平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


平成29年12月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(全文)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成29年12月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 平成29年12月8日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第168号から議案第194号まで並びに報第6号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第168号から議案第194号まで並びに報第6号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 中西峰雄
 2番 秋月史成
 3番 立谷誠一
 4番 泉 正徳
 5番 前芝雅嗣
 6番 花田健吉
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 川畑哲哉
 10番 玉木久登
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 尾﨑太郎
 14番 藤山将材
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 堀 龍雄
 24番 中 拓哉
 25番 岸本 健
 26番 森 礼子
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(1名)
 20番 山本茂博
〔備考〕
 40番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      藤川 崇
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     山田成紀
 福祉保健部長     山本等士
 商工観光労働部長   山西毅治
 農林水産部長     原 康雄
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      野田孝雄
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    竹田純久
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       田村公一
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     武田 稔
 議事課議事班長    岩谷隆哉
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中平 博
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  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第168号から議案第194号まで、並びに知事専決処分報告報第6号を一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 35番山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 おはようございます。今回もまたトップバッターという栄誉をいただきまして、御配慮いただいた皆さん方にありがたく感謝申し上げます。
 光陰矢のごとくとよく言われますし、本当に月日のたつというのは早いもんで、ついこの前「明けましておめでとうございます」と言ってたのが、もうはやジングルベルの鳴る12月になりました。そういうことで、私もそれなりの年を重ねておりますもんで、特に短いように思います。
 今回は、新年度の、知事が申されたように平成30年度の新政策についてのことについても多少触れさしていただき、とりあえず当座の諸問題について、私なりに2~3質問をさしていただきたいと思いますので、御清聴よろしくお願い申し上げます。
 我が国の経済は、雇用・所得環境が改善している中、今後も緩やかに回復が期待されている一方で、依然として人口減少、少子高齢化に歯どめがかからない状況になっております。
 先般、総務省が発表した人口推計によりますと、平成29年10月現在の我が国の人口は、概算値でありますが1億2672万人となり、前年の同月と比較しても22万減少し、平成22年から7年連続で減少しております。また、年齢構成を見てみますと、15歳未満が12.3%に低下する一方、65歳以上が27.7%まで上昇している現状となっております。
 安倍内閣は、このような本格的な人口減少・少子高齢化社会において我が国の持続的な成長を実現するためには、2つの改革が必要であるとしています。
 1つ目は、人づくり革命として、幼児教育の無償化や真に必要とする子供たちへの高等教育の無償化など、我が国が社会保障制度を全世代へと転換することであり、2つ目は、生産性革命として、IoT、ビッグデータ、人工知能など最先端のイノベーションにより、産業構造、就業構造の変革をもたらすことであります。
 本県の状況を見てみますと、先般発表されました和歌山県の推計人口によれば、平成29年10月現在、県の総人口は94万4320人であり、前年度から9604人の減少、割合にしてマイナス1.01%であり、平成8年に減少に転じて以来、22年連続して減少しており、全国でも速いペースで人口減少が進んでいるような状況であります。
 このため、政府が推し進める2つの改革は、当然のことながら本県においても非常に重要な改革であると考え、まさに待ったなしの状況と言っても過言ではありません。
 さて、本県の取り組みに目を転じてみますと、県は本年2月定例会に「『世界とつながる 愛着ある元気な和歌山』~県民みんなが楽しく暮らすために~」を目指す将来像とする新たな長期総合計画案を提出して、我々県議会としても、この計画を大いに議論した上で議決されたものであります。
 本計画の内容につきましては、この場では詳細を申し述べることは差し控えますが、子育て環境、教育、健康長寿の向上や、80歳現役社会の実現、女性の活躍など、人づくりの基本的な方向性に加え、時代の潮流を踏まえた産業の新しい発展など生産性の向上に関する方向性を示すなど、まさに政府が推し進めていこうとする改革の趣旨を先行しつつ、防災や地域づくりなどさまざまな分野に関する戦略を掲げており、改めて本県の未来への道しるべとなり得る計画であると実感しているところであります。
 今年度については、この長期総合計画の始まりの年として、本計画に盛り込んだ政策の基本的な方向の中で、いち早く具体化させる必要があるものについて、その取り組みをスタートさせていると承知をしております。
 また、来年度については、先般発表された平成30年度新政策と予算編成の方針を読ましていただきますと、「県民みんなが活躍できる社会を醸成するとともに、未来に向けた本県の成長力を高める新たな施策を展開し、長期総合計画に掲げるめざす将来像への道筋を、より確かなものにしていく」という基本的な考え方が掲げられており、そのための具体的政策の方針も示されているため、この場でその内容を質問することは差し控えたいと思いますが、私としては今後の県政を展望する上で重要であると考える次第であります。
 以下の3点について質問いたします。
 1つ目は、入札制度の問題について、2つ目は、優良農地を確保し、本県農業を発展させていくための方策について、もう1つは、IR誘致についてであります。この3点に絞って質問させていただきます。
 まず1点目、入札制度についてであります。
 台風21号の豪雨により、紀の川市西脇地区の斜面崩落を初め、県内各地で災害が発生し、大きな被害をもたらしました。災害が発生するたびに思うのですが、大規模災害時に緊急対応を行っていただける地域の建設業者を守り育てていくことが極めて重要であり、そのために考えていかなければならないことが、入札制度の中で2つあると思います。
 まず1つ目は、低入札調査についてであります。極端な低入札による地域の建設業者の疲弊を避ける必要があります。予定価格1億円未満の入札では、最低制限価格により自動的に失格となることから極端な低入札は起こらない仕組みになっておりますが、1億円以上の場合、低入札があれば自動的に失格となるのではなくて、調査を行って落札者にすべきかどうかの判断を行っております。
 そもそも、予定価格とは、いつも申し上げることなんですが、プロの技術者がその工事を行うに当たり標準的な工法及び単価により積算した価格であり、予定価格に近い価格で落札することは何ら全くおかしいことではないはずなんですが、過去には予定価格のおよそ5割程度の金額でも落札した業者があったとも聞いておりますし、予定価格よりはるかに低い価格でも自動的に失格となるのではなくて、調査を受け入れれば落札者になり得るというのはどういうことか、低入札調査に対する知事の考え方はいかがなもんかと、そう思います。
 2つ目は、地域の建設業者の育成についてでありますが、災害が発生したときに真っ先に飛び出して、スコップを持って応急復旧を行っていただくのは地元業者であって、そういった地元業者に本復旧も任せればいいんではないかと、そう思います。また、ある意味では、小さい話になりますが、道路の脇の草刈りなどの維持作業も地元業者であれば、地域の事情もよくわかって精通していただいており、顔見知りの関係もあって安心感もあり、また住民からも喜ばれ、歓迎されるものではないかと思うんですが、一方、遠いところから来て落札した業者は、誰が作業しているかもわからず、地元の人からすると不安な気持ちになることもあるのではないでしょうか。
 地元のためにと思って頑張ってくれる業者が一定規模の収益を定期的に得ていくためには、維持修繕工事や災害復旧工事において、例えば1000万円以下程度といった小規模な工事を地元で落札できるような、もう少し温かみのある入札制度を考えるべきであります。現在、県では指名競争入札は全く行っておりませんが、地域の建設業者を守り、災害時にも安心できる社会をつくっていくためには、指名競争入札の実施も考えていく必要があると思いますが、知事のお考えはいかがですか、お尋ね申し上げます。
 次に、2点目の優良農地を確保して本県農業を発展させていただくための方策についてであります。
 農地の利用状況について、5年に一度調査されている農業センサスというのがありますが、それにおいて本県は、平成17年には3647ヘクタールであった耕作放棄地が、10年後の平成27年には4661ヘクタール。全国平均では10%増加してることになってる、10%ぐらいの伸びでふえてるんですが、本県ではそれの約2.8倍、28%も増加してると、そういうのが現状であります。今までは耕作ができていたところであっても、機械化が難しい形状の悪い農地や、あるいは道から離れた農地などについては、高齢化により耕作が困難になり、また農地として新たな借り手を探しても、このような不便で効率の悪い農地には借り手がありません。それが最大の原因であろうと思われます、耕作放棄地の原因は。
 そこで、お伺いします。
 基盤整備が済んだ農地のような優良農地については、転用を制限し、その確保に努めることは重要であると考えますが、一団としてまとまった農地、面積10ヘクタール以上であるというだけで、そういうことだけで不整形な農地や効率の悪い農地までも含めて第1種農地として判断して、農地転用等の利用が制限されております。皆さんも、恐らく地方でもそういう相談のお話があろうかと思うんですけど、現状はそういうことでどうにもなりません。
 このままで利用されず、耕作放棄地となってしまうおそれがあるような不整形な農地については、第1種農地に含めないという判断はできないもんでしょうか。法律は法律としてあるんですが、多分、大きく緩やかな解釈はできるはずなんです。
 また、例えば1種農地であっても、利便性が低く経営効率が悪い農業生産基盤の整備が行われていない農地は、さきにも述べましたが借り手もなく、農家の高齢化や後継者不足により、今後は耕作放棄地としてどんどんふえていくと考えられます。中には、もう雑草がちょっとした林のごとく、全く雑木が生えたりして見るもあわれな状況になっているところが、至るところであるのが現実であります。
 今後も、農地として有効活用されて、農村、農業を維持し発展させるには、農業生産基盤が整備された優良農地を確保する必要があると考えていますが、県の考え、知事の考えについてお伺いいたします。
 最後に、IRについてであります。
 冒頭で触れたところでありますが、日本が本格的な人口減少に突入する中、本県においては全国よりもさらに速い流れで人口が減少していくことから、交流人口や観光客、とりわけインバウンドなどの国外からの需要を積極的に取り込むことが地域経済にとって不可欠であると考えます。
 そんな中で、IRについては、ともすれば悪いイメージで一般社会では報道されておりますが、私も実地勉強のために2度、3度、マカオ、それからその他のところへ見学に行ってきたんですが、日本でも昨年IR推進法が成立し、数を限ってその設置が認められることになりましたが、IRは地域活性化の起爆剤として極めて有効な手段であると私も確信しており、この千載一遇のチャンスを逃すことなく、是が非でも本県への誘致をかち取る必要があると強く思っております。
 私は、県が知事を筆頭に、海外の主要IR事業者が集まるフォーラムへの参加、シンポジウム開催、あるいは和歌山IR推進協議会を設立されてIR業者とも積極的に接触されているなど、前向きに誘致活動を展開されていることを心強く思っているんですが、また、IR事業者と同じように、和歌山県、とりわけ第1候補地として考えられている和歌山マリーナシティが日本でのIRの立地に最適だと私も考えている1人であります。
 ただ、1つだけ不安があります。それは何かといいますと、知事がギャンブル依存症対策について、IRのカジノ施設に限っては外国人専用とするというふうに表明されているところであります。このような条件をつけて、誘致実現のための大前提であるIR事業者を確保できないのではないか、熾烈な自治体のお互いの競争を勝ち抜いていくための足かせになるんではないかなというふうに懸念しております。
 外国人専用では収益性に大きなマイナス影響を及ぼすということなどから、立地はすばらしいけれども、外国人専用であれば和歌山県には行かないというようなIR業者の偽らざる本音が聞こえてくるようにも思います。つまり、今協議に応じてくれている業者であっても、最後にはIR業者に逃げられていくというような、そういう不安があるのではないかと危惧しております。
 また、IR誘致に本腰を入れている県経済界も、仮に外国人専用という条件で和歌山と組んでくれる業者があっても大規模な投資は見込めない、カジノ部分にも日本人を入れるようにしなければ経済効果は限定的なものになるというような懸念を抱いているとも聞いております。9月に設立された和歌山IR推進協議会においても、カジノ施設への日本人入場について前向きな発言がなされていると聞き及んでおります。
 一方、国の動きを見てみますと、8月に国の有識者会議が示したIR制度活用の方向性では、ギャンブル依存症対策として、マイナンバーカードの活用とか入場料の設定、あるいは入場回数の一元的な管理などの制限とか、無制限に入場できないというような高いハードルが課されていると聞いております。知事は、以前から外国人専用という方針について、「国民が納得できる依存症対策ができるまでは日本人は入場させない」というふうに公言されておりますが、私は、政府の示したギャンブル依存症対策には高い実効性があるので、十分に国民の理解を得られるものと私自身は考えております。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 県経済がIR誘致に向けて盛り上がっているところを見せておる中、我々も6月議会で国に対してIRに関する意見書を提出するなど、全国的にも注目されている中、県は地方創生の観点からもぜひIR誘致を目指すべきであると考えております。知事の懸念されるギャンブル依存症については、政府が示す対策に加え、今後予防の観点から本県独自の対策を検討するなどした上で、事業者にとって足かせとなる外国人専用という方針を方向転換していただきたいと思うんですけれども、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 ことし3月、「『世界とつながる 愛着ある元気な和歌山』~県民が楽しく暮らすために~」を目指した将来像とする新たな長期総合計画は、先ほども申し上げましたが、設定された中に将来像を実現するための5つの体系というのが明記されておりました。すなわち、「ひとを育む」、「しごとを創る」、「いのちを守る」、「くらしやすさを高める」、「地域を創る」、こういう5つの起爆剤の中にこれを当てはめますと、すべからくがカバーできるように思います。そういうことで、ぜひIR実現により一層の御奮闘を期待して、知事の答弁を期待して、私のこの場での一般質問は終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの山田正彦君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、入札制度についてお答え申し上げます。そのうちの低入札調査についてが第1番目でございます。
 過度な価格競争で、いわゆるダンピング、これは日本語で言うと不当廉売といいますけども、これをやられますと工事の質の低下を招くおそれもあるし、下請契約の履行とか労働者へのしわ寄せに加えて、安全管理の不徹底を招くおそれがありまして、建設業の健全な発展を阻害するものであることから、低入札価格調査を初め、全国的に低入札対策の取り組みが進められているところでございます。
 予定価格についての議員の御見解は、私は全く同感でございまして、常に世間にそう言っております。とりわけ、私がちょうど就任したときに、世の中の風はとにかく入札率を下げろと、低価格がいいんだといって、もうありとあらゆる人たち、ほとんど全ての知事を含めて、みんなそういうふうに狂奔をしていたように思いますけれども、私は1人、風に逆らって、そう議員と同じように主張し続けてきたところでございます。
 そうした中、本県でも、低入札対策は公共工事を進める上で重要な課題と捉えておりまして、国よりも低入札に対して厳しい基準を設定するなどの対策も講じており、こういうこともありますが、以前のような低い価格での落札は発生しておりません。
 ただし、理屈からいいますと、企業の工夫により合理的に、低価格でもダンピングではなくて合理的に工事が履行可能な場合がありますので、そういう企業をダンピングだといって決めつけるのもどうかということだと思いますから、1億円以上の工事については価格調査を実施してるところでございます。
 なぜ1億円かというと、これは我々も調べるにはマンパワーが要りますから、したがって、申しわけないけれども1億円未満の工事についてはもうみなさしてくださいということで、便宜的に自動的に失格という制度をつくってるわけでございます。
 今後も県といたしましては、過度な価格競争による低入札で地域の建設業者が疲弊することなく、履行可能な価格での受注が進むように、国の動向等も注意しながら低入札対策に取り組んでいく所存であります。
 次に、指名競争の話がありました。これについては、平成18年に発生いたしました官製談合事件により失墜した県行政の信頼を取り戻すために、私が知事就任直後に手がけざるを得なかったと言うべきかもしれませんが、手がけましたのは新しい公共調達制度の構築でありまして、これには将来的にも完全に官製談合はおろか談合も排除し、誰であっても恣意的に操作できないような制度になるように、和歌山県公共調達委員会にも検討してもらって制度をつくり上げたわけでございます。
 ここにおいては、初めからこれは私のほうで申したんですが、効率性の向上、公共工事の質の確保、官製談合の排除、建設業界の健全な発展の4つの命題をうまくあんばいしなきゃいけないということで検討して、今の制度はそういうつもりでございます。
 その1つが、一般競争入札の導入でありました。これに対する概念は、指名競争入札では発注者による恣意的な運用のおそれや入札参加者の範囲が限定されることで、談合の温床となりやすいとの指摘があったことを踏まえたものでございます。これによって、入札における恣意性を排除することが可能で、透明性、公平性、競争性を高めることができることになったと思います。
 この背景には、要するに建設業界に限らず、産業界で一番気をつけなきゃいけないのは、これは官製談合は論外ですけども、そうでなくても独禁法違反でございます。最近も、何と梅産業でこの独禁法違反の疑いをかけられまして、これで本当に挙げられてしまいますと、業界の存廃にかかわるというような物すごいことになります。なぜならば、実は課徴金という制度があってえらいことになってしまうわけでございますんで、これだけはやっぱり避けてうまくやらないといけない。この一般競争入札の導入によって、最も独禁法違反から遠くなる制度をつくったわけでございます。
 しかし、そうすると4つ目の命題でございます建設業界の育成が不十分になるおそれがあります。したがって、この制度の導入に当たりましては、不良不適格者の排除、これはもちろんですが、工事の品質低下を防止するための措置もあわせて取り入れて、地域によっても利益につながるように配慮するとともに、工事の内容や規模に応じて参加可能な地域を条件とするなど、これは地域要件という言葉で言いますけれども、そういうものを可能な限り導入しまして、地域の声を守ることにいたしました。多分、他県に類を見ない制度をつくったと思っております。
 実は、ここまで制度設計しておけば、実は指名競争入札であっても一般競争入札、すなわち和歌山版の一般競争入札であっても、業界に与える影響はほとんど一緒というふうになります。違うのは、指名競争によって独禁法違反をしとんじゃないかという疑いをかけられやすいと、あるいはひょっとしたらしやすいという、そういうところだけだと思っております。
 災害時においては、紀伊半島大水害時にも運用したのでございますが、何よりも迅速な対応が不可欠でありますので、指名であれ一般競争入札であれ、入札はもう要らない、随契で地域の建設業者にもう大急ぎで対応してくださいというような仕掛けをつくっておりまして、今後ともそういうふうにするつもりでございます。
 したがいまして、制度はそういうもんでございますんで、独禁法違反の疑いなんかをかけられないように指名競争の復活というのはしないほうがいいんじゃないか、建設業界のためにもよろしいというふうに私は思います。
 ただし、この制度の運用については、地域の実情も踏まえ、微修正は当然あり得る話でございますし、随分やってまいりました。引き続き関係業界の意見も聞きながら、また県議会の御意見も聞きながら、業界全体の健全な発展に寄与するような制度になるように、今後とも取り組んでいく所存でございます。
 次に、農地の話でございます。
 私は、議員各位におかれましてはよく御記憶のように、かつて本来の権限以上に踏み出して「守ります、まちと優良農地。」という方針を打ち出したこともありましたが、いろいろな議論がありましたので、平成28年3月にその方針を撤回いたしました。それで、本来の権限者が法のルールを守って適正に対応してくださいというふうに変えました。
 法のルールによれば、農地法及び農地法施行令において第1種農地は明確に定義されていて、法律どおりに判断するしか今のところ権限者もないということだと思っております。また、その判断も法律に定められた適格な権限者、私が口出しをするんじゃなくて、主として市町村や市町村農業委員会が法律の規定に従い、みずからの権限において、みずからの責任において行っているところであります。もちろん県の権限も少しありますので、法律に基づいてやっております。
 しかし、そうやって守った農地を置いといてもいけないというのは議員御指摘のとおりで、農業を振興するという考え方からすると、優良農地にどんどんしていかないかんということであろうかと思います。利便性を上げ、経営効率をよくして農地の生産性を向上さしていくことは重要なことでございまして、引き続きそのために圃場整備を進めたいというふうに思います。それによって、優良農地を確保していきたいと思うわけです。
 昨年から、国の助成基準を満たさない小規模圃場整備も、県単独の補助事業に加えまして、国の助成基準と同じぐらいの有利さで行うということで、農業の振興を図ろうとしているところでございます。
 続きまして、IRの関係でございます。
 御指摘のように、IRの誘致に関しては、観光振興に寄与するとともに、経済波及効果やあるいは雇用創出効果が期待できまして、これは地域活性化に必ずつながるなあというふうな有効な手段と考えまして、政府で今日のようにIRの議論が始まる前から全国に先駆けて行動をしてまいりました。
 そこで、御指摘の依存症の話でございますけれども、実は私は各国の先例とか政府が粗々の意思、こういうふうにするんだ、特に安倍総理なんかは世界一の厳しい規制をするんだというふうに言っておられるのから見て、本当は心配しておりません。
 しかし、初めてのことでございますので、IR導入によってギャンブル依存症疾患が助長されるおそれがあるという懸念を抱く方も多分おられるんじゃないかと思いまして、それならばそういう方々が心配されないように、実効性のある規制が設けられるまでは、最も安全な手段としてはIRの中のカジノ施設に限っては日本人を入場させないという考え方でやったらどうかというふうな考えを打ち出したわけでございます。そしたら安心でしょうというふうに思うわけであります。
 ところが、そう言っても何が何でも反対という人もいるなあということを最近よく実感いたします。そんなたくさんの人ではありませんが。それから、これも意外でしたが、自分たちもぜひ入れてくれという方々がたくさんいらっしゃるということを、いろんな会合の席、それからパーティーその他でお話をしてるとわかりました。そんなのが感想でございます。
 IR推進会議が取りまとめた方向性を見ますと、議員御発言のとおり、ギャンブル依存症対策として入場料の賦課やマイナンバーカードを利用して週及び月単位の入場回数を制限するというようなことが書かれております。
 さらに、その入場回数をカジノ管理委員会で一元管理するということで、例えば和歌山と大阪にできた場合、複数の別のカジノ施設への入場についても回数が合算して把握されるような手だてを講じるんだというようなことを書いてあって、そういう意味では国民の理解を得るように頑張っているということだと思います。
 ちょっと想像でございますけれども、和歌山県の発しましたカジノルームは外国人専用というこの考えが、かなりインパクトがあったんじゃないかと──この検討会議の検討でですね──それで、いろいろそれにかわるものとして考えてくれたんじゃないかという気もいたします。
 しかし、実際にこのような方針が法律になる、すなわちIR実施法案に反映されるのか、現実には法案の文案とそれからその実施法令によってどのような制度ができていくのか、これはちゃんとよく見きわめなければいけないと思います。ギャンブル依存症の防止というのは、これはとても県民の幸せにとって大事なことでございますんで、議員御質問の外国人専用の見直しについては、今後上程されるIR実施法案において、国民が納得できるような依存症対策が確立されているかどうか、確立されていくかどうか、慎重に見きわめていきたいと思います。それまでは、和歌山県民──技術的に難しいので日本人──というものはカジノ施設に入場させないという方針もまだ意義を失ったわけではないというふうに私は思っています。しかし、さまざまな観点から考えていかないといけませんので、今後とも議員におかれましては、御指導のほどよろしくお願い申し上げます。
○議長(尾﨑太郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾﨑太郎君) 再質問を許します。
 山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕
○山田正彦君 いろんな項目について質問するに当たり、執行部、部課の皆さん方にも大変貴重な時間を割いていただき議論をしたんですけど、これをどうせえということではなくて、最終的に私思うんですけど、やっぱり知事というのは大変権力がある職で、その人の思い1つでかなりの範囲の幅というんですか、解釈の幅、運用の幅が出てくると思うんですよね。
 だから、例えば初め申し上げましたように、入札制度のやつでも、質問すると全く担当課の人は適正にかっちりした返事をくれるんですけど、そういうことだけでは何か温かみがないというんか、人情味がないというんか。というのは、例えばこういう入札制度をつくったそもそもは例の官製談合が大きな原因であったもんですから、それがたびたびあるわけじゃなし、そんなこと常識的に考える、心配するのはそれこそ取り越し苦労だと思うんでね。せめて、この許される範囲の中で小規模の、例えば極端な話──災害のときは随契でというお話は聞いてますけど、例えば日常的な道路補修とかあるいは沿道の草刈りとかというのは、例えば100万の仕事でも入札なんですよね。そういうことをすると、ある意味では、こんなことがあるんです。
 最終的にその単価、コンピューターでやってますから、計数を入れるのはコンピューターでしょう。だから、みんなが要らんというて──そうじゃなくて、現場もあるんですけど、みんなが一生懸命入札してこれ欲しいと思ってて、ある1人が、もう自分もこんな腐った──まあ言葉は悪いけど、こんな手間のかかる仕事やから要らんというて99.99%が落札するというような、そんな不合理さもあるしね。
 だから、それはもうちょっと知事として、最大決裁できる知事として、例えば1000万ぐらいの草刈りは地元の業者にして、しかも入札参加数でいえば20社から30社と、こういうふうに漠然と決まってるらしいんですよ。そんなんだったら、1人や2人の単独でというんじゃなくて、その地域のエリアの、たとえ5社でも6社でもええん違うか。その中で、談合と言うからおかしいんであって、建設的な話をするのに、日本人というのは、そんたくと言ったら悪いように思うし、談合と言ったら悪いことする相談かとなるんやけど、そうじゃないと思うんですよね。そんな悪い人間ばっかじゃないから、やっぱりせめてその辺の幅をきかして、特別にこのぐらいの仕事だったらよろしいですよと、指名入札でやりましょうよというような、ちょっとした知事も人間性として温かみを見せるようなことしていただけりゃね、随分変わるんではないかなと思います。これは要望ですけど。
 それと、耕作放棄地、四角四面にいきますと、国の法律であります、1種農地はどうやこうや、1種農地についてはどうです、こうですという規定はあるのはわかってる。わかってるんやけど、もっと弾力的な運用したらええん違うか。
 もうとにかく、大きい道とか国道とかで仕切られない限り、固まっておおむね10ヘクタールあったら1種にするでと言うけども、その中には、まあひどい話ではお家断絶、身内も亡くなってもて全くの放置した土地が永遠に1種農地というくくりでどうにもならん。中には、お年寄りがもうわしもあの世へ行く資金づくりにちょっと1反か2反売って葬式金をつくりたいんや、何とかしてくれと言うても、1種農地、そんなとこは道がないわ不便なとこやから、誰も借り手も買い手もない。
 結局どうしたらええんなというたら、15年か20年、草が生えて雑木林に認めたら非認定地域にするとかという、そういうようなばかなような──それはでも、決まりやから仕方ない、担当者が言うの仕方ないんですけど、そういうことではなくて、1種農地というのはやっぱり整備、飛行機でも新幹線でも見たら、両側きれいに圃場整備されてますね。あれを事実、1種農地というんじゃないんでしょうか。
 それと、1種農地にできる可能性があるとこはそれでええけど、もう普通に考えてどうにもならんようなとこでも、1種農地としてがちっと、いわば頭を固めてしまうから手も足も出やん、そういうのが現に物すごくある。全国的に言っても、耕作放棄地、全国平均では9%ぐらいらしいんですけど、和歌山県は14%ある。これ恐らく5年、10年、15年たったら至るところで耕作放棄地、草ぼうぼう、イノシシのミミズ掘りの場所になるかぐらいのようになるんです。これをその範囲内でおおむねというような解釈と、それから知事の地域を思う温かい気持ちをちょっと加味してもらえれば、ころっと展開は変わるんではないかな──解釈上ですよ──というふうに思うんで。これは、知事しかできません。担当の方が何ぼ説明に来てくれても仕方がないことであります。まあ一遍、知事の温かい御判断を期待したいと思います。
 それと、先ほど申し上げましたIRのことについては、もう二言目には、日本人の悪い癖か、ギャンブルするといったら依存症って、こうオウム返しになるんですけど、パチンコも含めてね。パチンコは特にあれは僕は自分の信念としてはもうギャンブル以外の何物でもないと思うんやけど、今、日本の法律では娯楽。そんなばかなことはないと思って一時闘いましたけど、まだ今休止してます。
 ただ、そういう意味で、依存症対策は考えないといけませんけど、ギャンブルイコール依存症やというて、そういうふうにするんじゃなくて、やっぱり大人である者が遊ぶんやから自己責任なんですよ。だから、そんなに神経をとがらす必要はないと思います。IRの協議会のメンバーの方の、ちょっと2~3手に入れた資料では、ほとんどの人が大人の遊びやから自己責任やと。それを何ももう大上段のごとく、ギャンブルやからほら依存症対策、先してかかれというような、一部では言ってるような人も僕も聞きますけど、そんなんには気にする必要は全くないと思うんで、ゴーイングマイウエー、とにかく知事の思いどおり進んで、私も全くそういう意味では一致してますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 質問は質問ですんで、答弁は要りませんけど、重ねて申し上げますけど、知事の温かい配慮を期待して質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、山田正彦君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 24番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 皆さん、おはようございます。「なかなか頑張る中拓哉」です。一般質問としては20回目ぐらいになりましょうか。どうぞ御清聴のほどよろしくお願いします。
 山田先生もおっしゃいましたけど、ほんまに1年たつのは早いなと思います。これも年食ってきたかげんかな、そんなことを思いながらも毎日毎日一生懸命頑張っていきたい。
 それで、きょう12月8日は真珠湾攻撃、「ニイタカヤマノボレ」、「トラトラトラ」と、開戦の日でもあります。しかし一方、日本国民だけじゃなしに、世界の人々に不幸をもたらした大きな戦争の反省もしなければなりません。
 また一方、反戦歌として有名な「イマジン」を作曲したビートルズのジョン・レノンの命日でもあります。改めて反戦を誓い、平和をかみしめたいと思っております。
 この壇上に立つ都度、緊張はするんですけども、そのたんびに知事の政治姿勢を問いただし、見解を伺い、確認してまいりました。
 ここで知事選、3年前の知事選3期目のスタートのときにその抱負をお尋ねもしましたし、今思えば4年の任期もあと1年となって、国民体育大会、大成功、1位とりましたし、長期総合計画の繰り上げの策定など大変大きな仕事をなし遂げてこられた知事かと大きく評価もいたします。選挙の都度、仁坂知事を応援してきた公明党の議員として、その点については誇るものでございます。
 12月議会の審議と並行して、来年、平成30年度の新政策の準備にもいそしんでいらっしゃるところかと推察いたしますけども、そこで改めて、仁坂県政3期11年の総括と今後のお取り組みについて、この席でお述べいただきたい、それを第1問といたします。よろしくお願いします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私の11年の県政の総括と今後という御質問でございますが、不祥事によりまして失われた県政への信頼を取り戻すべく努力を重ねてきた結果、そういう意味では県政への不信は払拭され、清潔な県政という信頼感は得られてるんじゃないかなあというふうに思います。
 ただ、先ほどの山田議員のお話でございますが、温かい気持ちを持って行政をしなきゃいけないということはそのとおりでございまして、私は実はいつも考えております。自分では決してそんな冷たい人ではないというふうに思っておりますが、ただ、そういう気持ちをいろいろな制度との関係でどうやって制度の中に生かすかということを一生懸命考えておりますので、ひょっとしたらいろいろな限界に当たっている可能性もあるかなというふうに思います。引き続き御指導、御批判はいただきたいと思います。
 また、行財政改革に取り組んだ結果、破綻の危機にありました財政を立て直すことができまして、積極的な財政支出も、十分ではないですけども、少しできるようになりました。さらに、低迷していた和歌山を元気にするために、産業振興、観光振興、医療・福祉の充実、少子化対策、インフラの整備、教育の振興など、多くの分野でスピード感を持って新たな取り組みや改革を進めてまいりました。
 これらの取り組みの結果、医療、福祉、治安など県民の安心・安全を守る制度を充実させる一方で、企業誘致とか産業振興にも力を入れて、企業誘致では177社の誘致を実現することができました。
 こういう動きに影響を与えるものとして、高速道路、それから県内の幹線、府県間道路、それから都市計画道路など、ネットワークが大分まともなものになってきたなというふうに思っておりますが、それも影響を与えてくれてるというふうに思います。
 ただ、このような中、紀伊半島大水害が発生し、61名のとうとい命が犠牲になりました。ただ、多くの県民の頑張りで早期復旧を果たすこともできたと思います。また、南海トラフ地震対策など、恐らく他県がモデルとすべき対策が着々とでき上がりつつあるというふうに思っています。
 さらに、紀の国わかやま国体、紀の国わかやま大会が成功裏に終わりましたけれども、これらは県政に呼応して立ち上がってくださった県民の皆さんの御努力と御協力のたまものだと感謝をしております。
 ただ、水害や地震、津波からももっと和歌山県を強靱にしていかないといけないと思いますし、高齢化の進展や人口減少、その他解決しなければいけない課題は残されております。
 ただ、公共インフラが今申し上げましたように整備され、中小企業、農業、観光業などで新機軸を打ち出し、世界に打って出ようとする若々しい力も育ってきており、ひょっとしたら和歌山県が再上昇を遂げる条件が整ってきたかなという気もいたします。とはいえ、まだまだ安心できるかというと、そんなことはございませんことは、議員各位、皆さんよく御存じのことだと思っております。
 今後の取り組みについては、まず長計に基づきまして、今年度から取り組んでいる大きな仕掛けづくりの施策を加速化させるとともに、県政が直面するさまざまな課題に対応するよう、庁内で春からずっと議論してまいりました来年度の新政策の策定に一生懸命取り組んでまいる所存でございます。と同時に、毎日起こってくる問題を取り込み損なうと、将来に禍根を残します。したがって、現在の状況にも油断することなく取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 御答弁ありがとうございます。本当に知事おっしゃったことをずっとかみしめて聞きながら、ああそうやったな、ほんまによう働いてきたな、かように思います。
 ただ、それで終わったら何かよいしょの質問みたいになってしまいますんで、ここから、今、私らまちに出て県民から聞かれることについて、聞きづらいこともありますけども、お聞きしたいなと思います。
 それが、去る11月27日に参議院議員で自民党の和歌山県連会長代行の大江康弘さんが、来年12月に任期満了となる県知事選挙への立候補を表明しました。それで、記者会見の中で仁坂県政への評価を問われると、スピード感が感じられないし、職員のやる気も失われている、安定はしているが発展や活力がなければ無意味だ、仁坂知事とは育ってきた環境が違うんで答えの出し方も違う、大江になったら県政変わると県民に感じてもらいたいとの決意を述べ、後に私も聞きますけど、白浜空港の跡地への自衛隊の誘致やら、ちょっとここからは夢物語みたいなもんですけど、世界遺産、空の散歩として高野山、龍神、本宮、白浜をロープウエーでつなぐとか、あるいは先ほど山田先生も質問してましたけど、一般競争入札を指名競争に戻すとか、るる公約を述べておったようでございます。
 仁坂知事が4選を目指すのかどうか不明な状況下での発言ですが、報道を知った県民の方から、仁坂さんと話ついてんのかの、あるいは大江さんが自民党の幹部でありますゆえに、仁坂さんと自民党で何か確執でもあるんかの、あるいは巷間よく岸本代議士が知事選に転戦するんよ、そんな話やら何やらいろいろ聞かれても私もわかりませんし、私ら一生懸命推薦した知事ですから知事さんに働いてもらうよ、こんな話をしているところでございます。
 そういう質問攻めにも遭いますんで、この際、大江さんの会見があったという事実を踏まえた上での知事の御見解をお述べいただければなと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 大江康弘さんといいますと、かつて民主党政権が「コンクリートから人へ」と盛り上がっていた時代に、和歌山県では御坊─田辺間の4車化にかかわる予算が凍結されるなど、私など大変悔しい思いをしていたところ、あの民主党の参議院議員でありながら、党の方針に逆らってそれはおかしいと反旗を翻して、民主党を離党された方であります。しかも、最近ではちょっと元気がなくなった党からどうやって逃げ出すかとかいう、そういう話が割合、新聞その他で見られますけれども、そうじゃなくて絶頂期の民主党政権のときにそれをされたということで、保身とかそういうものとはほど遠いことだったと思います。そのことに対しては、和歌山県は大江さんに感謝の気持ちを感じなきゃいけないと私は思っております。
 その後、大江さんが参議院議員に立候補された際には、そういうことがありますので私も一生懸命に応援し、懇意にしていただいていたことから、知事選に出馬されると聞きまして「あれれ」と思いましたが、それは大江さん自身がみずからの信念に基づいて行動されることでありまして、私がとやかく申し上げることではないというふうに思います。
○議長(尾﨑太郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 今の知事さんの答弁、素直に私も聞かせてもらいます。ほんまに大江さん、あのとき民主党の中で、何言うてんだと、道路特定財源も守らなあかんし、どんどんやっていかなあかんというようなお話は、私らも拍手送った次第でございます。
 その後、参議院に挑戦されて、残念ながらということなんですけど、まだお若いことでもありますし、政治家を目指すというのもこれまた大江さんの信念かなと、このように思います。
 ただ、今も自民党の県連の会長代行という幹部でもありますし、そういう意味では組織の一員としていろいろ相談しながら進めていくのも政治家の1つの姿かなと思うんですけど、その点、それを超える情熱があってあんなにおっしゃったと思います。今のお話聞いてたら、別にそんなにいろんな裏があってやってるというようなことではないようでございますんで、素直に受けとめていきたいなと思いますし、また知事さんの動向については、いずれどこかでお話しなさるんかわかりませんけど、記者会見で聞かれても、いやいや、そんなことは議会でと、こうやっておっしゃるといいますから、議会で述べるのが普通かなと思ってお尋ねしたような次第でございます。また、しかるべきときにお話ししてもうたらな。
 ただ、ようあるのは、いろんな団体から推薦もうて、推薦があるからそこまで言うてくれるんなら行こかみたいな、何かそんな下工作みたいなことはしたら潔うないな、自分で行くか行かんか決めておっしゃってもうたら、そうなった段階でまた私どもの党でもいろいろ諮りながら決めていくんやと思いますんで、そうなった折には頑張らんなんな、頑張りたいな、そんなことも思いつつ、またほかにもっと立派な人が来たらまた考えやんなんなと、こんなことかと思いますんで、またしかるべきときにお願い申し上げます。
 また、先ほど温かい県政を目指してて、時に冷たいと思われることもあるというようなお話もありましたけど、やっぱり知事さんはずっと経済産業省でばりばり働いてきて、恐らく仕事が好きで、やりがいあって頑張ってきた方やと思います。だから、そういう思いで県庁の職員を見たときに、まだもう1つ足りないなということが折にそういう叱咤激励になるのかなと僕は理解しておりますし、そういう影響を受けて長計にしても何にしても自分らでつくるし、ようなってきたんじゃないかという評価もしております。また、その分、知事さんが厳しい分だけ下副知事が優しいんで、下さんの株も上がってるんじゃないかと、こんなことも思いますけど、そこはかけ合いながら上手に回っていったらな、かように思います。
 それで、次に県勢浮揚について、何点か提案も含めてお尋ねしたいと思います。
 尾花和歌山市長の記者会見の発言で、本県出身の女流作家・有吉佐和子さんの東京の自宅の移築とまでいきませんけど、いろんな形で残す方向で取り組む由、報道で知りました。また、有吉佐和子さんは「助左衛門四代記」であるとか「香華」であるとか「有田川」、あるいは「華岡青洲の妻」、それに何より有名な「紀ノ川」、これの出だしは九度山の慈尊院さんからの出発でございます。そういう意味から、行政区としては和歌山市に限らず和歌山県の広域的なところを小説の題材にして作品としてくれておりますので、和歌山市がお取り組みくださるのは喜ばしいことながら、県としても関与できないものか、もどかしく思っております。
 また、私、26年2月の議会でも自分の出身の海南の大先輩であります小野田寛郎元少尉のことを取り上げまして、その功績を申し上げたんですけど、フィリピンのルバング島では小野田さんの顕彰館が建ち、平和教育の拠点として活用されているというのをNHKのEテレの番組で知りました。また、文化の日の11月3日、ビッグ愛で陸奥宗光のセミナーがありましたんですけど、そのときに私は、陸奥さんがベンサムやミルといった政治思想家の原書の翻訳された功績も東北の牢屋につながれてるときにやってましたんで、政治学者の側面を持つ陸奥宗光さんを御紹介もさせてもらいました。
 また、今、橋本では数学者の岡潔さん、あるいは御坊市では東京五輪の和田勇さんなど、県内で活躍された偉人の顕彰が始まりますし、そういう意味では和歌山県出身の偉人は雲霞のごとしで誇らしく思っております。
 それで、私の提案なんですけど、この際、こういった偉大な先達を恒常的に顕彰する常設の展示を提案いたしますけども、いかがでしょうか、御答弁願います。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 和歌山県はこれまで多くの偉大な先人を輩出しており、このような偉人の功績を知ることは、ふるさとへの愛着や誇りへとつながるものであり、継続的に取り組むことが重要であると考えております。
 これまでも、平成16年度から平成21年度まで紀の国先人展を開催したのを初め、ふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」や県のホームページ「和歌山県ふるさとアーカイブ」において偉人について紹介しております。さらに、平成23年度からは、東京において偉人シンポジウムを毎年開催しているところでございます。
 議員御提案の、偉人を常設的に展示し紹介することにつきましては、例えば県庁ギャラリーや県民文化会館など既存の展示スペースを活用する方向で検討してまいります。県といたしましては、既存の取り組みも含めて、今後もさまざまな形で偉人の顕彰に努め、郷土への愛着心の一層の醸成を図ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 私思うような偉人館といいましょうか、顕彰館といいましょうか、そういう恒久的な美術館や博物館に負けんようなのがあればいいと思いますけど、お金もかかりますから、最初はそういう県庁ギャラリーや県文の中と、それも一考かと思います。そんな形で目に触れて、青少年が勉強していってくれたらな、また、私らも知らない偉人もまだたくさんいらっしゃいますから気づかせてもらえたらなと、さように思いますんで、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、県から毎日のように提供される資料がありまして、その都度目を通してるんですけども、その中で南紀白浜空港の民間活力事業に係る公募手続開始しますということがありました。当初予算でもそんなこと載ってたんやと思いますけども、そういう事業がこの年度の中で動きつつありまして、12月4日にもその募集要項の説明会もあって、大勢の会社が出席して関心を示してくれてるということでございます。非常に明るい話題かと思いますんで、その概要をこの議場でお示しいただけたらと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港民間活力導入事業に係る公募手続の概要について御質問を頂戴いたしました。
 和歌山県では、民間事業者による空港基本施設等とターミナルビルの一体運営の実現などにより、チャーター便など新たな航空ネットワークの拡充によるさらなる交流人口の拡大と空港運営の効率化を図ることを目的とした南紀白浜空港民間活力導入事業の実施により、地域経済の活性化を目指してございます。
 今回の公募では、南紀白浜空港の運営を希望する民間事業者の皆様から、航空ネットワークの拡充、国際線受け入れ機能を有したターミナルビルの配置計画に加え、南紀白浜空港の運営に係る経費が収入を年間約3億円上回っていることを踏まえて、民間運営等による県財政の効率化についても御提案いただくこととしてございます。
 スケジュールでございますが、先月11月21日から公募を開始し、12月4日には今回応募を検討されている民間事業者の皆様等を対象とした説明会と施設見学会を開催したところでございまして、来年1月5日を第1次審査書類の提出期限としてございます。その後、外部専門家で構成する選定委員会により、1月中旬の1次審査、5月中旬の2次審査を経て運営事業者を決定する予定となってございます。
 なお、民間事業者による南紀白浜空港の運営開始につきましては、平成31年4月を予定してございます。
○議長(尾﨑太郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。ずっと3億円言いながらやってる中で、民間にやってもうて、そういうことが効率化されたらなおええですし、どんどんようなって私らも東京へ行くの、関空へ行かんと白浜から行けるように、そんな便利な空港になってほしいな、和歌山市民として思います。期待してますんでよろしくお願いします。
 そこで、この新しい空港がどんどんようなることはええんですけども、旧空港ですね、昭和の40数年のときにできて、それでもうずっと跡地利用、跡地利用が何度も同じような答弁で期待を持たせられながらも、平成8年開港後、新しいとこができましたからもう遊休地となって、思い返せば20年間放置され続けてまいりました。その旧の南紀白浜空港の活用策、先ほどの新しい提案の中でもしてくれたらええんやみたいなことはありますけども、今の時点で、先輩、この前も立谷さん聞いてくれてましたけど、いつまでほっとくんですかという気持ちもありますんで、一遍お答えください。お願いします。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 旧南紀白浜空港跡地につきましては、現空港に隣接するとともに本県の代表的な観光地である白浜温泉の中心に立地していることから、紀南地域全体の経済発展や活性化を図る上で大変重要な土地であると考えております。
 したがって、跡地利用につきましては、観光地としての価値を高めることを第一に考えて、観光産業との相乗効果が図れ、できるだけ高い集客力を持ち、地元雇用への貢献も見込めるような施設の誘致に取り組んでまいりました。
 最近では、そういった目的にふさわしい産業としてIRがあると考え、県内の候補地の1つとして関係機関や企業に旧南紀白浜空港跡地を紹介し、進出の働きかけを積極的に行ったところでございますが、現時点では興味を示す企業はあらわれておりません。
 そこで、県といたしましては、現空港の民間活力導入事業や白浜空港フラワーライン線全線開通など地域動向を見据えながら、県誘致担当部局及び地元白浜町と連携を図り、観光客向けの物販施設や宿泊施設等、集客力の高い施設の誘致に向け取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 髙瀨部長、今言うてくれたけど、前の答弁から変わったんはせいぜい県空港の民間活力投入が入ったことぐらいで、いっこも進歩してないんですね。県誘致担当部局、地元白浜と連携を図り──これはごもっともでございます。しかし、県誘致担当部局も、コスモパーク加太のところと一緒にやってますから、どっちかというとコスモパーク加太のことが熱心になって、これに対してはさほどの意識もない、このように思います。
 また、商工観光労働部のほうで、立派なホテルやったらお金出すよというて融資の枠もつくったりして、安っぽいホテルじゃなしに立派なホテルをということで、随分いい条件のことも用意されてますけども、そういう情報も共有されてるほどでもなし、後回し後回しと、こんな形になってまいりました。
 そこで、今回のこの民間活力導入事業も見なあきませんけども、それでもなかったら、僕の思いはもう昔の林に戻してほしいよ。あるいはお花畑でもいいです。お金のかからん形で1つの決着を見れば、いつまでもこういう部局残しておくこともないですし、また林に戻るのか、お花畑になるのか、そういうことはわかりませんけど、自然なまんまで1つの景観をなしていくんじゃないかなと思いますんで、そこらは要望しておきたいと思います。早く決着してほしいと思います。
 一方、この20年放置された旧白浜空港に引きかえて、ことしの春に加太に移転して開校しました消防学校の冬野の跡地利用、これもまたほっとかされるんかいなあ、そんな心配をしていますけど、今どのようになってますか、お示しください。
○議長(尾﨑太郎君) 総務部長浦上哲朗君。
  〔浦上哲朗君、登壇〕
○総務部長(浦上哲朗君) 和歌山市冬野の旧県消防学校につきましては、平成29年3月31日付で行政財産の用途廃止を行いまして、その跡地は県警察本部組織の一部の移転先及び児童養護施設・和歌山市旭学園の移転先としての利用を予定しております。
○議長(尾﨑太郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 そうやって次の活用が図られるということはうれしいことです。冬野の住民の方からもいろいろ聞かれておりましたんで、そういう形でまた有効に活用していただけることはうれしいことやと思います。
 ほかの県の施設もそういうことで、終わった後放置されたまんまというのもまだあるかと思いますんで、新しい事業に一生懸命取り組むのは仕事も華やかでいいんですけど、後の片づけということもきっちりやっていかなんだらあかんの違うかなと思った次第で、お尋ねしたようなことでございます。
 次に、長期総合計画で示すところの「暮らしやすさを高める和歌山」という表題に関連しまして、食品残渣の活用についてお尋ねします。
 今、いろんな報道を見てますと、常に国の政策でも何でも枕言葉のように、持続可能な開発目標──サステーナブル・ディベロップメント・ゴールズ(SDGs)といって必ず枕につきます。そのSDGsの一環でもあるんですけど、食品リサイクルの手法において、食品の大量廃棄、資源の有効利用、食品残渣の飼料化──餌ですね──を図る必要から、平成19年改正された食品リサイクル法によりまして循環型の再生利用事業計画、この認定制度ができました。
 エコロジカルやエコノミカルという、このエコという言葉と、飼料のフィードというのをひっつけまして造語を、日本語ですけど、片仮名英語ですけど、エコフィードという言葉が今発せられています。エコフィードの家畜飼料、これを確立することで捨ててた飼料の自給率が高まってまいりますし、穀物相場に左右されずに畜産農家の方が安定的な飼料を買えるということで、重要な施策やと思います。
 そこで、調べましたら残念ながら、この認定制度ができて回り始めてるのに、全国でこの仕組みのできてない県が秋田、福井、沖縄と和歌山県ということのようでございます。本県の取り組み状況をお答え願います。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 食品残渣の活用でございますけども、本県では畜産の規模が小さく、飼料の需要が少ないため、県内最大の飼料製造業者の食品残渣の処理量が日量3トンと、国の基準である5トンに満たないことから、食品リサイクル法に基づき再生利用事業計画の認定を受けた事業者はございません。
 しかしながら、豚と牛を飼育しているほとんどの農家で、食品事業者から出る食品残渣を直接入手し、飼料としてリサイクルできております。飼料価格が高騰する中、経営安定を図る観点からも、食品残渣を飼料として利用することは重要であると考えておりますので、今後も食品リサイクルを推進してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 畜産王国というわけじゃありませんので、3トンが限界で5トンに満たないというようなことはあるんかわかりませんけども、ただ単に回ってるからいいということじゃなしに、売るほう、つくるほうの大手さんも引き込んで、社会的な責任としてやっていくというふうなことにお取り組みいただきたいことをお願い申し上げます。
 さて、次に自殺予防についてお伺いします。
 平成21年の2月議会と6月議会に、続いて私、自殺対策の推進を迫ってまいりました。そのかいありましてといいましょうか、全国的にも取り組んだおかけでございますけども、自殺者は年々年々減少してまいりました。
 一方、神奈川県座間市での若い女性が全然見知らぬ男に次々に殺害されていくという痛ましい事件がございまして、それを見ていますと、インターネット上に繰り広げられている自殺サイトの問題があろうかと思います。とりわけ、若い人たちによるSNSをツールとして、悩みを打ち明けたらそれに反応する見ず知らずの人がおってつながってしまう、それが現代社会のある面、一面でございます。
 去る8月22日に、我が党の浮島智子代議士のお誘いがありまして、大阪の堂島ビルに関西カウンセリングセンターというのがございまして、カウンセラーを育成する機関ですけども、そこでLINEさんの社員も来てまして、そういうLINEを利用した自殺・いじめ相談に応じる相談員研修の様子を拝見いたしました。
 聞けば、今の若い子は電話はもうほんまに使わんし、固定電話も引きませんね。私のせがれや娘も結婚しましたけど、固定電話引いてませんわ。もう携帯で終わってます。その携帯の電話は電話で使うんですけど、むしろLINEやツイッターやフェイスブックやというふうな形で、もうネット上のやりとりで何もかも終わっていくというふうなことがございます。電話のもう20倍、そういう形でSNSを使ってコミュニケーションをとり合っているのが今の世の中だそうでございます。
 ですから、電話相談の窓口を幾ら整備して、24時間やってます、何やってますって用意はしてくれるんですけども、なかなかそれが今回の座間みたいな事件のときには役に立たなかったということでございますんで、この堂島へ行って勉強してきましたら、長野県や大津市では既に試行的にこのSNSを利用した相談を始めたそうでして、私が見せてもらったその研修の模様も、立ちどころに相談といいますか、ちょっとつぶやきがあったら「どうしたの」という形でチャットですぐ反応して、そうだね、つらかったね、もうちょっと教えてくれる?、こんな感じでやりとりしてました。
 そういう意味では、カウンセラーや臨床心理士の方がキーボードを打てるぐらいのことになっていかなあかんのかわかりませんけども、そういう時代がもう来てるわけですから、本県での取り組みも急がれるんじゃないかと思いますので、今現状、本県の取り組み、またこの先はいかがなさいますか、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 県におきましては、自殺対策の相談窓口として和歌山県自殺対策情報センターに相談専用電話「はあとライン」を設置するとともに、各保健所において相談に対応しております。あわせて、若年層を対象とした「子どもと家庭のテレフォン110番」を初めとするさまざまな総合相談窓口も設置しております。
 SNSを活用した相談業務を実施するに当たっては、本人の合意に基づいて登録してもらう必要があるため、自殺を考える人たちに登録してもらえるのか疑問があります。さらに、自殺の相談という本来の目的以外に利用されることも懸念されるところでございます。
 また、仮に自殺を考える人に登録してもらえたとしても、相談においては文字だけのやりとりとなることから、電話相談のように声や話し方から心理状態を推測することが難しく、緊急性の判断が困難となることが予想されます。
 こうしたことから、相談業務にSNSを活用することは難しいと考えます。しかしながら、SNSの利用の広がりにつきましては十分に理解していますので、それらを有効に活用した若年層に向けた相談情報の発信の可能性について、今後検討してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 山本部長の答弁聞いてて、ほんまに考えてくれてるのかなと思うんですけども、自殺を考える人たちに登録してもらえるのにも、そら「私、自殺予備者ですよ」と登録する人なんかありませんよ。また、自殺を考えるのに登録されたとしても、すぐに死ぬからと言って対応する、そんなこと当たり前じゃないですか。電話相談しててもそんなことありませんよ。やっぱりよもやま話、何とはない話、きょうは天気やな、きょうは雨やな、寒いな、そういったところから電話相談でも始まっていくんですよ。相談員さんとのやりとりの中で心触れ合って、寄り添って、そういうことが通じたときに初めて「いや、実は」ってつらい話、そういう話を打ち明けて、寄り添ってくれる人やなあ、もうちょっと頑張ろかというておさまっていくんですよ。それが実態やと思います。
 ですから、ちょっと私の期待してることと違うんですね。最初から登録してもうて、登録した後、人とやりとりせんなんというふうなことを思うことなく、もっと自然な、今、電話相談の窓口してる中で、いや、実はSNSも使った形で何らかの形で考えていただけないものかなということを、和歌山県がそれこそ、公共調達では和歌山の例を見ろといって自慢する制度ができたわけですから、そういったことに取り組んでもらいたい。
 また、何も自殺と言うからかたなるんで、いじめなんかもそうやと思います。これは教育委員会なんかでも取り組んでもらいたいし、一部こんなんあります、あんなんありますというのは私らもネットパトロールやら何やらで提案もしましたし、その道、その道で考えてくださって用意はしてくれてますけど、もうそういう時代を超えて毎日のようにSNSの形で世の中は回ってるわけですから、そこに苦しんでる方、つらい方、しょげてる方、そういった方、1日誰ともしゃべらんと、もうほんまにきょうは1人もしゃべってないんやということは幾らもあるんですよ。そういった寂しい方が何かの拍子に世をはかなんで自殺してしまうというのが現状かと思いますんで、もう一段、誰ひとり見捨てない和歌山県として工夫をしていただければな、このように思います。
 これは私も、じゃあこれせえという解決はなかなかよう言いませんけど、せめてそういうスキルを持った方が電話で対応できるがごとく画面で対応できますよ、そういう仕組みをお願いしたいと思います。
 それで次に、毎月10日に、これも県から配ってくれる資料なんですけど、不正行為通報等受理・処理状況についてというのはいつもあります。どんなもんかなと思いながら見ながら、こんなことはやっぱりあるんやな、公益通報制度、監察査察の制度というのは有効になってるんやな、中にはしょうもない言い分もありますけども、それにしてもこうやって一つ一つ丁寧に取り上げていくんやなと思って見てるわけですけども、その8月10日版に、教育委員会の欄に、あるスポーツ競技団体の役員をしている職員が団体の事務で不適正な処理をしているというお知らせがありまして、それは調査中だと、匿名だった、郵便、ファクスだった、こういうことがおぼろげながら書いてくれてあります。
 また、今度は11月24日に教育総務局総務課秘書班から資料提供がありまして、教育委員会に所属の主査で44歳で男性の職員が停職6カ月、中身を読みますと、フェンシング協会に補助したふるさと選手派遣補助金云々というふうなことがありました。事の詳細をお示しください。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 今回の事案の経緯については、本年7月に県フェンシング協会を通じて選手に支払われるべき補助金を、県教育委員会の職員が不適正に処理しているとの不正行為等通報が匿名であり、監察査察課に調査を依頼し、調査した結果、平成22年度から平成27年度まで長期にわたり、県体育協会から県フェンシング協会に補助したふるさと選手派遣補助金について、多くの対象選手に手渡さずに、自身の判断で物品の購入や施設の使用料に流用し、一部は手元に保管していたことが判明いたしました。
 当事案が判明したときには、既に当該職員は不適正な処理をした補助金の全額を県フェンシング協会に返還し、その後、協会から全ての対象選手に旅費として支払われました。
 当該職員の一連の行為に対し、県フェンシング協会では当該職員を除名処分とし、県教育委員会といたしましても、公務外とはいえ公務員としてまことに遺憾であり、教育行政に対する信頼を著しく損なうものであることから、当該職員を懲戒処分といたしたところです。
○議長(尾﨑太郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。そういうことで、判明したときには既に協会に返還してた、あるいはもうそのお金は選手に渡ってたということですね。それでフェンシング協会は除名した、そやけども公務外としてけしからんことなんで、教育委員会は先ほどの6カ月の処分にした、こういうことかと思うんですけど、そもそも6年間もこういう補助金が、毎年やっぱり補助終わったら事業の報告書もらうなり、あるいはそのお金の使い道どうやったんよと検査して決算報告書つくらんなんし、せんなんと思うんですね。そういうところでこういうことがわからなあかんし、ほかの団体ではちゃんと使われておったんでしょうから、何でこういうことが気づかなかったんでしょうか。教育委員会、教育長、お願いします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 今回、県フェンシング協会において不適正な事務処理が行われたふるさと選手派遣補助金については、県フェンシング協会から県体育協会に提出された関係書類に不備がなかったため、外部からの通報があるまで見つけることができなかったところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 フェンシング協会から体協に出された書類、その書類を県が見るわけですね。それで不備がなかった、だからわからん、そういうことなんでしょうね。
 そしたら、一方で、ありがたいことに、地方自治法ではこういう補助金については、補助金適正化法とかいろんなことがありますけども、予算そのものですから監査もできるかと思うんですけど、監査のほうでこういうことを本来指摘するのが監査の仕事かと思いますけど、監査のほうはいかがだったんでしょうか、代表監査委員にお願いします。
○議長(尾﨑太郎君) 代表監査委員江川和明君。
  〔江川和明君、登壇〕
○代表監査委員(江川和明君) 県体育協会に対する監査につきましては、県フェンシング協会による不適切な事務処理が行われたとされる期間の補助金について、平成23年度、平成26年度及び平成28年度に監査を実施いたしました。
 監査においては、主に県体育協会に保管されている県補助金に係る書類の内容を確認の上、協会職員からも聞き取りを行いましたが、ふるさと選手派遣補助金の執行については特段の問題はなく、県体育協会に対する監査においては適正に処理されているものと認めました。
○議長(尾﨑太郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 議会に配られる監査の報告書も見てるんですけど、同じときにほかの団体のことは見つけてくれてるんですよね。名前間違うて振り込んでたでと、それはちゃんとしなさいよと書いてくれてました。そのように、同じ団体に行くんでも、担当者に行ってしもうてたり、代表者に行かなあかんやつが行ってなかったりしたら、監査は有効に機能して指摘してくれてるんです。しかし、これについては今言うたようなことで、みんな調うてわからなかった。
 前に楠本さんのときに私、田辺の証紙、印紙のお金のことで、あれも監査には全然指摘事項なかったんでどうでしたんですかと聞いたら、いや、実は行ってなかったんですと。監査は現物見て行ってなかったけども、23年の台風の大騒ぎのことやったから、現場の職員さんはこの対応に大変やったから、実は書類で送ってもうたんですと、でも問題なかったから県議会には問題ないと書いたんですと、こんなことやったですね。それで、行かなんだことをここでわびてくれるのかいな思うたら、いや、そうじゃなしに、原課がちゃんとすべき、することやという答弁やったんで印象に残ってるんですけど。
 そういうときにやっぱり見つけてもらうというか、できた書類を疑うのはなかなか難しいですけど、そこで私思うんです。そうやって皆つくられてちゃんとしてたらわからんわけですよ。しかし、つくったほうの責任はあるんですよ。皆さんをごまかした、皆さんの目をごまかして補助金をスルーしてしもた、そのつくったときの責任。まあ、文書偽造といいましょうか、てんぷらつくらなあきませんよね。もうてる選手にかわって判こ押さなあきませんよね。それは、もう紛れもなくそういう加工をしてるわけですから、虚偽文書の作成にも当たりますし、判こ押しちゃったら有印私文書ですし、そういう形があるわけですよ。それがあったからこういうことになって見つけられなんだ、じゃあそういうことをしたことについてのとがはないんですか、こうなってくるんです。
 その上で6カ月にしたというんですけど、6カ月に処分したその条項を、先ほどおっしゃったように公務外やと言うんですね。公務外のところ、指針幾ら読んでも、この不適正な処理についてどうのこうのというようなこと出てこないんですよ。ほかの破廉恥な事件起こしたときのことはいろいろ書いてますよ。それにも当たらんのにこの処分をしたわけですけど、教育委員会が処分したことについては人事委員会に持ち込まれて、人事委員会がきつ過ぎたという結論もしたこともありますし、あるいはその上でもまだ裁判で厳し過ぎるといって頑張っていらっしゃる方もあります。そういう意味で、当局が判断する処分においては非常に厳密にせなあかんのですけど、その6カ月とした根拠をお示しください。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 今回の事案は、地方公務員法第29条第1項第3号、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行、及び同法第33条、信用失墜行為の禁止に該当いたします。
 県教育委員会の懲戒処分の指針では、標準例に掲げられていない非違行為についても懲戒処分の対象となると規定されており、今回の事案はこの規定に該当するものです。
 処分量定の決定に当たっては、懲戒処分の指針にある不適正な公金等の処理の量定を参考とするとともに、6年間という長期間にわたり当該職員自身の判断で補助金を目的外に流用したこと、多くの選手に迷惑をかけたこと、独断で申請書を作成したこと、フェンシング協会から除名処分を受けていることなどを総合的に勘案し、停職6カ月が妥当であると判断いたしました。
○議長(尾﨑太郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 今おっしゃってくれたんですけど、見たら確かに公務の中では不適正な公金処理について、そんなことしたら停職、減給、戒告というのはありますよ。しかし、公務外の非行では放火や殺人や云々、器物損壊、横領、強いて言うたら詐欺ぐらいですかね、賭博、そういうことがあって初めて公務外行為は教育長が処分するんですよ。それからすると、罪刑法定主義という大原則に立てば、ない中で処分されてるということになるかと思います。
 ただ、じゃあそれでええかといったらそんなことありません。今おっしゃったように、当該職員が自分で判断して目的外に利用した、多くの選手に迷惑かけた、この上ないですよ。国体1番にならんなんからこういう仕組みつくってくれたんですよ。よそで頑張ってる、他府県で頑張ってる本県出身の選手に、和歌山県から出てくれよ、それについては和歌山県の予選に来るのにお金がないから夜行バス乗って節約して来て、朝そのまま試合出やんなん子もおりますよ、体調なかなか万全でない中でね。そんな中でこんなお金くれるんやったら、飛行機で行って前の晩に家帰って臨むということもできますよ。そういう意味で、非常にいい制度やと思いますよ。そうであれば、もっとちゃんと使うたってくださいよ。ほとんどはちゃんと使うたんですけど、ここは使ってないんですよ。けしからんことですよ、これは。6カ月で済むことかなと思うんですよ。
 そういう思いの中で、処分するのはもちろんですけど、じゃあ処分しよう思うたら今言うように規定がないと。この際また追加してくれたらええですけど、罪刑法定主義からいうて、もしまた人事委員会に持ち込まれたら、人事委員会のほうもなかなかこれでは難しいなみたいなことになりかねないから、ここで私、そのことを指摘してるんです。
 それで、ここではじゃあ僕がきついこと言うからもう一遍改めて処分するかといったら、そんなことにならんと思いますけども、このことについて、フェンシング協会への処分はなさったんでしょうか。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県フェンシング協会への処分は、県体育協会から県フェンシング協会会長に対して、平成29年11月21日付で補助金の適正執行について厳重注意を行ったところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 フェンシング協会もこんなことになると思ってなかったですから、びっくりして、いろいろ調査して、その中でわかってきたことで、その傷は癒やされて再発防止にも取り組んでくれてることやと思います。監督責任という意味では、一つ一つ踏んでいかなあきません。
 さて、そこで、フェンシング協会がそういうことがあって、体協がだまされた立場か知りませんけど、体協は県の予算をいただく窓口になっていろいろ配ってるわけですけど、じゃその体育協会への今おっしゃるような厳重注意処分のこんな文書みたいなのは出してしかるべきやと思いますけど、そこら辺はいかがでしょうか。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県フェンシング協会から県体育協会に対して提出された書類については適正に処理されていたことから、県体育協会に対する処分は考えてございませんが、今回のことを真摯に受けとめ、事務改善の実施など再発防止に向けた取り組みを指導したところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 どうも腑に落ちんのですね。フェンシング協会から体協へは別に文書に問題なかったと言うんですけど、こういうことがあってフェンシング協会へは体協から処分したわけですね。お金を使われた県からしたら、県から体協にもっと注意せえよという先ほどの文書1枚でも出たらええんですけど、そこで考えてしまうのは、体協の会長って誰よといったら知事さんなんですね。教育長が知事さんに「こら」と言わんなんと、こんな立場になるわけですよ。調べてみたら、全国で知事さんが体協の会長でないとこは幾らもあるわけですよ。
 そういう意味からすると、こんなことのガバナンスというか、日赤の問題でもそうだった。私申し上げましたけど、やっぱり知事さんが名誉職的といいましょうか、そんな形でなるのはおさまりはええですけど、事起こったときのガバナンスのきき方が、それこそそんたくしてしまうんですね。そういう状況になってしまうと思うんです。ええ効用があるんかもわかりません。
 今、体育協会に派遣されてる職員さんはみんな県の職員さんですから、派遣されてそこで仕事をするにしても、会長が知事やから相変わらず公務としてやるというふうな形で熱心にやってくれる分にはええんかもわかりませんけども、ガバナンスあるいはプロパーとして独自に、よそに団体があってしっかりそこでやっていくという意味においては、こんな経理のずさんなことは防げるんじゃないかな、そんな意味に思います。そういう意味からも、ここで今回の問題を踏まえて、反省と再発防止についてお述べいただけたらと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県教育委員会といたしましては、今回の事案はまことに遺憾であり、真摯に受けとめ、事務局職員に対して、法令を遵守すべき公務員としての立場を十分に自覚するとともに、服務規律の厳守を徹底するよう厳しく指導を行いました。
 また、県体育協会には、既に事務改善に向けて指導を行っているところでございます。具体的には、ふるさと選手派遣補助金の決定通知について、従来、競技団体に対して行っていましたが、直接補助金対象選手本人にも伝達するよう指導し、既に改められたところでございます。また来年度からは、従来、競技団体を通じて行っていたふるさと選手派遣補助金の交付を県体育協会から直接補助金対象選手本人の口座に振り込むよう改める予定となっております。
 さらに、県体育協会の職員が競技団体において補助金申請等を担当する職につかないなど、補助金受給に係る不適正事務の未然防止策に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 これから本人の口座へ直接渡すというんですから、こんなことは起こらんのやと思います。
 ただ、今、競技団体の補助金申請の担当につかないと、今まで体協に派遣された職員さんがいろんな事務で申請もするわ、交付のことにタッチするわということで、うまいこといってて何も問題なかったらそれでいいんですけど、そういう素地があったということで改めるということですから、ぜひよろしくお願いします。
 あと、所感ですけど、フェンシングの競技選手のおかげで国体1位になれたという点も大いにあると思います。優秀な成績をおさめてくれました。そういう意味では拍手を送りたいと思いますし、この処分を受けた職員も恐らくそういう点では有能で、一生懸命やったんやと思います。そういうことからすると、この補助金のあり方がきっちりしててええという面もあるけども、もらうほうからしたら選手強化に使うたらええんやろ、選手強化に使うてる分には流用というか幅あってええんちゃうんというようなことで緩んだとしたら、やっぱり補助金の使い勝手、あるいは補助金のあり方についてももっと伸び伸びと使える補助金であれば、こんなことにもならなかったんではないかな、かように思います。
 私も剣道をしてきましたけど、野球の人らうらやましかったです。高校野球で海南高校でPTAからか何かお金があるときに配分するときは、やっぱり野球部が大量にとってしまいますよ、その当時はね。そんなときに弱小の私ら剣道は竹刀1個も買えないというふうな形で、当然自腹でやるんですけど、やってきました。面なんか高くてとても買えませんというようなことでございました。
 純粋にやってるスポーツは、生徒は皆一緒やと思います。そういうときに、純粋にやってるスポーツ選手の気持ちに応える上からも、有効な補助金であってもらいたいし、こんな間違うた使い方のないようにやってもらいたい。ほんまに本来このお金をもらうべき選手たちがもらえなかったということについては申しわけないなという気持ちでいっぱいでございますんで、こんなことの起こらないように強く強く申し入れて、私の質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時48分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(尾﨑太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕(拍手)
○中本浩精君 皆様、こんにちは。本日3番目に登壇さしていただきます中本です。
 本当に朝夕めっきり寒くなってまいりました。お体には十二分に御自愛いただきまして、12月定例会、頑張りましょう。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、1項目め、小田井用水路の世界かんがい施設遺産登録を受けて、井澤弥惣兵衛さんを知ろう会、大畑才蔵ネットワーク和歌山との連携についてお尋ねいたします。
 皆さん既に御存じのように、去る10月10日、小田井用水路が世界かんがい施設遺産に登録されました。まことにおめでたいことです。登録に当たって、これまで何かと御尽力くださった小田井土地改良区の皆さんや県農林水産部など、関係各位に心から敬意と感謝を申し上げます。ありがとうございました。
 世界かんがい施設遺産は、平成26年度に創設され、国際かんがい排水委員会(ICID)──本部・インド──が、建設から100年以上経過している、かんがい農業の発展に貢献した、歴史的、技術的価値があるなどの登録基準に従って選定しており、28年度までに世界47施設が登録されています。本年度は、日本から小田井用水路や土淵堰(青森県弘前市)など4施設が登録を申請し、登録が認められました。
 小田井用水路は、江戸時代中期に徳川吉宗の命でつくられ、現在の橋本市から岩出市まで、紀の川沿いの4市町を流れている用水路で、登録が認められた理由は、建設当時の用水路が多く残っていること、当時の建設技術が後世に受け継がれていることが高く評価されたからであります。
 かんがい面積は、建設当時が約1000ヘクタール、現在は、都市化や水稲から果樹への作物変更などの影響を受け567ヘクタールで、用水路の延長は32.5キロとなっています。1707年に、当時紀州藩主の徳川吉宗が新田開発に伴って必要となる用水を確保するため、土木技師の大畑才蔵に工事を命じ、3年後に完成させた用水路です。
 今回の世界かんがい施設遺産登録で、関係者は、「農家だけでなく、地域が一体となって施設を守る意識が醸成されるのではないか」、「これほど大規模な施設が残っていることは少ない。地域の皆さんに重要さを知ってもらい、用水路を誇りに思ってもらえたら」とコメントを発表しております。
 私がここで注目したいのは、大畑才蔵という1人の人物です。大畑才蔵は、名を勝善といい、伊都郡学文路村、現在の橋本市学文路で1642年に生まれました。才蔵は、小さいころから算数が得意だったようですが、大人になってから土木に精通し、1696年に紀州藩に召され、農政に携わりました。
 才蔵が55歳のときです。この年に工事を藤崎井から始め、11年目の1707年に小田井の工事を始めました。この2つの水路の開削は、もともと藩主が農民を救済するために行ったものです。当時、才蔵は、木、竹を使ってやっとのことで測量しました。水路を山際で迂回させ、また谷川を横断させ、暗渠を掘って川底を通したり川の上に渡井をかけるなど、この上なく困難な工事であったことは、今日においても人々のひとしく感心するところであります。
 才蔵がこの2つの水路の布設のために開発した技術は数え切れません。今でこそ紀の川の北側一帯には多くの水田が広がり、県内有数の田園地帯となっていますが、当時、この地はたびたび干ばつに襲われ、「月夜にやける」と言われるほど水の便が悪い土地でした。伊都・那賀地方の肥沃な田野はこの2つの水路の恩恵を受け、そして10万以上の人々がこの水の恩恵を受けています。これは、大畑才蔵が水路を開発したおかげです。才蔵が2つの水路を開削して以来200数十年、才蔵の功績はきわまりないけれども、多くの人々はその功績を余り知りません。
 才蔵は、1715年に74歳で藩の職をやめるまで手がけた治水事業は、小田井用水のほか、藤崎井、六箇井など、数々の業績を残しましたが、1720年、華々しい脚光を浴びることもなく、地方史の片隅で生涯を終えました。高齢に加え、昼夜を問わず治水事業に取り組んだ姿に才蔵の不撓不屈の精神をうかがうことができ、また、それは地位や報酬のためではなく、農民のため、地域の人のためという強い使命感によるものであったと考えられます。
 4年後の2020年は、大畑才蔵没後300年に当たり、くしくも東京オリンピック・パラリンピックの開催という記念すべき年になりますが、今回の世界かんがい施設遺産登録を契機に、郷土の偉人である治水の神様・大畑才蔵の顕彰、彼の苦労と業績を後世に語り継ぐこと、また、若い世代にその精神を引き継ぐことが大変重要かと考えます。
 また、小田井用水路の開削に当たり、もう1人の貢献者である井澤弥惣兵衛がいました。江戸時代、名君とうたわれ、米将軍と呼ばれた8代将軍徳川吉宗を支えたのは大畑才蔵であり、その上司であった井澤弥惣兵衛であります。
 井澤弥惣兵衛は、那賀郡溝口村、現在の海南市野上新で生まれ、徳川吉宗が紀州藩主のときに勘定方につき、紀の川流域の新田開発などを行いました。その後、8代将軍となった吉宗の命を受け、小田井の技術と経験を用い、各地のかんがいや新田開発といった事業に尽力した人です。主な事業に、見沼干拓(埼玉県さいたま市)、多摩川の改修、手賀沼(千葉県我孫子市)の新田開発などを行ったことで有名です。新田開発は、吉宗の享保の改革の1つに数えられておりますが、井澤弥惣兵衛らの活躍により幕府の財政を建て直すことができました。
 そこで質問ですが、大畑才蔵、井澤弥惣兵衛の業績をより多くの人に知ってもらい、活用していくために、今後どのような取り組みをお考えでしょうか。また、地域の皆様が集まり、大畑才蔵ネットワーク和歌山や井澤弥惣兵衛さんを知ろう会がつくられると聞いています。連携していくことが重要だと思いますが、いかがお考えでしょうか。知事にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの中本浩精君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 小田井用水路が世界かんがい施設遺産に登録されたことは、大きな喜びであります。大畑才蔵や井澤弥惣兵衛が考案した、緩い勾配の用水路をつくり農業用水を確保するとともに、河川に堤防を築き新田開発をするという工法は、紀州流と呼ばれ、全国に広がり、現在の土木技術の基礎を築いていると言われております。
 県では、これまでもふるさと教育の一環として、大畑才蔵や井澤弥惣兵衛など、県ゆかりの先人らをより多くの県民にもっと知ってもらうために「わかやま何でも帳」を作成し、中学生用に配布しておりますけれども、一般の方々にも、これは有料ですが、販売をしてるということでございます。
 議員御提案の大畑才蔵ネットワーク和歌山、井澤弥惣兵衛さんを知ろう会は、地域の熱心な皆さんにより結成されておりまして、これまでも県と両会は、両名の偉業を後世に伝えていくために、シンポジウムやウオーキングイベントなどを協力しながら二人三脚──三人六脚かもしれません──で開催をしてまいりました。今後も協力して、水路の必要性、重要性やお二人の功績を県内外に広く発信し、この貴重な施設を観光や若い皆さんへの教育の材料として活用してまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 今、知事より御答弁いただきました。ありがとうございます。
 大畑才蔵ネットワーク、井澤弥惣兵衛さんを知ろう会と連携して顕彰活動をすることにより、2人の郷土の偉人の輝かしい業績や立派な人間性をより多くの県民の皆様、国民の皆様に知っていただけることを心から願っております。
 そこで、1つ提案させていただきたいことがございます。
 平成23年度から、和歌山県と明治大学主催で和歌山県偉人顕彰シンポジウムが行われております。所管は県企画部文化学術課です。これまで、南方熊楠、陸奥宗光、濱口梧陵、華岡青洲、松下幸之助など、そうそうたる郷土の偉人が取り上げられています。本年度は、私が以前、本会議で前畑秀子NHK朝ドラ誘致活動の件で御質問した折、御紹介させていただいた御坊市出身の和田勇さんのシンポジウムが来年の2月24日に予定されています。テーマも「東京にオリンピックを呼んだ男」で、実に時期を得たすばらしい企画だと思います。
 この和歌山県偉人顕彰シンポジウムに取り上げる人物にも、やはり旬と言えるものがあると思います。紀州流土木技法という独自の技術を導入し、紀州藩のみならず他藩にも展開して、用水路や新田開発、干拓に輝かしい業績を上げた海南市出身の井澤弥惣兵衛さんと橋本市出身の大畑才蔵さんは、世界かんがい施設遺産に登録されたこの機会が旬と言えると私は思います。また、橋本市ゆかりの世界的な数学学者である岡潔さんは、来年、没後40年を迎え、テレビのスペシャルドラマにも取り上げられると聞いており、こちらも旬と言えると思います。
 旬と言える人物を顕彰することは、和歌山県のPRにも大いにつながると思いますので、ぜひこれらの偉人の顕彰シンポジウムを御検討いただきますようよろしくお願いいたします。要望といたします。
 また、ネットワーク和歌山や知ろう会の会員さんのように熱心に顕彰活動をしてくださっている人たちだけではなく、このような活動を積極的に支援してくださる個人、団体もあります。
 JAグループ和歌山がこの活動を積極的に支援してくださり、ここに持ってきたんですが(資料を示す)、「ちゃぐりん」というJAの月刊誌9月号、漫画「いのちの歴史」の欄で大畑才蔵さんが取り上げられました。JA紀北かわかみがこの本を小学校4年生の郷土の学習の資料として役立たせてほしいと橋本市に寄贈してくださり、4年生の全ての児童に配布されました。このような輪がますます広がって地域全体で顕彰活動が盛り上がっていくことを期待いたしまして、次の質問に入らせていただきます。
 2項目め、ふるさと教育の推進についてお尋ねいたします。
 私は、平成26年12月定例会において、ふるさと教育の推進について一般質問をさせていただきました。
 当時の西下教育長からは、「ふるさと教育は、ふるさと和歌山に愛着と誇りや自信を持ち、心豊かな人間性を育むものです。子供たち一人一人が生涯にわたって生き生きと生きていく上でのよりどころになるものであり、大きな意義があると捉えております。 このため、学校においてふるさと教育の推進を図り、児童生徒が郷土のすばらしい自然やすぐれた先人、世界に誇れる文化、地域を支える産業等と触れ合う機会を充実させているところです。そこで得た感動体験を通して、すばらしい郷土の歴史や文化等をしっかりと受け継いでいける児童生徒を育てていきたいと考えております」との答弁をいただきました。具体的には、主に「わかやま発見」、「わかやま何でも帳」を作成し、各校において活用して、ふるさと教育の充実に努めていくとのことでした。
 ふるさと教育の進捗状況及び今後の取り組みについて、教育長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) ふるさと教育は、子供たちの心豊かな人間性を育むための本県の重要な教育の柱であり、市町村教育委員会とともに、さまざまな機会を捉えながら取り組みを推進しております。
 県教育委員会では、平成21年度から、地域の自然や文化、歴史、先人などについて児童生徒が学習した成果を募集し、すぐれた取り組みを表彰する「ふるさとわかやま学習大賞」を実施しております。例えば、大賞となった作品では、地域の川の源流を探ることを通して子供たちの環境への意識を高めるなど、すぐれた取り組みがふえてきており、地域を学ぶとともに、地域を守っていく心情を育てる実践まで発展してきております。
 平成28年度には全ての中学生に「わかやま何でも帳」を配るとともに、平成29年度は小学校にも1学年分を配布し、活用しております。あわせて、ふるさと和歌山を広く県民に知ってもらうため、一般販売も行っているところです。
 さらに、今年度、ふるさと和歌山の一層の理解を深めるため、その時々に合った和歌山ゆかりの先人や出来事を個別に取り上げて紹介する「きいちゃんと学ぶ!ふるさとだより」を作成し、各学校に配布することといたしました。今年度は、没後120周年となる陸奥宗光や生誕150周年を迎える南方熊楠を紹介しております。
 今後の取り組みといたしましては、ふるさと和歌山のことについて意欲的に学べるよう、また学んだ成果を実感できるよう、中学生、高校生を対象にした「わかやまふるさと検定」の実施に向けて検討しているところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ただいま、県内の学校現場の状況について教育長より御報告いただきましたが、私は、どうも学校によってふるさと教育の取り組みに温度差があるように思えてなりません。
 ふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」平成28年度改訂版を読ませていただきましたが、大変よくできた副読本だと思います。これでございます。(資料を示す)答弁にもありましたが、市販もされていますので、県民の皆様にもぜひ読んでいただきたい本だと思います。
 その本の初めに、仁坂知事が次のように書かれています。「和歌山県のことを勉強すればするほど、和歌山のすごさに驚き、長い間知らなくて『損をした』ような気持ちになりました。ふるさとの良さに気づかないことは自分の良さに気づかないことと同じように、『もったいない』と思うのです」、「皆さんが生まれ育った『ふるさと和歌山』の自然、歴史、文化、そして先人たちのことをもっと知ってもらいたい。自信と誇りと真っ直ぐな志を育てたい。そんな思いを込めて、この『わかやま何でも帳』を発行しました」と書かれています。
 どうか学校現場でこの本をもっと積極的に活用していただき、子供たちにふるさとのよさ、自分のよさに気づかないことはもったいないことであることを気づかせてあげてほしいと思います。
 そこで質問ですが、各小学校・中学校では、ふるさと教育を教育課程にどのように位置づけ、指導されているのか。具体的に言いますと、社会科、総合的な学習の時間等で年間指導計画に基づいてどのような指導をしているのか、もう少し詳細をお聞かせください。
 また、平成25年に学校教育法施行規則が改正され、土曜日等、従来の休業日であっても、設置者の判断により授業が可能となりました。また、学校以外においても、土曜日を活用した多様な学習や体験活動等の機会の充実が求められているところです。私の住んでいる橋本市においても、土曜日の教育活動として、希望者を対象に理科教室などが盛んに行われています。
 ふるさと教育にかかわって、土曜日等休業日に自分たちが住んでいるふるさとの偉人の学習や見学会、地域の人材を活用しての授業など、土曜日の教育活動として顕著な例があれば教えていただきたいと思います。教育長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校におけるふるさと教育は、ふるさと和歌山のすばらしさに気づかせるとともに、郷土を誇りに思う心情や態度を育成するため、各教科を初め、あらゆる教育活動に関連づけて実践されています。
 県教育委員会といたしましては、特に各教科等と関連づけた学習が充実するよう、「わかやま何でも帳」の活用方法を示した事例集や、地理、歴史や自然等を扱う社会科及び理科との内容の関連を示した教科書対照表を作成、配布し、学校で活用してございます。
 各学校においては、例えば総合的な学習の時間に「わかやま何でも帳」を使うなどして地域を学び、その地域の課題を発見し、課題を解決する学習等に取り組んでおります。また、道徳の時間には、本県独自の道徳教科書「心のとびら」、「希望へのかけはし」を活用して、本県ゆかりの先人を教材として道徳性を養う学習を行っております。
 土曜日の教育活動につきましては、PTAが主体となり、地域の方々と中学生が一緒に特産物の栽培、収穫を行う取り組みや、公民館等の講座として、小中学生が地域の語り部からふるさとの先人について話を聞く学習、地域の方と一緒に地元の史跡や旧跡をめぐるウオークラリー等、さまざまなところでふるさとについて学ぶ活動が実施されております。
 また、県教育委員会では、高校生を対象に土日を活用して、さまざまな分野でのオピニオンリーダーによる教育講演会「高校生のための和歌山未来塾」を開催し、未来を切り開き、ふるさと和歌山の未来に貢献できる子供の育成に取り組んでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ありがとうございました。
 本年度から、学校と地域が一体となり、役割分担をしながら同じ目標に向かって取り組むきのくにコミュニティスクールが始まりました。国語、算数、数学などの学力補充的な授業だけでなく、学ぶ喜びを感じるような授業、また、ふだん学校では得られないような知識や教養を学べる土曜日の教育活動を地域の人とともにつくり上げていくのも1つの方策ではないかと思います。土曜日等休業日の有効活用について、今後検討していただきたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。
 次、先日、11月6日から3日間、経済警察委員会県内外調査で、和歌山市にある和歌山大学観光学部、新宮市の新宮警察署、白浜町にある南方熊楠記念館、東京都港区にあります中国向けの越境ECで業績を上げている事業所等へ視察、調査研究に行ってまいりました。
 行く先々で多くのことを学ばせていただき、実に有益な調査でしたが、県内をバスで移動する際、ふるさと和歌山は、本当に風光明媚なところで、自然がいっぱいあってすばらしいところであると改めて思いました。新宮市出身のふるさとをこよなく愛した詩人であり、作家でもある佐藤春夫先生が「空青し山青し海青し」とふるさと和歌山を詩に詠まれましたが、まさしくそのとおりの我がふるさとです。
 南方熊楠記念館の調査の目的は、南方熊楠研究のための大変貴重な施設であるだけでなく、本県の紀南・白浜観光の視点からも非常に重要な位置を占めており、本県が「おとなの白浜さんぽ」と題して、お隣の京都大学白浜水族館や番所山公園、白浜のシンボル円月島とあわせて、知的好奇心を満たす推奨モデルコースとして力を入れているエリアであり、その現地視察でもありました。行ってみて、より多くの人に体験していただきたいすばらしいコースだと実感しました。
 この3月にリニューアルオープンしました南方熊楠記念館ですが、今月5日には、秋篠宮御夫妻と悠仁様が御訪問されています。展示をごらんになるとともに、屋上より神島の浮かぶ田辺湾の眺望を楽しまれたと聞いております。私どものふるさと和歌山の偉人に興味を持っていただき、その自然を楽しんでいただいたと思うと、大変うれしく、また誇らしく感じます。
 さて、その南方熊楠記念館では、谷脇館長さんから南方熊楠の偉大な業績について学ばせていただきました。改めて南方熊楠のすごさに驚いた次第です。そして、とてもうれしくなってまいりました。和歌山の自然の豊かさがこんな巨人を生み、育んだのだと思うと、感動で胸がいっぱいになりました。将来を担う子供たちにぜひ一度は訪れていただきたい場所だと思います。
 和歌山には、県民が誇りに思うたくさんの偉人がおられます。「わかやま何でも帳」をごらんください。大変多いことに気づかれると思います。
 ことしは、郷土の偉人に関する大きなイベントがたくさんありました。9月23日には、和歌山県主催、外務省後援の没後120年陸奥宗光シンポジウムが岩出市の旧県会議事堂でありました。幕末の英雄・坂本龍馬に「我が海援隊の士にして、両刀を取り上げて飯が食える者は、ただ俺と君のみだ」と言わしめた人物、陸奥宗光。近代日本の礎を築いた郷土の偉人への理解を深めるよい機会になりました。
 また、10月22日には、先ほど申し上げました世界的な植物学者であり、知の巨人と呼ばれている南方熊楠生誕150周年を記念する式典「未来を生きる巨人 南方熊楠を語る」が田辺市の紀南文化会館で行われました。
 このようにビッグなイベントが続いていますが、これらは、ふるさと教育の最適な学習の場であり、最高の教材になると思います。ふるさと教育を推進していく上で、私は、子供を指導する立場にある教師の意欲や熱意が特に重要であると考えています。道徳教育と同じで、教師の熱い思いが子供の心を揺り動かし、子供に感動を与えると思います。そのためにも、学校の先生方には、講演会等に積極的に参加して、郷土の偉人の努力や苦労、人間としての魅力を学んでいただきたいと思います。
 そこで、質問させていただきます。このような講演会等を教職員の学習の場とすることは大変有意義であると考えますが、教育長のお考えをお聞かせください。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) ふるさと教育の充実を図る上で、郷土の自然や歴史、先人たちの偉業について教員が研修し、率先して理解を深めていくことは大変重要であると考えております。
 多くの市町村教育委員会では、初任者研修に自分たちの地域を知るための研修を位置づけており、例えば橋本市では、高野山への参詣道を歩いたり、史跡をめぐったりして歴史や自然を学ぶ研修が実施され、地域に対する理解を深めております。
 県教育委員会では、教員がふるさとを愛し、誇りを持ってふるさと教育について指導できるよう、初任者研修において私から直接、「わかやま何でも帳」を熟読し、活用するよう指導しております。
 また、市町村に設置されている民俗資料館等では、子供たちに地域に関するさまざまな展示や講座を行っており、県立の博物館施設等では、ふるさとに関する展示や講演会、教員対象の研修を行っております。
 こうしたふるさと教育に関する学習の機会は、県、市町村だけではなく数多く設けられていますので、今後も、教員がふるさと和歌山の文化や歴史、自然等について自主的に学び、理解を深めることができるよう積極的に周知してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 教育長より、ふるさと教育の推進について3点御答弁いただきました。これからも教員の授業力、教育力の向上のために、教員の学習の場の確保及び充実に御尽力いただけたらと思います。
 さて、県教育委員会では、第3期和歌山県教育振興基本計画策定に向けて、現在協議をなされております。宮下教育長が常々言われておりますように、教育は、子供たちが社会に出て活躍する10年後、20年後を見据えて、今何をすべきかという視点で取り組みを進めていくことが重要であると、私も教育長のお考えに全く同感であります。学力及び体力の向上について、いじめ・不登校対策、道徳教育、人権教育、ふるさと教育、防災教育、特別支援教育、キャリア教育、グローバル人材の育成など、協議すべき内容は大変幅広いですが、各分野において今後着実に施策を推進していっていただき、10年、20年後の心豊かでたくましく生き抜く力を生徒に育てていってあげてほしいと思います。
 なお、学力向上について一言言わせていただきますと、9月に発表されました国の全国学力・学習状況調査では、多くの科目で前年度より正答率が上がり、大きく改善されました。まことにうれしい限りです。県教育委員会が知恵を絞って施策を考え、行政と教育現場が一体となって取り組んだ結果であり、関係者の御努力に敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 児童生徒が生きる力やこれからの人生をみずからの力で切り開いていける力を身につけていく上で、学力は必要不可欠であります。ただ全国学力・学習状況調査の正答率に一喜一憂することなく、腰を据えてお取り組みいただきますようお願い申し上げます。
 また、点数だけでははかれない学力、数値にあらわれてこない学力、学びへの意欲ややる気といった情意面も大切にしていただきたいと思います。それは、生きる意欲にもつながっていくものであるからです。その意味においても、私は、ふるさと教育の果たす役割は非常に大きいと考えています。
 これからの社会は、ますます少子高齢化が進み、労働人口の減少やAIの進出により産業構造や職業の形態等が大きく変化し、これまで経験したことのない未曽有の時代がやってくると予想されています。ふるさと教育は、児童生徒にとって、生まれ育った地域の歴史、文化、伝統をよく知ることによってふるさとへの誇りと愛着、感謝の気持ちを抱きます。そして、ふるさとへの誇りが自分への自信と誇りにもつながります。さらに、両親や先人から受け継いだ命が次の世代に引き継がれ、世代を超えてその地域に住む人々のふるさとを思う気持ちが響き合うとき、持続的な地域の活性化が可能となり、心豊かで活力あるふるさとが形成されます。
 このように、ふるさと教育は、県民一人一人にとっても、社会や人間関係の中で自分自身を見直し、地域の文化を育て、地域社会のあり方を見直す力になると思うのです。
 以上、ふるさと教育の意義や必要性について私の所見を述べさせていただきましたが、教育に携わる全ての人がふるさと教育の重要性を再認識していただき、より一層の情熱を持って取り組んでいただくことが、平成26年12月の県議会定例会でも申し上げましたが、ふるさとを愛し、ふるさとに誇りを持ち、あすの和歌山の担い手となる児童生徒が育っていくことにつながると思います。どうか和歌山県教育委員会のより一層の御尽力を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。
 最後、3項目めに入らせていただきます。
 「ロンリープラネット」ベスト5への選出についてお尋ねいたします。
 本年10月25日、本県にとって非常にうれしいニュースが飛び込んでまいりました。世界的旅行ガイドブックである「ロンリープラネット」が最も旬な旅行先を紹介するベスト・イン・トラベル2018において、紀伊半島が訪れるべき世界の10地域のベスト5に選出されたのです。
 同誌は、1973年創業の旅行ガイドブックで、計14言語で発行され、ガイドブックとしては世界で3割のシェアを誇っています。同ガイドブックは英語圏でのシェアが大きく、外国人旅行者への波及効果が期待され、日本の一地域が選ばれるのは珍しいとのことです。ランキングは、オーストラリアに本社がある同誌のライターらが世界で訪れるべき上位10の国、地域、都市を選んで公表したもので、同社サイトにも掲載されています。
 評価されたポイントは、「日本への旅行はとても熱を帯びている。訪日旅行者数は、この3年間で2倍になり、今後もふえ続けると予想される。『日本はわくわくする国』という言葉を発するには、旅行者はもう少し深く掘り起こす必要がある。京都や大阪などの主要な観光地の南側に位置し、太平洋に突き出した『紀伊半島』は、たくさんの日本の称賛される魅力にあふれている。そこには、寺社仏閣、雄大な自然風景や湯気の立ち上る温泉、伝統文化と現在の利便性がある。しかし、そこには人混みがない。つまり、紀伊半島は旅行者にとって無理なく訪れることができるエリアとして注目され始めたところである」と聞いておりますが、県としては何が評価されて選出されたとお考えなのか、お聞かせください。
 また、このビッグニュースは本県へのインバウンド誘客の追い風になると思いますが、既にその反響が出始めているのであればお聞かせください。商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) まず、選出の理由についてでございますが、本県には、豊かな森林、多くの奇岩、良質な温泉、透き通った海・川などの圧倒的な自然や自然現象を起因とする自然崇拝、仏教伝来以降の神仏習合や弘法大師が1200年前に開いた密教の地に息づく信仰が日本人特有の宗教観として色濃く残っており、そのことから生まれた歴史、伝統、文化が県内各地に存在いたします。
 県では、その最大の特色をストーリー立ててわかりやすく紹介するとともに具体的な楽しみ方を提案することで、旅行費用に見合う価値があることを国内外にプロモーションしています。特に海外については、21の国・地域をターゲットとして、それぞれの観光客のニーズを分析しつつ、旅行エージェントやメディアを中心にプロモーションを実施しており、日本の歴史、文化、伝統に興味の高い欧・米・豪において、本県が持つ観光資源が評価されたものと考えています。
 次に、その反響についてお答えいたします。
 今回のベスト5への選出の情報は、世界各国のメディアで取り上げられ、SNS等を通じて拡散されており、欧・米・豪だけでなく、香港や韓国のメディアからも、紀伊半島、高野・熊野、和歌山の観光地に関する問い合わせもふえ始めています。今後、オーストラリアやドイツ、フランスの旅行博への出展等も計画しており、この選出を和歌山県の大きなプロモーションツールとして積極的な魅力発信に取り組んでまいります。
 また、県内の市町村や観光協会、観光事業者にとっては、今回の選出を受け、和歌山県の観光資源は国際的に認められているとの認識が強まっており、さらなる誘客に向けてインバウンド対策を考えたいとの声が届いています。
 今後とも、市町村や観光協会、観光事業者と一丸となって外国人観光客の獲得に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 今、答弁をいただきましたが、県職員が海外へ出向き、本県の魅力を直接情報発信し続けてきたことに加え、多言語の案内看板やインターネット環境など、受け入れ環境整備を進めてきた結果、高野山や熊野三山などの世界遺産ブランドが国内外で認知され、順調に外国人観光客がふえているものと考えております。
 高野山における外国人観光客は順調に増加していますが、一方、熊野地域でも、熊野古道の散策や熊野三山への参拝が定番化しており、外国人観光客が増加しております。
 高野山及び熊野地域を訪れる外国人観光客の特徴は、いずれも欧・米・豪を中心とした外国人個人観光客です。しかしながら、高野山を訪れる外国人個人観光客の大半は、鉄道を利用して大阪から高野山にお越しいただき、金剛峯寺への参拝や壇上伽藍や奥の院などの世界遺産への散策を済ました後、大阪、京都、奈良方面へと帰っていかれます。また、高野山を訪れた外国人個人観光客がもう1つの世界遺産・熊野を周遊するには、大阪を経由して、後日、鉄道で田辺・新宮方面に向かうのが一般的なルートとなっています。外国人観光客が増加していると言われるが、それは特定の地域だけであって、我々はその実感が感じられないとの声が聞こえてくることも事実です。
 私は、高野山にやってくる外国人個人観光客に、大阪を経由せず、直接和歌山県内を周遊していただく仕掛けが必要ではないかと考えています。それが可能であれば、和歌山県内での滞在日数は確実にふえ、消費額も必然的にふえてきます。今後、「ロンリープラネット」選出の効果を最大限に生かすには、高野山、熊野地域を訪れる外国人個人観光客に周辺観光地を訪問していただく戦略を周辺市町村や観光事業者が主体的に考えていく必要があると考えています。
 そこで質問です。
 現在、高野山から本宮方面へのアクセスバスが運行されていますが、その現状についてお聞かせください。また、高野山の外国人観光客に熊野地域を初め県内各地を周遊していただくためには、路線バス等2次交通の環境整備による利便性の確保が必要になってくるものと考えますが、その点について、県の取り組みを商工観光労働部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 議員御指摘のとおり、高野山や熊野地域を訪れた外国人を初めとする個人旅行客に対して県内各地の観光地への周遊を働きかけることは、県内滞在日数と旅行消費額の増加につながるため、重点課題と考えています。
 まず、県内のまだ知られていない観光地の魅力を知っていただくため、「水の国、わかやま。」キャンペーン、サイクリング王国わかやまの海外展開に加え、季節のフルーツピッキング等、外国人個人客を引きつける体験型観光プランの提案などのプロモーション活動に力を入れております。
 次に、実際に県内各地へ周遊いただくため、2次交通の整備・改善にも取り組んでいます。
 高野山と熊野地域を結ぶ世界遺産「高野山・熊野」聖地巡礼バスについては、関係自治体、事業者が主体となった推進協議会により、昨年度まで土・日・祝日及び繁忙期のみ運行していたものを毎日運行することで、その利用者数は3212名、前年度比40%増、うち外国人観光客1115名、前年度比170%増と、順調に増加をしているところです。
 また、今年度より、熊野地域におけるバス交通事業者4社及びJR西日本和歌山支社、関係市町、観光協会等との協働により、田辺、本宮、新宮、那智勝浦を結ぶ路線バスの案内・誘導表示の改善にも取り組んでおります。系統番号の導入、共通路線図や時刻表の作成、外国人からわかりにくいと声のあった複数のバス停をターミナル化することで、積極的に協議を行っているところです。
 今後とも、県内各地の魅力ある観光資源の発信に取り組むとともに、外国人を初め旅行客の目線に立った案内・誘導表示の改善、聖地巡礼バスを活用した周遊エリアの拡大など、さらなる県内周遊の促進につなげてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 中本浩精君。
  〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 ただいま部長から、市町村、観光協会、交通事業者、観光事業者が一丸となって取り組んでいくとの力強い答弁をいただきました。
 2019年、ラグビーワールドカップ、2020年、東京オリンピック・パラリンピック、2021年、関西ワールドマスターズゲームズ、そして期待が膨らむ2025年の大阪万国博覧会と世界的イベントが続き、多くのメディア、観客が日本を訪れます。世界が日本に注目する中、これ以上ないタイミングで紀伊半島、いや、和歌山県が「ロンリープラネット」世界の訪れるべき地域ベスト5に選出されました。今、和歌山県の観光には最高の追い風が吹き始めています。県のホームページの「知事からのメッセージ」にも、ベスト5選出をステップに、県庁と観光業界を初め、全ての県民が協力していこうではありませんかとあります。今こそオール和歌山県で高みを目指して頑張りましょうとエールを送らしていただきまして、私の質問を終わらしていただきます。
 御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、中本浩精君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)
○秋月史成君 本日の最終登壇者となります。皆様方お疲れでしょうが、最後までおつき合いいただきますようよろしくお願いいたします。
 それでは、議長の許可をいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。
 私は、今から30年ほど前、関東地方に住んでおりました。全国津々浦々から集まった友人と、連想ゲームのように郷里の自慢話をよくしたものでした。
 和歌山といえば、当時、ミカンと答える友人が大半でしたが、その当時、他の地方から見ればミカンが和歌山の有名な農産品であり、また和歌山を象徴する農産品でしたが、近年の健康志向から梅が注目されるようになり、以前に比べ、和歌山県の象徴的な農産品といえば梅となってきているようでございます。また、和歌山県条例においては、県花を梅の花と定めております。ということもあり、梅は、和歌山の象徴と言っても過言ではない状況と思われます。
 あるとき、インターネットニュースをチェックしていますと、昨今、梅毒が再び流行しているという記事を目にいたしました。ことし1月から11月19日までの累計で5053人の性感染症の梅毒の感染者が報告されております。梅毒の感染者が年間5000人を超えるのは、1973年以来44年ぶりのこととなります。
 梅毒といえば有名な性感染症のことですので、説明は割愛させていただきますが、私の今回の質問は、再び流行の気配のある梅毒の感染を防ぐための趣旨の質問ではございません。
 皆様も御存じのとおり、梅毒という感染症の表記は、漢字で梅の毒と書きます。和歌山を象徴する農産品、和歌山の花でもある梅と毒を合わせて「梅毒」と記述するのはいかがなものかと感じているところであります。もちろん、梅毒と梅が医学的に関係ないということは明白な事実でありますが、和歌山県を代表する農産品、象徴とも言える梅のイメージダウンになると懸念する1人でもあります。
 梅毒は、国の法律では5類感染症の1つに掲げられており、法律に漢字で梅の毒と書いて「梅毒」と表記されております。私は、国民の津々浦々まで浸透しています梅毒という感染症名を今さら変更していただけるように国に対して働きかけろと言うつもりはございません。しかしながら、和歌山県の象徴的な農産品である梅に毒を足して書く「梅毒」という感染症名をせめて平仮名表記、または片仮名表記に変更していただけるように国に働きかけていってはいかがかと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私も、病気の梅毒が何であんな字を書くのかなあということについては、昔、ちょっとだけ疑問に思ったことがございましたが、余り深くは考えませんでした。今回御質問がありましたので、県庁を挙げて調べましたところ、次のようなことがわかってまいりました。
 この名前は、もともと中国から来てるようであります。その中国でどうなってるのかというと、梅毒に感染してから3カ月ほどいたしますと、症状に見られる赤い発疹が出てまいりますが、それが楊梅、ヤマモモの果実に似てるということから、最初は楊梅瘡、すなわち楊梅のようなできものという名前であったそうですが、そのうち「楊」がなくなりまして「梅瘡」となりまして、最後に「梅毒」になったというふうに物の本に書いてあるところでございます。
 私も、実はヤマモモというのは知っておりますが、ああ、なるほどと思うんですが、楊梅という言葉が、そんなものがあったのかというふうに思いましたら、たまたまきょう、宇江敏勝さんという田辺御出身の郷土作家なんですが、その方の最新作の「熊野木遣節」という本を読んでおりましたら、何とそこの土着の方々が「楊梅の実をとっていいかな」とか何かいうようなことを会話をしてるのを発見しまして、ああ、なるほど、そういう言い方もあったのかというふうに思いました。
 ちなみに、中国では、現在はもちろん「梅毒」と漢字で書きまして「メイドゥ」と言うそうでございます。
 一方、梅毒スピロヘーターの学名は、トレポネーマパリズムというふうにいうんだそうでございまして、また英語の名前はシフィリスと、あるいはドイツ語ではディフィリスとか、そんなふうにいって、どうも「シフィリス」がつくようでございます。このシフィリスって何やというと、中世の学者さんがギリシャ神話の牧童名から何かつけたそうでございます。
 大体、日本の病気の名前は、こういう西洋由来のものと中国由来のものとあって、たまたま昔、西洋由来の名前をうまいこと使ってくれたらこんな問題はなかったと思いますが、中国由来の名前を採用してしもうたもんですから、議員御指摘のような、ちょっと考えてみたら不愉快というような話があるわけであります。
 日本では、明治20年の医学書で既に「梅毒」と漢字表記されまして、現在は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律において疾患名を漢字で「梅毒」と定めております。本県特産物の梅には何の関係もないのに、まあ、考えてみたら不愉快だなという感じはいたします。しかしながら、私もそうでありましたように、梅毒という言葉を知っていても、これが和歌山県の誇るべき梅と関係があるのかというようなことを余り考える人は少ないというふうに思います。
 また、平仮名、片仮名で表記してもまた何でやという話になって、あんまり効果はないかなということがありまして、法律を変えるというところまで言いに行くのはちょっと気が重いなあというのが私の今の感じでございます。
 それよりも、梅というと梅毒なんて思い出すことはほとんどありませんで、むしろ体にいいものということが大分定着してまいりました。そこで、梅のイメージアップを図るために、まず生産支援で高品質のものをつくってもらわないかん、それから機能性とかをアピールせないかん、それから、世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」などの梅の魅力を全国の消費者に大いに発信してやっていったらまあいいかなあというふうに現在は思ってるところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 明治時代の医学書に既に漢字表記、中国において漢字で「梅毒」表記、しかし、少し前の話になりますが、厚生労働省の性感染症防止のポスターで梅の花が描かれていたことがありました。梅毒と梅が医学的に何の関係もないことは広く国民にも周知されていることですが、梅毒と梅を絡めて、回収したとはいえ、ポスターが制作されるということは非常に残念に思いました。
 梅の収穫時期となる6月になりますと、みなべ町はもちろん、田辺市周辺の飲食業、もちろん上富田町でも、また私の会社も、例に漏れず暇となります。地域一丸となって梅の収穫に取り組んでると言っても過言ではない状況となります。梅農家の皆様は、精魂込めて梅を栽培し、収穫時期となると梅拾いの皆様は、1粒1粒丁寧に収穫していくのです。紀南地方にとって、いえ、和歌山県民にとって梅は魂と言っても過言ではないと思います。
 その県民の魂のような農産品である梅に毒を足して「梅毒」と書く性感染症名を和歌山県民の1人として黙って見過ごしておくわけにはいかないと思い、今回質問させていただきました。漢字の梅毒を平仮名・片仮名表記とするように変更していただけるように国に対して働きかける考えはないという御答弁でしたが、しかし、そういった声を上げていくことも大切かなと思いました。
 次の質問に移ります。
 昨今、豪雨災害に関するニュースがテレビ、新聞等の報道機関で毎年のように多数取り沙汰されております。和歌山県でも、平成23年の紀伊半島大水害や、本年紀伊半島を襲った台風21号による被害が皆様の記憶に新しいことと存じます。紀の川市西脇地内で農道を含む大規模な斜面崩壊などが発生し、お1人がお亡くなりになりました。また、県内各地で家屋等の浸水、土砂崩れ等が発生し、大きな被害をもたらしました。お亡くなりになられた方の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 その豪雨災害を引き起こす1つの要因としてよく聞くのが、地球の温暖化であります。温暖化の原因として挙げられるのが温室効果ガスの排出問題と言われております。その原因の1つにフロン類の放出が挙げられております。地球温暖化を防止するためにはフロン類の適正な管理を行うことが必要であることから、平成27年4月にフロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律、いわゆるフロン排出抑制法が施行されたところであります。
 この法律の中では、フロン類を大気中にみだりに放出することの禁止、機器の廃棄の際のフロン類の回収・破壊の義務づけ、機器廃棄時の工程管理制度の導入、機器整備時の回収義務の明確化の措置が講じられております。この法令を遵守しなかった場合、最高で1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられると、重い罰則規定もございます。
 まず初めに、フロン類をみだりに放出した事例が県内において報告されたことがあるか否か、環境生活部長、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 県では、フロン類のみだりな放出を防止するなど、フロン排出抑制法の適正な実施を確保するため、業務用冷凍空調機器を設置している事業者や第一種フロン類充填回収業者に対し、立入検査を実施しておりますが、これまでフロン類をみだりに放出した事例は見られません。
 また、県民や事業者、他の行政機関からも、フロン類のみだり放出に関する報告は受けておりません。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 次に、私が以前役員を拝命しておりました和歌山県の自動車車体整備業界団体が、以前アンケート調査を行いました。自動車の事故車修理では、車両前部位の事故車両を修理する場合、フロンガスが充填されておりますクーラーコンデンサーの脱着及び取りかえ作業がよく行われます。内板骨格部位を修理する場合は、必須と言っても過言ではない作業となります。
 事故により車両前部が破損し、フロンガスが不可抗力で大気に排出される場合もございますが、修理によりクーラーコンデンサー及びクーラーパイプ等の脱着及び取りかえ作業が生じた場合、その際に適正にフロン類の回収が行われているかどうか、フロンガス回収機の普及率を各工場に調査したところ、3割ほどの工場しか導入されておりませんでした。裏を返せば、7割近くの工場が未導入であり、フロンガスを適正に取り扱いできない状況であるという結果が浮き彫りとなりました。
 フロンガス回収機は、1基数十万円と比較的高額で、事業規模の小さな車体整備工場には大きな負担となります。工場の経営者の中には、ほぼ無色透明、臭気も少ないガスであり、フロンガスを不法に大気放出する時間も短いことから、その瞬間を誰かに見られることはほぼないであろうということもあり、フロンガス回収機を導入することを積極的に行わない事業者が多いものでした。また、チェックする機能も余りないことから、ばれなければいいやという風潮もあります。
 地球の温暖化を抑制するためにフロン類の不法な大気放出の取り締まりを強化し、またチェックを強化してはいかがかと思いますが、環境生活部長、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 地球温暖化防止のため、高い温室効果を有するフロン類について、その使用機器からの漏えい防止や廃棄時の回収率向上等を図るなど、排出規制対策をより一層推進する必要があります。
 平成27年4月にフロン排出抑制法が施行されて以来、フロン類の漏えい量が多いとされている業務用冷凍空調機器を設置している事業者の団体への、協力や事業者への立入検査を計画的に実施してまいりました。
 今後は、自動車整備時におけるカーエアコンからのフロン類の排出抑制対策を進めるため、関係機関、関係団体への協力要請や事業者への立入検査について計画的に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 フロン類をみだりに放出した事例は把握していない、また、県民や事業者、他の行政機関からもフロン類をみだりに放出する報告は受けていないという御答弁をいただきましたが、先ほどの質問でも述べさせていただいたとおり、フロン類は無色透明、臭気も少なく、みだりに放出する時間も短いことから、みだり放出のその瞬間を確認するのは困難であろうかと思います。しかし、私は、私の業界の恥部でもあろうかと思う実例を挙げさせていただいたとおり、みだり放出は実際に存在いたします。
 フロン類取扱業者の中には、地球環境保全のため遵法精神を持ち、適正に取り扱いを行っております事業者もいます。正直者がばかを見る世の中ではいけないと思います。第2種フロン類は、立入検査の権限が曖昧であることから、取り締まりは困難であろうかと思います。また、取り締まりや立入検査の手法もなかなか難しいこととは存じますが、そこは優秀な和歌山県庁の職員の皆様ですので、英知を絞ってチェック体制を強化していただき、フロン類の排出の抑制並びに地球の温暖化を抑制していただき、豪雨対策抑制の一翼を担っていただければと思います。
 次の質問に移ります。
 学校内の人事、校内人事についてお尋ねいたします。
 校内人事とは、学校内における教務主任や学年主任などの人事配置のことであります。学校内の人事決定をめぐり、以前は教職員の選挙や投票が行われていたり、教職員の互選で校内人事を決定していた公立学校が全国でも多数見られていたことが2015年の文部科学省の調査で判明いたしました。
 この調査において、校内人事は校長の専権事項と定められた学校教育法に反する疑いがあるとして是正を求め、文部科学省から全国の公立学校に通知されました。その通知内容を皆様にお伝えします。
 校内人事については、指導事項①校内人事の決定に当たり、校長の選任ではなく教職員の互選等により選ばれた教職員を主たる構成員とする人事委員会等の組織を設置し、当該組織が校内人事の原案を作成し校長が追認するなど実質的に当該組織が校内人事を決定しているような状況は、校長の権限を実質的に制約しかねないため、法令等の趣旨に反し不適切であり、このような組織は設置すべきでないこと。仮に校長が校内人事に関する組織を置く場合には、校長の指揮監督のもと必要に応じて校内人事に関する事務を行うための組織であることを明確化することなどにより、校長の権限を実質的に制約することのないように規程を整備すること。②校内人事の決定に当たり、教職員による挙手や投票等の方法によって、選挙や意向の確認等を行うことは、校長の権限を実質的に制約しかねないため、法令等の趣旨に反し不適切であり、行うべきでないこと。
 和歌山県内の公立学校も例外ではなく、事あるごとに県教育委員会から学校を指導していた経緯があるようでございます。校内人事は学校長の専権事項であるはずですが、文部科学省の通知のとおり、適正に厳格に校内人事が行われているか否か、県教育長、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 校内人事につきましては、学校教育法に「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。」と規定されており、校内組織や担任等の教職員の担当は、校長が決定するものとされております。
 平成26年度に文部科学省から全ての学校に対して、職員会議や校内人事のあり方についての調査がありました。本県におきましては、その調査結果をもとに、不適正な規程や慣行があった学校に対して適切に運営するよう指導し、廃止・修正したことを確認してございます。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 しかしながら、私の耳に入ってる情報は、県教育長の御答弁と少し異なったものであります。運営委員会とか選考委員会とか、教職員を主たる構成員とする会がその校内人事に間接的にかかわり、学校の管理者でもある校長が追認して決定している経緯があるように疑われる学校もいまだにあるようでございます。
 本来、学校長の専権事項である人事に関し、運営委員会とか選考委員会が校内人事にかかわるというのは、いささか文部科学省の通知に反するように感じるのは私だけではないように思われます。専権事項とは、限られた人物のみがその裁量により判断や決定を下せる事項のことであります。ここでいう限られた人物とは、学校の管理者である学校長のことであります。
 また、文部科学省の校内人事に関する通知以来、学校内部では、以前に比べ校内人事が適正に行われている傾向にあると思われますが、校内における人事決定におけるプロセスは、各種委員会が介在しているように思われてならないのです。また、組織等を巧妙に変更し、以前と類似した校内人事が行われている学校もあるかもしれません。
 その辺も踏まえ、実態を県教育委員会として細部にわたり掌握し、正規の運用を行うように指導監督すべきだと考えますが、いかがでしょうか。県教育長、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 学校運営に関しまして、県立学校につきましては、学校訪問や校長からのヒアリング等、機会あるごとにその諸課題について確認を行っております。小中学校につきましては、設置者である市町村教育委員会に管理責任があり、市町村教育委員会が責任を持って適切な学校運営に向け、指導してございます。
 議員御指摘の校内人事のあり方については、平成26年度に確認したところですが、改めて各学校に対して、市町村教育委員会とともに学校訪問や校長からのヒアリングを通して定期的に確認し、徹底してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 校内人事は、校長の専権事項と定めた学校教育法は、以前から存在したと思います。文部科学省が平成26年に調査したことから、教職員による選挙や投票が行われていたり、教職員の互選で校内人事を決定していた公立学校が全国でも多数存在するということが判明したわけでもあります。
 和歌山県でも、平成26年度に文部科学省から全ての学校に対して職員会議や校内人事のあり方について調査があり、本県でも、その調査結果をもとに、不適正な規程や慣行があった学校に対して適正に運営するように指導をし、廃止・修正したことを確認したとの御答弁がありましたが、私の認識といたしましては、県内の公立学校100%が文部科学省の通知のとおり、現在も校内人事が行われているとは思えません。
 しかし、今後は、市町村教育委員会とともに学校訪問や校長からのヒアリングを通じて定期的に確認し、徹底してまいりますとの力強い御答弁、県教育長の強い決意と受け取らせていただきます。
 私に教えてくれた方がいました、人生で成功するのは保育園で教えられたことを実践することだと。おはようございます、こんにちは、挨拶をしましょう。お父さん、お母さん、先生、上の人の言いつけは素直に聞きましょう。ルールは守りましょう。そんな簡単なことが、そんな当たり前のことが、大人になると私も含めてなぜかできないのです。「進んでするのが人の上、まねしてするのが人の中、言われてするのが人の下、言われてせぬのが人のくず」、私が師と仰ぐ方に教えていただいた言葉であります。
 教職員という教壇に立つ人々が、つい最近の平成26年まで、学校教育法を多数守れていなかった事実があります。県内公立学校の教職員の皆様は、遵法精神を持ち、上席者である県教育長、学校長の言うことを素直に聞き、ルールを末永く守っていただけることを願いたいと思います。
 最後の質問に参ります。
 北朝鮮の弾道ミサイル、核開発に警戒が高まり、また、米軍が北朝鮮軍事攻撃に踏み切る緊張感が漂っております。北朝鮮は、11月29日に通算3度目となる大陸間弾道ミサイルICBMの発射を強行し、より一層緊張感が高まっております。
 朝鮮半島有事勃発の際、弾道ミサイル、それらより破壊力を持つかもしれない脅威が朝鮮半島から押し寄せると推測される、難民の対策であります。朝鮮半島有事が起きた場合、日本にどれほどの難民が押し寄せるのか。一説には、日本には韓国から約22万人、北朝鮮から約5万人の合計27万人が押し寄せ、九州北部や山陰地方沿岸部から上陸すると推測されております。
 太平洋に面し、朝鮮半島からは遠い地域である和歌山では、朝鮮半島からの難民が直接上陸する可能性は低いと考えられます。しかし、その大半が海に面する和歌山県では、海流のかげんにより、沿岸部に難民を乗せた船舶が押し寄せる可能性が皆無とは言えないと思います。さらに問題を複雑化するのは、難民にまじって武装難民が流れ込む可能性があるということです。
 1996年に韓国で発生した江陵浸透事件、これは難民の事件ではございませんが、韓国の江陵市において、韓国内に侵入していた工作員を回収しに来た北朝鮮の特殊潜水艦が座礁し、帰国手段を失った乗組員と工作員計26名が韓国内に逃亡、潜伏した事件であります。わずか26名の掃討作戦において、およそ2カ月の期間と延べ150万人の韓国軍及び警察の人員が投入されたという事件であります。
 皆様も御存じのとおり、韓国は現在も徴兵制をしいており、軍事教育を受けた者が多いことでしょう。韓国は、資本主義国家ではありますが、昨今の対日感情の悪化もあり、反日教育をいまだに行っている国家であることから、韓国国民は日本に対し友好的な感情を抱いているとは限りません。同じことが日本国民にも言えるかと思います。また、北朝鮮の国民は、総兵士と言っても過言ではありません。
 本年11月16日付「読売新聞」に、「朝鮮半島有事で北朝鮮から日本に多数の避難民が押し寄せた場合を想定し、政府が検討している対処方針の概要」という記事が掲載されました。
 和歌山県においても、今後、朝鮮半島有事の際に流れ込む難民の初動の対処計画の策定などをしておく必要があるかと私は考えます。現在のところ、自衛隊法はもちろん、周辺事態法を改定した重要影響事態法、日本が他国から攻撃を受けた場合の対処を示した武力攻撃事態法にも難民の文字はございません。また、関係各省庁との取り決めも現在のところございません。連携体制も全く不明であります。
 関係省庁としては、窓口の内閣府、税関をつかさどる財務省、検疫を担当する厚生労働省、入国管理を行う法務省、警備を受け持つ警察庁、防衛省、海上保安庁などが挙げられますが、政府は、どの省庁が中心となって難民に対処するか決めておりません。先ほど述べさせていただいた新聞記事でやっと本格的に議論が深められてきたという印象であります。
 1989年にインドシナ難民が過去最多となり、国内は混乱を来しました。また、過去には、和歌山県南部沿岸にも中国本土から不法入国者が上陸し、混乱を招いたという教訓もあります。可能性が低いとはいえ、和歌山県に難民が流れ着いた場合、和歌山県としてどう対処していくのか、お聞かせください。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 朝鮮半島有事の際には、議員御指摘のとおり、朝鮮半島から多くの難民が我が国に押し寄せ、その一部は、多分太平洋側にも及ぶ可能性があると思います。難民といっても、本当の難民かどうかわからんというようなことも大いに考えられると思います。最近の漂流漁民と一応言われている人々の漂着のときなんかも、あれは本当にそれで全てだったのかなあとか、いろいろと心配が常にあると考えております。
 難民に対する初動対応は、通常、海上にあっては海上保安庁が当たり、上陸後は各都道府県の警察が当たるということになると思います。その際、警察では、入国管理局など関係機関と連携しつつ、その時々の状況に応じて、身元の確認や難民であるかどうかを確認するための事情聴取を行い、身柄の保護や入国管理局への引き渡し等、必要な措置を講じていくことになります。
 一方、朝鮮半島有事の際に想定されるような物すごいたくさんの数の難民に対する対処方針を国が、御指摘のように、必ずしも示していないということから、国と地方の役割を明確にした上でとるべき方策をちゃんと定めておくよう、全国知事会から国に対して要請を行っているところでございます。現在、国において対処方針等の具体的検討に入ったというふうに聞いております。
 本県では、日ごろから、県警と海上保安庁が共同でテロ対処訓練を繰り返し実施するなど、関係機関が緊密に連携し、さまざまな危機事象に備えているところでありまして、今後、国から難民に対する対処方針が示された段階で、県としてもこれにどのようにかんでいくか、適切に対応して、県民の安全・安心を守っていく所存でございます。
○議長(尾﨑太郎君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
○秋月史成君 12月4日から本日8日まで、北朝鮮に圧力をかけるためと言われております米韓両軍の大規模な合同空中演習「ビジラント・エース」が、韓国と周辺上空で約230機の航空機を動員して行われております。定期的な訓練でありますが、今回は、アメリカの空軍、海軍、海兵隊らの兵士約1万2000人が韓国空軍とともに参加し、史上最大規模と言われております。訓練には、最新鋭ステルス戦闘機F22、F35A、F35B、F15C、F16のほか、電子戦機EA-18G、戦略爆撃機B1などが動員されております。
 それに北朝鮮は反発し、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」では、4日付で米韓両軍による合同空中訓練について、無謀な戦争挑発を決して座視せず、断固対応していくと威嚇の報道を行っております。まさに一触即発の緊張感が朝鮮半島周辺で漂っております。
 また、北朝鮮からと見られる木造船の日本海沿岸での漂流や漂着は、11月中に28件確認され、過去4年間で最多となっております。北朝鮮のものと見られる木造船は、今のところ漁船と見られ、乗組員も漁民と見られてはおりますが、テレビや新聞報道を見る限り、本当に老朽化した小さな木造船であると思います。あんな小さな船で荒波の日本海を渡り、日本海沿岸に漂着するわけであります。これが大量に押し寄せる難民を乗せた船だったらと不安もよぎります。
 朝鮮半島から遠い和歌山県ですが、日本海沿岸から上陸した朝鮮半島からの難民が陸路で和歌山県に侵入する懸念もあります。現在、国において避難民に対する対処方針の具体的検討を行っていると聞いており、対処方針が示された段階で県として適正な対応をしていく所存との御答弁でありましたが、対処方針が示される前に朝鮮半島有事が勃発し、本県に難民が押し寄せたらどうするのだろうかと不安がさらに増します。
 朝鮮半島から押し寄せる難民とテロ攻撃から逃げ惑う日本人が混在する日本列島、本県和歌山で終末の光景を想像するだけで恐ろしいものです。喫緊の課題として難民対策が求められると思います。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。
 最後までおつき合いいただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は12月11日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時31分散会

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