平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


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  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第168号から議案第194号まで、並びに知事専決処分報告報第6号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 42番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 1つ目に、台風21号による水害についてであります。
 去る10月の22日、強い雨の中、午後3時過ぎに投票所がある小学校に行きますと、グラウンドは水たまり状態、足場も悪くなって本来の投票所である体育館が使用できず、手前の教室が投票所となっていました。投票を終え、午後4時前、地元の崖崩れ箇所と2009年11月11日に1時間約120ミリの豪雨で床上・下浸水に遭った地区をチェックの後、和田川右岸道路を走ると、ところどころ冠水状態。和田川の水位も高くなり、貴志川線のよく冠水する線路も水がたまってきていて、交通センター入り口の県道和歌山橋本線は冠水状態で、わらが大量にぷかぷか浮いていますし、県道沖野々森小手穂線もところどころ冠水。
 安原小学校前も用水路から水があふれ、水路の中へ落ちて横転している車も見られ、山のほうからどどっと流れてきて、冬野の県道も冠水になっているところだらけ。智辯学園から亀の川沿いを走ると、ふだんは川の中に群生する背の高い雑草も見えないくらい増水。
 県道和歌山海南線に入ると、内原では県道も全面通行どめ、浜宮小学校前も全面通行どめ、国道42号線に抜けられない状況。これは家にも帰れなくなると、山東地区にも回れずに、川の中のようになった道を用心しながら戻った次第でした。
 翌日、田井ノ瀬橋の下のグラウンドへ行くと、ネットは全て倒され、砂が流入してグラウンド内は段々畑状態。せせらぎ公園は瓦れき、木の枝、ペットボトルがぎゅうぎゅうに押し寄せてきて、関戸の避難路では土砂が流出。
 そうこうしているうちに、紀伊地区の方からも水害の連絡をいただきました。鴨居川団地の南側で水路沿いの盛り土の一部が切れて床上・下浸水、西田井地区では10月23日夜2時半ごろ、救命ボートが出る状態、防犯カメラにベッドが流れているのが映っていたそうです。スーパーも棚下部の商品が水浸しの大損害、被害は北地区に大きく及び、また、西永穂でも水が押し寄せています。西田井地区から北地区にかけて、輪中堤と呼ばれる盛り土が随分以前から半円状に築かれていたと伺っておりますが、その一部が破損して水が流入したとも聞きました。
 衆議院議員総選挙公示後からの秋の長雨、それに台風21号とずっと雨にたたられ、台風22号にも追い打ちをかけられました。ほかに周辺地域も大きなダメージをこうむっています。明らかに豪雨災害の頻度は高くなっています。
 そこで質問ですが、1つ目、和歌山市内でも台風・豪雨によってたびたび水害が起こりますが、県は今回の台風21号による紀の川沿川の浸水被害の原因をどのように把握されていますか。重複もあろうと思いますが、県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 紀の川沿川の浸水被害の原因についてお尋ねを頂戴いたしました。
 本年10月の台風21号による豪雨により、紀の川沿川地域においては、和歌山市北地区を初め、多くの地区で浸水被害が発生をいたしました。
 これらの浸水被害については、紀の川本川の水位が長時間にわたり高い状態が継続する中、和歌山市の六十谷雨量観測所では日雨量238ミリを記録するなど、沿川地域において大雨となり、内水の排水が困難となったことが主な原因と考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 地域住民も、今回の被害を含め、今後また台風豪雨の際に繰り返し起きるかもしれない浸水被害について不安を抱いておられます。このたびの水害の原因と今後の対策について、市当局とともに、いち早く住民の皆様への御説明をお願いします。
 2点目に、昨年度より5年間をかける紀の川岩出狭窄部対策事業が行われています。この事業で、紀の川下流の和歌山市方面への水量がおのずと増大することになることが懸念されます。となると、紀の川水面下の河床の掘削、特に川辺橋から紀の川大堰までの掘削も必要になってくるのではないかと思いますが、県土整備部長、いかがですか。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 紀の川の岩出狭窄部対策事業に伴う掘削の必要性について御質問を頂戴いたしました。
 岩出狭窄部対策を初めとする紀の川本川の河川整備につきましては、平成24年に国において策定された河川整備計画に基づき進められてございます。
 議員御指摘の岩出狭窄部より下流の区間については、河川整備計画に位置づけられた整備が全て完了した状態を前提として、整備目標である戦後最大規模の出水を安全に流下させる河川断面が確保されているため、岩出狭窄部対策に伴う新たな掘削等を行うことは考えてございません。
 今後については、堆積土砂等により円滑な流下が阻害されることのないよう、河道の円滑な維持管理について国に働きかけてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 新たな掘削を行うことはないと断言されましたが、自然の猛威は決して割り切れるものではないと思います。
 今回は、紀の川本川の水位が長時間高かったということであり、国の水位調整も各流域のバランスを考えると難しかったのかもしれませんが、本川の水位調整についてはさらなる改善を県から国へ要望いただきたいと思います。
 2点目に、今般の被災住民の中には、七瀬川の異常な増水の原因を京奈和自動車道ができたからと言われる方も少なくありません。京奈和自動車道と七瀬川の流水量との関係性及び七瀬川の現在の改修状況と今後の事業計画について、県土整備部長にお尋ねします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 七瀬川の増水と京奈和自動車道の関係性、そして七瀬川の改修状況と事業計画について御質問を頂戴いたしました。
 県では、一定規模以上の開発行為を行う者に対しては、森林法に基づく林地開発許可制度等の手続において、開発に伴う水害発生を防止するよう、調整池の設置などを指導してございます。
 京奈和自動車道紀北西道路については、その整備に係る改変面積のうち、地域森林計画の対象となっている民有林の面積が1ヘクタールを超えたため、県で定める林地開発許可制度事務取扱要領に基づき、関係機関による連絡調整を行ってございます。具体的には、事業者である国から開発に係る協議を受け、開発前に比べて下流河川への流出を増加させないよう調整した結果、県で定める技術基準に基づく調整池が設置されてございます。
 なお、台風21号に伴う降雨については、近隣の雨量観測所のデータでは調整池の規模を決定している計画降雨を下回っていたことを確認しており、京奈和自動車道紀北西道路の整備と七瀬川の水位との関係性があるとは考えてございません。
 次に、七瀬川の改修状況と今後の事業計画についてですが、現在、紀の川合流点から500メートル区間の工事が完成し、その上流から鴨居川合流点までの1100メートル区間の用地取得が完了してございます。今年度中に国道24号までの完成を目指しますとともに、鴨居川合流点までについても順次工事を進めてまいりたいと考えてございます。また、上流部の鴨居川合流点から七瀬川橋までの約1100メートル区間についても、既に約60%の用地を取得済みであり、一部工事に着手してございます。
 今後とも、さまざまな機会を通じて予算の確保に努め、整備を進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 七瀬川の上流部区間は、特に天井川で水かさが急激にふえて越水しやすい、過去にも大浸水したところです。七瀬川は地形からして、読んで名のごとく、恐らくもともと7つの瀬から水が集まって流れてきた川なのだろうと思います。すなわち、降雨時には一度に水が集まってくる川だということでしょう。この区間もどうか一刻も早く用地交渉と工事をお進め願います。
 4点目に、紀の川本流が決壊しない限り、内水は本流へはかせていかざるを得ないと思います。そのためには、七瀬川、和田川、亀の川といった中小河川は、拡幅、河床掘削、また堤防のかさ上げだけでなく、移動ポンプも数に限りがありますから、やはり紀の川との合流地点への大水量をはかせることのできる排水ポンプの設置が必要と思われます。七瀬川との合流地点である鴨居樋門付近へのポンプ場の設置は、七瀬川水域の地域住民の皆様がひとしく熱望するところです。国とも御協議の上、どうか重要検討課題として引き続き要望させていただきます。
 2点目に行きます。クルーズ観光についてであります。
 2016年に日本への外国人旅行者は2400万人を突破し、世界15位クラスに上昇、本年も9月末現在で累計値が前年同期比17.9%増の2119万6350人となっております。この訪日外国人客の伸びを支える1つの旅行形態がクルーズ観光です。
 2009年から2015年の間で、クルーズ船による外国人観光客は6.5倍の150万人に達しました。一方で、寄港回数では2倍強の伸びですから、1回当たりの乗船人員が増加し、クルーズ船が大型化していることが推察できます。
 国交省の調査によると、2016年の日本人のクルーズ人口は5年連続の20万人台となる24.8万人となり、過去最多になりましたし、我が国の港湾へのクルーズ船の寄港回数は、中国からのクルーズ船の寄港増等により大幅に増加し2017回に、訪日クルーズ旅客数は199.2万人となり、こちらも過去最高となりました。訪日外国人観光客の筆頭は中国で、その中でも近年、大型クルーズ船による中国人観光客の訪日旅行が注目されています。
 株式会社JTB総合研究所の2016年アンケート調査によると、日本へ訪れた経験者の46.0%が訪日クルーズ経験があるという高い結果が出ています。低料金が魅力で、感想として「日本国内を短時間で効率よく観光ができた」34.2%、「船内で開かれた即売会での買い物を楽しめた」31.8%、「食事・宿泊などが全て含まれていて安心」30.7%、「1回の旅行で国内の都市、日本、韓国や台湾など複数の旅行地を回ることができお得」28.2%などが高いです。
 また、日本でしたいことのうち、日本人との交流については、「日本人の日常生活に触れたい」43.2%が最も高く、日本への訪日回数がふえるにつけて増加するという結果が注目されます。
 そもそも、中国人の日本への旅行志向は、「買い物」や「自然風景を見る」が強く、効率的に回れるクルーズが人気の背景ですが、それは決して一部の階層とか低料金だからではなく、経験を積むほど日本の生活に触れたがっているということが分析としてあらわれてきています。
 JTB総研によると、渋谷ハチ公前のスクランブル交差点、各自治体が独自にデザインしたマンホールぶた、あるいは各地にある手づくりの衣装を着せられたお地蔵様といった、何げない日本人の生活の中にある価値や魅力、すなわち生活文化資源が新鮮ですばらしいと感じ始めています。我々日本人には当たり前であるために気がつかないことは多いですが、特に和歌山県人も和歌山県の魅力に気づいていないことが少なくないと思います。県内のありふれた身の回りに和歌山県ならではの感動や関心があるというところから見直し、再点検をしてみることが必要であります。
 ところで、隣国韓国においても、2016年に韓国を訪れたクルーズ旅客が約195万人と、対前年比で約2.2倍と大きく伸びています。もっとも、2015年は韓国でMERSが流行してクルーズ需要も落ち込みました。約195万人のうち圧倒的多数の92.2%が中国人であり、そのほとんどが中国旅行者によるチャータークルーズを利用しています。ちなみに、日本は最多の中国人が82.9%です。
 韓国では、幾つか課題も出てきています。1つは、中国旅行者によるチャータークルーズのため、観光等がセットになった団体旅行なので、ほとんどが観光バスで移動するため、一定の観光地や免税店に集中し、観光バスが道路渋滞の原因となっています。また、2つ目に、寄港時間が約6時間程度のため、観光は、港湾所在地内の免税店や、無料もしくは安価な近くの観光地を回る寄港地観光が主流で、旅客数の割にお金が落ちないという現象が起きています。3つ目に、クルーズ旅客の購買機会のほとんどが免税店であり、いわゆる地元の店舗での販売機会が限定されるため、経済効果に疑問の声が上がっています。
 以上、韓国のクルーズ事情も、今後、和歌山県の港湾を利用したクルーズ観光に少なからず示唆を与えてくれるものと思っています。
 そこで質問ですが、1つ目、本県において寄港地観光といえば高野山や熊野古道への観光がメーンと思いますが、外国人のクルーズ観光における傾向も変わってきています。本県の身近な生活、文化資源に触れていただく、あるいは体験していただくことも今後の戦略として必要かと思います。和歌山県として、クルーズで県内を訪れた外国人観光客の皆様に喜んでいただき、リピーターになっていただくための観光戦略についての御所見を、知事、お聞かせください。
○議長(尾﨑太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県にクルーズ船で来訪した外国人観光客数は、過去5年間で約6500人程度でございます。感想を申し上げますと、まだまだ少ない、和歌山県の実力からするとまだまだ少ないというふうに思っておりまして、ほかの県に比べてもまだまだ発展途上であると言わざるを得ないと思っております。
 こうしたことから、まずはクルーズ船の寄港回数をふやすことを目的といたしまして、昨年度、庁内横断のチームをつくり、国の内外で開催されるツアー商談会や客船運航会社等への直接訪問を通じて、プロモーション活動を積極的に実施してまいりました。また、寄港地周辺市町の協力が不可欠でありますので、和歌山県クルーズ振興協議会を設置するとともに、外国クルーズ船の運航責任者等を本県に招聘し、観光地などの魅力を紹介するなど、市町とも連携しながら誘致活動に取り組んできたところでございます。
 客船運航会社は、おおむね2年先を見据えてクルーズ計画を立てるために、今年度は、その前ちょっと油断しておったということもありまして寄港がなかったんですけれど、外国の客船運航会社による寄港はなかったんですが、来年度は現時点で10回の寄港が予定されておりまして、これによりまして外国人観光客約4000人が見込めるなど、ようやく成果が目に見えてきたのではないかと思っております。
 そうした中、議員御指摘のリピーター戦略についても大変重要になってくると思います。そこで、引き続き寄港実績のない客船運航会社に対して、さまざまな県内の観光メニューや他府県の寄港地との連携による新たな旅モデルの提案など、外国人観光客を乗せたクルーズ船の寄港回数をふやすというようなことをやるわけでございますが、そういう努力に加え、一度寄港いただいた客船運航会社にもあらゆるメニューを紹介しながら、再び寄港地として選んでいただけるような取り組みを進めてまいる所存でございます。
 さらに、日本を複数回訪れた観光客には、御指摘のように体験型観光が人気を集め始めております。そういうことでございますので、和歌山ならではの果物狩りとか平安衣装を着せるとか、熊野古道ウオーキングや写経体験──これは高野山がよろしいかと思いますが──そういうメニューを充実していくことが将来的な外国人観光客のリピーター獲得につながるものと考えられますので、そうした仕掛けづくりもあわせて取り組んでいく所存でございます。
 このように、県としては、新たな客船運航会社による初寄港地の誘致と再寄港の回数をふやしていく取り組みとあわせまして、外国人旅行者自身が本県のリピーターとなっていただけるよう、市町とも連携しながらこれまで以上に取り組んでいく所存でございます。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 クルーズ、力を入れていただきたいと思います。
 2点目に、クルーズでまず一番気になるのは、おもてなしだと思います。地域の伝統衣装や伝統芸能でお迎えしたり、高松では岸壁のさぬきうどんを、夏は冷たく、冬は温かくして配ったりもしているそうです。小さな子供たちがお遊戯で迎えたり、女子高校生が英語ボランティアをしてくれたりするところもあります。観光ボランティアも含めた和歌山県におけるクルーズ観光客へのおもてなしについて、県土整備部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 和歌山県におけるクルーズ観光客へのおもてなしについて御質問をいただきました。
 和歌山県内でクルーズ船が着岸した実績のございます港湾は、和歌山下津港、日高港、新宮港の3港でございまして、その際のおもてなしについては、それぞれ地元の和歌山市、それから御坊市、新宮市が中心となって取り組んでいるところでございます。
 具体的な入出港時のおもてなしですが、例えば、和歌山下津港では少年少女合唱団による合唱や地元高校生による書道パフォーマンス、日高港では地元園児の遊戯や地域のゆるキャラ集合、新宮港では平安衣装体験や太鼓演奏のほか、岸壁での地元のお菓子や海鮮汁などのふるまいなどが行われまして、市民ボランティアの方々も参加していただき、地域が一体となった取り組みとなってございます。
 こうしたおもてなしは、一部の客船運航会社から好評を博しており、寄港地を選択する際の判断材料やツアー販売を行う際のセールスポイントとなる可能性が考えられるところでございます。
 県といたしましても、客船運航会社の御意見を伺いながら、本年6月に発足した和歌山県クルーズ振興協議会などを通じて、関係団体や市町村の関係者と先進事例の研究や勉強会を実施し、関係者のおもてなしがより効果的なものとなるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 近隣県といえば、四国各県もクルーズ観光に大変力を入れ、それぞれの地域の郷土芸能を見せたり、商店街への誘客等さまざまな仕掛けをしています。ぜひ和歌山県ならではのおもてなしをさらに推進いただきたいと思います。
 3点目に、クルーズ船が来る頻度が大きくなれば、港としてのにぎわいや港の魅力もアップして、クルーズ船を迎える側の和歌山県民・市民にも港の必要性をもっと身近に意識させて、港に対して振り向かせることになると思います。
 港にはそもそも、日ごろまちなかでは見られないガントリークレーンのような大型建造物、海上コンテナがたくさん積み上げられたコンテナヤード、保税上屋や貨物の野積み場、外国貿易船、保安船、あるいは荷役・作業船がしばしば停泊していますし、最近大型化されつつあるクルーズ船は、船体の上に巨大なマンションが建っているような見応えのある状態で岸壁に横づけされています。そこに船からおり立ったたくさんの外国人がいると、港にそよぐ潮風が醸し出す港特有のにおいとともに、まさにエキゾチックな港の情景が生まれてくるものです。そこに和歌山港の西の海側のガントリークレーンのすき間から夕日が姿を見せてくると、それこそSNSにアップしたくなるような光景となります。
 和歌山市の中央卸売市場も近々建てかえて観光拠点をつくろうとしていますし、和歌山港も近い将来、県民・市民が大勢訪れたくなる港に変貌してくると思います。今後、たくさんのクルーズ船の来航を前に、港本来の持つ魅力を引き出す港づくりについての御所見を県土整備部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 港本来が持つ魅力を引き出す港づくりについて御質問を頂戴いたしました。
 議員御指摘いただきましたとおり、港には人を引きつける魅力的な要素が多くあると考えてございまして、全国では山下公園のある横浜港やメリケンパークのある神戸港など、市民や観光客などでにぎわう交流の場となっている港湾もございます。
 一方で、和歌山県民にとって和歌山下津港を初め県内の港湾は貨物を扱う物流の場であり、人が集うような場とは認識されていないのが現状ではないかと考えてございまして、今後は港湾も交流拠点として、人が集うような場とする取り組みが重要と考えてございます。
 このため、クルーズ船の寄港をきっかけに多くの県民の方に港湾にお越しいただくよう、本年9月に和歌山県クルーズ振興協議会のホームページを開設し、当面の寄港スケジュールやイベント情報の掲載を行っていますが、今後、SNSなども活用したクルーズ船の情報や魅力についてさらなる発信を行うとともに、港湾が周辺整備をきっかけに人でにぎわう交流の場となるよう、市や関係者と連携した検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 クルーズ船がたとえ寄港していなくても港に行ってみたくなるような、夕景を楽しみたくなるような、港を身近に感じさせる、そういう港づくりを考えていただければと思います。
 4点目に、クルーズ船の受け入れ港湾としてのハード整備とともに、近年急増している訪日外国人旅行者に対応したCIQ体制、すなわち税関、出入国管理、検疫のための体制を確保するため、港湾においては外国人クルーズ乗客に対する入国審査手続の円滑化が必要となってきます。CIQ等のための旅客施設整備についてのお考えを、県土整備部長、お聞かせください。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) クルーズ船の受け入れ港湾としてのハード整備について御質問を頂戴いたしました。
 本県に寄港実績のあるクルーズ船は、現在7万トンクラスが最大でございますが、外国のクルーズ船はさらなる大型化が進行している状況でございます。このような大型クルーズ船の受け入れには、安全に操船できる広い水域、長い船体に対応した係留施設、円滑なCIQ手続などを行う上屋が必要になると考えてございます。
 そのため、和歌山下津港においては、直轄事業で航路の拡幅とその岸壁の係船柱や防舷材の更新を、また、日高港においても直轄事業で岸壁の不足を補うための係船ぐいの整備が予定されてございます。さらに、新宮港においては、県で十分な水域を確保するためのしゅんせつや、岸壁の不足を補うための係船くいの整備を進めることとしてございます。
 また、これまでCIQ手続などは船内や仮設テントで行っていますが、現在行っている誘致活動の成果として大型クルーズ船の寄港が本格化した場合、乗下船に時間を要することが想定されます。このため、CIQ手続や旅客の待合所となるターミナル施設につきましては、今後のクルーズ船の寄港に対応できるよう整備の必要性を検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 建設委員会でも、八代港の国際クルーズ拠点形成について調査に行かせていただきましたが、クルーズ船の寄港数が平成26年度は1回、平成27、28年度がそれぞれ10回、平成29年には70回ぐらいと急増している状況でありまして、本県もこのクルーズ観光人気に追いついていけるよう、ソフト、そしてハード整備をよろしくお願いいたします。
 3点目に行きます。和歌山県のサイクリング振興についてであります。
 私は、本年、走行距離100キロを超えるサイクリングの実行と、しまなみ海道を走破するという2つの目標を立てておりました。100キロ超サイクリングは、5月のゴールデンウイークの半日を紀の川サイクリングロードのブルーラインを伝ってどれくらい不都合なく行けるものかと試走すべく、和歌山市東高松の自宅から紀の川大橋を渡って紀の川河川敷のブルーライン沿いに幾つか橋を渡りながら、九度山町の慈尊院にお参りした後、国道24号を経由してから紀の川左岸の一部、貴志川方面から和歌山市へ戻ってくるコースを走ってきました。ブルーラインも見やすかったし、キロメーター表示がわかりやすかったです。途中、広島市から連休を利用して走ってこられた人にもお会いし、紀の川サイクリングロードが県外の自転車愛好家にも広く認知されてきたことを実感しました。
 次に、10月1日からのえひめ国体の応援、視察に行ったとき、松山市内の移動は全てママチャリを利用、帰りは今治市のレンタサイクルで走りやすいクロスバイクとヘルメットをお借りしました。かなり使い込まれていましたが、たくさんの種類の自転車がありました。さすがサイクリングの聖地と言われるだけあって、5つの橋には歩行者用、自転車用道路があって、直線ですからスピードも出ますし、瀬戸内海の海と島々を眺めながら風を切って走る爽快感は何とも言えません。でも、橋を上まで駆け上がるらせん状の坂道がきつい。股間のケアをしていなかったので、不覚にも皮膚がずるずるにむけてしまって後半は痛みとの闘いでしたが、尾道市までの約80キロを休憩を含め6時間で走り切ることができました。
 今治市にも尾道市にもたくさんのレンタサイクルターミナルがあって、乗り捨て可能で便利です。さすがブルーラインの先駆けだけあって、わかりやすい青い線が我々を導いてくれます。サイクリングターミナルや道の駅、観光案内所も各地にあって、サイクリング愛好者には大変親切ですし、眺めのよい地点に休憩所が整備されています。サイクリストになれっこになっている土地柄ですから、島を走る車も寛容に横を通ってくれますし、島の人々も穏やかな笑顔を返してくれます。自転車に乗るほうと受け入れ側とのゆったりとした関係、これがサイクリング王国たる大きなゆえんだなと実感しました。
 さて、本年3月26日、わかやまサイクリングフェスタ2017が開催されました。3つのコースに分かれて計581名が参加、途中リタイヤが160キロコースで10名、60キロで3名、落車事故と自動車との接触事故が1人ずつ救急搬送されました。私も10キロの部の2人乗り自転車・タンデムの体験走行会のお手伝いをさせていただいて、主に視覚障害者の年配の方やヘルパーの方が直線コースを軽快に、いかにも楽しそうに走ってくれたのが大変印象的でした。
 また、先月19日、すさみ町サイクリング大会実行委員会が主催した枯木灘サイクリングフェスタRIDE ON SUSAMI 2017も晴天に恵まれて、海あり山あり川ありの自然を満喫する70キロのコースで、約400人が参加されました。
 大会に参加された方から感想をお聞きしていたので、御紹介します。
 「沿道で旗を持って、参加者に対して感謝の意を表してくれた」、「日ごろ食べられないようなものも提供いただいた」、「コースを間違えないようにスタッフが導いてくれた」、「町ぐるみで応援してくれて、ここは風が強いから危ない、気をつけてと声をかけてくれ、励ましてくれた」と大好評でした。両方の参加者はわかやまサイクリングフェスタにも言及していますが、事実関係はあくまでも別として、「サイクルステーションに表示看板やバイクラックはあるが、水1杯のサービスの提供があってもよかったのに」、「自販機も見つけられないところがあった」とか「紀の川サイクリングロードのエイドステーション間の距離が長かった」等々、率直な感想を述べておられる方もいました。
 一方、県外からの参加者のブログをのぞくと、「事前にたくさんの参加案内が送られてきて、過去参加したイベントの中で最も観光誘致に対する意欲が高いイベントだった」、「このイベントに出て、観光地をゆっくり見て回りたいと思ったのは初めて」、「コースは余りきつい感じはなかった」、「高野山エリアの印象が強かった」、「エイドでの補給食に関しては大満足、特に甘酒(もちろんノンアルコール)がおいしかった」、「ちゃんと考えて地元のものを食べさせようという気持ちが伝わってきた」、「エイドの何カ所かにゆるキャラが出張してきて、これが地味にうれしい」、「和歌山のイメージは『何もない』だったけど、実はめちゃめちゃコンテンツが豊富だ。千葉に非常に似ている」、「何よりよかったのは、地元の人たちの地域愛だ」、「今までのイベントの中でも、特にスタッフの対応が温かいイベントだった」、「初開催なのにPDCAサイクルがしっかりしている」など、肯定的で満足のいく内容が多かったようです。県内の方、そして県外の方、それぞれ御意見もあったようですが、謙虚に参考にしていだたきたいと思います。
 第2回目のわかやまサイクリングフェスタ2018は、来年3月25日、わかやまマリーナシティをスタートとし、全4コース、計1000人の参加者ということで、和歌山市から紀北地方で開催です。第1回目以上の成功をお祈りしたいし、また何らかのお手伝いができればと思っています。
 そこで質問ですが、1点目、第1回目のわかやまサイクリングフェスタのいろんな教訓を踏まえて、第2回わかやまサイクリングフェスタ2018への意気込みを企画部長にお聞きします。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) わかやまサイクリングフェスタ2017につきましては、参加者のアンケートやその後の参加者のSNSでの発信内容などから、総じて好評をいただいたと考えております。
 わかやまサイクリングフェスタ2018をさらに充実したものとするため、サイクリング関係者や関係市町などと反省会を開催し、改善点について御意見をいただきながら、一緒に準備を行ってまいりました。
 今回のフェスタは、走行の安全性向上のため、一部のコースの変更を行い、エイドステーションの内容についてもさらに地域の特色を出せるよう、市町と一緒に考えているところです。
 また、スタート、ゴール会場を和歌山マリーナシティに変更して出展等の充実を図るとともに、新たに地域の観光とサイクルトレインを組み合わせたコースを加え、定員を1000名にふやして参加者募集を開始しました。
 また、前日にトークイベントや前夜祭を開催するなど、宿泊する参加者に楽しんでいただけるような工夫を行うとともに、警備員、サイクルリーダーやサポートカーなどのサポート体制の強化による安全面での対策の徹底を図ります。
 当大会の開催によって、和歌山がサイクリング愛好者に認知されるきっかけとなり、多くのサイクリストが和歌山に訪れていただけるよう、大会の成功に向け準備を進めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 今後、3回、4回と回を重ねていただきまして、それぞれ趣の異なった魅力いっぱいの中紀とか南紀にもコースを広げていっていただけたらと思います。
 2点目に、800キロを超える県内の海、山、川沿いのサイクリングロードの整備とその無限大の楽しみ方を提供するという「WAKAYAMA8∞」は、サイクリング王国和歌山を創造するための本気のプロジェクトとして期待するものですが、やはりサイクリストに楽しんでもらえる受け入れ態勢や、安全面の整備にとどまらず、しまなみ海道がそうであるように、地域住民に受け入れられ、地元に利益を生み出すものであることが求められると思います。「WAKAYAMA8∞」の意図するコンセプトを商工観光労働部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 「WAKAYAMA8∞」につきましては、800の「00」を「∞」マークとし、県内約800キロにわたるサイクリングロードは、無限大の楽しみ方と可能性をお客様に提供することを意味しております。具体的には、海、川、山などの変化に富んだルートは、初心者でも楽しめるものや、目的地を決めず自由に周遊するポタリング、長距離を走るローディー、坂道を得意とするクライマー向けなど、あらゆるレベルのサイクリストに対応するものとなっております。また、サイクリストが世界遺産、絶景、温泉、グルメなどをみずからアレンジし、無限の旅の楽しみ方をつくり出すという意味も込められております。
 今後とも、「WAKAYAMA8∞」がお客様に広く浸透するよう、サイクリングと旅の楽しみ方を国内外のメディアを通じて発信してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 サイクリストに楽しんでもらえるだけでなく、沿道の地域住民にも応援、協力してもらえるような地域振興につながるような視点も、この「WAKAYAMA8∞」のコンセプトに含まれるものであってほしいと思います。
 3点目に、私は、サイクリングは1つの都道府県で完結するのではない、広域的な楽しみ方を提供してくれるものだと思います。どこまでも続く海岸線を走る、紀の川の水源地まで川沿いを走る、先人がたどった道を歴史ストーリーに思いをめぐらせながら走る、あるいは広域の高速道路、例えば京奈和自動車道沿いを自転車で走る京奈和自転車道構想等、いろんな楽しみ方があります。ぜひ近隣府県ともさらなる連携を図って、お互いにメリットのある自転車交流による観光振興につなげていただきたいと思いますが、商工観光労働部長の御所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 近隣府県との連携についてですが、本県の紀の川サイクリングロードと奈良のならクル吉野川ルートを約120キロでつなぐサイクリング推奨ルートができており、協働で自転車周遊マップを作成した実績があります。
 奈良県では、既に自転車による誘客を行ってきており、本県の「WAKAYAMA8∞」と相互にPRすることで、広域的な楽しみ方が提供できると考えております。
 また、最近では、サイクリストの受け入れ環境整備を推進している大阪府の岬町から海岸線のルートで和歌山市の加太にお越しいただくサイクリストがふえている状況でもあり、今後、泉南や南河内エリアなど、自転車での誘客を積極的に行っている近隣府県や市町との連携について、効果的なものがあれば積極的に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 サイクリストは、自転車で走る爽快感を求めているだけでなく、年を重ねるにつれ、その地域の歴史、文化、伝統に触れてみたいという思いを抱くものです。今、県で推進されているわかやま歴史物語も活用しながら、例えば天皇行幸の際に御一行がたどった道、物語の主人公あるいは宗教者等が歩き、駆けめぐった道程を広域的に自転車で走ったり、あるいは府県境を越えるとその府県独特の各標識や風景に出会ったりするのも、サイクリストにとっておもしろいものです。
 それと、和歌山─徳島間の南海フェリーのサイクリング利用も多いですが、平成19年に休止となった深日洲本ライナーが、地元岬町を初め多くのサイクリストらの要望もあって、本年6月25日から9月30日まで社会実験運航が行われて、和歌山県からも多くのサイクリストが利用されましたが、今後の仕掛け次第で航路復活の可能性もあります。復活すれば広域サイクリングも一気に広がるでしょう。和歌山県としても注目いただきたいと思います。
 4点目に、去る11月19日、県交通センター運転免許試験場コースにおいて、県警察本部の呼びかけのもと、県下交通ボランティア4団体によるタンデム自転車体験試乗会が開催され、県サイクリング協会の指導のもと、私も交通指導員の立場で参加してきました。各団体の皆様のほかに、親子、男女のカップル、若い女性同士も参加されましたが、直線を走るのはすぐになれても、交差点を右左折するときの大回りの必要性や8の字コースを走る際の細心の注意を要することなど、一般公道走行解禁に向けて課題も見られたと思います。
 県警察本部におかれましては、当日とられた参加者へのアンケートを十分に精査もされ、今後行われるサイクリングフェスタ等での自転車道での走行会もごらんいただきながら、タンデム自転車の一般公道走行に向けて、安全面等さらなる御検討をいただきますよう要望させていただきます。
 4点目へ行きます。和歌山県の食と農についてであります。
 先月28日、和歌山大学食農総合研究所客員教授・三谷隆彦先生と2人で、お隣の奈良県に行ってまいりました。「奈良にうまいものなし」と言われて久しかった奈良県ですが、確かに人口1000人当たりの飲食店数、宿泊者数はともに全国最下位です。このレッテルからの脱却をということで、2003年に奈良のうまいものづくりが始まり、荒井正吾知事が2007年に就任してから、平城遷都1300年祭を契機に、前年の2009年から始めた県内外の一流シェフが奈良の食材を使用した料理を振る舞う屋外型フードイベント、奈良フードフェスティバル、すなわちシェフェスタin奈良の開催といった、奈良の伝統的な大和野菜や大和牛などの食材を生かす取り組みが強力に推進されました。回を重ね、毎年20万人以上を集める人気イベントに発展しました。
 また、荒井知事は、「研究に関するものはオンリーワンの研究、高度な研究をやれ。何を研究するかわしが決める」と言われ、2014年にもとの農事試験場の奈良県農業総合センターを奈良県農業研究開発センターに組織改編し、50億円をかけて昨年度、桜井市池之内に移転しました。
 センターは、食品加工研究室及び加工実習室が充実、加工はまさに県農林部のほうで行っており、受託分析作業は一切なくて、柿、イチジク、茶など奈良県の特産品を原料とした奈良らしい加工食品の開発に取り組んでいます。特に柿の加工が先進的で、柿を食感も味わえるシロップ漬けにして、香りも際立たせる研究のもと、缶詰をつくろうとしています。年齢による食味の変化に注目し、高齢者向けの柿の加工に取り組み、介護食をターゲットに農福連携に踏み込もうとしています。
 また、住江織物や大学と一緒に「柿ダノミ」という、お酒を飲むときに飲用する柿ポリフェノールを使ったサプリを開発、商品化しました。センターでは、国内外への展開も手がけ、中国、ドイツ、フランス、アメリカ、トルコ等へ2週間から1カ月間職員を視察研修に、さらに国内では国の研究試験場のあるところへ3カ月の中期研修に、それぞれ年に1人ずつ派遣しています。
 センターのすぐ横にもとの農業大学校であるNAFIC──奈良県立なら食と農の魅力創造国際大学校アグリマネジメント学科があります。同科では、1人1圃場による実習や先進農家のもとでの長期実習などを取り入れるとともに、農産物に付加価値をつける加工実習や商品PRスキルを養う販売実習を取り入れ、経営やマーティングなど農業経営のプロを目指すものです。20人の定員中、新規就農者が9人いるということです。
 また、車で数分のところに同大学校フードクリエイティブ学科があります。同科は、1人1ストーブ、すなわち1コンロ方式による調理実習や、全国初の取り組みとして注目されている一般客を迎えるオーベルジュを併設して実践実習を行っています。オーベルジュの運営は、全国及びパリに33店舗のレストランと3つのホテルを展開する東証一部上場企業の株式会社ひらまつで、平松会長が同大学校の校長に就任されています。このオーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井は、開校に1年先駆けてオープンし、ランチは現在3カ月待ち、客室もシーズンには満室となる盛況ぶりです。また、1200平米の実習農場で農業実習も取り入れ、プロの料理人を講師として6人常勤で迎え、世界で通用する農業のわかる食の担い手たる料理人、オーナーシェフ養成を目指すものです。
 いずれの学科も最低限の学力は確保して、人物重視で、いかに農業をやりたいかを見ています。いずれも、フード(食)とアグリ(農)を共通で学び、ブランド化を目指しています。とにかく、農業ももっと食に比重を置いて、農作物のブランド化や魅力ある加工食品づくりを手がけたり、県の特産品を生かしたおいしい料理を楽しんでいただいて、観光振興につなげていくことが必要ではないかと改めて実感しました。
 そこで質問ですが、和歌山県も海、山、川のおいしい食材の宝庫であります。和歌山県こそ、食の魅力を生かした農業を大いに展開できる県であります。食の魅力があれば、県下の農業高校の生徒も、県農林大学校の学生も、新規就農に向けてもっとモチベーションが上がってくると思います。農林水産部の有するソフトとハードを駆使して加工研究、そして人材育成にも注力した本県の地域活性化の核となるおいしい農業を発展させていっていただきたいと思いますが、農林水産部長の御所見をお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員御指摘のとおり、加工技術開発や人材の育成は重要であると認識しております。
 農林水産物の魅力をさらに高めるために、県では農林水産関係の試験場が工業技術センターや食品関連企業等と連携して加工研究に取り組んでおります。具体的には、果肉が赤い梅の新品種「露茜」のシロップを開発するとともに、現在「南高」等を使ったジャム、菓子等の新たな加工品や、イタドリの機能性成分を生かした商品開発を進めております。
 また、本年4月、農林大学校に開設したアグリビジネス学科では6次産業化にも力を入れており、コンビニエンスストアとの協働による県の特産物を使ったおにぎりの開発や、地元食品加工事業者と連携したケチャップづくりなど、実践的な人材育成を行っているところであります。
 今後とも、加工食品開発や人材育成を推進し、本県の魅力ある食材をより一層活用した取り組みを進め、農林水産業を発展させてまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目、要望ですが、来年3月までに和歌山県工業技術センターに待望のフードプロセッシングラボが完成予定です。まさにその名のごとく、食品加工実習室でありまして、今までの3倍の面積があります。ぜひ、食品産業にかかわる企業の皆様にこそ広く活用いただきたいと思います。
 そこで多くの加工食品が生まれて商品化され、企業が企業を呼ぶ好循環が働いて、ひいては食と農にかかわる人材がたくさん輩出されればと期待をしております。食と農をさらに結びつけてくれるフードプロセッシングラボもいよいよ稼働する中、ぜひ農と商工の人事交流も一層進めていただきますよう要望させていただきます。
 要望にかえさせていだたいて、これで私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、長坂隆司君の一般質問が終了いたしました。

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