平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(岩田弘彦議員の質疑及び一般質問)


平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(岩田弘彦議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。


 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)
○岩田弘彦君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。ちょっと喉のぐあいが悪いので、聞きづらかったらお許しください。
 大項目1番、「未来を創り出す力を育む教育の推進」について、これは新長期総合計画の重要な柱の1つであります。3点ほど質問させていただきます。
 まず最初、(1)確かな学力向上についてであります。
 平成19年より、全国学力・学習状況調査が実施されております。この調査の目的は、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力・学習状況を把握、分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てること、さらに、そのような取り組みを通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立することにあると思います。
 調査は、小学校6年生、中学校3年生で行われており、教科については、主として知識に関する問題Aと活用に関する問題B、また、生活習慣や学習環境に関する質問紙調査では、児童生徒に対する調査と学校に対する調査が行われております。
 本年―毎年度の教育振興アクションプランでは、教科に関する調査における平均正答率を常に「全教科、全国平均を上回る」を目標にしておりました。
 しかし、結果を見てみますと全国下位低迷が続いていることから、将来を担う子供たちに、知識や技能の確実な定着を図るとともに、これらを活用して思考力、判断力、表現力等を身につけさせてあげる、このことにおいても本県の大きな課題であると考え、学力向上、学力定着のために以前より議場で取り上げてきています。
 今年度の調査報告を見てみますと、待ってましたのうれしい結果が報告されておりました。全国順位でいいますと、小学校の合計で昨年42位がことしは21位、中学校の合計で昨年37位がことしは28位となっておりました。まずもって、関係の皆様に感謝申し上げます。しかし、長期総合計画の数値目標は、全教科、全国ベストテン入りですので、なお一層、一緒に頑張りましょう。
 そこで、今回の結果を踏まえた評価、改善、今後の取り組みについて教育長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの岩田弘彦君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学力の向上の取り組みにつきましては、これまで授業の基本スタイルである「和歌山の授業づくり基礎・基本3か条」の徹底や、県学習到達度調査の実施等、一人一人の学力の定着に取り組んでまいりました。また、授業力や学校経営力の向上のため、学力向上の成果を上げている福井県や秋田県の学校へ教頭や教員を派遣し、自校での実践と近隣校への普及を行いました。
 加えて、昨年度から、国語授業事例集や国語マスター問題集、これまでに課題のあった問題をまとめた評価テストを作成、配信し、徹底活用を進めてきました。また、学力に課題のある学校に対しては、県教育委員会と市町村教育委員会の指導主事がチームとなって学校訪問を行い、重点的、継続的に指導を行ってまいりました。
 本年度の結果は、県教育委員会と市町村教育委員会が一体となって取り組み、各学校が積極的に実践した成果であると捉えております。
 しかし、学力調査においては、小中学校国語のB問題が全国の平均正答率に近づいたものの、依然として下回っていること、質問紙調査においては、家で学校の授業の予習や復習時間が短いことなど、多くの課題もございます。
 これらの結果を踏まえ、今年度は地方別校長研修会を開催し、地方の課題に応じて学力の向上の成果を上げた学校の取り組みを共有するとともに、読解力や書く力を高める具体的な方策について指導してまいりました。
 今後、県内6地方で立ち上げた授業づくり研究会を中心に、国語科を初めとした授業改善の取り組みを一層進めるとともに、現在作成を進めている理科授業事例集や理科マスター問題集等を活用し、理科の学力向上にも努めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、長期総合計画の目標達成を目指し、市町村教育委員会と一体となって子供たち一人一人の確かな学力の向上に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 力強い答弁ありがとうございました。
 やっぱり、見える成果を出していただいてる教育長さんの今議会の答弁て、前の議会と全然違いまして、私の感じるところは、やっぱり成果を出すというのは大きいなと思いました。やっぱりどえらい勢いを感じましたんで、来年も成果を出していただきますようによろしくお願いいたします。
 次に行かしていただきます。
 (2)いじめ・不登校の対応についてであります。
 楽しい学校生活のためには、学校教育に携わる全ての関係者一人一人が、常に不登校、いじめ等の問題を厳しく受けとめ、いち早く兆候を把握し、迅速かつ適切に対応し、この問題解決に向け学校、教育委員会、家庭、地域が連携して情報を共有し、全力を挙げて取り組む必要があります。
 本年10月26日、平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」──速報値でありますが──の概要が文部科学省から報告されております。
 このことを踏まえ、県内のいじめ問題及び不登校児童生徒はどのような状況と把握されているのか、また、いじめ不登校対策の取り組みの現状と今後について教育長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) いじめ問題への対応につきましては、全ての学校でアンケート調査や面談を行い、早期発見、早期対応に努めてきました。
 平成28年度の文部科学省の調査結果では、本県小・中・高等学校及び特別支援学校における1000人当たりのいじめの認知件数は、小さないじめの芽を見逃さないという姿勢で対応したことにより、36.6件と全国平均23.9件を上回っておりますが、早期対応に努めた結果、いじめの解消率は98.1%となっております。
 今後とも、本県独自の道徳教科書を活用して道徳教育を推進するとともに、学校がいじめを積極的に認知し、いじめ問題対応マニュアルに基づいて組織的に解決に努め、1人でもいじめに苦しむ子供が出ないよう取り組んでまいります。
 不登校につきましては、本県では、国が不登校と規定する累計30日の欠席に至る前の早い段階、連続3日または累計5日以上欠席で、児童生徒の個人状況・学校対応状況シートを活用するなど、不登校の早期発見、早期対応に努めてきました。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置を拡充し、児童生徒の心のケアや関係機関と連携した支援を充実させてきたところです。
 平成28年度の調査結果では、全国的に小中学校の不登校児童生徒が増加する中、本県の1000人当たりの不登校児童生徒数は、小学校で前年度と同じ5.2人、中学校では28.5人から27.5人、高等学校では16.4人から16.1人に減少してございます。しかし、依然として不登校児童生徒が多い状況にあり、解消すべき最重要課題として取り組んでいるところです。
 また、有識者会議で議論して作成した不登校問題対応の手引きを今年度から活用し、各学校において、欠席しがちな児童生徒について個別の支援計画を作成し、一人一人の状況に応じた支援を組織的に進めております。また、小中学校に不登校児童生徒支援員を配置し、別室での学習支援を行うとともに、適応指導教室や家庭を訪問し、復帰に向けて支援しております。
 現在、保護者の方が不登校を理解し、家庭においても早期に適切な対応ができるよう、保護者向けマニュアルを作成しているところです。
 今後も、学校、市町村教育委員会と一体となって、いじめ・不登校の解決に向け、取り組みを強化してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 今年度、本当にしっかり取り組んでいただいているというのはよく理解しております。ただ、認知件数なんですが、認知件数が全国平均より多いさかい、少ないさかい、そんなんは気にせんといてください。認知件数少ないほうがええんでというようになってたら皆隠そうとするでしょう。だから、認知件数はもう思いっきり、早期発見、早期対応ですので、どんどんどんどん出ていってもらって、多くても、それをしっかり解決していただけたらそれで結構でございますので、変に認知件数を減らそうとしないでください。どんどん出していってもらったら―しようとはしてないとは思いますが―それのほうがいいと思います。
 それと、未然防止で以前より僕も取り上げさせてもうたんですが、子供たちが1日どこで過ごしてるかというたら、小学校のときとか中学校のときやったら、朝学校へ行って、学校のクラスの中が1つの子供たちの社会になるん違うかなと、そこでおる時間が長いんで、そこの環境が起こりやすい環境なのか、起こりやすい環境でないのか、その学級集団がどういう状況なのかというのも気にして見ててもらえたら、起こりにくくなるんではないかなと思っておりますので、より強化して取り組むということですので、どうかよろしくお願いいたします。
 次に、(3)幼児教育の充実についてであります。
 幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な時期であります。義務教育やその後の教育の基礎となるものとして、幼児期に育成すべき資質、能力を育む観点から、教育目標・内容と指導方法、評価のあり方を一体として取り組む必要があると考えております。
 幼児教育が目指すべきところは、公立・私立、幼稚園・保育園・認定こども園の枠を超えて学校教育につなげるために、同じ方向性を持つことにあるのではないでしょうか。また、生きる力、学びに向かう力を育成し、小1プロブレムを解消し、教科学習につないでいく取り組みが必要と考えます。
 今年度から──昨年度より新しい体制をつくるということで、今年度新たに幼児教育推進班を設置して取り組んでいただいていると思いますが、その取り組みの現状と今後について、教育長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 平成29年3月に、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領が告示され、平成30年度から完全実施となります。
 今回の改訂では、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿が共通して示され、3歳以上の教育内容の整合性が図られました。これは、幼児期の子供がどの園所に通っても、同様に質の高い教育を受けられるようになることを目指したものです。
 県教育委員会といたしましては、改訂された教育要領等の趣旨について、全ての園所から代表者の出席を求め、紀北、紀南の2会場において研修会を実施し、周知徹底してまいりました。
 また、幼稚園、保育所、認定こども園等の職員を対象とした合同研修会では、教育・保育計画を立てるための具体的な方法等をテーマに取り上げ、研修内容を充実するとともに、各園所内での研修が活発に行われるよう園内研修を支援し、保育者の資質向上を図っております。
 今後は、幼児期の学びを生かすための小学校入学時のカリキュラムの作成や、小学校教員と幼児教育関係者が子供たちの情報を共有するための連携会議の実施など、小学校教育と幼児期の教育との接続を円滑に進めるための仕組みづくりを検討し、幼児期の教育をより一層充実してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 全体、国の方向性も整合性を図ってということで、僕が一番気にしておったのは、縦割りの弊害が子供たちに行かないのかというのも心配してましたし、そして和歌山県の場合は、小学校というたらもう100%と言っていいほど公立ですので、いろんなとこから来ても、公立の小学校へ入ってくると。
 小学校へ入ってきたときに、前にも小中一貫であったんですが、中1ギャップをなくすために中学校へ渡るときのハードルを低くするみたいなお話もあったんですが、一番気にしてるのは、ハードルを下げることではなくて、ハードルを下げると中1ギャップが高1ギャップの次につながるだけで、ハードルを下げるんじゃなくて、そこへ来るまでにしっかりと教育しておこうというのが僕は一番ええと思いますんで、これで言いますと、小学校1年生に来るときには、ちゃんと教科学習を受けれる子供にしておくという前提で幼児教育をしていただけたら一番いいんではないかなと、これは私の単なる意見でございますが、しっかり取り組んでいただけると思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、大項目2番、「子育て環境日本一わかやま」に向けてに入らしていただきます。
 (1)子育て家庭への経済的支援についてであります。
 本年9月15日に公表された平成28年人口動態統計の概況によりますと、本県の合計特殊出生率は1.50となり、全国平均1.44を上回っておりますが、人口維持に必要とされる2.07には遠く及んでおりません。出生数も減少傾向にあり、平成28年は、平成27年から372人減り、ついに7000人を割り込んで6658人となりました。今後、親となる20代から30代の人口が減少していくため、少子化対策をさらに充実し、結婚、出産の希望がかなう社会を実現する必要があると考えております。
 また、政府は、人づくり革命の実現に向け、2兆円の政策パッケージを閣議決定いたしました。持続的な経済成長をなし遂げる鍵は少子高齢化への対応であるとされ、子育て世代や子供たちに大胆な政策資源を投入し、社会保障制度をお年寄りも若者も安心できる全世代型へ改革すると記載されています。
 具体的な対策としては、3歳から5歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育園、認定こども園など幼児教育の無料化を初め、待機児童の解消、高等教育の無料化などを進められるとされています。
 一方、本県では、県と市町村が一緒になって、第3子以降を育てる家庭を支援する紀州3人っこ施策に取り組んできました。平成19年からは育児支援事業、平成20年度からはゼロから2歳までの保育料無料化を開始しました。さらに、平成28年度には、保育料の無償化を就学前まで拡充しております。
 また、知事が先日発表されました平成30年度新政策と予算編成の方針では、保育料等無償化を一定の所得制限のもと第2子まで拡充することや、在宅で育児を行う世帯への経済的支援について示されていました。
 国のほうでも今後さらに議論されていくと思いますが、今後の子育て家庭への経済的支援についてどのようにお考えなのか、知事にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 少子化対策につきましては、本年3月に策定した和歌山県長期総合計画において、本県の取り組むべき施策の第1番目に「ひとを育む」を位置づけ、取り組みを推進しているところでございます。
 子育てや教育にかかる費用の負担が重いことが、子育て世帯への大きな負担となり、少子化問題の一因となっていると認識しておりまして、特に、保護者の経済的負担が大きくなるのが、調べてみますと、子供の就学前と大学在学中であるというふうな結果になりました。この時期の負担を軽減する対策が必要であると思っております。
 こうした考え方のもと、昨年度から従来の紀州3人っこ施策を就学前まで拡充するとともに、幼稚園や認可外保育施設なども対象といたしました。また、大学在学中の対策として、給付型奨学金制度を創設したところでございます。
 紀州3人っこ施策の開始前の平成18年度と28年度を比べてみますと、合計特殊出生率は少し上がっとるんでございますけども、若い世代が減っているものですから、数では出生総数が相当数減少しております。が、第3子以降の出生総数は7%増加をしております。また、第3子以降を妊娠した方へのアンケート調査では、保育料の無償化が影響したと約7割の方が回答してくださっていて、多子世帯をふやす施策として経済的支援は有効な手段であると考えております。
 こうした中で、今後、少子化対策を一層推進していくためには、子育て世帯への経済的支援の拡充が不可欠だと考えており、具体的には、一定の所得制限のもと、第2子を育てる家庭や在宅で育児を行う家庭への支援を検討しているところでございます。
 県や市町村の財政負担の課題があるわけでございますが、国の動向も注視しながら、予算編成過程を通じて、実施に向けて検討してまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 実施に向けてということですので、大いに検討―まあ、実施していただけるものということで。
 私は市会議員のときに、実は一般不妊治療助成制度がまだ県内ではどこもできてないときに、市のほうで先行していこうよと、これについてはと。やっぱりこの子供が少なくなるときに一生懸命子供を産もうと努力しているお母さん、かなりお金がかかってたんです。そのときにせなあかんということでかなりやらせてもうたんですが、なかなか市の財政だけでやるのはしんどいなあということがあって、そのときに、私はもうはっきり覚えておりますが、仁坂知事が初めて知事に当選されたときにその政策を出していただけたということで、一遍に県内が進んだという思いがあります。
 仁坂知事は積極的に少子化対策に取り組んでいる知事やというイメージで私は捉えておりますし、私の周辺もそない思っておりますので、ぜひとも国に先行して、そして国の政策にプラスして、さすが和歌山というふうな政策を2月に出していただけるものと御期待申し上げまして、次の質問に移らしていただきます。
 (2)子育て世代包括支援センターについてであります。
 子育て世代包括支援センターについては、核家族化、地域社会との関係の希薄化などの影響で出産後に育児不安や戸惑いを抱えている産婦が多く見られることから、少子化社会対策大綱、まち・ひと・しごと創生総合戦略に、平成32年度末までに、地域の実情を踏まえながら全国展開を目指すこととされております。
 本県では、妊娠、出産、子育て等に関する相談にワンストップで対応する体制を県内全域で構築するため、子育て世代包括支援センターを設置する市町村を支援しています。
 全国の実施している市町村を調査してみますと、妊娠届け出から支援が必要な家庭を早期に発見し、支援につなぐことができている、助産師など専門職による育児相談や助言をすることで、母親の不安の軽減、そして悩みの解決につながっている、同じような悩みや不安を持つ母親たちと過ごすことで、育児に関する情報交換ができ、孤立感を防ぎ、産後鬱の予防や先を見通した子育てを考えるようになった、妊娠、出産後から切れ目なく支援することにより安心して子育てできる仕組みが構築できた、地域で活躍している母子保健推進員と共同で実施していくことで、子育て世代包括支援センターを拠点とし、地域全体に子育て支援の意識が広がり、地域のソーシャルキャピタルの醸成を促すことができているなど、数多くの結果が報告されております。私の地元、橋本市も本年4月から設置しており、評価も高いようであります。
 子供を産み育てやすい和歌山県のためには早期に県内全域に設置されることを期待しておりますが、取り組みの現状と今後について福祉保健部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 子育て世代包括支援センターは、保健師や助産師などの専門職を配置し、ワンストップ窓口として、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を行っております。
 県では、子育て世代包括支援センターの整備を推進するため、市町村に対して初期の設置経費や運営費を助成するとともに、先進的な取り組みを紹介する講演会や相談支援に必要な知識や技能向上のための専門研修会を開催しております。現在、既に9市町で運営されており、来年度には14市町村が設置を予定しております。
 今後、県といたしましては、平成32年度末までの全市町村設置を目指し取り組むとともに、新たな支援として、妊産婦を対象としたニーズ調査や周産期メンタルヘルス研修、保健所を中心とした母子保健関係者連携会議を実施し、子育て世代包括支援センターの相談体制のさらなる充実を図ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 県のほうも、できる支援を精いっぱいやっていただいて、一日も早く県下全域にこの支援センターができるようによろしくお願いします。
 市町村さんに聞いても、3分の1の負担でいけるみたいで、3分の1が国、3分の1が県、3分の1が市町村ということなんで、取り組みやすいし、必要性は感じてるみたいでしたので。ただ、何か専門職の採用が要るということなんで、その辺がいい人がいるかどうかというのが、県下全域にいてはるんかどうかというのは私もちょっと心配しておりますので、その辺はまた県のほうでも御支援していただきまして、よろしくお願いいたします。
 次、大項目3番、地域医療構想について。
 (1)取り組みの現状と今後についてであります。
 昨年、6月議会において、お隣の奈良県の取り組みで、県立五條病院、町立大淀病院、町立国保吉野病院の3つの公立病院が、県と南部12市町村で南和広域医療企業団を立ち上げ、南奈良総合医療センターを中心とする病院の再編・ネットワーク化の事例を紹介しながら、地域医療構想について取り上げさせていただきました。
 昨年6月議会における答弁では、「本県では各医療圏において公立病院が中心的な役割を担ってきたところであり、今後も地域の各医療機関との機能分化・連携を図りつつ、僻地医療や救急医療など、地域において必要とされる医療を提供する責務があると考えております。 県としましては、地域の医療関係者などで構成する協議の場を設置し、公立病院を含めた病床機能の役割分担について検討してまいります」また、「診療報酬を初めとする今後の国の医療政策の動向を注視しながら、急性期病床から回復期病床への転換に係る施設整備などの必要な支援を行い、おおむね10年かけて将来の医療需要に合った医療供給体制の構築に取り組んでまいります」でした。
 地域医療構想の進捗状況と今後の取り組みについて、まず福祉保健部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 昨年5月に策定いたしました和歌山県地域医療構想は、2次医療圏ごとに2025年の医療需要を踏まえまして病床機能を再編し、患者の症状に合った効率的で質の高い医療提供体制を構築するものであります。
 その実現に向けまして、県では、各医療圏の医療関係者などにより構成される地域医療構想調整会議を設置し、検討を進めているところでございます。
 また、公立の自治体病院は昨年度中に新公立病院改革プランを策定しておりますが、県立医科大学附属病院や日赤和歌山医療センターなどの公的病院も同様に、将来の医療機能のあり方を示す公的医療機関2025プランを年内に策定することとなっております。
 県といたしましては、まずは、医療機関相互の自主的な取り組みを進めるよう支援するとともに、協議の場を持ちながら、公民の各医療機関が担う病床機能の役割分担を進め、地域医療構想の実現に向けて取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 現状を説明いただいてありがとうございます。
 そのことを踏まえまして、(2)に入らしていただきます。
 (2)救急医療体制の充実についてであります。
 地域医療構想は、病床の機能分化と連携を図り、高度急性期、急性期、回復期、慢性期から在宅医療に至るまでの将来の医療需要を踏まえた患者の病状に合った質の高い医療供給体制を構築するための、いわゆる病院の再編・ネットワーク化だと私は思っております。
 一番心配なのが、この中で救急医療について余り触れられていません。今後、急性期機能の病床数が減る見込みと聞いておりますので、単純に考えますと、急性期機能の病床が減少することによって救急医療にマイナスに作用しないのか、ここの部分を心配しております。
 全国の先進事例を見ますと、病院の再編・ネットワーク化とともに救急医療体制の充実がセットで図られておりますので、事例を見ますとその心配はないようですが、本県はどういう事情なのかも含めまして、救急医療体制の充実についてどのように考えているのか、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 2025年の必要病床数に関しましては、県内各地域において過剰とされる急性期機能から不足する回復期機能への病床機能転換も図りながら、今後の人口減少なども踏まえた上で、将来の医療需要に適切に対応していく必要があると考えております。
 具体的には、十分に急性期機能を果たしていない病床の機能転換を促すものでありまして、地域の救急医療体制に関しましては、引き続きしっかりと堅持してまいります。
 今後、さらにICTを活用した遠隔救急支援システムの推進によりまして、地域の2次救急を担う公立病院と3次の救命救急センターとの連携を強化するなど、救急医療の充実を図ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 さらなる充実を図ってまいりますということで、御期待しておりますので、よろしくお願いします。
 次、(3)医療圏の核となる病院への県立医科大学附属病院と紀北分院の貢献についてであります。
 地域医療構想では、地域の医療機関との連携を図りながら、救急医療、僻地医療の支援など、地域医療を担ってきた各医療圏の中核病院を中心に、病院の再編・ネットワーク化を図る必要があるんではないかなと思っております。
 県立医科大学附属病院と紀北分院は、本県の地域医療を担う大きな社会使命があると思います。言い方を変えますと、本県の地域医療に貢献するからこそ県立病院であります。
 地域医療構想の実現には、再編・ネットワーク化の中心を担う各医療圏の中核病院への県立医科大学附属病院と紀北分院の大きな貢献が私は必要不可欠であると考えます。医療圏の核となる病院への県立医科大学附属病院と紀北分院の貢献について知事にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県立医科大学附属病院は、特定機能病院として、がん治療、災害医療、救急医療を初め、あらゆる診療領域で拠点病院としての役割を担っております。
 また、県内唯一の医育機関として多数の医師を育成し、救急医療や僻地医療を行う各地域の中核的な医療機関にそのような医師を派遣するなど、医療提供体制の充実・発展に大きな役割を果たしてきたと認識しております。
 知事就任当時、医師の不足や偏在といった問題が、これは和歌山県だけでなくて、むしろ全国的に顕在化しつつあったわけですが、和歌山県でも心配でございますので、岩盤規制であった医学部定員増について国に懸命に働きかけた結果、定員―当時60名であった県立医科大学医学部に地域医療枠と県民医療枠制度を創設いたしまして、平成20年度にこれによって85名、その後は一般枠も含めまして、平成21年度に95名、平成22年度に100名へと大幅増員されました。
 増員された地域医療枠や県民医療枠の医師が臨床研修を終え、平成28年4月から地域の中核病院で勤務を開始し、地域医療に従事しております。これらの医師については、医師として大成してもらいたいと思っておりますので、地域の医療機関で数年間勤務した後、大学に戻り、先端医療を学び直し、さらに地域の医療機関に戻れるようなローテーションを行うことで、医師のキャリアを形成しながら地域で従事する医師の確保を図る仕組みを創設するとともに、この仕組みを支える地域医療支援センターを県立医科大学内に設置したところでございます。
 今後、さらに増加していくこれらの医師を適切に配置していくことにより、さらなる地域貢献を行っていけるものと考えております。
 問題の紀北分院でございますけれども、第3期中期目標に記載しているとおり、地域性を生かして地域に密着した質の高い医療を提供するとともに、橋本医療圏において、病院機能が重ならないように適切に役割分担しながら、地域における医療提供体制を一層充実してまいりたいと考えております。橋本市民病院との間で適切な役割分担をうまくやって、両方がそれぞれの役割をきちんと果たして、住民の皆さん全員に安心を届けられるようにしていきたいと思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 かなり私の心情を御理解いただきまして、深いところまではっきり答弁いただきまして本当にありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 次に、大項目4番、自然災害について。
 (1)紀の川流域の治水内水浸水対策について質問させていただきます。
 私の地元、橋本市では、10月22日から23日にかけて来襲した台風21号本体の雨雲と停滞する秋雨前線の影響で記録的な雨量となり、紀の川が氾濫危険水位を超えて水位が上昇しました。これにより、市内を流れる大谷川、雨天樋川など紀の川に合流する樋門周辺地域で建物への浸水や道路等への冠水する被害を受けました。
 当該地域は過去にも同様の被害がたびたびあったことから、県と市、連携して大谷川の河川改修を初め排水ポンプを設置するなど、治水内水浸水対策に取り組んできたところですが、今回は被害を回避することができませんでした。今回、建物の床上浸水105件、床下浸水60件を初め、公共・農業施設等への土砂の流入など、甚大な被害を受けました。また、防災計画上、第1次緊急輸送道路に位置づけられた国道370号線も冠水し、住民の避難に支障を来しました。
 雨量、水量でいいますと、紀の川の氾濫危険水位を越え、最低でも5時間、氾濫危険水位並みの前後を合わせますと約10時間近くは継続していたのではないでしょうか。橋本市役所雨量計によると、24時間最大雨量は観測史上最大で、記録を大きく更新しました。
 一方、大滝ダムを見てみますと、大滝ダムの最大流入量は毎秒2037立方メートル──立米って表現してもいいんですかね──で、最大放流量は毎秒1170立米でした。ということは、大滝ダムは、治水機能を発揮していましたが、甚大な被害を受けたということになるんではないでしょうか。これは橋本市の事例ですが、紀の川流域は同じような状況だったと思います。
 最近の気象状況を見ますと、異常な集中豪雨や異常な長雨が、いつ起こっても不思議ではないと考えます。内水浸水被害の大もとは、紀の川本川の水位にあります。狭窄部対策や河道掘削などの河川整備の加速化、河道内の樹木伐採や堆積土砂の撤去、内水の排水対策、この3つについて国に対して強く要望していただきたいのです。和歌山県で一番国土交通省に精通しておられると聞いております県土整備部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 今回の被災等を踏まえた紀の川の内水浸水被害の対策について御質問を頂戴いたしました。
 本年10月の台風21号に伴う豪雨により、紀の川沿川地域においては、橋本市の学文路地区を初め多くの地区で浸水被害が発生をいたしました。これらの浸水被害につきましては、紀の川本川の水位が長時間にわたり高い状態が継続する中、例えば、かつらぎ雨量観測所では観測史上最大となる日雨量219ミリを記録するなど、沿川地域において近年類を見ない大雨となり、内水の排水が困難となったことが主な原因と考えてございます。
 この内水被害の軽減については、国が紀の川本川の対策として平成24年に策定した河川整備計画に基づき、狭窄部対策や河道掘削などにより、戦後最大規模の出水に対し、これを安全に流下させることができるよう整備を行うこととなってございます。この整備を完了することで紀の川本川の水位の低下が見込まれることから、内水被害の軽減が期待されてございます。
 一方、国による紀の川本川の河川整備は狭窄部対策が下流から順次進められるなど時間も要することから、その間、流下断面を確保するためのしゅんせつ等の維持管理を国が行うほか、国、県、市町においても排水ポンプ車を配備するなど、さまざまな手段を用いた内水被害の軽減に努めているところでございます。
 今後とも、紀の川沿川の内水被害を軽減させるよう、紀の川本川の計画的な河川整備の加速化を初め、流下断面の確保や支川排水の円滑化に資する河道内樹木の伐採、円滑な流下を阻害する堆積土砂の撤去を国に強く働きかけてまいります。あわせて、関係者による排水対策の検討の結果を踏まえ、必要に応じ、その支援を国に働きかけてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 強く働きかけていくということで、ありがとうございます。
 橋本市の事情を説明させていただきますと、内水については県の大谷川の整備も頑張って、橋本市もポンプ設置して、そのポンプがうまく稼働するかどうかというところで、いろいろ高さがあったんですが、それでも設置しまして、そして振興局にポンプ車を設置していただいて。ところが、振興局のポンプ車は、どうしてもかつらぎ町に早く、常に早く行かなあかんということなんで、橋本にあるんですが、いつも橋本では動いていないということで、今回、国交省のほうからも来ていただいたということがあります。
 地元にしますと、やっぱり消防とか消防団の皆さんが、常に同じとこで同じこと起こってるんで、常にもう、その態勢でずっと──中本議員もそうですけど、ずっとその態勢でおらんなん状況ということで、住民にとりますと、毎回毎回同じようなことになってんのに抜本的な対策打てないのかよ、市、県、国、一緒になって打ってくれないのかよという、そういう声も多く聞きますので、どうかひとつこの際、抜本的な対策とっていただけますようによろしくお願いいたします。
 次に、(2)道路の早期復旧についてであります。
 10月22日から23日にかけて来襲した台風21号のもう1つの被害というのは、やっぱり道路の被害というのが大きかったんではないかと思います。県関係では78カ所の道路が通行どめになり、そのうち4カ所は現在でも全面通行どめとのことであります。
 この4カ所の中の1カ所である県道高野橋本線は、橋本市学文路地区の重要な生活道路であり、柿生産者の選果場への産業道路でもあります。地元住民の方々にすれば、柿出荷時期も重なったこともあり、仮復旧でもいいので早く通れるようにしてほしいと思うのは当然のことであります。住民目線では、他のほとんどの道路は通行できるようになっているのに、この道だけがいまだ全面通行どめということになります。
 現在までの早期復旧に向けての取り組みと今後について県土整備部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 県道高野橋本線の復旧に向けた取り組み等について御質問を頂戴いたしました。
 山側の柿畑が台風21号により被災し、橋本市学文路地内で全面通行どめとなっております県道高野橋本線につきましては、被災後直ちに現地調査及び測量を開始するとともに、復旧方法等の検討に着手をいたしてございます。
 しかしながら、被災した柿畑の上部に不安定な土塊が残っていたこと、柿畑をどのように復旧するか関係者との調整が必要だったこと、また、道路の通行を確保するために崩土を安全に除去する方法などに課題があったことに加え、翌週の台風22号により被災の範囲が広がったことから、検討調整に期間を要したものでございます。
 その後、農地としての柿畑の復旧は行わず、道路の復旧のみを行うと決定したことを受けまして、現在、崩土除去及び仮設防護柵設置工事の準備を進めているところでございます。今後、1月末の規制解除を目標に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 丁寧に説明いただきまして、ありがとうございます。事情はよくわかりました。県は、一生懸命取り組ましていただいたんですが、これでもまあ精いっぱいということですので、私も地元の方に御説明させていただきます。
 ただ、一日も早い、やっぱり復旧というのを皆さん望んでおりますので、どうか一日も早い復旧になりますようによろしくお願いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、岩田弘彦君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時22分休憩
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