平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)

 

 

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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 16番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 本日4人目に登壇をさしていただきます。しばらくお時間を頂戴したいというふうに思います。御清聴をお願いいたします。
 まず、県立医科大学薬学部について伺います。
 平成21年の政権交代を機会に、自民党県連が政務調査活動の形式を団体聴取から支援団体の御意見を訪問して伺う活動に切りかえました。そのとき伺った内容は、党所属国会議員を通じて国へ要望し、また、知事初め県当局へ要望するとともに議員提案で政策条例も成立させるなど、積極的に活動しました。
 その一環で、県薬剤師会では、本県薬剤師の全国一高齢化や人材不足の状況を伺い、その場で大学ができないかという話で大いに盛り上がったことを記憶しております。その後の調査で、2003年からわずか10年間で薬学部定員が2倍に増加していることが判明し、気づくのが遅かったと思ったときもありましたが、幸い、岐阜薬大・勝野元学長を初め先生方のお導きもあり、知事の英断により薬学部ができることになりました。
 私たちは知事が判断できる環境整備に努めてきましたが、案の定、ど真ん中の直球に対し、センターオーバーのバックスクリーンへのホームランを打っていただきました。知事初め、推進に御尽力いただきました関係者にお礼を申し上げます。
 さて、県立医科大学薬学部は2021年春開学となっていますが、改めて、なぜ薬学部を開設するのか、また開学までの流れについて伺います。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県立医科大学に薬学部を開設することは、医学部、保健看護学部に加え、薬学部を有することで医療系の総合大学としての充実が図られ、大学教育や研究、本県の地域医療の発展に大きく貢献するものと考えております。
 また、大学進学時における県内進学先の選択肢をふやし、若者の都市部への流出を抑制したいということにもなると思います。さらに、卒業生の県内定着は当然より容易になるだろうから、地域医療を担う人材の育成が何よりも本県発展の大きな力になるものと考えております。
 加えて、和歌山市の中心市街地に薬学部を開設することは、学生や教職員と地域の人々の交流、地域でのさまざまな経済活動の営みも見込まれ、まちのにぎわいにもなるものと考えております。
 薬学部につきましては、思い出しますと、議員からも何度か提案をいただきました。私も、医学部と獣医学部のような、ああいうきつい縛りがかかってるというふうにちょっと思い込んでいた時期もあってなかなか難しいかなあと思っていたのですが、そうでないということがわかりました瞬間に、議員の提案にも従って急いでつくろうというふうにかじを切りかえたところでございます。
 薬学部の建設は、現在設計業務を進めているところでございまして、学部開設に向けた準備につきましては、県立医科大学において実際に運営を担う薬学部長予定者や主要教員が決定され、カリキュラムの編成や教員の確保等がもう既に進められているところでございます。
 今後は、2020年12月の校舎完成を目指して来年度に建設に着手するとともに、2020年3月に設置認可申請を行って、翌年、2021年4月の開学に向けて鋭意準備を進めていきたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ぜひ、仁坂知事のもとで開学、竣工式ができますことを期待いたしております。
 続いて、薬学部推進に当たり、岐阜薬大前学長の勝野眞吾先生には格別の御指導をいただきました。文科省で大学設置審や薬学教育関係の役職を歴任された先生の知見やアドバイスは、プライスレス、お金では買えない価値があるものでした。
 最大の功績は、薬学部入学定員は倍増しても国家試験合格者は増加してない事実、近畿の薬学部は国立京大・阪大と私学に偏在し、国立に入る学力があるか私学に行ける財力がないと薬剤師になれないといういびつな事情、しかも、京大や阪大の卒業生の多くが大学院を経て研究者に進むため、薬剤師養成は専ら私学に偏ってる状況を端的に指摘され、県立医大に薬学部ができることは、和歌山のみならず近畿でも大いに役立てるという核心的見通しを御教示いただきました。
 その勝野先生とは、残念ながら和歌山県は御縁を結ぶことができませんでしたが、しかし、先生の残してくださったアイデアはたくさんあり、その1つが薬学部の地方枠であります。今後、国公立で薬学部が新設されることは困難であることから、現在の本県と同じ事情の厳しい状況を配慮し、薬学部がない14県のために地域枠を設けるというものであります。
 恐らく県立医大薬学部では、和歌山県民枠以外は一般入試となれば、和歌山大学などのように大阪の子弟で独占されてしまうのではないでしょうか。多様な人材が集まる観点からも、地方の優秀な学生を和歌山に招く地方枠を設定することが有効であると考えますが、知事の御所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 地域医療の充実を図るためには、卒業後、県内に薬剤師が定着することが必要でありまして、そのためには、県内の高校から御指摘のように推薦制度で募集する地域枠を設置するということは必要なことではないかと思っております。
 和歌山県が県立医科大学に薬学部を設置する目的は、本県、和歌山県の地域医療の発展のためでありまして、他県の薬剤師を養成することについては他県みずからが考えてもらいたいというふうに私は思っております。
 議員のお考えは日本人として実に立派でありまして、和歌山県民の親切心をよくあらわしていて、人間として尊敬に値すると本当に思います。しかし、和歌山県政は和歌山県民のためのものであって、そこはやっぱり日本政府とは違うんじゃないか、そんなふうに私は思います。
 現実的には、仮に薬学部のない県から議員御提案のような要望があれば、その際には費用負担とかそういうことも含めて検討すればいいんじゃないか、そんなふうに考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 本来、県のほうでやっていただくのがいいのかもわかりませんが、それから、今知事が言われたように、和歌山で大学ができることを察知して、ないところがそういうアイデアを持ってきてくれたらいいのかもわかりませんが、このアイデアは、もともと薬学部推進に大変御尽力いただいた勝野先生のアイデアでもあります。
 今、和歌山とは関係なくなりましたけども、やはり長らく薬学教育、また日本の国の中でそういうことに携わってこられた方のアイデアでもありますので、和歌山県薬剤師会のほうで──これは各県に問い合わせたわけではありませんので確かな情報とは言えないかもわかりませんが──同じ他県の薬剤師会あたりに問い合わせをいたしますと、やはり費用を負担してでも──条件によりますけども──来たいと思ってる県も、奈良県を筆頭に全国で、高知県、佐賀県、鹿児島県、沖縄県のようにあります。
 お金はよう出さんけども来たいと思ってるとこもやはりあるわけでございまして、これから大学をつくる、実際にどんな中身をつくっていくかということを議論されると思いますので、ぜひ御検討いただきたいというふうに要望申し上げておきたいと思います。
 続けて、和歌山高専からの編入学について伺います。
 和歌山工業高等専門学校は、昭和39年以来約6500人が卒業し、県庁初め県内外で優秀な技術者として立派に活躍されています。しかし、最近は高学歴化の影響で、5年間の専門教育の後に多くの卒業生が大学3~4年に相当する専攻科に進学するほか、全国の国公立大学・大学院に編入学しています。その数は高校の進学校並みというふうに言われております。
 薬学部については全国的に国立高専から編入する例があり、和歌山高専からは、薬剤師養成課程ではありませんが、大阪大学や岡山大学の薬学研究科に進学するなど、学力、意欲とも薬学部編入のレベルに達しているのではないかと思います。
 また、平成27年2月には、文部科学省において薬学系人材養成の在り方に関する検討会が開催され、高等専門学校から6年制薬学部に編入させることは多様な学生を確保できる意義があると、前向きな報告がされました。
 和歌山高専の土井正光教授のお話では、生物応用化学科の入学試験に際し、「薬剤師になれますか」と質問する女子中学生が毎年いるそうです。むしろ、化学を勉強するうちに人の生命にかかわる薬学に興味を持つことは、まことに自然なことであります。
 和歌山高専からの編入学は、医療人の高齢化、人材不足が進む紀南地方の学生が薬剤師になれる、また新しいチャンスであるというふうに思います。ぜひ和歌山高専から県立医科大学薬学部に編入できる道は開けないものでしょうか。知事の御所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山工業高等専門学校というのは物すごく立派な高専でありまして、私も、一緒に見さしていただいたり、生徒さんと議論をさしていただいたりしましたけれども、本当にすばらしい学校をつくってくれてるなあというふうに思っております。学力も物すごく高くて、途中から大学生になってしまうという人が結構いるということもよく承知しております。
 その学校を特別に名指しをして編入をさせるという編入学制度については、外部から受験を広く認める一般編入とは異なって特定の学校からの編入ですから、指定校推薦編入という名前の編入制度になるんだそうです。これについては、入学する学生の学力の担保とか、カリキュラムの調整などの課題は当然果たさないかんということだそうでございます。
 しかしながら、そもそも大学の編入制度は、入学機会の拡大といった学生にとってのメリットに加えて、多様な人材を受け入れるということによって大学自体の活性化も期待され、多くの大学が編入学制度を実施してるということもよくわかっております。
 したがいまして、現在、県立医科大学薬学部開学に当たり、医療人としての専門知識や技能が要求される教育方針を考慮したカリキュラムの編成など準備が進められているところでございますので、今後、この指定校推薦、それからまた、それ以外の一般も含めて、編入制度の導入について、県立医科大学と一緒になって検討してまいりたいというふうに思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 2番目に、大学の設置促進について伺います。
 ただいまの県立医大薬学部と時を同じくして、和歌山市内には東京医療保健大学と和歌山信愛大学が開学することになりました。明治以来、高等教育機関が少なく、昭和62年以来30年連続、地元大学進学率ワーストワンの本県にとって夢のような出来事であり、受験生や保護者も大いに喜んでくれていると思います。
 そこで、まことに不名誉な地元大学進学率は3大学開学でどうなるのか。また、大学建設や、学生、教員等、数千人が和歌山市中心部に集まってくることになりますが、経済効果はどうか。大学の教員は研究者であり、現在、薬学分野でも発明は25%は大学で行われているという報告などがあり、大いに期待をいたしております。
 また、国では地方創生の一環として、地方大学の活性化や地元大学進学率を33%から36%に引き上げることを目標にしています。残念ながら和歌山はこんな率を達成するところまでは行かないと思いますけども、今、東京に集中した大学を地方に移転を促進するということも国で言われております。そういう意味で、私は大学設立・誘致のチャンスが来ているのではないかというふうに思っております。
 大学は、子供たちの教育、地元定着、保護者の負担軽減、新産業育成のための研究者招聘、人材供給、地域発展の起爆剤など、大いに効果がありますが、今後の取り組みを知事に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、地方創生の観点から、若者の県外流出を防ぐ1つの方法として、地方で若者が学ぶ場所と働く場所を確保していくということが大切であるというふうに思います。
 他方、県の課題として高齢化社会に向けた医療・福祉対策とか子育て環境や幼児教育の充実が求められておりまして、これらの分野で専門性の高い人材を育成して確保するということが大変重要であり、この3大学はそういうところにまことに役に立つので、大変評価をしてるし、努力したかいがあったなあというふうに思っております。
 3大学が開学いたしますと、入学定員は平常時270名増加いたします。県内高校生の進学先の選択肢は当然広がるわけですが、現在は県内高校からの県内大学への進学率は実は11.4%しかないわけでございまして、実際には全部県内からこの3大学に進学するわけではないと思いますので、今はもうただの計算なんですけども、先ほどの県内からこの3大学へ全員進学した場合は、実は地元大学進学率は6.2%上昇することになります。そういたしますと、あの不名誉な記録は一応なくなって、下のほうに数県できるということに実はなるわけでございますが、ちょっと仮定が現実には難しいので、現実にはそこまでは行かないと思います。最大値だと思ってくださいませ。
 加えて、このほかに、地域で必要となる資格の取得によって地元就職の機会を確保することにもつながり、若者の県内定着に結びつくものであります。
 それから、先ほど言いましたように、地域医療に必要な看護師、薬剤師、それから、仕事と育児の両立支援の充実などに必要な保育士などの確保に、実はこの3大学は大変効果があるというふうに思っております。経済効果も当然あると思います。
 大学の設置・誘致は、したがって一般的にはぜひ進めるべきことだというふうに思うわけであります。ただ、何度か申し上げておりますが、現在は大学の経営自体が少子化という敵によってなかなかピンチになっておって、事業採算性など難しい状況から、大学冬の時代というのが一般的な現状であります。ただ、その中でも卒業後の職が保障されているような大学はまだまだ見込みがあるということで、3大学がうまくいったわけであります。
 今後もそういうような状況にあるものを見出し、それで一般的には冬の時代であってもやろうというようなそういう大学があれば、ぜひチャンスを逃すことなく誘致に努めていきたい、そんなふうに思います。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 大学の、何というんでしょうか、どういう大学をつくっていくか。県立でやればまだできると思いますし、学生も集まると思いますが、だけど、まあ県立医科大学薬学部ができたので当面は難しいかなというふうに思いますが。和歌山でつくろうよという、そういう動きがないのも本当に寂しく思いますけども、ぜひいいアイデアを出していってつくりたいと思いますし、東京にいっぱいあるなら和歌山へ呼んでくるというのも1つの方法かもしれないと思います。
 知事がどこかで講演をされたのをネットで拝見をしました。それで、和歌山県が高度成長期後半に発展しなかった分析として、自動車だとか、それから家電がないのでよそに比べたら伸び悩んだという、そういう講演資料を拝見したことがありますけども、これから和歌山県の経済を引っ張っていってくれるような新しい産業、そういうものをこれから和歌山につくっていくとすれば、そういう人材を養成するような大学が和歌山にまだまだできるんじゃないかというふうに思います。
 それは、1つは情報工学。これから人工頭脳を初め情報工学関係の人材は70万人必要とされてるというふうなことも伺ってます。幸い、総務省の統計局が和歌山県に統計センターをつくっていただきましたので、そういう関連で伸ばしていけば可能ではないかと思いますし、和歌山県は海に面してますから、海洋開発も可能だと思うんです。
 メタンハイドレートは和歌山県沖には──和歌山県沖じゃありませんけど、日本の海の周りには200年分あるというふうに思います。メタンハイドレートが開発されたら紀南地方の海岸もアラブ湾岸のようになる可能性もなきにしもあらずだというふうに私は思っておりまして、そういう大きな視点でぜひ──これは私、思いますけども、今、大学が来てくれたのは、ある程度向こうから来てくれたみたいなところがあるので、こちらから呼びに行こうと思ったら、知事直轄の、それぐらいの何かチームをつくってやっていただく必要があるんではないかというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次、質問を続けます。がん対策についてであります。
 がんは、国民の2人に1人が罹患し、3人に1人が亡くなっています。私は、父をがんで亡くした経験から、まずはがんにならない生活を送ることが大切だと思います。しかし、高齢化や生活の変化でどうしてもがんになってしまいます。そのときは一刻も早く発見し、早くやっつけることです。万が一、発見がおくれた場合は観念して、緩和ケアを受けながら残りの人生を充実するよう努めたいと思います。
 しかし、最近はゲノム治療や新薬など、先端医療が次々と開発され、生きてさえいれば新薬などで助かることもあると聞いたので、石にかじりついてでも生き抜きたいと思います。
 さて、本県では、第3次がん対策推進計画案を策定し、目下パブリックコメントを実施中です。平成20年の計画策定以来、2次にわたり改定してきましたが、今回はどのような目標を立てているのでしょうか。福祉保健部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 本県は全国と比較してがんの罹患者や死亡者が多いことから、がん対策は重要であるとの認識のもと、平成30年度から6年を計画期間とする第3次和歌山県がん対策推進計画の策定を進めているところです。
 この計画では、がんの75歳未満年齢調整死亡率の低減、科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実、患者本位のがん医療の実現、尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築の4つの大目標を設定しています。県としましては、この計画に基づき総合的ながん対策を推進し、がん患者を含めた県民が生き生きと生活することができる地域社会の実現に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 2番目に、セカンドオピニオンについて伺います。
 がんと告知された患者は、一瞬で頭が真っ白になり、我に返るのに2週間もかかると言われています。人は自分だけは大丈夫と誰しも思っていますから、自分の死の可能性を宣告され、驚くのは当然のことかもしれません。
 そこで、がんの告知に際しては、セカンドオピニオンの制度があることや治療方針、緩和ケアについて、場合によっては家族も交えて丁寧に説明する必要があります。これらの説明いわゆるインフォームド・コンセントを行うことで、患者はがんと闘う強い気持ちを持つことができます。また、残された時間を有意義に使うことができるようになります。
 私たち議員で平成24年にがん対策推進条例を制定するに当たり、患者団体からインフォームド・コンセントについて強い要望があり、第8条に盛り込みました。
 そこで、インフォームド・コンセントのうち、最も一般的なセカンドオピニオンについて、現在どの程度行われているのでしょうか。実態について、福祉保健部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) がん治療におけるセカンドオピニオンについては、昨年、県が独自に通院しているがん患者やがん体験者に対する調査を行ったところ、約8割の方がセカンドオピニオンを利用しておりませんでした。また、県が県民を対象にした別の調査では、がん治療におけるセカンドオピニオンについて、約2割の方が知らない、わからないと回答しており、引き続きセカンドオピニオンを普及させる必要があると認識しております。
 セカンドオピニオンの普及には、がんと診断したときにその希望について医師から問いかけることが重要であることから、県内のがん診療連携拠点病院等でロールプレイングによるセカンドオピニオンの実践的な研修を行っており、平成20年度から昨年度までに延べ1130名の医師が受講しています。
 今後も、がん診療に従事する医師を対象に研修を進めるとともに、県民に対しても、県の広報媒体を活用してセカンドオピニオンについて周知啓発するなど、医師、県民双方への働きかけにより、がんと診断されたときにセカンドオピニオンを受けやすい環境づくりに取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 質問のすり合わせの関係でこれはセカンドオピニオンということになったんですけども、条例には、セカンドオピニオンだけじゃなくて、治療方針だとか緩和ケアのことについてもちゃんと説明するようにというふうになっております。私は患者団体から聞いたので、これはどんなになってるか、いつも気になってました。
 それで、先ほど部長から御報告がありましたように、県のほうでは昨年、がんに関する患者アンケートというのをとっていただきました。これはネットとか見てもほとんど見たこともないし、大変貴重な、和歌山県のがん患者の皆さんのお気持ちがあらわれてるすばらしいアンケートだというふうに思います。
 それを拝見しますと、先ほどありましたように、セカンドオピニオンは80%の人が受けたことがないと。セカンドオピニオンを受けたことがないぐらいですから、ほかも当然行われてない。ということを考えますと、がんであるということを告知することは、もう今、当たり前のことですけども、先ほど申し上げたように、がんやということだけ言われてもびっくりするだけで、どうやって闘うかとか、どうやって残りの人生を過ごすか、そういう気持ち、納得してやれるような、そういうことの取り組みがぜひとも必要だと思いますので、今度やったらもっといい結果が出るようにお願いをしておきたいというふうに思います。
 続けて、質問をさせていただきたいと思います。
 次は、先端医療の状況と県の考えについてであります。
 私は、がんの先端医療について、平成25年の2月、ホウ素捕捉療法、26年12月には粒子線治療、昨年2月には米国が国家戦略で取り組む精密医療について質問しました。精密医療は、患者の遺伝子情報を読み解き、人工頭脳で世界中の論文、情報から最適な治療方法や薬を検索するというものであります。
 その後も、スクラムジャパンなどのゲノム治療や米国立衛生研究所の小林久隆先生のがん光免疫療法、検査方法も尿を線虫で判定する方法など、日進月歩の進歩を続けています。
 先端医療の状況と県の考えについて、福祉保健部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) がんの治療は、保険適用の治療として行われている標準治療に加え、さまざまな新しい治療法が研究されています。中でも、遺伝子の解析を行うことで個人ごとの違いを考慮した、より効率的、効果的に診断と治療などが行える最先端の治療法の1つとして、がんゲノム医療が注目されております。
 国は、がんゲノム医療を推進するため、東京大学や京都大学の附属病院など、11カ所の病院をがんゲノム医療中核拠点病院として指定したところです。がんゲノム医療中核拠点病院は、がんゲノム医療を牽引する高度な機能を有する病院であり、がん患者の遺伝子の検査や分析結果をもとに、治療方法の決定、治療及び研究などを行う病院です。
 今後、国では、より身近なところでがんゲノム医療が受けられるよう、がんゲノム医療中核拠点病院と連携し、遺伝子検査の結果を踏まえた治療などを行うがんゲノム医療連携病院を指定する予定です。
 県としましては、がんゲノム医療を初め、日進月歩で研究が進むがん先端医療について、常にアンテナを高くして情報収集するとともに、県内のがん医療体制の充実に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、スクラムジャパンが発表されたときに和歌山でもやってるのかなと思って見ましたが、県立医科大学は入ってませんでした。和歌山県がその先端的な医療をやろうと思ったら、県がやるんじゃなくて、やっぱり県立医科大学に頑張ってもらわなくてはいけないわけです。県としては、医科大学に勝手にやっといてもらうんじゃなくて、先導してやろうと思ったら、それこそ先端医療についても、部長言われましたけども、大いにアンテナを高くしていただいて、さらにそれを医科大学にやってもらう、そういう取り組みをぜひお願いしたいと思うんです。
 和歌山県、がんで亡くなる人はほかの県よりも多いんです。だから、よほど取り組まないと率は下がらないというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 続けます。子宮頸がんワクチンについて伺います。
 子宮頸がんは、性交渉に伴うウイルス感染が原因で、唯一ワクチンで予防ができるがんとして世界中で予防接種が実施されています。
 私は、平成22年6月定例会で、近畿で初めて予防接種を始めた御坊市に対して県の支援を要請しましたが、仁坂知事は、国への支援要請と県でも対応を考えるとの御答弁をいただきました。おかげで、その後、定期接種になり、無料で中学1年生が3回受けられるようになりました。
 しかし、平成28年、副作用を訴える裁判が起こされ、現在、全国の125人が東京、大阪、名古屋、福岡の地裁で係争中です。その過程でメディアは、けいれんや痛みを訴える女子を積極的に取り上げ、「怖いワクチン」というイメージが広く浸透し、ほとんど接種する人がいなくなりました。国では、定期接種の中止はしませんでしたが、積極的な接種勧奨は差し控えることになりました。
 子宮頸がん予防ワクチンは、子宮頸がん全体の50%から70%の原因とされる2種類のウイルスに予防効果があり、WHOが推奨し、多くの先進国で公的接種になっています。
 昨年、ワクチンの安全性を検証する発信を続けてきた医師でジャーナリストの村中璃子さんが、公共の利益のために科学や科学的根拠を広めることに貢献した人に贈られるジョン・マドックス賞を受賞されました。
 我が国では、毎年約1万人が新たに子宮頸がんになり、約3000人が亡くなっています。しかし、ワクチンを積極的に接種勧奨しないことで、若い多くの女性の命が危険にさらされております。県においても、このまま傍観するのでしょうか。福祉保健部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 子宮頸がんワクチンは、平成22年度から国事業による市町村における任意接種として開始され、平成25年4月1日からは、予防接種法に基づく定期接種に位置づけられました。
 その後、接種との因果関係を否定できない広範な疼痛や運動障害等の症状が複数報告されたため、平成25年6月14日、国から、当該定期接種の接種対象者への市町村からの個別通知を差し控えるよう、地方自治法に基づく勧告がされたところです。現在、国の予防接種副反応検討部会において、ワクチン接種後に生じた症状と子宮頸がんワクチンとの因果関係について調査、審議されております。
 県としましては、ワクチン接種の安全性の確保が最も重要と考えており、国の検討部会の審議により安全性が確認されれば、接種勧奨を行ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どんどん進めていきたいと思います。
 次は、日高川についてであります。日高川の支流であります西川の改修について伺います。
 西川改修には、平成29年度補正予算で10億5000万円が計上されました。平成30年度当初予算約2億1000万円と合わせて12億6000万円となり、早期完成に向け河道掘削が一挙に進むことになりました。この際、知事の御英断や二階俊博・自民党幹事長初め、関係者の皆さんの御尽力に感謝を申し上げます。
 西川流域の河川整備計画は、総延長が10キロ余りあり予算も巨額になることから、完成はいつのことになるやら心配する声もあります。今回の予算で大いに勢いがついたと思います。どうかこのペースで事業を進めていただくよう強く要望しますが、今後の事業取り組みについて伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 西川の改修の今後の取り組みについての御質問でございます。
 西川の改修につきましては、平成28年3月に策定された日高川水系河川整備計画において、西川大橋から支川・志賀川合流点までの約4.8キロ区間の護岸整備や河道掘削などが位置づけられており、今年度から工事に着手しております。この改修により、西川本川については、近年最大である平成18年9月豪雨と同規模の出水を安全に流下させることができ、流域支川を含む浸水被害面積が約250ヘクタールから約50ヘクタールに軽減されることになると考えてございます。
 また、今年度の補正予算においても当初予算を大幅に上回る予算を確保し、大川橋から上流約0.3キロ区間の護岸工事や下流から大川橋付近までの河道掘削を行う予定としてございます。
 今後とも、さまざまな機会を通じて予算を確保し、早期改修に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、西川河口水門について伺いたいと思います。
 平成29年度から国土交通省が、日高港で地震・津波対策として約25億円の予算で防波堤を強化しています。同事業の早期完成をお願いすると同時に、御坊市及び美浜町の約1万人以上が居住する市街地を浸水から守るために、西川河口水門を整備していただきたいと思います。
 西川河口水門は3連動地震の地震・津波対策として有効であることが、流体工学が御専門の和歌山高専・小池信昭教授や学生たちの研究で発表されています。また、地元の美浜町や御坊商工会議所が設置する津波防災研究会が事業化を要望していますが、県土整備部長の所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 西川河口への水門設置についてでございます。
 和歌山県では、平成26年10月に策定した「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」に基づき、3連動地震の津波避難困難地域の解消と、経済被害を抑え、早期の復旧・復興につなげるための港湾及び漁港等の既存施設のかさ上げや防波堤の強化等の津波対策を進めているところです。
 御坊市及び美浜町には3連動地震による津波避難困難地域が存在しないため、日高港や西川河口部においては、同プログラムに基づき、背後地域の被害軽減や早期の復旧・復興につなげることを目的とした既設防波堤のかさ上げ及び拡幅や護岸のかさ上げ等による対策を講じることとしており、今年度から日高港の既設防波堤のかさ上げ及び拡幅が国直轄事業において着手されたところでございます。
 議員御指摘の西川河口部への水門設置は、津波の西川への遡上を防ぐ効果はございますが、一方で、水門で西川をせきとめることによる河川水の氾濫や津波の日高川本川への遡上、また、周辺地域への反射波による影響などが懸念されるところでございます。
 これらを解消するためには、水門閉鎖時に河川水を排水する大型のポンプ設備や反射波の影響を受ける日高川左岸の護岸かさ上げ等の対策が必要となるため、西川河口部の津波対策は、現時点では護岸のかさ上げ等が最適であると考えてございます。
 実施に当たりましては、再度、御坊市や美浜町との調整を図り、地元の意見も踏まえ、防災・減災上の利点等を総合的に勘案した津波対策を講じてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 水門のことについてでありますが、水門を閉じると上流から来た水があふれるんじゃないか、私もそういう心配を思いました。
 何年か前に、実は日高川に河口水門をつくったらどうかという、そういう議論がありました。これは要望するところまでももちろんいってないんですが、今、参議院に当選をされております、国交省の技監もされた足立先生にお話というか相談をさせていただいて、これは予算も要りますけど、日高川の河口を閉じたら上流からいっぱい水が来てあふれてしまいますよねというふうに言ったら、そんなことはないんだと。もちろんあふれはしますが、下流から来た津波の圧倒的な水の量に比べれば、そんなものは知れてるんだよという、そういうような御指摘がございました。
 それから、閉じたときの反射波ですけども、先ほど申し上げた和歌山高専の小池先生たちの発表によりますと、反射波は確かにあることは間違いないんですが、それがもう反射して、対岸だとか上流に物すごい波が行くというようなことでもなさそうでありますので、ぜひ、これから研究していただけそうなので、よろしくお願いしておきたいと思います。
 続いて、質問を続行いたします。
 次は、放置艇対策についてであります。
 平成18年度全国放置艇実態調査による県内公共水域のプレジャーボート約6500隻のうち約8割が放置されている状況を受け、津波来襲時の2次被害や船舶の航行、周辺環境への支障から、県では平成20年3月に和歌山県プレジャーボートの係留保管の適正化に関する条例を制定し、係留保管場所の確保等のハード対策と規制強化のソフト対策を進めてきました。
 ハード対策としては、平成21年10月に和歌山市の久保丁小型船舶係留施設が供用されたのを皮切りに、県全域において施設整備が進められ、日高川水域にある放置艇の対策が急がれる状況です。
 プレジャーボートを所有し、釣りを楽しむことは、本県のような海洋県ならではのすばらしい趣味で、京阪神からも釣りが目的で移住も進んでおります。また一方、いつ起きても不思議でない南海地震に備えても、係留施設の整備は待ったなしの状況にありますが、県土整備部長に日高川水域の放置艇対策について御所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 日高川水域における放置艇対策についてでございます。
 日高川河口部及びその周辺地域の放置艇対策につきましては、日高港内に係留施設を整備するなどの取り組みの結果、平成29年6月時点で放置艇は約140隻となりました。現在、残る放置艇の解消に向け、まずは所有者不明の放置艇撤去や近傍の既存係留施設への誘導などの取り組みを進めているところでございます。
 所有者不明の放置艇撤去につきましては、所有者調査や価値の有無を調査し、約30隻について撤去を進めています。また、近傍の既存係留施設への誘導については、所有者の意向を踏まえ、日高港内などへ約30隻が移動する予定でございます。
 これらの取り組みが順調に進めば、平成30年度中には、この地域の放置艇が約80隻まで減少する見込みとなっております。
 日高川の河口ではさらなる係留施設の整備が必要ですが、河口周辺は、県立自然公園の区域に指定されるとともに日本の重要湿地500に選定され、環境への配慮が求められます。また、外洋に面し波の影響を受けやすく、静穏な水面が限られる地形であることから適地が限定されていると考えてございます。
 整備の候補地選定に当たっては、コストや自然環境に与える影響なども考慮し、地元の御意見も伺いながら、さらに検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後に、県産オリジナル米の開発について伺います。
 昨年10月の台風21号により、県内各地では土砂崩れや水害が発生し、道路工事現場の崩落で死者が出るなど大きな被害がありました。
 御坊市の上富安地区では、富安川上流にある頭首工の護岸が崩壊しました。激甚災害の指定を受け農家負担が軽減されたので、何とか復旧できるとの報告がありました。
 この地区では、扇状地を流れる河川の各所に設けた頭首工から取水して稲作を行っています。実はこれらの頭首工は、扇状地の土石流の流速を下げる砂防堰堤の役割も果たしていますが、現在、農家の減少とともに水田が減少し、維持することが困難になっています。
 そもそも県内の稲作は2000年以上前の弥生時代に始まりましたが、河口近くの沖積平野や河川流域に水田をつくり、水路をめぐらせる治水を行うことで集落を形成し、また、富を蓄積することで紀の国として発展してきました。特に江戸時代は、土木技術が発達し、大規模な新田開発が行われ、御三家にふさわしい55万石の大藩になりました。
 ところが、先人が2000年かけて築いたこの仕組みが高度成長以降の数十年で崩壊しつつあります。農家の減少や米価の低迷に加え、市街地の拡大で水田が劇的に減少しています。その結果、日高地方の西川流域や和歌山市の和田川流域ではたびたび河川が氾濫し、内水があふれています。
 私は、両親が力を合わせて先進的な農業をする姿を見てきました。しかし、稲作に関しては採算を考えずにやっていたので、農家には、2000年間に刷り込まれた米をつくるという遺伝子が組み込まれているのだと思っています。残念ながら、その遺伝子は私に伝わることはなく、我が家の田畑は、一部を除き原野に戻りつつあります。我が家だけではなく、古代に出雲から移住してきたという私の地区では、現在、耕作放棄地が急増しています。
 昨年、地域では一等田と言われた我が家の耕作放棄地に農業委員会から管理について尋ねがありました。ぜひお願いしたかったのですが、先日、中間管理機構からは適地ではないとの返事でした。
 以上、私の経験を申し上げましたが、水田の公益的価値や稲作の現状はどうなってるのでしょうか。農林水産部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 水田は、米を生産する場としての役割だけではなく、洪水の防止機能を初め、水源の涵養や生物多様性の保全、農村景観の形成など、公益的な機能を持っているものと認識してございます。
 議員御指摘のとおり、本県の水稲作付面積は、米の消費量の減少や米価の低下などにより、高度経済成長期の最終年とされております昭和48年の1万6200ヘクタールから、平成27年では6900ヘクタールへと減少しております。
 このうち、販売を目的としている作付面積は3706ヘクタールであり、その農家数は7132戸となっております。販売農家1戸当たりの平均作付面積は約0.5ヘクタールと小さく、県内の担い手農家のほとんどは、果樹、野菜、花卉を経営の基幹としており、米は副次的な収入にとどまっているような状況でございます。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、稲作の継続のためには高く売れる米が必要だというふうに思います。高く売れる米は、農家の経営も助けます。それは何かというと、新しい米の品種を開発することが一番早いんではないかというふうに思います。おいしい御飯もそうですけども、和歌山らしいといえば、茶がゆに合う米とか、それからなれずしに合う米というのがあってもいいんじゃないかというふうに思っております。
 ことしは減反が廃止されて、これから産地間の競争になるというふうに言われております。それから、若い人たちは米を食べないということだとか、温暖化が進むので、全国的に米の新品種が開発されています。
 それから、新潟の「新之助」だとか、産地でもいっぱい出てきております。でも、産地だけではなくて、和歌山は生産量42位ですけども、40位の高知県でも14年かけた「よさ恋美人」というのをことし発表されました。高知県でもされてます。それから、香川県でも「おいでまい」というのを開発したそうです。長崎県は、38位ですけども、国がつくった新品種を「にこまる」という名前でブランド化したそうであります。
 私は、市場性だとか、それから話題性でということだけではなくて、観光立県とか農業先進県を、和歌山ではやはり新しい米をつくるということが必要ではないかと思うんです。和歌山へ来たら、コシヒカリよりもやっぱり和歌山にしかない米を食べたいというのは旅人の心情であり、耕作放棄地だらけの和歌山の立派な農産物ができても、本当にブランドとは言えないんじゃないかなというふうに思っております。
 最近は、近畿大学の生物理工学部でも米の品種改良をされてるというふうに聞いております。私は協力してできるんじゃないかと思いますけども、知事の御所見を伺いたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県では、数年前から農事──試験場の研究テーマですね、これについては、広く県民、特に農業者その他のニーズを踏まえ言ってもらう、それから我々当局のほうで言ってもよい、研究者のほうもやりたいことがあるだろうと、みんなそれぞれ希望を出して、それで専門家が一番ふさわしいと思うものを選んで、それでやっていこうというような制度をつくりました。米の和歌山県オリジナルの品種を県がつくるかどうかについては、このスキームの中で議論されるべきもんだというふうに思っております。
 そこまでで終わりにすると、きっとおまえの意見を言えということであろうかと思いますので、以下、必ずそうしなきゃいけないというわけじゃないんですが、私が今思ってることだけ申し上げます。
 米の品種開発については米の研究所が熱心に研究開発しておりまして、ここ10年間に89品種を開発しております。本県を含む西日本各府県の共通の課題である夏季の高温による品質低下について、これが今、国の重要な研究開発目標として取り組まれてるというふうに思っております。
 現在、米の育種に取り組んでいない本県が取り組むとすると、大体15年ぐらいかかるだろうというふうに県庁の専門家は言うておりまして、本県では、国の研究所等での取り組みによって育成された品種から本県の気候条件に適した品種を選定して普及に移したほうが、コストパフォーマンス的にも、実力的にもいいんじゃないかなあというふうに我が専門家は言うております。
 県では、国が育成した品種から、昨年2月には夏季の高温下でも品質のよい「にこまる」と「つや姫」、先ほど言っていただきましたが、その「にこまる」と「つや姫」を新たに導入したところでありまして、今後も優良品種の早期の導入に努めるとともに、その普及に力を入れていきたいと思っております。
 近畿大学生物理工学部がどのような米の品種改良に取り組んでいるか、実は明らかにされてないんですけれども、本県の特性に合った品種改良に取り組んでいらっしゃるというんであれば大変心強いことなので、国の開発品種と同様に、県としても、普及のための特性調査等、協力できるところについては一緒にやっていきたい、そんなふうに思っております。
 ブランド米の育成ということであれば、優良なオリジナル品種を開発する方法もあります。最近、北海道なんかがやってるようなやり方ですが、「魚沼産コシヒカリ」とか本県の「天野米」のように、地域の特性に応じた栽培方法やその地域が持つイメージをブランド化することで、米を比較的高価格で販売する方法もあると思います。
 県では、オリジナル品種にこだわらず、国等が開発した品種の中から本県に一番ふさわしいものを導入すればよいと考えておって、他地域と同じ品種でもつくり方などは工夫して、ブランド化に取り組んでまいりたいと思っております。
 以上、私の意見でありますが、このとおりするということは言っておりませんし、また、できるものではございません。こういう研究をやるべしという御意見があれば、ぜひスキームに乗せていただければいいと、そういうふうに思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 もっと議論したかったんですが、時間がありませんので、予算委員会で花田議員が米のことについて質問するそうであります。そちらの議論を見守りたいと思います。よろしくお願いします。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。

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