平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


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平成29年12月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成29年12月12日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第168号から議案第194号まで並びに報第6号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第168号から議案第194号まで並びに報第6号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 中西峰雄
 2番 秋月史成
 3番 立谷誠一
 4番 泉 正徳
 5番 前芝雅嗣
 6番 花田健吉
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 川畑哲哉
 10番 玉木久登
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 尾﨑太郎
 14番 藤山将材
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 服部 一
 20番 山本茂博
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 堀 龍雄
 24番 中 拓哉
 25番 岸本 健
 26番 森 礼子
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 40番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      藤川 崇
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     山田成紀
 福祉保健部長     山本等士
 商工観光労働部長   山西毅治
 農林水産部長     原 康雄
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      野田孝雄
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   溝端莊悟
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       田村公一
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     武田 稔
 議事課議事班長    岩谷隆哉
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中平 博
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  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第168号から議案第194号まで、並びに知事専決処分報告報第6号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 42番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 1つ目に、台風21号による水害についてであります。
 去る10月の22日、強い雨の中、午後3時過ぎに投票所がある小学校に行きますと、グラウンドは水たまり状態、足場も悪くなって本来の投票所である体育館が使用できず、手前の教室が投票所となっていました。投票を終え、午後4時前、地元の崖崩れ箇所と2009年11月11日に1時間約120ミリの豪雨で床上・下浸水に遭った地区をチェックの後、和田川右岸道路を走ると、ところどころ冠水状態。和田川の水位も高くなり、貴志川線のよく冠水する線路も水がたまってきていて、交通センター入り口の県道和歌山橋本線は冠水状態で、わらが大量にぷかぷか浮いていますし、県道沖野々森小手穂線もところどころ冠水。
 安原小学校前も用水路から水があふれ、水路の中へ落ちて横転している車も見られ、山のほうからどどっと流れてきて、冬野の県道も冠水になっているところだらけ。智辯学園から亀の川沿いを走ると、ふだんは川の中に群生する背の高い雑草も見えないくらい増水。
 県道和歌山海南線に入ると、内原では県道も全面通行どめ、浜宮小学校前も全面通行どめ、国道42号線に抜けられない状況。これは家にも帰れなくなると、山東地区にも回れずに、川の中のようになった道を用心しながら戻った次第でした。
 翌日、田井ノ瀬橋の下のグラウンドへ行くと、ネットは全て倒され、砂が流入してグラウンド内は段々畑状態。せせらぎ公園は瓦れき、木の枝、ペットボトルがぎゅうぎゅうに押し寄せてきて、関戸の避難路では土砂が流出。
 そうこうしているうちに、紀伊地区の方からも水害の連絡をいただきました。鴨居川団地の南側で水路沿いの盛り土の一部が切れて床上・下浸水、西田井地区では10月23日夜2時半ごろ、救命ボートが出る状態、防犯カメラにベッドが流れているのが映っていたそうです。スーパーも棚下部の商品が水浸しの大損害、被害は北地区に大きく及び、また、西永穂でも水が押し寄せています。西田井地区から北地区にかけて、輪中堤と呼ばれる盛り土が随分以前から半円状に築かれていたと伺っておりますが、その一部が破損して水が流入したとも聞きました。
 衆議院議員総選挙公示後からの秋の長雨、それに台風21号とずっと雨にたたられ、台風22号にも追い打ちをかけられました。ほかに周辺地域も大きなダメージをこうむっています。明らかに豪雨災害の頻度は高くなっています。
 そこで質問ですが、1つ目、和歌山市内でも台風・豪雨によってたびたび水害が起こりますが、県は今回の台風21号による紀の川沿川の浸水被害の原因をどのように把握されていますか。重複もあろうと思いますが、県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 紀の川沿川の浸水被害の原因についてお尋ねを頂戴いたしました。
 本年10月の台風21号による豪雨により、紀の川沿川地域においては、和歌山市北地区を初め、多くの地区で浸水被害が発生をいたしました。
 これらの浸水被害については、紀の川本川の水位が長時間にわたり高い状態が継続する中、和歌山市の六十谷雨量観測所では日雨量238ミリを記録するなど、沿川地域において大雨となり、内水の排水が困難となったことが主な原因と考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 地域住民も、今回の被害を含め、今後また台風豪雨の際に繰り返し起きるかもしれない浸水被害について不安を抱いておられます。このたびの水害の原因と今後の対策について、市当局とともに、いち早く住民の皆様への御説明をお願いします。
 2点目に、昨年度より5年間をかける紀の川岩出狭窄部対策事業が行われています。この事業で、紀の川下流の和歌山市方面への水量がおのずと増大することになることが懸念されます。となると、紀の川水面下の河床の掘削、特に川辺橋から紀の川大堰までの掘削も必要になってくるのではないかと思いますが、県土整備部長、いかがですか。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 紀の川の岩出狭窄部対策事業に伴う掘削の必要性について御質問を頂戴いたしました。
 岩出狭窄部対策を初めとする紀の川本川の河川整備につきましては、平成24年に国において策定された河川整備計画に基づき進められてございます。
 議員御指摘の岩出狭窄部より下流の区間については、河川整備計画に位置づけられた整備が全て完了した状態を前提として、整備目標である戦後最大規模の出水を安全に流下させる河川断面が確保されているため、岩出狭窄部対策に伴う新たな掘削等を行うことは考えてございません。
 今後については、堆積土砂等により円滑な流下が阻害されることのないよう、河道の円滑な維持管理について国に働きかけてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 新たな掘削を行うことはないと断言されましたが、自然の猛威は決して割り切れるものではないと思います。
 今回は、紀の川本川の水位が長時間高かったということであり、国の水位調整も各流域のバランスを考えると難しかったのかもしれませんが、本川の水位調整についてはさらなる改善を県から国へ要望いただきたいと思います。
 2点目に、今般の被災住民の中には、七瀬川の異常な増水の原因を京奈和自動車道ができたからと言われる方も少なくありません。京奈和自動車道と七瀬川の流水量との関係性及び七瀬川の現在の改修状況と今後の事業計画について、県土整備部長にお尋ねします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 七瀬川の増水と京奈和自動車道の関係性、そして七瀬川の改修状況と事業計画について御質問を頂戴いたしました。
 県では、一定規模以上の開発行為を行う者に対しては、森林法に基づく林地開発許可制度等の手続において、開発に伴う水害発生を防止するよう、調整池の設置などを指導してございます。
 京奈和自動車道紀北西道路については、その整備に係る改変面積のうち、地域森林計画の対象となっている民有林の面積が1ヘクタールを超えたため、県で定める林地開発許可制度事務取扱要領に基づき、関係機関による連絡調整を行ってございます。具体的には、事業者である国から開発に係る協議を受け、開発前に比べて下流河川への流出を増加させないよう調整した結果、県で定める技術基準に基づく調整池が設置されてございます。
 なお、台風21号に伴う降雨については、近隣の雨量観測所のデータでは調整池の規模を決定している計画降雨を下回っていたことを確認しており、京奈和自動車道紀北西道路の整備と七瀬川の水位との関係性があるとは考えてございません。
 次に、七瀬川の改修状況と今後の事業計画についてですが、現在、紀の川合流点から500メートル区間の工事が完成し、その上流から鴨居川合流点までの1100メートル区間の用地取得が完了してございます。今年度中に国道24号までの完成を目指しますとともに、鴨居川合流点までについても順次工事を進めてまいりたいと考えてございます。また、上流部の鴨居川合流点から七瀬川橋までの約1100メートル区間についても、既に約60%の用地を取得済みであり、一部工事に着手してございます。
 今後とも、さまざまな機会を通じて予算の確保に努め、整備を進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 七瀬川の上流部区間は、特に天井川で水かさが急激にふえて越水しやすい、過去にも大浸水したところです。七瀬川は地形からして、読んで名のごとく、恐らくもともと7つの瀬から水が集まって流れてきた川なのだろうと思います。すなわち、降雨時には一度に水が集まってくる川だということでしょう。この区間もどうか一刻も早く用地交渉と工事をお進め願います。
 4点目に、紀の川本流が決壊しない限り、内水は本流へはかせていかざるを得ないと思います。そのためには、七瀬川、和田川、亀の川といった中小河川は、拡幅、河床掘削、また堤防のかさ上げだけでなく、移動ポンプも数に限りがありますから、やはり紀の川との合流地点への大水量をはかせることのできる排水ポンプの設置が必要と思われます。七瀬川との合流地点である鴨居樋門付近へのポンプ場の設置は、七瀬川水域の地域住民の皆様がひとしく熱望するところです。国とも御協議の上、どうか重要検討課題として引き続き要望させていただきます。
 2点目に行きます。クルーズ観光についてであります。
 2016年に日本への外国人旅行者は2400万人を突破し、世界15位クラスに上昇、本年も9月末現在で累計値が前年同期比17.9%増の2119万6350人となっております。この訪日外国人客の伸びを支える1つの旅行形態がクルーズ観光です。
 2009年から2015年の間で、クルーズ船による外国人観光客は6.5倍の150万人に達しました。一方で、寄港回数では2倍強の伸びですから、1回当たりの乗船人員が増加し、クルーズ船が大型化していることが推察できます。
 国交省の調査によると、2016年の日本人のクルーズ人口は5年連続の20万人台となる24.8万人となり、過去最多になりましたし、我が国の港湾へのクルーズ船の寄港回数は、中国からのクルーズ船の寄港増等により大幅に増加し2017回に、訪日クルーズ旅客数は199.2万人となり、こちらも過去最高となりました。訪日外国人観光客の筆頭は中国で、その中でも近年、大型クルーズ船による中国人観光客の訪日旅行が注目されています。
 株式会社JTB総合研究所の2016年アンケート調査によると、日本へ訪れた経験者の46.0%が訪日クルーズ経験があるという高い結果が出ています。低料金が魅力で、感想として「日本国内を短時間で効率よく観光ができた」34.2%、「船内で開かれた即売会での買い物を楽しめた」31.8%、「食事・宿泊などが全て含まれていて安心」30.7%、「1回の旅行で国内の都市、日本、韓国や台湾など複数の旅行地を回ることができお得」28.2%などが高いです。
 また、日本でしたいことのうち、日本人との交流については、「日本人の日常生活に触れたい」43.2%が最も高く、日本への訪日回数がふえるにつけて増加するという結果が注目されます。
 そもそも、中国人の日本への旅行志向は、「買い物」や「自然風景を見る」が強く、効率的に回れるクルーズが人気の背景ですが、それは決して一部の階層とか低料金だからではなく、経験を積むほど日本の生活に触れたがっているということが分析としてあらわれてきています。
 JTB総研によると、渋谷ハチ公前のスクランブル交差点、各自治体が独自にデザインしたマンホールぶた、あるいは各地にある手づくりの衣装を着せられたお地蔵様といった、何げない日本人の生活の中にある価値や魅力、すなわち生活文化資源が新鮮ですばらしいと感じ始めています。我々日本人には当たり前であるために気がつかないことは多いですが、特に和歌山県人も和歌山県の魅力に気づいていないことが少なくないと思います。県内のありふれた身の回りに和歌山県ならではの感動や関心があるというところから見直し、再点検をしてみることが必要であります。
 ところで、隣国韓国においても、2016年に韓国を訪れたクルーズ旅客が約195万人と、対前年比で約2.2倍と大きく伸びています。もっとも、2015年は韓国でMERSが流行してクルーズ需要も落ち込みました。約195万人のうち圧倒的多数の92.2%が中国人であり、そのほとんどが中国旅行者によるチャータークルーズを利用しています。ちなみに、日本は最多の中国人が82.9%です。
 韓国では、幾つか課題も出てきています。1つは、中国旅行者によるチャータークルーズのため、観光等がセットになった団体旅行なので、ほとんどが観光バスで移動するため、一定の観光地や免税店に集中し、観光バスが道路渋滞の原因となっています。また、2つ目に、寄港時間が約6時間程度のため、観光は、港湾所在地内の免税店や、無料もしくは安価な近くの観光地を回る寄港地観光が主流で、旅客数の割にお金が落ちないという現象が起きています。3つ目に、クルーズ旅客の購買機会のほとんどが免税店であり、いわゆる地元の店舗での販売機会が限定されるため、経済効果に疑問の声が上がっています。
 以上、韓国のクルーズ事情も、今後、和歌山県の港湾を利用したクルーズ観光に少なからず示唆を与えてくれるものと思っています。
 そこで質問ですが、1つ目、本県において寄港地観光といえば高野山や熊野古道への観光がメーンと思いますが、外国人のクルーズ観光における傾向も変わってきています。本県の身近な生活、文化資源に触れていただく、あるいは体験していただくことも今後の戦略として必要かと思います。和歌山県として、クルーズで県内を訪れた外国人観光客の皆様に喜んでいただき、リピーターになっていただくための観光戦略についての御所見を、知事、お聞かせください。
○議長(尾﨑太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県にクルーズ船で来訪した外国人観光客数は、過去5年間で約6500人程度でございます。感想を申し上げますと、まだまだ少ない、和歌山県の実力からするとまだまだ少ないというふうに思っておりまして、ほかの県に比べてもまだまだ発展途上であると言わざるを得ないと思っております。
 こうしたことから、まずはクルーズ船の寄港回数をふやすことを目的といたしまして、昨年度、庁内横断のチームをつくり、国の内外で開催されるツアー商談会や客船運航会社等への直接訪問を通じて、プロモーション活動を積極的に実施してまいりました。また、寄港地周辺市町の協力が不可欠でありますので、和歌山県クルーズ振興協議会を設置するとともに、外国クルーズ船の運航責任者等を本県に招聘し、観光地などの魅力を紹介するなど、市町とも連携しながら誘致活動に取り組んできたところでございます。
 客船運航会社は、おおむね2年先を見据えてクルーズ計画を立てるために、今年度は、その前ちょっと油断しておったということもありまして寄港がなかったんですけれど、外国の客船運航会社による寄港はなかったんですが、来年度は現時点で10回の寄港が予定されておりまして、これによりまして外国人観光客約4000人が見込めるなど、ようやく成果が目に見えてきたのではないかと思っております。
 そうした中、議員御指摘のリピーター戦略についても大変重要になってくると思います。そこで、引き続き寄港実績のない客船運航会社に対して、さまざまな県内の観光メニューや他府県の寄港地との連携による新たな旅モデルの提案など、外国人観光客を乗せたクルーズ船の寄港回数をふやすというようなことをやるわけでございますが、そういう努力に加え、一度寄港いただいた客船運航会社にもあらゆるメニューを紹介しながら、再び寄港地として選んでいただけるような取り組みを進めてまいる所存でございます。
 さらに、日本を複数回訪れた観光客には、御指摘のように体験型観光が人気を集め始めております。そういうことでございますので、和歌山ならではの果物狩りとか平安衣装を着せるとか、熊野古道ウオーキングや写経体験──これは高野山がよろしいかと思いますが──そういうメニューを充実していくことが将来的な外国人観光客のリピーター獲得につながるものと考えられますので、そうした仕掛けづくりもあわせて取り組んでいく所存でございます。
 このように、県としては、新たな客船運航会社による初寄港地の誘致と再寄港の回数をふやしていく取り組みとあわせまして、外国人旅行者自身が本県のリピーターとなっていただけるよう、市町とも連携しながらこれまで以上に取り組んでいく所存でございます。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 クルーズ、力を入れていただきたいと思います。
 2点目に、クルーズでまず一番気になるのは、おもてなしだと思います。地域の伝統衣装や伝統芸能でお迎えしたり、高松では岸壁のさぬきうどんを、夏は冷たく、冬は温かくして配ったりもしているそうです。小さな子供たちがお遊戯で迎えたり、女子高校生が英語ボランティアをしてくれたりするところもあります。観光ボランティアも含めた和歌山県におけるクルーズ観光客へのおもてなしについて、県土整備部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 和歌山県におけるクルーズ観光客へのおもてなしについて御質問をいただきました。
 和歌山県内でクルーズ船が着岸した実績のございます港湾は、和歌山下津港、日高港、新宮港の3港でございまして、その際のおもてなしについては、それぞれ地元の和歌山市、それから御坊市、新宮市が中心となって取り組んでいるところでございます。
 具体的な入出港時のおもてなしですが、例えば、和歌山下津港では少年少女合唱団による合唱や地元高校生による書道パフォーマンス、日高港では地元園児の遊戯や地域のゆるキャラ集合、新宮港では平安衣装体験や太鼓演奏のほか、岸壁での地元のお菓子や海鮮汁などのふるまいなどが行われまして、市民ボランティアの方々も参加していただき、地域が一体となった取り組みとなってございます。
 こうしたおもてなしは、一部の客船運航会社から好評を博しており、寄港地を選択する際の判断材料やツアー販売を行う際のセールスポイントとなる可能性が考えられるところでございます。
 県といたしましても、客船運航会社の御意見を伺いながら、本年6月に発足した和歌山県クルーズ振興協議会などを通じて、関係団体や市町村の関係者と先進事例の研究や勉強会を実施し、関係者のおもてなしがより効果的なものとなるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 近隣県といえば、四国各県もクルーズ観光に大変力を入れ、それぞれの地域の郷土芸能を見せたり、商店街への誘客等さまざまな仕掛けをしています。ぜひ和歌山県ならではのおもてなしをさらに推進いただきたいと思います。
 3点目に、クルーズ船が来る頻度が大きくなれば、港としてのにぎわいや港の魅力もアップして、クルーズ船を迎える側の和歌山県民・市民にも港の必要性をもっと身近に意識させて、港に対して振り向かせることになると思います。
 港にはそもそも、日ごろまちなかでは見られないガントリークレーンのような大型建造物、海上コンテナがたくさん積み上げられたコンテナヤード、保税上屋や貨物の野積み場、外国貿易船、保安船、あるいは荷役・作業船がしばしば停泊していますし、最近大型化されつつあるクルーズ船は、船体の上に巨大なマンションが建っているような見応えのある状態で岸壁に横づけされています。そこに船からおり立ったたくさんの外国人がいると、港にそよぐ潮風が醸し出す港特有のにおいとともに、まさにエキゾチックな港の情景が生まれてくるものです。そこに和歌山港の西の海側のガントリークレーンのすき間から夕日が姿を見せてくると、それこそSNSにアップしたくなるような光景となります。
 和歌山市の中央卸売市場も近々建てかえて観光拠点をつくろうとしていますし、和歌山港も近い将来、県民・市民が大勢訪れたくなる港に変貌してくると思います。今後、たくさんのクルーズ船の来航を前に、港本来の持つ魅力を引き出す港づくりについての御所見を県土整備部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 港本来が持つ魅力を引き出す港づくりについて御質問を頂戴いたしました。
 議員御指摘いただきましたとおり、港には人を引きつける魅力的な要素が多くあると考えてございまして、全国では山下公園のある横浜港やメリケンパークのある神戸港など、市民や観光客などでにぎわう交流の場となっている港湾もございます。
 一方で、和歌山県民にとって和歌山下津港を初め県内の港湾は貨物を扱う物流の場であり、人が集うような場とは認識されていないのが現状ではないかと考えてございまして、今後は港湾も交流拠点として、人が集うような場とする取り組みが重要と考えてございます。
 このため、クルーズ船の寄港をきっかけに多くの県民の方に港湾にお越しいただくよう、本年9月に和歌山県クルーズ振興協議会のホームページを開設し、当面の寄港スケジュールやイベント情報の掲載を行っていますが、今後、SNSなども活用したクルーズ船の情報や魅力についてさらなる発信を行うとともに、港湾が周辺整備をきっかけに人でにぎわう交流の場となるよう、市や関係者と連携した検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 クルーズ船がたとえ寄港していなくても港に行ってみたくなるような、夕景を楽しみたくなるような、港を身近に感じさせる、そういう港づくりを考えていただければと思います。
 4点目に、クルーズ船の受け入れ港湾としてのハード整備とともに、近年急増している訪日外国人旅行者に対応したCIQ体制、すなわち税関、出入国管理、検疫のための体制を確保するため、港湾においては外国人クルーズ乗客に対する入国審査手続の円滑化が必要となってきます。CIQ等のための旅客施設整備についてのお考えを、県土整備部長、お聞かせください。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) クルーズ船の受け入れ港湾としてのハード整備について御質問を頂戴いたしました。
 本県に寄港実績のあるクルーズ船は、現在7万トンクラスが最大でございますが、外国のクルーズ船はさらなる大型化が進行している状況でございます。このような大型クルーズ船の受け入れには、安全に操船できる広い水域、長い船体に対応した係留施設、円滑なCIQ手続などを行う上屋が必要になると考えてございます。
 そのため、和歌山下津港においては、直轄事業で航路の拡幅とその岸壁の係船柱や防舷材の更新を、また、日高港においても直轄事業で岸壁の不足を補うための係船ぐいの整備が予定されてございます。さらに、新宮港においては、県で十分な水域を確保するためのしゅんせつや、岸壁の不足を補うための係船くいの整備を進めることとしてございます。
 また、これまでCIQ手続などは船内や仮設テントで行っていますが、現在行っている誘致活動の成果として大型クルーズ船の寄港が本格化した場合、乗下船に時間を要することが想定されます。このため、CIQ手続や旅客の待合所となるターミナル施設につきましては、今後のクルーズ船の寄港に対応できるよう整備の必要性を検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 建設委員会でも、八代港の国際クルーズ拠点形成について調査に行かせていただきましたが、クルーズ船の寄港数が平成26年度は1回、平成27、28年度がそれぞれ10回、平成29年には70回ぐらいと急増している状況でありまして、本県もこのクルーズ観光人気に追いついていけるよう、ソフト、そしてハード整備をよろしくお願いいたします。
 3点目に行きます。和歌山県のサイクリング振興についてであります。
 私は、本年、走行距離100キロを超えるサイクリングの実行と、しまなみ海道を走破するという2つの目標を立てておりました。100キロ超サイクリングは、5月のゴールデンウイークの半日を紀の川サイクリングロードのブルーラインを伝ってどれくらい不都合なく行けるものかと試走すべく、和歌山市東高松の自宅から紀の川大橋を渡って紀の川河川敷のブルーライン沿いに幾つか橋を渡りながら、九度山町の慈尊院にお参りした後、国道24号を経由してから紀の川左岸の一部、貴志川方面から和歌山市へ戻ってくるコースを走ってきました。ブルーラインも見やすかったし、キロメーター表示がわかりやすかったです。途中、広島市から連休を利用して走ってこられた人にもお会いし、紀の川サイクリングロードが県外の自転車愛好家にも広く認知されてきたことを実感しました。
 次に、10月1日からのえひめ国体の応援、視察に行ったとき、松山市内の移動は全てママチャリを利用、帰りは今治市のレンタサイクルで走りやすいクロスバイクとヘルメットをお借りしました。かなり使い込まれていましたが、たくさんの種類の自転車がありました。さすがサイクリングの聖地と言われるだけあって、5つの橋には歩行者用、自転車用道路があって、直線ですからスピードも出ますし、瀬戸内海の海と島々を眺めながら風を切って走る爽快感は何とも言えません。でも、橋を上まで駆け上がるらせん状の坂道がきつい。股間のケアをしていなかったので、不覚にも皮膚がずるずるにむけてしまって後半は痛みとの闘いでしたが、尾道市までの約80キロを休憩を含め6時間で走り切ることができました。
 今治市にも尾道市にもたくさんのレンタサイクルターミナルがあって、乗り捨て可能で便利です。さすがブルーラインの先駆けだけあって、わかりやすい青い線が我々を導いてくれます。サイクリングターミナルや道の駅、観光案内所も各地にあって、サイクリング愛好者には大変親切ですし、眺めのよい地点に休憩所が整備されています。サイクリストになれっこになっている土地柄ですから、島を走る車も寛容に横を通ってくれますし、島の人々も穏やかな笑顔を返してくれます。自転車に乗るほうと受け入れ側とのゆったりとした関係、これがサイクリング王国たる大きなゆえんだなと実感しました。
 さて、本年3月26日、わかやまサイクリングフェスタ2017が開催されました。3つのコースに分かれて計581名が参加、途中リタイヤが160キロコースで10名、60キロで3名、落車事故と自動車との接触事故が1人ずつ救急搬送されました。私も10キロの部の2人乗り自転車・タンデムの体験走行会のお手伝いをさせていただいて、主に視覚障害者の年配の方やヘルパーの方が直線コースを軽快に、いかにも楽しそうに走ってくれたのが大変印象的でした。
 また、先月19日、すさみ町サイクリング大会実行委員会が主催した枯木灘サイクリングフェスタRIDE ON SUSAMI 2017も晴天に恵まれて、海あり山あり川ありの自然を満喫する70キロのコースで、約400人が参加されました。
 大会に参加された方から感想をお聞きしていたので、御紹介します。
 「沿道で旗を持って、参加者に対して感謝の意を表してくれた」、「日ごろ食べられないようなものも提供いただいた」、「コースを間違えないようにスタッフが導いてくれた」、「町ぐるみで応援してくれて、ここは風が強いから危ない、気をつけてと声をかけてくれ、励ましてくれた」と大好評でした。両方の参加者はわかやまサイクリングフェスタにも言及していますが、事実関係はあくまでも別として、「サイクルステーションに表示看板やバイクラックはあるが、水1杯のサービスの提供があってもよかったのに」、「自販機も見つけられないところがあった」とか「紀の川サイクリングロードのエイドステーション間の距離が長かった」等々、率直な感想を述べておられる方もいました。
 一方、県外からの参加者のブログをのぞくと、「事前にたくさんの参加案内が送られてきて、過去参加したイベントの中で最も観光誘致に対する意欲が高いイベントだった」、「このイベントに出て、観光地をゆっくり見て回りたいと思ったのは初めて」、「コースは余りきつい感じはなかった」、「高野山エリアの印象が強かった」、「エイドでの補給食に関しては大満足、特に甘酒(もちろんノンアルコール)がおいしかった」、「ちゃんと考えて地元のものを食べさせようという気持ちが伝わってきた」、「エイドの何カ所かにゆるキャラが出張してきて、これが地味にうれしい」、「和歌山のイメージは『何もない』だったけど、実はめちゃめちゃコンテンツが豊富だ。千葉に非常に似ている」、「何よりよかったのは、地元の人たちの地域愛だ」、「今までのイベントの中でも、特にスタッフの対応が温かいイベントだった」、「初開催なのにPDCAサイクルがしっかりしている」など、肯定的で満足のいく内容が多かったようです。県内の方、そして県外の方、それぞれ御意見もあったようですが、謙虚に参考にしていだたきたいと思います。
 第2回目のわかやまサイクリングフェスタ2018は、来年3月25日、わかやまマリーナシティをスタートとし、全4コース、計1000人の参加者ということで、和歌山市から紀北地方で開催です。第1回目以上の成功をお祈りしたいし、また何らかのお手伝いができればと思っています。
 そこで質問ですが、1点目、第1回目のわかやまサイクリングフェスタのいろんな教訓を踏まえて、第2回わかやまサイクリングフェスタ2018への意気込みを企画部長にお聞きします。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) わかやまサイクリングフェスタ2017につきましては、参加者のアンケートやその後の参加者のSNSでの発信内容などから、総じて好評をいただいたと考えております。
 わかやまサイクリングフェスタ2018をさらに充実したものとするため、サイクリング関係者や関係市町などと反省会を開催し、改善点について御意見をいただきながら、一緒に準備を行ってまいりました。
 今回のフェスタは、走行の安全性向上のため、一部のコースの変更を行い、エイドステーションの内容についてもさらに地域の特色を出せるよう、市町と一緒に考えているところです。
 また、スタート、ゴール会場を和歌山マリーナシティに変更して出展等の充実を図るとともに、新たに地域の観光とサイクルトレインを組み合わせたコースを加え、定員を1000名にふやして参加者募集を開始しました。
 また、前日にトークイベントや前夜祭を開催するなど、宿泊する参加者に楽しんでいただけるような工夫を行うとともに、警備員、サイクルリーダーやサポートカーなどのサポート体制の強化による安全面での対策の徹底を図ります。
 当大会の開催によって、和歌山がサイクリング愛好者に認知されるきっかけとなり、多くのサイクリストが和歌山に訪れていただけるよう、大会の成功に向け準備を進めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 今後、3回、4回と回を重ねていただきまして、それぞれ趣の異なった魅力いっぱいの中紀とか南紀にもコースを広げていっていただけたらと思います。
 2点目に、800キロを超える県内の海、山、川沿いのサイクリングロードの整備とその無限大の楽しみ方を提供するという「WAKAYAMA8∞」は、サイクリング王国和歌山を創造するための本気のプロジェクトとして期待するものですが、やはりサイクリストに楽しんでもらえる受け入れ態勢や、安全面の整備にとどまらず、しまなみ海道がそうであるように、地域住民に受け入れられ、地元に利益を生み出すものであることが求められると思います。「WAKAYAMA8∞」の意図するコンセプトを商工観光労働部長に伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 「WAKAYAMA8∞」につきましては、800の「00」を「∞」マークとし、県内約800キロにわたるサイクリングロードは、無限大の楽しみ方と可能性をお客様に提供することを意味しております。具体的には、海、川、山などの変化に富んだルートは、初心者でも楽しめるものや、目的地を決めず自由に周遊するポタリング、長距離を走るローディー、坂道を得意とするクライマー向けなど、あらゆるレベルのサイクリストに対応するものとなっております。また、サイクリストが世界遺産、絶景、温泉、グルメなどをみずからアレンジし、無限の旅の楽しみ方をつくり出すという意味も込められております。
 今後とも、「WAKAYAMA8∞」がお客様に広く浸透するよう、サイクリングと旅の楽しみ方を国内外のメディアを通じて発信してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 サイクリストに楽しんでもらえるだけでなく、沿道の地域住民にも応援、協力してもらえるような地域振興につながるような視点も、この「WAKAYAMA8∞」のコンセプトに含まれるものであってほしいと思います。
 3点目に、私は、サイクリングは1つの都道府県で完結するのではない、広域的な楽しみ方を提供してくれるものだと思います。どこまでも続く海岸線を走る、紀の川の水源地まで川沿いを走る、先人がたどった道を歴史ストーリーに思いをめぐらせながら走る、あるいは広域の高速道路、例えば京奈和自動車道沿いを自転車で走る京奈和自転車道構想等、いろんな楽しみ方があります。ぜひ近隣府県ともさらなる連携を図って、お互いにメリットのある自転車交流による観光振興につなげていただきたいと思いますが、商工観光労働部長の御所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 近隣府県との連携についてですが、本県の紀の川サイクリングロードと奈良のならクル吉野川ルートを約120キロでつなぐサイクリング推奨ルートができており、協働で自転車周遊マップを作成した実績があります。
 奈良県では、既に自転車による誘客を行ってきており、本県の「WAKAYAMA8∞」と相互にPRすることで、広域的な楽しみ方が提供できると考えております。
 また、最近では、サイクリストの受け入れ環境整備を推進している大阪府の岬町から海岸線のルートで和歌山市の加太にお越しいただくサイクリストがふえている状況でもあり、今後、泉南や南河内エリアなど、自転車での誘客を積極的に行っている近隣府県や市町との連携について、効果的なものがあれば積極的に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 サイクリストは、自転車で走る爽快感を求めているだけでなく、年を重ねるにつれ、その地域の歴史、文化、伝統に触れてみたいという思いを抱くものです。今、県で推進されているわかやま歴史物語も活用しながら、例えば天皇行幸の際に御一行がたどった道、物語の主人公あるいは宗教者等が歩き、駆けめぐった道程を広域的に自転車で走ったり、あるいは府県境を越えるとその府県独特の各標識や風景に出会ったりするのも、サイクリストにとっておもしろいものです。
 それと、和歌山─徳島間の南海フェリーのサイクリング利用も多いですが、平成19年に休止となった深日洲本ライナーが、地元岬町を初め多くのサイクリストらの要望もあって、本年6月25日から9月30日まで社会実験運航が行われて、和歌山県からも多くのサイクリストが利用されましたが、今後の仕掛け次第で航路復活の可能性もあります。復活すれば広域サイクリングも一気に広がるでしょう。和歌山県としても注目いただきたいと思います。
 4点目に、去る11月19日、県交通センター運転免許試験場コースにおいて、県警察本部の呼びかけのもと、県下交通ボランティア4団体によるタンデム自転車体験試乗会が開催され、県サイクリング協会の指導のもと、私も交通指導員の立場で参加してきました。各団体の皆様のほかに、親子、男女のカップル、若い女性同士も参加されましたが、直線を走るのはすぐになれても、交差点を右左折するときの大回りの必要性や8の字コースを走る際の細心の注意を要することなど、一般公道走行解禁に向けて課題も見られたと思います。
 県警察本部におかれましては、当日とられた参加者へのアンケートを十分に精査もされ、今後行われるサイクリングフェスタ等での自転車道での走行会もごらんいただきながら、タンデム自転車の一般公道走行に向けて、安全面等さらなる御検討をいただきますよう要望させていただきます。
 4点目へ行きます。和歌山県の食と農についてであります。
 先月28日、和歌山大学食農総合研究所客員教授・三谷隆彦先生と2人で、お隣の奈良県に行ってまいりました。「奈良にうまいものなし」と言われて久しかった奈良県ですが、確かに人口1000人当たりの飲食店数、宿泊者数はともに全国最下位です。このレッテルからの脱却をということで、2003年に奈良のうまいものづくりが始まり、荒井正吾知事が2007年に就任してから、平城遷都1300年祭を契機に、前年の2009年から始めた県内外の一流シェフが奈良の食材を使用した料理を振る舞う屋外型フードイベント、奈良フードフェスティバル、すなわちシェフェスタin奈良の開催といった、奈良の伝統的な大和野菜や大和牛などの食材を生かす取り組みが強力に推進されました。回を重ね、毎年20万人以上を集める人気イベントに発展しました。
 また、荒井知事は、「研究に関するものはオンリーワンの研究、高度な研究をやれ。何を研究するかわしが決める」と言われ、2014年にもとの農事試験場の奈良県農業総合センターを奈良県農業研究開発センターに組織改編し、50億円をかけて昨年度、桜井市池之内に移転しました。
 センターは、食品加工研究室及び加工実習室が充実、加工はまさに県農林部のほうで行っており、受託分析作業は一切なくて、柿、イチジク、茶など奈良県の特産品を原料とした奈良らしい加工食品の開発に取り組んでいます。特に柿の加工が先進的で、柿を食感も味わえるシロップ漬けにして、香りも際立たせる研究のもと、缶詰をつくろうとしています。年齢による食味の変化に注目し、高齢者向けの柿の加工に取り組み、介護食をターゲットに農福連携に踏み込もうとしています。
 また、住江織物や大学と一緒に「柿ダノミ」という、お酒を飲むときに飲用する柿ポリフェノールを使ったサプリを開発、商品化しました。センターでは、国内外への展開も手がけ、中国、ドイツ、フランス、アメリカ、トルコ等へ2週間から1カ月間職員を視察研修に、さらに国内では国の研究試験場のあるところへ3カ月の中期研修に、それぞれ年に1人ずつ派遣しています。
 センターのすぐ横にもとの農業大学校であるNAFIC──奈良県立なら食と農の魅力創造国際大学校アグリマネジメント学科があります。同科では、1人1圃場による実習や先進農家のもとでの長期実習などを取り入れるとともに、農産物に付加価値をつける加工実習や商品PRスキルを養う販売実習を取り入れ、経営やマーティングなど農業経営のプロを目指すものです。20人の定員中、新規就農者が9人いるということです。
 また、車で数分のところに同大学校フードクリエイティブ学科があります。同科は、1人1ストーブ、すなわち1コンロ方式による調理実習や、全国初の取り組みとして注目されている一般客を迎えるオーベルジュを併設して実践実習を行っています。オーベルジュの運営は、全国及びパリに33店舗のレストランと3つのホテルを展開する東証一部上場企業の株式会社ひらまつで、平松会長が同大学校の校長に就任されています。このオーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井は、開校に1年先駆けてオープンし、ランチは現在3カ月待ち、客室もシーズンには満室となる盛況ぶりです。また、1200平米の実習農場で農業実習も取り入れ、プロの料理人を講師として6人常勤で迎え、世界で通用する農業のわかる食の担い手たる料理人、オーナーシェフ養成を目指すものです。
 いずれの学科も最低限の学力は確保して、人物重視で、いかに農業をやりたいかを見ています。いずれも、フード(食)とアグリ(農)を共通で学び、ブランド化を目指しています。とにかく、農業ももっと食に比重を置いて、農作物のブランド化や魅力ある加工食品づくりを手がけたり、県の特産品を生かしたおいしい料理を楽しんでいただいて、観光振興につなげていくことが必要ではないかと改めて実感しました。
 そこで質問ですが、和歌山県も海、山、川のおいしい食材の宝庫であります。和歌山県こそ、食の魅力を生かした農業を大いに展開できる県であります。食の魅力があれば、県下の農業高校の生徒も、県農林大学校の学生も、新規就農に向けてもっとモチベーションが上がってくると思います。農林水産部の有するソフトとハードを駆使して加工研究、そして人材育成にも注力した本県の地域活性化の核となるおいしい農業を発展させていっていただきたいと思いますが、農林水産部長の御所見をお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員御指摘のとおり、加工技術開発や人材の育成は重要であると認識しております。
 農林水産物の魅力をさらに高めるために、県では農林水産関係の試験場が工業技術センターや食品関連企業等と連携して加工研究に取り組んでおります。具体的には、果肉が赤い梅の新品種「露茜」のシロップを開発するとともに、現在「南高」等を使ったジャム、菓子等の新たな加工品や、イタドリの機能性成分を生かした商品開発を進めております。
 また、本年4月、農林大学校に開設したアグリビジネス学科では6次産業化にも力を入れており、コンビニエンスストアとの協働による県の特産物を使ったおにぎりの開発や、地元食品加工事業者と連携したケチャップづくりなど、実践的な人材育成を行っているところであります。
 今後とも、加工食品開発や人材育成を推進し、本県の魅力ある食材をより一層活用した取り組みを進め、農林水産業を発展させてまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目、要望ですが、来年3月までに和歌山県工業技術センターに待望のフードプロセッシングラボが完成予定です。まさにその名のごとく、食品加工実習室でありまして、今までの3倍の面積があります。ぜひ、食品産業にかかわる企業の皆様にこそ広く活用いただきたいと思います。
 そこで多くの加工食品が生まれて商品化され、企業が企業を呼ぶ好循環が働いて、ひいては食と農にかかわる人材がたくさん輩出されればと期待をしております。食と農をさらに結びつけてくれるフードプロセッシングラボもいよいよ稼働する中、ぜひ農と商工の人事交流も一層進めていただきますよう要望させていただきます。
 要望にかえさせていだたいて、これで私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、長坂隆司君の一般質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕(拍手)
○菅原博之君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、登壇させていただきます。しばし私が掲げる項目について、皆様とともに御検討いただきますようお願い申し上げます。
 さて、今回は震災対策についてと本県の振興について質問させていただきます。
 政府の調査によれば、南海トラフ地震の平均発生間隔は88年2カ月となっております。前回の発生から72年経過しておりますので、いつ起こっても不思議ではない段階に入っている一方で、震災対応につきましては過去議会でも数々の質問をされているところでありますが、このたび、中央防災会議の「東海・東南海地震の余地は不可能」という新方針を受け、本日は、過去に日本で起きた大震災の経験にも照らし、予想される南海・東海・東南海3連動地震、南海トラフ大地震の際の対応を考えてみたいと思います。
 まず、過去の大震災に際しては、多数の本県職員の皆さんが応援に駆けつけられ、大変御苦労いただくとともに、現地でもその活動が感謝されたとお聞きしております。また、その活動経験は、とりもなおさず本県で万一の際にはぜひ役立つとの気構えで現地に入られたと存じます。
 そこで、その経験も踏まえ、過去の大震災についての教訓と思うところを危機管理監にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの菅原博之君の質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 東日本大震災では、地震・津波により多くのとうとい命が失われました。そのため、県では、震災発生後直ちに防災・減災対策の総点検を実施し、津波による犠牲者ゼロを目指し、高台への避難路の整備等の促進を初め、緊急避難先の見直しと安全レベルの設定や「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」を策定し、津波避難困難地域を抽出するとともに、その解消のための対策を推進しているところでございます。
 また、国立研究開発法人海洋研究開発機構が紀伊半島沖の海底に設置した地震・津波観測監視システム「DONET」の観測情報をもとにした津波情報の提供を行うなど、防災情報伝達の多重化を進めております。さらに、速やかに国等からの救援物資を受け入れ、被災市町村へ迅速に供給するなどの応急対策を効率的、効果的に実施するため、県内4カ所の広域防災拠点を中心とする受援体制や運営方法等を定めた和歌山県広域受援計画を作成しております。
 昨年発生した熊本地震では、車中泊を原因としたエコノミークラス症候群を発症する被災者が多く見られたことを踏まえ、市町村避難所運営マニュアルモデルにその対策を加えるとともに、避難所のプライバシー確保など環境改善の取り組みを促進するため、わかやま防災力パワーアップ補助金による市町村への支援の充実を図りました。
 県といたしましては、大規模災害から得られた教訓等を踏まえ、引き続き防災・減災対策に積極的に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 次に、今回、先ほども述べましたけども、中央防災会議において地震予知に関する注意情報を取りやめ、新たな事前情報を発表するとの報道がございました。その中身と、県民が注意すべき点についてお伺いしたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 気象庁では、中央防災会議に設置された南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応検討ワーキンググループによる「現在の科学的知見からは確度の高い地震の予測は難しく、現行の地震の予知を前提とする地震防災応急対策は改める必要がある」との報告を受け、11月1日から新たに議員御指摘の「南海トラフ地震に関連する情報(臨時)」の運用を始めております。
 その内容としては、第1に、南海トラフ沿いでマグニチュード7以上の地震が発生したなどの異常な現象が観測され、その現象が大規模な地震と関連するかどうかの調査を開始したという情報、第2に、観測された異常な現象を調査した結果、大規模な地震発生の可能性が平常時と比べ相対的に高まったという情報、第3に、大規模な地震発生の可能性が相対的に高まった状態ではなくなったという3つの情報となっています。
 県では、これらの臨時情報が発表された場合には、県総合防災情報システムを通じて即時に市町村に配信を行い、広く住民に伝達するとともに、県ホームページ「防災わかやま」等により周知を行います。
 また、南海トラフ沿いの大規模な地震発生の可能性が平常時と比べ相対的に高まったとの臨時情報が発表された場合の防災対応等については、今後、国からガイドラインとして示される予定であり、それまでの間、国は被害が想定される地域の住民に対して、家具の固定、避難場所・避難経路の確認、家族との安否確認手段の取り決め、家庭による備蓄の確認等について呼びかけを行うことになっております。
 県といたしましては、これらに加え、津波避難困難地域の住民や津波浸水想定区域内に居住する高齢者等の避難行動要支援者のための避難所の開設を市町村に要請するとともに、それらの方々に自主避難を呼びかけるなど、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 私は、このお話を聞きましたとき、まず一般的にこの情報がどう受けとめられるのかと思いめぐらせておりました。端的に申しまして、身に危険が差し迫っているということではなく、しかし、今までより危険に近づいているといった受けとめで、まずしなければならないことは身の回りの点検であります。
 御答弁のとおり、家具の固定の確認や防災グッズの確認、そして備蓄するべき食料、水はそろっているのかという確認であります。しかし、この備蓄すべき食料や水、薬といったものは、回転備蓄がまずどこの家庭でもとられている方法だと思います。つまり、賞味期限が近づく前に日常で消費し、買いかえていくものだと思いますが、その確認をする際、消費して買い忘れがないか、もっと言えば、この際もう少し備蓄を確保しておこうかという心理が起こるのが普通の考えではないでしょうか。この事前情報は、そういう方向にも働くと思うわけであります。
 そこで、事前情報の際に流通業へ備蓄需要への対策要請などが必要になってくるのではないかという疑問が湧いているのですが、危機管理監の御答弁をお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 南海トラフ沿いの大規模な地震発生の可能性が、平常時と比べて相対的に高まったとの臨時情報が発表された際の具体的な防災対応につきましては、現在、国においてガイドラインの作成に向け、静岡県等3地域をモデル地区として検討が行われております。
 議員御指摘の水や食料等の備蓄に係る物流対策などにつきましても、地域に混乱が生じないよう検討が進められるものと考えており、今後、国からガイドラインが示された段階で適切に対応してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 さて、次は発災後の対応についてお伺いいたします。
 これは、まず何をおいても県民の命を守るという対応が第一であることは議論の余地はありません。その上で、避難された方や被災地にそのまま暮らしていく方たちの現実もまた厳しいものであると認識しなければなりません。ある方は御家族を亡くした悲しみを背負いながら、またある方は乳飲み子を抱えて途方に暮れる方もおられるでしょう。また、ある方は年老いた親を介護しながら、水道も電気も途絶えた瓦れきの中でその日から生命を、命をともしていかなければなりません。
 生活のなりわいを立てる上で、とりわけ電気、水道などのライフラインの復旧は、残された人々にとって勇気を与え、前に進む力を与えてくれるとうとい作業となります。
 危機管理監に、ライフラインの復旧の観点から、発災後の対応についてお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 東日本大震災などの大災害を踏まえ、電気、ガス、通信等の事業者は、災害対策基本法第6条に基づき、南海トラフ地震等の災害対応を想定した防災業務計画を作成し、あらかじめ防災体制や災害応急対策に関する事項を定めております。また、これらライフライン事業者は、重要施設の耐震化や浸水想定地域内にある設備のかさ上げ、重要な送電や通信ルートの複線化などの対策にも力を入れております。
 さらに、情報収集のための衛星通信装置の整備や被災箇所の早期把握のためのシステム構築を行うとともに、自衛隊等外部機関との応援協定を進めるなど、迅速に災害復旧に当たることとしております。
 また、本県では、災害対策本部を設置する際、自衛隊を初めとする政府関係機関のみならず、電気や通信等のライフライン事業者にも参加要請を行い、これらの機関と緊密に連携、協力し、オール和歌山の体制で一刻も早い災害からの復旧に取り組むこととしております。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 電気については、東日本大震災、熊本大地震もおおむね1週間で復旧されているわけでありますが、水道はなかなか難しいと思っております。
 ここに、東日本大震災の際の資料がございます。恐らく津波の被害も重なるわけでありますから、水道復旧に関して教訓とすべきは6年前の東日本大震災だと思います。皆さんのお手元に配付をお願いしておりますので、ごらんいただきたいと思います。
 これは、厚生労働省健康局水道課がまとめましたもので、膨大なものですので要点を抜粋させていただきました。
 また、アンダーライン部分は、こちらで私がアンダーラインを引いたものでございます。中を読み上げてまいります、重要な部分だけ読み上げさしていただきます。
 まず、全般的な反省と教訓ということで、最初のページの一番下になりますが、個別の被災水道事業者から見れば以下のように整理することができるということになりまして、「周辺が同様の被災状況にあり、地域的な相互応援が実行不能な状況であったこと。 広域的な被害のため、電力・燃料・資材、応援人員等を被災地域周辺だけで解決できなかったこと、また、全国的にも不足したこと」となっております。
 次のページ、「被害が拡大・長期化した水道事業者の多くは、『水源の確保』の段階で課題を抱えたところである」、次のページ、5の3に行きます。中ほどに「給水拠点の数、その運用方法などの計画は必須である。渋滞、住民要望等による遅滞、水量拡大なども想定しておくことが重要である」、住民の要望によって柔軟に変更する必要があるということを述べております。
 また、中ほどで「被害状況や復旧計画等に関する広報計画を明確に位置づけ、利用者等に対する情報提供手段を確保する」、「地域的な公平性は図り難い。全体方針、計画を明確にすることや、区域ごとの復旧の見通しをできるだけ早めに示すことにより、苦情対応を軽減することも可能」。応急の応援の受け入れ体制の確保については、「活動拠点や図面等の情報確保は非常に重要である」、「被災事業者側は、必要以上に現場に関与せず、全体管理や応援事業者の相談対応に注力すべきである」。
 また、次のページになりますが、「水道事業の現状を考えれば、単一事業者での対応には限界があり、地震対応の計画・教育・訓練について地域的・広域的な対応を進めるべきである」、「事業運営方式の共通化などから事業間連携を図り、更には、危機管理体制確保の観点からも水道広域化を検討すべきである」、「通常、水道行政が含まれる衛生行政部局は水道行政以外にも重要案件を抱えることが多く」、「場合によっては近隣都道府県の水道事業も含め、人員融通等により緊急時対応の体制を確保すべきである」。
 次、もう1枚めくっていただいて、3の10のページになりますが、これが3つとも東北、東日本大震災の際の通信状況をあらわした地図であります。その中で、3つの地図ともこの赤い部分が、地震発生から数日間、通信障害が生じた部分であります。固定電話、携帯電話、電子メールというふうに3つとも非常に赤い部分が多く、通信障害が発生したと、しかも数日間発生したということになっております。
 さらにページを進んでいただいて3の13ですが、応援要請を行った主体は、被災水道事業者は実施が58%、他に依頼して実施は42%となっております。これは、被災したそれぞれの自治体あるいは広域の事業者が自分で応援要請をできたのは58%にすぎない、県が肩がわりした、自衛隊が肩がわりした、いろんなパターンがありますが、人に頼んで、他者に頼んで応援要請していただいたということが42%もあるということを示しております。
 また、隣のページに、右側になりますが、「紙ベース保管図の不足」、「津波や地震によるシステムや紙ベース図等の流失・破損等の被害が生じている」と、応援したくても詳細がわからないという状態が起こったということでございます。応援に入った者が詳細をわかるように、紙ベースの図面の詳細図が必要だということをここでは書いております。
 次のページ、3の19でありますが、物資の不足状況で、この図はガソリン、車両のガソリンが不足した、また応援の方々の食料が不足したということを書いております。
 右が3の20の図、浄水処理の薬品も不足しております。これは、浄水処理の薬品というのは日もちもしないものだと聞いておりますので、なかなか備蓄は難しいんでしょうけども、福島県会津若松地方広域市町村では浄水処理の停止になってしまったと、またほかの部署でも浄水の薬品を薄めて使うという事態になったということを書いております。
 次のページ、3の29でございますが、ここは応急給水計画の策定や応急給水の実施、応急復旧計画の策定、指揮命令・応援要請等の情報連絡、これは防災訓練として最も重要な課題だということで挙げられております。
 隣の3の31ですが、応急の給水活動について、「6割程度の事業者は重要施設への給水量が一部あるいはかなり不足した」、「震災初期では給水車等の不足により、重要施設への給水量が不足していたことが伺える」となっております。
 また、次の3の35ですが、特に不足しているリソースとしては、通水及び漏水調査人員、修理人員であり、次いで、応急復旧の計画作成人員、管材となっております。
 お隣、3の36、今後の応急対策の方向性を事業者に確認した結果、これはアンケート調査ですが、危機管理マニュアルの充実、防災訓練の強化というのが非常に多く挙げられた。
 隣のページ、3の37ですが、断水期間とその要因について触れられております。「『水道の耐震化計画等策定指針 平成20年3月 厚生労働省健康局水道課』に示される応急復旧期間の目標は、水道事業は可能な限り最長4週間以内、水道用水供給事業は同1週間以内となっている」。これに対し、この目標期間を超過し、水道事業は10日から6カ月かかった、水道用水供給事業は20日から39日間かかったとなっております。
 その下のほうですが、「他の系列からのバックアップを行うことができた野田村、仙台市では、断水期間は供給停止期間よりも短くなっており、バックアップの効果が十分あったといえる」となっております。
 また、「管路復旧の人員確保が少ない事業者は、一部を除き、断水が概ね解消する期間は2~3か月と長くなっている」ということになっております。
 また、当然一般の民間の水道事業者さんに応援を求めるわけでありますが、本当に広域な災害となりますので、日本水道協会さんに応援を求めたという初動体制の説明が次のページに書いております。
 初動体制、「具体的な応援先が決まらない状況で東北地方に向けて順次出発」、「移動過程において応援先を伝達することとした」。しかし、次の下のほうですが、「被災が広域にわたるとともに、甚大な被害によって通信の遮断等が生じ、被災状況の詳細が分からない状況であったため」、「東北地方支部長の仙台市に集まる形となった」。一旦出発したんですが、対応が、被害状況がわからないので、仙台市にみんな集まったということです。水道協会さんの各県ごとの支部が出動していただいたんですけども、この仙台市、この場において各県ごとの応援地方支部を割り当てることが合意されたと。一度集まって相談の上、割り当てたと。当然、時間がかかってしまったということを言っております。
 次のページ、1の6でありますが、断水の推移。「1週間で57%が復旧。3月末(約3週間)で90%が復旧。復旧困難地域(津波被災地)を除き、最長断水期間は7ヶ月」となっております。これは、津波の被災地を除いてであります。津波の被災地を除いて7カ月かかってしまったというところが出ています。
 3月11日の本震のほか、余震の被害もかなり影響を受けたということを次に書いております。その1の6の下のほうでありますが、断水戸数の推移を見ると、1万戸に減少したのは6月末、復旧がほぼ完了したのは9月末となっており、応急復旧期間が著しく長期化しているという報告であります。
 この次のページの1の10からの日本地図をごらんいただきますと、一番最初が3月11日の地震発生当時であります。この赤い部分が断水中の部分であり、青い部分が断水が回復したという部分であります。しかしながら、このグレーの部分、非常に多くありますが、これは不明という部分であります。したがって、不明の部分が非常に多いということが言えると思います。
 この3月11日の発生地点を見ていただいた上で、次のページの3月31日の部分の地図を見ていただきますと、かなり青い部分、回復したという部分がふえておりますが、やはり海沿いで断水中の部分が多い。結果、この3月31日でかなり一度回復しているんですけども、その下の4月8日の地図を見ますと、また赤い部分がふえている。これは余震による影響です。4月の初めに余震が起こったことによって、またかなり断水部分が非常にふえてしまっているという状況が言える。
 結果、3カ月近い6月28日、このお隣の地図でありますが、6月28日で断水地域が1万戸を割ったと、ようやく1万戸を割ったということになっております。ただし、これは福島県の原発の事故の部分もありますけども、これは地震発生地域ということで、この集計には津波の被災地域をこれは含んでおりませんので、かなり津波以外で、また福島県の原発以外の部分でもまだこの段階で断水の地域があるということがうかがえるわけであります。
 というわけで、水道復旧の難しさを述べてまいりましたが、私はこの対応を誤れば本県にとって著しい悪影響を及ぼすのではないかと心配しております。新政策でも、緊急遮断弁の設置に対して県が市町村を支援することが打ち出されておりますし、順次対応されてきていると思うわけでありますが、復旧がおくれればおくれるほど被災者は離散し、人口が震災前に比べ大幅に減ってしまうという市町村もあるのではないかと心配しますので、商店、工場の再開にとっても一刻も早く水道の復旧が望まれるところであります。本県の対応について、環境生活部長にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 南海トラフ地震等の大規模災害時の水道の早期復旧に向けた県の取り組みについてお答えを申し上げます。
 県が策定した地震被害想定調査では、水道施設の被害は広域に及び、ほぼ全ての県民が断水に見舞われることが想定されています。
 こうした事態に対応するため、県は市町村からの被害の状況や必要とする給水車を含めた資機材などの情報を早急に把握し、日本水道協会や管工事業協同組合連合会と連携の上、他府県の自治体からの応援を得て資機材や人員を確保し、復旧作業に取り組むこととしております。
 また、道路が寸断され、現場に行くことが困難な被災地域へは、自衛隊に応援を要請し、一刻も早い復旧に努めてまいります。
 また、応急復旧するまでの間、給水車で給水を行う必要がございますが、その水の確保につきましては、現在、耐震性があり緊急遮断弁が設置されている配水池の貯水量が全県民の6日分に当たる8万立方メートルであることから、これを10日分の約13万立方メートルにふやすことを目標に、本年度から市町村に対し、緊急遮断弁設置に補助を行っております。これにより必要な水が確保できると考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 特に初期対応は、担当課だけでしょい切れるものではないと思いますので、どうか皆さん、県を挙げての英知を結集した御対応をお願いしたいと思います。
 さて、本県の推計人口が94万人台に落ち込んだという集計が発表されました。いよいよ本格的な人口減少社会に踏み込んだ感がいたします。長期計画で取り組まれた種々の政策の効果が一刻も早く出てくるよう期待したいと思いますが、この事態は今後、とりわけ農業に大きな負荷をかけるのではないかと心配しております。農業自体の高齢化も進み、その上、顧客として頼む消費人口も減っていってしまうわけであります。私は過去、本県南部の林業や水産業にスポットを当て、当局に質問してまいりましたが、今回は大都市大阪に隣接する紀北地区の野菜や果樹農家に対する農業振興策についてお尋ねしたいと思います。
 まず、以前、県議会で輸出振興策の一環として柿輸出の際の輸送途上での軟化防止技術についてお尋ねしておりますが、その際、さらに新技術を開発中とお聞きいたしました。今回、アメリカへの柿輸出が始まりますが、海上輸送時に軟化をおくらせる技術の対策は進んでいるのか、農林水産部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 柿の軟化抑制技術につきましては、これまで果樹試験場かき・もも研究所にて開発に取り組み、収穫後の乾燥が果実の軟化を促進することを明らかにし、乾燥をおくらせる輸送用段ボール箱を開発いたしました。その研究成果は、香港等への輸送技術として現在も活用されております。
 この成果に加え、平成28年度からは、より効果の高い技術を目指して大学等と果実の輸出促進に関する共同研究に着手し、輸送技術の開発に取り組んでいるところです。これまでの成果として、低温保存と鮮度保持剤とを組み合わせることで、従来の方法よりも貯蔵性が高まることが明らかになりました。
 今回のアメリカの輸出におきましては、富有柿でこれまでの成果を実際の輸出で検証するとともに、研究期間の最終年度である平成30年度には、東南アジアへの輸出において、より軟化しやすい中谷早生などの極わせ柿で同様の検証を行い、輸送技術として確立する予定にしております。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 続いて、紀北地方の農家の期待も大変高い野菜について、生産面や大都市への販売拡大について、同じくお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 和歌山市や紀の川流域では、白菜、大根、キャベツ、新ショウガ、イチゴなど多様な野菜が栽培されており、人口の多い京阪神地域に隣接した当地域は、鮮度の高い野菜を供給できる有利な立地条件にあります。
 こうしたことから、県では、野菜産地の拡大を図るため、パイプハウスや予冷庫の整備に加え、循環送風機などの省エネ機器や収穫機、定植機などの導入に支援しており、農家の皆さんに十分活用していただいてるところであります。
 販売促進につきましては、本年は7月と10月にJAグループと連携してJR大阪駅でイベントを行い、多くの消費者に県産野菜をPRし、好評を得ました。また、野菜流通の中心である市場関係者には常に情報交換を行い、販売促進につなげているところであります。
 今後も、補助事業を活用した生産対策に加え、JAグループや生産組合と連携し、都市部での販売促進に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 続きまして、先ほど新技術もお聞きいたしましたが、果樹の生産対策と輸出の取り組みについてお聞きしたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 和歌山市や紀の川流域では、生産量日本一の柿や西日本一の桃を初め、ミカンやイチジク、ブドウなどさまざまな品目が栽培されております。
 県では、園内道や防風ネットの整備に加え、新品目の導入や優良品種への改植等に支援するとともに、光センサー選果機を活用したミカン厳選出荷にJAグループと連携して取り組んでいるところであります。
 また、果実の輸出につきましては、これまで東南アジアを中心に現地プロモーション活動に取り組んできた結果、ミカン、桃、柿など果実が高級量販店で販売され、輸出額も徐々にふえてきているところであります。
 特に、柿については平成25年度からアメリカ市場へ柿輸出解禁に係る植物検疫条件の早期合意について、日本政府に要望を続けてまいりました。その結果、本年10月12日、輸出が解禁され、全国に先駆け、本県産柿をアメリカに輸出することになりました。
 今後も、JAグループ等と連携し、生産対策はもとより、国内外に向けた販路開拓、販売促進に取り組み、本県農業の基幹品目である果樹の振興を図ってまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。
 恐らく、紀北地方の農業というのは野菜と果樹というのが大きな柱だと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 また、農業にかかわらず、国に対して大事なことを要望するというのは非常に大事なことだと思いますので、和歌山県はどうしたいんだというビジョンを持って要望していくということは、私は非常に重要だと思っています。よろしくお願いしたいと思います。
 さて、人口減少という観点からさらに進めたいと思います。
 本県では、移住の促進も大きな柱として取り組んでいただいておりますが、人口減少の痛みを多少カバーする方法もあるわけであります。それは、他県からの訪問者をふやす、交流人口をふやすということでありますが、まず観光が挙げられますが、ビジネスでの出張も観光として数字上は上がってまいります。
 そんな中で、まちを活気あるものにするとすれば、やはり若い人口が交流人口としてプラスされると、従来の観光、ビジネスに上乗せの形でまちおこしとして効果が期待されます。
 その呼び込みのきっかけとして考慮すべきことで、アニメやゲームソフトを好む若い層の間で「聖地」と呼ばれる現象が起こっております。アニメやゲームの登場人物の活動地や出身地の設定に本県が利用されている場合や、県内の風景がアニメやゲームで取り上げられ、その風景の場所が聖地化するといった現象であります。
 和歌山市以外にも、例えば日高郡の美浜町など、いずれも一見どこか場所は明示せずアニメやゲームに使用されていることが多く、熱心なファンにとって、その場所を見つけ、そこで写真を撮り、SNSにアップをするなどでブームになるなど、観光の素材としてやまちおこしの素材として可能性を秘めております。
 そこで、それらの県内素材の利用について、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 若年層の誘客について、県及び県観光連盟では、8年前から高い情報発信力と旅の決定権をあわせ持つ女性を中心とした若者をメーンターゲットに、女子に響くキーワードや表現方法により、SNSや女性向けの雑誌、テレビなどのメディアを活用した施策を展開してまいりました。その結果、世界遺産地域を中心に若い女性客が増加するなど、戦略的な情報発信により実際に誘客に結びつくことができたと考えております。
 県及び県観光連盟では、こういった考え方のもと、アニメやアイドル、コスプレといったサブカルチャーに関心が高い若年層に対しては、例えば人気漫画「溺れるナイフ」や「鋼の錬金術師」等の映画実写化、アニメ専門誌への聖地めぐり記事掲載、人気アイドルグループのプロモーションビデオ撮影、若者に人気のアニメ等のカルチャーコンテンツを集めたイベント開催など、フィルムコミッション活動でも積極的に取り組んでおります。
 また、昨年には、大河ドラマ「真田丸」に合わせて、若年層にも本県の歴史に興味を持ってもらおうと、ゲーム会社と連携した「戦国BASARA」キャンペーンを実施し、7500人以上の方が参加をいただきました。
 今後とも、女性を中心とする若年層の嗜好の変化や動向を注視し、ターゲット層のニーズに合わせた施策を実施することにより、積極的な誘客に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 菅原博之君。
  〔菅原博之君、登壇〕
○菅原博之君 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 次に要望ですが、将来、そういう作品そのものではなく、素材感を生かして何か企画しようという向きが出てきたときは、多分タイミングが非常に重要な要素になると思いますので、できる限り早い意思決定で、目立たない県当局のフォローや支援をお考えいただきますよう要望させていただいて、私の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、菅原博之君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時43分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(山本茂博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、大きく3つの柱で質問させていただきます。
 第1の柱は、台風・大雨被害にかかわってであります。
 台風21号は大きな被害をもたらしました。お亡くなりになった方、被災された皆さんにお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。
 私も、地元海南・海草地方だけでなく、紀の川市や新宮市などお見舞いに回ってまいりました。
 まず、台風21号の特徴と被害の概要について、危機管理監にお伺いしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 本年10月の台風第21号の特徴としましては、超大型で強い勢力を保ったまま紀伊半島に接近し、21日午後から和歌山県南部を中心に大雨をもたらすとともに、22日から23日未明にかけまして、台風を取り巻く発達した雨雲により県内全域が暴風雨を伴った大雨となりました。
 23日までの72時間降雨量は、新宮市で893.5ミリ、紀の川市で354.5ミリを観測するなど記録的な大雨となり、新宮市周辺や紀北地域などで多くの浸水被害と土砂災害等が発生しました。
 次に、被害の状況ですが、11月末現在で人的被害につきましては、死者1名、負傷者3名、住家被害は全壊が2棟、半壊・一部損壊が334棟、床上・床下浸水した家屋が2094棟に及ぶなど、多数の住宅が被害を受けました。また、県や市町村管理の道路で107カ所、河川で164カ所が被害を受け、大規模な土砂災害も5カ所発生しました。農林水産業関係では、農地・農業用施設や林業関係などに約34億円の被害が出たところでございます。
 県では、被災地域の迅速な復旧と被災された方々への支援に全力で取り組むとともに、引き続き防災・減災対策の充実に取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。
 今回の台風被害の特徴、課題が浮かび上がってきていると思います。私が見聞きしたことから、今後どういう対応が必要になっているのかを考えていただきたいと思います。
 海南市内でいうと、室山・岡田地域です。私が駆けつけたときには水は引いていました。ところが、1軒1軒回ってみると床上浸水のお宅もあります。3年前の浸水より20センチも高い浸水だといいます。
 紀美野町の議員から電話です。蓑津呂という地域で山の木が崩れて家が大変になっている、見に来てほしい。下津の伏山のミカン山が崩れたと友人からの電話です。海南金屋線の汲沢での道路の分断、生石山の麓で山林崩落、次々と被害の情報が入ってきました。
 被害の特徴は、さまざまな土砂崩れ、そして大雨による水を川に流すことができないための内水の浸水にあったように思います。海南市の室山にしても、紀の川市の丸栖、調月にしても、懸案の箇所での浸水でした。対策は考えられていたのですが、繰り上げてやってほしいという声が私どもへも当局へも届いているものと思います。
 紀の川市については、奥村議員初め皆さんから質問がありました。亀の川の整備計画との関係で、災害対策をどう急ぐのかという問題を県土整備部長にお伺いします。よろしくお願いします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 亀の川を初めとする浸水対策の状況について御質問を頂戴いたしました。
 海南市の岡田・室山地域の浸水対策等を目的としまして、亀の川と支川大坪川において河川整備を実施してございます。
 亀の川につきましては、平成22年10月に策定した河川整備計画において、河口から紺屋橋までの約4.8キロメートル区間について堤防整備や河床掘削を位置づけ、下流から順次整備を進めてございます。これまでに、河口より約600メートル区間とその上流左岸側約160メートルが完成し、今年度は引き続き右岸側の護岸工事と河床掘削を実施してございます。
 また、支川大坪川につきましては、亀の川合流点からJR橋までの約1.2キロメートルの県管理区間において、平成28年度から局所的な対策に着手し、現在、室山団地前において護岸の一部かさ上げや亀の川との合流点付近において河床掘削するための護岸の補強を実施してございます。
 さらに、市の管理区間であるJR橋上流の岡田地域については、浸水対策として海南市が排水ポンプ場の整備に取り組んでいると聞いてございます。県としては、今後ともさまざまな機会を通じて予算の確保に努め、亀の川や支川大坪川の整備を進めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 この質問に当たって、打ち合わせの中では、担当課の職員も、スピードアップを図り、早期に完成を目指したいというような考えも示されておりました。
 また、室山団地の前の一部かさ上げでありますが、あの部分は大坪川がJR線路下をくぐるところでクランクになっているので、少々のかさ上げでは間に合いません。JRとの関係で工事が難しいのでしょうが、JRへも働きかけて改善していただきたいと思います。これは要望といたしまして、次へ参ります。
 次は、農林水産業への被害であります。ミカン畑が崩れた、モノレールがだめになった、農機具が水につかったなどあります。こうした被害の実態はいかがでしょうか、農林水産部長にお伺いいたします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 今回の台風21号による農林水産業被害につきましては、被害総額が約34億4500万円の甚大な被害となっております。
 内訳としましては、農産物の風による傷みや冠水、園芸施設における損壊などで約5億7700万円、田畑の畦畔崩壊や土砂の流入、農道や水路、ため池被害など農地・農業用施設で約16億7300万円、林道ののり面崩壊や路側決壊、山腹の崩壊など林業関係で約4億6400万円、養殖業のへい死など水産関係で約7億2000万円となっております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 お答えいただいた中で、私が見せていただいたミカン山について、海南市から調査に来て、国の補助金を受けて復旧するかどうかの検討になりました。そこで知ったのですが、国の補助金はこのミカン山を完全復旧することを前提にしている、必要な経費は2200万円になります。それに対して出される補助金は200万円、そこにはモノレールの復旧は含まれていません。ミカン農家の方は、モノレールの復旧に補助してもらえれば、山の崩れたところは倒れたミカンの木は植え直しながらでもミカンをつくっていける、しかし2000万円も負担することはとてもできないと言われます。
 国の補助制度が農家の実情に合っていないのではないか。以前の大雨被害でも傾斜地の梅畑の復旧支援が実情に合わないという意見を国に上げていただいたことがあると思うのですが、引き続き現場の実情に合った復旧支援を働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 また、国の復旧支援の補助事業以外に、農家への救済支援の施策はないのでしょうか、農林水産部長からお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 県としましては、急傾斜園地での災害について復旧が促進されるよう、事業主体である市町村を支援してまいったところでございます。
 また、議員御指摘の傾斜地の梅畑の復旧支援に関し、平成23年の台風12号災害を契機に、農地・農業用施設の災害復旧制度の改正を国に対し強く要望を行いました。
 従来は、傾斜が20度を超える農地については農地災害復旧事業の対象外でありましたが、要望の結果、収益性が高いと認められる場合、20度を超える農地についても農地災害復旧事業の対象となり、急傾斜農地が多い本県にとって非常に有利な改正になったと考えております。
 なお、農業用モノレールにつきましては、共同利用・管理を行っているものは災害復旧事業の対象となりますが、今回の事案のような個人施設については対象とはなりません。
 国の復旧支援以外の施策につきましては、農業共済制度のほか、農機具については農業近代化資金等の低利融資制度があります。また、農業用モノレールについては国の果樹経営支援対策事業の補助対象となっております。
 県としましては、災害復旧制度を有効に活用していただくためにも、市町村に対し、引き続き制度を周知するとともに、市町村の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 地域の実情に合った支援を国でもできるように、状況をつかんで働きかけていっていただきたいと思います。
 次へ行きますが、今回の台風では幾つもの山崩れが起きています。私は、紀美野町の現場に行って見てきましたが、崩れた土砂とともに多量の木が流れ出していました。地元の方は、土砂だけでなく流木があったことが被害を大きくしたと話しておられました。
 山崩れの原因は、雨量や傾斜、地形など1つでなく、いろいろな要因があると思いますが、対策として何が重要であると考えられますか。また、山崩れによる流木の発生を抑えるためにはどのような対策が効果的だと考えられるでしょうか、農林水産部長にお伺いいたします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員御指摘のとおり、山崩れは雨量や地形、地質、森林の状態など、さまざまな因子が重なり合って発生するものと考えます。
 まず、山崩れを予防するためには、間伐等により森林の適切な密度管理を行い、樹木や下層植生の根の発達を促し、土石を縛りつける効果を高めることが重要であると考えております。その上で、万が一の山崩れに備えて治山ダムを設置することが木の流出を抑えるためには有効であると考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。いろいろ大変ですが、復旧と対策に頑張っていただきたいと思います。
 次へ行きます。
 第2の柱は、自然エネルギー開発と自然保護、超大型風力発電やメガソーラーにかかわってであります。
 前回の9月県議会で、自然に優しいはずのソーラー発電、風力発電が企業利益優先で大型化され、森林を破壊すれば本末転倒だと申し上げました。加えて、お金を出して住民の声を抑え込む覚書を企業が地元自治会と結ぼうとしている問題を取り上げたところ、知事は人権のない国の話みたいだ、つまり日本ではあり得ない話だという認識をされました。しかし、あるわけです。
 実を言いますと、私はあの覚書を取り上げるのが怖かったんです。知事から中途半端な答弁しか得られなかった場合、誰が覚書を外へ漏らしたんだということになって区長さんが苦境に立つかもしれない。そこで、「どこの覚書か知りませんが」といってカモフラージュして質問したわけです。
 知事は、大変立派な答弁をしていただきましたので、私の心配が杞憂となりました。これからもさまざまな企業が和歌山県では仕事をすることになりますが、企業と県民が共存共栄できることを願っています。
 ところが、心配な問題が幾つもあるわけです。1つは、9月県会でも取り上げた海南市、紀美野町、紀の川市、有田川町にまたがる超大型風力発電の計画です。環境配慮書を市役所で閲覧し、環境影響審査会の傍聴もしてまいりました。専門家による審査とともに、県民の皆さんがわかるようにしなければなりません。その点では大変不親切です。環境配慮書はコピーできない。企業のホームページでも閲覧できるが、印刷できないような加工がされている。計画の全体像を住民にわかりやすく開示するような指導をできないのでしょうか、環境生活部長からお答えください。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 環境影響評価において計画内容を住民にわかりやすく伝えることは重要と考えており、かねてから事業者にはわかりやすい形での情報公開を積極的に行うよう指導してきたところです。
 また、10月25日付で事業者に通知した配慮書に対する知事意見においても、住民との積極的な対話に努めるとともに、その説明の際には環境影響及び根拠となるデータ等について正確かつわかりやすく提供するよう述べたところです。
 さらに、県としても事業の概要をまとめた資料についてホームページに掲載し、情報の公開に努めているところです。引き続き、住民にわかりやすい形での情報提供を事業者に求めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 そういう方向でよろしくお願いします。
 そこで、環境配慮書に対して地元自治会から心配と批判の御意見が寄せられています。
 その1つ、紀美野町長は、心配な点を列挙するにとどまらず、記述内容が虚偽であるため、本書は信頼に足る図書となっていないという厳しい指摘までなされています。こうした意見に対して、企業は、次は方法書を作成し、その説明会など環境影響調査の手続が進んでいくわけですが、地元住民、地元自治体の懸念が払拭できない場合、この計画はストップになるのでしょうか、環境生活部長からお願いします。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 環境影響評価は、事業計画の内容を決めるに当たり環境にどのような影響を及ぼすかについて、事業者みずからが住民などの意見を聞きながら調査、予測、評価を行い、その結果を踏まえてよりよい計画をつくり上げていく手続です。
 事業の実施については、事業者が、地元住民、行政機関からの意見などを踏まえて判断されるものと考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 お答えいただいたように、業者が行政や住民の意見を聞いて、それを参考にして進めるという場になっている、つまりいろいろな意見があったらそれでストップになるというシステムになっていない、こういうことがわかってきて、これは大変だと思っています。
 一方、その計画をストップできる仕組みは林地開発の許可を与えるかどうかで、地元同意が条件になっている、これだけが歯どめになっているわけです。
 そこで、この風力発電で森林がどう伐採されるのかという観点から、環境配慮書を読み直してみました。この計画は4500キロワットの風車が72基建設される。風車のローターという回転部分は直径130メートル、高さが150メートルという巨大なものです。これだけ巨大なものを山の尾根に建設しようとすれば、設置場所、運び込む大きな道路を含めて相当の森林を伐採しなくてはならないでしょう。しかし、どれだけ伐採するのかは示されていません。
 環境生活部長にお伺いしますが、森林伐採による環境影響は評価されるのでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 配慮書の手続は事業の規模や場所が定まっていない計画段階のものであるため、伐採の位置や面積などは示されておりません。今後の環境影響評価法の手続の中で、事業者に対し、森林の伐採による環境影響について適切な評価と適切な環境配慮を求めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 環境配慮書といいながら、今の段階ではどれだけの森林が伐採されるのかという一番心配な点は示されていない、それはおいおい示されていくという、こういうことになる内容です。しっかりと見守っていなくてはならないと思います。
 そして、環境アセスの次の段階は、方法書というものを示すことになる。これは、環境配慮書に対して出されてきた意見を踏まえて計画を具体化するものだと思います。そして、この段階で地域住民に説明しなければならないというふうになっています。
 方法書の説明会では、住民の皆さんからはたくさんの質問が出されるでしょう。この環境アセスメントを進めるのは業者が進めるわけですが、形式的な説明で手続は済んだというのでは困ると思います。住民の質問にはしっかりと答えてほしいと思うんですが、環境生活部長はどうお考えでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 先ほどもお答えしたように、環境影響評価は住民や行政機関の意見を聞きながらよりよい計画をつくり上げていく手続であることから、事業者には住民等の関係者に対し、丁寧かつ十分な説明を行うとともに、質問や疑問には真摯に対応する必要があるものと考えております。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私は、風力発電というものの可能性を否定しませんが、風力発電の規模が1000キロワットを超したところから健康への被害の訴えが多くなり、その問題の解決の方向が出されていないことから、現段階では1000キロワットを超える風力発電の建設にはブレーキをかけるべきじゃないかと申し上げてきました。
 さらに、このたびの日本エネルギー株式会社というのは、資本金10万円の会社だそうです。びっくりしました。その親会社は、シンガポールに拠点を置くエクイスエナジーという外国の会社のようです。こういう会社に和歌山の自然を、山林を任せてしまってもいいのかという心配の声が広がっていることも申し上げ、今後の経過をしっかりと見ていきたいと思っています。
 それでは、次へ行かせてもらいます。
 いま1つの問題は、メガソーラー発電の問題です。特に最近の大雨被害を見るにつけても、治山治水の重要性を痛感いたします。そんなときに、川の上流の山を丸坊主にしてソーラーパネルを張りつけるメガソーラー計画が進んでいる。海南市重根で計画されている旭メガソーラーについて私たちは心配しています。地元自治会への説明が進んでいるわけですが、この説明の手法にはいろいろの疑問があります。
 1つは、近隣のメガソーラーの計画の場合、事前に森林開発の事前協議書を県に提出しています。私たちはこの協議書の情報公開請求によって、計画の全容と県がその計画についてどんな意見を付しているかを知り、業者がそれをどうクリアしているかをチェックすることができました。しかし、旭メガソーラーの場合、県とは事前協議せずに地元4自治会と区長のみを対象に説明会を行っています。したがって、日方川下流を含む海南市民は、計画の全容を直接知ることができません。説明会に参加した自治会の関係者から説明を聞くしかありません。
 ただ、海南市へ届け出があり、それは土地の売買についての届けですが、土地利用面積は18ヘクタールとなっている、このことはわかっているわけです。
 そこで質問ですが、今回のような大規模な開発で、事前協議をしないメガソーラー企業がこれまでにあったのでしょうか。また、事前協議がされるべきだと考えますが、農林水産部長、いかがでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 林地開発許可制度における事前協議ですが、開発に係る事務手続が適正に行われるよう、関係機関が所管する法令等を明確にする手段でございます。
 この事前協議は、原則として開発に係る森林面積が10ヘクタールを超える場合や、開発事業者からの申し入れがあった場合に行うものでございます。
 これまで10ヘクタールを超えるメガソーラー開発については全て事前協議がなされており、今回の森林開発区域が10ヘクタールを超える場合には、当然事業者から事前協議申出書が提出されるものと思われます。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 10ヘクタール以上の場合は、事業者から申請があれば事前協議をする。この場合は18ヘクタールですから、当然申請があれば事前協議をするということなんですが、ただ、それを出すのは事業者の側になってるんですね。この事業者は事前協議をしなくてもきちんとしたことができるんだろうか、こういうことにもなるんですが、しかし今まではそういう事業者はなかったということでございます。
 ところで、この業者は県河川課の指導を受けてやっていますと、繰り返し住民への説明の文書で述べています。しかし、河川課に問い合わせてみると、協議に来たことはないと言うではありませんか。河川課のほうでは業者に注意をしてくれたんでしょう、業者は地元説明会で、12月9日付で「まだ協議にまで至っておりません」と訂正とおわびの文書を出してきたようです。この事実と異なる説明をして、そして地元自治会役員を信用させるという手法は重大です。業者の信用性を疑わざるを得なくなってまいります。
 続いて行きますが、さらに問題があります。地元4自治会ではいろいろな意見があります。そこで業者は、多数決で区の意見を決めてもらって、区と水利組合の同意で進めたいという説明をした。業者が地元自治体に多数決で決めてほしいなどというのはとんでもない話です。重根区という区がありますが、これは4自治会だけでなく13の自治会の集まりで、そこには区長さんがいらっしゃいますが、多数決をとる性格ではありません。
 この企業は、いろいろなところで事業を展開しているプロです。一方、地元自治会の役員というのは、初めてこういう問題に直面する素人です。地元自治会をこんな論法で自分に都合のよいペースに巻き込もうとすることは、私が問題にしている企業倫理からいってもどうなのかと思います。この業者のやり方には、大きな不信を持たざるを得ません。
 そこで、農林水産部長にお伺いしますが、地元同意という場合、県として何をもって地元同意とお考えでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 林地開発許可制度における地元同意につきましては、森林法及び和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領に基づき、開発行為の区域内の権利者や開発行為に対する利害関係者の同意としております。
 開発行為に対する利害関係者の同意の範囲については、開発地に隣接または下流域の直近に位置し、開発の影響を受けるおそれのある単位自治会及び権利関係者と考えております。
 なお、その同意書には、自治会の総会などで関係者の合意形成を図った経緯が確認できる書類の添付を求めているところでございます。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 区長が判を押して地元合意にならないということは、はっきりしました。私はこの隣接する自治会、さらに日方川下流を含めて影響が大きい自治会を含めて同意が必要だと考えるということを申し上げておきたいと思います。
 この旭メガソーラーの開発場所というのは、藤白断層という活断層が走っている地域でもあります。林地開発の事前協議もし、県からもアドバイスして計画の全体像を海南市民に明らかにして進めるように指導をよろしくお願いして、次へ行きたいと思います。
 第3の柱は、核兵器禁止条約、被爆者署名についてであります。
 核兵器廃絶にかかわって質問をしたのは、昨年の6月、オバマ前アメリカ大統領が広島を訪問したことにかかわってのことでした。その後、大きな歴史的な動きがありました。1つは、国連で核兵器禁止条約が採択されたということ、もう1つは、そのことに大きく貢献したICANという国際NGOがノーベル平和賞を受賞したことでした。どちらでも日本の被爆者の訴えが大きな役割を果たしたと伝えられています。
 この10日に行われたノーベル平和賞授賞式には、カナダ在住の被爆者サーロー節子さんが登壇し、核兵器廃絶への訴えは大きな感動を呼んだと報道されています。
 今、北朝鮮の核開発が世界から大きな批判を浴びています。歴史に逆行するものとして厳しく批判されなくてはなりません。しかし、その批判を本当に迫力あるものにするためにも、核兵器禁止から廃絶への大きな流れをつくっていくことが必要だと思います。国民一人一人、一つ一つの自治体も核兵器廃絶という悲願に向けて、歴史の歯車を回さなくてはなりません。
 私の出身地海南市、そして紀美野町では、合併前の4つの自治体が非核宣言をしていたのですが、合併によって宣言が消えてしまっていました。これではいけないと、9月議会では紀美野町議会が新たに非核宣言を行い、決議し、12月議会には海南市議会でも非核宣言をという請願が超党派の議員さんの賛同を得ながら審議されています。それが採択されれば、県下30市町村中27市町村が非核宣言をしたことになります。県議会では既に非核宣言はなされています。和歌山県としてもしっかりとこの流れに加わっていただきたいと思います。
 そこで、知事にお伺いするんですが、まず核兵器禁止条約とICANのノーベル賞受賞ということについて、どんな思いを持っていらっしゃるでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 核兵器廃絶については、議員御指摘のとおり、平成10年6月、和歌山県議会において核兵器廃絶平和県宣言が議決されております。この宣言は、核兵器の廃絶と恒久平和の実現を心から希求する全ての県民の願いが込められたものであると認識しております。
 核兵器廃絶に向けた活動は、世界中で数多くの団体が取り組んでおり、今回ノーベル平和賞を受賞したICANの活動も、その中の1つであると理解しております。核軍縮・不拡散は日本人の願いであると思いますので、受賞は喜ばしいものだと思います。
 核兵器禁止条約については、被爆国である我が国の国民の願いであり、実現できればよいという気持ちを皆が持っていると思っております。日本人は、誰もその志に反対の人はいないんではないかと思います。私もそう思いまして、日本は賛成するものだと思いました。
 確かに、核兵器国も非核兵器国も、全ての国が批准をすれば核兵器のない世界に近づくはずであります。しかしながら、日本政府はこれに加わりませんでした。それはどうかなあと、正直言って私は思いました。
 でも、その後わかったことは、核保有国がみんな入らない、1国でも賛成しない国があると、現実には抑止力で平和が保たれている世界でありますから、なかなか実効が上がらない。ましてや、核保有国や、そのために躍起になっている国々に囲まれている日本では、日米安保条約による米国の抑止力に依存せざるを得ないというのが、好むと好まざるとにかかわらず現実であります。したがって日本政府は賛成できなかったんだろうなあというふうに推測をしております。
 日本国政府は、この条約に批准をせず、この条約に加盟しないで、核兵器国と非核兵器国との信頼関係の再構築を最優先とした現実的アプローチをとると表明をしております。この表明は抽象的なものにとどまっておるなあというふうには思いますけども、以上の現実のもとにある日本の国民としては、政府の立場を理解せざるを得ません。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 知事も、初めは核兵器禁止条約に日本も参加したらいいのになと思っていたけれども、日本政府は参加しなかった。しかし、その理由を聞いてみると、知事としてはわからないこともないという、こういうことのようでございました。
 それはそれとして、この2つの出来事でも被爆者が大きな役割を果たしたということを申し上げてきました。被爆者がその思いを託したのが、被爆者が呼びかけた核兵器廃絶署名、通称「被爆者署名」であります。議場にも資料としてお配りしております。
 知事も、この署名に協力して、広く呼びかけるために力を尽くしていただければ、私たちも大変大きな励みになると思うんですが、いかがでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘の核兵器廃絶国際署名は、核兵器禁止条約の締結への賛同を求めているものであります。それ以外のことも書いてありますが、そういうことを書いてございます。
 核兵器禁止条約については、先ほど答弁いたしましたとおり、理想としては全ての国で締結してほしいと考えておりますけども、現実においてはおよそそれは実現できないというふうに考えております。そう考えて、政府も条約に賛成できなかったものというふうに考えております。
 それに対する政府の苦しい立場を理解できる者としては、あるいはましてや知事として県民の名誉のために、言ったことはちゃんと結果を出すということを要求されているという知事の立場を考えますと、この条約に入れと言っているものに署名することは遠慮しておきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ちょっと知事は誤解しておられるんですよ。この署名用紙を皆さん見ていただきたい。「被爆者は、すみやかな核兵器廃絶を願い、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことをすべての国に求めます」という呼びかけ、そして「私は被爆者の訴えに賛同して署名します」と、こういうふうに言ってるわけですね。
 そしたら今、核兵器禁止の条約が国連で採択をされた。それに対して安倍内閣は、究極的には核兵器廃絶するのはいいことだけれども、しかし今、核保有国がこれに参加をしていない、その中で条約を結んで参加することは、核保有国と核非保有国の間を分断することになるから日本は参加をしないというふうな態度を表明したわけで、そのことに対しては被爆国である日本がそれでいいのかという国際的な批判があった、そして被爆者の方からは、長崎の原爆の日でしたけども、「あなたはどこの国の総理大臣ですか」というて詰め寄られた、こういう経過があることはお互いよく知っております。そのことは知事もよく知っておられるわけで。
 しかし、このことは今はこの署名をするかどうかは脇に置いておいていい話なんです、この議論は。この署名は核兵器を廃絶する条約を結ぶことを全ての国に求めますという署名であって、それをどういうふうに結ぶかというプロセスについて何も書いてない。つまり、核保有国が入らんでも先に条約をつくってまうべきだというふうに書いてるわけではないです。この条約をつくられる前から、全ての国に対して、核兵器保有禁止の廃絶の条約を結ぶことを全ての国に求めますという被爆者の声を署名したもので、ですから、それで今つくられたこの条約について、入るべきだ、入るべきでないということまで、この署名には書かれていません。そういう大きな流れをする署名なので、ですから奈良県、兵庫県、滋賀県、京都府の知事さんもみんな署名をしてくれてるわけです。そういうものだということを理解した上で署名をしていただけたらどうかと思うんですが、いかがでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 雑賀議員の文章解釈に文句をつけるつもりはないんでございますが、しかし、私の見解とは違うなあというふうに思うわけです。雑賀議員は、これは一般的に全ての締約国が核廃絶をすべきだと言ってるだけだとおっしゃいましたが、それでは国連で提案された条約は全ての締約国が入らなくてもいいという条約であったかというと、全部がそういうふうにしましょうというふうな提案であったわけです。したがって、同じものだと考えるのが私なんかの文章解釈ではないかというふうに申し上げておきたいと思います。
 最終的に核兵器禁止条約の締結をするかどうか、国の外交や安全保障にかかわる問題でありまして、国の専権事項であるわけで、地方自治の代表であります知事の署名を求める議員の考えに、余り私は合理性がないというふうに思います。無理に迫るというのは、知事を利用して政治を、政府を困らせようとする政治的意図があるのではないかという疑いを──疑いです──招くおそれがあると私は思います。
 核反対を唱えたり行動したりするということは意義のあることであるけれども、万人受けのする免罪符みたいなところがあるなあというような気もいたします。署名をする以上、身命を賭して実現に向けて行動しないといけないものではないかというふうに私は思っておりまして、先ほど申し上げましたとおり、この条約を日本政府が賛成をする、あるいは世界で実現できるというのは簡単ではないというものに署名をするのは、美しい概念に立っているといういわば免罪符を買っただけのような気がいたしまして、ほかの知事のことは一切コメントいたしませんが、私の流儀ではないというふうに考えます。
○副議長(山本茂博君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 署名というものは自発的な意思でやってもらうもんですから、この議場でこれ以上署名せなんだら辛抱ならんというふうなことは言う気はございません。ただ、今知事の答弁をお聞きしても、大変無理のある苦しい答弁をしておられるなあという感じは皆さん受けてるんだろうと──これは私が思うだけの話で、あれだったら別にいいんですが。
 しかし、やっぱり最初の第1問のときに言われたように、最初は核兵器禁止条約も参加してもいいんかなと思ったというふうな、そういうのが自然の心だと思います。
 やはり今、核兵器保有国が、そして日本も含めてこの条約に入っていないのは大変残念なことですけども、これを歴史を前へ進めて、全ての国が核兵器禁止条約に入り、この悪魔の兵器がこの世からなくなるように一歩一歩進める、この歴史的な時期ですから、お互いにそれぞれ力を合わせて前へ進んでいきたいなというふうに思っています。そういう気持ちを申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕(拍手)
○堀 龍雄君 それでは、議長の許可をいただきましたので、一般質問をさせていただきます。4番目ということで、皆さんには大変お疲れのところ、いましばらくおつき合いのほどよろしくお願いいたします。
 台風21号等の災害を教訓としてということでお尋ねをいたします。
 台風21号において甚大な被害が生じ、紀の川市でもとうとい命がなくなりました。心から御冥福を申し上げ、一日も早い復興で皆さんが普通の生活が送れるように、心からお祈りを申し上げます。
 知事も議案説明の冒頭、農道の地すべりにより民家を直撃したことに触れられ、心からのお悔やみを申し上げられました。また、他の地域でも、紀の川の増水により多くの民家や工場が浸水し、大きな被害を受けております。年内にまだ操業できるかわからないということもお聞きしております。
 1級河川の紀の川については、平成24年12月5日に紀の川水系整備計画が策定され、今後30年間の整備計画に伴い、整備の目標や取り組み、進め方が順次整備を行われたことを承知しておりまして、ありがたく思っております。
 紀の川のすぐ上には中央構造線が通っており、防災・減災に資するよう沿川地域の安全・安心に努めなければならないと思っております。そのことを踏まえて、台風21号による被害の状況、これまでの地震、風水害を教訓とした防災・減災対策と今後の取り組みについて、知事に御所見をお伺いします。
○副議長(山本茂博君) ただいまの堀龍雄君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今回の台風21号は、超大型で強い勢力を保ったまま紀伊半島に接近し、県内各地に記録的な大雨をもたらしました。この大雨により、和歌山市を初めとする紀の川流域や新宮市周辺等で多くの住宅や工場、店舗等に浸水被害が発生、また県内各地の農地・農業用施設などで甚大な被害が発生いたしました。さらに、道路、河川の被害や土砂災害が多数発生し、現在も道路の通行どめが4カ所、南海電鉄高野線の一部区間が運休するなど、観光や県民の日常生活に影響を及ぼしております。
 何より、今回、紀の川市西脇地区で大規模な斜面崩落が発生し、お1人の方が亡くなられましたのは痛恨のきわみであります。改めて亡くなられた方の御冥福を心からお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。
 この斜面崩落については、県が広域農道を整備したところでありまして、その農道も含めて崩落しているために、これが原因であったか、つまり広域農道が原因であったのではないか、問題があったのではないかということを遺族とか住民の方々が懸念するということはもっともなことだというふうに思います。
 そこで、直ちに調査検討会を立ち上げ、年内を目標に学識者等により原因究明していただくようお願いをしているところでございます。引き続き、被災地域の迅速な復旧と被災された方々への支援について、全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。
 次に、これまで取り組んできた防災・減災対策についてお答え申し上げます。
 東日本大震災直後から、本県の防災・減災対策の総点検をずっと実施してまいりまして、地震対策として災害時の防災拠点となる県有施設の耐震化を進めるとともに、住宅や大規模建築物の耐震化を促進するため、全国トップクラスの助成制度を用意し、取り組みを推進しております。
 また、家具の固定やブロック塀の耐震化を進めるため、わかやま防災力パワーアップ補助金による市町村への支援、さらには災害対応を想定し、自衛隊などの関係機関と連携したさまざまな実践型の訓練を行うなど、県民の命を守る対策に取り組んでおります。
 また、風水害対策については紀伊半島大水害の教訓を踏まえ、台風や局地的豪雨による水害等の被害軽減を図るため、県管理河川の整備予算を毎年増額し、さらに民間事業者による河川の一般砂利採取を促進するとともに、ため池改修を加速させるなどの対策を推進しております。
 特に、紀の川水系については内水被害の軽減等を図るため、岩出頭首工付近への拡幅水路の整備や上流の河道掘削、国営総合農地防災事業和歌山平野地区の早期完成を国に強く働きかけているところでございます。
 土砂災害の対策といたしましても、土砂災害が発生するおそれがある区域を明らかにし、住民に危険性を周知するため、土砂災害警戒区域等の早期指定に取り組むとともに、県土砂災害啓発センター内に誘致した国の大規模土砂災害対策技術センターと連携して、深層崩壊等の調査研究を推進しております。
 県としては、こうした取り組みを間断なく進め、国や市町村など関係者と協力しながら、引き続き安全・安心でとうとい命を守る和歌山の実現に向けて取り組んでいく所存でございます。
 とりわけ、対策は決まっとるんですけれども、時間がかかるために、今回のケースなんかもこれが完成していたら起こらなかったのになというような話が随分たくさんあります。
 そこで、今回、ひょっとしたら大幅な国土強靱化のための補正予算が出るんじゃないかという期待もありまして、そのときに目いっぱいいただいて、それで通常の災害復旧に対する補正予算だけじゃなくて、将来の災害の予防にも資するような対策を早めるための予算措置をお願いしたいということで、この間から各省や与党をあちこち行って、駆けずり回ってお願いをしているところでございまして、うまくいけば従来の予定よりももうちょっと早くこの対策を完成できるんじゃないかと、そんなふうに思っております。
○副議長(山本茂博君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 県民の皆さんが安心して住まいのできていく、また会社へ勤めていくときに安全・安心で仕事ができるよということになっていけば、地域は発展し活性化されると思います。今、知事さんのほうから、強靱な和歌山づくりをしていきますよと、早めていきますよということをお聞きして、本当に安心しております。今後ともよろしくお願いしときます。
 国道370号の今後の対策についてということで、2カ所の崩落の状況についてということでお尋ねします。
 台風21号の大雨により、九度山駅の上、通称雨の森のところと古沢の崩落の2カ所の災害が発生しました。雨の森のところは規模も大きく、道路幅の7割が崩れており、道路の近くの住宅も危険な状況で心配しましたが、いち早くの応急作業で今は落ちついている状態です。
 古沢の道路崩落については、道路幅の2分の1ぐらいで大型車両は通ることはできませんけれども、道路脇の空き地があり、地権者の好意でガードレールを撤去して仮舗装していただいて通行可能となりました。これも早い県の対応で早く開通でき、生活道路として活用されております。これがなければ地域住民の方は、高野山の矢立まで行って国道480号でかつらぎ町に出るという大変な大回りになります。現在、この2カ所の状況はどうなっているのか、県土整備部長にお尋ねをいたします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 国道370号で被災のありました2カ所の状況について御質問を頂戴いたしました。
 九度山町内の国道370号で崩落のありました2カ所の状況ですが、雨の森では川側の路側が延長20メートル、高さ14メートルにわたり崩落し、残る幅が約1.5メートルとなってございます。山側には家屋が近接しており、安全に車両が通行できる幅員が確保できないこと、仮復旧工事を行ったとしても本復旧の際には仮設物を撤去するために改めて長期間の通行どめが必要になること、このことから現在も全面通行どめを継続して早期に本復旧を目指すこととしてございます。
 また、中古沢では、川側の路側が延長11メートル、高さ7メートルにわたり崩落し、残る幅が約2メートルとなりました。当該箇所につきましては、先ほど議員からも御紹介ありましたように、山側の民地の御協力が得られたことにより安全に車両が通行できる幅員が確保できましたことから、被災した翌日から片側交互通行としてございます。これらについては、現在早期の復旧に向け、工事の入札手続を進めているところでございます。
○副議長(山本茂博君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 本当に県の早い対応で、地域住民の方々が今活用して生活していけるよということで喜んでくれております。
 それでは、次の質問に入らせていただきます。
 2カ所それぞれの工法と完成時期についてということでお尋ねをいたします。
 国道370号は、高野山に通ずる主要な道路ですが、いまだに通行することができません。そのために、国道480号に集中している状態です。国道480号は、府県間トンネルの鍋谷峠トンネルも4月に開通して、今までとは大きく異なり、1日当たり4500台ぐらいの通行量があり、京奈和自動車道路を利用して観光客もふえている状況であります。
 国道480号に集中し、土曜日や日曜日になると2キロ、3キロにも及ぶ渋滞になります。観光客もそうですけれども、地域住民にとって生活するのに欠かせない道路です。これを早く解消するためにも、早く工事に着手していただくほかにありません。
 2カ所の崩落規模は大きく違っておりますけれども、そのことによって工法や入札の時期、また完成の時期も変わると思います。それぞれの箇所についての御説明を県土整備部長にお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 先ほど御答弁申し上げました2カ所の工事の工法や完成時期について御質問を頂戴いたしました。
 復旧工事の入札状況につきましては、雨の森の現場は12月末、中古沢の現場は12月の中旬に施工業者が決定するスケジュールで手続を進めてございます。
 対策工法につきましては、それぞれの被災原因や現場の状況を勘案し、検討いたしましたところ、いずれの箇所につきましても大型ブロック積み工法を採用することとしてございます。完成時期につきましては、雨の森は遅くとも出水期の始まる6月まで、中古沢は遅くとも年度内の工事完成をそれぞれ目標に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 迂回等をお願いしている皆様には、長期間にわたり御不便、御迷惑をおかけすることとなりますが、早期の復旧に努めてまいりたいと考えてございますので、御理解と御協力をいただきたいと考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 一日も早く開通していただいて通行できますように、御尽力のほどよろしくお願いしておきます。
 3つ目の質問に入らせていただきます。
 国道370号の九度山町九度山交差点から国道480号と接続する高野町矢立交差点の整備についてお尋ねをします。
 先ほども申しましたけれども、国道370号は主要高野山参詣道路でもあり、地域住民の生活道路でもあります。南海高野下駅の周辺は特に道路の狭小な区間があり、バスの離合ができないところがあります。交通渋滞も頻繁に発生しています。また、台風などの大雨には道路が冠水して、道路脇にある民家の床上浸水もたびたび起こっております。長年の懸案であり、要望活動のおかげで、高野下駅付近の狭小であった赤瀬橋の拡幅工事の予算が平成23年度に決定され、平成29年度に完成の運びとなりました。その際に赤瀬橋の高さを1メートル高くすることから、道路の冠水防止のためにも、家屋の浸水防止のためにも、道路をなだらかにかさ上げすると伺っておりましたが、まだ未着工とのことです。
 国道370号の九度山町から高野町までの間は、急なカーブや狭小な部分もまだ多く残っているように感じます。また、仁坂知事は行政報告会で、国道370号に力を注ぎますとおっしゃってくれておりました。
 そこで、国道370号の九度山町九度山交差点から国道480号と接する高野町矢立交差点までの現在の整備の状況と今後の整備について、県土整備部長にお尋ねをいたします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 国道370号の九度山交差点から矢立交差点間の間の現在の整備状況と今後の見通しについて御質問を頂戴いたしました。この間につきましては、国道480号と接続し、高野山内へ通じる幹線道路でございます。また、第2次緊急輸送道路として災害時の緊急輸送に備えることなどに向けまして、順次整備を進めているところでございます。
 現在の整備状況につきましては、九度山町域において、平成24年度から特に狭隘であった赤瀬橋の架けかえ工事を優先的に進め、平成29年3月に供用し、現在、取りつけ護岸等の工事を行っているところでございます。
 また、高野町域におきましては、特に交通の支障となる6カ所、約1.5キロを平成26年度に事業化し、そのうち用地取得が完了した細川地内の2カ所、約0.7キロについて今年度から路側工事等に着手したところであり、早期完成を目指したいと考えてございます。
 今後の整備につきましては、大型観光バス同士の対向が可能となるよう、幅員狭小区間や線形不良区間などの特に交通の支障となる箇所を優先した整備を検討してまいりたいと考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 狭小なところや急カーブについては、交通の支障にならないように優先して整備をしていけるという御答弁をいただきました。そして、部長も御存じかと思うんですけれども、道路が冠水して民家がつかりますよというところもやはり頭の中に入れておいていただいて、早くかさ上げをしていただいて、冠水のおそれのないようにしていっていただきたいなあと、そう思います。よろしくお願いしておきます。
 また、次の問題に入らせていただきます。
 上古沢地域の地すべりについてということで、台風21号の大雨により地すべりがあり、その下に民家もあり、一時避難もしてもらっておりました。また、南海電車もまだ運行を見合わせている状況です。
 地すべりについての今後の状況と対策、今後の見通しはどうなるのか、県土整備部長にお尋ねをいたします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 九度山町上古沢地域の地すべりについて御質問でございます。
 南海高野線の上古沢駅のホーム及び線路を含む斜面において、10月22日の台風21号に伴い地すべりが発生いたしました。
 議員御質問のとおり、この地すべりにより線路が被災し、現在、南海高野線は高野下駅から極楽橋駅間で運転見合わせが行われてございます。県と南海電鉄では、地すべり発生後、速やかに機器を設置して地すべり活動を観測しておりますが、現在のところ活動はほとんど認められず、小康状態にあると推定してございます。
 ただし、降雨等により地すべり活動が再発する可能性もあることから、九度山町による警戒避難を支援するために必要となる観測データの提供と警報装置の設置を行ってございます。
 また、応急対策として地下水を抜くための横ボーリングを行うとともに、地すべりの規模や原因等を解明し、対策工事を設計するためのボーリング調査等の地すべり調査を南海電鉄とともに実施をしてございます。
 今後は、南海高野線の運転再開を最優先と考え、南海電鉄による線路の仮復旧工事に最大限協力するとともに、運転再開後は復旧工事と並行して地域の安全を確保するための地すべり対策工事を着実に実施してまいりたいと考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 次の質問に入らせていただきます。
 紀の川増水時による内水の対策についてということで、かつらぎ町内の紀の川支川の対策についてお尋ねをいたします。
 台風21号の大雨により紀の川の水位が上昇のため、民家や工場への浸水被害が発生しました。紀の川の水位が上昇することにより樋門を閉鎖せざるを得なくなり、地元で降った雨が紀の川に流すことができなくなり、内水位が上がり、住民の生命や財産が危険な状態になっております。内水面対策として、紀の川に流入する河川で、各自治体が仮設ポンプや消防団による消防ポンプで排水作業を行っております。かつらぎ町においては、財政厳しい中、人命、財産を守るために排水ポンプを発注しているとお聞きしております。
 このように、各自治体では独自に災害対策に努めておりますけれども、それだけでは追っつかない状況にあり、住宅や工場への浸水が発生しています。このような状況を少なくして被害を少なくするためにも、県としての対策はどうお考えなのか、県土整備部長にお尋ねをいたします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) かつらぎ町内の紀の川支川における県としての取り組みについて御質問を頂戴いたしました。
 かつらぎ町内の紀の川支川の対策につきましては、桜谷川、藤谷川において河川の断面を拡大し、河川からの溢水を軽減するため、河道掘削等に取り組んでいるところでございます。
 桜谷川につきましては、紀の川合流点から妙寺駅上流までの1960メートル区間の改修を予定しており、平成28年度までに約590メートルが完成済みで、平成29年度は引き続き約60メートルを実施してございます。
 藤谷川につきましては、紀の川合流点から国道24号までの600メートル区間の改修を予定しており、平成28年度に詳細設計や物件調査等を実施し、平成29年度から用地買収に着手してございます。
 今後とも、さまざまな機会を通じて予算の確保に努め、整備を進めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 紀の川の本川の対策についてということで、紀の川の水位を下げて内水面の高さを少しでも低くすれば、内水氾濫が少なくなり、住民の生命や財産を守られると考えられます。
 そのことから、かつらぎ町は3年前から土砂のしゅんせつを3回で約3万立米採取し、川の高いところが低くなりました。水面より下げなくて、川の水を汚すことなく作業をしてくれました。その結果、台風21号の増水時には砂利のしゅんせつした川上側と川中に樹木が立ち並び、しゅんせつしていないところでは1メートル余りの水位の差が出ました。これは、川幅によって差があると思われますけれども、ほぼ川幅が同じで1キロメートルぐらいしか離れておりません。河床を下げることは減災につながると思っております。
 また、河床のしゅんせつできないと思われる橋脚の近くや、余り土砂の堆積のないところでは、大きな樹木の伐採や竹林の撤去が有効と思われます。木の生えているところや竹林には、増水時には大きな木材やごみがたまり、ダムのようになり水がせきとめられ、水位が上昇しています。木を伐採することにより川幅も確保されれば、水位が下がると考えられます。
 11月20日に近畿6府県の議員フォーラムがあり、地方自治、観光・文化、防災、医療・福祉の4つの分科会に分かれました。私は、雑賀議員と防災の分科会になり、コーディネーターは京都大学防災研究所副所長で社会防災研究部門教授の牧紀男先生でした。テーマは、「災害に対する自治体の備え・役割」ということで行われました。
 近畿府県においても、大雨による河川氾濫や土砂災害などに見舞われており、自治体における災害対策は喫緊の課題であると述べられ、分科会では、自治体が災害に対してどのように備えるか、また災害発生時にどのような役割を果たすかについて議論されました。
 各議員からの意見は、内水面のことが話題になり、滋賀県の議員からは、内水が氾濫しないように田んぼや畑を農家と取り決めをして、その田んぼや畑を遊水地にすることで災害対策になるんではないかというような考えも述べられておりました。
 私は、先ほど述べたとおり、本川の水位を下げることは、河床を下げたり、樹木の伐採が効果があると説明し、下流からと違って上流のほうでもこの作業をしてても下流側に悪い影響は与えませんかということをお尋ねしました。木の伐採やしゅんせつすることで川幅が広くなり、流れが緩やかになり、悪影響になりませんということを言っておりました。
 このことから、水位を下げるためにしゅんせつや樹木の伐採が有効と考えますが、県土整備部長のお考えをお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 紀の川本川の水位を下げ、内水被害軽減を図るための取り組みについて御質問を頂戴いたしました。
 紀の川本川の対策につきましては、国が平成24年に策定した河川整備計画に基づき、狭窄部対策や河道掘削などにより、戦後最大規模の出水に対し、これを安全に流下させることができるよう整備を行うこととなってございます。この整備を完了することで、紀の川本川の水位の低下が見込まれることから、内水被害の軽減が期待されているところです。
 一方、国による紀の川本川の河川整備は、狭窄部対策が下流から順次進められるなど時間も要することから、その間、一旦確保した流下断面をしっかり維持するためのしゅんせつ等の維持管理を国が行うほか、国、県、市町においても排水ポンプ車を配備するなど、さまざまな手段を用いた内水被害の軽減に努めているところと考えてございます。
 今後とも、紀の川沿川の内水被害を軽減させるよう、紀の川本川の計画的な河川整備の加速化を初め、出水後の調査等により現地状況を確認した上で、流下断面の確保や支川排水の円滑化に資する河道内樹木の伐採や円滑な流下を阻害する堆積土砂の撤去がなされるよう国に働きかけてまいりたいと考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 昨日の一般質問の中でも、岩田議員が大滝ダムからの放水、放流というんですか、毎秒1170トン、大滝ダムへ入ってくる水が毎秒2037トンあるんですけれども、それで調整してくれておるんですよという話をお聞きしました。その1170トンの紀の川に放水するのには、理由があるんですね。それ以上放水したらある地域が──和歌山県と違うんで地名は言いませんけれども、ある奈良県側にある地域が毎秒1200トン放流するとつかってしまうと、浸水するおそれがあるんで、毎秒1200トン以下に抑えておるということもお聞きしております。
 そこを考えますと、紀の川に流れてくる水が最大で1200トン未満であろうということのその形がつかめれば、和歌山県にある紀の川に入ってくる支川を何とか改修すれば、浸水被害というものが減るのではないかなと、そう思うわけであります。まして、その支川については県管理の支川と町管理、市管理の支川があると思います。県管理の支川についてでは、順次直していただいておることは承知の上でありますし、ありがたく思っております。しかし、町管理、市管理の支川になってくると、やはり予算の都合であるんかわかりませんけれども、なかなか前向いて進んでいかないというのが実態でありますので、そのほうにも県としてでもお力をかしていただいて、整備のほうに努めていっていただきたいなあと思います。
 そして、本川のしゅんせつや樹木の伐採をすることによって、目に見えて効果がありますので、国のほうにももっともっと強くしゅんせつ、伐採をさしていただきますようにお願いをしていっていただきたいなと、そう思います。
 4つ目の項目に入らしていただきます。認知症対策についてということでお尋ねをいたします。
 年々認知症の方が増加し、2012年で、5年前のデータなんですけれども、認知症の方が460万人、予備軍が400万人いると推定されています。認知症は、物事を記憶や判断して考えたり理解する認知機能は、社会生活を営む上で最低限必要な機能だそうです。物事を考えたり判断したりするときに、脳の中には神経細胞が神経伝達物質を使ってさまざまな状況を伝えるという重要な役割を果たしております。このことから、加齢とともに神経細胞が減少して認知機能が低下することで、物忘れなどの症状が多くなってくるそうです。
 残念ながら、現在、こうすれば認知症にならないというような方法がないそうです。しかし、最近の研究から、どうすれば認知症になりにくいかということが少しずつわかってきたとありました。予防対策は、認知機能を重点的に使うため、対人接触を行うことや知的行動を認識した日々を過ごすことが重要と言われております。具体的には、週に3日以上有酸素運動をしなさいよ、人とよくおしゃべりをする、また文章を書く、読む、30分未満の昼寝をする、起床後2時間以上太陽の光を浴びることとありました。
 このことを考えると、私は認知症の方が外へ外出することも大切なことと思います。そのために、近所のコンビニや各種商店の方々の協力は必要かと考えます。地域における認知症の方を見守る体制づくりについては、どのような状況ですか。また、認知症予防のためにどのようなお取り組みをされているのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) まず、地域での見守り体制についてですが、認知症の人が住みなれた地域で自分らしく暮らし続ける社会の実現を目指すには、認知症の人に優しい地域づくりを進めることが大切です。そのためには、地域住民が認知症のことを正しく理解し、認知症の人やその家族を温かい目で見守る体制が必要であると考えております。
 こうしたことから、県では、県民への認知症の理解を深めるため、シンポジウムや研修会の開催を通して広く周知しているところです。
 加えて、認知症の人やその家族の応援者である認知症サポーターを県、市町村が中心となって養成し、町なかやスーパーなどで必要に応じて高齢者に対して声かけや案内などを細やかに行うことにより、見守り体制の充実に努めているところです。
 なお、本年9月末現在、県内で約5万5000人の認知症サポーターを養成したところであり、引き続き地域の事業所などへの働きかけを行いながら、認知症サポーターのさらなる増員を図ってまいります。
 次に、認知症予防につきましては、アルツハイマー病などの認知症を引き起こす大半の病気は、いまだ予防法は十分には確立されていませんが、認知機能低下予防の観点からは、議員御指摘のように、有酸素運動を行うことや人とのコミュニケーションを図ることなどの取り組みを習慣づけることが大切であるとされております。
 このため、県では県立医科大学と協働で認知症予防プログラムを開発し、市町村における認知症予防教室や高齢者学級、高齢者サロン等、さまざまな活動の中で効果的に活用するよう働きかけているところです。
 県といたしましては、今後とも市町村との連携を密にしながら、認知機能低下予防の効果的な取り組みの推進に努めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 少子高齢化が進む中で、子供は地域の宝物ですよというて子供を地域で育てていこうよということも打ち出されております。今まで貢献され、認知症になられた方も、地域で見守り、その方々がやはり活発に外に出ていってもらえるように、例えば果物屋さんでとかお菓子屋さんでとか本屋さんでとか、そこら一帯商店の方々にも認知サポーターになっていただけるように、そして認知症の方が外に出歩いて、出ていっていただいて、症状が進まないような対策をとっていただけたらなあと、そう思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 消費者被害の防止についてということで、第2次消費者教育推進計画の重点事項についてということでお尋ねをいたします。
 昨今、高額な布団等を売る訪問販売や衣服等を買い取るといって訪問し、手持ちの貴金属を買い取る訪問購入などの消費者被害が後を絶たないと聞いております。
 最近では、販売実績のない通常価格と、それよりも安い販売価格を並べて、あたかもお買い得であるかのように装った業者に対して、消費者庁が措置命令を出したところでございます。
 また、お試し価格ですよといって初回500円と広告があったので、初回だけ買うつもりで申し込みをしましたが、チラシの中の離れたところに3回の定期購入が要件であることが記載されており、解約できるまでに2回、3回の購入が必要となった事例などがあります。
 こうした消費者トラブルが多い定期購入や訪問購入などの契約を対象として、トラブル防止のために消費者庁は特定商取引法を改正するなど、関係法令の整備がなされているところです。こうした消費者トラブルは高齢者が受けることが多いと思いますが、次々と新たな消費者トラブルが出てくる状況においては、消費者自身が知識をつけて、トラブルに遭わないように行動することが大変重要かと思います。
 現在、1年間の消費生活相談の件数は、全国で約90万件、県の消費生活センターで約6000件、県内の市町村には約2000件と依然高い状況にあるとともに、内容もより複雑になっています。消費者みずからが最新の情報を収集し、消費者トラブルに遭わないよう行動する、そのためにふだんから学習しておくということが必要かと考えます。
 こうしたとき、県では、第2次消費者教育推進計画案のパブリックコメントを募集していますが、今後、消費者トラブルを未然に防止するため、第2次計画では何を重点的に取り組んでいくのか、環境生活部長にお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 現在、パブリックコメントを実施しております第2次和歌山県消費者教育推進計画案におきましては、県民の消費生活の安心・安全と公正で持続可能な社会の形成を目指し、みずから考え、みずから行動する自立した消費者を育成するための教育を進めることとしております。
 その中で、架空請求はがきや訪問による貴金属の買い取り、いわゆる押し買いなど、複雑で巧妙になる消費者トラブルを未然に防止するため、特に3つの項目に重点を置いて取り組むこととしております。
 まず1点目は、若年層に対する消費税教育の推進で、消費生活アドバイザーなどによる学校への出前講座や、教員を対象とした研修などを行うこととしております。
 2点目は、高齢者等に対する消費者教育・啓発で、民生委員やボランティアなどによる高齢者の見守り活動の中で消費者トラブル防止の啓発を行ってもらったり、警察が実施するだまされたふり作戦を周知する高齢者向け講座などを行うこととしております。
 3点目として、消費生活センター等の拠点化で、消費生活センター等相談窓口の専門性を高め、地域住民の消費者教育や消費生活に関する情報を提供する拠点となるよう機能強化を図ることとしております。
○副議長(山本茂博君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 消費生活の相談体制についてということでお尋ねをします。
 皆さんが消費者トラブルに遭ったとき、どうすればよいか戸惑うことが多いと思います。泣き寝入りする人やお金を払い込んでしまう人もいると思います。こうしたことがないよう、困ったときすぐに相談できるか、どこに相談すればよいか、知っていることが一番大切だと思います。
 全国の市町村の消費生活センターは、平成21年度は378カ所であったものが、平成29年度には735カ所と、9年間でほぼ2倍になっています。消費生活センターは、先ほど質問したトラブルの事案など困ったときに気軽に相談できる場所であるとともに、消費生活に関する知識を習得できる場所でもあります。また、消費生活センターは、県はもとより市町村においても消費者行政の中心的役割を担うものとして、より一層の充実強化を図る必要があると考えます。
 計画案では、先月11月から全市町村において消費生活相談員による相談体制が構築されたと書かれてありますが、実際はどのような体制で、今後どのように相談体制を強化していくのか、環境生活部長にお尋ねをいたします。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 県におきましては、和歌山ビッグ愛と西牟婁振興局内の2カ所に消費生活センターを設置しております。また、本年11月からは全ての市町村に消費生活相談員が配置され、相談体制が整いました。
 消費生活相談員の配置は、毎日であったり週1回であるなど、それぞれの状況によって形態は異なりますが、住民を相互に受け入れる協定を締結するなど、周辺市町村や県が協力することにより、いつでも身近なところで専門的な消費生活相談を受けられる体制が整備されております。
 こうした体制整備に合わせ、消費者トラブルに遭ったときどこに相談すればよいかわからないという方をなくすため、身近な相談窓口を案内する消費者ホットライン、3桁の電話番号で188、語呂合わせで「『いやや!』泣き寝入り!」を周知しているところです。
 今後も、消費生活相談員養成講座や研修を通じて、消費生活相談員の育成や対応能力を強化し、相談支援体制の充実を図ってまいります。
○副議長(山本茂博君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 皆さんに周知していただいて、これ以上トラブルが起こらないように強化の体制をどうぞよろしくお願いいたします。
 6つ目の問いに入らせていただきます。
 府県間道路国道480号の安全対策についてということで、警察官立ち寄り所についてをお尋ねいたします。
 切望しておりました国道480号の鍋谷峠トンネルの開通により、交通量が約10倍にふえ、約4500台を超えるようになりました。国道170号の外環状道路までは20分で行けるようになり、最近の観光マップにもこのコースが記載されており、大型バスや自家用乗用車が世界遺産の高野山や丹生都比売神社、丹生酒殿神社、そして九度山の慈尊院への観光客が多く来てくれております。
 交通環境の整備で大変便利になり、地域住民の方やそれを取り巻く周りの人たちも大阪が近くなったよと喜んでくれております。しかし、いいことばかりではないと考えられます。交通量の増加により、交通事故や犯罪がふえることが懸念されます。
 大阪から和歌山に入る入り口となる四郷地域に駐在所がありましたが、現在、駐在所の統廃合によりなくなり、警察官連絡所として今も残っておりますが、道路の改修により道路の位置が変わって、今では全く見えないところにあります。
 その近くには、国道480号沿いにくしがきの里という道の駅があります。夜になるとどこからともなくバイクや車が来て、騒音を出したりドリフト走行した形跡もあり、地域の人たちが安全・安心して落ちついて暮らしていけるように、トラブルが発生しないように警察官の立ち寄り所を建設し、犯罪を起こさない抑止力となるような警察官立ち寄り所が必要と考えますけれども、警察本部長のお考えをお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 警察本部長宮沢忠孝君。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) 国道480号の鍋谷トンネルが本年4月1日に開通し、道路が整備されたことにより、府県間の交通の利便性が高まる一方で、交通事故や広域的な犯罪の発生も懸念されると考えています。
 現在、国道480号を管轄するかつらぎ警察署では、同国道を中心とした警ら活動を重点的に実施し、犯罪抑止、交通事故防止に取り組んでおります。
 一方、住民の方々から同国道沿いに警察活動の拠点を整備願いたいという御要望があるということも承知しています。県警察としては、国道480号の環境変化に対応するため、くしがきの里への立ち寄りや駐留警戒を強化する必要があると認識しているところであり、そのための拠点の整備に関し、かつらぎ町と協議しつつ実現を図ってまいります。
○副議長(山本茂博君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 本当に前向きな御答弁をいただきまして、本当にありがたく思っております。地域の方々を初め、観光客の方も安心して和歌山に来ていただけると、うれしく思っております。本当に御清聴ありがとうございました。これで、一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、堀龍雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時48分散会

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