平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(山田正彦議員の質疑及び一般質問)


平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(山田正彦議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。


  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第168号から議案第194号まで、並びに知事専決処分報告報第6号を一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 35番山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 おはようございます。今回もまたトップバッターという栄誉をいただきまして、御配慮いただいた皆さん方にありがたく感謝申し上げます。
 光陰矢のごとくとよく言われますし、本当に月日のたつというのは早いもんで、ついこの前「明けましておめでとうございます」と言ってたのが、もうはやジングルベルの鳴る12月になりました。そういうことで、私もそれなりの年を重ねておりますもんで、特に短いように思います。
 今回は、新年度の、知事が申されたように平成30年度の新政策についてのことについても多少触れさしていただき、とりあえず当座の諸問題について、私なりに2~3質問をさしていただきたいと思いますので、御清聴よろしくお願い申し上げます。
 我が国の経済は、雇用・所得環境が改善している中、今後も緩やかに回復が期待されている一方で、依然として人口減少、少子高齢化に歯どめがかからない状況になっております。
 先般、総務省が発表した人口推計によりますと、平成29年10月現在の我が国の人口は、概算値でありますが1億2672万人となり、前年の同月と比較しても22万減少し、平成22年から7年連続で減少しております。また、年齢構成を見てみますと、15歳未満が12.3%に低下する一方、65歳以上が27.7%まで上昇している現状となっております。
 安倍内閣は、このような本格的な人口減少・少子高齢化社会において我が国の持続的な成長を実現するためには、2つの改革が必要であるとしています。
 1つ目は、人づくり革命として、幼児教育の無償化や真に必要とする子供たちへの高等教育の無償化など、我が国が社会保障制度を全世代へと転換することであり、2つ目は、生産性革命として、IoT、ビッグデータ、人工知能など最先端のイノベーションにより、産業構造、就業構造の変革をもたらすことであります。
 本県の状況を見てみますと、先般発表されました和歌山県の推計人口によれば、平成29年10月現在、県の総人口は94万4320人であり、前年度から9604人の減少、割合にしてマイナス1.01%であり、平成8年に減少に転じて以来、22年連続して減少しており、全国でも速いペースで人口減少が進んでいるような状況であります。
 このため、政府が推し進める2つの改革は、当然のことながら本県においても非常に重要な改革であると考え、まさに待ったなしの状況と言っても過言ではありません。
 さて、本県の取り組みに目を転じてみますと、県は本年2月定例会に「『世界とつながる 愛着ある元気な和歌山』~県民みんなが楽しく暮らすために~」を目指す将来像とする新たな長期総合計画案を提出して、我々県議会としても、この計画を大いに議論した上で議決されたものであります。
 本計画の内容につきましては、この場では詳細を申し述べることは差し控えますが、子育て環境、教育、健康長寿の向上や、80歳現役社会の実現、女性の活躍など、人づくりの基本的な方向性に加え、時代の潮流を踏まえた産業の新しい発展など生産性の向上に関する方向性を示すなど、まさに政府が推し進めていこうとする改革の趣旨を先行しつつ、防災や地域づくりなどさまざまな分野に関する戦略を掲げており、改めて本県の未来への道しるべとなり得る計画であると実感しているところであります。
 今年度については、この長期総合計画の始まりの年として、本計画に盛り込んだ政策の基本的な方向の中で、いち早く具体化させる必要があるものについて、その取り組みをスタートさせていると承知をしております。
 また、来年度については、先般発表された平成30年度新政策と予算編成の方針を読ましていただきますと、「県民みんなが活躍できる社会を醸成するとともに、未来に向けた本県の成長力を高める新たな施策を展開し、長期総合計画に掲げるめざす将来像への道筋を、より確かなものにしていく」という基本的な考え方が掲げられており、そのための具体的政策の方針も示されているため、この場でその内容を質問することは差し控えたいと思いますが、私としては今後の県政を展望する上で重要であると考える次第であります。
 以下の3点について質問いたします。
 1つ目は、入札制度の問題について、2つ目は、優良農地を確保し、本県農業を発展させていくための方策について、もう1つは、IR誘致についてであります。この3点に絞って質問させていただきます。
 まず1点目、入札制度についてであります。
 台風21号の豪雨により、紀の川市西脇地区の斜面崩落を初め、県内各地で災害が発生し、大きな被害をもたらしました。災害が発生するたびに思うのですが、大規模災害時に緊急対応を行っていただける地域の建設業者を守り育てていくことが極めて重要であり、そのために考えていかなければならないことが、入札制度の中で2つあると思います。
 まず1つ目は、低入札調査についてであります。極端な低入札による地域の建設業者の疲弊を避ける必要があります。予定価格1億円未満の入札では、最低制限価格により自動的に失格となることから極端な低入札は起こらない仕組みになっておりますが、1億円以上の場合、低入札があれば自動的に失格となるのではなくて、調査を行って落札者にすべきかどうかの判断を行っております。
 そもそも、予定価格とは、いつも申し上げることなんですが、プロの技術者がその工事を行うに当たり標準的な工法及び単価により積算した価格であり、予定価格に近い価格で落札することは何ら全くおかしいことではないはずなんですが、過去には予定価格のおよそ5割程度の金額でも落札した業者があったとも聞いておりますし、予定価格よりはるかに低い価格でも自動的に失格となるのではなくて、調査を受け入れれば落札者になり得るというのはどういうことか、低入札調査に対する知事の考え方はいかがなもんかと、そう思います。
 2つ目は、地域の建設業者の育成についてでありますが、災害が発生したときに真っ先に飛び出して、スコップを持って応急復旧を行っていただくのは地元業者であって、そういった地元業者に本復旧も任せればいいんではないかと、そう思います。また、ある意味では、小さい話になりますが、道路の脇の草刈りなどの維持作業も地元業者であれば、地域の事情もよくわかって精通していただいており、顔見知りの関係もあって安心感もあり、また住民からも喜ばれ、歓迎されるものではないかと思うんですが、一方、遠いところから来て落札した業者は、誰が作業しているかもわからず、地元の人からすると不安な気持ちになることもあるのではないでしょうか。
 地元のためにと思って頑張ってくれる業者が一定規模の収益を定期的に得ていくためには、維持修繕工事や災害復旧工事において、例えば1000万円以下程度といった小規模な工事を地元で落札できるような、もう少し温かみのある入札制度を考えるべきであります。現在、県では指名競争入札は全く行っておりませんが、地域の建設業者を守り、災害時にも安心できる社会をつくっていくためには、指名競争入札の実施も考えていく必要があると思いますが、知事のお考えはいかがですか、お尋ね申し上げます。
 次に、2点目の優良農地を確保して本県農業を発展させていただくための方策についてであります。
 農地の利用状況について、5年に一度調査されている農業センサスというのがありますが、それにおいて本県は、平成17年には3647ヘクタールであった耕作放棄地が、10年後の平成27年には4661ヘクタール。全国平均では10%増加してることになってる、10%ぐらいの伸びでふえてるんですが、本県ではそれの約2.8倍、28%も増加してると、そういうのが現状であります。今までは耕作ができていたところであっても、機械化が難しい形状の悪い農地や、あるいは道から離れた農地などについては、高齢化により耕作が困難になり、また農地として新たな借り手を探しても、このような不便で効率の悪い農地には借り手がありません。それが最大の原因であろうと思われます、耕作放棄地の原因は。
 そこで、お伺いします。
 基盤整備が済んだ農地のような優良農地については、転用を制限し、その確保に努めることは重要であると考えますが、一団としてまとまった農地、面積10ヘクタール以上であるというだけで、そういうことだけで不整形な農地や効率の悪い農地までも含めて第1種農地として判断して、農地転用等の利用が制限されております。皆さんも、恐らく地方でもそういう相談のお話があろうかと思うんですけど、現状はそういうことでどうにもなりません。
 このままで利用されず、耕作放棄地となってしまうおそれがあるような不整形な農地については、第1種農地に含めないという判断はできないもんでしょうか。法律は法律としてあるんですが、多分、大きく緩やかな解釈はできるはずなんです。
 また、例えば1種農地であっても、利便性が低く経営効率が悪い農業生産基盤の整備が行われていない農地は、さきにも述べましたが借り手もなく、農家の高齢化や後継者不足により、今後は耕作放棄地としてどんどんふえていくと考えられます。中には、もう雑草がちょっとした林のごとく、全く雑木が生えたりして見るもあわれな状況になっているところが、至るところであるのが現実であります。
 今後も、農地として有効活用されて、農村、農業を維持し発展させるには、農業生産基盤が整備された優良農地を確保する必要があると考えていますが、県の考え、知事の考えについてお伺いいたします。
 最後に、IRについてであります。
 冒頭で触れたところでありますが、日本が本格的な人口減少に突入する中、本県においては全国よりもさらに速い流れで人口が減少していくことから、交流人口や観光客、とりわけインバウンドなどの国外からの需要を積極的に取り込むことが地域経済にとって不可欠であると考えます。
 そんな中で、IRについては、ともすれば悪いイメージで一般社会では報道されておりますが、私も実地勉強のために2度、3度、マカオ、それからその他のところへ見学に行ってきたんですが、日本でも昨年IR推進法が成立し、数を限ってその設置が認められることになりましたが、IRは地域活性化の起爆剤として極めて有効な手段であると私も確信しており、この千載一遇のチャンスを逃すことなく、是が非でも本県への誘致をかち取る必要があると強く思っております。
 私は、県が知事を筆頭に、海外の主要IR事業者が集まるフォーラムへの参加、シンポジウム開催、あるいは和歌山IR推進協議会を設立されてIR業者とも積極的に接触されているなど、前向きに誘致活動を展開されていることを心強く思っているんですが、また、IR事業者と同じように、和歌山県、とりわけ第1候補地として考えられている和歌山マリーナシティが日本でのIRの立地に最適だと私も考えている1人であります。
 ただ、1つだけ不安があります。それは何かといいますと、知事がギャンブル依存症対策について、IRのカジノ施設に限っては外国人専用とするというふうに表明されているところであります。このような条件をつけて、誘致実現のための大前提であるIR事業者を確保できないのではないか、熾烈な自治体のお互いの競争を勝ち抜いていくための足かせになるんではないかなというふうに懸念しております。
 外国人専用では収益性に大きなマイナス影響を及ぼすということなどから、立地はすばらしいけれども、外国人専用であれば和歌山県には行かないというようなIR業者の偽らざる本音が聞こえてくるようにも思います。つまり、今協議に応じてくれている業者であっても、最後にはIR業者に逃げられていくというような、そういう不安があるのではないかと危惧しております。
 また、IR誘致に本腰を入れている県経済界も、仮に外国人専用という条件で和歌山と組んでくれる業者があっても大規模な投資は見込めない、カジノ部分にも日本人を入れるようにしなければ経済効果は限定的なものになるというような懸念を抱いているとも聞いております。9月に設立された和歌山IR推進協議会においても、カジノ施設への日本人入場について前向きな発言がなされていると聞き及んでおります。
 一方、国の動きを見てみますと、8月に国の有識者会議が示したIR制度活用の方向性では、ギャンブル依存症対策として、マイナンバーカードの活用とか入場料の設定、あるいは入場回数の一元的な管理などの制限とか、無制限に入場できないというような高いハードルが課されていると聞いております。知事は、以前から外国人専用という方針について、「国民が納得できる依存症対策ができるまでは日本人は入場させない」というふうに公言されておりますが、私は、政府の示したギャンブル依存症対策には高い実効性があるので、十分に国民の理解を得られるものと私自身は考えております。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 県経済がIR誘致に向けて盛り上がっているところを見せておる中、我々も6月議会で国に対してIRに関する意見書を提出するなど、全国的にも注目されている中、県は地方創生の観点からもぜひIR誘致を目指すべきであると考えております。知事の懸念されるギャンブル依存症については、政府が示す対策に加え、今後予防の観点から本県独自の対策を検討するなどした上で、事業者にとって足かせとなる外国人専用という方針を方向転換していただきたいと思うんですけれども、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 ことし3月、「『世界とつながる 愛着ある元気な和歌山』~県民が楽しく暮らすために~」を目指した将来像とする新たな長期総合計画は、先ほども申し上げましたが、設定された中に将来像を実現するための5つの体系というのが明記されておりました。すなわち、「ひとを育む」、「しごとを創る」、「いのちを守る」、「くらしやすさを高める」、「地域を創る」、こういう5つの起爆剤の中にこれを当てはめますと、すべからくがカバーできるように思います。そういうことで、ぜひIR実現により一層の御奮闘を期待して、知事の答弁を期待して、私のこの場での一般質問は終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの山田正彦君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、入札制度についてお答え申し上げます。そのうちの低入札調査についてが第1番目でございます。
 過度な価格競争で、いわゆるダンピング、これは日本語で言うと不当廉売といいますけども、これをやられますと工事の質の低下を招くおそれもあるし、下請契約の履行とか労働者へのしわ寄せに加えて、安全管理の不徹底を招くおそれがありまして、建設業の健全な発展を阻害するものであることから、低入札価格調査を初め、全国的に低入札対策の取り組みが進められているところでございます。
 予定価格についての議員の御見解は、私は全く同感でございまして、常に世間にそう言っております。とりわけ、私がちょうど就任したときに、世の中の風はとにかく入札率を下げろと、低価格がいいんだといって、もうありとあらゆる人たち、ほとんど全ての知事を含めて、みんなそういうふうに狂奔をしていたように思いますけれども、私は1人、風に逆らって、そう議員と同じように主張し続けてきたところでございます。
 そうした中、本県でも、低入札対策は公共工事を進める上で重要な課題と捉えておりまして、国よりも低入札に対して厳しい基準を設定するなどの対策も講じており、こういうこともありますが、以前のような低い価格での落札は発生しておりません。
 ただし、理屈からいいますと、企業の工夫により合理的に、低価格でもダンピングではなくて合理的に工事が履行可能な場合がありますので、そういう企業をダンピングだといって決めつけるのもどうかということだと思いますから、1億円以上の工事については価格調査を実施してるところでございます。
 なぜ1億円かというと、これは我々も調べるにはマンパワーが要りますから、したがって、申しわけないけれども1億円未満の工事についてはもうみなさしてくださいということで、便宜的に自動的に失格という制度をつくってるわけでございます。
 今後も県といたしましては、過度な価格競争による低入札で地域の建設業者が疲弊することなく、履行可能な価格での受注が進むように、国の動向等も注意しながら低入札対策に取り組んでいく所存であります。
 次に、指名競争の話がありました。これについては、平成18年に発生いたしました官製談合事件により失墜した県行政の信頼を取り戻すために、私が知事就任直後に手がけざるを得なかったと言うべきかもしれませんが、手がけましたのは新しい公共調達制度の構築でありまして、これには将来的にも完全に官製談合はおろか談合も排除し、誰であっても恣意的に操作できないような制度になるように、和歌山県公共調達委員会にも検討してもらって制度をつくり上げたわけでございます。
 ここにおいては、初めからこれは私のほうで申したんですが、効率性の向上、公共工事の質の確保、官製談合の排除、建設業界の健全な発展の4つの命題をうまくあんばいしなきゃいけないということで検討して、今の制度はそういうつもりでございます。
 その1つが、一般競争入札の導入でありました。これに対する概念は、指名競争入札では発注者による恣意的な運用のおそれや入札参加者の範囲が限定されることで、談合の温床となりやすいとの指摘があったことを踏まえたものでございます。これによって、入札における恣意性を排除することが可能で、透明性、公平性、競争性を高めることができることになったと思います。
 この背景には、要するに建設業界に限らず、産業界で一番気をつけなきゃいけないのは、これは官製談合は論外ですけども、そうでなくても独禁法違反でございます。最近も、何と梅産業でこの独禁法違反の疑いをかけられまして、これで本当に挙げられてしまいますと、業界の存廃にかかわるというような物すごいことになります。なぜならば、実は課徴金という制度があってえらいことになってしまうわけでございますんで、これだけはやっぱり避けてうまくやらないといけない。この一般競争入札の導入によって、最も独禁法違反から遠くなる制度をつくったわけでございます。
 しかし、そうすると4つ目の命題でございます建設業界の育成が不十分になるおそれがあります。したがって、この制度の導入に当たりましては、不良不適格者の排除、これはもちろんですが、工事の品質低下を防止するための措置もあわせて取り入れて、地域によっても利益につながるように配慮するとともに、工事の内容や規模に応じて参加可能な地域を条件とするなど、これは地域要件という言葉で言いますけれども、そういうものを可能な限り導入しまして、地域の声を守ることにいたしました。多分、他県に類を見ない制度をつくったと思っております。
 実は、ここまで制度設計しておけば、実は指名競争入札であっても一般競争入札、すなわち和歌山版の一般競争入札であっても、業界に与える影響はほとんど一緒というふうになります。違うのは、指名競争によって独禁法違反をしとんじゃないかという疑いをかけられやすいと、あるいはひょっとしたらしやすいという、そういうところだけだと思っております。
 災害時においては、紀伊半島大水害時にも運用したのでございますが、何よりも迅速な対応が不可欠でありますので、指名であれ一般競争入札であれ、入札はもう要らない、随契で地域の建設業者にもう大急ぎで対応してくださいというような仕掛けをつくっておりまして、今後ともそういうふうにするつもりでございます。
 したがいまして、制度はそういうもんでございますんで、独禁法違反の疑いなんかをかけられないように指名競争の復活というのはしないほうがいいんじゃないか、建設業界のためにもよろしいというふうに私は思います。
 ただし、この制度の運用については、地域の実情も踏まえ、微修正は当然あり得る話でございますし、随分やってまいりました。引き続き関係業界の意見も聞きながら、また県議会の御意見も聞きながら、業界全体の健全な発展に寄与するような制度になるように、今後とも取り組んでいく所存でございます。
 次に、農地の話でございます。
 私は、議員各位におかれましてはよく御記憶のように、かつて本来の権限以上に踏み出して「守ります、まちと優良農地。」という方針を打ち出したこともありましたが、いろいろな議論がありましたので、平成28年3月にその方針を撤回いたしました。それで、本来の権限者が法のルールを守って適正に対応してくださいというふうに変えました。
 法のルールによれば、農地法及び農地法施行令において第1種農地は明確に定義されていて、法律どおりに判断するしか今のところ権限者もないということだと思っております。また、その判断も法律に定められた適格な権限者、私が口出しをするんじゃなくて、主として市町村や市町村農業委員会が法律の規定に従い、みずからの権限において、みずからの責任において行っているところであります。もちろん県の権限も少しありますので、法律に基づいてやっております。
 しかし、そうやって守った農地を置いといてもいけないというのは議員御指摘のとおりで、農業を振興するという考え方からすると、優良農地にどんどんしていかないかんということであろうかと思います。利便性を上げ、経営効率をよくして農地の生産性を向上さしていくことは重要なことでございまして、引き続きそのために圃場整備を進めたいというふうに思います。それによって、優良農地を確保していきたいと思うわけです。
 昨年から、国の助成基準を満たさない小規模圃場整備も、県単独の補助事業に加えまして、国の助成基準と同じぐらいの有利さで行うということで、農業の振興を図ろうとしているところでございます。
 続きまして、IRの関係でございます。
 御指摘のように、IRの誘致に関しては、観光振興に寄与するとともに、経済波及効果やあるいは雇用創出効果が期待できまして、これは地域活性化に必ずつながるなあというふうな有効な手段と考えまして、政府で今日のようにIRの議論が始まる前から全国に先駆けて行動をしてまいりました。
 そこで、御指摘の依存症の話でございますけれども、実は私は各国の先例とか政府が粗々の意思、こういうふうにするんだ、特に安倍総理なんかは世界一の厳しい規制をするんだというふうに言っておられるのから見て、本当は心配しておりません。
 しかし、初めてのことでございますので、IR導入によってギャンブル依存症疾患が助長されるおそれがあるという懸念を抱く方も多分おられるんじゃないかと思いまして、それならばそういう方々が心配されないように、実効性のある規制が設けられるまでは、最も安全な手段としてはIRの中のカジノ施設に限っては日本人を入場させないという考え方でやったらどうかというふうな考えを打ち出したわけでございます。そしたら安心でしょうというふうに思うわけであります。
 ところが、そう言っても何が何でも反対という人もいるなあということを最近よく実感いたします。そんなたくさんの人ではありませんが。それから、これも意外でしたが、自分たちもぜひ入れてくれという方々がたくさんいらっしゃるということを、いろんな会合の席、それからパーティーその他でお話をしてるとわかりました。そんなのが感想でございます。
 IR推進会議が取りまとめた方向性を見ますと、議員御発言のとおり、ギャンブル依存症対策として入場料の賦課やマイナンバーカードを利用して週及び月単位の入場回数を制限するというようなことが書かれております。
 さらに、その入場回数をカジノ管理委員会で一元管理するということで、例えば和歌山と大阪にできた場合、複数の別のカジノ施設への入場についても回数が合算して把握されるような手だてを講じるんだというようなことを書いてあって、そういう意味では国民の理解を得るように頑張っているということだと思います。
 ちょっと想像でございますけれども、和歌山県の発しましたカジノルームは外国人専用というこの考えが、かなりインパクトがあったんじゃないかと──この検討会議の検討でですね──それで、いろいろそれにかわるものとして考えてくれたんじゃないかという気もいたします。
 しかし、実際にこのような方針が法律になる、すなわちIR実施法案に反映されるのか、現実には法案の文案とそれからその実施法令によってどのような制度ができていくのか、これはちゃんとよく見きわめなければいけないと思います。ギャンブル依存症の防止というのは、これはとても県民の幸せにとって大事なことでございますんで、議員御質問の外国人専用の見直しについては、今後上程されるIR実施法案において、国民が納得できるような依存症対策が確立されているかどうか、確立されていくかどうか、慎重に見きわめていきたいと思います。それまでは、和歌山県民──技術的に難しいので日本人──というものはカジノ施設に入場させないという方針もまだ意義を失ったわけではないというふうに私は思っています。しかし、さまざまな観点から考えていかないといけませんので、今後とも議員におかれましては、御指導のほどよろしくお願い申し上げます。
○議長(尾﨑太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾﨑太郎君) 再質問を許します。
 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 いろんな項目について質問するに当たり、執行部、部課の皆さん方にも大変貴重な時間を割いていただき議論をしたんですけど、これをどうせえということではなくて、最終的に私思うんですけど、やっぱり知事というのは大変権力がある職で、その人の思い1つでかなりの範囲の幅というんですか、解釈の幅、運用の幅が出てくると思うんですよね。
 だから、例えば初め申し上げましたように、入札制度のやつでも、質問すると全く担当課の人は適正にかっちりした返事をくれるんですけど、そういうことだけでは何か温かみがないというんか、人情味がないというんか。というのは、例えばこういう入札制度をつくったそもそもは例の官製談合が大きな原因であったもんですから、それがたびたびあるわけじゃなし、そんなこと常識的に考える、心配するのはそれこそ取り越し苦労だと思うんでね。せめて、この許される範囲の中で小規模の、例えば極端な話──災害のときは随契でというお話は聞いてますけど、例えば日常的な道路補修とかあるいは沿道の草刈りとかというのは、例えば100万の仕事でも入札なんですよね。そういうことをすると、ある意味では、こんなことがあるんです。
 最終的にその単価、コンピューターでやってますから、計数を入れるのはコンピューターでしょう。だから、みんなが要らんというて──そうじゃなくて、現場もあるんですけど、みんなが一生懸命入札してこれ欲しいと思ってて、ある1人が、もう自分もこんな腐った──まあ言葉は悪いけど、こんな手間のかかる仕事やから要らんというて99.99%が落札するというような、そんな不合理さもあるしね。
 だから、それはもうちょっと知事として、最大決裁できる知事として、例えば1000万ぐらいの草刈りは地元の業者にして、しかも入札参加数でいえば20社から30社と、こういうふうに漠然と決まってるらしいんですよ。そんなんだったら、1人や2人の単独でというんじゃなくて、その地域のエリアの、たとえ5社でも6社でもええん違うか。その中で、談合と言うからおかしいんであって、建設的な話をするのに、日本人というのは、そんたくと言ったら悪いように思うし、談合と言ったら悪いことする相談かとなるんやけど、そうじゃないと思うんですよね。そんな悪い人間ばっかじゃないから、やっぱりせめてその辺の幅をきかして、特別にこのぐらいの仕事だったらよろしいですよと、指名入札でやりましょうよというような、ちょっとした知事も人間性として温かみを見せるようなことしていただけりゃね、随分変わるんではないかなと思います。これは要望ですけど。
 それと、耕作放棄地、四角四面にいきますと、国の法律であります、1種農地はどうやこうや、1種農地についてはどうです、こうですという規定はあるのはわかってる。わかってるんやけど、もっと弾力的な運用したらええん違うか。
 もうとにかく、大きい道とか国道とかで仕切られない限り、固まっておおむね10ヘクタールあったら1種にするでと言うけども、その中には、まあひどい話ではお家断絶、身内も亡くなってもて全くの放置した土地が永遠に1種農地というくくりでどうにもならん。中には、お年寄りがもうわしもあの世へ行く資金づくりにちょっと1反か2反売って葬式金をつくりたいんや、何とかしてくれと言うても、1種農地、そんなとこは道がないわ不便なとこやから、誰も借り手も買い手もない。
 結局どうしたらええんなというたら、15年か20年、草が生えて雑木林に認めたら非認定地域にするとかという、そういうようなばかなような──それはでも、決まりやから仕方ない、担当者が言うの仕方ないんですけど、そういうことではなくて、1種農地というのはやっぱり整備、飛行機でも新幹線でも見たら、両側きれいに圃場整備されてますね。あれを事実、1種農地というんじゃないんでしょうか。
 それと、1種農地にできる可能性があるとこはそれでええけど、もう普通に考えてどうにもならんようなとこでも、1種農地としてがちっと、いわば頭を固めてしまうから手も足も出やん、そういうのが現に物すごくある。全国的に言っても、耕作放棄地、全国平均では9%ぐらいらしいんですけど、和歌山県は14%ある。これ恐らく5年、10年、15年たったら至るところで耕作放棄地、草ぼうぼう、イノシシのミミズ掘りの場所になるかぐらいのようになるんです。これをその範囲内でおおむねというような解釈と、それから知事の地域を思う温かい気持ちをちょっと加味してもらえれば、ころっと展開は変わるんではないかな──解釈上ですよ──というふうに思うんで。これは、知事しかできません。担当の方が何ぼ説明に来てくれても仕方がないことであります。まあ一遍、知事の温かい御判断を期待したいと思います。
 それと、先ほど申し上げましたIRのことについては、もう二言目には、日本人の悪い癖か、ギャンブルするといったら依存症って、こうオウム返しになるんですけど、パチンコも含めてね。パチンコは特にあれは僕は自分の信念としてはもうギャンブル以外の何物でもないと思うんやけど、今、日本の法律では娯楽。そんなばかなことはないと思って一時闘いましたけど、まだ今休止してます。
 ただ、そういう意味で、依存症対策は考えないといけませんけど、ギャンブルイコール依存症やというて、そういうふうにするんじゃなくて、やっぱり大人である者が遊ぶんやから自己責任なんですよ。だから、そんなに神経をとがらす必要はないと思います。IRの協議会のメンバーの方の、ちょっと2~3手に入れた資料では、ほとんどの人が大人の遊びやから自己責任やと。それを何ももう大上段のごとく、ギャンブルやからほら依存症対策、先してかかれというような、一部では言ってるような人も僕も聞きますけど、そんなんには気にする必要は全くないと思うんで、ゴーイングマイウエー、とにかく知事の思いどおり進んで、私も全くそういう意味では一致してますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 質問は質問ですんで、答弁は要りませんけど、重ねて申し上げますけど、知事の温かい配慮を期待して質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、山田正彦君の質問が終了いたしました。

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