平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(濱口太史議員の質疑及び一般質問)


平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(濱口太史議員の質疑及び一般質問)

 

 

◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 

 

  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号、議案第39号から議案第66号まで、議案第69号、議案第71号から議案第75号まで及び議案第77号から議案第94号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 11番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 皆さん、おはようございます。
 今議会の一般質問3日目、一番最初に登壇をさせていただきます。
 議長のお許しをいただきましたので、早速一般質問をさせていただきます。今回は、4つの大きな項目を質問さしていただきます。
 まず1つ目、鯨文化の持続に向けた支援についてお聞きいたします。
 まず、捕鯨の正当性を訴えるための情報発信についてであります。
 太地町は、ことし1月19日に、同じようにイルカの追い込み漁を行っているデンマークのフェロー諸島の町、クラクスビークと姉妹都市提携の締結をしたことを発表しました。記者会見で三軒一高町長は、「生きるために海洋生物資源に依存してきたまちの共通項を生かし、末永く互いに発展していきたい」と喜びを語りました。国際的な連携を図ることによって、捕鯨文化の正当性の発信が期待されます。
 しかしながら、前向きな話ばかりではありません。反捕鯨団体の抗議運動は、新たな展開を見せつつあります。
 2月4日付「産経新聞」によりますと、日本が漁をやめなければ、2020年東京オリンピックをボイコットするよう各国に呼びかけるサイトを立ち上げたりサイバー攻撃を仕掛けるおそれなどがあるとして、警察庁や外務省などが情報収集を進めているとのことです。また、期間中には海外の過激派が押し寄せ、競技施設周辺で挑発行動を行うのではないかと警戒しているとのことです。
 海外だけでなく、日本国内でも反捕鯨を訴える人は少なくありません。まして、捕鯨に関心さえない人がふえ、捕鯨を営む人も鯨肉を食する人も今や少数派となりつつある状況の中、地元や関係者以外の賛同者や援軍、つまり味方をふやさなければ、ますます捕鯨文化は窮地に立たされるのではないかと懸念しております。
 そのような発想から、我々自由民主党和歌山県支部連合会の中の若手議員らの組織であります青年局と青年部が主催して、2月8日、9日の2日間、太地町におきまして、熊野灘沿岸における捕鯨文化と食文化をテーマにした、くじらサミットと銘打った研修会を全国の青年局等に参加を呼びかけ開催いたしました。
 党本部からは、青年局長・鈴木馨介衆議院議員ほか役員や、各府県から県議会議員、市町議会議員、学生部に所属の現役大学生、本県からは、門博文衆議院議員、下副知事、自民党和歌山県議団の先輩・同僚議員も多数参加していただき、地元の関係者等を含め、総勢100名の研修会となりました。
 くじらの博物館、鯨の海構想の森浦湾の視察から始まり、「捕鯨文化とのそれぞれの関わり」というテーマでのパネルディスカッションを、地元からお2人の組合長、水産庁か山口英彰次長、田辺海上保安部・川上誠部長と、党本部役員らにパネラーを務めていただき、それぞれの立場での捕鯨にまつわる話を伺いました。
 その夜は、実際に食べていただくために懇親会を開催、鯨、イルカづくしの全20品の料理で大変盛り上がり、食べ切れなかった料理を持ち帰る人も多く見られました。
 2日目は、畠尻湾を望む入り江から追い込み漁を見学した後、佐々木芽生監督が制作した「おクジラさま ふたつの正義の物語」という映画をごらんいただきました。上映前には、登場人物の1人であり、漁師を理解するために太地町に移住したアメリカ人ジャーナリストのジェイ・アラバスターさんに情報発信の重要性を語っていただきました。
 改めて、御参加いただいた方々と、全面的なバックアップをいただいた三軒町長を初め太地町並びに漁業組合の皆様、そのほか御協力いただいた全ての皆様方に深く敬意と感謝を申し上げます。
 なお、研修の詳細につきましては、資料として配付しました「日刊水産経済新聞」の記事をごらんいただきますようお願いいたします。
 さて、捕鯨やイルカ漁を行う日本に対するバッシングの始まりは、追い込み漁を批判するためのアメリカ映画「ザ・コーヴ」が平成21年に公開され、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を初め、数多くの賞を受賞したことがきっかけでした。世界からの注目が映画の舞台となった太地町に集まり、反捕鯨団体などが抗議に押し寄せ、悪質な嫌がらせと妨害活動が展開されることになりました。
 この事態を受けて、県議会におきましても、先輩・同僚議員がたびたびこの問題を取り上げられ、捕鯨並びにイルカ漁は、本県が先人から受け継いできた重要な文化であり、これからも持続できるように守っていかなければならないと、知事初め県と議会の一致した方針、強い意思、正当性などが確認されてまいりました。
 県警には、漁期の間、入り江前に臨時交番を設置してもらうなど、海上保安庁と連携して警戒強化をしていただき、国や関係機関に対しては、毅然とした態度での抗議を要望してまいりました。太地町の皆さんは、大変心強く、ありがたい味方であるとおっしゃっております。
 そんな中、「ザ・コーヴ」に反論する形で「ビハインド・ザ・コーヴ」という日本映画が平成27年に公開されました。先ごろ開かれたロンドン国際映画制作者祭において、八木景子監督が長編ドキュメンタリー部門の最優秀監督賞を受賞されました。八木監督は、「反捕鯨家が活動をする最重要拠点のイギリスで評価してくださったことは大きな意味がある」と語り、世界の捕鯨批判に対し、肯定側の主張をアピールする効果に期待が高まるところであります。
 しかしながら、2月4日付「産経新聞」に「ザ・コーヴ」の続編がこの春にも制作されるとの報道がありました。制作者は「漁師を永久に黙らせる」などと息巻いているそうで、公開されますと国際世論の圧力が再び高まることも懸念されます。
 批判の的にされながらも、先人から継承した捕鯨を、町の発展のため、家族の生活のために必死に漁を行っている漁師への妨害から、国、県、町や水産庁、海上保安庁、警察の物理的に守るための努力はとても重要なことであり、効果を上げています。しかし、これと同様の規模の努力を具体的な海外に向けたメディア戦略にも注ぐ必要があると思います。
 前出のジャーナリストのジェイさんは、「シーシェパードは、SNSを駆使して海外のテレビや新聞、マスメディアにばんばんと情報を流し続けているが、それに比べて太地町からは海外向けの広報が何もできていない。そうすると、メディア戦略という意味で完全に不利となっている」と述べています。こちらからの情報が全然出ていかなければ、反捕鯨側が流す情報が逆に事実として認識されてしまうと解釈できます。日本人は、世界の人々に比べ、争いや議論を避ける国民性だと評価されがちで、この捕鯨批判問題に対しても、反論や説明を控えたり、事実を包み隠したり、相手の挑発に乗らないようにひたすら耐えるといった防戦一方のような姿勢だから大きな声に攻撃されやすいのだとも述べておられます。
 だからといって、漁師の方たちは、獲物と戦うことは専門でも、世界を相手にした言論での闘い、まして外国語でとなりますとふなれで手段もわからないと戸惑っています。そのかわりとなって太地町は、三軒町長を先頭に、行政的、政治的なリングの上で、町の文化を守るために悪戦苦闘しているというのが現状だと推察します。
 鎮静化しつつあった批判攻撃が、新たな動きによって再び熱を帯びてくるのは間違いありません。マスメディアや映画を通じて、さらには、SNSやインターネット上で繰り広げられている捕鯨並びにイルカ漁への批判や中傷を相手に、あるいは正しい理解者をふやすための情報発信など、援軍としての県の役割は非常に重要であると考えます。
 知事におかれましては、これまでにも、あらゆる場面で捕鯨文化の正当性を訴えておられます。2月22日付の和歌山県庁メールマガジン「わかやま通信」でも、反捕鯨への反論、力強い支援のコメントを掲載されておりましたが、改めて知事の御見解と今後の対策などについての思いをお聞かせいただきたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、これまでも何度となく、反捕鯨団体などから、マスメディアや映画、SNSなどのインターネットを使って捕鯨に対する不当な攻撃が行われてまいりました。一方的な批判に対しては、和歌山県としてもこれは反論を発すべきだと考えまして、太地町でのイルカ漁業に対する和歌山県の公式見解を日本語と英語でまとめ、イルカ漁の正当性を県のホームページを通じて全世界に情報発信をしているところでございます。
 これについては、特に和歌山県に対して投書をしてくる人がいます。そんなもの、別に日本人がイルカや鯨で食っていかなきゃいけないわけじゃないのでやめえてしまえと、外国に嫌われたら損だと、こういうようなことを言ってくる日本人がたくさんいるわけですね。そのたびごとに、このホームページに書いてあることを全部どんと送り続けると。これを読んで考え直してくれと、こういう趣旨であります。
 そんなようなことをやっとるんですが、日本の捕鯨の立場を広くアピールするために、八木景子監督を招いた「ビハインド・ザ・コーヴ」の上映会や講演会も開催してまいりました。また、「おクジラさま」については、オークワの──ちょっと名前を忘れましたが、映画の──ジストですね、あそこで上映されるようにいろいろお願いをいたしまして、それで私も見に行ってまいりました。
 さらに、今回、「ビハインド・ザ・コーヴ」の八木景子監督がロンドン国際映画祭で長編ドキュメンタリー部門の最優秀監督賞を受賞されたことは、世界にイルカ漁の正当性を発信するよい後押しになると考え、県庁ホームページの「知事からのメッセージ」や和歌山県庁メールマガジン「わかやま通信」を活用して八木監督の功績をたたえるとともに、県の考え方もあわせてもう一度情報発信をしたところでございます。
 また、先ほど言いましたように、メールなどでいろいろ反捕鯨の意見が参りますけれども、それについては、その都度、先ほど言ったような方法で反論をしております。
 今後も反捕鯨活動は鎮静化せず、さらなる攻撃も予想されるために、これまで以上にフェイスブックやツイッターなどの複数の情報媒体やあらゆる機会も活用しながら、イルカ漁の正当性を発信していく所存でございます。良識ある皆様も、それぞれのルートでぜひ正論を積極的に発信してもらいたい、そんなふうに考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 知事の御答弁をいただきました。引き続き、よろしくお願い申し上げます。
 次に、鯨食を普及させるための取り組みについてお伺いをいたしたいと思います。
 日本人の多くは、他国からの鯨食文化批判にけしからんと怒りをあらわにしますが、それは批判行為そのものへの不快感によるもので、必ずしも鯨食文化を支持しているわけではないようにも感じます。
 国内におきまして、たんぱく源として牛や豚、鳥肉が普及したことに伴って、昔ほど鯨肉を食べる習慣がなくなってきているのは確かですが、くじらサミットの懇親会における参加者の反響を見たときには、食べていただければ、おいしさ、いろいろな部位を使った料理による多彩な食感、低カロリーで上質なたんぱく質という特徴などにも関心を示してもらえる食材だと確信いたしました。
 しかしながら、今となっては鯨食は懐かしい過去のもの、出回る量が少ないために鯨肉は希少価値の高いものになってしまいました。この状況を打破するためには、日本がIWCで訴えている商業捕鯨再開に向けた国内の機運を高めること、つまりは国内における需要の拡大が重要であり、消費量をふやすためには、まず鯨食を普及させることからだと思います。
 そこで、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 例えば、食の習慣は子供のころに養われるという観点から、県内または全国に向けて給食の食材として利用してもらうためのアピールや鯨肉を提供する仕掛け、食卓でも気軽においしく食べてもらえる機会をふやす取り組みなど、県としてはこれまでにもさまざまな取り組みを行ってきたと認識していますが、鯨食を普及させるための現在の取り組みを教えてください。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員御指摘のように、食の習慣は子供のころに養われるという観点から、県におきましても、平成24年度より、県内全ての小学校及び特別支援学校の給食に地場産の農水産物を無償提供してまいりましたが、今年度より、新たに提供品目に鯨肉を追加するとともに、提供対象を中学校にまで拡大したところでございます。
 県といたしましては、今後も引き続き、学校給食へ鯨肉を提供していくとともに、プレミア和歌山認定商品を初めとする地元のすぐれた鯨関連の加工品や一般家庭向け鯨料理のレシピなど、鯨肉のさまざまな味覚や食べ方を、ホームページやイベント等の機会を捉え、全国に情報発信していくことで、鯨食の普及に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 今回は、1つ目の質問として捕鯨を取り上げました。反捕鯨を唱える人たちの動物愛護的な言い分も理解できなくはありませんが、我々和歌山県は、捕鯨をレクリエーションでやっているわけではありません。生きる糧として触れ合うことを望む人たちのために捕獲を行っているのです。
 しかし、批判を受けてからでは、こちら側の主張を押しつけと耳をかしてもらうことは困難です。正面衝突では平行線をたどるだけです。真実を情報としてふだんから積極的に発信して、理解を求めていこうという姿勢も大事だと思います。
 あともう1つだけ聞いていただきたいのですが、くじらサミットのディスカッションにおけるパネラーの要請のために、藤山、岸本、鈴木議員とで水産庁を訪れたときのやりとりですが、平成27年6月定例会で可決していただいた捕鯨とイルカ漁業に関する意見書の話になりました。髙屋捕鯨室長からは、和歌山県議会から国に提出された意見書は、水産庁が各方面へ働きかける際の強力な後押しとなったと感謝の言葉をいただきました。
 また、以前、自民党三重県連と和歌山県連が合同で太地町の捕鯨を視察したのですが、その後、三重県議会からも同様の意見書を国に提出していただいたこともありました。
 今回のサミットの最後に、主催者からのお願いということで、太地町だけでなく、全国で捕鯨に携わっている地域のためにも捕鯨文化の味方をふやしたいという趣旨を述べ、賛同いただけたら、各地からも意見書の提出と地元での鯨食の普及、給食への利用推進などによる援護射撃をお願いいたしました。
 日本遺産「鯨とともに生きる」が文化的な認定を受けたこの機会を追い風と捉えて、今後、また日本や太地町に襲いかかろうとする逆風に立ち向かうために、我々政治や行政の立場でしかできないことがまだまだあると思います。県や県議会の皆様のさらなる御理解と御協力をお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
 2つ目、児童生徒の生活習慣病予防に対する意識づけについてであります。
 まずは、学校の健康診断における生活習慣病の予防についてお尋ねをいたします。
 健康診断は、県内の幼稚園児、小学生、中学生、高校生、大学生に至るまで、学校教育法、学校保健安全法の規定に基づき行うこととされています。そして、学校保健安全法施行規則に記されている検査項目や実施の学年、方法と技術的基準などに沿って各学校で実施されていると思いますが、生活習慣病の予防対策としてはどのような内容で実施され、どのような指導がなされているのでしょうか。教育長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校における健康診断は、疾病及び異常があるかどうかをふるい分け、健康状態を把握すること、健康課題を把握して健康教育に役立てることを目的として実施しております。
 学校の健康診断における生活習慣病の予防につきましては、肥満と密接に関連することから、身長と体重から算出される肥満度を用いて判定し、指導につなげております。
 本県において、肥満度20%以上である肥満傾向児の出現率は全国の値を上回っていることから、県教育委員会といたしましても、肥満を健康課題と捉えております。
 また、肥満に対する健康診断の事後措置については、原因となる生活習慣を把握した上で、担任、養護教諭、栄養教諭等が連携し、個別に食生活、運動量、生活時間等について具体的に指導しております。さらに、臨時に身長と体重の測定を行うとともに、成長曲線や肥満度曲線を積極的に活用し、異常であると判断した場合は学校医に相談し、必要であれば保護者に説明をした上で、医療機関への受診を勧めております。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 次に、児童生徒への血液検査実施についてお伺いをいたします。
 平成27年度改訂の「児童生徒等の健康診断マニュアル」の資料編に、「学校における健康診断の変遷とその周辺」という記述があり、それによりますと、学校現場における健康診断は明治11年から始まり、時代背景とともに変遷されてきた経緯が書かれております。
 さて、そのように基準は変遷されるものという前提と、私の素人的発想ということを御理解いただいた上で聞いていただきたいと思います。
 健康診断のあり方についてですが、病気の要因を早期に発見するために行われている健康診断は、主に大人を対象として実施されており、高齢になるにつれて受診を促す声が大きくなります。
 しかし、児童生徒自身が健康状態を把握し、その後の変化に関心を持つことで健康を害するよくない生活習慣や食生活を学んでもらうためには、まだ真っさらな状態である子供のころから生活習慣病予防を意識づけられる健康診断の実施を始めるほうが効果が高いのではないかという話です。
 例えとして適当ではないかもしれませんが、新車を購入したとします。製造工場であらゆる項目の厳しい検査を経た完璧な状態の車がディーラーから納められます。その後、何カ月かごとに点検を受け、そのときそのときの状態をチェックします。任意の検査もあれば、車検は年数ごとに国に義務づけられており、消耗部品の交換や物理的な異常を発見し、故障による事故を未然に防ぐために実施されているものです。また、部品の消耗ぐあいなどから、車の状態や運転の仕方について、メカニックの方からアドバイスを受けることもあります。
 その論理を人間の健康管理ということに置きかえてみますと、健康診断は病気を早期発見するという考え方もありますが、真っさらな状態からの変化をチェックすることで、早期に生活習慣や食生活の軌道修正を行える、さらには、将来的に懸念される生活習慣病の予防に効果をもたらすのではないかという発想です。
 このような考え方は、浦口高典議員も、平成26年2月定例会で、子供のときから健康や生活習慣について考えることの重要性や、海南市内の公立小中学生を対象に、海南医師会の協力で実施している肥満児検診について紹介されています。
 さて、先ほどの答弁にもありましたとおり、身長と体重などをもとに割り出される肥満度によって肥満などの判定を行うとのことでしたが、大人になる前の児童生徒に対し、大人が受診する検査内容に近い健康診断項目を実施することは、健康社会の形成により一層の効果を上げることにつながるのではないかと考えます。
 例えば大人の健康診断では必ず行う血液検査は、血液の状態からさまざまな数値によって体の異常を見つけ出し、生活習慣の改善等につなげていくものですが、その観点から、身体的には十分大人である高校生からでも実施することができないものかと考えます。
 学校における健康診断で血液検査を検査項目として実施することは可能でしょうか。教育長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 児童生徒への血液検査は、予防接種などとともに医療行為であることから、一般的に学校での実施は困難となっております。
 しかしながら、肥満度が高い子供にとっては有効であることから、健康診断の結果、何らかの疾病及び異常が認められる場合は、学校医と連携を図りながら医療機関への受診を促すことで、血液検査を初めとする検査の実施や医師による指導につなげています。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 お尋ねした血液検査は、医療行為となるため、学校において全ての児童生徒に実施するというのは困難とのことです。ただし、肥満度が高い子供に対しては、医療機関への受診や血液検査を勧める指導をされているということで理解をいたしました。
 では、次の考え方として、学校で実施されている健康診断結果をもとに分析した結果やアドバイスをいかに児童生徒本人や保護者に理解してもらうか、生活習慣病の恐ろしさ、予防の重要性をいかに認識してもらうか、そして、予防のための望ましい生活習慣を実践してもらえるかが肝心だと思います。児童生徒や保護者にわかりやすく理解してもらうためには、これまで以上の工夫が必要だと思います。
 また、海南市のように、地元の医師会や理学療法士協会などに協力を仰ぎ、専門的な見地からの指導を受ける機会を設けるというのはどうでしょうか。
 また、有効な取り組みを行っている県内外での事例を県教育委員会で情報収集し、それをもとに、地域性や学校の規模を考慮した上で、県内全体での情報共有、足並みをそろえた取り組みの推進を行っていただきたいと考えます。
 国全体で医療費削減が叫ばれている昨今ですが、大人になってようやく健康のありがたみに気づき、慌てて体調管理や治療を始めるよりも、少しでも若い段階から予防意識を向上させ、望ましい生活習慣の確立に向けた取り組みについて検討していただけないでしょうか。教育長の御答弁をお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 望ましい生活習慣の確立に向けた取り組みにつきましては、養護教諭や保健主事を対象に、成長曲線の活用や小児肥満対策に関する研修会を小児科医や理学療法士の協力を得て県内5地方で開催し、子供の発育を適切に評価できるよう指導力の向上を図っております。
 また、各学校では、小学校3・4年、中学校3年、高等学校の保健体育科において、健康な生活の過ごし方等について、それぞれの発達の段階を踏まえ、系統的に指導しております。
 さらに、さまざまな機会を捉え、生活リズムや食習慣、運動習慣の見直しや本人、保護者に対する保健指導の実施、保健だよりによる啓発など、子供のころから健康的な生活習慣を意識できる取り組みを行っております。
 県教育委員会では、保護者に肥満が受診を要する状態であると認識されにくく、医療機関への受診につながらないことから、受診を促す基準や対応等を記載したチェックリストや啓発リーフレットを作成し、学校医等地域の専門家と連携してより確実に医療機関につなげるとともに、早い時期からの望ましい生活習慣の確立を目指した取り組みを進めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。引き続き、よろしくお願いいたします。
 健康については大人になってから考えよう、このままではよくないことはわかっているが、もっとひどくなってから考えよう、そういった意識は、若いとき、誰しもが持っていると思います。しかし、身についてしまったよくない生活習慣や食生活を大人になってから改善するというのは困難ですし、大人になれば、飲酒、喫煙、夜更かしなど、もっと体にダメージを与えることがふえます。生活習慣病になれば、本人はもちろん周りも大変になります。
 若いうちから健康を身につけられる取り組みを重ねてお願いし、次の質問に移らしていただきます。
 3つ目、木造仮設住宅の整備についてであります。木造仮設住宅を活用することについてお尋ねをいたします。
 平成28年4月14日、16日と、熊本県を震度7の地震が2度も襲いました。私は、昨年8月末に震災から約1年半が経過した熊本県、特に被害が甚大であった益城町などを地元県議会議員との御縁がもとで訪れる機会を得ました。町内を車で案内されながら被害や復旧状況などを見て回り、説明を受けましたが、倒壊した建物や家屋が撤去された後の更地が多く目につきました。
 熊本県では、これまでに地震が全く発生していなかったわけではありませんが、大地震になりますと、さかのぼること、江戸時代に発生して以来、約400年ぶりとなったわけです。そのため、ほとんどの熊本県民は、地震が来ることを想定しておらず、備えに対する意識が薄かったことから、地震保険などに加入している割合は2割から3割だったそうです。
 私が行ってから半年以上が経過しますので状況は変わっているとは思いますが、そのときは家屋を新たに建てる資金のめどが立たず、いまだに更地のままのところが多いというお話でした。
 一たび地震や津波、豪雨災害が発生しますと、住家を失った被災者の方々は避難所生活を強いられることになります。その後、仮設住宅での生活を余儀なく送ることになります。しかしながら、災害による直接の難からは逃れ、命は助かったものの、その後の避難所あるいは仮設住宅での生活は、身体的な負担だけではなく、精神的なストレスや将来への不安を感じる方が非常に多く、生活環境の変化によるさまざまな要因で命を亡くされる関連死も結構多いとお聞きいたしました。
 そんな話を伺った後、まちを走っておりますと、木造の仮設住宅が建ち並ぶ地域が目に飛び込んできたので、もちろん御迷惑にならないように離れたところからではありますが、様子を見させてもらいました。
 熊本県では、設置された仮設住宅のうち16%が木造で設置されたそうです。長期にわたるふなれな環境での生活で疲弊されている被災者の方々に少しでも安らぎを感じていただくために木造の仮設住宅は大変効果があり、好評だとよく聞きます。また、事情に応じた設計が可能であるのも木造の特徴だと聞きました。
 そこで、本県でも、将来、大規模自然災害の発生により被災者が住まいを失ってしまった場合、適材適所、いずれかの工法やタイプの仮設住宅が検討されると思いますが、プレハブ仮設住宅のほかに木造仮設住宅を活用することについて、知事はどのようなお考えをお持ちでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県では、南海トラフ地震を初めとする自然災害への備えを最優先に考え、発災直後の迅速な対応への取り組みを進めてきたところであり、仮設住宅の確保もその取り組みの1つであると思います。
 被災後に多数の仮設住宅を速やかに供給するためには、まず公営住宅や民間賃貸住宅、これが結構余っておりますので、そういうものを活用するということのほうが早いんですけども、それでも東海・東南海・南海3連動地震の想定でも数万戸が不足すると思われますので、新たな仮設住宅の建設が必要であります。
 和歌山は木の国でありまして、紀州材の利用と林業の振興は、ありとあらゆる機会をつかまえてやっていきたいと思っております。しかし、災害が起こりまして、不自由な避難所生活を強いられている人たちに何よりも必要なのは、一日も早く必要な戸数を建設して被災者に提供するということであります。
 木造仮設住宅は、そうでないものに比べ、今のところ20%ほど割高なんだそうでございますが、それよりも供給体制ができていないと困るわけであります。恐らく平時に住宅用資材を提供するのとはちょっとわけが違う形であろうかと思いますので、値段はちょっとぐらいの差なら木造のほうが住み心地がいいに決まっとるわけでございますので、したがって、ぱっと多数集めるという供給体制を県と業界で考えていきたいと、そういうふうに思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 知事の御答弁をいただきました。
 今の答弁の中でも、いろいろな課題があるということもおっしゃっておられました。次は、そのことについてお尋ねをいたしたいと思います。
 自然災害による被災者の方々に木造応急仮設住宅を一日も早く建設し提供することを目的に、全国の工務店や建設職人などで全国木造建設事業協会が組織されています。これまでにも、東日本大震災、熊本地震の発災後、多くの木造仮設住宅を供給できた実績があるとのことです。
 建設に当たっては、木材などの調達から始まり、建設においては、基礎工事、建築工事、その後の内装や水回り、電気やガスなどの工事など、応急仮設とはいえ長期にわたる生活が予想されることから、一連の工事は、従来の住宅建築と同様に行われます。
 また、さまざまな関係機関の協力が必要だそうですが、本県ではどのような準備をされているのでしょうか。県土整備部長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 木造仮設住宅の供給体制の準備についての御質問でございます。
 知事から答弁のありましたとおり、大規模災害時の仮設住宅については、早期に提供することが重要であることから、木造仮設住宅については、迅速に大量提供するという面で課題があると認識してございます。
 しかしながら、木造仮設住宅は、安らぎが感じられるなど好評であるという面もあることから、可能な範囲で迅速な提供に対応できるよう、県内外の関係団体に対して仮称・和歌山県応急木造仮設住宅建設協議会の設立を働きかけております。
 この協議会については、県内の建築関係団体や木造生産者団体で構成される和歌山県木造住宅生産体制強化推進協議会が中心となり、全国から施工業者の手配や資材の調達が速やかにできる日本木造住宅産業協会と全国木造建設事業協会に御参加いただきたいと考えてございます。
 事前にこの協議会と県が協定を締結しておくことで、より迅速に木造仮設住宅の提供ができるよう準備を進めたいと考えているところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。
 決して従来のプレハブ住宅がよくないというわけではありません。被害が大きくなればなるほど、たくさんの仮設住宅が必要となり、木造だけでも大変だと思います。それに、それぞれメリットやデメリットがあるかと思います。
 例えばプレハブ式は、木造に比べ、完成までの期間が短く済む。しかし、期限が来れば返却しなくてはなりません。木造式は買い取りの形なので、撤去のときには別途費用が発生するが、居住者にそのまま復興住宅として提供することもできるなど、いろいろとメリットがあります。
 いずれにいたしましても、被災され、住宅を失われた方々の事情や希望に沿えるようにさまざまな研究や取り組みを行い、被災者の生活と将来の生活設計を支援するために備えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、最後の質問に入らしていただきます。
 新宮市三輪崎から佐野へと流れる佐野川は、現在、拡幅整備を順次、下流から進めていただいております。平成26年度までは支川・荒木川の整備も進められてきましたが、断面の小さかった荒木橋までの整備が完了したことで一定の効果があるものとして一旦終了させ、佐野川を重点整備していると伺っております。そこへ昨年10月の台風21号に伴う豪雨によって、佐野川及び支川・荒木川の流域住宅地において、広い範囲で浸水被害が発生しました。
 荒木川については、昨年6月21日から22日の梅雨前線豪雨に伴う出水により、荒木橋上流で一部堤防が被災を受け、応急復旧を実施していたところに昨年10月の台風21号により越流し、再度被災しましたが、その後早急に復旧していただいたところであります。
 しかしながら、荒木川上流には未整備区間が残っており、地域住民からも支川・荒木川の早期整備を望む声が出ております。今後、佐野川及び支川・荒木川流域の浸水対策についてはどう進めていくお考えでしょうか。県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 佐野川と支川・荒木川の浸水対策についてでございます。
 佐野川、荒木川につきましては、平成24年2月に策定した河川整備計画に基づき、下流から順次整備を進めております。
 佐野川につきましては、河口から第一佐野橋上流約0.5キロまでの区間のうち、約2.6キロ区間の整備を計画に位置づけております。このうち下流から第二佐野橋までの約1.9キロ区間が整備済みで、現在、第二佐野橋及びその上流の第一佐野橋のかけかえ工事を進めております。
 また、支川・荒木川につきましては、佐野川との合流点から市梨橋までの約1.2キロ区間の整備を計画に位置づけております。このうち、屈曲し、断面が小さかった荒木橋付近までの下流約0.6キロ区間の整備が平成26年度までに完了しております。
 昨年10月の台風21号に伴う豪雨では、佐野川沿川において40戸、また、支川・荒木川沿川においても30戸の家屋浸水被害が未整備区間での溢水等により発生しました。
 これを受け、今年度補正予算で当初予算を上回る予算を確保し、佐野川の第二佐野橋上流の河道拡幅を推進するとともに、支川・荒木川の荒木橋上流の整備を行うための測量及び設計を進めていく予定でございます。
 今後とも、さまざまな機会を通じて予算を確保するとともに、用地の御協力をいただきつつ、残る区間の早期整備に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 地域住民の豪雨災害に対する恐怖と不安をどうか一日も早く取り除いていただきますようお願い申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。

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