平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)

 

 

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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。最後まで、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
 まず1点目は、周遊観光についてでございます。
 関西広域連合では、東京2020オリンピック・パラリンピックの年までに、関西により多くの外国人観光客に来てもらうこと、関西を広く周遊し滞在してもらうこと、これを目指しているところであります。
 2020年までに関西への訪日外国人訪問率を45%、同旅行者数を1800万人、宿泊者数は3700万人、旅行者の消費額、これは3兆円を目標に定めているところであります。
 関西での観光振興の課題は、外国人観光客は関西では増加しているものの、インバウンド消費の実に90%が大阪と京都に集中していることです。これを関西全体に波及させることが大きな課題で、そのため関西広域連合では関西観光・文化振興計画の変更を行い、都市部に集中しないで関西全体を周遊する計画を目指しているところであります。
 和歌山県にとってこれは好材料であり、和歌山県内にも外国人観光客が増加していますが、関西全体で占める割合は低いので、今後さらに誘客するための外国人観光客対策に取り組むべきだと思います。
 ただ、香港では3.5人に1人、台湾では5人に1人が既に日本を訪れているなど、今後は団体観光ではなく、個人観光に向けた受け入れ環境を整える必要が出てきていると言えます。個人観光客は専門的な考え方で観光地を選択する傾向にあるため、和歌山県の地域の個の魅力を発信することがさらに求められるのではないかと思います。
 そこで、1問目であります。
 関西で増加している外国人観光客を和歌山県に呼び込む方策についてお聞かせいただきたいと思います。また、和歌山県内だけの周遊コースの企画だけではなく、関西を周遊する中での和歌山県周遊コースが必要だと考えますが、関西を初めとする他府県との連携についても含めて、商工観光労働部長の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 海外へのプロモーションにつきましては、和歌山県を旅の目的地として売り出す、広域周遊モデルとして和歌山県を売り出すの2つの視点を持って事業実施に取り組んでいるところです。
 現在、和歌山県では、26のターゲット国・地域を定め、職員が現地に赴き、そのニーズを把握、分析した上で、和歌山に行ってみたいという旅行動機を喚起するメディア対策や、和歌山への旅行手段となる商品化を目的としたプロモーション活動を展開しています。
 広域的な取り組みとしては、例えば、紀伊半島3県の歴史的、文化的な親和性を生かし、奈良県、三重県と連携した伊勢・熊野の周遊モデル、富裕層を対象としたラグジュアリーツアーとして京都市、奈良市と連携した世界遺産をめぐる滞在モデル、都市と農林山村体験をテーマに大阪府と連携したインバウンド教育旅行などに取り組んでいるところです。
 また、ラグビーワールドカップや関西ワールドマスターズゲームズ開催に向けた関西広域連合ニュージーランドプロモーションや、カンタス航空の関西国際空港就航を受けた関西観光本部オーストラリアプロモーションにも参加し、オール関西としての認知度向上にも取り組んでいます。
 今後とも、近畿府県や関西観光本部、日本政府観光局等と連携し、オール関西としての活動を強化するとともに、和歌山県に行ってみたいと思っていただけるプロモーション活動に積極的に取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 先週の土曜日、関西広域連合がありまして、そこで、山田委員・京都府知事が、昨年の関西における外国人の伸び率が、関西全体では8%、東京がマイナス10%ということで、観光の分野では東京に勝ったということで、非常に議場にいる我々も感動したところなんですが、ぜひその伸びる観光客を、和歌山にぜひ誘客、引っ張ってくるという強い気持ちで臨んでいただければありがたいと思います。
 続けて、関西における観光客の消費額ですが、この90%が、先ほど言いましたように大阪と京都に集中しているということであります。和歌山県を訪れる外国人の購買意欲を促し、消費額をふやすための方策について、商工観光労働部長の答弁をお願いします。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 観光客による県内消費拡大は、重要なテーマであります。最近の外国人観光客の消費動向を見ると、「もの消費」から「こと消費」へ移ってきており、急速な個人旅行化と相まって、体験型観光への需要が増大しています。
 体験型観光は、和歌山県の観光資源の特性や地域振興を考える上で最適なものと早くから着目し、その開発に取り組んできており、平成28年実績として、353の体験メニューに約35万人を超える観光客の参加実績が報告されています。
 インバウンドに関して見ると、主要観光地と体験メニューを組み合わせたモデルプランとして、熊野三山と古座川のカヌー体験や、高野山と写経・瞑想体験、白浜温泉と季節のフルーツピッキングなどが好評を得ているところですが、そのメニュー数は32事業にとどまっています。
 県では、より多くの外国人観光客に体験型観光を利用していただくため、体験事業者数の増加やメニューの拡大を目的とした研修会を開催し、受け入れ体制の充実を図っています。
 今後、体験メニューを組み合わせた周遊プランの提案、海外エージェントやメディアを招いたファムツアーの実施など、情報発信の強化と旅行商品化を促進する取り組みを行い、県内における滞在時間と消費の拡大を図ってまいります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 この項目、3点目でございます。
 大きな課題の1つが、観光施策と飲食業界との連携がいま一つ弱いのではないかなという感じがしているところであります。
 例えば、和歌山市を訪れる外国人観光客は、直近5年で10倍に増加しているんですが、外国人が増加している割には飲食店に外国人が来られていない、来店していないというふうな状況があるようです。
 これは、観光行政と飲食業界との連携が図れていないことも1つの要因だと思っております。観光客が和歌山を訪れても、飲食店との連携が十分に図られていないことから、例えば、ランチやディナーなど、ホテルから出て飲食店で飲食を楽しむ、和歌山の食を楽しむ、その外国人客がふえていないように思われます。
 和歌山県、そして飲食組合、ホテル業界などが連携を図り、観光客が飲食店に来るような工夫ができないものでしょうか。観光客が宿泊地で飲食するためには、ホテル、飲食店との連携、飲食店の中でも、例えば、ライブハウスやイベントなどの情報提供などが必要だと思いますが、観光と連携した取り組みについて、商工観光労働部長の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 観光客のさらなる追加消費を促すため、和歌山の夜の楽しみ方を提案することは急務と考えており、飲食店や夜のイベント情報の発信力の強化を目的とした特設サイト「night life in WAKAYAMA~和歌山の夜の楽しみ方~」──仮称でございますが──の立ち上げを準備しております。
 この特設サイトは、多言語で飲食店やライブハウスなど、民間事業者の情報をリアルタイムで提供するとともに、施設利用者の口コミ情報が確認できるものとして整備してまいります。また、商工会議所、商工会や飲食業組合と連携することにより、特設サイトへの参加数の増加を図っていきます。
 さらに、このウエブサイトの周知に当たっては、和歌山県の観光のゲートウエーとなっている「わかやま観光情報」、多言語観光サイト「Visit Wakayama」と相互リンクを行うとともに、観光案内所やホテルのフロント、客室などに案内ツールを設置してまいります。
 今後、特設サイトの充実により、飲食店情報や夜のイベント情報の発信力強化を行い、観光客による消費拡大に努めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 2点目の項目に入ります。薬物乱用防止についてであります。
 和歌山県は、薬物乱用防止のため、全国で先駆けて抑止のための条例を制定するなど積極的な取り組みをしていると思います。先日行われた公立学校での講演、「わかやま NO!DRUG!フェスティバル」を初めとする啓発活動を実施していることを頼もしく思っているところであります。
 そこで、第1問です。
 和歌山県では薬物違反の検挙が多いと聞きます。薬物違反の平成29年度の検挙人員などを示して、実際はどうなのかをお示しいただきたいと思います。警察本部長にお尋ねします。
○副議長(山本茂博君) 警察本部長宮沢忠孝君。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 平成29年中の薬物事犯は184人を検挙、その内訳は、覚醒剤事犯が130人、大麻事犯が48人、麻薬等事犯が6人であり、前年比ではプラス19人で、特に大麻事犯がプラス29人と大幅に増加しております。
 検挙被疑者の府県別では、県内居住者が約60%、大阪府を初めとする県外居住者等が約40%です。
 薬物事犯は、窃盗、詐欺等の財産犯罪とは違い、被害申告のない犯罪で、県内における薬物乱用者等の実態は不透明な部分もありますが、今後も、県警の大きな課題の1つとして、薬物事犯の根絶に向け、供給元の壊滅と末端乱用者の検挙に向けた強力な取り締まりを推進してまいります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今の答弁をお聞きしまして、検挙率もさることながら、大阪など県外が40%という比率をお聞きしまして、これは県警として、多分さっき答弁にありましたように、入手元というんでしょうか、探ってるという意味だというふうに思いますんで、ぜひしっかりと、使ってる人よりもさらに上流というところまで踏み込む、そういう活動をお願いできたらと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 その上に立って、特に、若い人たちに向けては、薬物乱用防止の啓発とともに、危険ドラッグ被害の根絶に向けた取り組みを実施していると思いますが、それが和歌山県薬物の濫用防止に関する条例ですが、この規制による効果や、県民を薬物乱用、危険ドラッグから守るための方策について、これは知事からお答えいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 悲惨な事故や事件につながる危険ドラッグの乱用は、県民の健康と安全を著しく阻害するおそれがあることから、県では、危険ドラッグによる被害の根絶を目指し、平成24年12月に和歌山県薬物の濫用防止に関する条例を制定し、全国に先駆け、他法令で禁止できない商品を迅速な規制ができる知事監視製品制度を設けたところであります。
 具体的には、インターネット販売サイトなどに対する徹底した監視を行いまして、お香などと称して身体に使用されるおそれがある商品を知事監視製品に指定し、県民への販売を規制しているところであります。
 こういった先駆的な規制により、県内にあった販売店舗を全て閉店に追い込んだこと、平成27年度以降、県内の医療機関から危険ドラッグによる健康被害事例の報告がないこと、一部のインターネット販売サイトが和歌山県民への販売を敬遠していることなど、大きな効果があったものと考えております。
 しかしながら、依然として次々と新たな危険ドラッグの販売がインターネット上で出てくるわけでございますんで、これを確認すると直ちに監視製品にして、今後も徹底的に規制を行っていく所存であります。
 また、薬物乱用防止については、薬物乱用防止指導員を約400名依頼しておりまして、地域に根差した啓発活動を実施するとともに、薬物乱用の低年齢化が懸念されることから、若いうちに薬物の危険性に対する理解を深めることができるように、小中学校、高等学校で予防教育に積極的に取り組んでるとこであります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ところで、和歌山市内に一般社団法人和歌山ダルクという薬物依存症の方の回復施設がありまして、社会復帰を目指すためのプログラムを実践してくれております。和歌山ダルクの特徴は母子で入寮できる回復施設であることで、これは全国で和歌山ダルクだけが有する機能、特徴ということになっております。
 この和歌山ダルクで活動している池谷大輔さんは、1月に県内の公立中学校で薬物乱用防止の講演をしてくれた方で、これ、僕も聞いてきたわけなんですけども、生徒の感想とかも聞きますと、非常に危険性、怖さがわかったというふうな話も聞かしていただきましたし、聞いている僕も感動するほどのいろんな経験とか、かかわった人との事例などを紹介してくれたというすばらしいものだったと思います。
 そして、同じく和歌山ダルクには、島田ゆかさんという方がいらっしゃいまして、この方は、2月、和歌山市内のライブハウスで開催した薬物乱用防止を若い人たちに訴えるための「ダメゼッタイライブ」、ここでパネラーを務めてくれて、実際、ダルクの活動とか、どうしたら回復に至る道はつけられるのか、こう熱心に説明してくれた方が活動しているところであります。
 この池谷さんは、月曜日から金曜日まで、薬物から回復するためのプログラムを、施設入居者の方々が早期に社会復帰できるよう講義をしてくれております。僕も講義を受けてきたわけですけども、入寮者の方と一緒に受けてきましたけども、池谷さんの講義の内容が、薬物の体験というよりも心を改善するような、そんなプログラムだったので、強く印象に残っております。
 そこで、入居者の1人の方にちょっと話をしたら、こんな話をしてくれておりました。プログラムの成果について、こんな話をしてくれました。「先日、こんなことがありました。道を歩いていたところ、後ろから来た自転車に接触されて転倒してしまいました。私は、けがはなかったので、自転車の人に対して大丈夫ですよと答えました。以前の私だったら──つまり、薬物を使用していた時代の私だったらということ、以前の私だったらということなんですけども──こんな事故に接触した場合、相手に対して文句を言う、汚い言葉でどうしてくれるんだというふうな、例えば、補償をもらえるようなそういう話をしていたと思います。しかし、今回は、心も穏やかに、相手に対して大丈夫だからと自然に言ったことを自分でも驚きました。このプログラムを受講した結果、内心の変化だと思います。社会復帰につながるものだと、とても感謝しています」、こう話してくれました。
 続けて、この方は、「私は、刑務所に薬物事犯で入っていたんですけども、受刑者の半分近く、半数近くが薬物で刑務所に入っていますよ」と、これ、女子刑務所の話ですけども、答えていただきました。
 それほど多いわけですが、問題は再犯率の高さにあると。2度、3度繰り返すことが問題で、この方は、「幸い和歌山ダルクというところで知り合えて、プログラムを受けられてるので、社会復帰のためのステップを踏むことができてるんですけども、多くの方は、社会へ復帰して行き場所がない、またもとの友人たちに囲まれてしまうとか、そういうことが問題ではないのかな」と、こういう話を、実は伝えてくれました。
 このように、和歌山ダルクでは、薬物依存症の人のための回復施設を有しておりまして、社会復帰のためのプログラムをしっかりとしてくれていると思います。
 和歌山県は、薬物乱用防止の啓発活動と予防に努めていますし、和歌山ダルクは回復支援を行っているところであります。この予防と回復の両方が大事な取り組みだと思いますから、和歌山ダルクのこれまでの連携、来年度からの連携についてお聞かせいただきたいと思います。福祉保健部長の答弁をお願いします。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 一般社団法人和歌山ダルクとのこれまでの連携としましては、県が設置している薬物相談窓口において、相談者が抱える悩みを丁寧に聞いた上で、個々の状況に応じた治療や支援に関する情報を提供しており、特に、入寮による回復支援を希望する方については、和歌山ダルクにつないでいるところです。
 また、和歌山県精神保健福祉センターでは、和歌山ダルクと個々の薬物依存症者の生活環境の変化などの情報を共有するとともに、状況に応じた回復支援方法について緊密に意見交換を行っております。
 これからの連携につきましては、薬物事犯者は、他の犯罪に比べ再犯率が高く、社会復帰に向けた回復支援が大変重要であることから、県としましては、和歌山ダルクと回復支援に向けた課題の共有や対応策の検討を一層進めるとともに、他の民間支援団体や関係機関と緊密に連携できる体制を早期に構築してまいります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁いただきまして、この和歌山ダルクさんに入居されてる方の中で、先ほど話ありましたように、この方、女性の方ですけども、実際、昨年まで刑務所にいたと。その半数が薬物事犯だということで、出てからまた再犯、再犯と繰り返してるという状況を訴えてくれたわけです。
 例えば、こういった再犯の防止のために、県立医科大学の先生やとかいろんな方が入ってるわけなんですけども、和歌山ダルクさんなんかもそういった経験も知識も有しておりますので、例えば刑務所の中で講義をするとか、そんな機会も含めて連携をいただければありがたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 次の3点目でありますが、水素社会実現に向けた取り組みについてであります。
 ことしの2月、行政改革・基本計画等に関する特別委員会の視察で、水素の活用について行ってまいりました。
 まず、横浜市です。横浜市で実験を行っています横浜市風力発電事業は、平成27年から、地域連携・低炭素水素技術実証事業として、水素をつくり出し、貯蔵、必要に応じて供給する水素のサプライチェーンモデルの実証を行っている施設でした。
 実験では、風力発電で発電された電力を水素製造安定化システムで水素をつくり出し、貯蔵。貯蔵した水素を水素充填車で京浜臨海部の青果市場、冷凍倉庫、物流倉庫など、提携している企業の工場などの燃料電池フォークリフトで使っています。この水素サプライチェーンを全国で確立させるまでには、まだまだ長い時間を要するとは思いますが、横浜で未来型の実証を行っているなあということを感じました。
 和歌山県で実証実験を行いたいと思っても、事業環境が整っていないので直ちに実行することはできませんが、できるだけ早くこの実証実験を終えて、全国でこのサプライチェーンの仕組みが使えるようになってほしいなと思いました。モデルが完成すれば、地方都市でも活用を図れると思います。
 また、関西広域連合においても、首都圏と同じように水素エネルギー導入に積極的です。
 そこで、質問です。関西広域連合では、第3期広域計画では「関西圏における水素エネルギーの利活用の実用化に向けた広域的な取り組みの検討を行う」とありますし、関西創生戦略では「広域的な取り組みの検討、企業支援、普及啓発を実施する」とあります。和歌山県としてもこの取り組みに参画していると思いますが、知事の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 水素は、利用段階で二酸化炭素を排出しないという環境特性を持っておりまして、また、さまざまなエネルギー源により製造でき、貯蔵、運搬が可能であるなど、海外の化石燃料に依存した我が国のエネルギー供給構造の多様化に寄与することから、地球温暖化対策やエネルギー安全保障の観点から、すぐれたエネルギーであるのは間違いないんだろうと考えております。
 現在、燃料電池自動車、水素ステーション、エネファームなどの普及により、水素利用が少しずつ広がりを見せている状況にありますけれども、一方で、水素を日常の生活や産業活動で広く利活用していくためには、技術面やコスト面など、まだまだ多くの課題があるのだろうなあということも推測いたします。
 議員御指摘のとおり、関西広域連合では、水素社会の実現に向け、これまで燃料電池・水素関連分野をテーマにしたフォーラムを実施するとともに、今年度は関西水素ポテンシャルマップの作成を予定しておりまして、水素エネルギーの利活用の拡大に向けた取り組みを進めております。
 和歌山県も、国や事業者等の動向を注視し、耳を高くして世の中におくれないようにしなければいけないと思いますし、水素社会の環境が整ってきた段階では、和歌山県の発展にとって足を引っ張るようなおくれが出ないように行動してまいりたいと、そう思っております。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 また、この特別委員会では、芝公園近くのイワタニの水素ステーションの視察も行いました。ここでは、1日20台から30台程度のMIRAIが水素の補給に来ているようで、その多くは官公庁の公用車だったそうです。参考までに、MIRAIの場合、1回当たりの供給量は5キログラム、1キログラムの水素価格は1100円のため、1回当たりの費用は5500円、走行キロはこれで650キロだというふうに教えていただきました。
 水素自動車の普及は水素ステーションの増加が必要ですが、地方都市では水素ステーションが少なく、中でも関西においては、和歌山県と奈良県に水素ステーションが設置されていない状況であります。水素エネルギーは、地方自治体とエネルギー関連企業が協力すれば普及させることはできると思いますが、関西広域連合は日本最大の自治体なので、本気で取り組むべき課題であることを今回の視察とともに認識をしているところであります。
 この水素ステーションを視察したとき、水素自動車を普及させるためには官公庁が率先する必要がありますよと、これ、東京都の例を指してだというふうに思いますが、指摘がありました。しかし、関西の府県で水素ステーションがないのは、先ほど申しましたように奈良県と和歌山県だけなので、現状では、和歌山県民は水素自動車に乗る選択肢はないということになります。
 環境先進県を目指す和歌山県としては、未来のために水素ステーションの設置が必要だと思います。次世代自動車振興センターによると、水素ステーション設置のための補助制度もありますし、また、トヨタ自動車や岩谷産業など、11社が水素ステーションを整備する新会社を設立する計画があります。これは2022年3月までに全国に80カ所を設置するというようですから、和歌山県での設置の可能性はあると思います。
 公用車に水素自動車を導入することや、水素ステーションの設置について、知事の答弁をお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国は、2030年までに全国で水素を燃料とした燃料電池自動車を80万台程度まで普及させることを目標とし、その達成に向け、水素供給コストの削減や燃料電池自動車の量産化、低価格化等を進めることにしております。
 県としては、こういう動きに協力して、県内の燃料電池自動車普及促進のために公用車として導入することも実は考えたんでございますが、燃料供給地となる水素ステーションが県内にはなかったので、現時点では難しいとそのときは思いました。
 また、それじゃ水素ステーションをつくってしまったらいいじゃないかと、こういうことになるんですが、1つつくると4億円から5億円程度かかると、驚くべき試算が出てまいりまして、しかも、運用に年間4000万円から5000万円程度必要であると。で、補助制度を活用しても、その半分ぐらいは要ると、出さないかんと、こういうことでありまして、まあちょっと無理やなというふうに思った次第であります。
 一方、国では、現在、4大都市圏において重点的に水素ステーションの整備を進めておりますけども、昨年12月に示された水素基本戦略では、2020年代後半までに水素ステーションの自立化を目指すこととし、そのために、水素ステーションの整備・運営コストの低減等を通じた自立的な水素販売ビジネスの展開が必須としてるわけでございます。
 こういうふうに、水素社会の到来だということで、ちょっと時代の旗手だという感じで、割合、県費を使って積極的にいろんなことをしておられる県もあるんですけど、県の知事さんもあるんですが、どうもあんまりそういうことをやっているのは、ちょっと地方公共団体の役割とは違うんかなという感じもありまして、県民の懐も過度に痛ましてはいかんと。
 しかし、これは時代の趨勢としては間違いないわけだから、いつの時代にぱっと出ていくかということを、国や業界の動向、技術開発、燃料電池自動車の普及とかコストですね、そういうものについて、いつも注意深く情報収集に努めておきまして、本県にとって最も適した水素ステーション整備のあり方とタイミングについて深く研究してまいりたいと思っております。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ちょうどこの委員会の視察でステーションへ行ってたときに、MIRAIが3台ぐらい入ってきて、供給して、さっと走っていくとこ見えまして、これを見ますと、未来のある和歌山県がいいのか、未来のない和歌山県がいいのか考えたら、未来のある和歌山県のほうがいいと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、4点目であります。スケートボードについて質問をさしていただけたらと思います。
 東京2020オリンピックで正式種目となり、全国的に注目が集まってる競技がスケートボードです。スケートボード──以下、「スケボー」と言いますが──日本に入ってきたのが今から約50年ぐらい前、流行したのが40年ぐらい前だったと思います。ちょうど僕が高校生ぐらいのときにスケボーがよくはやっていた記憶があります。
 現在は、親子で楽しめるスポーツになっていまして、第2世代のスケーターがこの競技の主役になっています。昔、スケボーをやっていた親が子供とともにスケボーに復帰、週末は親子でパークに行って練習をする、やがて子供が大きくなって大会に出れば家族で応援に行く、こういったコミュニケーションの手段にもなっているようであります。
 練習場のある地域においては、この親世代が一役買っています。公園や広場に子供たちを呼び戻すために、地域にスケートボードパーク、スケートパークを計画いたします。ナイター設備があれば夜まで人は絶えずに集まりますし、そのパークには子供を中心として親も集まり始めます。そうして、昔の広場のにぎわいはよみがえってるようです。
 僕も、大阪の友人でスケボーやってる人が、練習、家族で行くからおいでよといって見に行ったら、驚くことに家族連れが本当に多くて、ちっちゃな子供たちも転びながら練習している、そういう現場にも出くわして、ああ、この雰囲気、和歌山にあったらいいなあというふうに実は思った次第であります。
 日本スケートボード協会によると、全国で公営と民営、合わせて練習可能な場所は500カ所あります。15年前は全国に30カ所だったことを考えると、スポーツとして広く認知をされ始めてきているのかなというふうに思います。
 ただ、和歌山県のスケートパークスポットというサイトがありまして、この一覧を見てみますと、7カ所のスポットが紹介されているだけで、公的な施設は田辺市にある扇ヶ浜公園にあるスケートパークだけという、少し環境が脆弱な状態に置かれていると思います。
 また、和歌山市内でもスケボーを楽しんでる人はたくさんいるようで、和歌山県スケートボード協会の役員の方に聞きましたら、市内だけで300人から400人ぐらいはいるのかなあと、こういう返事が返ってきました。
 スケボーは、東京2020オリンピック競技に採用されたように、今ではすっかりスポーツとして定着しています。スケボーをやっている若い人が練習場所を探すことに苦労している姿に接すると、和歌山県は若い人たちのスケボー練習場の整備への思いを理解してほしいなと思うところであります。練習環境が整わないから、競技をやめる、離れていく、そんな和歌山県であってはならないのだなと思います。
 スケートボードを愛する1人がこんなことを言っておりました。「東京2020オリンピックの競技となった今、和歌山県がスケボーへの理解を示してくれ、練習環境を整えてほしい、切に要望する」、こういう話がありました。この東京2020オリンピック開催までの機会を逃すと、この先長く和歌山県にスケボー文化を定着させることが難しいなという思いもしているところであります。
 ところで、この和歌山県スケートボード協会によると、スケートボードの競技はこんな紹介をしてくれてます。「スケートボードで養ったバランス感覚や身体能力を生かして活躍している各種スポーツのトッププロが数多くいます。例えば、平昌オリンピックで銀メダルをとり、私たちを感動させてくれたスノーボードの平野歩夢選手を含めスノーボードのトッププロ、磯ノ浦に代表するサーフィンのトッププロの中には、スケートボード出身だったり、オフのトレーニングにスケートボードを使っている人たちがいます。また、和歌山県からは、中学生でスケートボードのプロになった子供たちや世界レベルで活躍している子、オリンピック候補の子供たちも出てきています。そういった身近なプロの方との交流の場や、後に続く次世代の子供たちの活動の場としてスケートボードをするスケートパークは大変重要な効果をもたらします」、こんな説明をしてくれてましたが、意外と思ったよりも裾野の広いスポーツであることを示してくれるものであります。
 ところで、このスケボーというと、バンクというんですかね、こういうバンク、それが必要だと思っていたんですが、この競技とともに、階段とか歩道をそのまま利用するスタイルのストリート競技というのがありまして、ストリート競技であれば、既存の公園の一部を利用すればもうそのまま練習場になり得ます。理想はストリート競技場の横にバンクを設置し、両方種目の練習ができる施設なのですが、まずスケボーの練習場の確保と整備をすることが先決だと思います。
 若者文化に理解のない和歌山県、こんな印象をつけられると、ますます和歌山県に若い人が来てくれなくなったり流出する、そういったことも考えられますし、仕事と娯楽、余暇の楽しみ、行き場所などを備えておくことが、まちの機能として必要だと思います。
 ところで、和歌山市内にある片男波公園ですが、ここには噴水広場というのがありまして、当時、相当の予算を使って建設した施設というふうにお聞きしておりますが、現在は、噴水はとめられ、人が集まらない施設になっています。ここで若い人たちを中心にスケボーの練習をしているのですが、彼らに聞くと、スケボーの人以外にここを訪れる人はいません、こういう状況、状態だそうです。
 公園を維持するだけ──維持することももちろん大切なんですが、人に来てもらって楽しめる、交流する、憩える、そういう機能を果たしてこその公園だというふうに思います。片男波公園でスケボーの練習をしている若い人たちがたくさんいるのですから、使われていない噴水広場をスケボー練習場として活用を図ることで、競技者、見学者、家族連れ、そして県外からも若い人が訪れる場所になると思います。
 ここでスケボー競技していた人に聞いたところ、「片男波公園の魅力は、自然の中でスケボーを楽しめるところにあります。海で泳ぐ、スケボーする、夕日を眺める、こんな場所は片男波だけで、自然の中でスケボー練習場があれば、県外から人は必ずやってきます」、こう答えてくれました。片男波に行くとスケボー練習場があり、自然の中でスケボーが楽しめる、そんな話が若い人たちの間で交わされていると思うだけでも楽しくなってきます。
 練習場のある府県では、スケボー好きの親子や友人たちが楽しんでいる光景が普通にあります。そんな公園に人が集まりますから、当該地域にとっても、にぎわいと治安維持につながるメリットがあります。若者文化を理解して、家族、友人、そして当該地域の人たちのコミュニケーションの場としてスケボー練習場の整備を求めたいと思います。
 さきの3月1日、県内では公立高校の卒業式がありまして、僕も行ってまいりました。その中で、卒業生に贈る知事の祝電、これがありまして、こんなコメントを知事、していただきました。
 平昌オリンピック・男子エアリアル競技の田原直哉選手の紹介であります。田原選手は、体操でオリンピックを目指していましたが、右肩を故障したため体操を断念、一転、未経験のエアリアルに挑み、見事オリンピック選手になった努力の経緯を知事が祝電の中で紹介してくれました。この祝辞は卒業生や私たちに感動を与え、その結果、その直後、卒業生が言ったコメントの中に、「知事の御祝辞にあったように田原選手の努力を見習いたい」、すぐに答えたほど若い皆さんに影響を与えていたというふうに思います。
 知事の発言が若い人たちにこれからの生き方に影響を与えたのですから、田原選手のオリンピックまでの努力は、出場を果たしたことから私たちの知るところになりました。東京オリンピックを目指している、例えばスケボーに頑張っている選手たちは、今、努力の真っただ中です。もし出場を果たした場合、現在の努力の過程が全国に伝えられることになります。そのとき、和歌山県がスケボーに理解をしてくれた、練習場を整備してくれた、こう言ってもらえたらとてもすてきだなというふうに思います。
 スケボーを楽しめる環境を整えることは、若者文化の醸成、家族や友人との来場、交流の場の提供につながると考えますが、この観点から適地と思われる片男波公園への練習場を整備することも提案させていただきますが、知事の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指摘のように、スケートボードは東京オリンピックの正式種目になったことによりますます関心が高まっており、今後、楽しむ人もふえると思われます。スポーツということのみならず、新しい若者文化の振興にもなるというふうに確信をいたします。
 そのような中、スケートボードを練習できる場所の確保は、県民のスポーツの振興とか、にぎわいの創出という観点から非常に有意義であると考えております。
 実は、そういうのがないのでいろんなところでなさるわけなんで、県立美術館の前のタイルが割れたとか、そういうようなことも起こっていて、で、心置きなくみんなが楽しんで、それでみんなが集まるというところがあるといいなあというふうに思ってるわけであります。
 しかしながら、議員御提案の片男波公園のあるところは、それは違うのではないかというふうに私は思います。あれは、和歌の浦は、昨年、「絶景の宝庫 和歌の浦」として日本遺産に認定されるなど、あそこのストーリーは万葉の時代から続く日本を代表する景勝地だと、そういう雰囲気を味わってくれと、こういうことなもんですから、そこで、ちょっと別の文化のスケートボードががんがんなされるというのは、そういう雰囲気で集まってこられた人との間でミスマッチがあったり対立が起こったりすると思います。
 したがって、そんなとこにこだわらなくても、整備するならば、もうちょっと違うところをみんなでまた考えたらいいんじゃないか、それで考えた上で、ただそこでやるだけじゃなくて、みんなが集まって何かちょっと文化の集積地ができるような、そんなふうにするといいというふうに思っております。
 また、スケートボード練習場の整備を検討するに当たっては、場所のみならず、施設の管理主体は誰が担うのかとか、利用料を含めた施設を維持するための費用をどう確保するかとか、施設を運営していくためのスキームづくりが必要ではないかというふうに思います。
 つくるのよりも、むしろこういうことを愛好者の方々と一緒になって考えていくことが大事なんじゃないかなあ。とはいえ、県庁といたしましては、こういう新しい風には積極的に関与していきたいなと、そんなふうに思っとります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 知事の答弁をいただきまして、先ほど申しましたように、片男波というところが適地だということは申し上げたんですけども、公的な施設、民間も含めて、余りにもないということもありまして、1つの提案として出させていただきました。
 例えば、片男波公園だったら、今言いましたように、億円を使った公園のこの噴水ですね、(資料を示す)ここですね、この柵を取るだけで実は練習場になる。秩序を保ってできるということもありますし、今回、いろんなメールがスケボーの好きな方からいっぱい届けられておりまして、こんな方々の意見を例えば言いますと、スケボーという──スケボーだけじゃなくてスポーツ通じてということなんですけども──青少年育成、地元住民とのコミュニケーションの場、まちおこし、若者の誘因、観光事業、こんな観点からも効果があるよというふうな、こんなメッセージもいただいておりますし、例えば、ここで僕も勘違いしたらいけないのが、スケボーやってる若い人というのは、スケボーだけでやってるんじゃないんです。ふだんは仕事もしてる。高校生だったら勉強もしてる。和歌山市民であり和歌山県民なんです。
 仕事をしながら楽しんでいる。仕事も大事だからスケボーも楽しんでるんですけど、例えば、こんなもん全部だめだよと閉め出してしまったら、もしかしたら和歌山への、ふるさとへの愛着とか、そういうのがなくなるかもわからないということもありますんで、スケボーという新しい若者文化をしっかり理解をしていただきたいというふうに、まずは思います。
 それと、知事の答弁から、恐らく愛好者の方々と協議の場を持って、これから県も一緒になって進めていくんだというふうに僕は理解しておりますんで、ぜひ今後、そういった形で連携をして進めていただくことを強く要望させていただきまして、一般質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。

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