平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(玉木久登議員の質疑及び一般質問)


平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(玉木久登議員の質疑及び一般質問)

 

 

◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 

 

  午後1時0分再開
○副議長(山本茂博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕(拍手)
○玉木久登君 皆さん、こんにちは。玉木でございます。
 一般質問3日目、午後一番、登壇させていただきます。聞きづらい点も多々あろうかと思いますが、精いっぱい頑張ってまいります。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただき、通告に従い、大きく4つについて質問させていただきます。
 3月といえば、私は、新たな旅立ちの時節かと感じます。先日は、県内の公立高校の卒業式が行われました。これから、中学校、小学校と卒業式が続いてまいります。また、高校受験など新たなチャレンジの時期でもあります。
 一方、大学生を代表する来年度新卒予定者にとっては、3月は企業説明会の解禁となる時期でもあります。そんな中、就活について、今回は和歌山県独自としての取り組みについて着眼をいたしました。
 再就職支援、就活サイクルプロジェクトの現状と今後について質問してまいりたいと思います。
 昨年の7月11日、「総活躍@和歌山~皆さんの力で和歌山を成長させましょう~」と題し、基調講演には、講師として慶應義塾大学・清家篤氏をお招きし、就活サイクルプロジェクトキックオフイベントが開催されました。私も、その講演を拝聴し、今回のプロジェクトを進める社会的な背景について理解を深めてまいりました。
 清家氏の講演の内容を私なりに要約すると、高度経済成長期以降、少子高齢化の進行、生産年齢人口の減少、経済の長期低迷とグローバル化の進行、家族や地域の扶養機能の低下、非正規雇用労働者の増加による雇用環境の変化など、現在の日本の社会経済情勢が大きく変化している、であったかと思います。
 こうした社会の潮流に対して、我が和歌山県も適切に対応すべく、目指す将来像を定め、その将来像の実現に向かう方針として、和歌山県長期総合計画の策定に至ったものと考えております。
 また、清家氏は、生産年齢人口の減少の中で、現在の人口構成においても生産に寄与できる労働人口をふやすことができないかということに触れ、再就職を希望する女性や退職後も働く意欲のあるシニア世代の活躍を指摘しておられました。こうした背景を踏まえ、我が和歌山県では、いち早く、Uターンによる人材確保も含め、今回取り組むシニア世代、女性、Uターンなど、再就職に特化した形の就活サイクルプロジェクトを新施策として展開しているところだと認識しております。
 仁坂知事も、このプロジェクトへの思いはメールマガジンのメッセージなどからも伝わってまいります。私自身も、この取り組みの今後の成果に大いに期待するところであります。
 2月は、まさにこの就活強化月間として位置づけられ、メーンイベントの合同企業説明会が、和歌山会場、田辺会場及び橋本会場で開催されました。この直後のタイミングではありますが、ここに至るまでのさまざまな取り組みや合同企業説明会での手応え、また、どのように今後展開していくかなど、新鮮な感想も含めてお聞きしたいと思います。
 まず1点目は、合同企業説明会の結果についてお聞きします。
 合同企業説明会を終え、参加企業数や求職者の動向はどうであったか、また、アンケートなどの結果はどうであったかについてです。私も地元で参加された企業の方にお話も伺っておりますが、商工観光労働部長にお伺いいたします。
○副議長(山本茂博君) ただいまの玉木久登君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 就活サイクルプロジェクトは、結婚や出産等で離職した女性、定年退職した方、都会で働く人に再就職に関する情報を届けるとともに、企業に参画を募り、2月を就活強化月間とし、4月の就職を目指す、全国で初めて実施する再就職者のための就職支援システムです。
 県では、多くの企業や求職者の方にこのプロジェクトに参加してもらうため、企業に対しては、直接訪問等を行い、取り組みの周知や参画を働きかけてまいりました。
 一方、求職者に対しては、県内各地域で女性やシニアを対象としたセミナーを21回、お盆や年始にはUターン転職者を対象としたセミナーを開催するとともに、県や市町村の広報紙への掲載、テレビやラジオを通じた広報などで周知を行ってまいりました。
 その結果、2月の就活強化月間に開催した合同企業説明会には、3会場で延べ174社の企業、341名の求職者に参加をいただいたところです。
 参加企業からは、「さまざまな世代の方と会うことができた」、「途切れず面談ができた」など、今までの企業説明会では余り聞かれなかった意見も多く寄せられ、求職者からは、「企業、業種が多かった」、「和歌山の企業のよさを知ることができた」などの意見が多く寄せられております。
 一方で、参加企業の一部からは「面談者が来なかった」という意見や、求職者から「業種の幅を、もう少しあるとよい」などの意見もあり、今後、こういった意見を踏まえて、参加企業、求職者がともに満足できる内容を充実させてまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 はい、ありがとうございます。
 私も、地元企業で、参加された企業のお話を少し聞かしていただきました。普通、企業説明会というと背広を着た若者が多いんですけど、今回、私服で皆さん来られてて、全然雰囲気が違ったと。非常にいい試みだった、これは今後続けていってほしいなという声を聞かしていただいております。今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 次に、企業に対する県の働きかけについてお聞きいたします。
 シニア世代や女性を雇用するに当たり、その条件として大変重要であると考えることがあります。職を求める人は、フルタイムで働きたい、フルタイム、そこまでは働きたいとは思わないが、持て余している時間だけでも働きたい、自分の資格や経験を生かせる仕事なら考えたいなど、さまざまな求職への考えがあろうかと思います。
 特に、退職後のシニア世代の方や再就職を希望される女性は、そこで働く時間の融通性やシフトの柔軟性など、企業側がより今までの求人要項に工夫を凝らさないとなかなか難しいのではないかと私は思います。その部分が、この施策の重要な点の1つであると考えています。
 そこで、今回参加した企業に対して、その点について働きかけを行っているのか、どのような説明をされたのか、商工観光労働部長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 就業意欲の高いシニアや女性などの再就職を拡大するためには、多くの企業に本プロジェクトに参加していただくことと、働きやすい雇用環境を充実させることが必要と考えております。
 企業に参加をいただくため、職員が努力を重ねまして、100社を超える企業訪問や、566社の企業に電話等により呼びかけを行ってまいりました。さらに、県や経営者協会等が開催した企業説明会においても、参加企業177社に働きかけを行ってきたところでございます。
 また、企業の受け入れ環境を充実するため、経済団体等とも連携して、働き方改革をテーマにしたセミナーを3回、出前講座を9回実施し、高齢者の希望に合った働き方の先進的な取り組み事例や活用できる助成制度を周知するとともに、県のウエブサイトにおいても、すぐれた企業の取り組みやそこで活躍する人たちの姿を紹介しております。
 以上のような取り組みを今後も充実させていくことで、シニアや女性が働きやすい環境を充実させた企業をふやしていくとともに、本プロジェクトに参画する企業数を拡大してまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 はい、ありがとうございます。
 次の質問に移りたいと思います。マッチングについての考え方についてをお聞きいたします。
 先ほどの答弁を踏まえ、今後は企業と求職者のマッチングがもう1つの重要な点だと思います。現在、世の中には、求人情報誌や従来からあるハローワークなどがあります。私も、ハローワークの情報を取り寄せたり、さまざまな就活情報サイトから検索などを行い、調べてまいりました。
 今回行われた合同企業説明会は、再就職に重点を置き、多様な企業が一堂に会し、多くの皆さんが面接、面談、情報収集を行える画期的な取り組みとして成功ではと思います。今後は、内定者や就職者がふえることと期待が膨らみますが、現在の求人情報誌やハローワークなどとの違いを鮮明に打ち出す必要があるのではないかと思います。そのキーワードがマッチングではないかと考えています。
 現在のものとの違いと、県として考えるマッチングとはどういう意味なのか、お聞かせを願いたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 今回の就活サイクルにおける合同企業説明会では、参加企業は予定を上回りましたが、求職者の参加はまだまだ少なく、マッチングのためには、より多くの求職者に参加いただく必要があります。
 求職者への広報としましては、テレビ、ラジオを活用した広報、県や市町村の広報紙への掲載、折り込み広告を利用したチラシ配布などを行ってきましたが、今後は、これらの広報に一層力を入れるとともに、3月末には今回のマッチングの成果も出てきますので、実際に就職した方の声など成功事例を広くPRしていくことで、求職者の参加をより一層ふやしていきたいと考えております。
 また、就活サイクルプロジェクトでは、一連のサイクルに沿って再就職を目指すというところがハローワーク等を活用した就職活動とは異なるところであり、サイクルの中で、再就職への不安払拭やビジネスマナーといったセミナー、面接トレーニング、働くことに関するさまざまな相談などを実施してまいります。
 県としては、より多くの女性やシニア、Uターン希望者等と働きやすい環境を充実させた企業をマッチングさせることが最も重要と考えており、あらゆる手段を駆使して求職者に呼びかけ、今後もお互いが満足できるマッチングを創出していきたいと考えています。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 はい、ありがとうございます。
 この項目の最後の質問というか、今後の展開についてお聞きしたいと思います。このプロジェクトの今後の展開についてお聞かせをください。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 初年度である平成29年度の就活サイクルプロジェクトのイベントやセミナーには多くの方が参加していただいており、中でも、2月の合同企業説明会には、各会場とも目標としていた数を上回る多くの企業に参加をしていただきました。
 今後は、より多くの企業に参加を促すとともに、女性やシニア世代に対応した採用等、受け入れ体制の充実についても働きかけを行い、幅広い業種や勤務形態などの求人の拡大に努めてまいります。
 また、サイクルを通じて再就職をした方々の活躍している姿や、多様な働き方を提案している企業の取り組みなど、成功事例や先進事例等を広報紙、ウエブサイト、SNSなど、多様なチャンネルを活用し、PRを行うことで、今回少なかったUターン転職者を初め、求職者のさらなる参加についても促してまいります。
 全国に先駆けて開始した第2の就活サイクルを定着させ、多くの企業と求職者に活用していただくとともに、和歌山発のプロジェクトとして発信していきたいと考えています。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 説明ありがとうございました。まことに意欲的に取り組まれたこと、今後に向けての意気込みがよくわかる答弁であったかと思います。
 答弁をお聞きしていまして、最後に、キックオフイベントで拝聴した講演の内容や、世の中のさまざまな取り組みの一部を調べてみて、私なりに考えたことを2点述べさせていただきたいなと思います。
 まず、キックオフイベントで拝聴したシニア就職についての講演でございます。講師は民間人材会社を経営する方でしたけども、シニア人材を企業にあっせんする苦労話と、その突破口の話が印象に残っています。それは、シニアの方の就職には、仕事を求める人と受け入れる側とのきめ細かな条件の整理、また、マッチングのノウハウを見つけていったことだったと思います。
 答弁でも、今後、マッチングに積極的に取り組まれるとのことでございますが、こうした民間人材の会社のノウハウも生かして、より大きな成果を目指せないかという点でございます。
 2点目は、ハローワークがある、さまざまな民間人材会社がある、こうした中で、行政機関である和歌山県が取り組むことについてです。端的に申し上げれば、ハローワークや民間人材会社に比べて、県が有している優位性とは何かということでございます。
 例えば、県のホームページの見出しを見ると、行政の分類別に情報をうまく一元化されていて、活用しやすいと思います。一方では、県内の労働人口をよりふやそうという視点から行政を眺めてみますと、ほんの小さなことでも就活という課題に役立つことがあるのではないかと思います。
 商工業はもちろんですが、行政とは各部局にさまざまな情報が寄せられています。こうしたさまざまな情報を容易に統合できるのも、県が有する優位性ではないかと思います。そのために、部局間のコミュニケーションをより高めていくことが重要と考えています。
 以上、私なりの意見ではありますが、引き続きさまざまな取り組みを進めて、より大きな成果を目指して、そして達成してほしいと願っております。よろしくお願い申し上げます。
 2項目めに移ります。
 昨年12月に第3期和歌山県教育振興基本計画案が示され、私も文教委員会の勉強会に参加し、その内容についての理解を深めてまいりました。
 今回は、その基本計画案の中から、キャリア教育、特別支援教育、きのくにコミュニティスクールの3つの課題について質問してまいりたいと思います。
 まずは、キャリア教育について、2点お聞きいたします。
 キャリア教育については、昨年の6月定例会一般質問において中村裕一議員がキャリア教育の充実について、また、昨日の一般質問において岩井弘次議員から職場体験についてと、活発な議論がされております。今回の私の質問にも重複するところがあろうかと思いますが、よろしくお願い申し上げます。
 私は、昨年、地元である有田市の小学校において、和歌山県立医科大学地域医療支援センターの協力をいただき、キャリア教育として「お医者様の仕事」と題し、小学4年生の出前授業のお手伝いとして授業参観も参加させていただきました。子供たちのきらきらした好奇心の目と、なかなか鋭い質問などが飛び出し、授業をしていただいた医大の教授も驚いていらっしゃいました。
 授業を終えた後、小学校のブログをのぞいてみると、校長先生のコメントに、「キャリア教育の点でも、理科教育の点でも、楽しくてためになる授業でした。もしかしたらきょうの授業で将来お医者様になりたいという子供がふえたかもしれません」とつづられたことが印象に残っております。
 こうした現場に接し、キャリア教育は、職業への理解、働くことの大切さを知り、子供たちが将来の可能性を広げていく大きな機会であると、常々考えていたことを目の当たりにすることができました。
 小中学校におけるキャリア教育、特に小学生においては、自分の将来への夢を大きく広げて、目標をつくり、その目指す目標に向かって、勉学であったりスポーツであったりと、みずからの将来を切り開くきっかけとなるのではないかと考えており、キャリア教育の推進に大いに賛同するものであります。
 そこで、小中学校における和歌山県内のキャリア教育の全体計画並びに年間指導計画の作成状況について、教育長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) キャリア教育につきましては、高等学校の学習指導要領に加え、平成29年3月に告示された小中学校の新しい学習指導要領におきましても、学級活動や学校行事などの特別活動をかなめとし、全ての教育活動を通じてキャリア教育の充実を図ることが新たに示されました。このようなことから、キャリア教育の全体計画、年間指導計画を作成することは大変重要なことだと考えております。
 県教育委員会では、こうした新学習指導要領の趣旨、内容を小中学校の全教職員に周知徹底するため、昨年7月から10月にかけて説明会を開催してまいりました。また、市町村事務担当者会議において、キャリア教育の視点を取り入れた教科学習の活動例を示すとともに、各小中学校がさらに計画的、組織的なキャリア教育を取り組めるよう、キャリア教育の全体計画のモデルを示し、指導しているところです。
 現在策定中の第3期教育振興基本計画におきましても、キャリア教育の全体計画及び年間指導計画を指標と示しており、全ての学校で作成するよう取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 はい、ありがとうございます。
 今後とも、全体計画については推進のための指導をよろしくお願いいたします。また、年間指導計画については、形式だけのものにならず、子供たちの多様性を鑑み、指導計画策定に際し、適切な指導、推進をしていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 続いて、キャリア教育の今後の方向性についてお聞きいたします。
 先ほども少し私の考えをお話しさせていただきましたが、小中学校に限らず、夢を持つことの大切さと夢を達成するためのプロセスを知ることは大変重要であると考えています。
 子供たちにより多くの職業を知ってもらうこと、好奇心を持たせること、理解を深めることは、やはり大切なことだなと改めて感じました。地元で経験できる職業はもちろんですが、身近でなかなか体験できないことに対しては、工夫を凝らせば何とかなるとも感じました。これからも、創意工夫でさまざまな取り組みができると考えています。
 そこで、今、県として取り組んでいることや、今後のキャリア教育の考え方の方向性について、教育長の考えをお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 小学校におけるキャリア教育は、子供たちが学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的、職業的自立に向けて必要な基盤となる資質、能力を身につけていくことを目標としております。
 これまでも、小学校においては、社会科、特別活動、総合的な学習時間等の中で、例えば、地域の方々の理解と協力を得ながら、消防署や工場などの職場見学を実施し、働いている人の苦労ややりがいを身近で感じることで、働くことの大切さに気づかせてまいりました。また、ゲストティーチャーによる出前授業などによって、さまざまな方との出会い、知らない世界を教えてもらうことは、夢や希望を広げるよい機会となっております。
 また、本県独自の道徳教科書「心のとびら」、「希望へのかけはし」や、ふるさとの教科書「わかやま何でも帳」を活用して、本県の産業や先人たちの生き方を学び、人としてのあり方、将来への目標や夢を育んでおります。
 今後は、小・中・高等学校を通じて、より系統立てたキャリア教育を実践し、子供たちが自分らしい生き方を見つけていけるよう、キャリア教育の一層の充実を図ってまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 期待をしております。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
 続いて、3項目めの特別支援教育について、4点お聞きしたいと思います。
 1点目は、通級指導教室の現状です。
 近年、インクルーシブ教育システムという言葉を耳にします。これは、障害のある子供と障害のない子供が可能な限りともに学ぶことができるよう、一人一人の教育的ニーズに応じた合理的配慮の提供等さまざまな配慮に取り組みながら、特別支援教育を一層推進していくことであると思います。
 この取り組みの中に、通級指導教室があります。県内小中学校における通級指導教室の現状について、教育長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 障害のある子供と障害のない子供が可能な限りともに学ぶことを目指すインクルーシブ教育システムの充実には、特別支援教育を推進していくための多様な学びの場の整備が必要であると考えております。
 学びの場の1つである、議員御指摘の通級指導教室は、大部分の授業を通常の学級で受けながら、一部の授業について障害に応じた特別の指導を特別の場で受ける指導形態であり、小中学校の通常の学級に在籍する発達障害や言語障害等のある子供たちにとって、学習上や生活上の困難さの改善、克服に向けた大切な指導の場であると認識しております。
 県教育委員会では、通級指導教室を本年度、小学校に43教室、中学校に7教室、和歌山ろう学校に1教室の計51教室を設置しており、設置拡充に努めているところです。
 今後も、小学校から中学校へ、中学校から高等学校へと学びの連続性を確保する観点から、教育振興基本計画においても重点的に実施する取り組みとして通級指導教室の充実を位置づけ、国に対しても強く働きかけながら、体制整備のさらなる推進を図ってまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 今後も、設置拡充に努めていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 2点目は、発達障害についてです。
 ASD、ADHD、LDという言葉があります。ASDはアスペルガー症候群などを含む自閉症スペクトラム障害、ADHDは注意欠如多動性障害、LDは学習障害であります。
 これらの言葉は近年耳にすることが多くなってきていると思いますが、障害がどのようなものなのかについては、なかなか理解が進んでいないと感じられます。その特性には一人一人違いがあり、本人はもとより保護者の方も思い悩むことも多いと聞かせていただいたことがあります。
 臨床心理士、スクールカウンセラー、また、通級指導教室で指導される先生方も、多様性への対応をしていただいてると思います。
 そんな中で、県内の教員の方々が発達障害への理解を深めることや、多様化してきている指導内容や支援方法を学ぶためにどのような取り組みがなされているか、教育長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会では、教員が発達障害に対する理解を深めることが重要であることから、平成26年度から5カ年計画で、県内公立幼稚園、小中学校、高等学校の全ての教員を対象に発達障害の児童生徒の特性や支援方法等について学ぶ特別支援教育基礎・基本研修を実施しております。
 また、教育センター学びの丘で実施する特別支援教育に係るさまざまな研修においても、通常の学級に在籍する発達障害の子供への個別的な対応方法を初め、その子供を含めた学級づくりや授業づくりを学ぶ専門的な研修を実施し、管理職を含む教員の指導力の向上を図っております。
 今後も、さまざまな機会を通じて発達障害の子供への理解、啓発を図る取り組みを進めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 より理解を深めていただき、今後の学習指導や適切な支援の提供へとつなげていただきたいと思います。
 そんな中で、その子の持つすぐれた点を見出していただき、その点を伸ばし、社会生活の中で自立できるような教育も今後必要ではないかと思います。そのためにも、発達障害への理解は大変重要であると考えております。今後とも、よろしくお願い申し上げます。
 3点目は、切れ目のない支援の実現に向けた取り組みについてであります。
 県教育振興基本計画案に、幼少期から高校卒業まで一貫した支援の重要性を踏まえ、障害のある子供に対し個別の教育支援計画「つなぎ愛シート」の活用推進があります。
 どのような取り組みであるのか、また、活用推進に向けた今後の方策を教育長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 就学前から卒業後にわたる切れ目ない支援の実現には、障害のある子供の成長の記録や、長期的な視点に立った支援の目標等に関する情報が記載された個別の教育支援計画が重要な役割を担っており、保護者や関係機関とともに作成、共有しながら活用していくことが大切であると考えております。
 このため、県教育委員会では、個別の教育支援計画の県内統一様式となる「つなぎ愛シート」を作成し、幼稚園、小中学校等において積極的に導入が図られるよう、市町村教育委員会へ働きかけを行ってまいりました。特別支援学校では既に活用が始まっており、来年度からは、全ての小中学校の特別支援学級や通級指導教室に在籍する児童生徒に対しても導入される予定です。
 校種を超えて県が作成した統一様式を活用した取り組みは、全国においても数少ない取り組みであり、今後、切れ目ない支援の実現に向けて、つなぎ愛シートの効果的な活用を進めるとともに、幼児期からそれぞれの学びの場への円滑な引き継ぎのシステムを構築してまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 はい、ありがとうございます。推進並びに連携を、今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 この項目の最後になります、4点目は、県立高校での特別支援教育です。
 これまで、幼少期に始まり、小中と特別支援教育について理解を深めてまいりましたが、高等学校は、義務教育から離れることで、これまでとは違う関心や心配をされる保護者の方々も少なくありません。また、進学について思い悩み、卒業後の社会の中でうまくやっていけるかなど、自我に思い悩む時期であろうかと思います。
 県として、受験への配慮や高等学校での特別支援教育について、教育長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 高等学校入学者選抜におきまして配慮が必要な生徒への特別な措置につきましては、申し出のあった生徒の状況を事前に市町村教育委員会を通じて中学校に確認し、別室での受験や試験時間の延長、問題等の漢字へのルビ振りなど、一人一人に応じた対応を行っております。
 高等学校における特別支援教育につきましては、平成22年度に特別支援教育への取り組み方や生徒のニーズに対応するための実践事例等を紹介した「高等学校における特別支援教育推進のための実践資料集」を作成し、県立高等学校の全教員に配布して、適切な指導及び支援の向上に努めてまいりました。加えて、全ての高等学校教員を対象に特別支援教育基礎・基本研修を実施し、さらなる指導力の向上を図っております。
 また、来年度から高等学校においても通級による指導が制度化されるため、今年度、文部科学省の指定を受け、県立高等学校1校で通級指導の研究を行い、準備を進めているところです。先日開催されました研究報告会には、県内外の学校や教育委員会から多くの方が出席し、通級指導に対する理解を深めることができました。
 来年度は、県内2校で取り組むこととしており、その成果を他の学校へも普及してまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 御答弁いただきました。本人の不安や保護者の不安がなくなるように、さらなる拡充に向けた取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
 ここまで、キャリア教育、特別支援教育と質問してまいりましたが、最後の4項目めとして、きのくにコミュニティスクールについて、3点お聞きしたいと思います。
 1点目は、コミュニティスクールの導入状況や先行事例です。
 今後、第3期和歌山県教育振興基本計画案に対する取り組みへの理解やさまざまな問題解決は、県や各市町村、各学校がやればいいということではないと思います。家庭内の理解はもちろんのこと、地域を挙げて今後連携していくことが重要であると思います。
 最後に質問させていただくきのくにコミュニティスクールの推進は、今後、学校、地域が共有をし、学校、地域がともに子供たちの将来を考えることを目的とする施策として、今後の学校運営に重要な役割を果たすと考えています。
 きのくにコミュニティスクールの県内の導入状況及び先行事例について、教育長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) きのくにコミュニティスクールにつきましては、平成31年度までに県内全ての公立学校が導入するよう取り組みを進めております。
 導入の状況についてですが、市町村立学校は、平成29年度は78校、平成30年度は新たに158校が導入を予定しており、350校中236校の学校が導入予定となっております。県立学校は、平成29年度に導入済みの6校を含め、平成30年度には全ての学校が導入いたします。
 また、県が実施する研修会では、コミュニティスクールに関する県内外の取り組みを紹介しております。平成29年度は、有田市、有田川町、古座川町の3市町において、管内全ての学校にきのくにコミュニティスクールを導入しており、研修会等でその先行的な取り組み事例を発表し、今後の取り組みへの参考となっております。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 ありがとうございます。
 2点目は、学校運営協議会の具体的な役割と共育コミュニティとの関係についてをお聞きしたいと思います。教育長、お願いします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校運営協議会は、学校と地域住民等が力を合わせて学校運営に取り組むための合議制の機関であります。学校運営の基本方針を承認し、校長とともに学校運営協議会委員がどのような子供に育てたいのかを協議し、学校、家庭、地域が互いの要請に応え、役割分担をしながら課題解決に向けての活動を行っていくものです。
 きのくに共育コミュニティは、地域住民が学校の求めに応じてさまざまな学校支援活動を実施する仕組みで、本県においては平成20年度から推進し、定着しております。
 例えば、有田市立宮原小学校では、学校運営協議会の目標を「学校を地域に開くだけではなく、地域も学校に関心を持つことをサポートする」としておりまして、その実現に向け、地域の方々が中心となり、ミニ集会を開催しております。その中で、子供の現状をもとに地域として何ができるのかについてともに考え、例えば子供たちが交通ルールを守り、安全な自転車の乗り方ができるように、保護者も巻き込み、地域全体でキャンペーンをしてはどうかというような協議も進められております。
 きのくにコミュニティスクールは、学校運営協議会と共育コミュニティを車の両輪として取り組むものであり、今後とも地域と一体となって学校づくりを進めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 事例を交え、答弁をいただきました。
 講演会等での先行事例の発表を聞く中で、従来の各地域に根づいた共育コミュニティと学校運営協議会との違いがいま一つわかりにくいとの意見や、共育コミュニティが学校運営協議会に取ってかわられるのではないかという危惧の声、意見もお聞きしております。
 その点についても十分に考慮していただき、学校と地域がその地域の子供たちの将来像を築き上げるという目標のもと、県として今後も適切で明確なアドバイスを行っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 3点目、最後となります。
 学校運営協議会における教職員の任用に関する意見の申し出についての県の考え方について、教育長にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 平成29年3月に地方教育行政の組織及び運営に関する法律が一部改正され、教職員の任用に関する意見の申し出については、教育委員会規則に定める事項について意見を述べることができることとされております。
 県教育委員会では、法改正の趣旨を踏まえ、教職員の任用に関する意見の申し出につきましては、個人を特定しての意見ではなく、学校の教育上の課題を踏まえた一般的な意見や建設的な意見を反映することとしております。
 校長のリーダーシップのもと、地域の方々とともに、同じ目標に向かって学校運営を進めていくことが大切であると考えております。
○副議長(山本茂博君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 この点については、大変重要であると思います。
 今後、きのくにコミュニティスクールの推進に当たり、各市町村教育委員会が定める学校運営協議会規則の中の教職員の任用に関する意見の申し出に関する事項について、各市町村の教育長の考えを重視するということが原則としながらも、県として説明を周知徹底していただきたいと思います。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、玉木久登君の質問が終了いたしました。

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