平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(菅原博之議員の質疑及び一般質問)


平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(菅原博之議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。


 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕(拍手)
○菅原博之君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、登壇させていただきます。しばし私が掲げる項目について、皆様とともに御検討いただきますようお願い申し上げます。
 さて、今回は震災対策についてと本県の振興について質問させていただきます。
 政府の調査によれば、南海トラフ地震の平均発生間隔は88年2カ月となっております。前回の発生から72年経過しておりますので、いつ起こっても不思議ではない段階に入っている一方で、震災対応につきましては過去議会でも数々の質問をされているところでありますが、このたび、中央防災会議の「東海・東南海地震の余地は不可能」という新方針を受け、本日は、過去に日本で起きた大震災の経験にも照らし、予想される南海・東海・東南海3連動地震、南海トラフ大地震の際の対応を考えてみたいと思います。
 まず、過去の大震災に際しては、多数の本県職員の皆さんが応援に駆けつけられ、大変御苦労いただくとともに、現地でもその活動が感謝されたとお聞きしております。また、その活動経験は、とりもなおさず本県で万一の際にはぜひ役立つとの気構えで現地に入られたと存じます。
 そこで、その経験も踏まえ、過去の大震災についての教訓と思うところを危機管理監にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの菅原博之君の質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 東日本大震災では、地震・津波により多くのとうとい命が失われました。そのため、県では、震災発生後直ちに防災・減災対策の総点検を実施し、津波による犠牲者ゼロを目指し、高台への避難路の整備等の促進を初め、緊急避難先の見直しと安全レベルの設定や「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」を策定し、津波避難困難地域を抽出するとともに、その解消のための対策を推進しているところでございます。
 また、国立研究開発法人海洋研究開発機構が紀伊半島沖の海底に設置した地震・津波観測監視システム「DONET」の観測情報をもとにした津波情報の提供を行うなど、防災情報伝達の多重化を進めております。さらに、速やかに国等からの救援物資を受け入れ、被災市町村へ迅速に供給するなどの応急対策を効率的、効果的に実施するため、県内4カ所の広域防災拠点を中心とする受援体制や運営方法等を定めた和歌山県広域受援計画を作成しております。
 昨年発生した熊本地震では、車中泊を原因としたエコノミークラス症候群を発症する被災者が多く見られたことを踏まえ、市町村避難所運営マニュアルモデルにその対策を加えるとともに、避難所のプライバシー確保など環境改善の取り組みを促進するため、わかやま防災力パワーアップ補助金による市町村への支援の充実を図りました。
 県といたしましては、大規模災害から得られた教訓等を踏まえ、引き続き防災・減災対策に積極的に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 次に、今回、先ほども述べましたけども、中央防災会議において地震予知に関する注意情報を取りやめ、新たな事前情報を発表するとの報道がございました。その中身と、県民が注意すべき点についてお伺いしたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 気象庁では、中央防災会議に設置された南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応検討ワーキンググループによる「現在の科学的知見からは確度の高い地震の予測は難しく、現行の地震の予知を前提とする地震防災応急対策は改める必要がある」との報告を受け、11月1日から新たに議員御指摘の「南海トラフ地震に関連する情報(臨時)」の運用を始めております。
 その内容としては、第1に、南海トラフ沿いでマグニチュード7以上の地震が発生したなどの異常な現象が観測され、その現象が大規模な地震と関連するかどうかの調査を開始したという情報、第2に、観測された異常な現象を調査した結果、大規模な地震発生の可能性が平常時と比べ相対的に高まったという情報、第3に、大規模な地震発生の可能性が相対的に高まった状態ではなくなったという3つの情報となっています。
 県では、これらの臨時情報が発表された場合には、県総合防災情報システムを通じて即時に市町村に配信を行い、広く住民に伝達するとともに、県ホームページ「防災わかやま」等により周知を行います。
 また、南海トラフ沿いの大規模な地震発生の可能性が平常時と比べ相対的に高まったとの臨時情報が発表された場合の防災対応等については、今後、国からガイドラインとして示される予定であり、それまでの間、国は被害が想定される地域の住民に対して、家具の固定、避難場所・避難経路の確認、家族との安否確認手段の取り決め、家庭による備蓄の確認等について呼びかけを行うことになっております。
 県といたしましては、これらに加え、津波避難困難地域の住民や津波浸水想定区域内に居住する高齢者等の避難行動要支援者のための避難所の開設を市町村に要請するとともに、それらの方々に自主避難を呼びかけるなど、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 私は、このお話を聞きましたとき、まず一般的にこの情報がどう受けとめられるのかと思いめぐらせておりました。端的に申しまして、身に危険が差し迫っているということではなく、しかし、今までより危険に近づいているといった受けとめで、まずしなければならないことは身の回りの点検であります。
 御答弁のとおり、家具の固定の確認や防災グッズの確認、そして備蓄するべき食料、水はそろっているのかという確認であります。しかし、この備蓄すべき食料や水、薬といったものは、回転備蓄がまずどこの家庭でもとられている方法だと思います。つまり、賞味期限が近づく前に日常で消費し、買いかえていくものだと思いますが、その確認をする際、消費して買い忘れがないか、もっと言えば、この際もう少し備蓄を確保しておこうかという心理が起こるのが普通の考えではないでしょうか。この事前情報は、そういう方向にも働くと思うわけであります。
 そこで、事前情報の際に流通業へ備蓄需要への対策要請などが必要になってくるのではないかという疑問が湧いているのですが、危機管理監の御答弁をお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 南海トラフ沿いの大規模な地震発生の可能性が、平常時と比べて相対的に高まったとの臨時情報が発表された際の具体的な防災対応につきましては、現在、国においてガイドラインの作成に向け、静岡県等3地域をモデル地区として検討が行われております。
 議員御指摘の水や食料等の備蓄に係る物流対策などにつきましても、地域に混乱が生じないよう検討が進められるものと考えており、今後、国からガイドラインが示された段階で適切に対応してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 さて、次は発災後の対応についてお伺いいたします。
 これは、まず何をおいても県民の命を守るという対応が第一であることは議論の余地はありません。その上で、避難された方や被災地にそのまま暮らしていく方たちの現実もまた厳しいものであると認識しなければなりません。ある方は御家族を亡くした悲しみを背負いながら、またある方は乳飲み子を抱えて途方に暮れる方もおられるでしょう。また、ある方は年老いた親を介護しながら、水道も電気も途絶えた瓦れきの中でその日から生命を、命をともしていかなければなりません。
 生活のなりわいを立てる上で、とりわけ電気、水道などのライフラインの復旧は、残された人々にとって勇気を与え、前に進む力を与えてくれるとうとい作業となります。
 危機管理監に、ライフラインの復旧の観点から、発災後の対応についてお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 東日本大震災などの大災害を踏まえ、電気、ガス、通信等の事業者は、災害対策基本法第6条に基づき、南海トラフ地震等の災害対応を想定した防災業務計画を作成し、あらかじめ防災体制や災害応急対策に関する事項を定めております。また、これらライフライン事業者は、重要施設の耐震化や浸水想定地域内にある設備のかさ上げ、重要な送電や通信ルートの複線化などの対策にも力を入れております。
 さらに、情報収集のための衛星通信装置の整備や被災箇所の早期把握のためのシステム構築を行うとともに、自衛隊等外部機関との応援協定を進めるなど、迅速に災害復旧に当たることとしております。
 また、本県では、災害対策本部を設置する際、自衛隊を初めとする政府関係機関のみならず、電気や通信等のライフライン事業者にも参加要請を行い、これらの機関と緊密に連携、協力し、オール和歌山の体制で一刻も早い災害からの復旧に取り組むこととしております。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 電気については、東日本大震災、熊本大地震もおおむね1週間で復旧されているわけでありますが、水道はなかなか難しいと思っております。
 ここに、東日本大震災の際の資料がございます。恐らく津波の被害も重なるわけでありますから、水道復旧に関して教訓とすべきは6年前の東日本大震災だと思います。皆さんのお手元に配付をお願いしておりますので、ごらんいただきたいと思います。
 これは、厚生労働省健康局水道課がまとめましたもので、膨大なものですので要点を抜粋させていただきました。
 また、アンダーライン部分は、こちらで私がアンダーラインを引いたものでございます。中を読み上げてまいります、重要な部分だけ読み上げさしていただきます。
 まず、全般的な反省と教訓ということで、最初のページの一番下になりますが、個別の被災水道事業者から見れば以下のように整理することができるということになりまして、「周辺が同様の被災状況にあり、地域的な相互応援が実行不能な状況であったこと。 広域的な被害のため、電力・燃料・資材、応援人員等を被災地域周辺だけで解決できなかったこと、また、全国的にも不足したこと」となっております。
 次のページ、「被害が拡大・長期化した水道事業者の多くは、『水源の確保』の段階で課題を抱えたところである」、次のページ、5の3に行きます。中ほどに「給水拠点の数、その運用方法などの計画は必須である。渋滞、住民要望等による遅滞、水量拡大なども想定しておくことが重要である」、住民の要望によって柔軟に変更する必要があるということを述べております。
 また、中ほどで「被害状況や復旧計画等に関する広報計画を明確に位置づけ、利用者等に対する情報提供手段を確保する」、「地域的な公平性は図り難い。全体方針、計画を明確にすることや、区域ごとの復旧の見通しをできるだけ早めに示すことにより、苦情対応を軽減することも可能」。応急の応援の受け入れ体制の確保については、「活動拠点や図面等の情報確保は非常に重要である」、「被災事業者側は、必要以上に現場に関与せず、全体管理や応援事業者の相談対応に注力すべきである」。
 また、次のページになりますが、「水道事業の現状を考えれば、単一事業者での対応には限界があり、地震対応の計画・教育・訓練について地域的・広域的な対応を進めるべきである」、「事業運営方式の共通化などから事業間連携を図り、更には、危機管理体制確保の観点からも水道広域化を検討すべきである」、「通常、水道行政が含まれる衛生行政部局は水道行政以外にも重要案件を抱えることが多く」、「場合によっては近隣都道府県の水道事業も含め、人員融通等により緊急時対応の体制を確保すべきである」。
 次、もう1枚めくっていただいて、3の10のページになりますが、これが3つとも東北、東日本大震災の際の通信状況をあらわした地図であります。その中で、3つの地図ともこの赤い部分が、地震発生から数日間、通信障害が生じた部分であります。固定電話、携帯電話、電子メールというふうに3つとも非常に赤い部分が多く、通信障害が発生したと、しかも数日間発生したということになっております。
 さらにページを進んでいただいて3の13ですが、応援要請を行った主体は、被災水道事業者は実施が58%、他に依頼して実施は42%となっております。これは、被災したそれぞれの自治体あるいは広域の事業者が自分で応援要請をできたのは58%にすぎない、県が肩がわりした、自衛隊が肩がわりした、いろんなパターンがありますが、人に頼んで、他者に頼んで応援要請していただいたということが42%もあるということを示しております。
 また、隣のページに、右側になりますが、「紙ベース保管図の不足」、「津波や地震によるシステムや紙ベース図等の流失・破損等の被害が生じている」と、応援したくても詳細がわからないという状態が起こったということでございます。応援に入った者が詳細をわかるように、紙ベースの図面の詳細図が必要だということをここでは書いております。
 次のページ、3の19でありますが、物資の不足状況で、この図はガソリン、車両のガソリンが不足した、また応援の方々の食料が不足したということを書いております。
 右が3の20の図、浄水処理の薬品も不足しております。これは、浄水処理の薬品というのは日もちもしないものだと聞いておりますので、なかなか備蓄は難しいんでしょうけども、福島県会津若松地方広域市町村では浄水処理の停止になってしまったと、またほかの部署でも浄水の薬品を薄めて使うという事態になったということを書いております。
 次のページ、3の29でございますが、ここは応急給水計画の策定や応急給水の実施、応急復旧計画の策定、指揮命令・応援要請等の情報連絡、これは防災訓練として最も重要な課題だということで挙げられております。
 隣の3の31ですが、応急の給水活動について、「6割程度の事業者は重要施設への給水量が一部あるいはかなり不足した」、「震災初期では給水車等の不足により、重要施設への給水量が不足していたことが伺える」となっております。
 また、次の3の35ですが、特に不足しているリソースとしては、通水及び漏水調査人員、修理人員であり、次いで、応急復旧の計画作成人員、管材となっております。
 お隣、3の36、今後の応急対策の方向性を事業者に確認した結果、これはアンケート調査ですが、危機管理マニュアルの充実、防災訓練の強化というのが非常に多く挙げられた。
 隣のページ、3の37ですが、断水期間とその要因について触れられております。「『水道の耐震化計画等策定指針 平成20年3月 厚生労働省健康局水道課』に示される応急復旧期間の目標は、水道事業は可能な限り最長4週間以内、水道用水供給事業は同1週間以内となっている」。これに対し、この目標期間を超過し、水道事業は10日から6カ月かかった、水道用水供給事業は20日から39日間かかったとなっております。
 その下のほうですが、「他の系列からのバックアップを行うことができた野田村、仙台市では、断水期間は供給停止期間よりも短くなっており、バックアップの効果が十分あったといえる」となっております。
 また、「管路復旧の人員確保が少ない事業者は、一部を除き、断水が概ね解消する期間は2~3か月と長くなっている」ということになっております。
 また、当然一般の民間の水道事業者さんに応援を求めるわけでありますが、本当に広域な災害となりますので、日本水道協会さんに応援を求めたという初動体制の説明が次のページに書いております。
 初動体制、「具体的な応援先が決まらない状況で東北地方に向けて順次出発」、「移動過程において応援先を伝達することとした」。しかし、次の下のほうですが、「被災が広域にわたるとともに、甚大な被害によって通信の遮断等が生じ、被災状況の詳細が分からない状況であったため」、「東北地方支部長の仙台市に集まる形となった」。一旦出発したんですが、対応が、被害状況がわからないので、仙台市にみんな集まったということです。水道協会さんの各県ごとの支部が出動していただいたんですけども、この仙台市、この場において各県ごとの応援地方支部を割り当てることが合意されたと。一度集まって相談の上、割り当てたと。当然、時間がかかってしまったということを言っております。
 次のページ、1の6でありますが、断水の推移。「1週間で57%が復旧。3月末(約3週間)で90%が復旧。復旧困難地域(津波被災地)を除き、最長断水期間は7ヶ月」となっております。これは、津波の被災地を除いてであります。津波の被災地を除いて7カ月かかってしまったというところが出ています。
 3月11日の本震のほか、余震の被害もかなり影響を受けたということを次に書いております。その1の6の下のほうでありますが、断水戸数の推移を見ると、1万戸に減少したのは6月末、復旧がほぼ完了したのは9月末となっており、応急復旧期間が著しく長期化しているという報告であります。
 この次のページの1の10からの日本地図をごらんいただきますと、一番最初が3月11日の地震発生当時であります。この赤い部分が断水中の部分であり、青い部分が断水が回復したという部分であります。しかしながら、このグレーの部分、非常に多くありますが、これは不明という部分であります。したがって、不明の部分が非常に多いということが言えると思います。
 この3月11日の発生地点を見ていただいた上で、次のページの3月31日の部分の地図を見ていただきますと、かなり青い部分、回復したという部分がふえておりますが、やはり海沿いで断水中の部分が多い。結果、この3月31日でかなり一度回復しているんですけども、その下の4月8日の地図を見ますと、また赤い部分がふえている。これは余震による影響です。4月の初めに余震が起こったことによって、またかなり断水部分が非常にふえてしまっているという状況が言える。
 結果、3カ月近い6月28日、このお隣の地図でありますが、6月28日で断水地域が1万戸を割ったと、ようやく1万戸を割ったということになっております。ただし、これは福島県の原発の事故の部分もありますけども、これは地震発生地域ということで、この集計には津波の被災地域をこれは含んでおりませんので、かなり津波以外で、また福島県の原発以外の部分でもまだこの段階で断水の地域があるということがうかがえるわけであります。
 というわけで、水道復旧の難しさを述べてまいりましたが、私はこの対応を誤れば本県にとって著しい悪影響を及ぼすのではないかと心配しております。新政策でも、緊急遮断弁の設置に対して県が市町村を支援することが打ち出されておりますし、順次対応されてきていると思うわけでありますが、復旧がおくれればおくれるほど被災者は離散し、人口が震災前に比べ大幅に減ってしまうという市町村もあるのではないかと心配しますので、商店、工場の再開にとっても一刻も早く水道の復旧が望まれるところであります。本県の対応について、環境生活部長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 南海トラフ地震等の大規模災害時の水道の早期復旧に向けた県の取り組みについてお答えを申し上げます。
 県が策定した地震被害想定調査では、水道施設の被害は広域に及び、ほぼ全ての県民が断水に見舞われることが想定されています。
 こうした事態に対応するため、県は市町村からの被害の状況や必要とする給水車を含めた資機材などの情報を早急に把握し、日本水道協会や管工事業協同組合連合会と連携の上、他府県の自治体からの応援を得て資機材や人員を確保し、復旧作業に取り組むこととしております。
 また、道路が寸断され、現場に行くことが困難な被災地域へは、自衛隊に応援を要請し、一刻も早い復旧に努めてまいります。
 また、応急復旧するまでの間、給水車で給水を行う必要がございますが、その水の確保につきましては、現在、耐震性があり緊急遮断弁が設置されている配水池の貯水量が全県民の6日分に当たる8万立方メートルであることから、これを10日分の約13万立方メートルにふやすことを目標に、本年度から市町村に対し、緊急遮断弁設置に補助を行っております。これにより必要な水が確保できると考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 特に初期対応は、担当課だけでしょい切れるものではないと思いますので、どうか皆さん、県を挙げての英知を結集した御対応をお願いしたいと思います。
 さて、本県の推計人口が94万人台に落ち込んだという集計が発表されました。いよいよ本格的な人口減少社会に踏み込んだ感がいたします。長期計画で取り組まれた種々の政策の効果が一刻も早く出てくるよう期待したいと思いますが、この事態は今後、とりわけ農業に大きな負荷をかけるのではないかと心配しております。農業自体の高齢化も進み、その上、顧客として頼む消費人口も減っていってしまうわけであります。私は過去、本県南部の林業や水産業にスポットを当て、当局に質問してまいりましたが、今回は大都市大阪に隣接する紀北地区の野菜や果樹農家に対する農業振興策についてお尋ねしたいと思います。
 まず、以前、県議会で輸出振興策の一環として柿輸出の際の輸送途上での軟化防止技術についてお尋ねしておりますが、その際、さらに新技術を開発中とお聞きいたしました。今回、アメリカへの柿輸出が始まりますが、海上輸送時に軟化をおくらせる技術の対策は進んでいるのか、農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 柿の軟化抑制技術につきましては、これまで果樹試験場かき・もも研究所にて開発に取り組み、収穫後の乾燥が果実の軟化を促進することを明らかにし、乾燥をおくらせる輸送用段ボール箱を開発いたしました。その研究成果は、香港等への輸送技術として現在も活用されております。
 この成果に加え、平成28年度からは、より効果の高い技術を目指して大学等と果実の輸出促進に関する共同研究に着手し、輸送技術の開発に取り組んでいるところです。これまでの成果として、低温保存と鮮度保持剤とを組み合わせることで、従来の方法よりも貯蔵性が高まることが明らかになりました。
 今回のアメリカの輸出におきましては、富有柿でこれまでの成果を実際の輸出で検証するとともに、研究期間の最終年度である平成30年度には、東南アジアへの輸出において、より軟化しやすい中谷早生などの極わせ柿で同様の検証を行い、輸送技術として確立する予定にしております。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 続いて、紀北地方の農家の期待も大変高い野菜について、生産面や大都市への販売拡大について、同じくお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 和歌山市や紀の川流域では、白菜、大根、キャベツ、新ショウガ、イチゴなど多様な野菜が栽培されており、人口の多い京阪神地域に隣接した当地域は、鮮度の高い野菜を供給できる有利な立地条件にあります。
 こうしたことから、県では、野菜産地の拡大を図るため、パイプハウスや予冷庫の整備に加え、循環送風機などの省エネ機器や収穫機、定植機などの導入に支援しており、農家の皆さんに十分活用していただいてるところであります。
 販売促進につきましては、本年は7月と10月にJAグループと連携してJR大阪駅でイベントを行い、多くの消費者に県産野菜をPRし、好評を得ました。また、野菜流通の中心である市場関係者には常に情報交換を行い、販売促進につなげているところであります。
 今後も、補助事業を活用した生産対策に加え、JAグループや生産組合と連携し、都市部での販売促進に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 続きまして、先ほど新技術もお聞きいたしましたが、果樹の生産対策と輸出の取り組みについてお聞きしたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 和歌山市や紀の川流域では、生産量日本一の柿や西日本一の桃を初め、ミカンやイチジク、ブドウなどさまざまな品目が栽培されております。
 県では、園内道や防風ネットの整備に加え、新品目の導入や優良品種への改植等に支援するとともに、光センサー選果機を活用したミカン厳選出荷にJAグループと連携して取り組んでいるところであります。
 また、果実の輸出につきましては、これまで東南アジアを中心に現地プロモーション活動に取り組んできた結果、ミカン、桃、柿など果実が高級量販店で販売され、輸出額も徐々にふえてきているところであります。
 特に、柿については平成25年度からアメリカ市場へ柿輸出解禁に係る植物検疫条件の早期合意について、日本政府に要望を続けてまいりました。その結果、本年10月12日、輸出が解禁され、全国に先駆け、本県産柿をアメリカに輸出することになりました。
 今後も、JAグループ等と連携し、生産対策はもとより、国内外に向けた販路開拓、販売促進に取り組み、本県農業の基幹品目である果樹の振興を図ってまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 恐らく、紀北地方の農業というのは野菜と果樹というのが大きな柱だと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 また、農業にかかわらず、国に対して大事なことを要望するというのは非常に大事なことだと思いますので、和歌山県はどうしたいんだというビジョンを持って要望していくということは、私は非常に重要だと思っています。よろしくお願いしたいと思います。
 さて、人口減少という観点からさらに進めたいと思います。
 本県では、移住の促進も大きな柱として取り組んでいただいておりますが、人口減少の痛みを多少カバーする方法もあるわけであります。それは、他県からの訪問者をふやす、交流人口をふやすということでありますが、まず観光が挙げられますが、ビジネスでの出張も観光として数字上は上がってまいります。
 そんな中で、まちを活気あるものにするとすれば、やはり若い人口が交流人口としてプラスされると、従来の観光、ビジネスに上乗せの形でまちおこしとして効果が期待されます。
 その呼び込みのきっかけとして考慮すべきことで、アニメやゲームソフトを好む若い層の間で「聖地」と呼ばれる現象が起こっております。アニメやゲームの登場人物の活動地や出身地の設定に本県が利用されている場合や、県内の風景がアニメやゲームで取り上げられ、その風景の場所が聖地化するといった現象であります。
 和歌山市以外にも、例えば日高郡の美浜町など、いずれも一見どこか場所は明示せずアニメやゲームに使用されていることが多く、熱心なファンにとって、その場所を見つけ、そこで写真を撮り、SNSにアップをするなどでブームになるなど、観光の素材としてやまちおこしの素材として可能性を秘めております。
 そこで、それらの県内素材の利用について、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 若年層の誘客について、県及び県観光連盟では、8年前から高い情報発信力と旅の決定権をあわせ持つ女性を中心とした若者をメーンターゲットに、女子に響くキーワードや表現方法により、SNSや女性向けの雑誌、テレビなどのメディアを活用した施策を展開してまいりました。その結果、世界遺産地域を中心に若い女性客が増加するなど、戦略的な情報発信により実際に誘客に結びつくことができたと考えております。
 県及び県観光連盟では、こういった考え方のもと、アニメやアイドル、コスプレといったサブカルチャーに関心が高い若年層に対しては、例えば人気漫画「溺れるナイフ」や「鋼の錬金術師」等の映画実写化、アニメ専門誌への聖地めぐり記事掲載、人気アイドルグループのプロモーションビデオ撮影、若者に人気のアニメ等のカルチャーコンテンツを集めたイベント開催など、フィルムコミッション活動でも積極的に取り組んでおります。
 また、昨年には、大河ドラマ「真田丸」に合わせて、若年層にも本県の歴史に興味を持ってもらおうと、ゲーム会社と連携した「戦国BASARA」キャンペーンを実施し、7500人以上の方が参加をいただきました。
 今後とも、女性を中心とする若年層の嗜好の変化や動向を注視し、ターゲット層のニーズに合わせた施策を実施することにより、積極的な誘客に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 次に要望ですが、将来、そういう作品そのものではなく、素材感を生かして何か企画しようという向きが出てきたときは、多分タイミングが非常に重要な要素になると思いますので、できる限り早い意思決定で、目立たない県当局のフォローや支援をお考えいただきますよう要望させていただいて、私の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、菅原博之君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時43分休憩
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