平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号


平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(鈴木太雄議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕(拍手)
○鈴木太雄君 皆さん、こんにちは。早速でありますが、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を始めさしていただきたいと思います。
 その前に、まず、この場をおかりして、今回の台風第20号、また台風第21号により被災に遭われた方々にお見舞いを申し上げますとともに、復旧作業をいただいた多くのボランティアの方々に、心から厚く御礼を申し上げます。
 それでは、大項目1として、台風第20号・第21号災害を受けてにつき、3点にわたり質問をいたします。
 初めに、小項目1、浸水被害を受けた川湯地区等への対策について質問に入ります。
 台風第20号は、強い勢力で四国に上陸をし、各地に暴風雨をもたらしました。本県には、8月23日の午後9時から10時ごろにかけて最接近し、この大雨の影響により熊野川が氾濫したことで、新宮市日足地区が浸水被害を受けました。また、田辺市におきましては、市内各地で倒木や土砂崩れ等による道路の不通、停電などの被害が相次いで発生をしたほか、田辺市本宮町川湯地区においては、熊野川の支流である大塔川が氾濫いたしました。
 今回の水位は、7年前に未曽有の豪雨災害をもたらした平成23年紀伊半島大水害時をも上回り、この影響によって川湯温泉は床上浸水の被害に見舞われ、同地区の旅館は休業を余儀なくされるなど、甚大な被害を受けました。
 被災直後の8月25日に、自民党の幹事長である二階俊博衆議院議員が日足地区と川湯地区を訪れ、新宮、田辺両市長を初め、地元県会議員として濱口県議、そして私が同行する中、現地の被災状況の確認等を行いました。また、先日には、世耕経済産業大臣も被災地入りをいただいたところであります。その際には、地区住民から「土砂が堆積をし、河床が相当上がっているので、いつかこういった浸水被害が発生すると思っていた。とにかく土砂を取り、河床を下げてほしい」との声を幾度となく伺ってきたところであります。
 熊野川本流につきましては、さまざまな手法を活用し、計画的に河床の整備が今も行われておりますが、支流の大塔川及びその支川である四村川の整備については、ほぼとり行われていないのが実情としてあります。河床を下げると護岸が崩れるといった声や、温泉の湧き出す場所に影響を及ぼすのではないかといった声などがあり、整理しなければならない課題があることも承知をいたしておりますが、このたびの甚大な被害を重く受けとめ、早急に河道掘削等の事業化を図り、浸水に対する地区住民の不安を解消することが重要であると考えます。
 ここで、小項目の1として、このたびの台風により浸水被害を受けた川湯地区等への今後の対策について、被災した当地域周辺の道路復旧を含め、県土整備部長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(岸本 健君) ただいまの鈴木太雄君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 川湯地区等への今後の対策についてのお尋ねをいただきました。
 大塔川流域では、本年、平成30年8月の台風第20号による豪雨によりまして、川湯地区の温泉宿を初め、多くの地区で家屋浸水被害が発生しましたが、道路の路側や河川護岸の崩壊等の施設被害も多く発生しております。これらの道路や河川の公共土木施設の被災箇所につきましては、早期の復旧に努めてまいります。
 また、大塔川では、平成23年9月の紀伊半島大水害で堆積した土砂を撤去するため、これまでに6万立方メートルの河道掘削を実施してまいりましたが、今回、甚大な浸水被害が発生したことから、土砂の堆積状況を改めて把握するため、現地調査や測量に着手したところでございます。
 さらに、大塔川支川の四村川においても、わたらせ温泉が浸水するなど被害が発生していることから、同様に土砂の堆積状況を把握するため、現地調査や測量に着手しております。
 調査結果をもとに田辺市及び地元の方々の御意見を伺いながら、大塔川及びその支川の四村川において、浸水被害軽減に効果があります河道掘削等に速やかに取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○副議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 続いて、小項目の2、文里港排水機場の更新についてであります。
 田辺市の市街地東部に位置する神子浜、文里、学園地区は、利便性が非常に高く、高度経済成長期に市街地化が進んだ地域であり、田辺高等学校や神島高等学校を初め、非常に多くの学校教育施設が立地しております。
 一方、南側は海に面しており、満潮や高潮等の影響を非常に受けやすいため、内水の水位が下がりにくいといった環境下にあります。また、当該地域は、高台に囲まれた低地部でもあり、大雨による浸水被害も常々懸念されてまいりました。
 県におきましては、このような地理的な状況を鑑み、昭和55年に神子浜水路、神谷川水路の排水対策として4基のポンプ設備を備えた文里港排水機場を整備し、これまでの間、田辺市の管理のもと、当該地域の浸水対策に非常に大きな役割を果たしてきたことは言うまでもありません。
 しかしながら、この排水機場は、整備から約40年が経過をし、ポンプや配電盤、自家発電機等の老朽化が進んでおります。そのため、昨年、ことしと2年続けて電気系統のトラブルが発生をし、正常な稼働ができない状況にありました。昨年10月の集中豪雨においては、消防分団が8分団、延べ150人出動し、また、先日の台風第20号の際には、地元分団がポンプを稼働させたものの急停止をしたことから、周辺の消防団にも応援を要請し、7分団、延べ100人を超える分団員が神谷川水路周辺に出動する事態になったと伺っております。
 応援出動した複数名の消防団員からは、消防分団が他地域へ出動すると所管の地域が空白となり、地元の状況が把握できなくなる、万が一、地元で何か事が起こってもすぐに対応できない、今後はこういったことがないようにお願いをしたいと、強い要望が寄せられたところであります。
 県は、これまで数度にわたりポンプ設備の修繕を行うとともに、昨年この施設の長寿命化計画を策定したことは承知をいたしております。しかし、さきに申し上げたように、2年連続をしてトラブルが発生したことは、周辺住民に非常に大きな不安を与えるものであります。
 このような文里港排水機場の現状を踏まえ、神子浜、文里、学園地域住民の安全・安心の確保とともに、消防分団の必要以上の応援出動によって地元における消防活動が妨げられないよう、非常に老朽化した文里港排水機場への対応が急務であると考えます。
 そこで、小項目2として、老朽化した文里港排水機場の更新について、県土整備部長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 文里港排水機場に関する今後の対応についてお尋ねをいただきました。
 今、鈴木議員からもありましたように、文里港排水機場は、県において昭和55年に整備を行いまして、その完成の後に田辺市に維持管理を委託してございます。
 しかしながら、この施設につきましては、完成から約40年が経過し、老朽化が進行しておるところでございます。平成21年には県でディーゼルエンジンのオーバーホール等の修繕も行っておりましたけれども、昨年10月に稼働していた排水ポンプが漏電により停止したため、修繕を実施いたしました。また、ことし2月の田辺市の点検でも、水門の開閉装置に附属するバッテリーのふぐあいが発見され、交換を実施したところでございます。さらに、ことしの8月には、台風第20号の大雨による出水時に、停電時に稼働しておりました自家発電機が燃料供給装置のふぐあいから排水ポンプに送電できず、排水ポンプが停止する事態が発生いたしました。このため、ふぐあいが発生した燃料供給装置を取りかえたところでございます。
 文里港排水機場につきましては、これら故障した機器以外についても、完成から約40年が経過しているところでございまして、昨年度策定いたしました長寿命化計画に基づき、重要性の高いものから順次、更新してまいります。
○副議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 続いて、小項目の3として、越波被害を受けた目良地区への対策についてであります。
 台風第21号は、25年ぶりに非常に強い勢力を保ったまま、9月4日正午ごろに徳島県南部に上陸し、午後2時ごろには兵庫県神戸市付近に再上陸をいたしました。近畿地方や四国の沿岸部においては、この台風が通過した影響で潮位が急激に上昇し、大阪では、1961年の第2室戸台風時に観測した過去最高の潮位を上回るとともに、本県におきましても、御坊市で最高潮位316センチを観測いたしました。
 この高潮の影響で、関西空港の滑走路や駐機場が広い範囲で浸水したほか、空港と本土を結ぶ連絡橋にタンカーが衝突するといった被害が発生したことは、我々の記憶に新しいところであります。
 また、四国や近畿を中心に記録的な暴風となり、和歌山市においては最大瞬間風速57.4メートルを観測し、第2室戸台風時の56.7メートルを超えて、史上1位の記録となりました。紀南地方におきましても、記録的な強風に見舞われ、家屋や施設の損壊が多く発生したほか、倒木や電柱の倒壊、崩土などで通行どめが相次ぐとともに、広範囲にわたる停電が発生し、住民生活に非常に大きな影響を及ぼしたところであります。
 こうした被害のほかにも、私の地元である田辺市においては、海に面した住宅地である目良地区におきまして、越波により住宅や事務所などが冠水被害を受けました。これは、皆さんのお手元に配付いたしておりますものが、この目良地区の冠水被害の状況であります。ちょっとわかりにくいかもわかりませんが、これ車が波に乗って移動したりしているところであります。
 この地区におきましては、これまで消波ブロックの設置等、その対策が図られてまいりましたが、7年前の紀伊半島大水害時における越波被害に引き続き、今回も再び越波による冠水被害を受けたことは、周辺住民にとって不安を伴う大きな問題であります。今後、住民の安全・安心を確保するために、二度と越波被害が起こらないよう、万全の対策を講じる必要があると考えますが、越波被害を受けた目良地区への対策について、県土整備部長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 田辺市の目良地区の越波被害の状況と今後の対策についての御質問をいただきました。
 台風第21号の越波によりまして、田辺市の目良地区が浸水被害を受けた原因につきましては、気圧の低下によります潮位の上昇と、猛烈な風が吹き、非常に大きな波が発生したことによりまして、波が消波ブロックと護岸を超えたためというふうに考えているところでございます。
 消波ブロックと護岸本体自体は被災をしておりませんけれども、波が越流いたしまして浸水被害を受けたことから、まずはこの被災時の波の解析を行いたいというふうに考えております。その上で、必要な越波対策を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○副議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 前向きなというか、緩やかに前向きな御答弁をいただきました。
 この参考資料は、本来ならこれ、動画から切り抜いたもので、動画があるんです。これ、知事さん、拝見されたことありますか。この動画。ないですか。ぜひ一度、ちょっと拝見いただきたいなというふうに思うんですね。
 部長さんは見ていただいたと思うんでありますが、私がこの動画を初めて見たときには、本当に住みなれた地域なんですね。私の地元に当たるんですが、この裏に学校があって、そこへ通ってたもので、本当にふだんはもう波静かで、大変いい、風光明媚なところでありますが、こういったところがこんな状況になる。こんなになったというのは、本当に私、見なれたところでありますので、びっくりしたというのか、もう恐怖すら感じたというのが実情であります。越波という言葉でこの動画を見ると、表現するのが本当に適当なのかどうかなあというふうにさえ思ってしまうぐらいであります。まあ、ぜひ知事におかれましては、一見をしていただきたいなというふうに思います。
 また、ここは住宅街でありますし、また被害が2度目であるということも加えて、ぜひしっかりとした越波対策をこれからも進めていただきたいなというふうに思います。これは強く要望さしていただきたいなというふうに思います。
 続けて、大項目の2として、太陽光発電設備の普及に伴う対応について、これは2点にわたり質問をいたします。
 まず、小項目の1、条例制定後の状況についてであります。
 皆さん御承知のとおり、2011年に発生した東日本大震災を契機に、再生可能エネルギーの必要性が高まりを見せました。国においては、温室効果ガスの削減やエネルギーの自給率向上を目的に、電力の固定価格買取制度を創設し、太陽光や風力、水力、バイオマス発電等、再生可能エネルギーによる電力供給量の拡大が図られてまいりました。本県におきましても、国のエネルギー政策にのっとり、再生可能エネルギーの活用推進に努めており、特に太陽光発電は、豊富な日照時間など本県が持つ自然資源を生かせることから、その普及に努めているところであります。
 こうした中、近年においては、太陽光発電設備が急速に増加しているところでありますが、一方で、太陽光発電事業の実施による大規模な森林伐採や土地の造成等により、土砂災害の発生、自然環境や生活環境並びに景観等の環境に及ぼす影響が懸念されております。また、地域住民や関係者への事前の説明不足、あるいは説明すら行われないまま事業が実施され、トラブルが発生する事例も見受けられます。さらに、設置場所や施設の規模等によっては、法が適用されず、安全性の確認ができない場合もあると伺っております。
 こうしたことから、本県におきましては、平成30年2月議会において、安全性等を総合的に管理する太陽光発電事業の実施に関する条例を定めたところであります。改めて、申しわけありませんが、この条例の概要を申し上げますと、対象となる設備は合計出力50キロワット以上とし、建築物の屋上等に設置されるものは除くとされております。また、対象となる太陽光発電事業を実施しようとするときは、自治体との協議や地元説明を通じて意見等を聞くなど、適切なコミュニケーションを図りつつ、太陽光発電設備の設置、維持管理及び廃止を適切に行うための事業計画を作成し、知事の認定を受けなければなりません。さらに、認定後の手続として、土地の造成、設備の設置、事業区域や設備の維持管理、事業の廃止等、事業計画に従い適切な実施を義務づけるとともに、事業計画の内容に反した事業を行った場合は、命令や認定取り消しの対象となっております。大筋はこうであります。
 本条例に対し、知事は、本条例はこれまで行っていたさまざまな問題を一挙に解決し得る画期的なものである、運用に当たる担当部局の職員は大変だと思うが、正しいルールに従って、住民や環境と仲よしの太陽光発電を進めていくためには、これがむしろ近道だと思っていると申されております。
 そこで、この条例は、6月22日に全面施行されたばかりでありますが、小項目の1として条例制定後の状況について、環境生活部長にお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(岸本 健君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例制定後の状況についてでございますが、県内外の事業者から多数の問い合わせがあり、現時点で二つの事業について、条例に基づく協議に着手しているところです。また、他県の行政担当者から先進事例として条例制定の経緯や考え方等について問い合わせがあり、全国的にも反響が大きい状況となっております。
 条例制定の効果につきましては、全面施行されてからの期間が短いことから十分に分析はできていませんが、条例施行により、事業者はより慎重に事業計画を検討しているのではないかと考えているところです。
○副議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 続いて、小項目の2、50キロワット未満の太陽光発電設備に対する現状認識とその対応についてであります。
 先ほども申し上げたとおり、本県の太陽光発電事業の実施に関する条例が、この6月22日に本格施行いたしましたが、いまだに太陽光パネルの設置について不安視されている住民は多数おられます。
 具体的な事例を申し上げますと、まず、本条例の対象とならない合計出力が50キロワット未満の太陽光発電設備の設置について、地域住民との間で適切かつ十分なコミュニケーションが図られることなく行われている状況があります。
 また、2014年に経済産業省省令が改正され、本来、高圧接続する大規模な太陽光発電設備を設置する敷地がありながら、低圧で接続する50キロワット未満の小規模な太陽光発電設備に分割して故意に複数設置する低圧敷地分割が禁止になりましたが、地域によりましては系統連系制約というのがあって、それによってそもそも高圧接続ができない土地があります。故意かどうかは別にして、そうした土地においては、小規模な設備を複数設置するケースがあるとも伺っております。さらに、急傾斜地や山林の斜面を削っての太陽光パネルの設置は、たとえ50キロワット未満の発電設備だとしても、危険を伴うとともに、特に本県では世界遺産にふさわしい景観を損なうことにつながるのではないかと危惧する声もあります。
 豊富な日照時間など、本県が有する自然環境を生かすことができる太陽光発電事業を促進することについては十分理解するところでありますが、今申し上げたような住民の声がある中、50キロワット未満の太陽光発電設備に対する実情について当局はどのように認識をされているのか。また、立地地域でのトラブルや山林伐採による自然破壊、事業終了後のパネル放置に係る懸念等、住民の不安を払拭し、安全・安心な住民生活の確保や景観保全を図るためにも、50キロワット以上の大規模事業の規制のみならず、50キロワット未満の設備をもその対象として設置ルールを明確にするなど、何らかの対応が必要ではないかと、このように考えます。
 あわせて、ここで小項目の2として、50キロワット未満の太陽光発電設備に対する現状認識と対応について、環境生活部長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(岸本 健君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 条例は、太陽光発電事業のうち森林等を大規模に開発するものについて、防災上の問題や景観面での悪影響が懸念されることから制定したもので、内容は異なりますが、都道府県レベルで同様の条例を制定しているのは、本県と兵庫県のみとなっております。
 本県条例では、電気事業法で事業用電気工作物に分類されている出力50キロワット以上の太陽光発電設備を対象としており、面積にすると500から1000平方メートル程度と、兵庫県条例の5000平方メートルと比べても、かなり規模の小さなものまで対象としております。
 議員御質問の条例の対象とならない出力50キロワット未満の小規模太陽光発電設備については、つい先日、県内の自治体から、事業者と地域住民のコミュニケーション不足から住民に不安が広がっており、状況改善のため独自の条例制定を検討しているので助言等の協力をお願いしたいとの要望があったところです。こういった不安の声があることにつきましては、他の自治体からも相談を受けており、県としても認識をしておりますが、それぞれ地域固有の事情があることから、県下一律の対応は難しいと考えております。
 今後、市町村が地域の実情に応じた対応を検討する場合には、適切に助言、協力してまいりたいと考えております。
○副議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 御答弁をいただきました。
 私が地域の方々とお話をする中では、さらに事業がうまくいかなかったとき、設備をそのまま放置されるのではないかといった心配の声が多くあります。発電事業終了後の設備については、法令において一定の放置対策が講じられてはいますが、実際には廃棄費用を積み立てていない事業者は半数以上に上ると伺っております。
 そういった中、県において、国に対し、廃棄費用の積み立てを担保する仕組みとして法整備を求めていただいているところでありますが、引き続き、より積極的な働きを行っていただきたいと、このように思います。
 続いて、大項目の3点目として、救急医療体制の充実について、3点にわたり質問を行います。
 まず、小項目の1、ドクターヘリ運航の状況についてであります。
 現在、日本では、事故でけがをしたり急病になったりした場合、救急車を呼んで傷病者を病院に搬送することが一般的であります。全国では、平成29年時点で6200台を超える救急車が配備されており、634万件の出動で574万人を搬送しております。
 救急車の出動については、同じ人が何回も救急車を呼ぶ頻回利用や軽症の人が救急車を呼ぶ軽症利用の問題が指摘され、また、病院をたらい回しにされるといった懸案も発生をいたしております。さらに、救急隊員の行える処置には限りがあるため、必要な医療行為を行えず、搬送中に患者の容体が悪化する場合や、大災害や事故等によって救急車が立ち入れず、患者を救えないといった事案もふえております。こうした状況を少しでも減らし、急を要する患者をより多く救おうと誕生したのがドクターヘリであります。
 このドクターヘリは、地形特性や交通事情にとらわれない迅速な傷病者搬送手段であるとともに、救急の専門医師や看護師が現場で治療を開始することで、救急搬送時間の短縮による救命率の向上や後遺症の軽減、僻地における救急医療体制の強化、災害時の医療救護活動の充実を目的としております。
 本県においては、平成15年に全国で何とこれ7番目、国公立大学病院では初となるドクターヘリを県立医科大学に導入をし、奈良県、三重県を含めた3県による合同運用や、新生児・母体搬送、消防無線の搭載等、先駆的な取り組みを行ってまいりました。
 ドクターヘリは、出動の際には操縦席に操縦士と整備士、後部に医師と看護師が搭乗することになっており、医大から約100キロメートル先の新宮市まで、離着陸も含め30分ほどで到着することから、一刻も早い初期治療が必要とされる重症患者に対し、市街地から遠く離れた山間部であっても早期に医師が駆けつけられるようになりました。
 また、運航範囲が半径100キロメートル圏という広域運航の影響を鑑み、関西広域連合及び三重県と、さらに有田川町以北の地域は大阪府及び徳島県と、日高・西牟婁地域においては徳島県と、東牟婁地域は三重県と相互応援協定を結び、重複要請に対応するなど、セーフティーネットの構築にも積極的な取り組みが行われております。
 加えて、救急患者の救命のみならず、平成23年9月の台風第12号による紀伊半島大水害時においても、被災地へDMATの投入や土砂崩れで孤立した集落へ20回以上出動するなど、災害時における救援活動にも大きく貢献したことは、皆さん御承知のとおりであります。
 このように、ドクターヘリは、導入後、県民の生命を守るため、さまざまな場面ですぐれた救命効果をもたらしてきたものと認識するところであります。
 ここで、ドクターヘリの運航状況について、福祉保健部長にお伺いいたします。
○副議長(岸本 健君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) ドクターヘリの運航状況につきましては、現在、5月から8月までは午前8時から午後6時まで、それ以外の期間は午前8時から午後5時まで運航しており、平成27年度以降は年間400回以上出動し、これまで約5800回の出動実績を誇り、多数の救急患者の救命に貢献しております。
 なお、関西広域連合や三重県との相互応援体制を構築してきた結果、これらの府県から現在まで約50回の応援をいただき、重複要請にも対応しているところです。
○副議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 御答弁ありがとうございました。
 続いて、小項目の2、ドクターヘリの運航の充実についてであります。
 全国的な高齢化の進行はもとより、特に本県におきましては、大地震に起因する大規模災害発生への対応、並びに熊野三山や参詣道等の世界遺産を訪れる観光客の増加を背景として、ドクターヘリが担う役割はこれまで以上に重要性が増しております。
 そのドクターヘリの運航時間については、航空法に基づき有視界飛行が確保できることを条件に設定されており、先ほどの部長答弁にもありましたが、5月から8月の4カ月間は午前8時から午後6時までで、それ以外の8カ月間は午前8時から午後5時までとなっております。
 夜間飛行につきましては全国的に例がなく、その実施に当たっては、騒音に対する近隣住民の理解を初め、計器飛行が可能な機体の確保やライセンスの取得、また、運航時間延長に伴うパイロットやフライトドクター、フライトナースのさらなる確保、ランデブーポイントにおける夜間照明設備の整備など、さまざまな課題が挙げられております。いずれも、解決には時間を要する困難な課題であると理解をしておりますが、言うまでもなく救急患者への対応は一刻を争うものであります。
 特に本県では、救急指定病院から遠く離れた山間地域などで暮らしている方が非常に数多くいらっしゃいますし、実際に、夜間の救急事案に何とか対応してほしいという切実な願いもあります。ドクターヘリの運航時間について、何か1歩でも2歩でも前に進めていただきたいと強く思っているところであります。
 そこで、小項目2、ドクターヘリ運航の充実に向けた取り組みについて、知事の御見解をお伺いいたします。
○副議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県民の命を守る救急医療体制の充実は非常に重要だと認識しておりまして、山間僻地を多く抱える本県の地理的状況を鑑みると、ドクターヘリが持つ機動力と、そのすぐれた救命効果に着目し、運航の充実を図っているところでございます。
 しかしながら、夜間飛行については、議員御指摘のとおり、住民の理解や基地病院の体制、夜間照明の整備に加え、現状では安全性の確保が最も難しい課題であると認識しております。
 そのような中、少しでもドクターヘリの運航時間を延長するために、和歌山県立医科大学附属病院の屋上ヘリポートに照明設備を設置し、安全性を確保しながら、パイロットが目視で飛行できる、ぎりぎりの日没直後の薄暮時間帯の着陸を可能にしていくようにしたいと思っております。特に夕方は、地上ですが交通量が増加し、交通事故による救急搬送が最も多い時間帯でございまして、しかも、交通渋滞により搬送時間が長くなる時間帯でもあります。よって、ドクターヘリの薄暮時間帯の着陸を可能にすることは、より多くの患者の救命につながると考えます。
 また、ドクターヘリの県内における離着陸の場所については、運航開始当初48カ所であったんですが、今は400カ所に増設されております。救急患者に対して、より早く対応できる環境を整えているところです。加えて、相互応援体制につきましては、御指摘のものに加えまして、今年度中に奈良県とも協定を結び、現行のセーフティーネットをさらに充実しようと考えております。
 今後も、救急医療体制のさらなる充実に向け、ドクターヘリの運航を初め、遠隔救急支援システムの活用や救急医の確保など、さまざまな取り組みを行っていく所存であります。
○副議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 知事から御答弁をいただきました。
 パイロットが目視で飛行できるぎりぎりの日没直後の薄暮時間帯の着陸を可能にし、運航時間を延長するとの答弁がありました。確かに夕方は、帰宅時により交通量が増加をし、同時に交通事故の発生が多いことから、たとえわずかな運航時間の延長であっても、効果が見込めるものと私も考えております。
 しかしながら、ドクターヘリの要請は、何もこの時間帯に限ったものではなく、また、交通事故に限ったものではありません。そうした意味におきまして、今後もぜひドクターヘリの夜間運航の実現に向けて、困難な課題も非常に多くあるとは思いますが、引き続いてさまざまな取り組みを行っていただきたいと、このように思います。要望といたします。
 最後に、小項目の3点目、消防ヘリの救急活動におけるドクターヘリとの連携についてであります。
 本県におきましては、道路や鉄道の壊滅により救助活動が困難となった阪神・淡路大震災を教訓として、平成7年10月、広域的かつ機動的な活動ができる県防災ヘリコプター「きしゅう」を導入いたしました。南紀白浜空港内にある県防災航空センターを拠点として、平成8年3月9日から防災ヘリの運航を開始し、日の出から日没までと運航時間を定めております。
 防災ヘリは、救助・救急資機材・空中消火の装置を備え、救助活動、救急活動、山林火災等の消火活動などに対応しているところですが、運航開始より昨年度までの22年間で1524回の救急運航を行っており、そのうち700回が救助活動による出動実績となっております。また、防災ヘリによる救急搬送は、ドクターヘリの出動要請が重複した場合や離着陸が困難な場所への出動など、限定的に実施されている中、平成29年度においては、山村地域などからの救急患者の搬送を計32回行っております。
 申し上げるまでもなく、防災ヘリ、ドクターヘリは、おのおのの役割に応じて自己完結的に活動することがあくまで基本であり、そういった意味からも、救急搬送の充実は、本来ドクターヘリによって行われなければならないものと一定の理解もいたしております。
 しかしながら、ドクターヘリの拠点は紀北であることに加え、県内では1機のみの設置であることから、また、相互応援体制はもとより、白浜を拠点とする防災ヘリとの協働は、災害時以外においても非常に重要なことであるとも考えております。
 また、先ほどの項で取り上げた夜間運航につきましては、ドクターヘリにはその機能が備わっておらず、実施が非常に困難な状況であり、また一方、防災ヘリによる救急搬送においては、その機能が備わってはいるものの、他のさまざまな理由から、原則、夜間運航は行われていない状況にあります。
 こうした中において、本県における救急医療の充実をより一層図るためには、これまで以上に防災ヘリ、ドクターヘリそれぞれの特徴を最大限に生かした積極的な搬送体制の構築が求められているものと認識をいたしております。
 そこで、防災ヘリの運航にかかわって、ドクターヘリと防災ヘリの連携による救急医療の充実について、その御見解を知事にお伺いいたします。
○副議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 防災ヘリとドクターヘリとの連携につきましては、県下17消防本部が傷病者の状態や発生場所、天候等の情報から総合的に判断し、ドクターヘリまたは防災ヘリに出動要請を行っているところでございます。
 具体的には、ホイスト等による救助が必要な場合や、ドクターヘリが別事案に対応中の場合、県外の高度医療機関に搬送する場合──これは航続距離が問題でございます──ドクターヘリが天候等により飛行できない場合等に、防災ヘリによる救急搬送活動を行っております。
 また、傷病者の救命効果の向上を図るため、平成19年度から、国立病院機構南和歌山医療センターとの協定によりまして、医師や看護師が防災ヘリに搭乗し、救助現場到着後、直ちに傷病者の治療、処置を行える医師等同乗救助活動も実施しております。一部の医師に関しましては、そのまま着陸をしないで医師が地上におりるというようなことも訓練をしていただいております。
 さらに、南海トラフ地震等の大規模災害発生時における防災体制の充実のため、夜間にも安全に離発着可能なヘリポートの確保に向けて夜間照明設備の設置を促進していくこととしておりまして、このことはドクターヘリや防災ヘリの運航時間の延長にもなることから、県の救急医療体制の充実につながるものと考えております。
○副議長(岸本 健君) 鈴木太雄君。
  〔鈴木太雄君、登壇〕
○鈴木太雄君 御答弁をいただきました。
 今議会において、防災ヘリの取得についてが議案に盛り込まれております。防災ヘリの役割は、災害発生時における情報収集を初め、事故等における人命救助や山林火災時等における消火活動など、県民のとうとい生命や財産を空から守るものであり、今後、さらに防災活動の充実が図られることを期待するところであります。
 また、それに加え、るる申し上げたとおり、県民が今まさに求めている救急医療体制の充実に向けて、これまで以上に積極的な取り組みが行われることを期待し、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(岸本 健君) 以上で、鈴木太雄君の質問が終了いたしました。

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