平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(中西峰雄議員の質疑及び一般質問)


平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(中西峰雄議員の質疑及び一般質問)


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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)
○中西峰雄君 おはようございます。6月定例議会の一般質問の最終日となりましたが、議長のお許しを得ましたので、早速ではございますけども、私の一般質問を始めさしていただきます。しばらくの間、おつき合いのほどよろしくお願いいたします。
 今回の私の質問は、第七次和歌山県保健医療計画、第三期和歌山県医療費適正化計画、そして地域医療構想の医療についての3つの大きな計画についてであります。
 最初に、第七次和歌山県保健医療計画──この計画は本県の医療提供体制の構築の方向性を示す計画とのことでございますが──について質問をさしていただきます。
 医療提供体制にとって最も重要なのは、その担い手の中心となります医師だと思いますから、(1)として医師の確保、地域遍在、診療科遍在についてお尋ねいたします。
 本県の医師数を見てみますと、10万人当たりで見たときに医師数は決して少なくはございません。むしろ多いほうです。ところが、病院の勤務医が非常に少ないという特徴があります。
 本県の医療施設従事医師数は2767人、人口10万人当たりでは290.1人と全国の9位であり、全国平均の240.1人をかなり上回っております。医師が少ないというわけではなさそうです。
 しかしながら、病院勤務医の割合は逆に61.7%と全国46位であります。病院に勤務する医師が非常に少ない。和歌山医療圏だけは全国と比べましてもかなり病院勤務医の数は多いんですけども、それ以外の医療圏では全国平均を下回っております。しかも、特に那賀医療圏、有田医療圏、橋本医療圏、新宮医療圏での10万人当たりの病院勤務医は、全国平均と比べるとかなり少なくなっております。全国平均の医師数と比べますと、病院の勤務医ですけれども、那賀は45.1%、半分弱、有田も同じく48.8%、橋本医療圏では66.9%、新宮は75.3%しか病院勤務医がいないということになっております。
 各医療圏におきまして急性期医療を担うのは、まず公立病院を中心とした病院でありますから、各病院は兵力過小の中で医療という戦の前線を辛うじて支えているという実情が透けて見えてまいります。
 なぜそうなのかと、ちょっと私なりに考えてみたんですが、間違っているかもしれませんけども、これは過去において県が和歌山県全体の医療体制の構築、特に病院の構築と充実にしっかりと取り組んでこなかったため、それを補う形で民間の診療所がふえていったのではないかということが考えられます。
 高度化する医療に民間の診療所が応えることはやはりできません。県民の命と健康を守り、県民が良質な医療を受けるためには、病院の体制の充実、医師の充実が必要です。にもかかわらず、兵力過小の中、各病院の医師が必死になって地域医療を支えているというのが実情であります。さらには、産科、小児科、精神科、救急科の医師が絶対的に不足しているということもあります。
 そんな中で、本計画では医師確保の数値目標を設定していただいております。これが実現すれば事態がかなり改善することが期待できると思うんですけども、しかし、これは果たして無理のない目標と考えてよいのかどうかです。特にこの目標の設定に当たりまして、過去の実績以上の医師を毎年確保という考え方で目標を設定してる診療科や、臨床研修医が本県の医師養成数と同数と設定されていること、また新専門医制度における専攻医が80人と設定されていることは無理があるのではないかというふうに私は個人的に感じてしまうわけで、そのあたりはいかがでしょうか。
 計画を立てているのに、それが難しいとは言えないんだということはわかるんですけれども、それについてかなりの自信を持って目標を設定したのかどうか、答えにくいとは思うんですけれども、御答弁をお願いしたく思います。よろしくお願いいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの中西峰雄君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 第七次和歌山県保健医療計画では、本県の課題となっている医師の地域遍在及び診療科遍在について、明確な目標を設定し、それを達成するための対策を示していますが、議員御指摘のとおり、目標達成に向けて相当の努力が必要な項目もあると認識しております。
 まず、地域遍在対策につきましては、県内の公的病院や僻地診療所での勤務を条件とする県立医科大学県民医療枠及び地域医療枠の制度を維持するとともに、これらの医師が先進医療の知識と地域医療マインドをあわせ持つよう、キャリア形成を支援することで、義務年限終了後の地域への定着を促進してまいります。
 次に、診療科遍在対策としましては、返還免除つき研修・研究資金の貸与制度を積極的に運用していくことに加え、本県への医師派遣を伴う共同研究を県外医育大学と実施するなど、医師確保に係る広域的な連携体制の充実にも取り組んでまいります。
 なお、3年後の第七次和歌山県保健医療計画の中間見直しに当たっては、国が新たに導入する地域ごとの医師遍在の度合いを示す医師遍在指標を踏まえ、医師確保に係る目標の見直しを行ってまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 御答弁いただきました。本当に私も、医師が足らない、足らないということはしょっちゅう聞かされるもんですから、これ何とかせないかんなあと思ってたんですね。この今の計画を見さしていただくと、これが本当に計画どおりに医師が養成されていきますと、かなり改善されてよくなっていくだろうというふうに思いますので、しっかりとこの医師の養成に取り組んでいただきたいなということを要望さしていただいて、次に(2)番に移らしていただきます。
 2番は、特定健康診査、特定保健指導、がん検診についてお尋ねいたします。
 本県の疾病の現状を見ますと、いわゆる5疾病のうち、がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病の4疾病の罹患率は、全国と比べますと総じて高いという傾向にあります。この罹患率を下げるためには特定健康診査、特定保健指導、がん検診の受診率の向上が重要なことは言うまでもありません。言ってみれば、県民の命と健康を守り、保健医療の質を向上させるために必要な一丁目一番地がこの特定健康診査、特定保健指導、がん検診だと思います。
 生活習慣病、成人病のリスクの高い人に早く気づいていただき、病気になるのを未然に防止すること、また、がん治療がうまくいく、いかないということもがんの早期発見、早期治療にかかっていると思います。
 受診率を上げるだけで県民の保健医療は劇的に改善するのは間違いないわけですけれども、受けてくれない人の首に縄をつけて連れていくわけにもいかないというところは、これ本当に難しいところかと思います。
 私は、個人的に、いっそ特定健診であるとかがん検診を受けない人の医療保険の負担を、保険料を上げたりとか、そういう負担を上げていくということも制度として考えてもいいのではないかというふうに考えておりますけれども、それについては今回は深入りはいたしません。
 受診率の向上施策としては、一般的な啓発活動、それから文書や電話による受診勧奨が中心になっていると思いますけども、それらも効果がないわけではありません。効果がないと言いませんけれども、やはり限界があるんだろうというふうに思っております。特に文書とか電話なんですけども、ちょっと例でいいますと、見込み客を絞らないダイレクトメールによる営業の応答率といいますか反応率というのは0.数%だというふうに言われております。特定健診とかがん検診の通知はターゲットを絞ってされておりますので、それよりは多少ましかとは思いますけども、それでも効果のほどは知れているんじゃないかというふうに考えております。
 それで、私は、やはり人がフェース・ツー・フェースで受診を促していくことが最も効果的なんじゃないかというふうに考えています。各自治体の保健師さんや健康推進員さんが歩いて未受診者を訪ねていき、膝を交えた会話をしながら受診を勧めるということが、これが一番効果があると考えております。会社や商店などの民間の営業でも、文書や電話ではなかなか契約につながりません。やはり足を使った営業活動にまさるものはありません。顔を合わせてお互いの信頼関係を構築して初めて契約につながるのだと思っております。
 営業活動には営業経費が必要なのと同じように、フェース・ツー・フェースの受診勧奨活動にもそれなりの経費がかかります。市町村をバックアップする助成策の拡充をお願いしたいと思います。
 こういうことも含めまして、特定健診と特定保健指導について、県は市町村をどのようにバックアップするのか、次に、がん検診についてどうなのか、最後に、県はこの受診率の向上にどのように取り組むのかをお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) まず、特定健康診査、特定保健指導につきましては、市町村に対し、事業費の一部や事業に従事する保健師等の人件費助成などを行うとともに、未受診者対策に係る国の助成事業を活用するよう指導しております。
 次に、がん検診につきましては、平成25年度から個別受診勧奨を行う市町村に対し、受診率の向上のため、案内文の印刷や郵送に係る経費の補助を行っております。
 また、市町村が行う受診案内や啓発イベントに活用するため、県がわかりやすい啓発資料を作成し、より効果的な受診勧奨となるよう市町村の取り組みを支援しています。
 最後に、特定健診及びがん検診受診率の向上を図るための取り組みですが、日高川町では、健康推進員が集団検診受診希望調査票を世帯ごとに持参、回収し、未受診者には受診勧奨通知を再度持参するフェース・ツー・フェースによる直接の受診勧奨を行うことで、高い受診率となっております。
 また、特定保健指導の実施率の向上を図るための取り組みですが、橋本市と上富田町では、保健師等が対象者宅を訪問し、特定保健指導を行うことで大きな成果を上げているところです。
 県といたしましては、県と国の助成事業を活用し、こうした取り組みを行うよう市町村に積極的に働きかけてまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 いろんな取り組みをしていただいておりますが、最後におっしゃっていただいた日高川町の取り組みというのは、かなり私の言うとる、やってほしい取り組みに近いのかなというふうに思います。本当に人は、近所のおばちゃんから、知った人から「中西さん、あんた、行ってないやろ、行かなあかんよ」と言われるとやっぱり弱いんですよね。やっぱり行かなしゃあないかなあというふうに私も思います。
 ですから、本当にこういう地域地域で、健康推進員さんであるとか、それから自治体の保健師さんなんかがお一人お一人に「受けなあかんよ」と声かけをしていく、そういう運動、そういう取り組みをもっともっと、県としてしっかりとバックアップしていただきますように要望さしていただきます。よろしくお願いします。
 それでは、その次に参ります。
 3つ目は、医薬分業についてであります。
 この計画では、この計画というのは保健医療計画なんですけども、この計画の中では医薬分業を進めることと、かかりつけ薬剤師・薬局を広めることをうたっておりますけども、本県の処方箋受け取り率は大変低いです。全国的に見ても低いです。特に有田、御坊圏域が低い。まず、どうしてこんなに低いのかと。その理由と改善策についてお尋ねいたしたいと思います。
 また、かかりつけ薬剤師・薬局も余りできているというふうには聞いておりませんので、その現況と課題、改善策についてもお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) まず、本県の医薬分業の指標である処方箋受け取り率は、平成28年度末で51.9%であり、全国平均の71.7%と比較して低位にあります。
 その要因としましては、本県の可住地面積100平方キロメートル当たりの薬局の薬剤師数が105.2人と全国の数値である140.5人と比べ少なく、また本県の人口10万人当たりの診療所数は全国で最多ですが、その診療所での医薬分業が進んでいないことが考えられます。特に県内では、有田医療圏33.6%、御坊医療圏35%と低い状況ですが、一部の中心的役割を担っている公的病院や民間の病院等が院外処方に積極的でないことが要因の1つであると考えています。
 今後、医薬分業を進めるためには、県民と医療機関の理解が必要と考えます。このため、県民に対しては、医師と薬剤師双方による処方内容の確認が健康被害の防止につながるという医薬分業のメリットについて積極的に周知してまいります。また、院外処方に消極的な医療機関に対しては、地域の実情を考慮した上で、患者本位の医薬分業を推進するよう働きかけてまいります。
 次に、かかりつけ薬剤師・薬局の現状についてですが、かかりつけ薬剤師・薬局とは、24時間対応、在宅対応などの機能を持つ薬局です。そのような機能を持つ薬局として、平成29年度末現在、健康サポート薬局が32件、在宅医療支援薬局が132件あります。
 また、その課題についてですが、本県では薬剤師が1名の小規模薬局が多いため、24時間対応や在宅対応が困難であると認識しております。このため、県といたしましては、24時間対応や在宅対応が可能となるよう、地域の薬剤師会や近隣薬局との連携体制の整備、訪問看護ステーション等との連携など、ネットワークの構築を進めることで患者の利便性を図ってまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 ありがとうございます。なかなか地域的な事情というのがあるんかなあというふうに思いますけども、医薬分業のメリットというものを訴えていただいて、これが進んでいきますように努力のほどお願いいたします。
 そして、項目の1が終わりまして項目の2、大きな項目ですけども、医療費適正化計画についての質問をさしていただきます。
 まず最初に、本県の1人当たりの入院外医療費が全国で一番高い、最も高くなっていると。1番ということは、誇れることであればいいんですけど、誇れることでないんで、何で全国で一番高くなっているんかということについて、その原因、理由、改善策を教えていただきたいなと、お尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 平成27年度の本県の1人当たり入院外医療費は約13万9000円で、全国平均の約11万4000円を大きく上回り、全国で最も高くなっております。
 その原因は大きく3点考えられます。
 まず第1点目は、医療機関が多く、受診しやすい環境にあることが挙げられます。本県の人口10万人当たりの医療機関数は、平成28年度で119.4と全国の86.7を大きく上回り、全国で最多です。
 第2点目は、医薬分業が進んでいない影響が挙げられます。入院外医療費には、院内処方による投薬費も含んでおりますが、本県の院内処方の1人当たり投薬費は、平成27年度で5288円と全国で最高です。
 第3点目は、生活習慣病が多いことが挙げられます。主な生活習慣病の人口10万人当たりの外来受療率は、本県と全国を比較すると、高血圧性疾患741対528で1.4倍、脳血管疾患126対74で1.7倍など高くなっており、入院外医療費を押し上げる一因となっていると考えられます。
 このため、県では第三期医療費適正化計画に基づいて、複数の医療機関を受診している患者への適正受診の働きかけや特定健康診査の受診率、特定保健指導の実施率の向上などの取り組みを積極的に推進することにより、医療費全体の適正化を図る中で1人当たり入院外医療費についても適正化に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 御答弁をお聞きして感じるところをちょっと申し上げますと、やっぱり基本的にはもう和歌山県民の罹患率が非常に高いわけですね。病気になる人が多い。この医療費をやっぱり下げていくためには、健康増進計画であるとか、それから食育であるとか、そういう部分、健診も含めまして、そのあたりをしっかりやって病気になる人を減らしていくのが一番大事なんかなあというふうに感じました。
 今答弁いただきましたんで、その次もよく似た話ですが、糖尿病についての質問です。
 これは、糖尿病についてお聞きしたいのは、この医療費適正化計画において占める糖尿病対策というのが大変占める割合が大きいんですね。この医療費適正化計画全体の適正化やったとして出てくる効果額が約66億円、全体で出てくるという計画になってまして、そのうちの糖尿病の重症化予防で出てくる医療費の削減といいますか、これが30億円あると。5割弱、4割強が糖尿病対策になってくるということなんで、この糖尿病対策が功を奏するかどうかが極めて重要になってまいります。
 ここも悪いんですね。糖尿病40歳以上の1人当たり入院外医療費は本県2566円、全国平均は1856円、本県のほうが約4割も高いわけです。ここで、差異の原因、理由、そして対策についてお尋ねします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 本県の糖尿病の40歳以上の1人当たり入院外医療費2566円が全国平均1852円の1.4倍となっていることは、人口10万人当たり糖尿病外来受療率が本県250に対し全国175で1.4倍と高いことが主な原因であると考えています。
 糖尿病は、重症化すると人工透析が必要となるため、患者の生活の質を大きく低下させることはもちろん、医療費の面でも社会的に大きな負担となります。
 そのため、糖尿病対策は県民の健康増進と医療費適正化の両面から喫緊の課題であることから、県では、第三期和歌山県医療費適正化計画で糖尿病の40歳以上の1人当たり入院外医療費の減少を目標に掲げ、運動習慣の定着や食生活の改善などの糖尿病予防対策を推進するとともに、和歌山県糖尿病性腎症重症化予防プログラムにより、新規人工透析導入者の減少に取り組んでおります。
 今後、県と市町村、医療機関が協力してこうした取り組みを着実に進めることにより、糖尿病医療費の縮減に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 ここもやっぱり健康増進計画とか健診、これが大事なんかあというふうに思いましたですね。本当に同じ和歌山県民として、こんなに健康状態が、病気になる人が多いというのは本当に何とかしてほしいなあと、したいなあというふうに思います。
 その次ですけども、次は後発医薬品、いわゆるジェネリックについてお尋ねします。
 ここも、先ほど言いましたように、適正化計画の中の全体66億円のうち、この後発医薬品の使用率向上による効果額というのが30億円弱ありますんで、ここも相当大きいということでお尋ねするわけですけども、この後発医薬品の使用率も、本県の場合、全国的にワースト5の低い使用率、ワースト5に入っていると。
 この後発医薬品の使用の促進というのは、もう10年以上前から厚労省もそういう方針を出して各自治体も取り組んできてたわけで、この数字を見ますと、これまで一体何をしてきたんかなあという気もするわけですが、とりあえず、どんな取り組みをこれまでしてきたんか、まずはお尋ねしておきます。
 そして次に、後発医薬品の使用率向上のためには、本県の医療機関の中心であります和医大附属病院に積極的に取り組んでいただくことが必要かと思います。和医大附属病院の医薬品の処方が今現在どうなっているか、お尋ねいたします。
 次に、院外処方は原則、先発医薬品名ではなくて一般名処方、いわゆる成分名での処方か後発医薬品名での処方にすべきであるという提案をさせていただきたいと思います。理由は以下のとおりであります。
 1つ目の理由としましては、一般名処方にしますと診療報酬点数の加算があります。病院の経営にとってもプラスがあると。全ての薬を一般名処方にしますと6点の加算があります。幾つかの薬のうち1つでも一般名処方にすると4点の加算がもらえます。医大附属病院ぐらいの規模でありますと、加算6点でざっと900万円、加算4点で600万円という増収になりますんで、このメリットは1つあるんかなと思います。
 2つ目の理由としましては、チェック、要するに先発医薬品を使いなさいよという指定をするために、先発医薬品の名前が入ってて、そこにチェックを入れるんですね。そしてチェックが入ってないやつはジェネリック、後発医薬品も使えるわけですけども、チェックを入れてなくても先発医薬品名で処方されますと、薬局は「先発医薬品にしますか、後発にしますか」ということを患者さんにお聞きすることになります。また、先発の名前が書いてあると、その書いてある薬が本物で、それ以外は何か違う代替品というか、そういう印象を与えてしまって、患者さんのほうが先発医薬品を選ぶ契機、動機をつくってしまいます。
 逆に、医師が後発医薬品名で処方いたしますと、薬局はそれしか処方できなくなってしまいますんで、先発医薬品を選ぶ選択権がなくなってしまいます。それはそれで問題かもしれないんですけれども、少なくとも一般名処方、いわゆる成分名での処方で記載していただければ、先発医薬品のほうがすぐれているという先入観がなくなりますし、薬局でも後発医薬品を勧めやすくなると思います。
 3つ目の理由ですけれども、先発医薬品が指定されていない場合、薬局での説明を聞いて、効能が同じやったら安いほうがええわなというて安い後発医薬品を選ぶ人が多いというふうに聞いております。しかし、生活保護受給者は医療費が無料でありますんで、薬についても価格の高い先発医薬品にしてということが多かったようです。これを是正するために、厚労省は、今後は医師が後発医薬品で問題がないというふうに認めれば、原則的に後発医薬品しか選べないようにするという方向性が示されました。
 生活保護受給者につきましては是正の方向は示されたんですけれども、実は医療費が無料の対象者というのは、生活保護受給者だけではありません。例えば、小学生や中学生の医療費を無料化している自治体の児童や生徒はそうですし、それ以外にも医療費が無料の人、これもう部長はおわかりになると思いますけども、無料の人や1割負担など負担の軽い人がいらっしゃいます。そういう人たちは、薬局でやっぱり価格の高い先発医薬品を指定する人が多いというふうに私は聞いております。
 そのようなことを是正するためにも、処方箋は原則一般名処方、いわゆる成分名での処方か後発医薬品名での処方をするようにすべきであるというふうに考えますけれども、このことについてどう考えるか、県の御所見をお尋ねいたします。
 また、各自治体や企業健保組合では、医療費を削減するためにいろんな取り組みをしておられます。このジェネリックでいいますと、例えば鹿児島県では鹿児島大学の薬学の学長、薬剤師会の会長、医師会の会長、病院協会会長等を構成員とする後発医薬品普及促進協議会をつくって、使用率の低い地域で啓発シンポジウムを開催するなどの取り組みを行っておりますし、また、栃木県の南西部にあります安足地区は、自治体が病院に働きかけて、要するにこれ市町村かと思うんですが、市町村が直接病院に出向いていって、後発医薬品を使ってくださいよという働きかけをして使用率を高めたということも報告されております。協議会の中で先進的な病院が取り組み発表して各参加病院が共有することにより、使用率が30%だった病院で今や8割を超えるところも出てきているという例もございます。
 これで最後ですけども、処方箋というのはドクターだけが出せるんですよね。ドクターの自由といいますか、ドクターがどうするかにかかってるんです。でも、そのドクターに対して組織としての病院がどう内部統制をしていくかということ、それから医大も含めて、医大附属病院、医師の協力をどう取りつけていくのかというところが肝かなと思います。
 これについて県は、いずれにしましても県の今後の取り組みの本気度というのが問われるんだろうというふうに私は思ってございます。今後の取り組み、県の姿勢についてお尋ねします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) まず、後発医薬品使用率向上のこれまでの取り組みについてですが、県では、医療関係者に対して医薬品医療機器総合機構が作成する後発医薬品の安全性に関する情報を速やかに提供するとともに、県民に対しては、県薬剤師会や保険者とも連携し、啓発を実施してきました。
 次に、和歌山県立医科大学附属病院における後発医薬品の院内処方の状況につきましては、院内で採用されている医薬品について後発医薬品への切りかえに取り組んだ結果、平成29年度で79.4%となっていると聞いております。
 なお、院外処方の状況につきましては、病院が採用していない後発医薬品をシステム上で処方できないという現状があると聞いています。
 次に、一般名処方もしくは後発医薬品名での処方では、患者が後発医薬品を選択しやすくなり、後発医薬品の使用率向上に効果的であると考えられることから、医師に対し、その処方を働きかけてまいります。
 また、処方箋を受けて調剤する薬剤師に対しても、後発医薬品の安全性や価格の安さなどについて、患者に対する説明を徹底するよう働きかけてまいります。
 最後に、後発医薬品の使用率向上への今後の取り組みについてですが、議員御提案の処方を推進するほか、県民に対しては、セミナーの開催やポスターやチラシなど啓発資材を用いて、関係機関とともに積極的に周知してまいります。
 こうした取り組みを着実に進めるとともに、先進県における取り組みも参考にしながら、第三期和歌山県医療費適正化計画で掲げた2023年度に後発医薬品使用率を80%以上にするという目標達成に向けて努力してまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 御答弁いただきましてありがとうございます。
 まず、ちょっと要望さしていただきたいんですけども、私、実は医大病院の院外処方の後発医薬品の使用比率を知りたかったんですけども、これはちょっとシステム上わからないということで、それはそれで仕方ないのかなというふうに思いますが、私の聞いているところでは、医大のほうの処方の多くは、チェックを入れた指定はしていないとしても、先発医薬品名で記載されているものが多いというか、ほとんど先発医薬品名での処方のようでございます。医大でも、先発医薬品名ではなくて、一般名で処方するようにぜひ改めていただきたいなというふうに思います。
 これも少数かもしれないんですけれども、一部のお医者さん、ドクターが、先発医薬品でなくてもいい患者さんに、チェックを入れた先発医薬品限定の処方箋を出しているということを聞いております。医大附属病院の処方に関して、そのようなことのないように、医師に対する内部統制を強めていただきますこともあわせて要望しておきたいと思います。そんなところですかね。
 次に行かしていただきます。
 項目3は、地域医療構想についてです。これは、かなり大きな構想なんですけども、最初に、これまでの進捗状況とこれからの取り組みについてお尋ねします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 和歌山県地域医療構想の推進に当たっては、県が各医療圏において全ての病院と地域医師会などの関係団体で構成する地域医療構想調整会議を設置し、地域の医療機関が担うべき病床機能について協議を進めています。
 とりわけ、本県におきましては、各医療圏において中核病院である公的病院が救急医療や僻地医療などの地域医療を担っている現状にあることから、全国に先駆けて地域医療構想と公的病院のあり方を独自に策定し、その考え方を地域医療構想調整会議において示し、具体的な病床機能の再編等について議論を重ねているところです。
 そのような状況において、今年度は各公的病院を中心に現在の財務状況などに関する経営分析を行うとともに、各病院が将来の医療需要を踏まえ、機能分化、連携を行わない場合の収益予測などを行うこととしております。
 こうした経営分析等や各医療機関に対する意向調査及びヒアリングの結果を踏まえて、各医療圏ごとの公的病院を中心とした医療機能の再編、ネットワークや医療機関同士の役割分担を地域医療構想調整会議において検討してまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 お聞きしてちょっと驚いてるといいますか、割と踏み込んだことをことしはやろうとされてるんだなあということで、期待をしたいなというふうに思います。
 ただ、調整会議の様子も私もちょこちょこお聞きするんですけども、実際のところはそれほど前向きに進んでいないんじゃないかというふうに感じるんですね。皆さん、自分とこがまず手を挙げて「病床を転換します」とか、なかなかそういうことはなくて、国の制度をにらみながら、横を見ながら、様子を見てるというのが現状かなあと、実情かなあというふうに個人的には思ってます。
 このままですと、2025年をめどにこれ構想をつくられてるんですけども、あっという間に来ると思うんですね。このままにらみ合いといいますか様子見が続きますと、調整会議を幾ら開いてもなかなか病床の再編というのは進んでいかないと思うんで、私はやっぱり実際にこの地域医療構想、国がつくれと言って県がつくって、県が実際進めていかないかんわけですが、現場としてこれを進めていく立場にある県として、この地域構想の実現には何が障害になっているんかというふうに考えるか。これを進めるためにやっぱり制度上、医療制度全般について、国や厚労省にこういうふうに制度を変えていくべきだというような提言を、現場のほうから国に物を申していってほしいなあと。
 地方というのは、国が決めた制度の中でしか動けんわけですよね。それは本当に不便なことが多くて、こういうふうに変えてくれたらというのは、このことだけじゃなくていろいろあると思います。この地域医療構想につきましても、実際にこれを進めていく立場にある県として、国に物を申していってほしいなあというふうに思うんで、そういうことがあればちょっと御答弁お願いしたいなと思います。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 地域医療構想を進めるに当たっては、各医療圏ごとに人口減少や高齢化の進行、医療資源などの状況を踏まえ、各医療機関の機能分化、連携を進めていくことが必要です。このため、各医療機関が将来の方向性を定め、関係機関と十分に議論をし、合意形成を図っていくことが重要であるため、相当の時間がかかるものと考えております。
 そのような地道な取り組みを進めている中で、経済財政運営と改革の基本方針2017においては、地域医療構想の実現に向けて個別の病院名や転換する病床数などの具体的対応方針の速やかな策定を行った都道府県に、地域医療介護総合確保基金を重点的に配分するとし、平成30年度以降、その進捗状況を考慮していくことが示されました。
 しかしながら、地域医療構想を進める上では、高度急性期から慢性期、在宅医療に至るまで、地域の患者の病状に合った切れ目のない医療提供体制の構築や、医療人材の確保などの取り組みに対しても、同様の評価がなされるべきであると考えることから、そういった取り組みに対しても当該基金を重点的に配分するよう国に対して要望してまいるとともに、ただいま議員の御提案にもありましたが、さまざまな要望を積極的にしてまいります。
○議長(藤山将材君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
○中西峰雄君 答弁いただきました。本当にこれ難しいと思うんですね。県が直接何かすれば済む話じゃなくて、各医療圏の医療を提供している病院であるとか診療所であるとか、病院が寄ってこれからどうしていこうかと決めていきますんで、難しいんで、私は国がもっと、各病院が自主的な判断をできるように医療制度を変えていくべきだというふうに思っておりますけども、いろんなことを国にがんがんと物を言うていってほしいなあということを要望さしていただいて、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、中西峰雄君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時37分休憩
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