平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号


平成30年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成30年6月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成30年6月21日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第98号から議案第110号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第98号から議案第110号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 中西峰雄
 2番 秋月史成
 3番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 花田健吉
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 川畑哲哉
 10番 玉木久登
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 尾﨑太郎
 14番 藤山将材
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 服部 一
 20番 山本茂博
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 堀 龍雄
 24番 中 拓哉
 25番 岸本 健
 26番 森 礼子
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 4番 欠員
 40番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      藤川 崇
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       田嶋久嗣
 環境生活部長     山田成紀
 福祉保健部長     山本等士
 商工観光労働部長   山西毅治
 農林水産部長     原 康雄
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      中西 淳
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   溝端莊悟
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       田村公一
 次長         糸川 徹
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     山田修平
 議事課議事班長    岸裏真延
 議事課主任      保田良春
 議事課主査      伊賀顕正
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       田中健司
 政策調査課長     中平 博
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  午前10時0分開議
○議長(藤山将材君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第98号から議案第110号まで並びに知事専決処分報告報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 2番秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)
○秋月史成君 おはようございます。
 一般質問2日目のトップバッターとして登壇させていただきます。通算7度目の登壇となりますが、まだまだ緊張が隠せません。本日、上富田町議会からお2人の女性議員が議会傍聴に来られております。小学生のころの参観日を思い出します。緊張がさらに増しますが、精いっぱい最後まで頑張りますので、県当局の皆さん、前向きな御答弁、よろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しを得ましたので、通告に従い一般質問を行います。
 まず初めに、ロシアとの観光経済交流について質問いたします。
 4月26日から5月1日まで、自由民主党幹事長・二階俊博衆議院議員に同行し、県議会議員の中から濱口議員と私は、日露経済・観光交流ミッション参加のため、ロシア連邦はモスクワ、サンクトペテルブルクを訪れ、日本・ロシアフォーラム2018への出席のほか、現地観光名所の視察を行ってまいりました。
 このミッションは、国会議員はもとより、山形県知事、茨城県知事、広島県知事などの首長も参加され、和歌山県からは下副知事を初め観光交流課長も参加し、また、全国から民間の方々も200人を超える皆様が参加する大訪問団となりました。
 まず、モスクワ、サンクトペテルブルクともに帝政ロシア時代からの歴史的建造物が多く残されており、それぞれに建造された時代を感じさせる美しい町並みであったと強く印象に残っております。また、社会主義国家であった旧ソ連時代の暗いイメージはなく、町行く人々の表情も明るく、近代的な建物も建築されており、また、往来する車両も日本車を初め欧州各国の高級な高年式の車両が行き交う経済的豊かさも感じ、非常に活気にあふれた町であり国であると感じました。
 日本人のその大半は、ロシアに対し余りよい印象を持っていない方が多いように思われます。旧ソ連は、第2次世界大戦末期、極東方面では1945年8月に日本との日ソ中立条約を一方的に破棄して参戦、満州国やサハリン南部、千島、朝鮮北部に侵攻して占領いたしました。その後も日本とロシアの間には旧ソ連から続く領土問題が横たわり、シベリア抑留問題、社会主義国家の流れをくみ、プーチン強権政治のイメージも強く、よい印象を持ちづらいと思われます。
 また、私個人的には自衛隊時代、北方重視の防衛体制の中で旧ソ連の脅威から我が国の国土を守るという意識のもとであったため、ロシアを訪問するまでは、よいイメージを全く持っていませんでした。
 しかし、私を含め、今回訪れた人々は、口をそろえて「ロシアに対するイメージが180度変わった」と好印象になったという声を多く耳にいたしました。現地に足を運び、みずからの肌で感じ、現地の人々と触れ合う。写真や動画では決して伝わらない、感じられない機微な感覚。まさに「百聞は一見にしかず」のことわざのとおりであります。
 また、本県の観光PRでは、下副知事が和歌山県の観光名所を細部にわたりPRし、私も本県の魅力を再認識した次第でございます。山形県、茨城県、広島県の知事も観光PRを同じく行いましたが、下副知事のプレゼンテーションがすばらしかったのか、和歌山県が最もすばらしい地であると感じております。
 下副知事のPRの中では、「統計はとってはおりませんが、和歌山県を訪れるロシアの人々は限りなくゼロに近い」という発言がございました。統計をとっていないため人数は把握はできてないと思いますが、私も下副知事と感覚を同じくして、かなりゼロに近い数字と感じております。
 一方、下副知事のプレゼンテーションでの御発言の中には、ロシアとの観光交流に対する熱意も感じられました。
 そこで、質問です。
 今後、ロシアとの観光交流についてどのようにお考えか、知事にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ロシアからの訪日外国客につきましては、絶対数はまだまだ少ないものの、昨年の訪日ビザ要件緩和の効果により、前年比40.8%増と非常に高い伸びを示しております。これは、オールジャパンでございます。今後さらなるインバウンド誘客が期待できる有望市場であると思っております。
 ロシアは基本的には寒い国であります。一方、観光というのは日常にないものを求めるという要素が非常に強いんじゃないかと思います。和歌山には、ロシアの方々が求めるであろう温暖な美しいビーチがたくさんありまして、また、世界的旅行ガイドブック「ロンリープラネット」にて、紀伊半島が世界の訪れるべき地域第5位にランクインするなど、和歌山の世界遺産エリアである高野山と熊野への注目度が高まっていることから、ロシアの方々、特に日本の歴史や精神文化に関心の高い知識層の誘客に大きな可能性があると考えております。
 このような中、ロシア語のパンフレットを新たに製作し、職員が本年3月にモスクワ及びサンクトペテルブルクにおいて和歌山観光セミナーを開催いたしましたが、4月の日露経済・観光交流ミッションに県からも副知事を初め観光事業者が参加をし、秋月議員のおっしゃるように、副知事から旅行会社やメディアに対し観光プロモーションを行ったところであります。
 副知事に聞いてみますと、反応はとてもよかったようでございまして、多くの業者が和歌山県が開いているブースに詰めかけてきたというふうに聞いております。
 このように、今回のプロモーションを契機としてロシアの旅行業界の和歌山の関心が高まっておりますので、6月上旬にロシアの旅行会社とメディアを招聘いたしましたほか、今月末にもロシアの旅行会社が視察に訪れる予定になっております。
 今後とも継続的にロシアへのプロモーションを行い、市町村や観光協会、観光事業者と一丸となって、ロシアとの観光交流に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 御答弁にもありましたように、ロシアはインバウンド誘客が期待できる有望市場であると私も思います。私が訪問いたしましたモスクワやサンクトペテルブルクは、日本からはかなり遠い地でもあります。しかし、広大な国土を有するロシアでは、極東ロシアと呼ばれる日本に近いロシアもございます。ウラジオストクなどは日本から直行便で2時間ほどで往来できる地であります。地域を絞って戦略的誘客も御一考くださいますようお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 私がロシアに向かうとき、行きは南紀白浜空港から空路東京国際空港・羽田に入り、モノレール、電車を乗り継ぎ、新東京国際空港・成田へと向かいました。1度か2度、委員会視察等で成田空港を少し訪れたことがありましたが、初めて利用することとなりました。
 和歌山県民が海外へ向かう際、よく利用するのが関西国際空港でありますが、関西国際空港も日本人だけではなく、訪日外国人が多数利用いたします。しかし、成田空港は、関西国際空港と比べても、その比ではないという印象を受けました。
 羽田空港から、比較的長期滞在のため、大きな荷物を引きずり、電車で移動。駅内部の移動では、階段やエスカレーターの利用。成田空港まで電車を乗り継ぐ移動は、屈強な肉体の持ち主と自負する私でさえ結構大変だと感じました。帰りは、成田空港から羽田空港までリムジンバスで約1時間の移動。大きな荷物はバスの荷室に入れ、肉体的には楽に感じました。その後、空路にて南紀白浜空港まで帰ってまいりました。
 5月30日付の新聞報道によると、「白浜空港、成田便で利用客増へ」という見出しで大きな記事が掲載されました。私も、ロシアからの訪日客を含めた訪日外国人客の本県への誘客、南紀白浜空港の活性化について、随分前から有効な手段であるとイメージしておりました。今後、南紀白浜空港─成田空港便就航について、運営会社を交えて県としてどう取り組んでいくのか、県当局のお考えをお示しください。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港の活性化策としての成田空港便就航への取り組みについて御質問をいただきました。
 南紀白浜空港の活性化に向けては、南紀白浜空港民間活力導入事業として、昨年11月から事業者の公募を開始し、1次審査、2次審査を経て、本年5月に優先交渉権者を決定し、現在、運営権の設定などの関係議案を6月議会に提案しているところでございます。
 運営権の設定を予定している事業者からは、成田空港便を就航させ、本県が有する熊野三山などの世界遺産を訪れるヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアからの成田空港を経由したトランジット客を取り込む提案などがなされているところでございます。運営権が設定され、運営権者による運営が開始された後は、運営権者が主体となって航空ネットワーク拡充や利便性向上などを目指し、提案の実現に取り組んでいただくこととなりますが、県といたしましても運営権者と協働し、南紀白浜空港の活性化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 しっかりよろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 昨年、私が12月定例県議会、平成29年度2月定例県議会予算特別委員会で校内人事に関する質問を行い、学校及び県教育委員会の不備を指摘させていただき、県教育委員会もその後、校内人事については適宜指導していただいていることと思います。
 平成26年に文部科学省の通知以前は、県内の幾つかの県立学校でも投票して校内人事を決めていたと調査で判明しております。その文部科学省の通知では、校内人事のほかに職員会議にかかわる通知もございました。議場の皆様に文部科学省の職員会議の運用についての指導事項をお伝えいたします。
 1、職員会議は、校長の補助機関であり、校長が主宰するとされているにもかかわらず、教職員の互選等により選ばれた議長団等の組織を設置し、校長以外の職員を議長とし、当該議長が職員会議を主宰することは、校長の権限を実質的に制約することから不適切であり、行うべきでないこと。
 2、職員会議において、挙手や投票等の方法により、校長が自らの権限と責任において決定すべき事項について決定したり、校長の権限を実質的に制約したりすることは、法令等の趣旨に反し不適切であり、行うべきでないこと。
 以上の2点が、校内人事に合わせて通知された文部科学省の職員会議についての指導事項であります。
 昨年12月定例議会の校内人事に関する私の質問に対する宮下教育長の御答弁を、一部抜粋ではありますが、皆様に再度お伝えいたします。「平成26年に文部科学省から全ての学校に対し、職員会議や校内人事のあり方について調査がありました。本県におきましては、その調査結果をもとに、不適切な規程や慣行があった学校に対して適切に運用するよう指導し、廃止・修正したことを確認してございます」と。
 私の余り高くない国語力からではありますが、この御答弁を読み解きますと、校内人事だけではなく、職員会議においても「不適切な規程や慣行があった学校に対して適切に運用するよう指導し、廃止・修正したことを確認してございます」と読み解けます。
 しかし、参考とはいえ、校内人事の教職員による投票が予定されていたことが判明し、3月の予算特別委員会で、不適切な方法なので厳しく注意し改善させたと御答弁されたように、校内人事においては12月定例会での県教育長の御答弁とは全く真逆な事例が、一部の学校だとは思いますが、判明いたしました。
 そこで、質問です。
 平成26年の文部科学省の通知以来、県立学校の職員会議の運用は指導事項のとおり適切に行われているか否か、県教育長、お答えください。
○議長(藤山将材君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 職員会議のあり方につきましては、平成26年度の調査の後、不適正な規程を廃止・修正したことは確認してございました。また、本年3月、校内人事とともに改めて校長の補助機関である職員会議のあり方について、学校を指導いたしました。今年度、職員会議の運営について調査いたしましたところ、校長主宰のもと行われており、校長以外の職員を議長とすることなく運営されていることは確認いたしました。
 しかしながら、一部の校長に認識の差があり、生徒指導に関することなどで全ての教職員の考えを把握するため、挙手による意向確認をした事例が3校ございました。該当校に対しては、生徒指導のあり方を含め、適正に運営するよう指導いたしました。
 校長が教職員の考えを把握するために行ったものであるとはいえ、挙手による意向の確認は、校長の決定を制約する可能性は否めず、不審を抱かせるものであり、遺憾でございます。また、指導を重ねてきたにもかかわらず、こうした運営が行われていたことについては、学校を指導する立場にある教育委員会としての責任を痛感してございます。
 今後とも、職員会議を初め、学校運営について指導を徹底し、学校訪問等を通して定期的に点検してまいります。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 全くもって情けない話であります。宮下教育長も私と同じ思いだと思います。一部の校長に認識の差、私には理解ができません。教職員の意見を把握するなら別の方法があるはずです。教育現場で子供と実際に向き合う教職員の意見を聞くことを私は決して否定するものではありません。校長には校長の言い分があるでしょうが、挙手による意向の確認、私には理解ができません。
 先ほど皆様にお伝えした文部科学省の職員会議に関する指導事項は、短文で、理解が難しいものではありません。同じことは二度と言わせるなと宮下教育長も教鞭をとっておられるときに1度や2度は少なくとも言ったことはあると思います。校長も、恐らく生徒には言ったことがあると思います。宮下教育長、今後はしっかり学校を指導していただき、二度とこのようなことのなきようお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 3月26日付新聞の記事に、「地方空港、安全に不備」という見出しで、地方空港の安全対策に不備が比較的多く存在し、国土交通省の検査で指摘されていると書かれておりました。
 先ほどの質問でも触れさせていただいた南紀白浜空港は、本県唯一の空港として旧空港から合わせて本年50周年を迎えております。県当局も南紀白浜空港の活性化の重要性を認識し、運営権を民間会社へ移し、優先交渉権者と基本協定を締結いたしました。今後、南紀白浜空港の活性化は、本県にとりましても地域にとりましても重要な課題の1つであります。
 しかしながら、活性化のその前に、安全対策は最も重要な課題であります。今回の国土交通省の検査で、南紀白浜空港も不備の指摘や指導を受けたことであろうかと思います。南紀白浜空港がどのような不備の指摘及び指導を受けたのか、お答えください。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港の安全対策についての御質問をいただきました。
 議員御指摘の国土交通省の検査につきましては、航空法第47条第2項の規定により、空港や航空保安施設が国土交通省令で定める保安上の基準や基本方針等に従って管理されることを確認するために、国土交通省が定期的に実施しているものでございます。前回の検査は、平成26年度から平成28年度までの3年間に地方自治体が管理する64空港で実施され、南紀白浜空港においては平成27年5月に2日間にわたり実施されてございます。
 その結果、南紀白浜空港においては、航空法に明示された基準等に適合していない事象に対してなされる指摘事項はなかったものの、航空法に基づき策定した指針や関係基準等に適合していない事象に対してなされる指導事項が6件ございました。
 指導事項の6件の内容でございますが、消火・救難訓練の未実施など消火・救難体制に係るものが3件、安全講習会の未実施など空港運用業務に係るものが2件、その他安全管理システムに係るものが1件でございました。これらの指導事項につきましては、平成27年8月6日に大阪航空局長宛て改善計画を提出し、全項目改善済みとなってございます。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 次の質問に移ります。
 ハインリッヒの法則。ハインリッヒの法則は、労働災害における経験則の1つであり、1つの重大な事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものであります。
 今回の国土交通省による検査によって指摘や指導された項目は、先ほどの質問のお答えでもありましたとおり、比較的軽微な指摘、指導だと思われますが、しかし、その軽微な指摘や指導を見過ごしていては、いずれは大きな事故につながるおそれがあることは否めません。軽微であっても指摘、指導を受けることは決して看過できるものではないと思います。日常の業務の中で、これくらいはいいやという慢心があったのかもしれません。
 今回の国土交通省の不備の指摘、指導、その教訓を生かし、今後の南紀白浜空港のさらなる安全対策、利用者が安全で安心して利用できる空港へとさらに進化させる、安全・安心こそが南紀白浜空港活性化の一丁目一番地であることに反論はないと思います。
 また、民間企業に運営を移管することを踏まえた安全への取り組みを県としてどのようにお考えか、お答えください。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港の民営化後の安全対策についての御質問でございます。
 空港における安全・安心の確保は、空港を管理運営する上で最優先の事項であると認識をしてございます。今後、運営権が設定され、運営権者による運営が開始された後は、航空法及び民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律に基づき、国が定める保安上の基準等に従い、空港や航空保安施設の管理を実施するとともに、みずから空港保安管理規程を策定し、これを遵守する義務を運営権者が負うこととなってございます。
 この実効性を担保するため、航空法第47条第2項等の規定により、引き続き国土交通省による定期検査が実施されることとなります。加えまして、県は今後締結を予定している実施契約に基づいて、空港運営等業務が適正に実施されているか否かモニタリングを実施し、これを満たさないと判断した場合は、改善計画の提出を命ずることとしてございます。このような枠組みにより、運営権者に空港の運営を移管する場合であっても安全・安心の確保に万全を期してまいりたいと考えてございます。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 次の質問に移ります。
 白良浜の階段護岸についてお尋ねいたします。
 南紀白浜といえば、多くの観光名所が思い浮かびます。三段壁、千畳敷、円月島などの観光名所にあわせ、近年は南紀白浜アドベンチャーワールドのパンダ人気、とれとれ市場等の商業施設を初めとして多くの観光客を集める施設がにぎわいを増しております。
 しかし、私といたしましては、何といっても南紀白浜といえば真っ白な砂浜が目に浮かんでまいります。夏のシーズンになると、一面に広がるパラソルのもと、多くの海水浴客でにぎわう白良浜海水浴場が南紀白浜のシンボルと言っても反論する方は少ないと思われます。
 そんな白良浜海水浴場には、海水浴シーズとともに台風シーズンとが重なり、台風による高潮、高波での浸水被害への備えだと思われますが、議場の皆様にお配りした写真のような不粋な黒い大型土のうが、遊歩道沿いにほぼ毎年、台風のたびに設置されております。
 大型土のうを置く時期は夏場の観光シーズンと重なり、海水浴シーズンと台風は重なることが多いのが現状であります。南紀白浜のシンボルである白良浜に黒い大型土のうは似つかわしくないと感じるのは私1人ではないと思います。地元の皆様も観光客の皆様も同じ思いだと確信いたします。
 そこで、質問です。
 まず初めに、いつごろからどのような経緯で設置されているのか、今後も続くのか、県当局にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 台風シーズンに白良浜に設置される土のうについて、経緯並びに今後の方針について御質問を頂戴いたしました。
 高潮や高波から海岸を防護する方法には、堤防や護岸などにより線的に防護する方法と、複数の施設を面的な広がりを持って適切に配置することにより波の力を沖合から徐々に弱めながら防護する方法がございます。
 白良浜は、県内有数の観光地で海水浴場であることから、環境、利用面にも配慮して、砂浜と突堤、階段護岸を組み合わせた面的な整備を行っており、その最終段階として、砂浜の整備に平成元年から着手いたしました。
 しかし、平成13年にそれまで投入した砂が湾内に流出していることが確認されたため、翌年から砂の流出防止を目的とした潜堤の整備に着手するとともに、砂の投入を中断し、現在は砂の移動状況を経過観察しているところでございます。したがいまして、現状は、階段護岸から水際線までの浜幅が計画どおり確保されておらず、十分な消波機能を有していない状況となってございます。
 このような状況の中、平成16年10月、台風23号の高潮と高波で背後地の一部が浸水するなどの被害を受けましたため、翌年の台風接近時には、応急的な対策として堤防の開口部に土のうを設置いたしました。その後、白浜町や地元地区からの要望を受け、平成21年からは、台風接近時の安全性を確保するため、関係者と協議を行った上で、遊歩道ともなっている階段護岸の天端に、先ほど議員からお示しのありました写真のように、ほぼ毎年、大型土のうを設置している状況でございます。
 こういった経緯を踏まえますと、今後も砂浜の整備が完了し十分な消波機能を発揮するまでは、台風接近時の高潮や高波に備え、大型土のう等を設置することを継続せざるを得ないと考えてございます。
 なお、台風接近時以外の大型土のうの仮置きは、階段護岸の近傍としていることもありますが、今後は、海岸の景観を損なわない場所に移動させることを検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 次の質問に移ります。
 平成21年から大型土のうの設置。地元からの要望でもあり、台風等の高潮、高波への備えとして大型土のうの設置はこれからも必要との御答弁でありました。
 本年が平成30年。約9年間、ほぼ毎年毎年、台風のたびに大型土のうを設置、その後、撤去では予算もかさみます。予算面だけではなく、景観面でも訪れる観光客に大きな不満を抱かせる可能性は否めません。高潮、高波対策は大型土のうではなく、別の方法、例えば堤防等の建設のような恒久的な対策を検討していく必要があるのではないかと思われます。
 しかし、私の考えにおいても、恒久的な対策、例えば築堤を行うことにより真っ白い砂浜及び美しい海岸線が見えづらくなり、また新たな景観面で不満を抱かせる可能性も否定できません。
 そこで、質問です。
 今後、景観面にも配慮し、よりよい恒久的な対策を講じる必要があると考えますが、県当局のお考えをお答えください。
○議長(藤山将材君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 白良浜の高潮、高波に対する恒久対策についての御質問を頂戴いたしました。
 白良浜では、先ほど御答弁申し上げましたとおり、高潮や高波対策のための面的な整備を行っている中、砂の移動状況を経過観察しているところであり、現時点では、その状況がわかり次第、所要の浜幅を確保するものと考えてございます。
 しかし、さらに砂を投入しても砂が定着しないという課題が解決しないことも想定をされてございます。そのような場合には、浜幅を現状のままとして既設の階段護岸の天端をかさ上げする方法がございますが、この方法は景観面や利用面への影響などの課題もあると考えてございます。
 議員から恒久的な対策が必要ではないかとの御指摘がございましたが、まずは砂の移動状況を注視することとし、その結果、既設の階段護岸の天端のかさ上げが必要と判断された場合には、白浜町や地元関係者等の御意見を踏まえ、整備方針を検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 県土整備部長、丁寧な御答弁ありがとうございます。
 御答弁にもありましたように、白浜町や地元関係者の皆様の意見を丁寧にお聞きし、白浜のシンボルである白良浜を守っていただき、あわせて台風襲来時の高潮、高波から背後地をお守りいただきますようお願いいたします。
 最後の質問に移ります。
 2015年8月30日に紀勢自動車道南紀田辺インターチェンジからすさみ南インターチェンジが全線開通いたしました。地域の観光産業の生産性の向上や観光活性化、また地域の救急活動に貢献し、整備効果を存分に発揮し、地域振興に大変寄与しております。
 特に、すさみ町江住地区にありますすさみ南インターチェンジ付近には、道の駅すさみがオープンし、多くの利用者でにぎわっております。この道の駅は、防災拠点としても位置づけられ、その機能が重視されております。今後は、この道の駅にホテル誘致も計画されているそうでございます。
 また、新宮方面から大阪方面に向かうときは、高速道路上のガソリンスタンドは紀ノ川サービスエリアまではなく、道の駅すさみに併設されたガソリンスタンドで燃料給油を行い、大阪方面へ向かうことが可能となります。
 道の駅すさみの飲食店の売り上げも好調の様子で、併設されているガソリンスタンドの売り上げも開店前に試算されておりました売り上げ予測を大幅に超える売り上げを記録しているとお聞きしております。急激な過疎化が進むすさみ町にとって、経済的、防災的拠点となっております。
 4月15日、すさみ串本道路の起工式が串本町で行われました。すさみ串本道路の基本計画では、すさみ南インターチェンジ・北向きハーフインターチェンジと和深インターチェンジ・南向きハーフインターチェンジが計画されております。
 近年、高い確率で発生が予測される南海トラフ巨大地震及び津波による被害に対応するため、また、台風等の異常気象発生時において、重点道の駅すさみは広域防災拠点としての機能が重視されております。
 この際、国道42号線和深─江住間において、異常気象による通行どめ、線形不良の区間があることから、防災拠点から串本方面へのアクセスを確保するにはフルインターチェンジ化が不可欠と考えます。その思いを同じくする岩田すさみ町長、すさみ町議会の皆様、地域住民の皆様と一緒に、本年2月22日、仁坂知事にすさみ南インターチェンジのフルインターチェンジ化について要望を行わせていただきました。
 また、3月29日は、国土交通省近畿整備局へも地域の皆様と一緒に要望活動を行ってまいりました。4月23日には上京し、自由民主党幹事長・二階俊博衆議院議員を初めとする地元選出国会議員にも要望活動を行い、国土交通省への要望活動も行っております。地元選出国会議員からは、私たちと思いを同じくし、しっかり頑張ってまいりたいという趣旨の発言をいただいておりますが、近畿整備局及び国土交通省では、まずは紀勢自動車道の延伸を優先しつつも、現在のところかなりハードルが高いと、全く前向きなお話はございませんでした。
 しかしながら、仁坂知事は、すさみ町の皆様と思いを同じくし、その重要性を認識し、しっかり前向きに頑張っていくと熱意あふれる御発言をいただいております。
 従来の計画どおりのハーフインターチェンジでは、今後、すさみ町の経済面での浮揚にも大きく影響し、また防災面でも問題が生じると思われます。今後、和歌山県として、すさみ南インターチェンジのフルインターチェンジ化について、どのように取り組んでいかれるのか、仁坂知事にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀伊半島一周高速道路は、本県にとって企業立地や産業振興、活力ある地域づくりといった将来のチャンスを保障するものとして、また南海トラフ巨大地震などの大規模災害への備えとして、その実現は不可欠かつ急務であり、これまでもさまざまな機会を捉えて早期整備を強く求めてきたところであります。
 このため、既に事業化されている一般国道42号新宮紀宝道路とすさみ串本道路において、県と関係市町が用地取得を鋭意進め、それぞれ起工式を経て、本線工事が本格化しようとしております。また、今年度、新規事業化された串本太地道路についても一日も早く用地買収を進めるなど、県としては紀伊半島一周高速道路を早くつなげることに全力で取り組む所存であります。
 議員御質問のすさみ南インターチェンジは、現在、御指摘のようにハーフインターでありまして、今はいわば終点でございますんで問題はありませんけれども、これが東のほうに延伸されるということになりますと、ハーフインターでは不便というのは御指摘のとおりであります。何とかならんのかと私も思っております。
 ただし、これはもともとは、これからできる和深インターチェンジと一体となってフルインターチェンジの機能を持つものとして計画されているというふうに承知しておりまして、したがって、あの狭いところにつくっておるということであります。
 現在のインターチェンジの南側は急峻な地形で、すぐにトンネルが計画されておりまして、地形的にもこれはフル化は難しいというのが技術者としてのおおむね一致した見解であると聞いております。
 それじゃ、他の箇所でフルインターをつくれんもんかということで、実は県の技術者たちにいろいろ検討をしてもらったんでございますが、どの地域もそれぞれ困難な点があるというふうに説明を受け、そうだなあというふうに思っておって、これを克服する手を今のところ私は考えついていないというのが現状であります。熱意はあるんですが、力は及んでおりません。
 紀伊半島一周高速道路を早くつなげることが第一であると、これはもう間違いないことでありますが、すさみ町の要望も実現できればいいというふうに考えておりますが、御説明申し上げましたように、これらの課題については今のところ解がなく、引き続き検討していきたいと思っております。
○議長(藤山将材君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 質問にもありましたように、すさみ南インターがフルインター化が実現するか否かでは、今後、すさみ町及び近隣地域の経済面、防災面で大きな差が生じることになります。
 仁坂知事には、次期知事選挙に必ず御当選いただき、すさみ南インター化を実現するものとすべく先頭を切って国に対して働きかけていただきますようお願いいたします。
 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。最後までおつき合いいただきまして、ありがとうございました。終わります。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 おはようございます。
 最初に、去る5月23日、お亡くなりになりました故泉正徳議員に哀悼の意をささげたいと思います。
 泉さんとは、2007年、県議会議員として初当選し、同期として自然と親しくさしていただきました。また、この2月定例議会でも地元の農業の繁栄を願っての一般質問をされたことは記憶に鮮明に残っているところでございます。地元の皆様を初め、そのお人柄は数多くの方に愛されていたことと思われます。安らかな御冥福をお祈り申し上げます。
 それでは、議長にお許しをいただきました。一般質問に入りたいと思います。
 まず、中小企業対策についてでございます。
 今国会は、働き方改革とも言われ、重要法案として位置づけられた働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律が審議されております。他の重要法案も含め、今国会での成立を確実にするために、昨日、会期延長されました。
 この働き方改革関連法案は、長時間労働の是正や健康維持に向けた勤務間インターバル、同一労働同一賃金、高度プロフェッショナル制度の創設などを盛り込んだ、1947年の労働基準法制定以来初となる大改革です。この法律を知事はどのように受けとめておられるのか、知事の御所見を承りたいと思います。
 2点目に、公明党は100万人訪問・調査運動を全国で展開。4月から始め、今月末まで行っています。テーマは、子育て、介護、中小企業のテーマで、現場の声をアンケートでまとめているところでございます。
 中小企業向けアンケートのことで申し上げますと、アンケートの質問は、正社員や正社員以外の人数、そしてその業種、利用したことのある支援策、例えば、事業承継支援税制やものづくり補助金、セーフティネット保証、支援策を利用したことがない等と、利用したことがあればその感想、利用したことがなければその理由、今後事業承継するときの課題、どのような支援策を受けたいのかなど、全て回答を番号で選択し、最後は要望を自由に記入できるようになっております。
 まだ県内では途中集計ですが、私がアンケートに答えていただいた企業は約110社。主なところでは、介護事業所、電機部品製造業、自動車整備、広告印刷業、建設業、地元のお米屋さん、精肉店、和歌山市の地場産業であるふすま・建具屋、そして生活関連サービス業の保険や接骨院、クリーニング業などでありました。アンケートに御協力をいただきました皆様に、改めてましてこの場をおかりをしてお礼を申し上げたいと思います。
 業種では、卸・小売業の方が一番多く、次に製造業、そして運輸・建設業、その他となっております。
 支援策をお聞きした項目では、「支援策を利用したことがない」と答えた方が一番多く、4割以上という結果でございました。比較的利用が多かったのは小規模事業者経営改善融資制度、その次がIT補助金、そしてセーフティネット保証となっていました。
 支援策を利用された方は、おおむね満足をされているようです。支援策を利用したことがないと回答された方で、その理由をお尋ねすると、「制度を知らない」と答えた方が一番多く、その次に「制度要件に当てはまらない」、「手続が煩雑である」という回答が多く、「申請したが認められなかった」という回答を寄せられた方も数社おられました。
 事業承継で困難な課題という項目では、「人材・後継者探し」が最も多く、その次に「事業に将来性がない」と答えた方も多く、気になるお答えでございました。
 相続・贈与税や技能の継承を心配される方も少なからずおられ、また、「相談できる人や窓口がない」と答えた方もおられました。
 受けたい支援策では、相談窓口を望む声が多く、続いて補助金や金融支援、そして税制支援、技能の継承支援と続いています。アンケートを行い、中小企業の事業承継は喫緊の課題であると改めて感じています。
 我が党では、このアンケートを実施するに当たって、「なるほど!中小企業応援ブック(第4版)」を作成し、お配りをいたしました。公明党が推進してきた数多くの中小企業支援策から、事業承継税制の抜本拡充など最新の施策やニーズの高い内容を厳選し、イラストを交えて易しくポイントを紹介し、問い合わせ一覧として都道府県中小企業担当課や各地方の中小企業支援センター等の連絡先も掲載した小冊子になっております。
 中小企業庁によると、今後10年間に70歳──平均引退年齢──を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万人──日本企業全体の3分の1に当たりますが──が、後継者未定。現状を放置すると、中小企業廃業の急増により、2025年ごろまでの10年間累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があると危惧されております。特に地方において、事業承継問題は深刻な問題と捉えていただきたいと思います。
 県でもさまざまな中小企業対策を講じておられますが、県内の中小企業の状況をどのように把握しておられるのか。そして、アンケートの結果から改めてわかったことですが、事業承継についてや人材不足への対応が喫緊の課題と考えられます。そのことについての取り組みと計画について、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
○議長(藤山将材君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、働き方改革関連法案についての所見ということでございます。
 今国会で現在審議中である働き方改革関連法案には、主要な3本柱があると私は思います。
 1つ目は、長時間労働の是正であります。現行では、労使協定を結べば実際のところ上限なく時間外労働をすることができるものということになっておりますが、法案では、時間外労働に罰則つきの上限が設けられ、最長でも月100時間未満、年720時間と規制されることになっております。長時間労働を削減することは、労働者のワーク・ライフ・バランスを進める上で必要なことであると考えております。
 2つ目は、同一労働同一賃金の実施であります。事業者に対し、短時間労働者、有期雇用労働者、あるいは派遣労働者の待遇差の内容や理由等に関する説明を義務化することが盛り込まれております。現行においても労働契約法で正社員と非正規社員に係る不合理な格差を禁じてはおりますけれども、漠然としているということから、今回細かく法整備されることになっていると理解しております。同じ形態で働く労働者が同じ待遇を受けることは当然であると私は思っております。
 3つ目は、高度プロフェッショナル制度であります。賃金を時間ではなく成果で評価をすることが目的となってるものでありまして、現状で成果主義を行動原理として、うんと高い所得を得ている人がおり、そういう人は時間などに縛られないで成果を出しゃいいんだろうということで、働き方の行動原理をつくっているという方が随分たくさん出始めているということを考えると、私はそういった概念をつくること自体は賛成であります。
 しかし、その制度に名をかりて残業手当をけちろうとするような使用者が出ては困るのであります。法律では、現在、想定で1075万円以上とされている対象者の年収や対象業務については、今後、省令で定めることになっております。
 また、対象者は、同意した後もみずからの意思で同意を撤回できるとされていて、一応悪用はないということになっておりますけれども、対象者の年収の問題や、あるいは実施に際しての雇用者側の優位性などがあった場合、ちゃんとした意思表示ができるかということなど、さまざまな問題もあると思うわけでありまして、その辺の抑えを法制上どういうふうに担保するか、これが課題であると私は思います。
○議長(藤山将材君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 県内の中小企業の状況把握についてでございますが、県では平成20年度から業種ごとに職員を割り当てた産業別担当者制度を創設し、国・県の支援策情報を提供するなど、年間約2000件の企業訪問を行い、貴重な現場の生の声をいただいております。
 また、商工会、商工会議所などの経済団体を通じ、年間約7万件の金融、税務、経営、労務などの相談及び巡回指導を行うとともに、毎年、県内企業3000社を対象にした経営実態調査により、事業者の状況把握に努めております。こうした事業者からの直接、間接を問わず把握した情報を新政策や国への要望に反映するなど、中小企業への支援に取り組んでいるところです。
 さらに、より多くの事業者に支援策情報を届けるため、昨年12月に中小企業向けのウエブサイト「わかやま企業応援ナビ」を開設しました。このサイトは、国等の支援策も掲載し、事業者が求めていることを目的別に検索でき、スマートフォンやタブレット端末でも見やすい画面となっております。県職員だけでなく県内全ての金融機関や関係団体と連携した結果、開設から5カ月間のアクセス数は約6000件、ページビューは約2万件となっております。
 今後も引き続き、産業別担当者制度や同サイトを活用するなど、県内事業者のニーズに応えられるよう、中小企業支援策の利活用促進や新たな制度設計等に取り組んでまいります。
 次に、中小企業者の事業承継問題につきましては、議員御指摘のとおり、深刻で喫緊の課題であると認識しており、県では、県融資制度における事業承継枠の創設や金融機関などと協力し、事業承継対策の必要性を啓発するセミナーを開催するなどしてまいりました。国においても、今後10年間を事業承継に対する集中取り組み期間と位置づけ、事業承継税制の抜本的拡充などの支援が講じられております。
 このような中、今年度より事業承継のさまざまな相談に対応できるワンストップ窓口として、和歌山商工会議所に県内の事業承継を支援する機関で構成する和歌山県事業承継ネットワークの事務局が設置され、県とともに事業承継問題に取り組んでいるところでございます。この事業承継ネットワークでは、商工会、商工会議所の経営指導員や地域の金融機関など、事業者の身近な支援機関のスタッフが事業者へ訪問アンケートを実施し、事業承継に対する早期の気づきを促し、事業者の状況に応じた支援を行ってまいります。
 県としましては、事業承継ネットワークが効果的に機能するよう支援するとともに、事業承継が推進されるよう周知・啓発を積極的に行ってまいります。
 続きまして、人材不足の対応についてでございますが、県では県内産業を支える人材を確保するため、高校生の県内就職や県内出身大学生等のUIターン就職の促進、女性や高齢者の再就職支援に取り組んでおります。
 まず、高校生の県内就職につきましては、高校生が県内企業を十分に知ることができるよう、6月13日に就職希望の全ての高校3年生2261名と県内企業134社が一堂に会する応募前サマー企業ガイダンス2018を和歌山市で開催いたしました。さらに、今年度から紀南地方の高校生の就職対策を強化するため、紀南地方での就職希望の高校3年生554名と県内企業57社が参加し、5月の22日に田辺市で企業ガイダンスを開催いたしました。加えて、和歌山の暮らしやすさや企業情報を掲載した「高校生のためのわかやま就職ガイド」を新たに作成し、就職希望の3年生に配付するとともに、2年生に対しては全員に配付し、県内就職を促すこととしております。
 次に、大学生等のUIターン就職につきましては、「UIわかやま就職ガイド」を県内出身の大学4年生や短大2年生に加え、今年度から大学3年生にも送付するとともに、県内大学については、出身地にかかわらず学生に広く周知することとしております。また、県内企業へのインターンシップも大学2年生以下に拡充するなど、早期にUターン就職を意識するように取り組んでおります。
 さらに、現在10大学と締結している就職支援協定についても、今後、協定大学をふやすとともに、その内容を充実し、大学と企業の結びつきがより強固なものとなるように取り組んでまいります。あわせて、企業情報やイベント情報については、インスタグラムなどSNSを充実し、若者に対する情報発信を強化してまいります。
 また、結婚や出産等で離職した女性、定年退職した方、都会で働く人などの就職活動を支援する和歌山独自の第2の就活サイクルは昨年度から実施しており、2月の就活強化月間には合計174社、341人の求職者が参加し、県内3カ所で合同企業説明会を開催いたしました。今年度は、和歌山、田辺、橋本に加え、新宮においても合同企業説明会を開催する予定で、求職者のさらなる参加を促し、より多くの女性やシニア、Uターン希望者等と企業とのマッチングを図ってまいります。
 一方、安定した人材確保のためには、受け入れ企業が魅力ある雇用環境を提供することが重要であり、労働セミナーや経済団体への出前講座などにおいて先進事例や活用できる助成制度等を紹介し、企業に積極的な取り組みを呼びかけております。
 以上のように、和歌山県では、全国の中でも人材確保に対して先進的な取り組みを行っているところですが、引き続き、積極的に企業を訪問し情報収集に努めるとともに、高校や大学への訪問を継続的に行い、学校との連携を強化するなど、県内就職に向けた取り組みを充実し、企業の人材確保に努めてまいります。
○議長(藤山将材君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁をいただきました。
 2016年の「中小企業白書」によりますと、和歌山県の大企業は26社、中規模企業は4171社、小規模の企業は3万2099社ということですから、中小規模企業で99.9%ということですから、おのずから中小企業対策というのが非常に大事になってくると思います。
 私が歩いた企業では、地域経済の着実な回復というものも感じておりますし、今後、日本全体、日本経済が成長と分配の好循環を拡大させるためには、特に和歌山においてもそうですけども、経済の屋台骨を支える中小企業の対策、支援、これが非常に大事だと改めて申し上げたいと思います。
 骨太の方針では、3年間で約100万社にITツールを導入ということも打ち出されております。準備から経営革新まで事業承継を切れ目なくサポートする、そういう体制をしっかりと整えていただきたいということを要望さしていただきたいと思います。
 引き続き、2問目の質問に入らせていただきます。
 交通政策についてでございます。
 平成19年の道路交通法改正から飲酒運転の罰則が厳しくなり、飲酒運転させた人への罰則も設けられました。あわせて、罰則の強化もされており、酒酔い運転で5年以下の懲役または100万円以下の罰金、酒気帯び運転では3年以下の懲役または50万円以下の罰金となっております。
 平成26年5月には、悪質、危険な運転者に対する罰則を強化した自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律が施行、危険運転致死傷罪、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪、過失運転致死傷罪など、懲役刑が強化されております。
 このように飲酒運転への取り締まりが強化されているにもかかわらず、それに絡む事件、事故はなくならない現状となっております。警察庁発表によると、平成28年では死亡事故発生率は、飲酒運転が原因の事故以外と比較し、8倍以上となったという報道もありました。和歌山県でも昨年の交通事故の死亡のうち飲酒運転の割合が、平成18年以来、全国ワースト1位になったとの報道でございます。改めて、飲酒運転における事故の現状とその対応について、警察本部長にお聞きします。
○議長(藤山将材君) 警察本部長宮沢忠孝君。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 議員御指摘のとおり、平成19年に道路交通法が改正され、飲酒運転の罰則が強化されてから10年が経過しましたが、いまだ飲酒運転は後を絶たず、昨年、県内では飲酒運転に起因する交通死亡事故が6件発生し、死亡事故に占める飲酒率が全国ワースト1位という不名誉な結果となりました。
 また、本年も5月末現在、幸いにも死亡事故の発生はございませんが、飲酒運転に起因する交通事故は、人身事故12件、前年比マイナス3件、物件事故60件、前年比プラス1件と、ほぼ昨年と同水準で発生しており、依然として飲酒運転が横行している実態にあります。
 こうしたことから、警察では、これまでの取り締まり状況や事故実態等の詳細な分析に基づく取り締まりや、過去に飲酒運転で処分を受けた者で再犯の疑いの高い者等を対象とした取り締まりを強化するとともに、知事部局、関係機関・団体等と緊密に連携しながら飲酒運転の危険性等を広報するなど、飲酒運転根絶に向けた県民運動を推進してまいります。
○議長(藤山将材君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁いただきました。
 現在まで幸いにも死亡事故は発生していませんが、相変わらず人身事故や物件事故は昨年と変わっていないという状況でございます。同水準で飲酒運転が横行している現状がわかりました。
 2点目に、県警察本部だけの問題ではなく、県民意識向上に向け、県として飲酒運転根絶県民運動2018を展開し、条例化に向けて研究するとされております。福岡県は、条例制定で大きな成果が出ているとも伺っております。条例化に向けた現状を環境生活部長にお聞きします。
○議長(藤山将材君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 飲酒運転の根絶に向けた対策につきましては、平成29年中の死亡事故に占める飲酒運転の割合が全国ワースト1位になったことから、本年4月より警察を初め、交通ボランティアや関係業界団体と連携し、駅前での啓発、飲酒運転根絶ステッカーやハンドルキーパー用バッジの配布など、県民運動に積極的に取り組んでいるところであり、8月にはフォーラムを開催することとしております。
 条例につきましては、全国で16の道府県において交通安全条例や飲酒運転に特化した条例が制定されており、中でも福岡県の条例には、飲酒運転をした者や酒類提供者に義務や罰則等を科す規定が設けられております。
 本県におきましては、福岡県条例の内容、適用状況、効果も参考にしながら、総合的な観点から2月議会を目途に条例の制定について検討しているところでございます。
○議長(藤山将材君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 飲酒運転常習者に対して、法律で罰するだけでは難しいのではないかと思います。規範意識だけではなく、アルコール依存症の対応も必要になっているのではないでしょうか。ぜひ御検討を進めてください。
 3点目に、自動車運転代行業についてお伺いをします。
 川畑議員の提案、夜の経済活性化については大事な視点だと思います。それに貢献している1つが運転代行業務だと理解をしております。利用者の1人です。自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律が平成14年に施行。一方で、白タク行為など、違法営業や業務上必要な損害保険未加入事業者がいまだおり、これら不当・違法業者摘発を進めながら利用者の安全と安心を確保することも大事になります。
 昨年12月には、自動車運転代行業にかかわる損害賠償責任保険の保険料の支払い状況に係る定期的な報告の義務化や最低利用料金の設定について条例で規定することが可能であることを通知するとした閣議決定がされております。
 自動車運転代行業が飲酒運転根絶等に寄与していると思われますが、行政の受けとめ方と県内における自動車運転代行業の状況、そして利用者保護の観点でどのような取り組みを県として行っていくのか、企画部長にお尋ねをいたします。
○議長(藤山将材君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 自動車運転代行業は、主として、酒気を帯びた状態にある者にかわって自動車を運転する役務を提供するものと法律上定義されておりまして、飲酒運転防止につながるものと考えております。
 県内の業者数については、県公安委員会によりますと、平成30年5月現在161業者で、平成20年度の101業者と比べ年々増加しております。県では、利用者保護の観点から、県公安委員会と連携し、全業者を対象に年1回の立入検査や夜間の街頭指導を実施するとともに、立入検査結果等に基づく行政処分も行っております。
 また、国では、利用者保護を図るため、議員の御質問にありましたように、自動車運転代行業に係る損害賠償責任保険の保険料支払い状況の定期的な報告義務化並びに地域の実情に応じた最低利用料金の設定について条例で規定することが可能であることを明確化するため、都道府県に平成30年中に通知することとなっております。
 今後、国から通知があれば、その内容を精査し、対応を検討してまいりますが、利用者保護の観点からしますと、最低利用料金の設定より、むしろ第一義的には自動車運転代行業者に義務づけられております損害賠償責任保険の加入ですとか、過労運転の防止等の行為規制を遵守してもらうと、そういったことを徹底していくことが重要と考えておりますので、県公安委員会との連携を一層密にしながら、立入検査等の機会を捉えて指導徹底を図ってまいりたいと考えております。
○議長(藤山将材君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 通知が来ましたら、速やかな御検討をお願い申し上げたいと思います。
 それでは、3点目に移りたいと思います。
 国民健康保険制度改革についてお尋ねをいたします。
 1961年、国民健康保険法改正での国民皆保険制度のもと、全ての国民が安心して医療を受けられる医療制度として50年以上続いており、世界最高レベルの平均寿命と保健医療水準を達成してまいりました。市町村が運営する国民健康保険は、この国民皆保険制度の最後のとりでとされ、セーフティーネットの機能を果たす公的医療保険であります。
 しかしながら、この国民健康保険の現状は、被保険者の年齢構成が高く、医療費水準が高いこと、低所得の被保険者が多いことなどから、財政運営が不安定になりやすいなどの国民健康保険特有の構造的な課題を抱えております。
 こうした課題に対し、国民健康保険を安定的に運営するため、平成27年5月に持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律が成立、国の財政支援の拡充により、国民健康保険財政の基盤強化を図るとともに、今年度から都道府県が財政運営の責任主体となって市町村とともに国民健康保険の運営を担い、少子高齢化が続く中、持続可能な医療保険制度の構築を目指し、国民健康保険制度の安定化を図ることとされました。
 これにより、都道府県は国民健康保険運営の中心的役割を担うことになり、その役割の中には、市町村ごとの標準保険料率の設定や市町村が担う事務の標準化、効率化、広域化を促進することなどが国において示されております。
 県では、昨年3月に施行した和歌山県国民健康保険運営協議会条例に基づき、運営協議会を3回開催し、県内統一保険料を平成39年度に目指すとされております。全国ではまだ具体的な目標年度を示されていない状況の中、今後10年かけて保険料統一化を目指すとされましたが、平成39年に向けた保険料算定方式統一化に向けた進め方について、福祉保健部長にお伺いいたします。
 2つ目に、県内では医療費の格差が目立っております。国保世帯の平均所得は全国平均よりも低いし、平成27年度のデータでは、全国平均所得が139万円に対し、和歌山県では105万円となり、毎年同じような状況が続いております。各市町村間の1人当たりの医療費も最高で46万9000円、低いところで27万1000円、1.7倍の格差となっております。1人当たりの医療費の県内格差をどのように是正されるのか、そのお考えについて福祉保健部長にお尋ねしたいと思います。
 続いて、糖尿病重症化予防についてお伺いをいたします。
 昨年9月に発表された厚生労働省の平成28年国民健康・栄養調査による糖尿病患者やその予備軍──糖尿病が強く疑われる者──の割合は12.1%であり、男女別に見ると男性16.3%、女性9.3%とあります。糖尿病の可能性を否定できない者の割合は12.1%であり、男女別に見ると男性12.2%、女性12.1%となっております。
 糖尿病が強く疑われる者は約1000万人と推計され、平成9年以降増加しております。糖尿病が強く疑われる者のうち、現在治療を受けている者の割合は76.6%です。
 糖尿病は、放置すると網膜症、腎症、神経障害などの合併症を引き起こし、患者のQOL、生活の質を著しく低下させるのみならず、医療経済的にも大きな負担を社会に強いることになります。糖尿病の医療費は約1.2兆円であり、医科診療医療費全体の4.4%を占めております。さらに、糖尿病の合併症である糖尿病性腎症が原疾患の4割以上を占める人工透析には、本人にも大きな負担になる上、1人月額40万円、年間約1.57兆円を要する等、医療費全体から見ても大きな課題となっています。
 本県における糖尿病と人工透析患者の現状をどのように捉えておられるのか。また、糖尿病重症化予防について、その取り組みについて、特定健診の結果が糖尿病判定値の方や治療中断者への治療勧奨をどのようになさっているのか。市町村の状況について、福祉保健部長にお答えをいただきたいと思います。
 最後に、特定健診と特定保健指導の受診の現状と、改めて県として受診率向上への取り組みをどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。地域での集団健診などもより効果があると思われますし、糖尿病を初めとした生活習慣病の予防には、特定健診、特定保健指導により早期に異常を発見し、生活を改善することが重要です。
 以上4点、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(藤山将材君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) まず、1点目の保険料算定方式統一化に向けた進め方についてお答えいたします。
 県内市町村の1人当たり保険料は、平成28年度で約2倍の格差がありますが、負担と給付の公平性の観点から、県内どの市町村に住んでも同じ所得であれば同じ保険料が望ましいと考えております。
 国のガイドラインでは将来的に保険料の統一を目指すことが求められておりますが、本県では、国民健康保険運営方針の策定に当たり市町村と協議を重ねた結果、期限を決めて取り組んでいく必要があるとの合意のもと、平成30年度から10年間で保険料を統一することとしたところでございます。
 県内保険料を統一するためには、保険料算定方式の統一と県内市町村の医療費格差の縮減が必要となります。
 保険料算定方式につきましては、現在、和歌山市を除く29市町村が所得割、資産割、被保険者均等割、世帯別平等割の4方式であり、和歌山市は、そのうち資産割がない3方式となっております。
 資産割につきましては、資産に対して別に固定資産税が賦課されるなどの点で不公平感があり、全国的に廃止の方向であることから、本県におきましても和歌山市と同じ3方式に統一するため、平成30年度から10年かけて各市町村が資産割の円滑な縮減、廃止に向けて段階的に取り組むこととなっております。県といたしましては、縮減、廃止の過程で被保険者に一時的に過度な負担とならないよう、各市町村の進捗状況を把握しながら、適切に助言、指導してまいります。
 次に、2点目の1人当たり医療費の県内格差の是正についてお答えいたします。
 県内市町村の1人当たり医療費につきましては、平成28年度で約1.6倍の格差があります。この格差は、主として、市町村間における被保険者の年齢構成のほか、住民の健康づくりなど、健康の保持増進の取り組みの違いにより生じているものと考えております。そのため、県では、平成30年3月に策定した第三期和歌山県医療費適正化計画に基づいて、糖尿病重症化予防などの県民の健康の保持増進や、後発医薬品の使用促進などの医療の効率的な提供の取り組みを積極的に推進することにより、医療費格差の縮減に努めてまいります。
 次に、3点目の糖尿病重症化予防につきましてお答えいたします。
 まず、糖尿病と人工透析についての現状認識についてですが、糖尿病の重症化により腎機能が低下し、人工透析に移行すると、1人当たり年間約500万円の医療費が必要となり、患者の生活の質も大きく損なわれます。本県では、平成26年度の人口10万人当たりの糖尿病外来受診者数は250人で、全国平均の175人より高く、平成27年度の人口10万人当たり慢性透析者数も313人と全国平均の259人より高くなっております。また、平成27年度新規人工透析導入者のうち約45%が糖尿病性腎症によるものであるため、その対策は、県民の健康増進と医療費適正化の両面から喫緊の課題であると認識しております。
 次に、糖尿病重症化予防の取り組みについてですが、県では、第三次和歌山県健康増進計画中間見直しにおいて、糖尿病有病者の増加抑制、糖尿病性腎症による新規人工透析導入者の減少を目標に掲げて取り組みを進めているところでございます。
 糖尿病有病者の増加抑制策としましては、運動習慣の定着や食生活の改善、糖尿病の正しい知識の普及・啓発による予防対策を推進するとともに、糖尿病やその疑いのある方の早期発見と早期治療を図るため、特定健康診査、特定保健指導と保健事業に取り組む市町村を支援しているところでございます。
 また、新規人工透析導入者の減少策としましては、本年3月に和歌山県糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定し、市町村、郡市医師会、地域の中核病院、保健所等の関係機関が地域ごとに検討会を立ち上げ、保険者と医療関係者、かかりつけ医と専門医が連携を密にしながら、糖尿病の治療を要する方の対応に当たることとしております。
 今後、県と市町村、関係機関が協力してこのような取り組みを着実に進め、糖尿病重症化予防を進めてまいります。
 最後に、糖尿病判定値の方や治療中断者への市町村の受診勧奨についてですが、市町村におきましては、特定健康診査の結果、糖尿病などの生活習慣病の治療が必要であると判定された方に対しまして、手紙や保健師による電話、家庭訪問などで医療機関への受診勧奨を行っております。
 さらに、海南市など5市4町1村では、受診勧奨から一定期間経過後も医療機関で診療を受けていない方をレセプトデータなどにより抽出し、再度受診勧奨を行っており、平成28年度実績で、紀の川市では未受診者の32.7%が医療機関での受診につながるなど、一定の効果が出ております。
 また、医療機関での治療を中断している方への受診勧奨につきましては、橋本市など1市2町で対象者の抽出や治療再開に向けた受診勧奨などを専門の民間業者に委託して実施しており、平成28年度実績で、湯浅町において治療を中断している方の11.1%が医療機関での受診につながるなどの効果が出ております。
 県としましても、こうした受診勧奨の取り組みが有効であると判断し、糖尿病性腎症重症化予防プログラムに盛り込み、積極的に推進していくこととしており、今後、全市町村において実施するよう積極的に働きかけてまいります。
 最後に、特定健診と特定保健指導、受診率向上への取り組みについてお答えいたします。
 特定健康診査と特定保健指導は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、市町村などの医療保険者が被保険者に対して実施しております。
 県では、これまで市町村に対し、特定健康診査実施費用の一部や特定保健指導を行う保健師等の人件費を助成するとともに、担当者向けの専門研修を毎年実施するなど、受診率と実施率の両方の向上に取り組む市町村への支援措置を講じてまいりました。その結果、平成20年度から平成28年度までの間に、国民健康保険対象者の特定健診受診率は17.5%から32.8%に、特定保健指導実施率は20.7%から29.8%にそれぞれ上昇しましたが、国の特定健康診査等基本指針で定めている目標の60%には達していない状況にありまして、市町村でのさらなる取り組み強化が必要であると考えているところでございます。
 具体的な市町村での取り組み例としましては、まず、特定健診受診率向上のための取り組みとしまして、健診未受診者の分析を行い、個々の未受診理由ごとに作成した勧奨通知を送付する受診勧奨モデル事業を昨年度、県が市町村に募集し、橋本市、美浜町の2市町が実施した結果、平成29年度は対前年度比で、橋本市で約2ポイント、美浜町で約7ポイント、受診率が上昇する見込みでございます。
 次に、特定保健指導実施率向上のための取り組みとしまして、対象者宅を訪問して特定保健指導を行うことで、平成28年度の実施率が対前年度比、橋本市で16.8ポイント、上富田町で7.5ポイント上昇するなど、大きな成果が出ております。県といたしましては、これらの取り組みによる成果を周知することにより、全ての市町村で取り組むよう働きかけてまいります。
 なお、議員御提案の集団健診の機会拡充につきましては、現在も各市町村で工夫されておりますが、受診しやすい環境づくりは受診率向上に有効であると考えておりますので、市町村に対し、さらなる取り組みを促してまいります。
○議長(藤山将材君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 お答えをいただきました。
 県がまだかかわり出してそんなに時間がたってないということもございますんで、今御答弁いただいたことをしっかり進めていただきたいと思いますし、あえて意見として申し上げるんであれば、いい自治体の御紹介はしていただきました。ところが、まだまだこの国保財政を考えたときに、また県民の健康を考えたときに課題が多いということは、再度御指摘させていただきたいと思います。
 特に県がかかわり出したということで、事務の標準化とか、それから効率化、広域化というのは、これは絶対やる必要があると思いますし、そういう中で、埼玉県が一括して市町村国保のデータ分析を外部業者へ委託して、分析データを市町村国保にフィードバックしてるんですね。業務の効率化を図っていると。また、その中から見えてくる部分がたくさんあるそうなんですね。
 それで、先ほど申し上げましたような効率や、また結果的にいい答えを出してるということもございますんで、そういう先進県もぜひ研究していただいて、取り入れていただいて進めていただきたいと、こういうふうに申し上げたいと思います。
 また、この腎臓、透析の話に関連して、知事に対して腎友会からもいろいろ要望が来てると思います。この間の大阪北部の大地震ございましたけども、こういう大規模災害時の安全確保とか、透析患者の介護施設の入所など、改めて要望させていただきたいと思いますし、今度のこの国保の問題で、また透析の問題で改めて勉強いたしましたけども、在宅透析というのもあるそうでございます。残念ながら、40年ぐらい前から行って、もう今は国保、保険も使える状況らしいんですけども、まだ県内の施設、病院が6カ所、それから受けていらっしゃる方は26人ぐらいということをお聞きしております。働きながらこういう透析もできるということでいうと、在宅透析、いろんな課題があると思いますんで、その課題も含めて御検討いただいて、こういう問題にも取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 続いて、最後の質問になります。
 リハビリ系大学誘致について、知事にお尋ねしたいと思います。
 昨日、山下直也議員から大学誘致の状況と見通し、そしてその効果について御質問がありました。部長の答弁では、この誘致で期待される効果を5点御説明いただきました。私は、このたびのリハビリ系大学計画については、医学部、看護学部、薬学部などの医療連携の上で大いに県民や社会の人材養成機関として重要な意味があると思います。その必要性も十分理解をしているところでございます。いわゆる、和歌山に4つ目の大学進出としては、喜ばしいと思っております。
 しかし、現状を仄聞するところ、和歌山市立図書館跡地に学校法人響和会和歌山国際厚生学院がリハビリ系専門職大学を新設計画。和歌山県体力開発センター跡地には県が誘致しようとしている学校法人平成医療学園宝塚医療大学のリハビリ系学部の新増設の計画。冷静に見て、なぜ同じような計画が、しかも同じ時期に開学を計画する2つの法人が存在しているのか。片や専門学校や病院経営で人材養成や医療行政で貢献してこられた学校法人。片や大阪に専門学校や大学、横浜市にも専門学校があるというふうにお聞きしておりますけども、全国展開し、和歌山にこのたび新設の学部を計画している法人。
 大学や学部がそれぞれ計画どおり新設された場合、1つは、理学療法士、作業療法士の学生のニーズ、2つ目には、リハビリ系専門大学や大学を卒業後の学生の進路の確保、それと、それぞれの法人が考えるべきでしょうが、養成施設ごとに専任教員や専門スタッフが必要ですし、学生の研修施設の確保など、文科省や厚労省申請に当たってのハードルが幾つもあるのも、現在の設置基準を見ると明らかでございます。
 和歌山で誘致、そして新設という趣旨から、この地域で活躍する人材を養成し、地域の活性化に寄与するという観点から、理学療法士、作業療法士の人材需要と現状の供給バランスを図り、卒業生の専門職人材として継続的な就職を確保することが可能かどうか、それぞれ差別化を図り共存共栄できるのか、県有地を提供し大学誘致を検討する中に、そのことについて知事としてどのようなお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○議長(藤山将材君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) リハビリ系大学の誘致に際し、リハビリ職を目指す学生の動向を調べたところ、毎年、県内の専門学校である和歌山国際厚生学院に約40名が進学しているほか──これは定員が40名ということでございますが──県外に約150名の学生が進学しておりまして、そのうち約100名が大学、50名が専門学校ということでございます。
 また、県内のリハビリ職の有効求人倍率は高水準で推移しておりまして、今後、高齢化の進行に対応するため、リハビリ職のニーズはさらに増大する見込みであります。
 これらのことから、県内に入学定員100名程度のリハビリ職を養成する大学を誘致することが最も効果的であり、大学と現在の専門学校との共存は十分可能であると考えました。また、大学ができることにより、リハビリ職を目指す学生がさらにふえることも期待できるわけであります。
 もとより、私は、和歌山国際厚生学院をみずから投資してつくってくださった、具体的に名前を挙げますと寺下俊雄さんですが──にはずっと感謝をしております。もともと何もなかったわけでございますから。しかし、ひょっとしたら、その学生募集に何か影響があるかもしれないということで、和歌山の発展につながる案件を否定的に考えるということはできませんというふうに思っておりまして、その旨、直接本人にもお話をして、御納得いただいてると考えております。
 その和歌山国際厚生学院が、今度、大学はちょっと無理なんだけど、専門職大学を目指したいというふうに聞いておりまして、これはいいことであると思いますので、今後、県に具体的な計画について相談あれば対応していきたいと考えております。
 県としては、それぞれの学校が切磋琢磨して、さまざまな学校形態をとりながら、質の高い人材を養成してくれることを期待しております。
○議長(藤山将材君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 知事から御答弁をいただきました。
 その中に、県外に約150名の学生が進学し、そのうち約100名は大学に進学している、学生のニーズはあるということでございます。文科省への申請には、入り口、出口の調査も必要でしょうから、これから高校生の意向調査がその裏づけになりますし、卒業後、県内でのリハビリ系専門職の就職先も問われると思います。
 工程表を確認すると、2020年4月の開校を予定すると、新設の大学ではことしの10月に申請、大学の学部新増設では明年3月に収容定員認可申請、4月には学部設置届が必要ということでございます。和歌山市と和歌山県が協力のもと、2つの計画がうまくいき、県外に流出する人材の歯どめとなることを期待して、一般質問とさせていただきます。
 以上でございます。(拍手)
○議長(藤山将材君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時42分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 それでは、議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきたいと思います。
 今回も多くの方から県政の課題をいただきまして、ヘルプマーク、それから和歌山市を取り巻く鉄道の状況、明治維新についてどう和歌山県が取り組んでるのか、あるいは小中学校の心の教育を課題として賜りましたので、この4点につきまして一般質問をさせていただきたいと思います。
 まずは1点目、ヘルプマークの普及についてでございます。
 過日、ヘルプマークについての相談をいただきました。この方は、和歌山県に依頼してヘルプマークの交付を受けている方なんですけども、これまで会った人も、あるいはバスや電車に乗っても、誰からも何の反応もないと。多くの人はヘルプマークそのものの存在を知らないと思うので、ヘルプマークの申請をして所持しても意味が余り感じられないと、こういう話でありました。
 そこで調べてみることにいたしますと、和歌山県、それからヘルプマークの趣旨に賛同している市町村では、必要としている人からの申請があれば、このヘルプマークを交付しております。
 そのほか、現場に行きまして皆さんに聞いたところ、「ヘルプマークって知ってますか」というのを、こういうマークなんですけども、(現物を示す)見せて確認したけども、ほぼ全員が知らなかったと、こういう状況がありました。
 そこで、障害者施設を訪ねてみました。障害者のデイサービスの施設を訪問したところ、玄関にヘルプマークのポスターが張られていましたので、ここの経営者に尋ねたところ、「ヘルプマークのことは知っていますよ」と。「知っていますけども、ほとんどの人は意識していないんじゃないでしょうか。施設では意識醸成のためポスターを掲示していますが、今まで来訪者にヘルプマークのことで質問を受けたことはありません」、こういう回答でした。
 続けて、障害者福祉サービス事業所を訪問しました。ここでも玄関にヘルプマークのポスターが張られていました。理事長と話をしたところ、「事業者にとってヘルプマークは絶対に必要なものです。ここで働いている人の中には難聴者の人もいるので、外見からはわかりません。だから、ヘルプマークを持っていますが、世間の認知度は低いため効果的なものにはなっていないように思います」、こういう答えでした。
 続けて、「では、ヘルプマークを県が広報することについてどう考えてますかね」と尋ねたところ、「普及のための広報活動は絶対に必要で、ヘルプマークを必要としていない人の意識は低過ぎると思います。ぜひとも知っていただくように広報活動してほしい。ヘルプマークを必要としている人、私たちのような作業所で働いてる者は知っていますが、それだけでは効果が限定的なものになります」、こういう話を聞かしていただきました。まだまだ和歌山県では、このヘルプマークは浸透していないと感じたところであります。
 そこで、第1問目です。
 和歌山県として普及に努めているヘルプマークの広報について、これまでどんな活動をしてきましたか。まだまだ認知度は高くないと思われますから、さらに普及拡大する必要があると思います。普及のための今後の取り組みについて、福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
○副議長(岸本 健君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) ヘルプマークは、心臓機能や腎臓機能などの内部障害のある方や難病の方など、外見からはわからなくても援助や配慮を必要としている方がそのことを周囲に知らせるためのマークであり、本県におきましては、平成28年度から交付を行っており、平成30年5月末で2329人に交付しております。
 当該制度を十分に機能させるためには、広く県民の皆様に制度を知っていただくことが重要であり、県におきましては、「きのくに21」や「県民の友」を活用した周知や、障害者週間における街頭啓発並びにイベントでの啓発などに取り組んでいるところです。
 また、障害のある方に対し、さりげない支援や配慮を行う「あいサポート運動」の研修の際にも、あいサポーターがヘルプマークを見たときは積極的に援助ができるよう周知を図っております。
 加えて、公共交通機関を利用する際にも配慮が受けられるよう、公共交通機関事業者に対して、従業員の理解を深めるための啓発や、鉄道・バス利用者に制度を周知するための啓発用ステッカー等の掲示を働きかけております。
 今後の取り組みにつきましては、引き続き広報媒体を活用した啓発や関係機関への周知等に取り組むとともに、教育委員会とも連携し、現在、高校生等を対象に行っている啓発を小学生、中学生にも広げていきたいと考えております。
 これらの取り組みにより、ヘルプマークの普及啓発を進め、援助を必要とする方が援助を受けられる社会づくりに取り組んでまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えをいただきましたので、このヘルプマークについて2問目であります。
 和歌山県は、これまでもそうですが、これからもまだ普及に努めようとしてくれているようですが、まだ交付窓口がない市町もあるようであります。ヘルプマークを希望する人、所持している人のためにも全県下に広げるべきだと思いますが、福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
○副議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) ヘルプマークの交付につきましては、平成28年度の制度導入当初、県と和歌山市のみで行われておりました。しかしながら、ヘルプマークは、内部障害のある方や難病の方が利用するものであり、利用を希望される方にとっては、より身近な場所での交付が望ましいことから、市町村に対して交付窓口の設置を働きかけてきた結果、現在、16市町村に御協力をいただいております。
 引き続き、利用者の利便性向上のため、交付が行われていない市町に対して積極的に働きかけを行い、全ての市町村でヘルプマークが交付できるよう取り組んでまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ヘルプマークについて、きのう友人が高野山の役場へ行ったらきちっと広報がされていたというふうに聞いておりますし、スーパー等を回ってきても協力してくれてるところがポスター張ったりとかしてくれてましたので、ぜひ普及活動を続けて広げていただけたらと思います。
 それでは2問目、和歌山県の明治150年に関する取り組みについて質問に入らせていただきます。
 関西広域連合議会平成29年8月定例会で、来年は明治維新から150年の節目であり、記念すべきこの節目の年を関西の広域観光に生かすべきで、これを現在改定が進められている関西観光・文化振興計画に観光素材の1つとして取り込み、関西にゆかりのある偉人などを切り口とした取り組みを行ってはどうか、こういう質疑を交わさしていただきました。
 この質問に対し、山田委員、当時の京都府知事からですが、内閣官房でも明治150年関連施策各府省庁会議において取り組みが検討され、薩長土肥など明治維新にゆかりのある自治体・地域ではPRイベントが計画されている、関西はまさに明治維新の中心の地で、関連する歴史遺産が多く存在する、文化庁の関西への全面的移転や、守る文化から生かす文化へと変わっていく時代であることから、これを機にさまざまな明治をめぐる魅力ある資産、遺産、財産を結びつけたルートをつくっていきたい、こんな答弁をいただきました。オール関西ですから、当然、和歌山県も入ってのことだと思います。
 そして、この企画に期待を寄せていただいてる県民の方からこんな意見をいただきました。「和歌山県のこれに関連する取り組みを知りたくて県のホームページを検索したけれど、見当たりませんでした。和歌山県は大丈夫ですか」、あるいは「せっかく県議会や関西広域連合議会で明治150年をただしてくれましたが、他府県は実施していますが、和歌山県は関連施策は既に終わっていたり」、あるいは和歌山県の明治150年の取り組みの内閣官房のホームページがあるわけなんですけども、これに関して、「リンクミスは内閣官房なのか和歌山県なのかわかりませんが、気づかないままでは恥をかきます」、こういう指摘を受けました。
 指摘があったので、内閣官房の明治150年関連施策推進室のリンクから和歌山県を開いてみました。そうしたところ、「御指定のページまたはファイルが見つかりませんでした」と相当期間このエラーメッセージが返される状態が続いておりました。長期間気づかない状態にあったことを残念に思いますが、これはもしかしたら、県として明治150年に参画しようという意識の薄さが問題があったのではないかなと思います。
 そこで、明治150年に関連した企画、事業の意義をどう考えているのか、また、広域連合では明治150年記念の取り組みが実施されているところですが、和歌山県での取り組み状況について、エラーメッセージの原因とともに、企画部長にお尋ねをいたします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 明治150年に関連した企画、事業を行うことは、明治以降の歩みを次世代に残す観点から大変意義深いことだと考えております。これまでも本県においては、同様の観点から偉人顕彰事業等を初め、各種事業を行ってきたところです。
 最近では、明治期に建築された旧和歌山県議会議事堂の移築復元を行い、昨年9月には当議事堂において約300人を集めた陸奥宗光シンポジウムを開催し、多くの方々に御好評をいただいたところです。さらに、本年2月には県立近代美術館におきまして、明治の美しい風景を数多く描いた水彩画家、大下藤次郎の特別展を開催しました。なお、今年度から文書館におきまして、明治期以降の文書や写真を収集、整理した上で、デジタル化して保存し、順次インターネット上に公開するデジタルアーカイブの構築を進めておるところです。
 なお、明治150年関連施策に関する内閣官房のウエブページから和歌山県のホームページにアクセスできなかったのは、県ホームページが3月下旬に新システムへ移行した際にアドレスが変更になったことでリンク切れが起こり、それに気づかなかったという事務的なミスによるものです。議員からの御指摘を受けて内閣官房にアドレスの変更を依頼し、現在は復旧しておりますが、今回のことを反省いたしまして、今後このようなことが起こらないように取り組んでまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 この明治150年に備えるべきことを県議会で最初に取り上げたのは、平成28年の9月議会でした。まだことしも半年ありますから、全国に発信できる企画もまだまだ考えられると思います。
 例えば、提案なんですが、ことし5月末まで開催されていた外務省外交史料館の「明治の日本外交」展を和歌山県で実施することはできないものでしょうか。私もこの「明治の日本外交」展を鑑賞してきました。非常にすばらしかったと思います。明治150年の節目の年を迎えてるということがあるかもわかりませんが、殊のほか来館者が多くて評判がよいこともあり、開催期間が延長されたほどであります。
 中でも、我が県にゆかりのある人物としては、陸奥宗光外務大臣の外交が明治期の日本のためにどれだけ役立っていたかを知ることができました。彼の育てた小村寿太郎、林董の活躍などを含めると、明治期の半分は陸奥関係者が明治の日本を支え、守っていたことがわかります。これを和歌山県の青少年に学んでもらう価値は大いにあると思います。県内の中高生に見てもらう教材と言える内容で、和歌山県で行うべき展示と感じた次第です。
 公平、平等、公正という教育を知ることなく、損か得かしか与えられなかった道徳なき国は争いが絶えません。我が国ではこのようなことが起こらないのは、江戸時代の和学──国学なんですが──の中に、人の道、道理という教育が成立していたからです。当時、西欧帝国主義列強による植民地政策から日本国を守るために新国家を成立させ、近代国家へと国の衣服を着がえさせました。人の道、道理という教育を受けた侍魂は、日本精神として着がえを済ましました。明治の先人は、侍魂を日本精神に変え、次は易しい言葉、忍耐、辛抱、根性、努力と表現して明治期を乗り越えていったのです。
 明治150年は、西欧帝国主義国による植民地化から我が国を守り切ってくれた先人に感謝することが本来の意義だと思います。いかにして我が国を守るために明治期の偉人が、ふるさとでいうなら陸奥宗光伯がそのことに命をかけたのか。これを次世代に伝えることが明治150年をたたえる意味だと思います。
 そこで、この精神を継承することが明治150年だと考えますが、その観点から、「明治の日本外交」展を開催した外交史料館と連携展示を開催してほしいと思います。この連携展示は、東京に続いて北海道、鹿児島県が開催する予定だと聞いておりますが、それは明治の精神をこれらの道県は継承しようとしてのことだと思います。外交史料館との連携展示の開催について、企画部長にお尋ねをいたします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 議員御提案の地方における外交史料館との連携展示につきましては、外務省が所蔵する外交史料のレプリカ等を用いて、明治期の歩みを次世代に伝えることを目的とした事業です。和歌山県においても、外交史料に含まれる陸奥宗光の関連資料を紹介し、陸奥が明治期に果たした役割を県民に知っていただくことは大変重要だと考えております。今後、外務省外交史料館と協議を行い、来年度以降の開催を検討してまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ことし3月、和歌山市内の岡公園に建立されている陸奥宗光伯の銅像の後方に外務省からいただいた桜の接ぎ木を植樹したことや、こども園の児童が遠足で見学に行ったことが話題になりました。また、外務省への中学校の修学旅行はことしも継続されているように、ふるさとの偉人を思い、明治150年の認識は、徐々にでありますが、高まっていると思います。多くの人から、この明治150年に関する式典、イベントを待望する声をいただいてるところであります。
 神奈川県の取り組みを紹介したいと思います。
 神奈川県では、明治における開港の地である横浜や近代日本を支えた軍港都市横須賀など、明治ゆかりの資料や建築物などが数多く存在していることから活用を考えているようです。
 その中でも大磯町は、伊藤博文の旧邸宅「滄浪閣」、旧大隈重信邸、そして旧陸奥宗光邸など約6ヘクタールを明治記念大磯邸園として整備中で、平成30年10月の一般公開を目指していると教えてもらいました。神奈川県は大磯を横浜、鎌倉、箱根に次いで第4の観光地と位置づけているようで、明治記念大磯邸園の開園を起爆剤とする意向だそうです。
 ほかに横浜市は、岩倉具視を正使とした岩倉使節団記念説明板を象の鼻地区に設置する計画であります。ここから使節団が出発したことから、横浜市が日本近代化発祥の地であることを訴えようとしています。また、神奈川県立公文書館では、平成30年4月から9月まで、西郷隆盛の書、坂本龍馬の書簡など、明治維新の貴重な資料を展示しています。
 和歌山県として、郷土の歴史を誇りに思えるような、他府県から来県してもらえるような企画が必要だと考えます。神奈川県の事例のような、明治150年を契機として郷土の偉人をたたえることで観光につながる施策も必要だと思いますが、商工観光労働部長の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(岸本 健君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 県では、本県の持つ豊富な歴史文化に、食、温泉、体験などを組み合わせた100の旅モデルを「わかやま歴史物語」として紹介する専用ウエブサイトや冊子を作成し、この中で人物を切り口に、本県の偉人の業績も紹介しているところです。
 議員御提案の明治150年を契機とする郷土の偉人である陸奥宗光については、「わかやま歴史物語」の中の「カミソリ大臣陸奥宗光誕生のルーツを探る」において、その偉業を伝えるストーリーとともに、生家の一部を移築したと言われる郭家住宅や岡公園にある陸奥宗光像などの足跡をたどるほか、いとこである政治家・岡崎邦輔の別荘を改装したカフェやお土産、温泉なども楽しんでもらうコースを紹介しています。
 また、新たに「わかやま歴史物語」の専用ウエブサイトに明治維新150年にちなんだ特設バナーを追加し、ゆかりの人物を紹介するなどウエブサイトを充実していくとともに、この秋には100のスポットをめぐるスタンプラリーを予定しているところであり、リピーターの確保や周遊促進による滞在時間の延長に結びつけてまいりたいと考えております。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今、部長がお答えいただきましたように、「わかやま歴史物語」、僕も冊子抱えまして幾つかここのゆかりのところを回ってるところですけど、まだまだ観光客が少ないように思います。ぜひ、僕もPRしてるんですけども、もっと盛り上げていけたらなと思いますんで、よろしくお願いしたいと思います。
 ところで、和歌山市出身の作家、津本陽氏が死去されました。氏は、昭和53年、古式捕鯨を続けた明治期の和歌山県太地村の人々の姿を描いた「深重の海」で直木賞を受賞して以降、時代小説を世に送り出してくれました。
 「産経新聞」の記事によりますと、津本さんが和歌山出身の明治期の政治家、陸奥宗光を主人公に「叛骨」を著した背景には、仁坂知事からの依頼もあったということです。
 そういや、出版された当時、僕も桐蔭高校を訪問し、当時の岸田校長先生と話をし、図書館にも行きました。図書室にあるはずの「叛骨」がなかったので尋ねてみたところ、貸出中だということでした。当時「叛骨」は新作だったこともあり、ほとんど貸出中の状態になっています、こういう話があったことを思い出しました。
 校長は、どちらかというと中学生に「叛骨」を勧めていました。もちろん高校生に読んでもらうことにこしたことはありませんが、中学生が修学旅行で外務省を訪問する際に、「叛骨」を読むのと読まないのとでは外務省を訪問する価値、意義が大きく変わる、そういう意味から中学生に勧めていてくれたようです。
 よって、県内の中学校や高校の図書館に「叛骨」を配置して読める環境をつくってほしいと思います。それが本来、知事が津本さんに依頼した責任としてなすべきことだと思いますし、教育機関に「叛骨」を配備することが、作家に対して依頼した責任者としての礼儀だと思います。県内の高校の図書館に「叛骨」を購入して配置するように勧めてほしいと思いますが、教育長の答弁をお願いします。
○副議長(岸本 健君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県立高等学校の図書館では、平素から県やその学校にゆかりのある人物等に関する図書を集めたふるさとコーナーや、話題となっている出来事等に関係する図書を紹介する特設コーナーを設けるなど、生徒が身近なことから興味関心を持ち、読書に親しむ取り組みを行っております。
 津本陽氏の作品につきましては、県立図書館を初めとする公立図書館や学校においても、このたび追悼の意を込めて、津本氏の特設コーナーを設けているところもございます。各学校には、議員御指摘の「叛骨」を初め、津本氏の作品を充実するよう勧めてまいります。
 今後も、ふるさとに関する図書を充実させ、読書に親しみ、ふるさとに愛着と誇りを持つ生徒の育成に努めてまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 和歌山市民図書館では、5月30日から7月17日まで追悼展の開催を決定しているなど、郷土の誇りの作家であることをこのことは示していると思います。僕も話をしたのは一度だけ、かなり前です。「下天は夢か」のときに1時間程度時間をとっていただいて話をしたことがあるんですが、残念ながらメモをとってなかったかなくしたかで、余り、どういう会話をしたか、今では記憶に残ってないんですが、難解なお話をしていただけたというふうには思っております。
 津本氏は、先ほど言いましたように、「深重の海」、これは明治時代を時代背景にした捕鯨の話でありますし、遺作となった「叛骨」でも明治時代の外務大臣の姿を描いています。まさに明治時代を描いて明治の空気を感じさせてくれたふるさとの作家でもありました。心から御冥福をお祈りしていますし、氏の思いを我がふるさとで生き続けさせたい、そういうふうに感じています。
 明治150年の関連企画として、明治を描いた作品を残してくれた津本陽氏の顕彰などを考えてほしいと思いますが、知事の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 津本陽氏は、剣豪小説や歴史小説など各方面にわたり、実に多くの作品を残されました。県では、氏の功績をたたえて、昭和53年に和歌山県文化奨励賞を、平成5年には和歌山県文化賞を贈ったわけでございます。また、平成20年には和歌山県立図書館開館100年を記念して講演も行っていただきました。和歌山が生んだ大作家でありまして、私も何度もお目にかかっておりますが、大変尊敬をしております。
 また、これは実は大河ドラマの作戦の1つだったんですが、私からお願いして陸奥宗光を題材にした小説を書いてくださいというお願いもいたしました。それに応えていただいて、坂本龍馬との交友を中心とした「荒ぶる波濤」というのと、それから本格的に伝記である「叛骨」という2つの作品を書いていただいたということは本当に感謝をしておりまして、改めて哀悼の意を表したいと思います。
 現在、県立図書館においては氏の追悼コーナーを設置しているところでございますけれども、さらに顕彰のために何かできることがないかどうか、考えていきたいと思っております。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、3問目に入ります。心の教育について触れさせていただきたいと思います。
 過日、和歌山県内の自殺死亡率が全国で4番目の高さであると報道がなされました。平成28年の和歌山県人口10万人当たりの自殺死亡率は21.7人で、全国の16.8人よりも高く、2年連続で増加しています。
 さらに問題なのは、若者の自殺者が多くなっていることです。「子供・若者」というカテゴリーでは、平成24年の30人から平成28年は58人に増加していることが問題です。
 若年層といっても対象を絞らなければその対策を講じることは難しいため、今回は小中学生に対する心の教育について質問をしたいと思います。
 和歌山県では、平成22年度に、絵本、これは心の教育のための絵本なんですが、「カーくんと森のなかまたち」を教材として県内小学校に配布して、心の教育のための授業として活用をしたことがあります。たしか中学校にも配布したと思います。
 この絵本は、子供の自殺やいじめの防止活動に取り組んでいる東京都多摩市の絵本画家・夢ら丘さんたちが東京都を初めとする各地で授業を行っているもので、この教材を継続活用しながら心の教育をしている東京都、香川県では成果を上げていると聞いております。香川県はたしかこの若者層の自殺率が多分全国で一番低かったように思うんですけども、和歌山県内の若者の自殺者が高くなっている報道を受けて、「以前、自殺予防対策として、心の教育の一環として、県教育委員会は各小中学校にこの絵本を配布したと思いますが、現在も活用されているのですか」という問い合わせを実はいただいたことから、今回の質問にさせていただいたところであります。
 県民の方々の記憶にあるように、この絵本「カーくんと森のなかまたち」は、地域自殺対策緊急強化基金で購入し、県内の全小中学校に配布しています。
 平成22年、県内の小学校に東京から絵本作家の方に講師に来てもらって授業をしたことがあり、僕もそのとき、その中学校に行って授業を見せていただきました。そのとき、生徒や先生から感想を聞いた記憶、この学校の校長ブログなどを見たところ、絵本を活用した和歌山県の心の教育は評価が高かったと記憶しております。
 その後、平成23年1月に開催された全国都道府県教育委員会連合会総会において、和歌山県が資料配付をして「絵本『カーくんと森のなかまたち』を活用した心の健康のための教育について」と題して資料配付、発表をしているように、全国に紹介できるほど先進的な取り組みをしていました。このときのコメントをきのうもニュース番組で見たんですけども、前例のない、今まで自殺と正面に向き合ったことがないような活動、授業が今回できたと、これからも継続していきたいというコメントが映されておりました。それほどの取り組みをしてくれたのかなあというふうに思います。
 平成22年1月18日、NHKでもこのことは報道されておりまして、「県として命を大事にしたいという教育の対策をとらなければならない」、これ県教育委員会の職員さんがコメントをしておりました。さらに、「県民の友」であるとか各媒体にも、この和歌山県の心の教育については紹介はされております。
 そこで、この小中学生の心の教育の取り組みとしてこれらの絵本を活用していると思いますが、さらに継続した取り組みにすることが必要だと思います。この心の教育について、教育長の答弁をお願いします。
○副議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 絵本などの読み物教材を活用して子供に命を大切にする心を培うことは、自殺の予防にもつながるものであり、大変重要であると考えてございます。
 小中学校では、道徳の授業において、本県独自の道徳教科書「心のとびら」、「希望へのかけはし」などを活用し、命を大切にする心や思いやりの気持ち、規範意識などを育む教育に取り組んでございます。さらに、いじめを取り上げた教材をもとに、自己や他者の心を深く考え、正しい行動をとろうとする態度を培っており、こうしたことは自殺の予防にもつながるものと考えております。
 また、議員御紹介の絵本「カーくんと森のなかまたち」など、子供の自己肯定感を高める読み物教材は、自分の生き方や命を大切にする心を育む上で効果的であると考えてございます。
 今後とも、図書館や教室にこのような教材を充実し、読書活動を推進するとともに、さまざまな教育活動を通じて、自己も他者も大切にする心の教育を進めてまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁をいただきまして、今、そのときの、平成29年1月25日全国都道府県教育委員会連合会総会の和歌山県が配付した資料を手元にいただいたわけなんですが、和歌山県が提唱した絵本を活用するわかりやすい心の教育については、この後広がりを見せまして、これを聞いた埼玉県、福島県、静岡、茨城、北海道、そういったところでこの教育が浸透していったと、こういう報告がなされているように、非常に和歌山県の取り組みが効果的だったのかなあというふうに思ってます。
 そこで、こういった絵本作家であるとか、ある意味本物というんでしょうか、著者であるとか、スポーツでも何でもそうですけども、そういった何かをなし得た人、本物、本人に会えることで心の教育をすることは大きな効果が期待できるんではないだろうかと思います。
 外部講師による心の教育の授業は、このときの事例でもそうですけど、効果的だと思いますから、この授業の実施を考えていただきたいと思いますが、教育長の答弁をお願いいたします。
○副議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 外部講師の方を招いた授業につきましては、これまでも各学校において実施されており、社会で活躍されている方などの体験を聞くことで、子供たちにはこれからのよりよい生き方を考える機会となってございます。
 中でも、命にかかわるさまざまな体験をされた方からのお話は、直接子供たちの心に強く響き、かけがえのない命のとうとさを実感させる上で有意義であり、自己や他者を大切にする心を育む教育の充実につながるものと考えてございます。
 今後も、引き続き外部講師の方々の協力を得て、子供が命の大切さについて考えを深める取り組みを各市町村教育委員会とともに進めてまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、最後の項目になります。和歌山市における鉄道のあり方について質問をさせていただきたいと思います。
 先日、市内の自治会で防災研修会が行われまして、終わった後、1人の参加者の方から「どうしてもかなえてほしいお願いがあります」と話をいただきました。こんな話でした。「私は他府県へ出かけて和歌山市に帰ってくると、いつも悲しくなっています。それは、和歌山で駅をおりると、真っ暗で人通りがないからです。一体、和歌山市はどうなってしまったのだろう、この先、和歌山市はどうなっていくのだろうと思ってしまいます」。この和歌山の駅とはJR和歌山駅、南海和歌山市駅の両駅のことで、どちらも夜間は同じような状態にあると思います。
 こういう話で、続けて、「知事や和歌山市長が中心市街地の再開発によって活性化策を講じてくれてることは知ってます。ただ、現実はどうでしょうか。他県から来た人に話を聞いてみたら、やはり私と同じような感想を持っています。何とか和歌山市ににぎわいを、元気を取り戻してください」、こういう話でした。
 そこで、にぎわいを取り戻すための施策として、貴志川線─加太線接続、それに伴うJR和歌山駅と南海和歌山市駅を結ぶことについて質問をさせていただきたいと思います。
 この問題は、平成25年12月議会、当時の企画部長は、要約するとこのような答弁をしてくれました。
 各社の電車がふくそうすることによる安全確保の問題、自動列車停止装置など保安設備の相違、JR、南海、和歌山電鐵では車両の幅が異なるため、ホームの改良が必要なことなど相当な経費を要し、各社とも採算が見込めないこと、相互乗り入れ実現には克服すべき課題が多くあるとしながらも、「貴志川線の和歌山市駅への乗り入れ、加太線の和歌山駅への乗り入れは利便性の向上や需要の掘り起こしなどの効果があると考えますので、和歌山市と連携しながら鉄道事業者に働きかけを行ってまいりたいと考えております」、このような答弁でした。
 それ以前の平成22年の一般質問に対しても、これまた当時の企画部長は、「各社とも協議には応じるということでありますので、今後、和歌山市とともに鉄道事業者と話し合っていきたいと思っております」、こういう答弁をいただきました。
 そこで、鉄道事業者と和歌山市との間で勉強会の機会を設けて、鉄道のあり方、接続を含めてあり方を検討していると思いますが、協議の現状はどうなっているでしょうか。企画部長の答弁をお願いします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 鉄道の相互乗り入れにつきましては、平成26年度に鉄道事業者3者と和歌山市、県の5者で勉強会を立ち上げ、実現に向けた課題事項の洗い出しなど、継続的に意見交換を行ってきたところです。
 平成29年度も3回の勉強会を開催し、例えば貴志川線が和歌山市駅まで乗り入れるとしたら和歌山駅でどのような改修が必要となるか、どのようなダイヤを組むことができるか等について意見交換を行っております。
 その中で、貴志川線をそのまま延伸させるとすれば地下通路の補修が必要となることや、貴志川線が和歌山線側に乗り入れるとすればラッシュ時にダイヤ調整が困難となるなどの新たな課題が明らかになっており、鉄道事業者によると、多岐にわたる課題を解決するため莫大な投資が必要になるとのことです。
 このように、鉄道事業者の収益性が問題となり、容易に進展するものではありませんが、県としましては、どのような乗り入れ方法があり、どうすれば課題を克服できるのか、引き続き鉄道事業者や和歌山市とともに検討を重ねてまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今お答えいただきましたように、勉強会ではなかなか、やればやるほど課題が広がってきて、やろうとすれば予算、相当な投資が必要になると。投資したところでなかなか採算が見込めないから難しいよというところからなかなか前進していないような気がするんですけども、多くの方は、この後2問目に触れるんですけども、期待してるところでありますんで、ぜひちょっとでも前進できるように継続してほしいと思います。
 そこで、JR和歌山駅周辺ではマンションの建設、それから南海和歌山市駅ではホテルや市民図書館の建設などが予定されております。このことは、居住人口、交流人口が増加することが見込まれるため、鉄道の利便性の向上、移動時間の短縮などは鉄道事業者とともに考えるべき課題だと思います。
 地方都市と大都市の間の鉄道の移動時間が短縮すればストロー効果になるんじゃないかという話もあるんですが、実は逆ストロー効果があるという考え方も最近は言われております。
 また、大阪市内は難波と大阪を結ぶなにわ筋線の計画もありますし、御堂筋線は箕面市までつなぐことになっております。鉄道によってまちがつながることは、人の交流は当然のこと、ビジネス機会が増すこと、住宅の価値が高まること、人口増加に結びつくなど、地域としての価値も高まることになろうと思います。
 和歌山市内では東京医療福祉大学が開学し、続けて3大学構想がありますし、JR和歌山駅周辺での大型のマンション計画、南海和歌山市駅周辺のホテルなどの計画がある。そこになにわ筋線や御堂筋線の延伸計画です。鉄道の利便性向上を働きかける絶好のチャンス到来だと捉えて、阪和線、南海本線の利便性向上について、企画部長の答弁をお願いします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) JR阪和線や南海本線の利便性向上につきましては、鉄道事業者に対して常に働きかけを実施しているところです。
 その結果、JR西日本においては、これまでもICカード利用可能駅の拡大や駅のバリアフリー化整備などが図られています。さらには、本年3月のダイヤ改正で、阪和線の早朝及び深夜時間帯に特急くろしお号が増発されたところです。
 また、南海電鉄におきましては、和歌山市駅の改札口を2階から1階に移設し、なんば方面やJR和歌山駅への列車に乗車しやすくするなど、利便性向上に取り組んでおりますし、市駅前の再開発も行われているところです。
 一方、通勤・通学時間帯の阪和線の時間短縮につきましては、平成29年9月議会でも答弁させていただきましたとおり、根本的な解決には、阪和線の複々線化による路線容量の拡大が必要であり、新たな用地購入等莫大な経費がかかることから、実現は極めて困難であると考えているところです。
 県としましては、今後も引き続き鉄道の利便性向上を各鉄道事業者に働きかけてまいります。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今、企画部長から答弁いただきましたように、現実は、改善はされてる部分もあるというのもわかりますし、利便性もある程度図られている。ただ、例えばJRにしたら和歌山─天王寺間が紀州路快速は70分というときもありますし、余り時間短縮が図れていないという気がします。
 和歌山市が例えば膠着している状況であれば、これはもうダイヤ改正とか利便性というのは非常に難しい、これはわかるわけなんですが、先ほど言いましたように、大型のマンションの計画がある、さらに大学が1つ開設して、さらに幾つか、3つほど開学しようという、こういう状況にある中、かなり居住人口、交流人口が図れる。市の全体の人口がふえるか減るか現状なのか、これはわからないにしても、少なくともふえるという取り組みを県としても当然されてるわけです。
 こういう節目となる状況の中において、今、これチャンスだと思うんですけども、鉄道事業者も当然5年とか10年の長期計画立ててますから、こういった人口の動態把握してると思いますから、それに合わせて利便性の向上なりスピードアップなりすることによって商圏が拡大する、これはわかってる話だと思います。
 その辺について、今の答弁の中には読み取れなかったところもありますんで、3大学構想とか和歌山市が今活性化しようとしている計画に基づいて利便性の向上について、企画部長に再度お尋ねしたいと思います。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 先生から再質問いただきましたように、今、県が進めているいろんな取り組みによって、和歌山市内の交流人口がふえていくものと考えております。それに伴いまして鉄道の利用者の需要がどの程度ふえていくかということも、鉄道事業者ともよく相談しながら、利便性向上を図れるものは図っていきたいと思っておりますが、ただ、先ほどの阪和線の通勤時間帯の短縮につきましては、いろんな働きかけをしてまいりますけれども、そもそも鉄道の容量が大阪側で非常に満杯になっておるということで、複々線化をとらないと解決しない部分があると。そういったことをどうやって解決していくかというのが大きな課題だと、そのように考えております。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 部長から答弁いただきまして、まだまだ続けたいところなんですが、時間がありまして。ただ、言えることは、県も和歌山市もそうなんですけども、何とか中心市街地に人をふやそう、交流人口をふやそう、利便性を高めようというまちづくりをしている中で公共鉄道という役割、非常に僕は大きいというふうに思いますんで、今、この機会こそが鉄道事業者に訴えかけるチャンスだと思います。もちろん費用対効果があるんで簡単ではないと思うんですけど、勉強会なり直接でも結構ですから、部長のほうからぜひ強力に、和歌山県は和歌山市のまちづくりをこう考えてるんや、だから協力してくれよという勢いを持って訴えかけていただけることを要望したいと思います。
 それでは、この項目の3点目であります。
 紀淡海峡ルート、四国新幹線の早期実現に向けた取り組みでありますが、ことし5月開催されたシンポジウム「未来を創る交通インフラ」では「紀淡海峡ルートと四国新幹線の早期実現」をテーマに議論が交わされました。非常にいい内容でして、多くの同僚議員もこのとき参加していたと思いますが、この和歌山県と徳島県を道路と鉄道で結ぶ構想に関しては、両県とも加入している関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会で実現を目指しているところであります。特に、第二国土軸の早期計画実現を目指している和歌山県と徳島県がこのルートを求めていることを強く感じたシンポジウムでした。
 東北や北陸、北海道など東京を中心とする新幹線整備計画は、実現しているものや着工中のものがありますが、昭和48年に新幹線基本計画に位置づけられた四国新幹線計画は、残念ながら進展していません。
 シンポジウムで紹介してくれた試算によりますと、四国新幹線が開通すれば和歌山県と徳島県の県内総生産はプラス50%、これはしゃべってくれた人がプラス50と言うたんで、必ずしもどうかはわかりませんが、すなわち県民所得もプラス50%になる、こういう話をしていただきました。もしこれが実現しなければ衰退への道を歩むことになる、このような説明があったように、新幹線による経済効果は大きなものがあると思います。
 また、リニア新幹線は、2027年に東京と名古屋間を結びますから、これらの地域の市場は増大することになり、新幹線のない地域の市場は縮小することになります。例えば、東京と大阪がリニアで1時間で結ばれると、これ県の職員さんに聞いたんですけど、山手線が1時間、東京─大阪も1時間、それだけ生活圏とかビジネス、情報のルートが短くなるから、当然、山手線内と大阪、関西、和歌山も含めてそれだけルートが近くなるということであります。ですから、四国新幹線は和歌山県としても何としても実現させたい構想だと思います。
 高速道路や新幹線が開通すると人の交流が起き、当該地域を活性化させます。東京、大阪をつなげると都市部との移動時間の短縮が図れ、先ほども申しましたが、逆ストロー効果、通勤時間なり短縮することで、地価の高い都会よりも地方へ住む、こういう逆ストロー効果が発生すると言われています。移動時間が短縮すると、今言いましたように地価の安価な地域に住居を構え、新幹線などを利用して通勤する人が増加する。四国新幹線は、大分県と大阪府を結ぶだけではなく、路線のとり方にもよりますが、和歌山県も通ることになる新幹線です。
 つなげることが相乗効果をもたらしてくれますから、経済規模も拡大する。新幹線、道路をつなげることが和歌山県と徳島県だけではなく関西全体の経済効果に影響を与えることになると思います。
 この紀淡海峡ルート、四国新幹線の早期実現に向けて知事のお考えをお答えいただきたいと思います。
○副議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 紀淡海峡ルートの実現は、4つぐらい日本及び関西、和歌山に効果があると思っております。
 第1に、四全総の語る第二国土軸として、国家のリダンダンシーを確保するものであるということであります。第2に、西日本の大動脈の代替機能を有する四国新幹線の実現を可能とするもの、第3に、関西国際空港と大阪都心を結ぶ超高速鉄道の整備につながり、関空の機能強化に資するものである。第4に、関西大環状道路や大阪湾環状道路の形成につながるもので、効果は非常に大きいものというふうに考えられるわけでございます。
 ただし、四全総の後、和歌山県もその実現に努力をし、かなりの県費を使って予備調査をいたしましたけれども、国を動かすことができず挫折をしておりました。国もその後、対応レベルを下げてしまったということでありました。
 しかし、関空の存在というのがその当時なくて、関空の存在が大きくなってまいりましたから、これを新しいてことして考えれば、先ほど申し上げましたように、もう一度このすばらしいプロジェクトが生き返るのではないかと私は考えました。これが実現すれば、本県は一挙に国土の中心軸の中に躍り出るわけであります。
 そこで、2013年になりますけれども、関係府県の知事に働きかけをいたしまして、賛同をもらいまして、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会──これは府県の集まりでございますが──を立ち上げまして、言い出しっぺでございますし、真ん中にいるものですから座長を務めておりますが、紀淡海峡ルートや四国新幹線の実現に向けた活動を行うべく、シンポジウムを行ったり国への提案活動を行ったり、積極的にやってまいりました。
 平成29年3月には北陸新幹線の敦賀─大阪間のルートが決定されまして、現在整備中の新幹線の中でルートの決まっていない区間はなくなりました。また、国においても新幹線の整備手法に関する調査費が予算化されました。これは、名前はまだつけられないけれども、名前を特定できないけれども、四国新幹線を初めとする基本計画路線を次の整備計画とするように、一種の構想を持ってつくられたものだと理解しておりまして、それをてこに働きかけを強めていく必要があると思っております。
 一方、新幹線が走るときに、実は大鳴門橋というのは淡路島と四国の間ですが、もう今、道路で使ってますが、新幹線仕様になっとるんです。紀淡海峡を渡ってくるときに、もちろん新幹線も渡ってくるわけですが、道路も渡ってくるわけで、今度はですね。その道路が京奈和につながるということになりますと、京奈和自動車道で第二国土軸になるし、また関西大環状道路を構成することにもなる。その関西大環状道路の1つである新名神高速道路とか京奈和が随分できてきましたんで、残るミッシングリンクである紀淡連絡道路の早期実現があれば、これ全部一遍にできてしまうわけでございます。
 そういうようなことを踏まえて、これをもっと運動を高めていこうということで、去る5月18日に関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会が主催いたしまして、和歌山市内でシンポジウムを開催いたしましたところ、議員初め350名の方々に御参加いただいて、関心の高さを実感したところです。
 紀淡海峡ルート、四国新幹線は、和歌山県のみならず関西の発展、あるいは日本の将来の発展のかなめとなる重要なプロジェクトであるとともに、これができますと東京一極集中からの脱却にもなるし、双極型国土構造の構築とか、地方回廊の整備とか、あるいは国土強靱化とか、もう全部に役に立つ不可欠なプロジェクトだと私は思うわけでございます。そういうことで、ぜひとも実現しなきゃいけないと思っております。
 5月31日には、これはいつものことなんですけども、みずから国土交通省を訪問して、これについての要望活動も行ったところでございますが、引き続き、味方もどんどんふやそうということで、シンポジウムなどの情報発信による機運醸成とか、あるいは関係団体への働きかけとか、国への要望とか積極的に取り組みを進めてまいりたいと思っております。
○副議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁いただき、ありがとうございます。
 このシンポジウムの話、非常に中身がよくて、僕もあちこちでこの話は紹介させてもらってるんですけど、9月の末ですか、29、30、和歌山マリーナシティに徳島県知事も来ていただいてこの話をするという今企画をしてございます。ぜひ知事にも御参加していただきまして、機運盛り上げに一役買っていただけたら、推進役になっていただければありがたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして一般質問とさしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(岸本 健君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、IR・統合型リゾートの誘致についてお尋ねいたします。
 県発行のIR基本構想のパンフレットによると、IRとは単なるカジノホテルではなく、国際会議場施設、展示場施設、劇場、美術館、博物館など、国内の旅行を提案、アレンジする施設、ホテル等、一体となった複合的な観光集客施設で、民間事業者により設置、運営されると書かれています。
 ここに2011年に発行された「カジノの文化誌」という本が──ちょっと忘れてきました。済みません。「カジノの文化誌」という本があります。この本の著者は、知事と(発言する者あり)──また後日よろしくお願いします。
 この本の著者は、知事と通商産業省、現在の経済産業省入省の同期生の大川潤氏と佐伯英隆氏の共著になっています。著者は、知事から和歌山には米国ラスベガス型、欧州型のどちらのカジノがふさわしいのかという問題提起があり、知事の質問に答える議論の中でこの本が生まれたと記しています。また、日本のギャンブル市場とカジノ導入への道の章には、「刑法で禁止されている賭博行為の違法性を退けようというわけだから、当然、立法措置が必要である。法律をつくる以上は、法目的が明らかにされなければならないが」云々と述べられています。
 県は、カジノを含むIRの誘致に向けて予算化し、積極的に準備を進めていると思います。報道では、8日には候補地として検討している和歌山マリーナシティホテルで説明会が開催され、海外のIR事業者を初め国内外から49者が参加と伝えられています。東京においても説明会が開催されています。さらに、県は、県での開発に参画を検討している民間事業者からアイデアを募集する投資意向調査まで開始をしています。
 私は、カジノに頼らないまちづくりを進めていくべきだと考えます。その立場から質問をさせていただきます。
 そもそも、賭博は刑事罰で禁じられているものです。なぜ賭博を禁じているとお考えでしょうか。禁じている賭博を解禁するということを、将来和歌山を担っていく子供たちを含め、県民にどのように説明するのでしょうか。知事にお尋ねいたします。
○副議長(岸本 健君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 賭博行為は国民の射幸心を助長するおそれがあるというようなことで、勝手にやっちゃいかんというのが法律の趣旨だというふうに思います。つまり、自由に行ってはいけない。公営競技については、そういうかけごとを堂々と認めているわけですけれども、これは、国や地方公共団体などが秩序を守って運営することや、あるいは公共政策の目的に沿った形で収益金の一部を使用できるんで、これは認めましょうということを言うとるわけであります。
 そうした中で、IR整備法案では、IRは民設民営である、公営ではないということになっておるんですけれども、規制という点では国による厳格な規制とか県の関与の上で運営されるものであり、また、民間事業者がカジノ収益を活用して、普通だと採算をとるのが難しいような大規模な国際会議場や、あるいは集客施設などの施設を整備して運営して、その投資によって地域経済の発展にも寄与するんで、これは認めようと、こういうふうに考えたものだと思っております。
 そのように、IRというのは莫大な経済効果があり、それに伴う所得の増加により人口減少にも歯どめがかかるというメリットはあります。
 もともと私は、カジノ自体、議員が御指摘のような本を元学友が書いてくれていたときなども、もともとカジノというのはヨーロッパなんかでもちゃんとした運営をされているようなもんであるから、そんなに危疑すべきもんではないというふうに思っていて、ホテルとカジノでも構わんのじゃないかというふうな意見でありました。
 ただ、国はやっぱり成長戦略の1つとして捉えているようで、大規模な投資を求めると、そうでなければカジノ自体も認めないということでIR型になったわけで、これは地方の発展にとっては望むところであるというふうに思う次第であります。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、カジノというのは経済効果が大であるということで言われました。私は、先ほども申し上げたように、賭博行為を法律で禁止し、罪という、そういうことにしている理由は何なのかというところをぜひ考えてみて、その上でやはりカジノということについて、やっぱり例えば子供に説明すると、小学校、中学校の子供たちに。
 また、子供も一緒に行けるという施設ですから、幼稚園の子供たちにも、このカジノについて、こういうことがどういうことなのかということを説明するということで、和歌山市にそういうことをつくっていくということについて、どのように法律に抵触する、こういったことがこの場合はいいんだよというようなことを話をしていくのか。
 そういったことでは、非常にこれからの和歌山の将来にも、どういうかじを切っていくのかという面でも大きな影響があると思ったので私はちょっと尋ねたのですが、その点では、今、カジノを開くということが目的ではなくて、国際会議場とかそれに付設する、先ほども言いましたようにいろんな施設、そういったことを建てていくためにカジノが必要なのか。そのことをどちらに考えられているのか、もう一回お聞かせいただきたいと思います。
○副議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まずは、弊害が大であると言った覚えはございません。弊害がある可能性があるので、だからある一定のルールのもとでないと認めない、勝手にやってはいけませんというふうなものなんですというふうになってんじゃないでしょうかと申し上げたわけです。
 したがって、後で御説明したように、私はきちんと規制をすれば、ヨーロッパなんかでもカジノなんていうのは健全なる観光のメニューになっているから別にいいんじゃないかというふうに思ったわけですが、そのときにもちゃんと規制はしないといけないということだろうというふうに思います。
 今、後半のほうの御質問は、カジノは悪いことだ、悪いことだけども、ひょっとしたらほかにたくさんの投資があるから悪いことでも我慢しましょうというふうに思ってんですか、それともそんなに悪いことだと思ってないんですかという御質問でしょうね。その御質問にお答えすると、そんなに悪いことだとは思ってません。だけど、やっぱりちゃんとした規制をして、それでやっていかないといけないというふうに思ってるというのが答えだろうと思います。
 悪いことだったら、よっぽどほかのことがよくても、その悪いことをやっぱり許してはいけないというのが当たり前のことなんで、悪いことだけども、いいことがいっぱいあるからいいことにしてるのねと言われたら、それは違うと言わざるを得ないと思います。
 私は、もっと経済学的に言うと、かけごとといっても、その中で人々はそれに参加して効用を得ているわけですから、それにお金を使うということについて一概に間違いだとは言えないし、もしかけごとが絶対に悪だと言うんだったら、公営であれ何であれ、そんなものは認めちゃいけないというのが基本的な考え方だろうと思います。
 ただ、勝手にやっちゃいけないというのは、どうしてもいろいろな弊害が出やすい、ほかの行為よりも出やすいということだから、例えば主体のほうに対する規制も厳しくなるし、それから利用者に対しても配慮をしなきゃいけない、そういうことが要請されるようなものだというふうに考えております。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 カジノは民間企業が私的利益のために開設するという、今回、民設民営とおっしゃっていますので、公益を目的に認められた公営競技とは全く私は違うと思うんです。
 また、経済活動という問題について、カジノが生み出す仕組みということ自体が、私は普通の経済活動ではないと思ってます。「広辞苑」には、「経済」という言葉、「国を治め人民を救うこと」、また「人間の共同生活の基礎をなす財・サービスの生産・分配・消費の行為・過程、並びにそれを通じて形成される人と人との社会関係の総体。転じて、金銭のやりくり」というようなことで書かれています。
 やはり賭博は刑法で禁止され、最高裁判決でもその違法性が認定されてきました。賭博は、知事もおっしゃったように、いたずらに射幸心をあおり、勤労意欲をそぎということで言われています。これはそうですよね。先ほどそんなふうにおっしゃったと思うんです。(「ちょっと違いますが」と呼ぶ者あり)あ、そう。「射幸心をあおり、勤労意欲をそぎ」というふうにおっしゃったように思うんですが、後ほどそれでまたおっしゃってください。
 それによって経済的な基盤を掘り崩し、地域社会と個人生活を崩壊させる危険があるということではないでしょうか。賭博行為は、一旦深みにはまれば個人的な判断や行動だけでは制御ができなくなるからこそ、法律によって社会的な縛り、規制がかけられてきたと私は考えます。そういった意味では、健全な経済活動とは言えないと思いますが、知事が手挙げ──どないしたらええんかな。──私、と思いますので。
○副議長(岸本 健君) 聞いてますか。質問ですか。
○奥村規子君 私はそれで思うんですけど、知事が手を挙げてるので。
 法律によって──そういうことで、健全な経済活動とは言えないということで私は言うてます、思いますということで次に行きたいんですが。
○副議長(岸本 健君) 聞かれますか、質問されますか。
○奥村規子君 はい。じゃ、反論をどうぞ。(「答弁やろ」と呼ぶ者あり)答弁。済みません。答弁をどうぞ。
○副議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 別に反論ではないんですけど、先ほど「いたずらに国民の射幸心を助長する」と。「いたずらに」と言ったかなあというのがあります。言ってたら済みません。それから、「勤労意欲をそぐ」というのは口にしてないと思います。
 ただ、勝手にやっちゃいかんというのは、そういうことが基本にあって、例えばかけごとというのははまってしまうというおそれがほかの行為以上にあるということだろうと思います。したがって、ちゃんと規制をしてやらないといけないので、勝手にやっちゃいけませんよということだろうと思います。
 ただ、奥村議員のように、かけごとは絶対いけないんだと言っちゃうと、それは公営ギャンブルもみんないけないし、それから、はまることは皆いけないんだと言ったら、これもちょっと大問題だと思いますけども、スマホなんかにはまってるような子供たちが結構いて、これは何とかせないかんと実は思ってるとこなんですが、こういうものもとんでもなく悪いことだということになってしまうわけでございます。
 したがって、要は健全なる社会生活が破壊されないように、うまくバランスをとって、手当てをしながら成長を目指して地域おこしを頑張っていくということが大事なんじゃないか、そんなふうに思っております。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次、行きます。
 知事は、最初は外国人専用のカジノと、そう言いました。なぜ日本人の利用を認めるようになったのでしょうか。
 また、和歌山市の市長は、外国人専用とおっしゃってます。6月議会においても、我が党の森下議員が一般質問で市長の考えをお聞きしています。
 そこでお尋ねしますが、立地自治体の意見は重いと考えますが、いかがですか。
○副議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は以前から、IRは和歌山県の発展のために、雇用やあるいは経済成長とかそういう点で物すごく役に立つんだけれども、しかし一部にそういう方もいらっしゃいますけども、かけごとにはまるのは自己責任なんだから、そんなものはほっといていいという意見ではありません。いいことであるけれども、依存症その他の弊害がいっぱい出てはやっぱり問題であるというふうに人一倍思っていました。
 そこで、国が整備法案をつくっていくわけでございますけれども、やっぱり皆さん心配であろうというふうに思って、実効性のある依存症対策が講じられるまでは、心配をする必要がないように、和歌山県民、日本人はカジノ施設だけは入ってもらったら困るというふうにしたら全く心配はないでしょうというふうに発言をしていたところでございます。
 もっとも、それでもとにかく反対だから反対だと言う人がいるんだなあといってちょっと驚いた記憶もあります。今、奥村議員がかけごとは絶対だめだといって言われるようなタイプの人かもしれません。
 実は、私の発言あるいはその方針、こういうものは恐らく法案を検討していた政府に大きな影響を与えたのではないかというふうに、これは勝手に推測をしているわけでございますが、IR整備法案を見ますと、物すごく厳しい規制になりました。
 まず、マイナンバーカード、これは反対も多かったようなんですが、それを必ず持ってこいと。それから、入場回数制限をする。入場料も結構高い。それから、本人・家族申告による入場制限措置がある。現金でないと認めない。クレジットカードの使用は不可。中には──中というのはカジノルームですけど、その中には現金引き出し機を置いてはいかん。そういう大変重層的に多段階的な規制が設けられていまして、また、家族や本人が登録しておくとその方は入れないというようなことも決まっているわけでございます。
 私は、これでカジノ行為に対する、いわゆる依存症の防止対策ですね、何度も何度も通って捉まえられてしまうというようなことについての依存防止対策はほぼ万全ではないかなというふうに評価をしています。
 しかしながら、実はじっとよく考えますと、1回のかけごとで全財産をなくしてしまうという可能性はないことはないなあ。現金をたくさん持ってきて、もう全財産を持ってきて、これでやってくださいというようなことをする人がいると、1回限りだからその人が破産するリスクもあるなあ。それも勝手だという意見の人もいますけども、やっぱりこういう人も救いたいと私は思っていまして、何かうまくやる余地はないかと考えました。
 そこで、本県独自の取り組みとして、IRカードを導入して、所持する現金、これは現金を持ってこないと入れてくれないわけではございますけれども、所持する現金の範囲内で使用する額を入場の際にお客様と相談をしてチャージをしていただくということによって、使い過ぎることを抑制できるなというふうに考えました。
 また、かけごとに熱くなっている人に休憩とか退場を促すような依存症対策専門員の配置などを事業者に求めたりいたしまして、事業者がこれらの運営をちゃんと行っていただけるならば、論理的に考えると依存症や破産リスクはなくなるだろうというふうに考えているところでございます。
 多くの事業者に、実はこのIRカードのアイデアとか、これは規制でございませんので協力してもらわないといけません。県の提案を披露したところ、大変よいアイデアだと皆さん評価してくださっていますんで、さきに述べたような本県独自の取り組みも含めて、全部実現するだろうなあというふうに考えております。
 事業者を選定する段階では、本県の考える依存症や破産リスクの防止に関する提案にちゃんとコミットしていただけるのであれば事業者にしますよということで、そうなれば外国人専用である論理的な理由はないというふうに思っております。
 尾花市長も、私と同じように和歌山市民の安全を一番心配しておられるんだろうと思います。多分、同時に和歌山市が成長するようにということを考えておられると思いますが、この2つを考えておられると思います。ところが、市は、このIRについては、それをどういうふうに扱ってどういうふうに仕組んでいくかということについて何の権限もありません。全て権限は県でありまして、市は、唯一の権限は区域整備計画を国に出していいかというところの同意権限だけでございます。
 したがって、市長としては、県はそう言ってんだからいいでしょうというわけには、なかなか言いにくいだろうというふうに思いますので、今はもとのポジションであろうなあというふうに思うわけであります。とにかく市民の安全を守ろうということだろうというふうに思います。
 そこで、県で今私が申し上げましたようなことを、2年ぐらいかかると思いますが、きちんと形にして、これなら大丈夫でしょうということを市によく理解してもらいに将来行きたいというふうに思っておりまして、現在は心配しておられるのはごもっともではないか、そんなふうに思います。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 1つは、今お話を聞いた中で、お金をどこから調達して、またいろんなところから借りて、またそういうカジノにつぎ込んでいくというようなことは絶対にないとは言えないということが、お聞きしててわかりました。財産がある人は財産を何とかしてお金にかえてということでは──でも、財産もそうでもなくて、入ってくるお金もそう見通しがなくってでも、そういう中で巻き込まれて大変なことになっていくのではないかと非常に心配をするところです。
 もう1つは、市の同意が最終、その区域整備計画というところの中で和歌山市の同意というのが必要やということで理解してよろしいでしょうか。(「2年後」と呼ぶ者あり)2年後、はい。
 そしたら、次行きます。(「議長を無視すんな」と呼ぶ者あり)済みません。次に行きます。
 次は、カジノエンターテインメントに関する県民意識調査が、満20歳以上の県民1000人を対象にアンケート調査が行われています。その中で、カジノ誘致の是非についての問いに対して、県への誘致については、条件つき賛成を含め「賛成」36.3%、「反対」28.7%、「現時点で判断できない」35.0%と賛成が上回っているものの、居住している市町村へカジノを誘致することに対しては「賛成」が29.8%、「反対」が41.3%、「現時点で判断できない」が28.8%と反対が賛成を上回っています。2016年7月、2017年1月に行われた和歌山市の結果も同様です。
 国会では、先月の15日、カジノ実施法案が衆議院内閣委員会で自民、公明、日本維新の会が強行採決し、19日の一昨日、衆院本会議でも野党の反対を押し切って採決され可決しました。法案の内容を私たち国民に知らせず推し進めようとしていることは、議会制民主主義のじゅうりんだと言わざるを得ません。(「知ってるから反対してるんやろう」と呼ぶ者あり)国民に知らせずということで推し進めようとしていることはということです。
 報道各社の世論調査では、カジノ実施法案の今国会成立に6から7割が反対しています。TBSテレビ系のネットワークJNNの世論調査では、法案成立方針に「賛成」23%に対し「反対」は59%、テレビ朝日系ANN調査では、今国会の成立に「支持しない」は67%に上り、「支持する」の23%を大きく上回っています。法案の賛否でも、NHK調査では「反対」38%、「賛成」16%の倍になっています。カジノ誘致に対して県民の是非を、このような中でどのように把握していますか。企画部長、答弁よろしくお願いします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 議員御質問にありましたカジノエンターテインメントに関する県民意識調査は、平成21年3月に県が実施したものでございます。それ以降、県が主体となった調査は行っておりません。
 今取り組むべきことは、県がIR誘致を目指す理由やIRに関する正確な情報を県民に提供することだと考えています。そのため先般、和歌山県IR基本構想を公表し、IRが地域にもたらす莫大な経済波及効果や雇用効果等のメリット、また一方で、ギャンブル依存症などのデメリットへの対策についてもわかりやすくお示ししたところです。加えて、シンポジウムの開催や説明会の実施、広報番組の活用等さまざまな機会を捉えて、IRに関する正確な情報の提供に努めておるところです。
 IR整備法案では、県と民間事業者が共同で区域整備計画を作成する段階において、立地市町村に協議するとともに、公聴会の開催やパブリックコメントの実施などが義務づけられております。
 さらに、区域整備計画を作成し、国土交通大臣に区域認定の申請を行うに当たっては、立地市町村の同意を得た後、県民の代表である県議会の議決を得ることになっておりまして、これらの手続を通じまして住民の是非ということが反映することができるというふうに考えております。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  〔「議長、議事進行、24番」と呼ぶ者あ
   り〕
〇岸本副議長 24番。
〇中 拓哉君 ただいまの奥村議員の質問で、県民意識調査しろとかいうの私も賛同せんではないですけど、冒頭の質疑の中で、━━━━━━━━━━━━━━━━━という発言がございました。これは間違いでして、一昨年来やってきた、その━━━━━━━━のはこういう整備を推進しなさいという推進法のほうが議員提案で可決されたんであって、それを受けて政府が閣法として内閣から今回の整備法案を出したんですから、そこを整理していただかないとこの議論がかみ合わないと思いますので、議事進行したとこです。議長のほうで御整理お願いします。
○副議長(岸本 健君) この際、暫時休憩いたします。
  午後2時34分休憩
────────────────────
  午後4時15分再開
○副議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、申し上げます。
 奥村規子君から、先ほどの会議における同君の発言について、一部を取り消したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。この申し出を許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、同君の申し出を許可することに決定いたしました。
 奥村規子君の質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 1項目めの4番からお願いいたします。
 カジノなしではIRは成り立たないということですかという点について、企画部長、御答弁をよろしくお願いします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 日本型IRは、国際会議場や展示場、宿泊施設、魅力増進施設、送客施設等に加えて収益面での原動力となるカジノ施設が民設民営で一体的に運営されることを通じて、これまでにない国際的な競争力を有する総合的なリゾート施設を整備するものであり、適切な国の監視及び管理のもとで運営される健全なカジノ事業の収益なくして日本型IRの実現はできないと、そういうふうに認識しております。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に5点目、お尋ねします。
 昨年度委託した基礎調査の結果がどのように基本構想に反映されているのでしょうか。また、基本構想には、経済効果が波及している例として「カジノ施設の収益により財政改善に寄与」と紹介されています。経済発展、雇用創出、観光振興への期待する効果についても根拠をお示しください。企画部長、御答弁お願いします。
○副議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
○企画部長(田嶋久嗣君) 基本構想を作成するに当たって、客観的な指標に基づく評価が求められる事業性分析、経済波及効果、雇用効果などの事項については専門機関の知見が必要となるため、有限責任監査法人トーマツ社に基礎調査を委託し、その内容を反映したところです。
 経済効果等の根拠についてでございますが、まず運営等に係る経済波及効果約3000億円につきましては、カジノ売り上げ約1401億円、ホテル売り上げ約255億円、アリーナ施設売り上げ約14億円、駐車場売り上げ約20億円及び来場者の飲食代等の推計値約325億円をもとに、産業連関表を用いて算出しております。
 次に、運営等に係る雇用創出効果約2万人は、IR内で雇用される雇用者については海外事例を参考に約5000人、IR外での雇用者は算出した経済波及効果をもとに需要量に対する労働量を推計し、約1万5000人と算出したところです。また、IR来場者約400万人については、トーマツ社が独自のノウハウ、知見を用いて推定を行い、試算をしたものです。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 カジノを導入すれば観光客がふえ、地域経済が潤い、税収もふえるなど主張をされています。しかし、世界的に見てもIR型のカジノで成功しているのは、ほんの一握りの施設、地域だけです。圧倒的多数は、さまざまな問題を抱えているのではないでしょうか。マイナスへの影響も考えるべきと思いますので、指摘をさせていただきたいと思います。
 次に、2項目めに行かせていただきます。
 太陽光発電事業における林地開発についてお尋ねをいたします。
 県太陽光発電事業の実施に関する条例が、あすから全面実施されます。この条例は、県民の理解と環境との調和を確保し、環境にふさわしい太陽光発電事業の普及を図ることを目的にしたものです。建物の屋根や屋上に設置するものを除く出力50キロワット以上の太陽光発電設備が対象です。その設置、維持管理及び廃止を適正に行うための計画を作成し、知事の認定を受けることを事業者に義務づけているものです。
 また、認定の申請前に、事業計画の案について地域住民への説明会の開催を義務化しています。事業計画の認定に当たっては、市町村長、自治会等の意見を踏まえ、必要に応じ専門家の意見を聞いて安全面、環境面、景観面、法令面等の認定基準に適合しているかを科学的かつ総合的に判断するというものです。
 本条例ができたことにより、林地開発許可制度事務取扱要領の改正点は何でしょうか。農林水産部長にお尋ねいたします。
○副議長(岸本 健君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 太陽光発電事業の適正な審査を行う和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例が公布されたことから、その条例との整合性を図るため、和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領を次の4点について改正いたしました。
 まず1点目は、太陽光条例に規定する認定申請までの協議をもって、本事務取扱要領に定める林地開発の事前協議とみなすことといたしました。
 次に、事業実施予定者による太陽光条例の認定申請手続と林地開発の許可申請手続とは同時に行うことといたしました。
 続いて、林地開発の許可申請に添付が必要な開発行為に対する利害関係者の同意については、金銭により強引に同意を得るといった不合理な面も考えられることから、太陽光条例施行により透明性、客観性、理論性を備えた科学的な仕組みが整えられたことにより、同条例に規定する住民の意見を反映させるための必要な措置を講じたことを証する書面をもって同意にかえることができることといたしました。
 最後に、林地開発の許可等の処分を行うに当たっては、太陽光条例に規定する認定等の処分との整合性を十分に留意した上で判断を行うこととしたところであります。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 条例の制定に伴う利害関係者の同意書の取り扱いが変更になっているということです。これまでは利害関係者同意書の提出が必要でしたが、本年4月1日より太陽光事業については太陽光条例が制定されたことで必ずしも必要でなくなったこととなり、住民の皆さんから非常に不安の声が聞かれます。林地開発許可制度のハードルが下がったのではないかということです。この点でいかがでしょうか。農林水産部長にお聞きいたします。
○副議長(岸本 健君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例では、事業計画の周知、利害関係者への意見聴取、その意見に対する事業者の見解提示などが規定されており、おのおのの意見、見解を述べる機会が設けられております。
 また、必要に応じて専門家から構成される審議会の意見を聞くこととしており、客観的かつ理論的な視点において審査されるよう制度化がされているところです。
 先ほど申しましたように、このことにより金銭の受け渡し等で同意が左右されるような不合理なことが排除され、透明性、客観性、理論性を備えた科学的な仕組みが整えられたことから、同意書にかわる措置がなされたと判断したものであり、決して許可処分のハードルが下がったわけではありません。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今の御答弁で許可処分のハードルが下がったわけではないということですので、県のほうで適正に今後審査していただけますよう、よろしくお願いいたします。
 次に、3項目めです。県庁におけるハラスメントについて。
 今、国においては、女性が平等に社会に参画していくに当たって、個人の尊厳を深く傷つける女性に対する暴力が大きな障害となっていることが表面化してきました。厚生労働省では、性別を理由とする差別や、妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取り扱い、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント、パワーハラスメント、育児介護休業、パートタイマー労働について、ハラスメント関係の相談窓口があります。
 ILOでは、セクハラを含め、ハラスメント全般を扱う国際基準の議論が行われているところです。職場、地域、学園など身近なところで一人一人の問題として考えなければと思い、質問させていただきます。
 県庁での職員からの相談状況は、セクハラは年に2から3件、パワハラは年5から6件とお聞きしていますが、ハラスメントをどのように認識しているか、知事にお尋ねいたします。
○副議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、一般に、はやり言葉、特に外来語を無限定に使うことについてはちょっと抵抗があるんでございますけれども、奥村議員の御質問の用語でございますので、そのまま使わしていただきます。
 人間生活にとって、人格や個人の尊厳を侵害することはいけないと思います。別の言葉で言うと、人権を侵害するのはとてもいけないというふうに思うわけであります。
 そういう意味で、県では、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメント、妊娠・出産・育児・介護に係る不当な不利益をもたらすような行為の対応指針を定め、職員が知っておくべきことや注意しなければならないこと、あるいは被害が生じた際にどのように対応しなければならないか、そういうことなどについて研修や啓発を行っているところであります。
 特に、上位の地位を利用した、あるいは利益で誘導するようなセクシュアルハラスメントについては、一番いけないことであると私は思っておりまして、何かあった際に安心して相談をできるように、相談を受ける職員の特定化、あの人がそういう場合には相談を受けますよというのをわかってもらっておくというようなこととか、あるいは被害に遭った職員には、その意に反しての人事異動等の不利益な扱いは絶対にしませんよというような旨の方針を示して、安心して相談や通報を行ってほしいというメッセージを全職員に発したところであります。もしそのような事態が本当に発生したら、厳しく対処する所存であります。
 今後も、職員がその能力を十分発揮し、誰もが働きやすい職場環境を確保するため、ハラスメントの防止と排除に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 県庁においても、特に今年度も女性の採用人数が以前よりパーセントも高くなってきてうれしいことなんですが、将来、今もそうですが、やはり妊娠・出産・育児・介護に関するハラスメントに関して職員が認識すべき事項等についての指針というのが、このように職場におけるハラスメント防止に関する基本方針が、(資料を示す)先ほど言われてましたように出されて、これが職場全体にやっぱり徹底していくということでいえば、ここにも書いているんですけども、所属長として認識すべき事項とかいうことでは、みんなで気をつけ合いながら職場で働きやすい環境をつくるということになれば、業務体制の整備とか、そういった客観的な状況も、働く環境づくりというのが非常に大事になってくるかと思いますので、そんな点も含めて、やはりよりよい、県庁の働きやすい職場づくりをぜひ進めていっていただきたいなということをお願いして、この今の職員の研修というのがどのようにされているかという点で、総務部長にお尋ねいたします。
○副議長(岸本 健君) 総務部長浦上哲朗君。
  〔浦上哲朗君、登壇〕
○総務部長(浦上哲朗君) ハラスメントの防止に関する職員の研修につきましては、平成11年度に職場におけるセクシュアル・ハラスメント防止に関する基本方針が定められた後、職場研修指導者セミナーの一環としまして、各職場の職場研修委員を対象に行ってまいりました。
 また、平成20年度に人権・同和特別研修の一環としまして、全職員を対象に実施して以降、平成26年度、平成28年度、平成29年度にも全職員を対象に研修を実施しまして、ハラスメントとは何かですとか、ハラスメントを防止するための心構えなどについて職員が認識すべき事項について、講義ですとか事例研究により研修を行ってまいりました。
 さらに、今年度から新任の所属長さんを対象とした研修においてハラスメントの事例を盛り込みまして、ハラスメントの防止及び排除に努めることは所属長の責務であるということの認識を徹底させているところでございます。
 今後も、さまざまな機会を捉え、継続して職員への研修に取り組み、職員によるハラスメント防止に努めてまいります。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 せんだって、国際労働機関・ILO総会というところで、職場でのセクハラを含むハラスメントをなくすための条約制定を目指す委員会報告というのが採択されました。そういった点で、日本は勧告が望ましいということにまだ消極的姿勢じゃないかというふうに私は感じていますので、そういった点で、国へもしっかりと働きかけをしていただきたいなというふうに思います。
 次に、地域医療構想についてお尋ねいたします。
 厚生労働省地域医療構想ガイドラインは、現行の一般病床を診療報酬の取得点数で区分し、医師や看護師を手厚く配置する病床、施設を報酬点数の高い高度急性期などに限定する一方、そこに至らない一般病床は2025年までに再編、淘汰していくよう都道府県に指示をしているものです。高齢者、障害者、難病患者が長期入院する療養病床については、全国でも病床数が少ない県に合わせて大幅削減し、患者さんを在宅に向けていくのがガイドラインが示す方針です。高齢化のピークとされる2025年の病床数を本来必要とされる152万床から119万床に33万床削減していくのが政府の計画です。
 このような中で、県民は、療養難民にならないか、不安の声が上がっています。県としても、約2800床、特例とされる重度心身障害児者の病床420床を除いても、2400床を削減するという計画があります。高齢先進県として高齢者に対して必要な医療が提供できるのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 2点目は、地域医療構想を進めることで病床数が削減され、看護職員の需要も低下するという考え方もあるが、看護の現場は依然として、専門性のある仕事だがもうやめたい、患者さんの高齢化・重症化で鳴りやまないナースコール、夜勤がつらい、依然として厳しい救急の現場、医療事故が不安でやめたいなどの悲鳴が聞こえてきます。いつになったら笑顔があふれる看護現場になるのかと思います。
 そこで、お尋ねいたします。
 これからも一層、看護職員の需要が高まると思いますが、看護職員の確保についてしっかりやっていただけるのか、お尋ねをいたします。福祉保健部長にお尋ねいたします。
○副議長(岸本 健君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) まず、高齢者に対する医療の提供についてお答えします。
 和歌山県地域医療構想では、2025年における療養病床を主とする慢性期病床の必要病床数を2164床と定めており、構想策定時と比較し、1413床の削減となっています。算定に際しては、医療の必要度が高く長期の療養が必要な入院患者に対し、その医療需要に見合った病床数を確保する一方で、療養病床の一部を本年4月に創設された介護保険施設である介護医療院へ機能転換していくことを見込んでいます。
 この介護医療院は、医療と介護のニーズをあわせ持ち、長期の療養が必要となる高齢者に対し、日常的な医学管理と介護に加え、住まいの機能を提供するものです。また、入院ではなく在宅医療を希望される方に対しては、わかやま在宅医療推進安心ネットワークを構築し、住みなれた地域で在宅医療を受けられる体制の充実を図っています。
 このような取り組みを進めることで、長期の療養が必要な高齢者に対し、医療、介護、住まい等の必要度に応じた適切な医療と介護を提供できる体制を整備してまいります。
 次に、看護職員の確保についてお答えします。
 看護職員の平成29年度の有効求人倍率は約2倍であり、医療機関等では看護職員を十分に確保できていない状況であると認識しております。さらに、今後は超高齢社会を迎え、訪問看護ステーションや介護保険施設などで働く看護職の需要も見込まれていると考えております。また、医師の働き方改革に関する検討会において、医師から看護職への業務移管も議論されるなど、看護職の裁量拡大のニーズも高まってきております。
 こうしたことから、病床機能の転換等による影響があったとしても、全体としては看護職の需要が大きく低下することはないと思われます。そのため、県では、医療や介護の現場で求められている看護職の確保を図るため、新たな看護大学の開設により養成数の確保を図るとともに、高度化する医療への対応やチーム医療の一翼を担うことができる専門性の高い看護職の育成支援と、在宅医療のかなめである訪問看護師の養成にも取り組んでいるところです。
 今後も、これからの時代に対応できる看護職員の確保に取り組んでまいります。
○副議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 御答弁ありがとうございました。
 地域医療構想ということで、大変県民の皆さんにとってはベッド削減ということを非常に心配しているところですので、ぜひそれぞれの保健医療圏で十分な医療需要、また実態に基づいた計画をよろしくお願いしたいと思います。
 これで質問を終わります。ありがとうございます。(拍手)
○副議長(岸本 健君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後4時40分散会

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