平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 それでは、議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきたいと思います。
 今回も多くの方から県政の課題をいただきまして、ヘルプマーク、それから和歌山市を取り巻く鉄道の状況、明治維新についてどう和歌山県が取り組んでるのか、あるいは小中学校の心の教育を課題として賜りましたので、この4点につきまして一般質問をさせていただきたいと思います。
 まずは1点目、ヘルプマークの普及についてでございます。
 過日、ヘルプマークについての相談をいただきました。この方は、和歌山県に依頼してヘルプマークの交付を受けている方なんですけども、これまで会った人も、あるいはバスや電車に乗っても、誰からも何の反応もないと。多くの人はヘルプマークそのものの存在を知らないと思うので、ヘルプマークの申請をして所持しても意味が余り感じられないと、こういう話でありました。
 そこで調べてみることにいたしますと、和歌山県、それからヘルプマークの趣旨に賛同している市町村では、必要としている人からの申請があれば、このヘルプマークを交付しております。
 そのほか、現場に行きまして皆さんに聞いたところ、「ヘルプマークって知ってますか」というのを、こういうマークなんですけども、(現物を示す)見せて確認したけども、ほぼ全員が知らなかったと、こういう状況がありました。
 そこで、障害者施設を訪ねてみました。障害者のデイサービスの施設を訪問したところ、玄関にヘルプマークのポスターが張られていましたので、ここの経営者に尋ねたところ、「ヘルプマークのことは知っていますよ」と。「知っていますけども、ほとんどの人は意識していないんじゃないでしょうか。施設では意識醸成のためポスターを掲示していますが、今まで来訪者にヘルプマークのことで質問を受けたことはありません」、こういう回答でした。
 続けて、障害者福祉サービス事業所を訪問しました。ここでも玄関にヘルプマークのポスターが張られていました。理事長と話をしたところ、「事業者にとってヘルプマークは絶対に必要なものです。ここで働いている人の中には難聴者の人もいるので、外見からはわかりません。だから、ヘルプマークを持っていますが、世間の認知度は低いため効果的なものにはなっていないように思います」、こういう答えでした。
 続けて、「では、ヘルプマークを県が広報することについてどう考えてますかね」と尋ねたところ、「普及のための広報活動は絶対に必要で、ヘルプマークを必要としていない人の意識は低過ぎると思います。ぜひとも知っていただくように広報活動してほしい。ヘルプマークを必要としている人、私たちのような作業所で働いてる者は知っていますが、それだけでは効果が限定的なものになります」、こういう話を聞かしていただきました。まだまだ和歌山県では、このヘルプマークは浸透していないと感じたところであります。
 そこで、第1問目です。
 和歌山県として普及に努めているヘルプマークの広報について、これまでどんな活動をしてきましたか。まだまだ認知度は高くないと思われますから、さらに普及拡大する必要があると思います。普及のための今後の取り組みについて、福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
○副議長(岸本 健君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) ヘルプマークは、心臓機能や腎臓機能などの内部障害のある方や難病の方など、外見からはわからなくても援助や配慮を必要としている方がそのことを周囲に知らせるためのマークであり、本県におきましては、平成28年度から交付を行っており、平成30年5月末で2329人に交付しております。
 当該制度を十分に機能させるためには、広く県民の皆様に制度を知っていただくことが重要であり、県におきましては、「きのくに21」や「県民の友」を活用した周知や、障害者週間における街頭啓発並びにイベントでの啓発などに取り組んでいるところです。
 また、障害のある方に対し、さりげない支援や配慮を行う「あいサポート運動」の研修の際にも、あいサポーターがヘルプマークを見たときは積極的に援助ができるよう周知を図っております。
 加えて、公共交通機関を利用する際にも配慮が受けられるよう、公共交通機関事業者に対して、従業員の理解を深めるための啓発や、鉄道・バス利用者に制度を周知するための啓発用ステッカー等の掲示を働きかけております。
 今後の取り組みにつきましては、引き続き広報媒体を活用した啓発や関係機関への周知等に取り組むとともに、教育委員会とも連携し、現在、高校生等を対象に行っている啓発を小学生、中学生にも広げていきたいと考えております。
 これらの取り組みにより、ヘルプマークの普及啓発を進め、援助を必要とする方が援助を受けられる社会づくりに取り組んでまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えをいただきましたので、このヘルプマークについて2問目であります。
 和歌山県は、これまでもそうですが、これからもまだ普及に努めようとしてくれているようですが、まだ交付窓口がない市町もあるようであります。ヘルプマークを希望する人、所持している人のためにも全県下に広げるべきだと思いますが、福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
○副議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) ヘルプマークの交付につきましては、平成28年度の制度導入当初、県と和歌山市のみで行われておりました。しかしながら、ヘルプマークは、内部障害のある方や難病の方が利用するものであり、利用を希望される方にとっては、より身近な場所での交付が望ましいことから、市町村に対して交付窓口の設置を働きかけてきた結果、現在、16市町村に御協力をいただいております。
 引き続き、利用者の利便性向上のため、交付が行われていない市町に対して積極的に働きかけを行い、全ての市町村でヘルプマークが交付できるよう取り組んでまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ヘルプマークについて、きのう友人が高野山の役場へ行ったらきちっと広報がされていたというふうに聞いておりますし、スーパー等を回ってきても協力してくれてるところがポスター張ったりとかしてくれてましたので、ぜひ普及活動を続けて広げていただけたらと思います。
 それでは2問目、和歌山県の明治150年に関する取り組みについて質問に入らせていただきます。
 関西広域連合議会平成29年8月定例会で、来年は明治維新から150年の節目であり、記念すべきこの節目の年を関西の広域観光に生かすべきで、これを現在改定が進められている関西観光・文化振興計画に観光素材の1つとして取り込み、関西にゆかりのある偉人などを切り口とした取り組みを行ってはどうか、こういう質疑を交わさしていただきました。
 この質問に対し、山田委員、当時の京都府知事からですが、内閣官房でも明治150年関連施策各府省庁会議において取り組みが検討され、薩長土肥など明治維新にゆかりのある自治体・地域ではPRイベントが計画されている、関西はまさに明治維新の中心の地で、関連する歴史遺産が多く存在する、文化庁の関西への全面的移転や、守る文化から生かす文化へと変わっていく時代であることから、これを機にさまざまな明治をめぐる魅力ある資産、遺産、財産を結びつけたルートをつくっていきたい、こんな答弁をいただきました。オール関西ですから、当然、和歌山県も入ってのことだと思います。
 そして、この企画に期待を寄せていただいてる県民の方からこんな意見をいただきました。「和歌山県のこれに関連する取り組みを知りたくて県のホームページを検索したけれど、見当たりませんでした。和歌山県は大丈夫ですか」、あるいは「せっかく県議会や関西広域連合議会で明治150年をただしてくれましたが、他府県は実施していますが、和歌山県は関連施策は既に終わっていたり」、あるいは和歌山県の明治150年の取り組みの内閣官房のホームページがあるわけなんですけども、これに関して、「リンクミスは内閣官房なのか和歌山県なのかわかりませんが、気づかないままでは恥をかきます」、こういう指摘を受けました。
 指摘があったので、内閣官房の明治150年関連施策推進室のリンクから和歌山県を開いてみました。そうしたところ、「御指定のページまたはファイルが見つかりませんでした」と相当期間このエラーメッセージが返される状態が続いておりました。長期間気づかない状態にあったことを残念に思いますが、これはもしかしたら、県として明治150年に参画しようという意識の薄さが問題があったのではないかなと思います。
 そこで、明治150年に関連した企画、事業の意義をどう考えているのか、また、広域連合では明治150年記念の取り組みが実施されているところですが、和歌山県での取り組み状況について、エラーメッセージの原因とともに、企画部長にお尋ねをいたします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 明治150年に関連した企画、事業を行うことは、明治以降の歩みを次世代に残す観点から大変意義深いことだと考えております。これまでも本県においては、同様の観点から偉人顕彰事業等を初め、各種事業を行ってきたところです。
 最近では、明治期に建築された旧和歌山県議会議事堂の移築復元を行い、昨年9月には当議事堂において約300人を集めた陸奥宗光シンポジウムを開催し、多くの方々に御好評をいただいたところです。さらに、本年2月には県立近代美術館におきまして、明治の美しい風景を数多く描いた水彩画家、大下藤次郎の特別展を開催しました。なお、今年度から文書館におきまして、明治期以降の文書や写真を収集、整理した上で、デジタル化して保存し、順次インターネット上に公開するデジタルアーカイブの構築を進めておるところです。
 なお、明治150年関連施策に関する内閣官房のウエブページから和歌山県のホームページにアクセスできなかったのは、県ホームページが3月下旬に新システムへ移行した際にアドレスが変更になったことでリンク切れが起こり、それに気づかなかったという事務的なミスによるものです。議員からの御指摘を受けて内閣官房にアドレスの変更を依頼し、現在は復旧しておりますが、今回のことを反省いたしまして、今後このようなことが起こらないように取り組んでまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 この明治150年に備えるべきことを県議会で最初に取り上げたのは、平成28年の9月議会でした。まだことしも半年ありますから、全国に発信できる企画もまだまだ考えられると思います。
 例えば、提案なんですが、ことし5月末まで開催されていた外務省外交史料館の「明治の日本外交」展を和歌山県で実施することはできないものでしょうか。私もこの「明治の日本外交」展を鑑賞してきました。非常にすばらしかったと思います。明治150年の節目の年を迎えてるということがあるかもわかりませんが、殊のほか来館者が多くて評判がよいこともあり、開催期間が延長されたほどであります。
 中でも、我が県にゆかりのある人物としては、陸奥宗光外務大臣の外交が明治期の日本のためにどれだけ役立っていたかを知ることができました。彼の育てた小村寿太郎、林董の活躍などを含めると、明治期の半分は陸奥関係者が明治の日本を支え、守っていたことがわかります。これを和歌山県の青少年に学んでもらう価値は大いにあると思います。県内の中高生に見てもらう教材と言える内容で、和歌山県で行うべき展示と感じた次第です。
 公平、平等、公正という教育を知ることなく、損か得かしか与えられなかった道徳なき国は争いが絶えません。我が国ではこのようなことが起こらないのは、江戸時代の和学──国学なんですが──の中に、人の道、道理という教育が成立していたからです。当時、西欧帝国主義列強による植民地政策から日本国を守るために新国家を成立させ、近代国家へと国の衣服を着がえさせました。人の道、道理という教育を受けた侍魂は、日本精神として着がえを済ましました。明治の先人は、侍魂を日本精神に変え、次は易しい言葉、忍耐、辛抱、根性、努力と表現して明治期を乗り越えていったのです。
 明治150年は、西欧帝国主義国による植民地化から我が国を守り切ってくれた先人に感謝することが本来の意義だと思います。いかにして我が国を守るために明治期の偉人が、ふるさとでいうなら陸奥宗光伯がそのことに命をかけたのか。これを次世代に伝えることが明治150年をたたえる意味だと思います。
 そこで、この精神を継承することが明治150年だと考えますが、その観点から、「明治の日本外交」展を開催した外交史料館と連携展示を開催してほしいと思います。この連携展示は、東京に続いて北海道、鹿児島県が開催する予定だと聞いておりますが、それは明治の精神をこれらの道県は継承しようとしてのことだと思います。外交史料館との連携展示の開催について、企画部長にお尋ねをいたします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 議員御提案の地方における外交史料館との連携展示につきましては、外務省が所蔵する外交史料のレプリカ等を用いて、明治期の歩みを次世代に伝えることを目的とした事業です。和歌山県においても、外交史料に含まれる陸奥宗光の関連資料を紹介し、陸奥が明治期に果たした役割を県民に知っていただくことは大変重要だと考えております。今後、外務省外交史料館と協議を行い、来年度以降の開催を検討してまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ことし3月、和歌山市内の岡公園に建立されている陸奥宗光伯の銅像の後方に外務省からいただいた桜の接ぎ木を植樹したことや、こども園の児童が遠足で見学に行ったことが話題になりました。また、外務省への中学校の修学旅行はことしも継続されているように、ふるさとの偉人を思い、明治150年の認識は、徐々にでありますが、高まっていると思います。多くの人から、この明治150年に関する式典、イベントを待望する声をいただいてるところであります。
 神奈川県の取り組みを紹介したいと思います。
 神奈川県では、明治における開港の地である横浜や近代日本を支えた軍港都市横須賀など、明治ゆかりの資料や建築物などが数多く存在していることから活用を考えているようです。
 その中でも大磯町は、伊藤博文の旧邸宅「滄浪閣」、旧大隈重信邸、そして旧陸奥宗光邸など約6ヘクタールを明治記念大磯邸園として整備中で、平成30年10月の一般公開を目指していると教えてもらいました。神奈川県は大磯を横浜、鎌倉、箱根に次いで第4の観光地と位置づけているようで、明治記念大磯邸園の開園を起爆剤とする意向だそうです。
 ほかに横浜市は、岩倉具視を正使とした岩倉使節団記念説明板を象の鼻地区に設置する計画であります。ここから使節団が出発したことから、横浜市が日本近代化発祥の地であることを訴えようとしています。また、神奈川県立公文書館では、平成30年4月から9月まで、西郷隆盛の書、坂本龍馬の書簡など、明治維新の貴重な資料を展示しています。
 和歌山県として、郷土の歴史を誇りに思えるような、他府県から来県してもらえるような企画が必要だと考えます。神奈川県の事例のような、明治150年を契機として郷土の偉人をたたえることで観光につながる施策も必要だと思いますが、商工観光労働部長の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(岸本 健君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 県では、本県の持つ豊富な歴史文化に、食、温泉、体験などを組み合わせた100の旅モデルを「わかやま歴史物語」として紹介する専用ウエブサイトや冊子を作成し、この中で人物を切り口に、本県の偉人の業績も紹介しているところです。
 議員御提案の明治150年を契機とする郷土の偉人である陸奥宗光については、「わかやま歴史物語」の中の「カミソリ大臣陸奥宗光誕生のルーツを探る」において、その偉業を伝えるストーリーとともに、生家の一部を移築したと言われる郭家住宅や岡公園にある陸奥宗光像などの足跡をたどるほか、いとこである政治家・岡崎邦輔の別荘を改装したカフェやお土産、温泉なども楽しんでもらうコースを紹介しています。
 また、新たに「わかやま歴史物語」の専用ウエブサイトに明治維新150年にちなんだ特設バナーを追加し、ゆかりの人物を紹介するなどウエブサイトを充実していくとともに、この秋には100のスポットをめぐるスタンプラリーを予定しているところであり、リピーターの確保や周遊促進による滞在時間の延長に結びつけてまいりたいと考えております。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今、部長がお答えいただきましたように、「わかやま歴史物語」、僕も冊子抱えまして幾つかここのゆかりのところを回ってるところですけど、まだまだ観光客が少ないように思います。ぜひ、僕もPRしてるんですけども、もっと盛り上げていけたらなと思いますんで、よろしくお願いしたいと思います。
 ところで、和歌山市出身の作家、津本陽氏が死去されました。氏は、昭和53年、古式捕鯨を続けた明治期の和歌山県太地村の人々の姿を描いた「深重の海」で直木賞を受賞して以降、時代小説を世に送り出してくれました。
 「産経新聞」の記事によりますと、津本さんが和歌山出身の明治期の政治家、陸奥宗光を主人公に「叛骨」を著した背景には、仁坂知事からの依頼もあったということです。
 そういや、出版された当時、僕も桐蔭高校を訪問し、当時の岸田校長先生と話をし、図書館にも行きました。図書室にあるはずの「叛骨」がなかったので尋ねてみたところ、貸出中だということでした。当時「叛骨」は新作だったこともあり、ほとんど貸出中の状態になっています、こういう話があったことを思い出しました。
 校長は、どちらかというと中学生に「叛骨」を勧めていました。もちろん高校生に読んでもらうことにこしたことはありませんが、中学生が修学旅行で外務省を訪問する際に、「叛骨」を読むのと読まないのとでは外務省を訪問する価値、意義が大きく変わる、そういう意味から中学生に勧めていてくれたようです。
 よって、県内の中学校や高校の図書館に「叛骨」を配置して読める環境をつくってほしいと思います。それが本来、知事が津本さんに依頼した責任としてなすべきことだと思いますし、教育機関に「叛骨」を配備することが、作家に対して依頼した責任者としての礼儀だと思います。県内の高校の図書館に「叛骨」を購入して配置するように勧めてほしいと思いますが、教育長の答弁をお願いします。
○副議長(岸本 健君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県立高等学校の図書館では、平素から県やその学校にゆかりのある人物等に関する図書を集めたふるさとコーナーや、話題となっている出来事等に関係する図書を紹介する特設コーナーを設けるなど、生徒が身近なことから興味関心を持ち、読書に親しむ取り組みを行っております。
 津本陽氏の作品につきましては、県立図書館を初めとする公立図書館や学校においても、このたび追悼の意を込めて、津本氏の特設コーナーを設けているところもございます。各学校には、議員御指摘の「叛骨」を初め、津本氏の作品を充実するよう勧めてまいります。
 今後も、ふるさとに関する図書を充実させ、読書に親しみ、ふるさとに愛着と誇りを持つ生徒の育成に努めてまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 和歌山市民図書館では、5月30日から7月17日まで追悼展の開催を決定しているなど、郷土の誇りの作家であることをこのことは示していると思います。僕も話をしたのは一度だけ、かなり前です。「下天は夢か」のときに1時間程度時間をとっていただいて話をしたことがあるんですが、残念ながらメモをとってなかったかなくしたかで、余り、どういう会話をしたか、今では記憶に残ってないんですが、難解なお話をしていただけたというふうには思っております。
 津本氏は、先ほど言いましたように、「深重の海」、これは明治時代を時代背景にした捕鯨の話でありますし、遺作となった「叛骨」でも明治時代の外務大臣の姿を描いています。まさに明治時代を描いて明治の空気を感じさせてくれたふるさとの作家でもありました。心から御冥福をお祈りしていますし、氏の思いを我がふるさとで生き続けさせたい、そういうふうに感じています。
 明治150年の関連企画として、明治を描いた作品を残してくれた津本陽氏の顕彰などを考えてほしいと思いますが、知事の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 津本陽氏は、剣豪小説や歴史小説など各方面にわたり、実に多くの作品を残されました。県では、氏の功績をたたえて、昭和53年に和歌山県文化奨励賞を、平成5年には和歌山県文化賞を贈ったわけでございます。また、平成20年には和歌山県立図書館開館100年を記念して講演も行っていただきました。和歌山が生んだ大作家でありまして、私も何度もお目にかかっておりますが、大変尊敬をしております。
 また、これは実は大河ドラマの作戦の1つだったんですが、私からお願いして陸奥宗光を題材にした小説を書いてくださいというお願いもいたしました。それに応えていただいて、坂本龍馬との交友を中心とした「荒ぶる波濤」というのと、それから本格的に伝記である「叛骨」という2つの作品を書いていただいたということは本当に感謝をしておりまして、改めて哀悼の意を表したいと思います。
 現在、県立図書館においては氏の追悼コーナーを設置しているところでございますけれども、さらに顕彰のために何かできることがないかどうか、考えていきたいと思っております。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、3問目に入ります。心の教育について触れさせていただきたいと思います。
 過日、和歌山県内の自殺死亡率が全国で4番目の高さであると報道がなされました。平成28年の和歌山県人口10万人当たりの自殺死亡率は21.7人で、全国の16.8人よりも高く、2年連続で増加しています。
 さらに問題なのは、若者の自殺者が多くなっていることです。「子供・若者」というカテゴリーでは、平成24年の30人から平成28年は58人に増加していることが問題です。
 若年層といっても対象を絞らなければその対策を講じることは難しいため、今回は小中学生に対する心の教育について質問をしたいと思います。
 和歌山県では、平成22年度に、絵本、これは心の教育のための絵本なんですが、「カーくんと森のなかまたち」を教材として県内小学校に配布して、心の教育のための授業として活用をしたことがあります。たしか中学校にも配布したと思います。
 この絵本は、子供の自殺やいじめの防止活動に取り組んでいる東京都多摩市の絵本画家・夢ら丘さんたちが東京都を初めとする各地で授業を行っているもので、この教材を継続活用しながら心の教育をしている東京都、香川県では成果を上げていると聞いております。香川県はたしかこの若者層の自殺率が多分全国で一番低かったように思うんですけども、和歌山県内の若者の自殺者が高くなっている報道を受けて、「以前、自殺予防対策として、心の教育の一環として、県教育委員会は各小中学校にこの絵本を配布したと思いますが、現在も活用されているのですか」という問い合わせを実はいただいたことから、今回の質問にさせていただいたところであります。
 県民の方々の記憶にあるように、この絵本「カーくんと森のなかまたち」は、地域自殺対策緊急強化基金で購入し、県内の全小中学校に配布しています。
 平成22年、県内の小学校に東京から絵本作家の方に講師に来てもらって授業をしたことがあり、僕もそのとき、その中学校に行って授業を見せていただきました。そのとき、生徒や先生から感想を聞いた記憶、この学校の校長ブログなどを見たところ、絵本を活用した和歌山県の心の教育は評価が高かったと記憶しております。
 その後、平成23年1月に開催された全国都道府県教育委員会連合会総会において、和歌山県が資料配付をして「絵本『カーくんと森のなかまたち』を活用した心の健康のための教育について」と題して資料配付、発表をしているように、全国に紹介できるほど先進的な取り組みをしていました。このときのコメントをきのうもニュース番組で見たんですけども、前例のない、今まで自殺と正面に向き合ったことがないような活動、授業が今回できたと、これからも継続していきたいというコメントが映されておりました。それほどの取り組みをしてくれたのかなあというふうに思います。
 平成22年1月18日、NHKでもこのことは報道されておりまして、「県として命を大事にしたいという教育の対策をとらなければならない」、これ県教育委員会の職員さんがコメントをしておりました。さらに、「県民の友」であるとか各媒体にも、この和歌山県の心の教育については紹介はされております。
 そこで、この小中学生の心の教育の取り組みとしてこれらの絵本を活用していると思いますが、さらに継続した取り組みにすることが必要だと思います。この心の教育について、教育長の答弁をお願いします。
○副議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 絵本などの読み物教材を活用して子供に命を大切にする心を培うことは、自殺の予防にもつながるものであり、大変重要であると考えてございます。
 小中学校では、道徳の授業において、本県独自の道徳教科書「心のとびら」、「希望へのかけはし」などを活用し、命を大切にする心や思いやりの気持ち、規範意識などを育む教育に取り組んでございます。さらに、いじめを取り上げた教材をもとに、自己や他者の心を深く考え、正しい行動をとろうとする態度を培っており、こうしたことは自殺の予防にもつながるものと考えております。
 また、議員御紹介の絵本「カーくんと森のなかまたち」など、子供の自己肯定感を高める読み物教材は、自分の生き方や命を大切にする心を育む上で効果的であると考えてございます。
 今後とも、図書館や教室にこのような教材を充実し、読書活動を推進するとともに、さまざまな教育活動を通じて、自己も他者も大切にする心の教育を進めてまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁をいただきまして、今、そのときの、平成29年1月25日全国都道府県教育委員会連合会総会の和歌山県が配付した資料を手元にいただいたわけなんですが、和歌山県が提唱した絵本を活用するわかりやすい心の教育については、この後広がりを見せまして、これを聞いた埼玉県、福島県、静岡、茨城、北海道、そういったところでこの教育が浸透していったと、こういう報告がなされているように、非常に和歌山県の取り組みが効果的だったのかなあというふうに思ってます。
 そこで、こういった絵本作家であるとか、ある意味本物というんでしょうか、著者であるとか、スポーツでも何でもそうですけども、そういった何かをなし得た人、本物、本人に会えることで心の教育をすることは大きな効果が期待できるんではないだろうかと思います。
 外部講師による心の教育の授業は、このときの事例でもそうですけど、効果的だと思いますから、この授業の実施を考えていただきたいと思いますが、教育長の答弁をお願いいたします。
○副議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 外部講師の方を招いた授業につきましては、これまでも各学校において実施されており、社会で活躍されている方などの体験を聞くことで、子供たちにはこれからのよりよい生き方を考える機会となってございます。
 中でも、命にかかわるさまざまな体験をされた方からのお話は、直接子供たちの心に強く響き、かけがえのない命のとうとさを実感させる上で有意義であり、自己や他者を大切にする心を育む教育の充実につながるものと考えてございます。
 今後も、引き続き外部講師の方々の協力を得て、子供が命の大切さについて考えを深める取り組みを各市町村教育委員会とともに進めてまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、最後の項目になります。和歌山市における鉄道のあり方について質問をさせていただきたいと思います。
 先日、市内の自治会で防災研修会が行われまして、終わった後、1人の参加者の方から「どうしてもかなえてほしいお願いがあります」と話をいただきました。こんな話でした。「私は他府県へ出かけて和歌山市に帰ってくると、いつも悲しくなっています。それは、和歌山で駅をおりると、真っ暗で人通りがないからです。一体、和歌山市はどうなってしまったのだろう、この先、和歌山市はどうなっていくのだろうと思ってしまいます」。この和歌山の駅とはJR和歌山駅、南海和歌山市駅の両駅のことで、どちらも夜間は同じような状態にあると思います。
 こういう話で、続けて、「知事や和歌山市長が中心市街地の再開発によって活性化策を講じてくれてることは知ってます。ただ、現実はどうでしょうか。他県から来た人に話を聞いてみたら、やはり私と同じような感想を持っています。何とか和歌山市ににぎわいを、元気を取り戻してください」、こういう話でした。
 そこで、にぎわいを取り戻すための施策として、貴志川線─加太線接続、それに伴うJR和歌山駅と南海和歌山市駅を結ぶことについて質問をさせていただきたいと思います。
 この問題は、平成25年12月議会、当時の企画部長は、要約するとこのような答弁をしてくれました。
 各社の電車がふくそうすることによる安全確保の問題、自動列車停止装置など保安設備の相違、JR、南海、和歌山電鐵では車両の幅が異なるため、ホームの改良が必要なことなど相当な経費を要し、各社とも採算が見込めないこと、相互乗り入れ実現には克服すべき課題が多くあるとしながらも、「貴志川線の和歌山市駅への乗り入れ、加太線の和歌山駅への乗り入れは利便性の向上や需要の掘り起こしなどの効果があると考えますので、和歌山市と連携しながら鉄道事業者に働きかけを行ってまいりたいと考えております」、このような答弁でした。
 それ以前の平成22年の一般質問に対しても、これまた当時の企画部長は、「各社とも協議には応じるということでありますので、今後、和歌山市とともに鉄道事業者と話し合っていきたいと思っております」、こういう答弁をいただきました。
 そこで、鉄道事業者と和歌山市との間で勉強会の機会を設けて、鉄道のあり方、接続を含めてあり方を検討していると思いますが、協議の現状はどうなっているでしょうか。企画部長の答弁をお願いします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 鉄道の相互乗り入れにつきましては、平成26年度に鉄道事業者3者と和歌山市、県の5者で勉強会を立ち上げ、実現に向けた課題事項の洗い出しなど、継続的に意見交換を行ってきたところです。
 平成29年度も3回の勉強会を開催し、例えば貴志川線が和歌山市駅まで乗り入れるとしたら和歌山駅でどのような改修が必要となるか、どのようなダイヤを組むことができるか等について意見交換を行っております。
 その中で、貴志川線をそのまま延伸させるとすれば地下通路の補修が必要となることや、貴志川線が和歌山線側に乗り入れるとすればラッシュ時にダイヤ調整が困難となるなどの新たな課題が明らかになっており、鉄道事業者によると、多岐にわたる課題を解決するため莫大な投資が必要になるとのことです。
 このように、鉄道事業者の収益性が問題となり、容易に進展するものではありませんが、県としましては、どのような乗り入れ方法があり、どうすれば課題を克服できるのか、引き続き鉄道事業者や和歌山市とともに検討を重ねてまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今お答えいただきましたように、勉強会ではなかなか、やればやるほど課題が広がってきて、やろうとすれば予算、相当な投資が必要になると。投資したところでなかなか採算が見込めないから難しいよというところからなかなか前進していないような気がするんですけども、多くの方は、この後2問目に触れるんですけども、期待してるところでありますんで、ぜひちょっとでも前進できるように継続してほしいと思います。
 そこで、JR和歌山駅周辺ではマンションの建設、それから南海和歌山市駅ではホテルや市民図書館の建設などが予定されております。このことは、居住人口、交流人口が増加することが見込まれるため、鉄道の利便性の向上、移動時間の短縮などは鉄道事業者とともに考えるべき課題だと思います。
 地方都市と大都市の間の鉄道の移動時間が短縮すればストロー効果になるんじゃないかという話もあるんですが、実は逆ストロー効果があるという考え方も最近は言われております。
 また、大阪市内は難波と大阪を結ぶなにわ筋線の計画もありますし、御堂筋線は箕面市までつなぐことになっております。鉄道によってまちがつながることは、人の交流は当然のこと、ビジネス機会が増すこと、住宅の価値が高まること、人口増加に結びつくなど、地域としての価値も高まることになろうと思います。
 和歌山市内では東京医療福祉大学が開学し、続けて3大学構想がありますし、JR和歌山駅周辺での大型のマンション計画、南海和歌山市駅周辺のホテルなどの計画がある。そこになにわ筋線や御堂筋線の延伸計画です。鉄道の利便性向上を働きかける絶好のチャンス到来だと捉えて、阪和線、南海本線の利便性向上について、企画部長の答弁をお願いします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) JR阪和線や南海本線の利便性向上につきましては、鉄道事業者に対して常に働きかけを実施しているところです。
 その結果、JR西日本においては、これまでもICカード利用可能駅の拡大や駅のバリアフリー化整備などが図られています。さらには、本年3月のダイヤ改正で、阪和線の早朝及び深夜時間帯に特急くろしお号が増発されたところです。
 また、南海電鉄におきましては、和歌山市駅の改札口を2階から1階に移設し、なんば方面やJR和歌山駅への列車に乗車しやすくするなど、利便性向上に取り組んでおりますし、市駅前の再開発も行われているところです。
 一方、通勤・通学時間帯の阪和線の時間短縮につきましては、平成29年9月議会でも答弁させていただきましたとおり、根本的な解決には、阪和線の複々線化による路線容量の拡大が必要であり、新たな用地購入等莫大な経費がかかることから、実現は極めて困難であると考えているところです。
 県としましては、今後も引き続き鉄道の利便性向上を各鉄道事業者に働きかけてまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今、企画部長から答弁いただきましたように、現実は、改善はされてる部分もあるというのもわかりますし、利便性もある程度図られている。ただ、例えばJRにしたら和歌山─天王寺間が紀州路快速は70分というときもありますし、余り時間短縮が図れていないという気がします。
 和歌山市が例えば膠着している状況であれば、これはもうダイヤ改正とか利便性というのは非常に難しい、これはわかるわけなんですが、先ほど言いましたように、大型のマンションの計画がある、さらに大学が1つ開設して、さらに幾つか、3つほど開学しようという、こういう状況にある中、かなり居住人口、交流人口が図れる。市の全体の人口がふえるか減るか現状なのか、これはわからないにしても、少なくともふえるという取り組みを県としても当然されてるわけです。
 こういう節目となる状況の中において、今、これチャンスだと思うんですけども、鉄道事業者も当然5年とか10年の長期計画立ててますから、こういった人口の動態把握してると思いますから、それに合わせて利便性の向上なりスピードアップなりすることによって商圏が拡大する、これはわかってる話だと思います。
 その辺について、今の答弁の中には読み取れなかったところもありますんで、3大学構想とか和歌山市が今活性化しようとしている計画に基づいて利便性の向上について、企画部長に再度お尋ねしたいと思います。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 先生から再質問いただきましたように、今、県が進めているいろんな取り組みによって、和歌山市内の交流人口がふえていくものと考えております。それに伴いまして鉄道の利用者の需要がどの程度ふえていくかということも、鉄道事業者ともよく相談しながら、利便性向上を図れるものは図っていきたいと思っておりますが、ただ、先ほどの阪和線の通勤時間帯の短縮につきましては、いろんな働きかけをしてまいりますけれども、そもそも鉄道の容量が大阪側で非常に満杯になっておるということで、複々線化をとらないと解決しない部分があると。そういったことをどうやって解決していくかというのが大きな課題だと、そのように考えております。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 部長から答弁いただきまして、まだまだ続けたいところなんですが、時間がありまして。ただ、言えることは、県も和歌山市もそうなんですけども、何とか中心市街地に人をふやそう、交流人口をふやそう、利便性を高めようというまちづくりをしている中で公共鉄道という役割、非常に僕は大きいというふうに思いますんで、今、この機会こそが鉄道事業者に訴えかけるチャンスだと思います。もちろん費用対効果があるんで簡単ではないと思うんですけど、勉強会なり直接でも結構ですから、部長のほうからぜひ強力に、和歌山県は和歌山市のまちづくりをこう考えてるんや、だから協力してくれよという勢いを持って訴えかけていただけることを要望したいと思います。
 それでは、この項目の3点目であります。
 紀淡海峡ルート、四国新幹線の早期実現に向けた取り組みでありますが、ことし5月開催されたシンポジウム「未来を創る交通インフラ」では「紀淡海峡ルートと四国新幹線の早期実現」をテーマに議論が交わされました。非常にいい内容でして、多くの同僚議員もこのとき参加していたと思いますが、この和歌山県と徳島県を道路と鉄道で結ぶ構想に関しては、両県とも加入している関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会で実現を目指しているところであります。特に、第二国土軸の早期計画実現を目指している和歌山県と徳島県がこのルートを求めていることを強く感じたシンポジウムでした。
 東北や北陸、北海道など東京を中心とする新幹線整備計画は、実現しているものや着工中のものがありますが、昭和48年に新幹線基本計画に位置づけられた四国新幹線計画は、残念ながら進展していません。
 シンポジウムで紹介してくれた試算によりますと、四国新幹線が開通すれば和歌山県と徳島県の県内総生産はプラス50%、これはしゃべってくれた人がプラス50と言うたんで、必ずしもどうかはわかりませんが、すなわち県民所得もプラス50%になる、こういう話をしていただきました。もしこれが実現しなければ衰退への道を歩むことになる、このような説明があったように、新幹線による経済効果は大きなものがあると思います。
 また、リニア新幹線は、2027年に東京と名古屋間を結びますから、これらの地域の市場は増大することになり、新幹線のない地域の市場は縮小することになります。例えば、東京と大阪がリニアで1時間で結ばれると、これ県の職員さんに聞いたんですけど、山手線が1時間、東京─大阪も1時間、それだけ生活圏とかビジネス、情報のルートが短くなるから、当然、山手線内と大阪、関西、和歌山も含めてそれだけルートが近くなるということであります。ですから、四国新幹線は和歌山県としても何としても実現させたい構想だと思います。
 高速道路や新幹線が開通すると人の交流が起き、当該地域を活性化させます。東京、大阪をつなげると都市部との移動時間の短縮が図れ、先ほども申しましたが、逆ストロー効果、通勤時間なり短縮することで、地価の高い都会よりも地方へ住む、こういう逆ストロー効果が発生すると言われています。移動時間が短縮すると、今言いましたように地価の安価な地域に住居を構え、新幹線などを利用して通勤する人が増加する。四国新幹線は、大分県と大阪府を結ぶだけではなく、路線のとり方にもよりますが、和歌山県も通ることになる新幹線です。
 つなげることが相乗効果をもたらしてくれますから、経済規模も拡大する。新幹線、道路をつなげることが和歌山県と徳島県だけではなく関西全体の経済効果に影響を与えることになると思います。
 この紀淡海峡ルート、四国新幹線の早期実現に向けて知事のお考えをお答えいただきたいと思います。
○副議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀淡海峡ルートの実現は、4つぐらい日本及び関西、和歌山に効果があると思っております。
 第1に、四全総の語る第二国土軸として、国家のリダンダンシーを確保するものであるということであります。第2に、西日本の大動脈の代替機能を有する四国新幹線の実現を可能とするもの、第3に、関西国際空港と大阪都心を結ぶ超高速鉄道の整備につながり、関空の機能強化に資するものである。第4に、関西大環状道路や大阪湾環状道路の形成につながるもので、効果は非常に大きいものというふうに考えられるわけでございます。
 ただし、四全総の後、和歌山県もその実現に努力をし、かなりの県費を使って予備調査をいたしましたけれども、国を動かすことができず挫折をしておりました。国もその後、対応レベルを下げてしまったということでありました。
 しかし、関空の存在というのがその当時なくて、関空の存在が大きくなってまいりましたから、これを新しいてことして考えれば、先ほど申し上げましたように、もう一度このすばらしいプロジェクトが生き返るのではないかと私は考えました。これが実現すれば、本県は一挙に国土の中心軸の中に躍り出るわけであります。
 そこで、2013年になりますけれども、関係府県の知事に働きかけをいたしまして、賛同をもらいまして、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会──これは府県の集まりでございますが──を立ち上げまして、言い出しっぺでございますし、真ん中にいるものですから座長を務めておりますが、紀淡海峡ルートや四国新幹線の実現に向けた活動を行うべく、シンポジウムを行ったり国への提案活動を行ったり、積極的にやってまいりました。
 平成29年3月には北陸新幹線の敦賀─大阪間のルートが決定されまして、現在整備中の新幹線の中でルートの決まっていない区間はなくなりました。また、国においても新幹線の整備手法に関する調査費が予算化されました。これは、名前はまだつけられないけれども、名前を特定できないけれども、四国新幹線を初めとする基本計画路線を次の整備計画とするように、一種の構想を持ってつくられたものだと理解しておりまして、それをてこに働きかけを強めていく必要があると思っております。
 一方、新幹線が走るときに、実は大鳴門橋というのは淡路島と四国の間ですが、もう今、道路で使ってますが、新幹線仕様になっとるんです。紀淡海峡を渡ってくるときに、もちろん新幹線も渡ってくるわけですが、道路も渡ってくるわけで、今度はですね。その道路が京奈和につながるということになりますと、京奈和自動車道で第二国土軸になるし、また関西大環状道路を構成することにもなる。その関西大環状道路の1つである新名神高速道路とか京奈和が随分できてきましたんで、残るミッシングリンクである紀淡連絡道路の早期実現があれば、これ全部一遍にできてしまうわけでございます。
 そういうようなことを踏まえて、これをもっと運動を高めていこうということで、去る5月18日に関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会が主催いたしまして、和歌山市内でシンポジウムを開催いたしましたところ、議員初め350名の方々に御参加いただいて、関心の高さを実感したところです。
 紀淡海峡ルート、四国新幹線は、和歌山県のみならず関西の発展、あるいは日本の将来の発展のかなめとなる重要なプロジェクトであるとともに、これができますと東京一極集中からの脱却にもなるし、双極型国土構造の構築とか、地方回廊の整備とか、あるいは国土強靱化とか、もう全部に役に立つ不可欠なプロジェクトだと私は思うわけでございます。そういうことで、ぜひとも実現しなきゃいけないと思っております。
 5月31日には、これはいつものことなんですけども、みずから国土交通省を訪問して、これについての要望活動も行ったところでございますが、引き続き、味方もどんどんふやそうということで、シンポジウムなどの情報発信による機運醸成とか、あるいは関係団体への働きかけとか、国への要望とか積極的に取り組みを進めてまいりたいと思っております。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁いただき、ありがとうございます。
 このシンポジウムの話、非常に中身がよくて、僕もあちこちでこの話は紹介させてもらってるんですけど、9月の末ですか、29、30、和歌山マリーナシティに徳島県知事も来ていただいてこの話をするという今企画をしてございます。ぜひ知事にも御参加していただきまして、機運盛り上げに一役買っていただけたら、推進役になっていただければありがたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして一般質問とさしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(岸本 健君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ