平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)

 

 

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  午後1時0分再開
○副議長(山本茂博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速、質問に入りたいと思います。
 第1の柱は、教育問題です。
 ことしの1月30日、NHKが「“指導死”なぜ子どもの自殺が減らないのか」という番組を放映いたしました。
 去年10月、福井県池田町で出された調査報告が全国に衝撃を与えました。中学2年の男子生徒が校舎から飛びおりて亡くなった自殺。その原因が教員からの激しい指導や叱責を繰り返し受けたことだったとわかったのです。いわゆる指導死でした。
 担任からは、行事の準備がおくれた際に校門の前で大声でどなられていました。周りの人まで身震いするほどの声だったといいます。副担任に宿題のおくれを叱責されたときは、土下座しようとするほど追い詰められていました。そして、母親の手記として、「教員による陰険なイジメで息子はとうとい命を失ったのだと感じています」という言葉を紹介しています。ほぼNHKの放映をネットからとった文章ですが。
 幸い和歌山県ではこれまでこうした問題は起こっていないと思いますが、全国的に問題になっている指導死という問題について、教育長はどう考えておられるでしょうか。
○副議長(山本茂博君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 教職員の厳しい指導や叱責、体罰等が原因で子供のとうとい命が失われることは、絶対にあってはならないことだと考えております。
 児童生徒の指導に当たっては、教職員は児童生徒をよく理解し、信頼関係を築くとともに、個々の児童生徒の特性や発達の段階に応じて指導を行うことが大切です。児童生徒の人格を尊重し、個性の伸長を図りながら、児童生徒に寄り添い、共感的理解に努めつつ、指導方法や指導体制を継続的に工夫、改善することが必要であると考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 12月県議会文教委員会で、私は学力テスト問題を取り上げました。議場にお配りしたパンフレットには、その概要記録を収録しております。急いでつくった手づくりのものですので、誤字などあればお許しいただきたいと思います。
 その3ページ、まず最初に、学力テストの成績は今年度はよかった、大変結構なことであると評価した上で、しかし、私はこの学力テストのことに関していろいろと心配もしていると申し上げ、3年前の12月県議会で申し上げたことを紹介しています。それは、若い芽を早く大きくなあれと毎日引っ張っていたら若芽を枯らしてしまうという例え話があるが、子供をある面から追い立てたとき、どんなゆがみが生じるか。最も極端なものが少年犯罪である。
 当時、私が思い出していたのは、酒鬼薔薇聖斗と名乗った神戸の幼児を殺したあの事件でした。そういう事件が起こると大騒ぎするけれども、親は決してそのような子供を育てようと思って育てたわけではない。優秀な子供にしたいと思って育てた。そのことが子供を追いやって、このようなゆがみを生んでしまった。これは極端な例だけれども、教育界にはこういうことがあるのではないか。
 管理と競争の教育で、学校現場は息苦しくなってくる。そこで起こってくるのが不登校の問題であり、いじめの問題である。現場のプレッシャーから逃げるのが不登校であり、それを他に転嫁して憂さ晴らしをするのがいじめだと言ってよいのではないか。その行き着く先が子供の自殺ではないか。教育は総合的な問題なので、ある面だけを追い込んだとき、思わぬところにゆがみが起こる場合があるという議論をしたことを紹介しました。
 その上で、パンフレットは4ページのあたりになりますが、前の年に、学校長に対して牧野教育企画監がお話しになったことを取り上げ、さすがだと思うこともあるが、相当焦っているのではないかと申し上げました。
 県教育委員会は、学力テスト日本一と言われる福井県を教育先進県と位置づけ、教頭などを研修に派遣し、牧野教育企画監もおいでいただいて指導いただいているわけです。
 そこに飛び込んできたニュースが、福井県の中学生が先生に責められて自殺したという事件でした。文教委員会では副担任と言っていますが、担任の指導にも問題があったようです。
 文教委員会の前日、「福井新聞」の記事がネットで配信されていました。パンフレットは11ページに載せておりますが、福井県議会総務教育常任委員会が11日に全会一致で決議をした、この男子生徒の自殺に関して学校に問題があったということであるが、教員の多忙化により生徒への適切な対応がなく、精神的ゆとりを失っている状況にあったのではないかと懸念されている、これは、この教師だけの特殊な問題ではなく、教育全体の問題とすべきではないか、さらに、学力日本一を維持することが教育現場への無言のプレッシャーを与え、多様化する子供たちの特性に合わせた教育は困難であると言わざるを得ないとして、公教育の検証と見直しを求めたということです。
 福井県で論議されていることは、大変重要なことだと考えました。その一方で、牧野教育企画監が和歌山でやっておられる指導には焦りがあって、教育にゆがみをもたらすと心配して、気になることを指摘いたしました。
 音声データが手に入ったんですが、「福井県には大勢の人が学びに来ている。それに比べて和歌山はどうか。全国からばかにされている。私は、和歌山の住人だから腹が立つし、悔しく思う。名誉挽回しなくてはならない。県教委の言うことを聞かない校長、校長の言うことを聞かない先生、先生の言うことを聞かない子供たちが和歌山にあると言われている。皆さん、知っているか」、企画監の発言です。テープを聞き取ったものを私がお話しし、そしてそれが概要記録としてまとめられたものを読み上げてるんですが、要旨には間違いないと思います。
 文教委員会では、教育のトップにいる人が感情的な物の言い方をして、それを聞いた校長が教員に対して物の言い方を増幅させる、そして、校長から締めつけられた教員がさらに焦って子供を締めつけたりして教育にゆがみを生まないか心配だということを申し上げたわけです。
 ところで、こうした議論が文教委員会であったからということを何も本会議に持ち出す必要はありません。ところが、事態はそれではおさまらないことになってしまったのです。
 その文教委員会の午後、文教委員会主催の勉強会が行われました。その場で、けさの会議では雑賀委員の質問に対して牧野企画監が発言する機会がなかったから本人の御意見を伺おうかということで、私も賛成いたしました。牧野企画監の発言も、そのままお配りしたパンフレットに収録しております。それは、12ページからあります。これは、議会事務局からテープ起こししてくれたものを教育委員会でも見ていただいたものだと思っています。
 この発言を聞いたとき、私は、こういう指導を和歌山県の教育界でそのままにしておくわけにいかないと考えました。そこで、牧野企画監がお話しになったことについて検討したいと思いますので、しばらくおつき合いいただきたいと思います。
 その冒頭、12ページになりますが、牧野企画監は次のようにおっしゃっている。
 「まず、福井県の池田中学校の件で気をつけなければならないのは、マスコミの情報だけで判断するのは危ういということだと考える。先生のいじめによって生徒が自殺したというのは誤りである。この事件で取り上げられている先生は、非常に真面目な先生であり、私もよく存じ上げている。ややもすると、マスコミの情報だけで判断するということは気をつけなればならないし、気をつけていただきたいと思う。当事件の第三者委員会の報告書を読んでいただいた上で、お話しいただければと思う」、こうおっしゃったのです。
 そこで、教育長にお伺いいたします。
 教育長は、福井県で起こった事件の第三者委員会の報告をお読みになっていらっしゃるでしょうか。どういうふうにお読みになっていらっしゃいますか。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 議員御指摘の第三者委員会の報告である池田町学校事故等調査委員会報告書につきましては、池田町から公開されておりませんので、地元新聞社の公式サイトに掲載されている報告書で確認しております。
 報告書には、生徒の状況や自死に関すること、今後への提言等が記載されており、自死の原因としては、厳しい指導叱責、不十分であった生徒理解、教員間の相談不足、管理職の指導監督問題等、複数の要因が挙げられ、それらに対して学校全体で対策がとれていなかったことが指摘されております。
 また、教職員の生徒理解と生徒指導力の向上、教職員の情報共有、上司への報告の徹底等、校長、教頭等の指導監督責任の自覚等について再発防止の提言も記載されており、本県としても参考とすべき内容が掲載された報告書であると考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 次に、牧野企画監は、「先生のいじめによって生徒が自殺したというのは誤りである。この事件で取り上げられている先生は、非常に真面目な先生であり」と言っているわけですから、この先生の指導問題には全く触れられなかったのです。
 確かに、真面目な先生だったんだろうと思います。しかし、第三者委員会の報告は、この先生の指導にも学校の対応にも問題があったことをはっきり指摘している。牧野教育企画監の発言は、福井県で起こったこのたびの事件について福井県の第三者委員会とは全く違った理解をしていると思うんですが、教育長、いかがでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 牧野教育企画監は、12月県議会文教委員会の午後に行われた勉強会において御配慮いただいて発言の機会を得た中で、「この事件で取り上げられている先生は、非常に真面目な先生であり」と発言いたしました。これは、雑賀議員が午前の文教委員会において「先生が子供をいじめて自殺に追い込んだ」と述べられたことに対しての発言であったと思います。
 この教員の行為は、いじめることを前提にしたものではなく、みずからの仕事に対して一生懸命、真正面から向き合っているということから「真面目な先生」と表現したものであり、この教員が粘り強く真面目に指導に当たっていた経過は報告書に記載されております。
 報告書の内容から、厳しい指導叱責となったことが主たる要因ではありますが、報告書からわかる大切なことは、今回の事件は厳しい指導叱責という1つの要素だけでなく複数の要因が重なって起こったことであり、とりわけ指導体制が不十分であったということだと考えております。管理的な体制ではなく、この教員に対して管理職や周りの教員から指導が十分になされていなかったことは非常に残念なことであります。これらについても、私も教育企画監も同様の考えであります。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 お考えはわかりました。次の質問にお答えいただいた上で、あわせて再質問をしたいと思います。
 次の質問ですが、牧野企画監は次のようにも言っておられる。「福井県の池田中学校がこうであったから福井県の学校は全部そうであるという話し方は偏見のように思う。委員には申しわけないが」。御丁寧に「委員には申しわけないが」と言ってくれているので、「偏見」という言葉が、私が文教委員会で発言したことに向けられていることがはっきりします。
 池田中学校がこうであったから福井県の学校が全部そのようであるなどとは、誰も言っていない。この問題で設置された第三者委員会も、福井県議会総務教育委員会が提起した決議も、担任、副担任の指導にも学校の対応にも問題があったことを指摘するとともに、教員の忙しさの問題──これは全国的問題です──さらに、学力テスト日本一のプレッシャーということにも言及しています。これを紹介したことが偏見ということになるのでしょうか。教育長の御見解をお伺いいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 福井県は、学力や体力向上、幼児教育への取り組み、不登校・いじめ、暴力行為への対策、家庭や地域との連携等、多くの分野にわたって成果を上げております。本県は、それらの全てにわたって参考とするため、同じく全国から見本とされている秋田県に対しても教員を派遣し学んでおり、現在進めている本県の教育にも生かされております。
 牧野教育企画監においては、本県教育の責任者である私を補佐する立場であり、県内から多くの要請を受けて、市町村教育委員会や保護者等の研修会に出席するとともに、学校を訪問し、教員と直接話す機会を持ってまいりました。和歌山県を第2のふるさととして熱意を持って取り組んでいただいており、教育企画監の本県教育への思いには多くの方々が共感されていると思っております。
 このように、和歌山県の教育に携わってきた教育企画監が発言した「福井県の池田中学校がこうであったから福井県の学校が全部そうであるという話し方は偏見のように思う」につきましては、議員が「その福井県でこういうことが起こった」、「予算をつけて送っているわけだから」あるいは「全国どこでも起こるというのではなく」等の発言が繰り返されましたので、1つの学校で起こったことを県全体のこととして非難しているのではないかというニュアンスで受け取り、「偏見」という言葉であらわしたのだと思います。私も、議員は福井県に対して何か誤解なさっているのではないかというふうには感じました。
 第三者委員会の報告書にある学校の取り組みが不十分であったという指摘において、池田中学校は生徒数が50人程度という小規模の学校であって、小さな町、小さな学校であるにもかかわらず、指導体制が不十分であった点にこそ大きな課題があったと考えております。
 また、福井県の総務教育常任委員会が今回のことを機に福井県の教育全体に対して県議会が意見書を出され、検証されることは非常に意義のあることであり、このことこそ本県の参考とするものであると考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 大変、聞いていないこともたくさん御説明いただきまして、ありがとうございます。
 まず、偏見という問題から再質問します。
 教育長は、これを自分の言葉では「誤解」という言葉に置きかえて、私が福井県に対して誤解していると感じたと述べて、牧野企画監を擁護しているわけです。誤解と言うのなら、福井県でこういうことが起こったということが誤解なのか、予算をつけて送っているということが誤解なのか、そして、全国どこにでも起こるという可能性はありますが、このたび福井県で起こり、それを福井県は全国どこにでもと済ますのでなくて、福井県では学力日本一のプレッシャーといって自己分析もされていることを指摘した、それが誤解なのか。誤解ということは何を指して誤解と言っておられるのか、お聞きしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 私は、和歌山県の教育のためになることであれば、もう全国の全ての実践を参考にして、本県に必要なことであれば取り入れていくという立場でございます。
 この中で、福井県につきましては、議員のおっしゃっておる中では学力テスト日本一というふうに挙げられたわけでありますけれども、私どもは、福井県には学力だけではなくて、先ほど申し上げましたように、体力でありますとか、あるいは豊かな心を育むという全般的なことについて大変取り組んでいただいているというふうな評価をしてきてございます。例えば、自己肯定感というのも大変福井県は高いというようなこともございまして、これは一朝一夕にできるものではないと、日々の積み重ねの中で出てきているというふうに私は思っています。
 そんな中で、福井の取り組みは、そういう全体的な、私が目指しております知・徳・体を含めた人間的な総合力を高めていくとき大変参考になるというふうなことで、私は福井のことにつきまして、議員が学力対策日本一ということだけで福井県を見本にするというようなことに誤解をなさっているんじゃないかなあというふうなことで申し上げたかなというふうに思ってございます。
 議員の御答弁のお話の中で、牧野企画監にもおいでいただいて指導いただいている、ところが、その先進県で先生が子供をいじめて自殺に追い込んだ事件があったとかいうような、先ほどのお話にもありました研修で怒ったとかありますけれども、そんな中で、いいことも悪いことも私どもは福井県から学ぶ。しかし、その福井県から学ぶだけではなくて、全国から私どもは学んで和歌山県の教育をつくり上げていくという私の決意をもってやってございますので、そういう意味で福井県の取り組みに誤解もあったかなという印象を持ちましたので、こういうふうに答弁させていただきました。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 問題をすりかえてはいけません。あなたは、私に対して「雑賀議員は誤解をしているんではないかと思った」と言うてるんですから、私が発言したことについて、どの発言が誤解なのだと指摘できなければ、人に対して公的な場で「あなたは誤解をしている」というふうなことを言ってはいけないと思うんです。あなたは、私の発言の中のどの点を誤解だというふうに言われるんですか。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 一つ一つお答えするということを言われてるわけでありますけども、私は、先ほど申し上げましたように、雑賀議員が牧野企画監においても「おいでいただいて指導いただいている。ところが、その先進県で先生が子供をいじめて追い込んだ事件があった」とか、あるいは「予算をつけて教員を研修に送っているわけだから、その送った先でこういう問題が起こった」という御発言をなさいましたということがあります。
 それを受けて、そのことが福井県だから起こったということについて少し誤解があるんじゃないかという話を、全般的な話をさせていただいてるわけで、今ここで一つ一つのことをお話しするということはないかなというふうに思ってございます。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 公的な場で人が誤解していると言うんなら、どの発言がどう誤解なのかをはっきりさせなくてはなりません。また、「1つの学校で起こったことを県全体のこととして非難しているというニュアンスで受け取り」というふうに言っていますが、それは勝手な推測でしょう。それこそ偏見でしょう。私は、教育長が誤解したという事実を指摘できない以上、「誤解と感じましたが、それは根拠を挙げることはできません。根拠のない発言で失礼いたしました」というふうに表明するのが物の道理だと思いますが、いかがでしょうか。(「後で話せえよ」と呼ぶ者あり)
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 私がそういうふうに誤解というふうに感じ取りましたということを申し上げたわけでありますので、そのようにしかお答えすることしかないと思います。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 全くそういう発言というのは納得できないということを申し上げて、もう少し次へ行きますが、次に、いじめでない、真面目な先生という問題に戻ります。
 いじめという言葉は、教育の世界では、子供がいじめること自体を楽しむためにいじめを繰り返すという意味に使われることが多いと思います。問題の先生は、厳しい指導で子供を追い詰めてしまったけれども、いじめることを楽しんだわけではないからいじめではない。私も、そういう意味でいじめとは言っていません。「いじめるような指導で」というふうな言い方もした部分はあるんですが。
 ただ、冒頭紹介されたお母さんの手記では先生のいじめでと言っていることが間違いと言えるんだろうか。私も、いじめてるような指導であったということから「先生が子供をいじめて」という表現をしたことはあるんですが、それほど本質的な問題だとは思いません。ただ、それが不正確なら不正確と言っていただいても結構なんですが。
 ただ、物事にはいろいろな側面がありますが、一番大事な問題を伏せて他の面だけを強調したら、それはごまかしになります。この問題で一番大事な側面は、先生が厳しい指導によって子供を自死に追いやってしまったという残念な事実です。教員による陰湿ないじめで息子は命を失ったと手記に書いたお母さんに対して、教員によるいじめというのは誤りです、この先生は私もよく知っているが、大変真面目な先生ですというふうに言ったら一体どうなるのか。教育長はどうお考えでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 牧野教育企画監からは、そのように新聞報道の中での話をもとにされたということがありましたので、そういう発言をなさったかなというふうに思っております。
 先ほど、議員からも報告書を読んだかというようなお話もありましたので、私も報告書を読ましていただいて、その中で、そういう表現上のことも含めてお話をさせていただいたということであります。
 何よりも、このことで今回問題になったのは、そうやって教員が取り組んだことが、主たる要因はやはりその叱責であったということではありますけれども、そこに至った周り全体の指導というのは一体どうだったのか、つまり教員集団がどうだったのか、校長の指導がどうだったのかということが大変大きいということがあったかなというふうに報告書には書かれておりますので、そんな中で、その真面目なというふうな表現でありますけれども、指導に、教員として指導していた教員が、そこまで至るようにするまでの学校の指導体制がどうであったのか、やはりそのことこそ大きな課題であったかなというふうに思っております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 問題に全く答えていないと思います。
 さらに教育長は、「この教員が粘り強く真面目に指導に当たっていたという経過は報告書に記載されています」というふうに先ほどお答えになりました。確かに、真面目な先生なのかもしれません。私も、管理的な指導が真面目な先生をこういう指導に追い込む場合があるということを言っているわけです。
 けれども、お聞きしたいんですが、そういう経過は報告書のどこにどう書いていますか。探したけれど見つからないんです。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 経過につきましては、詳細に報告書には書かれているかなというふうに思っております。しかし、それぞれの生徒に合った指導であったかということについては、甚だやはり今回はこの指導についてはよくなかったということが明確になってきたんじゃないかなと思います。
 しかし、この先生がこの生徒に継続的に諦めることなくやっていたということは、私はこの報告書から読み取れるかなというふうに思っています。ただし、そのやり方がその子供の状況であったり、あるいは保護者との関係性をしっかりつくったりということでは、大きな課題があったかなというふうには思います。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 まともな答弁にならないので、何度も再質問しなければならない。
 教育長は、「この教員が粘り強く真面目に指導に当たっていた経過は報告書に記載されています」とお答えになったんですよ。確かに、この報告書の事実経過はそんなに端から端まで読み上げるわけにはいかないけれども、その一端を報告するならば、副担任から、「宿題をできないならやらなくてもよい」と言われて「やらせてください」と土下座しようとした、生徒会の日に担任から「おまえ、やめてもいいよ」と大きな声で叱責されたなどの事例が列挙され、「担任、副担任の厳しい指導叱責にさらされ続けた本生徒は、孤立感、絶望感を深め、ついに自死するに至った」と第三者委員会報告書には記載されています。私は、第三者委員会の報告書をそのまま読んでるんです、全部ではありませんが。
 この報告書を教育長が読むと、この教員が粘り強く真面目に指導に当たっていた経過が報告書に記載されていますというふうに読み取れるんでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) この教員が指導を、これが一番正しいというような方法だと信じてずっと継続的にやっていたということは、この報告書から読み取れると思っています。しかし、それは大きくやはり方法としては間違っていたということは、またこれも報告書に書かれているということを何度も申し上げているわけです。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この議場におられる皆さんは、なぜ雑賀がここまでむきになるのかといぶかっておられる向きもあるのではないかと思います。私は、いつも質問は割合にあっさりしてるんです。これ以上言うてもとても再答弁でも変わらんと思ったら、自分の意見だけぱっと言うてそれで終わるんです。ところが、今回は大変ねちねちと何回も再質問しています。
 本来、この問題は本会議に持ち出すまでもなく、昨年の12月にでも教育長が企画監を連れてやってきて、勉強会での発言は不十分でした、また議員に対して根拠もなく偏見などと申し上げて失礼しましたと言っておれば、私も頭にきやすいですが、あんたも頭にきやすいほうですね、アハハハと笑って済んでいたかもしれない問題です。
 ところが、そういう問題を、そうならずにこういうふうにこの場へ持ち出したほうがいいという判断をしたのは何か。それは、教育長は無理な理屈をこねてまで、本会議で企画監を擁護しようとしていらっしゃる。ここには一体どういう力が働いているんだろうか。私は、あえてこの問題を取り上げたわけです。
 もう少しもう申し上げましょうか。言おうか言わんとこうかとは思ったんですが。教育界には、企画監は教育長よりも偉いんではないかという、これは推測です。これは推測ですから、それは偏見ですと言うてもらっても構いません。しかし、これは労働組合の幹部が言ってる話でなくて、一般の現場の先生から聞こえてくる話です。
 こういう極めて不十分な企画監の発言でも、あくまでも体を張って守ろうとする、こういう立場に教育長が置かれているんではないのか、私は大変このことを心配します。こういうゆがみ、それこそ教育界にゆがみを一層これから大きくするんではないか、こういう心配があるから──後ろから、そんな話、もうどこかで話せえよという声も聞こえましたけどね、私はあえてこういう場所で、もうはっきりと申し上げたほうがいい。
 皆さんにお配りしてもらったパンフレットに、前書きの最後にこう書いています。「これまで、教育問題、たとえば「体罰」の問題で、周辺で多くのまじめな教員が胸を痛めているのに、その声が大きくならず、子どもの自殺という不幸なできごとを引き起こし、『子どもが自らの死をもって告発』して、はじめて、政治や行政やマスコミが動き出すという事態を少なからず見てまいりました。これは、教育に携わる者として、恥ずかしいことと言わなければなりません」。私はこの質問をしたことで、後に恥ずかしい思いをしなくてもいいように、この場で言うべきことは言わせてもらったというふうに思っています。
 また、この質問について、ひとつ学校現場の皆様方にもお知らせをして、ひとつ皆さんの意見を聞きたいというふうに思います。ここで終わるわけではございません。
 それでは、この項目の質問は終わって、次へ行かしてもらってよろしいでしょうか。
 そしたら、もう次急ぎますが、教育問題の次の問題は──時間があるかな。
 福井県でも、この報告書も福井県議会の決議も指摘しているように、教員の多忙化の問題がございます。この問題、何も福井県からの指摘を待つまでもありません。文部科学省も、教員の忙しさ解消のための取り組みが必要だという認識を示されているのでしょうか。また、県の教育委員会としてどのように取り組んでおられるのでしょうか、お答えください。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 文部科学省では、昨年12月に取りまとめた学校における働き方改革に関する緊急対策において、業務の役割分担、適正化を着実に実行するための方策、学校が作成する計画等や組織運営に関する見直し、勤務時間に関する意識改革と時間外勤務の抑制のための必要な措置を講ずることとしているほか、これらの方策の実施に必要な環境整備を行うこととしております。さらに、学校における働き方改革を進めるに当たり、関係者への情報提供や必要な予算の確保に努めるなどの取り組みを進めることとされております。
 県教育委員会では、これまでも教職員の多忙化について対策を講じてきたところであり、和歌山県長期総合計画にも記載しております。その内容に沿ってさらに具体的な取り組みを示すため、現在策定中の第3期教育振興基本計画に教職員の勤務環境の整備を項目として取り上げ、教職員が心身ともに健康でやりがいを持ち、子供と向き合う時間を十分確保できるよう、勤務時間を十分に認識した働き方や、学校、教職員の業務改善の取り組みなど、学校における働き方改革を進めることで、教育に責任あるものとして着実に対応することとしております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 御答弁ありがとうございました。
 第2点、教職員定数改善の問題です。小中学校、高校の教員数は定数条例で決められます。定数条例というのは、国が一定の負担をし、交付税措置などを前提に条例で何人の教員を置くかを示し、予算の裏打ちをするものです。
 条例定数が、文部科学省が定めた基準を上回る場合があります。それは、国の交付金や交付税措置に頼らない県単独の負担教員を言います。
 教育長にお伺いいたします。今、県単独負担の教員は何人いるのでしょうか。また、教員の忙しさ解消、学力、いじめ、不登校などの課題解消のためにふやそうという計画はお持ちなんでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 定数条例でお示ししている教員数につきましては、学力向上や生徒指導上の課題など、さまざまな課題に対応するための加配教員を含め、全て国庫負担金や地方交付税措置の対象となっており、県単独で費用を負担しているものはございません。
 加えて、さまざまな課題解決に向けては、チームとしての学校という考え方に基づき、国費及び県費により、専門的な技術や知識を有する250名を超える外部人材を活用した取り組みを進めているところです。
 具体的には、中学校及び高等学校の運動部を対象に技術指導を行う部活動指導員等を配置するとともに、来年度からは、教員の事務作業が課題となっている小学校にスクール・サポート・スタッフを配置するなど、教員の多忙解消に努めてまいります。
 また、いじめ、不登校などの課題解決のためには、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、不登校児童生徒支援員などをそれぞれの課題に特化して取り組むことができるよう配置しているところです。
 今後も、国に対しては教員定数の確保を強く要望していくとともに、外部人材を有効に活用しながら、多様な課題の解決に積極的に取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 教育長、御答弁御苦労さまでございました。
 それでは、次の問題に入ります。
 第2の柱は、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例であります。
 今議会冒頭の知事説明要旨では、「太陽光発電事業による環境への影響や災害の発生に対する県民の不安が拡大していることに鑑み、事業の実施に関し、安全性等を総合的に管理する条例を制定することにより、本県の環境にふさわしい太陽光発電の普及を図ってまいりたい」という提案がなされました。
 この条例については、さらに全体について議論しなくてはなりませんが、とりあえず質問をいたします。
 1つは、環境生活総務課のホームページを見ますと、手続の流れの概要がわかりやすく表にされています。そのスタートは、事前協議──事業計画を事業者から県、市町村と協議となっています。この事前協議というものはどういう意味を持っているのでしょうか、環境生活部長から御説明いただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 今議会に提案しております和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例における事前協議につきましては、事業者が太陽光発電事業計画の案を作成するに当たり、あらかじめ県及び市町村と協議することにより、当該条例及び関係法令に基づく諸手続について明らかにするために実施するものでございます。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございます。
 私の出身地である海南市では、重根・田津原という地域で、旭電業株式会社という業者がメガソーラーの計画を進めています。私どもは、県との事前協議が行われないままに住民説明がどんどん進められていることを心配しておりました。ごく最近になって事前協議が出たそうですが、今までの事前協議については、協議の時期は申請前ということで、住民説明の前などの決まりはありませんでした。
 しかし、このたび太陽光発電事業を冠した条例を制定するわけであります。先ほど、事前協議とはどのようなものかをお答えいただきました。では、この条例が実施された場合、この事前協議の取り扱いはどうなるのでしょうか。行政機関や一般市民が事業の内容を十分把握できていないまま計画が進められていくという、そんなことはないのでしょうか、環境生活部長からお答えいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 本条例案では、適用となる事業について、事業計画の案を作成する段階で、県及び市町村と事前協議を行うよう事業者に義務づけております。
 また、事前協議を経て作成した事業計画の案について、地元自治会等への説明会の開催も事業者に義務づけており、行政機関や地元住民が事業の内容を十分把握できていない状況で、一方的に計画が進められることはないものと考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 これまでとは違って、県への事前協議をし、県がどういう指導をしているのかが住民にわかれば、住民の側でも検討しやすいと思います。そういう点で、この条例は一歩前進かなと思っています。
 今後、住民の皆さんとともに検討していく参考としてお伺いいたします。
 県土整備部長にお伺いするんですが、重根のこのメガソーラーがつくられている地域は、土砂災害警戒区域として1月末に県振興局から説明があったとお伺いしました。土砂災害を警戒しなくてはならない地域で森林伐採や開発とは何だという声も上がっています。
 まず、土砂災害警戒区域というものはどういうものなんでしょうか。住民にこの区域での説明をした趣旨はどういうものなのでしょうか。また、こうした森林伐採が行われた場合、河川にはどういう影響が考えられるのかということを含めてお答えいただきたいと思います。県土整備部長、お願いします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 土砂災害警戒区域とは何か、住民に御説明をした趣旨は何か、そして森林伐採が行われた場合に河川にどういう影響があるかという3点について御質問を頂戴いたしました。
 まず、土砂災害警戒区域とは、土砂災害防止法に基づき「急傾斜地の崩壊等が発生した場合には住民等の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域」、これを県が指定するものでございます。
 土砂災害警戒区域の指定を行うに当たりましては、県は土地の地形や利用の状況等に関する調査を踏まえて区域の指定の案を作成し、当該区域の存する市町村長に意見照会を行うこととなってございます。
 海南市は、県からの区域指定に関する意見照会に対する回答に先立ち、住民の方に土砂災害により被害を受けるおそれのある区域を知っていただき、住民の方の避難に役立てていただくことを目的として説明会を実施しました。県は、市からの要請を受けて、その説明会において土砂災害防止法や区域指定の案などについて御説明を行ったところでございます。
 次に、森林伐採が行われた場合の河川への影響についてでございます。
 一般的に、森林には水源の涵養などのさまざまな機能があり、森林伐採を伴う開発はその機能を損なうこととなり、河川への雨水の流出が増加するおそれがあると考えてございます。
 現状においては、森林法に基づき県で定めた林地開発許可制度の手続において、河川担当部局に対する協議が位置づけられておりますので、事業者からその協議の申し出があれば、河川への影響の有無について確認し、適切に対応してまいります。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 今、自然破壊するようなそういう開発が大変多いので大変心配しておりますけども、これからも県のほうでよろしく御指導いただきたいと思います。
 きょうの質問では、教育長の答弁はなかなか質問にかみ合っていなかったと思うんですが、むしろそういう答弁しかできないだろうということは思いながら質問いたしました。私は教育長とは、昔からよく知っている親しい間柄のつもりで自分では思っているんですが、しかし、今の和歌山の教育の学力をめぐる問題はこのまま放っておくわけにいかないという気持ちから、きょうはいろいろと聞かしていただいたわけでございます。
 何でそこまでねちねちやるのかという皆さんの思いがおありだと思ったので、途中で私がなぜそこまでやるのかということもお話しいたしましたから、御理解をいただきたいと思います。
 この問題は、今後、全県的な討論にもなっていくと思いますので、子供たちの教育をゆがめないように、私もこれからも頑張っていきたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。

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