平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号


平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。
 まず、第1問です。台風第21号被害への対応についてお願いしたいと思います。
 和歌山県を襲った台風第21号による被害が多数発生しております。中でも和歌山県雑賀崎工業団地は、高波の影響で工業団地内に海水の浸水があり、建物被害、工作機器の被害による補修、点検、この必要性があること、再稼働までに時間を要する会社、完成した製品が海水につかったため納品ができなくなってしまっている会社、原材料がつかって使用できなくなってしまっている会社など、多大な被害が発生しております。現場では、現場に行かないとわからないような被害、現実があり、1人の経営者からは「20年間ここで操業していますが、こんな被害は初めてです」という声もいただきました。
 ここで、ある経営者の方から、高波が当日押し寄せた様子を動画で捉えていたので見せてもらったところ、会社の玄関から波が押し寄せ、会社内に浸入し、あっという間にそこにあるもの──机やパソコンなどなんですが──を流してしまった様子が残されていました。波の速さ、浸入の様子は、まるで東日本大震災の津波のときと同じような感じがしました。ここで津波のような高波が発生していたのかと、信じられない思いがありました。
 続いて、護岸まで歩いたところ、護岸の一部が破損していて、その部分から高波が敷地内に流入したような形跡がありました。
 続けて、別の会社を訪問したところ、ここも工場内に海水が浸入し、床面は土が残り、工作機器は海水につかった跡がありました。機械類は、海水につかると乾かしてもそのまま動かすことはできませんから、点検、必要に応じて補修、買いかえ、それを行ってから作動させる必要があり、相当の時間を要するため、製造に着手できない状況も続いております。当然、休業している間は売り上げが見込めなくなり、また受注している製品の納期が守れなくなることから、災害後の対応にも苦慮する、そういう状況が見受けられました。
 また、今回のような高波による海水浸入による被害の場合、火災保険の適用が、条件にもよるんですが、なされないケースが多いそうです。売り上げの低下、修繕経費、機器の入れかえなどの経費など、本年度の決算に影響することから、国や県から災害から復旧するための支援の必要があるかなと思います。
 和歌山県が造成し、企業誘致を行っている雑賀崎工業団地ですから、安心してこれからも稼働できる環境整備はなすべきことだと思います。台風による高波対策を実施しておかなければ、今後の新規立地というのは厳しくなりますし、何よりも、和歌山県としてここに進出してくれているこれらの会社を大事にしたいと思います。
 「工場内を見てください。大変な状況になっています。土曜日と日曜日で──これは被災直後の土曜と日曜という意味ですが──工場内の機器の安全確認ができた製造ラインから動かしています。でも、モーターが浸水して動かせない機器もあり、対応が必要な状況です。この場所は、和歌山県工業団地で、県のお誘いがあり、ここに進出しました。今回、護岸の一部が破損したため高波が浸入していますが、東日本大震災以降、このような高波は予想すべきだったと思います。被害への対応と今後の安全対策を聞かしてほしいと思います」という経営者からの御意見もありました。
 企業立地を図るには、自然災害に備え、万全な安全確保をしておくことが前提です。護岸の一部破損は、果たして想定外だったのか。近年の海面上昇を予想して、かさ上げなどの対策を実施しておくべきだったのかなど、そして、もとの高さでの護岸の一部破損を復旧するのではなく、かさ上げをすることや護岸の一部破損した壁を強化、あるいは越波排水路が機能する構造も検討すべき課題だと思っております。
 そして、今回は25年ぶりに上陸した大型台風だと言われておりますが、地球規模の温暖化が原因だとすれば、毎年同規模の台風が到来することは予想できると思います。今回の被害から復旧しても、また来年も同規模の台風が到来した場合、同じような被害を受けないためにも、最低限、台風第21号の規模を想定した対策を今後実施すべきことだと考えたいと思います。
 次回、今回と同じ規模の台風に襲われたとき、今回と同じような被害をこうむることを絶対回避し、安心して働ける環境と、この場所で工場を稼働できるような対策は講じておくべきことだと思います。
 護岸を見たところ、一部破損に関しては、高さが違う堤防が前面にあったこと、消波ブロックが設置されていなかった箇所があったこと、高波が堤防を越えて護岸の一部を破壊して浸入したことから越波排水路の機能が果たせなかった、こんな問題が考えられると思います。この現実を想定外で避けるのではなく、東日本大震災の津波被害から考えておくべき堤防、護岸の安全対策は講じておくべきだと思いますし、この工業団地に進出している企業とともに防災対策を協議すべき、あるいはしておくべきだったと痛感しております。
 巨大災害は、いつ到来するかわかりません。十分過ぎるほどの備えは必要です。そして、東日本大震災以降は想定外の出来事はなく、津波、地震、台風や豪雨など、これまで発生した全てのことが想定内になるように、対策を立てておく必要があります。
 そこで、台風第21号による雑賀崎工業団地の護岸の一部が破損し、ここに立地している会社に大きな被害が発生しておりますが、護岸の一部破損の原因についてどう分析しているのでしょうか。知事の答弁をお願いしたいと思います。
 続けて、火災保険に加入していた場合でも、台風被害による高波の場合は補償は適用されないケースがありますが、今回の海水浸水による被害は甚大なものであります。今回、この台風の影響により雑賀崎工業団地で被災した企業に対する緊急的な支援をどう考えていますか。県が誘致して立地してもらった企業であることから、緊急の対策が必要だと思います。今回の対応が今後の新規立地にも影響するかと思いますので、知事の答弁をお願いしたいと思います。
 続けて、今回被災した各企業は早期復旧に努めていますが、短期的復旧とともに中期的課題も現場では見えました。
 改めてここで言うまでもありませんが、県工業団地に立地している企業の多くは、メーカーの仕事を受けている企業だということです。メーカーから受注した部材などの供給が難しくなったことから、早期の部材の調達を目指し、メーカーへの納期の変更も依頼しております。メーカーは、雑賀崎工業団地が台風第21号被害を受けていることを知っているため、納期変更に応じるか、または緊急避難的にほかの部品会社に供給元を変更している、こういう措置をとってくれております。実際、メーカーの方が現場に入って復旧のスケジュールを一緒に構築している、こういう姿も見ることができました。
 今回の事象をメーカーは理解してくれているので、工場が再稼働すればメーカーからの受注は受けられるようなのですが、将来の課題もここで見えております。それは、今後、今回と同規模の台風が到来した場合、被害に遭わないための対策をとれるかどうか、この問いかけであります。つまり、台風第21号と同規模の台風に今後見舞われた場合、これらの工場が被災することなく、あるいは被災しても最小限にとどめ、台風が通過した後も継続して工場が稼働することが求められることになります。自然災害への対応として、事業活動継続計画、いわゆるBCP計画を策定しておくことが求められることになります。
 これらの企業の工場が復旧し、再稼働した暁には、メーカーは自然災害で工場が稼働できない事態にならないことへの説明を求められることになります。各企業でできることはそれぞれ実施することになりますが、例えば、護岸の改修、かさ上げなどの高潮・高波対策を計画しているかどうか、メーカーとして継続して取引するための条件に課せられると考えられます。ですから、これらの企業は、メーカーに対して、自社で対策を実施していることに加え、和歌山県が堤防のかさ上げ、高波対策などを実施し、企業が安心してこの場所で事業継続できるかどうかを答えることになります。
 そもそも、和歌山県自身の事業活動継続計画の解釈は、2通りあると思います。
 一つは、県行政庁として県民の生命と財産を守る司令塔としての機能の継続のため、もう一つは、県が指定した場所、今回は雑賀崎工業団地ですが、信義則にのっとり県が責任を負うものと解釈し、その土地の被災が最小限になるよう少しでも減災に導ける事前対策を実施しているか、企業が安心してこの地で企業活動が継続できる環境を整えることが責任の範疇に入るとの解釈です。この大きな大きな責任を含むものが県の事業活動継続計画ですから、県の責任は大きいと思います。全ての防災対策を想定内にすることを目指すべきとうたい、実施すべきだと思います。
 厳しい内容になりますが、県民の生命と財産を守るという政治、行政の根底をただし、目先だけの防災対策から真剣な実施対策に県庁内の意識を覚醒させることにつながると思います。
 県民の生命と財産を守るという意味は、元来、事前対策を指すのですが、ややもすると事後対策的になってしまうところもある。守るという語源は、事前対策をしておかなければ守れないことを忘れてはならないと思います。
 各企業が復旧を終え、再稼働を果たした後の面談のとき、恐らくメーカーですから本社に行くことになろうと思いますが、メーカーからは、和歌山県が実施している防災対策の健全性を評価されることになると思います。今後、台風第21号と同規模の台風が到来した場合、立地している企業の安全確保を図れていることが取引継続のための条件に課せられようと思いますし、和歌山県が被災した企業をどのように守ろうとしているのか、事業活動継続のための取り組みをメーカーは今回注目しています。
 メーカーの方からしますと、こんな話です。「台風のたびにここに任せといて大丈夫かと思うような場所に立地している企業との取引は考え直す」ということになりますし、地元企業からすれば、「ここで事業を継続していくのがよいかどうかと感じることがある」、こういう意見になります。意見を聞かしていただきました。
 「とにかく、大型台風発生時でも安心して事業が継続できる会社環境を整えることを求めており、この場所で工場を再稼働することに不安を持っているのなら、今後、雑賀崎で事業を継続するために必要な設備投資など見合わせる」、そういう声も聞かしていただきました。
 ですから、被災された企業がこの地で事業継続するためには、この工業団地内の安全性の確保が前提となります。中でも、繰り返しますが、メーカーに対して、今後この場所で事業継続ができることを説明することが求められますから、企業単独でできる事業活動継続計画は当然説明することができますが、雑賀崎工業団地の護岸の一部破損への対応のためのかさ上げや消波対策の強化など、安全確保のための対策に関しては、和歌山県が被災した企業に対して示すべき問題だと思います。つまり、原状回復ではメーカーへの安全確保の説明は果たせないため、護岸のかさ上げ、消波ブロックの強化など、将来もこの場所で事業継続ができるための対策が必要と思われます。
 そこで、3点目でありますが、雑賀崎工業団地の護岸の一部破損への対応、事業継続のための支援などの課題がありますが、立地しているこれらの企業が今後とも事業継続できるよう、その用地が被災した場合、少しでも減災に導ける事前対策を実施しているかが、メーカーの要求に対する和歌山県の責任の範疇に入ると思います。企業が事業継続するため、県が実施すべき安全確保のための条件整備について、知事の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(岸本 健君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 被災した施設は、まず護岸を築きまして、その護岸の外側に消波ブロックで波を砕き、それで、そのしぶきがたまには入ってくるというふうに考えるもんですから、護岸の背後に越波排水路にためるような装置をつくって海に排水する、もう一回戻すというような構造になっております。
 施設の被災原因は、現在、詳細に調査を進めているところでありますけれども、今回、和歌山市で観測史上最大となる猛烈な風が吹いた、台風が来たということで、非常に大きな波が消波ブロックを越えて、本来、波が直接当たらない越波排水路の内側の壁を波が直撃したことが、民間企業の施設損壊の原因と推測いたします。
 この護岸の高さは、あるいはその構造は、一定の想定のもとに、こういう台風とか高潮とかそういうのが来るだろうから、それを防がないかんということでやっとったわけでございますけれども、今回は、時間的にまず潮位が高かった、それから、台風がむちゃくちゃきつかったんで、低気圧で潮位が上がった、それから風が吹いたというような、いろんな条件がいっぱい加わってしまいました。
 潮位が上がるということについては、実はテレビなんかで見ておりますと、神戸港とかそういうところで、高潮でザバザバザバザバっと水が入っていくというようなところも映っておりましたが、和歌山港に関してはそこまではいかなくて、実は水面だけの問題を言えば今の構造でも防げたわけです。ところが、風がむちゃくちゃ強かったんで、さらに高くなっている潮位の上から風で吹かれた波がどーんと来て、それで壊してしまったというのが原因だと思います。
 先ほど、この辺は消波ブロックがなくて、あの辺はと、こうありました。これも、私が事後に聞いた話でございますが、想定内ではあるけれども、想定に基づいて結構、無駄な工事をしないで、ある意味ではきちきちの工事をしているんだなあというふうにそのときは思いました。ところが、ずっと行きますと、そこももちろん越えてるんですが、高いところ、護岸が高くなって消波ブロックをいっぱい積んでいるところもやっぱり越えております。つまり、ある意味では想定の、この辺は島影があるから少なくてもいいというところのは当たってたのかもしれないんですが、全体としての被害が大き過ぎたという、被害というか、強さが大き過ぎたというふうに思っております。
 この結果、特に堤防の1列目にある事業所に一番被害を与えてしまいまして、これは大変残念なことであるというふうに思っております。
 その次に、今度は、その被害を受けた企業への支援でございます。
 これはもう最大限しないといけないということでございまして、ここだけではなくて、和歌山県下全体で大変な被害が出ております。20号では特に豪雨による宿泊施設の浸水被害なんかが大きかったんですが、今度は工場などへの越波などなど大変な被害でございまして、商工関係の被害だけで、現時点で把握してるだけでも633件、約33億円の被害というふうに我々は把握をしております。
 こうした状況に鑑み、被災された事業者の方が早期に事業を再開できるように、県内企業の流出防止のための支援制度、これをつくっておりますから、平成23年の紀伊半島大水害の際に創設した被災企業の復旧に要する経費を支援する補助制度というものを今回の災害にも適用して、その補正予算を今議会に上程してるところでございます。
 具体的には、事業者の工場、店舗、事務所等の修復、建てかえ及び事業再開に供する設備の修繕・購入、そういうものに要する経費の10%を2000万円を上限に補助してまいりたいと考えております。このイメージは、立地奨励金とほとんど一緒でございます。
 なお、この補助金は、事業者の一日も早い事業の再開を図るため、申請する前に着手したものについても補助対象としますよということで、先どんどんやってくださいという話をしてるところでございます。
 また、被災した事業者の資金繰りを支援するため、昨年10月に県の融資制度、経営支援資金・一般の対象に、暴風、洪水、地震その他異常な現象により生ずる災害により被災した事業者というものを追加しておりますので、今回、これも活用できると思います。
 当制度は、融資条件が利率1.4%以内、融資限度額8000万円以内となっておりまして、今回の台風により被災した事業者においても直ちに本制度を活用いただけるほか、県内金融機関においても相談窓口を設置するなど、事業者の実情に応じて柔軟に対応いただいているところでございます。
 加えて、融資条件が利率1.2%以内、信用保証協会が通常の融資限度額とは別枠でさらに8000万円以内の保証を行うという、より有利なセーフティーネット保証4号を活用できるように、これは国との関係もございますので、今要望をしているところでございます。
 県としては、事業者の事業再建に向け今後とも取り組んでまいりますので、事業者の方におかれましては、いち早く頑張ってくださって事業を再開するようにお願いをしたいとともに、こういう制度は、私も被災地へ行って勧めてまいりましたが、どうぞ御活用くださいというような話をしております。また、担当を決めまして、しょっちゅう考え方が変わると思いますんで、そのときにも御相談できるように、常に決まった人が御相談に伺えるようにしております。
 その次に、根本的には、やっぱり同じことが二度と発生しないということをちゃんと県が保証してさしあげないといけません。それは、とりもなおさず被災した防波堤の装置、あれを復旧しないといけないわけですが、これは前の想定どおりつくっては、また同じようになるかもしれませんので、したがって、被災時の波浪の解析などを行い、その結果に基づき、今度はあれが来てもこうやってはね返すということをするような護岸のかさ上げや越波排水路壁のかさ上げ、それと、あれは補強が入ってませんでしたんで補強、それから消波ブロックの増設、そういうことをしなければいけないというふうに思っております。
 これは、災害復旧のジャンルで、定義で言いますと改良復旧ということになるかと思います。これについては、自動的に査定が受けられるというわけではないんですが、この間、こういうことでございますのでといって国交省へ行って事前説明をしてまいりましたが、その概念としての改良復旧は受け入れてくれそうな感じでありました。一刻も早くこちらで査定案を持っていって、それで査定を受けて、一日も早く工事をするということだろうというふうに思います。
 こんなことで、今回のようなことが発生した場合でも、その護岸とか越波排水路がちゃんと機能するように考えて、それをお示しし、かつ実現して、そういうことで企業の方々が発注元にもう大丈夫ですからと言えるように早くしたいと、そんなふうに思っております。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 丁寧にお答えいただきまして、事後対策ですね。例えば、あるメーカーの方が、今回のことについて県へ説明を聞かしてほしいというところもございますんで、その際はぜひ丁寧な御説明をお願いしたいと思います。
 それと、議長、今の点に関して、追加の議案の136号のところで、一部答弁に対して確認さしていただけたらありがたいと思います。
 今メモをとったんで、ちょっと正しいかどうかわかりませんが、今回、企業等で被害を受けたのが633件、被害総額33億円という規模というふうにお伺いしましたが、今回の補正で上がっているこの企業向けの事業再開支援は、2億8000万ということになってます。もし上限が10%というふうなことにしますと、この予算規模では全ての被害補償にはつながらないような気がしたんですけども、今ちょっとお聞きしたんで、詳細がわからないんで、お答えいただけたらと思います。
○副議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) これは、被害総額については、大きいものからちっちゃいものまで全部集めて、まあこんなもんかなといって、まだわかってないところは別にいたしまして、そういう計算をしております。
 今のこの10%の補助金、これは、うんとちっちゃいところについては、ちょっと手続的にも対象としてもあんまりふさわしくないんで、ある程度大きいものに、議員が見に行かれたような施設は当然全部入りますけど、そういうようなものに限っております。したがって、一例を挙げるとそういうことなんですが、それぞれの事業その他に応じて、目いっぱい出たと考えて、このぐらいあったら大丈夫やろなあといって積み上げをして、今のような金額になってると、こんな感じでございます。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、第2問、和歌山市での集中豪雨対策について入らしていただきたいと思います。
 その項目の中の一つ目であります、集中豪雨時の和歌山市の排水対策について質問をさせていただきます。
 近年では、平成29年秋の台風のときの浸水被害、台風20号、あるいはことしの7月のときの浸水被害など、排水処理の悪さが改善されていないという指摘を各方面からいただいております。今後も巨大な台風、豪雨が到来することへの不安が高まり、和歌山市は、まだ排水対策ができていないので、また浸水するのではないかという声を多々聞かさしてもらっているところであります。
 台風20号で被害を受けたある小売店舗の経営者は、「大雨のたび、店内やお店の外に同じような浸水があります。全く改善されていないのは、行政がそのことに気づいていないのか、それとも知っているけれどやらないのか、わかりません。大雨に対する問題意識が欠如しているのではないかとさえ思ってしまいます」という厳しい意見がございました。
 また、お店の外の道路の排水がしっかりとできていないことから、川の中に店があるような、こんな状況になっているところもありまして、ここの経営者に尋ねてみますと、「排水管の管口が小さいので、大雨の場合、その雨量処理に対応できない。毎回こんな状況になっているこの地域の排水対策の必要性は、行政はわかってくれていると思うんですが」と、こういう話もありました。
 管口が小さいことで雨量に対応できない地域があることは行政は十分把握していると思いますが、どの地域も同じ排水能力だとすれば、比較的雨量の多い地域は毎回浸水する、こういう状況になると思います。
 過去からの経験によって、雨量の多い地域、浸水地域はおおむね把握できていると思いますから、その雨量に応じた排水対策を、個別と言ってはなんですが、講じることによることこそ行政が責任を果たすと、こういうことになるのかなというふうに思います。
 例えば、飲食店の場合、「店内に浸水があると、すぐに営業はできない。なぜならと言いますと、商品そのものの入れかえであるとか、浸水した後の店内は衛生管理の必要性があり、清掃や消毒、それに数十万円も要するんだ」と、こういうふうな話も聞かしていただきました。
 ですから、「大雨や集中豪雨への浸水対策は即座に実施すべき対策だと思いますし、浸水対策をしなければ、行政は責任を果たしているとは言えません」、こんな声もいただきましたし、「和歌山市内の治水対策は、相当おくれているのではないでしょうか。大雨の都度、毎回これだけ浸水しているのはおかしいと思うので、何とか状況に対応してほしい」、こういう声を聞かしていただきました。
 想定できる大雨に備えた治水対策を施して災害に強く安全な都市を目指す、それが和歌山県が目指すべき都市のあり方だと思います。
 そこで、和歌山市内の下水道、雨水の計画について、御質問をさせていただきます。
 集中豪雨が多発し、ゲリラ豪雨はもはや異常ではなく恒常化しています。和歌山市の下水管が処理できる1時間当たり、どの程度の計画雨量になっていますか。これまでの地域ごとの集中豪雨による冠水などの状況から地域別に排水処理機能を検討し、これまでの浸水地域の地域が耐えられる計画雨量の見直しに対応すべきだと考えますが、県土整備部長にお答えを願いたいと思います。
 続きまして、平成30年7月6日、和歌山市内では大雨警報が発令され、大雨の影響で家屋内の浸水被害など多数発生しております。和歌山市南部を流れる和田川の水位も上昇し、この周辺には避難準備情報が発令され、公共交通も混乱、JR、南海電鉄も運行を中止するなど、移動や仕事に影響を与えました。
 和歌山市は市の東西がJRの線路によって分断されていることから、東部から西部、西部から東部に行くときは、高架道路か地下道を利用することになります。大雨のときは地下道が浸水することがありますから、東西の交通網が分断されてしまうことが、ここの都市としての弱点だと思います。このときも、田中口の地下道が浸水したため、通行することができませんでした。
 和歌山市中心部が線路によって東西に分断されていることは、大雨が降るたびに大きな課題であることを認識させられます。抜本的な対策としては鉄道を高架にすることが考えられますが、莫大な費用を要すること、工期を考えると、簡単なこととは言えないと思います。
 大雨が降れば、都市機能が混乱しますし、和歌山市中心部以外の箇所が浸水するなど、大雨への対応に関しては同じ課題が長い間続いていると思います。
 このときは、昭和51年の観測開始以来、最大の雨量を記録したように、予想を超える大雨は、私たちを不安な状態にさせ、都市機能を低下させてしまいます。生活に影響を与え、経済活動がとまりますし、南海トラフの巨大地震と津波への備えは大丈夫だろうかと思われ、多くの方が不安に思ってしまう事態になります。
 県民サービスとは、知事を筆頭に職員の皆さんが広報役を担い、情報を収集して事実を知り、わかりやすいように県民の皆さんに伝達することが原点だと思います。情報発信が県民サービスの基礎だと思います。現場で収集された情報を県民の方々の命を守る対策に結びつけていただき、実現化されますことを切に期待しております。実現化こそ、実現化イコール情報の正しい活用だと思います。
 例えば、田中口の地下道の場合、給水ポンプの電源が動かなくなった場合、陸路の援助ルートが途絶えるという現実があります。この現状の責任は、誰がとるべきなのでしょうか。
 ところで、河田惠昭先生が発刊された「AERAdot.」なんですけども、「日本の地下街は世界一危険!災害研究の重鎮が大都市の『水没』を警告」と、こういう記事を載せております。一部抜粋させていただきますと、「地球温暖化とともに集中豪雨の発生頻度が高くなる環境では、地下室や地下街の浸水事故が起こる危険性はさらに高くなる。私たちはそのことに気づいて、自分で注意しなければならない。なぜなら、対策はそれほど容易ではないし、地下街は、周辺のビルの地下階ともつながっており、水が浸入する経路は複雑かつ多岐にわたっているからだ」、こういう指摘があります。
 和歌山県には地下街というものはないんですが、ビルや企業によっては地下施設、あるいは重要設備を置いておりますし、地下道もございます。地下道などは、集中豪雨に十分、今から備えておく必要があろうかと思います。
 そこで、特に都市部の浸水対策は緊急性を帯びていますから、和歌山市においては、集中豪雨による浸水被害の解消に向けた事業の早期実施が課題だと思います。和歌山県が目指している災害に強い安全・安心なまちづくりの取り組みについて、この点も県土整備部長の答弁をお願いしたいと思います。
 この項目、3項目であります。
 今回、台風第21号の被害状況などの情報把握は、ラジオが有効だったと思います。今回、和歌山市内にありますエフエム和歌山では、ダイワロイネットホテル和歌山にスタジオを開設し、当日の午後10時から翌1時30分まで、翌朝は午前7時30分から午後4時まで、全ての番組の放送を中止し、防災情報だけを放送していました。この放送は、どれだけ聞いている皆さんに安心を与えたかと思います。僕も、夜間はこのスタジオに待機して情報を得るようにしました。
 このエフエム和歌山は、防災ラジオ局としての機能を持っておりますから、非常時には、この市内のダイワロイネットホテル和歌山を基地局として放送を続けてくれております。今回は、ここから台風情報を都度都度、発信をし続けてくれましたし、スタッフの方も外出が困難な状況のもと放送を続けてくれておりましたので、責任ある役割を果たしてくれているなあと思いました。
 このとき、放送を聞いてくれていた人からは、「和歌山市にこのラジオがあって本当によかったと思います。台風に関する情報を出し続けてくれていたことを頼もしく思います」、あるいは「ラジオは必要な情報と安心感を与えてくれました。ラジオは、身近な存在であることを痛感し、非常時の必需品だと思いました」、または「高齢者は、防災ラジオを備えつけることは必須だと思います。ラジオからの情報は温かく届きますし、情報がないことからの不安はかなり緩和されました」、こういう意見もありました。
 また、台風第20号のときの意見も聞かしていただいたんですが、こんな意見がございました。「既に避難している人の数を避難所ごとに教えてくれたり」、このとき避難所は開設されてたわけなんですけども、「南海フェリーの運航状況、鉄道の状況など事細かく、避難に当たっては、スリッパの準備の必要性なども含めて丁寧に話していることがとにかくすごい。信頼性の高さを感じます」、こういう声が届いておりました。
 今回のように暴風が吹くと、防災無線の声は全く届きません。防災対策として防災無線、テレビ、インターネットとともに、電池をもとに放送を続けることのできるラジオは、有力な手段だと思います。和歌山県の防災対策として、いま一度、この有効性を考えていただきたいと思います。
 そして、8月、高知県の黒潮町を訪れたんですが、このとき──規模は小さいのでこのまま適用することはできないんですが、役場が全戸に非常時に備えてラジオを配布しておりました。非常発生時は、黒潮町役場内にFM局を臨時に開設、ラジオを通して町民に必要な情報を届ける体制があることを聞かしていただきました。
 和歌山県内には、コミュニティーFM局は5局あります。行政が基地を開局することなく、連携することで防災対策として効果を発揮すると思います。
 そこで、3点目の質問であります。
 和歌山県は、県内のコミュニティーFM5社と災害発生時の情報提供と放送の提携をしております。
 そこで、災害時におけるコミュニティーFMとの連携の状況について、また、災害時の情報提供におけるコミュニティーFMの重要性について、知事室長の答弁をお願いします。
○副議長(岸本 健君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 和歌山市内の下水道・雨水の計画につきまして、お尋ねをいただきました。
 和歌山市が下水道として整備をしております浸水対策についてでございますけれども、その計画の雨量といたしましては、5年確率の降雨強度でございます時間雨量50ミリによりまして事業を実施中でございます。
 次に、この計画雨量の見直しについてでございます。
 和歌山市が市街化区域7415ヘクタールのうち、整備対象区域としましては、6087ヘクタールを整備対象区域として浸水対策を進めているということでございます。
 その整備状況でございますけれども、10年前、平成19年度末時点におきましては整備率38%ということでございましたけれども、その後、浸水対策区域を拡大したということでもありまして、平成29年度末時点、10年後のちょうど同じ時点でございますけれども、整備済み面積2556ヘクタール、整備率にいたしまして42%という状況でございます。
 こういったことから、まずは、現計画の完成を優先した浸水対策を推進していくということで、和歌山市から伺っております。
 2点目に、和歌山市内の浸水対策を中心といたしました災害に強い安全・安心なまちづくりにつきましてのお尋ねをいただきました。
 近年、増加傾向にございます局地的な集中豪雨、台風を鑑みますと、都市部における浸水というのは、都市の機能低下だけでなく、多くの経済損失を伴いますことから、浸水対策ということは非常に重要な課題だというふうに認識してございます。
 御指摘の和歌山市内の浸水対策につきましては、主に県が行う河川整備と、それから市が行います下水道整備がございます。
 河川整備につきましては、和田川において、これまで和歌川に合流する地点から米田排水機場付近までが概成しておりまして、その上流の石関取水堰の改築、護岸整備を進めるとともに、国直轄で行っていただいております総合農地防災事業和歌山平野地区におきまして、和田川沿川地域からの排水対策として、現在、米田排水機場のポンプの増強、あるいは農業用水路の改修などに取り組まれているところでございます。
 大門川におきましては、これまで市堀川合流点からJR橋までの護岸整備や河床掘削が完成し、JR橋から出水橋までの区間について、護岸整備や河床掘削を進めているところでございます。さらに、亀の川や土入川等におきましても、護岸整備や河床掘削等を進めているところでございます。
 また、下水道整備に関してでございますけれども、平成29年度までに、雨水ポンプ場15カ所、雨水管渠308.4キロメートルの整備を行ってきたところでございますけれども、現在の主な工事の状況といたしましては、和歌山市神前において和田川雨水簡易ポンプ場の設備工事を、和歌山市西庄において新堀第1排水区支線工事を、和歌山市園部において有功第1雨水幹線工事を実施しているということで、和歌山市から伺ってございます。
 一方、県道鳴神木広線、JRきのくに線の地下道、いわゆる田中町アンダーの排水対策につきましては、建設当時の排水ポンプ2基に加えまして、平成17年に排水ポンプ2基の追加を行いまして、計4基のポンプで対応しているところでございます。今後、冠水対策につきましては、今回、台風第21号のこういった状況も整理いたしまして、対応について検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、県といたしましては、引き続き和歌山市と連携いたしまして、災害に強い安全・安心なまちづくりを目指して、事業推進を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○副議長(岸本 健君) 知事室長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事室長(宮﨑 泉君) コミュニティーFMについての御質問でございます。
 和歌山県では、平成25年11月に、災害時における放送要請に関する協定を県内の全コミュニティーFM放送局5局と締結しております。この協定は、大規模災害による市町村の機能喪失もしくはそのおそれがある場合などに、市町村を代替する形で県がコミュニティーFM放送局に対し情報提供をすることで、地域住民に発信いただくためのものでございます。
 台風第21号通過時においては、市町において滞りなく情報発信がなされたことから、県では情報提供に至っておりませんが、必要に応じ県から情報を提供してまいります。
 今回、エフエム和歌山では、通常の番組を変更し、気象情報、避難所情報、道路・交通機関の状況など、住民の皆さんに必要な情報を届けていただいたと聞いておりまして、地域に密着した非常に重要な情報ツールであるとの思いを新たにしたところでございます。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えをいただきました。
 まず、和歌山市内の排水対策、進捗率が42%で、地域別に対応するというよりも、まずこれ100%を目指すということを優先さした上でということになるので、相当長期間になろうかと思いますが、課題としてぜひ認識をしていただければありがたいと思います。
 それから、室長からお答えいただきましたように、今回は滞りなく情報発信がされたから放送要請に至らなかったということですが、県は連携してくれてたということで、ありがたく思ってます。条項に縛られることなく、異常だと感じた場合は、あらゆるツールが役に立つという認識のもと、連携を今後とも図っていただければありがたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 そして、防災対策は、こういう言葉があります。「備えが全てです。自然災害で想定以上のことはできません」、こういうことも言われております。今回の台風第21号を教訓とし、防災対策のあり方として、これまで経験してきたことを踏まえて、全ての防災対策を想定内にする、このことを目指していただけたら安心・安全できる和歌山県土づくりにつながるというふうに思い、要望をさせていただきたいと思います。
 以上で、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(岸本 健君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時36分散会

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