平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速、質問に入らせていただきます。
 第1の柱は、働き方改革と教員の長時間労働についてであります。
 教員の長時間労働を中心に据えてお伺いしたのは、5年前のことでした。当時、県教育委員会は、小中学校の勤務実態はつかんでいませんでした。あれから5年、教員の長時間労働は、もはや一刻も放置できない問題になっています。文部科学省も、昨年12月に働き方改革についての総合的な方策について中間まとめを発表し、県教育委員会も本年5月、教職員等の働き方改革推進プランなるものを発表されました。
 そこで第1に、教員の長時間労働の実態をどう把握しておられるのか、教育長にお伺いいたします。
○副議長(岸本 健君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 教員の勤務実態の把握についてお答えいたします。
 県教育委員会では、県立学校教員を対象に、平成23年度から教員の勤務実態調査を実施しております。また、文部科学省が平成28年度に小中学校の教員を対象に抽出調査を行ったことを受けて、平成29年度に全ての公立学校教員を対象に勤務実態調査を実施いたしました。
 全国調査と県調査では実施年度や時期が異なりますが、1週間の時間外勤務の平均は、小学校教員は全国が約19時間に対し、県は約12時間で、中学校教員は全国が約25時間に対し、県は約20時間となっております。
 また、過労死と関連が強いとされる時間外勤務時間が月約80時間を超えている教員の割合は、小学校では全国が33.5%に対して、県は7.2%、中学校では全国が57.6%に対して、県は20.6%でございました。高等学校、特別支援学校については、全国調査は行われておらず、県では15.6%でした。
 今回の調査で小中学校とも全国平均を下回っておりますのは、本県がこれまで取り組んできたことが1つの要因としては考えられますが、教員の長時間勤務の改善は本県においても重要な課題でございます。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 全国ほどひどくないということですが、しかしそれでも、中学校でいうと週平均20時間の超過勤務が続いています。平均です。毎日平均4時間、そしてその大部分が不払い労働。民間企業でいえば違法な労働実態になっている。民間企業であれば労働基準法から改善命令が出る、そういう実態にあるわけです。
 小中学校教員の勤務実態を初めて県教育委員会が調査されたようで、そのことは大変結構です。私は、この質問に先立って調査の全体像を教えてほしいと言ったんですが、もう少し待ってくださいということで、この質問までにはいただけませんでした。できるだけ早く、その全体像を公表していただきたいと思います。
 これまでも教員の長時間労働をなくすために努力すると表明されてきたにもかかわらず、やっぱり長時間労働が続いている。教育長はどう考えておられるでしょうか。
○副議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 教職員等の多忙化を解消することは、子供と向き合う時間の確保につながるとともに、教職員等がやりがいを持って働き、心身の健康保持やワーク・ライフ・バランスを実現するためにも大切なことだと考えております。
 教育委員会では、本年5月に教職員等の働き方改革推進プランを策定いたしました。この中では、校務の効率化に向けた点検シートについての達成目標を設定しております。また、部活動の休業日、活動時間の設定や、教員の事務作業が課題となっている小学校へのスクール・サポート・スタッフの配置等についても取り組みを進めているところです。
 さらに、教職員の校務を効率化する校務支援システムについては、高等学校では平成23年から導入しており、小中学校は昨年度、県が主導して共同調達に取り組み、今年度末には18市町に整備される予定となっております。
 今年度スタートした第3期教育振興基本計画において教職員の勤務環境の整備を掲げているところであり、今後も教職員等の働き方改革に全力で取り組んでまいります。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 いろいろ努力もしておられるわけですが、私は、根本的な問題は教職員定数の改善が進んでいないこと、もう1つの問題は、教育のためにはあれも必要だ、これも必要だということで、学校現場に押しつけてきたことにあると思います。教育長の答弁には、その観点は抜けているように思います。
 何よりも必要なのは、教職員定数の改善、教員配置の増員であります。何度も申し上げた問題ですが、小学校2年生から3年生になるときに学級が減らされているというケース、今年度は幾つあったのでしょうか。少し教員をふやすだけで解決できる問題です。
 また、一般の小中学校に設置されている特別支援学級という少人数学級があります。この学級で多学年の子供たちが学んでいる場合がある。こんな場合は、学級を分けるようにすべきだと思うんです。
 せめてこうした問題を教員配置の改善で解決してほしいと思いますが、教育長、いかがでしょうか。
○副議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 議員御質問の小学校3年生に進級した際に学級数が減った学校は、本年度12校ございました。そのうち課題のある学校には、当該の市町村教育委員会と連携し、チームティーチング等に当たる加配教員や学習及び生徒指導等の充実を図るための非常勤講師を配置するなど、それぞれの学校の課題に応じた対策がとれるよう配慮してございます。
 また、特別支援学級においても、個々の障害の状態や発達の段階に応じ、きめ細かな指導ができるよう、1学級6人以上の学級または1学級5人で3学年以上にわたる児童がいる学級には非常勤講師を追加して配置しております。
 なお、小学校の学級編制につきましては、第3学年以上が国の基準では40人学級となっているところ、本県では、国の加配措置で一定の条件により35人学級または38人学級と定めており、これまでも配慮してきたところです。
 県教育委員会といたしましては、学級編制に配慮しつつ、学校及び児童の課題や状況等に応じた適切な支援を行うことが重要であると考えておりますので、今後も引き続き市町村教育委員会と協力しながら、こうした支援の充実に取り組んでまいります。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 せめてこんなことぐらいはと思う例を2つ挙げてお伺いしたんですが、教職員をふやすことということは十分には進まない。ただ、いろいろやりくりして苦労しておられることはわかりました。これだけ教員の長時間労働が社会問題になっている中ですから、クラスサイズを30人以下にする問題、国の基準を超えて県単独負担の教員を配置する問題など、抜本的な施策を要望しておきたいと思います。
 次に、忙しさの大きな原因になっている部活動の問題です。特に気になる運動部ですが、どういう指導をしていらっしゃいますか。その実は上がっているのでしょうか。
 高校の運動部の場合には、レベルが高くなるだけに、専門技術を持っていない教員が担当することの苦痛は、中学校の場合以上だと思います。どういう声があり、どういう対策をされておられるんでしょうか。
○副議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 運動部活動は、スポーツに興味と関心を持つ生徒が交流する中で、技術、能力の向上と責任感、連帯感の涵養に資するなど、大変意義のある教育活動です。しかしながら、少子化が進展する中、これまでと同様の運営・指導体制では維持が難しい学校もございます。
 このような中で、昨年度、県教育委員会では、市町村教育委員会や中学校体育連盟等と協議し、策定した和歌山県中学校運動部活動指針に基づき、発達の段階に応じた望ましい活動が行われるよう指導してまいりました。その結果、9割を超える運動部が休業日や練習時間を適切に設定するなど、効果的、効率的な運営を実践してございます。
 また、中学校に104名の部活動指導員等を配置し、専門的な指導力を確保することにより顧問教員の負担軽減、安全性の向上など、改善に努めてございます。
 本県では、ことし3月、スポーツ庁が示した運動部活動の指導の在り方に関する総合的なガイドラインを受け、県の指針を改正し、活動方針の策定やその公表などを盛り込んだ和歌山県運動部活動指針を改めて4月に策定したところです。
 高等学校の運動部活動については、中学生より心身が発達していること、中学校での取り組みを基礎に多様な活動が行われていることなどから、競技の特性や学校の状況等に応じて本指針を適用することとしてございます。また、高等学校にはエクセレントコーチや外部指導者の配置、実技指導の方法等を学ぶ指導者研修会の開催など、専門技能を持たない顧問教員を支援する手だてを講じてございます。
 今後とも、関係機関と連携し、このような取り組みを一層進めるとともに、各学校が保護者や地域の方々の御意見もいただきながら、持続可能な運営体制を整えるよう指導してまいります。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 休養日の設定など順調に進んでいるという答弁ですが、実態に合わないという声も聞くことがあります。運動部については、関係者がスポーツ医学の立場に立って子供の心身の発達にプラスになる部活動が充実するように期待をしております。
 最後に、教員を多忙に追い込んでいる問題として挙げたいのが、学力テストであります。
 せめて、県独自の学力テストは来年からやめませんか。いかがでしょう。
○副議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 全国学力・学習状況調査は、小中学校の最終学年である6年生と3年生を対象に、前学年までの学習内容や生活習慣等について調査し、その結果から各学校の取り組みの成果や課題を分析し、教科指導の充実や生活習慣等の改善に役立てるために実施してございます。また、教育委員会では、施策の成果と課題の検証にも活用してございます。
 県教育委員会が実施している学習到達度調査は、小学校4年生、5年生、中学校1年生、2年生を対象に、主に当該学年の学習内容について調査し、担当している教員が子供たち一人一人の学力の定着状況をきめ細かく把握することで、個々の課題に合わせた指導を行い、各学年段階のつまずきをなくし、学習内容を確実に身につけさせるために実施してございます。
 この2つの調査にあわせて実施することで、課題とその改善状況を把握しながら基礎・基本の定着などに取り組むことができ、子供たちの確かな学力の向上につながっていると考えてございます。
 今後とも、本県独自の学習到達度調査を初め、学力向上に向けた取り組みを計画的、継続的に進めてまいります。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この点は意見が違いますが、きょうはここまでにしておきたいと思います。
 第2の柱は、自然エネルギーと自然破壊にかかわる問題です。
 私ども共産党県議団は、ここ何回かの県議会で、自然エネルギー開発のもとに自然破壊をするメガソーラー、大型風力発電の問題を取り上げてきました。また、企業倫理ということを問題にしてきました。
 このたび、共産党国会議員団のお世話で、5月16日、経産省近畿経済産業局への申し入れ、要望活動を行いました。一連の経過を議場にお配りした配付資料1で紹介しております。ただ、配付資料の中で、大型風力発電の計画が72カ所から72基に縮小とありますが、73基の誤りでありますので、おわびして訂正しておきたいと思います。
 風力発電会社が住民の口封じをする覚書の問題、参議院経済産業委員会で取り上げることになりました。こうした問題は、お金が出されても表面に出ないことが多いんです。このたび、覚書の問題というのは、問題を表面に引き出したというところに地域の民主主義が生きているということのあかしがあると私は思っています。知事は、この問題を厳しく批判されました。大変立派な答弁で、岩渕参議院議員の委員会の質問でも紹介されております。その質問を裏側に──これは未定稿ですので多少不正確な誤字もありますが、紹介しておりますので、またごらんいただきたいと思います。
 さて、その上での質問です。
 第1は、超大型風力発電の事業を認可するかどうかの問題。このたび方法書が発表され、有識者の皆さんで審議されています。そこには住民の皆さんからたくさんの意見が寄せられていますが、圧倒的に反対意見です。紀美野町議会でも紀美野町の区長会でも、全会一致で反対が決議されたとお聞きしています。
 こうした中で、手続さえ踏めばどんどん進んでいくということにしてはいけないと思います。環境影響評価の手続は、どんなぐあいに進んでいくのでしょうか。環境生活部長から御説明いただきたいと思います。
○副議長(岸本 健君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 御質問の風力発電事業に係る環境影響評価につきましては、今後、事業者から提出された方法書に対する知事意見を住民、関係自治体及び和歌山県環境影響評価審査会の意見を踏まえて作成し、経済産業大臣に提出することとなります。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 第2は、この事業を進める上で、林地開発の認可の問題です。林地開発の規模はどの程度になるのでしょうか。そのための地元同意となりますと大変広範囲になると思うんですが、どういう範囲がこの場合地元とみなされるんでしょうか。
○副議長(岸本 健君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 御質問の風力発電事業については、林地開発の手続が行われていないことから、林地開発の規模や地元同意の範囲については、現在、判断できないところであります。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ただいま御答弁があったように、大規模な風力発電の問題、地域では心配の声がたくさん広がっているんですが、しかし、その声を上げても手続だけがどんどん進んでいくように見える。やはり、これは最後はそれをとめなくてはならないと思うんですが、住民の声をしっかりと各部署で受けとめていただきたいというふうに思います。
 そこで、第2の問題は、重根の旭メガソーラーの問題です。
 お手元に資料2として、重根メガソーラーを考える会が配布したニュースをお配りしています。
 この事業者は、なかなか事前協議書を出してこなかったので、私たちは近接自治会関係者から相談を受けて、事業者が考えていることを知るという状態が続いてきました。
 近隣の皆さんは、森林が伐採されると山が崩れるおそれがあるのではないかと心配しています。また、そうなると日方川が氾濫し、下流の日方、大野地域でも心配ですが、住民の皆さんには計画が知らされていません。
 重根メガソーラーを考える会の皆さんの要望書がその裏側に、海南市に対する要望、それから県に対する要望もついてると思います。それから、業者に対する要望書がそれぞれついております。特に業者に対して、日方川下流の住民の皆さんにも計画を知らせる説明会を行うこと、開発を行う現地での現地説明会を行うことを、旭メガソーラー海南発電株式会社に要望するということにしております。
 こうした要望に応えるように業者を指導していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○副議長(岸本 健君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 御質問の太陽光発電事業につきましては、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例に基づき、事業計画の案の作成のため、事業者と県、関係市町村との協議が開始されたところであり、本条例に基づく説明会につきましては、事業計画の案が作成された段階で実施されることとなっております。
 なお、説明会の対象範囲については、事業計画の案が作成された段階で明らかになるものと考えており、事業実施により環境の保全上及び災害の防止上、影響を及ぼすと認められる地域において適切に実施するよう事業者を指導してまいります。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ただいま部長から、環境保全上及び災害の防止上、影響を及ぼすと認められる範囲とお答えいただきましたので、ですから山崩れの影響があるところだけでなくて、日方川が氾濫した場合に心配だという日方川流域、そういうところにも説明をする、考える会の皆さんが要望していることに応えていただけるものと理解をいたしました。
 なお、この会では、県に対してもこの問題の懇談の申し入れをしておりますので、またよろしくお願いをしたいと思います。
 そして、第4に、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例にかかわって気になることがあります。この条例は、メガソーラーへの住民の不安を取り除くためにつくられたもので、許可条件に住民の意見が反映されるものだと理解しておりました。ところが、昨日、奥村県議が指摘したように、同意書の扱いがどうもわかりにくいことになっている。
 この地元同意の問題ですが、和歌山県の住民運動の歴史で、地元同意というものは大変重いものです。私は、紀伊半島に原発を許さなかったというその経緯を思い起こします。当時、和歌山県は、原発の認可条件として、適地性、安全性、地元同意を挙げていました。電力会社は適地性、安全性は大丈夫だと断言をしました。福島の原発事故以前、後に原子力村と呼ばれるようになった学者、専門家が、原発は四重、五重にセキュリティーがあるから事故などはあり得ないんだと主張しておりました。しかし、そんな話は信用できないと、和歌山県の漁師さん初め多くの皆さんが頑張ったわけでございます。
 専門家の言うことを信用しない人たちは、何と頑迷な人たちだろうと非難されたことでしょう。しかし、福島原発事故は、頑迷と思われていた人たちこそが賢明、賢かったことを証明したわけであります。こうしたことを振り返ると、専門家の意見を聞いてということで地元同意にかえることは許されないと思います。
 その地元意見が太陽光条例の手続の中で大切に取り扱われることになる、林地開発制度取扱要領に規定する利害関係者の中の同意書と同様の意味を持つ、決して林地開発許可に当たってのハードルを低くしたわけじゃないということを、もう一度、農林水産部長からはっきりと言明していただきたいと思います。
○副議長(岸本 健君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 昨日の奥村議員の質問でもお答えしたとおり、林地開発許可申請書に添付が必要な開発に対する利害関係者の同意書については、金銭により強引に同意を得るといった不合理な面も考えられます。
 一方、新しく制定した太陽光条例では、利害関係者の意見や、その意見に対する事業者の見解を踏まえるとともに、必要に応じて専門家の意見を聞くなど手続を制度化したため、透明性、客観性、理論性を備えた科学的な仕組みが整えられたところです。
 以上のことから、同条例に規定する住民の意見を反映するため、必要な措置を講じたことを証する書面をもって同意書にかえることができるとしただけでありまして、決して林地開発許可処分のハードルを下げたわけではございません。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ハードルを下げたわけではないというのは結構なんですが、そして専門家の意見で検討するのも結構なんですが、ただ、地元同意というものを他の手続でかえることができるというただし書きは削除すべきではないかということを改めて申し上げておきたいと思います。
 最後に要望なんですが、既設の風力発電被害者の救済の問題です。参議院の委員会で質問にかかわって、国会議員のヒアリングで、ユーラスエナジーの有田川ウインドファームは、大窪地域に迷惑をかけていることは認めているわけです。被害を訴える方との間で、すぐに因果関係を求めて賠償というわけにはいかないとしても、まずはお見舞いぐらいあってしかるべきじゃないかと思います。
 経済産業大臣がおっしゃるコミュニケーションの1つです。被害者が話し合いに応じるかどうかわかりませんが、被害者との間で話を進めるよう、県として取り持っていただいてはいかがかと思います。要望といたします。
 最後に、第3の柱として、和歌山県IR基本構想についてお伺いいたします。
 IR、カジノとギャンブル依存症等の心配について、私は昨年2月県議会で取り上げました。その際、知事は、「ギャンブル依存症については、物すごく重視しております。だから、少なくともその懸念がなくなるまでは、和歌山県民ないし日本人をカジノに入場できないようにしたい」とお答えになりました。ただし、知事の発言は、「少なくともその懸念がなくなるまでは」というただし書きがついておりましたので、どうせどこかの時点で懸念がなくなったと言って、県民の入場を認めることになるだろうと思っておりました。
 あに図らんや、和歌山県IR基本構想では、和歌山県民の入場を認めるということを打ち出しておられます。誰もがどうせと思っていたことですから、誰もびっくりした人はいないんではないかと私は思います。
 その一方で、尾花和歌山市長は、条件抜きで外国人専用ということを打ち出しておられます。
 まず質問ですが、ギャンブル依存症の問題です。心配するのなら、まずその実態をつかまなくてはならないのですが、一昨年、私が質問したときも、ギャンブル依存症の実態はつかめていませんでした。福祉保健部長にまたお伺いするんですが、パチンコ、競艇なども含めたギャンブル依存症の問題、実態は、少しは把握できるようになってきているんでしょうか。
○副議長(岸本 健君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) ギャンブル依存症は、医療機関を受診することにより疾病と診断されますが、患者自身に病識がなく、患者本人や家族が相談や医療につながりにくいという特徴があるため、国においては実態の把握は困難であるとされており、県におきましても同様に困難であると考えております。
 なお、県では、精神保健福祉センターや保健所においてギャンブル依存症の相談を行っており、本人や家族からの電話や来所による相談延べ件数は、平成28年度で24件、平成29年度は30件という状況でございます。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 やっぱりギャンブル依存症の実態がつかめていない。そして、カジノというものは、誰が見ても、そうした今でも問題になってるギャンブル依存症の要因をふやすものになることは、誰もが否定できないと思います。ところが、その実態もつかめないままに、国はカジノ解禁を進めようとしている。
 それでは、国のほうでは、ギャンブル依存症への歯どめはIR法案ではどうなっているんでしょうか。企画部長からお答えください。
○副議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) IR整備法案によりますと、日本人の入場回数については7日で3回、28日で10回に制限し、入場料として1回当たり6000円を徴収するとともに、その際の本人確認手段としてマイナンバーカードを使用するものとされております。さらに、本人や家族からの申告による入場制限の措置や現金のみの利用など、重層的で多段階的な対策が盛り込まれているところです。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 国でそういう歯どめをしているという、週に3日あるいは1カ月に10日カジノに通うとすれば、これはもう立派なギャンブル依存症ではないでしょうか。カジノというのは、入場すると居続けすることもできる。そして、ギャンブル依存症だと本人、家族から申告があれば、こんな申告は大変な事態です。入場させないなどというのは深刻なギャンブル依存症が起こることを予測したものではないかと思うわけでございます。
 それでは次に、和歌山ではもっと厳しい規制を設けるから大丈夫だとおっしゃりたいようですが、和歌山ではどうやってギャンブル依存症を防ぐのか。企画部長から御説明ください。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 本県では、国によるギャンブル依存症対策に加え、県独自の取り組みといたしまして、民間事業者に対しましては、カジノ施設での使用上限額を設定して現金をチャージするIRカードの導入や、かけごとに熱くなっている人に休憩や退場を促す依存症対策専門員の配置、また、カジノ施設が非日常空間である心理的ハードルを設けるために──入場を抑止するという意味ですが──例えばジャケット着用などといった簡易な服装規程であるドレスコードの設定などを求めてまいります。
 県といたしましては、これらの運用を行っていただける民間事業者がいるのであれば、論理的に考えてギャンブル依存症や破産リスクはなくなるであろうと考えているところです。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ドレスコードという聞きなれない言葉が出てきたんですが、そこではジャケットと書いてますが、こちらの基本構想ではサンダル、短パン姿では入れませんという、これがドレスコードなんだそうですね。そういう高級レストランのようにぱりっとした格好でないと行けないという、こんなことを県として言うのがどうなんかと首もかしげるんですが、こういうことでギャンブル依存症が防げるんかと首もかしげるんですが、その使い過ぎを防ぐとしてIRカードを導入するというふうに言って、使える額の上限を設定するということなんですが、この金額は誰が決め、どんな金額になるんでしょうか。これも企画部長にお伺いします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) IRカードにつきましては、入場者が所持する金額の範囲内で、その日実際に使用する額を入場の際に事業者と入場者が相談をしてチャージしていただくことによって使い過ぎを抑制しようと、そういう考えのものです。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私はこれを初め見たときに、100万円なり1000万円なり、その上限を決めて、それだけしかIRカードは入れられないということかと思っていましたが、違うみたいですね。業者とその入る人が相談をして、あなたは富豪だから1億円まではいいでしょう、こんなふうに人によって決めるのがIRカードのようでございます。こういうことを考えてることだけはわかりました。
 そこで次なんですが、IR基本構想では、カジノ施設の売上高1401億円、県への納入金210億円、入場料金34億円などときめ細かく試算されています。この試算はどこでやられるんでしょうか。また、ここまで試算されるのなら、日本人あるいは和歌山県民がどれだけ売り上げに貢献するか──売り上げに貢献するというのはかけ金を払うということですが──そういうことも試算されているんだろうと思いますが、どうなんでしょう。企画部長からお願いします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) IR基本構想でお示ししたカジノ施設の売上高等の試算につきましては、有限責任監査法人トーマツに委託して算出したものです。
 カジノ施設の売上高は約1401億円と試算しておりますが、その内訳といたしましては、日本人が約381億円、外国人が約1020億円と見込んでおります。
 なお、日本人売上高に占める和歌山県民の割合につきましては、試算はしておりません。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 日本人381億円、外国人1020億円という試算が、これトーマツという監査法人によるものだそうです。昨日の奥村県議への答弁でも、IR入場者400万人について、同社が独自のノウハウ──同社というのはトーマツの話ですが、独自のノウハウと知見を用いて推定を行い試算したというふうにお答えになりました。
 つまり、そのノウハウや知見というのはトーマツだけの手のうちにある。もうちょっと打ち合わせで聞いたら、企業秘密でそんなもの教えてくれないという話なんですが、つまり監査法人トーマツ任せで、その根拠もよくわからないままに、試算が堂々と県のパンフレットで登場をしてくる。IR基本構想そのものが、監査法人トーマツやカジノ資本の試算にお任せの産物ではないかという思いがいたします。この感想だけ述べておきます。
 さらに、県への納付金210億円と言われますが、このお金の行方はどうなるとお考えになるかもお聞かせください。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) IR整備法案において、カジノ事業者からの納付金につきましては、観光の振興、地域経済の振興、社会福祉の増進及び文化芸術の振興に関する施策などに必要な経費に充てることとされており、その具体的な使途につきましては、区域整備計画において定めることとなっております。
 なお、納付金は立地市町村とその他関係地方公共団体へ交付することができますが、その場合にも、具体的な内容につきましては区域整備計画において定めると、そういうふうに規定されております。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 福祉や文化やというふうに耳ざわりのいい言葉を使うんですが、どう使うのかはまだよくわからないようです。
 それから、和歌山県がIR誘致に熱心になっている中で、カジノ資本の期待が集まっていると思います。国内資本もあるんでしょうが、海外資本が多いんでしょうか。どうした資本から引き合いがあるのでしょうか。これも企画部長、お願いします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 議員御質問の本県に興味を示しているカジノ運営事業者につきましては、これまで10社以上と意見交換を行っているところです。そのほとんどが海外の事業者ですが、国内の事業者も含まれております。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 10社以上あるけれども、会社の名前は言えない、言うたら信義に反するということなんでしょうね。
 例えば、外国資本というのは、これはカジノではありませんけども、風力発電の会社にしても、海外の資本が入ってきて和歌山の自然を荒らして去っていくんではないかと、こんな心配も皆さんするわけですけども、どこの資本がやってくるのか、それもよくわからない。そのままに和歌山は、県民にはそういうことについては明らかにしないままで進めるのはどうかと思います。
 次に、カジノ、IRについてさまざまな試算では、お客さんの70%から80%が日本人だとされているわけです。ですから、カジノ資本は、日本人客を狙って、日本のカジノ解禁を期待しています。つまり、日本人の懐を当てにして外国のカジノ資本が日本のカジノ解禁を進めている、こういうことだと思うんですが、知事は日本人の入場をさせないカジノということを言われたんだけども、本当に、本当に正直なこと言うてほしいんですが、そんなことができるというふうに考えていらっしゃったんでしょうか。知事にお伺いします。
○副議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほど本件に関しまして、雑賀議員から私の議会答弁に関しまして、私の人格を否定するような発言がありましたが、その扱いを私が、議会のことですから、どうこうできませんので、ただいまの御質問だけにお答えいたします。
 これまでの議会答弁においても、パチンコ依存症などから類推して、ギャンブル依存症を心配する県民の気持ちというのは結構あるだろうなあというふうに思いまして、実効性のある対策が講じられるまでは、心配でしょうから、日本人についてはカジノルームに限り入場させないという方針を示してきたところであります。
 驚くべきことに、それでも反対という人も少しいて、そういう人は本当に依存症の心配をしているのか、ただ政争の道具にしているだけなのか、大変疑問に思われます。
 全てのカジノの運営業者ではございませんが、何社か有力なカジノ運営業者が外国人専用でもコミットをしてくれていました。また、海外には外国人専用のIRはたくさんあるんでございます。成功する可能性はあると思ってるから、私はそういうふうに言うておったわけであります。人格を否定されては困ります。
 そこで、実はそういう考えを可能とするような制度をつくってくれるように政府にずっとお願いに行っていました。しかし、そこは大変ネガティブであったというふうな結果でした。しかし、カジノ規制は、実は私が当初考えてたよりも、予想よりもはるかに厳しいものになって現在の法案になっています。
 そこで、県独自の運営上の工夫とあわせれば弊害は完全に除去できると思っているので、現在はそういう方向で話を持っていこうと思っているわけであります。
 なお、外国人専用のカジノとする計画は、IR整備法案の趣旨に合致しない。すなわち、IR整備法案というのは大きな投資を求めたい、だからIRにするんだというような考え方でございますから、多分合致しない。さらには、他への波及もあると思われますので、政府が認定してくれないだろう、そんなふうに思っているところであります。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私は、多分知事は日本人も入れるものに変えるだろうというふうに思ったというふうに、私が思ったことを申し上げただけであって、決して知事の人格を否定するわけではございません。そして、知事の名誉のために、そういうふうに思ったということを言うと同時に、知事が本当にそう思ったんですかと言うて、ここで発言する機会を差し上げたわけでございますので、悪く思わないでいただきたいと思います。
 次に、地元自治体の同意の問題です。
 これは、きのうは奥村県議からの質問で、和歌山市との関係についてはお答えがあって、これはどうかなという気もいたしますが、同じことをもう1回聞こうと思いません。
 2年前に質問したときに申し上げたんですが、海南市はマリーナシティと目と鼻の先にあります。マリーナシティに行く観光客は、車で来る場合は和歌山インターでおりるよりも2つの海南インターでおりるわけでございます。こういう海南市の意見というものは聞いていただけるんでしょうか。知事、お願いします。
○副議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) IR整備法案では、区域整備計画の認定申請に当たり、立地市町村の同意は必要とされておりますが、隣接市町村の同意は必要とされておりません。
 しかしながら、手続を進めていく上ではさまざまな事案が想定されますので、その際には必要に応じて隣接市町村、今海南市というお話がありましたが、そういう関係のところにも相談をしてまいる所存であります。
○副議長(岸本 健君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この問題は、和歌山市の場合もそうでしょうけども、情報はやるから、交換するから県についてこいでは困るなと思っております。
 これで予定した質問は終わりなんですが、3日ばかり前に和歌山市の女性から電話がありまして、「母がギャンブル依存症で悩んでいる。和歌山県で専門的な治療を受けられるか県に問い合わせたら、公共病院にはないと返事された。『県民の友』に載っている病院にも聞いたが、そういう取り組みはしていないと言われた。大阪、奈良に入院施設があるが、年に10万円から20万円かかる。ギャンブル依存症を考える会の代表・田中紀子さんにも会い、山梨の開業医を紹介されたが、年20万かかる。カジノを誘致している和歌山だが、今、ギャンブル依存症で困っている人に対して、公的機関として対策をとっていない。共産党にも目を向けてほしい」という要望の電話がありました。これからさらに議論になっていくだろうと思います。
 きょうはいろいろお伺いしたんですが、ギャンブル依存症の心配は払拭されていません。カジノ、賭博というものは何の価値も生み出すものではなくて、多くの人の不幸で一部の人が喜ぶ、もともと犯罪であったものですから、こんなことで観光客を呼び込もうという考えは間違いではないかと思います。このことを申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(岸本 健君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ