平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)


平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(藤本眞利子議員の質疑及び一般質問)

 

 

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 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 おはようございます。
 県庁北別館を入ってまいりますと、本会議中に県庁の華道部がお花を生けていただいています。きょうもモクレンの花が生けられておりました。その前はおひな様の、そういったお花が生けられておりまして、いつも楽しみにしておりますし、心なごませていただいています。県庁の華道部の皆さん、ありがとうございます。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らせていただきます。
 まず、社会的不適応問題についてお伺いします。
 これまで、不登校、ニート、ひきこもりなどについて、不登校は教育委員会、ニートやひきこもりは知事部局というように、これらの問題を分野ごとに捉え、どのような対策を講じていくかということで施策が行われてきました。
 私も、平成27年9月議会で不登校問題について質問をさせていただいています。同じ時期に同僚議員からも質問があるなど、不登校児童生徒の問題が和歌山県の教育課題として大きく取り上げられた時期でもありました。当時、知事は、最重要課題として取り組んでいくと答弁されています。
 その後も、教育委員会は、和歌山県不登校対策に係る有識者会議の提言を受けて、不登校等総合対策事業に取り組まれ、一人一人に具体的な支援計画を立てて対応できるよう手引を作成、相談体制の強化、県内21市町村への不登校児童生徒支援員の配置、適応指導教室の設置等、かなり力を入れた取り組みを行っていただいていると認識しています。
 しかし、現在、不登校支援員の数は圧倒的に不足していますし、支援員が不登校児童生徒を朝迎えに行き、学校に登校したとしても、学校での居場所がないといった状況があったり、学校全体で情報が共有されていない場合もあるようです。また、卒業した途端に関係が終わってしまいます。
 ニートやひきこもりについても、同僚議員の質問に、相談窓口をひきこもり地域支援センターや保健所に設置するとともに、市町村及び若者サポートステーションWith Youにおいても相談に対応しているとし、フリースペースの開設や居場所の提供、家族の支援等々、対策について答弁をされています。
 また、これまでの制度でも、運用するにしても時代にそぐわないような不適応が生まれているようであります。
 先日、田辺市にあるNPO法人ハートツリーをお訪ねし、お話を伺ってきました。NPO法人ハートツリーは、ひなたの森というひきこもり者社会参加支援センターを運営されており、職員2名が常駐しています。それに若者サポートステーションWith You委託も受けているので、With Youの総合相談窓口に来られた方をそれぞれの関係機関につなぐ役割も担っています。
 昨年度の相談件数は618件ということで、中でも16.3%がひきこもりの相談ということでありました。ひきこもりの相談は、ひきこもり支援センターひなたの森に引き継がれますが、2名の職員では、アウトリーチの重要性や有効性は十分認識していても、相談者の全てに当たることは物理的に不可能な状況ということでした。しかし、大変熱心に取り組まれており、訪問を大事にしていると説明されていました。
 本県のひきこもり地域支援センターは、全国に先駆け、平成16年に設置されています。その運営について、現場ならではの改善点が見えているようでした。
 例えば、引きこもっている方がようやく通所できるようになったにもかかわらず、1年に1回は精神科の医師の診断書を提出しなければならないとなっており、その費用は1万円を超える地域もあるということです。精神科になじまない若者や働けていない若者にとって、通所への意欲をそぐものとなっているようであります。
 また、補助金の算定基準も、現場の実態に応じたものに改善していただきたいとのことでした。
 さらに、県下に4カ所のひきこもり支援センターがありますが、横の連携が少なく、課題解決や各支援センターとの実践交流のための連絡協議会が必要との意見をいただきました。
 さて、今でも不登校の児童生徒の数はほぼ横ばい、広義のひきこもり者数3800人、若年無業者数は5400人と推定され、さまざまな対策が功を奏していないというのが実態です。現在、不登校やニート、ひきこもりなどに特徴づけられる青少年の問題は、抜本的な解決策が見出せないまま積み残されてきたと言えます。これらの不登校やひきこもりなど、社会的不適応は、現代社会の課題であり、全社会的、分野横断的に対応する仕組みが必要だと思います。
 また、近年では、家族や地域の経済的・社会的基盤が脆弱になる中、該当する年齢層が学齢期から青年後期全範囲に及び、行政上の定義概念の枠を超えて高齢ニートという現象も出現しています。このままでは、社会的不適応問題は、10年後に日本人の全年齢層まで拡大するのではと危惧されています。
 長年福岡県で社会教育行政に携わってこられた黒田修三氏は、社会的不適応に陥る青少年は、絶えず新たに登場するにとどまらず、一度不適応に陥った子供が課題を抱えたまま年を経て引き継がれ、ともすれば1人の人間の生涯を貫く縦の負の連鎖が生じていることを意味していると語っておられます。相談現場の担当者から、ひきこもりの始発駅が登校拒否であるとの声も聞かれます。
 先日、人権・少子高齢化問題等対策特別委員会の視察で佐賀県にあるNPOスチューデント・サポート・フェイスに視察に行ってまいりました。スチューデント・サポート・フェイス、以降「SSF」と省略させていただきますが、谷口代表理事にお話をお伺いし、さが若者ステーションも視察いたしました。
 SSFは、不登校、ニート、ひきこもり等、不適応問題を抱える若年層の自立支援に取り組んでいます。SSFの活動は、これらの問題に携わっている方々の中では大変有名なNPOです。内閣府の不登校・ひきこもりに対する民間支援団体の活動事例にも取り上げられており、代表理事の谷口氏は、全国を飛び回り、その活動を紹介しています。今回、議会が谷口氏へのアポを取りつけるのも大変だったようでありました。
 SSFの一番の特徴は、家庭教師方式のアウトリーチにあります。アウトリーチとは、英語で手を伸ばすの意味のごとく訪問型の支援で、待っているのではなく、直接本人の家を訪問し、本人や家庭に密着した支援、指導を行う方法を指します。
 SSFで行っているアウトリーチの特徴は、各種支援への誘導手段の役割とは別に、独自のノウハウに基づく関係の構築と、家庭での専門的、継続的なかかわりにより、不適応問題の背景にある根本要因の解決も含め、直接的なアプローチを行っています。メンタル面だけではなく、対人、学習、職業能力、環境等、個人個人の状態に応じた多面的な援助を行うことで、若者が抱える困難を効果的に解消しています。
 相談件数は平成28年で1万10件、面談人数は9590件、派遣件数は4279件と報告されています。常勤の職員は55名、非常勤職員22名ということでしたが、これだけの職員でも対応するのは並大抵なことではありません。
 SSFのもう1つの特徴として、250名近い登録スタッフの存在です。スチューデント・サポートと呼ばれるボランティアが支援対象者のアウトリーチの導入部分を担当しています。大学生は、対象者の年齢に近いため、最初のアプローチを行うには大変有効だということでした。教育や医療、福祉にかかわろうとする大学生を対象に研修を行い、資質を認められた方だけがボランティアで訪問支援を行っているということでした。この力は大変大きなものがあると感じました。
 訪問観察や支援の活動が膨大な実績やノウハウを蓄積した結果、相談件数の9割以上の家庭が学校復帰やひきこもり、就労体験等、客観的な改善報告がなされるという抜群の復帰率を獲得しています。
 また、SSFでは、アウトリーチの手法をバックボーンに専門家が常駐、適応訓練を行うフリースペースの運営、体験型のイベントの開催、認知行動療法と、取り組みに理解のある事業主である職親などを活用した就労支援事業、社会的自立に至るまでの一貫した支援事業を行っている様子を体験してまいりました。
 本当に目からうろこの取り組みで、人権・少子高齢化問題等対策特別委員会の委員全員が感嘆し、この方法をぜひ和歌山でも取り入れていただきたいということで、今回、私が、僣越ですが、代表して質問をするということになったものです。
 現在、和歌山県では、不登校児は小学校から高校まで合わせて1433名、ひきこもり世帯が推定2200世帯と言われる中で、現在の対策では解決できないと考えます。社会的不適応の問題は、年齢に区切って対応するのではなく、一人一人にアプローチができる体制づくりが必要だと考えます。
 これまでの本県のやり方、知事部局や教育委員会による縦割りの対症療法的対策では、不登校やひきこもり等の社会的不適応に陥ってしまった方々を社会に復帰させることに限界が来ています。今行動を起こさないと、10年後は、社会的不適応と言われる問題は全年齢に及ぶ状況が予想されます。働けないまま生活保護になった場合と、支援の結果、就労、自立が実現した場合を税金面で考えると、若者支援は投資効果の大きな分野だと思います。今、社会的孤立・排除を生まない総合的な支援体制の確立が求められています。
 今回SSFを視察させていただき、アウトリーチを中心に社会的不適応行動を起こす個人へのアプローチを丁寧に行った結果、大きな成果を出しているこの取り組みについての所見を、本県においてそれぞれの分野を所管していただいている環境生活部長、福祉保健部長、そして教育長にお伺いします。また、あわせて、本県における各分野の課題と今後の取り組みについてもお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの藤本眞利子さんの質問に対する答弁を求めます。
 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 佐賀県では、若者総合相談と就労支援に加えて、教育関係や福祉関係の支援事業も1つのNPO法人で実施されています。専門的な知識を持つ大勢のスタッフが、訪問支援を中心に、年齢による切れ目のない継続的な支援と幅広いネットワークを活用して、一人一人の状況に応じた適切な支援を行っていることが特徴であり、効果を上げているものと考えております。
 本県の若者サポートステーションWith Youにおいても若者相談事業と就労支援を一体的に実施しておりますが、このような取り組みは、都道府県レベルでは本県と佐賀県及び大分県の3県のみとなっております。
 しかしながら、本県では、不登校、ひきこもり、ニート対策が佐賀県のように1つの法人で実施されていないことから、関係機関が連携し、それぞれの対策を切れ目なくつなぐことが重要であると考えております。
 そのため、相談員のスキルアップを図るとともに、相談者の身近な地域における教育、福祉、保健、医療等、関係機関との連携をより密にし、関係機関と協働した訪問支援の強化など若者の自立支援を充実していきたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 佐賀県のNPO法人スチューデント・サポート・フェイスでは、ひきこもりの方に対する支援としてひきこもり地域支援センターを平成29年5月に県から受託し、事業を実施しております。その活動としましては訪問を主体としていることから、外出が困難なひきこもりの方に対しては有効であると考えております。
 一方、本県では、精神保健福祉センターに設置したひきこもり地域支援センターにおいて、相談支援や研修、家族教室を実施するとともに、平成28年度からは関係機関との情報交換を行うため、わかやま若者・ひきこもり者支援交流集会を開催しています。
 また、県内4圏域で相談支援や訪問活動、居場所の確保を行う民間団体をひきこもり者社会参加支援センターに指定し、その取り組みを支援しています。
 加えて、保健所においても、ひきこもり地域支援センターと連携し、ひきこもりの方の相談や訪問に対応しております。
 なお、ひきこもりは、表面化しない事例が多いため把握自体が難しいことや、そのことから支援者側の働きかけが困難なことから相談につながっていない潜在的な事例もあり、それらをいかに把握していくかが課題であると考えております。このことから、今後は、関係部局や若者支援等の関係機関と、個人情報の取り扱いも含め、情報交換の進め方を検討の上、緊密に連携し、支援の必要なひきこもりの方の把握に努めたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) スチューデント・サポート・フェイスの取り組みにつきましては、スタッフによる不登校児童生徒宅への訪問支援が行われており、学校と家庭と相談機関をつなぐ役割を果たし、成果を上げていると聞いております。
 また、在学中に学校等教育機関による支援を受けていた生徒が卒業または退学した後も、スタッフによる継続的な支援を受けることで次の進路へと効果的につなげております。
 本県の不登校対策につきましては、さまざまな支援により学校に復帰する児童生徒がいる一方、新たに不登校になる児童生徒も多いことがあります。
 このため、本年度から不登校児童生徒支援員を小中学校に配置し、学校の別室での支援や家庭への訪問支援等を行っており、かかわった児童生徒の多くに状況の改善が見られております。
 また、累計5日以上欠席した児童生徒の状況・学校対応状況シートや不登校問題対応の手引きを活用し、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等とともにチーム学校として、未然防止、早期発見・早期対応、学校復帰支援の各段階に応じた取り組みを関係機関と連携して進めております。
 高等学校の中途退学につきましては、その防止のため、よりわかりやすい授業を目指した授業改善に取り組むとともに、学び直しや補充学習等、学習面を初めさまざまな支援を行ってまいりました。その結果、中途退学者数は、従前の500人程度から平成27年度には減少に転じ、平成28年度に313人、中退率は1.3%と、全国平均を下回る状況にあります。
 また、進路変更を望む生徒については、定時制、通信制の両課程を併設する拠点3校等で柔軟に受け入れる体制を整えるほか、学校から離れてしまう生徒には、若者サポートステーションWith You等とも連携しながら、次の進路へとつなぐように努めております。
 今後も、引き続き関係機関との連携を深めるとともに、学校、市町村教育委員会と一体となって取り組みの充実に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 各部長、教育長にお伺いをいたしました。
 次の質問は、佐賀県でも、平成22年に全国初となる子ども・若者支援地域協議会を発足させています。教育や就労、福祉、医療、更生保護など、関係分野の上部組織を中心に、22機関・団体が所属することで、県全域をカバーしたものとなっています。その後、支援拠点を県子ども・若者総合相談センターとしてSSFに委託することで、アウトリーチを中心とした支援を展開していったものです。
 和歌山県においても、子ども・若者支援地域協議会を設置しています。年に1回程度協議を行っているとお聞きしました。
 ひきこもり対策、子ども・若者育成支援推進法など、不登校、ニート、ひきこもりの問題については解決のため幾つもの法律があり、その連携をどのように構築していくのかが解決する糸口になると考えます。真剣に検討し、つくり上げていかなければなりません。
 まずは、和歌山県においても、社会的不適応行動をしてしまう子供、若者に対し、個々に適切な対応を可能にする縦割りではない横断的な、アウトリーチを重視した抜本的な取り組みが必要だと考えます。先ほどお話ししたとおり、ひきこもり支援センターも制度疲労を起こしているような指摘もあり、このセンターを含め、改めて関係者、関係機関が同じ共通認識を持ち、情報を共有しながら社会的不適応の問題に取り組むための施策が必要だと考えます。
 そのために、1つの提案として、今ある既存の子ども・若者支援地域協議会等をいま一度充実させ、これからの支援のあり方を抜本的に見直し、充実させてはどうかと考えますが、環境生活部長に見解をお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 本県におきましても、平成22年度に保健、福祉、教育、雇用、矯正、更生保護等、官民合わせて26の機関で和歌山県子ども・若者支援地域協議会を設立し、若者支援に関する情報共有を行っております。
 また、本県の特徴として、若者サポートステーションWith Youが中心となって、4つの地域で若者支援連絡会議を年2回開催し、各地域の関係機関のつながりを深めるとともに、お互いの支援スキルの向上に努めております。このように、支援者同士が顔の見える関係を築くことで関係機関の連携を図り、困難な事例につきましては、ケース会議により具体的に協議し、適切な支援につなげております。
 しかしながら、人とのかかわりに不安があったり、働くことに自信がない若者が必ずしも若者サポートステーションWith Youにつながっていないとの声もお聞きします。
 そこで、まずは若者サポートステーションWith Youの認知度を上げる必要があるため、教育、保健、福祉など、関係機関に若者サポートステーションWith Youの情報提供を進めるとともに、若者の課題解決に向けた関係機関との連携、協働を一層強化することで、途切れることのない支援を行ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 NPOスチューデント・サポート・フェイスの取り組みを御紹介するとともに、本県での課題と今後の取り組みについて答弁いただきました。青少年・男女共同参画課、障害福祉課、教育委員会それぞれの関係機関が連携して、対策を切れ目なくつなぐことが重要であるとの認識を示されました。
 連携と言うことは大変簡単なことですが、具体的にはどのようにつながっていくか、真剣に取り組みを進めていただきたいと思います。そのためにも現場の声をしっかり聞いていただき、さまざまな立場の皆さんの知恵を集めて進めていただきたいと要望します。
 スチューデント・サポート・フェイスの理念というのは、社会的孤立・排除を生まない総合的な支援体制を確立するというふうになっておりまして、足りないもの、必要なものは共同でつくり出すとしています。県でも、この声をしっかり胸に、全ての子供、若者が安心と希望を抱ける地域づくりを進めていただけるよう要望したいというふうに思います。よろしくお願いします。
 次の質問に移ります。障害者の雇用施策についてお伺いします。
 平成28年4月、障害者雇用促進法が施行されました。改正後は、精神障害者も障害者枠に入り、法定雇用率も引き上げられ、障害者に対する差別禁止も加えられました。
 障害者の就労については、関係者の御努力で少しずつ理解が広まっていると感じておりますが、法定雇用率が引き上げられたにもかかわらず、一般就労への理解がなかなか進まない状況の改善等についてお聞きします。
 毎年、和歌山市にあるポリテクセンター和歌山で行われる障害者技能競技大会アビリンピックを拝見しています。アビリンピックは、障害者雇用の促進を図ることを目的に開催されています。ワードプロセッサー、パソコンデータ入力、喫茶サービス、製品パッキング、ビルクリーニング、オフィスアシスタントの競技があり、約60名の皆さんが参加されます。ゼッケンをつけた選手の皆さんが真剣な表情で競技に取り組む姿を見ていると、心から応援したくなります。
 選手の皆さんは、就労されていて、その経験から競技に参加される方や、特別支援学校で訓練を受けて参加されている方もおられます。全国大会や世界大会までありますので、仕事の技能を高めるための1つの動機づけになり、大会に参加すること、そして優勝を目指すことは、自己肯定感や仕事への誇りを養えるということもあり、大変大きな意義があるものです。
 参加人数の募集が少ないことや競技を行う機器が古いこと、同じ方が毎年参加されたりと改善する点もあるかとは思いますが、障害者の就労への意欲を高めるためにも、この大会はもっともっと盛り上げていただきたいと思います。
 さて、雇用促進のための施策の1つのアビリンピックでありますが、障害者の就労についてはというと、まだまだ課題があると思います。
 障害者総数のうち18歳から64歳のいわゆる現役世代での就労者数の割合は約6割です。そのうち6割が障害福祉サービスに移行しています。障害福祉サービスのうち就労支援事業から一般就労への移行率は、社会福祉施設等調査では24.9%、就労A型は4.9%、就労B型は1.6%となっています。100人いたとしても、60人が障害福祉サービスで働き、そのうちの18人だけが一般就労につけるという数字になっています。就労B型の作業所等では、平均賃金月1.6万円と低賃金の状況が続いており、就労の問題は少しずつ進んでいるとはいえ、なかなか難しいという状況が続いています。
 そこで、2点お伺いします。
 まず、官公庁における優遇措置についてです。
 平成27年の2月定例会において質問した内容のその後についてですが、県では、障害者雇用を進めるに当たり、総合評価落札方式と障害者就労施設からの優先調達の実施を進めています。どちらの施策も導入して3年を経過しましたが、実施の状況はどのようになっていますか。福祉保健部長にお伺いします。
 障害者の就労支援については、障害者就業・生活支援センターが大きな役割を担っていただいています。障害者就業・生活支援センターでは、多くの相談を受け付けております。すぐに就労につなげられない人には、まず生活の再建から支援をしています。生活の乱れを立て直す、どんな服装がいいか相談する、面接の研修を行う、医者への付き添いを行うなど、障害者特有の要望がある中、さまざまな支援を行っています。その後、就労の相談になるのですが、一般企業に就労できる障害者はごくわずかで、大多数は作業所や就労型支援に移行しているようです。
 センターで今一番力を入れているのが就労した後の定着支援ということで、就労した企業を定期的に訪問し、就労した後のフォローを行っているということでした。センターでも企業回りを行っているようでありますが、なかなか進まない状況です。
 このような一般企業への就労について、県としてどのような支援を行っているのか、また、より多くの移行がされるよう、今後の取り組みについてどう考えておられるのか、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) まず、1点目の総合評価落札方式及び障害者就労施設からの優先調達の実施状況についてお答えします。
 平成26年度から建設工事に係る委託業務及び役務調達において実施している総合評価落札方式の実績といたしましては、平成26年度は落札者の合計42者のうち16者、平成27年度は38者のうち17者、平成28年度は40者のうち11者が、障害者の雇用や障害者就労施設等からの物品の購入等に係る評価項目で加点されています。
 次に、障害者就労施設からの物品や役務の調達につきましては、平成25年度から毎年優先調達の方針を作成し、前年度の実績を上回ることを目標に取り組んだ結果、県の調達額の実績としましては、平成26年度は2000万円、平成27年度は2221万円、平成28年度は2406万円となっております。
 また、県内の市町村や公立大学法人和歌山県立医科大学に対しましても優先調達の働きかけを積極的に行っており、その結果、県全体で、平成26年度は1億2103万円、平成27年度は1億3963万円、平成28年度は1億4625万円の調達額となっています。
 続きまして、2点目の障害者の一般就労への移行の状況と今後の取り組みについてお答えいたします。
 県では、障害のある方が地域で自立して生活できるよう、平成27年8月に障害者就労支援計画を策定し、一般就労を希望する障害者就労施設の利用者に対して、関係部局や和歌山労働局と連携しまして一般就労への移行に向けた取り組みを行っております。
 具体的には、社会福祉法人等が運営する就労移行支援事業所を初めとした障害者就労施設において、就労に必要な知識や能力の向上のための訓練を行っております。その結果、昨年度は81名が一般就労につながりました。
 また、身近な地域において障害者の円滑な就業や日常生活などの必要な支援を行う障害者就業・生活支援センターにおいても、職業訓練や地域の企業を対象にしたインターンシップ制度を実施しており、昨年度は91名が利用し、うち57名が一般就労につながりました。
 なお、就労後の定着支援の取り組みにつきましても大変重要であると認識していることから、引き続き障害者就業・生活支援センターを活用するとともに、就労移行支援事業者等を中心に就労定着支援事業の実施を働きかけるなど、一般就労した障害のある方が就労を継続できるよう取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 障害者就労についてお伺いしました。
 答弁でもあったんですが、一般就労を希望する障害者就労施設の利用者に対して、関係部局や和歌山労働局と連携してと、こういうふうにあるわけです。
 県の労政がなかなか一般就労のところにタッチできないというか、一般就労に移行した方に対してその会社と事業所とかにつなぐ役割はどうしても労働局が担当しているということになってまして、県は企業に対して障害者雇用を何とか、法定雇用率も高まりましたので雇用してくださいねという理解を求めるということにとどまっているのが現実だというふうに思うんですね。
 このあたりに県として、一体に障害者就労に取り組むところの弱さがあるかなというふうに思っていまして、今後、障害者の一般就労を進めていくためにも、障害福祉、労働政策、労働局と、この連携をもうちょっと深めていただくようなやり方ってないものかなというふうに思っておりますので、そのことはまた今度に譲りたいと思います。
 では、次の質問に移らしていただきます。最後の質問です。介護保険制度についてお伺いしたいと思います。
 「わかやま長寿プラン2018」の素案が今発表されておりまして、現在パブリックコメントを募集しているというふうな状況です。このプランでは、高齢者人口の将来推計として、高齢化率は平成29年1月現在で30.9%、将来推計として32年推計は33.5%、平成42年推計では36.2%となっておりまして、将来的には3人に1人が高齢者という時代が確実にやってくる。今回のプランは、「高齢者が安心して、いきいきと暮らすことができる和歌山」ということでまとめられています。
 介護保険事業も、平成29年度から介護予防事業に新しい介護予防・日常生活支援総合事業が加わり、多様な予防事業が展開できることとなりました。また、包括的支援事業は、地域包括支援センターの運営だけではなく、在宅医療、介護連携の推進や認知症施策の推進、生活支援サービスの体制整備などが加えられ、市町村で独自に行うということになりました。介護保険事業の中で介護予防・日常生活支援総合事業が加わったことを受け、各市町村ではそれぞれの取り組みを進めています。
 和歌山市では、第1層、第2層などというカバーする地域の範囲に合わせた協議体を設置して、1つは地域のニーズと資源の状況を見える化する、2つ目が問題提起、地縁組織等、多様な主体への依頼などへの働きかけを行う、3つ目が関係者のネットワーク、4つ目が目指す地域の姿・方針の共有、意識の統一、5つ目が生活支援の担い手の要請やサービスの開発、こういう5つの取り組みを進めるとしているんですね。
 第1層では、市町村区域で行う機能として、第2層では、これにニーズとサービスのマッチングを加えて中学校区域で行うとしています。その後、第3層というのもありまして、個々の生活支援、介護予防サービスの事業主体で利用者と提供者をマッチングする機能が示されていますが、和歌山市ではまだその段階まで進んでいないとのことでありました。
 問題は、この第2層というところにあると思うんですね。生活支援体制整備事業を進める上で中学校区での取り組みが求められているんですが、具体的な中身の部分がはっきり言って全く見えてない状況だと思います。
 和歌山市では、市内を15の圏域に分けて第2層の生活支援コーディネーターを設置するとしているんですが、私の住んでいる宮前地区は宮校区と一緒に1つの協議体を設置するとして、その協議体を宮地区の鳴神にある病院に設置してるんです。
 今回、和歌山市第2層生活支援体制整備事業ということで講演会を行うとしているんですが、この協議体というのが何だかよくわからないなあというのが地域の皆さんの本音であります。
 現在、社会福祉協議会の下部組織として各地区協議会が設置されており、各地区協議会、いろんな地域では、ふれあい広場事業とかふれあい食事サービス、ふれあい在宅ケアの集いとか高齢者料理教室、さまざまな地区協議会がそのことを行っていただいています。
 私の住む宮前地区でも、地区協議会がいきいき体操教室を実施していただいてるというふうなことになっているんですが、今やってるこのような活動は地区協議会が主体で実施していることになっていますので、実際のところは自治会の皆さんがボランティアによって活動を支えていただいてるんです。このような活動については予算措置も全然なくて、皆さんは、ボランティアで広場事業とか事業を行っていただいているというのが実際なんですね。
 私は、実際こういうふうに行われているこのような活動を含めて協議体というのはあるんじゃないかなあ、構成されるんじゃないかなあ、新たな制度で生活支援体制整備事業というのをやりなさいと言ってるんですけど、今やってることをやっぱりちゃんと含めたそういうことをしなくちゃいけないんじゃないかというふうに思っています。
 第2層の協議体では、先ほど説明したように、地域でニーズとサービスをマッチングさせるということが重要な事柄であるというふうに示されているんですが、誰がどこに住んでどのような状態にあるのかということは十分把握して、その方に応じた支援を届けるということが大事だと思うんですけど、今ちょっと説明したように、和歌山市のように大ざっぱに15の施設に協議体を設置して予算をつけるというやり方では、ちょっと言ってる趣旨が違ってくるんではないかというふうに思っているんです。
 ちなみに、宮校区と宮前校区の2つの校区の世帯を合わせると1万6892世帯、3万8492人という大変大きな地域になっておりまして、地域で見守ろうといった趣旨からいうと、協議体の規模も問題になってくるというふうに思います。
 各市町村の取り組み状況というのは違うと思うんですが、県として、協議体あるいは生活支援コーディネーターについてどう考え、どのような指導、支援を行っているのか、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 市町村によっておおむね中学校区域を単位として設置される第2層の協議体は、住民主体の支援体制を推進するという観点から、自治会、老人クラブ、民生委員、地域包括支援センターや地域で活動するボランティアなど、従来からその地域で活動を行い、地域のニーズや既存のサービスの情報に詳しい方々を構成団体として設置されるものであります。
 また、協議体には生活支援コーディネーターが配置され、協議体の構成団体と連携して地域で必要な生活支援サービスや地域資源の把握を行うとともに、必要に応じて協議体の構成団体や事業所等に働きかけて地域で不足しているサービスを創出し、必要となるサービスを地域の高齢者の方々に届ける役割を担うことになります。
 県といたしましては、市町村が行う生活支援サービスの充実を促進するため、生活支援コーディネーター養成研修により必要な人材を養成してまいります。
 また、引き続き市町村の取り組み状況を把握の上、アドバイザーの派遣や先進事例などの情報提供を行うとともに、地域の実情に応じた生活支援コーディネーターの複数配置など、必要な助言を行ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 藤本眞利子さん。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 介護保険制度も変わっていく中で、地域で担ってくださいよという事業が多分推進されるというふうになってきてると思うんですね。でも、今説明していただいたんですが、じゃあどうしていくんよ、地域のニーズとかを拾い上げて、それをマッチングさせて支援をするってどうしていくんよというのがとってもわかりにくい国の制度になっているかというふうに思うんです。
 県としても、各市町村の状況が違うので、一くくりにはいかないと思うんですね、大きな世帯もあれば小さな市町村もありますので。その辺は、今の段階では状況をしっかりつかんでいただいて円滑に推進していただけるようにお願いして、一般質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、藤本眞利子さんの質問が終了いたしました。

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