平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号


平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(秋月史成議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)
○秋月史成君 本日5番目、最終登壇者となります。皆様方、大変お疲れでしょうが、最後までおつき合いいただきますことをお願い申し上げます。
 それでは、議長の許可をいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。
 平成29年3月3日、平成29年2月定例県議会において私が行った県内の若者の人口流出を防ぐための具体的な施策についての質問に対し、仁坂知事の答弁では、安定した社会を構築するためには和歌山を支える担い手を将来にわたって確保していくことが必須であり、若者の県外流出に一定の歯どめをかけることは極めて重要であると認識している、若者の流出を防ぐためには働く場所をふやすということが必要であり、また県内産業の競争力を高めていかなければならない、和歌山には自分が行っていいと思うような企業やさまざまな仕事があるということを知らないまま県外に転出してしまうことのないよう、若者の成長段階に応じた切れ目のない施策を展開してまいりたい、和歌山で働くことのよさを知ってもらうとともに、学校での地元企業説明会など、高等学校と企業が連携した取り組みを強化していっている、県内就職を促進するため、本県出身の県内外の学生全員に対して県内企業の求人情報を集中的に発信し、確実に本人に届けるとともに、インターンシップや就職フェアなど、県内企業との出会いの場を充実していきたい、また、大学生も県内で勉強できるようになればそれにこしたことはない、現在、県立医科大学薬学部を初め3大学が開学に向けての諸準備を進めており、こういうことも少しずつ効いてくると、一部抜粋ではありますが、このように御答弁なされました。
 私の愚息が大学に在籍した際に、保護者向けのキャリア教育のセミナーを受講いたしました。その際、私と同じ保護者世代は、高校を卒業して専門学校、大学への進学率は40%を切る数字でしたが、現在では60%程度と高い進学率と聞かされました。私も、県教育委員会に対するPTAの高校の進学定員の維持及び拡充の要望活動に毎年立ち会わせていただいてはおりますが、普通科、総合学科への進学希望の生徒が多く、実業科への進学を希望する中学生が少なくなっている傾向にあると聞かされております。普通科、総合学科を卒業した後に自分の適性や希望を決め、専門学校や大学へ進学する生徒がふえているようです。
 今現在、和歌山県では3大学及び新設学部の開学に向け順調に準備が進んでおり、県内で学ぶ学生がふえつつある傾向にあると思われます。しかし、県内では、職業訓練及び資格を取得できる専門学校は少なく感じます。その中でも、特に和歌山県の経済を支える県内での職業訓練を行う専門学校の充実は必要であると思われます。
 そこで、知事にお聞きいたします。
 和歌山県内での職業訓練の中核を担う県立産業技術専門学院での職業訓練についての認識をお聞かせください。
○議長(藤山将材君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県では、職業訓練を通じた県内の産業人材の育成指針となる職業能力開発計画を5年ごとに策定しており、直近では平成28年度末に、平成29年度から今後5カ年間の方向性を示す第10次和歌山県職業能力開発計画を策定し、現在はその計画に基づき、職業訓練の中核施設である和歌山及び田辺産業技術専門学院のハード・ソフト両面からの整備を行い、職業訓練の充実を図っているところでございます。
 実は、こうして5年間に1度見直しをしてるんですけれども、今回は特に大幅にいたしました。ニーズがどんどん変わってきてるのと、それから議員御指摘のように、この職業訓練というのは大変意義のあるもんでございますので、中身の充実と、それから地域別の分配ですね、それについて大幅にやり直しをしたわけでございます。
 具体的には、物づくり分野やICT分野を支える人材育成のために、時代ニーズに即した訓練科とすべく、和歌山産業技術専門学院では、昨年度からデジタル物づくり訓練を強化するための機器を順次整備し、田辺産業技術専門学院では、本年4月から、県立情報交流センターBIG・U内に情報システム科を開設。また、両学院に共通する自動車工学科については、今年度に和歌山で、31年度には田辺において、募集定員を各5名ずつふやしまして、自動車整備士の確保を図ることとしております。
 このように県立産業技術専門学院を機能強化するとともに、県内の職業訓練については、国の独立行政法人であるポリテクセンターとも補完、連携をしながら取り組んでいるところであります。
 私としては、職業訓練の中核施設である両学院での職業訓練の充実は、地域特性に応じた産業で活躍できる若年人材の育成や技能の伝承という観点から非常に重要であると考えております。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 現在、仁坂知事より、職業訓練の中核施設である和歌山、田辺の両学院の充実は、地域に応じた産業で活躍できる若年人材の育成や技能の伝承という観点から非常に重要であるという御答弁をいただきました。仁坂知事、激励の意味も込めまして、両学院を視察していただければと思います。
 次の質問に移ります。
 本年7月19日に、和歌山市小倉にあります和歌山県立和歌山産業技術専門学院を視察いたしました。
 昭和21年8月に、和歌山市湊葵町に財団法人職業補導協会和歌山支部が和歌山建築木工技術補導所として設置、その後、たび重なる変革を遂げ、現在、自動車工学科、理容科、メカトロニクス・CAD科、建築工学科、デザイン木工科、総合実務科の6学科を学ぶ生徒が集う学院となっております。
 当日は、学院長、副学院長に学院についての説明を受け、その後、実習風景を見学させていただきました。自動車工学科では、私の中学時代の同級生である職業訓練指導員とも久しぶりに再会をし、実習風景の詳細にわたる説明を受けました。私個人的な感情となりますが、この生徒たちに将来和歌山県の産業界を支えてもらうのかと思うと、万感胸に迫る思いが去来いたしました。
 しかし、その実習施設も老朽化しており、充実した教育施設とはほど遠い施設であると思われます。私の家業が自動車整備工場及び自動車車体整備工場ということもあり、自動車工学科に絞って御説明したいと思います。
 自動車工学科実習棟は、採光も不十分で薄暗く、整備をする実習生の手元も暗く、十分に作業することはできません。また、実習する設備も古く、複雑高度化する現在の自動車に対応できるものとは決して言えません。他府県にある自動車整備の専門校と比べると、その設備、実習施設は陳腐としか言いようがない内容であります。
 生徒個人の能力、指導員の指導力は別にして、この学院で学んだ生徒を受け入れる業界の経営者の1人として、慎重にならざるを得ないと思います。もし私の愚息が私の会社を承継すると考えたとき、技術、資格を取得するため専門学校に進学させると考えたとき、あの実習棟や設備内容を考えたとき、進学先として選択することはないと思います。学費はかなり高額でも、他府県の自動車整備専門学校を進学先として選択することは明白であります。
 知事がよくおっしゃる「他府県の大学等へ進学した場合、その周辺で就職先を求める傾向にある」というお言葉のとおり、専門学校でも同じことが言えるのではないかと思われます。
 昭和40年に和歌山市小倉に新設されたこの学院も52年が経過し、施設、設備の抜本的な更新が必要となる時期ではないかと思われますが、いかがお考えでしょうか。商工観光労働部長にお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 和歌山産業技術専門学院の老朽化については、御指摘のとおり、本館を初め自動車工学科の訓練場である第1実習場は、築後50年以上を経過しており、第10次和歌山県職業能力開発計画においても、自動車実習場の建てかえを検討することとしております。
 また、平成28年度に策定した和歌山県公共施設等総合管理計画において、県有の公共建築物の整備については、各施設の個別施設計画を平成32年度までに策定することとなっており、よりよい施設として整備できるよう、関係機関と協議しながら取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 「よりよい施設として整備できるよう、関係機関と協議しながら取り組んでまいります」と、大変前向きな御答弁をいただきました。
 学院長、副学院長、職業訓練指導員の皆様も、未来の和歌山県の産業界を担う生徒を懸命に指導しております。生徒も生徒で、一生懸命技術を学ぶため努力しております。一刻も早い訓練環境の改善をお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 平成28年9月議会において、私が中小零細企業の事業承継についての一般質問を行い、現在、和歌山県では、和歌山県事業承継ネットワーク及び和歌山県事業引継ぎ支援センターを設置し、県内企業の事業承継についての施策に取り組んでおられます。
 私、実は以前、三つの会社の事業承継にかかわった経験がございます。一つは父から引き継いだ私の会社、もう一つは私が現在も大変お世話になっております大阪の自動車車体整備工場、もう一つは地元建設会社の事業承継であります。
 私の会社は親族間の事業承継であり、比較的スムーズに承継され、現在も維持継承されております。大阪の自動車車体整備工場は、一旦は大手カー用品販売店に売却がほぼ決まっておりましたが、最終段階になり頓挫し、ワックス等を製造、販売するケミカル会社に売却されました。地元建設会社は、当時の社長と先輩、後輩ということもあり、いろいろ御相談に乗らせていただいた経験がございます。最終的には兵庫県の会社に売却し、事業承継を行い、現在も営業を続けております。2社とも以前の経営者はハッピーリタイアを迎え、社員の雇用も確保され、順調に新しい船出を送っております。
 私の経験では、以前の経営者は、後継ぎがいない会社の売却を決意した際、その売却先探しに相当な御苦労をなさったことを目の当たりにしております。売却先が見つかり、条件面での交渉や社員の雇用等を含めた心労は大変なものだったと、そばで見ていて感じました。
 県内中小零細企業での事業承継を円滑に行うには、士業と呼ばれる税理士、弁護士の協力と、和歌山県事業引継ぎ支援センターのさらなる充実及びデータベースを拡充することが必要と思いますが、お考えをお聞かせください。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 中小企業の事業承継問題についてですが、国においては、今後10年間を事業承継に対する集中取り組み期間と位置づけ、事業承継税制の抜本的拡充などの支援が講じられております。
 県におきましても、県融資制度における事業承継枠の創設や事業承継対策の必要性を啓発するセミナーを開催するとともに、本年7月には、県内の事業承継を円滑に進めるため、県や商工団体、士業団体などの支援機関で構成する和歌山県事業承継ネットワークを立ち上げました。
 議員御指摘のとおり、事業承継を進めるに当たっては、税理士など士業の役割が重要となりますので、このネットワークを活用し、協力しながら事業承継問題に取り組んでまいります。
 次に、和歌山県事業引継ぎ支援センターの充実についてですが、センターでは本年4月より人員が増強され、さらに、事業承継ネットワークの事務局がセンターと同じ和歌山商工会議所に設置されることにより、事業承継問題にワンストップで対応できる体制が整備され、機能の充実が図られました。
 続きまして、データベースの拡充についてですが、事業引継ぎ支援センターでは全国のセンターが情報を登録する国のデータベースを利用するとともに、事業引き継ぎを手がける民間企業と連携し、守秘義務契約を締結した上で情報をやりとりするなどマッチングに取り組んでおり、また、事業承継ネットワークでは、構成する支援機関が今年度2000件を目標に事業者に早期の気づきや取り組みを促すための事業承継診断を実施し、案件の掘り起こしを行っています。
 県といたしましても、事業承継に当たっては、データベースの拡充は必要と考えており、これらの取り組みを踏まえ、県内企業の事業承継を推進してまいります。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 事業承継は、今後ますます重要になってまいります。私の体験からいいますと、私の父から私に引き継ぐ、比較的容易に思われる親族間の事業承継でも、さまざまな事情で10年近く時間を要しました。それが親族外の事業承継になりますと、さらに難易度が増します。
 和歌山県の経済の地盤沈下を起こさせないためにも、引き続き力強い事業承継施策を推進していただきますことをお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 教職員の政治行為についてお聞きいたします。
 そもそも、国家公務員、教育公務員を含めた地方公務員は、政治活動及び選挙運動等の行為が制限されるという認識を私は持っておりますが、教育公務員については関係法令ではどのようになっているのでしょうか、お聞かせください。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 教員につきましては、教育基本法第14条第2項において「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」と規定されております。また、教育公務員の職務と責任の特殊性により、教育公務員特例法において、公立学校の教育公務員の政治的行為の制限は、国家公務員の例によることとされ、人事院規則で定められた政治的行為が禁止されております。
 さらに、公職選挙法においても、教育者の地位利用の選挙運動の禁止等について特別の定めがなされております。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 次の質問に移ります。
 本年のメーデーでは、和歌山県教職員組合の車両が看板を堂々と掲げ、デモ行進を行っておりました。車種は日産キャラバン、自動車の形式でいうと25系と呼ばれる形式の車両であります。
 本年7月に行われた和歌山市長選の告示前に、事務所横で和歌山県教職員組合の車両、車種、形式、車体色、登録番号も同一の車両が街宣車として、和歌山県教職員組合の看板が目隠しされ作製されております。車種、形式、車体色、登録番号も同一で、和歌山県教職員組合の車両というのは一目瞭然であります。和歌山市長選挙の際にその車両が使用され、張られた看板、車種、登録番号、スピーカーの形を見ますと和歌山県教職員組合の車両であることは明白であり、私に情報を提供いただいた方からも和歌山県教職員組合の車両だったとお聞きしております。
 主たる構成員が和歌山県の教職員である和歌山県教職員組合の車両が特定の候補者の街宣車として使用され、その車上では、候補者を初め、応援する国会議員が街頭演説を行っております。私の感覚では、その行為は、和歌山県教職員組合の街宣車が使用されているということは、教職員の政治活動及び選挙運動を制限した法令に抵触する行為であると感じますし、高い倫理観が必要とされる教育公務員の倫理にも問題があると思いますが、教育長の御所見をお聞かせください。
○議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 職員団体に関することにつきましては県教育委員会が判断することではございませんが、教員が法令に抵触する行為等を行った場合は処罰の対象となり、処分を含め厳正に対処する必要があると認識しております。
 教員は、教育公務員特例法等が適用されることから、政治的行為や選挙運動の制限についてしっかりと認識しておかなければならないと考えております。
 県教育委員会では、これまでも教員の政治的行為や選挙運動の制限等について、校長会等で各学校を指導しております。また、国政選挙等が行われる際には、改めて各学校に対して教職員等の選挙運動の禁止等に関する指導を行ってきております。
 さらに、選挙権を有する年齢が18歳以上になったこともあり、学校における政治的中立の確保については一層強く指導を行ってきたところです。
 今後も、機会あるごとに各学校を指導してまいります。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 教職員組合の街宣車使用で、和歌山市より遠く離れた上富田町まで「おかしいんじゃないの」と苦情の声が聞こえてまいりました。教職員が法令に抵触することのなきよう、指導をさらに強化願います。
 次の質問に移ります。
 平成30年8月24日、この日は、私にとりまして生涯忘れられぬ日になることでしょう。
 その日に私は、県庁にて打ち合わせのために早朝自宅を出発し、県庁に向かう予定でした。前日、紀伊半島を襲った台風20号の被害が私の会社になかったか、会社の窓ガラスが割れてはいなかったかなどの確認をするため、会社に出社いたしました。多分何もないだろうと軽い気持ちで会社を訪れたのですが、いつもと違った雰囲気。事務所の鍵をあけ事務所に入ると、全くいつもと違った風景。
 事務所の床は一面の泥だらけ、散乱した備品。一瞬何が起こったのかわからず、工場の中に入ると工場の床も同じく一面の泥だらけ。そのときやっと昨晩の台風の影響で会社が浸水したのだと理解が、遅まきながらできました。工場内を歩くと、散乱した工具やごみ箱等、見るも無残な光景でありました。浸水高さ約35センチから40センチほどの痕跡が残っておりました。
 私の会社は国道42号と311号が交差する上富田町岩崎交差点付近で、富田川と富田川支流の馬川が合流する地点約100メートル付近に所在いたします。平成23年に和歌山県全土を襲いました紀伊半島大水害でも浸水したことがなかった私の会社だったので、今回の台風20号での被害も恐らく何もないだろうと安易な気持ちを持っておりましたもので、今回の台風での社屋の浸水を受け入れるのに少し時間がかかったと記憶しております。
 状況が把握でき、会社を任せております家内と社員の出社を待つこと数分。出社した家内と社員に「スマホかデジカメで写真を撮っておくように」と指示し、議員としての職責を果たすため、自宅に帰り、防災服に着がえ、まずは上富田町役場に向かい、情報収集に努め、上富田町内を初め、私の選挙区でもある白浜町、すさみ町の各地域の災害現場確認及び災害のお見舞いに向かい、自分の会社に帰社したのは夕暮れ迫る時刻でありました。
 会社に帰ると、親戚や家内の友人が社員と一緒に会社の什器、備品等を社屋の外に出し、床の泥かきをし、懸命の清掃作業を行っておりました。そこで、やっと私の会社の被害の大きさを認識した次第であります。懸命に清掃する家内や社員ではありましたが、その絶望感あふれる表情を決して忘れることができません。まだ被害額は確定はできてはおりませんが、被害総額は数千万円にも上ることになると思われます。
 それにも増して頭が痛いのが、お客様からお預かりした車両の賠償問題であります。お盆休み明けで入庫車も多く、その車両の大半はフロアカーペット付近までの浸水ではありましたが、修理や代替をしなくてはならない車両が多く、経営者として大変頭の痛い問題が発生しております。
 経営が再開できるだろうか、会社を再開し、以前と同じように経済活動ができるのだろうか。一瞬ではありますが、倒産、廃業の2文字が私の脳裏をよぎりましたが、富士の演習場で実弾の下を匍匐前進する訓練を行い、また、それなりに修羅場をくぐった経験を持つ私でありますので、気を取り直し、会社の再開をかたく決意するのに長い時間を要することはありませんでした。
 今回、連続で和歌山県を襲った20号と21号の二つの台風ですが、20号は私の選挙区では水災、21号は風災だったと感じております。20号の水災は、私なりに被災した地域を視察分析、平成23年の紀伊半島大水害と比較したところ、紀伊半島大水害では豪雨が数日続き、各地に水害の大きな爪跡を残しましたが、今回の20号では、夕刻から明け方にかけて比較的短時間での豪雨であったため、富田川では富田川本川の水かさが一挙に上がり、支流の河川及び内水の流下能力が低下し、各所に氾濫、浸水したと分析しております。その証拠に、上富田町での浸水地域は田熊川付近、馬川付近、そして、白浜町では保呂地区、瀬田川付近の内ノ川地域、庄川付近等々、富田川と支流の河川が合流する付近が浸水したと分析しております。
 今年度、富田川河川整備計画がまとまり、来年度から約20年にわたり、富田川下流域から郵便橋上流1キロ付近までが整備区間と位置づけられており、現在工事の準備段階だとお聞きしておりますが、全ての整備が終わるまでに20年の月日を要する河川整備であります。富田川流域の住民にとりまして大変ありがたい整備計画ではありますが、近年、毎年のように起こる豪雨災害を考えますと、そんなに待てないというのが私を含めた住民感情であります。
 そこで質問です。
 今回のような富田川支流の河川及び富田川と接続する内水の緊急対策が必要だと考えますが、県当局の考えをお示しください。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 平成30年8月の台風第20号による豪雨によりまして、富田川沿川地域におきましては、上富田町の岩崎地区を初め、多くの地区で浸水被害が発生いたしました。これらの浸水被害につきましては、富田川本川の水位上昇に伴い、支川からの排水が困難となったことが主な原因と考えております。
 このため、緊急対応といたしまして、この台風20号の後に、支川合流部などの堆積土砂が見受けられる箇所におきまして河道掘削を実施したところでございます。
 富田川につきましては、秋月議員からも御指摘のとおり、平成30年6月に策定いたしました河川整備計画に基づきまして、平成23年9月の紀伊半島大水害と同規模の洪水に対し家屋の浸水被害が生じることのないよう、河道掘削や堤防の整備をおおむね20年間で実施することとしております。この河道掘削を進めることで富田川本川の水位低下が図られることから、馬川や庄川などの支川沿川の浸水被害の軽減が見込まれます。
 しかしながら、これらの整備には長期間を要することから、支川の排水に支障となります河川の樹木の伐採や土砂の撤去などの維持管理については、浸水が懸念される緊急性の高い箇所から適切に実施してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 今後とも、浸水被害の軽減に向けて、さまざまな機会を通じまして予算を確保しながら、早期整備に取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 議員当選以来、町当局、住民の皆様からの要望を受け、上富田町では馬川、岡川の上流域、根皆田川、白浜町に行きますと、庄川付近、その他の支川も堆積土砂の撤去及び護岸改修など、一遍にとはいきませんが、着実に実行していただき、県当局の皆様、西牟婁建設部の皆様には深く感謝する次第であります。
 河道掘削及び堆積土砂の撤去は渇水期に行わなくてはならず、工事時期も限られてまいります。私を初めとする住民は、自分の目の前の河川しか目をやらず、和歌山県全体を大所高所から見た場合、地域住民の希望どおりにはなかなか進まないのが現状だとは思います。しかし、あの絶望感を他の人に味わわせたくはない、もう二度と味わいたくはない、そんな思いで現在ここに立たせていただいております。引き続き、現在の御答弁を力強く迅速に実行していただきますことをお願いいたします。
 最後の質問に移ります。
 20号台風のもう一つの氾濫河川が日置川であります。富田川流域地区の現場確認を終えた後、紀勢自動車道に乗り、日置川インターチェンジでおり、県道日置川大塔線を上るルートで現場確認を行ってまいりました。
 まず、心配した田野井地区は目に見えた被害はなかったので、次の地域、口ケ谷地区に入ると、県道が冠水した様子で、地域の皆様が県道を塞ぐ樹木の撤去や泥かき作業を懸命に行っておりました。この口ケ谷地区は、豪雨や台風が襲来すると日置川が氾濫し、県道が冠水し、広範囲に田畑や家屋がたびたび浸水する地域であります。この地区を通る県道は日置川と平行しており、その道路位置も低く、長年の懸案事項であると地元の方からもよく聞かされております。
 それから上流域へと日置川右岸、左岸ともに視察してまいりました。私が現場確認した地域で特に大きな被害があったのは、先ほど述べさせていただいた口ケ谷地区、久木地区、玉伝地区であったように感じております。私の分析では、富田川は富田川支流の河川及び内水の氾濫、日置川は日置川本流の氾濫だったと思っております。
 平成29年2月定例会での私の県道日置川大塔線での質問に際し、当時の森戸県土整備部長は「県道日置川大塔線は、沿道集落の住民の生活道路としてだけではなく、紀勢自動車道日置川インターチェンジを初め、これまで整備してきた県道上富田すさみ線や県道市鹿野鮎川線などと連絡していることから、災害時における国道311号の代替機能などを有する主要な路線であると考えてございます」とお答えになっております。
 災害時における代替道路と位置づけられながら、豪雨、台風などの豪雨災害になると冠水し、時限的通行どめ、通行不能及び困難になるなど、災害時における国道311号線の代替機能が果たせない道路であります。
 災害時における代替機能を有する主要な路線と位置づけたのなら、豪雨での日置川本川の浸水対策を早急に行うべきだと考えますが、県当局のお考えをお聞かせください。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 日置川本川の浸水対策につきましてお尋ねをいただきました。
 日置川流域につきましても、平成30年8月の台風第20号によりまして、その豪雨により白浜町の口ケ谷地区を初め、多くの地区で浸水被害が発生いたしました。
 日置川におきましては、平成29年9月に河川整備計画を策定しており、平成23年9月紀伊半島大水害と同規模の洪水に対しまして家屋の浸水被害が生じることがないよう、本川の河道掘削や堤防の整備をおおむね20年間で進めることとしております。
 浸水被害の発生しております口ケ谷地区や田野井地区、これに効果がございます下流部の矢田地区での河道掘削に今年度着手いたしまして、推進する予定としてございます。
 日置川の整備につきましては、今後ともさまざまな機会を通じて予算を確保しまして、早期整備に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 日置川におきましても力強く迅速に整備を進めていただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。最後までおつき合いいただきましてありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時1分散会

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