平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第152号から議案第166号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 22番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 皆さん、おはようございます。ただいまより、通告に従って質問をさせていただきます。
 まず最初に、県内の鳥獣対策について質問をさせていただきます。
 この質問について、私はかつて湯浅町で射撃問題が起こったときと、それから印南町で起こったとき、そしてまた今回させていただくわけなんですけれども、それは県内に鳥獣被害がもう大変なもんですね。それは、もう農家の方々が心配しておられる以上に我々の近くまでイノシシや鹿、猿が迫ってきておるわけなんです。そういう状況の中で、今回も質問をさせていただくわけであります。
 鳥獣対策の一番の基本は、やっぱり猿、イノシシ、鹿、この個体を減らすことなんですけども、その個体を減らす作業、それについては射撃ハンターの皆さんとか、いわゆる猟友会の皆さんに大変お世話になっておるわけなんです。そういうことであるわけなんですけども、最近、私の同級生とか、そういうハンターがいるわけなんですけども、話を聞いてみたら、何が一番原因かということを聞いてるんです。そしたら、やっぱりハンターが少ないと。そんな言い方おかしいですけども、私は65歳なんですけども、もう65歳、66歳が最低の年齢で、もうまともに動けない猟友会員が相当おるという話であります。
 その原因は何かというと、21年に銃刀法が改正されたわけなんですけども、改正されるときもそうなんですけども、更新手続、それから新しく免許を取るときに射撃訓練をしなきゃいけないわけなんです。それだけ厳格化されてきたわけなんです、法律で。そういうことになると、やっぱり近くに射撃場がなければハンターがふえないんです。これはもう事実ですね。
 だから、ハンターを育成または強化するために、どうしても射撃場が必要であるということは、もうこれ10年、井出さんなんか最初に言われましたですね。相当前からこの問題が和歌山県の県政の中で議論をされてきた問題であるわけなんです。
 そういうことで8年前、湯浅町で山田山というところで射撃場の問題が発生、建設するかどうかの問題になったわけなんです。それで、国でも予算がついたわけです。これは、井出さんも当時の射撃の会長の麻生さんとかけ合って予算を確保してもらったわけですね。これは、井出さんに感謝しなきゃいけないと思うんですけども、そういう中で急遽決まったと、補正予算でついたんです。
 ところが、これ実際やってみると、地元も同意をとれておったかやに思うんですけども、やっぱり1人ぐらい反対する人がおってなかなか前へ進まないと。そうする中で、もう補正予算の執行期限が過ぎてくるわけなんですね。それでやむなく中止と、こういうことになったわけなんです。そのときも、私思うんですけども、県当局も積極的に、私は主体的に取り組んでくれたと、そういうふうに思っております。そういうことなんです。
 それでまた、これから印南町でも起こったわけなんです。印南町で起こったのは3年ほど前かな、それですったもんだして、私も印南町の現地へ行きました。それでなかなかええとこやなと思いました。ところが、やっぱりこれについても問題があったわけなんですね。町会議員の人たちのほとんどが反対であるとか、そういうなかなかいろんな、衛生施設と一緒で、みんながやらなあかんと言うわけなんですけど、さて自分とこの近くへ来たら、やっぱり住民もそれぞれ反対が出てくると。そういうことで、これもまた中止になったわけであります。
 そのときに、平成26年の2月議会、私もこの射撃問題について知事にただしました。このときの知事の答弁、本当に、私が今まで答弁もらった中で最高の答弁で非常にすばらしかった、そう思うんです。だから、そこでこのすばらしい答弁をもう一度、私は皆さんに御披露したい。「(中略)射撃場の設置に当たっては、将来的な運営、騒音や鉛害など、数多くの課題が考えられますけれども、条件が整えば、県として射撃場の設置を主体的に検討していきたいと思います」。さらに、こうおっしゃってるんです。「少しでも地元の意向があれば、これを迎えに行って、何とかならんかということで前向きに積極的に検討していくべきものだと思っております」、こういう、本当にうれしい答弁をしていただきました。
 そして最近、日高町において射撃場の建設の問題が起こっております。これについても、私も現場近くまで行ってお話を聞いたことがあるんですけども、地元の町会議員の皆さんに聞いたことがあります。地元は大いに賛成と、こういうことを言っておるわけなんです。それから要望書も区長名で出ております。町長に対して、早う県へ手挙げてこいと、こういう要望書なんです。
 県もそれを察知して、地元へ入って、地元のいろんなことを計算して、土量計算までして、この施設をつくるにはどれだけお金がかかるかということを積算しよるわけなんです。そういうことの中で知事と協議して、ちょっとお金が高いんか何か知らんけども、中止しなきゃいけないという、そういうお話を聞いております。
 しかし、せっかく、射撃場をつくらなきゃいけない、地元同意もある、町長さんも積極的にやって考えてくれると、そういうことであれば、もう少し議論を私はしていただきたいなと。もう一度考えて、もっと安くならんかなとか、そういうことを考えて取り組んでほしいなと、そういうことを思います。
 そういうことで、これ部長に聞くわけなんですけど、今、現状の被害対策と、それからこの射撃場建設についての経過、それから、今後については知事に聞こうと思うんですけども、それについて部長にお尋ねいたします。
 私はずっと以前より言わしていただいてるんですけども、こういう問題については、例えば湯浅町さんにお願いする、印南町さんにお願いする、日高町さんにお願いするということなんですけども、これは結局、本当は広域で──広域ということになれば県が主体的に取り組まなきゃいけないわけなんですけども、広域でやらなきゃいけない問題であるわけなんです。例えば、日高町で今回お願いしてやるということになれば、みんなが、知事初め関係市町村──関係市町村は全部の市町村です、和歌山市もそうなんです──の首長さんがみんなに「日高町さん、頼むけどやってくれませんか」と、こういうお願いする筋であると思うんです。
 そういうことであるんであれば、ここで最後に知事に私は再度お尋ねしたい。以前に答弁したことはもうすばらしい答弁で非常にありがたいんですけども、迎えに行ってまでやろうじゃないかという答弁なんです。そういうことであれば、今後、積極的にどういうふうに主体的に取り組むのか、取り組んでいくんかということをもう一度、決意をお伺いしたいと、そういうことであります。
 まずは1問目、終わらせていただきます。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの吉井和視君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 鳥獣対策について、被害対策とこれまでの施設整備の経過についてでございますが、野生鳥獣による農産物の被害額は、平成28年度で約3億3000万円と7年連続で3億円を上回り、依然として深刻な問題であると考えております。
 このため、県では、有害捕獲や管理捕獲などの捕獲対策を重点に、防護柵の設置、さらには捕獲の担い手である狩猟者の確保、育成のため、狩猟免許取得や銃所持許可に係る射撃教習、狩猟前の射撃訓練への支援を行うなど、市町村、猟友会と連携しながら総合的な鳥獣害対策に取り組んでいるところでございます。
 射撃訓練施設につきましては、これまで幾つかの市町で計画いたしました。先ほど議員のほうからもお話ありましたとおりでございますが、まず、湯浅町では、町から用地の提供のお話があり、基本構想を策定した結果、約9億円の概算事業費が算出され、国庫補助事業を活用すれば何とか県でもやれるかと思い切って決断し、事業を進めていましたが、その後、用地の不足が判明し、その確保に時間を要することから、国庫補助事業が活用できなくなり、断念したところであります。
 また、印南町におきましては、印南原地区での射撃場建設のお話をいただきましたが、最終的には地元調整が整わず、同じく断念いたしました。
 ことしに入り、日高町内で整備に向けた前向きな意向を示していただいた地区があり、県ではこれまで、射撃訓練施設についての理解が得られるよう地区役員に説明を行うとともに、役場の協力を得ながら施設場所や施設内容などについて詳細な検討を進めてきたところです。
 しかしながら、概算事業費を県において試算しましたところ、計画地の形状から造成コストがかさみ、また、計画地が既設道から離れた場所にあるため、進入路の距離が長くなるということで、事業費が約23億円と非常に大きくなり、国庫補助事業を活用しても県負担が大きくなることから、当地区での設置は困難であると判断したところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 射撃訓練施設の整備につきましては、先ほど吉井議員から前の答弁はよかったという評価をいただきました。私は、全くそういう意味では同じような考え方で今対処しようと思っております。全ての案件の検討に積極的にやっていきたいというふうに思っております。
 これは、何といっても狩猟者の技術向上とか事故防止、また、新たな狩猟者を県内で確保するという観点から、射撃訓練施設は県内にあるほうがいいし、近隣の動向を見ても、ひょっとしたら県外からの訓練者も少しは期待できるんじゃないかと、そういうふうに思っておりますので、積極的にやっていきたいと考えております。
 もちろん、これも吉井議員からお話がありましたように、騒音とか鉛害対策とか運営方法など数多くの課題がございまして、地元住民、特に地元市町村の御理解と積極的な協力が不可欠であることは言うまでもございません。
 また、初期投資や後年度負担、整備効果について、県民全体で、これでよかろうというような話をいただくことも重要であるというふうに思っております。
 また、県としては、実は財政も大変もともと苦しいんですけども、思い切ってやろうということになった湯浅町での計画に対して、財政支援を表明して検討していただきました。それは湯浅町にとっては100点満点ではなかったと思いますけども、その前提で考えていただいたという経緯があります。
 そのときの財政支援と他の市町村における案件の財政支援というのが余りにもかけ離れておると、ちょっと湯浅町に不公平になるなあという感じもございまして、この辺はちょっと悩ましいところで、先ほど言いましたように、23億円もかかるんだとちょっとつらいなあというふうに現在思っております。
 この案件、全ての案件にかかわらず、いいのが出たら、今回もそうですが、積極的にこちらから飛びついて、それで可能性を積極的に考えていきたい、そんなふうに思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 今、知事から積極的に考えていきたいと、23億円ではちょっと高いけども、それより若干下回れば、一からまた考えていこうという答弁であろうと思うんですけども、ひとつよろしくお願いします。
 これ、鳥獣害対策の面からこのいわゆる射撃場ということを言わしていただいたんですけども、後で観光の質問もするんですけども、和歌山の観光振興ということを考えれば、こういう人工的な観光の目玉をつくるということは、私はやっぱり観光ツーリズムの中でハンティング、これはもう世界でもたくさんお金を持っている人がこういう田舎に来て射撃を楽しみたいという、そういうツアーも世界ではあるわけなんです。そういうことを考えれば、コスト的に考えれば、鳥獣害対策のコストと観光のコストと考えていただいて、両面で考えていただければ、私は20億を超えても将来的な投資では成功すると思うんです。そういうことも考えていただきたいなと思います。
 次、移らせてもらいます。
 次に、観光振興についてお尋ねいたします。
 今、世界の観光産業のGDPは大体9%ぐらいになっておるそうであります。これは、大きな基幹産業であり、エネルギーとか医療、自動車産業に次ぐ大きな産業であると言われております。
 日本の観光立国ということで、ようやく外国観光客が昨年では2000万人以上が達成されたと聞いております。次の目標は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまで4000万人、それから、平成30年までに6000万人という設定をしておるわけであります。
 話を聞いてびっくりすることなんですけども、日本の観光客の収入、いわゆるGDPですけども、世界129カ国中126位だそうです。あとの127位、128位、129位は、これはもう中央政府が崩壊しているような、旅行に行けないような国であるわけでありまして、実質的、日本のGDP比に占める観光収入は世界で最下位なんです。私は最下位だと思わないんですけども、よく観光客が行くから、日本人から行くからそんなに思うんですけども、こういうことであれば、まだまだ伸びる可能性は物すごいあるわけですね。
 そういう伸びる可能性のある観光客を、和歌山県も観光立県を宣言してるわけなんですけども、いかに和歌山県に観光客を呼び込むかということが非常に大きな課題であると思うんです。やっぱりインバウンドを呼び込まなきゃいけないわけです。
 今までの和歌山観光、和歌山観光というよりも地方の観光は、ほとんど日本人で対処されてきたわけですね。だから戦後、日本人の人口が急激にふえて、1.8倍になって1億2000万になったわけなんですけども、これからは激減する時代になってくると。激減するということになれば、観光客もおのずと減ってくるわけですね。減ってくる。そういうことで、どんなにしたら減ってくる観光客をカバーできるかということになれば、これはもう皆さんも統一した見解だろうと思うんですけども、外国人に来てもらわなあかんと、そういうことになると思うんです。
 インバウンドを県内に取り込む作戦が非常に大事であろうと思うんですけども、どんなにしたら取り込めるかということについて協議していかなきゃいけない。そういうことの中で、私は、やっぱりいかに外国に和歌山県のことを情報発信しなければいけないかということだと思います。
 ややもすると、和歌山県は世界で余り知られてないと思うんですね、和歌山の観光について。和歌山というのは、自然豊かで、自然とか気候とか歴史文化、そして食ということを考えたら、日本でも突出した地域であると言われておるんですけども、それをなかなか外国に発信できていないという、そういうことで外国人が来ないんではないかと、そういうふうに思うわけであります。来ないというよりも、人口割にすれば、日本に来てる外国人というのは50万人来て宿泊者が50万人いるということで、まあまあ率で言えば来てるんかなと思うんですけども、人口の率から言えば。しかし、もっともっと観光立県ということを目指すんであれば、観光立県というのは観光で一生懸命御飯を食べていきましょうという構想だと思うんですけども、県内のほとんどの人が観光によって収入を上げようというのが観光立県の狙いだと思うんですけども、そこまで持っていくには大変努力が要ると思うんです。
 そこで、我々和歌山県の観光振興議員連盟も、やっぱり観光を和歌山で興そうと思ったら情報発信をしなけりゃいけないという、そういう思いでことしの2月8日に、白浜、高野山において観光サミット、和歌山の魅力を情報発信するためにやりました。大成功かどうかわかりませんけども、フォーラムには20カ国の大使に来ていただきました。知事初めみんなの努力のおかげだと思うんですけども、大変うれしく思いまして、当日、森礼子議員、堀龍雄議員が和歌山の観光を紹介させてもらいました。そして、大使のほうからは、インド大使、タイの大使によるプレゼンテーションが行われました。私も話を聞いていて、インドというのは一遍訪れたいなと、そういうふうに思いました。やっぱりそういう機会を持って情報発信してくれたら、インドへ行ったことないんで、ああインドへ一遍行きたいなという、そういう強い気持ちになりました。
 だから、こういう機会をどんどん、どんどん設けてやっていくのが大変いいんではないかと、そういうふうに思います。
 それで、ちょっと紹介したいんですけども、翌日、バスで高野山へ行ってもらったんですけども、それがたまたま何年も降っておらない雪がどんどん降って、我々も行くの大変だったんですけども、皆さんは雪の高野山を訪れて本当に感動されたようです。京都よりええという人もおったと。だから、もう一度、家族を連れて和歌山へ来たいと、そういう感嘆の声が出ておったということであります。
 そういうことを聞けば、お金もたくさん要ったわけなんですけども、非常によかったなと思います。使った宣伝費というのは、将来、私は正比例して返ってくると思います。それ以上に化けて返ってくると思うんで、和歌山の観光について大いにこれから期待したいなと、そんなに思っておるわけであります。
 そういうことで、部長には、海外に向けた観光発信戦略、これをどんなにするかということを一遍お聞きしたいなと思います。
 次に、観光戦略については、外国人を呼び込むためには、従来にない、今までと同じようなことをしていてはあかんということで、従来にない多様化した観光施設を人工的につくらなきゃいけない。やっぱりラスベガスなんかも砂漠の中へ人工的につくったIR施設で、私も一遍行ってきたんですけど、物すごいですね。本当に物すごい。
 そういうことがあって、この間、マカオへ行ってきました。マカオ、2回目になるんですけども、何もカジノをしたいから行くわけじゃないわけなんですけども、カジノもしてきました。一行みんな少しずつカジノをしてね。やっぱりカジノを体験せんことには、そういう観光施設の目玉であるカジノのだいご味とか、それからどういうふうにしてみんなやってるのか、どういう人が来てるのか、そういうことがわからないと思います。知事もやったことありますか、カジノ。一遍行きませんか。カジノへ行って、やっぱりみんながカジノを楽しんでやっていかなきゃいけないなと思うんです。
 そこで思ったのは、2回目ですから、1日目はギャラクシーという施設の中でいろいろ見学してもらったんですけども、2日目には、私は外へ出やんと、1人ずうっと隅々まで回って、3回食事して回ってみたんです。ほんで、ショッピングもしました。ショッピングもいろんなショッピングがあるわけなんですね。ヴィトンもあればバーバリーもあれば、いろいろなブランドの店があるわけなんです。買い物もしました。ちょっとカジノで勝ったんで、したわけなんですけど。
 そういうことで、これは観光については私は大きな目玉の産業になると思うんです。だから、聞いてみたら、「ギャラクシーの施設の中でどれぐらい働いておりますか」という質問をしたんですね。そしたら、2万5000人が働いてると。1つの施設という言い方はおかしいんですけど、幾つかの施設が寄っての中の話なんですけども、まあ1カ所で2万5000人、それが10何カ所ぐらいあるんですから、マカオでは本当に働いている人というのはもう100万人に近いような──外もありますからね、観光産業に従事しているんではないかなと、そんなに思います。
 そういうことで、こういう場所があれば若者も地方に定着すると思うんです。大体、若者が地方に定着しないというのは、もうわかってることなんですけども、働く場所がないから地方に定着しないということでありますんで、こういう施設も地方にとっては1つ大事な施設ではないかなと、そういうふうに思います。
 また、観光客のほとんどは、使うお金のほとんどは泊まるとこと食べて寝るとこであるということでありますので、ということは滞在型に重点を置かなきゃいけないなということであろうと思います。
 インバウンドには多様性が大事であるので、自然体験型とかフィッシングとか、それからさっき申し上げたハンティング、狩猟も体験してもらうような、そういうスポーツ観光的な観光対策についても県として十分検討していただきたいなと、そういうふうに思います。
 それから、和歌山の自然というのは、これは我々が考えている以上にすばらしいものがあると。日本の中でも突出してすばらしいものであるということを言われている方がございます。こういう観光産業について、和歌山を生かして、そして人工的な観光施設も含めて考えて、多様性のある、いわゆる滞在型の観光をどういうふうにして取り組むかということを部長にお尋ねしたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 海外への情報発信についてでございますが、個人客が中心の欧米豪市場に加え、アジア市場におきましても個人観光客が急速にふえている中、本県への旅行動機を喚起するため、和歌山の魅力を発信することは重要な観光戦略の1つと位置づけております。
 欧米豪市場に対しましては、観光客の関心度が高い高野山、熊野が持つ日本の歴史や精神文化を中心に、テレビ、雑誌、ウエブサイトなどのメディアを通じて継続的な情報発信を行っているところであり、これらの取り組みを通じ、世界的な旅行ガイドブックである「ロンリープラネット」や「ミシュラン・グリーンガイド」において高評価を獲得いたしました。さらに、CNNやBBCとのタイアップキャンペーンを実施することにより、効果的な情報発信に努めているところでございます。
 アジア市場に対しましては、四季や絶景、温泉、食などの人気の高い観光資源をテレビや雑誌、新聞などで露出するほか、ブログなどSNSからの発信が影響力の高い地域であることから、カリスマブロガーを招聘し、効果的に発進しているところです。
 あわせて、中国、台湾、香港、韓国、タイ、インドネシア、ベトナムの7カ国においては、現地プロモーターを採用し、現地の情報収集やSNSからの発信も行っています。
 平成28年度は、年間45回にわたり職員を現地に派遣し、ターゲットとする国・地域の嗜好や傾向の分析を行うとともに、旅行博への出展やメディア、旅行会社への提案活動を行ってまいりました。これらの活動によりまして、83件のメディアや旅行会社が本県を訪れ、番組制作や記事掲載、旅行商品化につなげているところです。
 引き続き、同様の取り組みを継続的に実施するとともに、「水の国、わかやま。」キャンペーンや「サイクリング王国わかやま」など、旬の観光素材を提案してまいります。
 続きまして、滞在型の観光戦略についてでございますが、滞在時間をふやすことは県内の消費拡大につながることから、本県の観光戦略において重要なテーマと位置づけております。
 滞在時間をふやす取り組みとしましては、本県の特色を生かした350を超える体験型観光の利用拡大が有効な手段と考えており、また、急速に拡大する個人の趣味や嗜好で旅行先を選ぶ個人旅行客対策としても重要です。実際、高野山宿坊での修行体験、熊野古道や高野参詣道トレッキング、季節のフルーツピッキングや梅酒づくり、漆器体験などが海外のお客様には高評価をいただいております。
 しかしながら、外国人観光客に対応できる体験型事業者がまだ少ないことから、インバウンド向け観光セミナーを実施し、多言語対応など受け入れ体制の整備を支援することにより充実に努めているところです。
 今後とも、外国人観光客に人気の高い世界遺産「高野山・熊野」や白浜温泉などにインバウンド体験型観光を組み合わせたモデルコースをメディアや旅行会社に提案することに加え、国内観光客に人気の「高野・熊野参詣道スタンプラリー」を活用した外国人観光客向けトレッキングプランなどを作成することで新たな企画にも取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 観光については、私もフェイスブックなんかによく載せるんですけども、よその地域へ行って、観光地へ行って載せておるんですけども、そうするとそのフェイスブックを見た人からいろんな意見をもらうことがあります。
 だから、私、この情報発信ということを考えれば、県職員が1万人あったら、1万人の人が和歌山の観光をフェイスブックを通じて、時々というより毎日、日常茶飯事載せておったら、全国に発信するスピードが非常に速まるんではないかと、そういうふうに思うんで、知事、一度そういう指示をしてやっていただきたいなと、そんなに思います。
 議長、続けてやります。
 最後の質問になりますが、前に私、文教委員会で、首長と教育委員会制度について教育長にただしたことがあります。それはやっぱり新しい制度が、法律が変わって、知事が総合教育会議、これを招集して教育のことを、教育大綱とか教育の基本方針を示さなきゃいけないということになったわけなんですけども、もともと首長というのは、選挙のとき県内方々を回って県行政のことをいろいろ語るわけなんですけども、やっぱり教育のことも語ると思うんです。これは、もちろん教育のことを語らない選挙というのはあり得ない、最近はないなと思うんで、いろんなところでしゃべると思うんです。そして、教育のことについての公約もされると思うんです。
 そういう中で、折しも教育の制度が大きく変わったと。教育というのは、本当に今までは神聖、侵すべからずというような機関であったわけなんですけども、ちょっと変わったと。知事も、積極的に教育のことには口を出していかなきゃいけないということになったわけなんですけども、しかし、そこで私はちょっと知事に苦言を呈しておかなきゃいけないなと。
 それは、地方自治の二元代表の一方である我々議会もやっぱり教育について口を挟まなきゃいけないわけなんですけども、やってはならないこともあると。首長もやってはならないことがあると。そういうことで、私は今回、申し上げたいんですけども、それは、教育委員会の特性というものがあるわけなんです。これは何が特性かといいますと、知事の、いわゆる首長の権限に属さないという特性があるわけですね。やっぱりこれ、政治的な中立とか継続性とか、安定性もありますけども、そういうことを大事にしなければいけないということで、知事はやっぱり教育行政について、口は出しても手は出したらあかんということであるわけなんです。第一線を超えたらあかんわけですね。
 それは、基本法にも、地方教育行政の組織及び運営に関する法律かな、この法律にも載っておるわけなんです。1条に載ってるわけなんです。やっぱり首長の権力の介入を避けなけりゃいけないということが載ってるわけなんです。
 それで、教育は独立した機関であるということで、教育の組織運営法21条には、ずらっとたしか20項目ぐらいの職務権限が載っておるわけなんです。それは、新教育長が責任を持って主宰するわけなんです。だから、あなたはほかの意見をあんまり聞いたらあかんわけなんです。教育委員会の意見を聞いて、民間の人の意見を聞かなきゃいけない。教育委員会制度というのは、レイマンコントロール制度ということで、素人の意見を十分聞かなきゃいけないということで、教育委員さんの中には素人も入れなさいよということになっておるわけなんです。
 そういうことで、職務権限については本当に責任を持ってやっていただかなければいけないということであります。そういうことでありますんで、これから知事は、我々も、やっぱり教育委員会については心して独立性を保たないけないなと、そんなに思うところであります。
 そういうことで、一遍知事と教育委員会制度について、知事の認識がどういうふうに思っておるのかということをお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 結論を申し上げますと、吉井議員と同じように思っております。ただ、多分、個々の案件について、個々の関与とかそういうものについて、ちょっと意見は違うのかもしれません。
 もともと、吉井議員が今おっしゃったように、教育問題というのは大変大事な行政ジャンルであります。それを人任せにするというか、関与しないというのは、これは選挙で選ばれた者として全く責任を放棄してるんじゃないかというふうに私は思っておりました。
 実は、そうは言いながら、学校教育法とそれから地方教育行政の組織及び運営に関する法律、これは改正前の議論をしておりますが、それによりますと、教育は教育委員会というのがやるということになっていて、それで首長の権限は、議会の同意を得てその教育委員さんを任命すると、それと予算その他、実際の執行ですね、そういうものを助けると、こういうふうになっとるわけであります。
 多分、ここからは若干私の知識及び一部推測もありますけれども、首長がむちゃくちゃなことをやっちゃいかんと。時々、極端な方が首長になる可能性もあります。そのときに教育の一貫性とか、そういうものが失われてはいかんし、あるいは思想的な中立性というようなものもやっぱり考えとかないといけない。
 同じようなことは、実はこの教育委員会行政に関しては文部科学省の指導助言権というのが物すごく強いわけであります。これも一般的に、例えば教育以外の行政に関して言うと、関与の法定主義というのがありまして、勝手に何々省が、おまえ、ああせいこうせいとか何か言っちゃいかんということになっとるわけです。それが合理的なものであっても、法定以外のものについては口を出しちゃいかんということになるんですが、文部科学省の場合は、合理的な根拠があれば、それは教育委員会に対して口を出せるということになっとるわけであります。
 多分それも、首長及び各地域の教育委員会が、例えば思想的に偏った教育とか、あるいは極端な教育とか、あるいは国の安全とかあるいは尊厳とか、そういうものを侵すような教育をしてるならば、それはちょっとチェックせないかんということで、そういう制度ができてるんではないかと思います。実は、そういうことでございましたが、そこから全国の首長の態度が2つに分かれます。
 1つは、私のように、これはちゃんと中身もきちんとやってもらわないかん、もちろん信頼すべき──私は教育長に恵まれてると思いますけど──信頼すべき教育長を選んで、それで教育委員会に対して、あるいは教育委員を選んでちゃんとやってもらうということは当然でありますが、その中身はもう丸投げであんまり関与しなくて、それで問題が起こったときは、私は権限がありませんから教育委員会の仕事なんで口出しもできませんでしたと言って、責任ありませんという、そういう人たちが、特にいじめのときに──特定の人の名前は挙げませんが──続出いたしました。
 一方、和歌山県は、それはおかしいんじゃないかと。自分が選んだ教育長や教育委員会が一生懸命やっているんならばそれを支えなきゃいけないし、それに対して中身についても、こうやったらいいんじゃないのというような話をせにゃいかんというふうに思って、いじめについてはみんなで一緒に考えて、それでこのいじめの問題というのは、実はしこってきますと、全教師というものに対する不信感が出てまいります。そういうときは、今度は行政の人たちも入っていって、それでちょっと肩をもむというか、いろいろ説得したり仲裁をしたりするというようなさまざまな行動をやって、それでいじめの問題を解消してきたという経緯もあるわけであります。
 多分、そういう前者の問題について、目に余るというふうに国がお考えになったんだろうと思いますが、近年、教育委員会の制度というか、教育行政の制度が変わりました。変わったのが、やや私がやってるようなところに近づいてまいりましたが、もともとやってることとあんまり変わりはありません。
 1つは大綱、これをつくるということになりました。教育長や教育委員会の委員を選ぶだけじゃなくて、その中身についても大筋については首長みずから判断して、いわば指針を示して、そのとおりやってもらえということであります。
 一方、さらに言いますと、教育長というのと教育委員会というのとの関係が変わりまして、教育委員長がいわば一番偉かったんですけど、今度は教育長が一番偉いということになり、実務も率いるし、それから教育委員に対しても対峙するということになって、意思決定は教育委員会で決める。さらに、その中身を担保するために、首長と教育委員会との中身の整合性を担保するために総合教育会議というのをつくって、それでチェックせえよと、こういうことになってるわけでございます。
 私は、この制度が出てきたときに、どちらかというと、今までもちゃんとやってるからあんまり必要ないなあと思ったんですが、法律でございますので、そのとおり運用してるということであります。
 そのときに、実はもっと極端な議論がありました。首長が普通の教育委員会じゃなくて、もう教育部みたいな感じにして普通の行政にしてしまったらいいんじゃないのというような議論もありましたが、多分、これまた推測でありますが、先ほど言ったみたいに、極端な首長が出てきたときの制肘ができなくなる。それから、極端な地域が教育をしたときに国の関与ができなくなる。そういうこともあって、今のような制度ができてるんじゃないかなというふうに思っております。
 私は、実はそういう意味で、教育長としょっちゅう教育問題、大綱をつくるだけじゃなくて、教育問題全てについて議論をさしていただいております。ただ、権限というのがあります。権限というのは、意見を言うとか、それから、こうしたらいいんじゃないのとか、一般的な意味での口出しをするとかいうんじゃなくて、私がやりますということをちゃんと書いてある。その「私がやります」というところを侵しては、それは法律違反になります。
 したがって、全ての点について私はそんなことをするつもりもありませんし、教育長も立派な人ですから、私の意見が極端に偏ったりするときもあると思いますけども、そういうときはちゃんと「それはおかしいですよ」と言ってくれて、合意の上で教育長に実際の権限を行使していただいてる、これが現状であります。
 もちろん、教育長に関しては信頼をしておりますし、立派な人だと思いますが、議会の方々も含めて、一般には教員という、要するに経歴のある人ではなくて、もうちょっと実務能力のある人を選んだらええんじゃないかというような議論が結構いつもあります。だけど、私は、教育の現場は現場を知ってる人が現実に一番よく知ってるはずだから、そういう人たちに頑張ってもらうというのが一番大事なことだと思っておりますので、例えば教育庁の人事なんかも、教育長も含めて教員出身者がいいんじゃないかなというふうに思っております。
 ただ、日ごろからずうっと接しておったら、こういう人がいいんじゃないかというようなことを一部言うときもありますけども、それ以外のときは、私はわかりませんから、教育長が大体は原案をつくられたりしていろいろやっておられるということでございます。
 吉井議員の御懸念については、私も人間でございますので、おっちょこちょいに行き過ぎてはいけません。したがって、戒めとして聞かしていただいて、これからも努力していきたい、そんなふうに思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 長い答弁をいただきました。
 私は、知事に申し上げたのは、教育委員会に関与してはいけないということは一言も言っておりません。むしろ関与しなきゃいけない。というのは、そういうことを想定して法律も事細かく書いておるんです。教育長の職務権限、教育委員会の職務権限も事細かく、給食のことまで書いてるわけです。だから、知事が関与すべき問題と、してはいけない問題というのは、もう法律の中でそう書いておるわけなんです。だから、そういうことに気をつけてくださいということを言っておるわけで、知事に批判をしたり、そんなんしてるわけではないんですから、謙虚に受けとめていただきたい、そういうふうに思います。
 こういうことで、私の一般質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。

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