平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(谷口和樹議員の質疑及び一般質問)


平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(谷口和樹議員の質疑及び一般質問)

 

 

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  午後1時1分再開
○議長(尾﨑太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 皆さん、こんにちは。谷口和樹でございます。
 一般質問4日目となりました。お疲れのころだと思いますけれども、先輩方、そして当局の皆様方、少しの時間、おつき合いをよろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らしていただきたいと思います。
 1つ目、和歌山県内の過疎地対策について質問をさしていただきます。
 和歌山県は、2015年国勢調査の人口で、近畿で唯一、県内人口が100万人を割り込み、96万人になりました。平成30年2月1日の毎月推計人口では94万1436人でありました。1年前の平成29年2月1日の推計人口が95万1253人ですので、約1万人の減少になります。当然これは県全体ですので、年の減少率1.03%になりますが、例えば田辺市だと約1.4%、すさみ町だと約3%になります。
 このような人口減の背景ではありますが、県では、移住・定住大作戦ということで、暮らし、仕事、住まいの3点からさまざまな支援を行っており、本年度は県の熱意ある取り組みで、東京交通会館にあるふるさと回帰支援センターの移住希望地ランキングでは前年から大きく順位を上げ、13位にランクアップしています。
 平成27年策定の和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略において年間1000世帯の移住受け入れを目標としていますが、若年移住者暮らし奨励金がことしから廃止される中、トーンダウンのないように、これから気をつけて頑張っていただきたいところでございます。
 県が移住政策に成果を出す一方、その成果以上の速度で急激に過疎化が進む集落がふえています。一時期よく耳にされた用語に「限界集落」というのがあります。
 「限界集落」とは、社会学者・大野氏によって1991年に提唱された概念で、もともと大野氏の研究では林業の衰退と再建をテーマにしておられ、輸入木材によって国内林業は衰退し、山村の人口減と高齢化、人工林の荒廃、さらには集落そのものの消滅が進みつつある実態を調査していましたが、進めていくうちに過疎という言葉では実態とかけ離れている、このように感じたことから、より深刻な実態を指摘するために、あえて「限界集落」という用語を生み出すに至ったと言われています。65歳以上の高齢者が住民人口の過半数を占める状態を限界集落、さらに70%を超えた超限界集落から消滅集落へと向かうということです。
 私が10年余り前、議会で初めてこの問題について話したころは限界集落や消滅集落という言葉に過敏な反応もありましたが、10数年たって現実に運営できない集落や統合される集落も、過疎化、高齢化の進行で急速にふえてきています。生活道路の管理、冠婚葬祭など、共同体としての機能が急速に衰えてしまった高齢化の進む集落、特に明らかにコミュニティーの存続が危ぶまれる地域について、その形態を保てるように何らかの支援策というのが必要であると考えます。
 和歌山県における高齢化率70%以上の集落は、資料のとおりになります。繰り返しますが、人口減少が進行する和歌山県ですが、人口減少とともに集落機能の維持が困難となる過疎集落がふえています。和歌山県の移住政策の成果で、山間部への移住により集落の担い手確保や平均年齢の持ち直しも出ていますが、一方で、より以上のスピードで過疎化が進んでいます。
 今後の和歌山県の過疎地域、特に高齢化率70%以上の集落の過疎対策について、企画部長にお聞きをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 本県では、出生数の減少や若年層の転出等により人口減少や高齢化が進行しており、特に中山間地域においては、小売店の閉鎖や集落の担い手不足などにより、単独の集落ではコミュニティー機能の維持が難しくなっているところもあります。
 県では、昭和合併前の旧町村や小学校区などのふるさと生活圏単位で、住民が主体となって生活機能の維持や活性化を図る過疎集落支援総合対策事業を実施するとともに、移住施策にも積極的に取り組んできたところです。
 過疎集落支援総合対策事業は、これまでに19市町村36生活圏で実施されており、例えば田辺市三川生活圏では、農産物生産・販売対策として野菜などの集出荷サービスや販売システムの導入支援を行った結果、直売所の売上高が増加し、出荷する高齢者の生きがい対策にもなっております。また、若い世代が定住し、新たな地域の担い手となった結果、集落が元気になるとともに、高齢化の進行や人口減少の速度が緩やかになるなどの効果があらわれている地域もあります。
 本県にとって過疎対策は大変重要な課題でありますので、引き続き過疎集落の維持、活性化に取り組むとともに、高齢化率が著しく高いなど将来存続が困難になることが予想される集落に暮らす住民の安全・安心を確保するため、過疎集落のあり方について市町村や住民が考える機会となるセミナーを新たに開催し、積極的に持続可能な地域づくりに取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひ、今後ともよろしくお願いをいたします。
 2番目の質問に入ります。罹災証明の早期発行についてお聞きをいたします。
 災害被害から早期復興を実現する上で重要な役割を果たすのが罹災証明書です。各自治体・市区町村が住民の申請によって家屋の被害状況を調査し、その状況に応じて、全壊、大規模半壊、半壊、一部損壊等を認定・証明するものです。
 住民は、この証明書によって固定資産税や国民健康保険料の一時減免・猶予や被災者生活再建支援金や義援金の支給、仮設住宅や公営住宅への優先的な入居、災害復興住宅融資等の公的支援を受けることができます。 2011年9月、紀伊半島大水害において、我が県も罹災証明の発行にかなりの期間を有しましたが、近年の進んだIT化や技術開発によって、次のような例も報告されています。
 熊本県阿蘇郡西原村は、2016年4月に起こった熊本地震において、村内の約2300棟の住宅のうち6割以上が全半壊という大きな被害を受けました。被災された住民のためにできるだけ早く罹災証明書を発行する必要がありましたが、家屋の被害状況は建物単位で調査する必要があり、罹災証明書は世帯単位で発行する必要があることから、建物の情報は固定資産台帳、世帯情報は住民基本台帳や郵送物の宛て名台帳で管理されており、これらを人の手で突き合わせねばならず、そのため罹災証明書の申請受け付けから発行までにかなりの時間がかかってしまっていました。
 このような問題を解決するため、西原村は当初自分で新たなシステムを構築しようと考えていましたが、申請や調査で集まった膨大な情報をどのようにして使いやすい形で集中管理するか、大量データの突き合わせに時間がかかり、結局は迅速な罹災証明書の発行にはつながらないのではないかという点で行き詰まっていたところ、熊本県を拠点にするIT企業・システムフォレストと我が県白浜町にサテライトオフィスを出している世界的IT企業・セールスフォース・ドットコムが西原村役場を訪問し、「Salesforce」による災害関連業務支援システムを提案したということです。
 西原村は、その提案内容からその日のうちに導入を決め、翌日には罹災申請受け付け機能の構築に着手、クラウドで運用することからサーバーの調達によるロスもなく、わずか4日で、リハーサルを含め、運用を開始したということです。そして、地震発生から約半月後には、このシステムによる罹災証明書受け付けが開始されたということです。
 その後もシステムに必要な機能追加や変更を柔軟に次々に実装、世帯情報は住民基本台帳システム、固定資産の情報は固定資産管理システムや地図システム等からSalesforceに取り込み、これらをもとに業務フローが構築されています。
 また、各種申込書や発行した証明書はスキャンしてPDF化し、「box」上のファイルとして管理、現地調査で撮影された写真も「box」に格納されています。さらに、建物の位置情報等は「UPWARD」で管理、これらの情報が全て「Salesforce」上の世帯情報とひもづけされています。
 2016年9月には2次調査を含めた全世帯の調査をほぼ終えることができ、罹災証明の発行も完了、現在、西原村ではこのような効果を高く評価しており、通常業務でも「Salesforce」を活用しているということです。
 罹災証明の発行は復興の鍵であります。発行が進まなければ、もとの生活に戻る準備にさえもかかれません。逆に早ければ、住民がもとの生活に早く戻れ、復興日数、費用も圧縮されます。
 紀伊半島大水害の反省を生かし、最短時間で罹災証明の発行をいただくためにも、被災後の罹災証明にかかわる情報収集のIT化など、罹災証明の早期発行について県として市町村とともに推し進めていけないか、知事にお聞きをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 罹災証明書は、被災者生活再建支援金を初め各種被災者支援策の判断材料となり、被災者の生活再建の第一歩となることから、早期に発行することは重要であると考えており、そのためには、その前提となる住家被害の調査を迅速に行うことが必要であります。この証明書を早く出すということが大事だということを議員が指摘しておられることは、まことにごもっともだというふうに思っております。
 平成23年の紀伊半島大水害の際には、被災した市町が住家被害の調査が迅速にできたかというと全然できなかったわけでありまして、そのときに県のほうで建築士の方々とか、そういう方々なんかも動員をして、県職員や民間建築士に対する研修を実施し──というよりも、まあできる人は初めからできるんですけど、そういう方々を組織化して、大部隊で被災した市町に派遣したところであります。
 今お話がありました熊本県に関しても、地震の前に水害も起こっておりますから、そのときも熊本県知事に、これ大事ですよと言っていろいろアドバイスをして、大変感謝をされた記憶があります。
 これを教訓にして、初めからやっぱり住家被害認定士をきちんとつくっとかないかんということで、それを養成するとともに、災害発生時には県が調整をして住家被害認定士をあちこちから集めてきて、それで被災地に迅速に派遣する仕組みを構築しているところであります。
 具体的には、まだ十分ではないんですけれども、県職員や市町村職員、民間の建築士等を対象に住家被害認定士を平成30年2月末時点で1321人養成しておりまして、昨年10月の台風21号の際にも、新宮市に対して県及び12市町から延べ96人派遣したところであります。
 この取り組みにより、平成23年の紀伊半島大水害の際にはこれはまだ制度化されていなくて急遽やったんですけれども、ある自治体では調査件数が389件に対して調査日数が21日かかりましたが、今回の台風21号の際には、新宮市で645件もの調査件数を8日で終えることができ、罹災証明書の早期発行につなげたところであります。
 以上、一番大事なことは資格のある専門家に迅速な判断をしてもらうということであって、したがって、そういう人たちをいかに早く動員をするかということが大事であります。
 しかし、その資料、すなわち判断した資料を様式に仕上げて国等に提出せないかん、そこのところの整理もそんなに簡単なものではなくて、議員御指摘のように、ITを使って工夫する余地はたくさんあるだろうと思います。したがって、そういうようなノウハウを市町村に提供して、市町村が少しでも早く罹災証明書を発行できるようにしていきたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひよろしくお願いいたします。
 続きまして、3つ目の質問に入ります。
 南紀白浜空港利用活性化について質問さしていただきます。
 県が来年4月の導入を目指す南紀白浜空港の民営化案では、県は先月、1次審査を通過した2つの企業について、企業再生などを手がけるコンサル会社・経営共創基盤を中心とするグループと、白浜町にも系列ホテルを展開するHMIホテルグループを中心とするグループだったと発表しています。2企業体とも空港の運営経験はなく、1次審査ではともにコンセッション方式を選択し、10年間で最大31億円の補助も、さらに金額を抑えるということです。
 2016年は空港民営化元年であり、4月から関西・伊丹両空港、7月には宮城県の仙台空港が民営化されました。また、福岡県の福岡空港、香川の高松空港、北海道にある7空港の一括民営化が進められています。
 従来、国管理の空港は、着陸料などがほぼ一律に決められ、滑走路は国、空港ビルは地元自治体出資の第三セクター会社が所有してきました。しかし、民営化後は、民間会社がこれらを一体で運営し、着陸料も自由に決めることになります。滑走路と空港ビル、駐車場を一体運営することで重複したコストの削減は可能になると言われていますが、国管理の空港で損益分岐点となると言われる乗降客数は、年間250万人から260万人と言われています。地方空港の2014年の営業損益で黒字だったのは、新千歳、羽田、小松、広島、松山の5空港とお聞きしております。
 ちなみに、一番最初の関西、伊丹の両空港は、海上空港である関空の整備費がかさんで1兆円を超す借金を抱えていたことから、2012年に伊丹と経営統合し、今回、両空港を管理する国が100%出資している新関西国際空港株式会社から、オリックス、フランス空港運営大手のバンシ・エアポートのグループが、2015年末、運営権売却の正式契約を結んでおります。44年間両空港を運営し、年490億円、計2兆円余りを新関空会社に支払うことになっています。オリックスは、ホテルや関空内の商業サービスを見直し、バンシは、世界各国での空港運営のノウハウを生かし、新路線の開拓や格安航空会社の誘致を目指すということです。
 もう1つの仙台空港ですが、30年の空港運営権を手にしたのは、東急グループと豊田通商、前田建設工業などの企業グループ・仙台国際空港で、国に22億円を支払う上、店舗の増設、格安航空用搭乗施設などに総額340億円を投じる方針で、そのほか新たな旅行商品の開発なども含めて、東北全体に波及効果を広げることも計画しているということです。
 一方、南紀白浜空港は、1968年開港、96年に今の位置に移設、2000メートルの滑走路が1本、定期便は東京・羽田便が1日3往復しています。搭乗客数は、2008年度15万人をピークに、16年度は約12万人にとどまっています。滑走路とその周辺は県が、空港ターミナルビルは県や日本航空などが出資する第三セクターが運営しており、年間約3億数千万円の赤字を県が負担しています。
 今回の公募では、県は運営事業者に対し、1、国際チャーター便の誘致、2、国際線のターミナルビルの設計提案などを求める一方、運営事業者の支払いを無償にし、10年間31億円上限に費用負担をする条件です。また、事業手法も、コンセッション方式で運営権を無償譲渡する方法のほか、県営のまま運営を委託する指定管理や一部の業務を任せる業務委託などから事業者が選べるようにしていました。結果、2社ともコンセッション方式での提案となっています。
 コンセッション方式とは、国や自治体が公共施設などの所有権を持ったまま運営権を民間企業に売却するやり方で、国や自治体には売却益が入り、民間企業はサービス内容や施設利用料の設定などで幅広い裁量が認められ、独立採算となります。
 今後は、有識者による最終審査を経て、5月中旬に優先交渉権者が決められていきます。仁坂知事は「今より条件が悪くなるならやめるつもりだったが、今よりもよくなる。どちらかを選ぶ」と話したということですが、民間運営における県や県民のメリット、空港の将来的なビジョンについて、県土整備部長にお聞きをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港の民間運営におけるメリットや将来的なビジョンについての御質問でございます。
 昨年策定した和歌山県長期総合計画では、南紀白浜空港を世界につながる玄関口として、また交通ネットワークの拠点として位置づけ、民間事業者のノウハウを活用した空港運営や国際便の受け入れ体制の強化などに取り組む民営化を進めることで観光客やビジネス客の利用促進を図り、南紀白浜空港を活性化することとしてございます。
 この民営化は、これまでの航空ネットワーク拡充に向けた県の取り組みが単発のチャーター便の誘致にとどまり大きな成果が残せていない状況であること、また、国際線ターミナルビルがないことが国際チャーター便の受け入れ拡充のネックと航空会社から指摘されていること、加えて、南紀白浜空港の運営に係る経費が収入を年間約3億円上回っていることなどの課題に対応すべく検討を進めきたものでございます。
 県では、平成31年4月の民間運営の開始に向け、昨年11月より南紀白浜空港民間活力導入事業の公募手続を開始しており、チャーター便を含む航空ネットワークの拡充、国際線受け入れ機能を有したターミナルビルの配置計画、県財政の効率化の観点で提案をいただくことにしてございます。現在1次審査が終わり、今後行う2次審査を経て、これらの観点ですぐれた提案をした者と契約することとしてございます。
 この結果、県として交流人口の拡大による紀南地方の活性化や県財政の効率化といったメリットを享受できるものと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 初めてのケースですので御苦労されることも多いかと思いますけれども、紀南活性化の、空港は特に玄関口なんで、これからの起爆剤になると思いますので、ぜひとも頑張っていただいて、よろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、小項目の2つ目なんですけども、声を届けるという意味で御質問をお聞きいただけたらなと思います。
 航空運賃の引き下げについてお聞きをいたします。
 せんだって、仙台から関空までの空の便をとらなくてはいけなくなってピーチの仙台─関空便を見たところ、料金は3990円でした。距離は倍にもかかわらず、東京─白浜間は5倍近い値段でございます。せんだって、別の件でJRの運賃について当局にお聞きしたところ、おおむね全国共通の距離による加算ということでした。なぜ東京・羽田便は高いのか、そう考えるところでございます。
 先月、和歌山出身の東京の大手企業の会長さんにも、冗談まじりで「外国行くより高いよ」と言われました。恐らく、和歌山県民で言われた方も多いんじゃないかと思います。
 空港の委託も重要ですが、地元の関心事の大きな1つであります東京─白浜間の航空運賃のダウン、これが関心の大きな1つだと思います。東京行き片道だけでもLCC並みの料金にならないか、この可能性について県土整備部長にお聞きをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 航空運賃の引き下げについての御質問でございます。
 日本航空株式会社に対しては、これまで割引運賃の値下げなどさまざまな働きかけを行ってきた結果、特便割引3や特便割引7のさらなる値下げや年間を通した割引運賃の設定がされるなど、ある程度の利便性の向上が図られているというふうに認識してございます。
 航空機の運賃につきましては、航空会社がその路線収支等を見据えて設定することから、さらに低廉な運賃を設定していただくには、まずは需要の拡大を図ることが重要と考えてございます。今年度の搭乗者数につきましては好調に推移しており、本年1月末の搭乗者数は10万8518人、対前年比で8.8%増という状況ではございますものの、まだまだ需要の規模が大きいとは言えない状況だというふうに感じてございます。
 今後も、商工観光労働部と連携し、首都圏からの誘客や地元周知を徹底するとともに、日本航空株式会社に対しても運賃低減の働きかけを継続してまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひよろしくお願いします。
 それでは、最後の質問に入ります。
 社会福祉施設における介護人材の確保について御質問をさしていただきます。
 低コストの人件費で済む産業構造、高い離職率でも設備投資の助成を受けられる制度、この改革を念頭に質問をさしていただきます。
 高齢化社会を迎え、介護を必要とする人が増加しています。現在、介護に関していろいろな問題がありますが、解決が進まない問題として2点挙げられます。1つは特別養護老人ホームの待機者の問題、もう1つは介護職員の離職率の問題です。
 1つ目の待機者の問題は、2009年の厚生労働省の調査では、全国42万人の特別養護老人ホームの入所申込者があったということです。別の機関、医療経済研究機構の調査では、2010年、2011年、そのうちの1割から半分が待機者であるとの調査結果があります。現時点でも、この待機者の解消の問題は完全には解消しておりません。介護を必要とする人がふえている中、待機者解消をするために介護施設整備への補助金などによる促進策、これは今後も必要であると理解はしております。
 2つ目は、介護を必要とする人が増加する一方、介護サービスの担い手である介護職員の就職してから1年以内の離職率が高いままであるという問題であります。
 平成27年和歌山県調査、平成26年雇用動向調査及び平成26年度介護労働実態調査によると、県内の離職率は14.7%、産業全体全国平均が15.9%、介護職全国平均が16.5%ということになっています。この離職率とは、全体の職員数に対しての離職した人のパーセントということです。確かにええ離職率ではあると思います。数字だけ見ると和歌山県内の介護職は比較的よいかのように見えますが、この数字は1年の従事者の増減のみをあらわしております。
 定義は数々あるかと思いますが、前回、平成25年に質問した、その年就職した人の1年以内の離職率、採用後1年以内に離職した人数を採用した人数で割ったものをもとに質問をさしていただきます。
 介護職の就職された方が1年後に離職している割合は約30%前後でかなり高く、今までも高負担、低所得、低待遇が問題視され、国からの待遇改善の施策がなされてきましたが、この1年以内離職率はそれほど改善されず至っています。
 28年度の数字を当てはめてみますと、県内介護職従事者は常勤ベースで約2万1000人、先ほどの離職率16.8%で3528人、うち45%の1年以内離職者ですので1587人になり、採用者数4788人で割りますと、就職した方が1年後に職を離れる1年以内離職率というのは約33%になります。
 今後、2010年と2025年間で介護サービスに主に従事する15歳から64歳人口が13.3%減少する一方で、介護サービス受給率が高い75歳以上の人口というのは53.4%増加すると言われています。そのため、2025年にかけて介護人材の確保が今以上に困難化すると予想されます。このままでは、今後の人口減の中、介護人材の確保が懸念されるとともに、過疎地域での高齢者福祉に大きな影響が出ると予測されます。
 和歌山県では、1、就職セミナー、2、介護職員処遇改善加算の取得促進、3、再就職準備金貸し付け、4、介護福祉士等修学資金貸し付け、5、介護所内の保育所の整備、6、中高齢地域住民の参入促進、7、高校生介護職への就職増加の取り組みに取り組んでおられますが、この1年以内離職率の高い施設への高校生の介護職場への誘導といいますか、紹介といいますか、これは1年以内に離職すると離職後の再就職においても大きな不利益となることから、進めるなら、まずこの1年以内離職率の改善、これに努められるべきかと考えます。
 ただ、詳細な取り組みは別といたしまして、和歌山県内の介護従事者において1年内離職率、これが高い現状についてどのように考えておられるか、知事にお聞きいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 介護職員の1年以内の離職率は、平成27年度調査では、本県においては介護職員の全体の離職のうち44.8%、全国でも40.2%と、いずれも高水準の状況にあります。
 介護職員の1年以内の離職率が高いことについては、平成27年度に実施した本県の独自調査によりますと、事業所の全従業員数に占める非正規職員の割合が約4割を超えていることと、非正規職員の離職率が正規職員に比べ10ポイント以上高い状況にあることが主な原因であり、全国的にも同様な傾向となっております。
 より条件のよいところへ移るための離職ということもあるかもしれませんが、それならば社会全体としては悪いことはないんですけれども、介護職員が不当な扱いを受けてやめちゃうとか、あるいはこんなはずじゃなかったのにといって裏切られたと思ってやめてしまうというようなことであれば、それはちょっと問題があるというふうに思います。
 就職前において介護の仕事が正しく理解されておらず離職に至っているということも考えられるために、本県では、事業所と連携して出前講座とか職場体験等の対策を講じ、よくわかってもらうと、その上で就職を決めてもらうというふうにするとともに、保護者とか学校の進路指導担当者に対して、介護職についての正しい知識が得られるように啓発を強化していきたいと思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 数字が並びますので、なかなかちょっと頭にすっと入らないかと思いますが、お聞きになられてる皆さんにちょっと例え話をさしてもらいますと、例えば皆さんも会社の社長になったとして、知事も県庁に置きかえて考えていただくとわかりやすいのかと思うんですが、毎年毎年、新入社員が100人入社して30人も毎年毎年やめていかれたら、人は育たないし、技術は高まらないし、もう仕事にならないなと、これでは仕事にならんのじゃないかなということも思います。
 そういうことも申し上げつつ、次の質問に移ります。
 福祉施設の施設整備に係る交付要綱の中に離職率の基準を設けることができないかについてお聞きをいたします。
 高齢化社会と待機入居者のいる社会情勢から、施設増設・新設の促進策は必要であるので妨げる思いはございませんが、公金支出に対する住民合意を考えますと、せめて受給法人には、1年以内離職率などの労働環境基準で県内事業所の平均は軽く下回っていただきたいものであります。介護従事者の大半は納税者であり、その原資から出される多額の施設整備補助が1年以内離職率が高い法人に支払われるというのは余り適切ではないと、このように思っています。
 介護職員の労働環境の改善と今後の和歌山県の介護人材確保、または公金投入の正当性から、福祉施設の施設整備に係る補助要綱に、例えば離職率が全国平均を超えた事業所を対象外とするなどの基準を設けることができないか、知事にお聞きをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 老人福祉施設の整備に対する補助金は、施設への入所を望む高齢者の安心を確保するために「わかやま長寿プラン」で定めた施設整備計画の推進を図るための補助制度であります。すなわち、たくさんの需要があるだろうから供給もふやさないかんということでございます。
 そもそも、介護職の離職率が高い主な原因は、非正規職員に依存した就業形態とか仕事内容の割に給与水準が低いといった介護事業所特有の全国的な課題によるものでありまして、離職率を下げるためには、処遇改善加算の取得促進や職員のキャリアアップを支援する対策を講ずるべきであると考えます。
 一方で、離職に関しては条件がいいから他の事業所に移るという場合もあって、そういうときは、その移った従業員は少し条件がよくなっていいんだけども、移られてしまった事業所はえらい困ることになるわけであります。そのときに待遇改善でもして、非正規雇用を正規雇用に変えて待遇改善をしてそれで引きとめるということが望ましいわけでありますけれども、そうできない経営体もあって、これはまた余計大変になるわけであります。
 本県では、こういう事業者全てについて、定期的な実地指導とか必要に応じて行う監査を通じて、事業所がちゃんと法令を遵守しているか、不当なことをやってないか、そういうことは確認をしているところであります。 違法な、あるいは不当なことをしている事業所については、議員おっしゃるような不利益処分をしないといけないと思いますが、さきに述べたようなケースで事業者を罰してしまったら余計経営が苦しくなって、それで事業所が困るけれども、入居者ももっと困ることになってしまうということになるわけであります。
 したがって、老人福祉施設整備補助金の申請者が法令等に違反する行為を行っている悪質な事業者でない限り、結果としての離職率を理由に補助金の交付を認めないということはやめたほうがいいんじゃないかというふうに思います。
○議長(尾﨑太郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。
 法令等に反する行為を行っている悪質な事業者でない限り、離職率を理由に補助金の交付を認めないということは適当ではないという御答弁をいただきましたけども、そう言いつつも、職員が3割、4割やめようが、コンプライアンスが守られておればオーケーというわけではないというのは同じ考え方であるかと思います。
 設備投資に多額の公金が入りますから、せめて就職された方の1年内離職率が県内の平均ぐらいは軽く下回ってよという考えから、コンプライアンス云々ではなくて、私は、条件、要綱の1つにあって当然と考えます。 いずれ社会はそういう方向に進むであろうと確信を抱きつつも、一般質問をこれにて終わらしていただきたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。

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