平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(全文)

 

 

◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 

 

平成30年2月
和歌山県議会定例会会議録
第6号
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議事日程 第6号
 平成30年3月7日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号、議案第39号から議案第66号まで、議案第69号、議案第71号から議案第75号まで及び議案第77号から議案第94号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号、議案第39号から議案第66号まで、議案第69号、議案第71号から議案第75号まで及び議案第77号から議案第94号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
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出席議員(41人)
 1番 中西峰雄
 2番 秋月史成
 3番 立谷誠一
 4番 泉 正徳
 5番 前芝雅嗣
 6番 花田健吉
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 川畑哲哉
 10番 玉木久登
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 尾﨑太郎
 14番 藤山将材
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 服部 一
 20番 山本茂博
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 堀 龍雄
 24番 中 拓哉
 25番 岸本 健
 26番 森 礼子
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 40番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      藤川 崇
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     山田成紀
 福祉保健部長     山本等士
 商工観光労働部長   山西毅治
 農林水産部長     原 康雄
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      野田孝雄
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   溝端莊悟
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       田村公一
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     武田 稔
 議事課議事班長    岩谷隆哉
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中平 博
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  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号、議案第39号から議案第66号まで、議案第69号、議案第71号から議案第75号まで及び議案第77号から議案第94号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 26番森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 おはようございます。きょうは、私の質問の中に防潮堤の質問があるんですけれども、防潮堤の質問に対して地元の方が傍聴に来てくれているので、いつも以上に緊張しておりますが、大きな声でゆっくりと質問したいと思います。
 では、通告に従い、議長のお許しをいただいたので質問させていただきます。
 初めに、政府機関の移転について質問いたします。
 政府関係機関の地方移転により、いよいよ本年4月に、県が誘致した総務省統計局及び独立行政法人統計センターの一部門が統計データ利活用センターとして南海和歌山市駅ビルに開設されます。まさに、ビッグデータの活用が自治体や企業の命運を左右すると言われる時代にふさわしい花形部門が本県に移転してくるわけです。このたびの誘致に際しては、和歌山県議会も平成28年6月に意見書を提出するなど一体となって取り組んできた経緯があり、和歌山県議会の一員として非常にうれしく思っております。
 さて、全国の道府県から多くの提案があった今回の取り組みですが、中央省庁の移転が実現したのは本県のほか京都府、徳島県の3府県のみであり、ほかの省庁や全国の自治体から非常に注目されているとも思います。センターの開設を来月に控え、改めて知事の考えをお聞かせください。
 2点目に、本県のデータ利活用推進センターも同じビル、同じフロアに開設され、統計局、統計センターの実務をサポートするとともに、県独自のデータ利活用に関する取り組みを推進するとお聞きしています。
 これら国と県の2つのセンターの設置は、データ利活用に関する人的交流の活性化、それに伴う「知」の集積や研修活動の活発化などにつながるものと大いに期待しているところですが、開設初年度となる来年度、和歌山県データ利活用推進センターではどのような体制で具体的にどのような事業を実施するのか、企画部長の答弁をお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの森礼子さんの質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 待望いたしておりました国の統計データ利活用センターが、県議会の後押しもありまして、いよいよ4月に開設されることになります。
 近年、ビッグデータ、IoT、AI、こういったものの時代に入りまして、データの価値、重要性がますます高まっている中で、同センターが実施する統計ミクロデータの提供を初めとするデータ利活用に関する取り組みは、今後大きく伸びていく分野として非常に注目されており、産学官に対する大きな波及効果を初め、本県の活性化や県政のレベルアップにつながるものと大いに期待をしております。
 県としては、同センターと連携し、併設する和歌山県データ利活用推進センターにおいてさまざまな分析を行い、県政の課題解決や県内産業の振興につなげていくことにより、日本のデータ利活用拠点となることを目指していく所存であります。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 和歌山県データ利活用推進センターの事業内容についてでありますが、昨今、ネット上で生成、流通、蓄積されるデジタルデータいわゆるビッグデータを分析し、企業判断や行政施策に生かすデータサイエンスの時代に入り、この分野で専門的スキルを持つ人材の層の厚さが今後の自治体や国の経済力を左右する社会へとなりつつあります。
 そこで、和歌山県データ利活用推進センターでは、経済学、社会学、統計学に精通した教授を顧問に招き、その見識からさまざまな助言や指導をいただくこととしております。また、統計ミクロデータを初め、さまざまなデータを融合させた高度な分析が行える研究者を採用し、一般職員とともに客観的証拠に基づく政策決定や県内企業の競争力強化に役立つ研究、分析が行える体制を整えたいと考えております。
 具体的な事業といたしましては、このセンターを拠点として、データを利用した企業支援や企業向けデータ利活用セミナーの実施を行い、また、データ利活用コンペティションやシンポジウムの開催など、和歌山県データ利活用推進プランに基づくさまざまな施策を展開してまいります。
 さらに、これまで企業や各種機関が分散して保有していたデータを収集、分析し、新たな知見を見出すことにより、企業支援や行政課題の解決につながる取り組みを進めてまいります。
 まず、来年度からは、先般、包括連携協定を締結した大手IT企業のNECと協力して、AIを用いたビッグデータの解析を全国に先駆けて着手いたします。また、健康・医療に関するデータを収集、分析し、関係部局と連携して施策への反映に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 では、たくさんの方々に利用していただけるようになるよう期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 2点目に続きます。
 次に、医薬品の多重・多剤服用対策について質問します。
 少子高齢化が急速に進み、我が国の医療費は42兆3644億円に増加し、国家予算と比べてみても4割相当以上になり、医療費削減は喫緊の課題となっています。ちなみに、本県の1人当たりの医療費は37万4000円と全国で21位となっています。
 医療費の削減についてはいろいろな対策が講じられています。まず第1に、病気にならない、がんにならないように生活を送ることです。食事や運動、定期的に健康診断を受けるなど、生活習慣を改善していくことが大事だと思います。
 次に、お薬とうまくつき合っていくことが薬剤費削減に大きな効果があると思います。その1つとして、本県も推進しているジェネリック医薬品の利用促進やかかりつけ薬剤師制度の取り組みが挙げられています。
 全国47都道府県で調剤薬局を展開する日本調剤株式会社では、かかりつけ薬剤師に取り組んだ結果、9カ月の間に薬局全体で8440万円の薬剤費削減の効果があらわれたそうです。効果の要因は、患者の服薬状況や残薬(飲み残しの薬)の確認・指導により残薬調整効果が高まり、いわゆる重複投薬を減らせたことであり、同時に患者の薬物治療の促進にもなったそうです。
 厚生労働省は、高齢者が多種類の医薬品を服用するポリファーマシーを是正するため、処方の適正化に向けた指針の作成に取り組んでいます。また、残薬や重複投薬、不適切な多剤投薬などを減らすための取り組みなど、医薬品の適正使用を推進しています。そして、その手段としてお薬手帳の活用を促進しています。
 お薬手帳は、重複チェックのほか、相互作用チェック、アレルギーチェック、過去の病歴把握ができます。災害時においては、お薬手帳が患者情報の大きな役割を果たします。
 しかし、お薬手帳の利用状況は、忘れたり、何枚もの手帳を持っていたり、全世代的に利用率が悪く、うまく目的を果たせていないようです。スマートフォンを利用した電子お薬手帳も登場しましたが、いまだ普及いたしておりません。患者一人一人がいろんな意味で高い意識を持っていただくことがお薬手帳の促進につながると思います。
 また、あちこちの医療機関で受診する多重頻回などは、海外では番号制度とリンクさせて警報を出すシステムがあると聞いています。
 幸い、本県には、きのくに医療連携システム青洲リンクがあります。紀伊半島大水害のときに紙のカルテが流され、患者の情報が失われたことを教訓に開発されたシステムと聞いています。この青洲リンクに病院、医療診療所、歯科診療所、薬局、患者が登録できるシステムで、登録機関は患者の情報を共有できるすばらしいシステムであります。しかし、残念ながら登録件数は、病院は12、診療所28、歯科診療所1、薬局105施設と少ないのが現状です。
 私は、この青洲リンクにお薬手帳の機能をドッキングさせた新しい県民医療情報システムを立ち上げられないかと考えています。県民の医療情報が集まれば、その実態をつぶさに把握しつつ、ビッグデータとして医療費抑制など医療政策に反映し、また、個別データは適正医療の検証に活用することができます。その時期は、県が国民健康保険を運営することになった今こそがチャンスであると思います。
 さて、本県の多重・多剤の現状は、2つ以上の医療機関からの重複投薬は徳島県と並んで全国ワースト1です。3つ以上の医療機関から重複投薬だと断トツで全国ワースト1です。7錠以上の多剤服用においても全国平均を大きく上回っています。
 そこで質問です。当県の多重投薬、多剤服用の現状をどのように捉え、今後どのように対策をとるのか、福祉保健部長に伺います。
 また次に、青洲リンクについて県ではどのような評価をしているのか。あわせて、今後青洲リンクを利用することで多重・多剤服用の削減、薬剤費削減につなげられないか、福祉保健部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 医薬品の重複投薬の現状につきましては、国の分析データによると、3つ以上の医療機関から同一成分の医薬品が重複して処方されている者の割合は全国で最も高くなっており、不適正な実態があることから、医療費適正化の課題があると認識しております。
 また、多剤服用につきましても、全国で中位ではありますが、高齢者に処方される医薬品が6剤以上となると副作用を起こす人がふえるとの研究報告があることから、特に高齢者の副作用についても課題であると認識しております。
 これらの課題解決のためには、患者が選定したかかりつけ薬局において、医薬品の重複や副作用の有無の確認など、患者の服薬状況について一元的、継続的に把握することが重要であります。
 しかしながら、昨年実施した保健医療に関する県民意識調査によると、かかりつけ薬局を持っている県民の割合は4割と低いことから、まず、どこの薬局で調剤しても患者の服薬状況について一元的、継続的に把握できるよう、お薬手帳の活用を促進することが肝要であると考えております。
 県といたしましては、多重・多剤服用による副作用等の危険性について県民に対し積極的に啓発するとともに、お薬手帳の活用とかかりつけ薬局の普及を図り、医薬品の適正使用を促進してまいります。
 次に、青洲リンクについてですが、災害時の診療情報の保全を目的としたシステムであり、平時においては、登録患者の同意が必要であるものの、医療機関が診療情報をインターネットで共有できる有用なシステムであります。しかしながら、参加医療機関の運営面での費用負担や患者による参加医療機関ごとの個別同意といった課題があります。
 青洲リンクを多重・多剤服用対策に活用するには、患者が使用する全ての病院、診療所、薬局の青洲リンクへの参加と患者の同意が必要とされるため、困難であると考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 お薬手帳の役割がうまく果たされることをずっと前から自分なりに勉強をしてきたんですけれども、青洲リンクがあるということを知って何かうまくリンクさせていけないかなというふうに思ったので、これからもともに勉強させてください。どうぞよろしくお願いします。
 このまま次の質問に入ります。
 次は、和歌山市大浦地区の交通安全対策について質問いたします。
 ことしの1月30日午後4時ごろ、岡山県の県道で小学生の集団下校の列に軽トラックが飛び込み、5人の児童が救急搬送され、うち女児1人が亡くなり、ほかの4人も重軽傷を負いました。
 また、昨年10月には、集団登校中の小学生の列に車が乗り入れる事故が立て続けに起こりました。福岡県大川市では、集団登校していた小学生が乗用車にはねられ、児童3人が軽傷を負いました。大阪府枚方市では、児童5人と50代の女性教員が重軽傷を負いました。
 枚方市の事故現場は小学校脇の路上で、1列になって道路の路側帯を歩いていた児童らの後ろから乗用車がぶつかっていき、次々と子供たちがはねられました。この道路には、歩道と車道を分けるガードレールや縁石ブロックは設けられていませんでした。
 地域住民の方々によるスクールガードや見守り隊等の配置等、ソフト面の対応も重要なことだと考えますが、特に通学路となっている道路においては、歩道と車道を区切るガードレールを設置するなど、ハード面での対策を講じることが子供たちを交通事故から守るために何より必要であると考えます。
 県の平成30年度の新政策でも、歩行者の安全な通行を確保するため、利用状況や周辺環境に応じた整備手法を用いて、通学路など生活道路の歩道整備を加速化すると掲げられています。
 今回、私が質問させていただくのは、和歌山市大浦地区の交通安全対策についてです。
 大浦地区は、一方を国の名勝「養翠園」を望む大浦湾に、残り三方を高津子山から雑賀崎に続く山に囲まれた地域で、海沿いには防潮堤が築かれており、防潮堤の海側には県によりプレジャーボートの係留保管施設が設けられています。
 大浦地区の交通の動脈は大浦街道の関戸の交差点から雑賀崎に向かう県道で、大型車や路線バスも通行する比較的交通量の多い道路ですが、防潮堤に沿った箇所だけがセンターラインのない狭い道幅となっています。もちろん、一部区間を除き、歩道も整備されていません。この狭い県道を通って小学校に通う子供たちの日ごろの登下校の安全のためにも歩道を設けてほしいというのが、地域住民の皆さんの願いであります。
 高波や津波から住民の生命と財産を守る防潮堤は、老朽化により亀裂が入るなど耐震基準を満たしていないことから、平成28年に開催された知事の行政報告会において、地元の住民の方々から修繕を求める陳情書が提出されました。県では、耐震結果を踏まえ、今後防潮堤の改修を実施していく予定と聞いています。
 防潮堤の改修に当たっては、現在の防潮堤を沖側に新たな防潮堤を設け、その広くなった分を県道改修により歩道にする予定と聞いていますが、その歩道の幅はわずか70センチです。また、防潮堤の海側はプレジャーボートなど係留場所となっていることから、船の所有者が道路に車を長い間停車させ、燃料の補給や荷物の積みおろしをするため、県道を行き来する交通の妨げとなり、危険がさらに増加する原因となっています。地元の意見として、県の係留施設を利用するのに県道に駐車違反をされては困ると聞いています。
 防潮堤の改修は、地域住民の安全・安心を実現するための大切な事業であり、住民の皆さんも期待しておられると思いますが、工事の方法を工夫することによって、この部分だけ狭くなっている県道に子供たちが安心して通学できる安全な歩道を設けることはできないものでしょうか。
 防潮堤の改修と道路改修は、県の港湾部局と道路部局にまたがる事業となるため、お互いの調整が必要ですが、今対策を講じなければ、せっかくの機会を逃してしまうことともなりかねません。係留施設を利用するための駐車スペースと歩道を確保するスペースを沖出しし、総合的な整備はできないものでしょうか。新政策において「周辺環境に応じた整備手法」と掲げられているように、海に面したこの地域の歩道整備において最適な方法を見つけてほしいと思います。
 大浦地区の県道における交通安全対策について、知事に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県では、昨年度の新政策といたしまして歩道整備5箇年計画を策定し、20年間で、それまでこれ全部やろうとしたら50年かかるんですけども、20年間で500キロメートルの歩道整備を目標にして取り組んでいるところであります。
 対象としては、今まで全県的に全部計画つくってなかったんですけども、通学路とか駅と商店街とか、一定の基準で対象区域をもう初めから選びまして、これが500キロあるわけですので、これを早くやろうということにしました。
 早くやるためには、フル規格の歩道をつくりますと、周りの人たちに立ち退いてもらわなきゃいけないとか、かえって生活が破壊されるとか、いろんなことが起こります。だから、現地に合ったような形で、フル規格がいいところもあるし、それからポールを立てて、狭いけれどもちゃんと安全に歩けるようにするというところも含めて20年間でやろうと、こういうことでやってまいりました。
 議員御質問の当該区間は、その計画策定時、今もそうですが、通学路として指定されていなかったわけです。通学路としてはもっと中側を通れということが当局の御指示であったわけですね。市役所ですかね。それで、これは考えておりませんでした。
 もっとも、そのいい悪いは別にいたしまして、議員御指摘の観点からもう1回よく調べてみると、実際にその県道を通っている子供もいるということはわかっております。
 そうした中で、その歩道とは別に、地元自治会から防潮堤の老朽化対策と、それから歩道整備の要望を受けまして、その老朽化に伴う修繕をあわせた道路拡幅の調整を重ねてまいりました。現在、埋め立てを必要としない範囲で防潮堤を海側に移設し、道路幅員を広げるということで地元の方々のおおむねの了解を得たと認識しておりまして、早くやったほうがいいもんですから、年度内にも工事発注の手続を始めるようにしたいというふうに、それが可能になってるんで早くやりたい、こんなふうに思ってる状態でございます。
 ここにでっかい歩道をつくるとちょっと大変でございまして、何軒かの家に立ち退いてもらわないといけないということになりますので、また相談をし直しとか、時間もおくれます。したがって、いろいろ考えますと、老朽化対策が必要な防潮堤の工事に伴い、内側にある程度の空間を確保することが可能であります。
 したがって、先ほど言いました歩道も一般的にいろんな形があるわけですから、この空間を利用いたしまして、歩道と車道をポールの設置により分離すれば歩道スペースも確保できて、また、早くやっぱりできるということになるので、そうしたらいいんじゃないかなあというふうに思っております。議員御指摘の点に対して検討をした結果、こんなふうなことで、いろんな方がよくなるんじゃないかということになりました。
 以上でございます。
○議長(尾﨑太郎君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 それでは、今後の予定としたら、和歌山市さんが計画している市場に道の駅ができるという計画予定になってるんですけれども、その道の駅ができたらこの県道を通る車が多くなるというふうな予想も立てられておりますし、防潮堤に沖出しする部分の予定は70センチというふうに今なってるんですが、知事のお考えでは70センチの歩道を設けることで十分だというふうに考えているということでよろしいんでしょうか。
 また重ねて、今後道の駅ができることで今以上に車がたくさん通る予定になっているというときに、早く防潮堤を直していただいて、その後にまたさらに、やっぱりこの道は交通量も多いし危ないなとなったときに、でき上がったさらぴんの防潮堤を崩して道幅を広げるなんていうことはあり得ないんじゃないかなと思うので、今このチャンスを、今のこの予定でそのままいくというふうな理解でよろしいですか。再質問、お願いします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 結論を言うと、理解でよろしいです。解説をいたしますと、まず、そこは2車線、ちゃんとできてますから、交通量が多少多くなっても、ちゃんと歩道と、つまり歩くところと、それから車道の間隔が分離されておればそんなに危なくはないと思います。
 それから、そんなに物すごい勢いで交通がふえるかなあというと、そんなにふえないという前提で考えています。仮にふえたときはどうなるかというと、そのときは立ち退きをしていただくということになります。内側にお家がありますけども、そのお家を今度は立ち退いていただいて、道をむちゃくちゃ拡幅するとか、そういうことをせざるを得ません。
 そういうことが予想されるかというと、まあ多分予想されないんですけれども、そういうのが法律の定めです。内側に細工できる場合は、公有水面埋立法で外側に海を埋め立てるというのは認められておりません。したがって、何が起こるかというと、立ち退きをしていただいて、うんと大きな道をつくるということになります。
 しかし、そんなことをするのが皆さんの幸せかというと、誰もそんなことは多分お考えにならないと思うんですね。本当にもうどうしようもないぐらい、4車線ぐらいの道が要るんだということになれば、また立ち退きをしていただくとかいろんなことを考えて道をつくりかえるということになろうかと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 知事のおっしゃる意味は半分ぐらい理解いたしましたけれども、この道路においてはその防潮堤の海側に係留施設があって、その係留施設は4クラブが利用していて、そのうちの1クラブは駐車場を設けていただいてるんですけれども、残りの3つは駐車場がないという条件で係留施設を利用しているわけで、県道に──防潮堤に階段があって、その階段のところに車をとめて燃料を入れたり荷物の積みおろしをやったりしてるんですけれども、地元としたら、県の施設やのに駐車違反しながらしか使えへんというのも何か納得できない。
 しかも、その前にポリスボックスがあるのに警察官も何も言わないという状況で、全体的に係留所を利用する方のためにもちゃんとした施設をつくりながら、それで大きな道が欲しいと言ってるわけではなくて歩道が欲しいと言ってるので、いま一度考えていただけるように強く要望いたしますので、今後協議をまたする時間をいただけますようによろしくお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 答弁を求めますか。(「いえ」と呼ぶ者あり)じゃ、続けてどうぞ。(「答弁してもらえ」、「では、知事、答弁お願いします」と呼ぶ者あり)
 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 歩道を設けると言っておるわけです。設けないとは一切言ってないですよね。
 計画を立てた500キロの中も、同じような形の歩道を設けるところもあるし、それからでっかい歩道を設けるところもあります。
 でっかい歩道を設けるところは、例えば両側が商店街になっていて、そこのところで人がたまってにぎわいがあったほうがいいなあというようなところなんかは、それはでっかい歩道を設けたほうがいいと思います。そのときは無理にでも立ち退いてもらうというようなことがあるんですけれども、残り、そうでないところは安全に通れればいいわけですから、したがって、ほぼ今回と同じぐらいの歩道をいっぱいつくろうというふうに思っておるわけです。
 ここも歩道をつくると言うとるわけですよ。つくらないと一切言っておりませんので、御理解いただきたい。半分じゃなくて全部理解してください。
○議長(尾﨑太郎君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 全部理解できるように、また協議をしていきたいと思います。
 では、次の質問に入ります。
 4点目は、バリアフリー化についてです。
 私は先日、肢体障害者協会の役員とともに、日ごろ車椅子を利用する会員から寄せられる町なかの危険、不便な箇所の調査を、県の担当職員さんとともに同行していただき実施してきました。
 具体的に不便な箇所は、県民文化会館の車椅子専用駐車スペースの勾配が急で危険なこと、ビッグホエール車椅子専用観覧席が手すりでアリーナが見えないこと、また、ビッグホエールの障害者用駐車場には屋根がないことでした。
 県文の駐車スペースは一部平らなところへ移動してくれることとなり、関係者は大変喜んでおります。本当にありがとうございます。
 ビッグホエールの車椅子専用観覧席の手すりの高さは、建築基準法では特に定めがないということですが、利用者の目線に配慮し、観戦しやすく修繕できないものかと要望しておきます。
 また、ビッグホエールの障害者駐車場には屋根がないので、車椅子の乗降時にはずぶぬれになってしまいます。しかも、駐車場からホールまでも遠く、利用者泣かせの設計です。せめて、乗降時にぬれないように車椅子使用者駐車場区域の上だけでも屋根を設置していただけないものでしょうか。今後の対策について教育長の御所見をお伺いいたします。
 また、道路の危険では、県庁前、和歌山市駅前の歩道と車道の段差に補助輪がひっかかり、車椅子がとまってしまい大変危険です。道路の危険は命にかかわることなので、早急に対策が必要だと感じました。
 我が国は、欧米やアジアの中でも急速に高齢化が進み、2035年には3人に1人が高齢者となる超高齢社会を迎えると言われています。今後、ユニバーサルデザインが不可欠となる高齢者や障害者の数がますますふえることが予想されています。
 このような状況を踏まえ、国土交通省道路局では、高齢者や障害者はもちろん、歩行者の誰もが安全に安心してスムーズに移動できるユニバーサルデザインによる歩行空間の整備を推進しているそうです。駅、商店街、病院、福祉施設などを連絡する道路において、幅の広い道路の設置や既設道路の段差、傾斜、勾配の改善により、ユニバーサルデザインの歩行空間がネットワークとして連続的に確保されることが求められています。
 具体的に、段差、傾斜、横断勾配の状況を改善して車椅子使用者などが移動しやすいようにしたり、交差点などに視覚障害者用の誘導ブロックを設置して視覚障害者への危険警告や方向の指示を行ったり、高齢者や障害者が低床バスに乗降しやすいようにバスに乗りやすい歩道の高さを確保するという取り組みが例示されています。
 平成30年度新政策では、「世界とつながる愛着ある元気な和歌山~県民みんなが楽しく暮らすために~」という理念のもと、5つの柱の中に、3番の「いのちを守る」、4番の「くらしやすさを高める」という項目が掲げられていますが、具体的な取り組みがなければ絵に描いた餅となってしまいます。
 県民みんなが安全に安心して社会参加し、楽しく暮らすために、和歌山県において歩行空間のバリアフリー化をどのように進めていくのか、県土整備部長の答弁をお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 車椅子使用者用駐車区画への屋根の設置につきましては、和歌山県福祉のまちづくり条例には義務づけはなく、配慮事項となっております。
 しかしながら、車椅子を使用している方にとって、雨天時にぬれずに自動車から乗降することは困難であると認識しております。
 屋根の設置につきましては、他の公共施設の整備状況にも十分留意しつつ、設置基準や設置場所について関係機関とともに検討してまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 続きまして、道路の歩行空間のバリアフリー化についてでございます。
 県では、歩行者の安全な通行を確保するため、駅や学校、公共施設周辺で歩行者の動線に基づく歩道整備5箇年計画を策定し、平成29年度から歩道整備の加速化に取り組んでいるところでございます。
 車道と分離した歩道を設置する際には、高齢者や障害者が安全に通行できる構造とするため、福祉のまちづくり条例のほか、平成25年に制定した県道に係る移動等円滑化に関する条例により、歩道の勾配や段差等の基準を定め、歩道の高さを低くしたセミフラット方式を基本とすることや、横断歩道等に接続する車道との段差は2センチメートルを標準とするなど、バリアフリー化に取り組んでございます。
 一方、条例制定以前に設置された歩道では、バリアフリー化が十分でない箇所もあると考えておりまして、これまで歩道を利用する障害者団体等の皆様と合同で既設歩道の点検や段差、勾配などの問題点の抽出を行い、その改善に努めてきたところでございます。
 現在も各団体とのお話し合いを続けさせていただいておりまして、引き続き御意見をお伺いしながら必要な対策を実施してまいりたいと考えているところでございます。
 今後も、バリアフリー化を含め、道路を利用される全ての方々が安全に安心して通行できるような歩道整備に引き続き努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 ビッグホエールの車椅子専用の駐車場のところに屋根が欲しいという意見は、私たちも雨の日は嫌だなってみんな思うと思うんですけれども、車椅子を使ってる方は誰か一緒に来てる方ばかりではなくて、自分1人で運転していって、自分で車椅子を車からおろしたり乗せたりする方もいらっしゃって、その車椅子、実際私、見たことがないので説明うまくできませんけども、おなかの上にバスタオルを巻いて、それで車椅子をおなかの上に乗せておろしてっていうような作業をするそうです。そのときにやっぱりずぶぬれになるので、そのずぶぬれになったまま次の行動に移るということで大変切望されておりますので、関係機関とうまく検討していただけるということなので、今後しっかりと協議していただいて対応できるように求めていただきたいと思います。
 バリアフリー化については、先日も職員さんと一緒に県庁前とか見てもらったときに、どんどん危ない箇所は言っていただけたら早急に対応しますということで、県庁前のところも対応していただけるということを聞いておりますので、大変喜んでいらっしゃいましたので、今後とも連携してよろしくお願いいたします。
 では、このまま次の質問に移ります。
 では、最後の質問です。学習スペースの拡充について質問します。
 和歌山県立図書館は、土日祝日ともなると開館前から行列ができています。その列の目的は、自習スペースを確保するためだそうです。現在、図書館のホームページにも自習スペースをふやしてほしいとの意見が寄せられていますが、これまでも2度にわたりスペースを拡張してきました。
 一方で、JR和歌山駅周辺の飲食店では、学生が飲食スペースを占領し勉強しています。1人で勉強しているというより数人で勉強している姿がよく見かけられます。
 私の個人的な考えですが、飲食店で勉強することはよくないと思います。気になり、インターネットで「飲食店で勉強」と検索してみました。結果、勉強していいとか悪いとかの賛否両論が述べられています。しかし、これらの意見は飲食店側の意見ではありませんでした。
 飲食店側の事例としては、有名コーヒーショップ、ここの店舗が勉強している学生を追い出したということで一時とても有名になったとエピソードが紹介されていました。
 私は、和歌山駅周辺の学生が勉強している飲食店に本音を聞いてみました。回答は、全店で「困っているので、禁止の張り紙をしている」とか「迷惑している」、また、学生だけでなく、資格を取るために勉強する社会人の利用も多いとのことです。学生も資格を取りたい人も勉強する場所を必要としていることがわかりました。
 例えば、福岡市では子供たちの学力向上のお手伝いを目的に、平成29年6月より自習室を開設しました。利用できる方は小・中・高校生、大学生、専門学校生の方で、学生の利用の少ない時間帯は資格試験、検定試験などの学習を行う社会人の方も利用できるとし、学力向上のための取り組みがなされています。また、民間では月決めや時間決めで有料自習スペースが多く開設されています。和歌山市でも、有料で自習スペースを開設しているところがありました。
 私は、この半年間、出張のたびに付近にある公立図書館を視察してまいりました。共通してどこも自習スペースは充実しており、図書館は老若男女が集うくつろぎ施設でもあります。
 本県は、薬学部、信愛大学の開学、本年4月には看護大学が開校し、多くの学生が本県で学び、資格を取り、夢に向かってまいります。学生を迎えるに当たり、また学生、社会人が勉強する自習室を求めている状況を踏まえ、自習室をふやす、開設はできないものでしょうか、教育長の答弁を求めます。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県立図書館は、本来、読書や調べ学習を行う施設ではありますが、利用者の要望がございまして、平成16年に旧喫茶室を改修し、自習室32席を設置いたしました。平成20年には、エントランスに自習席20席を追加設置いたしました。さらに平成28年には、レイアウトを工夫し8席を増設し、現在、計60席の自習席を設置しております。防災上の観点からも、これ以上の増設は難しい状況にございます。
 市町村立図書館につきましては、新しくできた図書館では館内に自習可能な座席を設置するところも多くなってきており、活用されております。
 なお、県立近代美術館等他の教育施設につきましては、展示室以外の空間も含めて、入館された方が国内外のすぐれた文化芸術に接し、鑑賞や交流するために利用することから、学生等の自習スペースを設けることは困難と考えております。
 今後とも、県立図書館を初め社会教育施設の機能や役割については検討してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 状況はよくわかりました。教育スペースにだけ設けるという観点では、今は難しいんだなということがわかったので、幅広い目線で、学習するスペースを求めているという現状を踏まえて考えていただけたらなと要望いたします。
 御清聴ありがとうございました。これで、一般質問を終わります。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、森礼子さんの質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)
○岩田弘彦君 皆さん、おはようございます。ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問に早速入らせていただきます。
 今回、まず大きな大項目第1点目は、紀の川流域の治水対策についてであります。
 (1)紀の川流域における浸水対策検討会の取り組みについてであります。
 昨年10月の台風21号では、近年類を見ない大雨に遭ったことから紀の川本川の水位が長時間にわたり高い状況が継続し、内水の排除が困難となり、紀の川沿川地域において800棟を超える家屋浸水が発生しました。また、近年、激甚化傾向にある台風や集中豪雨により浸水被害が多発していることから、県議会並びに県当局は国に対して、内水を含む浸水被害の軽減対策が緊急的に講じられるよう強く要望をいたしました。
 その後、国土交通省は、国、県、関係市町で構成する紀の川流域における浸水対策検討会を新たに組織し、本年1月、初会合を開催したとお聞きしております。国土交通省が動き始めたことにつきましては、大いに歓迎するものであります。
 そこで、紀の川流域における浸水対策検討会の取り組みと今後について並びに県としての取り組みについて、県土整備部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの岩田弘彦君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 紀の川流域における浸水対策検討会についての御質問でございます。
 昨年10月の台風21号に伴う豪雨により紀の川沿川の各所で浸水被害が発生したことを受け、内水被害の軽減に向けて、国に対する関係国会議員からの働きかけを初め、県議会からも意見書の提出や、県、関係市町による積極的な要望活動がなされたところでございます。
 これらの動きを踏まえ、国土交通省においては、紀の川沿川の各地域における浸水被害に関する情報共有や今後の浸水対策について、効果的かつ効率的な整備につなげることを目的として、国、県、関係市町を構成機関とする紀の川流域における浸水対策検討会を本年1月に設置したところでございます。
 今後については、当該検討会において各市町単位でワーキングを実施し、国、県、関係市町の連携のもと、浸水被害の軽減に資する具体的な対応策について検討を進める予定と聞いてございます。
 県としましても、紀の川本川の計画的な河川整備の加速化を初め、流下断面の確保や支川排水の円滑化に資する河道内樹木の伐採、円滑な流下を阻害する堆積土砂の撤去について、今後とも強く国に働きかけるとともに、当該検討会の結果を踏まえ、必要に応じてさらなる支援を国に働きかけてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 各市町の首長さんも集まっていただいて、現場の声も反映した形で会議のほうを進められたと聞いておりますので、これはすごくいいことなんですが、私が思うのは、県の役割といえば、やっぱり国と市町の間に県がいてますので、両方きちんとうまくいくようにやっていただけたら一番ありがたいかなと思っております。
 一番気にしてるのは、やっぱりさすがに国交省から部長さん来てもうとる、よかったな和歌山県はとなっていただけたら私としては一番いいんで、その辺は部長の力の発揮するとこやと思いますので、大いに御期待申し上げますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次に行きます。
 大項目2番、企業立地の推進について、(1)仁坂知事就任以降の企業立地戦略の成果と今後についてであります。
 仁坂知事は、就任以来、重要な施策の1つとして企業立地に取り組んでおります。和歌山県に「しごとを創る」という強い信念のもと、全国最高水準の奨励金制度を創設するとともに、融資制度の充実、交通アクセスの改善、企業ニーズに合った用地確保と人材確保、総合窓口によるスピーディーな対応など、精力的な取り組みを展開しております。
 私の地元橋本市では、県の施策とともに企業立地専門部署を設けまして、県のお力添えもいただきながら精力的に取り組んでおります。しかし、当初は、橋本市はもともと住宅開発を主にやっておりましたので住宅開発用地はたくさんあるんですが、企業誘致に使える用地が少なくて困っておりました。
 そんな折、就任間もない仁坂知事の御英断で、UR(都市再生機構)の完全に塩漬けになっておりました住宅開発用地を企業立地用地に造成するために投資をしていただいたおかげで、用地が確保されました。用地が確保されてからは、特に県の企業立地課の精力的な取り組みと市企業誘致室の取り組みの相乗効果で用地は完売状態であり、新たな大規模用地の開発を待ちかねていると、そのように聞いております。
 私は、仁坂知事の企業立地戦略はかなりの成果があらわれていると実感しており、感謝しております。和歌山県にとって大きな節目の時期が近づいておりますので、改めまして就任以降の企業立地戦略の成果と今後について知事にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県に新たな産業を創出することによる産業構造の多様化を図るとともに雇用の拡大を図るため、みずから先頭に立って企業誘致を推進してまいりました。この結果、知事就任以来の11年3カ月で181社の企業立地が実現し、県が企業誘致に取り組み始めた昭和57年度から平成18年12月までの24年8カ月に比べ、約2倍に増加しております。
 ただ、偉そうに言うつもりもございませんで、実は正直なところを言いますと、自分としては敗北の歴史であったというのが正直であります。大きな案件になると自分も乗り出していって勝負をしに行って、他県はそんなことしてないと思いますけど、大分頑張りましたが、そのときに負けてしまったのが結構あります。その大体の理由は、「あなたのところは高速道路もなくて不便ですから諦めてください」と言われてぽんと蹴られたというのがたくさんございまして、悔しい思いをしてきたこの10数年間であったということでございます。ただ、にもかかわらず、先も見越して立地してくださった企業がこれだけいたということは、本当に感謝をすべきことだと思っております。
 本県では、これから特にそうでございますが、近畿自動車道紀勢線を初め、京阪神や中京圏との交通アクセスが飛躍的に向上する京奈和自動車道、府県間道路などの整備を行ってまいりました。これに合わせて、先を見越して内陸型の大規模用地の開発として、紀の川市北勢田工業団地とかUR都市機構との全国初となる共同開発事業である御指摘の紀北橋本エコヒルズを整備するなど、関係市町村や団体等とともに協力して企業誘致を行ってまいりました。
 その結果、工業団地は、紀北エコヒルズ、紀の川市北勢田工業団地、御坊工業団地がほぼ完売状態になっております。和歌山市内の用地も大体売れてしまっておるという感じであります。市内というか港の近くのほうですね。特に紀北橋本エコヒルズにおいては、これまでに30社の企業立地が進んでおり、今後もベアリングで世界トップクラスのシェアを持つ精密機器メーカーが進出する予定であります。
 このような進出で用地が実はなくなってまいりましたので、現在、紀北橋本エコヒルズに近接するあやの台北部地域において、地主でありますところの南海電気鉄道株式会社、それから橋本市、県の3者で、新たな大規模工業用地の開発に現在着手しているところでございます。
 また、紀南地域では、先ほど申し上げました御坊に加えまして、南紀白浜空港による東京とのアクセスのよさに加え、都会にない美しい景観や高品質なネットワーク環境など、地域のポテンシャルを生かした誘致活動を行っておりまして、世界的なIT企業でありますセールスフォース・ドットコムが白浜に進出したことを契機にメディアで取り上げられ、注目が集まり、ITビジネスオフィスの誘致がかなり進んでおります。
 現在、白浜町ITビジネスオフィスが、今あるやつが満室になりましたので、第2白浜町ITビジネスオフィスを今年度中に整備予定であるわけでありますし、来年度には田辺市において、これは民間活力を利用したITビジネスオフィスを新たに整備する予定となっております。
 県といたしましては、引き続き企業誘致の受け皿となる工業団地や施設の整備を行うとともに、交通インフラをさらに充実させて、格段に向上した立地条件とか、あるいは効率的でスピーディーな行政による手続の早期クリアとか、全国最高水準の奨励金制度などをアピールして、さらに企業誘致に全力を挙げてまいりたいと思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 知事、ありがとうございました。
 私がちょうど、塩漬け土地のときに御英断いただいたときに、市会議員でしたんですわ。そのときに私、一番最初の、市会議員に初めて当選させてもうたときに、第1回目の質問がJTの、いうたら専売公社、橋本工場が撤退するという質問をさしてもらったんです。思いがありましてね。最高550人の雇用やったんです。その当時、橋本市って5万5000人ぐらい──今合併しましたけど、その前ですので、5万5000人の550人の雇用をなくして、周辺に何百人と人口のあるところに集約するというお話でしたんで、周辺に何百人も住んでおられるところにはほかの企業の就職もあるわけですよ、550人ぐらいの。何で都会の工場を閉鎖して田舎の工場を残すという決断を特殊法人でありながらやってくれないのかということで、一番心配したのは550人の雇用なくなったら住んでくれる人おれへんの違うかなと、これがどえらい心配やったんです。
 住宅開発も順調にやってましたが、人口減少に向かうと住宅開発は必要性がなくなってくるわけですから、それで橋本市も大きくなったんですが、早く転換せんなんというときに、どないしようと悩んでるときに、知事が就任したときにその大きな決断をしていただいて、そのときに橋本市担当していたのも山西部長ですね。それと稲本局長、このお2人が現場を担当していただいて、やっぱり英断があってというか決断があって、戦略があって、その方向性にスタッフが情熱を持って動くとこのような結果が出たということやと私は思います。これははっきり県民に言いたい、私は。それを評価していただきたい。
 まだあるのが、今後あやの台の北部用地を開発していただくということですので、実は私、自民党の会派の代表の山田先輩が当初に質問していただいて、知事がいってくださるということをお聞きしたんでほっとしてるんです。やっぱり仁坂知事率いる体制が続いていただくことが、あやの台の今度の開発にも、僕はうまくいくと思うんです。だから、すごく御期待しておりますので、よろしくお願いします。
 それでは、次、(2)に移らしていただきます。企業誘致を活用した県外からの転入定住の推進についてであります。
 移住・定住の促進でいいますと、本県では、人口減少に対応し、和歌山県への新しい人の流れを創造するための施策の1つとして、移住・定住大作戦を展開しています。大作戦では、若年の受け入れを進めていくことが重要であると考え、全国トップクラスの若年移住者暮らし奨励金制度などにより、暮らし、仕事、住まいの視点から多様な取り組みを行っております。移住者が年々増加傾向にあると聞いております。
 一方、企業誘致の大きな目的は、当然新たな地元雇用の拡大であり、大きな成果を上げていると私は思います。しかし、誘致企業は、新たな地元雇用者だけでは稼働していません。県内立地に伴う県外からの転入雇用者も増加しており、県外からの通勤者も増加しております。橋本市の事例でいいますと、現時点で──土地がなくなってるんで1年前と同じ数字やと思うんですが──誘致企業の雇用総数は800名、内訳でいいますと地元雇用者は440名、配置転換等による市外からの転入雇用者は40名、市外からの通勤者は320名と聞いております。
 さらに、先ほど知事からお話がありましたが、大きな雇用規模の企業進出ももうすぐ予定されていると思いますので、今後も増加していきます。地元雇用の促進はもちろんのこと、それは一番大切なことでありますが、さらに、県外からの転入雇用者や県外からの通勤者の移住・定住大作戦はどうでしょうか。誘致企業さんにとりましても、通勤手当の軽減にもつながるんではないでしょうか。
 また、うれしい悲鳴ですが、企業誘致を支える地元雇用人材の確保もやっぱり徐々に厳しくなっているようですので、このことも考えて、企業誘致を活用した県外からの転入雇用者や県外からの通勤者の移住・定住を促進するような、そういう戦略を考えてはどうでしょうか。商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 企業誘致につきましては、産業構造の多様化や雇用の確保に加え、県内企業との連携による地域経済への波及効果が期待されるため、全国最高水準の奨励金制度を設けるとともに、トップセールスを含め年間1000社を超える企業訪問を行うなど、強力に推進しております。
 仁坂知事が就任以来、181社の企業立地が実現し、本県における新たな地元雇用者が2436人、県外からの転入雇用者が138人見込まれ、人口の社会減の抑制につなげています。
 企業誘致のインセンティブとなる奨励金制度につきましては、企業ニーズに合わせ常に見直しを行っており、紀南地域で進んでいるITオフィスの誘致をさらに推進するため、IT企業につきましては、平成28年度より新規地元雇用者に加え、県外からの転入雇用者も奨励金の対象としているところです。
 議員御指摘のとおり、県外からの転入者をさらに増加させ定住につなげることは非常に重要であるため、今後はIT企業に加え、工場などの進出による転入雇用者につきましても新たに奨励金の対象とし、企業誘致による転入定住を推進してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 新たに促進するようにしていただけるという答弁で、本当にありがとうございます。また今後も、企業誘致に伴って地元雇用はできるし、県外から移住してきてくれる人もふえるし、特に橋本市は隣が奈良県で隣が大阪でございますので、さっき言わしてもろた320人の通勤者、どないか和歌山県に住んでくれへんかなって、日ごろそればっかり思ってるんで、その辺も住んでいただけますように戦略立てていただいて。当然、橋本市のほうでも何か制度をつくらなあかんなと、この間、市長言うてましたんで、相乗効果でやっていただけたらいいんかなと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、大項目3番、仮称「関西国際空港・リニア中央新幹線接続新幹線構想」について質問いたします。資料のほう、議長のお許しをいただきましたので、手元にあると思いますので、見ながら聞いていただけたらと思います。
 リニア中央新幹線の整備につきましては、平成28年8月に政府が取りまとめた経済対策におきまして、財政投融資資金の手法を活用することにより整備新幹線の建設も加速し、東京と大阪を大きなハブとしながら全国を1つの経済圏に統合する地方創生回廊を整えるとしました。その結果、全線開業を最大8年間前倒しすることが明記され、総額3兆円のJR東海への融資が行われました。
 国土交通省では、リニア中央新幹線により、東京─名古屋─大阪の三大都市圏が約1時間で結ばれる効果を最大限に全国に波及させる必要があるとし、国、地方公共団体、経済団体の共通のビジョンを構築するため、「スーパー・メガリージョン構想検討会」を設置しました。
 昨年12月22日に開催されました第4回検討会におきまして、知事はよく御存じやと思うんですが、元運輸省出身で鉄道局次長、自動車交通局長などを歴任された荒井奈良県知事が、仮称「関西国際空港・リニア中央新幹線接続新幹線構想」について提言されました。ここにもあるんですが(資料を示す)、60ページにわたる資料の、この中の資料を抜粋して皆さんに配らせてもらっておりますので、見ていただけたらと思います。
 内容を要約しますと、我が国の幹線交通と都市交通の結節性は、大都市圏では比較的に充実していますが、地方圏における結節性はいまいちであること、また、東京圏に比べて大阪圏の鉄道網は結節性は低く、広域的都市圏の発達は阻まれてきたこと、また、リニア中央新幹線の採算性向上のためにも、増大するインバウンド観光需要の効率的な2次輸送のため、とりわけ地方への観光客の拡散のため、リニア中央新幹線と関西国際空港とを接続強化することは重要であるなどの理由と、大都市圏と地方圏を結ぶ効率的な国土の形成と増大するインバウンド需要を地方へ展開する視点から、想定されているリニア中央新幹線の奈良市付近駅と関西国際空港を結ぶ接続新幹線の構想であり、その経路には和歌山県が含まれるイメージが示されています。
 このことにつきましては、先日、知事が橋本市にお越しになったときに軽く触れられたこともあり、駅設置が予想されている橋本市では、現在開催中の橋本市議会でも取り上げられております。
 この構想が実現すれば、橋本市はもちろんのことですが、和歌山県に大きな波及効果が期待されると考えます。何点か言わせていただきますと、和歌山県の玄関の1つが拡大、強化される、国土軸と和歌山県の距離感が大幅に短縮される、豊富な世界遺産を有する両県──和歌山県、奈良県──の連携強化につながる、京奈和自動車道、京奈和自転車道とともに鉄道ネットワークが強化される、東京圏の6分の1とも言われている大阪圏の都市圏の拡大に大きく貢献するなどのことが考えられるのではないでしょうか。
 これらのことから、東京、名古屋などの大都市圏から交流人口の増加、そして企業誘致や移住・定住の促進、増大するインバウンドの集客、広域観光の推進など、本県にとっても大きな効果が期待されると考えますが、知事の御所見をお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 昨年12月22日に開催された国の第4回「スーパー・メガリージョン構想検討会」において奈良県の荒井知事が提唱したリニア中央新幹線接続新幹線は、旺盛な関空のインバウンド需要のうち、特に観光需要を奈良県にもたらすために関空とリニア中央新幹線の奈良市付近駅を高速鉄道で結ぶ構想でありまして、その際、和歌山県橋本市付近を通るということにしております。
 奈良県知事からは、昨年の夏の終わり、秋ぐらいから構想の内容をだんだんと聞いておるんでございますが、橋本市と関空が高速鉄道で結ばれますと、和歌山県の東の玄関口が強化され、橋本・高野エリアに今以上に海外の観光客を呼び込むことや、地域住民の利便性向上、商工業の活性化等につながると考えます。そのほか、岩田議員が挙げられたことについては全くそのとおりだと思っております。そういう意味で、私は本件については全く賛成で、一緒に協力して実現をしましょうというふうに荒井知事には申し上げてあるということであります。
 ただし、本件は、まだまだ事業化が進まない──実は整備新幹線ですね──新幹線整備計画の事業化されていない計画路線のそのまた先にあるという、かなり難しそうな話でありまして、率直に言って自分の力でこれを何か実現するまでの道筋がきちんと描けているわけでは私はありません。したがって、旧運輸省OBでもあり、計画の一番大きな部分を占める奈良県の荒井知事に「私はついていきますから一緒にやりましょう」と、そんなことを言うてる次第でございます。
 この構想が実現すれば和歌山県にとっても非常にいい話であるというふうに思っておりますので、今後、奈良県に、率直に言ってすがりながら、全力で協力していきたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 私も質問するときは興奮するんで思い切って行くタイプなんで行きますけども、知事おっしゃっているように、ちょっと夢の話っぽいとこもあるんですけど、でも、夢も語らなかったら実現しませんのでね。
 ただ、おこがましいんですが、もうちょっとお願いがあるのは、どうせ和歌山県走るんやったらもうちょっと京奈和沿いに走ってもうて、紀の川筋走ってもうてぱっと空港行くような方向になったら橋本だけええ目しとると言われないで済むんで、そのようにしていただけたらありがたいと思いますんで、よろしくお願いいたします。
 それでは、次の質問に行かせていただきます。
 大項目4番、未来をつくり出す力を育む教育の推進について、(1)幼児教育総合プロジェクトについてであります。
 幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な時期であります。「三つ子の魂百まで」であります。義務教育やその後の教育の基礎となるものとして、幼児期に育成すべき資質、能力を育む観点から、教育目標、内容、指導方法、評価のあり方を一体として取り組む必要があると私は考えております。
 以前より本会議場において、子ども・子育て支援新制度の実施による量の拡充と質の向上に伴う幼児教育の充実について、また、生きる力、学びに向かう力を育成し、小1プロブレムを解消し、教科学習につないでいくための保幼小連携教育の充実について、また、本県では小学校はほとんど全てと言っていいほど公立であり、所管は県教育委員会です。
 しかし、教育委員会が所管の公立幼稚園が減少し、ほとんど所管の違う保育園、こども園から入学するのが現状であります。幼児教育において、誰がどのようにリーダーシップをとるのか、どこが責任を持つのかが明確になる体制づくりについてなど、幼児教育の充実に向けて取り上げてまいりました。
 教育委員会では、今年度より新たに幼児教育班を設置していただき、幼児教育のさらなる充実に向けて取り組んでいただいているところであります。
 国においても、平成29年3月、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領が告示され、平成30年度から完全実施となります。今回の改訂では、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿が共通して示され、3歳以上の教育内容の整合性が図られました。これは、幼児期の子供がどの園所に通っても同様に質の高い教育を受けられるようになることを目指しているものであります。
 本県の平成30年度新政策に示されている幼児教育総合プロジェクトには、大きな期待を持っております。そこで、幼児教育総合プロジェクトについて、目的、取り組み内容、そして、誰がどのようにリーダーシップをとり、どこが責任を持つのか、教育長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 平成30年度から実施予定の幼児教育総合プロジェクトは、各園所の教育、保育の質の向上を図るとともに、幼児教育と小学校教育の円滑な連携、接続を図ることを目的としております。
 具体的な取り組みといたしましては、小学校就学に当たっての課題を整理し、県として、学びに向かおうとする姿勢、人とかかわろうとする態度、健やかに生活する習慣などについて、就学までに育てたい具体的な子供の姿として示すとともに、幼児教育と小学校教育の円滑な接続のためのマニュアル等を作成してまいります。
 それらをもとに、小学校教員と幼児教育関係者とで子供の情報や接続期のカリキュラムを共有するための連携会議を実施し、子供たちがスムーズに小学校生活に適応できるよう、互いの教育、保育に生かす体制をつくってまいります。
 また、現在行っている幼稚園、保育所、認定こども園等の職員を対象とした研修に加え、幼児教育について専門的な知見を有する幼児教育アドバイザーを新たに設置し、園所への訪問指導を通じて県が示すマニュアル等の定着を図るとともに、保育実践に対する直接指導等を行い、教育、保育の質の向上を図ってまいります。
 本プロジェクトの推進に当たっては、幼稚園、保育所、認定こども園の園種や公私立にかかわらず、全ての園所での充実した取り組みとなるよう、関係機関と連携しながら市町村教育委員会とともに県教育委員会が主体となって取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 県教育委員会が主体となってという答弁でございましたんで、一番幼児教育で気にしてたのは、いわゆる縦割りの弊害があって、それが子供たちに悪影響を及ぼさないかという心配があって幼児教育の質問もさしてもらってたとこがありますので、きょうはもうはっきりと「主体として頑張ります」ということでしたので、成績も上げていただいたことでございますので、大変御期待しておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
 次に、大項目5番、ソサエティ5.0について質問さしていただきます。
 平成28年1月に第5期科学技術基本計画が閣議決定され、この第5期基本計画に沿った新たな科学技術政策が推進されています。
 ソサエティ5.0とは、我が国が目指すべき未来の姿として、第5期科学技術基本計画において初めて提唱された概念です。狩猟社会(ソサエティ1.0)、農耕社会(ソサエティ2.0)、工業社会(ソサエティ3.0)、情報社会(ソサエティ4.0)、それに続く新たな社会を示すもので、仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立し、人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることができる人間中心の新たな経済社会とのことであります。
 ソサエティ5.0は、サイバー空間──仮想空間でありますが──とフィジカル空間──現実空間であります──を高度に融合させたシステムにより実現します。これまでの情報社会、ソサエティ4.0では、人が仮想空間に存在するデータベースにインターネットを経由してアクセスし、情報やデータを入手し、分析を行ってきました。ソサエティ5.0では、現実空間のセンサーから膨大な情報が仮想空間に集積されます。仮想空間では、このビッグデータを人工知能(AI)が解析し、その解析結果が現実空間の人間にさまざまな形でフィードバックされます。
 今までの情報社会では、人間が情報を解析することで価値が生まれてきました。ソサエティ5.0では、膨大なビッグデータを人間の能力を超えたAIが解析し、その結果、ロボットなどを通じ人間にフィードバックされることで、これまでにできなかった新たな価値が産業や社会にもたらされることになるとのことであります。
 また、経済発展が進む中、人々の生活は便利で豊かになり、エネルギーや食料の需要が増加し、寿命の延伸が達成され、高齢化が進んでいます。経済のグローバル化が進み、国際的な競争も激化し、富の集中や地域間の不平等といった面も生じてきています。
 これら経済発展に相反して解決すべき社会的課題は複雑化しており、温室効果ガスの排出削減、食料の増産やロスの削減、高齢化などに伴う社会コストの抑制、持続可能な産業化の推進、富の再配分や地域間格差の是正といった対策が必要になってきています。しかしながら、現在の社会システムでは、経済発展と社会的課題の解決を両立することは困難な状態になってきています。
 このように世界が大きく変化する一方で、IoT、ロボット、人工知能、ビッグデータといった社会のあり方に影響を及ぼす新たな技術が産業革命のごとく急速に進んでいます。これらの先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立する新たな社会であるソサエティ5.0の実現を目指しているとのことであります。
 私は、この産業革命というか社会大革命のようなソサエティ5.0という大きな流れを、和歌山県発展のためにどのように生かしていくか、つなげていくかが大変重要なことだと考えております。
 そこで、和歌山県長期総合計画に掲げた「世界とつながる愛着ある元気な和歌山~県民みんなが楽しく暮らすために~」の実現に向けて、並びに新政策の中でこのソサエティ5.0という大きな流れをどのように意識されているのか、知事にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 時代の変遷とともに技術が進歩することで、技術の上に成り立った産業のあり方や人間社会のあり方に大きな影響を及ぼしてきたと思います。我々が未来に駆けていくためには、そのような技術を理解し適応していかなければならないということであろうかと思います。
 ソサエティ5.0の社会が到来すると、ビッグデータを活用して、IoT、AI、ロボットといった技術により、産業の生産性向上や高齢化社会への対応、地球温暖化問題など、現在は解決が困難とされているさまざまな社会問題の解決が行われることが期待されております。
 議員御指摘のとおり、こうした新しい時代の技術をいかに和歌山県に取り込み、和歌山県の発展につなげていくかという発想が極めて重要であると思います。先般公表した和歌山県の新政策の中でも、こうした認識のもとでさまざまな取り組みを行うことを考えております。
 まず、新しい時代の技術を県内の産業界がいち早く導入し、生産性、収益性を高めることができるよう、IoT等の技術に関する専門家による支援チームを形成し、企業に派遣して企業のそういう能力を高めるというような取り組みを行いたいと考えております。
 また、本年4月1日に開所する和歌山県データ利活用推進センターでは、産学官の連携によりデータ利活用を推進し、行政課題の解決や県内企業の競争力強化を行うべく、AIを用いたSNS情報の解析や、医療や健康に関するデータ分析に取り組もうと考えております。
 さらに、新しい時代に対応するための人材育成も急務であります。そこで、情報活用能力を育み、来るべき社会で活躍できる人材を育成するため、他県に先駆け、県独自のICT教育カリキュラムを構築していくことも考えております。
 来年からになりますが、全員、小中学校にICT教育を施して、高校卒業時には全員がプログラムを書けるようにしていきたいというぐらいの気持ちで取り組んでいきたいと思います。と言っておりましたら、先般、そういう見識のある方とお話をしておりましたら、それは極めて結構であるけれども、普通のICTに使える技術・技量とAIに使える技量はちょっと違うぞというような話をお聞きして、これはそのカリキュラムをつくるときに、今のソサエティ5.0の御指摘のあったような動向を踏まえるためには、AIにも適応できるようなそういう能力を高めさせるというようなことも考えとかなあかんのかなあというようなことで、こりゃいかんというふうに思ってるところであります。
 ソサエティ5.0の基礎となる技術の進歩は、まだ始まったばかりでございます。今後も技術の進化の状況を見きわめながら、新たな技術をうまく取り込んで、和歌山県の発展につなげていくように取り組んでいきたいと思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 和歌山の発展につなげる取り組みをもう既に始めていただいてるということで、ありがとうございます。僕としたら、ソサエティ5.0は和歌山県のためにあるんだぐらいまでやっていただけたらと、知事に大きく期待しております。
 何せ、今回この質問をさしてもらうときに私も、始まったばかりで、ここまでの質問が精いっぱいで、その理解するのにかなり勉強さしていただいたこともありますので、これから徐々に進んでいくんでしょうが、やっぱり先手を打って将来を見据えて決断されてというのが仁坂知事のいいとこでございますので、今後、和歌山の発展につなげていただけることを御期待申し上げまして、私の一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、岩田弘彦君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時30分休憩
────────────────────
  午後1時1分再開
○議長(尾﨑太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 皆さん、こんにちは。谷口和樹でございます。
 一般質問4日目となりました。お疲れのころだと思いますけれども、先輩方、そして当局の皆様方、少しの時間、おつき合いをよろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らしていただきたいと思います。
 1つ目、和歌山県内の過疎地対策について質問をさしていただきます。
 和歌山県は、2015年国勢調査の人口で、近畿で唯一、県内人口が100万人を割り込み、96万人になりました。平成30年2月1日の毎月推計人口では94万1436人でありました。1年前の平成29年2月1日の推計人口が95万1253人ですので、約1万人の減少になります。当然これは県全体ですので、年の減少率1.03%になりますが、例えば田辺市だと約1.4%、すさみ町だと約3%になります。
 このような人口減の背景ではありますが、県では、移住・定住大作戦ということで、暮らし、仕事、住まいの3点からさまざまな支援を行っており、本年度は県の熱意ある取り組みで、東京交通会館にあるふるさと回帰支援センターの移住希望地ランキングでは前年から大きく順位を上げ、13位にランクアップしています。
 平成27年策定の和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略において年間1000世帯の移住受け入れを目標としていますが、若年移住者暮らし奨励金がことしから廃止される中、トーンダウンのないように、これから気をつけて頑張っていただきたいところでございます。
 県が移住政策に成果を出す一方、その成果以上の速度で急激に過疎化が進む集落がふえています。一時期よく耳にされた用語に「限界集落」というのがあります。
 「限界集落」とは、社会学者・大野氏によって1991年に提唱された概念で、もともと大野氏の研究では林業の衰退と再建をテーマにしておられ、輸入木材によって国内林業は衰退し、山村の人口減と高齢化、人工林の荒廃、さらには集落そのものの消滅が進みつつある実態を調査していましたが、進めていくうちに過疎という言葉では実態とかけ離れている、このように感じたことから、より深刻な実態を指摘するために、あえて「限界集落」という用語を生み出すに至ったと言われています。65歳以上の高齢者が住民人口の過半数を占める状態を限界集落、さらに70%を超えた超限界集落から消滅集落へと向かうということです。
 私が10年余り前、議会で初めてこの問題について話したころは限界集落や消滅集落という言葉に過敏な反応もありましたが、10数年たって現実に運営できない集落や統合される集落も、過疎化、高齢化の進行で急速にふえてきています。生活道路の管理、冠婚葬祭など、共同体としての機能が急速に衰えてしまった高齢化の進む集落、特に明らかにコミュニティーの存続が危ぶまれる地域について、その形態を保てるように何らかの支援策というのが必要であると考えます。
 和歌山県における高齢化率70%以上の集落は、資料のとおりになります。繰り返しますが、人口減少が進行する和歌山県ですが、人口減少とともに集落機能の維持が困難となる過疎集落がふえています。和歌山県の移住政策の成果で、山間部への移住により集落の担い手確保や平均年齢の持ち直しも出ていますが、一方で、より以上のスピードで過疎化が進んでいます。
 今後の和歌山県の過疎地域、特に高齢化率70%以上の集落の過疎対策について、企画部長にお聞きをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 本県では、出生数の減少や若年層の転出等により人口減少や高齢化が進行しており、特に中山間地域においては、小売店の閉鎖や集落の担い手不足などにより、単独の集落ではコミュニティー機能の維持が難しくなっているところもあります。
 県では、昭和合併前の旧町村や小学校区などのふるさと生活圏単位で、住民が主体となって生活機能の維持や活性化を図る過疎集落支援総合対策事業を実施するとともに、移住施策にも積極的に取り組んできたところです。
 過疎集落支援総合対策事業は、これまでに19市町村36生活圏で実施されており、例えば田辺市三川生活圏では、農産物生産・販売対策として野菜などの集出荷サービスや販売システムの導入支援を行った結果、直売所の売上高が増加し、出荷する高齢者の生きがい対策にもなっております。また、若い世代が定住し、新たな地域の担い手となった結果、集落が元気になるとともに、高齢化の進行や人口減少の速度が緩やかになるなどの効果があらわれている地域もあります。
 本県にとって過疎対策は大変重要な課題でありますので、引き続き過疎集落の維持、活性化に取り組むとともに、高齢化率が著しく高いなど将来存続が困難になることが予想される集落に暮らす住民の安全・安心を確保するため、過疎集落のあり方について市町村や住民が考える機会となるセミナーを新たに開催し、積極的に持続可能な地域づくりに取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひ、今後ともよろしくお願いをいたします。
 2番目の質問に入ります。罹災証明の早期発行についてお聞きをいたします。
 災害被害から早期復興を実現する上で重要な役割を果たすのが罹災証明書です。各自治体・市区町村が住民の申請によって家屋の被害状況を調査し、その状況に応じて、全壊、大規模半壊、半壊、一部損壊等を認定・証明するものです。
 住民は、この証明書によって固定資産税や国民健康保険料の一時減免・猶予や被災者生活再建支援金や義援金の支給、仮設住宅や公営住宅への優先的な入居、災害復興住宅融資等の公的支援を受けることができます。 2011年9月、紀伊半島大水害において、我が県も罹災証明の発行にかなりの期間を有しましたが、近年の進んだIT化や技術開発によって、次のような例も報告されています。
 熊本県阿蘇郡西原村は、2016年4月に起こった熊本地震において、村内の約2300棟の住宅のうち6割以上が全半壊という大きな被害を受けました。被災された住民のためにできるだけ早く罹災証明書を発行する必要がありましたが、家屋の被害状況は建物単位で調査する必要があり、罹災証明書は世帯単位で発行する必要があることから、建物の情報は固定資産台帳、世帯情報は住民基本台帳や郵送物の宛て名台帳で管理されており、これらを人の手で突き合わせねばならず、そのため罹災証明書の申請受け付けから発行までにかなりの時間がかかってしまっていました。
 このような問題を解決するため、西原村は当初自分で新たなシステムを構築しようと考えていましたが、申請や調査で集まった膨大な情報をどのようにして使いやすい形で集中管理するか、大量データの突き合わせに時間がかかり、結局は迅速な罹災証明書の発行にはつながらないのではないかという点で行き詰まっていたところ、熊本県を拠点にするIT企業・システムフォレストと我が県白浜町にサテライトオフィスを出している世界的IT企業・セールスフォース・ドットコムが西原村役場を訪問し、「Salesforce」による災害関連業務支援システムを提案したということです。
 西原村は、その提案内容からその日のうちに導入を決め、翌日には罹災申請受け付け機能の構築に着手、クラウドで運用することからサーバーの調達によるロスもなく、わずか4日で、リハーサルを含め、運用を開始したということです。そして、地震発生から約半月後には、このシステムによる罹災証明書受け付けが開始されたということです。
 その後もシステムに必要な機能追加や変更を柔軟に次々に実装、世帯情報は住民基本台帳システム、固定資産の情報は固定資産管理システムや地図システム等からSalesforceに取り込み、これらをもとに業務フローが構築されています。
 また、各種申込書や発行した証明書はスキャンしてPDF化し、「box」上のファイルとして管理、現地調査で撮影された写真も「box」に格納されています。さらに、建物の位置情報等は「UPWARD」で管理、これらの情報が全て「Salesforce」上の世帯情報とひもづけされています。
 2016年9月には2次調査を含めた全世帯の調査をほぼ終えることができ、罹災証明の発行も完了、現在、西原村ではこのような効果を高く評価しており、通常業務でも「Salesforce」を活用しているということです。
 罹災証明の発行は復興の鍵であります。発行が進まなければ、もとの生活に戻る準備にさえもかかれません。逆に早ければ、住民がもとの生活に早く戻れ、復興日数、費用も圧縮されます。
 紀伊半島大水害の反省を生かし、最短時間で罹災証明の発行をいただくためにも、被災後の罹災証明にかかわる情報収集のIT化など、罹災証明の早期発行について県として市町村とともに推し進めていけないか、知事にお聞きをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 罹災証明書は、被災者生活再建支援金を初め各種被災者支援策の判断材料となり、被災者の生活再建の第一歩となることから、早期に発行することは重要であると考えており、そのためには、その前提となる住家被害の調査を迅速に行うことが必要であります。この証明書を早く出すということが大事だということを議員が指摘しておられることは、まことにごもっともだというふうに思っております。
 平成23年の紀伊半島大水害の際には、被災した市町が住家被害の調査が迅速にできたかというと全然できなかったわけでありまして、そのときに県のほうで建築士の方々とか、そういう方々なんかも動員をして、県職員や民間建築士に対する研修を実施し──というよりも、まあできる人は初めからできるんですけど、そういう方々を組織化して、大部隊で被災した市町に派遣したところであります。
 今お話がありました熊本県に関しても、地震の前に水害も起こっておりますから、そのときも熊本県知事に、これ大事ですよと言っていろいろアドバイスをして、大変感謝をされた記憶があります。
 これを教訓にして、初めからやっぱり住家被害認定士をきちんとつくっとかないかんということで、それを養成するとともに、災害発生時には県が調整をして住家被害認定士をあちこちから集めてきて、それで被災地に迅速に派遣する仕組みを構築しているところであります。
 具体的には、まだ十分ではないんですけれども、県職員や市町村職員、民間の建築士等を対象に住家被害認定士を平成30年2月末時点で1321人養成しておりまして、昨年10月の台風21号の際にも、新宮市に対して県及び12市町から延べ96人派遣したところであります。
 この取り組みにより、平成23年の紀伊半島大水害の際にはこれはまだ制度化されていなくて急遽やったんですけれども、ある自治体では調査件数が389件に対して調査日数が21日かかりましたが、今回の台風21号の際には、新宮市で645件もの調査件数を8日で終えることができ、罹災証明書の早期発行につなげたところであります。
 以上、一番大事なことは資格のある専門家に迅速な判断をしてもらうということであって、したがって、そういう人たちをいかに早く動員をするかということが大事であります。
 しかし、その資料、すなわち判断した資料を様式に仕上げて国等に提出せないかん、そこのところの整理もそんなに簡単なものではなくて、議員御指摘のように、ITを使って工夫する余地はたくさんあるだろうと思います。したがって、そういうようなノウハウを市町村に提供して、市町村が少しでも早く罹災証明書を発行できるようにしていきたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひよろしくお願いいたします。
 続きまして、3つ目の質問に入ります。
 南紀白浜空港利用活性化について質問さしていただきます。
 県が来年4月の導入を目指す南紀白浜空港の民営化案では、県は先月、1次審査を通過した2つの企業について、企業再生などを手がけるコンサル会社・経営共創基盤を中心とするグループと、白浜町にも系列ホテルを展開するHMIホテルグループを中心とするグループだったと発表しています。2企業体とも空港の運営経験はなく、1次審査ではともにコンセッション方式を選択し、10年間で最大31億円の補助も、さらに金額を抑えるということです。
 2016年は空港民営化元年であり、4月から関西・伊丹両空港、7月には宮城県の仙台空港が民営化されました。また、福岡県の福岡空港、香川の高松空港、北海道にある7空港の一括民営化が進められています。
 従来、国管理の空港は、着陸料などがほぼ一律に決められ、滑走路は国、空港ビルは地元自治体出資の第三セクター会社が所有してきました。しかし、民営化後は、民間会社がこれらを一体で運営し、着陸料も自由に決めることになります。滑走路と空港ビル、駐車場を一体運営することで重複したコストの削減は可能になると言われていますが、国管理の空港で損益分岐点となると言われる乗降客数は、年間250万人から260万人と言われています。地方空港の2014年の営業損益で黒字だったのは、新千歳、羽田、小松、広島、松山の5空港とお聞きしております。
 ちなみに、一番最初の関西、伊丹の両空港は、海上空港である関空の整備費がかさんで1兆円を超す借金を抱えていたことから、2012年に伊丹と経営統合し、今回、両空港を管理する国が100%出資している新関西国際空港株式会社から、オリックス、フランス空港運営大手のバンシ・エアポートのグループが、2015年末、運営権売却の正式契約を結んでおります。44年間両空港を運営し、年490億円、計2兆円余りを新関空会社に支払うことになっています。オリックスは、ホテルや関空内の商業サービスを見直し、バンシは、世界各国での空港運営のノウハウを生かし、新路線の開拓や格安航空会社の誘致を目指すということです。
 もう1つの仙台空港ですが、30年の空港運営権を手にしたのは、東急グループと豊田通商、前田建設工業などの企業グループ・仙台国際空港で、国に22億円を支払う上、店舗の増設、格安航空用搭乗施設などに総額340億円を投じる方針で、そのほか新たな旅行商品の開発なども含めて、東北全体に波及効果を広げることも計画しているということです。
 一方、南紀白浜空港は、1968年開港、96年に今の位置に移設、2000メートルの滑走路が1本、定期便は東京・羽田便が1日3往復しています。搭乗客数は、2008年度15万人をピークに、16年度は約12万人にとどまっています。滑走路とその周辺は県が、空港ターミナルビルは県や日本航空などが出資する第三セクターが運営しており、年間約3億数千万円の赤字を県が負担しています。
 今回の公募では、県は運営事業者に対し、1、国際チャーター便の誘致、2、国際線のターミナルビルの設計提案などを求める一方、運営事業者の支払いを無償にし、10年間31億円上限に費用負担をする条件です。また、事業手法も、コンセッション方式で運営権を無償譲渡する方法のほか、県営のまま運営を委託する指定管理や一部の業務を任せる業務委託などから事業者が選べるようにしていました。結果、2社ともコンセッション方式での提案となっています。
 コンセッション方式とは、国や自治体が公共施設などの所有権を持ったまま運営権を民間企業に売却するやり方で、国や自治体には売却益が入り、民間企業はサービス内容や施設利用料の設定などで幅広い裁量が認められ、独立採算となります。
 今後は、有識者による最終審査を経て、5月中旬に優先交渉権者が決められていきます。仁坂知事は「今より条件が悪くなるならやめるつもりだったが、今よりもよくなる。どちらかを選ぶ」と話したということですが、民間運営における県や県民のメリット、空港の将来的なビジョンについて、県土整備部長にお聞きをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港の民間運営におけるメリットや将来的なビジョンについての御質問でございます。
 昨年策定した和歌山県長期総合計画では、南紀白浜空港を世界につながる玄関口として、また交通ネットワークの拠点として位置づけ、民間事業者のノウハウを活用した空港運営や国際便の受け入れ体制の強化などに取り組む民営化を進めることで観光客やビジネス客の利用促進を図り、南紀白浜空港を活性化することとしてございます。
 この民営化は、これまでの航空ネットワーク拡充に向けた県の取り組みが単発のチャーター便の誘致にとどまり大きな成果が残せていない状況であること、また、国際線ターミナルビルがないことが国際チャーター便の受け入れ拡充のネックと航空会社から指摘されていること、加えて、南紀白浜空港の運営に係る経費が収入を年間約3億円上回っていることなどの課題に対応すべく検討を進めきたものでございます。
 県では、平成31年4月の民間運営の開始に向け、昨年11月より南紀白浜空港民間活力導入事業の公募手続を開始しており、チャーター便を含む航空ネットワークの拡充、国際線受け入れ機能を有したターミナルビルの配置計画、県財政の効率化の観点で提案をいただくことにしてございます。現在1次審査が終わり、今後行う2次審査を経て、これらの観点ですぐれた提案をした者と契約することとしてございます。
 この結果、県として交流人口の拡大による紀南地方の活性化や県財政の効率化といったメリットを享受できるものと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 初めてのケースですので御苦労されることも多いかと思いますけれども、紀南活性化の、空港は特に玄関口なんで、これからの起爆剤になると思いますので、ぜひとも頑張っていただいて、よろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、小項目の2つ目なんですけども、声を届けるという意味で御質問をお聞きいただけたらなと思います。
 航空運賃の引き下げについてお聞きをいたします。
 せんだって、仙台から関空までの空の便をとらなくてはいけなくなってピーチの仙台─関空便を見たところ、料金は3990円でした。距離は倍にもかかわらず、東京─白浜間は5倍近い値段でございます。せんだって、別の件でJRの運賃について当局にお聞きしたところ、おおむね全国共通の距離による加算ということでした。なぜ東京・羽田便は高いのか、そう考えるところでございます。
 先月、和歌山出身の東京の大手企業の会長さんにも、冗談まじりで「外国行くより高いよ」と言われました。恐らく、和歌山県民で言われた方も多いんじゃないかと思います。
 空港の委託も重要ですが、地元の関心事の大きな1つであります東京─白浜間の航空運賃のダウン、これが関心の大きな1つだと思います。東京行き片道だけでもLCC並みの料金にならないか、この可能性について県土整備部長にお聞きをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 航空運賃の引き下げについての御質問でございます。
 日本航空株式会社に対しては、これまで割引運賃の値下げなどさまざまな働きかけを行ってきた結果、特便割引3や特便割引7のさらなる値下げや年間を通した割引運賃の設定がされるなど、ある程度の利便性の向上が図られているというふうに認識してございます。
 航空機の運賃につきましては、航空会社がその路線収支等を見据えて設定することから、さらに低廉な運賃を設定していただくには、まずは需要の拡大を図ることが重要と考えてございます。今年度の搭乗者数につきましては好調に推移しており、本年1月末の搭乗者数は10万8518人、対前年比で8.8%増という状況ではございますものの、まだまだ需要の規模が大きいとは言えない状況だというふうに感じてございます。
 今後も、商工観光労働部と連携し、首都圏からの誘客や地元周知を徹底するとともに、日本航空株式会社に対しても運賃低減の働きかけを継続してまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひよろしくお願いします。
 それでは、最後の質問に入ります。
 社会福祉施設における介護人材の確保について御質問をさしていただきます。
 低コストの人件費で済む産業構造、高い離職率でも設備投資の助成を受けられる制度、この改革を念頭に質問をさしていただきます。
 高齢化社会を迎え、介護を必要とする人が増加しています。現在、介護に関していろいろな問題がありますが、解決が進まない問題として2点挙げられます。1つは特別養護老人ホームの待機者の問題、もう1つは介護職員の離職率の問題です。
 1つ目の待機者の問題は、2009年の厚生労働省の調査では、全国42万人の特別養護老人ホームの入所申込者があったということです。別の機関、医療経済研究機構の調査では、2010年、2011年、そのうちの1割から半分が待機者であるとの調査結果があります。現時点でも、この待機者の解消の問題は完全には解消しておりません。介護を必要とする人がふえている中、待機者解消をするために介護施設整備への補助金などによる促進策、これは今後も必要であると理解はしております。
 2つ目は、介護を必要とする人が増加する一方、介護サービスの担い手である介護職員の就職してから1年以内の離職率が高いままであるという問題であります。
 平成27年和歌山県調査、平成26年雇用動向調査及び平成26年度介護労働実態調査によると、県内の離職率は14.7%、産業全体全国平均が15.9%、介護職全国平均が16.5%ということになっています。この離職率とは、全体の職員数に対しての離職した人のパーセントということです。確かにええ離職率ではあると思います。数字だけ見ると和歌山県内の介護職は比較的よいかのように見えますが、この数字は1年の従事者の増減のみをあらわしております。
 定義は数々あるかと思いますが、前回、平成25年に質問した、その年就職した人の1年以内の離職率、採用後1年以内に離職した人数を採用した人数で割ったものをもとに質問をさしていただきます。
 介護職の就職された方が1年後に離職している割合は約30%前後でかなり高く、今までも高負担、低所得、低待遇が問題視され、国からの待遇改善の施策がなされてきましたが、この1年以内離職率はそれほど改善されず至っています。
 28年度の数字を当てはめてみますと、県内介護職従事者は常勤ベースで約2万1000人、先ほどの離職率16.8%で3528人、うち45%の1年以内離職者ですので1587人になり、採用者数4788人で割りますと、就職した方が1年後に職を離れる1年以内離職率というのは約33%になります。
 今後、2010年と2025年間で介護サービスに主に従事する15歳から64歳人口が13.3%減少する一方で、介護サービス受給率が高い75歳以上の人口というのは53.4%増加すると言われています。そのため、2025年にかけて介護人材の確保が今以上に困難化すると予想されます。このままでは、今後の人口減の中、介護人材の確保が懸念されるとともに、過疎地域での高齢者福祉に大きな影響が出ると予測されます。
 和歌山県では、1、就職セミナー、2、介護職員処遇改善加算の取得促進、3、再就職準備金貸し付け、4、介護福祉士等修学資金貸し付け、5、介護所内の保育所の整備、6、中高齢地域住民の参入促進、7、高校生介護職への就職増加の取り組みに取り組んでおられますが、この1年以内離職率の高い施設への高校生の介護職場への誘導といいますか、紹介といいますか、これは1年以内に離職すると離職後の再就職においても大きな不利益となることから、進めるなら、まずこの1年以内離職率の改善、これに努められるべきかと考えます。
 ただ、詳細な取り組みは別といたしまして、和歌山県内の介護従事者において1年内離職率、これが高い現状についてどのように考えておられるか、知事にお聞きいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 介護職員の1年以内の離職率は、平成27年度調査では、本県においては介護職員の全体の離職のうち44.8%、全国でも40.2%と、いずれも高水準の状況にあります。
 介護職員の1年以内の離職率が高いことについては、平成27年度に実施した本県の独自調査によりますと、事業所の全従業員数に占める非正規職員の割合が約4割を超えていることと、非正規職員の離職率が正規職員に比べ10ポイント以上高い状況にあることが主な原因であり、全国的にも同様な傾向となっております。
 より条件のよいところへ移るための離職ということもあるかもしれませんが、それならば社会全体としては悪いことはないんですけれども、介護職員が不当な扱いを受けてやめちゃうとか、あるいはこんなはずじゃなかったのにといって裏切られたと思ってやめてしまうというようなことであれば、それはちょっと問題があるというふうに思います。
 就職前において介護の仕事が正しく理解されておらず離職に至っているということも考えられるために、本県では、事業所と連携して出前講座とか職場体験等の対策を講じ、よくわかってもらうと、その上で就職を決めてもらうというふうにするとともに、保護者とか学校の進路指導担当者に対して、介護職についての正しい知識が得られるように啓発を強化していきたいと思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 数字が並びますので、なかなかちょっと頭にすっと入らないかと思いますが、お聞きになられてる皆さんにちょっと例え話をさしてもらいますと、例えば皆さんも会社の社長になったとして、知事も県庁に置きかえて考えていただくとわかりやすいのかと思うんですが、毎年毎年、新入社員が100人入社して30人も毎年毎年やめていかれたら、人は育たないし、技術は高まらないし、もう仕事にならないなと、これでは仕事にならんのじゃないかなということも思います。
 そういうことも申し上げつつ、次の質問に移ります。
 福祉施設の施設整備に係る交付要綱の中に離職率の基準を設けることができないかについてお聞きをいたします。
 高齢化社会と待機入居者のいる社会情勢から、施設増設・新設の促進策は必要であるので妨げる思いはございませんが、公金支出に対する住民合意を考えますと、せめて受給法人には、1年以内離職率などの労働環境基準で県内事業所の平均は軽く下回っていただきたいものであります。介護従事者の大半は納税者であり、その原資から出される多額の施設整備補助が1年以内離職率が高い法人に支払われるというのは余り適切ではないと、このように思っています。
 介護職員の労働環境の改善と今後の和歌山県の介護人材確保、または公金投入の正当性から、福祉施設の施設整備に係る補助要綱に、例えば離職率が全国平均を超えた事業所を対象外とするなどの基準を設けることができないか、知事にお聞きをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 老人福祉施設の整備に対する補助金は、施設への入所を望む高齢者の安心を確保するために「わかやま長寿プラン」で定めた施設整備計画の推進を図るための補助制度であります。すなわち、たくさんの需要があるだろうから供給もふやさないかんということでございます。
 そもそも、介護職の離職率が高い主な原因は、非正規職員に依存した就業形態とか仕事内容の割に給与水準が低いといった介護事業所特有の全国的な課題によるものでありまして、離職率を下げるためには、処遇改善加算の取得促進や職員のキャリアアップを支援する対策を講ずるべきであると考えます。
 一方で、離職に関しては条件がいいから他の事業所に移るという場合もあって、そういうときは、その移った従業員は少し条件がよくなっていいんだけども、移られてしまった事業所はえらい困ることになるわけであります。そのときに待遇改善でもして、非正規雇用を正規雇用に変えて待遇改善をしてそれで引きとめるということが望ましいわけでありますけれども、そうできない経営体もあって、これはまた余計大変になるわけであります。
 本県では、こういう事業者全てについて、定期的な実地指導とか必要に応じて行う監査を通じて、事業所がちゃんと法令を遵守しているか、不当なことをやってないか、そういうことは確認をしているところであります。 違法な、あるいは不当なことをしている事業所については、議員おっしゃるような不利益処分をしないといけないと思いますが、さきに述べたようなケースで事業者を罰してしまったら余計経営が苦しくなって、それで事業所が困るけれども、入居者ももっと困ることになってしまうということになるわけであります。
 したがって、老人福祉施設整備補助金の申請者が法令等に違反する行為を行っている悪質な事業者でない限り、結果としての離職率を理由に補助金の交付を認めないということはやめたほうがいいんじゃないかというふうに思います。
○議長(尾﨑太郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。
 法令等に反する行為を行っている悪質な事業者でない限り、離職率を理由に補助金の交付を認めないということは適当ではないという御答弁をいただきましたけども、そう言いつつも、職員が3割、4割やめようが、コンプライアンスが守られておればオーケーというわけではないというのは同じ考え方であるかと思います。
 設備投資に多額の公金が入りますから、せめて就職された方の1年内離職率が県内の平均ぐらいは軽く下回ってよという考えから、コンプライアンス云々ではなくて、私は、条件、要綱の1つにあって当然と考えます。 いずれ社会はそういう方向に進むであろうと確信を抱きつつも、一般質問をこれにて終わらしていただきたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 16番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 本日4人目に登壇をさしていただきます。しばらくお時間を頂戴したいというふうに思います。御清聴をお願いいたします。
 まず、県立医科大学薬学部について伺います。
 平成21年の政権交代を機会に、自民党県連が政務調査活動の形式を団体聴取から支援団体の御意見を訪問して伺う活動に切りかえました。そのとき伺った内容は、党所属国会議員を通じて国へ要望し、また、知事初め県当局へ要望するとともに議員提案で政策条例も成立させるなど、積極的に活動しました。
 その一環で、県薬剤師会では、本県薬剤師の全国一高齢化や人材不足の状況を伺い、その場で大学ができないかという話で大いに盛り上がったことを記憶しております。その後の調査で、2003年からわずか10年間で薬学部定員が2倍に増加していることが判明し、気づくのが遅かったと思ったときもありましたが、幸い、岐阜薬大・勝野元学長を初め先生方のお導きもあり、知事の英断により薬学部ができることになりました。
 私たちは知事が判断できる環境整備に努めてきましたが、案の定、ど真ん中の直球に対し、センターオーバーのバックスクリーンへのホームランを打っていただきました。知事初め、推進に御尽力いただきました関係者にお礼を申し上げます。
 さて、県立医科大学薬学部は2021年春開学となっていますが、改めて、なぜ薬学部を開設するのか、また開学までの流れについて伺います。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県立医科大学に薬学部を開設することは、医学部、保健看護学部に加え、薬学部を有することで医療系の総合大学としての充実が図られ、大学教育や研究、本県の地域医療の発展に大きく貢献するものと考えております。
 また、大学進学時における県内進学先の選択肢をふやし、若者の都市部への流出を抑制したいということにもなると思います。さらに、卒業生の県内定着は当然より容易になるだろうから、地域医療を担う人材の育成が何よりも本県発展の大きな力になるものと考えております。
 加えて、和歌山市の中心市街地に薬学部を開設することは、学生や教職員と地域の人々の交流、地域でのさまざまな経済活動の営みも見込まれ、まちのにぎわいにもなるものと考えております。
 薬学部につきましては、思い出しますと、議員からも何度か提案をいただきました。私も、医学部と獣医学部のような、ああいうきつい縛りがかかってるというふうにちょっと思い込んでいた時期もあってなかなか難しいかなあと思っていたのですが、そうでないということがわかりました瞬間に、議員の提案にも従って急いでつくろうというふうにかじを切りかえたところでございます。
 薬学部の建設は、現在設計業務を進めているところでございまして、学部開設に向けた準備につきましては、県立医科大学において実際に運営を担う薬学部長予定者や主要教員が決定され、カリキュラムの編成や教員の確保等がもう既に進められているところでございます。
 今後は、2020年12月の校舎完成を目指して来年度に建設に着手するとともに、2020年3月に設置認可申請を行って、翌年、2021年4月の開学に向けて鋭意準備を進めていきたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 ぜひ、仁坂知事のもとで開学、竣工式ができますことを期待いたしております。
 続いて、薬学部推進に当たり、岐阜薬大前学長の勝野眞吾先生には格別の御指導をいただきました。文科省で大学設置審や薬学教育関係の役職を歴任された先生の知見やアドバイスは、プライスレス、お金では買えない価値があるものでした。
 最大の功績は、薬学部入学定員は倍増しても国家試験合格者は増加してない事実、近畿の薬学部は国立京大・阪大と私学に偏在し、国立に入る学力があるか私学に行ける財力がないと薬剤師になれないといういびつな事情、しかも、京大や阪大の卒業生の多くが大学院を経て研究者に進むため、薬剤師養成は専ら私学に偏ってる状況を端的に指摘され、県立医大に薬学部ができることは、和歌山のみならず近畿でも大いに役立てるという核心的見通しを御教示いただきました。
 その勝野先生とは、残念ながら和歌山県は御縁を結ぶことができませんでしたが、しかし、先生の残してくださったアイデアはたくさんあり、その1つが薬学部の地方枠であります。今後、国公立で薬学部が新設されることは困難であることから、現在の本県と同じ事情の厳しい状況を配慮し、薬学部がない14県のために地域枠を設けるというものであります。
 恐らく県立医大薬学部では、和歌山県民枠以外は一般入試となれば、和歌山大学などのように大阪の子弟で独占されてしまうのではないでしょうか。多様な人材が集まる観点からも、地方の優秀な学生を和歌山に招く地方枠を設定することが有効であると考えますが、知事の御所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 地域医療の充実を図るためには、卒業後、県内に薬剤師が定着することが必要でありまして、そのためには、県内の高校から御指摘のように推薦制度で募集する地域枠を設置するということは必要なことではないかと思っております。
 和歌山県が県立医科大学に薬学部を設置する目的は、本県、和歌山県の地域医療の発展のためでありまして、他県の薬剤師を養成することについては他県みずからが考えてもらいたいというふうに私は思っております。
 議員のお考えは日本人として実に立派でありまして、和歌山県民の親切心をよくあらわしていて、人間として尊敬に値すると本当に思います。しかし、和歌山県政は和歌山県民のためのものであって、そこはやっぱり日本政府とは違うんじゃないか、そんなふうに私は思います。
 現実的には、仮に薬学部のない県から議員御提案のような要望があれば、その際には費用負担とかそういうことも含めて検討すればいいんじゃないか、そんなふうに考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 本来、県のほうでやっていただくのがいいのかもわかりませんが、それから、今知事が言われたように、和歌山で大学ができることを察知して、ないところがそういうアイデアを持ってきてくれたらいいのかもわかりませんが、このアイデアは、もともと薬学部推進に大変御尽力いただいた勝野先生のアイデアでもあります。
 今、和歌山とは関係なくなりましたけども、やはり長らく薬学教育、また日本の国の中でそういうことに携わってこられた方のアイデアでもありますので、和歌山県薬剤師会のほうで──これは各県に問い合わせたわけではありませんので確かな情報とは言えないかもわかりませんが──同じ他県の薬剤師会あたりに問い合わせをいたしますと、やはり費用を負担してでも──条件によりますけども──来たいと思ってる県も、奈良県を筆頭に全国で、高知県、佐賀県、鹿児島県、沖縄県のようにあります。
 お金はよう出さんけども来たいと思ってるとこもやはりあるわけでございまして、これから大学をつくる、実際にどんな中身をつくっていくかということを議論されると思いますので、ぜひ御検討いただきたいというふうに要望申し上げておきたいと思います。
 続けて、和歌山高専からの編入学について伺います。
 和歌山工業高等専門学校は、昭和39年以来約6500人が卒業し、県庁初め県内外で優秀な技術者として立派に活躍されています。しかし、最近は高学歴化の影響で、5年間の専門教育の後に多くの卒業生が大学3~4年に相当する専攻科に進学するほか、全国の国公立大学・大学院に編入学しています。その数は高校の進学校並みというふうに言われております。
 薬学部については全国的に国立高専から編入する例があり、和歌山高専からは、薬剤師養成課程ではありませんが、大阪大学や岡山大学の薬学研究科に進学するなど、学力、意欲とも薬学部編入のレベルに達しているのではないかと思います。
 また、平成27年2月には、文部科学省において薬学系人材養成の在り方に関する検討会が開催され、高等専門学校から6年制薬学部に編入させることは多様な学生を確保できる意義があると、前向きな報告がされました。
 和歌山高専の土井正光教授のお話では、生物応用化学科の入学試験に際し、「薬剤師になれますか」と質問する女子中学生が毎年いるそうです。むしろ、化学を勉強するうちに人の生命にかかわる薬学に興味を持つことは、まことに自然なことであります。
 和歌山高専からの編入学は、医療人の高齢化、人材不足が進む紀南地方の学生が薬剤師になれる、また新しいチャンスであるというふうに思います。ぜひ和歌山高専から県立医科大学薬学部に編入できる道は開けないものでしょうか。知事の御所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山工業高等専門学校というのは物すごく立派な高専でありまして、私も、一緒に見さしていただいたり、生徒さんと議論をさしていただいたりしましたけれども、本当にすばらしい学校をつくってくれてるなあというふうに思っております。学力も物すごく高くて、途中から大学生になってしまうという人が結構いるということもよく承知しております。
 その学校を特別に名指しをして編入をさせるという編入学制度については、外部から受験を広く認める一般編入とは異なって特定の学校からの編入ですから、指定校推薦編入という名前の編入制度になるんだそうです。これについては、入学する学生の学力の担保とか、カリキュラムの調整などの課題は当然果たさないかんということだそうでございます。
 しかしながら、そもそも大学の編入制度は、入学機会の拡大といった学生にとってのメリットに加えて、多様な人材を受け入れるということによって大学自体の活性化も期待され、多くの大学が編入学制度を実施してるということもよくわかっております。
 したがいまして、現在、県立医科大学薬学部開学に当たり、医療人としての専門知識や技能が要求される教育方針を考慮したカリキュラムの編成など準備が進められているところでございますので、今後、この指定校推薦、それからまた、それ以外の一般も含めて、編入制度の導入について、県立医科大学と一緒になって検討してまいりたいというふうに思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 2番目に、大学の設置促進について伺います。
 ただいまの県立医大薬学部と時を同じくして、和歌山市内には東京医療保健大学と和歌山信愛大学が開学することになりました。明治以来、高等教育機関が少なく、昭和62年以来30年連続、地元大学進学率ワーストワンの本県にとって夢のような出来事であり、受験生や保護者も大いに喜んでくれていると思います。
 そこで、まことに不名誉な地元大学進学率は3大学開学でどうなるのか。また、大学建設や、学生、教員等、数千人が和歌山市中心部に集まってくることになりますが、経済効果はどうか。大学の教員は研究者であり、現在、薬学分野でも発明は25%は大学で行われているという報告などがあり、大いに期待をいたしております。
 また、国では地方創生の一環として、地方大学の活性化や地元大学進学率を33%から36%に引き上げることを目標にしています。残念ながら和歌山はこんな率を達成するところまでは行かないと思いますけども、今、東京に集中した大学を地方に移転を促進するということも国で言われております。そういう意味で、私は大学設立・誘致のチャンスが来ているのではないかというふうに思っております。
 大学は、子供たちの教育、地元定着、保護者の負担軽減、新産業育成のための研究者招聘、人材供給、地域発展の起爆剤など、大いに効果がありますが、今後の取り組みを知事に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、地方創生の観点から、若者の県外流出を防ぐ1つの方法として、地方で若者が学ぶ場所と働く場所を確保していくということが大切であるというふうに思います。
 他方、県の課題として高齢化社会に向けた医療・福祉対策とか子育て環境や幼児教育の充実が求められておりまして、これらの分野で専門性の高い人材を育成して確保するということが大変重要であり、この3大学はそういうところにまことに役に立つので、大変評価をしてるし、努力したかいがあったなあというふうに思っております。
 3大学が開学いたしますと、入学定員は平常時270名増加いたします。県内高校生の進学先の選択肢は当然広がるわけですが、現在は県内高校からの県内大学への進学率は実は11.4%しかないわけでございまして、実際には全部県内からこの3大学に進学するわけではないと思いますので、今はもうただの計算なんですけども、先ほどの県内からこの3大学へ全員進学した場合は、実は地元大学進学率は6.2%上昇することになります。そういたしますと、あの不名誉な記録は一応なくなって、下のほうに数県できるということに実はなるわけでございますが、ちょっと仮定が現実には難しいので、現実にはそこまでは行かないと思います。最大値だと思ってくださいませ。
 加えて、このほかに、地域で必要となる資格の取得によって地元就職の機会を確保することにもつながり、若者の県内定着に結びつくものであります。
 それから、先ほど言いましたように、地域医療に必要な看護師、薬剤師、それから、仕事と育児の両立支援の充実などに必要な保育士などの確保に、実はこの3大学は大変効果があるというふうに思っております。経済効果も当然あると思います。
 大学の設置・誘致は、したがって一般的にはぜひ進めるべきことだというふうに思うわけであります。ただ、何度か申し上げておりますが、現在は大学の経営自体が少子化という敵によってなかなかピンチになっておって、事業採算性など難しい状況から、大学冬の時代というのが一般的な現状であります。ただ、その中でも卒業後の職が保障されているような大学はまだまだ見込みがあるということで、3大学がうまくいったわけであります。
 今後もそういうような状況にあるものを見出し、それで一般的には冬の時代であってもやろうというようなそういう大学があれば、ぜひチャンスを逃すことなく誘致に努めていきたい、そんなふうに思います。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 大学の、何というんでしょうか、どういう大学をつくっていくか。県立でやればまだできると思いますし、学生も集まると思いますが、だけど、まあ県立医科大学薬学部ができたので当面は難しいかなというふうに思いますが。和歌山でつくろうよという、そういう動きがないのも本当に寂しく思いますけども、ぜひいいアイデアを出していってつくりたいと思いますし、東京にいっぱいあるなら和歌山へ呼んでくるというのも1つの方法かもしれないと思います。
 知事がどこかで講演をされたのをネットで拝見をしました。それで、和歌山県が高度成長期後半に発展しなかった分析として、自動車だとか、それから家電がないのでよそに比べたら伸び悩んだという、そういう講演資料を拝見したことがありますけども、これから和歌山県の経済を引っ張っていってくれるような新しい産業、そういうものをこれから和歌山につくっていくとすれば、そういう人材を養成するような大学が和歌山にまだまだできるんじゃないかというふうに思います。
 それは、1つは情報工学。これから人工頭脳を初め情報工学関係の人材は70万人必要とされてるというふうなことも伺ってます。幸い、総務省の統計局が和歌山県に統計センターをつくっていただきましたので、そういう関連で伸ばしていけば可能ではないかと思いますし、和歌山県は海に面してますから、海洋開発も可能だと思うんです。
 メタンハイドレートは和歌山県沖には──和歌山県沖じゃありませんけど、日本の海の周りには200年分あるというふうに思います。メタンハイドレートが開発されたら紀南地方の海岸もアラブ湾岸のようになる可能性もなきにしもあらずだというふうに私は思っておりまして、そういう大きな視点でぜひ──これは私、思いますけども、今、大学が来てくれたのは、ある程度向こうから来てくれたみたいなところがあるので、こちらから呼びに行こうと思ったら、知事直轄の、それぐらいの何かチームをつくってやっていただく必要があるんではないかというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次、質問を続けます。がん対策についてであります。
 がんは、国民の2人に1人が罹患し、3人に1人が亡くなっています。私は、父をがんで亡くした経験から、まずはがんにならない生活を送ることが大切だと思います。しかし、高齢化や生活の変化でどうしてもがんになってしまいます。そのときは一刻も早く発見し、早くやっつけることです。万が一、発見がおくれた場合は観念して、緩和ケアを受けながら残りの人生を充実するよう努めたいと思います。
 しかし、最近はゲノム治療や新薬など、先端医療が次々と開発され、生きてさえいれば新薬などで助かることもあると聞いたので、石にかじりついてでも生き抜きたいと思います。
 さて、本県では、第3次がん対策推進計画案を策定し、目下パブリックコメントを実施中です。平成20年の計画策定以来、2次にわたり改定してきましたが、今回はどのような目標を立てているのでしょうか。福祉保健部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 本県は全国と比較してがんの罹患者や死亡者が多いことから、がん対策は重要であるとの認識のもと、平成30年度から6年を計画期間とする第3次和歌山県がん対策推進計画の策定を進めているところです。
 この計画では、がんの75歳未満年齢調整死亡率の低減、科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実、患者本位のがん医療の実現、尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築の4つの大目標を設定しています。県としましては、この計画に基づき総合的ながん対策を推進し、がん患者を含めた県民が生き生きと生活することができる地域社会の実現に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 2番目に、セカンドオピニオンについて伺います。
 がんと告知された患者は、一瞬で頭が真っ白になり、我に返るのに2週間もかかると言われています。人は自分だけは大丈夫と誰しも思っていますから、自分の死の可能性を宣告され、驚くのは当然のことかもしれません。
 そこで、がんの告知に際しては、セカンドオピニオンの制度があることや治療方針、緩和ケアについて、場合によっては家族も交えて丁寧に説明する必要があります。これらの説明いわゆるインフォームド・コンセントを行うことで、患者はがんと闘う強い気持ちを持つことができます。また、残された時間を有意義に使うことができるようになります。
 私たち議員で平成24年にがん対策推進条例を制定するに当たり、患者団体からインフォームド・コンセントについて強い要望があり、第8条に盛り込みました。
 そこで、インフォームド・コンセントのうち、最も一般的なセカンドオピニオンについて、現在どの程度行われているのでしょうか。実態について、福祉保健部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) がん治療におけるセカンドオピニオンについては、昨年、県が独自に通院しているがん患者やがん体験者に対する調査を行ったところ、約8割の方がセカンドオピニオンを利用しておりませんでした。また、県が県民を対象にした別の調査では、がん治療におけるセカンドオピニオンについて、約2割の方が知らない、わからないと回答しており、引き続きセカンドオピニオンを普及させる必要があると認識しております。
 セカンドオピニオンの普及には、がんと診断したときにその希望について医師から問いかけることが重要であることから、県内のがん診療連携拠点病院等でロールプレイングによるセカンドオピニオンの実践的な研修を行っており、平成20年度から昨年度までに延べ1130名の医師が受講しています。
 今後も、がん診療に従事する医師を対象に研修を進めるとともに、県民に対しても、県の広報媒体を活用してセカンドオピニオンについて周知啓発するなど、医師、県民双方への働きかけにより、がんと診断されたときにセカンドオピニオンを受けやすい環境づくりに取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 質問のすり合わせの関係でこれはセカンドオピニオンということになったんですけども、条例には、セカンドオピニオンだけじゃなくて、治療方針だとか緩和ケアのことについてもちゃんと説明するようにというふうになっております。私は患者団体から聞いたので、これはどんなになってるか、いつも気になってました。
 それで、先ほど部長から御報告がありましたように、県のほうでは昨年、がんに関する患者アンケートというのをとっていただきました。これはネットとか見てもほとんど見たこともないし、大変貴重な、和歌山県のがん患者の皆さんのお気持ちがあらわれてるすばらしいアンケートだというふうに思います。
 それを拝見しますと、先ほどありましたように、セカンドオピニオンは80%の人が受けたことがないと。セカンドオピニオンを受けたことがないぐらいですから、ほかも当然行われてない。ということを考えますと、がんであるということを告知することは、もう今、当たり前のことですけども、先ほど申し上げたように、がんやということだけ言われてもびっくりするだけで、どうやって闘うかとか、どうやって残りの人生を過ごすか、そういう気持ち、納得してやれるような、そういうことの取り組みがぜひとも必要だと思いますので、今度やったらもっといい結果が出るようにお願いをしておきたいというふうに思います。
 続けて、質問をさせていただきたいと思います。
 次は、先端医療の状況と県の考えについてであります。
 私は、がんの先端医療について、平成25年の2月、ホウ素捕捉療法、26年12月には粒子線治療、昨年2月には米国が国家戦略で取り組む精密医療について質問しました。精密医療は、患者の遺伝子情報を読み解き、人工頭脳で世界中の論文、情報から最適な治療方法や薬を検索するというものであります。
 その後も、スクラムジャパンなどのゲノム治療や米国立衛生研究所の小林久隆先生のがん光免疫療法、検査方法も尿を線虫で判定する方法など、日進月歩の進歩を続けています。
 先端医療の状況と県の考えについて、福祉保健部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) がんの治療は、保険適用の治療として行われている標準治療に加え、さまざまな新しい治療法が研究されています。中でも、遺伝子の解析を行うことで個人ごとの違いを考慮した、より効率的、効果的に診断と治療などが行える最先端の治療法の1つとして、がんゲノム医療が注目されております。
 国は、がんゲノム医療を推進するため、東京大学や京都大学の附属病院など、11カ所の病院をがんゲノム医療中核拠点病院として指定したところです。がんゲノム医療中核拠点病院は、がんゲノム医療を牽引する高度な機能を有する病院であり、がん患者の遺伝子の検査や分析結果をもとに、治療方法の決定、治療及び研究などを行う病院です。
 今後、国では、より身近なところでがんゲノム医療が受けられるよう、がんゲノム医療中核拠点病院と連携し、遺伝子検査の結果を踏まえた治療などを行うがんゲノム医療連携病院を指定する予定です。
 県としましては、がんゲノム医療を初め、日進月歩で研究が進むがん先端医療について、常にアンテナを高くして情報収集するとともに、県内のがん医療体制の充実に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、スクラムジャパンが発表されたときに和歌山でもやってるのかなと思って見ましたが、県立医科大学は入ってませんでした。和歌山県がその先端的な医療をやろうと思ったら、県がやるんじゃなくて、やっぱり県立医科大学に頑張ってもらわなくてはいけないわけです。県としては、医科大学に勝手にやっといてもらうんじゃなくて、先導してやろうと思ったら、それこそ先端医療についても、部長言われましたけども、大いにアンテナを高くしていただいて、さらにそれを医科大学にやってもらう、そういう取り組みをぜひお願いしたいと思うんです。
 和歌山県、がんで亡くなる人はほかの県よりも多いんです。だから、よほど取り組まないと率は下がらないというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 続けます。子宮頸がんワクチンについて伺います。
 子宮頸がんは、性交渉に伴うウイルス感染が原因で、唯一ワクチンで予防ができるがんとして世界中で予防接種が実施されています。
 私は、平成22年6月定例会で、近畿で初めて予防接種を始めた御坊市に対して県の支援を要請しましたが、仁坂知事は、国への支援要請と県でも対応を考えるとの御答弁をいただきました。おかげで、その後、定期接種になり、無料で中学1年生が3回受けられるようになりました。
 しかし、平成28年、副作用を訴える裁判が起こされ、現在、全国の125人が東京、大阪、名古屋、福岡の地裁で係争中です。その過程でメディアは、けいれんや痛みを訴える女子を積極的に取り上げ、「怖いワクチン」というイメージが広く浸透し、ほとんど接種する人がいなくなりました。国では、定期接種の中止はしませんでしたが、積極的な接種勧奨は差し控えることになりました。
 子宮頸がん予防ワクチンは、子宮頸がん全体の50%から70%の原因とされる2種類のウイルスに予防効果があり、WHOが推奨し、多くの先進国で公的接種になっています。
 昨年、ワクチンの安全性を検証する発信を続けてきた医師でジャーナリストの村中璃子さんが、公共の利益のために科学や科学的根拠を広めることに貢献した人に贈られるジョン・マドックス賞を受賞されました。
 我が国では、毎年約1万人が新たに子宮頸がんになり、約3000人が亡くなっています。しかし、ワクチンを積極的に接種勧奨しないことで、若い多くの女性の命が危険にさらされております。県においても、このまま傍観するのでしょうか。福祉保健部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 子宮頸がんワクチンは、平成22年度から国事業による市町村における任意接種として開始され、平成25年4月1日からは、予防接種法に基づく定期接種に位置づけられました。
 その後、接種との因果関係を否定できない広範な疼痛や運動障害等の症状が複数報告されたため、平成25年6月14日、国から、当該定期接種の接種対象者への市町村からの個別通知を差し控えるよう、地方自治法に基づく勧告がされたところです。現在、国の予防接種副反応検討部会において、ワクチン接種後に生じた症状と子宮頸がんワクチンとの因果関係について調査、審議されております。
 県としましては、ワクチン接種の安全性の確保が最も重要と考えており、国の検討部会の審議により安全性が確認されれば、接種勧奨を行ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 どんどん進めていきたいと思います。
 次は、日高川についてであります。日高川の支流であります西川の改修について伺います。
 西川改修には、平成29年度補正予算で10億5000万円が計上されました。平成30年度当初予算約2億1000万円と合わせて12億6000万円となり、早期完成に向け河道掘削が一挙に進むことになりました。この際、知事の御英断や二階俊博・自民党幹事長初め、関係者の皆さんの御尽力に感謝を申し上げます。
 西川流域の河川整備計画は、総延長が10キロ余りあり予算も巨額になることから、完成はいつのことになるやら心配する声もあります。今回の予算で大いに勢いがついたと思います。どうかこのペースで事業を進めていただくよう強く要望しますが、今後の事業取り組みについて伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 西川の改修の今後の取り組みについての御質問でございます。
 西川の改修につきましては、平成28年3月に策定された日高川水系河川整備計画において、西川大橋から支川・志賀川合流点までの約4.8キロ区間の護岸整備や河道掘削などが位置づけられており、今年度から工事に着手しております。この改修により、西川本川については、近年最大である平成18年9月豪雨と同規模の出水を安全に流下させることができ、流域支川を含む浸水被害面積が約250ヘクタールから約50ヘクタールに軽減されることになると考えてございます。
 また、今年度の補正予算においても当初予算を大幅に上回る予算を確保し、大川橋から上流約0.3キロ区間の護岸工事や下流から大川橋付近までの河道掘削を行う予定としてございます。
 今後とも、さまざまな機会を通じて予算を確保し、早期改修に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、西川河口水門について伺いたいと思います。
 平成29年度から国土交通省が、日高港で地震・津波対策として約25億円の予算で防波堤を強化しています。同事業の早期完成をお願いすると同時に、御坊市及び美浜町の約1万人以上が居住する市街地を浸水から守るために、西川河口水門を整備していただきたいと思います。
 西川河口水門は3連動地震の地震・津波対策として有効であることが、流体工学が御専門の和歌山高専・小池信昭教授や学生たちの研究で発表されています。また、地元の美浜町や御坊商工会議所が設置する津波防災研究会が事業化を要望していますが、県土整備部長の所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 西川河口への水門設置についてでございます。
 和歌山県では、平成26年10月に策定した「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」に基づき、3連動地震の津波避難困難地域の解消と、経済被害を抑え、早期の復旧・復興につなげるための港湾及び漁港等の既存施設のかさ上げや防波堤の強化等の津波対策を進めているところです。
 御坊市及び美浜町には3連動地震による津波避難困難地域が存在しないため、日高港や西川河口部においては、同プログラムに基づき、背後地域の被害軽減や早期の復旧・復興につなげることを目的とした既設防波堤のかさ上げ及び拡幅や護岸のかさ上げ等による対策を講じることとしており、今年度から日高港の既設防波堤のかさ上げ及び拡幅が国直轄事業において着手されたところでございます。
 議員御指摘の西川河口部への水門設置は、津波の西川への遡上を防ぐ効果はございますが、一方で、水門で西川をせきとめることによる河川水の氾濫や津波の日高川本川への遡上、また、周辺地域への反射波による影響などが懸念されるところでございます。
 これらを解消するためには、水門閉鎖時に河川水を排水する大型のポンプ設備や反射波の影響を受ける日高川左岸の護岸かさ上げ等の対策が必要となるため、西川河口部の津波対策は、現時点では護岸のかさ上げ等が最適であると考えてございます。
 実施に当たりましては、再度、御坊市や美浜町との調整を図り、地元の意見も踏まえ、防災・減災上の利点等を総合的に勘案した津波対策を講じてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 水門のことについてでありますが、水門を閉じると上流から来た水があふれるんじゃないか、私もそういう心配を思いました。
 何年か前に、実は日高川に河口水門をつくったらどうかという、そういう議論がありました。これは要望するところまでももちろんいってないんですが、今、参議院に当選をされております、国交省の技監もされた足立先生にお話というか相談をさせていただいて、これは予算も要りますけど、日高川の河口を閉じたら上流からいっぱい水が来てあふれてしまいますよねというふうに言ったら、そんなことはないんだと。もちろんあふれはしますが、下流から来た津波の圧倒的な水の量に比べれば、そんなものは知れてるんだよという、そういうような御指摘がございました。
 それから、閉じたときの反射波ですけども、先ほど申し上げた和歌山高専の小池先生たちの発表によりますと、反射波は確かにあることは間違いないんですが、それがもう反射して、対岸だとか上流に物すごい波が行くというようなことでもなさそうでありますので、ぜひ、これから研究していただけそうなので、よろしくお願いしておきたいと思います。
 続いて、質問を続行いたします。
 次は、放置艇対策についてであります。
 平成18年度全国放置艇実態調査による県内公共水域のプレジャーボート約6500隻のうち約8割が放置されている状況を受け、津波来襲時の2次被害や船舶の航行、周辺環境への支障から、県では平成20年3月に和歌山県プレジャーボートの係留保管の適正化に関する条例を制定し、係留保管場所の確保等のハード対策と規制強化のソフト対策を進めてきました。
 ハード対策としては、平成21年10月に和歌山市の久保丁小型船舶係留施設が供用されたのを皮切りに、県全域において施設整備が進められ、日高川水域にある放置艇の対策が急がれる状況です。
 プレジャーボートを所有し、釣りを楽しむことは、本県のような海洋県ならではのすばらしい趣味で、京阪神からも釣りが目的で移住も進んでおります。また一方、いつ起きても不思議でない南海地震に備えても、係留施設の整備は待ったなしの状況にありますが、県土整備部長に日高川水域の放置艇対策について御所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 日高川水域における放置艇対策についてでございます。
 日高川河口部及びその周辺地域の放置艇対策につきましては、日高港内に係留施設を整備するなどの取り組みの結果、平成29年6月時点で放置艇は約140隻となりました。現在、残る放置艇の解消に向け、まずは所有者不明の放置艇撤去や近傍の既存係留施設への誘導などの取り組みを進めているところでございます。
 所有者不明の放置艇撤去につきましては、所有者調査や価値の有無を調査し、約30隻について撤去を進めています。また、近傍の既存係留施設への誘導については、所有者の意向を踏まえ、日高港内などへ約30隻が移動する予定でございます。
 これらの取り組みが順調に進めば、平成30年度中には、この地域の放置艇が約80隻まで減少する見込みとなっております。
 日高川の河口ではさらなる係留施設の整備が必要ですが、河口周辺は、県立自然公園の区域に指定されるとともに日本の重要湿地500に選定され、環境への配慮が求められます。また、外洋に面し波の影響を受けやすく、静穏な水面が限られる地形であることから適地が限定されていると考えてございます。
 整備の候補地選定に当たっては、コストや自然環境に与える影響なども考慮し、地元の御意見も伺いながら、さらに検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後に、県産オリジナル米の開発について伺います。
 昨年10月の台風21号により、県内各地では土砂崩れや水害が発生し、道路工事現場の崩落で死者が出るなど大きな被害がありました。
 御坊市の上富安地区では、富安川上流にある頭首工の護岸が崩壊しました。激甚災害の指定を受け農家負担が軽減されたので、何とか復旧できるとの報告がありました。
 この地区では、扇状地を流れる河川の各所に設けた頭首工から取水して稲作を行っています。実はこれらの頭首工は、扇状地の土石流の流速を下げる砂防堰堤の役割も果たしていますが、現在、農家の減少とともに水田が減少し、維持することが困難になっています。
 そもそも県内の稲作は2000年以上前の弥生時代に始まりましたが、河口近くの沖積平野や河川流域に水田をつくり、水路をめぐらせる治水を行うことで集落を形成し、また、富を蓄積することで紀の国として発展してきました。特に江戸時代は、土木技術が発達し、大規模な新田開発が行われ、御三家にふさわしい55万石の大藩になりました。
 ところが、先人が2000年かけて築いたこの仕組みが高度成長以降の数十年で崩壊しつつあります。農家の減少や米価の低迷に加え、市街地の拡大で水田が劇的に減少しています。その結果、日高地方の西川流域や和歌山市の和田川流域ではたびたび河川が氾濫し、内水があふれています。
 私は、両親が力を合わせて先進的な農業をする姿を見てきました。しかし、稲作に関しては採算を考えずにやっていたので、農家には、2000年間に刷り込まれた米をつくるという遺伝子が組み込まれているのだと思っています。残念ながら、その遺伝子は私に伝わることはなく、我が家の田畑は、一部を除き原野に戻りつつあります。我が家だけではなく、古代に出雲から移住してきたという私の地区では、現在、耕作放棄地が急増しています。
 昨年、地域では一等田と言われた我が家の耕作放棄地に農業委員会から管理について尋ねがありました。ぜひお願いしたかったのですが、先日、中間管理機構からは適地ではないとの返事でした。
 以上、私の経験を申し上げましたが、水田の公益的価値や稲作の現状はどうなってるのでしょうか。農林水産部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 水田は、米を生産する場としての役割だけではなく、洪水の防止機能を初め、水源の涵養や生物多様性の保全、農村景観の形成など、公益的な機能を持っているものと認識してございます。
 議員御指摘のとおり、本県の水稲作付面積は、米の消費量の減少や米価の低下などにより、高度経済成長期の最終年とされております昭和48年の1万6200ヘクタールから、平成27年では6900ヘクタールへと減少しております。
 このうち、販売を目的としている作付面積は3706ヘクタールであり、その農家数は7132戸となっております。販売農家1戸当たりの平均作付面積は約0.5ヘクタールと小さく、県内の担い手農家のほとんどは、果樹、野菜、花卉を経営の基幹としており、米は副次的な収入にとどまっているような状況でございます。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私は、稲作の継続のためには高く売れる米が必要だというふうに思います。高く売れる米は、農家の経営も助けます。それは何かというと、新しい米の品種を開発することが一番早いんではないかというふうに思います。おいしい御飯もそうですけども、和歌山らしいといえば、茶がゆに合う米とか、それからなれずしに合う米というのがあってもいいんじゃないかというふうに思っております。
 ことしは減反が廃止されて、これから産地間の競争になるというふうに言われております。それから、若い人たちは米を食べないということだとか、温暖化が進むので、全国的に米の新品種が開発されています。
 それから、新潟の「新之助」だとか、産地でもいっぱい出てきております。でも、産地だけではなくて、和歌山は生産量42位ですけども、40位の高知県でも14年かけた「よさ恋美人」というのをことし発表されました。高知県でもされてます。それから、香川県でも「おいでまい」というのを開発したそうです。長崎県は、38位ですけども、国がつくった新品種を「にこまる」という名前でブランド化したそうであります。
 私は、市場性だとか、それから話題性でということだけではなくて、観光立県とか農業先進県を、和歌山ではやはり新しい米をつくるということが必要ではないかと思うんです。和歌山へ来たら、コシヒカリよりもやっぱり和歌山にしかない米を食べたいというのは旅人の心情であり、耕作放棄地だらけの和歌山の立派な農産物ができても、本当にブランドとは言えないんじゃないかなというふうに思っております。
 最近は、近畿大学の生物理工学部でも米の品種改良をされてるというふうに聞いております。私は協力してできるんじゃないかと思いますけども、知事の御所見を伺いたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県では、数年前から農事──試験場の研究テーマですね、これについては、広く県民、特に農業者その他のニーズを踏まえ言ってもらう、それから我々当局のほうで言ってもよい、研究者のほうもやりたいことがあるだろうと、みんなそれぞれ希望を出して、それで専門家が一番ふさわしいと思うものを選んで、それでやっていこうというような制度をつくりました。米の和歌山県オリジナルの品種を県がつくるかどうかについては、このスキームの中で議論されるべきもんだというふうに思っております。
 そこまでで終わりにすると、きっとおまえの意見を言えということであろうかと思いますので、以下、必ずそうしなきゃいけないというわけじゃないんですが、私が今思ってることだけ申し上げます。
 米の品種開発については米の研究所が熱心に研究開発しておりまして、ここ10年間に89品種を開発しております。本県を含む西日本各府県の共通の課題である夏季の高温による品質低下について、これが今、国の重要な研究開発目標として取り組まれてるというふうに思っております。
 現在、米の育種に取り組んでいない本県が取り組むとすると、大体15年ぐらいかかるだろうというふうに県庁の専門家は言うておりまして、本県では、国の研究所等での取り組みによって育成された品種から本県の気候条件に適した品種を選定して普及に移したほうが、コストパフォーマンス的にも、実力的にもいいんじゃないかなあというふうに我が専門家は言うております。
 県では、国が育成した品種から、昨年2月には夏季の高温下でも品質のよい「にこまる」と「つや姫」、先ほど言っていただきましたが、その「にこまる」と「つや姫」を新たに導入したところでありまして、今後も優良品種の早期の導入に努めるとともに、その普及に力を入れていきたいと思っております。
 近畿大学生物理工学部がどのような米の品種改良に取り組んでいるか、実は明らかにされてないんですけれども、本県の特性に合った品種改良に取り組んでいらっしゃるというんであれば大変心強いことなので、国の開発品種と同様に、県としても、普及のための特性調査等、協力できるところについては一緒にやっていきたい、そんなふうに思っております。
 ブランド米の育成ということであれば、優良なオリジナル品種を開発する方法もあります。最近、北海道なんかがやってるようなやり方ですが、「魚沼産コシヒカリ」とか本県の「天野米」のように、地域の特性に応じた栽培方法やその地域が持つイメージをブランド化することで、米を比較的高価格で販売する方法もあると思います。
 県では、オリジナル品種にこだわらず、国等が開発した品種の中から本県に一番ふさわしいものを導入すればよいと考えておって、他地域と同じ品種でもつくり方などは工夫して、ブランド化に取り組んでまいりたいと思っております。
 以上、私の意見でありますが、このとおりするということは言っておりませんし、また、できるものではございません。こういう研究をやるべしという御意見があれば、ぜひスキームに乗せていただければいいと、そういうふうに思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 もっと議論したかったんですが、時間がありませんので、予算委員会で花田議員が米のことについて質問するそうであります。そちらの議論を見守りたいと思います。よろしくお願いします。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 議案第47号の質疑については、以上で終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 議案第47号は、福祉環境委員会に付託いたします。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時48分散会

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