平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。


  午後1時0分再開
○副議長(山本茂博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、大きく3つの柱で質問させていただきます。
 第1の柱は、台風・大雨被害にかかわってであります。
 台風21号は大きな被害をもたらしました。お亡くなりになった方、被災された皆さんにお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。
 私も、地元海南・海草地方だけでなく、紀の川市や新宮市などお見舞いに回ってまいりました。
 まず、台風21号の特徴と被害の概要について、危機管理監にお伺いしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 本年10月の台風第21号の特徴としましては、超大型で強い勢力を保ったまま紀伊半島に接近し、21日午後から和歌山県南部を中心に大雨をもたらすとともに、22日から23日未明にかけまして、台風を取り巻く発達した雨雲により県内全域が暴風雨を伴った大雨となりました。
 23日までの72時間降雨量は、新宮市で893.5ミリ、紀の川市で354.5ミリを観測するなど記録的な大雨となり、新宮市周辺や紀北地域などで多くの浸水被害と土砂災害等が発生しました。
 次に、被害の状況ですが、11月末現在で人的被害につきましては、死者1名、負傷者3名、住家被害は全壊が2棟、半壊・一部損壊が334棟、床上・床下浸水した家屋が2094棟に及ぶなど、多数の住宅が被害を受けました。また、県や市町村管理の道路で107カ所、河川で164カ所が被害を受け、大規模な土砂災害も5カ所発生しました。農林水産業関係では、農地・農業用施設や林業関係などに約34億円の被害が出たところでございます。
 県では、被災地域の迅速な復旧と被災された方々への支援に全力で取り組むとともに、引き続き防災・減災対策の充実に取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 今回の台風被害の特徴、課題が浮かび上がってきていると思います。私が見聞きしたことから、今後どういう対応が必要になっているのかを考えていただきたいと思います。
 海南市内でいうと、室山・岡田地域です。私が駆けつけたときには水は引いていました。ところが、1軒1軒回ってみると床上浸水のお宅もあります。3年前の浸水より20センチも高い浸水だといいます。
 紀美野町の議員から電話です。蓑津呂という地域で山の木が崩れて家が大変になっている、見に来てほしい。下津の伏山のミカン山が崩れたと友人からの電話です。海南金屋線の汲沢での道路の分断、生石山の麓で山林崩落、次々と被害の情報が入ってきました。
 被害の特徴は、さまざまな土砂崩れ、そして大雨による水を川に流すことができないための内水の浸水にあったように思います。海南市の室山にしても、紀の川市の丸栖、調月にしても、懸案の箇所での浸水でした。対策は考えられていたのですが、繰り上げてやってほしいという声が私どもへも当局へも届いているものと思います。
 紀の川市については、奥村議員初め皆さんから質問がありました。亀の川の整備計画との関係で、災害対策をどう急ぐのかという問題を県土整備部長にお伺いします。よろしくお願いします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 亀の川を初めとする浸水対策の状況について御質問を頂戴いたしました。
 海南市の岡田・室山地域の浸水対策等を目的としまして、亀の川と支川大坪川において河川整備を実施してございます。
 亀の川につきましては、平成22年10月に策定した河川整備計画において、河口から紺屋橋までの約4.8キロメートル区間について堤防整備や河床掘削を位置づけ、下流から順次整備を進めてございます。これまでに、河口より約600メートル区間とその上流左岸側約160メートルが完成し、今年度は引き続き右岸側の護岸工事と河床掘削を実施してございます。
 また、支川大坪川につきましては、亀の川合流点からJR橋までの約1.2キロメートルの県管理区間において、平成28年度から局所的な対策に着手し、現在、室山団地前において護岸の一部かさ上げや亀の川との合流点付近において河床掘削するための護岸の補強を実施してございます。
 さらに、市の管理区間であるJR橋上流の岡田地域については、浸水対策として海南市が排水ポンプ場の整備に取り組んでいると聞いてございます。県としては、今後ともさまざまな機会を通じて予算の確保に努め、亀の川や支川大坪川の整備を進めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この質問に当たって、打ち合わせの中では、担当課の職員も、スピードアップを図り、早期に完成を目指したいというような考えも示されておりました。
 また、室山団地の前の一部かさ上げでありますが、あの部分は大坪川がJR線路下をくぐるところでクランクになっているので、少々のかさ上げでは間に合いません。JRとの関係で工事が難しいのでしょうが、JRへも働きかけて改善していただきたいと思います。これは要望といたしまして、次へ参ります。
 次は、農林水産業への被害であります。ミカン畑が崩れた、モノレールがだめになった、農機具が水につかったなどあります。こうした被害の実態はいかがでしょうか、農林水産部長にお伺いいたします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 今回の台風21号による農林水産業被害につきましては、被害総額が約34億4500万円の甚大な被害となっております。
 内訳としましては、農産物の風による傷みや冠水、園芸施設における損壊などで約5億7700万円、田畑の畦畔崩壊や土砂の流入、農道や水路、ため池被害など農地・農業用施設で約16億7300万円、林道ののり面崩壊や路側決壊、山腹の崩壊など林業関係で約4億6400万円、養殖業のへい死など水産関係で約7億2000万円となっております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 お答えいただいた中で、私が見せていただいたミカン山について、海南市から調査に来て、国の補助金を受けて復旧するかどうかの検討になりました。そこで知ったのですが、国の補助金はこのミカン山を完全復旧することを前提にしている、必要な経費は2200万円になります。それに対して出される補助金は200万円、そこにはモノレールの復旧は含まれていません。ミカン農家の方は、モノレールの復旧に補助してもらえれば、山の崩れたところは倒れたミカンの木は植え直しながらでもミカンをつくっていける、しかし2000万円も負担することはとてもできないと言われます。
 国の補助制度が農家の実情に合っていないのではないか。以前の大雨被害でも傾斜地の梅畑の復旧支援が実情に合わないという意見を国に上げていただいたことがあると思うのですが、引き続き現場の実情に合った復旧支援を働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 また、国の復旧支援の補助事業以外に、農家への救済支援の施策はないのでしょうか、農林水産部長からお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 県としましては、急傾斜園地での災害について復旧が促進されるよう、事業主体である市町村を支援してまいったところでございます。
 また、議員御指摘の傾斜地の梅畑の復旧支援に関し、平成23年の台風12号災害を契機に、農地・農業用施設の災害復旧制度の改正を国に対し強く要望を行いました。
 従来は、傾斜が20度を超える農地については農地災害復旧事業の対象外でありましたが、要望の結果、収益性が高いと認められる場合、20度を超える農地についても農地災害復旧事業の対象となり、急傾斜農地が多い本県にとって非常に有利な改正になったと考えております。
 なお、農業用モノレールにつきましては、共同利用・管理を行っているものは災害復旧事業の対象となりますが、今回の事案のような個人施設については対象とはなりません。
 国の復旧支援以外の施策につきましては、農業共済制度のほか、農機具については農業近代化資金等の低利融資制度があります。また、農業用モノレールについては国の果樹経営支援対策事業の補助対象となっております。
 県としましては、災害復旧制度を有効に活用していただくためにも、市町村に対し、引き続き制度を周知するとともに、市町村の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 地域の実情に合った支援を国でもできるように、状況をつかんで働きかけていっていただきたいと思います。
 次へ行きますが、今回の台風では幾つもの山崩れが起きています。私は、紀美野町の現場に行って見てきましたが、崩れた土砂とともに多量の木が流れ出していました。地元の方は、土砂だけでなく流木があったことが被害を大きくしたと話しておられました。
 山崩れの原因は、雨量や傾斜、地形など1つでなく、いろいろな要因があると思いますが、対策として何が重要であると考えられますか。また、山崩れによる流木の発生を抑えるためにはどのような対策が効果的だと考えられるでしょうか、農林水産部長にお伺いいたします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員御指摘のとおり、山崩れは雨量や地形、地質、森林の状態など、さまざまな因子が重なり合って発生するものと考えます。
 まず、山崩れを予防するためには、間伐等により森林の適切な密度管理を行い、樹木や下層植生の根の発達を促し、土石を縛りつける効果を高めることが重要であると考えております。その上で、万が一の山崩れに備えて治山ダムを設置することが木の流出を抑えるためには有効であると考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。いろいろ大変ですが、復旧と対策に頑張っていただきたいと思います。
 次へ行きます。
 第2の柱は、自然エネルギー開発と自然保護、超大型風力発電やメガソーラーにかかわってであります。
 前回の9月県議会で、自然に優しいはずのソーラー発電、風力発電が企業利益優先で大型化され、森林を破壊すれば本末転倒だと申し上げました。加えて、お金を出して住民の声を抑え込む覚書を企業が地元自治会と結ぼうとしている問題を取り上げたところ、知事は人権のない国の話みたいだ、つまり日本ではあり得ない話だという認識をされました。しかし、あるわけです。
 実を言いますと、私はあの覚書を取り上げるのが怖かったんです。知事から中途半端な答弁しか得られなかった場合、誰が覚書を外へ漏らしたんだということになって区長さんが苦境に立つかもしれない。そこで、「どこの覚書か知りませんが」といってカモフラージュして質問したわけです。
 知事は、大変立派な答弁をしていただきましたので、私の心配が杞憂となりました。これからもさまざまな企業が和歌山県では仕事をすることになりますが、企業と県民が共存共栄できることを願っています。
 ところが、心配な問題が幾つもあるわけです。1つは、9月県会でも取り上げた海南市、紀美野町、紀の川市、有田川町にまたがる超大型風力発電の計画です。環境配慮書を市役所で閲覧し、環境影響審査会の傍聴もしてまいりました。専門家による審査とともに、県民の皆さんがわかるようにしなければなりません。その点では大変不親切です。環境配慮書はコピーできない。企業のホームページでも閲覧できるが、印刷できないような加工がされている。計画の全体像を住民にわかりやすく開示するような指導をできないのでしょうか、環境生活部長からお答えください。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 環境影響評価において計画内容を住民にわかりやすく伝えることは重要と考えており、かねてから事業者にはわかりやすい形での情報公開を積極的に行うよう指導してきたところです。
 また、10月25日付で事業者に通知した配慮書に対する知事意見においても、住民との積極的な対話に努めるとともに、その説明の際には環境影響及び根拠となるデータ等について正確かつわかりやすく提供するよう述べたところです。
 さらに、県としても事業の概要をまとめた資料についてホームページに掲載し、情報の公開に努めているところです。引き続き、住民にわかりやすい形での情報提供を事業者に求めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 そういう方向でよろしくお願いします。
 そこで、環境配慮書に対して地元自治会から心配と批判の御意見が寄せられています。
 その1つ、紀美野町長は、心配な点を列挙するにとどまらず、記述内容が虚偽であるため、本書は信頼に足る図書となっていないという厳しい指摘までなされています。こうした意見に対して、企業は、次は方法書を作成し、その説明会など環境影響調査の手続が進んでいくわけですが、地元住民、地元自治体の懸念が払拭できない場合、この計画はストップになるのでしょうか、環境生活部長からお願いします。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 環境影響評価は、事業計画の内容を決めるに当たり環境にどのような影響を及ぼすかについて、事業者みずからが住民などの意見を聞きながら調査、予測、評価を行い、その結果を踏まえてよりよい計画をつくり上げていく手続です。
 事業の実施については、事業者が、地元住民、行政機関からの意見などを踏まえて判断されるものと考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 お答えいただいたように、業者が行政や住民の意見を聞いて、それを参考にして進めるという場になっている、つまりいろいろな意見があったらそれでストップになるというシステムになっていない、こういうことがわかってきて、これは大変だと思っています。
 一方、その計画をストップできる仕組みは林地開発の許可を与えるかどうかで、地元同意が条件になっている、これだけが歯どめになっているわけです。
 そこで、この風力発電で森林がどう伐採されるのかという観点から、環境配慮書を読み直してみました。この計画は4500キロワットの風車が72基建設される。風車のローターという回転部分は直径130メートル、高さが150メートルという巨大なものです。これだけ巨大なものを山の尾根に建設しようとすれば、設置場所、運び込む大きな道路を含めて相当の森林を伐採しなくてはならないでしょう。しかし、どれだけ伐採するのかは示されていません。
 環境生活部長にお伺いしますが、森林伐採による環境影響は評価されるのでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 配慮書の手続は事業の規模や場所が定まっていない計画段階のものであるため、伐採の位置や面積などは示されておりません。今後の環境影響評価法の手続の中で、事業者に対し、森林の伐採による環境影響について適切な評価と適切な環境配慮を求めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 環境配慮書といいながら、今の段階ではどれだけの森林が伐採されるのかという一番心配な点は示されていない、それはおいおい示されていくという、こういうことになる内容です。しっかりと見守っていなくてはならないと思います。
 そして、環境アセスの次の段階は、方法書というものを示すことになる。これは、環境配慮書に対して出されてきた意見を踏まえて計画を具体化するものだと思います。そして、この段階で地域住民に説明しなければならないというふうになっています。
 方法書の説明会では、住民の皆さんからはたくさんの質問が出されるでしょう。この環境アセスメントを進めるのは業者が進めるわけですが、形式的な説明で手続は済んだというのでは困ると思います。住民の質問にはしっかりと答えてほしいと思うんですが、環境生活部長はどうお考えでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 先ほどもお答えしたように、環境影響評価は住民や行政機関の意見を聞きながらよりよい計画をつくり上げていく手続であることから、事業者には住民等の関係者に対し、丁寧かつ十分な説明を行うとともに、質問や疑問には真摯に対応する必要があるものと考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私は、風力発電というものの可能性を否定しませんが、風力発電の規模が1000キロワットを超したところから健康への被害の訴えが多くなり、その問題の解決の方向が出されていないことから、現段階では1000キロワットを超える風力発電の建設にはブレーキをかけるべきじゃないかと申し上げてきました。
 さらに、このたびの日本エネルギー株式会社というのは、資本金10万円の会社だそうです。びっくりしました。その親会社は、シンガポールに拠点を置くエクイスエナジーという外国の会社のようです。こういう会社に和歌山の自然を、山林を任せてしまってもいいのかという心配の声が広がっていることも申し上げ、今後の経過をしっかりと見ていきたいと思っています。
 それでは、次へ行かせてもらいます。
 いま1つの問題は、メガソーラー発電の問題です。特に最近の大雨被害を見るにつけても、治山治水の重要性を痛感いたします。そんなときに、川の上流の山を丸坊主にしてソーラーパネルを張りつけるメガソーラー計画が進んでいる。海南市重根で計画されている旭メガソーラーについて私たちは心配しています。地元自治会への説明が進んでいるわけですが、この説明の手法にはいろいろの疑問があります。
 1つは、近隣のメガソーラーの計画の場合、事前に森林開発の事前協議書を県に提出しています。私たちはこの協議書の情報公開請求によって、計画の全容と県がその計画についてどんな意見を付しているかを知り、業者がそれをどうクリアしているかをチェックすることができました。しかし、旭メガソーラーの場合、県とは事前協議せずに地元4自治会と区長のみを対象に説明会を行っています。したがって、日方川下流を含む海南市民は、計画の全容を直接知ることができません。説明会に参加した自治会の関係者から説明を聞くしかありません。
 ただ、海南市へ届け出があり、それは土地の売買についての届けですが、土地利用面積は18ヘクタールとなっている、このことはわかっているわけです。
 そこで質問ですが、今回のような大規模な開発で、事前協議をしないメガソーラー企業がこれまでにあったのでしょうか。また、事前協議がされるべきだと考えますが、農林水産部長、いかがでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 林地開発許可制度における事前協議ですが、開発に係る事務手続が適正に行われるよう、関係機関が所管する法令等を明確にする手段でございます。
 この事前協議は、原則として開発に係る森林面積が10ヘクタールを超える場合や、開発事業者からの申し入れがあった場合に行うものでございます。
 これまで10ヘクタールを超えるメガソーラー開発については全て事前協議がなされており、今回の森林開発区域が10ヘクタールを超える場合には、当然事業者から事前協議申出書が提出されるものと思われます。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 10ヘクタール以上の場合は、事業者から申請があれば事前協議をする。この場合は18ヘクタールですから、当然申請があれば事前協議をするということなんですが、ただ、それを出すのは事業者の側になってるんですね。この事業者は事前協議をしなくてもきちんとしたことができるんだろうか、こういうことにもなるんですが、しかし今まではそういう事業者はなかったということでございます。
 ところで、この業者は県河川課の指導を受けてやっていますと、繰り返し住民への説明の文書で述べています。しかし、河川課に問い合わせてみると、協議に来たことはないと言うではありませんか。河川課のほうでは業者に注意をしてくれたんでしょう、業者は地元説明会で、12月9日付で「まだ協議にまで至っておりません」と訂正とおわびの文書を出してきたようです。この事実と異なる説明をして、そして地元自治会役員を信用させるという手法は重大です。業者の信用性を疑わざるを得なくなってまいります。
 続いて行きますが、さらに問題があります。地元4自治会ではいろいろな意見があります。そこで業者は、多数決で区の意見を決めてもらって、区と水利組合の同意で進めたいという説明をした。業者が地元自治体に多数決で決めてほしいなどというのはとんでもない話です。重根区という区がありますが、これは4自治会だけでなく13の自治会の集まりで、そこには区長さんがいらっしゃいますが、多数決をとる性格ではありません。
 この企業は、いろいろなところで事業を展開しているプロです。一方、地元自治会の役員というのは、初めてこういう問題に直面する素人です。地元自治会をこんな論法で自分に都合のよいペースに巻き込もうとすることは、私が問題にしている企業倫理からいってもどうなのかと思います。この業者のやり方には、大きな不信を持たざるを得ません。
 そこで、農林水産部長にお伺いしますが、地元同意という場合、県として何をもって地元同意とお考えでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 林地開発許可制度における地元同意につきましては、森林法及び和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領に基づき、開発行為の区域内の権利者や開発行為に対する利害関係者の同意としております。
 開発行為に対する利害関係者の同意の範囲については、開発地に隣接または下流域の直近に位置し、開発の影響を受けるおそれのある単位自治会及び権利関係者と考えております。
 なお、その同意書には、自治会の総会などで関係者の合意形成を図った経緯が確認できる書類の添付を求めているところでございます。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 区長が判を押して地元合意にならないということは、はっきりしました。私はこの隣接する自治会、さらに日方川下流を含めて影響が大きい自治会を含めて同意が必要だと考えるということを申し上げておきたいと思います。
 この旭メガソーラーの開発場所というのは、藤白断層という活断層が走っている地域でもあります。林地開発の事前協議もし、県からもアドバイスして計画の全体像を海南市民に明らかにして進めるように指導をよろしくお願いして、次へ行きたいと思います。
 第3の柱は、核兵器禁止条約、被爆者署名についてであります。
 核兵器廃絶にかかわって質問をしたのは、昨年の6月、オバマ前アメリカ大統領が広島を訪問したことにかかわってのことでした。その後、大きな歴史的な動きがありました。1つは、国連で核兵器禁止条約が採択されたということ、もう1つは、そのことに大きく貢献したICANという国際NGOがノーベル平和賞を受賞したことでした。どちらでも日本の被爆者の訴えが大きな役割を果たしたと伝えられています。
 この10日に行われたノーベル平和賞授賞式には、カナダ在住の被爆者サーロー節子さんが登壇し、核兵器廃絶への訴えは大きな感動を呼んだと報道されています。
 今、北朝鮮の核開発が世界から大きな批判を浴びています。歴史に逆行するものとして厳しく批判されなくてはなりません。しかし、その批判を本当に迫力あるものにするためにも、核兵器禁止から廃絶への大きな流れをつくっていくことが必要だと思います。国民一人一人、一つ一つの自治体も核兵器廃絶という悲願に向けて、歴史の歯車を回さなくてはなりません。
 私の出身地海南市、そして紀美野町では、合併前の4つの自治体が非核宣言をしていたのですが、合併によって宣言が消えてしまっていました。これではいけないと、9月議会では紀美野町議会が新たに非核宣言を行い、決議し、12月議会には海南市議会でも非核宣言をという請願が超党派の議員さんの賛同を得ながら審議されています。それが採択されれば、県下30市町村中27市町村が非核宣言をしたことになります。県議会では既に非核宣言はなされています。和歌山県としてもしっかりとこの流れに加わっていただきたいと思います。
 そこで、知事にお伺いするんですが、まず核兵器禁止条約とICANのノーベル賞受賞ということについて、どんな思いを持っていらっしゃるでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 核兵器廃絶については、議員御指摘のとおり、平成10年6月、和歌山県議会において核兵器廃絶平和県宣言が議決されております。この宣言は、核兵器の廃絶と恒久平和の実現を心から希求する全ての県民の願いが込められたものであると認識しております。
 核兵器廃絶に向けた活動は、世界中で数多くの団体が取り組んでおり、今回ノーベル平和賞を受賞したICANの活動も、その中の1つであると理解しております。核軍縮・不拡散は日本人の願いであると思いますので、受賞は喜ばしいものだと思います。
 核兵器禁止条約については、被爆国である我が国の国民の願いであり、実現できればよいという気持ちを皆が持っていると思っております。日本人は、誰もその志に反対の人はいないんではないかと思います。私もそう思いまして、日本は賛成するものだと思いました。
 確かに、核兵器国も非核兵器国も、全ての国が批准をすれば核兵器のない世界に近づくはずであります。しかしながら、日本政府はこれに加わりませんでした。それはどうかなあと、正直言って私は思いました。
 でも、その後わかったことは、核保有国がみんな入らない、1国でも賛成しない国があると、現実には抑止力で平和が保たれている世界でありますから、なかなか実効が上がらない。ましてや、核保有国や、そのために躍起になっている国々に囲まれている日本では、日米安保条約による米国の抑止力に依存せざるを得ないというのが、好むと好まざるとにかかわらず現実であります。したがって日本政府は賛成できなかったんだろうなあというふうに推測をしております。
 日本国政府は、この条約に批准をせず、この条約に加盟しないで、核兵器国と非核兵器国との信頼関係の再構築を最優先とした現実的アプローチをとると表明をしております。この表明は抽象的なものにとどまっておるなあというふうには思いますけども、以上の現実のもとにある日本の国民としては、政府の立場を理解せざるを得ません。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 知事も、初めは核兵器禁止条約に日本も参加したらいいのになと思っていたけれども、日本政府は参加しなかった。しかし、その理由を聞いてみると、知事としてはわからないこともないという、こういうことのようでございました。
 それはそれとして、この2つの出来事でも被爆者が大きな役割を果たしたということを申し上げてきました。被爆者がその思いを託したのが、被爆者が呼びかけた核兵器廃絶署名、通称「被爆者署名」であります。議場にも資料としてお配りしております。
 知事も、この署名に協力して、広く呼びかけるために力を尽くしていただければ、私たちも大変大きな励みになると思うんですが、いかがでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘の核兵器廃絶国際署名は、核兵器禁止条約の締結への賛同を求めているものであります。それ以外のことも書いてありますが、そういうことを書いてございます。
 核兵器禁止条約については、先ほど答弁いたしましたとおり、理想としては全ての国で締結してほしいと考えておりますけども、現実においてはおよそそれは実現できないというふうに考えております。そう考えて、政府も条約に賛成できなかったものというふうに考えております。
 それに対する政府の苦しい立場を理解できる者としては、あるいはましてや知事として県民の名誉のために、言ったことはちゃんと結果を出すということを要求されているという知事の立場を考えますと、この条約に入れと言っているものに署名することは遠慮しておきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ちょっと知事は誤解しておられるんですよ。この署名用紙を皆さん見ていただきたい。「被爆者は、すみやかな核兵器廃絶を願い、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことをすべての国に求めます」という呼びかけ、そして「私は被爆者の訴えに賛同して署名します」と、こういうふうに言ってるわけですね。
 そしたら今、核兵器禁止の条約が国連で採択をされた。それに対して安倍内閣は、究極的には核兵器廃絶するのはいいことだけれども、しかし今、核保有国がこれに参加をしていない、その中で条約を結んで参加することは、核保有国と核非保有国の間を分断することになるから日本は参加をしないというふうな態度を表明したわけで、そのことに対しては被爆国である日本がそれでいいのかという国際的な批判があった、そして被爆者の方からは、長崎の原爆の日でしたけども、「あなたはどこの国の総理大臣ですか」というて詰め寄られた、こういう経過があることはお互いよく知っております。そのことは知事もよく知っておられるわけで。
 しかし、このことは今はこの署名をするかどうかは脇に置いておいていい話なんです、この議論は。この署名は核兵器を廃絶する条約を結ぶことを全ての国に求めますという署名であって、それをどういうふうに結ぶかというプロセスについて何も書いてない。つまり、核保有国が入らんでも先に条約をつくってまうべきだというふうに書いてるわけではないです。この条約をつくられる前から、全ての国に対して、核兵器保有禁止の廃絶の条約を結ぶことを全ての国に求めますという被爆者の声を署名したもので、ですから、それで今つくられたこの条約について、入るべきだ、入るべきでないということまで、この署名には書かれていません。そういう大きな流れをする署名なので、ですから奈良県、兵庫県、滋賀県、京都府の知事さんもみんな署名をしてくれてるわけです。そういうものだということを理解した上で署名をしていただけたらどうかと思うんですが、いかがでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 雑賀議員の文章解釈に文句をつけるつもりはないんでございますが、しかし、私の見解とは違うなあというふうに思うわけです。雑賀議員は、これは一般的に全ての締約国が核廃絶をすべきだと言ってるだけだとおっしゃいましたが、それでは国連で提案された条約は全ての締約国が入らなくてもいいという条約であったかというと、全部がそういうふうにしましょうというふうな提案であったわけです。したがって、同じものだと考えるのが私なんかの文章解釈ではないかというふうに申し上げておきたいと思います。
 最終的に核兵器禁止条約の締結をするかどうか、国の外交や安全保障にかかわる問題でありまして、国の専権事項であるわけで、地方自治の代表であります知事の署名を求める議員の考えに、余り私は合理性がないというふうに思います。無理に迫るというのは、知事を利用して政治を、政府を困らせようとする政治的意図があるのではないかという疑いを──疑いです──招くおそれがあると私は思います。
 核反対を唱えたり行動したりするということは意義のあることであるけれども、万人受けのする免罪符みたいなところがあるなあというような気もいたします。署名をする以上、身命を賭して実現に向けて行動しないといけないものではないかというふうに私は思っておりまして、先ほど申し上げましたとおり、この条約を日本政府が賛成をする、あるいは世界で実現できるというのは簡単ではないというものに署名をするのは、美しい概念に立っているといういわば免罪符を買っただけのような気がいたしまして、ほかの知事のことは一切コメントいたしませんが、私の流儀ではないというふうに考えます。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 署名というものは自発的な意思でやってもらうもんですから、この議場でこれ以上署名せなんだら辛抱ならんというふうなことは言う気はございません。ただ、今知事の答弁をお聞きしても、大変無理のある苦しい答弁をしておられるなあという感じは皆さん受けてるんだろうと──これは私が思うだけの話で、あれだったら別にいいんですが。
 しかし、やっぱり最初の第1問のときに言われたように、最初は核兵器禁止条約も参加してもいいんかなと思ったというふうな、そういうのが自然の心だと思います。
 やはり今、核兵器保有国が、そして日本も含めてこの条約に入っていないのは大変残念なことですけども、これを歴史を前へ進めて、全ての国が核兵器禁止条約に入り、この悪魔の兵器がこの世からなくなるように一歩一歩進める、この歴史的な時期ですから、お互いにそれぞれ力を合わせて前へ進んでいきたいなというふうに思っています。そういう気持ちを申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。

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