平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号


平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(藤山将材君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第117号から議案第138号まで並びに知事専決処分報告報第3号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 おはようございます。本日、3日目、第1番に質問をさせていただきます。
 議長のお許しを得ましたので、通告に従って3項目について一般質問をさせていただきます。
 一つ目の項目は、住みよいまちづくりについてお尋ねをいたします。
 ことしの夏は、異常な気温の上昇に続いて豪雨災害や台風21号に、大阪、北海道での地震など、相次ぐ大規模災害が起こりました。亡くなられた方々に心から哀悼の意をささげるとともに、被災された皆さんにお見舞いを申し上げます。
 改めて、災害に強い防災・減災のまちづくりが喫緊の課題であることが突きつけられました。高齢者を初め、障害者、子供など、特に支援が必要な人がいち早く避難できるよう、具体的な仕組みを整えることが急がれます。住民同士のつながりもさらに大切になってきていると思います。このような中で、地域コミュニティーの活性化の一つとして、商店街の再生が求められるところです。
 和歌山県では、新たな長期総合計画が策定されて2年目となり、「世界とつながる愛着ある元気な和歌山」を目指す将来像として、さまざまな取り組みが行われています。その一つとして、活力と魅力のあるまちづくりが進められているところです。
 和歌山県は、1万人当たりの小売業の商店数が全国3位ということから、中小企業の活性化は大変重要です。しかし、町なかでは、住民になれ親しまれ、暮らしと地域社会を支えてきた商店街が停滞、衰退し、空き店舗とシャッター通りが目立つ状況が今も続いています。毎日の生活に欠かせない身近な商店がなくなり、自動車が使えないお年寄りが困っています。
 商店街の衰退は、単に中小商店だけの問題ではありません。商店街の衰退の原因はさまざまですが、個々の商店街の努力だけでは克服できるものではないと考えます。バブル崩壊後の経済失政と国の構造改革によって国民の所得と消費購買力が抑え込まれ、売り上げの大幅な減少が大きく響き、その上に大型店の出店ラッシュと深夜営業など、無秩序な競争激化が商店街を直撃しました。
 1990年代、国は、周辺小売店との調整のための法律・大規模小売店舗法の規制を相次いで緩和し、1998年に廃止をしてしまいました。その結果、大型チェーン店による無秩序な出店と営業時間の野放し状態が一気に広がり、外国資本の参入もあって、ショッピングセンターの巨大化や大型店同士の熾烈な競争が繰り広げられています。
 私は、こういったことが商店街や地域経済の問題にとどまらず、まちのあり方や住民の暮らしにも深刻な影響を及ぼしてきたと思います。中心市街地や住民に身近な商店街が潰された上に、結局、大型店自身も消失するなど、まちそのものが空洞化する深刻な事態が全国各地に生まれたのではないでしょうか。
 欧米諸国では、1970年代、80年代に規制緩和と大型店の郊外乱開発によって商店街が荒廃し、都市と下町が空洞化して大きな社会問題になりました。この大失敗から、各国は90年代に入って大型店の乱開発の規制を強化し、地域社会の核である商店街を振興する方向に大転換しています。大型店の乱開発の規制と商店街の振興、再生とを車の両輪とするまちづくりルール確立の方向が大事だと考えます。
 高齢者が歩いて買い物のできる商店街、安心して住み続けられるまちづくりを目指して、中小商店主と地域住民、事業者、消費者、NPO、大学、自治体により模索され、取り組まれていると思います。こういったことをしっかり支援することこそ大事だと考えます。
 そこで、お尋ねをいたします。
 誰もが住みよいまちづくりに向けて、商店街の振興、活性化についてどのようにお考えでしょうか。商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 商店街の振興、活性化について、県では、これまで商店街の空き店舗を活用し、少子高齢化など社会的課題に対応する事業に補助するとともに、担当者が商店街に赴き、地元関係者とソフト事業の企画、立案を支援するなど、商店街の活性化に向け取り組んできたところです。しかしながら、その効果も限定的なものであり、にぎわいが続かず、活性化に至ってないのが現状です。
 このような中、商店街を活性化するには、まず商店街の方々みずからがどのようなサービスを提供すれば地域住民の方々に利用していただけるかなど、商店街の皆様で一体となって考えていくことが重要であるとともに、地域住民の方々についても大いに利用すべきであると考えます。
 また、まちづくりを考える主体である市町村が将来のまちのあり方を考え、まちの構造をどのようにしていくかを設計していくことが大切であり、空洞化した中心部に機能を集約し再開発するとともに、商店街の振興、活性化に向け積極的に取り組んでいくべきであります。
 県としましても、商店街の振興、活性化は大きな課題であると認識しており、他府県の事例などの情報収集に努めながら、そうした取り組みを支援してまいります。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁をいただいて、県としても商店街の振興、活性化は大きな課題であるということで認識をしていただいてるということですので、私のほうから、そういったことで要望させていただきたいと思います。
 中小企業は日本経済の根幹ということで、中小企業憲章には、社会の主役として地域社会と住民生活に貢献する存在と示されています。地域に根をおろし、物づくりやサービスでの需要に応え、雇用を生み出している中小企業の役割は、ますます大きくなっていると考えます。
 2014年6月には、小規模企業振興基本法ができました。この法律は、成長発展だけではなく、事業の持続的発展の重要性を明確にしています。改めて、小規模企業振興法の理念と県における中小企業振興条例に基づき、個人事業主を含めて小企業者などを地域経済の主役として支援施策を一層強めて、商店街の再生に力を注いでいただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、2番目に行かせていただきます。
 次は、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 県は、にぎわいのある魅力的な都市づくりとして、和歌山市と連携して市街地再開発事業に取り組んでいます。総事業費は現在のところ約240億円で、そのうち国、県、市の補助金は約111億円と聞いております。県はどのような基準のもとに補助金を出されているのか、お尋ねをいたします。県土整備部長に御答弁をお願いいたします。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 市街地再開発事業への補助金についてお尋ねがございました。
 和歌山県では、町なか居住の促進とにぎわいの創出に資する市街地再開発事業を行う者を助成する市町村に対しまして、補助金を交付することとしております。具体的には、次の四つの要件を定めてございます。
 都市再開発法に基づく市街地再開発事業で、社会資本総合整備計画に位置づけられていること。
 町なか居住の再生を図るべき区域として市町村の計画に位置づけられた区域内や、都市機能や居住を誘導する区域を定める立地適正化計画で設定する都市機能誘導区域のうち、中心拠点区域内で行われること。
 30戸以上の共同住宅、または多目的ホールや屋内公開広場などのにぎわい交流施設が含まれる複合施設が整備されること。
 町なか居住の促進、都市機能の誘導、景観改善等に対して先導的な役割を果たす事業や他の都市機能を整備する事業の推進に資する事業であって、当該都市の活性化のために特に必要であること。
 以上の四つでございます。
 和歌山市駅前地区を初めとする3地区で実施しております市街地再開発事業は、これらの要件に合致していることから、和歌山市に対し補助をしているところでございます。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 中心市街地の開発事業は、民間の事業に多額の税金を投入するものです。民間投資の喚起を口実に、中心市街地の開発を促進するということになると考えます。こういう中で住民不在の開発を招くものになりかねないかと危惧をしているところですが、ぜひとも県としても住民本位のまちづくりにぜひ取り組んでいただけるように要望をしておきます。よろしくお願いします。
 次の質問、2項目めに行かせていただきます。
 山地災害についてお尋ねをいたします。
 和歌山県の森林面積は36万1260ヘクタールで、県面積の76.5%を占めています。7月5日夕刻から降り始めた雨が、翌6日朝にかけて降水量が300ミリを超える大雨となりました。土砂災害、浸水被害が発生しました。
 その後、和歌山市の山林を専門家の方や住民の皆さんと一緒に私は調査をさせていただきました。千手川、高川流域でも多くの斜面崩壊、土砂流出が発生し、積み重なった流木の上を乗り越えなければ前に進めない状況でした。
 そこで、県下の状況についてお尋ねしたいと思います。現在の山地災害危険地区数を区分ごとにお聞かせ願いたいと思います。農林水産部長に御答弁をお願いします。
○議長(藤山将材君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 県では、地形、地質等から見て、山地の崩壊及び渓流からの土砂流出などにより家屋や公共施設等に被害を与えるおそれのある箇所を山地災害危険地区とし、防災や避難計画の啓発に努めているところであります。
 その区分ごとの箇所数は、山腹崩壊危険地区が7432カ所、崩壊土砂流出危険地区が6044カ所、地すべり危険地区が40カ所、合わせて1万3516カ所となります。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、山地災害から県民の命と財産を守るため治山事業に取り組まれていますが、今回の台風20号、21号での本県の山地災害の発生状況と、これからどのように復旧されていくのか、お尋ねをいたします。農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 本県を襲った台風20号及び21号による治山事業関係の山地災害の発生状況については、9月18日現在、被害箇所数36カ所、被害額12億2550万円となっています。
 被害の主な概要につきましては、台風の影響による豪雨と暴風による山腹の崩壊や、渓流荒廃地からの土砂流出によるものとなっています。
 そのため、森林の持つ災害防止機能など公益的機能の回復を図るため、林野庁の補助事業などを活用しつつ、国の採択要件に適合しない箇所につきましては、県単独の治山事業などにより復旧に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、森林の開発許認可に当たって、最近の集中豪雨や台風、地震などの発生状況をどうお考えになっていますか。住民の不安がさらに大きくなっていることに対して、県としての対応をどう考えていますか。農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 近年の集中豪雨等により全国的に大きな災害が発生しているところであり、当県におきましても今後の災害発生について危惧するところであります。
 林地開発許可制度の審査に使用する公共事業等の技術基準については、平成26年の降雨強度の見直しなど、大災害の発生を契機に変更されてきております。
 今後も、引き続き技術基準を遵守しながら、災害の防止が図られるよう慎重に審査を進めてまいります。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 和歌山県の土砂災害マップは、住宅地や公共の施設などがあって、土砂災害、土石流災害、洪水及び地すべりなどのおそれがある区域が指定されているのであって、全ての区域が指定されているわけではないということだと思います。住民の皆さんと調査に行ったところで、土砂災害、土石流の発生したところは指定区域外でした。自然災害は、いつ、どこで、どんな規模で発生するかわかりません。適切な災害への対応と慎重な許認可審査をぜひよろしく、そういう姿勢でよろしくお願いをいたします。これは意見としておきますので、よろしくお願いします。
 次に、3項目め、質問させていただきます。
 次は、学校給食についてお尋ねをいたします。学校給食の実施状況と食育の取り組みについてお聞きをいたします。
 2015年9月に食育基本法が改正されました。第20条には、学校、保育所等における食育の推進について述べられています。その中に、地域の特色を生かした学校給食等の実施とありますが、現在の実施状況と方式についてお尋ねをいたします。
 また、第3次食育推進計画の目標達成のための取り組みについても、栄養教諭の配置なども含め、お答えください。教育長にお尋ねをいたします。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校給食の実施状況につきましては、今年度、小学校では237校中236校で99.6%、中学校では120校中110校、91.7%で、第3次和歌山県食育推進計画では小中学校とも100%とすることを目指しております。
 実施方式につきましては、単独調理場方式が138校、共同調理場方式が174校、また、他市町が運営する給食センターや民間施設に委託している学校が35校あります。いずれの場合も、設置者である市町村が給食施設の維持管理、調理員等の人員確保などについて総合的に検討し、それぞれの実情に応じた調理場方式としております。
 第3次和歌山県食育推進計画では、全ての小中学校に栄養教諭が食に関する指導訪問を実施する割合を100%にすることを目標としております。栄養教諭につきましては、現在40名を配置し、学校における食育の中心的な役割を担っております。
 今後、栄養教諭が所属校以外の学校へも積極的に指導訪問するなど、効果的、効率的に食育を推進することにより、推進計画の目標の達成に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、学校給食の安全性の確保についてお尋ねいたします。
 ある県では、PFIの学校給食現場では大量に輸入食品が使用されていることが判明したとお聞きをいたしました。民間委託の現場では、外国産米も使われているということです。
 県の給食の安全性は、どのように確保されているのでしょうか。国産食品と輸入食品の比率及び品目はどのようになっていますか。また、本県の学校給食における地場産物の利用拡大するための取り組みも教えてください。教育長にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校給食の安全性につきましては、学校給食衛生管理基準に基づき、食品の選定や購入、納入時、また子供たちが食べる前に校長、栄養教諭等が点検、確認することにより、安全性を確保してございます。
 国産食品と輸入食品の使用状況につきましては、国産食品は約80%で、米については全て県内産を使用してございます。また、約20%の輸入食品は、小麦や砂糖、ゴマなどとなっております。
 地場産物の使用割合は、ここ数年、全体の26%前後で推移しております。第3次和歌山県食育推進計画では目標を40%と掲げ、利用拡大を進めておりますが、保護者の経費負担の抑制や同一規格での安定供給等が課題となっております。このことから、農林水産部と連携して、学校給食での和歌山産品利用拡大戦略アクションプログラムを策定し、昨年度から取り組みを進めております。
 主な取り組みといたしましては、市町村ごとに、農産物直売所などの生産者と給食センターなどの購入者をつなぐ組織づくりを県が支援し、提供可能な地場産物の食品と数量、規格等の情報を共有し、地場産物を安定して供給できる体制の確立を図っているところです。
 また、地場産物の活用は、地域の自然、文化や産業、生産の苦労への理解を深め、食に対する感謝の気持ちを育むとともに、ふるさと教育の一環としても意義あることから、小学校、中学校、特別支援学校にミカンやサバ、ジビエを無償で提供してございます。
 今後も、引き続き学校給食の安全性の確保とともに、地場産物の積極的な活用を推進してまいります。
○議長(藤山将材君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、学校給食の実施状況や食育の取り組み、安全性の確保について努力していただいているということがよくわかりました。そういう中で、地場産物については、農林業のいろいろな発展、振興、そういったことにも大きく影響するものだと思いますので、今後も一層利用拡大を進めていただきたいと思います。
 その際に、やはり先ほど、そういった食材の費用等、その点について給食費の問題も挙げられるかと思いますので、この給食というのは子供の心身の発達に本当に大きく貢献できるものだと思うんです。
 その点で、私はこれを三つ目なんですが、学校給食の無償化について要望をしておきたいと思います。
 子供の貧困が社会問題となっています。子供の貧困対策としても少子化対策としても、子供の食のセーフティーネット、社会保障としての学校給食の無償化を国の制度として進めるよう働きかけをお願いしたいと思います。
 広島県のある町で、給食費未納の世帯が保育料や国民健康保険料、固定資産税など、市への支払いを軒並み滞納していたという例がありました。給食費未納を子供の貧困のSOSと受けとめ、未納の背景を知り、学校から支援制度につなげることができると思います。
 小中学校の給食を無償にすると、日本全体で年額5000億円かかると言われていますが、お隣の国、韓国では、既に無償化が進んでいます。給食の始まりは日本より遅く、朝鮮戦争、1953年直後に多くの欠食児童が出て、海外の支援で脱脂粉乳の支援が始まり、その後、小学校、高校、中学という順に制度を普及させたとお聞きしています。日本でも、無償にする自治体が徐々にふえてきています。全ての子供を対象に、その中で特に困っている家庭が救済される制度として、ぜひ考えていただきたいと思います。また、ぜひ実現できるように県として国への働きかけを重ねて要望して、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。

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