平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(全文)


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平成29年12月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成29年12月11日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第168号から議案第194号まで並びに報第6号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第168号から議案第194号まで並びに報第6号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 中西峰雄
 2番 秋月史成
 3番 立谷誠一
 4番 泉 正徳
 5番 前芝雅嗣
 6番 花田健吉
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 川畑哲哉
 10番 玉木久登
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 尾﨑太郎
 14番 藤山将材
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 服部 一
 20番 山本茂博
 21番 冨安民浩
 23番 堀 龍雄
 24番 中 拓哉
 25番 岸本 健
 26番 森 礼子
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(1人)
 22番 吉井和視
〔備考〕
 40番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      藤川 崇
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     山田成紀
 福祉保健部長     山本等士
 商工観光労働部長   山西毅治
 農林水産部長     原 康雄
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      野田孝雄
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   溝端莊悟
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       田村公一
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     武田 稔
 議事課議事班長    岩谷隆哉
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中平 博
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  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第168号から議案第194号まで、並びに知事専決処分報告報第6号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 41番坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 皆さん、おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 秋の1日を道成寺に足を運びました。数台の観光バスが駐車し、多くの観光客が境内を見学し、また、江戸時代から語り継がれているという縁起堂での絵解き説法に耳を傾け、小野院主の絶妙な語り口に、時には涙ぐみ、時には大声で笑い、興じ、存分にお寺の歴史に聞き入っていました。
 私は、今回、その道成寺の日本遺産への認定に関して質問し、当局の考え方をお伺いするものであります。
 もともと、私は、道成寺の世界遺産への登録を願い、期待する者の1人でございましたが、しかしながら、本県の世界遺産は、熊野古道及び古道が結ぶ高野・熊野の拠点施設の登録となり、そこから地理的に遠い道成寺はその対象から外れてしまいました。
 一方、文化庁の施策として、こうしたすぐれた歴史的魅力を有する文化・伝統を日本遺産として認定し、地方創生、地域の活性化に活用しようとする制度があることを知りました。
 地元の日高川町も、道成寺の日本遺産認定に熱心に取り組み、3度にわたって文化庁に対し協議をしたところでございました。しかしながら、認定のハードルは高く、いまだ実現しておりません。
 そこで、私は仁坂知事に対し、この件は、これ以上地元の日高川町だけに任せていたのではうまくいかない、これまでの実績もあり、もっと県が前面に出て手助けをしてやってほしいとお願いをいたしました。私も世界農業遺産の際の経験があるので、できることは全力で応援するからとお願いをいたしました。
 決断の早い知事は、早速担当部署の観光振興課に対し、この件について積極的に取り組めとの指示を出してくれ、観光振興課も一生懸命対応してくれています。現在は、文化庁と協議に向け、県と日高川町の共同作業に入ってくれていると思います。
 私は、きょうここで、改めて道成寺の魅力を皆様にも御紹介し、この日本遺産への取り組みに対する御支援をお願いする次第でございます。
 順序として、まず道成寺の歴史を中心にお寺のあらましについてお話しいたします。
 皆様も既によく御存じのとおり、道成寺は日高川町鐘巻、天音山の中腹に立地いたします天台宗のお寺であり、御本尊は千手観音でございます。701年、宮子姫とも髪長姫とも言われる当地出身の姫君で、天皇のお后となられた藤原宮子の願いにより、文武天皇が創建されたものと言われています。
 お寺の言い伝えによりますと、今から1300年ほど前、平安の世のことでございます。日高川河口、現在の御坊市藤田町あたりのある村の夫婦に1人の女の子が生まれました。その子は宮と名づけられ、愛情いっぱいに育てられましたが、幾つになっても髪の毛が生えず、悲しんだ両親はあらん限りのお願い、お参りをし、神仏の御加護をお祈りいたしますが、かいのない月日が過ぎていきました。
 ある日、母親が海の中に一条の光を発する観音様を見つけ、持ち帰り、お祭りし、毎日お祈りを続けていますと、にわかに宮の髪の毛が伸び始め、やがて7尺を超す艶やかな黒髪となり、人々は髪長姫とうわさするようになりました。当時、艶やかな黒髪は、美人の大きな要素であったと言われております。
 あるとき、1羽のツバメが髪長姫の一筋の長い黒髪をくわえ、巣をつくっておりました。奈良の都、藤原不比等の屋敷に持ち帰ったそうでございます。これが縁で、宮は時の権力者、藤原不比等の養女となり、宮子と名乗ることになり、やがて文武天皇のお后となり、後に奈良東大寺を建立する聖武天皇のお母さんとなるのでございます。
 宮子は、長い髪を授けてくださった観音様をお祭りしたいと天皇にお願いし、命により建立されたのが道成寺だと言われてございます。
 創建後はやや不遇の時代をたどりますが、1665年、紀州藩主徳川頼宣の援助で本堂の修理がなされ、さらに19世紀初頭に大規模な修理がなされたといいます。
 千手観音の立像・国宝1点、美術工芸品で重要文化財が6件、仁王門の建造物で重要文化財2件、境内は国の史跡となっております。お寺の真髄とも言うべき観音経の絵巻の原本は、現在、ニューヨーク・メトロポリタン美術館に保存されているそうでございます。
 京都と熊野三山を結ぶ熊野古道に面した道成寺は、熊野参詣にも華々しく登場いたします。
 928年の夏、奥州白河より熊野詣での途中、僧・安珍は、紀伊の国牟婁郡中辺路、真砂の里、現在田辺市中辺路に一夜の宿を求めます。宿の娘・清姫は、このイケメン修行僧に一目ぼれ。恋に落ちる2人ではございましたが、熊野三山への参拝を急ぐ安珍は、帰りには必ずもう一度立ち寄るからなと清姫に別れを告げ、熊野へと旅立ちます。
 今か今かと安珍の帰りを待つ清姫。修行の身と清姫を避けて帰りを急ぐ安珍。安珍の心変わりを知った清姫は安珍の後を追います。逃げる安珍、清姫の怒りはすさまじく、安珍を追いかける清姫の姿はいつしか蛇の姿に見えたと言われます。怖くなった安珍は、道成寺に駆け込み、つり鐘の中に身を潜める始末でございます。
 いとしい人への清姫の恋は激しく燃え上がり、つり鐘に巻きつき、情念の炎でついに安珍への思いを遂げるのでございます。いとしい人と一緒ならばと清姫は日高川に引き返し、入水。道成寺の徳により、その後2人は成仏したという物語。いわゆる安珍・清姫物語は、熊野詣でを広める物語として、また、清姫の悲恋を伝える物語として、広く全国に語り継がれました。
 参考ながら、その後再興されたこの悲恋の梵鐘は、現在は京都の妙満寺に安置されているそうでございます。
 安珍、清姫に対する地元の思いは温かく、毎年4月に行われる道成寺の会式では、清姫が蛇となって安珍を追いかけるさまを再現した踊りが披露され、清姫の地元中辺路では、7月に清姫の墓を臨む清姫渕を舞台に清姫まつりを開催し、その霊を慰めているそうであります。
 600年前、2代目のつり鐘が再興されるに及び、その鐘供養に花の精となってあらわれた1人の美しい白拍子、やがてその本性は清姫に立ち返り、鐘の中から蛇の姿となってあらわれる。こうして、激しくも悲しい悲恋物語、いわゆる道成寺物が生み出され、歌舞伎、長唄、浪曲にと、あでやかな衣装と舞が舞台を彩ります。
 歌舞伎「京鹿子娘道成寺」は、古今東西、中村富十郎、中村歌右衛門、尾上梅幸、尾上菊五郎、最近は坂東玉三郎など、あまたの名優が清姫となり、日本中の人々の涙を誘い、幽玄の世界へといざなったものでございます。
 また、こうした名優の多くは、公演に先立ち道成寺を訪れ、清姫の霊を慰めるとともに、公演の成功を祈願いたしてございます。
 近年は、ネットで坂東玉三郎の娘道成寺が英語版となって海外にも紹介され、道成寺は国際的にも名の知れた名刹、名所となってきております。
 1000年を超える歴史を有し、文武天皇が宮子姫の願いを聞き入れて建立された道成寺、熊野詣でと相まって全国に語り継がれた安珍清姫物語、この悲恋物語を題材に我が国を代表する伝統文化、道成寺物がつくり上げられ、能に歌舞伎に長唄にと、我が国の古典芸能の基礎をなし、今もなお年間100回を超える舞台が全国で公演されているという。その幽玄であでやかな舞台は、特に女性客を中心に人気を高めています。今やその評価は、国際的なレベルまで高まっている。
 私は、この道成寺が日本遺産として認定されるにふさわしい資格を十二分に備えていると確信しております。
 日本遺産とは、文化庁が地域の歴史的魅力や文化、伝統を日本遺産として認定する制度でございます。
 認定されますと、文化庁の支援を受けながら、地域が主体となって歴史的建造物や文化材等を総合的に活用し、国内だけではなく、海外でも積極的に発信していくことにより、地域の活性化を支援しようとするものであります。
 やや専門的には、世界遺産や文化財の登録は、主としてその文化的遺産の保護を目的とするものに対し、日本遺産は地域に点在する遺産を面として活用し、発信することで地域の活性化、ひいては地方創生を目指しているとされております。
 平成27度から日本遺産の認定が行われ、既に全国では54件が認定され、このうち和歌山県では、平成28年4月に認定された太地町の「鯨とともに生きる」、さらに平成29年4月に「絶景の宝庫 和歌の浦」、「『最初の一滴』醤油醸造の発祥の地 紀州湯浅」が続いて、3件が認定をされております。県もしくは市町村が申請し、文化庁が日本遺産審査委員会の審査を経て認定するそうであります。
 御紹介してきましたように、宮子姫の物語が建立の起源とされ、清姫によって全国津々浦々まで名を知られるようになった道成寺。2人の女性なしでは道成寺の歴史、伝統を語ることはできません。
 絵解き説法に使われる道成寺縁起絵巻。かつては熊野比丘尼が使ったとされる絵解きは掛け軸によるものであり、一度に多くの見物人に語りかけ、その普及を図ったとされています。一方、道成寺の絵解きは屋内にあって、巻物を広げる絵解きであり、この説法方法は全国唯一この道成寺だけであり、もちろん世界でも道成寺だけだそうであります。
 伝統と御仏と芸能の寺・道成寺。女性が歴史を彩る道成寺。私は、この道成寺を日本遺産の候補として強く推薦し、支援するものでございます。知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの坂本登君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県では、これまで広域にまたがる日本遺産「鯨とともに生きる」や「絶景の宝庫 和歌の浦」については、県が申請者となり、認定を得たところでございます。こうした経験も生かし、現在、道成寺を中心とした日本遺産の認定に向け、地元日高川町と一緒になり、文化庁との間で鋭意協議中でございます。
 議員御提案のとおり、歴史的に価値が高い道成寺や、そこを舞台とした道成寺縁起、現在も年間3000回を超え行われている絵解き説法なども非常に人気がございます。それに加えて、いわゆる安珍清姫の物語でゆかりのある熊野古道沿いの地域も巻き込み、広域的な地域で日本遺産として認定されれば、さらに地域の魅力が増幅するものと考えております。
 日本遺産の決定に当たる文化庁の見解では、古い遺構や物語があるだけでは不十分で、それが現代の生活に生かされているというところが大事とされております。県が出ていって文化庁と現在相談をしとるんでございますが、今のような話をどういうふうに構成するかがなかなか難しい課題ではございます。
 今後も、引き続き県が主体となって、日高川町や地元の皆さんと一緒になり、道成寺や安珍清姫の物語を現代に生かすストーリーを作成して、日本遺産の認定に向け積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 まず、道成寺の日本遺産認定に向けての県の取り組みについては、知事より力強い答弁をいただきました。日高地方の観光振興のため、日高地方の地域活性化のため、県が先頭になって早い時期に認定をいただけるよう頑張ってください。要望といたします。
 次に、道路整備について質問をいたします。
 私は、常々、道路行政に関しては、仁坂知事の短期間に集中して予算化し、重点的な整備を進めるやり方には大いに共感し、感心しているところでございます。
 今回お尋ねするみなべと龍神を結ぶ、いわゆる龍南線、現在の国道424号線に関しましても、迅速かつ重点的な整備により、みなべ町内はほとんど整備が進み、日常生活における住民の利便性は格段と向上いたしました。ただ1カ所を除き、大いに感謝申し上げるところでございます。
 残ったただ1カ所は、みなべ町清川と田辺市龍神地区を結ぶ切目辻トンネルでございます。
 このトンネルは、延長419.7メートルのさほど長くもないトンネルでございますが、幅員、高さを見ると幅員5.5メートル、最大高5.4メートルと極端に狭く、昭和32年に完成したいわゆる手掘りトンネルでございます。内部は岩がごつごつと飛び出し、崩れてこないよう壁面をコンクリートで吹きつけし、さらに、出入り口は鉄板で崩落を防止しているといったトンネルでございます。地元では、でこぼこトンネルと呼ばれております。
 パネル、知事さん、もう何度も通って現場を見てくれてると思いますけども、こういうトンネルでございます。(パネルを示す)ちょっとパネルを大きくしてみました。
 このような状態でございます。吹きつけたコンクリートの間からは水がしみ出し、全体的には暗く、住民から「特に夜などは怖くて通れない。引き返してきた」との苦情が多く寄せられております。
 私は、今回この切目辻トンネルの危険性、利便性の両面から捉え、このトンネルの問題点を指摘し、整備の必要性を訴えてまいりたいと思います。
 まず、危険性についてであります。
 平成24年、中央自動車道笹子トンネルの天井板が落下するという大惨事は記憶に新しいところでありますが、さらに近年、南海トラフ地震の発生が大きな警鐘となって、建物やトンネルの剥落等が憂慮され、そのための点検、補修が進められていると聞いています。
 このトンネルについては、先ほど来申し上げていますように老朽化が激しく、いつ壁が崩落してもおかしくない状態であり、私としては、その危険性は相当高いレベルにあるのではないかと思います。
 トンネル整備の必要性について、県土整備部長の見解をお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 危険度を踏まえたトンネル整備の必要性について、御質問を頂戴いたしました。
 切目辻トンネルは、議員からも御指摘ありましたとおり、昭和32年に供用された素掘りの岩盤にモルタル吹きつけを行ったトンネルでございまして、近年建設されたトンネルに比べますと幅員が狭く、高さが低いトンネルであると認識をしてございます。
 切目辻トンネルでは、幸いにも崩落や剥落といった事故は発生してございませんが、議員御指摘のとおり、漏水があることは確認をしてございます。
 トンネルだけでなく、橋梁等の道路構造物は、平成24年に発生した中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故を受けて平成26年に改正された道路法に基づき、5年に1回の近接目視による点検が義務づけられました。県では、平成28年度からトンネルの定期的な点検に着手し、来年度までに全てのトンネルの点検が完了するよう順次行っているところでございます。
 切目辻トンネルは、今年度、近接目視による点検を実施しているところであり、その結果を待って必要な対策を検討することとなりますが、一方で、トンネル整備については、点検結果に基づく補修以外にも、トンネルが狭く低いといった課題や暗く通行しづらいといった交通の利便性等を総合的に考えて、抜本的な改修整備の検討も必要であると考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 ただいま県土整備部長から、狭くて低い、加えて暗くて通りにくいといった課題を考え、抜本的な改修整備の必要性があると前向きな答弁をいただきました。まあ頑張ってください。
 次に、住民の利便性についてでございます。
 龍南線の愛称で呼ばれるこのルートは、古くから龍神地区の方々の海岸部へ通じる重要路線で、生活道路でもありました。かつては同じ日高郡の自治体であった両町村は、長い歴史の中で深い強いコミュニケーションを形成してまいりました。
 現在、龍神地区は、御坊に至る日高川ルートや田辺市に通じる虎ケ峰ルートなど、何本かのルートが整備されてきておりますが、仮にこの切目辻トンネルが整備されますと、近畿自動車道みなべインターチェンジへの時間アクセスは飛躍的に短縮され、高速道路に最も近いルートとして、地区区民の利便性に対する貢献度は大変大きなものがあろうと思われます。
 でき得るならば、トンネル出口の高度を掘り下げ、線形を改良していただければ、なお一層利便性は向上し、住民の喜びやいかばかりかと思われます。知事の御所見をお伺いいたします所存でございます。
 以上で、私の第1回目の質問を終わります。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国道424号は、みなべインターチェンジと田辺市龍神村を結ぶ幹線道路でございまして、県では川筋ネットワーク道路に位置づけております。これは観光バスの対向が可能な幅員で全線を通すというものでございまして、まず、このためにみなべの町から清川工区の整備を進めてまいりました。
 そうした中、清川工区では、紀伊半島大水害により法手見トンネル付近の現道が被災し、1人のとうとい命が失われました。被災後、急遽バイパス計画に変更するなど時間を要したものの、去る10月にようやく完成をし、みなべ町側では清川地区までの整備がおおむね完了しました。御家族を亡くされた後も御協力いただいた御遺族を初め、議員、地元の皆様の御尽力に感謝をしております。
 ようやくここまで来ましたけれども、清川工区から国道425号との交差点までの区間は急カーブが続く未改良区間が残っておりまして、特に、切目辻トンネルは乗用車同士の対向でさえ困難な状況でございます。議員御指摘のとおりでございます。
 残る区間の整備を進めることで、高速道路へのアクセス強化に加え、事業中の県道芳養清川線とのネットワークが構築されるため、これができちゃいますと、みなべの町、それから龍神、田辺市街、清川、この全部がつながって、災害時や緊急時、さらには観光アクセスなどの利便性が向上するものと期待しております。
 こうしたことから、切目辻トンネルを含むこの区間については、来年度、ぜひ事業化したいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 知事からは、国道424号線、川筋ネットワーク道路として認識のもと、未改修区間は次の整備区間として事業化を予定するとの極めて力強い答弁をいただきました。積極的な県の姿勢に、住民は大喜びであろうと思います。地元がやらなければならないことは地元として一生懸命に努力することをお誓いし、一日も早い改修、整備を要望するものであります。
 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)
○岩田弘彦君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。ちょっと喉のぐあいが悪いので、聞きづらかったらお許しください。
 大項目1番、「未来を創り出す力を育む教育の推進」について、これは新長期総合計画の重要な柱の1つであります。3点ほど質問させていただきます。
 まず最初、(1)確かな学力向上についてであります。
 平成19年より、全国学力・学習状況調査が実施されております。この調査の目的は、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力・学習状況を把握、分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てること、さらに、そのような取り組みを通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立することにあると思います。
 調査は、小学校6年生、中学校3年生で行われており、教科については、主として知識に関する問題Aと活用に関する問題B、また、生活習慣や学習環境に関する質問紙調査では、児童生徒に対する調査と学校に対する調査が行われております。
 本年―毎年度の教育振興アクションプランでは、教科に関する調査における平均正答率を常に「全教科、全国平均を上回る」を目標にしておりました。
 しかし、結果を見てみますと全国下位低迷が続いていることから、将来を担う子供たちに、知識や技能の確実な定着を図るとともに、これらを活用して思考力、判断力、表現力等を身につけさせてあげる、このことにおいても本県の大きな課題であると考え、学力向上、学力定着のために以前より議場で取り上げてきています。
 今年度の調査報告を見てみますと、待ってましたのうれしい結果が報告されておりました。全国順位でいいますと、小学校の合計で昨年42位がことしは21位、中学校の合計で昨年37位がことしは28位となっておりました。まずもって、関係の皆様に感謝申し上げます。しかし、長期総合計画の数値目標は、全教科、全国ベストテン入りですので、なお一層、一緒に頑張りましょう。
 そこで、今回の結果を踏まえた評価、改善、今後の取り組みについて教育長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの岩田弘彦君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学力の向上の取り組みにつきましては、これまで授業の基本スタイルである「和歌山の授業づくり基礎・基本3か条」の徹底や、県学習到達度調査の実施等、一人一人の学力の定着に取り組んでまいりました。また、授業力や学校経営力の向上のため、学力向上の成果を上げている福井県や秋田県の学校へ教頭や教員を派遣し、自校での実践と近隣校への普及を行いました。
 加えて、昨年度から、国語授業事例集や国語マスター問題集、これまでに課題のあった問題をまとめた評価テストを作成、配信し、徹底活用を進めてきました。また、学力に課題のある学校に対しては、県教育委員会と市町村教育委員会の指導主事がチームとなって学校訪問を行い、重点的、継続的に指導を行ってまいりました。
 本年度の結果は、県教育委員会と市町村教育委員会が一体となって取り組み、各学校が積極的に実践した成果であると捉えております。
 しかし、学力調査においては、小中学校国語のB問題が全国の平均正答率に近づいたものの、依然として下回っていること、質問紙調査においては、家で学校の授業の予習や復習時間が短いことなど、多くの課題もございます。
 これらの結果を踏まえ、今年度は地方別校長研修会を開催し、地方の課題に応じて学力の向上の成果を上げた学校の取り組みを共有するとともに、読解力や書く力を高める具体的な方策について指導してまいりました。
 今後、県内6地方で立ち上げた授業づくり研究会を中心に、国語科を初めとした授業改善の取り組みを一層進めるとともに、現在作成を進めている理科授業事例集や理科マスター問題集等を活用し、理科の学力向上にも努めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、長期総合計画の目標達成を目指し、市町村教育委員会と一体となって子供たち一人一人の確かな学力の向上に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 力強い答弁ありがとうございました。
 やっぱり、見える成果を出していただいてる教育長さんの今議会の答弁て、前の議会と全然違いまして、私の感じるところは、やっぱり成果を出すというのは大きいなと思いました。やっぱりどえらい勢いを感じましたんで、来年も成果を出していただきますようによろしくお願いいたします。
 次に行かしていただきます。
 (2)いじめ・不登校の対応についてであります。
 楽しい学校生活のためには、学校教育に携わる全ての関係者一人一人が、常に不登校、いじめ等の問題を厳しく受けとめ、いち早く兆候を把握し、迅速かつ適切に対応し、この問題解決に向け学校、教育委員会、家庭、地域が連携して情報を共有し、全力を挙げて取り組む必要があります。
 本年10月26日、平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」──速報値でありますが──の概要が文部科学省から報告されております。
 このことを踏まえ、県内のいじめ問題及び不登校児童生徒はどのような状況と把握されているのか、また、いじめ不登校対策の取り組みの現状と今後について教育長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) いじめ問題への対応につきましては、全ての学校でアンケート調査や面談を行い、早期発見、早期対応に努めてきました。
 平成28年度の文部科学省の調査結果では、本県小・中・高等学校及び特別支援学校における1000人当たりのいじめの認知件数は、小さないじめの芽を見逃さないという姿勢で対応したことにより、36.6件と全国平均23.9件を上回っておりますが、早期対応に努めた結果、いじめの解消率は98.1%となっております。
 今後とも、本県独自の道徳教科書を活用して道徳教育を推進するとともに、学校がいじめを積極的に認知し、いじめ問題対応マニュアルに基づいて組織的に解決に努め、1人でもいじめに苦しむ子供が出ないよう取り組んでまいります。
 不登校につきましては、本県では、国が不登校と規定する累計30日の欠席に至る前の早い段階、連続3日または累計5日以上欠席で、児童生徒の個人状況・学校対応状況シートを活用するなど、不登校の早期発見、早期対応に努めてきました。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置を拡充し、児童生徒の心のケアや関係機関と連携した支援を充実させてきたところです。
 平成28年度の調査結果では、全国的に小中学校の不登校児童生徒が増加する中、本県の1000人当たりの不登校児童生徒数は、小学校で前年度と同じ5.2人、中学校では28.5人から27.5人、高等学校では16.4人から16.1人に減少してございます。しかし、依然として不登校児童生徒が多い状況にあり、解消すべき最重要課題として取り組んでいるところです。
 また、有識者会議で議論して作成した不登校問題対応の手引きを今年度から活用し、各学校において、欠席しがちな児童生徒について個別の支援計画を作成し、一人一人の状況に応じた支援を組織的に進めております。また、小中学校に不登校児童生徒支援員を配置し、別室での学習支援を行うとともに、適応指導教室や家庭を訪問し、復帰に向けて支援しております。
 現在、保護者の方が不登校を理解し、家庭においても早期に適切な対応ができるよう、保護者向けマニュアルを作成しているところです。
 今後も、学校、市町村教育委員会と一体となって、いじめ・不登校の解決に向け、取り組みを強化してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 今年度、本当にしっかり取り組んでいただいているというのはよく理解しております。ただ、認知件数なんですが、認知件数が全国平均より多いさかい、少ないさかい、そんなんは気にせんといてください。認知件数少ないほうがええんでというようになってたら皆隠そうとするでしょう。だから、認知件数はもう思いっきり、早期発見、早期対応ですので、どんどんどんどん出ていってもらって、多くても、それをしっかり解決していただけたらそれで結構でございますので、変に認知件数を減らそうとしないでください。どんどん出していってもらったら―しようとはしてないとは思いますが―それのほうがいいと思います。
 それと、未然防止で以前より僕も取り上げさせてもうたんですが、子供たちが1日どこで過ごしてるかというたら、小学校のときとか中学校のときやったら、朝学校へ行って、学校のクラスの中が1つの子供たちの社会になるん違うかなと、そこでおる時間が長いんで、そこの環境が起こりやすい環境なのか、起こりやすい環境でないのか、その学級集団がどういう状況なのかというのも気にして見ててもらえたら、起こりにくくなるんではないかなと思っておりますので、より強化して取り組むということですので、どうかよろしくお願いいたします。
 次に、(3)幼児教育の充実についてであります。
 幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な時期であります。義務教育やその後の教育の基礎となるものとして、幼児期に育成すべき資質、能力を育む観点から、教育目標・内容と指導方法、評価のあり方を一体として取り組む必要があると考えております。
 幼児教育が目指すべきところは、公立・私立、幼稚園・保育園・認定こども園の枠を超えて学校教育につなげるために、同じ方向性を持つことにあるのではないでしょうか。また、生きる力、学びに向かう力を育成し、小1プロブレムを解消し、教科学習につないでいく取り組みが必要と考えます。
 今年度から──昨年度より新しい体制をつくるということで、今年度新たに幼児教育推進班を設置して取り組んでいただいていると思いますが、その取り組みの現状と今後について、教育長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 平成29年3月に、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領が告示され、平成30年度から完全実施となります。
 今回の改訂では、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿が共通して示され、3歳以上の教育内容の整合性が図られました。これは、幼児期の子供がどの園所に通っても、同様に質の高い教育を受けられるようになることを目指したものです。
 県教育委員会といたしましては、改訂された教育要領等の趣旨について、全ての園所から代表者の出席を求め、紀北、紀南の2会場において研修会を実施し、周知徹底してまいりました。
 また、幼稚園、保育所、認定こども園等の職員を対象とした合同研修会では、教育・保育計画を立てるための具体的な方法等をテーマに取り上げ、研修内容を充実するとともに、各園所内での研修が活発に行われるよう園内研修を支援し、保育者の資質向上を図っております。
 今後は、幼児期の学びを生かすための小学校入学時のカリキュラムの作成や、小学校教員と幼児教育関係者が子供たちの情報を共有するための連携会議の実施など、小学校教育と幼児期の教育との接続を円滑に進めるための仕組みづくりを検討し、幼児期の教育をより一層充実してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 全体、国の方向性も整合性を図ってということで、僕が一番気にしておったのは、縦割りの弊害が子供たちに行かないのかというのも心配してましたし、そして和歌山県の場合は、小学校というたらもう100%と言っていいほど公立ですので、いろんなとこから来ても、公立の小学校へ入ってくると。
 小学校へ入ってきたときに、前にも小中一貫であったんですが、中1ギャップをなくすために中学校へ渡るときのハードルを低くするみたいなお話もあったんですが、一番気にしてるのは、ハードルを下げることではなくて、ハードルを下げると中1ギャップが高1ギャップの次につながるだけで、ハードルを下げるんじゃなくて、そこへ来るまでにしっかりと教育しておこうというのが僕は一番ええと思いますんで、これで言いますと、小学校1年生に来るときには、ちゃんと教科学習を受けれる子供にしておくという前提で幼児教育をしていただけたら一番いいんではないかなと、これは私の単なる意見でございますが、しっかり取り組んでいただけると思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、大項目2番、「子育て環境日本一わかやま」に向けてに入らしていただきます。
 (1)子育て家庭への経済的支援についてであります。
 本年9月15日に公表された平成28年人口動態統計の概況によりますと、本県の合計特殊出生率は1.50となり、全国平均1.44を上回っておりますが、人口維持に必要とされる2.07には遠く及んでおりません。出生数も減少傾向にあり、平成28年は、平成27年から372人減り、ついに7000人を割り込んで6658人となりました。今後、親となる20代から30代の人口が減少していくため、少子化対策をさらに充実し、結婚、出産の希望がかなう社会を実現する必要があると考えております。
 また、政府は、人づくり革命の実現に向け、2兆円の政策パッケージを閣議決定いたしました。持続的な経済成長をなし遂げる鍵は少子高齢化への対応であるとされ、子育て世代や子供たちに大胆な政策資源を投入し、社会保障制度をお年寄りも若者も安心できる全世代型へ改革すると記載されています。
 具体的な対策としては、3歳から5歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育園、認定こども園など幼児教育の無料化を初め、待機児童の解消、高等教育の無料化などを進められるとされています。
 一方、本県では、県と市町村が一緒になって、第3子以降を育てる家庭を支援する紀州3人っこ施策に取り組んできました。平成19年からは育児支援事業、平成20年度からはゼロから2歳までの保育料無料化を開始しました。さらに、平成28年度には、保育料の無償化を就学前まで拡充しております。
 また、知事が先日発表されました平成30年度新政策と予算編成の方針では、保育料等無償化を一定の所得制限のもと第2子まで拡充することや、在宅で育児を行う世帯への経済的支援について示されていました。
 国のほうでも今後さらに議論されていくと思いますが、今後の子育て家庭への経済的支援についてどのようにお考えなのか、知事にお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 少子化対策につきましては、本年3月に策定した和歌山県長期総合計画において、本県の取り組むべき施策の第1番目に「ひとを育む」を位置づけ、取り組みを推進しているところでございます。
 子育てや教育にかかる費用の負担が重いことが、子育て世帯への大きな負担となり、少子化問題の一因となっていると認識しておりまして、特に、保護者の経済的負担が大きくなるのが、調べてみますと、子供の就学前と大学在学中であるというふうな結果になりました。この時期の負担を軽減する対策が必要であると思っております。
 こうした考え方のもと、昨年度から従来の紀州3人っこ施策を就学前まで拡充するとともに、幼稚園や認可外保育施設なども対象といたしました。また、大学在学中の対策として、給付型奨学金制度を創設したところでございます。
 紀州3人っこ施策の開始前の平成18年度と28年度を比べてみますと、合計特殊出生率は少し上がっとるんでございますけども、若い世代が減っているものですから、数では出生総数が相当数減少しております。が、第3子以降の出生総数は7%増加をしております。また、第3子以降を妊娠した方へのアンケート調査では、保育料の無償化が影響したと約7割の方が回答してくださっていて、多子世帯をふやす施策として経済的支援は有効な手段であると考えております。
 こうした中で、今後、少子化対策を一層推進していくためには、子育て世帯への経済的支援の拡充が不可欠だと考えており、具体的には、一定の所得制限のもと、第2子を育てる家庭や在宅で育児を行う家庭への支援を検討しているところでございます。
 県や市町村の財政負担の課題があるわけでございますが、国の動向も注視しながら、予算編成過程を通じて、実施に向けて検討してまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 実施に向けてということですので、大いに検討―まあ、実施していただけるものということで。
 私は市会議員のときに、実は一般不妊治療助成制度がまだ県内ではどこもできてないときに、市のほうで先行していこうよと、これについてはと。やっぱりこの子供が少なくなるときに一生懸命子供を産もうと努力しているお母さん、かなりお金がかかってたんです。そのときにせなあかんということでかなりやらせてもうたんですが、なかなか市の財政だけでやるのはしんどいなあということがあって、そのときに、私はもうはっきり覚えておりますが、仁坂知事が初めて知事に当選されたときにその政策を出していただけたということで、一遍に県内が進んだという思いがあります。
 仁坂知事は積極的に少子化対策に取り組んでいる知事やというイメージで私は捉えておりますし、私の周辺もそない思っておりますので、ぜひとも国に先行して、そして国の政策にプラスして、さすが和歌山というふうな政策を2月に出していただけるものと御期待申し上げまして、次の質問に移らしていただきます。
 (2)子育て世代包括支援センターについてであります。
 子育て世代包括支援センターについては、核家族化、地域社会との関係の希薄化などの影響で出産後に育児不安や戸惑いを抱えている産婦が多く見られることから、少子化社会対策大綱、まち・ひと・しごと創生総合戦略に、平成32年度末までに、地域の実情を踏まえながら全国展開を目指すこととされております。
 本県では、妊娠、出産、子育て等に関する相談にワンストップで対応する体制を県内全域で構築するため、子育て世代包括支援センターを設置する市町村を支援しています。
 全国の実施している市町村を調査してみますと、妊娠届け出から支援が必要な家庭を早期に発見し、支援につなぐことができている、助産師など専門職による育児相談や助言をすることで、母親の不安の軽減、そして悩みの解決につながっている、同じような悩みや不安を持つ母親たちと過ごすことで、育児に関する情報交換ができ、孤立感を防ぎ、産後鬱の予防や先を見通した子育てを考えるようになった、妊娠、出産後から切れ目なく支援することにより安心して子育てできる仕組みが構築できた、地域で活躍している母子保健推進員と共同で実施していくことで、子育て世代包括支援センターを拠点とし、地域全体に子育て支援の意識が広がり、地域のソーシャルキャピタルの醸成を促すことができているなど、数多くの結果が報告されております。私の地元、橋本市も本年4月から設置しており、評価も高いようであります。
 子供を産み育てやすい和歌山県のためには早期に県内全域に設置されることを期待しておりますが、取り組みの現状と今後について福祉保健部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 子育て世代包括支援センターは、保健師や助産師などの専門職を配置し、ワンストップ窓口として、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を行っております。
 県では、子育て世代包括支援センターの整備を推進するため、市町村に対して初期の設置経費や運営費を助成するとともに、先進的な取り組みを紹介する講演会や相談支援に必要な知識や技能向上のための専門研修会を開催しております。現在、既に9市町で運営されており、来年度には14市町村が設置を予定しております。
 今後、県といたしましては、平成32年度末までの全市町村設置を目指し取り組むとともに、新たな支援として、妊産婦を対象としたニーズ調査や周産期メンタルヘルス研修、保健所を中心とした母子保健関係者連携会議を実施し、子育て世代包括支援センターの相談体制のさらなる充実を図ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 県のほうも、できる支援を精いっぱいやっていただいて、一日も早く県下全域にこの支援センターができるようによろしくお願いします。
 市町村さんに聞いても、3分の1の負担でいけるみたいで、3分の1が国、3分の1が県、3分の1が市町村ということなんで、取り組みやすいし、必要性は感じてるみたいでしたので。ただ、何か専門職の採用が要るということなんで、その辺がいい人がいるかどうかというのが、県下全域にいてはるんかどうかというのは私もちょっと心配しておりますので、その辺はまた県のほうでも御支援していただきまして、よろしくお願いいたします。
 次、大項目3番、地域医療構想について。
 (1)取り組みの現状と今後についてであります。
 昨年、6月議会において、お隣の奈良県の取り組みで、県立五條病院、町立大淀病院、町立国保吉野病院の3つの公立病院が、県と南部12市町村で南和広域医療企業団を立ち上げ、南奈良総合医療センターを中心とする病院の再編・ネットワーク化の事例を紹介しながら、地域医療構想について取り上げさせていただきました。
 昨年6月議会における答弁では、「本県では各医療圏において公立病院が中心的な役割を担ってきたところであり、今後も地域の各医療機関との機能分化・連携を図りつつ、僻地医療や救急医療など、地域において必要とされる医療を提供する責務があると考えております。 県としましては、地域の医療関係者などで構成する協議の場を設置し、公立病院を含めた病床機能の役割分担について検討してまいります」また、「診療報酬を初めとする今後の国の医療政策の動向を注視しながら、急性期病床から回復期病床への転換に係る施設整備などの必要な支援を行い、おおむね10年かけて将来の医療需要に合った医療供給体制の構築に取り組んでまいります」でした。
 地域医療構想の進捗状況と今後の取り組みについて、まず福祉保健部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 昨年5月に策定いたしました和歌山県地域医療構想は、2次医療圏ごとに2025年の医療需要を踏まえまして病床機能を再編し、患者の症状に合った効率的で質の高い医療提供体制を構築するものであります。
 その実現に向けまして、県では、各医療圏の医療関係者などにより構成される地域医療構想調整会議を設置し、検討を進めているところでございます。
 また、公立の自治体病院は昨年度中に新公立病院改革プランを策定しておりますが、県立医科大学附属病院や日赤和歌山医療センターなどの公的病院も同様に、将来の医療機能のあり方を示す公的医療機関2025プランを年内に策定することとなっております。
 県といたしましては、まずは、医療機関相互の自主的な取り組みを進めるよう支援するとともに、協議の場を持ちながら、公民の各医療機関が担う病床機能の役割分担を進め、地域医療構想の実現に向けて取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 現状を説明いただいてありがとうございます。
 そのことを踏まえまして、(2)に入らしていただきます。
 (2)救急医療体制の充実についてであります。
 地域医療構想は、病床の機能分化と連携を図り、高度急性期、急性期、回復期、慢性期から在宅医療に至るまでの将来の医療需要を踏まえた患者の病状に合った質の高い医療供給体制を構築するための、いわゆる病院の再編・ネットワーク化だと私は思っております。
 一番心配なのが、この中で救急医療について余り触れられていません。今後、急性期機能の病床数が減る見込みと聞いておりますので、単純に考えますと、急性期機能の病床が減少することによって救急医療にマイナスに作用しないのか、ここの部分を心配しております。
 全国の先進事例を見ますと、病院の再編・ネットワーク化とともに救急医療体制の充実がセットで図られておりますので、事例を見ますとその心配はないようですが、本県はどういう事情なのかも含めまして、救急医療体制の充実についてどのように考えているのか、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 2025年の必要病床数に関しましては、県内各地域において過剰とされる急性期機能から不足する回復期機能への病床機能転換も図りながら、今後の人口減少なども踏まえた上で、将来の医療需要に適切に対応していく必要があると考えております。
 具体的には、十分に急性期機能を果たしていない病床の機能転換を促すものでありまして、地域の救急医療体制に関しましては、引き続きしっかりと堅持してまいります。
 今後、さらにICTを活用した遠隔救急支援システムの推進によりまして、地域の2次救急を担う公立病院と3次の救命救急センターとの連携を強化するなど、救急医療の充実を図ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 さらなる充実を図ってまいりますということで、御期待しておりますので、よろしくお願いします。
 次、(3)医療圏の核となる病院への県立医科大学附属病院と紀北分院の貢献についてであります。
 地域医療構想では、地域の医療機関との連携を図りながら、救急医療、僻地医療の支援など、地域医療を担ってきた各医療圏の中核病院を中心に、病院の再編・ネットワーク化を図る必要があるんではないかなと思っております。
 県立医科大学附属病院と紀北分院は、本県の地域医療を担う大きな社会使命があると思います。言い方を変えますと、本県の地域医療に貢献するからこそ県立病院であります。
 地域医療構想の実現には、再編・ネットワーク化の中心を担う各医療圏の中核病院への県立医科大学附属病院と紀北分院の大きな貢献が私は必要不可欠であると考えます。医療圏の核となる病院への県立医科大学附属病院と紀北分院の貢献について知事にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県立医科大学附属病院は、特定機能病院として、がん治療、災害医療、救急医療を初め、あらゆる診療領域で拠点病院としての役割を担っております。
 また、県内唯一の医育機関として多数の医師を育成し、救急医療や僻地医療を行う各地域の中核的な医療機関にそのような医師を派遣するなど、医療提供体制の充実・発展に大きな役割を果たしてきたと認識しております。
 知事就任当時、医師の不足や偏在といった問題が、これは和歌山県だけでなくて、むしろ全国的に顕在化しつつあったわけですが、和歌山県でも心配でございますので、岩盤規制であった医学部定員増について国に懸命に働きかけた結果、定員―当時60名であった県立医科大学医学部に地域医療枠と県民医療枠制度を創設いたしまして、平成20年度にこれによって85名、その後は一般枠も含めまして、平成21年度に95名、平成22年度に100名へと大幅増員されました。
 増員された地域医療枠や県民医療枠の医師が臨床研修を終え、平成28年4月から地域の中核病院で勤務を開始し、地域医療に従事しております。これらの医師については、医師として大成してもらいたいと思っておりますので、地域の医療機関で数年間勤務した後、大学に戻り、先端医療を学び直し、さらに地域の医療機関に戻れるようなローテーションを行うことで、医師のキャリアを形成しながら地域で従事する医師の確保を図る仕組みを創設するとともに、この仕組みを支える地域医療支援センターを県立医科大学内に設置したところでございます。
 今後、さらに増加していくこれらの医師を適切に配置していくことにより、さらなる地域貢献を行っていけるものと考えております。
 問題の紀北分院でございますけれども、第3期中期目標に記載しているとおり、地域性を生かして地域に密着した質の高い医療を提供するとともに、橋本医療圏において、病院機能が重ならないように適切に役割分担しながら、地域における医療提供体制を一層充実してまいりたいと考えております。橋本市民病院との間で適切な役割分担をうまくやって、両方がそれぞれの役割をきちんと果たして、住民の皆さん全員に安心を届けられるようにしていきたいと思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 かなり私の心情を御理解いただきまして、深いところまではっきり答弁いただきまして本当にありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 次に、大項目4番、自然災害について。
 (1)紀の川流域の治水内水浸水対策について質問させていただきます。
 私の地元、橋本市では、10月22日から23日にかけて来襲した台風21号本体の雨雲と停滞する秋雨前線の影響で記録的な雨量となり、紀の川が氾濫危険水位を超えて水位が上昇しました。これにより、市内を流れる大谷川、雨天樋川など紀の川に合流する樋門周辺地域で建物への浸水や道路等への冠水する被害を受けました。
 当該地域は過去にも同様の被害がたびたびあったことから、県と市、連携して大谷川の河川改修を初め排水ポンプを設置するなど、治水内水浸水対策に取り組んできたところですが、今回は被害を回避することができませんでした。今回、建物の床上浸水105件、床下浸水60件を初め、公共・農業施設等への土砂の流入など、甚大な被害を受けました。また、防災計画上、第1次緊急輸送道路に位置づけられた国道370号線も冠水し、住民の避難に支障を来しました。
 雨量、水量でいいますと、紀の川の氾濫危険水位を越え、最低でも5時間、氾濫危険水位並みの前後を合わせますと約10時間近くは継続していたのではないでしょうか。橋本市役所雨量計によると、24時間最大雨量は観測史上最大で、記録を大きく更新しました。
 一方、大滝ダムを見てみますと、大滝ダムの最大流入量は毎秒2037立方メートル──立米って表現してもいいんですかね──で、最大放流量は毎秒1170立米でした。ということは、大滝ダムは、治水機能を発揮していましたが、甚大な被害を受けたということになるんではないでしょうか。これは橋本市の事例ですが、紀の川流域は同じような状況だったと思います。
 最近の気象状況を見ますと、異常な集中豪雨や異常な長雨が、いつ起こっても不思議ではないと考えます。内水浸水被害の大もとは、紀の川本川の水位にあります。狭窄部対策や河道掘削などの河川整備の加速化、河道内の樹木伐採や堆積土砂の撤去、内水の排水対策、この3つについて国に対して強く要望していただきたいのです。和歌山県で一番国土交通省に精通しておられると聞いております県土整備部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 今回の被災等を踏まえた紀の川の内水浸水被害の対策について御質問を頂戴いたしました。
 本年10月の台風21号に伴う豪雨により、紀の川沿川地域においては、橋本市の学文路地区を初め多くの地区で浸水被害が発生をいたしました。これらの浸水被害につきましては、紀の川本川の水位が長時間にわたり高い状態が継続する中、例えば、かつらぎ雨量観測所では観測史上最大となる日雨量219ミリを記録するなど、沿川地域において近年類を見ない大雨となり、内水の排水が困難となったことが主な原因と考えてございます。
 この内水被害の軽減については、国が紀の川本川の対策として平成24年に策定した河川整備計画に基づき、狭窄部対策や河道掘削などにより、戦後最大規模の出水に対し、これを安全に流下させることができるよう整備を行うこととなってございます。この整備を完了することで紀の川本川の水位の低下が見込まれることから、内水被害の軽減が期待されてございます。
 一方、国による紀の川本川の河川整備は狭窄部対策が下流から順次進められるなど時間も要することから、その間、流下断面を確保するためのしゅんせつ等の維持管理を国が行うほか、国、県、市町においても排水ポンプ車を配備するなど、さまざまな手段を用いた内水被害の軽減に努めているところでございます。
 今後とも、紀の川沿川の内水被害を軽減させるよう、紀の川本川の計画的な河川整備の加速化を初め、流下断面の確保や支川排水の円滑化に資する河道内樹木の伐採、円滑な流下を阻害する堆積土砂の撤去を国に強く働きかけてまいります。あわせて、関係者による排水対策の検討の結果を踏まえ、必要に応じ、その支援を国に働きかけてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 強く働きかけていくということで、ありがとうございます。
 橋本市の事情を説明させていただきますと、内水については県の大谷川の整備も頑張って、橋本市もポンプ設置して、そのポンプがうまく稼働するかどうかというところで、いろいろ高さがあったんですが、それでも設置しまして、そして振興局にポンプ車を設置していただいて。ところが、振興局のポンプ車は、どうしてもかつらぎ町に早く、常に早く行かなあかんということなんで、橋本にあるんですが、いつも橋本では動いていないということで、今回、国交省のほうからも来ていただいたということがあります。
 地元にしますと、やっぱり消防とか消防団の皆さんが、常に同じとこで同じこと起こってるんで、常にもう、その態勢でずっと──中本議員もそうですけど、ずっとその態勢でおらんなん状況ということで、住民にとりますと、毎回毎回同じようなことになってんのに抜本的な対策打てないのかよ、市、県、国、一緒になって打ってくれないのかよという、そういう声も多く聞きますので、どうかひとつこの際、抜本的な対策とっていただけますようによろしくお願いいたします。
 次に、(2)道路の早期復旧についてであります。
 10月22日から23日にかけて来襲した台風21号のもう1つの被害というのは、やっぱり道路の被害というのが大きかったんではないかと思います。県関係では78カ所の道路が通行どめになり、そのうち4カ所は現在でも全面通行どめとのことであります。
 この4カ所の中の1カ所である県道高野橋本線は、橋本市学文路地区の重要な生活道路であり、柿生産者の選果場への産業道路でもあります。地元住民の方々にすれば、柿出荷時期も重なったこともあり、仮復旧でもいいので早く通れるようにしてほしいと思うのは当然のことであります。住民目線では、他のほとんどの道路は通行できるようになっているのに、この道だけがいまだ全面通行どめということになります。
 現在までの早期復旧に向けての取り組みと今後について県土整備部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 県道高野橋本線の復旧に向けた取り組み等について御質問を頂戴いたしました。
 山側の柿畑が台風21号により被災し、橋本市学文路地内で全面通行どめとなっております県道高野橋本線につきましては、被災後直ちに現地調査及び測量を開始するとともに、復旧方法等の検討に着手をいたしてございます。
 しかしながら、被災した柿畑の上部に不安定な土塊が残っていたこと、柿畑をどのように復旧するか関係者との調整が必要だったこと、また、道路の通行を確保するために崩土を安全に除去する方法などに課題があったことに加え、翌週の台風22号により被災の範囲が広がったことから、検討調整に期間を要したものでございます。
 その後、農地としての柿畑の復旧は行わず、道路の復旧のみを行うと決定したことを受けまして、現在、崩土除去及び仮設防護柵設置工事の準備を進めているところでございます。今後、1月末の規制解除を目標に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 丁寧に説明いただきまして、ありがとうございます。事情はよくわかりました。県は、一生懸命取り組ましていただいたんですが、これでもまあ精いっぱいということですので、私も地元の方に御説明させていただきます。
 ただ、一日も早い、やっぱり復旧というのを皆さん望んでおりますので、どうか一日も早い復旧になりますようによろしくお願いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、岩田弘彦君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時22分休憩
────────────────────
  午後0時59分再開
○副議長(山本茂博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い、4点にわたって一般質問をさせていただきます。
 まず、最初の1点目は、沖縄の問題についてお尋ねをいたします。
 私は、これまで幾度となく、県主催の和歌山県出身沖縄並びに南方諸地域戦没者追悼式に参列させていただきました。ことしも11月28日午後2時半より沖縄県糸満市の紀乃國之塔前で行われ、参加させていただきました。
 この紀乃國之塔周辺には、各都道府県の慰霊碑が建ち並んでいます。御存じのように、沖縄は日本で唯一地上戦が展開された地であり、軍人、軍属だけでなく一般県民も巻き込まれ、多くのとうとい命が失われたところです。沖縄戦の犠牲者で最も多いのは沖縄県民ですが、全国から派遣された兵士の被害も大きく、和歌山県出身将兵の大半が沖縄最後の抵抗線であった糸満市米須で戦死したと言われています。
 式典では、戦没者を追悼し、とわの平和を祈念して献花を行いました。再び戦争を起こすようなことがあってはならないという気持ちがさらに強くなりました。
 少しでも沖縄の現状を知る機会になればと思い、短い時間でしたが、普天間基地が俯瞰できる嘉数高台公園の展望台にも行ってまいりました。あいにく曇り空だったので、姿が見えず轟音だけが響き渡っている中で、突然オスプレイが姿をあらわし、機体の腹部まではっきりと確認できるほどでした。初めて白浜空港の防災訓練で着陸するオスプレイを見てから、間近に見るのがこれで2回目です。
 その機体は、轟音とともに普天間基地に着陸しました。滑走路には何機かあり、しばらくすると1機のオスプレイがまた離陸し、わずか30分の間、戦闘機やヘリコプターなどあらわれ、住民の頭上を行き交うさまを見て、世界一危険だと言われている普天間基地を実感しました。
 この後、沖縄県庁にも立ち寄り―お手元に配らせていただいています資料1のこのパンフレットをごらんいただきたいと思います。
 基地問題は、基地のある地方だけの問題ではありません。国民一人一人が考えなければならない問題であると改めて痛感をしております。
 沖縄県発行の、沖縄の米軍基地の疑問をわかりやすく解説された「Q&A Book」を御紹介します。
 3ページの一番下の段落には、「戦後、沖縄は、昭和47年(1972年)の本土復帰まで27年間にわたり、米軍の施政権下にありました。本土復帰後も、本土では基地の整理縮小が進む中、沖縄には多くの米軍基地が日米安全保障条約に基づく提供施設・区域として引き継がれ、県民は過重な基地負担を背負うことになり、現在もその負担は重くのしかかっています」とあります。米軍人などによる犯罪、米軍機墜落事故など、これまでの米軍基地に起因する事件、事故が書かれています。つい4日前にも、保育園に米軍ヘリの部品が落下するという背筋がぞっとするような事故が起こりました。
 また、普天間基地移設問題については、22ページには、「土地を奪って、今日まで住民に大きな苦しみを与えておきながら、基地が老朽化したから、世界一危険だから、普天間飛行場の移設は辺野古が唯一の解決策だから沖縄が基地を負担しろというのは、理不尽です」と書かれています。そして、県民の民意として、「沖縄県は、辺野古への移設を反対しており、今後とも辺野古に新基地は造らせないということを県政運営の柱にし、普天間飛行場の県外移設を求める」とあります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 沖縄のこういった現状をどのように感じておられますか。また、県民にありのままの沖縄を伝えるために、このような資料のパンフレットの活用をしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。お答えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 2つの質問に一括してお答えしたいと思います。
 その前に、議員の御質問の中で、我が国で唯一の地上戦というお話がありましたが、定義がたくさんあると思いますけど、いかなる定義をとっても硫黄島を忘れてはいけないと私は思いますので、御指摘さしていただいておきます。
 現状では、地政学的観点から沖縄に基地が集中しておることは事実でございまして、それにより沖縄県民に多大な負担をおかけし、その負担のもとで日本の安全が何とか保たれているという状態でございますから、日本国民の1人として、沖縄の方々に対して、いつも私は心の中で頭を下げている次第であります。
 御提案のあった沖縄県が作成した米軍基地のパンフレットについては、米軍基地のできた経緯や基地が抱える問題、普天間飛行場の閉鎖撤去、県外移設などについての沖縄県の考え方が明確に書かれているものだと思います。
 しかしながら、在日米軍基地は、日米両政府が合意して、日本と極東の平和と安全を確保するため、安全保障上の観点から配備されているものだと考えられます。沖縄における米軍基地も、このような安全保障上、地政学上の観点から配備されているものだと思います。沖縄の米軍基地の縮小や移設、訓練の分散は、日本の安全保障全体にかかわる問題でありまして、沖縄の負担の問題も考慮しながら、国が責任を持って解決しなければならない問題だと思っております。
 その意味でも、この問題について議論をする人は、国家としての安全保障の問題も含め、全ての要請にきちんと応えるような議論をしないと問題の解決にならないと私は思います。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、知事の答弁をいただき、また、御指摘についてはありがとうございます。
 先ほど、基地の負担については沖縄の皆さんに頭の下がる思いであると言われた知事の言葉を重く受けとめさせていただきます。
 知事であるからこそ、もう1つ、安全保障の問題について、またの機会にぜひ議論をさせていただきたいなと、強く今また改めて思いました。
 しかし、私は、沖縄の状況をぜひ全国民として知っていただくために、こういった沖縄県自身がつくったパンフレットを、またさまざまなところでも御紹介をぜひしていただきたいなという思いで再度要望をさせていただきたいんですが、今回やはり何といっても、今の辺野古の新基地の問題におきましても、沖縄の民意というものが示されてるわけだと思うんです。そういった中で、国と地方の関係のあり方について、私は、極端にゆがめられた姿になっているのが沖縄ではないかと思っています。
 沖縄県民は、辺野古における米軍新基地の建設に一貫して反対しています。さまざまな場面で民意を示しています。地方自治の原則に照らすなら、国は沖縄の民意を尊重して基地建設を断念するのが、憲法のもとにある政府がなすべき姿勢ではないかと思います。そのことを私は問題にしたいんです。
 国の姿勢は地方自治をないがしろにするものであって、そのもとでは住民と自治体はみずからの運命をみずから選ぶことができず、国民は自治を担う主権者として育つ機会を奪われることになります。民主主義を死滅させることになってしまいかねないほどのことだということが、憲法審査会の中でも参考人の方が言われています。憲法第8章の保障する地方自治、地域の政治はその地域の主権者である住民の意思に基づいて行われるという統治の原則に反するものであるということを、私は今回指摘をしたいと思います。
 その点で、頭の下がる思いと言われているその気持ちを、知事として、やはり県民の命や暮らしを守ると、そういう立場の方が何をすべきかという点で私は問いたいと思っています。
 そういった点で、国の安全保障にかかわる問題だから、ある意味では犠牲にというか集中して、基地に──沖縄だけが基地があるわけではないですが、そういった危険な状況がたくさん今出てる中で、やはり1人の知事として、地方自治のトップとして何をすべきかという点で、ぜひとも今起こっている問題を率直にしっかりと県民が知る機会として、改めて、何度も言うようですが、こういったパンフレットを何かの機会に紹介、県としてまた取り組んでいただきたいということを要望して、次の質問に行かせていただきます。
 2点目、和歌山市有功・直川地区のメガソーラー計画についてお尋ねいたします。
 県は、10月27日、有功・直川地区の太陽光発電計画に係る林地開発許可申請書の提出について記者発表をされました。その内容は、住民同意を要する対象地域が明らかにされています。
 こういった県の姿勢を評価し、改めて記者発表の内容についてお尋ねをいたします。農林水産部長、お答えください。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 記者発表の内容についてお答えいたします。
 和歌山市有功・直川のメガソーラー計画に係る林地開発許可申請が、平成29年10月16日に、事業者から海草振興局農林水産振興部林務課に提出されました。
 森林法及び和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領に基づき、申請書に必要な書類が添付されているかを確認したところ、開発行為区域内の権利者の同意書や開発行為に対する利害関係者の同意書等の必要な書類が一部添付されていなかったため、平成29年10月25日に補正文書を添えて返却いたしましたので、平成29年10月27日に、これら一連の経過を発表したところです。
 なお、今回申請の開発行為に対する利害関係者については、開発地に隣接または下流域の直近に位置し、開発の影響を受けるおそれのある自治会及び権利関係者といたしました。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、内容についてお答えいただいたんですが、開発行為の区域内の権利者等の同意書の添付とありますが、計画地には、和歌山市管理の里道、水路などがあると思います。和歌山市の判断に期待するものです。
 また、計画の隣接自治会では、新たに住民投票が行われ、反対と決定した自治会がふえていると聞いています。ある自治会では反対が250、賛成30、もう1つの自治会では反対309、賛成101だったとお聞きしています。また、有功水利組合も反対を表明しています。このことをあわせて紹介をしておきたいと思います。
 次に、台風21号による大雨時の状況からも、流域の住民の方からの不安が大きい千手川について、流れを阻害する堆積土砂や樹木の維持管理はどのようになっているのかを県土整備部長にお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 千手川の維持管理について御質問を頂戴いたしました。
 県管理河川の維持管理につきましては、河川パトロール等により現地状況を注視し、大きく流れを阻害する状況が確認されるなど、その緊急性の高いところからしゅんせつや樹木伐採等を実施することなどにより、適切な維持管理に努めているところでございます。
 千手川につきましても、他の河川と同様に適切な維持管理に努めてございまして、今年度も観音橋の上流約300メートルの区間においてしゅんせつを実施する予定としてございます。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、御答弁いただいて、パトロールで緊急性の高いところからしゅんせつすると言われました。千手川は今年度内に300メートルにわたってしゅんせつを実施されるということで、住民の皆さんの不安に応えるものになっていると思います。
 今回の県の判断から考えると、相当な土砂の堆積があるということを示しているのではないでしょうか。このことからも、メガソーラーなどの大規模開発をすると、山崩れなどで一層土砂の堆積が進む可能性があるということではないかと思います。そのことを再度申し述べておきたいと思います。
 3点目に行かせていただきます。
 紀の川流域における水害対策についてお尋ねいたします。
 最初に、10月22日の台風21号による浸水などの被害が発生しました。亡くなられた方や被害に遭われた皆様に、心から御冥福とお見舞いを申し上げます。被災された地域を回らせていただくと、ある方は「ボランティアの皆さんが来てくれ、涙が出るほどうれしかった」と言われていました。対応された職員の皆様も本当に御苦労だったと思います。
 それでは、1つ目の台風21号による甚大な被害について質問させていただきます。けさの岩田議員の質問もありましたので、重複するかと思いますが、よろしくお願いします。
 特にここでは、紀の川流域の浸水被害の原因についてどのようにお考えかをお尋ねします。紀の川市の丸栖地区等における浸水対策についても県土整備部長にお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 紀の川市の丸栖地区等における浸水対策について御質問を頂戴いたしました。
 先ほど議員の御質問の中にもございました、午前中の答弁と一部重複するかもしれませんが、本年10月の台風21号による豪雨によりまして、紀の川沿川地域においては、紀の川市の丸栖地区を初めまして多くの地区で浸水被害が発生をしてございます。
 これらの浸水被害につきましては、紀の川本川の水位が長時間にわたり高い状態が継続する中、例えばかつらぎ雨量観測所では観測史上最大となる日雨量219ミリを記録するなど、沿川地域において近年類を見ない大雨となり、内水の排水が困難となったことが主な原因と考えてございます。
 次に、紀の川市の丸栖地区等における浸水対策ですが、同地区周辺では次の2つの事業が現在実施をされてございます。
 まず、紀の川本川においては、平成24年に国が策定した河川整備計画に基づき、平成28年度には岩出狭窄部を緊急対策特定区間に設定し、おおむね5年間で岩出頭首工付近での拡幅水路の整備や頭首工上流の河道掘削を国直轄事業により実施することとされてございます。
 もう1つは、農業用排水施設の排水機能を回復することを目的とした排水機や農業用排水路等の整備が国直轄事業により進められてございます。
 これらの整備が進捗または完了することによりまして、紀の川本川の水位が低下いたしますとともに、排水機能の強化が見込まれ、内水被害の軽減が期待されてございます。
 今後も引き続き、内水被害の軽減に資する対策の早期完成を国に働きかけますとともに、関係機関との連携による浸水対策に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、紀の川整備で、特に岩出の頭首工の拡幅工事ということでおっしゃっていただいてるんですが、この21号による被害の状況という、台風が過ぎ去った後で、私も貴志川の丸栖、また龍門山の麓とか橋本のほうとか行かせていただいたんですけども、特に丸栖は以前にもつかったりしてる、それで調月のほうも4年前にもそういった市営住宅などが大変な浸水に遭って、それ以上に今回はもっと浸水がひどかったというようなことをお聞きしてるんですが、丸栖地区をずっと回らせてもらったら、田や畑があって、そういった被害もあわせて、やはり収穫の終わった後のわらがたくさん民家に流れ込んだりとか、農業用機械が浸水したり選果場の機械が浸水したり、そういったことが起こっていました。
 1軒1軒というわけにはいかないので、外に出られている方にお声をかけて、お見舞いも申し上げたんですけど、その方はたまたま2年前からこの丸栖のところにお住みになって、以前は沖縄に9年ほど住まれて、また仕事の関係でほかの県にも住まれてたという、富山からおいでた方だったんですけど、その人が御実家に、郷里に帰られてる間にこの台風があって、それでニュースを見たら、ちょうど自分の近所の光景がニュースに流れていたと。それで、慌てて帰ってきたということで、そこで出くわしたんですが、2年前、またそういった以前にもこのようなことがあったと聞いて「何で同じことがまた起こったんや」といようなことで私も叱られたんですけども、先ほど部長が答弁してくださったようなことが対策としてされていますというようなこともお答えもさせていただいたんですが、そういったことで、「何で丸栖のほうへお住まいになられたんですか」と言うたら、「いろんなとこへ行ったけど、ここが物すごくええ」と、何か景色やらそういったことがすごくよかったということで、「一番いいと思って住んだんです」というようなことを言われてたので、やはり安全・安心な中で移住という問題も、そういったことが大変大事なことだなあということで改めて感じたところです。
 そういった面で、新しくいろいろと開発とか、分譲住宅をしたり、丸栖のほうにも新しく家が建てられてますけど、そんなところも安全・安心の面でもどうなのかということも、よく県の方にもお話しするとやはり民間の話なのでということも出てくるんですが、何とか、やっぱり和歌山県へせっかく来た人が安心して住んでもらうという面でも非常に大切だと思いますので、そういった面でも、ぜひ早くこういう事業を安全な形で進めていってほしいなと強くお願いをして、次の質問をさせていただきます。
 2つ目は、和歌山市の七瀬川流域における避難勧告等の判断、伝達についてお尋ねをいたします。
 先日、七瀬川近くの団地を訪問させていただきましたが、「寝ていて手が冷たくなり、初めて浸水していることに気がついた」、「トイレに行こうとして床が浸水していることがわかりびっくりした」などと言われていました。
 聞くところによると住民への避難勧告などなかったということですが、どのようになっていたのでしょうか。「県民の友」9月号には、避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成のモデル基準を策定し、短長期の降水予測を行う独自の気象予測システムが整備され、市町村が早期かつ的確に避難勧告などを発令できるよう支援していると、このように「県民の友」には書かれています。
 現状と課題について、危機管理監にお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 10月の台風第21号により、和歌山市では72時間で300ミリを超える大雨となりました。市全域で床上・床下浸水等で387棟の住家被害が発生し、議員御質問の七瀬川近くの団地がある紀伊地域においても204棟の住家被害が発生いたしました。
 災害対策基本法の規定に基づいて避難勧告等の発令を行う和歌山市に確認したところ、今回の大雨により、亀の川の水位が氾濫危険水位を超え、かつ、当該河川流域では時間雨量20ミリを超えることが予測されたことや、和田川の水位が氾濫危険水位を超え、また上流にある大池で越水のおそれがあったため、名草地区や西山東地区など7つの地区に対して避難勧告を発令しております。
 一方、紀伊地区につきましては、七瀬川は小河川のため水位変動が激しく、現場の状況で避難判断を行う必要があるとの理由で、消防隊による見回りを強化していましたが、夜間に浸水が発生したため、外出避難を危険と判断して、避難勧告等の発令を行わなかったとのことです。
 県といたしましては、市町村に対し、議員御指摘の避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成のモデル基準の運用等の徹底に努め、市町村が災害時に的確な避難勧告等を発令できるよう、引き続き取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁いただきましたが、やはり夜間に避難勧告を出すということになれば、大変危険な状況にさらになってしまうというようなこととか、そしたら夜間などの場合にどうするかとか、そういったことも含めて、住民がこういったことを十分理解していくことと、市町村がどの時点でどう出していったらいいのかというのは、これからもぜひ課題として、一緒に県も市町村とこういった点について具体的な事例などを含めて十分検討していってもらいたいなあということをお願いして。
 七瀬川については、そういうことに、浸水にならないようにするということが大事なことだと思うんですが、今回は団地の堤防というのが60センチぐらいのコンクリートの堤防があったんですが、そこを乗り越えて浸水、水がずっと来たということなんです。消防隊も来て、いろいろそのことで住民の方が気がついて、何か起こってるなというような感じをしてたんですけど、見る見るそうやって浸水起こったというようなことも言われてますし。
 ここの七瀬川だけではなくて、これからも起こり得ることで、このシステムというのが平成25年に事業として取り組まれたとお聞きしてるんですが、その間も含めてやはり市町村との連携が非常に大事だと思いますので、よろしくお願いしたいなと思います。
 この点については七瀬川についての要望として、やはり浸水対策として今、川幅を広げるなど河川改修を行っていただいていますが、一日も早い完成を目指して改修を促進していただけますようよろしくお願いして、次の質問に行かせていただきます。
 最後の4点目です。国保制度の改革についてお尋ねいたします。
 国保は、御存じのように、75歳未満の被用者保険に加入していない人が全て加入する公的医療保険制度です。国民皆保険体制を支える制度になっています。
 今、加入世帯の4割が年金生活など無職、非正規労働者などの被用者が3割を占めるようになり、国保加入世帯の平均所得は1990年代前半から下がり続け、今や全国平均では140万円、和歌山県内では106万円です。
 国保制度に対して、政府は当初、無職者が加入し、保険料に事業者負担がないことから、保険制度として維持するには相当額の国庫負担が必要と宣言していましたが、その後、国保の財政運営に対する国の責任を後退させ、国保の総会計に占める国庫支出金の占める割合は、1980年代前半の50%から20.3%──これは2015年度です──にまで下がっています。
 加入世帯の貧困化と国の予算削減が同時並行で進む中で、1人当たり保険料は上がり続けており、低所得者が加入する医療保険なのに保険料が高いというのが国保の構造問題と考えます。
 来年度から国保が県単位化され、県も運営主体となりますが、この構造問題にどう対応するのかが県に問われていることではないでしょうか。
 国は、国保の広域化、都道府県単位化を進め、都道府県を司令塔にして、国保運営方針に基づく財政管理、医療費適正化計画での医療給付費抑制、地域医療構想による病床削減を一体で進めるものになっています。県民から医療を遠ざけることになるのではないかと心配をするところです。
 そこで、お尋ねいたします。
 低所得者が加入する医療保険なのに保険料が高いという構造的問題についてです。
 皆さんのお手元に資料2を配付させていただいています。ごらんいただきたいと思います。
 収入、所得、世帯人員の各ケースで和歌山市の国保料と協会けんぽの保険料比較を出しています。
 ケース1、2は単身者の場合です。40代になると介護保険料が加わってきます。いずれも、国保は協会けんぽの1.7倍前後です。家族数が多くなると、国保はうんと高くなります。
 次に、ケース3や4です。ケース4では、収入360万円で4人家族、この場合、2.3倍にもなります。収入360万円で保険料が47万7840円にもなります。1.6カ月分の収入が保険料に消えてしまうわけです。
 さらに、国保加入世帯の4割の年金世帯の場合、ケース5です。年金収入200万円で国保は5割減免の対象ですが、それでも協会けんぽの同じ収入の世帯と比べてもまだ高いのです。こういったことから、払いたくても払えないという声は当然ではないでしょうか。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 県単位化によって、保険料はどのようになりますか。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 来年度の国民健康保険の保険料は、県が算定し市町村へ通知する国民健康保険事業費納付金の額をもとに、各市町村が決定することになります。
 今回の制度改正により、全国規模で約3400億円の公費拡充が図られていることから、保険料負担の軽減に一定の効果があると考えております。
 平成29年度に制度改正があったと仮定した場合の1人当たりの県平均保険料は、法定外繰り入れ前で9万5564円となり、平成28年度の10万6634円と比較し、1万1070円下がりました。なお、市町村別の1人当たり保険料は、2市で増額となっております。
 県では、現在、この試算結果をもとに、被保険者の方に過度な負担増とならないよう、市町村と継続的に協議を行っておるところでございます。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、運営方針の問題について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 保険料の統一を当面無理と言いながら、39年度には統一を目指すと踏み込んだのはなぜでしょうか。他の都道府県では期間を明示して保険料統一を目指すとしたところは少数だと思うんですが、県はなぜ方針に入れたのでしょうか。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 県が国民健康保険の財政運営主体となることから、県内どの市町村に住んでも同じ所得であれば同じ保険料となることが公平性の観点から望ましいと考えており、国が示すガイドラインにおいても、将来的に都道府県での保険料水準の統一を目指すことが求められているところでございます。
 しかしながら、本県の現状では、各市町村間で1人当たりの医療費格差が約1.7倍あり、当面保険料を統一することは難しいため、県と市町村が連携して、「みんなで実践!健康づくり運動ポイント事業」を初めとする生活習慣病の予防対策や後発医薬品の使用促進など、医療費を下げるためのさまざまな対策を継続実施しながら、平成39年度までに県内統一保険料を目指すとしたところでございます。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、法定外繰り入れの解消期限を示しているが、法定外繰り入れは市町村の判断と言っていたのではないでしょうか。この点についてもお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 現在、一部の市町では、政策的な判断で保険料負担の軽減を目的に一般会計から法定外繰り入れを行っておりますが、県内統一保険料を実現するには、法定外繰り入れは解消される必要があります。
 県といたしましては、法定外繰り入れの解消による保険料の急激な上昇を避けるため、市町村と連携して医療費を下げるためのさまざまな取り組み等を進めることで、法定外繰り入れの計画的、段階的な解消につなげてまいります。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 再度ちょっとお尋ねしたいんですが、市町村が判断して法定外繰り入れを政策的にしているという点ですが、どのような理由でされているかという点では把握されていますか。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 法定外繰り入れを行っている市町からは、1人当たりの医療費が県平均より高いため、保険料負担も高くなることから、法定外繰り入れを行っていると聞いております。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最初に皆さんにお示ししたように、国保税、国保料が他の医療保険と比べても、また、加入者の所得から見ても非常に高いという点についておわかりいただけたと思います。それは、国費の削減が原因ではないでしょうか。それを補填するために、市町村が政策的に保険料負担の軽減を目的に繰り入れをしているわけですから、それは市町村の姿勢として尊重すべきだと思います。保険料統一のためにこれをなくすというのは、その自治体の自治権を侵害すると、そういったことになると思います。
 先ほど市町村の法定外繰り入れの理由ということをお尋ねしましたが、医療水準、医療費が大きいからというだけの問題ではないのではないかと思っていますので、その点でもしっかりとまた市町村に対して把握をしていただきたいと思います。
 次に行きます。
 新制度では、県が各市町村に納付金の額を提示する際、あわせて各市町村の標準保険料率を公表することになっているんですが、算定の仕方や公表をどのように考えておられますか。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 国民健康保険事業費納付金は、県全体の医療費を推計し、保険料として必要な額を積算した上で、市町村ごとに被保険者数、世帯数、所得水準、医療費水準を反映させ、算定することになります。
 平成30年度の各市町村の保険料のもととなる国民健康保険事業費納付金及び標準保険料率につきましては、現在、県において算定作業を行っているところであり、今月末に決定する診療報酬改定などを踏まえ、来年1月上旬には市町村に通知し、その後、標準保険料率を公表いたします。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 全国知事会では、ことしの7月、国保制度のさらなる改革に向けた提言を発表しています。国保への定率国庫負担の引き上げ、子供医療費無料化の国制度の創設、自治体の医療費無料化の取り組みに対するペナルティーの全面中止、子供の均等割の軽減などとなっています。実現に向けて、県としてもしっかり後押しをしていただけるようによろしくお願いいたします。
 最後に、国保の構造的問題について知事に……。済みません、1個抜けました。
○副議長(山本茂博君) 続けて。
○奥村規子君 よろしいですか。
○副議長(山本茂博君) はい、続けて。
○奥村規子君 保険料の徴収の適正実施についてお尋ねせんといかんのです。
 徴収を強化するというようなことで運営方針には書かれてるんですけども、そういうことになれば大変なことになるんではないかと思っていますので、その点についてもお考えをよろしくお願いします。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 徴収を強化するというふうには書いていないと思いますが、お答えいたします。
 保険料の適正な徴収につきましては、国民健康保険制度の健全な運営及び被保険者間の公平性の観点から大変重要であると考えております。徴収につきましては、今回の制度改革後も引き続き市町村が担うこととなっており、和歌山県国民健康保険運営方針では、保険料を滞納している被保険者に対し、納付相談等きめ細やかな対応を行うこととしております。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 以前にも国保の問題で質問させていただいたときに、大変滞納の問題、回収していく問題とかそういった中で、今部長が答えてくださったように、きめ細かい対応をしますと言うてくださってるんで、そのことが非常に大事だと思いますので。
 せんだっても、ある市ですけども、きちっと分割を、子供さんが難病でとか御病気で医療費も含めてなかなか保険料が払えない状況があって滞納されてたのを、きちっと役所とお話しして払ってたわけです。その方は、もう何十年も消防団活動なんかやってて頑張ってらっしゃった方が、突然その催促状とかいろんなことがあったりして、窓口での納付相談をやっぱりしっかりとしないと、もう機械的にやって回収機構へ送られるとか、そんなことになったら本当に大変なことなので、その点でぜひとも、県としてもしっかり市町村と連携してしてほしいなと思っております。
 最後に、国保の構造問題について知事にお尋ねいたします。
 「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない。」と国保法4条で規定しています。国の公的責任で国保の健全な運営を図るべきと考えますが、構造的な欠陥を持っている制度の根本問題の解決が必要ではないでしょうか。
 その点について、知事のお考えをお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国民健康保険制度は、年齢構成が高く医療費水準が高い、それから、所得水準が低く保険料負担が重いといった構造的な問題がございます。そのため、今回の制度改革では、全国規模で約3400億円の公費拡充が図られておりまして、保険料負担の軽減に一定の効果があると考えております。
 しかしながら、今後も医療費の増加が見込まれる中で、ナショナルミニマムとして国民皆保険制度の根幹をなす国民健康保険制度を持続可能なものにしていくことは、国の責任であろうというふうに思います。
 そのため、全国知事会では、これまでも繰り返し国庫負担金の増額など財政支援の拡充を国に要望してきたところでありまして、今後も被保険者の方の負担軽減が図られるよう、全国知事会を通じて要望していきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、要望させていただきます。
 県単位化そのものや保険料の統一で、構造的問題の解決にはならないことは明らかです。あくまで公費負担をふやすということがまず大事なことではないでしょうか。3400億円の公費が投入されて、それで一定の効果を評価していますが、まだまだ負担が重いというふうに思います。
 今回のこの3400億円を投入するということで保険料が少しでも引き下げが行われるわけですから、この点、県単位化によって保険制度が改善するというものではないと思います。
 資料2のほうで見ていただいたように、保険料の比較を見ても、企業負担がない分、また低所得者、無所得者が多い国保に相当の公費負担、投入がなければ、当然高くなってしまいます。知事も、国民皆保険制度の根幹をなすと言われました。国に要望するとおっしゃってくれました。同時に、県単位化でも、県も国保の運営主体となることから、県での公費投入を行うべきと考えます。
 また、市町村の繰り入れの努力は政策的な判断でということですが、それについてぜひ尊重すべきというふうに考えますので、その点についても今後しっかりと検討していただけますよう強く要望して、今回、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさしていただきます。
 最初の質問は、空き家対策についてです。
 言うまでもなく、全国的に空き家が問題になっておりますが、和歌山県でも空き家が増加しているようです。平成25年度のデータですが、住宅・土地統計調査による和歌山県の空き家率は18.07%で全国で3位、現在の空き家戸数は約8万6000戸で、現在も増加傾向にあるようです。
 空き家が問題になるのは、それが増加することによる当該住宅地の価値が低下すること、倒壊などによる安全性の問題のほか、衛生上、景観上の問題、火災発生の誘発、不審者や動物侵入のおそれ、周辺住民とのトラブルが発生すること、建物が老朽化することにより売買、賃貸の可能性が低くなるなど、多くの懸念があるからです。
 空き家の問題を大きな視点で捉えると、都市のスポンジ化という現象が発生していく指摘があります。都市の人口が減ることで空き家がランダムに発生し、町なかがスポンジのようにすかすかになってしまうことです。この都市のスポンジ化への対策としてコンパクトシティーを目指すことが理想で、進めておるところですが、実際に人を行政が思うように動かすことは難しいことです。
 この問題に関して、首都大学東京の饗庭伸教授は、次のように述べております。「都市は、拡大していくときは30年ぐらいでばんと大きくなってしまいますが、小さくなるときは50年、100年といった時間がかかります。そして、そのときに確実にスポンジが出てきてしまう。50年後に都市が小さくなるからといって、50年間何もしないというのは人々の生活を支えることにはなりません。だから、スポンジの穴をどう使うかといった議論が必要なのです」。
 この問題に対応するため、和歌山県、そして県内の市町村では、空き家法に基づき、特定空き家に対し、助言、指導、勧告、命令手続を実施することにしていますし、所有者を確知できない場合には、この手順によらないで略式代執行の実施を可能にしています。また、マイホーム借り上げ制度の普及促進にも取り組んでいるところです。和歌山県の空き家対策は、中古住宅の流通、空き家の適正管理、管理不十分な空き家の除去と修繕の3本柱の対策を実行中だと思います。
 そこで、和歌山県と市町村が実施してきた空き家法施行後の空き家対策の状況と今後の取り組み方針について、知事にお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 適切に管理されていない空き家は、防災や衛生、あるいは景観上、地域住民の生活環境に大きな影響を及ぼすとともに、土地の流動化を図り、地域の活性化を進める上でも大きな阻害要因となり得ることから、空き家対策は喫緊の課題であると思います。
 このため、和歌山県では、大きく分けると空き家の流通促進と不必要な空き家の除去ということだと思いますが、後者については、全国に先駆けて平成24年から、建築物等の外観の維持保全及び景観支障状態の制限に関する条例、時々、私は冗談っぽく廃墟片づけ法と言っておりますが、この条例をつくり、先鞭をつけておりました。
 ただ、国も追いついてまいりまして、平成27年に空き家法が施行されたわけでございます。この空き家法では空き家対策の主体は市町村とされているわけでありますが、県も一体となって取り組む必要があると考えて、昨年度の新政策に空き家対策の促進を掲げ、県、市町村、学識経験者等で組織する和歌山県空家等対策推進協議会を設立いたしました。
 何でつくったかといいますと、住民と直接接しているのが市町村でございまして、市町村の方々が住民との間で、「あの担当者だけは厳しい」とか、「よそのまちは緩いのに、何でうちだけそんなきついことを言うんじゃ」とか、こういうようなことを言われ始めると、市町村長さんも、あるいは担当の職員も立つ瀬がございませんから、したがって共通で合理的な判断基準を策定いたしまして、どの市町村であってもこの基準をもって対処しようというような環境をつくろうとしたわけでございます。
 こうしたところ、これまでに市町村はこの判断基準を活用してくださって約1300件の適切な管理を促し、これにより約400件の除却や修繕に至るなど、成果が生まれてきております。私も、県下の町並みを最近見ていると、かなりそうであるなあというふうに実感するところもございます。
 県としては、新政策で掲げた空き家の状態に応じて、今申し上げましたような除却はもちろんでございますが、使えるものについては、議員御指摘のように、修繕もしながら流通・適正管理をするということをやりたいと思っておりまして、そういうことを市町村なんかもちゃんとできるように、相談体制の整備とか、あるいはマニュアルの作成とか、そういうことを行いまして、引き続き市町村や関係団体と連携しながら、空き家対策を総合的に推進していく所存でございます。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 空き家を市町村が取り壊した場合の費用負担についてお尋ねをしたいと思います。取り壊す場合、所有者が判明している場合と所有者が判明していない場合がありますから、それぞれお答えいただきたいと思います。特に難しいのが所有者が判明していない場合ですが、これに対する取り組みはどうなっていますでしょうか。県土整備部長の答弁をお願いします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 市町村が空き家を取り壊した場合の費用負担等について御質問を頂戴いたしました。
 市町村が空き家法に基づきみずから空き家の除却などの対策を講ずるには、2つの手法がございます。1つ目は、所有者等に対し必要な措置をとるよう助言、指導、勧告、命令を行っても、なお必要な措置が履行されない場合の行政代執行となります。2つ目は、所有者等を確知できない場合の代執行で、いわゆる略式代執行と呼ばれているものでございます。
 その費用につきましては、いずれの場合も所有者等が全額を負担することが基本となってございますが、除却費等に充当可能な所有者等の財産が存在しない場合などにおきましては、結果として市町村が負担せざるを得ないことがございます。
 これらの取り組みに係る市町村への財政的な支援についてですが、略式代執行の経費の一部は国の助成制度の対象となっており、本年8月に実施された橋本市による代執行においても活用されてございます。
 なお、財政的な支援ではありませんが、県では、市町村の行う空き家の現地確認に立ち会うほか、必要な手続等について情報提供や助言を行ってございます。さらに、所有者等が不明・不存在の場合の対応を円滑に実施するため、現在、和歌山県空家等対策推進協議会において、所有者等の確知方法や代執行、財産管理人制度の活用等に係るマニュアルの整備に取り組んでいるところでございます。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 部長の答弁をいただきまして、まず、活用しないというんでしょうか、売却ができないからの理由で空き家になってる家屋を取り壊す場合、相続をした子供などの現在の所有者が費用負担するときに、これが少し問題になっているというふうなのを聞きます。
 見方を変えて、今まで近隣からの要望が多かったんですけど、相続した人の立場に立つと、空き家の規模によって違うんですが、相続した空き家の取り壊し費用を負担することが大きな負担になる。例えば、家屋の取り壊しのために一気に、平均かと思いますが、200万円程度の費用が発生する場合、もう空き家はそのまま放置しておこうと、こういう考えがあるというふうに聞くことがあるんですが、これに責めがあるかないかというのは、いずれにしても問題になろうかと思います。
 そこで、行政の空き家担当箇所が所有者と取り壊しの話をする場合、取り壊し費用の分割払いを可能にするだとか、将来売却できたときに一括払いをするのでそれまで猶予するなどの方法も考えられると思います。空き家を取り壊す意思があっても即に取り壊すことができない相続人のために、支払い方法などの提案をすることもありだと思いますが、いかがでしょうか。県土整備部長の答弁をお願いします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 取り壊し費用の支払い方法等への御提案等に関する質問を頂戴いたしました。
 空き家法では、第一義的には、特定空き家等の所有者はみずからの責任において必要な措置を講ずる必要がございますが、一方で市町村は、所有者等による空き家等の適切な管理を促進するため、その所有者等に対し、情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとされてございます。
 こういうことで、市町村では、空き家の相続人等に対して必要な措置をとるよう助言、指導等をする際、みずから助成制度を設けている場合にはその活用を助言するほか、空き家の相続時の譲渡所得控除等の税制優遇措置や解体工事に係る金融機関の融資制度を情報提供するとともに、必要に応じて関係団体等を紹介しているところでございます。
 これらの制度を活用した売買、処分等の手法提案については、所有者等がみずから対策を講ずるための有益な手法の1つであると思料されますので、和歌山県空家等対策推進協議会においても、相談体制の充実など、その対策の実施を検討してまいります。
 県といたしましても、今後とも市町村や関係団体の皆様と連携しながら、空き家所有者みずからがその対策に取り組みやすい環境整備に努めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 続いて、台風21号被害への対応についての質問に入ります。
 和歌山県を襲った台風21号の被害状況と、同じような被害を今後防止するための対策についてお尋ねしたいと思います。
 和歌山県の被害は、一部損壊136棟、床上浸水が967棟、床下浸水は1127棟にも及んでおりまして、また砂防や河川の被害も各地で発生、多くの県民の皆さんを不安に陥れました。
 和歌山市においても床上浸水被害が多く発生していますが、中でも和歌山市田井、このあたりでは、ここに住んで60年が経過しているが、こんな水害は初めてだったという感想も現場で聞くことができるなど、台風当日、このあたりに行かしていただくと、プールというか海のようになっていたような状況でした。同様に、紀の川市丸栖や調月でも床上浸水が発生し、台風が去った後の各家庭での復旧作業は困難をきわめておりました。
 今回、和歌山市や紀の川市、この周辺の地域に浸水被害が発生した原因究明は進んでいると思いますが、また、この地域の浸水被害はどのような原因によるものだったのでしょうか。県土整備部長の答弁をお願いします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 台風21号により和歌山市や紀の川市地域で発生した浸水被害の原因についてのお問い合わせでございます。本日何度も御答弁をさせていただいてまして、繰り返しになりますが、御容赦をいただきたいと存じます。
 本年10月の台風21号による豪雨によりまして、紀の川沿川地域において、紀の川市の丸栖地区及び調月地区や和歌山市の田井地区など、多くの地区で浸水被害が発生してございます。これらの浸水被害については、紀の川本川の水位が長時間にわたり高い状態が継続する中、例えばかつらぎ雨量観測所では、観測史上最大となる日雨量219ミリを記録するなど、沿川地域において近年類を見ない大雨となり、内水の排水が困難となったことが主な原因と考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今回と同じような浸水被害をなくすためには、今の答弁からしますと、河川改修をさらに加速させることが必要だと思います。被害に遭われた方は、毎回同じような浸水がある、あるいは災害に見舞われる不安がある、こういう声があります。
 そこで、紀の川エリアの改修計画について、県土整備部長の答弁をお願いします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 紀の川や紀の川平野の改修計画について御質問を頂戴いたしました。
 紀の川本川においては、平成24年に国が策定した河川整備計画に基づき、平成28年度には岩出狭窄部を緊急対策特定区間に設定し、おおむね5年間で岩出頭首工付近での拡幅水路の整備や頭首工上流の河道掘削を国直轄事業により実施することとされてございます。
 平成29年度においては、拡幅水路の本格的な着手や河道掘削等を実施していると聞いてございます。また、農業用排水施設の排水機能を回復することを目的とした排水機や農業用排水路等の整備が国直轄事業により進められており、平成29年度については、排水路の工事等を実施していると聞いてございます。
 平成32年度までの整備を目標とした岩出狭窄部対策の完了により、紀の川本川の水位が低下するとともに、農業用排水施設の排水機能の強化が見込まれ、内水被害の軽減が期待されてございます。
 今後も、引き続き内水被害の軽減に資する対策の早期完成を国に働きかけるとともに、関係機関との連携による浸水対策に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 同じく水系ですけども、各地を今回回ったわけですけども、海南市の室山・岡田地域も大雨のため家屋が浸水被害に遭っている現場を見さしていただきました。この地域では、浸水対策推進協議会を発足さして、ポンプの設置など浸水対策の協議を行っているところだと聞いております。
 これまでの成果として、大坪川の測量調査、堤防のかさ上げ工事を実施するなどの成果も出ていますが、今回の台風によってまたも浸水被害が発生しています。地元の皆さんは、今回の事態に対して不安を感じ、浸水対策が進行していない状況にいら立ち、不安を感じているようです。亀の川や大坪川の整備計画の見通しについて、県土整備部長の答弁をお願いします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 亀の川、大坪川の整備の状況、今後の見通しについて御質問を頂戴いたしました。
 海南市の室山・岡田地域の浸水対策として、亀の川と支川大坪川において河川整備を実施してございます。
 亀の川につきましては、平成22年10月に策定した河川整備計画において、河口から紺屋橋までの約4.8キロ区間について堤防整備や河床掘削を位置づけ、下流から順次整備を進めてございます。これまでに河口より約600メーター区間とその上流左岸側約160メートルが完成し、今年度は、引き続き右岸側の護岸工事と河床掘削を実施してございます。
 また、支川大坪川につきましては、亀の川合流点からJR橋までの約1.2キロの県管理区間において平成28年度から局所的な対策に着手し、現在、室山団地前において護岸の一部かさ上げや、亀の川との合流点付近において河床掘削するための護岸の補強を実施してございます。
 さらに、市管理区間であるJR橋上流の岡田地域については、浸水対策として海南市が排水ポンプ場の整備に取り組んでいると聞いてございます。
 県としては、今後ともさまざまな機会を通じて予算の確保に努め、亀の川や支川大坪川の整備を進めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 3点目でございます。投票率の向上についての質問です。
 10月22日に執行された総選挙は、事前に台風21号の到来が予想できたことから期日前投票が伸びたようで、投票率は52.96%でした。台風にもかかわらず、前回の51.05%よりも高くなったことは、選挙管理委員会の呼びかけや啓発活動の成果があったからだと思います。しかし、現行制度の投票で最低の投票率だった前回に次いで、これまでで2番目の低投票率という残念な結果に終わっています。
 また、18歳と19歳の有権者の投票率は、抽出調査によると37%で、全国平均の41%を少し下回っています。18歳と19歳の有権者の全国平均よりも低い投票率になっていることへの対応が特に必要だと思います。
 投票率を上げるためには有権者の関心を高めることが必要だと思いますので、特に若い層への呼びかけは、例えばSNSの利用や若い人の関心のあるコミュニティーFMの活用、そういったものが効果があろうと思われます。
 今回の総選挙における投票率を上げるための広報について、選挙管理委員会委員長の答弁をお願いします。
○副議長(山本茂博君) 選挙管理委員会委員長小濱孝夫君。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(小濱孝夫君) 県選挙管理委員会では、テレビ、ラジオでの放送や街頭での投票の呼びかけなどの従来の手法に加え、若年層に選挙や投票への関心を深めていただくよう、昨年の参議院議員通常選挙に続き、啓発用ツイッターを通じた発信や県出身のモデル、本谷紗己さんを起用した啓発用動画のインターネットでの発信など、新たな啓発に取り組みました。
 今後も、他の都道府県の先進事例なども参考にしながら有効な手法を検討し、若年層のみならず全世代での投票率の向上に努めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 和歌山県内のコミュニティーFMは、和歌山市、橋本市、田辺市、湯浅町、白浜町にあり、これらの放送局と県は防災協定を締結してるように、県の防災当局は災害が発生したときに活用が図れる、こんな連携を行ってるように、その有効性が示されるものの1つかなというふうに思っております。
 選挙管理委員会として地域に密着しているコミュニティーFMの活用も有効だと考えますが、今回、一部の放送局では放送したりしなかったりと、こういう事態があったようです。選挙管理委員会委員長の答弁をお願いします。
○副議長(山本茂博君) 選挙管理委員会委員長。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(小濱孝夫君) コミュニティーFMの放送は、地域密着型の情報を適切なタイミングで発信できることから、選挙啓発でも有効なツールの1つと考えます。各コミュニティーFMの受信エリアは県内の一部の市町村に限られておりますので、活用可能な市町村に、啓発活動の充実の一環として、その活用の検討について助言してまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今答弁いただきましたように、参議院のときだったら、準備ができるということもありますが、活用が図られると思います。総選挙の場合も活用を促していただけたらと思います。
 続いて、この3点目、公立高校での期日前投票についてです。
 高校生の政治への関心を高めることや投票率の向上のために、高校で日時を決めて期日前投票所を設けることは有効な手段だと思います。和歌山県内では、かつらぎ町内の公立高校が高校内に期日前投票所を今回設置したようです。
 公立高校での期日前投票所の設置について、選挙管理委員会委員長の答弁をお願いします。
○副議長(山本茂博君) 選挙管理委員会委員長。
  〔小濱孝夫君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(小濱孝夫君) 高校生の政治への関心を高めるため、県選挙管理委員会では、選挙制度の解説や模擬投票を実施する、そういった内容とする選挙出前講座を全ての全日制高等学校で実施し、平成27年以降、これまでに約2万3000人の生徒が参加しております。投票率の向上のためには学校段階での教育が必要であると考えており、今後も教育委員会と連携し、こうした取り組みを進めていきたいと考えております。
 御指摘の高等学校への期日前投票所の設置については、高校生の投票環境の向上の観点からも有効な施策の1つであると考えます。今回の総選挙でも、かつらぎ町では町内3校の高等学校に1日ずつ期日前投票所が開設されたと承知しておりまして、こうした取り組みについては既に市町村選挙管理委員会や教育委員会にも情報提供を行っているところですが、引き続き、有権者の投票環境の向上を図るという意味で、取り組みの拡大について助言してまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 4項目めです。若者の県内就職の質問に入らしていただきます。
 地元の和歌山大学の卒業生の就職について話を伺いました。これまでの実績で、同大学のうち和歌山県出身者は約60%の学生が県内で就職をしているようです。和歌山県出身者は県内で働くことを希望している学生が多いことから、もし希望する就職先を多くマッチングできれば、さらに県内就職率は増加すると思います。
 ところが、県外出身者の94.9%は、卒業を機に和歌山県を離れ、県外へ就職しています。せっかく和歌山大学に進学してくれた学生ですが、卒業すると同時に県外へと戻っている現状があります。これがふるさとへ戻って就職するのであればその気持ちは理解できるのですが、大半の学生は東京や大阪など大都市を志向しているようです。県外の学生でふるさとへの就職を志望している学生はわずか3.5%ですから、もし和歌山大学で学んだ学生が4年間の間に和歌山県に愛着を持ってくれていたら、県外出身者でも和歌山県内での就職を選択する可能性があったと思うと、残念な結果だと言えます。
 そのため、学校を卒業した後に和歌山県内で就職するような環境を整えることも必要だと思います。また、和歌山県で学んだ学生が卒業した後に東京や大阪に出ていったとしても、企業で学んだ経験をもとに起業するとき、あるいは再就職するときなど、Uターンで戻れるような仕組みづくりも必要だと今回思いました。和歌山県がふるさとだという意識を醸成することや和歌山県で学んだことで愛着を持ってもらうことで、卒業時などの県内就職につながると思います。
 また、県外に就職した社会人として働いてる人が社会経験と実力を身につけた後、ふるさとに戻って働きたいと思うことがあると聞いております。経験を積んだ20歳代、30歳代、40歳代の社会人が和歌山県に戻って働いてくれることは、貴重な経験をふるさとで生かしてくれることにつながります。
 このことについて、大正大学の地域構想研究所がさきの12月7日に発表したアンケート結果、調査結果があります。現在勤務する企業から転職や起業、勤め続けながら地方で生活するための支援が得られたとすると、移住したい、または検討したいとの解答が43.9%に上っており、30代は特に5割超、若い世代ほど前向きだったという調査結果を発表しております。
 その内容は、具体的な支援内容ですけども、希望する地方転勤の承諾、リモートワーク制度──在宅勤務ですが、これを確立・充実させること、転職先のあっせん、起業資金の補助、こういったものが多かったようです。
 また、移住を望む理由は、豊かな自然、老後の移住を視野に入れている、安価な生活費、こういったことから、移住先として重視する条件は、和歌山県もこういった対象に当然入ってくるのかなあというふうに思いますし、買い物などの日常生活が便利、生活コストが安い、こういったことが続いてきているところであります。
 そこで、高校生や大学生が卒業後、また社会人として、今は県外で働いてる人がふるさとに戻って働きたいと思った場合などにおける和歌山県で働くための取り組みについて質問をしたいと思います。
 高校生や大学生が卒業後、和歌山県で就職してもらうための方策について、また、一旦社会人として就職した後、和歌山県に戻ってきて働きたいと思った場合の取り組みについて、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
○副議長(山本茂博君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 県内産業の成長を支える人材の育成、確保を図るため、平成24年度から、わかやま産業を支える人づくりプロジェクトとして、高校生や大学生等の県内就職を促進しております。
 高校生に対しましては、5つの工業高校と県内物づくり企業130社が連携して、企業の経営者から学ぶ、企業の技術を学ぶ、企業の現場で学ぶなどの取り組みで、企業が必要とする人材の育成、確保を図っており、平成27年度からはこの取り組みを全ての高校に拡大しています。加えて、就職希望の全ての高校3年生に県内企業を知る機会を提供する応募前サマー企業ガイダンスを毎年6月に開催し、今年度は、生徒1983人、企業136社の参加を得ました。さらに、高校生のみを対象とした企業説明会を初め、県内企業との出会いの場を多く提供し、より多くの高校生が県内に就職するように取り組んでいます。
 次に、大学生等につきましては、進学する県内の高校3年生を登録し、就職活動時期に和歌山県の就職関連情報を届けることとしており、平成29年3月の高校卒業生は、進学者の9割以上が登録しています。登録した学生には、就活前に新卒者の採用予定がある県内企業の情報や和歌山で就職する魅力などをまとめた「UIわかやま就職ガイド」を送付しており、掲載企業は平成24年度の108社から平成28年度は235社になりました。また、県内企業でのインターンシップや県内外での合同企業説明会の開催など、SNSも活用して広く周知を図り、取り組んでおります。
 一方で、平成28年度からは関西の各大学と就職支援協定を締結し、大学が開催する企業説明会への県内企業の参加やUIターン相談会への参加等、協定のメリットを生かした取り組みを行っており、現在9大学と締結しております。和歌山大学におきましても、県内企業トップからの経営理念や県職員による県内就職を勧める講演を毎年行い、本年は15回開催しています。
 次に、和歌山での再就職を進めるために、さまざまな就職説明会の開催や情報発信などを行ってまいりましたが、今年度から和歌山就活サイクルプロジェクトに取り組んでいます。具体的には、再就職希望者に対する就活サイクルを全国に先駆けて構築し、結婚等で一度離職した女性、定年退職された方、都会で働く方で和歌山へ帰りたいと考える方の再就職を支援するもので、2月を就活強化月間として合同企業説明会を県内3カ所で開催し、4月の再就職を目指すこととしています。
 今後も、高校生や大学生の県内就職を初めとした県内産業を支える人材の確保に取り組んでまいります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 山西部長から積極的に取り組んでいる様子の答弁をいただきまして、部長は、過日、田辺高校にみずから赴いて、卒業前に和歌山県の魅力を振り返ってほしいと考えて講演会を開いていることからも、部を挙げて、県を挙げてこの取り組みをしているとうかがい知ることができると思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 ところで、和歌山大学では、学生に和歌山県内で就職をしてもらうために、紀の国大学の取り組みを行っております。和歌山県に親しみを持ってもらうための授業として、1年生を対象としてわかやま未来学を開講し、地域志向科目の「わかやま」学群を必修科目にしています。同大学の学生には、県外出身者であっても和歌山県を第2のふるさとのように愛着を持ってもらうことを目指して履修を義務づけているようです。
 紀の国大学では、大学卒業後は県内就職の定着を図ること、和歌山に関心を持つ人材を育成すること、既卒者にもIターンやUターンで和歌山県に戻れるような創業支援を目指しているということになっております。この紀の国大学には、和歌山県を初め、和歌山県経営者協会、和歌山県中小企業団体中央会、紀陽銀行が連携していることから、卒業後も地元で働ける環境整備が期待できるところであります。
 紀の国大学は、当該地域が求める人材を養成するために必要な教育カリキュラムの改革を断行する大学の取り組みを支援することで、地方創生の中心となる「人」の地方への集積を目的とする文部科学省の地(知)──これは地理の「地」と知識の「知」を掛け合わせてるんですが──の拠点大学による地方創生推進事業の1つで、若者の県内就職や定着率の向上により地方創生の一助となることを目指しているものです。
 和歌山大学は、和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略に呼応してこの事業を実施しているものですが、地方創生の観点から、和歌山県のこれまでのかかわりと今後期待する成果について、企画部長にお尋ねをいたします。
○副議長(山本茂博君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 紀の国大学につきましては、平成27年度に和歌山大学が主体となって計画し、文部科学省に申請するに当たって、県では、和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略に掲げる「人をふやす」という基本姿勢に沿って、事業の参加機関について大きな事業効果が見込めるよう、県内に限らず県外の多くの大学が参加する事業となることを、また、事業の内容においてはより地域志向の高い学生を育成する教育カリキュラムとなることを強く求めた上で、協働機関として参画したところです。
 事業は、平成31年度までの5カ年事業であり、事業成果が明らかになるのは、「わかやま」学群を基礎科目で学び、地域協働実習として専門科目を終えた学生が卒業を迎える平成31年度以降となっています。
 県では、参画している大学に対し、より深く地域に魅力を感じるカリキュラムを提供すること、地域協働実習に当たっては、県内各地域と大学との協働により、より多くの県外学生が県内で実習を行うことなどを求め、学生が和歌山の魅力を感じ、和歌山での就職や定住に結びつくよう、そして県外から県内に人を呼び込む1つの流れとなるよう働きかけてまいります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、一般質問最後の項目の農業振興に移らしていただきたいと思います。
 群馬県に4年制の大学校である中央農業大学校があります。この大学校は、農と食を融合した新たなアグリビジネスを創造し開拓することを目指して平成23年に設立され、既に多くの卒業生を輩出、農と食の分野で新たな価値を見出し、ビジネスとして展開できる若者を育成しています。ここで学ぶコースを聞いてきたところ、ファーム農業経営学科、農業ビジネスコース、農業ICTコース、ガーデニングコーディネーターコース、食農調理師学科──これは6次産業化ですが──があり、卒業生は、地元での就農や農業ビジネス、食品関係の会社に就職をしております。
 また、平成30年4月からは4年制農業大学校が開校可能となるので、よりレベルアップした知識と技術を取得することができることになります。中央農業大学校は、既に4年制に対応することとして、アグリ産業の創出、実学、実践教育機会を提供する教育体制を整えております。
 ここでの教育は、まず基礎から応用を踏まえた技能と資格の取得を図り、続いて、企業、各種団体での問題解決能力とコミュニケーション能力の養成を図ることとしています。最終的には、目的であります農と食を融合した新たなアグリ産業を創造し開拓できる職業人になることを目指す、こういった取り組みをしているところであります。
 「和歌山県で就農しよう」を訴えて、4年制の農業大学校の卒業生に和歌山県に来て定住し、就農してもらう取り組みをしてはいかがかなと思っております。若い人が和歌山県に移住してくれ、就農してくれるなら、人口問題、それから農業の後継者づくりの両方の効果があると思います。そのために、就農を希望する人のために和歌山県でインターンシップを受け入れるなどの提携を図ることなど、全国の農業大学校と交流機会をつくることも考えてほしいと思います。
 和歌山県における就農に向けた取り組みや就農希望者への支援制度についても含めて、農林水産部長の見解をお尋ねしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 就農希望者への就農支援制度についてでございますけども、農業者の高齢化や減少が進む中、担い手の育成、確保は重要な課題であると認識しております。
 このため、県内はもとより、東京、大阪、名古屋といった都市部での就農相談会の開催や移住・定住相談会での就農相談ブースの設置などにより、県外の方々に広く情報提供するとともに、就農に向けた助言を行っております。また、農林大学校や就農支援センターでの技術習得研修の実施に加え、本県独自に各地域に設置した農地活用協議会による農地取得のあっせん等を行っております。さらに、研修中や就農初期の収入を補うため、助成金や各種融資制度などにより支援を行っているところであります。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 今後、来年以降、4年制の農業大学校がふえてこようかと思いますが、これら4年制の農業大学校のインターンシップの受け入れや提携についてはいかが考えますか。農林水産部長の答弁をお願いします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 本県の農林大学校では、就農を初め、農業法人や農業関係企業への就農を円滑に行うため、県内各地域の先進的な農業法人や企業等でのインターンシップを取り入れております。
 議員お話しの県外農業大学校からのインターンシップの受け入れについては、本県への就農や移住を希望する学生の意向があれば対応してまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 和歌山県にももちろん農業大学校があるわけですが、県外の4年制の農業大学校のサテライト校を誘致することで、さらにレベルアップ、切磋琢磨ができると思います。4年制農業大学校のサテライト校の誘致についてはいかがお考えでしょうか。これも農林水産部長の答弁をお願いします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 本県では、本年4月に農林大学校へのアグリビジネス学科を新設し、生産から加工、販売まで幅広い知識を身につけ、経営感覚にすぐれた人材を育成しているところであります。現在、コンビニエンスストアや地元食品加工事業者と連携した商品開発に取り組んでおり、今後はICTの先進技術についてもカリキュラムに取り入れるなど、農林大学校の魅力をより一層向上させ、地域で求められる人材を育成してまいりたいと考えております。
 議員お話しのサテライト校の誘致につきましては、本県農業振興の観点から、需要があれば今後研究してまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 次の項目は、農福連携についてお尋ねをしたいと思います。
 人口減少や高齢化が進展する中で、福祉分野と農業分野が連携した農福連携の取り組みが各地で活発になってきております。
 政府が定めた日本再興戦略2016、ニッポン一億総活躍プランでは、農業分野での障害者の就労支援等の推進の観点から農福連携の推進が織り込まれるなど、関心が従来にも増して高まっています。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、持続可能な調達基準に「障害者が主体的に生産に携わった農産物」等が加えられるなど、農福連携の取り組みを後押しする動きもあります。
 また、企業が農に取り組む場合、自社の経営や社会貢献の面から、福祉の場合は施設の障害者の健康増進や生きがい、障害者の賃金向上の面から取り組まれているようです。大阪府では、障害者とつくる町なか農業を推進していて、既に多くの企業が障害者を雇用し、農業を推進している事例があります。
 1つの事例として、社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会・「支援センターつなぐの」ですが、JRの協力を得てJR高架下に栽培ハウスを設置し、障害者が水耕栽培の仕事をしています。この水耕栽培は、障害の程度や年齢にかかわりなく、個人の適性に応じた作業が比較的やりやすい仕事だそうです。
 この支援センターつなぐのを初めとする農業と福祉の連携に取り組む企業は、ハートフルアグリサポートセンターに参加しております。このハートフルアグリサポートセンターは、大阪府が障害者の雇用、就労による企業の農業への参入を促進するために設置しているもので、企業や障害者事業所にとってワンストップサービスを受けられる窓口として評価を得ているようです。
 そこで、和歌山県として、農福連携の取り組みについてお尋ねしたいと思います。これは、知事の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 農福連携については、農業への多様な担い手の参入を促す1つの手法であるわけですが、農業の発展だけではなくて、障害者雇用の観点からも非常に重要なことと考えております。
 私はそんなに医学的あるいは専門的な知識はありませんけれども、どう考えても、大地とか生物とか、そういうものと接するような生活をすることによって、障害のある方とか、そういう方々が生き生きと生活できるんじゃないかなあというふうに思う次第でございます。
 県では、農業への参入を希望するNPO法人や社会福祉法人に対して農地のあっせんを行うとともに、農業技術の習得や販売促進への支援などにより農福連携の取り組みを推進してきたところで、現在、A型事業所50カ所のうち12カ所が農業に参入しております。
 今後も、これまでの取り組みに加え、企業の社会的貢献と結びつけた農福・企業連携の取り組みについても、関係団体と連携を図りながら推進してまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、農福連携の推進についてであります。
 この農福連携、それから、今、知事が答弁していただきました農福・企業連携というコンセプトに基づいて取り組みをやっている方に和歌山県での事業推進について尋ねたところ、大阪府のように和歌山県が本気で農福推進をしようと考えてくれているのかがポイントになりますよと話してくれました。
 農福連携は、今答弁にありましたように、数が結構、12カ所あるわけなんですけども、現状、農福・企業連携というところになると、取り組んでいる企業は極めて少ないというんでしょうか、余り存じてないんですが、少ないように思います。
 企業は、社会的使命から障害者雇用を図りたいと思っていますし、障害者の立場からは、自分たちが水耕栽培などの仕事を通じて企業や社会のお役に立ちたいと思っております。マッチングが図れる仕組みがあれば、和歌山県でも新たな農福連携、あるいは農福・企業連携は可能かと思います。
 大阪府が設置しているハートフルアグリサポートセンターのような農福、または農福・企業連携のワンストップサービス窓口を設けることが大切かなと思いますが、設けることでこの取り組みの推進を図ることができると思いますが、農林水産部長の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 農福連携を進める上で関係部局との連携が不可欠であり、相談窓口の一元化を図る観点から、議員お話しのワンストップ体制は重要であると考えております。今後、一元的な体制のあり方も含めまして、関係部局と検討してまいりたいと考えております。
○副議長(山本茂博君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 農福連携の答弁もいただきました。
 今回、一般質問で5項目にわたって取り上げさしていただきましたけども、市内あるいは各地で県民の皆さんの意見を聞かしていただく中で、空き家の問題であるとか投票率、あるいは就職問題とか今回の農福連携、あるいは農業大学校の話等々、県政の課題となるようなことを聞き取ることができました。ぜひ、こういった提言に対して前向きに取り組んでいただきまして、より各分野で県勢が発展できることを心から期待さしていただきまして、一般質問を終わらしていただきます。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時51分散会

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