平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号


平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(菅原博之議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕(拍手)
○菅原博之君 菅原でございます。本日4番目の登壇となりますが、まだ後に本日は秋月議員が控えておりますので、早速質問に入らしていただきます。
 まず、今回台風により被災された多くの皆様にお見舞い申し上げますとともに、関係機関におかれましては、復旧に向け奮闘努力いただいていることに敬意を表したいと思います。その上で、言うまでもなく、今後も被災者や被災された事業者に寄り添った対応をとっていただきますようお願いいたします。
 私は、5歳のときに第2室戸台風で同じような周辺の風景を経験しておりますが、その記憶は恐怖とともにわずかに今でも焼きついております。しかし、もう私の年代より若い方たちで長く和歌山市に住んでおられた方たちは、台風によるこういう被害や、これほどの広範囲で、しかも生活に支障が出るほどの期間での停電の経験というのは、今までなかったのではないでしょうか。そういう意味で、我々は今回の台風によって、電気があって当たり前、水道から水が出て当たり前の生活になれ切ったことに、自然の猛威を突きつけられたものであります。
 今回の台風では、屋根が崩れたり一部が飛んでしまったという被害も続出しております。このことからも、早いタイミングの避難を住民の方に強く意識していただくことが大変重要になっております。
 とりわけ、今回の台風では、マンション生活をされているお年寄りに大きく負荷がかかりました。停電により水道が使えなくなり、トイレが使用できない、エレベーターも使用できない状況は、高層のマンションでお年寄りにとって本当にお困りだったと聞いております。その点でも、事前の準備行動として風呂おけに水を張っていて事なきを得た方もおられます。自然災害が大規模化する昨今ですので、当局はこういうことも住民の方に今後呼びかけていただきたい。もう十分配慮されているんだと思うんですけども、こういうことも一層注意を呼びかけていただきたいと要望させていただきます。
 さて、大自然の猛威に対して、各所で甚大な被害を余儀なくされてしまっている中で、批判されるべきは、現代工法の粋を集めて建設されているはずの関西国際空港の第1滑走路が水没、空港内のターミナルにも水が浸入し、機能不全に陥ってしまったことであります。
 この埋め立てられた空港島は、もともと地盤沈下が続くことを想定に入れ、護岸の堤防をかさ上げされていたということでありますが、今回は高潮による波によって、その堤防をあっけなく越えられ浸水し、空港は使用不能となりました。おまけに、空港と対岸を結ぶ連絡橋にタンカーが衝突し、道路部分は片側の橋のみ、昨日まで鉄道部分は全面的に使用ができない状態となっておりました。
 恐らく人知を尽くしてもっと備えるべきであった現代建築や土木の粋があっけなく壊れて機能不全に陥ってしまったことは、自然の猛威というよりは、知事も県ホームページのメッセージに想像力について書いておられますが、この場合も、その立場、立場でのキーマンの想像力不足と言わざるを得ないのではないでしょうか。
 本県でも越波による被害が出ていることから、今後の戒めとしなければなりません。また、このことは本県にとって大変大きな影響を及ぼしているのではないかと心配しております。
 関西国際空港の台風被災による本県観光への影響をどう見ているのか。商工観光労働部長にお尋ねしたいと思います。
○議長(藤山将材君) ただいまの菅原博之君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 関西国際空港は本県の観光の重要な玄関口であり、台風21号の被災による関西国際空港の利用制限により、国内外からの誘客に大きな影響が出ています。
 インバウンドのお客様が多く利用する白浜町と那智勝浦町の宿泊施設に問い合わせたところ、台風21号の影響による外国人宿泊客のキャンセル数が9月14日時点で、それぞれの宿泊施設において約600人、約780人に上っている状況です。
 関西国際空港の早期復旧については、関係機関が一丸となって取り組んでいるところでありますが、県としましては、既に最新の情報を国内外のメディア、旅行会社や現地プロモーター等にメールでお知らせするとともに、ウエブサイトやSNSに掲示し、広く周知を行っております。また、今後はこれらに加え、国内外からの誘客を図るプロモーションなどの取り組みを積極的に進めてまいります。
○議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 数字としてこの関西国際空港閉鎖の影響を調べるのが難しくて、やむを得ず観光の担当課にお願いして、わかる範囲で聞き取っていただいたものですから、限定的なデータですが、和歌山県全体でもかなり大きな影響が避けられないということだと思います。
 関西国際空港発着便の相当数は伊丹空港や神戸空港に振り分けるという対応が決まっておりますが、やはり中部空港や成田空港に変更される利用客がかなり出てくるのではないかと思っております。観光においては訪問地の変更も十分考えられる距離の違いが出てきますので、本県の観光にとって大変気になるところであります。
 今後、本県における交通インフラを考えたときに、空路にしろ、鉄道にしろ、大阪を経由するわけでありますが、今後の大きなトレンドは関西国際空港を中心とした空路、そして、新大阪を起点にした新幹線に集約されるわけでありますが、御承知のように、2037年からは、東京─大阪間でリニア中央新幹線の開業が計画されております。このリニア中央新幹線は、まず2027年に東京─名古屋間を開業させることになっており、既に相当の工事が着々と進められておりますが、東京─大阪開業予定の2037年までのこの19年間に、和歌山県はするべき重要なことがあります。
 それは、リニア中央新幹線大阪駅への四国新幹線乗り入れを実現することであります。そして、四国新幹線の和歌山市乗り入れで、関西国際空港との複眼的な交通インフラを確立する貴重な時間がこの19年間と考えております。複眼的と申しますのは、つまりリニア中央新幹線の東京─大阪間はほぼ1時間と試算されておりますので、航空機の東京─大阪間と同じ所要時間となります。
 しかし、むしろ航空機は搭乗の30分前に手続を済ませるのがルールですので、航空機のほうが30分余計にかかるわけです。その上、リニア中央新幹線は都心に直結した地点に到着しますので、後の移動が早いことなどを考えると、合計で1時間ほどリニアのほうが短縮できるということになってまいります。もちろん、関西国際空港のほうがリニア中央新幹線の大阪駅より距離は近いのですが、それは和歌山県から見た場合で、本県以外の多くの利用者にとっては必ずしもそうではありません。
 こういった観点から見ていくと、リニア中央新幹線東京─大阪間開業後は、徐々に関西国際空港の東京─大阪間の便数は減少し、東京─大阪間はLCCや貨物輸送が主体となると考えるべきではないでしょうか。
 ここで、四国新幹線の大阪乗り入れが実現しているかいないかは、本県にとって大きな問題となります。和歌山県以外の関西圏では、総じてリニア開通で大きな利便性を享受できるのに対して、本県では、リニア中央新幹線を利用しても大阪までの交通インフラが現在のままでは、単純に時間の短縮にはなりません。
 さきの6月議会で、同僚議員の質問に対する仁坂知事の御答弁で四国新幹線の実現に向けた知事の意欲をお伺いいたしましたし、本年5月18日、和歌山県民文化会館において、シンポジウム「未来を創る交通インフラ~国土の強靱化と紀淡海峡ルート・四国新幹線を考える~」も開催され、先を見据えた四国新幹線計画の成就に向けた空気醸成に努める知事の御努力を感じるところでございますが、私はそのシンポジウムを拝見いたしまして、今思っていることでございますが、新幹線は空港連絡橋を渡らないほうがよいのではないか。そのほうが計画を格上げしやすいということがあるのでしょうが、空港島は今後も地盤沈下を続けることが想定され、今までも強風が吹くとたびたび連絡橋が渡れなくなっております。交通の複眼化という視点で見た場合は、関空島には入らないほうがよいと考えております。
 ただ、まだとてもそういう議論ができるタイミングのときではないと思っておりますけども、そのシンポジウムでは、財源について、例えば京都大学大学院の藤井聡教授から地方自治体が一定程度負担する方法や、飯泉徳島県知事からも財政投融資も一案といった御趣旨の意見が出されました。藤井教授から、関係の自治体が事業費の一定程度負担を行って事業化した場合も、確実に地元は元がとれておつりが来るとのお話もあり、先生の言う新幹線に関する前提条件が整えば、和歌山市を経由した場合の地域の経済成長は153%に上るとの試算が教授から発表されたことは大きな希望であります。
 そこで質問ですが、このシンポジウム開催機関の座長として、これらの発言に対する仁坂知事の御感想はいかがでしょうか。また、知事御自身は、財源を含め、どういう働きかけをするお考えをお持ちか、お伺いしたいと存じます。
○議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀淡海峡ルート、四国新幹線は、和歌山県のみならず関西の発展、日本の将来の発展のかなめとなる重要なプロジェクトであるとともに、東京一極集中からの脱却を図り、双極型国土構造の構築、さらには国土強靱化を図る上で必要不可欠なプロジェクトでありまして、ぜひとも実現させなければならないというふうに私は思っております。
 かねてからというよりも、これをもうちょっと詳しく分析してまいりますと、紀淡海峡ルート、これができますと、まず四全総のメーンテーマでありましたけれども、第1に、第2国土軸としての日本全体のリダンダンシーが確保されます。2番目に、西日本の大動脈の代替機能を有する四国新幹線の実現ができます。第3に、関西国際空港と大阪都心を結ぶ超高速鉄道の整備になるわけでございまして、関空の機能強化にもなります。第4に、関西大環状道路や大阪湾環状道路の形成になるわけでございます。そういう意味で、効果が非常に大きいと考えております。
 ところが、本県につきましては、一度熱が下がってしまいました。これはいかんということで、もう一度、数年前から私が発起人になりまして知事会の協議会をつくって、再度機運の醸成から運動を始めようということにいたしまして、言い出しっぺでございますので、会長に就任をしたわけでございます。
 具体的には、政府への要望をしたり、あるいはシンポジウムを行ったり、財界にいろいろ働きかけをしたり、そういうことでだんだん熱を上げていこうというふうに思ってるわけでございます。
 この間、5月18日に和歌山市で開催されたシンポジウム「未来を創る交通インフラ」もその一環でございまして、講師の藤井氏から、御指摘のように、紀淡海峡ルートとして四国新幹線が整備された場合は、本県にとっても大きな経済効果があるという考えも示されました。紀淡海峡ルート・四国新幹線実現へのエールと捉えて、大変心強く思っております。
 一方、本年6月に与党において、これは北陸新幹線の整備を進めるワーキングチームが立ち上がりました。もちろん優先順位、順番から言うと北陸新幹線をまずつくってということでございますが、その後のことも考えなければいけないねということが、有力なこのワーキングチームのリーダーから寄せられています。
 この北陸新幹線の整備についても、今後、財源について議論が進められるということでございますが、一方、四国新幹線などを念頭に、これは固有名詞はまだ出せないんでございますけれども、さまざまな新幹線建設のための調査費が、これは増額査定されて計上されたところでございます。この中で、この四国新幹線の財源問題、四国新幹線を含む新幹線網の整備の財源問題も議論されていくと思いまして、四国新幹線を含む次の整備候補となる基本計画路線の財源論にもつながるものと考えておりますことから、財政投融資を含め、あらゆる可能性について検討を行うように国に働きかけを行うとともに、引き続き、紀淡海峡ルート、四国新幹線の早期実現に向けて、シンポジウムの開催など情報発信による機運醸成や関係団体への働きかけ、国への要望等、さらに積極的に取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。積極的なお取り組みいただいて、本当にありがたいと思っております。ぜひ和歌山市に新幹線が開通した場合の経済成長の予測についても調査いただきたいということと、将来、紀南地方に新幹線の延伸が可能な構想とするなどの対応を県に要望させていただきたいと思います。
 次にまいります。
 本県職員のテレワーク導入についてであります。
 これは、今まで何度か質問させていただいてきましたが、やはり今後の人口減少社会のあり方や業務効率、つまり行政改革において避けて通ることはできません。過去の御答弁では、要するに業務の切り分けが困難だということで、しかし何とか検討しましょうという御趣旨の御答弁をいただいてまいりました。
 この間、民間企業では全国規模の大手を中心にかなり対応が進み、テレワークの利便性を享受される方や企業がふえてきております。役所の業務の特殊性は当然あるわけですが、現在の取り組み状況と今後について、総務部長にお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) 総務部長田村一郎君。
  〔田村一郎君、登壇〕
○総務部長(田村一郎君) 本県職員へのテレワークの取り組み状況についてですが、まず、テレワークを進める前提となる環境整備の状況について御説明いたします。
 現在、職員の使用している行政事務用パソコンについては、職員それぞれが持つICカード機能を有する職員証を挿入さえすれば、どこに設置された端末であっても自分の席の端末と同じ環境で仕事ができる仕組みが導入されております。
 このような環境に加え、試験的な取り組みとして、本年7月24日から、行政事務用パソコンと同様の機能を有し、庁舎外に持ち運び利用できるモバイルパソコンを本庁各部に3台、振興局に各1台配備し、職員が出張等の際に携行することにより、移動時間や出張先等においてメールチェックや会議録の作成などを行える取り組みを行っております。
 また、今月末からは、本庁、振興局、東京事務所に行政事務用パソコンを配置した専用スペースを設け、職員が出張の際に利用できるようにする取り組みを実施する予定です。
 在宅勤務については、今年度、まずは総務部内において取り組んでおります。その結果、それぞれの職員がみずからの業務のスケジュール管理を徹底し、調整することにより、半日あるいは1日単位からであれば在宅勤務が可能であることがわかりました。
 一方で、勤怠管理の方法や公文書を持ち出す場合のセキュリティーをどうするのかといった課題に加え、職員であれば誰もが自宅で行えるような単純な集計事務などについては既にシステム化などが進んでいるため、長期の在宅勤務に見合った業務量をいかに確保するかという課題も浮かび上がってまいりました。
 今後、こういった課題への対応策を施しながら、他の部局にも取り組みを広げ、さらに課題を抽出していくことで在宅勤務の取り組みを進めていきたいと考えております。
 今年度については、こうしたテレワークの取り組みを試験的に実施していくとともに、今後も引き続き、職員のワーク・ライフ・バランスの向上や多様な働き方の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
○議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 いよいよ前に進み出したという感がございます。担当課の方も従前からの懸案をよく引き継いで研究いただいたことと思います。また、田村総務部長も地方自治体での経験も豊富とお聞きしておりますので、ぜひいろいろな事例を検証していただき、よりよい仕組みをつくり上げていただきたいと御期待申し上げたいと思います。
 次に、介護のためにやむを得ず離職されるケースについて考えてみたいと思います。
 県職員において介護離職の懸念される年代は、40代から50歳代の経験豊富な、今後も県政において能力を発揮させるべき年齢層と言えますが、そういう方たちに退職という形とは違う柔軟な勤務形態を考えるときに来ているのではないかと思っております。
 また、一度退職されても復職の道を残すべきと考えますが、そういうことを検討されるときに来ているのではないでしょうか。重ねて総務部長にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 総務部長。
  〔田村一郎君、登壇〕
○総務部長(田村一郎君) 介護離職者についてでございますが、県では、これまでも介護を理由に離職しなくても働き続けられるような環境づくりに努めてきたところでございます。
 職員が配偶者や父母などを介護することが必要な場合には、通算6月を超えない範囲内において、1日または1時間の単位で取得できる介護休暇を初め、連続する3年の期間内において、1日につき2時間まで取得できる介護時間休暇が利用できます。また、早出遅出勤務制度を活用することにより、30分単位で勤務開始時間を最大1時間半早めたり、30分遅くしたりすることも可能です。
 父母の介護については、定年年齢に近づくころからその必要性が増してくると思われますが、定年退職日の5年前から、1週間当たりの勤務時間の2分の1以内を勤務しないこととできる高齢者部分休業制度も設けているところでございます。
 議員御提案の介護を理由に退職した職員の復職については、定数管理や復職後のポストをどうするかといった課題もありますが、今後そういったニーズが高まる可能性もありますので、他府県の取り組みなども参考に、制度、仕組みを研究しながら検討してまいります。
○議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 介護離職を防ぐために勤務形態を幾つか用意されているのはわかるのですが、例えばその方が管理職についていた場合で、ある日突然に親御さんが倒れ、自分しか介護できる者がいない場合、恐らく初めは介護に頑張りながら仕事量を維持しようとして、結局周囲に負担が及ぶ状況に心苦しくなるわけです。つまり、介護休暇や介護時間休暇では十分な介護ができず、役職についたまま高齢者部分休業制度を利用すれば、部下や周囲に負担がかかるという図式が生まれます。そして、結局疲れ果て、退職という選択をする。しかし、部内で人間関係にも疲れ果てての退職ですから、退職の理由を介護のためとはせず、一身上の都合となるわけです。
 50代はほとんど管理職ですので、これらの制度は使えずに退職となった方に、退職後、介護から解放された時点で、県庁にどういう形であれ復帰できる道を用意することは愛庁精神にもつながります。何より、彼らの豊富な経験を生かす道も探るべきだと考えます。
 また、自宅で介護を続けながら、先ほど質問いたしましたテレワークを利用して、嘱託職員として経験を生かす道など考えられますが、当局の今後の検討に期待したいと思います。
 次に、白浜のITオフィスについてお尋ねいたします。
 言うまでもなく、IT企業と申しますのは、インターネット回線を利用できればどこでも事業が可能で、しかも商圏に限りがなく、日本中はおろか世界中と取引可能な側面を持っております。そういう特性上、本県にいきなり進出してきても地元企業を圧迫することは、通常の業種に比べ、ほとんどないと申せます。本県にとっては、ぜひとも誘致に取り組んでいただきたい業種であります。
 私は、当選直後の一般質問から、このことを強く訴えてまいりました。幸い、担当課の奮闘努力によって、この企業誘致は好調に推移しているようでありますが、現在、2棟で事業展開ということでありますので、そろそろキャパの問題があると思います。
 今後の事業展開について、商工観光労働部長にお聞きしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 県では、紀南地方の南紀白浜空港による東京とのアクセスのよさに加え、都会にはない美しい景観と高品質なネットワーク環境など、地域のポテンシャルを生かし、IT企業誘致を進めております。
 現在、白浜町ITビジネスオフィスは、セールスフォース・ドットコム社など9社が入居して満室となっており、本年6月にオープンした白浜町第2ITビジネスオフィスについても、東京からIT企業など3社の進出が決まり、新しい雇用が生まれております。
 8月には、働き方改革を背景に、ワーケーション事業の展開を目指す三菱地所株式会社と県、白浜町の3者で進出協定を締結したところです。今後、三菱地所と連携し、このオフィスを拠点に、地域への波及効果を図りながら、首都圏のビジネス客のワーケーション受け入れを進めてまいりたいと考えております。
 また、IT企業誘致を拡大するため、今年度は田辺市の秋津野ガルテンにおいて、地域未来投資の枠組みでITオフィスを整備しております。さらに、企業誘致のPRも積極的に展開しており、7月に東京で開催した「和歌山テレワーク」フォーラムには110名の参加をいただきました。また、10月にもICT和歌山フォーラムを開催する予定です。
 今後もIT企業誘致を行い、紀南地域をさらなるIT企業の集積地とするため、積極的なPR活動とともに、ITオフィスを初めとする必要なインフラの整備を進めてまいります。
○議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 今、部長の御答弁の中にございました三菱地所さんとの協定というのは、多分、私の理解ではそうですけども、ITビジネスオフィスの用地の協定ではなくて、テナントとして進出していただくという協定だと理解しております。
 私は、この問題を最初取り上げたときから、徳島県の神山町の成功例を取り上げてまいりました。そして、和歌山県が本腰を入れて取り組んでいただいて実績が上がっていく過程でも、同じく神山町の成功例と同じようなパターンを見ることができるわけであります。
 どういうことかと申しますと、IT企業が集積していく過程で、あの企業の活躍されているAさんが神山町に行ったのなら、自分たちもついていってAさんの近くで刺激を受けたい、薫陶を受けたいということで、特に会社間の取引関係はなくてもAさんを慕ってついていくという事例が神山町ではありました。
 白浜町でも、個人的なカリスマで集まったとは言えませんが、大手企業が入居したのをきっかけに、他の企業が同じビルに入居しています。これは担当課のセールストークによるものかもしれませんが、インターネットを利用するSEと呼ばれる技術者さんたちは、すぐれた技術者がどこに行けば会えるか、フランクに仲間内の話を聞ける機会があるかを非常に重要視する向上心の高い人たちが多いのもこの業界です。また、その循環が次の循環を次々生んだ結果、あの山間部の神山町の繁栄があるわけです。
 したがって、できるだけ1カ所に集積した形で、しかも白浜という絶好のロケーションで打ち解けたフランクな情報交換ができるとなれば、よい循環が起こる可能性が非常に高くなってまいります。どうかその点に留意され、分散せず、できれば歩いて行動できる範囲でITオフィスを固めて用意していただくということを目指していただきたいと思っております。
 さて、今後の働き方のあり方の一端を質問してまいりましたが、この問題は子育ての負担軽減という面も非常に重要です。
 以前、保育の問題では軽度の体調不良児対応について取り上げましたが、これをさらに広めるよう、当局には御苦労いただいているところであります。保育の実施主体は市町村となっていますが、保護者の方が頼るのは区別なく行政という組織です。どうか市町村に働きかけて、保育所内に保健室設置を普及させるということをさらに一層取り組んでいただけるよう要望したいと思います。
 そして、今回の質問は、一時保育のこういうケースであります。
 共稼ぎ家庭で忙しく働く若い両親が、どうしても緊急に子供を預けて対応しなければならない仕事が入った、パートナーも仕事を休むことができない、世間は日曜日だといったことが、人生に何回かはあるわけです。一時保育の年中無休、24時間サービスについては現状どうなっているのかを福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 保護者が疾病その他の理由により家庭において子供を養育することが一時的に困難となった場合等に子供を預ける制度としまして、一時預かり事業、ファミリー・サポート・センター事業及び子育て短期支援事業の三つの事業があります。なお、保育の実施主体は市町村であるため、いずれの事業も地域のニーズに応じて市町村が実施しております。
 具体的には、まず、一時預かり事業は、保育所等に在籍していない就学前児童を対象に、保育所等の開所時間の範囲内で預かる事業です。
 次に、ファミリー・サポート・センター事業は、子供を預けたい人と子供を預かりたい人がともに会員となり、子育てを助け合う事業です。
 最後に、子育て短期支援事業は、児童養護施設や乳児院、母子生活支援施設等において一定期間子供を預かる事業で、原則7日以内の範囲内で利用できるショートステイ事業と平日の夜間または休日に利用できるトワイライトステイ事業の2種類があり、利用の際は市町村の窓口に申し込む必要がありますが、閉庁時においても宿直を通じて担当課で対応していると聞いております。
 加えて、児童相談所では、児童虐待に限らず、保護者の急な病気や事故等、緊急に子供を預かる必要が生じた場合にも一時保護を行っており、県が24時間体制で対応しております。
 なお、事業の広報につきましては、各市町村において、乳幼児健診の機会を捉えて保護者に確実に情報を届けるとともに、ホームページに事業概要や手続の方法を掲載する等、制度の周知を図っております。
 また、県におきましても、ホームページやひとり親家庭向けのパンフレットで事業紹介をしているところでございます。
○議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 ひとり親の方が先々を心配して、あらかじめ相談窓口に行って準備しているということはあるでしょう。しかし、若い両親がどちらも正社員でフルに働くのが当たり前となった今、人手不足も重なって、民間では、業種によっては日曜、夜間関係なく業務が押し寄せております。この傾向は、今後ますます顕著になってまいります。むしろ、思いがけなく育児で立ち往生となるのは、パートナーとも協力し、子育てと仕事を両立しようという御家庭のほうが多いのではないでしょうか。そういう難儀を経験すると、2番目の出産はハードルが高いという意識になるわけです。
 どうか、これらの制度が若い子育て世代に確実に周知され、気兼ねなく利用される工夫と広報面での一層の充実を要望して、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、菅原博之君の質問が終了いたしました。

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