平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(岩井弘次議員の質疑及び一般質問)


平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(岩井弘次議員の質疑及び一般質問)

 

 

◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 

 

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 29番岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕(拍手)
○岩井弘次君 おはようございます。
 早速、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。今回も、住民の方々からいただいた声を何点かお伺いいたします。
 まず、交通安全対策についてお聞きします。
 近年、幹線道路などの道路交通網の整備により、車等による移動の利便性が格段とよくなりました。私は楠見地区に住んでおりますが、第二阪和国道・紀の国大橋がなかったころ、特に朝の通勤時は、交互通行の南海橋や少し遠回りをしての北島橋を渡って紀の川を越えるのに約40分、時には1時間ほどかかっていましたが、今は多少の混雑があっても10分余りで越えることができるようになりました。生活道路としてではなく、物流や観光などにも大きく寄与しております。
 他方、県道西脇山口線において第二阪和国道と交差する大谷ランプは、朝夕の混雑時や土曜、日曜はほぼ終日渋滞し、その抜け道というか渋滞を回避するため、周辺の生活道路、狭隘な道路をスピードを出して通行する車両が多くなってきております。特に朝夕は子供たちの通学時間とも重なり、事故等の心配をする声があります。
 大谷ランプの渋滞、混雑については、地元からの要望などもあり、現在、関係各所が御努力いただいていると聞き及んでおりますが、渋滞、混雑が少しでも解消されれば回り道をする車両の減少も期待されますので、その解消に向けて鋭意御尽力いただきますよう願うものであります。
 幹線道路の渋滞、混雑による生活道路への流入を避けることは困難です。安全確保のため、通行速度を抑制することを目的として、車道と歩道の間にポール等を設置し道幅を狭くする狭窄や、緩やかな傾斜をつけたハンプといった対策もありますが、狭くなる、段差ができるといったこともあってか、警察庁によりますと全国で129カ所の整備にとどまっております。
 また、安全走行を促す方策の1つにゾーン30があります。ゾーン30は、2006年9月に、埼玉県川越市の生活道路で車が保育園児らの列に突っ込み、21人が死傷するという痛ましい事故を受け、導入されました。2017年3月末時点で、全国に3105カ所が整備されております。
 私も県庁へ来るとき、いつも北側から南側へ向かってこの北別館のほうに入ってくるんですが、ちょうどファミリーレストランあたり、ちょうど宇治田先生の道場の前を通るとき、路面に「ゾーン30」という標示を見て、いつもぐっと身を引き締まるといいますか、ブレーキを踏みつつ低速で入るのを毎日感じております。
 交通事故による死亡者数は、1992年以降、シートベルトやチャイルドシートの義務化、エアバッグなどの安全装備や救命救急体制の充実により減少傾向にあります。特に乗車中の死亡者は、大きく減ってきています。
 しかし、歩行者が犠牲となる──済みません、申しわけございません、ちょっともとへ戻ります。飛ばしました。
 幹線道路の渋滞、混雑による生活道路への流入を避けることは困難です。安全確保のため、通行速度を抑制するいろんな方策がとられております。今申し上げましたゾーン30は、2006年9月に導入され整備されました。歩行者の安全を守るため、通学路などの生活道路で区域を定めて車の最高速度を時速30キロに制限するというもので、警察庁の調査では、区域内の交通事故が整備前に比べて2割減少した導入効果が報告されています。県庁の北西部一帯もこのゾーン30に指定されています。入り口付近の路面に大きくその標示がされており、ドライバーに対しても安全意識の啓発になっていると思います。
 そこで、お伺いいたします。本県におけるゾーン30についての整備状況とその効果について、警察本部長、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの岩井弘次君の質問に対する答弁を求めます。
 警察本部長宮沢忠孝君。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 初めに、ゾーン30の整備状況についてでございますが、本県におきましては、平成24年度から、主として小中学校等の通学路を含む区域などを選定の上、順次ゾーン30の整備を進めてきたところであり、平成30年2月末現在、21カ所の整備を行っており、3月末までにさらに3カ所の整備を予定しているものでございます。
 次に、ゾーン30の効果についてでございますが、平成28年までに整備した14カ所のゾーン30内における人身交通事故の発生状況を整備前後1年間で比較してみますと、整備前33件であった人身交通事故は整備後26件と21.2%減少し、死亡事故・重傷事故では、整備前7件であったものが整備後4件と42.9%減少しておりますので、一定の効果が認められているところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
 車の乗車中の死亡者等の事故について、けが人等は車自体の安全装備の充実等で減ってはきておりますけども、ただ、歩行者が犠牲となる事故の減少幅は小さくなっています。そこで、焦点となるのが、歩行中事故を未然に防ぐ生活道路対策であります。幹線道路と比べて事故発生箇所が分散しているため、点や線ではなく、面的な対策としてゾーン30は特に有効な取り組みだと考えます。
 どのような取り組みにおいてもそうですが、ゾーン30が効果を上げるためには、速度規制など、その対策によりそこに暮らす住民が少なからず影響を受けますので、住民の参加が重要になります。また、住民を交えることで交通安全に対する相互理解と意識の向上にもつながり、より効果を上げることにもなります。地域での合意形成を大切にしながら、ゾーン30を柱とした安全対策により取り組んでいただきたいと思うものですが、警察本部長にお伺いします。ゾーン30について今後の方針はいかがなものか、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 警察本部長。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) ゾーン30は、生活道路における交通安全対策として、区域内における自動車の速度抑制や抜け道として通行する車両の抑制等を図ることにより、歩行者等の安全を確保する有効なものであると考えております。
 したがいまして、今後におきましても、地域の方々の御意見や道路交通環境等を踏まえながら、道路管理者と連携し、適切な場所への整備に努めてまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。今後とも、通学路等の生活道路の安全確保に努めていただきますようお願いいたします。
 次に、特殊詐欺事犯について伺います。
 報道によりますと、昨年、全国の警察が把握した振り込め詐欺などの被害額は減少しているものの、被害件数は7年連続で増加し、オレオレ詐欺が再び増加するなど、依然高水準となっています。
 有料サイト利用料などの架空請求詐欺や還付金詐欺などの被害額は約15%から20%減少していますが、オレオレ詐欺は21.7%増加し、被害金額は約203億4000万円にも上り、統計が残る2004年以降で過去最悪を更新したとありました。特に65歳以上の被害は2102人増の1万3163人で、全体の7割以上を占め、中でもオレオレ詐欺と還付金詐欺では9割以上となっています。
 これだけあらゆる媒体で防止対策が講じられているにもかかわらず、高い水準で被害が発生している。これらの許しがたい卑劣な犯罪に強い憤りを覚えます。
 そこでお聞きしますが、本県においても特殊詐欺事犯が増加傾向にあると伺いました。その現状と対策について、警察本部長、お答えお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 警察本部長。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 昨年、全国における特殊詐欺被害の認知件数は1万8201件、被害総額が約390億3000万円で、前の年に比べ件数は4047件、28.6%の増加、被害総額は約17億4000万円、4.3%減少したものの、依然として高水準となっております。
 一方、本県における認知件数は95件、被害総額は約2億1468万円であり、前年より認知件数は32件、50.8%の増加、被害総額は約1648万円、8.3%の増加と、認知件数、被害総額ともに増加しており、厳しい状況が続いております。
 95件の特殊詐欺を手口別に見てみますと、架空請求詐欺が39件と最も多く、次いでオレオレ詐欺の28件、市役所職員等をかたった還付金等詐欺が20件などとなっております。また、特殊詐欺の被害者の約6割を65歳以上の高齢者が占めているという現状にあります。
 特殊詐欺に対しましては、県警察は検挙と抑止の両面で対策を講じております。検挙面では、だまされたふり作戦等により、昨年は12人を検挙しております。抑止面では、自治体やラジオ局からも御協力をいただき、防災行政無線やラジオ放送による注意喚起を行っているほか、防犯メールや警察官による巡回連絡、昨年4月から運用を開始している特殊詐欺被害防止アドバイザーによる出前講座の開催など、さまざまな機会を捉えて広報啓発活動を実施しております。
 また、金融機関やコンビニエンスストア等の事業者とも連携協力しながら、水際における被害防止対策もあわせて推進しているところであります。
 県警察では、刻々と変わっていく犯行手口や被害の実態をよく分析して、被害に遭わないための注意点を県民の方々にタイムリーに伝え、この種犯罪に対する抵抗力を一層高めていただくための方策を今後も推進してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。
 手口は多岐にわたりまして、また巧妙化しております。このような卑劣な犯罪に対して、あらゆる手だてを使って未然に防止できるよう、引き続き御尽力いただきますようお願いいたします。そして、特に高齢者世帯等に対して、定期的に被害防止啓発パンフレットなどを配布するといったような周知徹底もあわせてお願いいたします。
 それでは、次に、いじめ対策について伺います。
 いじめの定義の変遷は、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査における定義として、昭和61年度からの定義は、「この調査において、『いじめ』とは、『自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているものであって、学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの。なお、起こった場所は学校の内外を問わないもの』とする」ということに始まり、平成6年からは、「学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの」を削除し、「いじめに当たるか否かの判断を表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うこと」を追加しました。
 そして、平成18年度からの定義としては、「本調査において、個々の行為が『いじめ』に当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。 『いじめ』とは、『当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。』とする。 なお、起こった場所は学校の内外を問わない」となり、ここでは「一方的に」「継続的に」「深刻な」といった文言が削除され、「いじめられた児童生徒の立場に立って」「一定の人間関係のある者」「攻撃」等について注釈を追加しました。
 その注釈には、いじめ防止対策推進法の施行に伴い、平成25年度から以下のとおり定義されています。「『いじめ』とは、『児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。』とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。 『いじめ』の中には、犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に警察に相談することが重要なものや、児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。これらについては、教育的な配慮や被害者の意向への配慮のうえで、早期に警察に相談・通報の上、警察と連携した対応を取ることが必要である」となっています。
 悲しいかな、いじめは、このような時代背景の変遷を経て、形を変えながら今も存在しています。時に、いじめられる側にも原因があるとか、強くなるようにといったことが語られますが、どんな事情があっても、いじめるほうが100%悪いのです。
 平成28年度の調査結果速報値によりますと、本県の公立学校におけるいじめの認知件数は、小学校で3305件、中学校が388件、高等学校が131件、特別支援学校が8件となっており、前年度と比較して、小学校では960件の増加、中学校は64件の減少、高等学校は21件の減少、特別支援学校では4件の増加となっています。あくまでも認知件数であり、認知されていないものも多くあるように思われます。
 そして、いじめの態様については、「冷やかしやからかい、悪口やおどし文句、嫌なことを言われる」が最も多くなっています。言った側はそのような気持ちはなくても、言われた側は傷つくことがあります。何げない言動で友達関係に微妙なずれが生じ、継続的ないじめに発展していくことも考えられます。やはり未然に防止、早期に発見、早期に対応が重要となってまいります。当事者も当然ながら、周りでいじめを目撃したり感じたりしたときに、その通報等の受け皿がなくてはなりません。本県におけるいじめ相談窓口について、どのようになっておりますか、教育長の御答弁を求めます。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) いじめ相談窓口につきましては、県では、電話やウエブによる窓口を設置しております。
 電話による窓口としては、子供SOSダイヤルと教育相談電話を設けております。子供SOSダイヤルでは24時間、教育相談電話では9時から17時まで相談を受け付けており、双方とも電話対応だけでなく、必要に応じて教育相談主事が直接会って、困っていることや悩みの相談に対応しております。相談内容によっては市町村教育委員会及び学校と連携して、問題の解決を図っております。
 ウエブによる窓口としては、ネット安全パトロール和歌山Web相談窓口を設置しており、児童生徒、その保護者及び教職員から、いじめやトラブル等についての相談に対応しております。
 また、さまざまな相談を受け付けるため、県のホームページに県政ポスト、県教育委員会のホームページに教育長POSTを設けており、いじめ問題にも対応しております。
 さらに、各市町村においては、教育委員会が窓口となって、いじめ問題の相談に応じてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。電話やウエブ、また県政ポスト、教育長POSTなど、さまざまな窓口をもって対応しておられるとのことでした。
 しかし、最近は、電話やメールを使用しない子供がふえていることに対応し、相談する際の心理的なハードルを下げる狙いで、スマートフォンの対話アプリで相談を受ける取り組みが広がってきております。
 そのようなアプリの中に、「STOPit」という匿名で通報、相談ができるものがあります。茨城県取手市では、いじめの早期発見、早期対応に向け本年から導入し、全市立中学校の生徒が無料でダウンロードできるようにしています。取手市では、2015年11月に市立中学校の生徒が日記に「いじめられたくない」と書き残して自殺するといった痛ましい事態が起こったことをきっかけに、二度と深刻な事態を繰り返さないとする決意のもと、導入に至りました。
 通報アプリ「STOPit」は、2014年にアメリカで開発され、スマートフォン用アプリで、いじめを目撃した生徒や被害者が匿名で報告、相談できるのが特徴で、文章や写真、動画などを送り、匿名のまま送信先とやりとりができます。送信した情報は市教育委員会に送られ、内容に応じて各中学校や各関係機関と連携し対応します。報告、相談は24時間受け付けておりますが、対応可能な時間は原則午前9時から午後5時のため、緊急時はアプリに登録されている、先ほど御答弁にもありました24時間子供SOSダイヤルなどに直接電話できる仕組みとなっています。
 学校のいじめについて、未然防止、早期発見、早期対応を目指すためにも、こういったアプリの導入も効果的ではないかと考えますが、「STOPit」についての認識と導入についてのお考えを教育長、お答えお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 「STOPit」についてお答えいたします。
 導入している市によりますと、「STOPit」のメリットとしては、電話やメールに比べて気軽に報告、相談ができること、匿名で送れることや、スマートフォン内に履歴が残らないので、相談したことが外部に漏れず、2次的ないじめの心配が少ないことなどが挙げられております。
 デメリットとしては、文字情報では細かな状況が読み取りにくいこと、悪ふざけや事実でないことも送信されるおそれがあることや、スマートフォンやタブレット、パソコンなどを持っていない子供は利用できないことなどが挙げられております。
 県教育委員会といたしましては、議員御指摘の「STOPit」を初め「LINE」「Kids’Sign」「Filii」などのアプリがありますので、さまざまな観点から検討してまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございました。
 1つの案として提示させていただいたんですけども、今、教育長おっしゃったように、いろいろなアプリ、今開発もされてきております。やはり受け皿を広くする。特に最近の子供は電話をすることやメールをすること自体が少なくなっている中で、ほとんどの子供は、今「LINE」を使用することも多くなってきているようにも思います。いろんな受け皿、多角的な角度からその受ける受け皿をつくっていくということが重要だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 そして、より一層の脱いじめ傍観者といった観点からの教育も大切だと考えますので、あわせて要望しておきます。
 それでは、次の項目に入らせていただきます。子供の職場体験について質問します。
 職場体験学習は、キャリア教育の一環として中学校で行われていますが、子供たちの将来のためにも重要なことだと思います。
 新卒者の早期離職をあらわす現象として、七五三現象と言われる言葉があります。これは、就職をして3年以内に離職する割合が中卒で7割、高卒で5割、大学卒で3割がついた仕事をやめることが多いので、七五三現象と呼ばれるそうです。
 学校教育におけるキャリア教育の推進が必要であるとされる背景について、文部科学省は、少子高齢化社会が到来し、産業、経済の構造的変化や雇用の多様化及び流動化が進み、終身雇用の慣行もなくなり、就職、就業をめぐる環境が変化していることを挙げています。中でも、特に若年層における社会人、職業人としての資質や自覚の欠如が七五三現象と言われる現象の背景にあり、その精神的、社会的な自立のおくれを問題視しております。
 その顕著な事例として、子供たちが人間関係をうまく築けず、自分で意思決定ができない、そして自己肯定感が持てず将来に希望が持てない、進路意識や目的意識が希薄なまま進学し、就職しても長続きしないなど、生活や意識が大きく変化していることにあると考えられ、これが長じて若者の中にも自分探しの傾向が強くなり、定職を持たないフリーターや、学校教育も受けず職にもつかないニートと言われる存在につながっているのではないかとも言われております。
 子供たちへのキャリア教育は、未来を託す人を育む重要な過程です。職場体験は、楽しさを学ぶとともに、仕事の大変さや難しさも経験します。また、選択肢として、より多くの業種が望ましいのではとも考えます。
 そこで、お伺いします。職場体験についての認識と取り組みについて、教育長、御答弁お願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 中学校における職場体験は、子供たちが働く人と接することや技術、技能に触れることを通して、学ぶことや働くことの意義を理解し、生きることのとうとさを実感するための教育活動として重要な意味を持っております。
 本県においては、ほぼ全ての中学校で、地域のさまざまな事業所の理解と協力を得ながら、3日間程度の実施が定着しております。各学校では、職場体験に向けて、体験先の仕事の内容や働く上でのマナーなどについての学習を行い、体験後は、それぞれの事業所で学んだことを振り返り、発表することを通して、やりがいや苦労等を共有する中で、働くことのとうとさや人としてのあり方、生き方、自分の進路を考える機会としております。また、地域の人々とつながっていくことで、地域に対する誇りや愛着を育む学習活動となっております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
 小・中・高を通じてのキャリア教育だと思います。小学校では主に見学ですが、中学校における職場体験は、実際にその仕事を体験します。実感として、仕事をする、働くことについて考えることができます。将来どのような職業につきたいかが明確になれば、目的を持って勉学にも励めるようになるのではないでしょうか。その受け入れ先を探すことや、受け入れ側にもそれなりの負担を強いることになるかと思います。でき得る限り選択肢として職種の多様化も図っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。教育長、答弁お願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 現在、社会的・職業的自立に向けた体験活動として、児童生徒の発達の段階に応じて、小学校では職場見学、中学校では職場体験、高等学校ではインターンシップを実施しております。
 中学校の職場体験は定着していますが、受け入れ先事業所の確保等に課題があります。体験先の職種の多様化を図り、互いの体験を共有することは大切であると考えております。
 今後、このような体験活動を系統的、計画的に位置づけ、小・中・高等学校を通じて子供たちが多様な職業や職種に触れることでみずからの興味関心や適性に合った進路を主体的に決定できるよう取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 それでは、最後に、就労支援について伺います。
 特に高齢者の方の就労についてですが、先日、公務員定年65歳に引き上げを検討へという報道がされていました。少子高齢化の進展に伴い、現在60歳となっている公務員の定年を65歳まで段階的に引き上げることが政府において了承され、早ければ来年度の通常国会に国家公務員法の改正案を提出するとしています。給与や退職金などの課題もありますが、再来年度からの施行が予想されます。
 また、公的年金についても受給開始年齢をおくらせ、70歳を超えても選べる制度改正についても検討されており、まさに超高齢社会を迎えようとしている我が国において、元気に活躍することが求められてきます。また、65歳以上を一律に高齢者として扱うことは現実的ではないとも指摘しています。
 2017年における我が国の平均寿命は、男性が80.75歳、女性は86.99歳となっています。そして、健康寿命は、男性が72歳、女性が75歳との統計ですが、当然個人差がありますし、今や人生100年時代とも言われます。
 昨年、日本でもベストセラーになりました「ライフ・シフト─100年時代の人生戦略」という本が、各方面に多くの反響を呼びました。著者の人材論・組織論の世界的権威であるリンダ・グラットン・ロンドンビジネススクール教授と同校のアンドリュー・スコット教授は、過去200年間の世界的な長寿化の進行から、先進国においては平均寿命が100歳になるという人生100年時代の到来を予測しています。寿命が1.2倍強に延びるということは、1年が14カ月に、あるいは1週間が9日に、1日が30時間になるのと同じになります。
 また、同書では、長寿化がもたらす恩恵は煎じ詰めれば時間という贈り物であり、人生が長くなれば目的意識を持って有意義な人生を形づくるチャンスが生まれると、プラス思考で長寿化を捉えています。その上で、長寿化により、人々の働き方や教育、家族、余暇や老後の過ごし方など、社会のあらゆる分野において大きな変化が起きることを想定し、個人の人生設計や社会のシステムを人生100年モデルへとシフトすることを提唱しています。
 先進国では、1967年生まれの半数は91歳まで生きると見込まれ、1987年生まれは97歳、2007年生まれに至っては2人に1人が103歳まで生きると予測され、日本の場合はさらに長寿で、2007年生まれの半数が107歳まで生きると予測されています。人生100年時代は、私たちが思っているより早く、驚くべきスピードで進行しています。
 長寿社会とは、より長く働く社会でもあります。その上、日本は長寿国であると同時に出生率が低い国でもあり、2050年には生産年齢人口に対する年少人口と老年人口の相対的な大きさを比較し、生産年齢人口の扶養負担の程度を大まかにあらわすための指標において、老年人口指数が世界で最も高まります。つまり、少ない数の若者で多くの老人を支えていくことにかけて世界一になっていくことが予想されています。年金制度の存続、今後の改正等を考慮すると、長寿世界はより長く働かなければならない時代とも言えるのではないでしょうか。
 平成29年版の「高齢者白書」によれば、全就業者数に占める65歳以上の割合が、平成19年当時は8.3%であったものが、28年では11.9%まで拡大し、労働力人口に占める高齢者の比率は、この間、上昇傾向にあります。
 また、現在仕事をしている高齢者の4割が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答し、70歳くらいまで、もしくはそれ以上との回答を合計すれば、約8割が高齢期に高い就業意欲を持っているとの調査結果が示されています。元気で行動的な高齢者、いわゆるアクティブシニア層の就業などの社会参画を促進することは、健康維持や生きがい創出、さらには地域の活性化にもつながります。
 そこで、お伺いします。高齢者の就労支援についてどのように取り組まれているのか、商工観光労働部長、よろしくお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 本県では、高齢化率は全国に比べ高いものの、定年退職してもまだまだ元気で働きたい意欲のある人が多く、企業の労働力確保の観点からも高齢者に活躍してもらうことは重要と考えております。
 平成29年度から、高齢者を初め結婚や出産で一度離職した女性、都会からのUターン転職希望者を対象とした再就職のための取り組みとして、就活サイクルプロジェクトを開始しました。これは全国でも初めての取り組みであり、具体的には10月から企業の採用情報を公開し、2月を就活強化月間として合同企業説明会を開催、4月からの再就職を目指す第2の就活サイクルを構築するものです。
 今回、2月に和歌山市を初め県内3カ所で開催した合同企業説明会において、参加した企業174社のうち約100社が高齢者の活躍も求めている企業でありました。また、求職者341名のうち60代以上の方は60名の参加でございました。
 参加した企業からは「来年度も開催してほしい」、求職者からは「今後ともこのような支援をお願いします」といった声もいただいております。今後も、高齢者の活躍を求める企業の参画を拡大するなど、さらに就活サイクルプロジェクトを推進し、働く意欲のある高齢者が就業できるよう取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。
 今、部長のほうからもありましたけども、高齢者の方の求人、また受け入れる側にも拡充を図っていく時代が近い将来必ずやってまいります。蓄えで余生、老後を送るというのも、ほぼこれ不可能であります。統計を見ましたら、全年齢での平均貯蓄額は平均として1151万円、また60歳代の平均貯蓄額は1400万あたりだというふうに報道されておりました。
 ただ、これは一部の富裕層の方がその平均を押し上げているとも言われてますので、余り参考にはなりません。それぞれ中央値としては、全年齢においては約380万、60歳代の方の中央値として一番大きな分布の金額としては601万円となっております。これでは、老後、余生といいますか、第2の人生、第3の人生を送るには到底足りません。やはり元気に働いていく。年金だけではなかなか生活できる方も一部でございますし、しっかりとそういった第2、第3の就業活動を支援できるよう、先を見据えた取り組みをしていかなくてはならないと、このように思いますので、どうかよろしく、その辺につきましてもお取り組みいただきますように要望して、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、岩井弘次君の質問が終了いたしました。

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