平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


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  午後0時59分再開
○副議長(山本茂博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い、4点にわたって一般質問をさせていただきます。
 まず、最初の1点目は、沖縄の問題についてお尋ねをいたします。
 私は、これまで幾度となく、県主催の和歌山県出身沖縄並びに南方諸地域戦没者追悼式に参列させていただきました。ことしも11月28日午後2時半より沖縄県糸満市の紀乃國之塔前で行われ、参加させていただきました。
 この紀乃國之塔周辺には、各都道府県の慰霊碑が建ち並んでいます。御存じのように、沖縄は日本で唯一地上戦が展開された地であり、軍人、軍属だけでなく一般県民も巻き込まれ、多くのとうとい命が失われたところです。沖縄戦の犠牲者で最も多いのは沖縄県民ですが、全国から派遣された兵士の被害も大きく、和歌山県出身将兵の大半が沖縄最後の抵抗線であった糸満市米須で戦死したと言われています。
 式典では、戦没者を追悼し、とわの平和を祈念して献花を行いました。再び戦争を起こすようなことがあってはならないという気持ちがさらに強くなりました。
 少しでも沖縄の現状を知る機会になればと思い、短い時間でしたが、普天間基地が俯瞰できる嘉数高台公園の展望台にも行ってまいりました。あいにく曇り空だったので、姿が見えず轟音だけが響き渡っている中で、突然オスプレイが姿をあらわし、機体の腹部まではっきりと確認できるほどでした。初めて白浜空港の防災訓練で着陸するオスプレイを見てから、間近に見るのがこれで2回目です。
 その機体は、轟音とともに普天間基地に着陸しました。滑走路には何機かあり、しばらくすると1機のオスプレイがまた離陸し、わずか30分の間、戦闘機やヘリコプターなどあらわれ、住民の頭上を行き交うさまを見て、世界一危険だと言われている普天間基地を実感しました。
 この後、沖縄県庁にも立ち寄り―お手元に配らせていただいています資料1のこのパンフレットをごらんいただきたいと思います。
 基地問題は、基地のある地方だけの問題ではありません。国民一人一人が考えなければならない問題であると改めて痛感をしております。
 沖縄県発行の、沖縄の米軍基地の疑問をわかりやすく解説された「Q&A Book」を御紹介します。
 3ページの一番下の段落には、「戦後、沖縄は、昭和47年(1972年)の本土復帰まで27年間にわたり、米軍の施政権下にありました。本土復帰後も、本土では基地の整理縮小が進む中、沖縄には多くの米軍基地が日米安全保障条約に基づく提供施設・区域として引き継がれ、県民は過重な基地負担を背負うことになり、現在もその負担は重くのしかかっています」とあります。米軍人などによる犯罪、米軍機墜落事故など、これまでの米軍基地に起因する事件、事故が書かれています。つい4日前にも、保育園に米軍ヘリの部品が落下するという背筋がぞっとするような事故が起こりました。
 また、普天間基地移設問題については、22ページには、「土地を奪って、今日まで住民に大きな苦しみを与えておきながら、基地が老朽化したから、世界一危険だから、普天間飛行場の移設は辺野古が唯一の解決策だから沖縄が基地を負担しろというのは、理不尽です」と書かれています。そして、県民の民意として、「沖縄県は、辺野古への移設を反対しており、今後とも辺野古に新基地は造らせないということを県政運営の柱にし、普天間飛行場の県外移設を求める」とあります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 沖縄のこういった現状をどのように感じておられますか。また、県民にありのままの沖縄を伝えるために、このような資料のパンフレットの活用をしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。お答えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 2つの質問に一括してお答えしたいと思います。
 その前に、議員の御質問の中で、我が国で唯一の地上戦というお話がありましたが、定義がたくさんあると思いますけど、いかなる定義をとっても硫黄島を忘れてはいけないと私は思いますので、御指摘さしていただいておきます。
 現状では、地政学的観点から沖縄に基地が集中しておることは事実でございまして、それにより沖縄県民に多大な負担をおかけし、その負担のもとで日本の安全が何とか保たれているという状態でございますから、日本国民の1人として、沖縄の方々に対して、いつも私は心の中で頭を下げている次第であります。
 御提案のあった沖縄県が作成した米軍基地のパンフレットについては、米軍基地のできた経緯や基地が抱える問題、普天間飛行場の閉鎖撤去、県外移設などについての沖縄県の考え方が明確に書かれているものだと思います。
 しかしながら、在日米軍基地は、日米両政府が合意して、日本と極東の平和と安全を確保するため、安全保障上の観点から配備されているものだと考えられます。沖縄における米軍基地も、このような安全保障上、地政学上の観点から配備されているものだと思います。沖縄の米軍基地の縮小や移設、訓練の分散は、日本の安全保障全体にかかわる問題でありまして、沖縄の負担の問題も考慮しながら、国が責任を持って解決しなければならない問題だと思っております。
 その意味でも、この問題について議論をする人は、国家としての安全保障の問題も含め、全ての要請にきちんと応えるような議論をしないと問題の解決にならないと私は思います。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、知事の答弁をいただき、また、御指摘についてはありがとうございます。
 先ほど、基地の負担については沖縄の皆さんに頭の下がる思いであると言われた知事の言葉を重く受けとめさせていただきます。
 知事であるからこそ、もう1つ、安全保障の問題について、またの機会にぜひ議論をさせていただきたいなと、強く今また改めて思いました。
 しかし、私は、沖縄の状況をぜひ全国民として知っていただくために、こういった沖縄県自身がつくったパンフレットを、またさまざまなところでも御紹介をぜひしていただきたいなという思いで再度要望をさせていただきたいんですが、今回やはり何といっても、今の辺野古の新基地の問題におきましても、沖縄の民意というものが示されてるわけだと思うんです。そういった中で、国と地方の関係のあり方について、私は、極端にゆがめられた姿になっているのが沖縄ではないかと思っています。
 沖縄県民は、辺野古における米軍新基地の建設に一貫して反対しています。さまざまな場面で民意を示しています。地方自治の原則に照らすなら、国は沖縄の民意を尊重して基地建設を断念するのが、憲法のもとにある政府がなすべき姿勢ではないかと思います。そのことを私は問題にしたいんです。
 国の姿勢は地方自治をないがしろにするものであって、そのもとでは住民と自治体はみずからの運命をみずから選ぶことができず、国民は自治を担う主権者として育つ機会を奪われることになります。民主主義を死滅させることになってしまいかねないほどのことだということが、憲法審査会の中でも参考人の方が言われています。憲法第8章の保障する地方自治、地域の政治はその地域の主権者である住民の意思に基づいて行われるという統治の原則に反するものであるということを、私は今回指摘をしたいと思います。
 その点で、頭の下がる思いと言われているその気持ちを、知事として、やはり県民の命や暮らしを守ると、そういう立場の方が何をすべきかという点で私は問いたいと思っています。
 そういった点で、国の安全保障にかかわる問題だから、ある意味では犠牲にというか集中して、基地に──沖縄だけが基地があるわけではないですが、そういった危険な状況がたくさん今出てる中で、やはり1人の知事として、地方自治のトップとして何をすべきかという点で、ぜひとも今起こっている問題を率直にしっかりと県民が知る機会として、改めて、何度も言うようですが、こういったパンフレットを何かの機会に紹介、県としてまた取り組んでいただきたいということを要望して、次の質問に行かせていただきます。
 2点目、和歌山市有功・直川地区のメガソーラー計画についてお尋ねいたします。
 県は、10月27日、有功・直川地区の太陽光発電計画に係る林地開発許可申請書の提出について記者発表をされました。その内容は、住民同意を要する対象地域が明らかにされています。
 こういった県の姿勢を評価し、改めて記者発表の内容についてお尋ねをいたします。農林水産部長、お答えください。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 記者発表の内容についてお答えいたします。
 和歌山市有功・直川のメガソーラー計画に係る林地開発許可申請が、平成29年10月16日に、事業者から海草振興局農林水産振興部林務課に提出されました。
 森林法及び和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領に基づき、申請書に必要な書類が添付されているかを確認したところ、開発行為区域内の権利者の同意書や開発行為に対する利害関係者の同意書等の必要な書類が一部添付されていなかったため、平成29年10月25日に補正文書を添えて返却いたしましたので、平成29年10月27日に、これら一連の経過を発表したところです。
 なお、今回申請の開発行為に対する利害関係者については、開発地に隣接または下流域の直近に位置し、開発の影響を受けるおそれのある自治会及び権利関係者といたしました。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、内容についてお答えいただいたんですが、開発行為の区域内の権利者等の同意書の添付とありますが、計画地には、和歌山市管理の里道、水路などがあると思います。和歌山市の判断に期待するものです。
 また、計画の隣接自治会では、新たに住民投票が行われ、反対と決定した自治会がふえていると聞いています。ある自治会では反対が250、賛成30、もう1つの自治会では反対309、賛成101だったとお聞きしています。また、有功水利組合も反対を表明しています。このことをあわせて紹介をしておきたいと思います。
 次に、台風21号による大雨時の状況からも、流域の住民の方からの不安が大きい千手川について、流れを阻害する堆積土砂や樹木の維持管理はどのようになっているのかを県土整備部長にお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 千手川の維持管理について御質問を頂戴いたしました。
 県管理河川の維持管理につきましては、河川パトロール等により現地状況を注視し、大きく流れを阻害する状況が確認されるなど、その緊急性の高いところからしゅんせつや樹木伐採等を実施することなどにより、適切な維持管理に努めているところでございます。
 千手川につきましても、他の河川と同様に適切な維持管理に努めてございまして、今年度も観音橋の上流約300メートルの区間においてしゅんせつを実施する予定としてございます。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、御答弁いただいて、パトロールで緊急性の高いところからしゅんせつすると言われました。千手川は今年度内に300メートルにわたってしゅんせつを実施されるということで、住民の皆さんの不安に応えるものになっていると思います。
 今回の県の判断から考えると、相当な土砂の堆積があるということを示しているのではないでしょうか。このことからも、メガソーラーなどの大規模開発をすると、山崩れなどで一層土砂の堆積が進む可能性があるということではないかと思います。そのことを再度申し述べておきたいと思います。
 3点目に行かせていただきます。
 紀の川流域における水害対策についてお尋ねいたします。
 最初に、10月22日の台風21号による浸水などの被害が発生しました。亡くなられた方や被害に遭われた皆様に、心から御冥福とお見舞いを申し上げます。被災された地域を回らせていただくと、ある方は「ボランティアの皆さんが来てくれ、涙が出るほどうれしかった」と言われていました。対応された職員の皆様も本当に御苦労だったと思います。
 それでは、1つ目の台風21号による甚大な被害について質問させていただきます。けさの岩田議員の質問もありましたので、重複するかと思いますが、よろしくお願いします。
 特にここでは、紀の川流域の浸水被害の原因についてどのようにお考えかをお尋ねします。紀の川市の丸栖地区等における浸水対策についても県土整備部長にお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 紀の川市の丸栖地区等における浸水対策について御質問を頂戴いたしました。
 先ほど議員の御質問の中にもございました、午前中の答弁と一部重複するかもしれませんが、本年10月の台風21号による豪雨によりまして、紀の川沿川地域においては、紀の川市の丸栖地区を初めまして多くの地区で浸水被害が発生をしてございます。
 これらの浸水被害につきましては、紀の川本川の水位が長時間にわたり高い状態が継続する中、例えばかつらぎ雨量観測所では観測史上最大となる日雨量219ミリを記録するなど、沿川地域において近年類を見ない大雨となり、内水の排水が困難となったことが主な原因と考えてございます。
 次に、紀の川市の丸栖地区等における浸水対策ですが、同地区周辺では次の2つの事業が現在実施をされてございます。
 まず、紀の川本川においては、平成24年に国が策定した河川整備計画に基づき、平成28年度には岩出狭窄部を緊急対策特定区間に設定し、おおむね5年間で岩出頭首工付近での拡幅水路の整備や頭首工上流の河道掘削を国直轄事業により実施することとされてございます。
 もう1つは、農業用排水施設の排水機能を回復することを目的とした排水機や農業用排水路等の整備が国直轄事業により進められてございます。
 これらの整備が進捗または完了することによりまして、紀の川本川の水位が低下いたしますとともに、排水機能の強化が見込まれ、内水被害の軽減が期待されてございます。
 今後も引き続き、内水被害の軽減に資する対策の早期完成を国に働きかけますとともに、関係機関との連携による浸水対策に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、紀の川整備で、特に岩出の頭首工の拡幅工事ということでおっしゃっていただいてるんですが、この21号による被害の状況という、台風が過ぎ去った後で、私も貴志川の丸栖、また龍門山の麓とか橋本のほうとか行かせていただいたんですけども、特に丸栖は以前にもつかったりしてる、それで調月のほうも4年前にもそういった市営住宅などが大変な浸水に遭って、それ以上に今回はもっと浸水がひどかったというようなことをお聞きしてるんですが、丸栖地区をずっと回らせてもらったら、田や畑があって、そういった被害もあわせて、やはり収穫の終わった後のわらがたくさん民家に流れ込んだりとか、農業用機械が浸水したり選果場の機械が浸水したり、そういったことが起こっていました。
 1軒1軒というわけにはいかないので、外に出られている方にお声をかけて、お見舞いも申し上げたんですけど、その方はたまたま2年前からこの丸栖のところにお住みになって、以前は沖縄に9年ほど住まれて、また仕事の関係でほかの県にも住まれてたという、富山からおいでた方だったんですけど、その人が御実家に、郷里に帰られてる間にこの台風があって、それでニュースを見たら、ちょうど自分の近所の光景がニュースに流れていたと。それで、慌てて帰ってきたということで、そこで出くわしたんですが、2年前、またそういった以前にもこのようなことがあったと聞いて「何で同じことがまた起こったんや」といようなことで私も叱られたんですけども、先ほど部長が答弁してくださったようなことが対策としてされていますというようなこともお答えもさせていただいたんですが、そういったことで、「何で丸栖のほうへお住まいになられたんですか」と言うたら、「いろんなとこへ行ったけど、ここが物すごくええ」と、何か景色やらそういったことがすごくよかったということで、「一番いいと思って住んだんです」というようなことを言われてたので、やはり安全・安心な中で移住という問題も、そういったことが大変大事なことだなあということで改めて感じたところです。
 そういった面で、新しくいろいろと開発とか、分譲住宅をしたり、丸栖のほうにも新しく家が建てられてますけど、そんなところも安全・安心の面でもどうなのかということも、よく県の方にもお話しするとやはり民間の話なのでということも出てくるんですが、何とか、やっぱり和歌山県へせっかく来た人が安心して住んでもらうという面でも非常に大切だと思いますので、そういった面でも、ぜひ早くこういう事業を安全な形で進めていってほしいなと強くお願いをして、次の質問をさせていただきます。
 2つ目は、和歌山市の七瀬川流域における避難勧告等の判断、伝達についてお尋ねをいたします。
 先日、七瀬川近くの団地を訪問させていただきましたが、「寝ていて手が冷たくなり、初めて浸水していることに気がついた」、「トイレに行こうとして床が浸水していることがわかりびっくりした」などと言われていました。
 聞くところによると住民への避難勧告などなかったということですが、どのようになっていたのでしょうか。「県民の友」9月号には、避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成のモデル基準を策定し、短長期の降水予測を行う独自の気象予測システムが整備され、市町村が早期かつ的確に避難勧告などを発令できるよう支援していると、このように「県民の友」には書かれています。
 現状と課題について、危機管理監にお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 10月の台風第21号により、和歌山市では72時間で300ミリを超える大雨となりました。市全域で床上・床下浸水等で387棟の住家被害が発生し、議員御質問の七瀬川近くの団地がある紀伊地域においても204棟の住家被害が発生いたしました。
 災害対策基本法の規定に基づいて避難勧告等の発令を行う和歌山市に確認したところ、今回の大雨により、亀の川の水位が氾濫危険水位を超え、かつ、当該河川流域では時間雨量20ミリを超えることが予測されたことや、和田川の水位が氾濫危険水位を超え、また上流にある大池で越水のおそれがあったため、名草地区や西山東地区など7つの地区に対して避難勧告を発令しております。
 一方、紀伊地区につきましては、七瀬川は小河川のため水位変動が激しく、現場の状況で避難判断を行う必要があるとの理由で、消防隊による見回りを強化していましたが、夜間に浸水が発生したため、外出避難を危険と判断して、避難勧告等の発令を行わなかったとのことです。
 県といたしましては、市町村に対し、議員御指摘の避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成のモデル基準の運用等の徹底に努め、市町村が災害時に的確な避難勧告等を発令できるよう、引き続き取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁いただきましたが、やはり夜間に避難勧告を出すということになれば、大変危険な状況にさらになってしまうというようなこととか、そしたら夜間などの場合にどうするかとか、そういったことも含めて、住民がこういったことを十分理解していくことと、市町村がどの時点でどう出していったらいいのかというのは、これからもぜひ課題として、一緒に県も市町村とこういった点について具体的な事例などを含めて十分検討していってもらいたいなあということをお願いして。
 七瀬川については、そういうことに、浸水にならないようにするということが大事なことだと思うんですが、今回は団地の堤防というのが60センチぐらいのコンクリートの堤防があったんですが、そこを乗り越えて浸水、水がずっと来たということなんです。消防隊も来て、いろいろそのことで住民の方が気がついて、何か起こってるなというような感じをしてたんですけど、見る見るそうやって浸水起こったというようなことも言われてますし。
 ここの七瀬川だけではなくて、これからも起こり得ることで、このシステムというのが平成25年に事業として取り組まれたとお聞きしてるんですが、その間も含めてやはり市町村との連携が非常に大事だと思いますので、よろしくお願いしたいなと思います。
 この点については七瀬川についての要望として、やはり浸水対策として今、川幅を広げるなど河川改修を行っていただいていますが、一日も早い完成を目指して改修を促進していただけますようよろしくお願いして、次の質問に行かせていただきます。
 最後の4点目です。国保制度の改革についてお尋ねいたします。
 国保は、御存じのように、75歳未満の被用者保険に加入していない人が全て加入する公的医療保険制度です。国民皆保険体制を支える制度になっています。
 今、加入世帯の4割が年金生活など無職、非正規労働者などの被用者が3割を占めるようになり、国保加入世帯の平均所得は1990年代前半から下がり続け、今や全国平均では140万円、和歌山県内では106万円です。
 国保制度に対して、政府は当初、無職者が加入し、保険料に事業者負担がないことから、保険制度として維持するには相当額の国庫負担が必要と宣言していましたが、その後、国保の財政運営に対する国の責任を後退させ、国保の総会計に占める国庫支出金の占める割合は、1980年代前半の50%から20.3%──これは2015年度です──にまで下がっています。
 加入世帯の貧困化と国の予算削減が同時並行で進む中で、1人当たり保険料は上がり続けており、低所得者が加入する医療保険なのに保険料が高いというのが国保の構造問題と考えます。
 来年度から国保が県単位化され、県も運営主体となりますが、この構造問題にどう対応するのかが県に問われていることではないでしょうか。
 国は、国保の広域化、都道府県単位化を進め、都道府県を司令塔にして、国保運営方針に基づく財政管理、医療費適正化計画での医療給付費抑制、地域医療構想による病床削減を一体で進めるものになっています。県民から医療を遠ざけることになるのではないかと心配をするところです。
 そこで、お尋ねいたします。
 低所得者が加入する医療保険なのに保険料が高いという構造的問題についてです。
 皆さんのお手元に資料2を配付させていただいています。ごらんいただきたいと思います。
 収入、所得、世帯人員の各ケースで和歌山市の国保料と協会けんぽの保険料比較を出しています。
 ケース1、2は単身者の場合です。40代になると介護保険料が加わってきます。いずれも、国保は協会けんぽの1.7倍前後です。家族数が多くなると、国保はうんと高くなります。
 次に、ケース3や4です。ケース4では、収入360万円で4人家族、この場合、2.3倍にもなります。収入360万円で保険料が47万7840円にもなります。1.6カ月分の収入が保険料に消えてしまうわけです。
 さらに、国保加入世帯の4割の年金世帯の場合、ケース5です。年金収入200万円で国保は5割減免の対象ですが、それでも協会けんぽの同じ収入の世帯と比べてもまだ高いのです。こういったことから、払いたくても払えないという声は当然ではないでしょうか。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 県単位化によって、保険料はどのようになりますか。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 来年度の国民健康保険の保険料は、県が算定し市町村へ通知する国民健康保険事業費納付金の額をもとに、各市町村が決定することになります。
 今回の制度改正により、全国規模で約3400億円の公費拡充が図られていることから、保険料負担の軽減に一定の効果があると考えております。
 平成29年度に制度改正があったと仮定した場合の1人当たりの県平均保険料は、法定外繰り入れ前で9万5564円となり、平成28年度の10万6634円と比較し、1万1070円下がりました。なお、市町村別の1人当たり保険料は、2市で増額となっております。
 県では、現在、この試算結果をもとに、被保険者の方に過度な負担増とならないよう、市町村と継続的に協議を行っておるところでございます。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、運営方針の問題について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 保険料の統一を当面無理と言いながら、39年度には統一を目指すと踏み込んだのはなぜでしょうか。他の都道府県では期間を明示して保険料統一を目指すとしたところは少数だと思うんですが、県はなぜ方針に入れたのでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 県が国民健康保険の財政運営主体となることから、県内どの市町村に住んでも同じ所得であれば同じ保険料となることが公平性の観点から望ましいと考えており、国が示すガイドラインにおいても、将来的に都道府県での保険料水準の統一を目指すことが求められているところでございます。
 しかしながら、本県の現状では、各市町村間で1人当たりの医療費格差が約1.7倍あり、当面保険料を統一することは難しいため、県と市町村が連携して、「みんなで実践!健康づくり運動ポイント事業」を初めとする生活習慣病の予防対策や後発医薬品の使用促進など、医療費を下げるためのさまざまな対策を継続実施しながら、平成39年度までに県内統一保険料を目指すとしたところでございます。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、法定外繰り入れの解消期限を示しているが、法定外繰り入れは市町村の判断と言っていたのではないでしょうか。この点についてもお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 現在、一部の市町では、政策的な判断で保険料負担の軽減を目的に一般会計から法定外繰り入れを行っておりますが、県内統一保険料を実現するには、法定外繰り入れは解消される必要があります。
 県といたしましては、法定外繰り入れの解消による保険料の急激な上昇を避けるため、市町村と連携して医療費を下げるためのさまざまな取り組み等を進めることで、法定外繰り入れの計画的、段階的な解消につなげてまいります。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 再度ちょっとお尋ねしたいんですが、市町村が判断して法定外繰り入れを政策的にしているという点ですが、どのような理由でされているかという点では把握されていますか。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 法定外繰り入れを行っている市町からは、1人当たりの医療費が県平均より高いため、保険料負担も高くなることから、法定外繰り入れを行っていると聞いております。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最初に皆さんにお示ししたように、国保税、国保料が他の医療保険と比べても、また、加入者の所得から見ても非常に高いという点についておわかりいただけたと思います。それは、国費の削減が原因ではないでしょうか。それを補填するために、市町村が政策的に保険料負担の軽減を目的に繰り入れをしているわけですから、それは市町村の姿勢として尊重すべきだと思います。保険料統一のためにこれをなくすというのは、その自治体の自治権を侵害すると、そういったことになると思います。
 先ほど市町村の法定外繰り入れの理由ということをお尋ねしましたが、医療水準、医療費が大きいからというだけの問題ではないのではないかと思っていますので、その点でもしっかりとまた市町村に対して把握をしていただきたいと思います。
 次に行きます。
 新制度では、県が各市町村に納付金の額を提示する際、あわせて各市町村の標準保険料率を公表することになっているんですが、算定の仕方や公表をどのように考えておられますか。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 国民健康保険事業費納付金は、県全体の医療費を推計し、保険料として必要な額を積算した上で、市町村ごとに被保険者数、世帯数、所得水準、医療費水準を反映させ、算定することになります。
 平成30年度の各市町村の保険料のもととなる国民健康保険事業費納付金及び標準保険料率につきましては、現在、県において算定作業を行っているところであり、今月末に決定する診療報酬改定などを踏まえ、来年1月上旬には市町村に通知し、その後、標準保険料率を公表いたします。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 全国知事会では、ことしの7月、国保制度のさらなる改革に向けた提言を発表しています。国保への定率国庫負担の引き上げ、子供医療費無料化の国制度の創設、自治体の医療費無料化の取り組みに対するペナルティーの全面中止、子供の均等割の軽減などとなっています。実現に向けて、県としてもしっかり後押しをしていただけるようによろしくお願いいたします。
 最後に、国保の構造的問題について知事に……。済みません、1個抜けました。
○副議長(山本茂博君) 続けて。
○奥村規子君 よろしいですか。
○副議長(山本茂博君) はい、続けて。
○奥村規子君 保険料の徴収の適正実施についてお尋ねせんといかんのです。
 徴収を強化するというようなことで運営方針には書かれてるんですけども、そういうことになれば大変なことになるんではないかと思っていますので、その点についてもお考えをよろしくお願いします。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 徴収を強化するというふうには書いていないと思いますが、お答えいたします。
 保険料の適正な徴収につきましては、国民健康保険制度の健全な運営及び被保険者間の公平性の観点から大変重要であると考えております。徴収につきましては、今回の制度改革後も引き続き市町村が担うこととなっており、和歌山県国民健康保険運営方針では、保険料を滞納している被保険者に対し、納付相談等きめ細やかな対応を行うこととしております。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 以前にも国保の問題で質問させていただいたときに、大変滞納の問題、回収していく問題とかそういった中で、今部長が答えてくださったように、きめ細かい対応をしますと言うてくださってるんで、そのことが非常に大事だと思いますので。
 せんだっても、ある市ですけども、きちっと分割を、子供さんが難病でとか御病気で医療費も含めてなかなか保険料が払えない状況があって滞納されてたのを、きちっと役所とお話しして払ってたわけです。その方は、もう何十年も消防団活動なんかやってて頑張ってらっしゃった方が、突然その催促状とかいろんなことがあったりして、窓口での納付相談をやっぱりしっかりとしないと、もう機械的にやって回収機構へ送られるとか、そんなことになったら本当に大変なことなので、その点でぜひとも、県としてもしっかり市町村と連携してしてほしいなと思っております。
 最後に、国保の構造問題について知事にお尋ねいたします。
 「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない。」と国保法4条で規定しています。国の公的責任で国保の健全な運営を図るべきと考えますが、構造的な欠陥を持っている制度の根本問題の解決が必要ではないでしょうか。
 その点について、知事のお考えをお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国民健康保険制度は、年齢構成が高く医療費水準が高い、それから、所得水準が低く保険料負担が重いといった構造的な問題がございます。そのため、今回の制度改革では、全国規模で約3400億円の公費拡充が図られておりまして、保険料負担の軽減に一定の効果があると考えております。
 しかしながら、今後も医療費の増加が見込まれる中で、ナショナルミニマムとして国民皆保険制度の根幹をなす国民健康保険制度を持続可能なものにしていくことは、国の責任であろうというふうに思います。
 そのため、全国知事会では、これまでも繰り返し国庫負担金の増額など財政支援の拡充を国に要望してきたところでありまして、今後も被保険者の方の負担軽減が図られるよう、全国知事会を通じて要望していきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、要望させていただきます。
 県単位化そのものや保険料の統一で、構造的問題の解決にはならないことは明らかです。あくまで公費負担をふやすということがまず大事なことではないでしょうか。3400億円の公費が投入されて、それで一定の効果を評価していますが、まだまだ負担が重いというふうに思います。
 今回のこの3400億円を投入するということで保険料が少しでも引き下げが行われるわけですから、この点、県単位化によって保険制度が改善するというものではないと思います。
 資料2のほうで見ていただいたように、保険料の比較を見ても、企業負担がない分、また低所得者、無所得者が多い国保に相当の公費負担、投入がなければ、当然高くなってしまいます。知事も、国民皆保険制度の根幹をなすと言われました。国に要望するとおっしゃってくれました。同時に、県単位化でも、県も国保の運営主体となることから、県での公費投入を行うべきと考えます。
 また、市町村の繰り入れの努力は政策的な判断でということですが、それについてぜひ尊重すべきというふうに考えますので、その点についても今後しっかりと検討していただけますよう強く要望して、今回、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。

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