平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(新島 雄議員の質疑及び一般質問)


平成30年2月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(新島 雄議員の質疑及び一般質問)

 

 

◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 

 

  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号、議案第39号から議案第66号まで、議案第69号、議案第71号から議案第75号まで及び議案第77号から議案第94号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 28番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 皆さん、おはようございます。項目が随分多いので。早く終わるんだろうと、皆さん思ってないでしょうね。
 きょうは、きのうの天気が随分とよかったもので、冬がもう終わるのかなあというような思いをしたのですが、けさから雨で、風で、少しセットが乱れました。
 今、議長のお許しをいただきましたので、本日のトップバッターとして質問を始めさせていただきます。
 1番目は、命にかかわる問題として、県が率先して取り組んでほしいと願い、質問をいたします。
 今議会には、子育てに頑張っている若い人たちを対象にすばらしい支援策も出ています。今、私は若い世代を皆さんとともに応援したいと考えています。子供たちが元気に力強く育っていくことを心から願っています。そこで、子供たちの食生活、給食について考えてみたいと思います。
 「早寝早起き朝ごはん」、いい言葉です。簡素にして必要なことを伝えられるすばらしい標語だと思います。そして、大切なことだとも思います。今の時代には忘れてはならないことだと思いますし、昔の給食は栄養をとるための大切な食育だったと思いますが、私のころと比べて現在では、栄養は十分満たされているのではないかと考えます。それがゆえに、過剰摂取になったりして小児肥満や糖尿病など、大人の病気が子供に出たりしています。
 考えてみれば、私の小さいころには、サッカリン、チクロ、そういう甘味料がありました。問題あり、そういうことで使われなくなりましたが、今思えば、私とか仁坂知事なんかは随分とったんではないかなあと思っておりますが、健康に過ごさせていただいております。それとは別に、アトピーとかぜんそくとか、私の時代にはなかった子供の健康に関する問題点が指摘されています。
 少子高齢化が進む中、産みやすく育てやすい環境づくりは必要になってきています。大切な子供たちを元気に大きく育てるのは大人の使命であると考えます。これからの次代を担う子供たちが伸び伸びと成長してくれることを願っています。
 ならば、せめて高校生になるまでの期間だけでも大好きな給食を友達と楽しくとることができたら、こんなすばらしいことはないと思い、食物アレルギーに悩む親や子供に対して私たちは何ができるか、考えてみたいと思います。
 ある事件の話をします。知っている方もいらっしゃると思いますが、平成24年、食物アレルギーを有する児童が学校給食後にアナフィラキシーショックの疑いで亡くなるという残念な事故が起こりました。メニューは、牛乳、ワカメ御飯、肉だんご汁、ナムル、ジャガイモのチヂミ。学校の給食室でつくられたチヂミの中に、その女の子が食べるとアレルギー反応を起こす粉チーズが使われていました。
 学校では、アレルギーに対応した工夫をしていました。チーズが大丈夫な人は緑色のトレー、だめな人は黄色のトレーと、チーズを抜いてつくった除去食を担当者が直接手渡します。ここまではよくできたシステムです。
 アレルギーのある子供の場合、担任が確認するリストを用意していました。どこでどう間違ったのか、子供は余ったチヂミを欲しいと言い、皆と一緒に粉チーズの入ったチヂミを食べてしまいました。曖昧な部分は残りますが、本当に痛ましい事故であったと思います。
 このような話をすると、どの学校も保育園でも、どんな先生でも尻込みをして、避けたい、かかわりたくない、親に任せたいと思うのが普通だと考えます。それが行政においても同じことが言えるのではないかと思います。危ない目をして対応するなら、初めからさわらないでおこうと考えるのは人の常です。ただ、子供たちにとっては、給食を友達と一緒に食べられないのは寂しいことだと考えますし、それが万が一いじめにつながらないか、心配もいたします。
 この件に関して、今後の課題として考えられるのは、保育園と学校と担当者が話し合う面談が毎月1回でも開催されれば、随分とリスクは軽減されるのではないかと思います。
 それでは、その不安を取り除くのは何が必要か。それは実態を知り、講習を受け、研修をする以外に方法はないと考えます。しかし、食物アレルギーに関する勉強会や講習会はまだまだ消極的なように感じています。調べてみると、お医者さんの中にもアレルギーに関して深い知識を持っている先生や専門的にかかわっている先生も少ないようですが、年々子供たちの食物アレルギーはふえているのが現状であります。
 また、子供のアナフィラキシー症状を抑える1つとして、エピペンという自己注射薬があります。子供の反応に極端な異常を来したときに用いる自己注射薬です。医師からはちゅうちょなく打つよう指導をされていて、子供は怖いから嫌がるようですが、このエピペンを医師と保護者の依頼により学校や保育園に保管することも必要ではないかと考えます。現在、学校や保育園ではどのような取り扱いになっているのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
 次に、県内における食物アレルギーに関して、対処方法の統一性についてお尋ねをいたします。
 子供たちが通う学校や保育園は多種多様でありますし、地域により違いも出てくると考えます。また、対応方法も代替食の提供とか除去食の対応、アレルゲンの含まれないものだけを提供し、代替食は家庭で対応する方法とか、アレルギーのある子供は全て提供しないでお弁当を持参してもらうなど、対応がさまざまであります。
 ある保護者の方の言葉では、「昔は栄養補給のために給食があった。これは体の栄養であり、栄養が行き届いた今、給食の役目は皆で配膳を楽しんで一緒に食べる心の栄養だ」と言われました。その上に、こんなことも。「教育現場は大変でしょう。これ以上の面倒はとなるかもしれませんが、教育にかかわる人たちから発信していただくのは一番大切ではないかと思う」とも言っておられます。
 子供たちは、皆で食べる給食が楽しみなんです。その給食を、和歌山県に住む子供たちが、どの学校へ行こうと、どの保育園であろうと、同じように笑顔で楽しむことができることを私は望みます。
 また、和歌山県より食物アレルギーに対して先進的に取り組んでいる他府県はどの程度あると考えているのか。言いにくい質問と思いますが、進んでいる他府県よりももっともっとよい方法で子供たちを守っていきたいと思います。先進事例を参考に、さらなる進歩した和歌山県になりたいと思います。
 そういえば、先日、新聞の広告に、「乳成分の表記漏れについて 乳アレルギーが生じるおそれ」との新聞広告がありました。この場合、新聞広告で成分の記入漏れを広告しておるんです。テレビ・ラジオ等全ての媒体を使って知らせる必要がないのかなあ、そんなことを思いました。現在ではルールや法律、どうなっているでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
 次に、少し違った観点から食物アレルギーに関して考えます。いつ起こるかわからない東南海・南海道地震などの災害時における対応です。
 東日本大震災では、多くのアレルギー患者が必要な食料を手に入れるのに大変苦労したと聞いております。特に避難所に届く物資の多くは、アレルギー成分が含まれており食べられなかったり、成分の確認ができず食べることができなかった事例もあります。せっかく災害から守った大切な命、最後まできっちり災害対応したいと考えます。
 熊本地震の折は、食物アレルギーの患者が福岡まで買い出しに行かなければならなかったとか聞いています。こんなとき、どのような対応をするのか。備蓄している食材についても気になるところですし、他府県では、食物アレルギー防災カード等を配布していると聞いていますが、和歌山県での対応はどうでしょうか。
 大変多岐にわたり質問をいたしました。項目は皆さんのお手元にお配りをしておりますので、担当部局から適切な答弁を求めて、第1問を終わります。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの新島雄君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 議員御質問の福祉保健部関係の4点のうち、まず、1点目の食物アレルギーの定義についてお答えいたします。
 食物アレルギーとは、特定の食物に含まれる物質に免疫機能が過剰に反応してしまい、生体にとって不利益な症状が惹起される現象とされております。具体的には、食物アレルギーは卵や牛乳など特定の食物を摂取した後、じんま疹などの皮膚症状、せきなどの呼吸器症状、嘔吐などの消化器症状といったアレルギー症状を引き起こすとともに、時にはアナフィラキシーと呼ばれる生命にかかわる全身性の重篤な症状を引き起こす現象とされております。
 次に、2点目の県内でエピペンを処方されている子供の数及び学校・園におけるエピペンの取り扱いについての御質問のうち、保育所等における状況についてお答えいたします。
 県では、保育所等における食物アレルギーを有する児童への対応につきましては、厚生労働省が平成23年3月に策定した保育所におけるアレルギー対応ガイドラインに基づき、保育所等職員、保護者、嘱託医等の共通理解のもと、適切な対応を行い、アレルギー疾患を持つ児童の保育所等での生活が安全・安心なものとなるよう指導しております。
 県内公立の保育所及び認定こども園に入所する児童のうち、アレルギー疾患によりエピペンを処方されている児童数は、平成30年2月1日現在で26名です。
 保育所等におけるエピペンの取り扱いについては、医師の指導を受けた保護者からの依頼があった場合、エピペンを保育所等内で一時的に預かり、万一保育所等において児童にアナフィラキシー等の重篤な反応が起きるなどの緊急時には、その場にいる保育士がエピペンを使用することとなっております。
 なお、保育所等に対しては、保護者との面談や生活管理指導表、緊急時個別対応票の作成等により、日ごろから児童の症状を把握するとともに、緊急時の対応について確認を行い、適切なアレルギー対応を行うよう指導しております。
 次に、3点目の県立医科大学附属病院小児科での取り組みについてお答えいたします。
 県立医科大学附属病院小児科では、小児科を有する他の医療機関と同様に、日常の診療において食物アレルギーが疑われる子供に対し、まず問診や血液検査などによりアレルギー原因の特定に努め、次に除去食の指導や抗アレルギー剤による治療など、食物アレルギー疾患の適切な診断と治療を行っています。
 また、エピペン処方を受けた子供への対応につきましては、県立医科大学附属病院小児科が中心となり、平時はかかりつけ医と医大を含む各医療圏の基幹病院小児科が子供の医療情報をあらかじめ共有し、緊急時には基幹病院に緊急搬送するなどの体制を構築済みであることを確認しております。
 最後に、4点目の備蓄している食糧のアレルギーへの対応状況についてお答えします。
 県では、東海・東南海・南海3連動地震などの大規模災害に備え、従来からアルファ化米やパンなどの食糧の備蓄を進めていますが、調達する際には、避難された方が安心して食べられるよう、味のバリエーションを考慮しつつも、アレルギーには配慮して備蓄食品を選択する必要があると考えています。
 この考えのもと、これまでアルファ化米の御飯につきましては白米と五目御飯を購入していましたが、五目御飯には大豆が含まれていたため、平成27年度に購入を取りやめた結果、新たに購入するもの全てがアレルギー表示対象品目を含まないものとなっています。また、パンにつきましては、アレルギー対応の備蓄食糧に関する情報を収集する過程で卵を含まない缶詰パンがあることを確認したことから、本年度からこれに切りかえたところでございます。
 こうした取り組みによりまして、本年度末時点で、備蓄食糧のうちアレルギー表示対象品目を含まない食糧の割合は約3割となったところであり、引き続き、避難された方が安心して食べられるような食糧の備蓄に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 御質問の8点について、一括してお答えいたします。
 本県の学校における食物アレルギーへの対応方針は、文部科学省による学校給食における食物アレルギー対応指針に基づいて県教育委員会が策定した学校におけるアレルギー疾患対応指針としております。
 指針では、アレルギーを有する児童生徒も他の児童生徒と同様に給食時間を安全にかつ楽しく過ごすことができることを目標としており、校長を責任者としてアレルギー対応のための委員会を設置し、情報の集約及び対応について組織的に取り組むこととしております。
 次に、保護者と学校の担当者との面談の実施につきましては、アレルギー疾患に関して、学校での配慮、管理を要する事項について、保護者から提出された学校生活管理指導表の内容に基づき、学校の基本方針と対応内容について共通認識を図ることを目的として実施しております。
 次に、県内でエピペンを処方されている児童生徒数は、平成29年度は261名で、平成23年にエピペンが保険適用になって以来、増加しております。処方されているエピペンの学校での取り扱いにつきましては、児童生徒みずからが常時携帯する場合と、保護者からの依頼により預かる場合があります。
 次に、本県のアレルギー対応における新たな取り組みとして、エピペンを処方された児童生徒がアナフィラキシーショックを引き起こした場合を想定し、あらかじめ主治医から紹介された救急病院を受診しておくことで、速やかに適切な医療を受けられる体制の整備を行っております。
 次に、食物アレルギーに関する研修会につきましては、アレルギー疾患に対する理解とエピペン等を使用した緊急時の対応を徹底するため、毎年3地方において順次開催しております。研修の対象である管理職や養護教諭、栄養教諭等は、2~3年に1度受講できるよう設定しており、毎年200名程度が出席しております。さらに、各学校においても、学校医や学校薬剤師の協力を得て、教職員を対象に研修会を実施しております。
 次に、学校給食における食物アレルギー対応につきましては、給食の原材料を詳細に記した献立表を事前に配布する詳細な献立表対応、食物アレルギー対応が困難な場合の弁当対応、原因食物を給食から除いて提供する除去食対応、除去した食物に何らかの食材を代替して提供する代替食対応の4つがございます。各学校等においては調理場の実情に応じて対応しており、いずれの対応におきましても、原因食物の完全除去対応を原則とし、安全性を最優先にしております。
 また、除去食対応等を行う際は、専用の容器に名前を記載したり、トレーの色を変えるなど、取り違え等が起きないよう工夫するようにしております。
 次に、献立の作成に当たっては、複雑で煩雑な調理作業とならないよう原因食物の使用頻度を減らしたり、原因食物を使用しないようにするなど検討が行われております。
 最後に、食物アレルギーに関する学校、調理施設及び人員等の環境整備につきましては、原因食物の混入防止対策の一環として、県の指針に従って、市町村教育委員会は食物アレルギー対応の充実のための環境整備等を行うこととしております。各市町村では、大規模な改修や人員の配置が必要なため整備されにくい状況ではございますが、適切な食物アレルギー対応を行うための環境整備の必要性について、県の指針に基づき、各市町村教育委員会に働きかけてまいります。
 今後も、安全・安心でおいしい学校給食の提供を通して、全ての子供たちが笑顔で給食を楽しむことができるよう、引き続き市町村を指導してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) アレルギー物質の記載漏れ等があった場合、企業はどのような対処をするのか、現在のルールは、法律はについてお答えいたします。
 アレルギー物質は、消費者が食品を摂取する際の安全性に重大な影響を及ぼす事項の1つとして食品表示法でその表示が義務づけられており、消費者の生命と健康を守るために緊急の必要がある場合、直ちに事業所への立入調査を実施し、事業者に食品の回収やその業務を一時的に停止するよう命じることとなります。
 しかしながら、実際には、アレルギー物質の記載漏れの多くは、回収命令が出される前に事業者による自主回収が行われております。
 また、消費者への周知につきましては、回収命令の場合は当然のことですが、事業者から自主回収の着手報告を受けた際にも、当該食品の流通量や流通範囲に応じた広報媒体を使って迅速に行うよう指導することにより、消費者の安全確保に万全を期しております。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 避難所における食物アレルギーのある避難者への対応についてお答え申し上げます。
 県では、東日本大震災や熊本地震等、大規模災害の教訓を踏まえ、市町村が避難所を適切に運営できるよう市町村避難所運営マニュアルモデルの充実、見直しに取り組んできたところでございます。
 議員御質問の食物アレルギーのある避難者への対応につきましては、本マニュアルモデルにおいて適切に食事が提供されるよう、避難された方々から食物アレルギーの有無について避難者名簿等により情報収集を行うことや、食事に小麦、そば、卵などのアレルギー原因となる材料が少しでも含まれている場合はその旨を明示するなど、配慮すべき点を示しております。
 また、議員御提案の食物アレルギー防災カード等につきましては、避難者が食物アレルギーがあることを周囲に的確に伝えるための有効なツールとなるものと考えており、その普及も含め、引き続き市町村に適切に助言してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 今回、この質問をするに当たりまして、たくさんの保護者の方にお話を聞きましたし、職員の皆さんにもいろいろと教えていただきました。言葉の説明からどういう状況をいうのかまで、事細かに教えていただきました。自分なりに勉強もいたしましたが、なかなか簡単にはいかない問題だなあということを感じました。
 関係のある部局が連携をしなければならないこともあります。未来ある子供たちのためには、今、我々が次の世代のためにもよりよい方法や安全なシステムを考えなければならない。県内のどこに住んでも、どんな学校でも保育園でも、同じ対応をした給食が提供されることを願っています。住む場所によって対応が違うということがないことを目指さなくてはならないと思いますし、そのためには、県が中心となり、同じシステムをつくり上げることが必要と考えます。皆でそこを目指して頑張りたいものです。
 今後、一歩一歩でも着実に前進することを望みますし、全国に誇れるシステムを私たちの和歌山でつくり上げたいと思います。御協力をいただきたいと思います。
 引き続き、次の質問に入ります。
 2問目は、県営住宅の今後についてであります。
 今、テレビ、新聞、ラジオ、毎日のようにどこかで火事が起こっています。2月10日、岩出市で県営住宅で火事があったのは記憶に新しいことであります。残念なことに死者が出る火災であり、那賀消防本部は現在、原因の調査を進めていますが、まだ結論には至っていないようです。高齢者が多く住む県営住宅は、今後どのようなことが必要となり、何に注意をし運営をしていかねばならないのか、考えさせられる事故であります。
 また、札幌市内の高齢者が下宿する建物火災で11人もの人々が亡くなりました。痛ましいことであります。何が悪かったのか、同じような事故が起こらないか、高齢者でも避難しやすいか、避難経路や安全点検は済んでいるのか、高齢者が多く住んでいる県営住宅のことが心配であります。
 また、高齢者の方が火事に巻き込まれて亡くなることはつらく悲しいことでありますが、逃げおくれることが一番の原因と考えます。高齢者が逃げやすい県営住宅とは、どのような建物でしょうか。
 今後の県営住宅については、老朽化と建てかえの時期を見ながら進めていくのでしょうが、現在建てかえの準備に入っている県営住宅はどの程度ありますか。
 今でも高齢者にとって住みにくくなっている県営住宅があるのではないでしょうか。その建物は4階でも階段しかなく、エレベーターがあれば高齢者の方も障害者の方も住みやすくなるのかなあと思いますが、建てかえの予定がないか、リフォーム等でエレベーターをつけるとか、何か住みやすくなる方法を考えたり、高齢者の場合は1階と2階に住んでもらい3階以上は若い人たちの生活空間に変えるとか、何か工夫をしないと住みづらくなっているように感じます。御見解をお示しください。
 また、県営住宅における駐車場のことで質問をいたします。
 車の保有台数は、現在、1家1台よりも1人1台という時代になっているように思います。駐車場として十分併設されている県営住宅はどの程度ありますか。不足している駐車場はどの程度あると考えていますか。今後、何らかの方法で駐車場をふやす考えはありませんか。多くの住民が期待しているようにも感じますが、お考えをお示しください。
 いつの時代も、どこに住むか、多くの人が住みかを求めています。人口が減っていく中ですが、より便利な場所に住みたい、安全な場所に住みたい、家賃の安いところを探して住みたいなどなど、要望はたくさんあると思います。その要望に一度に全て応えることは不可能だと思いますが、県民が願っていることを少しでも早く現実のものにしてほしいと思います。
 古くて安全に問題があっても、安いからといって住まざるを得ない人がいます。私は、そこにも手を差し伸べる必要があると考え、質問をいたします。
 以下、5項目に関して質問をいたします。
 県営住宅の安全点検はどの程度行われているのか。避難経路や安全対策は十分進んでいるか。高齢者が逃げおくれないための方策は何か。老朽化している県営住宅はどの程度あるのか、建てかえを予定している県営住宅は、駐車場の考え方は。県営住宅における今後の基本方針は。
 担当部局からお答えをお願いします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 5点について、県営住宅に関する御質問を頂戴いたしました。
 まずは、県営住宅の安全点検についてでございます。
 県営住宅で行われている安全点検につきましては、消防法第17条3の3に基づき、消火器具や避難はしご、連結送水管等の機器点検を6カ月ごとに、自動火災報知設備の作動確認などを実施する総合点検を年に1回実施してございます。また、建築基準法第12条等に基づきまして、共用部分の非常用照明設備などを毎年点検しているところでございます。
 続きまして、避難経路や安全対策についてでございます。
 県営住宅に入居される方に対しましては、入居時にお渡しする「住まいのしおり」で避難経路や避難方法をお知らせするとともに、階段や廊下などの共用部分やベランダへ物品を置かないこと、火災発生時には消火器などで初期消火に努めること、家族や近隣の住戸などに火災を知らせ、避難を促すことなどを注意喚起させていただいているところでございます。
 また、中高層の県営住宅では、火災時の避難経路として、各住戸の玄関から避難する方法に加え、ベランダの隔壁を蹴破ってバルコニーを経由して垂直避難口や他の住戸から避難する2方向の経路を設けてございます。
 さらに、今回の火災を受けまして、改めて防火対策等を記載したチラシを作成し、団地自治会を通じ、全ての県営住宅入居者の方々に周知したところでございます。
 続きまして、高齢者が逃げおくれないための方策についてでございます。
 火災が発生した場合に逃げおくれないためには、早期に火災に気づくことが大事でありますので、県営住宅全戸の居室に住宅用火災警報器を設置しているところでございます。また、中高層の県営住宅に住んでいる方々で、高齢などの理由により階段の上りおりに支障があると感じ、低層階への住みかえの希望がある場合には、各団地の状況を踏まえ、適時対応しているところでございます。
 今後、定期的な団地単位での避難訓練の実施や災害時に住民相互で助け合いができるような共助の体制づくりについて、団地自治会とともに取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、老朽化している県営住宅と建てかえを予定している県営住宅及び駐車場の考え方についてでございます。
 県営住宅の老朽化につきましては、全管理戸数69団地5254戸のうち、建物の耐用年数の半分を経過したものが約6割という状況でございます。今後の県営住宅の建てかえ事業につきましては、和歌山県営住宅長寿命化計画に基づき、建設期が昭和50年以前のものについて、立地や居住性を勘案して3団地130戸の建てかえを検討してまいります。
 駐車場整備につきましては、平成17年度から整備を進めており、現在は40団地を完了し、整備済み団地での充足率は約9割となってございます。今後も、駐車場未整備団地において駐車場整備を順次進めるとともに、建てかえに際しても、住民のニーズに応えられるよう可能な限り駐車場の整備を進めることを検討してまいりたいと考えてございます。
 最後に、県営住宅における今後の基本方針についてでございます。
 県営住宅は、低額所得者で住宅に困窮する方々にとって居住のセーフティーネットとしての大きな役割を果たしていると認識しており、これらを適切に維持管理、更新していくことが重要だと考えてございます。今後も、県営住宅長寿命化計画に基づき、外部改修などによる改善事業で建物の長寿命化を図りつつ、建設年度の古いものについては順次建てかえを検討するとともに、その際にはエレベーターを設置したり住戸内のバリアフリー化など設備の充実も図り、高齢者の方から若い世代までの幅広い県民の皆様が安全で安心に暮らすことのできる質を確保した住宅の整備に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 県民は、県営住宅にある意味、希望や夢を持っていると思います。我が家がここにある。家族で過ごす場所があることは大変うれしいことですし、ほっこりする場所、人生のためにも必要なことだと考えています。県民の思いを形にして、県民が笑顔で過ごせることを願っています。
 高齢者が住みやすい県営住宅、若い夫婦が元気で働ける県営住宅、小さな子供たちが声を上げて笑い、走り回ることができる楽しい県営住宅、県民が健康になる県営住宅を目指してほしいと願っています。
 では、最後の質問に移ります。条例案件として提出されている民泊に関して質問したいと思います。
 この質問、もう何度か私はしてきて、もういいかなと思ったこともありましたが、最後の、条例案が出てきましたので、今議会に提案されている住宅宿泊事業法施行条例案について、知事にお尋ねをいたします。
 昨年6月16日に公布された住宅宿泊事業法が、本年6月15日に施行されます。その準備行為として、3月15日から届け出が、必要になりますので、この法を実施するために制定された条例案であります。
 昨年の9月議会において、いわゆる民泊について知事に質問をいたしました。内容は、違法民泊に法の網をかぶせ、適正に運営をしていくための法整備をどうしていくのかという質問であったと思います。民泊で観光客がふえるのはよいが、県民の生活環境に悪影響を及ぼさないように適切で迅速な対応を事業者に指導していくとの答弁でありました。
 その後、政令、省令が出され、12月にはガイドラインも示されました。私の考えでは、地域住民と観光客、事業者の三方がよしとなることが必要と思っています。地域の実情に応じ、生活環境に配慮した民泊の運営がなされることを願っています。条例案に込めた知事の思いをお聞かせください。
 次にもう1点、知事の考えが今回の条例案にどう実現されているのか、より具体的な内容をお尋ねいたします。
 特区的に先行して実施をしている地域は、周辺住民とのトラブルが多く報告されているようであります。大変大きな事件も起こっているようであります。そんな事態が起こらないよう責任ある管理運営を求めるとともに、問題発生時には迅速に対処することは当然のことと思います。具体的にどう規定されているのか、お答えを願いたいと思います。
 また、条例の一部を3月15日から施行する必要があり、早期の議決が必要とのこと。その理由についても環境生活部長より答弁を願います。
 観光立県を目指す和歌山県にとって、民泊とのつき合いは大変大切と考えます。法を守り、秩序を守ることで、民泊が市民権をいただけると思いますし、ホテル、旅館と協力してこそ和歌山のシステムとして認められると考えます。すばらしい答弁を期待します。
○議長(尾﨑太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県においても訪日外国人が増加しておりまして、これらの人々のニーズに対応するとともに、地域の活性化に資するものとして、住宅宿泊事業法が制定されたことについては評価をしたいと思います。
 しかしながら、住宅宿泊事業によりこれまでの県民の暮らしと住環境に悪影響を生じさせないようにし、安寧な県民生活を守ることが最も重要なことであると考えております。こうした観点から、法律には次の3つの課題があると考えております。
 第1番目は、法的安定性の確保についてでございます。
 住宅宿泊事業法及び政令、省令におきましては、事業者の届け出事項に適正な事業遂行のための措置が明定されておりません。その後、抽象的な文言で、事業者はこういうことを守りなさいということを書いてあるんですけれども、数値的なことが書いておりませんで、具体的にどこまでやったら守ったことになるのかが不明でございます。そして、いきなりそれを地方公共団体が監督せよということになってるわけでございます。
 国においては、施行要領、いわゆるガイドラインですね、これを出して、こう守ってくれと、こういうふうに言っておられるわけですが、法律的なことからいえば、これは行政庁が期待する運用指針にすぎないので法的安定性に欠けます。
 2つ目は、地方公共団体の権限についてでございます。
 同法の条文上、地方公共団体に委任されておるのは、法が定めた年間180日の事業の実施を条例により区域と期間を定めてもっと制限できるということのみで、地域の実情に合わせた制度設計を可能とする条文上の権限が書いてないわけでございます。これでは、地域ごとに異なるバックグラウンドを十分に考慮した制度づくりが、まあできないわけじゃないんですけど、しにくいという問題があると思います。
 3つ目は、事業者の管理責任についてでございます。これが一番大事だと私は思っております。
 住宅宿泊事業を有効活用して健全な観光振興を図るためには近隣の生活環境との調和を図ることが必要でありまして、問題が発生した際の対応は、住宅宿泊事業者あるいはそこから委任を受けた管理業者が責任を持って行うべきものだと考えております。
 旅館業法の規制のもとにある旅館、ホテルあるいは民宿、これはこういう管理をちゃんと事業者がやってくれてるわけでございます。だから問題が近くの住民に拡散することがないわけですが、民泊で事業をするときでも旅館などのように誰かがちゃんと管理をしてくれないと、そのとがは住民とか、あるいは市役所、あるいは町役場、あるいは警察などに行くと予想されます。
 とりわけ問題になるのが家主不在型の事業の場合でございまして、これは事業者がトラブル発生時に遅滞なく当該住宅に駆けつけてくれるかどうかということが重要であります。それを実現するためには、国はガイドラインを出してるんですが、車でいいからとにかく30分とか、渋滞したら60分でもいいとか、そういうように言うとるんですが、これなんかちょっとどうかなというふうに思います。
 これらの問題に対応するためには、事業者が守るべき客観的な規範を詳細かつ具体的に初めから条例で決めておきまして、これを届け出のときに適正に守るということを自分で証明する書面を出してもらいまして、これをもって適正な運営を行わせることを考えました。そういうことを定めた住宅宿泊事業法施行条例案を今議会に提案してるわけでございます。
 繰り返しになりますが、これまで旅館やホテルでは、旅館業法に基づき適正な管理が行われており、これが大変なことだったわけでございます。この条例案のもと、住宅宿泊事業においても同じようにそれにふさわしい適正な管理が確保できるものと考えております。
 なお、当県におきましては、住宅宿泊事業を用いた観光の一層の振興はもとより望むところでございます。かつ、地域の実情から、京都みたいに混み合うとかそういうことではございませんので、過密、混雑等による弊害もあんまり考えられないので、この条例案では、事業者が定める規範を守れば、全県において年間、法律の定める180日までの住宅宿泊事業はしてもよろしいというふうにしたいと思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 事業者の管理責任を具体化する規定につきまして、まず、事業を始める前に自治会等への説明と周辺住民の反対がないことの確認を義務づけております。さらに、家主不在型の住宅宿泊事業の場合には、管理者を、マンション等で営む場合はその施設内に駐在させることを、戸建て住宅の場合はおおむね徒歩10分以内の範囲に駐在させることをそれぞれ義務づけます。
 また、宿泊者にごみ出し等のルールを遵守させることなどとあわせ、地域住民とのトラブルを未然に防止するために遵守すべき事項を証した書類を事業開始届け出時に提出することを義務づけております。
 次に、早期議決をお願いした理由についてでございますが、住宅宿泊事業法が3月15日に一部施行され、準備行為として知事への届け出が可能となっており、法との整合性を保つためには同施行条例の一部を3月15日に施行する必要があることから、それまでに議会の議決をお願いしたものでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 大変、民泊については多くの問題点を抱えながらの僕はスタートだと思っております。そのためにも、さらなる指導監督が必要ではないか。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 最後に、少し時間をいただきまして、お話をさせていただきたいと思います。
 先日、ある人と話をしていた折、和歌山市の印鑑登録証明書に男女の記載が必要なのかと問われました。「うん?」と思いましたし、必要ないかなあとも思いました。実は、手元にその書類も持ってきてくれました。確かに性別の欄がありました。印鑑登録の証明に男女、必要ないんかなあと今思っておりますが、こんなことを考えたことがありませんでした。
 私は、ふだん何げなく行っている行動の中にも、人にとっては大変苦痛に感じる不要なことがあるんだということを思いました。
 そこで、職員の方やたくさんの人に御協力をいただきながら、県庁の中である申請書類をちょっと集めていただきました。全部ではありませんが、結構職員さんたちは集めていただきました。しかし、その中には、個人で申請をする部分では男女の性別の表記はありませんでした。安心をいたしました。
 性別が必要な書類とは何なのかと問われたのです。現在、求人広告には性別を書けません。書ける場合は大変限られた場合だけであります。その上、日本国憲法には、何人も職業選択の自由を有すると書かれています。しかし現実は、男性と女性は一緒ではないんではないか。その同じではないということを理解した上で、機会は同じに、権利も同じにということだと思います。同じように助け合い、平等で協力し合い、すばらしい社会をつくりましょうと言っているんだと思います。
 ただ、その思いとは別のところで悩み苦しんでいる人も、少数ですがいることも事実です。その人たちは、組織も持っていません。本当に一握りの人たちです。だから、ほっといていいかということで話が終わってしまうと、何か悲しいです。
 ただ、この人に言われて気づいたことは、我々が十分意識をして取り組まなくてはわからないことだと思います。公のことで苦しんでいる人がいることを私は知ることができ、うれしい反面、気配りの足りなさを痛感いたしました。
 県庁内の各部署において、不条理なことがないかどうか再度の確認もしていただきたいなあ、そんなことを思います。まだまだ見落としていることも多くあると思います。気づいたときに直しておかないと、ずるずると同じことの繰り返しをしてしまいます。どうか、おかしい、不思議だと思ったときには、すぐにその疑問を解決して、少しでも心地よい方向に直していってほしいと思います。
 和歌山県内どの行政でも、全ての県民に優しく納得のいくようなことを進めてほしいと願っています。これが今回、私の小さな小さな要望であります。
 これで、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。

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