平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号


平成30年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(全文)


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平成30年9月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 平成30年9月18日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第136号から議案第138号まで(当局説明)
 第2 議案第117号から議案第138号まで並びに報第3号(質疑)
 第3 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第136号から議案第138号まで(当局説明)
 第2 議案第117号から議案第138号まで並びに報第3号(質疑)
 第3 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 中西峰雄
 2番 秋月史成
 3番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 花田健吉
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 川畑哲哉
 10番 玉木久登
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 尾﨑太郎
 14番 藤山将材
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 山本茂博
 20番 岸本 健
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 堀 龍雄
 24番 中 拓哉
 25番 森 礼子
 26番 服部 一
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 4番 欠員
 40番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      藤川 崇
 総務部長       田村一郎
 企画部長       田嶋久嗣
 環境生活部長     山田成紀
 福祉保健部長     山本等士
 商工観光労働部長   山西毅治
 農林水産部長     原 康雄
 県土整備部長     髙松 諭
 会計管理者      中西 淳
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    中野幸生
 警察本部長      檜垣重臣
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       田村公一
 次長         糸川 徹
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     山田修平
 議事課議事班長    岸裏真延
 議事課主任      保田良春
 議事課主査      伊賀顕正
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       田中健司
 政策調査課長     中平 博
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  午前10時19分開議
○議長(藤山将材君) これより本日の会議を開きます。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 日程第1、議案第136号から議案第138号までを一括して議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました諸議案について御説明申し上げます。
 議案第136号は、台風第20号及び第21号による災害に早急に対応するため、一般会計で総額53億8600万円余の補正予算をお願いするものです。被害を受けた道路、河川、港湾などの公共土木施設の復旧や土砂災害への緊急対策等を行うとともに、被災された中小企業者等の事業災害や農業者の農園芸施設等の復旧、世界遺産などの文化財の修復に対する支援を行うほか、県営住宅や県立高等学校等の県有施設の修繕等を行ってまいります。
 次に、議案第137号は、県営港湾施設管理特別会計で2億8000万円の補正予算をお願いするものです。台風第21号による被害を受けた和歌山下津港のガントリークレーンや上屋などの応急対策等を行ってまいります。
 また、議案第138号は、崖崩れに対する緊急対策事業施行に伴う市町村負担金について、それぞれ議決をお願いするものです。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(藤山将材君) 次に日程第2、議案第117号から議案第138号まで並びに知事専決処分報告報第3号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 3番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らしていただきます。
 改めて、皆さん、おはようございます。平成30年9月定例会、いよいよ本日から4日間にわたり一般質問が行われます。初日、トップで登壇の機会を与えていただきましたことに対し、先輩、同僚の議員の皆様方に心からの感謝を申し上げる次第でございます。
 平成24年に安倍政権が誕生して、安倍総理は山積する諸課題の解決のため、果敢に挑んでいただきました。その一つに、経済を好転させるための政策・アベノミクスを発表し、その取り組みを進めることにより景気を回復させるとともに、エネルギッシュな外交を展開し、世界における日本の存在感を増すとともに、7年前に発生した三陸沖地震など、国内で発生するさまざまな大災害における復旧に思い切った政策を進めることにより、復興に道しるべをつけるなど大きな成果をおさめ、国民に希望を与えていただきました。
 現在、自由民主党総裁選挙が行われていますが、日本国の指導者には、今後とも、日本が直面する国難に真っ向から立ち向かい、国民が希望を失うことのないよう、国土強靱化に向け力強く取り組んでいただけますよう願うものでございます。
 去る9月4日、四国に上陸した台風21号は、近年最強と言われる暴風雨により、近畿圏はもとより日本全国に甚大な被害をもたらしました。被災されました国民の皆様に心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興を目指し、心折れることなく頑張っていただけることを願うものでございます。
 さらに、去る9月6日未明に発生した北海道胆振東部地震により、多くの道民の生命と財産が奪われました。道民の皆様に心よりのお見舞いと、一日も早く復旧・復興に着手でき、もとの生活が取り戻せることが一日も早いことを願っているところでございます。
 そして、ことし6月18日早朝にも大阪北部地域を震源とする地震が発生し、5名の方々が死亡し、400名を超える負傷者が出るという災害が発生し、その10日後の6月の28日から7月の8日にかけて発生した西日本豪雨は、死者223名、行方不明者9名という大災害となりました。災害の傷が癒えない中で、日本国内で次々と発生する自然災害に、日本列島を国家とする日本国民が置かれている大変過酷な日々に、全くやるせない思いでございます。
 さて、さきの台風20号、そして21号の襲来で、和歌山県内でも一般住宅や和歌山県の基幹産業の一つである農林水産業等に多くの被害をもたらしました。特に、農林水産業関係の被害は大きく、出荷間際の柿やミカン、ハッサク、ブドウなど全ての農産物にわたるとともに、今回は強風による落果や枝折れ、桃の木など樹木が真っ二つに割れるなど、大きな被害が伝えられています。木の幹が割れると樹勢の回復には相当な年月を要することになり、長い年月にわたり減収となることが考えられます。
 被害を受けられました県民の皆様に心よりのお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を祈念いたします。
 さて、近年の和歌山県の災害被害に目を向けると、さきの台風に限らず集中豪雨など浸水被害が県内各地で発生しており、川沿いの住民の方々が、雨が降れば不安が募る状況でございます。和歌山県内における河川整備が大変重要と考えます。
 ここで質問です。和歌山県内における河川整備の現状についてお伺いをいたします。
 次に、8月23日襲来した台風20号で西牟婁郡内でも2級河川の富田川、日置川流域に予想外の雨が降り、下流域では家屋に床上・床下浸水が発生するなど大きな被害となりました。富田川、日置川流域を中心に被災地を見て回ると、住民の皆様から、「7年前の紀伊半島大水害後、3回も床上・床下浸水となっている」、「今まで何してくれたんな」、「あれほど川の改修、土砂を取り除いて樹木を切ってほしいとお願いしたのに、ほとんど進んでいない」、「もうこれは人災や」など、やるせない思いとやり切れない不満が声となり、私たちにぶつけてまいります。
 私も県議会議場で、そして所属した各委員会等で、幾度となく富田川や日置川の河川の整備を訴えてまいりましたが、しかし、改修作業は台風等で傷んだところの修理は終わっても、新たな目的を持った取り組みはほとんど進んでいません。数年のうちに2回も3回も浸水被害を受けた県民の皆様のやるせない不満は十分理解できます。
 さらに、県内各地における河川の状況を詳しく見れば、災害の発生した場所については、発生後、修繕や改修作業は取り組んでもらっていますが、どの河川もおおむね長い年月にわたって堆積した土砂の撤去はほとんどされておらず、放置されたままとなっており、西牟婁郡内を流れる富田川の場合、川の中に少しずつ堆積した土砂が、10数年もすれば島のように大きくなり、水の流れを妨げています。また、川の両岸には、堆積した土砂に樹木が繁茂して畑や宅地のようになり、水の流れを塞いでいるのが現状でございます。これらの土砂を撤去し、富田川の水位を下げてほしいと被災地の方々は強く求めています。こうしたことに対する早急な改善対策を求めたいが、当局の見解をお願いいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 平成30年7月豪雨や平成29年7月の九州北部豪雨など、近年、台風や集中豪雨等により全国的に浸水被害が多発しております。
 和歌山県においても、これまで昭和28年7月の大水害を初め、台風や集中豪雨等による浸水被害が繰り返し発生しており、近年では、平成23年9月の紀伊半島大水害により、県南部を中心に甚大な被害が発生し、また、平成29年10月の台風第21号や平成30年8月の台風第20号に起因する出水においても、多くの地域で浸水被害が発生いたしました。
 こうした被害の軽減を図るために、県では、流域内の人口や資産が多く、河川の氾濫による社会的影響がより大きい主要な河川から優先的に河川整備計画の策定に取り組んできているところでございます。
 特に、平成23年9月の紀伊半島大水害を契機に手続を加速化させ、現在、富田川を初めとする18計画の策定を終えたところであり、残る河川についても着実に進めていく所存でございます。
 河川整備については、これまでも河道掘削や堤防整備など、着実に進めてきてはいるんですが、この10年間で県予算を毎年増額いたしまして、今年度は平成21年度と比べて約2倍の約48億円を計上し、実施しているところでございます。
 引き続き、整備の推進に努めるとともに、さまざまな機会を通じて予算を確保し、早期完成を目指してまいりたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 富田川の浸水対策についてお尋ねをいただきました。
 富田川本川及び支川につきましては、昭和25年から築堤や護岸整備、河道掘削などの河川整備を順次進めてきたところでございますけれども、平成23年9月の紀伊半島大水害や平成30年8月の台風第20号による洪水など、近年も浸水被害に見舞われているところでございます。
 こういった中、平成30年6月に富田川水系河川整備計画を策定したところでございまして、平成23年9月の紀伊半島大水害と同規模の洪水に対し、家屋の浸水被害が生じることのないように河道掘削や堤防の整備をおおむね20年間で進めることとしております。
 今年度より、河川整備計画に基づき下流部から河道掘削に着手する予定でございまして、今後ともさまざまな機会を通じて予算を確保し、早期整備に努めてまいります。
 また、河川の樹木伐採や土砂撤去などの維持管理につきましては、台風第20号の出水状況も踏まえ、引き続き本川や支川及びその合流部など、浸水が懸念される緊急性の高い箇所から実施してまいります。よろしくお願いいたします。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 知事、それから県土整備部長から御答弁をいただきました。その中で、要望をお願いしておきたいと思います。
 知事の御発言の中で「残る河川についても着実に進めてまいります」という御発言をいただきましたが、ぜひ一日も早く完成できるよう取り組みを前向き、前向きに進めていただきたいと強く要望させていただきたいと思います。
 それから、「さまざまな機会を通じて予算を確保し、早期完成を目指します」というお話です。国等に陳情に行かれるときは、ぜひ声かけてください。私らも行かしてほしいと思います。そんなお願いをさせていただきまして、どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、県土整備部長の答弁に対して再質問をお願いしたいんですが、構いませんか、引き続き。
 まず、1点目ですね──3点ほど再質問させていただきたいと思います。
 まず、昭和30年6月に富田川水系の河川整備計画を策定して進めてきたということでありますけれど、この策定計画、一体いつスタートしたんかというあたりのことをお尋ねしたいと思います。
 それから、河道掘削や堤防の整備をおおむね20年かけて進めるというお話ですが、この20年も正直なところ待てない。この間に台風だけじゃなくて集中豪雨的なことなんかも、今の地球環境の異変の時代ですので、発生する可能性が高いと考えています。その都度、それまでの間に浸水騒動が起こり続けるということは、本当に住民感情から考えたときに待てない。一日も早くこの20年という数字を前倒しで御検討いただきたいと思います。そういった意味で、この20年の進めることという話に対して少し御見解をいただきたい。
 最後にですが、「浸水が懸念される緊急性の高い箇所から実施してまいります」ということですが、この緊急性の概念を御答弁いただきたいと思います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 今ほど3点御質問いただきました。
 まず、富田川河川整備計画の策定の手続の着手についてお尋ねをいただきました。
 河川整備計画は、将来的な整備を目標とする河川整備基本方針に基づきまして、段階的な整備目標として策定するものでございます。
 富田川河川整備基本方針につきましては、策定に要する測量や調査等を経まして、平成21年度から手続に着手し、平成28年度に策定をいたしました。その後、富田川河川整備計画につきましては、平成28年度から手続に着手し、本年、平成30年6月に策定したものでございます。
 次に、整備期間20年ということをもっと短期間にできないかという御質問をいただきました。
 河川整備計画は、将来的な整備を目標とする河川整備基本方針に基づきまして、段階的な整備を目標として策定しております。和歌山県におきましては、段階的な整備目標として、おおむね20年から30年で実施すべき内容を定め、下流部から上流部に向けて順次整備をしていくということで進めてございます。
 議員御指摘の事業期間短縮につきましては、今後ともさまざまな機会を通じて予算を確保するなどいたしまして、より短期的に整備ができるように我々としても努めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、3点目、緊急性の高い箇所から実施ということについてのこの概念につきまして御質問をいただきました。
 緊急性の高い箇所とは、本川や支川及びその合流部など、浸水が懸念されるところでございますが、具体的には河道内の堆積土砂や樹木の繁茂によりまして、出水時に川の流れを著しく阻害する箇所を想定しております。河川管理などの中で堆積土砂の撤去や樹木の繁茂の伐採など、引き続き我々も台風の出水状況を踏まえまして適切に対応をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。
 ちょっと僕の感想を聞いていただきたいと思います。
 30年6月に完成を、策定したということですけれども、最近の災害でも、紀伊半島の大水害からでも7年たちます。やっぱりこういうことというのは、もっともっとスピード感を持った取り組みをこれからの行政のあり方として、そういったとこも頭の中に置いていただいて前倒し。やっぱりあんなひどい災害が起こって、もうでも50年、100年に一遍やから次なかなかないという話やなくて、こういう時代ですので、またいつ来るやわからん、そういうふうに考えたときに、やっぱりもっともっと策定計画ぐらいは早く早く進めてほしいと強く県民の一員としても思いますので、お願いしたいと思います。
 それから、20年で進めることに対し、20年かけて完成していくというような趣旨でしたけれども、今、部長の答弁では、少しでも前倒しを考えていただけるということですので、ぜひお願いいたします。
 それから、概念ですが、わざわざこの話を聞かしていただいたのは、私なんか西牟婁郡ですから、西牟婁振興局の出先の職員との交渉は多いんですけれども、どうもこの概念が、その都度、その都度、使い分けされてるかのように感じることがあるんです。優先度がどうの、優先度のそういう言葉もあったりとか。そしたら、希望していることがなかなかできていかないと。そんなことなんかも何度も何度も経験しましたので、やはりこの概念というあたりはきちんとしたものを持っていただいて、その中で公平公正な、優先度という言葉があるとしたら、そういうことを踏まえた取り組みを公平に進めていただく、そういう意味で、ぜひどうぞよろしくお願いいたします。
 それから、せんだって──要は最近です。富田川の地元の河口の区長の皆さん方からお話がありまして、一遍河口を見てくれへんかという話がありました。これもお聞きいただいて、これからの施策の参考にしてほしいとちょっと思うことがあります。
 それは、上流のほうの砂利を取っていないから、大雨降るごとに、富田川でしたら河口へ皆たまるんですが、堤防みたいになってるんです。これが、大雨降ったときに水の抵抗になって、地元の区長の皆さん方、学校の先生された方々が大方でしたが、あと公務員の方々とか、その方々の言うのに、この河口に積み上がってる、堤防のようになってる長い距離、河口を塞がせるようなそういう状態になってるんですが、これ取ってもらうだけでも富田川、最低でも数十センチから50センチぐらいの水位が下がるでって。そしたら、50センチ下がったら水害騒ぎ、起こらんのですよ。
 ただ、上流で取ってないもんだから、雨や台風が来るごとにその現象が中に起こってて、せっかく押し込んで取っていただくんだけど、じきにまたそこへ堤防ができ上がってしまうと。これはイタチごっこ状態ですが、そもそもは上流の砂利を取っていない、長い年月にわたって取っていないことが、そこに堤防のようなものができる材料が上にあるわけですね。雨が降るごとにそこへ来て、それが積み上がってしまって、それが水の抵抗になって上流部の浸水騒動が起こってるんやという議論だったんです。
 僕、その現場で写真も撮らせてもうて、なるほどなと思ったんです。全体的な道路のかさ上げ、浸かってしまうんですから、道路のかさ上げだったりとか、その間の大量な土砂があります。何十万立米だというふうに聞いているんですが、そのことを取るというのは費用もかかって年月もかかるということがありますけれども、河口にたまってる堤防のようになってしまったこの土砂を、これはもう取らな仕方ないんです、船が出入りできないから。
 このことをもうちょっと優先的にそこに資金を投資していただくと、上流の浸水騒動、少しは回避できる。せめてこの間の21号ぐらいの雨だったら浸水騒動にならなかったん違うかと、そんなことにも思いますので。ただ、私は大学のそういう土木工学を出た男でもありませんので、科学的な見地で今発言を聞いていただけるかどうかといえば、ちょっとその能力に欠けてるとこあると思います。だから、一度現場を見ていただいて、その地元の大勢の皆さん方が言うてることが科学的なんかどうかというあたりも検証いただいて、効率のええ財政の支出をしていただければありがたいかなと思います。
 これは、西牟婁郡でしたら日置川においてもよく似たことになっていますので、日置川のほうもこの間の21号でも20件前後の床上浸水をしています。あの程度の雨という言い方はおかしいですが、瞬間的な1時間、2時間で100ミリ前後の雨が降ったことが問題と違うかと。7年前は三日三晩降り続いてたそうでしたけれども、今度、たった1時間、2時間でもそうなったと。そのぐらいのことでああしたことになるということは、根本的なところの対策が必要な部分があるんではないかなと、そんなふうにも思いますので、ぜひそういう視点でもお願いをしたいと思います。
 うるさいようで悪いんですが、実は、僕は25年ほどこの政治家の仕事をさせていただいているんですが、初めて手紙が来ました。その手紙の内容は、私が住んでいる富田川下流域などは──平、平間、富田地区と地区があるんですが──いつも氾濫のおそれがあり、避難対象区域となっていますと、そんな言葉がずっと文章の中に、手紙にあるんですが、その手紙に、「読売新聞」でしたけれども、新聞のこの記事をつけてくれてたんです。(資料を示す)これ、少し朗読させていただこうと思います。
 といいますのは、私もこの議場で馬川だったりとか岡川だったりとか、そういうとこに物すごく繁茂してる草木、それを取ってほしいという発言もここでさせていただきましたが、当時の当局の回答は、水流れたらこけていくから大丈夫や的な話だったんです。でも、この新聞を読みましたら、やっぱりこの樹木であったり、そういうものを取り払うことによって氾濫が回避できたということを書いてるわけです。
 ちょっと朗読させていただきましたら、「西日本豪雨で増水した広島県府中市の芦田川では、7年前に中州の樹木を伐採するなどした効果で氾濫を回避できた可能性があることが国土交通省の調査でわかった。同県三原市の沼田川では、中州の樹木に流木がひっかかり、水が流れにくくなったことが一因で氾濫したとされている。同市は、中州対策の重要性が確かめられた。同様の取り組みを広げていきたい」云々のことを書いています。
 要は、今まで本当に放置状態にあった川の中の樹木を取ることによって氾濫が回避された。少しのそのことによって、何十センチか堤防がオーバーフローすることなく回避できたという、そういうことが科学的に検証できてるという趣旨の内容です。こんなことなんかもこれからの土木行政の中で、ぜひ真剣に考えていただいて対策を講じていただきたいと思います。
 もう1点ですが、実は、まだこれ正式に提出されてないんですが、今度、別の地区のちょっと上流の区長さんからの嘆願書です。嘆願書という表現ですけれども、もうたまらんから、こういう要望やとかそういう文書ではないんですね。嘆願書を白浜町長宛てと、実は仁坂吉伸和歌山県知事宛てに出すと。そういう内容のものを預かりまして、これは正式に近く嘆願書が上がってくると思うんです。みんな必死なんです。このことをぜひわかっていただきたいと思いまして、きょうはここに持ってまいりました。ぜひどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次の項目に入らしていただきます。
 次に、突然マスコミなどの報道によりクローズアップをされた感のあります障害者雇用についてお伺いをしたいと思います。
 報道等によりますと、国の全ての機関が法律で定められた障害者雇用枠の達成を偽ってカウントし、いわゆる水増しのようなことをして各省庁内で相互に認め合っていた──新聞の報道ですけど──となっています。日本国民の障害者福祉をリードしていく立場にある厚生労働省でさえ、同じ穴のムジナであったとは。
 障害者運動をボランティアで数十年にわたり長く取り組んできました私たちは、今後何を信じて活動すればいいのか、まさに青天のへきれきでございました。法律をつくり法律を守ることを国民に向かって率先して取り組んでいかなければならない国家官僚の組織が犯した罪に、法治国家の根幹の信頼が大きく揺らいだと私は思います。
 私の友人で、元公務員だった男性ですけど、電話、すかさずそのときにありまして、こんなこと言いました。「国がこんなことをするんやから、もう何も信用できん。世も末や」と嘆いていました。そして、「そもそも障害者雇用などする気はないんや。そもそも障害者福祉などする気はないんや。法律はつくっただけや。仕方なしにしやんねや」と、そんな吐き捨てるように言っていましたことを御紹介させていただきます。
 ところで、我が和歌山県はどうだったのかなと思っていましたら、過日、県の担当課より連絡があり、やはりこの機会に調べてみると下回っていたとの話でした。その瞬間、私は、ごまかされていたとの思いを強く持ちました。それは、もう6~7年前になるでしょうか。障害者雇用について、まさにこの相談をしていたからです。
 当時の職員の返事は、障害者雇用枠は特に問題がないとの内容でありました。繰り返しますが、私の当時の相談は、職員が40年ほどの勤務期間中に、体調を壊し、障害者認定を受けるようになった人の数もカウントに入っているんですかとの確認でした。
 改めて、障害者雇用について県当局の御見解をお伺いしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 総務部長。
  〔田村一郎君、登壇〕
○総務部長(田村一郎君) 県庁の障害者雇用につきましてお答えいたします。
 今般、中央省庁等における障害者雇用率の不適切な算定に関する報道を受け、本県における障害者雇用率について再調査を実施したところ、本来対象とすべきでない職員17人を算入していたことが判明し、この結果、平成29年6月1日現在の本県の障害者雇用率は2.30%から1.91%となり、法定雇用率を下回ることとなりました。
 本件は、県政に対する県民の皆様の信頼を損なうものであり、特に、障害のある方やその御家族、また障害のある方々の就労を支援されている皆様並びに雇用の促進に取り組まれている企業の皆様に大変な不快な思いをさせる結果となってしまったということについて、改めて深くおわび申し上げます。
 こうした誤りが起こった原因といたしましては、障害者の雇用状況に関する厚生労働省からの調査に際して、対象となる障害者の範囲やその把握、確認方法等を示したガイドラインの理解が十分でなかったことにあると考えております。
 これまでの調査では、障害を有する職員本人からの申し出があった場合に障害者手帳等の保持を確認しておりましたが、一方で、職員の人事上の自己申告において、手帳等を保持していないが障害を有するとした記載に基づき、手帳等を保持する者と同程度の障害を有すると判断した場合に障害者数に算入したため、結果として基準を満たさない者を障害者数に含むこととなりました。
 県としましては、今回の事態を厳粛に受けとめ、今後はガイドラインに沿った適正な算定を徹底してまいります。
 なお、今回の再調査で法定雇用率を下回る結果となったことに伴い、障害者雇用促進法に基づき、法定雇用率の達成のための障害者の採用に関する計画を作成し、厚生労働省に提出することとなっています。
 県では、平成20年度から身体障害者の一般職員及び知的障害者の非常勤職員について毎年1名ずつ、平成29年度からは新たに身体障害者の事務補助職員について別途枠を設けて採用試験を実施してきたところでございますが、まずは早期に法定雇用率を上回るよう当該計画を確実に推進するとともに、本県における障害者雇用のため、より積極的な採用に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会の障害者雇用についてお答えいたします。
 県教育委員会の事務局職員及び県立学校、市町村立の小中学校の教職員を対象に再度確認いたしましたところ、本年度報告していた122名中、日常生活に支障があると思われる教職員1名について、身体障害者手帳等を所持していませんでしたが、手帳等を所持する者と同等であると判断して算入しておりました。この1名を除いて本年度の障害者雇用率を算定し直すと1.96%となります。
 障害者の雇用につきましては、教員採用検査において、平成19年度より身体に障害のある人に配慮した新たな採用方法を導入するとともに、平成28年度からは全ての校種、教科で特別枠を設け、受検できるようにいたしました。また、学校事務職員についても、平成20年度から身体の障害のある人を対象にした募集枠を設け、採用検査を実施してきております。
 県教育委員会といたしましては、現在の障害者雇用率が法定雇用率にさえ達していないことを真摯に受けとめ、今後も引き続き、障害のある人の積極的な採用に取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 警察本部長檜垣重臣君。
  〔檜垣重臣君、登壇〕
○警察本部長(檜垣重臣君) 警察本部における障害者雇用の現状と今後の取り組みについてお答えいたします。
 本年6月の調査において、障害者手帳等の現物を確認した結果、本年度の障害者雇用数については、法定雇用率2.5%、職員数に換算しますと10名が必要であるところ、実雇用率は約1.2%、職員数で5名であり、法定雇用率が充足されていないことが確認されました。
 警察本部では、県人事委員会と連携して、平成27年度から身体障害者の方を対象とした採用募集を実施しており、平成27年度の採用試験では1名を採用しておりますが、平成28年度、29年度は応募者がございませんでした。
 今年度以降も募集活動を継続し、可能な限り速やかに法定雇用率を充足するよう努めてまいります。
 障害者の方を対象とした採用募集は、警察事務を職務とする職員として正職員扱いで採用することを想定しております。また、非常勤嘱託職員や公募による事務補助職員についても障害者を採用することもございます。
 今後も、法の趣旨にのっとり、障害者の方の雇用促進を図ることを目標として障害者雇用を促進してまいります。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 御答弁いただきました。答弁いただいて、私の感想を少しお聞きいただきたいと思います。
 例えば、今回でしたら、まあ言えば、法律の制裁を受けるというようなことがないわけですけど、これ、一般企業の場合でしたら、私も何度も経験ありまして、例えば大阪で、ちょっと交際のある企業で9000人ほど従業員がおるんですが、そこの人事的な立場にある人から電話ありまして、もう10年ほど前ですけど、厚生労働省におどされてるんやと。法定雇用率を下回ってるから、いつ幾日までしないと公表するぞと。社会的制裁を受けさせるぞという意味ですよ。それで慌てふためいて、それで相談ありましたので、特例子会社の設置をちょっと僕は提案させていただいて、そのことで、これ、みなし規定みたいなんがありまして許されて、それでその企業は回避ができた。そんなことを必死になってやっています。
 特例子会社、ちょっと調査しましたら、400近く全国でできていて、そないして企業の立場の方々は必死になって法律で定められた、法律を守っていかなあかん、その精神でやってる姿を僕は感じています。
 公的団体の場合はそれは構わんのかと、ちょっとついそんな、ちょっと口悪かったかわかりませんが、そんなふうにいつも感じる次第です。
 それから、もう一つ、今の三つの担当課のほうから返事をいただいたわけですけど、これ、そもそも法律で2.何%、100人おったら2人ちょびっとですね、障害ある人を入れなあかんと、こうなってるわけですけど、わかりやすく言えばね。今、頑張っていることは、その定められた2.何%を何とかそこまで届けようとしてる姿にしか見えんのです。これは、努力目標だと私は思うんですよ。
 2.何%、例えば、ある部署は3%も4%も実は雇用があったんやという話を聞きたいぐらいなんですが、みんな、定められた2%を何とかここまでしとかんと、法律があるんやしなというような姿にしか見えんのです。
 せめて和歌山県、何かいろんなおくれてる県やと言われがちなところ、せめてこのことだけでも日本をリードするような数字を出してる、そのことによって県民が胸張って話ができると、そんな環境に早く届かないかなとちょっと感じる次第です。
 それから、教育委員会の答弁いただいた中で、後段のくだりで、「法定雇用率にさえ達していないことを真摯に受けとめ」という言葉を入れていただいてました。僕は、まさにそのとおりだと思います。ぜひ真摯に対応していただいて、せめて法定雇用率をカバーできるようにお願いをしたいと思います。
 それから、長年こんなことを取り組んできた立場の一人として、一つ提言をさせていただこうと思います。先ほどお話しさせていただきましたが、どうしても職場職場によって法定雇用率が達成できない、そういう環境がある、その職場があるというふうなところがあるとしたら、一つに、ちょっと調べてみたんですが、第三セクター的な組織がある場合は、そこに特例子会社をこしらえて、そこに採用さしていただくことによって、全体で雇用率が超えてきた、雇用率が達成したと、そういう方式が実はあるんです。
 県当局のほうも、地方自治体ではこういう事例ってあんまりないと思いますけれども、でも、障害者雇用をもっともっと積極的に進めていただきたいという思いの立場から言えば、方策の一つとして特例子会社を検討していただけたらどうかなと。
 そしたら、例えば県警の皆さん方の職場でしたら、どうしても障害ある皆さん方、同じような法定雇用率でいくと、実際、現場は体力が要ったり、それから24時間勤務であったりとか、障害ある立場の者が十分働くことができない、そういう環境があるような職場もやっぱりあるんだろうと思うんです。そこにまで同じ数値を押し込んでいくということは、むしろそのことによって住民の、県民の治安を守っていくという機能が100%発揮できるかというようなあたりのところを考え合わせたときに、いろいろ方策の一つとして、無理なむちゃな雇用の話につなげていくという話ではなくて、何かそういう特例子会社的な方策をとることによって、くどいようですけど全体の雇用率の改善につなげられればいいんじゃないかなと思ったりします。
 そんなことも含めて提言をさせていただいて、一度御研究をいただけたらありがたいなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 そしたら、議長、続いて。
 次に、高校生の通学について御質問させていただきたいと思います。
 高校受験を控えた3年生の保護者等による教育長に対する陳情が近年、恒例みたいになってまいりました。その陳情の中身の一つが、普通科教室の増設であります。
 近年、生徒が普通科への進学を求める大きな要因として、例えば、発展途上国と言われ、過酷な生活を強いられているアフリカの国々においても、携帯電話で連絡を取り合っている姿がテレビなどの映像で見受けることができます。全地球的規模で5年、10年という極めて短期間のうちにIT化社会に突入するなど、現代社会の生活環境が我々考える以上に大きく変貌していると感じます。子供たち自身の将来を見る目と心が時代を見据えた姿に変化し、進化しているからだと私は考えています。
 その生徒たちが自分自身の将来を考えるとき、急変する時代に対応できる位置でありたい、その思いの帰結として、将来社会にフットワークがきくとの考え方から、普通科を求めることになってるんではないかと考えるわけでございます。
 その教育長との団体交渉の席で、学区制の廃止により遠距離通学になってる生徒たちの交通アクセスの問題も最近提起されるようになりました。育友会の代表いわく、「田辺圏の生徒の中で、かなりの数の生徒が日高あるいは串本方面に高校入学が決まり、遠距離通学を余儀なくされている。その生徒の多くが、クラブ活動をすると、帰りのJRの列車がなく、帰宅が夜の10時ごろになってしまう」との訴えでありました。「これでは、生徒たちが帰宅後、予習や復習をする時間がほとんどとれません。もう少しきめ細かいダイヤ編成が欲しい」とのことであります。
 生徒たちの学習環境を守ることも、教育委員会の仕事の一つだと考えます。そもそも、学区制を取り払い、現在の姿に移行していく協議の中で議論がなされていなければならなかったことと考えますが、いかがでしょうか。
○議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県立高等学校の通学区域のあり方につきましては、平成10年5月に設置したきのくに教育協議会の中で協議が行われました。新たな専門学科や総合学科が設置され、人口動態や交通事情が変化し、生徒や保護者のニーズや価値観もますます多様化する中で、通学区域のあり方について検討するものと報告されております。
 中学生が高校への進学を選択する際には、学校や保護者と相談しながら、将来を見据えて課程や学科、自己の学力や適性、部活動等の教育活動、通学に要する時間など、さまざまな観点から決定していくものと思います。県教育委員会といたしましては、進路の選択肢をできる限り確保するとともに、高校教育を受けることができないというような事態にならないよう努めております。
 また、通学に要する時間は、地方によっても条件に違いがありますが、重要な観点の一つと考えております。通学手段につきましても、子供たちの教育活動にできる限り支障を来さないよう、関係機関と協力し、公共交通機関の利便性が確保できるよう引き続き働きかけてまいります。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。ぜひどうぞよろしくお願いしたいと思います。
 ちなみに、どの程度の生徒がおるんかということで、ちょっと忙しい日が続いたんで、直接お会いして話を具体的に育友会の関係の方々にも確認したいというふうに思ったんですが、できませんで、実は先ほど、ここの開会の10分ほど前に携帯のほうに電話がありまして、その数字なんですが、田辺から串本のほうに通われている方が11名、新庄からみなべのほうには105名、そういう数字をお伺いしました。すさみから富田のほうから通われる方で3時間ぐらい待つようなことがあると、そんなことです。
 それから、この相談を当局の皆さん方にした折に、こんな話がありました。これも何かちょっとやっぱり子供の立場に身を置いた言葉ではないように思えたんで、ちょっとお聞きしておいていただきたいと思います。
 こんな話になりました。子供たちが望んで行ったんだったら、それはカウントから離しますと、田辺から串本のほうに行かれてる生徒は1名ですと、大分数字が違うじゃないですか。
 それと、子供たちが選んで行った場合は違うかのような話ありましたけども、そうじゃないと思います。学区制を取って、子供たちが好きなところに学習できるような環境を整えたわけですから、それもいろいろそこに行くには、その域内での学力不足だったから、そこへ行かざるを得なかった、そんな子供たちもあるわけですけども、いずれにしましても、子供が選んだことやから自己責任的な話は論外だと思います。これが東京に通っている話だったらいざ知りませんが、この小さな和歌山県の中でこんな状況があるというのは、やっぱり次代を担う大切な子供たちです、十分な教育環境というのは真剣に考えてあげてほしいなと。それが我々の世代が次の世代のための子供たちにする真剣な取り組みであるはずであると僕は思うからです。どうぞよろしくお願いいたします。
 そしたら、議長、次に入らしていただきます。構いませんか。
 最後です。白浜国際ターミナルビルの建設についてでございます。
 白浜空港の経営は、コンセッション方式で決まった新しい運営体であります株式会社経営共創基盤との交渉が終了しまして、現地法人としてつくられた株式会社南紀白浜エアポートが運営していくとのことでございます。その経営幹部の動きが活発化しています。
 私は、その活動を強く支援をしていきたいと考えています。それは、以前もこの席で発言をさせていただきましたように、あの土地を本当に先祖からの、あるいは生活の基盤そのものであった土地を、お上のすることだからというて、みんなが成田闘争するようなこともなく気持ちよく提供してきた、そして寿命を終わっていった皆さん方の気持ちを思えば、何とかあの空港が県営空港としての当時の計画の段階に、恐らく県当局の当時の皆さん方も夢見た姿があったんだろうと思います。その夢見た姿にできるだけ近づけることに、地元に住んでる我々自身もやっぱり協力すべきだと思うからでございます。
 私は、そしてその活動を強く支援していきたいと考えていまして、その具体的な形の一つとして、一日も早く白浜空港活性化の目的の一つでもありました国際ターミナルビルの建設にまず着手してほしいと考えていますが、当局の計画によりますと、あと3年後となってるんです。なぜあと3年も必要とするのか。人、物、金が、国境がなくなってきていると言われているこの時代、過去のスピード感では目標や目的を見失ってしまうんではないかと思ってしまいます。そういった意味で大変危惧をしています。
 ちなみに、私たちは、経営体の一日でも早く健全な経営体制になることを願いまして、佐賀県内に設置されている同じ2000メートルの滑走路を持つ佐賀空港へ調査にも行かしていただいて、その取り組みを参考に白浜空港利用促進のための応援団を組織化するとともに、その作業を進めさせていただきます。
 そうしたことも踏まえて、当局の御見解をお願いしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 国際ターミナルビルの竣工につきまして御質問をいただきました。
 南紀白浜空港の国際線ターミナルビルにつきましては、県が運営事業者の募集を行った際のテーマの一つに設定をしておりまして、その配置計画の提案を求めておりました。今般、その詳細につきまして、大阪入国管理局など関係機関との協議が調ったところでございます。
 今議会におきましては、国際線ターミナルビルの設計作業に着手するべく債務負担行為の設定を御提案させていただいているところでございまして、御承認をいただき次第、直ちに設計業務の入札手続を開始する予定としております。
 設計業務の工期につきましては、約9カ月間を想定しておりまして、2019年8月末には実施設計を完了する予定でございます。その後、速やかに建築工事に係る入札手続を進めてまいりますが、事業規模が大変大きく、また議会承認が必要な建築工事となる予定でございますため、工事着手につきましては2020年2月議会の御承認をいただいた後の2020年4月を予定しているところでございます。
 建築工事に係る工期につきましては約14カ月間を見込んでおりまして、国際線ターミナルビルの完成につきましては2021年の6月を目指しているところでございます。
 今回発注いたします設計業務の中におきまして、建築工事の工期を短縮できる手法についても検討させていただきまして、早期の竣工に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○議長(藤山将材君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。ぜひ、気持ちは一日も早く、今おっしゃっていただきました工期の短縮をいただいて、一日も早く国際ターミナルビルが完成し、大金を投入してつくった南紀白浜空港が県民の皆さん、そして日本国内あるいは外国の皆さん方が活発に使っていただきまして、きらきら光る飛行場につくり上げていただきたいなと、そう思います。
 勝手なことを申し上げまして、終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 29番岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕(拍手)
○岩井弘次君 おはようございます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、早速通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、このたびの台風により亡くなられた方もおられます。また、多くの方が被災されました。心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 続いて接近した台風、特に台風21号は、暴風により広い範囲に甚大な被害をもたらしました。近年経験のなかった長時間の停電、また暴風により家屋やカーポートの屋根などが吹き飛び、それらが衝突して損傷を受けるといった、特に強い風による被害が大きかったように思われます。規模の大小を挙げれば切りがありませんので多く申しませんが、この台風は余り記憶にはない恐怖というものを感じました。
 事前に接近が予測されておりましたので、9月4日の早朝、私はまず我が家の対策をいたしました。というのも、以前、台風の折に、地域を回り帰宅いたしますと、我が家のカーポートの屋根が飛んでおったということがありました。その飛んだ屋根のことよりも、その飛ばされたトタンがどこかのお宅に迷惑をかけていないかと捜し回った苦い思い出があります。ですから、そのようなことがないようにと、今回は風で剥がれ飛ばないように、カーポートの屋根材を針金で補強したり、飛ばされそうなものは全て倉庫等にしまったり、自転車などはロープで縛りつけるなどをして、万全だと思うようにしてから地域を回り、台風への備え怠りなきようにと声をかけて回りました。
 昼過ぎごろから雨風が強くなってきましたので帰宅し、あとは被害なきようにと祈る思いで過ぎ去るのを待つしかありませんでした。時折、屋根が風で膨らみ、柱ごと大きく揺れるカーポートを見ながら、思わず「頑張れ」と言ってしまいました。
 何とか持ちこたえてくれましたが、次に停電。私の記憶では、子供時代に台風のときよく停電したように思いますが、久しぶりにろうそくや懐中電灯のもと、食事。食事といいましても、携帯ガスコンロで麺類を煮たり、湯煎で食べられる冷凍食品を温めたりして済ますことができました。
 夜も更け、ラジオから流れる台風の現在位置や重立った被災状況を聞きながら就寝いたしました。
 夜が明け、停電も解消されていましたので、ニュースなどで台風被害の大きかったことを知りました。
 それから、台風もおさまっていましたので、気になるところを見回りに行こうと思いましたが、早朝より被害に遭われた多くの方からの電話で午前中は身動きがとれず、午後からまず地区連絡所へ行きました。コミセンや小学校にも避難されている方がいるということでしたので、それらの状況を確認するため巡回いたしました。
 伺いますと、ひとり住まいの高齢者の方が何人かおられ、窓を押す風の音が怖かったので来られたとのことでした。また、別の方は、体調が思わしくなく、クーラーが使えないとぐあいが悪いのでといった方もおられました。
 家屋などの損壊は、ある程度、自分で応急処置をするか修理依頼したりして先が見えましたが、停電についてはどうすることもできません。地域的な「面」での解消ができてから、後に起こった「点」での再停電、いわゆる通電したことにより時間差で、横殴りの雨や風が原因なのか、一部の電柱におけるトランスのショートや引き込み部分のふぐあいなどだと思いますが、再び停電になったところが多くありました。
 主要な復旧工事が優先されることは承知しておりますが、その方たちからすれば、「お隣やお向かいには電気がついているのになぜ」という気持ちになるのもわかります。表現はよくないかもしれませんが、みんなで暗いのと、自分だけが暗いというのは、感じ方や耐え忍ぶ心にも違いがあります。そういった方からの電話が集中したのも、電力会社への電話がつながらなかった原因の一つだと思います。
 和歌山市では、台風21号により被害を受けた方々に対して、生活でお困りのことなどについて相談をお聞きするための窓口を市内42カ所の地区連絡所などに設置されました。伺うと、地区連絡所でも困っていたのが、一部での停電を解消してほしいという住民からの相談でありました。関西電力も懸命な努力をしていたでしょう。怠っていたわけではないと思います。勤めておられる知り合いもおりますが、今回の台風で、その対応に、家にも帰らず尽力されているお姿を拝見しました。
 長引いていたとされる停電も近畿各地で最大220万軒が10日余りでほぼ全面復旧したことに対して、評価は分かれるかもしれませんが、大規模災害時にはこういったことが必ず起こってきます。関西電力には、今回のことを教訓にしていただいて、対処できる体制づくりをと切に願うものであります。
 それと、確かに民間企業のことではありますが、公共性の高い電気、ガス、交通機関などが大きな被害を受けたとき、その相談窓口が被災したりすることもあるわけですから、困っている住民のため、その相談事項をまとめ、ホットラインとして報告できる体制をとるなど、県や各市町村も協力できないものかと今回の件で強く感じました。実際、地区連絡所では、職員の方が関西電力に何度も電話をし、実質的に窓口となっていました。
 停電について少し長くなりましたが、園部地区でも台風や大雨のたびに土砂崩れの危険が高まることにより、避難を余儀なくされ、数世帯が近くの小学校に避難されておられました。ここは、過去の豪雨により地すべりが確認され、管理者の和歌山市が土砂の動きや地下水の変化などの観測データや警報メールを配信できる自動観測システムで監視しながら、現在もその解消に向け鋭意努力いただいております。しかし、時間のかかることですので、たび重なる台風や豪雨時には避難勧告が出され、その都度避難されておられます。
 また、ある避難所では、床がかたいので、近くのスーパーで段ボールをもらってきて敷いて、少しでも居心地がよいようにと対処されているというところもありました。
 しかし、非常事態ですから、当然ぜいたくは求めませんが、今後、南海トラフ巨大地震等大規模災害が発生した場合に避難生活が長期間にわたることが想定され、避難所の環境を充実させることも重要ではないかと考えます。
 例えば、避難者が少しでも快適に就寝できるよう琉球畳のような小さな畳を備えておくことや、情報収集手段の確保に複数台のテレビがあればよいのではと思いますが、避難所における資機材の充実を図るため、市町村を積極的に支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。危機管理監、お答えください。
○議長(藤山将材君) ただいまの岩井弘次君の質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 大規模災害時には、議員御指摘のとおり、多くの避難者が発生し、避難所生活が長期化することも想定されることから、避難所の生活環境の充実を図っておくことは大変重要であると認識しております。
 そのため、県では避難所の運営が円滑に行われるよう、平成25年に市町村避難所運営マニュアル作成モデルを策定するとともに、その後、発生した災害の教訓等を踏まえた改正を行うなど、内容を充実させてきたところでございます。
 このマニュアル作成モデルには、避難所においてテレビやラジオ等の情報収集手段を確保することや、運営に必要な物資、資機材を備えておくことなどを盛り込んでおり、適切な避難所運営を行えるよう、引き続き市町村に対し助言してまいります。
 また、避難所に必要な畳やエアマット、簡易ベッド等の資機材の整備につきましては、従前より市町村に対し、わかやま防災力パワーアップ補助金により支援を行い、その充実に取り組んでおります。
 今後とも、良好な生活環境が確保された避難所となるよう、市町村を積極的に支援してまいります。
○議長(藤山将材君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございました。わかやま防災力パワーアップ補助金にて支援され、その充実に取り組まれておられるとのこと、しっかり後押しをしていただきたいと思います。
 避難されている方にとって、休むことと情報を得ることは最低限求められるのではないかと思います。しかし、現実には、テレビもなく、かたいフロアにブルーシートと毛布を敷いてという状態もあります。それが長期になってきますと、肉体的にも精神的にもこたえてまいります。どうか今後も市町村の避難所の状況を把握しながら、環境の充実にお取り組みいただきますようお願いいたします。
 それでは、次に、ため池についてお伺いいたします。
 平成28年6月議会でもお伺いしましたが、和歌山市内には約500カ所のため池が農業用水確保のために活用されております。
 これまでも、県では、ため池決壊に対する安全度向上のため、ため池改修加速化計画を策定され、必要であれば全面・部分改修などに取り組んでこられたと聞いております。
 降雨時には調整池としての役割もあわせ持つものと思いますが、やはり台風や豪雨などにより、短時間で急激に増水し、決壊することが憂慮されます。本年7月の豪雨災害を受けて、農林水産省よりため池の緊急点検が行われたとお聞きしましたが、その結果について農林水産部長にお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 平成30年7月豪雨を受け、農林水産省より、全国ため池について8月末を目途に緊急点検を実施するよう要請があり、和歌山県においても実施しました。
 緊急点検においては、市町村と協議し、下流の家屋や公共施設等に被害を与える可能性のあるため池2531カ所について、堤体、洪水吐き・取水施設、ため池内や堤体周辺の斜面などの点検を実施しました。
 点検の結果、緊急対策を必要とするような損傷を受けたため池はありませんでしたが、9カ所について流木の堆積などが見受けられたため、速やかに撤去等の措置を行い、完了しております。
 今回の点検結果を踏まえ、適正な維持管理が行われるよう、市町村やため池管理者の意識向上を図るとともに、必要な改修を進めてまいります。
○議長(藤山将材君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございます。8月末をめどに県内で下流域の家屋や公共施設等に被害を与える可能性のある2531カ所について、堤体や取水施設などの点検を実施され、特に緊急対策を必要とするような損傷を受けたため池はなかったとのことでした。
 約40日間で2531カ所、市町村やため池の管理者の方にも御協力いただきながらでしょうが、車で横づけできるようなため池はなかったと思います。大変な作業であったと思います。まことに申しわけありませんが、今回の連続した台風によりまして変化があったかもしれません。今後とも、引き続き安全確認をよろしくお願いいたします。
 それでは、次の質問に入らさせていただきます。
 今回の台風により、和歌山市の県工業団地も大きな被害を受けました。特に浸水被害を受けた雑賀崎工業団地について伺います。
 台風21号が近畿地方を通過した4日、和歌山市では午後1時19分に、1940年以来、観測史上1位の最大瞬間風速57.4メートルという猛烈な風が観測されるなど、県内7カ所で史上最大の風が吹きました。
 暴風圏に入った時間が満潮時と重なったこともあり、和歌山市では午後1時過ぎ、通常より潮位が1.46メートル高くなり、あわせて暴風による高波や高潮で堤防の一部が決壊し、建物が浸水するなどの被害が出ました。
 そこでお伺いしますが、雑賀崎の工業団地における被害状況と、今後どのような対策をとられるのか、県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 雑賀崎工業団地の被害の状況と今後の対策についてお尋ねをいただきました。
 雑賀崎工業団地の被害状況でございますが、高波により護岸の一部である越波排水路壁や緑地の園路、修景施設等の損壊と、損壊した護岸からの海水の流入によりまして、17の事業所で浸水被害を確認しております。
 被災した護岸は、消波ブロックで波を砕き、そのしぶきを背後にある越波排水路にため、海に排水する構造となっておりました。
 護岸の被災原因でございますけれども、今回、和歌山市で最大風速39.7メートル、最大瞬間風速につきましては、岩井議員からもございましたように57.4メートルという観測史上最大となる猛烈な風が吹いたことによりまして、非常に大きな波が消波ブロックを越え、本来波が当たらない越波排水路の壁を直撃し、壁が損壊したものと推測しております。その結果、この部分から越波による海水が背後地に流入し、浸水被害が発生したのではないかというふうに考えておるところでございます。
 今後の対策でございますけれども、現在、被災時の波浪の解析を行っておりまして、結果がまとまり次第、護岸のかさ上げや補強など、同様の波浪が発生した場合でも耐え得る構造で早期に復旧したいと考えているところでございます。
○議長(藤山将材君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。被害を受けた経営者のお声を伺いますと、「県内の津波等への対策が優先されるのは、よく理解できます。しかし、命を落としてからではね」と。また、やはり安心できる環境にしてほしいと望んでおられました。
 物的な損害で済んだからともおっしゃっておりましたが、今回のような台風や洪水といったことが原因での車両損害は車両保険をつけていれば担保されますが、事業用車両などの多くは車両保険までつけていることは自家用車に比べて少ないことが多く、事業損失は大であります。自己防衛すべきことではありますが、今回のことを教訓として、でき得る限りの対策を講じていただきますよう、強く要望させていただきます。
 それと、議長、今回、本日、追加議案もありましたので、台風20、21号被害に関連して1問よろしいでしょうか。
○議長(藤山将材君) はい。
○岩井弘次君 それでは、先ほど知事より上程されました補正予算の追加提案分につきまして、営農や事業者の支援策がございます。迅速な対応、異を唱えるものではありません。支援をするかしないか等々、こういう災害のたびに急な補正予算等で上げられることもあろうかと思います。決して反対はするものではないんですけども、この際、その基準を設けてはいかがかと思いますが、当局の見解をお伺いいたします。よろしくお願いします。
○議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今回の補正予算に関しましては、各部といいますか、各分野それぞれ考え方がございます。
 まず、例えば公共施設、こういうものについては、そのまま直せば何とかなるというものについては、そのまま早急に早く直すと。それから、今お話のありましたような雑賀崎の堤防などは現に壊れたわけでございますので、これはそのまま直してはまた起こりますから、もっと強固な設計思想でもって、改良復旧といいますが、そういうものをやらないといけないので、それをやらせていただくと。
 それぞれについて、実は災害復旧の補助金を国庫からいただけるものと、それから実は基準上いただけないものがあります。いただけるものについては災害復旧費として計上さしていただき、それで、それ以外のものは土木費として計上さしていただいてるというような考え方でございます。
 今回のケースについていえば、特に農水産物、これが大変な被害を受けております。通常の台風でいいますと、例えば農林水産業被害の大部分は林道の決壊とかそういうところなんでございますけれども、今回につきましては、果物の落果とかそういう農水産物そのものの被害、及びパイプハウスの損壊とか、そういう農業の方々が手近で利用しておられるような施設ですね、そういうものについても大変な被害を受けてまして、これについては、例えば無利子融資の制度を発動さしていただこうとか、あるいはパイプハウスなどは果樹園芸に対する助成があるんでございますけれども、それを目いっぱい使っておりますので、これがとても足りませんから、これを今回の災害の復旧のときに目いっぱい使えるように予算の手当てをお願いするというような形でございまして、それぞれ考え方としては目いっぱいということでございますが、それぞれの予算費目ごとに基準がありますので、その基準に従って、考え方としては目いっぱいという、金額も目いっぱいということで出させていただいているというふうに御理解いただきたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございました。いずれにしましても本当に迅速な対応、すごいなと思いました。ありがとうございます。
 それでは、質問の最後になりますけれども、住宅の耐震工事に係る補助金について伺います。
 首都直下地震や南海トラフ巨大地震を初め、日本全国で大地震発生が予測されていますが、その被害を最小限に食いとめるための方法の一つとして住宅や建築物の耐震化が重要です。
 阪神・淡路大震災では、亡くなった方の約9割が建築物の倒壊や家具の転倒によるもので、そのうち現在の耐震基準を満たさない昭和56年以前の建築物に被害が集中していたことが明らかになっています。
 こうした背景から耐震改修促進法が制定され、平成25年に改正されています。これに基づき、国の基本方針において、住宅の耐震化率及び多数の者が利用する建築物の耐震化率について、平成32年までに少なくとも95%にすることを目標とするとともに、平成37年までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することを目標とし、現在の耐震基準による建てかえや耐震改修を促進しています。
 本県でも、住宅の耐震化を支援し、安全・安心な住宅で被害を最小に抑え、命を守るため、県内の市町村では平成12年5月以前、市町村によっては昭和56年5月以前に建築された住宅の耐震化のために助成を行っています。現在、耐震診断はほぼ無料で、各市町村に申し込めば受けられるようになっておりますが、いざ耐震改修が必要と診断されても、その費用負担が耐震工事に踏み切る決断の大きなハードルとなっています。
 耐震工事等に対する補助は、市町村によって多少の違いはありますが、補強設計と耐震改修をあわせて実施するとして、合計で耐震改修費用の40%、最大50万、プラス定額66万6000円の116万円の補助を定額で受けることができます。一般的な改修費用の目安として、調査結果では100万から150万程度が最も多いのですが、改修費用の約半分以上が返ってくることになります。
 そこで、近年、補助金部分は直接工事業者に支払われ、工事費等と補助金の差額分だけを用意すればよい代理受領制度を導入する自治体がふえてきております。地震による住宅の倒壊等を防ぎ、災害に強いまちづくりをより促進するため、住宅の耐震改修工事が促進するよう、ぜひ導入を推進していただきたいと望みますが、お考えを県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 住宅耐震に係る補助金の代理受領制度についてお尋ねをいただきました。
 住宅耐震化の促進は、災害による犠牲者ゼロを実現するための大変重要な防災・減災対策の一つであると認識しております。
 本県におきましては、平成16年度に住宅耐震化を図るための補助制度を創設以来、木造住宅の補助対象を平成12年5月以前にするなど、さまざまな制度の拡充を図るとともに、市町村と連携いたしまして戸別訪問を実施するなど、住宅の耐震化を促進してきたところでございます。
 さらに、今年度から、設計と耐震改修工事を一連で実施するものを対象に定額補助制度を新たに追加いたしまして、より使いやすい制度に拡充してきたところでございます。
 議員御指摘の住宅耐震化に係る補助金の代理受領制度については、耐震化工事を行おうとする人は工事費等と補助金との差額分のみを用意すればよく、資金準備の負担が軽減されるというメリットがありますことから、他府県では導入している市町村がございます。
 この代理受領制度を導入している県外の市町村におきましては、補助件数が増加するなど耐震化促進の効果があったという話も聞いてございます。県といたしましても一定の効果があるものと考えますので、市町村に対しまして運用手法等に係る情報提供を行い、県民がより使いやすい補助制度となりますよう働きかけてまいります。
○議長(藤山将材君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 前向きな御答弁ありがとうございます。ぜひ使い勝手のよい補助制度となるよう、市町村に強く働きかけていただきますようお願いいたします。
 最後に、去る9月9日、熊野本宮大社旧社地大斎原で行われました世界遺産「高野・熊野夢舞台」に行かしていただきました。
 何とか昼までに終わりますので、もうしばらくおつき合いお願いいたします。
 今回は、シャンソン歌手のクミコさんによるステージでしたが、昨年予定しておりましたが悪天候により中止となり、いわばリベンジの公演となりました。
 私も、和歌山市を出る前、現地の天気予報は雨模様でしたし、台風後のもろもろの対応で少し疲れておりましたので、正直やめようかと思いました。しかし、前に行った高野山壇上伽藍での夢舞台もすばらしかったですし、思い切って癒されようという思いで車を走らせました。行かせていただいて本当によかったと思います。クミコさんの、心を揺さぶるような歌声に感動いたしました。いつも思うことですが、アーティストは歌い出しの5秒で聞く人の心をつかみます。私が1時間しゃべったところで、なかなか難しいことでございます。本当にうらやましい限りであります。
 心配していた天気もコンサート中は一滴の雨も降ることなく、会場は約400人のお客様で埋まり、大成功の舞台でした。前々日からの準備、コンサート後の後片づけは、雨の中、大変な御苦労だったと思います。御尽力いただいたスタッフ並びに関係各位の皆様に改めて感謝申し上げます。
 そして、地元芸能「奥熊野太鼓」の演舞では、胴長太鼓とか呼び名があるのでしょうが、いわゆるその大太鼓が打ち鳴らされますと、それまでたたかれていた小太鼓などの音が聞こえなくなります。当たり前のことなんですけども、ただ、そのとき感じたことは、大きな声に耳を奪われ、そちらにとらわれがちになりますが、訴え続けている小さな声を聞き漏らすことのないようにしなくてはならないということを改めて感じました。
 本宮に行きますと、思い出す方がおります。平成27年6月号議会だよりの中の各選挙区の議員紹介に、桜の前でほほ笑まれておられる故泉正徳先生。そこには、「地域の未来をみすえて皆様の声を届けます!!」とあります。本宮の地でそういった声を届け続けられた泉先生のことをしのびながら帰ってまいりました。
 ぜひ今後もすばらしい和歌山を発信し続けていただきますようお願い申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、岩井弘次君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時50分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(藤山将材君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕(拍手)
○中本浩精君 皆様、こんにちは。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず、大項目1、統合型リゾート(IR)について、小項目1、IR誘致に向けた知事の意気込みについてお尋ねいたします。
 カジノを含む統合型リゾート、いわゆるIRの導入について、知事は就任当初から積極的に研究、検討され、平成19年には和歌山県カジノ・エンターテイメント研究会を、平成22年には神奈川県、沖縄県とともに3県カジノ・エンターテイメント研究会を発足されるなど、意欲的に取り組んでこられました。
 去る7月20日に、我が国へのIR導入を認める特定複合観光施設区域整備法が参議院本会議で可決・成立したところです。知事におかれましては、長年の取り組みが実を結び、喜びもひとしおのことだと思料いたします。
 しかしながら、状況を考えますと、喜んでばかりはおれないというのが率直なお気持ちではないでしょうか。と申しますのは、区域認定数が3カ所となったことで、今後、自治体間の誘致合戦がいよいよ本格化することになると思われるからです。
 現在、和歌山県を初め、北海道、大阪、長崎の4道府県が誘致に意欲を示しており、また、その他の自治体でも誘致に向けた動きがあると聞いております。我々は、その中で三つの中に勝ち残らなければならない大変厳しい状況にあります。
 これまでも和歌山県は、県、県議会、経済界が一体となってIR誘致に取り組んでまいりましたが、今後はより一層の連携を図り、ぜひとも区域認定をかち取ることができるよう協力していかなければなりません。
 さて、このような中、9月3日の記者会見において、知事は、翌4日付で企画総務課内にIR推進室を新設することや、IR誘致を全庁一体となって推進するため、知事部局に加え、教育委員会、警察本部を含む関係20課による庁内横断の和歌山県IR誘致推進プロジェクトチームを設置し、誘致に向けた取り組みを強化、加速させることを発表されました。
 知事のIR誘致に向けた並々ならぬ熱意を感じ取った次第ですが、この機に、改めて知事からIR誘致に向けた意気込みを表明いただきます。よろしくお願いいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの中本浩精君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御発言のとおり、特定複合観光施設区域整備法、いわゆるIR整備法が成立し、認定申請までのスキーム等が示されました。
 確かに、区域認定数が3となったことで、今後自治体間の競争となるわけでございますが、和歌山は候補地として事業者から大変人気が高く、法律が目的とする国際観光の振興に資するよい区域整備計画を作成して選定されるようにしたいと考えております。
 先般行ったRFI──これは投資意向調査というもんでございますが──においても、海外事業者7社、国内事業者26社、計33社の事業者から提案があり、本県IRに対する関心の高さを改めて感じた次第でございます。
 今般のIR推進室の設置につきましては、法律が成立したことを受けまして、基本構想の改訂、それから実施方針の策定、区域整備計画の作成に向けた動きを加速するため、推進体制を整備したものでございます。
 また、和歌山県IR誘致推進プロジェクトチームにつきましては、ギャンブル依存症対策や反社会的勢力の排除、青少年の健全育成、交通インフラの整備などといったIR誘致に係る課題等に対する専門分野からの知見も集約し、その解決に向けた施策を効率的に立案する目的で設置したものでございます。また、例えば地元産品の調達とか、あるいは他の観光施設との連携とか、運輸企業なんかとの関係とか、そういうものについても全体的な視野からこれを推進していく必要があると思っておりまして、このプロジェクトチームの諸君には期待をしてるわけでございます。
 IRの導入は、地域の活性化に有効な方策であり、その雇用創出や経済成長、これに伴う人口減少抑制などの効果が大きいと思っております。「和歌山も、暮らしていけるんだから、IRなどというもんに手を出さないでも、このままいけるんと違うんか」という意見をお持ちの方も結構いらっしゃるんです。しかし、このまま何もしなければ、すなわち新しい要素を追加していかなければ、一般的に経済はずるずると後退していくもんでございます。このことは、和歌山が近年たどってきた歴史から明らかであります。
 例えば、高速道路なんかなくても大丈夫や、あるいは地場産業があるから、これ栄えておりましたんで、新しいもんに来てもらわんでも大丈夫やというようなことが一般的であったかもしれませんが、その結果、時代から取り残されたものもあるんじゃないかというふうに思います。
 今どきの日本で、あの大きさの投資可能性はないと言ってもいいと思います。したがって、成長戦略の一つとしてIRという新たな要素を取り入れることは、将来の和歌山に対する我々の責任ではないか、そんなふうに思っております。
 ただし、成長に資するからといって、副作用的な弊害をないがしろにするようではいけないと私は思っております。弊害には必要な手当てを施し、それを除去しながら、将来の和歌山県の発展のために誘致活動に取り組んでいくということでございまして、それがちゃんとできそうだから推進してるわけでございます。
 県としては、国に認定されるように、よい区域整備計画を作成することに全力を挙げる所存でございます。
○議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ただいま、知事より熱い答弁をいただきました。それを受けまして、次の質問に入らせていただきます。
 小項目2、地域への恩恵についてお尋ねいたします。
 知事は、以前からIRを誘致することによる経済振興及び観光振興効果、雇用創出効果などについて御発言されております。
 しかしながら、和歌山市のマリーナシティにIRを誘致して、県内全域にどのようにして恩恵をもたらすのでしょうか。橋本市でIRの誘致のお話をさせていただいても、少し関心が薄いように私は感じ取っております。
 まだ法律が成立したところですので、まだまだ具体的には固まっていないとは思いますが、考えている方策などがあればお聞かせください。企画部長、よろしくお願いいたします。
○議長(藤山将材君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) IRは、裾野の広いさまざまな産業により運営される複合観光施設であり、誘致によりもたらされる経済効果、雇用効果はこれまでにない規模となります。その効果はIR施設内にとどまるものではなく、施設外の商業や飲食サービス業、宿泊業等にも波及し、県全体に大きな波及効果をもたらします。
 県内に波及する効果を最大化するために、建設時においては可能な限り建築資材や建設工事の地元優先調達に努め、運営時にはIR内で消費する食材や資材に地元調達率を、雇用面では地元雇用率を設定するなどして、県内の隅々までその恩恵が行き渡る仕組みの構築をIR事業者に求めてまいります。
 また、訪問する多くの観光客を施設内に囲い込むのではなく、IRを広域観光のハブとして位置づけ、県内外の観光地に送り出す新たな人の流れを生み出すことが重要だと考えております。
 IR整備法においても、国内における観光旅行を促進する目的で、IR内に送客施設の設置が義務づけられているところです。本県でも、IRに訪れる多くの観光客を、この送客施設を通じて、県内であれば高野・熊野、白浜などを初めとする各観光地に送り出し、観光客をふやす仕組みを設けてまいります。
 加えて、IR施設内での消費額に応じてたまるポイントをIR施設外で使用できるクーポンとして利用し、訪れる各地域で使っていただけるようにするなど、県内各観光地を訪れるインセンティブを与える手法についても検討してまいります。
○議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 我々県議会も、昨年度、国に対して「地方創生を重視した特定複合観光施設区域の選定を求める意見書」を提出するなど、本県へのIR誘致をサポートしています。さらに、経済界も県、和歌山市と協働して和歌山IR推進協議会を設立し、誘致活動に取り組んできております。それだけ皆さん、期待しています。
 今、企画部長から「IRの恩恵が県内くまなく行き渡る仕組みづくりを検討している」と御答弁をいただきました。また、いわゆる社会的リスクに対する備えも、5月に発表された和歌山県IR基本構想で、本県独自のギャンブル依存症対策として利用上限額を設定できるIRカードを導入するなど、他の自治体に比べて厚いものとなっています。
 このようなアイデア、方策をブラッシュアップし、ぜひとも他の自治体に負けないすばらしい計画をつくって、誘致競争を勝ち抜いていただきたいと思います。そのためにも、和歌山県全体にIR誘致の機運を高めていただきたいと思います。IR誘致に向け、頑張りましょう。エールを送らせていただきまして、次の質問に入らせていただきます。
 大項目2、伊都中央高校の取り組みについてお尋ねいたします。
 現在、和歌山市において大学誘致が順調に進められているところです。
 1校目は、学校法人青葉学園が東京医療保健大学和歌山看護学部看護学科を収容定員360人、1学年当たり90人でことし4月に開学しました。
 2校目は、学校法人和歌山信愛女学院が男女共学の和歌山信愛大学教育学部子ども教育学科を収容定員320人、1学年当たり80人で来年4月に開学されます。
 3校目は、公立大学法人和歌山県立医科大学が和歌山県立医科大学薬学部を収容定員600人、1学年当たり100人で2021年4月に開学されます。
 また、4校目として、学校法人平成医療学園の宝塚医療大学が理学療法士と作業療法士を養成する学部を収容定員400人、1学年当たり100人で再来年4月の開学を目指されているところです。
 和歌山市では、ここ4年のうちに、看護師、教員、薬剤師、理学療法士・作業療法士を養成する四つの大学が開学される見通しとなっており、非常に活気づいています。
 一方で、橋本・伊都地域を見てみますと、大阪府と奈良県に隣接する和歌山県の東北部の玄関口として、世界遺産である高野山や、一昨年の大河ドラマ「真田丸」でも取り上げられた九度山町などに県外から多くの観光客が来られるようになりました。これは、県が管理する道路の整備を着実に進めていただいていることに加え、京奈和自動車道が県内で全線開通したことも大きな要因となっています。また、新紀見トンネルの工事が着工され、今後ますます交通の利便性がよくなることが期待されています。
 このようにハード面での整備は順調に進んでいますが、市街地の活性化はどうかといいますと、景気がよかった以前のような活気は残念ながら感じられません。橋本市では、地場産業の紀州へら竿やパイル織物が、いずれも日本一の生産量を誇っています。紀州へら竿は、その高い技術力により芸術品とまで言われる地位を築き、一定の根強い需要はあるものの、市場規模そのものは小さく、近年は後継者不足に悩んでいる状況となっております。
 パイル織物に関しましては、近年の需要の低迷に加え、海外低価格品との競争の激化や消費者ニーズの多様化による市場の変化等により工業出荷額は最盛期に比べて大幅に減少しており、下請業者を中心に廃業が後を絶たない状況になっています。
 また、雇用の受け皿を確保するために企業誘致や起業家支援に精力的に取り組んでいますが、大阪都市圏内に位置することから若年者を中心に都市部への流出が深刻化しており、来るべき少子高齢化による地域活力のますますの低下も懸念されているところです。
 この地域に和歌山市のように大学を誘致してもらいたいという気持ちもありますが、まずは高校教育においてこの地域を活気づけ、経済の活性化に寄与する人材の育成に期待したいと思っております。
 現在、紀北農芸高校や紀北工業高校、また、商業に関する学科を持つ笠田高校などでは、職業教育に精力的に取り組んでいただいており、学科の特性に応じた専門性の高い地場産業の担い手を育ててくれています。特に、紀北工業高校は、全国大会であるソーラーカーレース鈴鹿2018の大学・高校生部門で優勝するなどの活躍を見せています。そうした頑張りを頼もしく感じており、また、平成27年4月に開校した伊都中央高校にも大きな期待を寄せているところです。
 この伊都中央高校の2年生である四十住さくらさんが、ことし8月にインドネシアのジャカルタで開催されたアジア大会で、東京オリンピックの新競技、スケートボードの女子パークにおいて、見事金メダルを獲得しました。パークは、おわんを幾つも組み合わせたような複雑な形のコースで技を競う種目で、四十住選手は、おわんのような構造物の最上部で板の先端だけで体を支えたまま静止する得意のノーズブラントなどを決めるなど別格の滑りを見せ、2位に大差をつけて圧勝したということです。
 偶然にも、本日、四十住選手が知事を表敬訪問されると聞き及びましたので、ぜひとも今回の頑張りを褒めたたえてあげていただければと思います。四十住選手は、世界で活躍しながら伊都中央高校で学んでおり、多くの仲間の応援をもらっています。
 そこで、現在、伊都中央高校ではどのような教育を展開しておられるのか、その特色ある取り組みや期待について、教育長にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 伊都中央高校は、平成27年4月に、多様な生徒たちが個々に応じた学び方のできる学校として開校し、今年度4年目に入り、定時制課程、通信課程ともに全ての学年がそろいました。
 現在、伊都中央高校では、定時制課程において、午前に授業を行う昼間部と夕刻から授業を行う夜間部の間に、昼間部、夜間部に在籍する双方の生徒が教科、科目などを自由に選択できる時間を設けております。その時間では、進学、就職に向けた科目や生涯スポーツを取り入れた科目など約30の特色ある科目を開講しており、自分の興味・関心、進路に応じた科目を選択できるとともに、部活動やボランティアを中心とした地域活動など、生徒個々の多様なニーズに応じた活動ができるようになっております。
 また、地域の課題でもある介護人材の不足を補うため、県社会福祉協議会や地域の介護事業所等の支援を受けながら、介護職員初任者研修の資格取得を目指す講座も開講しております。
 また、中学校時に不登校の経験がある生徒も積極的に受け入れ、学び直しの科目も取り入れながら、個々の課題に応じた丁寧な指導も行っております。
 さらに、公民館等が行う文化活動やボランティア活動などに生徒が参加するとともに、学校で開講している教科、科目を社会人の方が科目履修生として受講できるなど、学校を地域の活動、学びの場としても開放しており、生涯学習の場としての役割も担っております。
 県教育委員会といたしましても、今後も伊都中央高校の教育を一層充実させ、生徒一人一人の夢が実現できる、また、地域とともにある学校づくりを進め、地域の活性化に貢献できる学校となることを期待してございます。
○議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 今、教育長から、伊都中央高校は、高校教育を受けようとする生徒の多様なニーズとともに、地域社会の期待に応える人材育成をすべく、特色ある取り組みを進めているとの答弁をいただきました。今後も、同校の特色、魅力化を進め、学ぼうとする生徒の頑張りを支え、地域社会でたくましく生きていく人材の育成と輩出に努めていただきますようよろしくお願いいたします。
 次の質問に入らせていただきます。
 大項目3、ブロック塀対策を踏まえた紀州材の利用についてお尋ねいたします。
 6月18日午前7時58分ごろに発生した大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震では、5人が死亡、400人を超える方が負傷し、住宅被害は3万棟を超えるなど、甚大な被害が発生しました。
 今月6日未明に起きた北海道胆振地方を震源とする最大震度7の地震では、41人が死亡されています。この場をおかりして、被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、大阪府北部を震源とする地震において、高槻市にある小学校では、プールサイドの高さ3.5メートルの塀のうち1.6メートルのブロック塀の部分が延長約40メートルにわたって倒壊し、通学してきた小学4年生の9歳の女児が倒壊した重いブロック塀の下敷きになり亡くなるという痛ましい事故が起こりました。
 また、大阪市東淀川区でも、民家の外壁が崩れ、近くに住む80歳の男性が下敷きになり亡くなりましたが、この男性は近くの小学校の見守り隊をしており、この日も小学校に向かう途中だったということで、やり切れない思いでいっぱいになりました。
 現在の建築基準法の施行令では、ブロック塀の高さは2.2メートル以下、直径9ミリ以上の鉄筋を入れること、補強材・控え壁を設置することなどの基準が定められていますが、高槻市のブロック塀はその基準を満たしていませんでした。
 今回のブロック塀倒壊の事故を受け、ブロック塀の耐震対策や安全点検が喫緊の課題となっているところですが、和歌山県ではいち早く県有施設におけるブロック塀の安全点検を実施し、基準に不適合または詳細な調査が必要な157施設のうち、地震発生時に歩行者の安全確保や緊急車両の通行に支障を来すおそれがある早期の対応が必要な76施設について、3億1700万円の補正予算を専決処分し、対応しておられます。
 東京都では、7月20日の小池百合子知事の定例会見において、大阪府北部地震を受けて行った調査で判明した建築基準法に適合していないブロック塀を設置していた都立高校3校と都有の2施設について、法令に適合しないブロック塀にかえて、東京・多摩地方の木材を使った塀を導入するとの発表があり、今後、都庁でプロジェクトチームをつくり、地域産の木材による塀の設置費用や耐久性を検討するとのことです。
 和歌山県におきましても、法令に適合しないブロック塀を撤去し、新たに設置する計画を進めておられるところですが、一方で、本県の森林は面積の約77%を占め、県土の保全や水源の涵養、環境の保全や木材の生産といった森林の持つ多面的機能を発揮させることで、県民が安全で安心して暮らせる社会や低炭素社会、循環型社会の形成に大きく寄与しています。
 本県では、このような森林の多面的機能を発揮させる上で木材の有効利用は重要な要素であるとして、公共建築物における木材の利用の促進に関する法律に基づき、公共施設等の木造木質化を推進しておられますが、紀州材を活用した塀の設置についてどのようにお考えになっておられるのか、農林水産部長の見解をお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 県では、これまで紀州材の利用拡大の観点から、木の国プロジェクト推進会議の設置や木材利用方針の策定など、県内の公共施設での木造木質化に取り組んできたところです。
 議員御指摘のとおり、ことし6月に発生した大阪府北部地震の被害を踏まえ、法令に適合しない重いブロック塀にかえて木材を使った板塀を設置することは、紀州材の需要拡大に一定の効果があると考えています。
 現在、県では、公共工事における木造木質化に係るコスト増については1割増しまでを許容としております。しかしながら、木材を使った塀のほうが3割から5割のコスト高となる上、塀は風雨にさらされ、ブロック塀に比べ耐久性に劣ることもあるため、全ての塀を木質化することは難しいと考えております。
 一方、ガードレールについては、景観に配慮の必要な箇所において木製としており、議員御提言の塀についても、木製ガードレールの設置基準に倣って紀州材の使用を進めてまいります。また、市町村に対しても木製の塀の設置について働きかけてまいります。
○議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 今、部長より前向きな御答弁いただきました。ありがとうございます。
 本当に、これまでも紀州材の活用に、県として熱心に取り組んでこられたことは承知しております。木の国わかやまの財産でもある紀州材を今後もさまざまな場所や用途で御活用いただけるよう、より一層尽力賜りますようよろしくお願いいたします。
 次の質問に入らせてもらいます。最後の項目に入らせていただきます。
 大項目4、紀の川の浸水対策についてお尋ねいたします。
 ことし7月には、西日本豪雨により多くのとうとい命が失われました。また、河川の氾濫や土砂崩れなどで住家などにも甚大な被害を受けています。もはや想定外では済まされないほどの甚大な災害が頻繁に発生している状況です。
 西日本豪雨では、和歌山県は幸いにして被害は少なかったですが、県外では死者223人、行方不明者9人という大災害となりました。
 8月23日の台風20号では、熊野川が氾濫し、新宮市日足地区を含む464世帯、857人に避難指示が出されたほか、川湯温泉の宿泊施設11軒が全て浸水するなどの被害が発生しました。また、その直後に到来した9月4日の台風21号では、猛烈な風が吹き荒れ、県内の多くの地域で屋根瓦が飛ばされる、樹木や電柱が倒れるなどの被害が多発し、その後、長期的な停電が続いたため、県民のライフラインにも多大な影響をもたらしました。この場をおかりして、被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 さて、昨年の台風21号では、紀の川本川の水位が上昇し、内水の排水機能が低下したことにより、紀の川沿岸の多くの地区において浸水が発生し、橋本市学文路地区も広範囲で浸水被害を受けました。このことを受け、内水被害の軽減に向けて、国に対する関係国会議員からの働きかけを初め、当県議会からの意見書の提出や、県や関係市町による積極的な要望活動がなされました。
 これらの動きを踏まえ、国土交通省においては、紀の川沿岸の各地域における浸水被害に関する情報共有や今後の浸水対策について、効果的かつ効率的な整備につなげることを目的として、国、和歌山県、奈良県、和歌山市、岩出市、紀の川市、橋本市、かつらぎ町、九度山町の県内6市町と奈良県五條市を合わせた7市町を構成機関とする紀の川流域における浸水対策検討会が発足し、ことし1月26日に初会合が開かれました。
 出席した市町からは、「雨水幹線の整備や雨水ポンプ場の建設には多額の費用と長い時間が必要で、住民ニーズに対し整備が追いついていない」、「市町村レベルでは限界がある。紀の川の抜本対策として、水位を下げる堆砂除去や樹木伐採、狭窄部対策を図ってほしい」、「国で内水対策の交付金の要綱を緩和してほしい」などの意見が出され、国は今後、出された意見を踏まえて、より具体的な治水対策を検討していくとのことだったと聞いております。
 その後、現在までの活動状況及び県における今後の取り組みについてはどうでしょうか。県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 紀の川の浸水対策についての御質問をいただきました。
 平成29年10月の台風第21号に起因する出水によりまして、紀の川沿川の各地域で発生いたしました内水被害の軽減に向けた対策については、中本議員御指摘のとおり、国土交通省において、効果的かつ効率的な整備につなげることを目的といたしまして、国、県、関係市町を構成機関とする紀の川流域における浸水対策検討会が本年1月に設置されたところでございます。この検討会におきましては、これまで各市町の担当者で構成するワーキングを実施しており、引き続き、国、県、関係市町の連携のもと、浸水被害の軽減に資する具体的な対応策についての検討が進められているところでございます。
 県といたしましても、紀の川本川の計画的な河川整備の加速化を初め、流下断面の確保や支川排水の円滑化に資する河道内樹木の伐採、円滑な流下を阻害する堆積土砂の撤去につきまして、強く国に働きかけることはもとより、当該検討会の結果を踏まえ、必要に応じてさらなる支援を国に働きかけるとともに、市町に対して所要の助言や支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
○議長(藤山将材君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 国における紀の川の抜本対策として、土砂堆積等による流下能力不足箇所の対策や農業用の取水堰、岩出頭首工、藤崎頭首工、小田頭首工の存在を踏まえ、狭窄部対策を実施し、浸水被害を軽減する紀の川直轄河川改修事業に取り組んでいただいております。狭窄部対策は現在、最も下流にある岩出狭窄部の対策工事に取り組まれているところであり、最上流部の小田狭窄部への対策工事は10年以上も先になる計画となっています。近隣の住民は、今後も長い間、台風が来るたびに、大雨が降るたびに不安な日々を過ごさなければなりません。
 紀の川の氾濫を防ぐため、大雨増水時の安全な流下に支障となっている河道掘削や中州の樹木伐採を早期に実施するよう既に国に対して要望しているところですが、今回の西日本豪雨においても、中州の樹木が氾濫の一因となったことが土木学会や国土交通省の調査でも報告されております。
 学文路地区の住民の皆様からも早急に工事を進めてほしいとの要望も出ていることから、優先箇所等を設定していただき、国に対する働きかけをより一層強めていただきますよう要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、中本浩精君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕(拍手)
○菅原博之君 菅原でございます。本日4番目の登壇となりますが、まだ後に本日は秋月議員が控えておりますので、早速質問に入らしていただきます。
 まず、今回台風により被災された多くの皆様にお見舞い申し上げますとともに、関係機関におかれましては、復旧に向け奮闘努力いただいていることに敬意を表したいと思います。その上で、言うまでもなく、今後も被災者や被災された事業者に寄り添った対応をとっていただきますようお願いいたします。
 私は、5歳のときに第2室戸台風で同じような周辺の風景を経験しておりますが、その記憶は恐怖とともにわずかに今でも焼きついております。しかし、もう私の年代より若い方たちで長く和歌山市に住んでおられた方たちは、台風によるこういう被害や、これほどの広範囲で、しかも生活に支障が出るほどの期間での停電の経験というのは、今までなかったのではないでしょうか。そういう意味で、我々は今回の台風によって、電気があって当たり前、水道から水が出て当たり前の生活になれ切ったことに、自然の猛威を突きつけられたものであります。
 今回の台風では、屋根が崩れたり一部が飛んでしまったという被害も続出しております。このことからも、早いタイミングの避難を住民の方に強く意識していただくことが大変重要になっております。
 とりわけ、今回の台風では、マンション生活をされているお年寄りに大きく負荷がかかりました。停電により水道が使えなくなり、トイレが使用できない、エレベーターも使用できない状況は、高層のマンションでお年寄りにとって本当にお困りだったと聞いております。その点でも、事前の準備行動として風呂おけに水を張っていて事なきを得た方もおられます。自然災害が大規模化する昨今ですので、当局はこういうことも住民の方に今後呼びかけていただきたい。もう十分配慮されているんだと思うんですけども、こういうことも一層注意を呼びかけていただきたいと要望させていただきます。
 さて、大自然の猛威に対して、各所で甚大な被害を余儀なくされてしまっている中で、批判されるべきは、現代工法の粋を集めて建設されているはずの関西国際空港の第1滑走路が水没、空港内のターミナルにも水が浸入し、機能不全に陥ってしまったことであります。
 この埋め立てられた空港島は、もともと地盤沈下が続くことを想定に入れ、護岸の堤防をかさ上げされていたということでありますが、今回は高潮による波によって、その堤防をあっけなく越えられ浸水し、空港は使用不能となりました。おまけに、空港と対岸を結ぶ連絡橋にタンカーが衝突し、道路部分は片側の橋のみ、昨日まで鉄道部分は全面的に使用ができない状態となっておりました。
 恐らく人知を尽くしてもっと備えるべきであった現代建築や土木の粋があっけなく壊れて機能不全に陥ってしまったことは、自然の猛威というよりは、知事も県ホームページのメッセージに想像力について書いておられますが、この場合も、その立場、立場でのキーマンの想像力不足と言わざるを得ないのではないでしょうか。
 本県でも越波による被害が出ていることから、今後の戒めとしなければなりません。また、このことは本県にとって大変大きな影響を及ぼしているのではないかと心配しております。
 関西国際空港の台風被災による本県観光への影響をどう見ているのか。商工観光労働部長にお尋ねしたいと思います。
○議長(藤山将材君) ただいまの菅原博之君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 関西国際空港は本県の観光の重要な玄関口であり、台風21号の被災による関西国際空港の利用制限により、国内外からの誘客に大きな影響が出ています。
 インバウンドのお客様が多く利用する白浜町と那智勝浦町の宿泊施設に問い合わせたところ、台風21号の影響による外国人宿泊客のキャンセル数が9月14日時点で、それぞれの宿泊施設において約600人、約780人に上っている状況です。
 関西国際空港の早期復旧については、関係機関が一丸となって取り組んでいるところでありますが、県としましては、既に最新の情報を国内外のメディア、旅行会社や現地プロモーター等にメールでお知らせするとともに、ウエブサイトやSNSに掲示し、広く周知を行っております。また、今後はこれらに加え、国内外からの誘客を図るプロモーションなどの取り組みを積極的に進めてまいります。
○議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 数字としてこの関西国際空港閉鎖の影響を調べるのが難しくて、やむを得ず観光の担当課にお願いして、わかる範囲で聞き取っていただいたものですから、限定的なデータですが、和歌山県全体でもかなり大きな影響が避けられないということだと思います。
 関西国際空港発着便の相当数は伊丹空港や神戸空港に振り分けるという対応が決まっておりますが、やはり中部空港や成田空港に変更される利用客がかなり出てくるのではないかと思っております。観光においては訪問地の変更も十分考えられる距離の違いが出てきますので、本県の観光にとって大変気になるところであります。
 今後、本県における交通インフラを考えたときに、空路にしろ、鉄道にしろ、大阪を経由するわけでありますが、今後の大きなトレンドは関西国際空港を中心とした空路、そして、新大阪を起点にした新幹線に集約されるわけでありますが、御承知のように、2037年からは、東京─大阪間でリニア中央新幹線の開業が計画されております。このリニア中央新幹線は、まず2027年に東京─名古屋間を開業させることになっており、既に相当の工事が着々と進められておりますが、東京─大阪開業予定の2037年までのこの19年間に、和歌山県はするべき重要なことがあります。
 それは、リニア中央新幹線大阪駅への四国新幹線乗り入れを実現することであります。そして、四国新幹線の和歌山市乗り入れで、関西国際空港との複眼的な交通インフラを確立する貴重な時間がこの19年間と考えております。複眼的と申しますのは、つまりリニア中央新幹線の東京─大阪間はほぼ1時間と試算されておりますので、航空機の東京─大阪間と同じ所要時間となります。
 しかし、むしろ航空機は搭乗の30分前に手続を済ませるのがルールですので、航空機のほうが30分余計にかかるわけです。その上、リニア中央新幹線は都心に直結した地点に到着しますので、後の移動が早いことなどを考えると、合計で1時間ほどリニアのほうが短縮できるということになってまいります。もちろん、関西国際空港のほうがリニア中央新幹線の大阪駅より距離は近いのですが、それは和歌山県から見た場合で、本県以外の多くの利用者にとっては必ずしもそうではありません。
 こういった観点から見ていくと、リニア中央新幹線東京─大阪間開業後は、徐々に関西国際空港の東京─大阪間の便数は減少し、東京─大阪間はLCCや貨物輸送が主体となると考えるべきではないでしょうか。
 ここで、四国新幹線の大阪乗り入れが実現しているかいないかは、本県にとって大きな問題となります。和歌山県以外の関西圏では、総じてリニア開通で大きな利便性を享受できるのに対して、本県では、リニア中央新幹線を利用しても大阪までの交通インフラが現在のままでは、単純に時間の短縮にはなりません。
 さきの6月議会で、同僚議員の質問に対する仁坂知事の御答弁で四国新幹線の実現に向けた知事の意欲をお伺いいたしましたし、本年5月18日、和歌山県民文化会館において、シンポジウム「未来を創る交通インフラ~国土の強靱化と紀淡海峡ルート・四国新幹線を考える~」も開催され、先を見据えた四国新幹線計画の成就に向けた空気醸成に努める知事の御努力を感じるところでございますが、私はそのシンポジウムを拝見いたしまして、今思っていることでございますが、新幹線は空港連絡橋を渡らないほうがよいのではないか。そのほうが計画を格上げしやすいということがあるのでしょうが、空港島は今後も地盤沈下を続けることが想定され、今までも強風が吹くとたびたび連絡橋が渡れなくなっております。交通の複眼化という視点で見た場合は、関空島には入らないほうがよいと考えております。
 ただ、まだとてもそういう議論ができるタイミングのときではないと思っておりますけども、そのシンポジウムでは、財源について、例えば京都大学大学院の藤井聡教授から地方自治体が一定程度負担する方法や、飯泉徳島県知事からも財政投融資も一案といった御趣旨の意見が出されました。藤井教授から、関係の自治体が事業費の一定程度負担を行って事業化した場合も、確実に地元は元がとれておつりが来るとのお話もあり、先生の言う新幹線に関する前提条件が整えば、和歌山市を経由した場合の地域の経済成長は153%に上るとの試算が教授から発表されたことは大きな希望であります。
 そこで質問ですが、このシンポジウム開催機関の座長として、これらの発言に対する仁坂知事の御感想はいかがでしょうか。また、知事御自身は、財源を含め、どういう働きかけをするお考えをお持ちか、お伺いしたいと存じます。
○議長(藤山将材君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀淡海峡ルート、四国新幹線は、和歌山県のみならず関西の発展、日本の将来の発展のかなめとなる重要なプロジェクトであるとともに、東京一極集中からの脱却を図り、双極型国土構造の構築、さらには国土強靱化を図る上で必要不可欠なプロジェクトでありまして、ぜひとも実現させなければならないというふうに私は思っております。
 かねてからというよりも、これをもうちょっと詳しく分析してまいりますと、紀淡海峡ルート、これができますと、まず四全総のメーンテーマでありましたけれども、第1に、第2国土軸としての日本全体のリダンダンシーが確保されます。2番目に、西日本の大動脈の代替機能を有する四国新幹線の実現ができます。第3に、関西国際空港と大阪都心を結ぶ超高速鉄道の整備になるわけでございまして、関空の機能強化にもなります。第4に、関西大環状道路や大阪湾環状道路の形成になるわけでございます。そういう意味で、効果が非常に大きいと考えております。
 ところが、本県につきましては、一度熱が下がってしまいました。これはいかんということで、もう一度、数年前から私が発起人になりまして知事会の協議会をつくって、再度機運の醸成から運動を始めようということにいたしまして、言い出しっぺでございますので、会長に就任をしたわけでございます。
 具体的には、政府への要望をしたり、あるいはシンポジウムを行ったり、財界にいろいろ働きかけをしたり、そういうことでだんだん熱を上げていこうというふうに思ってるわけでございます。
 この間、5月18日に和歌山市で開催されたシンポジウム「未来を創る交通インフラ」もその一環でございまして、講師の藤井氏から、御指摘のように、紀淡海峡ルートとして四国新幹線が整備された場合は、本県にとっても大きな経済効果があるという考えも示されました。紀淡海峡ルート・四国新幹線実現へのエールと捉えて、大変心強く思っております。
 一方、本年6月に与党において、これは北陸新幹線の整備を進めるワーキングチームが立ち上がりました。もちろん優先順位、順番から言うと北陸新幹線をまずつくってということでございますが、その後のことも考えなければいけないねということが、有力なこのワーキングチームのリーダーから寄せられています。
 この北陸新幹線の整備についても、今後、財源について議論が進められるということでございますが、一方、四国新幹線などを念頭に、これは固有名詞はまだ出せないんでございますけれども、さまざまな新幹線建設のための調査費が、これは増額査定されて計上されたところでございます。この中で、この四国新幹線の財源問題、四国新幹線を含む新幹線網の整備の財源問題も議論されていくと思いまして、四国新幹線を含む次の整備候補となる基本計画路線の財源論にもつながるものと考えておりますことから、財政投融資を含め、あらゆる可能性について検討を行うように国に働きかけを行うとともに、引き続き、紀淡海峡ルート、四国新幹線の早期実現に向けて、シンポジウムの開催など情報発信による機運醸成や関係団体への働きかけ、国への要望等、さらに積極的に取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。積極的なお取り組みいただいて、本当にありがたいと思っております。ぜひ和歌山市に新幹線が開通した場合の経済成長の予測についても調査いただきたいということと、将来、紀南地方に新幹線の延伸が可能な構想とするなどの対応を県に要望させていただきたいと思います。
 次にまいります。
 本県職員のテレワーク導入についてであります。
 これは、今まで何度か質問させていただいてきましたが、やはり今後の人口減少社会のあり方や業務効率、つまり行政改革において避けて通ることはできません。過去の御答弁では、要するに業務の切り分けが困難だということで、しかし何とか検討しましょうという御趣旨の御答弁をいただいてまいりました。
 この間、民間企業では全国規模の大手を中心にかなり対応が進み、テレワークの利便性を享受される方や企業がふえてきております。役所の業務の特殊性は当然あるわけですが、現在の取り組み状況と今後について、総務部長にお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) 総務部長田村一郎君。
  〔田村一郎君、登壇〕
○総務部長(田村一郎君) 本県職員へのテレワークの取り組み状況についてですが、まず、テレワークを進める前提となる環境整備の状況について御説明いたします。
 現在、職員の使用している行政事務用パソコンについては、職員それぞれが持つICカード機能を有する職員証を挿入さえすれば、どこに設置された端末であっても自分の席の端末と同じ環境で仕事ができる仕組みが導入されております。
 このような環境に加え、試験的な取り組みとして、本年7月24日から、行政事務用パソコンと同様の機能を有し、庁舎外に持ち運び利用できるモバイルパソコンを本庁各部に3台、振興局に各1台配備し、職員が出張等の際に携行することにより、移動時間や出張先等においてメールチェックや会議録の作成などを行える取り組みを行っております。
 また、今月末からは、本庁、振興局、東京事務所に行政事務用パソコンを配置した専用スペースを設け、職員が出張の際に利用できるようにする取り組みを実施する予定です。
 在宅勤務については、今年度、まずは総務部内において取り組んでおります。その結果、それぞれの職員がみずからの業務のスケジュール管理を徹底し、調整することにより、半日あるいは1日単位からであれば在宅勤務が可能であることがわかりました。
 一方で、勤怠管理の方法や公文書を持ち出す場合のセキュリティーをどうするのかといった課題に加え、職員であれば誰もが自宅で行えるような単純な集計事務などについては既にシステム化などが進んでいるため、長期の在宅勤務に見合った業務量をいかに確保するかという課題も浮かび上がってまいりました。
 今後、こういった課題への対応策を施しながら、他の部局にも取り組みを広げ、さらに課題を抽出していくことで在宅勤務の取り組みを進めていきたいと考えております。
 今年度については、こうしたテレワークの取り組みを試験的に実施していくとともに、今後も引き続き、職員のワーク・ライフ・バランスの向上や多様な働き方の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
○議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 いよいよ前に進み出したという感がございます。担当課の方も従前からの懸案をよく引き継いで研究いただいたことと思います。また、田村総務部長も地方自治体での経験も豊富とお聞きしておりますので、ぜひいろいろな事例を検証していただき、よりよい仕組みをつくり上げていただきたいと御期待申し上げたいと思います。
 次に、介護のためにやむを得ず離職されるケースについて考えてみたいと思います。
 県職員において介護離職の懸念される年代は、40代から50歳代の経験豊富な、今後も県政において能力を発揮させるべき年齢層と言えますが、そういう方たちに退職という形とは違う柔軟な勤務形態を考えるときに来ているのではないかと思っております。
 また、一度退職されても復職の道を残すべきと考えますが、そういうことを検討されるときに来ているのではないでしょうか。重ねて総務部長にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 総務部長。
  〔田村一郎君、登壇〕
○総務部長(田村一郎君) 介護離職者についてでございますが、県では、これまでも介護を理由に離職しなくても働き続けられるような環境づくりに努めてきたところでございます。
 職員が配偶者や父母などを介護することが必要な場合には、通算6月を超えない範囲内において、1日または1時間の単位で取得できる介護休暇を初め、連続する3年の期間内において、1日につき2時間まで取得できる介護時間休暇が利用できます。また、早出遅出勤務制度を活用することにより、30分単位で勤務開始時間を最大1時間半早めたり、30分遅くしたりすることも可能です。
 父母の介護については、定年年齢に近づくころからその必要性が増してくると思われますが、定年退職日の5年前から、1週間当たりの勤務時間の2分の1以内を勤務しないこととできる高齢者部分休業制度も設けているところでございます。
 議員御提案の介護を理由に退職した職員の復職については、定数管理や復職後のポストをどうするかといった課題もありますが、今後そういったニーズが高まる可能性もありますので、他府県の取り組みなども参考に、制度、仕組みを研究しながら検討してまいります。
○議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 介護離職を防ぐために勤務形態を幾つか用意されているのはわかるのですが、例えばその方が管理職についていた場合で、ある日突然に親御さんが倒れ、自分しか介護できる者がいない場合、恐らく初めは介護に頑張りながら仕事量を維持しようとして、結局周囲に負担が及ぶ状況に心苦しくなるわけです。つまり、介護休暇や介護時間休暇では十分な介護ができず、役職についたまま高齢者部分休業制度を利用すれば、部下や周囲に負担がかかるという図式が生まれます。そして、結局疲れ果て、退職という選択をする。しかし、部内で人間関係にも疲れ果てての退職ですから、退職の理由を介護のためとはせず、一身上の都合となるわけです。
 50代はほとんど管理職ですので、これらの制度は使えずに退職となった方に、退職後、介護から解放された時点で、県庁にどういう形であれ復帰できる道を用意することは愛庁精神にもつながります。何より、彼らの豊富な経験を生かす道も探るべきだと考えます。
 また、自宅で介護を続けながら、先ほど質問いたしましたテレワークを利用して、嘱託職員として経験を生かす道など考えられますが、当局の今後の検討に期待したいと思います。
 次に、白浜のITオフィスについてお尋ねいたします。
 言うまでもなく、IT企業と申しますのは、インターネット回線を利用できればどこでも事業が可能で、しかも商圏に限りがなく、日本中はおろか世界中と取引可能な側面を持っております。そういう特性上、本県にいきなり進出してきても地元企業を圧迫することは、通常の業種に比べ、ほとんどないと申せます。本県にとっては、ぜひとも誘致に取り組んでいただきたい業種であります。
 私は、当選直後の一般質問から、このことを強く訴えてまいりました。幸い、担当課の奮闘努力によって、この企業誘致は好調に推移しているようでありますが、現在、2棟で事業展開ということでありますので、そろそろキャパの問題があると思います。
 今後の事業展開について、商工観光労働部長にお聞きしたいと思います。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 県では、紀南地方の南紀白浜空港による東京とのアクセスのよさに加え、都会にはない美しい景観と高品質なネットワーク環境など、地域のポテンシャルを生かし、IT企業誘致を進めております。
 現在、白浜町ITビジネスオフィスは、セールスフォース・ドットコム社など9社が入居して満室となっており、本年6月にオープンした白浜町第2ITビジネスオフィスについても、東京からIT企業など3社の進出が決まり、新しい雇用が生まれております。
 8月には、働き方改革を背景に、ワーケーション事業の展開を目指す三菱地所株式会社と県、白浜町の3者で進出協定を締結したところです。今後、三菱地所と連携し、このオフィスを拠点に、地域への波及効果を図りながら、首都圏のビジネス客のワーケーション受け入れを進めてまいりたいと考えております。
 また、IT企業誘致を拡大するため、今年度は田辺市の秋津野ガルテンにおいて、地域未来投資の枠組みでITオフィスを整備しております。さらに、企業誘致のPRも積極的に展開しており、7月に東京で開催した「和歌山テレワーク」フォーラムには110名の参加をいただきました。また、10月にもICT和歌山フォーラムを開催する予定です。
 今後もIT企業誘致を行い、紀南地域をさらなるIT企業の集積地とするため、積極的なPR活動とともに、ITオフィスを初めとする必要なインフラの整備を進めてまいります。
○議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 今、部長の御答弁の中にございました三菱地所さんとの協定というのは、多分、私の理解ではそうですけども、ITビジネスオフィスの用地の協定ではなくて、テナントとして進出していただくという協定だと理解しております。
 私は、この問題を最初取り上げたときから、徳島県の神山町の成功例を取り上げてまいりました。そして、和歌山県が本腰を入れて取り組んでいただいて実績が上がっていく過程でも、同じく神山町の成功例と同じようなパターンを見ることができるわけであります。
 どういうことかと申しますと、IT企業が集積していく過程で、あの企業の活躍されているAさんが神山町に行ったのなら、自分たちもついていってAさんの近くで刺激を受けたい、薫陶を受けたいということで、特に会社間の取引関係はなくてもAさんを慕ってついていくという事例が神山町ではありました。
 白浜町でも、個人的なカリスマで集まったとは言えませんが、大手企業が入居したのをきっかけに、他の企業が同じビルに入居しています。これは担当課のセールストークによるものかもしれませんが、インターネットを利用するSEと呼ばれる技術者さんたちは、すぐれた技術者がどこに行けば会えるか、フランクに仲間内の話を聞ける機会があるかを非常に重要視する向上心の高い人たちが多いのもこの業界です。また、その循環が次の循環を次々生んだ結果、あの山間部の神山町の繁栄があるわけです。
 したがって、できるだけ1カ所に集積した形で、しかも白浜という絶好のロケーションで打ち解けたフランクな情報交換ができるとなれば、よい循環が起こる可能性が非常に高くなってまいります。どうかその点に留意され、分散せず、できれば歩いて行動できる範囲でITオフィスを固めて用意していただくということを目指していただきたいと思っております。
 さて、今後の働き方のあり方の一端を質問してまいりましたが、この問題は子育ての負担軽減という面も非常に重要です。
 以前、保育の問題では軽度の体調不良児対応について取り上げましたが、これをさらに広めるよう、当局には御苦労いただいているところであります。保育の実施主体は市町村となっていますが、保護者の方が頼るのは区別なく行政という組織です。どうか市町村に働きかけて、保育所内に保健室設置を普及させるということをさらに一層取り組んでいただけるよう要望したいと思います。
 そして、今回の質問は、一時保育のこういうケースであります。
 共稼ぎ家庭で忙しく働く若い両親が、どうしても緊急に子供を預けて対応しなければならない仕事が入った、パートナーも仕事を休むことができない、世間は日曜日だといったことが、人生に何回かはあるわけです。一時保育の年中無休、24時間サービスについては現状どうなっているのかを福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 保護者が疾病その他の理由により家庭において子供を養育することが一時的に困難となった場合等に子供を預ける制度としまして、一時預かり事業、ファミリー・サポート・センター事業及び子育て短期支援事業の三つの事業があります。なお、保育の実施主体は市町村であるため、いずれの事業も地域のニーズに応じて市町村が実施しております。
 具体的には、まず、一時預かり事業は、保育所等に在籍していない就学前児童を対象に、保育所等の開所時間の範囲内で預かる事業です。
 次に、ファミリー・サポート・センター事業は、子供を預けたい人と子供を預かりたい人がともに会員となり、子育てを助け合う事業です。
 最後に、子育て短期支援事業は、児童養護施設や乳児院、母子生活支援施設等において一定期間子供を預かる事業で、原則7日以内の範囲内で利用できるショートステイ事業と平日の夜間または休日に利用できるトワイライトステイ事業の2種類があり、利用の際は市町村の窓口に申し込む必要がありますが、閉庁時においても宿直を通じて担当課で対応していると聞いております。
 加えて、児童相談所では、児童虐待に限らず、保護者の急な病気や事故等、緊急に子供を預かる必要が生じた場合にも一時保護を行っており、県が24時間体制で対応しております。
 なお、事業の広報につきましては、各市町村において、乳幼児健診の機会を捉えて保護者に確実に情報を届けるとともに、ホームページに事業概要や手続の方法を掲載する等、制度の周知を図っております。
 また、県におきましても、ホームページやひとり親家庭向けのパンフレットで事業紹介をしているところでございます。
○議長(藤山将材君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 ひとり親の方が先々を心配して、あらかじめ相談窓口に行って準備しているということはあるでしょう。しかし、若い両親がどちらも正社員でフルに働くのが当たり前となった今、人手不足も重なって、民間では、業種によっては日曜、夜間関係なく業務が押し寄せております。この傾向は、今後ますます顕著になってまいります。むしろ、思いがけなく育児で立ち往生となるのは、パートナーとも協力し、子育てと仕事を両立しようという御家庭のほうが多いのではないでしょうか。そういう難儀を経験すると、2番目の出産はハードルが高いという意識になるわけです。
 どうか、これらの制度が若い子育て世代に確実に周知され、気兼ねなく利用される工夫と広報面での一層の充実を要望して、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、菅原博之君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)
○秋月史成君 本日5番目、最終登壇者となります。皆様方、大変お疲れでしょうが、最後までおつき合いいただきますことをお願い申し上げます。
 それでは、議長の許可をいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。
 平成29年3月3日、平成29年2月定例県議会において私が行った県内の若者の人口流出を防ぐための具体的な施策についての質問に対し、仁坂知事の答弁では、安定した社会を構築するためには和歌山を支える担い手を将来にわたって確保していくことが必須であり、若者の県外流出に一定の歯どめをかけることは極めて重要であると認識している、若者の流出を防ぐためには働く場所をふやすということが必要であり、また県内産業の競争力を高めていかなければならない、和歌山には自分が行っていいと思うような企業やさまざまな仕事があるということを知らないまま県外に転出してしまうことのないよう、若者の成長段階に応じた切れ目のない施策を展開してまいりたい、和歌山で働くことのよさを知ってもらうとともに、学校での地元企業説明会など、高等学校と企業が連携した取り組みを強化していっている、県内就職を促進するため、本県出身の県内外の学生全員に対して県内企業の求人情報を集中的に発信し、確実に本人に届けるとともに、インターンシップや就職フェアなど、県内企業との出会いの場を充実していきたい、また、大学生も県内で勉強できるようになればそれにこしたことはない、現在、県立医科大学薬学部を初め3大学が開学に向けての諸準備を進めており、こういうことも少しずつ効いてくると、一部抜粋ではありますが、このように御答弁なされました。
 私の愚息が大学に在籍した際に、保護者向けのキャリア教育のセミナーを受講いたしました。その際、私と同じ保護者世代は、高校を卒業して専門学校、大学への進学率は40%を切る数字でしたが、現在では60%程度と高い進学率と聞かされました。私も、県教育委員会に対するPTAの高校の進学定員の維持及び拡充の要望活動に毎年立ち会わせていただいてはおりますが、普通科、総合学科への進学希望の生徒が多く、実業科への進学を希望する中学生が少なくなっている傾向にあると聞かされております。普通科、総合学科を卒業した後に自分の適性や希望を決め、専門学校や大学へ進学する生徒がふえているようです。
 今現在、和歌山県では3大学及び新設学部の開学に向け順調に準備が進んでおり、県内で学ぶ学生がふえつつある傾向にあると思われます。しかし、県内では、職業訓練及び資格を取得できる専門学校は少なく感じます。その中でも、特に和歌山県の経済を支える県内での職業訓練を行う専門学校の充実は必要であると思われます。
 そこで、知事にお聞きいたします。
 和歌山県内での職業訓練の中核を担う県立産業技術専門学院での職業訓練についての認識をお聞かせください。
○議長(藤山将材君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県では、職業訓練を通じた県内の産業人材の育成指針となる職業能力開発計画を5年ごとに策定しており、直近では平成28年度末に、平成29年度から今後5カ年間の方向性を示す第10次和歌山県職業能力開発計画を策定し、現在はその計画に基づき、職業訓練の中核施設である和歌山及び田辺産業技術専門学院のハード・ソフト両面からの整備を行い、職業訓練の充実を図っているところでございます。
 実は、こうして5年間に1度見直しをしてるんですけれども、今回は特に大幅にいたしました。ニーズがどんどん変わってきてるのと、それから議員御指摘のように、この職業訓練というのは大変意義のあるもんでございますので、中身の充実と、それから地域別の分配ですね、それについて大幅にやり直しをしたわけでございます。
 具体的には、物づくり分野やICT分野を支える人材育成のために、時代ニーズに即した訓練科とすべく、和歌山産業技術専門学院では、昨年度からデジタル物づくり訓練を強化するための機器を順次整備し、田辺産業技術専門学院では、本年4月から、県立情報交流センターBIG・U内に情報システム科を開設。また、両学院に共通する自動車工学科については、今年度に和歌山で、31年度には田辺において、募集定員を各5名ずつふやしまして、自動車整備士の確保を図ることとしております。
 このように県立産業技術専門学院を機能強化するとともに、県内の職業訓練については、国の独立行政法人であるポリテクセンターとも補完、連携をしながら取り組んでいるところであります。
 私としては、職業訓練の中核施設である両学院での職業訓練の充実は、地域特性に応じた産業で活躍できる若年人材の育成や技能の伝承という観点から非常に重要であると考えております。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 現在、仁坂知事より、職業訓練の中核施設である和歌山、田辺の両学院の充実は、地域に応じた産業で活躍できる若年人材の育成や技能の伝承という観点から非常に重要であるという御答弁をいただきました。仁坂知事、激励の意味も込めまして、両学院を視察していただければと思います。
 次の質問に移ります。
 本年7月19日に、和歌山市小倉にあります和歌山県立和歌山産業技術専門学院を視察いたしました。
 昭和21年8月に、和歌山市湊葵町に財団法人職業補導協会和歌山支部が和歌山建築木工技術補導所として設置、その後、たび重なる変革を遂げ、現在、自動車工学科、理容科、メカトロニクス・CAD科、建築工学科、デザイン木工科、総合実務科の6学科を学ぶ生徒が集う学院となっております。
 当日は、学院長、副学院長に学院についての説明を受け、その後、実習風景を見学させていただきました。自動車工学科では、私の中学時代の同級生である職業訓練指導員とも久しぶりに再会をし、実習風景の詳細にわたる説明を受けました。私個人的な感情となりますが、この生徒たちに将来和歌山県の産業界を支えてもらうのかと思うと、万感胸に迫る思いが去来いたしました。
 しかし、その実習施設も老朽化しており、充実した教育施設とはほど遠い施設であると思われます。私の家業が自動車整備工場及び自動車車体整備工場ということもあり、自動車工学科に絞って御説明したいと思います。
 自動車工学科実習棟は、採光も不十分で薄暗く、整備をする実習生の手元も暗く、十分に作業することはできません。また、実習する設備も古く、複雑高度化する現在の自動車に対応できるものとは決して言えません。他府県にある自動車整備の専門校と比べると、その設備、実習施設は陳腐としか言いようがない内容であります。
 生徒個人の能力、指導員の指導力は別にして、この学院で学んだ生徒を受け入れる業界の経営者の1人として、慎重にならざるを得ないと思います。もし私の愚息が私の会社を承継すると考えたとき、技術、資格を取得するため専門学校に進学させると考えたとき、あの実習棟や設備内容を考えたとき、進学先として選択することはないと思います。学費はかなり高額でも、他府県の自動車整備専門学校を進学先として選択することは明白であります。
 知事がよくおっしゃる「他府県の大学等へ進学した場合、その周辺で就職先を求める傾向にある」というお言葉のとおり、専門学校でも同じことが言えるのではないかと思われます。
 昭和40年に和歌山市小倉に新設されたこの学院も52年が経過し、施設、設備の抜本的な更新が必要となる時期ではないかと思われますが、いかがお考えでしょうか。商工観光労働部長にお伺いいたします。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 和歌山産業技術専門学院の老朽化については、御指摘のとおり、本館を初め自動車工学科の訓練場である第1実習場は、築後50年以上を経過しており、第10次和歌山県職業能力開発計画においても、自動車実習場の建てかえを検討することとしております。
 また、平成28年度に策定した和歌山県公共施設等総合管理計画において、県有の公共建築物の整備については、各施設の個別施設計画を平成32年度までに策定することとなっており、よりよい施設として整備できるよう、関係機関と協議しながら取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 「よりよい施設として整備できるよう、関係機関と協議しながら取り組んでまいります」と、大変前向きな御答弁をいただきました。
 学院長、副学院長、職業訓練指導員の皆様も、未来の和歌山県の産業界を担う生徒を懸命に指導しております。生徒も生徒で、一生懸命技術を学ぶため努力しております。一刻も早い訓練環境の改善をお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 平成28年9月議会において、私が中小零細企業の事業承継についての一般質問を行い、現在、和歌山県では、和歌山県事業承継ネットワーク及び和歌山県事業引継ぎ支援センターを設置し、県内企業の事業承継についての施策に取り組んでおられます。
 私、実は以前、三つの会社の事業承継にかかわった経験がございます。一つは父から引き継いだ私の会社、もう一つは私が現在も大変お世話になっております大阪の自動車車体整備工場、もう一つは地元建設会社の事業承継であります。
 私の会社は親族間の事業承継であり、比較的スムーズに承継され、現在も維持継承されております。大阪の自動車車体整備工場は、一旦は大手カー用品販売店に売却がほぼ決まっておりましたが、最終段階になり頓挫し、ワックス等を製造、販売するケミカル会社に売却されました。地元建設会社は、当時の社長と先輩、後輩ということもあり、いろいろ御相談に乗らせていただいた経験がございます。最終的には兵庫県の会社に売却し、事業承継を行い、現在も営業を続けております。2社とも以前の経営者はハッピーリタイアを迎え、社員の雇用も確保され、順調に新しい船出を送っております。
 私の経験では、以前の経営者は、後継ぎがいない会社の売却を決意した際、その売却先探しに相当な御苦労をなさったことを目の当たりにしております。売却先が見つかり、条件面での交渉や社員の雇用等を含めた心労は大変なものだったと、そばで見ていて感じました。
 県内中小零細企業での事業承継を円滑に行うには、士業と呼ばれる税理士、弁護士の協力と、和歌山県事業引継ぎ支援センターのさらなる充実及びデータベースを拡充することが必要と思いますが、お考えをお聞かせください。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 中小企業の事業承継問題についてですが、国においては、今後10年間を事業承継に対する集中取り組み期間と位置づけ、事業承継税制の抜本的拡充などの支援が講じられております。
 県におきましても、県融資制度における事業承継枠の創設や事業承継対策の必要性を啓発するセミナーを開催するとともに、本年7月には、県内の事業承継を円滑に進めるため、県や商工団体、士業団体などの支援機関で構成する和歌山県事業承継ネットワークを立ち上げました。
 議員御指摘のとおり、事業承継を進めるに当たっては、税理士など士業の役割が重要となりますので、このネットワークを活用し、協力しながら事業承継問題に取り組んでまいります。
 次に、和歌山県事業引継ぎ支援センターの充実についてですが、センターでは本年4月より人員が増強され、さらに、事業承継ネットワークの事務局がセンターと同じ和歌山商工会議所に設置されることにより、事業承継問題にワンストップで対応できる体制が整備され、機能の充実が図られました。
 続きまして、データベースの拡充についてですが、事業引継ぎ支援センターでは全国のセンターが情報を登録する国のデータベースを利用するとともに、事業引き継ぎを手がける民間企業と連携し、守秘義務契約を締結した上で情報をやりとりするなどマッチングに取り組んでおり、また、事業承継ネットワークでは、構成する支援機関が今年度2000件を目標に事業者に早期の気づきや取り組みを促すための事業承継診断を実施し、案件の掘り起こしを行っています。
 県といたしましても、事業承継に当たっては、データベースの拡充は必要と考えており、これらの取り組みを踏まえ、県内企業の事業承継を推進してまいります。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 事業承継は、今後ますます重要になってまいります。私の体験からいいますと、私の父から私に引き継ぐ、比較的容易に思われる親族間の事業承継でも、さまざまな事情で10年近く時間を要しました。それが親族外の事業承継になりますと、さらに難易度が増します。
 和歌山県の経済の地盤沈下を起こさせないためにも、引き続き力強い事業承継施策を推進していただきますことをお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 教職員の政治行為についてお聞きいたします。
 そもそも、国家公務員、教育公務員を含めた地方公務員は、政治活動及び選挙運動等の行為が制限されるという認識を私は持っておりますが、教育公務員については関係法令ではどのようになっているのでしょうか、お聞かせください。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 教員につきましては、教育基本法第14条第2項において「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」と規定されております。また、教育公務員の職務と責任の特殊性により、教育公務員特例法において、公立学校の教育公務員の政治的行為の制限は、国家公務員の例によることとされ、人事院規則で定められた政治的行為が禁止されております。
 さらに、公職選挙法においても、教育者の地位利用の選挙運動の禁止等について特別の定めがなされております。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 次の質問に移ります。
 本年のメーデーでは、和歌山県教職員組合の車両が看板を堂々と掲げ、デモ行進を行っておりました。車種は日産キャラバン、自動車の形式でいうと25系と呼ばれる形式の車両であります。
 本年7月に行われた和歌山市長選の告示前に、事務所横で和歌山県教職員組合の車両、車種、形式、車体色、登録番号も同一の車両が街宣車として、和歌山県教職員組合の看板が目隠しされ作製されております。車種、形式、車体色、登録番号も同一で、和歌山県教職員組合の車両というのは一目瞭然であります。和歌山市長選挙の際にその車両が使用され、張られた看板、車種、登録番号、スピーカーの形を見ますと和歌山県教職員組合の車両であることは明白であり、私に情報を提供いただいた方からも和歌山県教職員組合の車両だったとお聞きしております。
 主たる構成員が和歌山県の教職員である和歌山県教職員組合の車両が特定の候補者の街宣車として使用され、その車上では、候補者を初め、応援する国会議員が街頭演説を行っております。私の感覚では、その行為は、和歌山県教職員組合の街宣車が使用されているということは、教職員の政治活動及び選挙運動を制限した法令に抵触する行為であると感じますし、高い倫理観が必要とされる教育公務員の倫理にも問題があると思いますが、教育長の御所見をお聞かせください。
○議長(藤山将材君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 職員団体に関することにつきましては県教育委員会が判断することではございませんが、教員が法令に抵触する行為等を行った場合は処罰の対象となり、処分を含め厳正に対処する必要があると認識しております。
 教員は、教育公務員特例法等が適用されることから、政治的行為や選挙運動の制限についてしっかりと認識しておかなければならないと考えております。
 県教育委員会では、これまでも教員の政治的行為や選挙運動の制限等について、校長会等で各学校を指導しております。また、国政選挙等が行われる際には、改めて各学校に対して教職員等の選挙運動の禁止等に関する指導を行ってきております。
 さらに、選挙権を有する年齢が18歳以上になったこともあり、学校における政治的中立の確保については一層強く指導を行ってきたところです。
 今後も、機会あるごとに各学校を指導してまいります。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 教職員組合の街宣車使用で、和歌山市より遠く離れた上富田町まで「おかしいんじゃないの」と苦情の声が聞こえてまいりました。教職員が法令に抵触することのなきよう、指導をさらに強化願います。
 次の質問に移ります。
 平成30年8月24日、この日は、私にとりまして生涯忘れられぬ日になることでしょう。
 その日に私は、県庁にて打ち合わせのために早朝自宅を出発し、県庁に向かう予定でした。前日、紀伊半島を襲った台風20号の被害が私の会社になかったか、会社の窓ガラスが割れてはいなかったかなどの確認をするため、会社に出社いたしました。多分何もないだろうと軽い気持ちで会社を訪れたのですが、いつもと違った雰囲気。事務所の鍵をあけ事務所に入ると、全くいつもと違った風景。
 事務所の床は一面の泥だらけ、散乱した備品。一瞬何が起こったのかわからず、工場の中に入ると工場の床も同じく一面の泥だらけ。そのときやっと昨晩の台風の影響で会社が浸水したのだと理解が、遅まきながらできました。工場内を歩くと、散乱した工具やごみ箱等、見るも無残な光景でありました。浸水高さ約35センチから40センチほどの痕跡が残っておりました。
 私の会社は国道42号と311号が交差する上富田町岩崎交差点付近で、富田川と富田川支流の馬川が合流する地点約100メートル付近に所在いたします。平成23年に和歌山県全土を襲いました紀伊半島大水害でも浸水したことがなかった私の会社だったので、今回の台風20号での被害も恐らく何もないだろうと安易な気持ちを持っておりましたもので、今回の台風での社屋の浸水を受け入れるのに少し時間がかかったと記憶しております。
 状況が把握でき、会社を任せております家内と社員の出社を待つこと数分。出社した家内と社員に「スマホかデジカメで写真を撮っておくように」と指示し、議員としての職責を果たすため、自宅に帰り、防災服に着がえ、まずは上富田町役場に向かい、情報収集に努め、上富田町内を初め、私の選挙区でもある白浜町、すさみ町の各地域の災害現場確認及び災害のお見舞いに向かい、自分の会社に帰社したのは夕暮れ迫る時刻でありました。
 会社に帰ると、親戚や家内の友人が社員と一緒に会社の什器、備品等を社屋の外に出し、床の泥かきをし、懸命の清掃作業を行っておりました。そこで、やっと私の会社の被害の大きさを認識した次第であります。懸命に清掃する家内や社員ではありましたが、その絶望感あふれる表情を決して忘れることができません。まだ被害額は確定はできてはおりませんが、被害総額は数千万円にも上ることになると思われます。
 それにも増して頭が痛いのが、お客様からお預かりした車両の賠償問題であります。お盆休み明けで入庫車も多く、その車両の大半はフロアカーペット付近までの浸水ではありましたが、修理や代替をしなくてはならない車両が多く、経営者として大変頭の痛い問題が発生しております。
 経営が再開できるだろうか、会社を再開し、以前と同じように経済活動ができるのだろうか。一瞬ではありますが、倒産、廃業の2文字が私の脳裏をよぎりましたが、富士の演習場で実弾の下を匍匐前進する訓練を行い、また、それなりに修羅場をくぐった経験を持つ私でありますので、気を取り直し、会社の再開をかたく決意するのに長い時間を要することはありませんでした。
 今回、連続で和歌山県を襲った20号と21号の二つの台風ですが、20号は私の選挙区では水災、21号は風災だったと感じております。20号の水災は、私なりに被災した地域を視察分析、平成23年の紀伊半島大水害と比較したところ、紀伊半島大水害では豪雨が数日続き、各地に水害の大きな爪跡を残しましたが、今回の20号では、夕刻から明け方にかけて比較的短時間での豪雨であったため、富田川では富田川本川の水かさが一挙に上がり、支流の河川及び内水の流下能力が低下し、各所に氾濫、浸水したと分析しております。その証拠に、上富田町での浸水地域は田熊川付近、馬川付近、そして、白浜町では保呂地区、瀬田川付近の内ノ川地域、庄川付近等々、富田川と支流の河川が合流する付近が浸水したと分析しております。
 今年度、富田川河川整備計画がまとまり、来年度から約20年にわたり、富田川下流域から郵便橋上流1キロ付近までが整備区間と位置づけられており、現在工事の準備段階だとお聞きしておりますが、全ての整備が終わるまでに20年の月日を要する河川整備であります。富田川流域の住民にとりまして大変ありがたい整備計画ではありますが、近年、毎年のように起こる豪雨災害を考えますと、そんなに待てないというのが私を含めた住民感情であります。
 そこで質問です。
 今回のような富田川支流の河川及び富田川と接続する内水の緊急対策が必要だと考えますが、県当局の考えをお示しください。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 平成30年8月の台風第20号による豪雨によりまして、富田川沿川地域におきましては、上富田町の岩崎地区を初め、多くの地区で浸水被害が発生いたしました。これらの浸水被害につきましては、富田川本川の水位上昇に伴い、支川からの排水が困難となったことが主な原因と考えております。
 このため、緊急対応といたしまして、この台風20号の後に、支川合流部などの堆積土砂が見受けられる箇所におきまして河道掘削を実施したところでございます。
 富田川につきましては、秋月議員からも御指摘のとおり、平成30年6月に策定いたしました河川整備計画に基づきまして、平成23年9月の紀伊半島大水害と同規模の洪水に対し家屋の浸水被害が生じることのないよう、河道掘削や堤防の整備をおおむね20年間で実施することとしております。この河道掘削を進めることで富田川本川の水位低下が図られることから、馬川や庄川などの支川沿川の浸水被害の軽減が見込まれます。
 しかしながら、これらの整備には長期間を要することから、支川の排水に支障となります河川の樹木の伐採や土砂の撤去などの維持管理については、浸水が懸念される緊急性の高い箇所から適切に実施してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 今後とも、浸水被害の軽減に向けて、さまざまな機会を通じまして予算を確保しながら、早期整備に取り組んでまいります。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 議員当選以来、町当局、住民の皆様からの要望を受け、上富田町では馬川、岡川の上流域、根皆田川、白浜町に行きますと、庄川付近、その他の支川も堆積土砂の撤去及び護岸改修など、一遍にとはいきませんが、着実に実行していただき、県当局の皆様、西牟婁建設部の皆様には深く感謝する次第であります。
 河道掘削及び堆積土砂の撤去は渇水期に行わなくてはならず、工事時期も限られてまいります。私を初めとする住民は、自分の目の前の河川しか目をやらず、和歌山県全体を大所高所から見た場合、地域住民の希望どおりにはなかなか進まないのが現状だとは思います。しかし、あの絶望感を他の人に味わわせたくはない、もう二度と味わいたくはない、そんな思いで現在ここに立たせていただいております。引き続き、現在の御答弁を力強く迅速に実行していただきますことをお願いいたします。
 最後の質問に移ります。
 20号台風のもう一つの氾濫河川が日置川であります。富田川流域地区の現場確認を終えた後、紀勢自動車道に乗り、日置川インターチェンジでおり、県道日置川大塔線を上るルートで現場確認を行ってまいりました。
 まず、心配した田野井地区は目に見えた被害はなかったので、次の地域、口ケ谷地区に入ると、県道が冠水した様子で、地域の皆様が県道を塞ぐ樹木の撤去や泥かき作業を懸命に行っておりました。この口ケ谷地区は、豪雨や台風が襲来すると日置川が氾濫し、県道が冠水し、広範囲に田畑や家屋がたびたび浸水する地域であります。この地区を通る県道は日置川と平行しており、その道路位置も低く、長年の懸案事項であると地元の方からもよく聞かされております。
 それから上流域へと日置川右岸、左岸ともに視察してまいりました。私が現場確認した地域で特に大きな被害があったのは、先ほど述べさせていただいた口ケ谷地区、久木地区、玉伝地区であったように感じております。私の分析では、富田川は富田川支流の河川及び内水の氾濫、日置川は日置川本流の氾濫だったと思っております。
 平成29年2月定例会での私の県道日置川大塔線での質問に際し、当時の森戸県土整備部長は「県道日置川大塔線は、沿道集落の住民の生活道路としてだけではなく、紀勢自動車道日置川インターチェンジを初め、これまで整備してきた県道上富田すさみ線や県道市鹿野鮎川線などと連絡していることから、災害時における国道311号の代替機能などを有する主要な路線であると考えてございます」とお答えになっております。
 災害時における代替道路と位置づけられながら、豪雨、台風などの豪雨災害になると冠水し、時限的通行どめ、通行不能及び困難になるなど、災害時における国道311号線の代替機能が果たせない道路であります。
 災害時における代替機能を有する主要な路線と位置づけたのなら、豪雨での日置川本川の浸水対策を早急に行うべきだと考えますが、県当局のお考えをお聞かせください。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
○県土整備部長(髙松 諭君) 日置川本川の浸水対策につきましてお尋ねをいただきました。
 日置川流域につきましても、平成30年8月の台風第20号によりまして、その豪雨により白浜町の口ケ谷地区を初め、多くの地区で浸水被害が発生いたしました。
 日置川におきましては、平成29年9月に河川整備計画を策定しており、平成23年9月紀伊半島大水害と同規模の洪水に対しまして家屋の浸水被害が生じることがないよう、本川の河道掘削や堤防の整備をおおむね20年間で進めることとしております。
 浸水被害の発生しております口ケ谷地区や田野井地区、これに効果がございます下流部の矢田地区での河道掘削に今年度着手いたしまして、推進する予定としてございます。
 日置川の整備につきましては、今後ともさまざまな機会を通じて予算を確保しまして、早期整備に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 日置川におきましても力強く迅速に整備を進めていただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。最後までおつき合いいただきましてありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時1分散会

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