方だというふうに申し上げておきます。
 次に行きます。第3問は、空き家という視点に立って、防災対策について3問質問をいたします。
 今回の台風では住宅被害が多発しましたが、特に空き家は日ごろの管理不足から、屋根の飛散や壁の崩壊で近所の住宅や自動車に多くの被害が発生しました。
 しかし、本当に恐ろしいのは南海地震であり、空き家は倒壊して避難路を塞ぎ、火災の延焼を拡大する超危険因子として放置できません。現在、空き家法が施行され、何となく進んでいるような印象を持ってましたが、台風後、市内を回って、こんな調子ではとても県民の命は守れないというのが私の感想です。
 そんな迷惑な近所の空き家に関して、御坊市内の自治会長から2件の相談がありました。
 1件は、空き家の所有者が取り壊しを希望し、業者も決め、市に補助金を申請しているのに、返事がないというものです。
 御坊市に問い合わせると、「5件の予算に対して17件の応募があり、現在は申し込み順としているが、優先順位をつけるとしても絶対的に予算が不足している。さらに今回の台風で希望者が増加する」との説明でした。
 御坊市は、上限80万円まで国と市で補助するという制度ですが、市内の空き家事情や申し込み状況から、国の予算が許す限り対応したいという意向でした。
 空き家率18%で全国ワースト3位の本県において、空き家対策は市町村事業などと言ってると、生活排水同様、全国から取り残されてしまいます。ぜひとも県も主体的に取り組むべきですが、まずは予算不足に対していかに取り組むのか。
 もう1件は、所有者が孤独死した空き家で、相続人は相続を放棄すると言っています。市では相続人に対して、相続を放棄しても一定の管理責任があることを説明していますが、対策が講じられていません。
 空き家対策では、利害関係者が存在しない特定空き家に対しては市町村が利害関係人となって、空き家の取り壊し、清算ができることになっています。
 しかし、御坊市のように地価が現在でも下落傾向にある自治体では、土地を売却しても清算できないばかりか、土地が売れない可能性があります。また、地上権だけの場合もあります。それでは市町村が空き家対策を真面目にやればやるほど財政負担が重くなります。
 そもそも不動産価値が低く、空き家が増加している過疎の市町村が積極的に空き家対策に取り組めるよう、国や県においてもさらなる財政支援ができないか、あわせて知事に御所見を伺います。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 適切に管理されていない空き家は、防災や衛生あるいは景観上、地域住民の生活環境に大きな影響を及ぼすとともに、土地の流動化を図り、地域の活性化を進める上でも大きな阻害要因となり得ることから、空き家対策は喫緊の課題であると認識しておりまして、特に和歌山においては多いもんですから、これは切実な問題だということでございます。
 そのため、まだ空き家法がないころでございますが、県は、平成24年から国に先駆けて建築物等の外観の維持保全及び景観支障状態の制限に関する条例をつくり、行政代執行を実施するなど廃墟対策に取り組んできたところでございます。
 この先駆的な対策を踏まえて空き家法ができまして、今は使うべき手段はそちらに移っております。そういう意味では市町村が主役ということに現在なっておりますけれども、県も一体となって各種の取り組みを進める必要があると考え、県、市町村、学識経験者等で組織する和歌山県空家等対策推進協議会を設立し、三つありますが、「どんどん使う」、「そのままキープ」、「新しく使う」をキーワードに、空き家の状態に応じた対策を総合的に推進しております。
 一つ目で御指摘の予算不足に関しては、必要となる国費の確保や補助金を活用するための計画策定について、事業主体である市町村がもちろん活動しなきゃいけませんけれども、我々はよりリーチが長い、あるいはお願いをする力が強いというふうに思いますので、それはもう全力を挙げて協力をしていかないといけないというふうに思っております。
 二つ目で御指摘の所有者不明等の場合の支援に関しては、調査や手続が非常に複雑になることから、市町村が共通の考え方に基づき積極的に取り組んだらいいということで、県と市町村で協議会をつくりまして、いろんなことを共通に申し合わせをしております。
 例えば、どういう程度の空き家を具体的に手をつけていくかとか、あるいは所有者等を確知できない場合に市町村がとり得る略式代執行や財産管理制度等の手続や注意点を取りまとめてマニュアルを策定したとか、あるいは技術的な助言や事例の共有など、市町村の取り組みを支援さしていただいてるところでございます。
 こうしたマニュアル等を活用しても、なお所有者不明の特定空き家等の処理を進めるためには、跡地の活用とか処分とか、あるいは予算の確保など、個々の事案ごとにさまざまな課題があると思います。
 これらの課題に関しましては、これまでの県独自の条例の施行とか、あるいはそのほか協議会で活動したこととか、そのほかたくさんの取り組みや経験を生かして、市町村が抱える多様な問題に対して効率的な手法を提案するなど、適切に相談に応じてまいりたい、そんなふうに思っております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 空き家対策は、究極のところ、誰も利用しない、それについてずうっと突き詰めていくと、やっぱりお金で清算をしないといけないというところがあると思いますので、ぜひお考えをいただきたいというふうに要望しておきます。
 時間がなくなってきたので、もう質問を、考えたよりもうんと短くしてやってるんですが、答弁につきましても、済みませんが、核心のとこだけ答えてください。
 次は、住宅の耐震化であります。
 私は肌で感じて、実際に今、県の住宅の耐震化は75%、御坊市でも74.3%というふうに言われてるんですけども、本当にそんなにあるのか。今回の台風の後を見たら、もう絶対ないなというふうに思ってるんです。実際に耐震化率は推計ですから、私は1軒ずつ本当に調査したらいいんじゃないかと。
 知事が「1人の県民の命も失わない」というふうに方針を出されてます。もう私、すごくすばらしい方向性、知事が言うべき、指し示す方向性だというふうに思います。
 しかし、これなかなか実際にそれを実現するのは難しいんですが、そういう趣旨でやるなら、推計というんじゃなくて1軒ずつやるような、本当に地についた確実行政をやる必要があると思いますけども、県土整備部長の御所見を伺います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 住宅耐震化についてのお尋ねをいただきました。
 住宅の耐震化につきましては、中村議員御指摘のとおり、非常に私どもも重要なことだと考えておりまして、県におきましても、これまで住宅耐震化促進事業の制度創設以来、さまざまな制度拡充を行いまして、全国的にも手厚い補助制度を用意し、住宅耐震化の促進に努めてきたところでございます。
 また、「災害による犠牲者ゼロ」を実現するための大変重要な防災・減災対策の一つとして、県の長期総合計画にも位置づけ、住宅耐震化率100%を目標に取り組みを進めているところでございます。
 住宅耐震化率につきましては、5年に一度実施される住宅・土地統計調査の数値をもとに県が推計してございます。今年度は調査実施の年度となっており、来年度中には新しい耐震化率が示せる予定となっております。
 中村議員御質問の耐震化の全戸の実態調査につきましては、行政コストや所有者の意向の問題等があり県においては実施してございませんが、県では、耐震性が不足する可能性のある住宅を対象に、現在23の市町村において建築士会とも協力して戸別に訪問を実施させていただいているところでございます。そして、住宅所有者に直接、耐震診断やその結果に基づく耐震改修の実施を働きかけているところでございます。
 この戸別訪問の実施に当たっては、市町村が事前に個々の住宅の建築年等を調査いたしまして、訪問対象となる住宅をリストアップした上で実施することとしております。
 県といたしましては、この事前に整理したデータと戸別訪問の結果などによりまして、進捗状況のより適正な把握に努めつつ、より一層の住宅耐震化の促進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に行きます。
 県では、災害時の避難用アプリとして「和歌山県防災ナビ」を配信しています。災害時に自分がいる場所から安全な場所への最短避難ルートを表示してくれるほか、災害情報や家族の安否の通知、訓練の記録などができる大変便利なツールです。そのため、9月15日現在で1万7078件のダウンロードがあったそうです。
 しかし、現在のところ、避難路沿道には空き家など未耐震の住宅が存在するため、また、今回の台風のように電柱や看板なども障害物となり、せっかく最短ルートで避難しても通行不能の場合があります。そのときは、どこかの地点に戻り、新たなルートを探すことになります。
 最初に通る人は仕方がないにしても、現在のシステムでは2人目以降の人もわざわざ通行不能箇所まで行って通行不能を確認して戻ってこなければなりません。避難時には秒単位の時間が生死を分けることから、短時間で避難できるよう、2人目以降の人には通行不能箇所は初めから通らないルートの表示ができないものでしょうか。
 平成26年の広島土砂災害では、隣人のツイッター情報により危険箇所を回避して生き延びた話を聞きました。災害時には、現場の生きた情報が避難者の生死を決定します。
 例えば、避難達成者が実際に通過した避難ルートを探知、解析することにより、最短避難ルートを判定してルート検索に反映する方法が考えられます。さらに、無事避難したルートの情報が集積すると──蓄積かな──避難ルートの安全性ランクが判明し、単なる最短避難ルートを表示するだけではなく、確実性が高いルート情報が提供できます。
 このようなデータ解析こそ本県が誘致した統計データ利活用センターの得意分野であり、大いに活用すべきではないでしょうか。
 また、防災や地図製作の研修を受けた資格者により、災害時に安全な避難場所へ避難した後に、通行不能箇所や危険箇所、有効な避難ルートをアプリに反映させるマッピングの方法も考えられます。
 和歌山県防災アプリの改良について、危機管理監に伺います。
○議長(藤山将材君) 危機管理監。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 防災ポータルアプリ「和歌山県防災ナビ」は、南海トラフ地震等の大規模災害時に的確な避難ができるよう、全国に先駆けて本県独自に開発したものでございます。
 このアプリは、議員御指摘のとおり、多くの災害時の避難に確実に役立つ機能を搭載しております。多くの方々にこのアプリを活用していただけるよう、議員御提案のAIを用いたビッグデータの解析等の最新技術や利用者からの意見を参考にしながら、実現可能なものについては、できる限り機能の改良に努めてまいりたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後は、クリスパー・キャスナインというゲノム編集技術について伺います。
 県のセミナーで、卵のアレルギーのもとをゲノム編集で取った卵があるというのを聞きました。産総研の関西センターに大石先生という方がいらっしゃるので、行ってお話を聞いてきました。
 もともと、卵自身を守るためにアレルゲンがあるんですが、子供たちには卵アレルギーという子供が多くいます。栄養のことや食事のことを考えると、アレルゲンがない卵がすごく便利だというふうに思います。
 この卵を開発したのが、うまくできるようになったのが、クリスパー・キャスナインというゲノム編集の方法で、この編集方法を発明した人はノーベル賞候補というふうに言われております。世界中で今この技術で、農業や、それから医学で技術的研究が進んでるというふうに思います。
 和歌山県も将来やっぱり発展していくために、こういう新しい技術を取り込んで県の発展を目指していくべきというふうに考えますが、知事の御所見を伺いたいと思います。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 実は、告白いたしますと、中村議員の質問をいただく前は、このクリスパー・キャスナインという概念、用語を知りませんでした。
 しかし、お話をお聞きして、これは将来大変なことになるなあというふうに思ってる次第でございますけれども、まだまだでき上がりつつあるばっかりの、しかも巨大な技術だと思います。
 我々は、それを自分で全部できるというほど、最小最適規模の問題とか、あるいはコストパフォーマンスとかそういうことがございますので、すぐには無理かもしれませんが、こういう新しいものについてはいつも注意をして、せっかくの御指摘でございますので、フォローしながら必要に応じて対応していきたい、そんなふうに思っております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、知事に県立医大薬学部をつくるときにも申し上げました。過去100年間足りなかったから今の衰退があるというふうに思います。これからの100年を考えましたら、今、私たちが努力をする、特に、ふるさとで生まれ育った子供たちが和歌山で勉強する、そしてまた和歌山で働けるようにする、これはもう和歌山県が目指すべき最大の方向だというふうに思っております。
 私は、ぜひ知事に夢を語っていただくような県政をお願いしたいと思いますが、この議会、もう私が最後の質問となりました。知事も任期を迎えられようとしておりますが、そういう意味で感想があれば一言お聞かせください。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、知事の仕事として、情熱を持って県民を幸せにする、あるいは県の勢いを盛んにするということが使命だと思いますが、その際には、県民の方々が夢を持ってみずから頑張っていただくというモチベーションを高める、そういうことも大事だと思います。そういう意味で、私の立場として、御指摘のように夢を語らないといけないというふうに思っております。
 また、今回の災害でも明らかなんですが、和歌山県の災害対策ってとっても進んでおるんでございますけど、やっぱり100点というわけではございません。反省をしては改善をしていくということを常にやっていかないといけないし、また、そのクリスパー・キャスナインのように新しい要素についてもおくれないように、頭を鍛えてフォローしていかないといけない。それを全て動員して県勢を盛んにし、県民を幸せにしてまいりたいと考えております。(「知事、頑張れ」と呼ぶ者あり)(拍手)
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうぞ知事、頑張っていただきたい。心から思いまして、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(藤山将材君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第117号から議案第133号まで及び議案第136号から議案第138号まで並びに知事専決処分報告報第3号は所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。9月25日及び26日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(藤山将材君) 御異議なしと認めます。よって、9月25日及び26日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、9月27日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時54分散会

このページの先頭へ