平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 16番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 平成30年6月定例会、私が一般質問の最後になりました。もうしばらくおつき合いいただきたいと思います。
 まず、冒頭、このたびの大阪北部地震で被災されました皆様に心からお見舞い申し上げたいと思います。
 私は、今回のこの質問で51回目の質問をさせていただきます。事務局でちょっと調べていただきましたら、議長を経験してから以降、30回でございます。もう議長を経験したら質問せんほうがいいんじゃないかという御意見もありますけども、私は議員の本分は議会の質問にあるというふうに思っておりまして、一生懸命やっていきたいと思っております。どうぞ、知事初め当局の皆さんにも、あんまり遠慮せんと質問をすることはありませんが、積極的な御答弁をお願いしたいと思います。
 それでは、通告に従いまして一般質問を始めさせていただきたいと思います。
 まず、リハビリテーション医療の現状について伺います。
 皆さんは、リハビリテーション医療と聞いてどんなに思われますか。現在、県立医大で実施されているリハビリテーション医療は、単なるけがや脳機能障害からの復帰ではなく、多くの診療科目の術前・術後、治療に際してリハビリテーション医療を行うことで、日常生活への早期復帰に大きな成果を上げています。この県立医大の取り組みは、全国のお手本と言われています。
 本日は、県立医科大学リハビリテーション科教授の田島文博先生からいただいた資料を抜粋して配付させていただきました。
 ちょっとページ数が多いんですけど、まず最初に、脳血管障害で8年間寝たきりの患者が胃がんになったケースであります。このリハビリテーションメニュー、結構ボリューム、それから内容もきついというそんな感じがいたしますけども、このリハビリテーションを行うことで、寝たきりだった人ががんの手術を終えて退院するときには歩いて帰れたということであります。
 ずっとめくっていただいて3枚目、食道がんの手術でも、手術翌日からリハビリテーション医療を行うと、3日後には歩いて訓練室を出ていけるようになったということであります。
 県立医大では、診断と同時にリハビリテーション科への紹介となって、必要なら入院で、1日2時間から6時間のリハビリテーション治療を実施することで術後や退院後の回復を早めています。このグラフが出ておりますけども、リハビリをしたら、手術で一旦下がる機能も早期に発揮されると、こういうことであります。
 驚いたことに、脳血管症で入院されてる人でありますけども、昏睡状態で痛みや刺激でも反応しない、この人に熟練な療法士が座らせると目が覚めるというふうに言われております。無理に起こさないと寝たきりと言われるんですが、座ったら今度は立たせて、モニターを自分で見てもらうと、さらに運動させる、そのことによって麻痺を最小限にとどめることができるというふうに言われております。
 ほかにも、発症24時間以内での歩行訓練やICUで人工呼吸器をつけたままで座る訓練、意識障害で人工呼吸器をつけたまま立たせる訓練などが行われています。
 特に注目すべきことは、ずっとめくっていただいたら、那智勝浦町立温泉病院の例が出ておりますけども、このようなリハビリテーション医療を行うことで、介護保険費、医療費が削減できるということであります。この勝浦の例を見ますと、リハビリを行ったら、リハビリの費用は22万円余りですけども、退院後、介護保険を使わずに済むという金額が1600万円余りでありますから、劇的なこれは介護保険の費用を軽減するという例でございます。
 ただし、このような医療を行うためには専門医が必要で、県立医大では田島先生の御指導のもと、優秀な専門医が養成されています。
 さて、超高齢社会の本県では、2次医療圏ごとに地域リハビリテーション広域支援センターを設置し、高齢者の寝たきり防止、脳卒中や骨折等の障害発生時に、急性期、回復期、維持期においてリハビリテーションを行い、高齢者や障害者が住みなれた地域で生涯にわたって生き生きと生活できるよう支援しています。その利用件数は、全県で平成29年1年間に57万2137件あり、大いに県民医療や福祉に役立っています。
 しかし、その7医療圏8病院の支援センターでありますが、2つの支援センターは、それぞれ77万25件、90万888件も実績を上げていますが、常勤の専門医がいません。制度では、県立医科大学が県リハビリテーション支援センターとして人的な支援をすることになっています。
 ところが、県立医大リハビリテーション医学講座では、指導医でもある専門医が少ないため、専門医の県内派遣時には指導を受ける研修医も一緒に派遣することにしていますが、実は、本年度の同講座に入局した研修医は4名中3名が県民医療枠であることから、結果的に民間病院である2つの支援センターには専門医が派遣できないということになっております。
 そのうち1つのセンターは日高地方の民間病院ですが、日曜日もリハビリテーション医療を提供しています。先ほど、県立医大の例を御紹介したように、術前・術後、治療とあわせて間隔を置かずにリハビリすることが必要です。近くにあります公立病院では、日曜はリハビリが休みだというふうに私は苦情を聞いております。
 このように、地域リハビリテーションの分野では、公立病院以上に頑張っている民間病院があります。民間病院というだけで医師の派遣が後回しになるのは、県民にとっても不利益だと思います。私は、県民医療枠、地域医療枠、いわゆる地域枠でありますけども、この進路は単純に公的病院優先というのは地域医療の現状を無視した規制だと思いますが、そもそも、その支援センターの充足対策について知事に伺います。
○議長(藤山将材君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) リハビリテーション医療においては地域の民間病院が大きな役割を果たしてくれているということは、中村議員の御説明でもよく承知できるところでございます。医師の地域偏在と診療科偏在が課題となってる本県では、県内各医療圏において、地域拠点病院として中核的な役割を担っている公的医療機関の医師確保を最優先事項として取り組みを推進してまいりました。
 卒後9年間を県内公的医療機関で勤務することを条件とする和歌山県立医科大学県民医療枠、地域医療枠については、平成28年度以降、卒後臨床研修を修了し、県内各公的病院の内科を初めとするさまざまな診療科で勤務を開始してもらっていますが、県内公的医療機関の多くの診療科で求められる医師数を十分に確保できていない状況に現在あります。
 今後、これらの地域枠卒業医師が、地域枠や、あるいは県民枠の卒業医師の増加が当然あるわけでございまして、県内公的医療機関の医師が充足されるということになり、かつ、議員御指摘のように、地域医療に貢献している民間病院があるんだということであれば、むしろそれがその分野においては地域拠点病院なので、派遣対象に加えることは十分考えられると思います。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ありがとうございます。すばらしい御答弁をいただきました。
 次に行きたいと思います。
 平成26年6月、医療介護総合確保推進法の成立を受けて、2025年のあるべき医療提供体制を定める地域医療構想の策定が都道府県に義務づけられました。
 本県では、広く医療関係者から意見等を聴取して、平成28年5月に和歌山県地域医療構想を策定し、将来も住みなれた地域で安全・安心に暮らせる社会の実現を目指すことにしました。
 構想の要点は、過剰な総病床数を1万2279を9506に削減するとともに、急性期、慢性期に偏在する病床数を回復期に配分し、回復期病床を1171床から約3倍の3300床に増加させるというものです。それに伴う医療従事者の確保、養成も行うとしています。
 その意味では、今般、県が募集した療法士養成大学は地域医療構想にかなったものと言えますが、果たしてリハビリテーション科を中心とした医師養成についてはどれほど見込んでいるのでしょうか、またその方法について知事に伺います。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) リハビリテーション科専門医の必要数については、専門医の認定を行っている日本リハビリテーション医学会の報告によりますと、回復期機能病床45床に1人の割合で専門医を配置することが理想とされております。
 和歌山県地域医療構想では、2025年における回復期の必要病床数は3315床でありまして、学会の報告を踏まえ、単純に計算すると、74人の専門医が必要となってまいりますが、現在、本県の専門医数は29人でございまして、2025年までに45人の専門医を育成する必要がございます。
 本県におけるリハビリテーション科専門医の育成については、県立医科大学附属病院を基幹施設とするリハビリテーション科専門医研修プログラムが設置されておりまして、地域の病院と連携しながら、実践力のある医師の育成に取り組んでいるところであります。
 県立医科大学リハビリテーション学教室は、近畿、中国、四国地方の国公立医科大学で唯一のリハビリテーション医学講座でありまして、10人の指導医が在籍し、専門医研修プログラムの募集定員も6名と、全国でも屈指の育成体制を整えております。
 今後、必要医師数を確保するためには、専門医研修プログラムの定員を充足することが重要であることから、県としては、県立医科大学と連携しながら、当プログラムの内容をより一層魅力的なものに充実させ、プログラム登録者の確保に努めていきたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 医大のリハビリテーション科の位置が本当にすばらしいなと思ったわけであります。でも、近畿、四国、中国で唯一となると、和歌山県にだけ専門医を置くというんじゃなくて、ほかにもやっぱりとられてしまうような可能性もあるんではないか。それは、ある程度仕方がないことでありますけども、プログラムの魅力を上げて、来てもらうようにするということでありますけども、私は医師の養成というのは、多額の税金が使われているので、もう少し進路について何らかの規制をする必要があるんじゃないかというふうに思うんです。次の質問と関連しますので、ぜひ確保方をよろしくお願いして、次の質問に移らせていただきます。
 私は、これまでも地元の公立病院日高病院の医師不足について質問してまいりました。その都度、知事初め県当局から、県立医大医師派遣システムの活用や県立医大との協議、地域枠の公的病院優先派遣との答弁がありました。
 しかし、先日、所用で日高病院に参りましたので関係者に医師の充足状況をお聞きすると、医師数は合計52名もおり、本年度は3名の地域医療枠の研修生も内科に配属されましたが、やはり一部診療科の医師が不足しているとのことでした。
 具体的には、平成26年2月定例会で知事に要請した透析センターへの派遣については、週に1度、非常勤が派遣されていますが、今春で終了し、4月からは市内の人工透析クリニックに週2回の派遣をお願いしているとのことでした。
 日高病院では、透析センターの閉鎖も検討していますが、入院患者の合併症を考えると、総合病院としての責任が果たせなくなるのではないかと苦慮しています。
 かつて看板診療科だった脳外科は5名から3名に、精神科も4名から3名に減員され、当直のやりくりさえ大変と伺いました。そのような状況から、私は、地域枠は公的病院優先と唱えているだけでは公的病院の特定診療科の医師不足は解消できないと確信しました。
 しかも、地域枠は、研修期間も含め、9年が過ぎれば自由です。医師としていよいよ活躍できるときになればさよならです。県民医療枠、地域医療枠の進路は、公的病院などという単純なくくりではなく、もっと丁寧に公的、民間にかかわらず、県民医療に必要な病院の必要な診療科目に送り込むべきではないでしょうか。
 今後、働き方改革で医師不足が進行するおそれがあります。いずれ地域枠も縮小、廃止されるときが来るでしょう。10年も20年も経過して、やはり医師不足は解消されませんでしたでは、県民の生命にかかわる問題だけに、責任のとりようがありません。
 本県の医師不足は、私は卒業生の進路だけではなく、医大入学者の偏在や小中学生のキャリア教育まで含めて取り組まなければ解消しないと考えていますが、今回は県民医療枠、地域医療枠の進路規制の見直しについて知事の御所見を伺います。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 卒後9年間を県内公的医療機関で勤務することを条件とする和歌山県立医科大学県民医療枠、地域医療枠については、私が知事就任後、国に対して強く要望して、その結果できた制度であります。
 地域医療枠は、実は全国にございますんですが、県民医療枠があるのは、多分、和歌山県だけだと思います。それは、できたときの経緯でそうなっておりまして、県民医療枠は地域拠点病院に行ってもらおうと。9年間はその地域拠点病院で勤務医をやってもらうんだけども、ただ、そのときにずっと9年間も忙しい仕事ばっかりやってると、医師としての頭脳が陳腐化すると大変なんで、したがって、どんどん医大に戻ってもらったり、また行ってもらったりして、行ったり来たりしながら立派なお医者さんになってもらおうと。それが済むと自由であるということであります。
 地域医療枠は全国的にそうなんですが、和歌山県では特に僻地医療とか小さい機関、そういうところに行ってもらおうというふうに考えてやっております。
 もちろん、一般枠で入学されて研修医を勤められた方も、これも地域拠点病院などに行っていただくことはもちろんでございまして、それも含めて行っていただいているんですが、義務を負ってるのはこの2つの枠の方々でございます。
 これらの地域枠、それから県民枠の卒業医師に関しましては、平成28年度以降、卒後臨床研修を修了して、ようやく実戦配備になったということでございます。2次救急や診療所、あるいは民間病院などのバックアップとなる地域拠点病院となるべき県内の公的病院で勤務を開始したということでありまして、現状では、御指摘のように求められる医師数を十分に確保できてはいません。
 ただ、9年間といっても、その間、毎年毎年医師数がふえていくわけでございますから、だんだんと余裕のある形になっていくんじゃないかというふうに考えております。
 今般、国においても、医師の地域偏在や診療科偏在の課題解決に向けまして医療法の改正を審議しており、改正されれば、その対策として、都道府県、医育大学、医師会、医療機関等が、医師確保の計画や公的・民間にかかわらず、地域医療を担う病院への医師派遣に関する事項を協議することになりました。あるいはなっております。
 しかしながら、そもそも医師はどこで勤務をするのか、どの診療科を専攻するのかを、この医療法ですら自由に選択できる以上、医師個人に対して強制力をなかなかきかすことはできない。このような仕組みでは、それだけで適切な医師配置につながるか、その実効性についてはやや疑問があります。
 県では、地域医療を堅持するために重要となる救急、小児、周産期、僻地などの不採算医療を地域拠点病院としての公的医療機関が担っていることから、まずはその医療機能を十分に確保するために、優先的に医師を現在派遣してます。
 今後、和歌山県地域医療構想を進めていく中で、民間部門においても、こうした不採算医療など地域で求められる役割を担うことになれば、できる限りの配慮をしていくことも考えられると私は思っておりますというのは、先ほども申し述べたとおりでございます。
 それから、さらに、実は余り卒業後こんなふうになるんだといって、その進路を抑制的にやり過ぎますと、そうすると将来において、いろんな可能性にチャレンジしたいというような将来の医学生、これが和歌山県立医大にひょっとしたら来てくれなくなる可能性もあるわけでございまして、そうなると、和歌山県立医大は現在大変人気のある立派な大学なんですけど、その立派な大学のところが失われると今度は元も子もなくなるというところになりまして、この辺の兼ね合いが大変難しいということではないか、そんなふうに思っております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 今、加計学園のことで世の中騒がしいわけでありますけども、世の中、職業選択の自由というのがありますが、医師、歯科医師、それから獣医師というのが、大学入学の定員が閣議決定でふやさないということになっております。
 私は、この規制は、医療費をふやさないだとかそんな理由があるのかもわかりませんが、全くもっておかしな規制だというふうに思っております。むしろ逆に、医師、歯科医師、獣医師はわかりませんが、多額の税金で国公立を中心に養成をされてる、社会的に活躍しないといけない医師が、医師になるときにはいっぱい税金を使ってもらって、今度、医師になったら自由で、そこらじゅう自分の好きなところへ行けると、これはどうかなと思いますし、貧乏な和歌山県が県立医大を持ってるというのは、皆さん和歌山県に張りつけとは思っておりませんけども、もっと和歌山の県民のために働いてほしいというふうに、私は県民は思ってるというふうに思います。
 そういう意味では、ぜひ、その地域枠をつくるときに知事も一生懸命頑張っていただいて国の規制を変えていただいたわけでありますから、私は、医師となる進路がある程度その地域で必要とされるようなところに進んでいけるような制限を加えていかないと、公的病院へ行ってくださいとか、それから、国も今度新しい制度で、地域枠をつくるだけではなかなか学生は思うところに行ってくれないということで新しい仕組みをつくってくれる、これは大きな一歩かもわかりませんが、なかなかそれだけでは難しいんじゃないか。
 研修医になるあたりから、普通、文系の大学のゼミでも定員があって、そこへ入れない人はほかのところへ移っていくというようなことがあるわけで、私は、地域医療に必要な人材を育てていくのは、学生が好きなところへ行ってやるというんじゃなくて、ある程度制限を加えていくというようなことがない限り、民間病院はもちろん、公立病院でもいっぱいになりにくいんじゃないかというふうに予想をしております。ぜひ、知事にも大いに検討していただいて、そういう分野に取り組んでいただきたいというふうに思います。要望にさせていただきます。
 続けて、質問を続けていきたいと思います。
 福祉避難所についてであります。
 災害時に特別の支援が必要な高齢者や障害者などが避難する福祉避難所は、阪神大震災の教訓から災害救助法により位置づけられ、東日本大震災などを経て、設置・運営ガイドラインが提示、改正され、要支援者のための避難支援の動きが広がっています。
 本県でも、昨年3月、従来の福祉避難所225カ所のうち、障害の特性に配慮した福祉避難所を市町村とともに96カ所選定し、公開しました。これで自分に合った避難所がどこにあるか、障害者が事前に確認できるようになりました。
 しかし、2年前の熊本地震では、約1700人が受け入れ可能としていた熊本市で、実際には100人程度しか避難できず、北九州市に約200人が引き取られた事例がありました。市は、国の方針に従って176施設を福祉避難所に指定していましたが、実際は施設側の準備や要支援者への周知はほとんどされていなかったそうです。
 先週発生した大阪北部地震では、福祉避難所以前の個別計画や帰宅困難者対策など、防災対策の不備が指摘されています。日本列島に地震がないところはないという基本的な認識が政治家や行政に欠如していたのでしょう。
 本県では、近い将来、南海地震が発生し、大規模な被害が広域に及ぶことから、熊本や大阪のようなことは絶対許されません。福祉避難所はガイドラインに示す機能が間違いなく発揮できるのでしょうか。その実態と対策について福祉保健部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 福祉避難所は、避難生活が長期化すると一般の避難所では生活に支障を来す高齢者や障害者など、特に配慮を要する方が必要とする支援を受けることができる2次避難所であり、平成29年7月1日現在で、社会福祉施設を中心に県内30市町村で計223カ所が指定されています。
 福祉避難所の開設、運営を行うのは市町村ですが、県といたしましては、その開設、運営が適正に行えるよう、救援物資や機材の調達方法、避難者の移動方法といった事前対策をあらかじめ協議しておくことを定めた福祉避難所設置ガイドラインを平成29年3月に策定し、その実施を働きかけてきたところですが、いまだに市町村では進んでない状況にあります。
 県といたしましては、市町村に対して発災時に福祉避難所が十分機能するよう、速やかな事前対策の実施について個別に働きかけるとともに、福祉避難所への避難が必要な要配慮者の受け入れ調整を行う体制を早急に整えてまいります。
 なお、市町村単独での対応が困難と思われる介護職などの専門的人材の確保につきましては、高齢者や障害者などの関係団体の協力を得て、市町村を支援する体制を既に整えております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に移ります。
 本年1月、県看護連盟の懇談会でリハビリテーション科の看護師さんから御意見をいただきました。脊髄損傷の人が退院する際、在宅で就寝、寝るときに必要な床ずれ防止エアマットが、御坊市では10万円の新品が支給されるのに田辺市では2万円しか支給されず、中古をあっせんしているということでございました。
 早速、県障害福祉課に問い合わせると、日常生活用具給付等事業といって、市町村が障害者に在宅生活に必要な用具や住宅改修を支給する事業で、どの用具を対象とするか否かは、事業主体である市町村が判断するということでした。
 そこで、鈴木太雄議員にエアマットの例を挙げて田辺市に働きかけていただくよう依頼しました。おかげさまで、田辺市では支援内容を見直す準備を始めたそうです。鈴木議員、ありがとうございました。
 しかしながら、エアマットのほかにも視覚障害者用地デジラジオやICタグレコーダーなど、日常生活用具の支給種目は県内市町村によって格差があります。恐らく、要望がないか、新しい情報を知らないのではないかと推測しますが、厚労省は、日常生活用具給付等事業については、市町村が行う地域生活支援事業のうち必須事業として重要視しています。
 ぜひ、格差是正をすべきではないでしょうか。県の対応を福祉保健部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 障害のある方への日常生活用具の給付事業につきましては、市町村が地域の特性や利用者の状況に応じた柔軟な対応をするため、その事業の内容を独自に設定できる仕組みとなっております。
 この制度のもと、それぞれの市町村では、障害のある方やその家族及び障害者団体からの相談、要望によりニーズを把握した上で給付品目や補助基準額等の決定を行っていることから、給付品目等の取り扱いに違いが見受けられます。
 県といたしましては、より多くの情報の中から給付品目を選定する際の参考としていただけるように、県内はもとより、近畿府県の市町村が設定する給付品目等の最新情報を定期的に市町村に提供してまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どうぞ、よろしくお願いいたします。
 次に行きます。
 法律ができても一向になくならない児童虐待。今月6日、東京都目黒区で長女を虐待し、死亡させた容疑で若い夫婦が逮捕されました。事件の経過は、夫婦はことし1月ごろから長女に十分な食事を与えず、栄養失調状態に陥らせ、2月下旬ごろには衰弱して嘔吐したにもかかわらず、虐待の発覚を恐れて放置し、3月2日に肺炎で死亡させたと言われています。しかも、父親は、2月末ごろに長女を殴った傷害容疑で逮捕、起訴されていました。
 長女は、以前住んでいた香川県で平成28年と29年に県の児童相談所に一時保護されていました。2回目の保護が解除された後の平成29年8月末には、病院から体にあざがあると児童相談所に通報があり、長女は父親に蹴られたと話しましたが、県は一時保護の必要はないと判断していました。
 一家は、ことし1月に東京都に転居し、県の児童相談所から引き継いだ品川児童相談所が2月9日に家庭訪問していましたが、母親とは会えたものの長女には会えませんでした。また、父親は、長女に暴行を加えた容疑で昨年2月と5月にも書類送検されていましたが、いずれも不起訴でした。
 亡くなった5歳の女の子は、「もっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして」というノートを書き残していたことが報道され、涙を誘いました。本当にかわいそうで、ただただ冥福を祈るばかりです。
 そこで、今回の事件を通じて感じた以下2点について質問をします。
 まず、父親が何度も暴行しているのに、家族のもとに帰しています。虐待死亡事件の報道を聞くたびに、なぜそんな親元に置いておくのかと思うのです。
 以前、パチンコ店に駐車した自動車の中で乳幼児が亡くなるという事件が多発しました。そのころ訪問したカリフォルニア州では、ガイドから14歳以下の子供を自動車に残していくことは児童遺棄になり法律違反だと聞いて、何とアメリカは厳しいと思いました。しかし、今にして思えば当たり前のことで、やはり日本では取り組みが遅いと感じています。
 我が国では、法律や制度で家族を中心に置き過ぎている上に、全体的に制度設計が緩いと考えますが、県の対応について福祉保健部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 県におきましては、平成25年に発生した事案を受けて立ち上げた弁護士や学識経験者などで構成する検証委員会からの提言を踏まえ、児童の安全を最優先に、速やかな一時保護や措置の決定、一時保護や措置をした後の保護者に対する指導の徹底、また、措置解除に際してのより慎重な判断、さらには、措置解除後の児童の見守り体制の充実などの支援体制の強化をしたところです。
 具体的には、児童相談所や市町村に通告があった児童虐待事案については、お互いに情報を共有した上で、児童相談所において初動方針を決定し、速やかに児童の安全確認を行い、現状の生活では児童の安全が確保されないと判断した場合、即座に親子を分離し、一時保護を行っているところです。
 そして、一時保護を行った際は、児童の心のケアはもちろんのこと、虐待を行った保護者に対しても、明確かつ詳細な援助方針を作成し、子育ての方法や親自身のストレス管理の学習、児童福祉司による家庭への助言、指導などの支援を行い、家族再統合に向けた取り組みを行っているところです。
 こうした取り組みによっても、児童の安全が確保される状況ではなく、直ちに家庭復帰が困難な事案については、里親やファミリーホーム、児童養護施設等を活用し、親子分離を継続するなど、適切な対応を行っております。
 保護者への指導の効果が高まり、児童が家庭に復帰する環境が整った場合には、入所施設や地元市町村の意見を十分に聞くとともに、民生委員、児童委員や学識経験者などで構成する措置専門部会に諮った上で、児童相談所がより慎重な判断を行っているところです。
 さらに、一時保護や措置が解除され、児童が家庭に復帰した際には、地元市町村が主体的に見守りを行うとともに、児童相談所や学校、警察などで構成される要保護児童対策地域協議会で支援方針を決定し、当該方針に基づき各機関が細やかな支援を行うなど、虐待の再発防止に取り組んでいるところです。
 今後も、家庭復帰に当たっては、児童の安全確保を最優先し、慎重な判断を行ってまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 平成23年、南加県人会100周年に訪米したときに、ロサンゼルス市警を訪問し、児童虐待の対応についてお話を伺いました。そのとき特に印象に残ったのは、親が子供に会わせないというふうになったときには、直ちに警察官が踏み込むということでありました。日本でも、子供の安全を優先した警察との連携が必要ですが、県の考えを部長に伺います。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 児童相談所は、児童虐待の通告を受け、児童の安全確認や親子分離を行う際に保護者の抵抗を受けた場合には、職権による住居への立入調査や強制的な児童の一時保護などの権限を行使し、児童の安全を確保しているところです。
 なお、児童や職員に対する危害が予想される場合は、あらかじめ警察に援助要請を行い、警察官に同行を依頼しているところです。
 県といたしましては、児童の安全確保を最優先に考え、万全を期すとともに、引き続き警察を初め関係機関との緊密な連携のもと対応してまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ちょっと時間がないので焦っておりますが、次に行きたいと思います。
 空港の民営化に関連いたしまして、民営化コンセッションの結果を知事に伺いたいと思います。
 5月15日、県は、来年4月の南紀白浜空港民営化を目指して、優先交渉権者を経営共創基盤を代表とするグループに決定いたしました。続く28日には基本協定を締結し、7月上旬に具体的な実施契約を結ぶため、今議会に関連議案を提出しています。
 11年前、私の議長時代、白浜空港の指定管理を提案した地元航空会社や自家用機のオーナーも、観光関係者、設計会社の協力を得て今回のコンセッションに参加いたしました。その関係で、私も近くから一連の動きを拝見し、白浜空港や紀南地方の振興について勉強させていただきました。
 そこで、私から見て、南紀白浜空港民営化のお手本とも言うべき八丈島空港を昨年末訪問しました。そのとき、都庁幹部だった八丈島空港ビル会社の三井常務が私を迎えてくださり、さりげなく私に「かばんを持ちましょう」と言ってくれました。直接利害関係がない私に大変親切な心配り、これこそ民営化の核心であると感じました。
 八丈島空港ターミナルビル株式会社は、第3セクターながら、空港ビルやテナントの経営に加えて、ハンドリングの受注、気象観測、さらに空港運営そのものも指定管理で受託しています。また、クリーニングの取り次ぎや土産品の企画開発、空港外の都立高校校舎や地熱発電広報センターの管理など、手広く事業を展開し、地方空港もやる気があれば何でもできるものだと大いに感心した次第であります。
 また、航路開設や出店など空港活性化に関する調査研究など、一連の取り組みを傍観して民営化は大いに意義があると感じました。残念ながら地元グループは勝ち抜けませんでしたが、空港活性化に対する熱意や提案は遜色なかったと思っております。
 そこで、民営化について一区切りついた現在、知事はどのような評価をされていますか。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県といたしましては、民間事業者による運営を実現することにより、県の負担する運営費が軽減されることに加え、南紀白浜空港の航空ネットワークの拡充が図られ、国の内外からたくさんの観光客を呼び込むことで、紀南地域への経済波及効果が期待できるということについて評価をしています。
 県としても空港の振興と紀南地域の振興は相関関係にあるということは十分に認識しております。現状においても、地元市町及び地域関係団体を主たる構成員として、県も参画している南紀白浜空港利用促進実行委員会において、旅行事業者を対象とした現地視察旅行の受け入れなどの取り組みを、空港再活性に向けて行っております。
 県は、南紀白浜空港に民間活力を導入する事業の募集要項において運営権者が実行委員会に参画することを求めており、地域一丸となって空港の運営をサポートする体制が継続されることになっております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、キャリア教育について伺います。
 勤労は憲法に規定する国民の義務ですが、世の中は結構仕事に対して不平等だと思います。かつて議員の秘書時代、山村に住む大工が屋根から転落して大工仕事ができなくなったという相談がありました。何分、山村のため、中年の障害者には適当な仕事はありません。本来なら障害年金をもらえるはずですが、実は年金をかけていなかったので、結局は生活保護ということになったと記憶しています。このとき、私は、住む地域、職業によって随分人生に明暗ができることを知りました。
 この大工に限らず、今日の和歌山の子供たちも、和歌山で大人になって暮らしていくためには、仕事が限定されます。
 そこで、県では、せっかく県内にある仕事を大切にしようと、和歌山の自然や生活のしやすさをPRし、中小企業や1次産業に魅力を感じてもらいやすい環境づくりに努めています。しかし、現在のような好景気、人手不足となると県外の大企業に吸い取られてしまいます。雇用の絶対数をふやすとともに、1つずつの仕事についてもさらに丁寧に扱うべきではないでしょうか。
 国立福井大学では、地元企業へ就職を促すために、インターンシップのような短期間よりも、共同研究など長い時間をかけて地元企業と一緒に仕事をすることが有効だと言っております。恐らく、経営者の人柄や企業の内容が学生に理解されるのだと推測します。また、中学や高校では福井大学のレベルまではいかなくても、じっくりと仕事に取り組んでみることが必要ではないでしょうか。
 また、ふるさとで錦を織る子供を育てるためには、本県では医師不足のため失われていく命があることを知ってもらい、医師の子弟ではなくても、公立学校からも医師になれる道を示すべきではないでしょうか。
 大阪市の民間人校長だった山口輝美さんが主張するように、小学生が100の職業を知ること、消えていく仕事、新しく生まれる仕事があること、そして、自分自身でも仕事をつくることができることを教えるべきです。
 偉人をお手本に成功例をたくさん知り、大きな夢を持つことも必要です。そして、本人が夢に向かって努力し、周囲も支援できる環境をつくるべきです。特に本県では、優秀な人は公務員や教員を目指すのではなく、みずから事業を始める起業家を目指してもらいたいと思います。
 現在、県教育委員会では、文科省の指導要領にのっとり、各学校にキャリア教育の計画づくりを求めています。学校それぞれの特色も必要ですが、先ほどから申し上げた本県の置かれている状況を考慮して、和歌山県としてはこんな子供を育てたいという指針が必要と考えますが、教育長の所見を伺います。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校教育に変化する社会の動きを取り入れ、社会と結びついた授業等を通じて、子供たちがこれからの人生を前向きに考えていけるようにすることや、地域や社会とのかかわり、さまざまな職業に出会い、社会的、職業的自立に向けた学習を積み重ねていくことが、これから極めて重要であると考えております。
 このような中で、今回の学習指導要領において、キャリア教育が高等学校に加え、小中学校においても明記され、学級活動や学校行事などの特別活動をかなめとして、小学校から高等学校まで教育活動全体を通じて充実を図ることとされております。
 現在、県教育委員会では、各地域や学校の実態、発達の段階に応じたキャリア教育を、教育活動全体を通じて取り組めるよう全体計画のモデルを示し、各学校が、全体計画、年間指導計画を作成するよう指導しております。
 今後は、より組織的、体系的にキャリア教育を進めるため、小・中・高等学校の各学校での目標設定の指針や具体的な事例、先進的な事例を示すことにより、キャリア教育のさらなる充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、このような取り組みを通じて、本県の未来を担う子供たちの育成に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に行きます。
 ことし3月4日午前6時50分ごろ、白浜沖で49歳の漁業者が操業中に海に転落し、約3時間後に海上保安部の捜索により発見されましたが、既に死亡していました。
 本年2月から、小型船舶に乗船する際はライフジャケットの着用が義務づけられました。国土交通省によると、ライフジャケットを着用することで生存率が27%から60%に倍増するそうです。しかし、ライフジャケットを着用しても、救助がおくれると低体温症で亡くなることもあるので、早期の発見が大切です。しかも、夜間ともなれば発見が困難になります。
 そこで、私は、ライフジャケットに通信機を装着し、海中に転落した途端に救難信号とともに位置情報を発信し、通信衛星みちびきなどを通じて海上保安庁に通報し、救助に来てもらうというシステムを考えました。
 幸い、御坊市にはライフジャケットを製造するメーカーがあり、和歌山大学の秋山先生の御指導もいただいて発信機の研究を進めてきましたが、この夏にも実際に海上で通信実験を行う予定です。
 過去5年間の水難事故件数は全国で毎年1300から1500件で推移し、600人から800人が死亡、行方不明になっています。そのうち半数以上は海域で発生しています。
 したがって、このシステムを実現することは、人命救助になり、しかも地域活性化、企業振興にも資する事業と考えています。ぜひ県にも支援をお願い申し上げますが、対応を危機管理監に伺います。
○議長(藤山将材君) 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 小型船舶乗船中におけるライフジャケットの着用につきましては、船舶職員及び小型船舶操縦者法第23条の36及び同法施行規則第137条に規定されているところです。
 議員御提案のライフジャケットに遭難場所を自動的に発信する機能を付加する等の仕組みは、捜索範囲の広い海上において、より迅速な遭難場所の特定と遭難者救助につながる有効な手段の1つであると考えます。
 議員御提案の趣旨につきましては、海難事故を所掌する海上保安庁に伝えてまいります。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後に、紀州犬の保護について伺います。
 ねんりんピックのマスコットもきいちゃんになりました。先日の香港・EGL観光袁社長のお迎えもきいちゃんでした。最近では、自由に動き回れるエアきいちゃんも登場しました。
 私は別にきいちゃんが嫌いではありませんが、きいちゃんが活躍する陰で、本物の紀州犬を見なくなりました。見るのは洋犬や柴犬ばかりです。柴犬は改良されて、日本犬の80%を占めるメジャーになり、海外でも人気がうなぎ登りだそうです。
 先月、平昌五輪金のザギトワ選手に秋田犬保存会から雌の子犬「マサル」が贈られました。秋田犬は、東日本大震災の支援の返礼として、秋田県から雌の子犬がプーチン大統領に贈られたことでも有名です。歴史をひもとけば、ヘレン・ケラーにも2頭贈られています。
 インターネットのフリー百科事典ウィキペディアによれば、秋田犬保存の歴史や活動は大変豊富です。有名な忠犬ハチ公も秋田犬でした。
 一方、我が紀州犬は、ウィキペディアの記述は3分の1程度しかなく、世間の感心が薄いのか、これまで粗末に扱ってきたのでしょうか。
 紀州犬は、オオカミの血がまじっており、凶暴で飼育しにくいという話も聞きますが、DNA検査によると、世界の85種類の犬の中で、秋田犬はシャーペイ、柴犬、チャウチャウに次いでオオカミに近い犬種であると判明しています。決して紀州犬が怖いというわけではないようであります。
 天然記念物紀州犬は、和歌山県が管理団体になっていることから、5年前に私は紀州犬の保存について一般質問しました。当時の教育長からは、毎年700頭と安定して登録されているので大丈夫との答弁がありました。しかし、今回の質問に当たり、教育委員会から日本犬保存会に問い合わせていただいたところ、この10年間で登録が半減していることがわかりました。
 直ちに絶滅の心配はありませんが、危機に向かっていることは確かで、せっかくのお宝を粗末にするのはもったいないと思います。県民が喜んで飼育できるような環境、紀州犬が活躍できるような環境がつくれないものでしょうか。今回は、知事にお答えいただきたいと思います。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県のPRキャラクター「きいちゃん」は、県内外で開催されるイベントに引っ張りだこで、県民にも広く親しまれております。
 このモデルとなった紀州犬は、昭和9年に国の天然記念物に指定されている学術的に貴重な犬種であります。
 紀州犬を初め天然記念物である日本犬は、公益社団法人日本犬保存会のほか、幾つかの団体による血統書発行による登録によって保存されているのが現状であります。
 紀州犬の日本犬保存会での登録状況は、御指摘のように平成26年度の国内新規登録数582頭が平成29年度には372頭、同じく県内新規登録数57頭が21頭へ減少しております。
 日本犬保存会事務局によると、住宅環境の変化や飼育負担が大きいことから、中型・大型犬を避けて、管理のしやすい小型の室内洋犬を飼う家庭がふえていることも減少の1つの要因であるとの意見を聞きました。
 猟犬などにも紀州犬は大変有能であるというふうに聞いておるんですが、少し飼いにくいというような議論を聞いたこともあります。今後、もう少し詳しい調査をして、減少を食いとめる手だてについて検討しなきゃいけないと思っております。
○議長(藤山将材君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 時間がないので先ほどちょっとよう言わんかったんですが、児童虐待のことで意見を申し述べたいと思います。
 今回の答弁、それからいろいろ事件を聞いて思うことは、児童相談所の人とか物すごく難しい判断をしていただいてるんだと思うんです。だけど、経験とか情報がなかなか伝わらないというようなこともやっぱり多くあるのも事実で、私は、アメリカの警察が親と会わせなかったらすぐに警察が行くとか、何か難しい判断をしなくてもいいように、自動的に動いていくようなそんな仕組みが要るんじゃないかなと、イメージですけども思っておりまして、ぜひ研究していただきたい。私もしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上で終わります。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(藤山将材君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第98号から議案第110号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号は所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。6月26日及び27日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(藤山将材君) 御異議なしと認めます。よって、6月26日及び27日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、6月28日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時30分散会

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