平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(川畑哲哉議員の質疑及び一般質問)


平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(川畑哲哉議員の質疑及び一般質問)

 

 

◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 

 

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)
○川畑哲哉君 皆さん、こんにちは。本日5番目の登壇ということでして、貴重な御機会をいただきましたことに御理解をいただきました先輩議員の皆様方、並びに御関係の皆様方に心から感謝を申し上げます。
 議長よりお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして、心を込めて一般質問させていただきます。
 昨年12月、私は8年間在籍しました青年会議所を卒業いたしました。在籍中は全国に多くの友人ができ、また多くの学びをいただきました。
 最終年となりました昨年は、日本青年会議所本会に副委員長として出向させていただき、時の会頭肝いりの事業を責任者として担当いたしました。その事業は、超生産性向上大賞と命名され、いわゆる第4次産業革命を象徴する最先端技術を駆使したビジネスモデルを全国から募集するというコンテスト事業で、結果、全国より127モデルの御応募をいただきました。
 第1次、第2次選考を経て、夏に開催されましたサマーコンファレンスという全国大会の1ファンクションとして開催しました最終選考会では、ファイナリスト10名による10モデルのプレゼンテーションが披露されました。株式会社産業革新機構の志賀俊之会長を選考委員長にお迎えし、私の人生のバイブルであります「島耕作シリーズ」の漫画家・弘兼憲史先生を初めとする豪華選考委員による厳正なる選考の結果、近畿大学生物理工学部生命情報工学科のビッグデータを利用したよりよい人生の提案をするビジネスモデル「超ライフ」がグランプリである内閣総理大臣賞と文部科学大臣賞をダブル受賞されました。
 また、経済産業大臣賞には、高知県の株式会社Fine’S様が選ばれました。ファインバブルという多気泡水を活用することにより農業の育成効率が上がり、漁業にも転用しようというこのビジネスモデルは、高知県、高知高専とコラボレーションした産官学連携の成功例として、地元では随分脚光を浴びているようでございます。
 また、スポンサー企業様の協賛金による創業支援金300万円が付与される特別賞には、大阪大学大学院生を中心としたVRを活用するバーチャルオフィス空間を創出するビジネスモデルが選ばれ、この年明けより学生起業として創業に着手されたという御報告をいただいております。
 この超生産性向上大賞という事業は、生産性向上に向けた設備投資や創業・新規事業意欲を醸成するという崇高なミッションを負っていましたが、その選考基準の大きなポイントは、地元自治体や他業種、他業者との連携性の有無でございました。
 この連携性を重要視しましたのは、関係省庁や有識者との綿密な打ち合わせを経て導き出されたからでございますが、時を同じくして経済産業省は、企業の国際競争力を強化するために協調領域と競争領域を整理し、さまざまなつながりによって付加価値を創出する「Connected Industries」という概念を発表しました。つまり、一事業者や一企業で勝つのではなくて、企業と自治体等のチームで経済的成功の果実をシェアする時代に入ってきていると言えるでしょう。
 そして、現在、通常国会に提出されている生産性向上特別措置法案におきまして、今後3年間を集中投資期間と位置づけ、中小企業、個人事業者の生産性革命を実現するための制度が創設されます。その制度では、市町村の認定を受けた中小企業、個人事業者の設備投資については、臨時・異例の措置として、地方税法において償却資産に係る固定資産税の特例措置を講じることができるようになります。国、市町村が一体となって、中小企業、個人事業者の生産性向上を強力に後押しする制度であり、地方こそ積極的に導入して進めていくべき制度であると私は考えております。
 また、固定資産税の特例措置は、市町村の条例において固定資産税の課税標準をゼロから2分の1の範囲で軽減できることになっており、その割合をゼロにした場合には、ものづくり補助金等において優先採択されることとなっております。
 市町村におかれましては、それぞれの事情がおありかとは推察するものの、ぜひとも積極的な対応を期待するところでございますが、このような制度が創設されることに対する仁坂知事のお考えはいかがでしょうか。知事の御所見をお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御説明のとおりの今回の固定資産税の特例措置、それから補助金、そういう一連の中小企業の投資を促進するような政策については、大変高く評価するものでございます。
 市町村が条例によりまして、中小企業が行う生産性向上のための新規投資に係る固定資産税を3年間に限りゼロとすることを決める、この特例措置を活用して中小企業の生産性向上に積極的に取り組む市町村に所在する中小企業がものづくり補助金などの中小企業の生産性向上を後押しするための補助金を活用しようとするときは優先的に採択してあげる、こういう政策でありまして、これは大変いい政策だというふうに思っております。
 中小企業における生産性向上は、和歌山県の企業にとっても大変重要な政策課題であります。政府がこのような課題に対して積極的に取り組もうとしていることについては、大変評価すべきことだと思うわけであります。
 一方、固定資産税をゼロにするということは、市町村にとっては減収になるわけですから勇気が要ることであります。普通は、そうやって政策的にわざと減収措置を講じた場合は、市町村の収入は丸々減ってしまうということでございますが、時々、地方交付税交付金でかなり補填してもらえる制度もあります。
 地方交付税交付金は、通常は標準的な財政需要と、それから実際の収入見込みとの差に基づいて計算されるわけでありますので、減収措置を講じても地方交付税は同じ額となるということが通例であります。ということは、全体としては収入は減ってしまうということになるわけであります。しかし、本件のような政策的に特に認めた場合には、減収をしなかったもとの税収見込みを参考に交付税を計算をしてくれるという特例がありますので、今回はそういう形をつくってくれてるわけであります。
 したがって、このように生産性を向上させようという企業が投資をして、それでそれを助けるために市町村が固定資産税をまけてあげるということを言い、それから、政府から補助金をいただいてそれを成功させるということをする場合に、市町村にとっての減収がかなりの部分補填されちゃいますので、ぜひこのいい制度を利用して、自分のところの企業でございますから、それを助けるように市町村としても積極的にやってもらいたいと私は思っております。
○副議長(山本茂博君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 知事より力強い御答弁をいただきました。
 続けて、質問させていただきます。
 先ほど申し上げましたように、この制度における支援措置の特徴は、市町村が固定資産税の課税標準をゼロにした場合にはものづくり補助金等の優先採択がなされるという点にございます。もし県内各市町村において固定資産税の課税標準ゼロ化がまちまちに設定されますと、補助金申請をする企業の所在する市町村間で、補助金採択に際する有利性にアンバランスが生じることが予想されます。そうではなくて、県一丸となって他府県との採択率の取り合いに勝利していくためにも、県内全市町村が足並みをそろえて固定資産税の課税標準ゼロ化を決定していただくことが有効であると私は考えております。
 そこで、お尋ねいたします。
 1000億円用意されているものづくり補助金等のより多くを本県内にもたらすために、これまでの県の取り組みと今回の制度に対する県内各市町村への働きかけについて、商工観光労働部長の御答弁をよろしくお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 議員御指摘のものづくり補助金につきましては、事業者の設備投資に利用できる補助金であり、例年、県内企業から活用したいという声を大変よくお聞きします。
 もちろん、固定資産税の特例措置を活用するか否かは市町村の判断ではございますが、県といたしましては、県内企業がこうした補助金を活用し、積極的に新規投資を行い、生産性の向上が進むことは望ましいことだと考えております。
 このため、今回の固定資産税特例制度やものづくり補助金を初めとする補助金制度について、全国の他の地域に先駆けて中小企業庁の担当者を招き、全市町村を対象とした説明会を開催するなど、積極的に情報提供を行ってきました。
 また、例年と同様に、わかやま産業振興財団等の支援機関とともに補助金の申請書作成に対するアドバイスを実施するなど、企業に対する支援も積極的に行っていくことにしております。
 いずれにいたしましても、県内企業の生産性向上という目的に向かって、できる限りの取り組みを行っていこうと考えております。
○副議長(山本茂博君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次の質問に入ります。
 交通安全対策につきましては午前中の岩井議員も御質問されましたが、交通死亡事故の現状と抑止対策について、私も私の観点からお尋ねをいたします。
 昨年12月定例会の一般質問の場におきまして夜の経済活性化について御提案申し上げましたところ、幾ばくかの反響をいただきました。デートカーといえばケンとメリーのスカイラインではないかとか、ナイトドライブデートのお勧めスポットの1つでも提案すべきではないか等、鋭い御指摘もいただきました。
 それはそれとしまして、その際、私は夜の経済を活性化させることで交通事故がふえてはいけないとの観点から、県警察の取り組みをお尋ねいたしましたが、警察本部長からは、交通情勢を見きわめながら道路管理者や関係機関、団体等と緊密に連携し、交通事故等の未然防止対策を講じてまいりたいとの御答弁をいただきました。
 本県の道路事情は、近畿自動車道松原那智勝浦線がすさみ町まで延伸され、昨年3月には京奈和自動車道が阪和自動車道に接続されたほか、第二阪和国道も大谷ランプまで接続される等、高速道路網が整備され、紀北地方と紀南地方はもちろん、京阪神や奈良方面との車両アクセスも飛躍的によくなりました。
 それから初めて迎えたこの年末年始には、随分多くのアベックによるナイトドライブデートや御家族でのお出かけがこの整備された高速道路網を使って楽しまれたことでしょう。また、今日までに多くの経済人がこのチャンスの道を使って物流や営業にいそしまれてきたことと推察をしております。私たちも、随分移動時間を圧縮して活動することができるようになりました。
 一方で、道路事情がよくなりますと懸念されるのは、やはり交通死亡事故などの重大事故の発生でございます。12月の御答弁では、県内の交通事故数は年々減少傾向にあり、それに伴って交通死亡事故数も減少しているが、いまだに相当数の方が交通事故によりとうとい命を落とされているとのことでございました。
 そこで、改めてお尋ねいたします。
 昨年の交通死亡事故数とその傾向及びそれらの情勢を鑑みた交通死亡事故を抑止するための取り組み、特に高速道路の安全対策について現在どのような取り組みをされているか、警察本部長の御答弁をよろしくお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 警察本部長宮沢忠孝君。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 昨年の県下の交通事故死者数は38人、前年比マイナス2人で、県警察が交通事故統計をとり始めた昭和29年以降で最少となり、交通事故死者数が最も多かった昭和44年の230人の6分の1にまで減少しました。
 交通死亡事故の特徴としましては、全死者の44.7%に当たる17人が高齢者であること、飲酒運転に起因する死亡事故が6件発生し、前年の3件から倍増していること、高速道路における死亡事故が6件発生し、そのうち4件が片側一車線の非分離区間での対向車線へのはみ出しによる正面衝突であることなどが挙げられます。
 現在、県警察では、こうした交通死亡事故の発生実態を踏まえ、高齢ドライバーへの運転免許自主返納の働きかけや安全運転サポート車の普及促進など、高齢者の交通事故防止対策を推進しております。
 飲酒運転の根絶に関しましては、和歌山市内アロチ地区への電柱巻きつけ型の啓発看板の設置や飲酒運転常習者に対する徹底した取り締まりなど、各種施策を強力に推進しているところであります。加えて、前年から飲酒運転に起因する死亡事故が倍増したことを危機として捉え、以前、知事部局と一緒になり行った県民運動は大変効果があったことから、今後、知事部局とも緊密に連携しながら、飲酒運転の根絶に向けた県民運動としての取り組みを強化してまいります。
 また、高速道路における交通事故防止対策としては、京奈和道及び紀勢道に関しては、交通安全対策連絡会を発足し、関係機関による安全確保のための情報共有を図るとともに、悪質危険な最高速度違反車両の取り締まりや交通事故多発場所を中心とした流動警戒活動など、検挙と抑止の両面からの活動を強化しているほか、非分離区間における対向車線へのはみ出し防止対策として、道路中央部分へのワイヤロープ式の防護柵の設置等を県当局と連携し、国土交通省に働きかけているところであります。
 今後も、悲惨な交通死亡事故を1件でも減少させるために、道路管理者や関係機関、団体等と連携を図りながら、交通事故防止対策に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 どうぞよろしくお願い申し上げます。
 では、最後の項目に入らせていただきます。
 昨年6月定例会の一般質問の場におきまして、私から在宅育児手当を平成29年度より鳥取県が導入している例を御紹介させていただき、本県でもぜひ導入の御検討をと要望させていただきましたところ、平成30年度新政策として御採用いただいておりますことに、まずはこの場をおかりしまして心より感謝申し上げます。
 この新政策、在宅育児支援は、ゼロ歳児を在宅で育児する際に、当該ゼロ歳児が第3子以降の場合は世帯所得の制限をせず、第2子の場合には年収360万円未満の世帯を対象に、月々1万5000円を10カ月にわたって支給する制度となっています。病児や病後児だけではなく、産休後から10カ月が支給期間とされていることや、市町村が同じ支援を実施すれば月々3万円の計30万円が支給されること等、在宅育児を希望する世帯には大変ありがたい支援となります。
 先月、岸本健先輩議員と鳥取県へお伺いし、平成29年度の在宅育児支援実施状況について調査をしてまいりました。
 鳥取県で実施されている「おうちで子育てサポート事業」の主たる内容は、県内市町村が在宅育児世帯に月額3万円の現金給付や現物・サービス給付を実施する際に鳥取県がその2分の1を補助するというものですが、人口規模の大きな4市を除く計15町村が何らかの給付事業を実施し、喜びの声ばかりが届いているとのことでした。
 その対象年齢は町村によりさまざまですが、人口規模の小さな町村であれば、低年齢用の保育施設や保育士を確保、維持するよりも在宅育児支援を実施するほうが自治体負担を軽減できた例もあり、大いに御活用されているそうです。今後は、まだ実施していない4市にいかに実施していただくかが課題となるとのことでした。本県では、市町村の実施有無にかかわらず、県事業として実施することとされています。
 そこで、お尋ねいたします。
 このたびの平成30年度新政策における在宅育児支援を初めとする子育て支援の提案理由について、仁坂知事より御答弁をよろしくお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県においては、全国よりも早い流れで人口減少が進む中、昨年策定いたしました和歌山県長期総合計画では、「ひとを育む」を一番に挙げ、多子世帯への保育料の無償化など子育て世帯への経済的支援を充実するとしたところであります。
 一方、国においてもようやく昨年末に幼児教育の無償化に向けた方針が決定されまして、2020年4月からは3歳から5歳までの子供を対象に保育料の無償化等が始められようとしております。
 これまで本県では、少子化対策として、平成20年度から市町村と一緒になって第3子以降の保育料等の無償化を行う紀州3人っこ施策に取り組み、さらに平成28年度からは対象児童を小学校就学前までに広げるなど、充実に努めてきたところであります。
 その結果、施策開始前は第3子以降の出生数は年々減少していたんですけれども、開始後はその減少に一定の歯どめがかかったというところから、効果があったものと考えております。3人目以降を妊娠した方へのアンケート調査においても、保育料等の無償化が影響したと約7割の方が回答しており、経済的支援は有効な手段の1つであると考えております。
 県の長期総合計画に掲げた2026年における合計特殊出生率2.00を達成するため、これまでの事業成果を踏まえ、平成30年度の新政策として、若いうちに安心して子供を産み育てることができるよう、保育料等の無償化の対象を第2子までに拡充することにしたいと考えております。ただし、少々財政上の要請もございまして、第2子のところは所得制限を設けさせていただくというのが現状であります。
 また、御指摘のように、在宅育児世帯への支援ということなんでありますが、国においては、これはまだ検討もされておりません。本県では、世話のかかるゼロ歳児を在宅で育児している世帯に対しても、経済的支援に取り組もうとしているところでございます。
 実は、御指摘のように、同様の制度は鳥取県にもございます。鳥取県だけでございますが、ございます。しかし、県と市町村が半々で財政負担をするので、この財政負担を財政上の理由がいろいろあって出せないという市町村の部分については実は適用されてない、県の部分も適用されてないというのが鳥取県の状況です。
 市町村はそれぞれに事情がありまして、無理につき合えというのは地方分権に反すると思いますし、逆に、市町村が出せないから県もやめるというのも情けないし、これもまた地方分権に反すると私は思います。
 そこで、鳥取県とは異なり、この在宅育児支援については、県が事業主体となり、市町村に対して同様の施策の支援の実施を呼びかけていくけれども、たとえ実施されないとしても県の支援は実施するということにさしていただきたいと思っております。
 現実にはいろいろ説得をしまして、ことしは半分の部分は見送るという市町村もかなりございます。来年から何とかというところも結構ありまして、我々としては一緒にやりましょうよということで説得をして、それで市町村に働きかけをしていきたい、こんなふうに思っております。
○副議長(山本茂博君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 最後の質問に入らせていただきます。
 先日、北九州市に本部を置く認定NPO法人ロシナンテスの活動報告会に出席をしてまいりました。以前より応援をさせていただいている法人で、定期的に活動報告書を送っていただいては目を通してまいりましたが、活動報告会に出席させていただくのは初めてのことでございました。
 この認定NPO法人ロシナンテスという法人は、「『医』を届ける」というスローガンのもと、スーダンの医療体制構築にとてつもない尽力をされています。現在活動されているスーダン・北コルドファン州では、年に数カ月しかない雨季に降った雨水でできた池の水を1年間活用する生活をしています。当然、不衛生な環境から腸チフスや赤痢が流行していましたので、医師である川原代表は、安全な水を確保するために井戸を建設する活動も始められました。地質上、スーダンでは100メートルほど掘らなければ水が出ず、井戸を1基建設するのに1000万円ほどの資金が必要とのことです。
 スーダンでは、遠く離れた川や池までロバを連れて1日に数回水くみに通うのは、女性や子供たちの仕事とされています。ロシナンテスが当初活動を始めたガダーレフ州は、シェリフ・ハサバッラ村では、壊れた古井戸を改修することで隣村の井戸や川までの取水作業から子供たちを解放し、その時間を使って勉強することができるようになった子供たちのために、ロシナンテスは、卒業生から1人でも医療・看護従事者となる子供が出てきてほしいとの願いを込めて、女性学校も創設されました。
 また、食べ物も少ないことから子供の成長に問題が発生しやすく、乳児の死亡率も高かったため、スーダンの州政府ともかけ合いながら地元の診療所を借り、あるいは巡回診療によって妊婦や出産後の母子の定期健診をするなど、いわゆる母子保健を確立されました。それにより乳児の死亡率は激減し、成長に問題のあった母子の90%以上が栄養正常化したとのことです。
 川原代表は、その著作の中で、「開発が進まなくて思い悩むスーダン、開発はしてみたが、何かがおかしくなった日本。お互いに、ないものねだりをしているようです。アフリカ・スーダンにあって日本にないもの。日本にあって、スーダンにないもの。それらをうまく相互補完できればいいのにと思っています」と記されていますが、私も強い共感を覚えました。
 我が国では恵まれた衛生環境にあり、栄養事情もスーダンとは比較にならないほど豊かになっていますが、一方で未曽有の国難とも言える少子化対策が深刻な課題となっています。
 私は、子育ての基本は現実に親が子を育てる在宅育児にあると考えています。特に、乳幼児期の子供にとって親と一緒にいることは極めて重要であり、親にとっても子育てを通じて親としての自覚が芽生え、子育てのつらさや大変さも学びつつ子供の成長を見守る幸せも実感することになります。この子供を育てる喜びや成長を見守る幸せを実感できることが、子供を複数産み育てたいという意識につながるわけでございます。
 その意味におきまして、このたびの新政策における在宅育児支援は意義のある子育て支援であり、実効性のある少子化対策でもあると私は考えています。
 この支援を、今後、第2子の所得制限を撤廃したり第1子からの適用にしたり、対象年齢もゼロ歳から2歳までというぐあいに拡充していくべきと考えていますが、そのためにも、このたびの実施において当該支援が有意義に活用され、前向きな実績や拡充を望む県民の声がたくさん積まれる必要があると思います。
 とはいえ、大家族世帯が減少し、核家族世帯が多くなった今日、子育てにおける不安を持つ親も少なくありません。当該支援を有意義に活用していただくためにも、在宅育児をより豊かでより安心できる環境とする必要があり、そのためには、今では当たり前のように思われるようになりました母子保健を一層充実させるべきであると私は考えていますが、県当局はいかがお考えでしょうか、福祉保健部長の御答弁をよろしくお願い申し上げます。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 少子化が進み、子育てを取り巻く環境が大きく変化する中、妊娠、出産、子育てに対する不安を持つ親が増加しており、母と子の心身の健康保持と増進を図るために、母子保健の充実は大変重要であると考えております。
 このため、県におきましては、これまでの母子保健対策に加えて、地域で安心して妊娠、出産、子育てができるように、保健師や助産師等の専門職員による総合的相談をワンストップで行う市町村の子育て世代包括支援センター設置に係る支援を行うとともに、専門職員に対するスキルアップ研修会の開催など、機能強化を行っております。
 また、県民に身近な相談役である母子保健推進員の活動支援強化や、各圏域での母子保健関係者連携会議の開催など、関係機関との連携を強化する取り組みをあわせて行ってまいります。
○副議長(山本茂博君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
○川畑哲哉君 家庭訪問にこそ子育て支援の根幹があると、和歌山県母と子の健康づくり運動協議会の狭間歌子会長はおっしゃいます。母子保健推進員の皆様が家庭を訪問されて、その際に不安材料が見つかれば、専門家である地元の保健師に連絡をして対応していくという過程で、子育てノイローゼや子供の障害へのケアをしていくわけでございます。
 核家族化や住民同士の関係が希薄化し、家庭訪問自体が成立しにくい事情も出てまいりましたが、出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで切れ目のない支援をしていくには、やはり上質のおせっかいが必要な時代に入ってきていると私は考えています。
 子育てに関しましては、母子保健推進員や保健師の人員数、人材確保や人材育成の方法、家庭訪問の仕方など、今の時代、その地域に即したオーダーメード型の母子保健を再構築し、子育て世帯と地域が寄り添って向き合いながら進めていけるような母子保健のさらなる充実に向けて、仁坂知事初め県当局の皆様には引き続きの御協力を賜りますよう心から要望申し上げまして、私の人生6度目の一般質問を終了させていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、川畑哲哉君の質問が終了いたしました。

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