平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


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平成29年9月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成29年9月22日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第152号から議案第166号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第152号から議案第166号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
 第5 休会決定の件
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出席議員(41人)
 1番 中西峰雄
 2番 秋月史成
 3番 立谷誠一
 4番 泉 正徳
 5番 前芝雅嗣
 6番 花田健吉
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 川畑哲哉
 10番 玉木久登
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 尾﨑太郎
 14番 藤山将材
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 服部 一
 20番 山本茂博
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 堀 龍雄
 24番 中 拓哉
 25番 岸本 健
 26番 森 礼子
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 40番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      藤川 崇
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     山田成紀
 福祉保健部長     山本等士
 商工観光労働部長   山西毅治
 農林水産部長     原 康雄
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      野田孝雄
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    中野幸生
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       田村公一
 次長         西原龍也
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     武田 稔
 議事課議事班長    岩谷隆哉
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主事      大森圭悟
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中平 博
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  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第152号から議案第166号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 22番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 皆さん、おはようございます。ただいまより、通告に従って質問をさせていただきます。
 まず最初に、県内の鳥獣対策について質問をさせていただきます。
 この質問について、私はかつて湯浅町で射撃問題が起こったときと、それから印南町で起こったとき、そしてまた今回させていただくわけなんですけれども、それは県内に鳥獣被害がもう大変なもんですね。それは、もう農家の方々が心配しておられる以上に我々の近くまでイノシシや鹿、猿が迫ってきておるわけなんです。そういう状況の中で、今回も質問をさせていただくわけであります。
 鳥獣対策の一番の基本は、やっぱり猿、イノシシ、鹿、この個体を減らすことなんですけども、その個体を減らす作業、それについては射撃ハンターの皆さんとか、いわゆる猟友会の皆さんに大変お世話になっておるわけなんです。そういうことであるわけなんですけども、最近、私の同級生とか、そういうハンターがいるわけなんですけども、話を聞いてみたら、何が一番原因かということを聞いてるんです。そしたら、やっぱりハンターが少ないと。そんな言い方おかしいですけども、私は65歳なんですけども、もう65歳、66歳が最低の年齢で、もうまともに動けない猟友会員が相当おるという話であります。
 その原因は何かというと、21年に銃刀法が改正されたわけなんですけども、改正されるときもそうなんですけども、更新手続、それから新しく免許を取るときに射撃訓練をしなきゃいけないわけなんです。それだけ厳格化されてきたわけなんです、法律で。そういうことになると、やっぱり近くに射撃場がなければハンターがふえないんです。これはもう事実ですね。
 だから、ハンターを育成または強化するために、どうしても射撃場が必要であるということは、もうこれ10年、井出さんなんか最初に言われましたですね。相当前からこの問題が和歌山県の県政の中で議論をされてきた問題であるわけなんです。
 そういうことで8年前、湯浅町で山田山というところで射撃場の問題が発生、建設するかどうかの問題になったわけなんです。それで、国でも予算がついたわけです。これは、井出さんも当時の射撃の会長の麻生さんとかけ合って予算を確保してもらったわけですね。これは、井出さんに感謝しなきゃいけないと思うんですけども、そういう中で急遽決まったと、補正予算でついたんです。
 ところが、これ実際やってみると、地元も同意をとれておったかやに思うんですけども、やっぱり1人ぐらい反対する人がおってなかなか前へ進まないと。そうする中で、もう補正予算の執行期限が過ぎてくるわけなんですね。それでやむなく中止と、こういうことになったわけなんです。そのときも、私思うんですけども、県当局も積極的に、私は主体的に取り組んでくれたと、そういうふうに思っております。そういうことなんです。
 それでまた、これから印南町でも起こったわけなんです。印南町で起こったのは3年ほど前かな、それですったもんだして、私も印南町の現地へ行きました。それでなかなかええとこやなと思いました。ところが、やっぱりこれについても問題があったわけなんですね。町会議員の人たちのほとんどが反対であるとか、そういうなかなかいろんな、衛生施設と一緒で、みんながやらなあかんと言うわけなんですけど、さて自分とこの近くへ来たら、やっぱり住民もそれぞれ反対が出てくると。そういうことで、これもまた中止になったわけであります。
 そのときに、平成26年の2月議会、私もこの射撃問題について知事にただしました。このときの知事の答弁、本当に、私が今まで答弁もらった中で最高の答弁で非常にすばらしかった、そう思うんです。だから、そこでこのすばらしい答弁をもう一度、私は皆さんに御披露したい。「(中略)射撃場の設置に当たっては、将来的な運営、騒音や鉛害など、数多くの課題が考えられますけれども、条件が整えば、県として射撃場の設置を主体的に検討していきたいと思います」。さらに、こうおっしゃってるんです。「少しでも地元の意向があれば、これを迎えに行って、何とかならんかということで前向きに積極的に検討していくべきものだと思っております」、こういう、本当にうれしい答弁をしていただきました。
 そして最近、日高町において射撃場の建設の問題が起こっております。これについても、私も現場近くまで行ってお話を聞いたことがあるんですけども、地元の町会議員の皆さんに聞いたことがあります。地元は大いに賛成と、こういうことを言っておるわけなんです。それから要望書も区長名で出ております。町長に対して、早う県へ手挙げてこいと、こういう要望書なんです。
 県もそれを察知して、地元へ入って、地元のいろんなことを計算して、土量計算までして、この施設をつくるにはどれだけお金がかかるかということを積算しよるわけなんです。そういうことの中で知事と協議して、ちょっとお金が高いんか何か知らんけども、中止しなきゃいけないという、そういうお話を聞いております。
 しかし、せっかく、射撃場をつくらなきゃいけない、地元同意もある、町長さんも積極的にやって考えてくれると、そういうことであれば、もう少し議論を私はしていただきたいなと。もう一度考えて、もっと安くならんかなとか、そういうことを考えて取り組んでほしいなと、そういうことを思います。
 そういうことで、これ部長に聞くわけなんですけど、今、現状の被害対策と、それからこの射撃場建設についての経過、それから、今後については知事に聞こうと思うんですけども、それについて部長にお尋ねいたします。
 私はずっと以前より言わしていただいてるんですけども、こういう問題については、例えば湯浅町さんにお願いする、印南町さんにお願いする、日高町さんにお願いするということなんですけども、これは結局、本当は広域で──広域ということになれば県が主体的に取り組まなきゃいけないわけなんですけども、広域でやらなきゃいけない問題であるわけなんです。例えば、日高町で今回お願いしてやるということになれば、みんなが、知事初め関係市町村──関係市町村は全部の市町村です、和歌山市もそうなんです──の首長さんがみんなに「日高町さん、頼むけどやってくれませんか」と、こういうお願いする筋であると思うんです。
 そういうことであるんであれば、ここで最後に知事に私は再度お尋ねしたい。以前に答弁したことはもうすばらしい答弁で非常にありがたいんですけども、迎えに行ってまでやろうじゃないかという答弁なんです。そういうことであれば、今後、積極的にどういうふうに主体的に取り組むのか、取り組んでいくんかということをもう一度、決意をお伺いしたいと、そういうことであります。
 まずは1問目、終わらせていただきます。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの吉井和視君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 鳥獣対策について、被害対策とこれまでの施設整備の経過についてでございますが、野生鳥獣による農産物の被害額は、平成28年度で約3億3000万円と7年連続で3億円を上回り、依然として深刻な問題であると考えております。
 このため、県では、有害捕獲や管理捕獲などの捕獲対策を重点に、防護柵の設置、さらには捕獲の担い手である狩猟者の確保、育成のため、狩猟免許取得や銃所持許可に係る射撃教習、狩猟前の射撃訓練への支援を行うなど、市町村、猟友会と連携しながら総合的な鳥獣害対策に取り組んでいるところでございます。
 射撃訓練施設につきましては、これまで幾つかの市町で計画いたしました。先ほど議員のほうからもお話ありましたとおりでございますが、まず、湯浅町では、町から用地の提供のお話があり、基本構想を策定した結果、約9億円の概算事業費が算出され、国庫補助事業を活用すれば何とか県でもやれるかと思い切って決断し、事業を進めていましたが、その後、用地の不足が判明し、その確保に時間を要することから、国庫補助事業が活用できなくなり、断念したところであります。
 また、印南町におきましては、印南原地区での射撃場建設のお話をいただきましたが、最終的には地元調整が整わず、同じく断念いたしました。
 ことしに入り、日高町内で整備に向けた前向きな意向を示していただいた地区があり、県ではこれまで、射撃訓練施設についての理解が得られるよう地区役員に説明を行うとともに、役場の協力を得ながら施設場所や施設内容などについて詳細な検討を進めてきたところです。
 しかしながら、概算事業費を県において試算しましたところ、計画地の形状から造成コストがかさみ、また、計画地が既設道から離れた場所にあるため、進入路の距離が長くなるということで、事業費が約23億円と非常に大きくなり、国庫補助事業を活用しても県負担が大きくなることから、当地区での設置は困難であると判断したところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 射撃訓練施設の整備につきましては、先ほど吉井議員から前の答弁はよかったという評価をいただきました。私は、全くそういう意味では同じような考え方で今対処しようと思っております。全ての案件の検討に積極的にやっていきたいというふうに思っております。
 これは、何といっても狩猟者の技術向上とか事故防止、また、新たな狩猟者を県内で確保するという観点から、射撃訓練施設は県内にあるほうがいいし、近隣の動向を見ても、ひょっとしたら県外からの訓練者も少しは期待できるんじゃないかと、そういうふうに思っておりますので、積極的にやっていきたいと考えております。
 もちろん、これも吉井議員からお話がありましたように、騒音とか鉛害対策とか運営方法など数多くの課題がございまして、地元住民、特に地元市町村の御理解と積極的な協力が不可欠であることは言うまでもございません。
 また、初期投資や後年度負担、整備効果について、県民全体で、これでよかろうというような話をいただくことも重要であるというふうに思っております。
 また、県としては、実は財政も大変もともと苦しいんですけども、思い切ってやろうということになった湯浅町での計画に対して、財政支援を表明して検討していただきました。それは湯浅町にとっては100点満点ではなかったと思いますけども、その前提で考えていただいたという経緯があります。
 そのときの財政支援と他の市町村における案件の財政支援というのが余りにもかけ離れておると、ちょっと湯浅町に不公平になるなあという感じもございまして、この辺はちょっと悩ましいところで、先ほど言いましたように、23億円もかかるんだとちょっとつらいなあというふうに現在思っております。
 この案件、全ての案件にかかわらず、いいのが出たら、今回もそうですが、積極的にこちらから飛びついて、それで可能性を積極的に考えていきたい、そんなふうに思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 今、知事から積極的に考えていきたいと、23億円ではちょっと高いけども、それより若干下回れば、一からまた考えていこうという答弁であろうと思うんですけども、ひとつよろしくお願いします。
 これ、鳥獣害対策の面からこのいわゆる射撃場ということを言わしていただいたんですけども、後で観光の質問もするんですけども、和歌山の観光振興ということを考えれば、こういう人工的な観光の目玉をつくるということは、私はやっぱり観光ツーリズムの中でハンティング、これはもう世界でもたくさんお金を持っている人がこういう田舎に来て射撃を楽しみたいという、そういうツアーも世界ではあるわけなんです。そういうことを考えれば、コスト的に考えれば、鳥獣害対策のコストと観光のコストと考えていただいて、両面で考えていただければ、私は20億を超えても将来的な投資では成功すると思うんです。そういうことも考えていただきたいなと思います。
 次、移らせてもらいます。
 次に、観光振興についてお尋ねいたします。
 今、世界の観光産業のGDPは大体9%ぐらいになっておるそうであります。これは、大きな基幹産業であり、エネルギーとか医療、自動車産業に次ぐ大きな産業であると言われております。
 日本の観光立国ということで、ようやく外国観光客が昨年では2000万人以上が達成されたと聞いております。次の目標は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまで4000万人、それから、平成30年までに6000万人という設定をしておるわけであります。
 話を聞いてびっくりすることなんですけども、日本の観光客の収入、いわゆるGDPですけども、世界129カ国中126位だそうです。あとの127位、128位、129位は、これはもう中央政府が崩壊しているような、旅行に行けないような国であるわけでありまして、実質的、日本のGDP比に占める観光収入は世界で最下位なんです。私は最下位だと思わないんですけども、よく観光客が行くから、日本人から行くからそんなに思うんですけども、こういうことであれば、まだまだ伸びる可能性は物すごいあるわけですね。
 そういう伸びる可能性のある観光客を、和歌山県も観光立県を宣言してるわけなんですけども、いかに和歌山県に観光客を呼び込むかということが非常に大きな課題であると思うんです。やっぱりインバウンドを呼び込まなきゃいけないわけです。
 今までの和歌山観光、和歌山観光というよりも地方の観光は、ほとんど日本人で対処されてきたわけですね。だから戦後、日本人の人口が急激にふえて、1.8倍になって1億2000万になったわけなんですけども、これからは激減する時代になってくると。激減するということになれば、観光客もおのずと減ってくるわけですね。減ってくる。そういうことで、どんなにしたら減ってくる観光客をカバーできるかということになれば、これはもう皆さんも統一した見解だろうと思うんですけども、外国人に来てもらわなあかんと、そういうことになると思うんです。
 インバウンドを県内に取り込む作戦が非常に大事であろうと思うんですけども、どんなにしたら取り込めるかということについて協議していかなきゃいけない。そういうことの中で、私は、やっぱりいかに外国に和歌山県のことを情報発信しなければいけないかということだと思います。
 ややもすると、和歌山県は世界で余り知られてないと思うんですね、和歌山の観光について。和歌山というのは、自然豊かで、自然とか気候とか歴史文化、そして食ということを考えたら、日本でも突出した地域であると言われておるんですけども、それをなかなか外国に発信できていないという、そういうことで外国人が来ないんではないかと、そういうふうに思うわけであります。来ないというよりも、人口割にすれば、日本に来てる外国人というのは50万人来て宿泊者が50万人いるということで、まあまあ率で言えば来てるんかなと思うんですけども、人口の率から言えば。しかし、もっともっと観光立県ということを目指すんであれば、観光立県というのは観光で一生懸命御飯を食べていきましょうという構想だと思うんですけども、県内のほとんどの人が観光によって収入を上げようというのが観光立県の狙いだと思うんですけども、そこまで持っていくには大変努力が要ると思うんです。
 そこで、我々和歌山県の観光振興議員連盟も、やっぱり観光を和歌山で興そうと思ったら情報発信をしなけりゃいけないという、そういう思いでことしの2月8日に、白浜、高野山において観光サミット、和歌山の魅力を情報発信するためにやりました。大成功かどうかわかりませんけども、フォーラムには20カ国の大使に来ていただきました。知事初めみんなの努力のおかげだと思うんですけども、大変うれしく思いまして、当日、森礼子議員、堀龍雄議員が和歌山の観光を紹介させてもらいました。そして、大使のほうからは、インド大使、タイの大使によるプレゼンテーションが行われました。私も話を聞いていて、インドというのは一遍訪れたいなと、そういうふうに思いました。やっぱりそういう機会を持って情報発信してくれたら、インドへ行ったことないんで、ああインドへ一遍行きたいなという、そういう強い気持ちになりました。
 だから、こういう機会をどんどん、どんどん設けてやっていくのが大変いいんではないかと、そういうふうに思います。
 それで、ちょっと紹介したいんですけども、翌日、バスで高野山へ行ってもらったんですけども、それがたまたま何年も降っておらない雪がどんどん降って、我々も行くの大変だったんですけども、皆さんは雪の高野山を訪れて本当に感動されたようです。京都よりええという人もおったと。だから、もう一度、家族を連れて和歌山へ来たいと、そういう感嘆の声が出ておったということであります。
 そういうことを聞けば、お金もたくさん要ったわけなんですけども、非常によかったなと思います。使った宣伝費というのは、将来、私は正比例して返ってくると思います。それ以上に化けて返ってくると思うんで、和歌山の観光について大いにこれから期待したいなと、そんなに思っておるわけであります。
 そういうことで、部長には、海外に向けた観光発信戦略、これをどんなにするかということを一遍お聞きしたいなと思います。
 次に、観光戦略については、外国人を呼び込むためには、従来にない、今までと同じようなことをしていてはあかんということで、従来にない多様化した観光施設を人工的につくらなきゃいけない。やっぱりラスベガスなんかも砂漠の中へ人工的につくったIR施設で、私も一遍行ってきたんですけど、物すごいですね。本当に物すごい。
 そういうことがあって、この間、マカオへ行ってきました。マカオ、2回目になるんですけども、何もカジノをしたいから行くわけじゃないわけなんですけども、カジノもしてきました。一行みんな少しずつカジノをしてね。やっぱりカジノを体験せんことには、そういう観光施設の目玉であるカジノのだいご味とか、それからどういうふうにしてみんなやってるのか、どういう人が来てるのか、そういうことがわからないと思います。知事もやったことありますか、カジノ。一遍行きませんか。カジノへ行って、やっぱりみんながカジノを楽しんでやっていかなきゃいけないなと思うんです。
 そこで思ったのは、2回目ですから、1日目はギャラクシーという施設の中でいろいろ見学してもらったんですけども、2日目には、私は外へ出やんと、1人ずうっと隅々まで回って、3回食事して回ってみたんです。ほんで、ショッピングもしました。ショッピングもいろんなショッピングがあるわけなんですね。ヴィトンもあればバーバリーもあれば、いろいろなブランドの店があるわけなんです。買い物もしました。ちょっとカジノで勝ったんで、したわけなんですけど。
 そういうことで、これは観光については私は大きな目玉の産業になると思うんです。だから、聞いてみたら、「ギャラクシーの施設の中でどれぐらい働いておりますか」という質問をしたんですね。そしたら、2万5000人が働いてると。1つの施設という言い方はおかしいんですけど、幾つかの施設が寄っての中の話なんですけども、まあ1カ所で2万5000人、それが10何カ所ぐらいあるんですから、マカオでは本当に働いている人というのはもう100万人に近いような──外もありますからね、観光産業に従事しているんではないかなと、そんなに思います。
 そういうことで、こういう場所があれば若者も地方に定着すると思うんです。大体、若者が地方に定着しないというのは、もうわかってることなんですけども、働く場所がないから地方に定着しないということでありますんで、こういう施設も地方にとっては1つ大事な施設ではないかなと、そういうふうに思います。
 また、観光客のほとんどは、使うお金のほとんどは泊まるとこと食べて寝るとこであるということでありますので、ということは滞在型に重点を置かなきゃいけないなということであろうと思います。
 インバウンドには多様性が大事であるので、自然体験型とかフィッシングとか、それからさっき申し上げたハンティング、狩猟も体験してもらうような、そういうスポーツ観光的な観光対策についても県として十分検討していただきたいなと、そういうふうに思います。
 それから、和歌山の自然というのは、これは我々が考えている以上にすばらしいものがあると。日本の中でも突出してすばらしいものであるということを言われている方がございます。こういう観光産業について、和歌山を生かして、そして人工的な観光施設も含めて考えて、多様性のある、いわゆる滞在型の観光をどういうふうにして取り組むかということを部長にお尋ねしたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 海外への情報発信についてでございますが、個人客が中心の欧米豪市場に加え、アジア市場におきましても個人観光客が急速にふえている中、本県への旅行動機を喚起するため、和歌山の魅力を発信することは重要な観光戦略の1つと位置づけております。
 欧米豪市場に対しましては、観光客の関心度が高い高野山、熊野が持つ日本の歴史や精神文化を中心に、テレビ、雑誌、ウエブサイトなどのメディアを通じて継続的な情報発信を行っているところであり、これらの取り組みを通じ、世界的な旅行ガイドブックである「ロンリープラネット」や「ミシュラン・グリーンガイド」において高評価を獲得いたしました。さらに、CNNやBBCとのタイアップキャンペーンを実施することにより、効果的な情報発信に努めているところでございます。
 アジア市場に対しましては、四季や絶景、温泉、食などの人気の高い観光資源をテレビや雑誌、新聞などで露出するほか、ブログなどSNSからの発信が影響力の高い地域であることから、カリスマブロガーを招聘し、効果的に発進しているところです。
 あわせて、中国、台湾、香港、韓国、タイ、インドネシア、ベトナムの7カ国においては、現地プロモーターを採用し、現地の情報収集やSNSからの発信も行っています。
 平成28年度は、年間45回にわたり職員を現地に派遣し、ターゲットとする国・地域の嗜好や傾向の分析を行うとともに、旅行博への出展やメディア、旅行会社への提案活動を行ってまいりました。これらの活動によりまして、83件のメディアや旅行会社が本県を訪れ、番組制作や記事掲載、旅行商品化につなげているところです。
 引き続き、同様の取り組みを継続的に実施するとともに、「水の国、わかやま。」キャンペーンや「サイクリング王国わかやま」など、旬の観光素材を提案してまいります。
 続きまして、滞在型の観光戦略についてでございますが、滞在時間をふやすことは県内の消費拡大につながることから、本県の観光戦略において重要なテーマと位置づけております。
 滞在時間をふやす取り組みとしましては、本県の特色を生かした350を超える体験型観光の利用拡大が有効な手段と考えており、また、急速に拡大する個人の趣味や嗜好で旅行先を選ぶ個人旅行客対策としても重要です。実際、高野山宿坊での修行体験、熊野古道や高野参詣道トレッキング、季節のフルーツピッキングや梅酒づくり、漆器体験などが海外のお客様には高評価をいただいております。
 しかしながら、外国人観光客に対応できる体験型事業者がまだ少ないことから、インバウンド向け観光セミナーを実施し、多言語対応など受け入れ体制の整備を支援することにより充実に努めているところです。
 今後とも、外国人観光客に人気の高い世界遺産「高野山・熊野」や白浜温泉などにインバウンド体験型観光を組み合わせたモデルコースをメディアや旅行会社に提案することに加え、国内観光客に人気の「高野・熊野参詣道スタンプラリー」を活用した外国人観光客向けトレッキングプランなどを作成することで新たな企画にも取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 観光については、私もフェイスブックなんかによく載せるんですけども、よその地域へ行って、観光地へ行って載せておるんですけども、そうするとそのフェイスブックを見た人からいろんな意見をもらうことがあります。
 だから、私、この情報発信ということを考えれば、県職員が1万人あったら、1万人の人が和歌山の観光をフェイスブックを通じて、時々というより毎日、日常茶飯事載せておったら、全国に発信するスピードが非常に速まるんではないかと、そういうふうに思うんで、知事、一度そういう指示をしてやっていただきたいなと、そんなに思います。
 議長、続けてやります。
 最後の質問になりますが、前に私、文教委員会で、首長と教育委員会制度について教育長にただしたことがあります。それはやっぱり新しい制度が、法律が変わって、知事が総合教育会議、これを招集して教育のことを、教育大綱とか教育の基本方針を示さなきゃいけないということになったわけなんですけども、もともと首長というのは、選挙のとき県内方々を回って県行政のことをいろいろ語るわけなんですけども、やっぱり教育のことも語ると思うんです。これは、もちろん教育のことを語らない選挙というのはあり得ない、最近はないなと思うんで、いろんなところでしゃべると思うんです。そして、教育のことについての公約もされると思うんです。
 そういう中で、折しも教育の制度が大きく変わったと。教育というのは、本当に今までは神聖、侵すべからずというような機関であったわけなんですけども、ちょっと変わったと。知事も、積極的に教育のことには口を出していかなきゃいけないということになったわけなんですけども、しかし、そこで私はちょっと知事に苦言を呈しておかなきゃいけないなと。
 それは、地方自治の二元代表の一方である我々議会もやっぱり教育について口を挟まなきゃいけないわけなんですけども、やってはならないこともあると。首長もやってはならないことがあると。そういうことで、私は今回、申し上げたいんですけども、それは、教育委員会の特性というものがあるわけなんです。これは何が特性かといいますと、知事の、いわゆる首長の権限に属さないという特性があるわけですね。やっぱりこれ、政治的な中立とか継続性とか、安定性もありますけども、そういうことを大事にしなければいけないということで、知事はやっぱり教育行政について、口は出しても手は出したらあかんということであるわけなんです。第一線を超えたらあかんわけですね。
 それは、基本法にも、地方教育行政の組織及び運営に関する法律かな、この法律にも載っておるわけなんです。1条に載ってるわけなんです。やっぱり首長の権力の介入を避けなけりゃいけないということが載ってるわけなんです。
 それで、教育は独立した機関であるということで、教育の組織運営法21条には、ずらっとたしか20項目ぐらいの職務権限が載っておるわけなんです。それは、新教育長が責任を持って主宰するわけなんです。だから、あなたはほかの意見をあんまり聞いたらあかんわけなんです。教育委員会の意見を聞いて、民間の人の意見を聞かなきゃいけない。教育委員会制度というのは、レイマンコントロール制度ということで、素人の意見を十分聞かなきゃいけないということで、教育委員さんの中には素人も入れなさいよということになっておるわけなんです。
 そういうことで、職務権限については本当に責任を持ってやっていただかなければいけないということであります。そういうことでありますんで、これから知事は、我々も、やっぱり教育委員会については心して独立性を保たないけないなと、そんなに思うところであります。
 そういうことで、一遍知事と教育委員会制度について、知事の認識がどういうふうに思っておるのかということをお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 結論を申し上げますと、吉井議員と同じように思っております。ただ、多分、個々の案件について、個々の関与とかそういうものについて、ちょっと意見は違うのかもしれません。
 もともと、吉井議員が今おっしゃったように、教育問題というのは大変大事な行政ジャンルであります。それを人任せにするというか、関与しないというのは、これは選挙で選ばれた者として全く責任を放棄してるんじゃないかというふうに私は思っておりました。
 実は、そうは言いながら、学校教育法とそれから地方教育行政の組織及び運営に関する法律、これは改正前の議論をしておりますが、それによりますと、教育は教育委員会というのがやるということになっていて、それで首長の権限は、議会の同意を得てその教育委員さんを任命すると、それと予算その他、実際の執行ですね、そういうものを助けると、こういうふうになっとるわけであります。
 多分、ここからは若干私の知識及び一部推測もありますけれども、首長がむちゃくちゃなことをやっちゃいかんと。時々、極端な方が首長になる可能性もあります。そのときに教育の一貫性とか、そういうものが失われてはいかんし、あるいは思想的な中立性というようなものもやっぱり考えとかないといけない。
 同じようなことは、実はこの教育委員会行政に関しては文部科学省の指導助言権というのが物すごく強いわけであります。これも一般的に、例えば教育以外の行政に関して言うと、関与の法定主義というのがありまして、勝手に何々省が、おまえ、ああせいこうせいとか何か言っちゃいかんということになっとるわけです。それが合理的なものであっても、法定以外のものについては口を出しちゃいかんということになるんですが、文部科学省の場合は、合理的な根拠があれば、それは教育委員会に対して口を出せるということになっとるわけであります。
 多分それも、首長及び各地域の教育委員会が、例えば思想的に偏った教育とか、あるいは極端な教育とか、あるいは国の安全とかあるいは尊厳とか、そういうものを侵すような教育をしてるならば、それはちょっとチェックせないかんということで、そういう制度ができてるんではないかと思います。実は、そういうことでございましたが、そこから全国の首長の態度が2つに分かれます。
 1つは、私のように、これはちゃんと中身もきちんとやってもらわないかん、もちろん信頼すべき──私は教育長に恵まれてると思いますけど──信頼すべき教育長を選んで、それで教育委員会に対して、あるいは教育委員を選んでちゃんとやってもらうということは当然でありますが、その中身はもう丸投げであんまり関与しなくて、それで問題が起こったときは、私は権限がありませんから教育委員会の仕事なんで口出しもできませんでしたと言って、責任ありませんという、そういう人たちが、特にいじめのときに──特定の人の名前は挙げませんが──続出いたしました。
 一方、和歌山県は、それはおかしいんじゃないかと。自分が選んだ教育長や教育委員会が一生懸命やっているんならばそれを支えなきゃいけないし、それに対して中身についても、こうやったらいいんじゃないのというような話をせにゃいかんというふうに思って、いじめについてはみんなで一緒に考えて、それでこのいじめの問題というのは、実はしこってきますと、全教師というものに対する不信感が出てまいります。そういうときは、今度は行政の人たちも入っていって、それでちょっと肩をもむというか、いろいろ説得したり仲裁をしたりするというようなさまざまな行動をやって、それでいじめの問題を解消してきたという経緯もあるわけであります。
 多分、そういう前者の問題について、目に余るというふうに国がお考えになったんだろうと思いますが、近年、教育委員会の制度というか、教育行政の制度が変わりました。変わったのが、やや私がやってるようなところに近づいてまいりましたが、もともとやってることとあんまり変わりはありません。
 1つは大綱、これをつくるということになりました。教育長や教育委員会の委員を選ぶだけじゃなくて、その中身についても大筋については首長みずから判断して、いわば指針を示して、そのとおりやってもらえということであります。
 一方、さらに言いますと、教育長というのと教育委員会というのとの関係が変わりまして、教育委員長がいわば一番偉かったんですけど、今度は教育長が一番偉いということになり、実務も率いるし、それから教育委員に対しても対峙するということになって、意思決定は教育委員会で決める。さらに、その中身を担保するために、首長と教育委員会との中身の整合性を担保するために総合教育会議というのをつくって、それでチェックせえよと、こういうことになってるわけでございます。
 私は、この制度が出てきたときに、どちらかというと、今までもちゃんとやってるからあんまり必要ないなあと思ったんですが、法律でございますので、そのとおり運用してるということであります。
 そのときに、実はもっと極端な議論がありました。首長が普通の教育委員会じゃなくて、もう教育部みたいな感じにして普通の行政にしてしまったらいいんじゃないのというような議論もありましたが、多分、これまた推測でありますが、先ほど言ったみたいに、極端な首長が出てきたときの制肘ができなくなる。それから、極端な地域が教育をしたときに国の関与ができなくなる。そういうこともあって、今のような制度ができてるんじゃないかなというふうに思っております。
 私は、実はそういう意味で、教育長としょっちゅう教育問題、大綱をつくるだけじゃなくて、教育問題全てについて議論をさしていただいております。ただ、権限というのがあります。権限というのは、意見を言うとか、それから、こうしたらいいんじゃないのとか、一般的な意味での口出しをするとかいうんじゃなくて、私がやりますということをちゃんと書いてある。その「私がやります」というところを侵しては、それは法律違反になります。
 したがって、全ての点について私はそんなことをするつもりもありませんし、教育長も立派な人ですから、私の意見が極端に偏ったりするときもあると思いますけども、そういうときはちゃんと「それはおかしいですよ」と言ってくれて、合意の上で教育長に実際の権限を行使していただいてる、これが現状であります。
 もちろん、教育長に関しては信頼をしておりますし、立派な人だと思いますが、議会の方々も含めて、一般には教員という、要するに経歴のある人ではなくて、もうちょっと実務能力のある人を選んだらええんじゃないかというような議論が結構いつもあります。だけど、私は、教育の現場は現場を知ってる人が現実に一番よく知ってるはずだから、そういう人たちに頑張ってもらうというのが一番大事なことだと思っておりますので、例えば教育庁の人事なんかも、教育長も含めて教員出身者がいいんじゃないかなというふうに思っております。
 ただ、日ごろからずうっと接しておったら、こういう人がいいんじゃないかというようなことを一部言うときもありますけども、それ以外のときは、私はわかりませんから、教育長が大体は原案をつくられたりしていろいろやっておられるということでございます。
 吉井議員の御懸念については、私も人間でございますので、おっちょこちょいに行き過ぎてはいけません。したがって、戒めとして聞かしていただいて、これからも努力していきたい、そんなふうに思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 長い答弁をいただきました。
 私は、知事に申し上げたのは、教育委員会に関与してはいけないということは一言も言っておりません。むしろ関与しなきゃいけない。というのは、そういうことを想定して法律も事細かく書いておるんです。教育長の職務権限、教育委員会の職務権限も事細かく、給食のことまで書いてるわけです。だから、知事が関与すべき問題と、してはいけない問題というのは、もう法律の中でそう書いておるわけなんです。だから、そういうことに気をつけてくださいということを言っておるわけで、知事に批判をしたり、そんなんしてるわけではないんですから、謙虚に受けとめていただきたい、そういうふうに思います。
 こういうことで、私の一般質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、通告に従い一般質問をさしていただきますが、その前に、毎回この9月議会で御報告いたしております本年度の「第14回おどるんや~紀州よさこい祭り~」は、去る7月30日、マリーナシティ、8月5日、6日、ぶらくり丁やけやき大通りなどにおいて行われました。
 ことしのテーマは「思いだそう、未来は『今』で、できている。」で、参加94チームのうち県外は17チームで、近畿一円からと愛知県などからも参加があり、踊り子総数3600人で、出店数46店舗、広告協賛は275社で、ボランティア数142人、実行委員は78人、開催費用──これには年間の運営費も含みますが──約3000万円であり、行政から一切資金援助は受けておりません。
 この祭りの成り立ちについてはいつも申し上げてるとおりですので今回は詳しくは申し上げませんが、踊りを通じて和歌山を元気にしたいという2人の若者の熱い思いからスタートしたことは、既に御存じのとおりであります。
 話は変わりますが、先日、仁坂知事もお会いになったと思いますが、日本インバウンド連合会の中村好明理事長の講演を聞く機会がありました。その中で「花仕事と米仕事」ということについて触れられました。それは、将来、我が国の観光立国実現に向け、「米仕事イコール自分や自分の会社が稼ぐための仕事」に加え、「花仕事イコール地域社会のための公共への奉仕・貢献」が重要になってくるということであります。
 まさにこの紀州よさこい祭りは花仕事の典型的なもので、それにかかわる人たちの思いや発想、そして、作品としての祭りそのものを生かすことによって、インバウンドつまり海外からお客さんを呼ぶだけではなく、全国からお客さんが和歌山に来たくなるような仕組みをつくり上げることができるのかもしれないと、そのとき感じました。
 もちろん、よさこいそのものの本場は高知県であり、同種の祭りは全国でも数多く行われておりますが、私がここで言いたいのは、花仕事にかかわる人たちの情熱をいかに生かすかということであります。御参考までに御報告させていただきます。
 それでは、本題に入らせていただきます。
 これも毎回と言っていいほどこの場で発言をしておりますけれども、人口激減・超高齢先進和歌山県についてであります。
 まず皆さん、ことし4月1日現在のデータで和歌山県の人口はどれだけになったか御存じでしょうか。100万人を何年か前に切ったことは御存じのとおりでしょうが、さて、98万人でしょうか、96万人でしょうか、いや、95万人でしょうか。
 たしか、平成22年の国勢調査で100万2198人になった後、次の年に「99万人ショック」という囲み記事がある新聞の和歌山版に載っていたことを御記憶されている方もいらっしゃると思います。しかし、それから4年後の平成27年国勢調査では、県の予測を4000人以上下回り、96万3579人になっていたことは既に御存じのとおりであります。
 そして、それからわずか1年半、これは国勢調査確報値を基礎に住民基本台帳の増減を加算して算出された推計人口でありますが、ことし4月1日の時点で94万8260人と、何と96万人や95万人どころではない、はや94万人台に人口がなってしまいました。
 ここに、ことし5月5日付の「産経新聞」の朝刊、和歌山版の記事がありますが、それによりますと「県人口、初の95万人割れ」との見出しで、先ほど申し上げましたとおり、県の推計人口、4月1日現在、94万8260人で、前年に比べ9487人減少しており、減少幅が過去最大になったということであります。
 ちなみに、昨年の9月議会で申し上げました平成27年の国勢調査の確定値が出ましたので、平成22年と27年の国勢調査を比べますと、この5年間で和歌山県では100万2198人から96万3579人になり、人口減少は3.85%で全国第5位、また、平成27年の高齢化率は30.9%で全国第6位ということになります。さらに、基本台帳による人口減少を調べますと、平成25年8011人、平成26年8506人、平成27年9413人、平成28年9628人と減少数が年々増加しております。
 一方、少子化問題で最近言われておりますが、子供を産む女性の人口でありますけれども、これもことし2月議会で平成27年の国勢調査の結果を、この人口ピラミッドでお示ししましたように(資料を示す)、人口が他の世代より多い、いわゆる団塊の世代(昭和22年から24年生まれ)の孫世代であり、これから子供を産んでくれるであろう世代(平成9年から11年生まれ)の女性の人口が、もう既に団塊の世代の女性の人口、今生きておられる女性の人口の48.1%と半分以下でしかありません。つまり、わかりやすく言うと、分母が小さいわけですから、少子化対策をしても子供の数が大きくふえるというわけではありません。
 もちろんこれは、一部を除いて他府県でも同じような傾向はありますが、その傾向は和歌山県は顕著である、つまり人口激減・超高齢先進和歌山県ということであり、決してこれは無理やりに私が命名したものではありません。
 さて、そこで、ことし4月にスタートした和歌山県長期総合計画でありますけれども、この31ページに載っている10年後の和歌山県の人口見通し、つまり平成38年10月1日の時点での人口は89万4000人で、これは国立社会保障・人口問題研究所の人口推計の85万9000人よりも3万5000人も多くなっております。つまり、県の人口ビジョンまで、スタートしたばかりにもかかわらず、あと5万4000人しか残っていないということであります。
 先ほども申し上げましたとおり、直近の1年間で9487人減少し、平成27年の国勢調査、人口ピラミッドが示すとおり、これから団塊の世代があと8年で、平成37年(2025年)には全員75歳以上の後期高齢者になることは周知の事実であります。
 先ほども申し上げましたとおり、和歌山県の高齢化率は、平成27年時点で30.9%と全国第6位の高さであることを考えますと、今後さらに、自然減だけではなく、子供が住む都会へ移る社会減が多くなってくることも十分予測され、人口減少がより激しくなってくると考えられます。
 そこで、これらの点を踏まえて知事にお伺いしますが、本当にあと10年──正確に言いますと9年ですが──89万4000人、現在から5万4000人の人口減少で食いとめることができるのでしょうか。
 もちろん、そうするためにいろんな施策を講じていることは百も承知でありますけれども、目標達成に向けた知事の御決意をお聞かせいただきたいと存じます。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現状において、我が国の人口減少に歯どめがかからない中で、人口移動の面でも依然として東京一極集中の傾向が続いており、全国に先んじて少子高齢化がうんと進行している本県では、人口構造を大きく変えるまでには相当な期間を要するということから、当面人口減少は避けられない状況にあります。
 お年寄りの比率が高いというのは、今度は急速にそういう方々がお亡くなりになっていくということですから、自然減だけは当分の間とめられないというのが大きいところではないかというふうに思います。
 ただ、そういうことが、単に人口が減っていくというだけであればいいんですけれども、その結果、地域経済とか医療、教育などさまざまな分野で悪影響を及ぼして自治体の存続まで危うくなる可能性もあるということで、県といたしましては、少なくとも社会活動を何とか維持していくためには、2010年と同水準である65歳以上の高齢者1人を生産年齢人口2人で支えるような人口形態がぜひとも必要だと考えて、それならば平成27年6月に策定した和歌山県長期人口ビジョンにおいては、2060年という政府から指示があった年においては、県人口は70万人にしようという目標を掲げたところであります。
 本年3月に策定した和歌山県長期総合計画においても、同様の考え方に基づき、計画が終了する平成38年に89万4000人の確保を目指しております。
 議員御指摘のとおり、長期総合計画の目標を達成することは決して容易ではありませんが、今までよりも一歩も二歩も踏み込んだ人口減少対策を県民一丸となって全力を挙げて推進することで、これを達成したいというふうに考えてるわけであります。
 そのために、人口の自然減への主な対策としては、子供を産み育てやすい環境をつくるための子育て家族への経済的支援、仕事と子育ての両立支援等を進めることで、社会全体で子育てを支援する仕組みを強化しております。将来の自然減を緩和していくためには、これしか方法はないというふうに考えております。
 また、社会減への主な対策としては、若者の県外流出に一定の歯どめをかけることが重要であり、働く場所をふやす必要があるため、道路など公共インフラの充実に引き続いて取り組むとともに、県内産業の競争力を高め、あわせて積極的な企業誘致や創業、第二創業の促進にも取り組んでおり、また、一番初めに申し上げました若者に対して正しい情報を提供するということによって、その意思決定に少しでも影響を加えていきたい、そんなふうに思っております。
 また、防災、福祉、医療、教育などの生活の基礎となるサービスの充実にも取り組み、こういうところは地域の評判というところもございますので、誰もが安全・安心かつ快適に暮らせる地域をつくっていくことで、和歌山はいいところだというんで、じゃあ和歌山へ行こう、あるいは和歌山はやめようと思ったけど、それをやめよう、そういうことを考えてもらえるようにしたいと思っております。
 今後とも、計画に掲げた目標の達成度を注視しながら、人口減少対策を積極的に取り組んでいく所存でございます。
 一般に、困難に直面したときに頑張ろうという態度と、それから、大変だ大変だ、だめだだめだ、どうせ無理だというふうに言い募る態度がございます。仮に結果が100点満点でなかったとしても、前者の人ばっかりがいるところで達成された結果と、それから後者の人ばっかりがいるところで達成された結果というのは、多分物すごく違ってくるんじゃないかというふうに思います。
 これは、ちょっと差しさわりもありますが、国体で絶対優勝するぞと言い続けた知事のある県と、それから8位以内が目標ですということを言っていた知事の県の結果がそれを証明してるというふうに考えます。
○議長(尾﨑太郎君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 ありがとうございました。人口目標について、大変力強い御決意を聞かしていただきました。勇気が湧いてまいりましたと本当は言いたいところなんですが、やっぱりこれ、確実に、私もずうっと10数年前から人口問題というのを追っかけてまして、そんなに詳しくは、専門家ほど詳しくはないんですが、ただ本当に、これ確実に減ってきてるというの、私、手にとるようにわかるんですよ。
 先ほどは4月1日現在の人口が94万8260人と言いましたけれども、この質問の前に調査統計課で調べますと、既にこの9月1日現在で94万4966人、94万5000人をもう既に切ってるわけで、これはまだ減り方としては例年より少ないですけども、既に5カ月で3294人減少してるわけで、これが毎年8000人、9000人──ここ4~5年そうですが──下手すると1万人ぐらい減少してくるとどんな社会になるんかなということを、これは悪いとかいいとかいう問題じゃなしに、知事も県当局も、我々議員も、認識を新たにしなければいけないと、そのように思っております。
 それでは、次の質問に移ります。
 さて、今度は「読売新聞」に、ことしの7月の25日朝刊、和歌山版の見出しに、「『連携中枢都市圏』検討へ、和歌山市他4市町と施設利用や観光振興」というのがありました。これを見たとき、あれっ、これは私が以前、県議会、この場で提案さしてもらったもんじゃないかと思い、過去の自分の議事録を調べてみますと、ちょうど3年前の平成26年9月議会で質問しておりました。ここでも先ほど言ったとおり、人口激減・超高齢先進和歌山県について同じようなことを言っておりますが、少しだけ要約して読み返しますと、そのときの議事録なんですが、「私は、急激な人口減少という現実を広く県民の皆さんに情報提供し、危機感を持っていただくことは、大変意義があることだと考えております。しかし、むやみに危機感をあおるだけでは、県民の皆さんが将来に対して不安を持つということになりかねません。当たり前のことですが、それではどうしたらいいのか、対策を早急に練って県民の皆さんに提示していかなければならないと思います。 平成25年に、総理の諮問機関の答申で『地方中枢拠点都市圏構想』が出され、その後、要綱が制定されました。新たな広域連携モデル構築事業として、兵庫県姫路市など9つの市を中心に近隣市町村を含めた地域が指定される中、和歌山市自体に、この急激な人口減少問題についての認識が少々欠けているのではないか。だから、県が率先してこの問題を本当に危機として捉え、和歌山市だけではく、関係市町や県民の皆さんに強く働きかけていってはどうか」と質問したところ、当時総務省から出向していた市川総務部長からは、「和歌山市が地方中枢拠点都市の要件を満たすところでございます。したがいまして、和歌山市及び近隣市町に対して制度の情報提供や市町間での意見交換の場の設定など、地方中枢拠点都市圏構想の検討につきまして積極的に支援してまいります」ということでありました。
 そして、先日、和歌山市役所の企画課長を訪ね、この連携中枢都市圏について伺ったところ、このように今後のたたき台となる資料をいただき(資料を示す)、これは和歌山市、岩出市、紀の川市、海南市、紀美野町の5市町で、1、経済が元気で人々の生活が安定した活力ある圏域、2、高次の都市機能が集積したにぎわいのある圏域、3、安心で質の高い生活を営むことができる圏域など、目指すべき将来像について今後検討していくそうであります。
 本当にそのようになれば、皆、人口減少社会にあっても安心して生活できるようになると思いますが、そこで質問です。
 私が質問してここまで来るまで3年かかっておりますけれども、その間、県はどれだけ積極的に関係市町に働きかけたのか。また、これが実現することによって、読み上げたように本当に皆が安心して質の高い生活ができるような地域づくりになるのでしょうか。その点も含め、今後の県の役割について、総務部長、お答えください。
○議長(尾﨑太郎君) 総務部長浦上哲朗君。
  〔浦上哲朗君、登壇〕
○総務部長(浦上哲朗君) 和歌山市、海南市、紀の川市及び岩出市は、もともと平成24年から広域連携についての意見交換を行っておりましたけれども、平成26年5月に連携中枢都市圏に関連する地方自治法の改正が行われたことを契機に、和歌山市が県と一緒になって、海南市、紀の川市、岩出市、それから紀美野町を加えまして、広域連携の検討について呼びかけをいたしました。
 その後、平成27年3月に和歌山市主催の広域連携のあり方に関する意見交換会が立ち上げられまして、県はこの意見交換会の当初からオブザーバーとなってございます。これまで16回にわたる意見交換会が積み重ねられ、さらに事業担当者間での連携協議も始まるなど、関係する市町の努力によりまして連携の機運が高まりつつございます。
 連携中枢都市圏構想、これは圏域の中心都市が近隣の市町村と連携してコンパクト化とネットワーク化により、人口減少社会においても活力ある社会経済を維持するための拠点を形成すると、そういうことを目的としているものでございまして、その形成に当たっては、「そもそも中心都市も近隣市町村もそれ自体のみで存立できるものではないのだ」ですとか、「中心都市と近隣市町村が相互依存の関係にあることで成り立っているのだ」という認識を前提とした信頼関係が極めて重要であるというふうに考えてございます。
 しがたって、これまで県は、和歌山市と近隣の市町が丁寧な議論を重ねることができるように、先行圏域の取り組み状況など情報提供とか連携項目例の提示を行うなど、ファシリテーターとしての役割に徹してまいりました。
 今後も、県としましては、引き続きその役割に徹し、関係する市町の協議が円滑に行われて、関係する市町が目指す将来像がしっかりとした議論を経て実現できるように、情報提供や助言など必要な支援を行ってまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。
 これ、まだ実は和歌山市議会のほうでも議論してないということで、これ以上のことは申しませんが、和歌山市と関連4市町が連携することによって、お互いの経済や都市機能が向上し、さらに質の高い生活が営めるよう、県として力強いバックアップをお願いいたします。これは要望であります。
 さて、それでは3番目に移らしていただきます。
 私は、平成25年9月議会で初めて、和歌山に若者を定着させるために、阪和35分通勤快速電車を提案しました。もちろん少々非現実的な提案であったことは重々承知の上で、和歌山と大阪との通勤時間を35分にすることによって、住環境のよいこの和歌山に和歌山県出身の若者が帰ってくるだけではなく、他府県からも若者が和歌山市に移住してくる可能性があると確信し、質問したわけであります。これは決して私自身の思い込みではなく、現在、和歌山から通勤時間が長いので大阪に住み働いている息子さんや娘さんを持つ親御さんからもよく聞く要望であります。
 もちろん、和歌山から天王寺まで、現在、朝の通勤時間が平均71分かかっているものをいきなり35分にというわけにはいかないことはよく理解をしております。しかし、こんな話をすると、何人かの年配の方から「そういえば何年か前に自分が大阪に通ってるときは、和歌山─天王寺間が45分で行けたわなあ」という話も聞いたことがあります。
 また、違う視点から、JR和歌山駅を中心とするコンパクトシティーの実現のために、平成26年9月議会で南海本線をJR和歌山駅に引き込むことについて質問したところ、当時の野田企画部長は「積極的に取り組みます」と明言し、それが翌日の新聞にもこのように大きく報道され(新聞記事を示す)、私も支持者だけではなく一般の方から大変喜ばれましたが、その後、何度かこのことの進捗状況をただしても「なかなか難しい」の一点張りであり、「積極的に取り組む」と明言したにもかかわらず、進んでいないことだけははっきりしております。
 さらに、ことし2月議会で、これは質問ではありませんけれども、大阪の難波から梅田まで、幻の新線と言われたなにわ筋線が30年ぶりに脚光を浴び、大阪府、大阪市、JR西日本、南海電鉄で話し合いが進められているということを御紹介をいたしました。そしてこの5月には、この4者に阪急電鉄も加え、総事業費は約3300億円で平成42年度末、つまり2031年春完成を目指すという合意ができ、いよいよ動き出したという感があります。これができると、梅田から関空まで現在約1時間かかっているものが40分に短縮され、ますます大阪が便利になります。もちろん、これはインバウンド増加の影響もあることは十分わかっておりますけれども、和歌山県がまた取り残されてしまう可能性が出てきました。
 20数年前に関空が開港するとき、和歌山の人からよく聞かれたのは「どうせ和歌山は扇風機の裏側や」という自虐的な言葉でしたが、事実そのようになったと言っても過言ではありません。それは、鉄道1つとってみてもわかるように、JRも南海もいまだに和歌山から関空まで直通の電車が出てないことは皆さんよく御存じのとおりでありますし、また、関空から大阪までの電車がふえたばかりに、和歌山からの通勤時間の電車がJRでも南海でもそれまで以上に通勤時間がかかるという結果になっております。
 それだけに、平成42年(2031年)春にこのなにわ筋線が開通すれば、我が和歌山は扇風機の裏側どころか、若者が大阪方面にさらに流出していく、まるで掃除機の吸引口になる可能性さえ考えられます。それが最初に申し上げました「人口激減・超高齢先進和歌山県」に一層拍車がかかることも十分想像ができます。
 それでは、県は今後の人口減少を踏まえた上での和歌山─大阪間の通勤電車について、交通政策として何を具体化しようとしているのか、企画部長、御答弁よろしくお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 和歌山県と大阪府を結ぶ鉄道の利便性を向上させるため、県では、従前より阪和線の時間短縮についてJR西日本に対し継続的に働きかけを行っているところでありますが、1日平均の輸送密度が和歌山─日根野駅間の約3万7000人に対し、日根野─天王寺駅間は約15万5000人と4倍を超え、特に通勤・通学の時間帯である平日朝7時から9時台に天王寺駅に到着する列車59本のうち、日根野駅以北より出発する列車は29本と非常に過密な状態にあります。
 したがって、和歌山─天王寺駅間の時間短縮の実施については、過密状態にある日根野駅以北で運行本数を減らすといったダイヤ改正が必要となりますが、輸送密度の高い区間の運行本数を削減することは極めて難しいということでございます。
 時間短縮の問題を根本的に解決するには、平成27年9月議会で答弁させていただいたとおり、阪和線の複々線化による路線容量の拡大が必要でありますが、新たな用地の購入等莫大な経費がかかるため、実現は極めて困難と考えております。
 このような状況の中、少しでも利便性や快適性の向上につながるよう県から働きかけた結果、ICカードの利用駅の拡大や新型車両への入れかえ等が実施されております。
 人口減少対策につきましては、新しい長期総合計画にあるさまざまな分野での取り組みを通じてなされるものであり、交通政策単独で対応できるものではありませんが、今後も利便性向上のためにしっかりと取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、ありがとうございました。
 まさに扇風機の裏側になってる今の和歌山を実証というか、事実、日根野からの電車が非常に多くなったということは関空の影響があるということで、もちろんいい意味での影響、全て悪いというわけじゃないんですが、やはりこれも今後のこと、特になにわ筋線ができると私は和歌山がかなり打撃を受けると思うんです、うまく活用しないとですね。
 ただ、私はこの阪和35分通勤快速については、決して──難しいと思いますけども──諦めておりませんので、ぜひ県当局におかれましても、放っておくと今のなにわ筋線がさらっとそれいって、和歌山が今、新大阪まで環状線を通ってくろしおは行くようになりましたけれども、恐らく難波を通って梅田から直に新大阪に行く電車の路線にくろしおが乗ることはできないと思います、私は、今の段階ではね。
 まず、だから、そういったこともイメージしていただいて、県当局におかれましては事業者とも真剣に今後、議論をしていただきたい。それはぜひお願いしたいということで要望しておきますんで、よろしくお願いいたします。
 かわりまして、本年4月スタートの和歌山県長期総合計画の101ページにも明記されております「健康長寿日本一わかやま」の実現についてでありますが、これは私、これからの和歌山県にとって非常に大きな課題であると考え、平成24年9月議会で質問して以来、年に2回の質問で必ず取り上げてきて、これで連続11回目であります。知事初め当局の皆さんも、最初はそれほど大きな反応もなかったのですが、だんだん事の重大さを御認識されるようになり、いろいろな施策に取り組んでくださるようになったことは、大変感謝をいたしております。
 最近ではこのように「県民の友」、皆さんもごらんになったと思うんですが(資料を示す)、「県民の友」7月号に「『県政最前線』 みんなで運動!みんなで健康!」というように、特集まで組んでくださいました。特にこの裏面の「知事メッセージ」では、「県民の皆様へ 健康づくり県民運動」とまで発信され、県民の皆さんの意識喚起までされています。
 また、1つ前の「県民の友」6月号からは、福祉保健部の野尻健康局長の囲み記事で、このような形で(資料を示す)「健康長寿日本一をめざして~健康をめぐる現状の要因を考える~」と、そのような連載で今されております。きょう、ちょうど朝、自分の机のところに来ましたら10月号がここに配布されておりまして、この10月号の中にもやはり連載されておりまして、これで5回にわたり、和歌山県の現状と今後のあり方について、シリーズで大変わかりやすく述べられておりますので、ぜひ皆さんも御一読いただければと存じます。
 そこで、「健康長寿日本一わかやま」を実現する画期的な方法として、県はこの10月から健康づくり運動ポイント事業を行おうとしております。これは、以前この場でも御紹介しましたけれども、健康づくりのための運動効果のエビデンス(根拠)になっております、東京都健康長寿医療センターの青柳先生の提唱する「1日8000歩、20分速歩き」がベースになっております。このウオーキングを基本として、ラジオ体操やシニアエクササイズ、また自治会活動など、広範な運動や社会参加を和歌山県内で約3800ある全自治会単位で集計していこうという、まさに県を挙げての大型プロジェクトであります。
 前回、この政策を私は県が考える気宇壮大な事業であると絶賛しましたが、それは県独自の政策で全県的に県が主体となって全自治会へ落とし込んでいくという、今までほとんど前例がないものと考えるからであります。それだけに私も大いに期待し、前回、平成20年4月スタートの県長期総合計画ではかけ声倒れになってしまった「健康長寿日本一わかやま」の実現を、この10年間で本当に達成できるものと期待をしております。
 なお、10月からスタートする健康づくり運動ポイント事業については、全市町村への説明会を開催するとともに、各市町村自治会の総会において自治会長へ説明を行っていると聞いております。
 そこで、同事業を成功に導くためには、やはり2つの視点を持つという姿勢が大事であると私は思っております。それは、皆さんも御存じのとおり、鳥の目と虫の目からの視点であります。
 鳥の目とは、空の上から県全体を俯瞰することであり、また、各市町村、各自治会ごとの比較ができる目であります。そして、虫の目とは、現場を捉え足元を見詰めることであり、県民の皆さんの運動習慣の定着や運動能力の向上を図り、1人でも多く健康で長生きできる人をつくるため、各自治会の中にいかに指導員やスタッフを配置していくかという目を持つことであります。
 正直なところ、県では、そのような虫の目的な視点で細かく、ましてや市町村だけではなく自治会単位で人材育成はしてこなかったと思います。
 そこで、配付しておりますこの資料をごらんください。参考までに、和歌山市における42ある連合自治会単位の表をつくり、その中に単位自治会の数と人口、それに市が行っている民生・児童委員、スポーツ推進員の人数、さらに、これは私も含め、この議場にいらっしゃる議員の方も何人かなっておられますが、国の法務省の所管である和歌山保護観察所所属の保護司の人数をこの表に入れました。民生・児童委員は民生委員法及び児童福祉法、スポーツ推進員はスポーツ基本法、また、保護司は保護司法という法律に基づいて設置されているものであります。
 それらを参考にして、県が今まで進めてきた「健康長寿日本一わかやま」の実現のために育成してきた健康推進員、ラジオ体操指導者の人数を記載をいたしました。ごらんのとおり、健康推進員もラジオ体操指導者も日本一を目指す県にしてはまだまだ人員不足であることは否めませんが、10月から始める健康づくり運動ポイント事業を着実に実施するために、スタッフの配置を含めた取り組みについて、福祉保健部長、御答弁お願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 健康づくり運動ポイント事業は、地域コミュニティーに密着した健康づくりの取り組みであります。
 県といたしましては、自治会の参加を促進するためには、自治会長と連携して活動の取りまとめや報告をしていただくスタッフが重要であると考えております。そのため、スタッフの確保等について相談等があれば、市町村と協力しながら対応してまいります。
 また、健康推進員やラジオ体操指導員など、地域における健康づくりサポーターの方々にも事業への参加を広く呼びかけていただくとともに、若い世代の方にも率先して参加してもらえるよう、平成30年1月末から専用アプリを提供する予定でございます。
 今後とも、この事業が全県的に県民運動として展開できるよう積極的に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。
 現段階でこの表へのスタッフの配置は難しいようですので、ただ、健康推進員もラジオ体操指導者も人数目標を設定して初めて地域での実態が見えてくるわけですので、今の御答弁でもスタッフの配置を踏まえという答弁ですので、今後、人数をきちっと提示していただけるよう、続けて今後もこのことを質問してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それともう1つ、宮下教育長、これは決して人ごとではございませんので、ラジオ体操の指導者、今のところこういう感じでございますので、ぜひ御検証いただきたいと思います。これも要望でございます。
 次に移らせていただきます。
 皆さん、フレイルチェックという言葉を御存じでしょうか。お手元の資料をごらんいただければわかりやすく書いておりますが、これは8月21日、私1人で調査に行きました千葉県柏市でいただいた資料のコピーであり、もともと東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢先生が監修された資料の要約版になっております。
 まず、右上をごらんいただきたいんですが、「フレイルって何だろう?」と書いてますね。年をとって心身の活力(筋力、認知機能、社会とのつながりなど)が低下した状態を「フレイル」と言います。フレイルは「虚弱」を意味する英語「frailty」を語源としてつくられた言葉です。多くの人が健康な状態からこのフレイルの段階を経て、要介護状態に陥ると考えられています。
 その下のイラストのように、1人で自転車に乗れた健康な人が、だんだん足腰が弱くなりプレフレイル・前虚弱に、そして、つえをつくようなフレイル・虚弱になり、要介護・身体機能障害になるという非常にわかりやすい流れであります。
 ちなみに、次の健康寿命に大切な3つの柱は、ごらんいただければわかるように、栄養(食・口腔機能)、運動(身体活動・運動など)、そして社会参加(趣味・ボランティア・就労など)であります。これらに積極的に取り組むことによって、できるだけフレイルから要介護にならないように努めることで、そのための入り口としてイレブン・チェックというのが、あります。次のページの右側にありますが。例えば、栄養面ならクエスチョン1ですね。こういうちょっと大きなあれで、私自身このイレブン・チェックも受けたんですけども、このイレブン・チェックでありますが、栄養面では、1番目に書いておりますけれども、クエスチョン1「ほぼ同じ年齢の同性と比較して健康に気をつけた食事を心がけていますか」というような簡単なチェックの仕方があり、もっと簡単なものは、左側にある「指輪っかテスト」とあるんですけども、これも私やってみて非常におもしろいなと思ったんですが、両方の親指と人さし指で輪をつくり、きき足でないほう──私の場合、逆に左足のほうですね。左足のふくらはぎの一番太い部分を力を入れずに軽く囲むことによって、筋肉が衰える現象であるサルコペニアの危険性を調べることができます。これはすぐできますんで、また一遍やってみてください。
 これらのことを含めて、もっと詳しく講習を受けた一般の人たちがフレイルサポーターになり、より多くの人を集めてチェックをしていく健康づくりのための社会運動で、参加する一人一人にとって自分の今の状況がわかり、栄養、運動、社会参加などについて注意がいくようになります。
 実は現在、全国でモデル事業としてこのフレイルチェックを実施されている市町村があり、和歌山県でも昨年から紀の川市とかつらぎ町で行われております。ことしに入って2度、このフレイルチェックの提唱者であります東京大学の飯島先生が和歌山に来られ、私も2回ともお話をお聞きする機会があり、紀の川市で行われたフレイルサポーターが運営するフレイルチェックの会に参加し、自分自身の、先ほどのイレブン・チェックよりももっと深掘りのチェック度を示す──ちょっと細かいあれなんですが、こういうフレイル度を示すものがありまして、それによって参加した皆さんが今の状況がわかるということで、ワイワイガヤガヤやって楽しそうにフレイルチェックを受けておりました。
 また、ことし3月、私たちの改新クラブの県外視察で東京大学の高齢社会総合研究機構に飯島先生と助手の花王OBの神谷さんを訪ね、1時間お話を伺い、飯島先生の説明を皆、非常に興味深く聞いていただきました。
 さてそこで、「健康長寿日本一わかやま」の実現に向け、来年度以降、このフレイルチェックを、例えば健康づくり運動ポイント事業の入り口に取り入れ、その運動や栄養、社会参加の動機づけや成果の検証に取り入れれば、さらに参加者の意欲が向上し、効果を客観的に把握することにより、よりよい結果を期待することができると思いますが、福祉保健部長、いかがでしょうか。御答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) フレイルチェックは、東京大学高齢社会総合研究機構が高齢者のフレイルを自主的に判断する目安として考案したプログラムでありまして、平成27年度から全国4県12市町で実証事業を行ってきており、本県では、議員の御説明にありましたように、平成28年度から29年度にかけて、紀の川市とかつらぎ町が実施したところでございます。現在、実施データの集計や分析を行い、実用化に向けた検証を行っているところと聞いております。
 また、国では、高齢者のフレイルについて、自己チェックから健康管理や保健指導に至るまでの総合的な対策を検討している状況であります。その中で、自己チェックのツールとしまして、介護保険で使用している基本チェックリストを初め、チェック方法の活用などが検討されており、平成30年度には高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドラインが示される見込みとなっております。
 県といたしましては、国のガイドラインについて情報収集に努めるとともに、研究機構による実証事業の成果等の動向を見守ってまいります。
 なお、市町村の健康相談や保健指導において、筋力等の低下が見られる高齢者に対して行う運動指導の一環としまして、「みんなで実践!健康づくり運動ポイント事業」への活用を積極的に働きかけてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。
 実際に、現段階ではまだはっきりとした結果が出てないんで。ただ、紀の川市、かつらぎ町の内容をこれから十分連絡取り合って精査していただいて、御答弁にもありましたように、「みんなで実践!健康づくり運動ポイント事業」への活用を積極的に働きかけてまいりますということですんで、今後その取り組みについて注視をしたく思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。これは要望でございます。
 最後に、野菜フェスタについてお伺いをいたします。
 健康長寿を実現するための、先ほどのフレイルチェックのところでも述べましたように、大きな3要素は運動、栄養、社会参加であります。これは、皆さんもよく御存じのとおりであります。私自身、今までラジオ体操、紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンス、シニアエクササイズ、1日8000歩、20分速歩きのウオーキングなど、運動中心に当局とこの場で議論をしつつ、1つ1つ成果を上げてきました。
 それとは別に、以前からパームシティで年に1度、1500人から2000人規模の県主催、わかやま食と健康フェアをもっとスケールアップすべきと平成28年2月議会で訴え、昨年は場所をビックウエーブに変え、8000人規模の同フェスタを開催されたことは周知のとおりであります。その中には食、つまり栄養関係のブースも幾つかあり興味があったのですが、なかなかそこに重心を置いて質問することはなかったことは事実であります。
 また、それとは別に、フォルテワジマで民間の方が中心に運営している野菜フェスタというイベントを、ことし8月27日日曜日に初めて見学させていただきました。御存じの方もいらっしゃると思うんですが、このフェスタ、これはそのときのパンフレットなんですが(資料を示す)、このフェスタは元和歌山県立医科大学の学長で、現在、和歌山ろうさい病院の院長を務められている、糖尿病治療の権威でもある南條輝志男先生が中心になって開催されているもので、ことしで7回目で、今回8500人の集客があったということであります。
 このフェスタは全国初の試み、医、食、文、産──医は医療の医、食は食事の食、文は文化の文、産は産業の産ですね──のコラボレーションとして開催されたそうですが、野菜と健康に対する関心が年々大きくなってきているということでありました。
 また、基調講演の中で南條先生は、「野菜の摂取量と平均寿命は相関しますが、残念なことに、和歌山県人の平均寿命と野菜摂取量はともに極めて低い現状であります」と述べられており、これは各種のデータにも出ております。よく私は、一般の方に、「健康長寿日本一わかやま」の実現を目指していると訴えつつも、現状ではとてもそのような状況ではないし、要介護認定率全国第1位に象徴されるように、和歌山県民は体が弱いし、平均寿命も健康寿命も短い、その原因は何か──これは冗談半分に言ってるんですが──「運動しない、野菜食わない、検診受けない」の3拍子がそろっているんだというように伝えております。決してそれが外れていないということが言えるのではないかと思います。
 そこで、食育の県の担当課は果樹園芸課であり、農林水産部長にお聞きしますが、県として、長計の目標である「健康長寿日本一わかやま」実現のため、この10月29日日曜日にやはりビッグウエーブで開催されるわかやま健康と食のフェスタに、野菜フェスタの主催者である南條先生初め、「野菜でげんき・和歌山」応援隊の方々のそれこそ応援をいただきつつ、県民の栄養への意識も運動とともに高めていくべきだと思いますが、御所見をお聞かせください。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員お話しの野菜フェスタは、野菜の摂取量向上を通じ、県民の健康増進を図ることを目的に、野菜の持つ力を医学、文化、教育、生産面等多角的な視野から捉え、県民に啓発を行うイベントで、平成23年より毎年、民間主導で開催されております。
 本フェスタには県も参画し、食育の啓発等を行っておりますが、講演やトークショーのほか、園児、児童の絵画や標語の作品展示を行うなど、多くの人に参加してもらうための工夫を毎年凝らしており、回を重ねるごとに来場者も増加し、すばらしい取り組みであると考えております。
 昨年、県が開催したわかやま健康と食のフェスタでは、健康づくり優良市町村の表彰や健康推進企業の認定に加え、県産食材を使った料理の展示、試食を行うとともに、園児、児童のポスター展示を行うなど、より多くの県民に参加していただけるような内容としたところであります。
 食と健康というキーワードで啓発し、PRすることは、県産農産物の販売促進を図る上でも意義のあることと考えており、本年10月29日に開催するわかやま健康と食のフェスタでは、「野菜でげんき・和歌山」の応援隊の方々からアドバイスをいただき、さらに魅力的なものとなるように努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。
 「わかやま健康と食のフェスタでは、『野菜でげんき・和歌山』応援隊の方々からアドバイスをいただき、さらに魅力的なものになるように努めてまいりたい」との御答弁、大変うれしく思っております。
 最後になりますけれども、この質問の最初に申し上げましたとおり、人口激減・超高齢先進和歌山県が、これから5年、10年たつと、もっとその姿がはっきりとしてきます。しかも要介護認定率全国第1位という状況の中で、「健康長寿日本一わかやま」を目指す政策を進めることは、決して個人の喜びだけではなく、社会の活力を維持するためにも本当に大事なことだと私は確信をしております。
 それだけに、この「健康長寿日本一わかやま」に関係する政策を今後も貪欲に取り入れ、県民の皆さんが主役として実践してもらえるよう、知事初め県当局の皆さんのリーダーシップの発揮を心よりお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時47分休憩
────────────────────
  午後0時59分再開
○議長(尾﨑太郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 あれほど暑かった夏も過ぎ、気がつけば朝夕がめっきり涼しくなってまいりました。まさに秋の気配を感じます。
 改めまして、皆さんこんにちは。自民党県議団・山下直也でございます。19日から始まった一般質問も、私が最後となりました。先輩・同僚議員の皆様、連日の御精励にてお疲れと存じますが、どうかあとしばらくおつき合いをいただき、また、知事初め県当局の皆様には、何とぞ前向きな答弁をよろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、ただいまから質問に入らせていただきます。
 今回は、5つの項目について質問させていただきます。
 1点目であります。拉致問題についてであります。
 去る9月19日、台風18号が接近しておりましたが、そんな中、東京都千代田区平河町の砂防会館別館において、拉致問題地方議会全国協議会の幹事会、また、引き続き行われました「今年中に全拉致被害者の救出を!国民大集会」に、北朝鮮に拉致された日本人の救出のために行動する和歌山県議員の会の会長として、岸本副会長とともに出席をいたしました。
 ジャーナリストの櫻井よしこさんの司会にて開会されたこの大会は、飯塚繁雄家族会代表と平沼赳夫拉致議連会長の主催挨拶、安倍晋三内閣総理大臣、政府拉致問題対策本部長からの挨拶、各党の代表挨拶、北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会会長の上田埼玉県知事、会長代行の米山新潟県知事の挨拶、そして家族の皆様の訴えと続き、最後に参加者一同による決議を行い、午後5時前に閉会をいたしました。
 今議会において、一般質問で北朝鮮によるミサイル発射のことが取り上げられておりますが、私は国民大集会に参加し、ミサイル発射に係る問題への対処、国際連携の強化は進めつつ、何よりも北朝鮮からの全被害者救出を早期に実現するために、我が国として拉致という絶対に譲れない最優先課題があることを拉致問題地方議会全国協議会も、そして北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会も、ともに表明し続けなければならないことを強く感じたところであります。
 そこで、拉致問題について知事の所見をお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本年は、横田めぐみさんらが拉致されてから40年、拉致が判明してから20年、北朝鮮が拉致を認めてから15年となります。発生から長い年月がたつ中、拉致被害者やその御家族も御高齢となっており、問題の解決には一刻の猶予も許されないと思います。拉致被害者の御家族の気持ちを考えると、深い悲しみと大きな怒りを感じます。
 だんだんと本件の問題について私も勉強をいたしましたが、警察や検察、政府、世論が毅然とした態度を初めから示していればと、今さらながら思います。と同時に、当時、北朝鮮はいい国だからそんなことはするはずがないと主張したり、あるいは、事を荒立てるようなことは殊さら避けたいというようなことをしてきた責任のある地位にいた人は何と言うのだろうというふうに思います。戦後の対立的なことは殊さら避けて目をつぶろうという風潮が生んだ、最も悲劇的な事件だろうと私は思います。
 北朝鮮による弾道ミサイルの発射により朝鮮半島情勢に緊張感が高まっている中で、本年4月には、北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会において、安倍内閣総理大臣に対し、拉致問題の解決に向け、有事の際には拉致被害者等の救出及び安全確保にあらゆる手だてを尽くすことなどを緊急要請したところであります。
 安倍総理におかれては、伝えられるところによると、この問題を忘れては困るということをアメリカの大統領に今回言うてくれたように伝えられていて、それについては大変評価をしたいというふうに思っております。それがトランプさんのあの発言になったんじゃないかなというふうにも推測されます。
 本県としては、知事の会での活動を初め、関係機関とも連携を図り、ポスターや県広報紙、広報番組を活用したさまざまな啓発活動を実施するなど、拉致問題の早期解決を訴えてまいりたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事、御答弁ありがとうございました。
 拉致問題につきましては、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律第3条で、「地方公共団体は、国と連携を図りつつ、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民世論の啓発を図るよう努めるものとする。」、そう規定されております。県当局と県議会が両輪となり、拉致問題に対するさらなる意識の向上を図っていくことを要望いたしまして、1点目の質問を終わります。
 2点目、本県で必要なサービスを維持していくための外国人の雇用についてであります。
 第2次安倍内閣が発足し、経済政策、景気対策が最優先で実施されて以降、有効求人倍率等の指標から判断すれば、雇用情勢は着実に向上しております。
 しかし、雇用に関しましては、特定の分野で、ハローワーク等で求人するものの人材が集まらないといった状況も見受けられます。国は、人材不足が顕在化している職種の中で、政策的理由から介護、保育、看護、建設を重点4分野と位置づけ、人材確保や育成策を平成27年度から実施をしておりますが、依然として人材不足が深刻な分野もあると思われます。
 まず、本県における重点分野の人材不足の状況について、商工観光労働部長にお伺いをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 本県における国の重点分野の人材不足の状況についてお答えいたします。
 厚生労働省が実施している職業安定業務統計の職業別一般職業紹介状況によりますと、平成28年度の和歌山県のパートタイムを含む常用の有効求人倍率1.08倍に対して、全国では1.25倍となっております。重点分野の有効求人倍率につきましては、例えば、本県の介護サービス2.42倍、建設2.69倍に対し、全国は介護サービス3.18倍、建設3.49倍で、重点分野に位置づけされている職業については全国と比較して低くなっていますが、他の分野の有効求人倍率と比べますと、本県も全国と同様に高く、求人が多いものの求職者は少なくなっており、人手不足の状況と推察されます。
○議長(尾﨑太郎君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 部長、答弁ありがとうございます。重点分野について求職者が少ない状況が理解できましたので、次の質問に移ります。
 外国人材の受け入れについてお伺いをいたします。
 私の知り合いの事業者の中には、国内での人材確保が困難な中で、人材を海外に求める、そういった動きも出てきております。本県は他県よりも高齢化が進行しており、介護や看護人材の確保は、県民サービス供給体制維持の観点から重要な問題であると考えます。
 また、本県への外国人観光客の増加に伴い、多言語に対応できるようなサービスを提供できる人材の確保もまた必要になると考えます。
 国が発表した外国人雇用状況の届け出状況では、平成28年10月末時点での外国人労働者数は全国で100万人を超え、4年連続で過去最高を更新しております。しかし、他の都道府県と比較して、本県の外国人労働者数は1998人と極めて少ない状況であります。
 県民サービスの維持や地域活性化の観点から、人材不足の解消は重要であると考えますが、国の働き方改革で取り組むこととしている外国人材の受け入れについて、商工観光労働部長にお伺いをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) 労働力人口の減少という構造的な問題に対応するため、国では、ことし3月に働き方改革実行計画をまとめ、具体的な施策や今後の行程が示されたところです。
 現在、議論が進められており、計画の1つに掲げられた外国人材の受け入れについても国民的コンセンサスを踏まえ検討を進めるとされており、今後、介護や建設など、重点分野における人材確保の1つの策として、外国人材の受け入れが視野に入ることも考えられます。
 しかしながら、大量の外国人材を安い賃金で雇用することにより、日本人の雇用や賃金への影響があることに加え、機械化の推進等コストを下げるための企業経営努力の低下が懸念されるなど、悩ましい問題もあります。国においても、このようないろいろな問題があり、逡巡しているものと思われます。
 一方で、議員御指摘の多言語対応が必要なホテル業務やIT分野など、高度なスキルを有する外国人材の受け入れについては、今後、さらに必要性が増すものと思われます。
 本県におきましては、和歌山労働局とともに労使団体も参加した和歌山働き方改革会議を立ち上げており、外国人材の受け入れを含む働き方改革について、労使双方の意見をしっかり聞きながら進めてまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 部長に御答弁をいただきました。
 県民に必要なサービス維持のため、外国人材を受け入れる場合、外国人が住みやすい環境づくりに留意する必要があります。これまでも他の議員から質問いたし、医療や教育など、支援の充実を図らなければならない点につきましては、私も十分認識をしているところであります。
 国、総務省では、多文化共生事例集を作成し、全国の優良事例を紹介しております。多言語・「やさしい日本語」による情報提供などのコミュニケーション支援、教育や防災等の生活支援、多文化共生の地域づくり、地域活性化やグローバル化への貢献等、さまざまな支援策が紹介されており、本県の取り組みとしては、公益財団法人和歌山県国際交流協会とNHK和歌山放送局が実施する「Let''s study BOSAI」という外国人のためのワークショップが事例として掲載をされております。
 この事例集等も参考にし、外国人が共生できる環境整備を一層進めていただくよう要望し、2点目の質問を終わります。
 3点目、農業についてであります。
 AI及びIoTを活用した農産物の生産及び販売促進についてお伺いをいたします。
 本県の特色ある産業として、恵まれた自然条件を生かした農業が挙げられます。本県の農業は、他の都道府県と比較して、農業産出額の約6割を果実が占めており、果樹王国和歌山として広く認識されております。みなべ・田辺の梅システムとして世界農業遺産に指定されている梅や、生産量で全国の1、2位を争うミカンや柿など、品質やブランド力にすぐれた農産物が栽培されています。
 しかしながら、2015年農林業センサスのデータによれば、平成27年の県内の農家数は2万9713戸で、平成22年の3万3799戸から5年間で4086戸、農家数が減少しております。また、新規就農者数は、ここ数年、横ばいの状況が続いております。さらに、経営規模が1ヘクタール未満の農家が全体の7割を超えており、農林水産統計年報によれば、農家所得も226万3000円と減少傾向で、厳しい農業経営の実態を反映しております。
 厳しい農業経営環境の中で、農家の減少に歯どめをかけ、全国に誇る本県の農業を守り続けていく必要があります。本議会の一般質問でも、我が党の玉木議員から、果樹農業の将来について質問をいたし、農場でのドローンの活用等、当局の見解を伺ったところであります。
 私は、農業の生産性や収益性の向上こそが、先ほど申し上げた諸課題の解決につながるものと考えております。
 本県の長期総合計画では、現在の産業を取り巻く状況は、AI、IoT、ロボット等の先進技術の進展等、これまでにないスピードで目まぐるしく変化しており、県内産業の発展のためにはこうした変化をチャンスと捉え、時代の一歩先を見据え、絶えず変革し続けることが必要であるとしておりますが、私は農業においても、AI及びIoTといった先進技術を活用し、流通段階における配送ルートや出荷地のコントロールによる物流の最適化や、流通・販売段階における過去の実売データに基づく詳細な分析、需要予測等を農家に還元することにより、生産性や収益性の向上を図ることができると考えております。
 流通・販売段階におけるデータを活用した農家の支援について現在どのような取り組みが行われているのか、また、データ分析、予測に係るAI及びIoTといった先進技術の今後の利活用について、農林水産部長にお伺いをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 流通・販売段階におけるデータを活用した農家への支援につきましては、県では現在、国内外への販路開拓、販売促進を展開する中で、消費者が求める嗜好、品質、価格などのさまざまな情報を収集、蓄積しており、必要に応じ農家を含めた事業者に対して、これらの情報を可能な限り提供しております。
 また、国内外の大型展示会や商談会への出展を支援することで、事業者みずからが流通・販売段階でのデータを収集できる機会についても提供しているところであります。
 議員御指摘のとおり、流通・販売段階におけるデータなどをAI及びIoTを活用し、詳細に分析、需要予測して農産物を生産、販売することは、効率性、収益性の向上を図る上で有効な手段の1つと考えております。
 AI及びIoTといった先進技術の今後の利活用につきましては、現在国において検討が進められているところであり、県といたしましては、そういった国の進捗状況を注視しながら、県にとって有益なシステムの導入等について研究してまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 部長、答弁ありがとうございます。
 農家が未来に向けて希望の持てる環境を整えることが、和歌山ブランドの維持、向上につながるので、進取の気性を持つ県民、県として先進技術の活用に積極的に取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移ります。
 先進技術に対応できる人材育成についてお伺いをいたします。
 ことし4月に改編された和歌山県農林大学校は、これまでの農業大学校から履修コース及びカリキュラムの見直しを行い、農学部と林業研修部の2部構成となっております。このうち、農学部は、定員30名の園芸学科と定員10名のアグリビジネス学科から成り、特にアグリビジネス学科では、昨今の多様化する農業ビジネスや6次産業化に対応できる人材の輩出を目的としております。
 今後、農業の生産性や収益性の向上を図るためには、データを活用したAI等の先進技術が欠かせず、農家を支援する側はもとより、農家自身も先進技術に対する理解を深める必要があると考えます。
 このような中で、AI等の先進技術に即応できる人材の育成は急務ではないかと私は考えており、農林大学校において、こうした先進技術に関するカリキュラムを導入することについて、知事の考えをお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 農業分野においても、AI等の先進技術に対応できる人材の育成が必要であると考えております。
 現在、農業生産の現場において、土壌水分や光、温度などをモニタリングし、作物を最適環境に保つことで高品質安定生産につなげる技術などが施設園芸の分野で進みつつあり、オランダではこういった技術が積極的に導入されています。これら先進技術の調査を行うため、現在、農業の専門職員をオランダに派遣しておりまして、帰国後、農林大学校の学生にも講義することにしております。
 また、国や民間企業において、AI等を活用して熟練農家の技術やノウハウをデータ化し、新規就農者でもすぐ活用できるような生産システムや収穫ロボットの開発等が進められており、こうした技術についても、開発状況に応じ、講義の中で積極的に取り入れ、次代の和歌山県農業を担う経営感覚にすぐれた人材の育成に取り組んでまいります。
 また、農業だけではないと思いますけれども、ほかの産業も全部含めて、こういうAIのちょっとレベルの高いところの技術その他を習熟していただくベースとしては、農業に従事する人、あるいは製造業に従事する人、サービス業に従事する人、全部、ITに対する基本的な知識と、そして技術と、そういうものを若いうちから身につけておいたほうがええなあというふうに思う次第でございまして、これは教育問題として今後それも取り組んでいきたい、そんなふうに思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事、ありがとうございます。
 オランダへの先進技術調査が実り多いものとなることを願ってやみません。より高度な知識、技術を習得した人材の育成ができれば、農林大学校の評価や人気も高まると思います。
 ちなみに、奈良県では、奈良県立なら食と農の魅力創造国際大学校において、飲食サービス業界で活躍する人材を育成するためのフードクリエイティブ学科を設置し、農業実習等を取り入れた深く幅広い知識の習得を目指しています。
 先ほど申し上げましたように、梅やミカンなど、本県が全国に誇る農産物の生産者を絶やさないためには、農業の生産性や収益性を向上させる必要がありますので、先進技術に関するカリキュラムを充実させるなど、農林大学校の特色が出せるよう、さらに取り組んでいただくことを要望いたします。
 次の質問に移ります。4点目、がん対策についてであります。
 まず、第2次和歌山県がん対策推進計画についてお伺いをいたします。
 本県では、がんによる死亡率が高く、予防、医療及び相談支援といったあらゆる対策が必要であります。平成24年12月、座長を務めさせていただきましたが、先輩・同僚議員の御意見をいただきながら、議員提案による和歌山県がん対策推進条例を制定させていただきました。
 条例制定当時、平成22年の本県におけるがんの75歳未満の年齢調整死亡率は91.8、全国ワースト4位であったと記憶をしております。
 条例制定から年が明け、平成25年4月に第2次和歌山県がん対策推進計画が策定されました。その後、県当局は計画に基づき、がんに関する取り組みを種々実施しており、取り組み状況については、和歌山県がん対策推進条例第31条に基づき、県議会に年次報告書を提出いただいているところであります。
 私といたしましても、条例制定、推進計画策定までの「がん対策に関してできることは全てやる」という思いは、その後も強く持ち続けており、重粒子線治療、陽子線治療やBNCTなどの高度医療導入に係る研究や、治療と仕事の両立の方法などをまとめた和歌山市の社会保険労務士の方が発刊された書籍を県立高等学校の図書館に設置し、情報発信に取り組んできたところであります。
 そのような中で、現行の第2次和歌山県がん対策推進計画については平成30年3月までの計画となっていることから、次期計画を策定する時期に差しかかっていると認識をいたしますが、まず、現行の第2次和歌山県がん対策推進計画の全体目標の成果について、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 県では、第2次和歌山県がん対策推進計画を策定し、がんの75歳未満年齢調整死亡率を平成17年からの10年間で25%減少させる全体目標を定め、がんの予防と早期発見、がん医療の充実、がん登録など総合的ながん対策に取り組んでまいりました。
 その結果、本県の平成27年の75歳未満年齢調整死亡率は人口10万人当たり80.3となり、平成17年の98.5と比較し、減少率は18.5%となっております。これは全国の減少率である15.6%を上回り、全国で7番目に高い減少率となっており、これまでの取り組みの成果があらわれてきているものと考えております。
 引き続き、がんによる死亡率を減少させるため、がん対策を推進してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま部長に御答弁いただきました。全国で7番目に高い減少率とお伺いいたし、条例制定や推進計画策定の意義は大きいと改めて感じているところであります。
 次の質問に移ります。
 次期第3次和歌山県がん対策推進計画についてお伺いをいたします。
 全ての県計画の考え方のもととなり、10年後の和歌山県の将来像を描いた和歌山県長期総合計画が本年4月に策定されております。
 がん対策につきましても、「命を守る医療の充実」の項目に位置づけられ、進捗管理目標として、がんの75歳未満年齢調整死亡率とがん検診受診率の目標値が掲載されております。がん検診受診率につきましては70%ということで、現状よりかなり高い目標値が設定されており、対策に関しての県当局の意気込みが伝わってくるようで、長年がんの問題に取り組んできた私といたしましても、大いに評価をしたいと思います。
 一方、がんの75歳未満の年齢調整死亡率につきましては、国が定める目標値を達成することとされています。県計画を策定するに当たり、1つの指針となるのが、国が策定する次期がん対策推進基本計画であると思います。
 聞くところによりますと、国の次期がん対策推進基本計画の策定がおくれているとのことでありますが、現時点で国の計画はどのようなものになるのでしょうか。また、国において、75歳未満のがんの年齢調整死亡率の目標はどのように定められるのでしょうか。
 国の次期計画が定められていない中、県の次期計画の詳細については今後の検討事項だとは思いますが、県の第2次がん対策推進計画の全体目標に位置づけられており、また、県の長期総合計画の進捗管理目標でもある、がんの75歳未満年齢調整死亡率に関してはどのように取り扱うお考えなのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 国の次期がん対策推進基本計画案では、国民ががんを知り、がんの克服を目指すため、科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実、患者本位のがん医療の充実、尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築の3つの柱を全体目標と位置づけています。
 国においては、がんの75歳未満年齢調整死亡率に関する具体的な数値目標の設定を見送るとしていますが、本県におきましては、がんによる死亡率の減少は重要であると認識していることから、県の次期がん対策推進計画の全体目標の1つとして、がんによる75歳未満年齢調整死亡率の数値目標を定めることとしております。
 今後とも、和歌山県長期総合計画の目指す方向である「がんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会」の醸成に向け、総合的ながん対策に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 御答弁をいただきました。
 がんの死亡率につきましては、県当局はもとより、関係各位の御努力や、またIMRTといった医療技術の進歩によって死亡率は減少傾向にありますが、ある意味では、これからまた受動喫煙等の取り組みについても考えていかなければならない問題であると認識をいたしております。
 医療の充実に関しましては、大阪府では、大阪府立成人病センターがことしの春から大阪国際がんセンターとして運営されており、患者のがんストレス軽減を念頭にケアを行っていると聞いております。また、大阪重粒子センターが現在建設中であり、来年度から治療開始と聞いております。
 医療の進歩や供給体制は年々変化していきます。その変化を注視しながら、本県としては、まず専門看護師の確保やIMRTを操作できる技師等、人材の確保に取り組むことが重要であると考えます。
 このほか、若年者にとっては、がん患者の就労の問題というのは依然重要な問題であると認識をしております。県当局としても、引き続き、がん対策に関し、できることは全てやるという姿勢で取り組んでいただきたいことを要望させていただきます。
 最後の質問、児童虐待についてお伺いをいたします。
 児童虐待につきましては、一昨日、藤本議員が一般質問を行ったところでありますが、先月、昨年成立した改正児童福祉法の家庭養育原則を具体化する新しい社会的養育ビジョンが示されましたので、私からも児童養護施設等の現場の声を踏まえ、質問をさせていただきたいと思います。
 県がことし5月に発表した平成28年度和歌山県内における児童虐待相談の状況について、平成28年度中に県内の2つの児童相談所が受け付けした虐待相談の件数は、前年度より230件増加し1123件であり、調査を開始して以降、初めて1000件を超えました。
 虐待別では、言葉による虐待などの心理的虐待が481件と最も多く、全体の約4割を占め、前年度よりも134件も増加しております。また、被虐待者は小学生が364件と最も多く、2歳児以下の件数も229件となっております。非常に気になるところであります。
 相談件数が増加していくこと自体を憂慮する一方で、児童虐待を顕在化させ、家庭や子供を早期に救うためには、まず相談する意識を持ってもらうことが必要であり、県民の皆さんの意識の向上が相談件数の増加につながっているという見方もできるのではないかとも考えます。
 しかし、現時点において、深刻な事案が存在しているのも事実であります。深刻な虐待を受けた児童を支援するため、県内の児童養護施設がこれまで果たしてきた役割は極めて大きいものであったと考えますが、質問の冒頭でも述べたとおり、国の新たな社会的養育の在り方に関する検討会は、8月に新しい社会的養育ビジョンを発表いたしました。
 内容は多岐にわたっておりますが、児童養護施設にかかわることとしては、子供や家庭を地域で支援するために、ソーシャルワーク体制を整え、基本的に社会的養護を必要とする子供は、在宅で支援することとしています。その上で、親子分離をせざるを得ない子供につきましては、施設ではなく、里親を中心とした家庭養育を基本とし、この実現のために、3年以内に就学前児童の乳児院、児童養護施設への入所を停止すること、3歳未満児は5年以内、それ以外の未就学児は7年以内に里親委託率を75%以上にすること、学童期以降の児童は10年以内に里親委託率を50%以上にすること、2020年までにフォスタリング機関──これは里親への包括的支援体制でありますが、そのフォスタリング機関事業の全国的な整備を完了することが目標として設定されております。
 この目標が示しますように、新しい社会的養育ビジョンでは、今後、社会的養護を必要とする子供は、施設ではなく里親を中心とした家庭養育の推進により支援していくこととしておりますが、里親の委託率は、全国で平成27年度で17.5%、県内の里親の委託率は、平成28年度末で19.1%であるとお伺いをいたしております。
 新しい社会的養育ビジョンで示された委託率の目標と大きな開きがあると思いますが、県として里親委託をどう推進していくのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 家庭的な環境のもと、愛着関係を育みながら児童を養育する里親制度は、児童の健全な育成を図る上で大変重要であると考えております。
 県では、この里親制度を推進するため、平成24年度に里親支援機関を紀北地域に設置するとともに、本年2月には、県内2カ所目となる支援機関を紀南地域に開設し、県民に対し、里親制度の普及啓発に精力的に取り組んでいるところでございます。
 議員の御質問にありましたように、新しい社会的養育ビジョンにおいて、3歳未満児は5年以内に、それ以外の未就学児は7年以内に里親委託率75%の達成を目指すとされています。年齢区分の関係で単純に比較はできませんが、全年齢を対象とする現在の国の目標値である平成31年度の22%や、平成27年度の全国値17.5%と比較しても、非常に高い数値であると認識しております。
 今後とも里親委託を推進するため、児童委員研修会における周知依頼や市町村の広報紙の活用など、新たな人材の確保についての働きかけを行い、里親登録が増加するよう積極的に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 答弁ありがとうございました。
 里親委託も増加しているということでありますが、やはり検討会が提言した目標値とは大きな開きがございます。新しい社会的養育ビジョンを受けての国の方向性について注視し、県の現状を踏まえ、国に対し、言うべきことは言うというスタンスで臨んでいただきたいと思います。
 次の質問に移ります。里親への支援体制についてお伺いをいたします。
 里親委託を進めていくためには、数の充足だけではなく、里親による支援の質を高めていくことも必要であると考えます。現在、県内には里親支援機関が上富田町と岩出市の2カ所にありますが、今後、里親委託を推進するとすれば、里親支援機関の役割は大変重要になってくると考えます。
 県として、里親支援機関の機能強化をどう図っていくのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 里親支援機関は、里親の方々にきめ細かく支援を行う機関として里親登録から児童の自立支援までの一貫した支援を実施しており、里親委託を推進する上で非常に重要な役割を担っております。
 具体的な業務としましては、県民に対する里親制度の普及啓発を初め、里親に関心のある方々に対する里親相談会の開催、里親登録時の事前研修や里親家庭への相談支援などを実施しており、里親に寄り添いながら、安心して児童を養育できる環境づくりに努めているところでございます。
 今後、県といたしましては、社会的養育の重要性を訴えた広報啓発の強化を初め、里親家庭への定期的な訪問相談の開始、養育を始めた里親への段階的な研修の実施など、委託内容を充実させ、里親支援機関の機能を高めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 御答弁いただきました。
 里親委託率を向上させるならば、里親支援機関の役割は、広報はもとより、里親への相談体制の充実等、そういう部分が負うところがかなり大きくなると思われます。支援機関の機能強化につきましても、国の動きを見ながら適切に対応していただきたいと、この場で御要望させていただきたいと思います。
 次に、児童養護施設の役割についてであります。
 国の施策が新しい社会的養育ビジョンに基づくものとなるのであれば、行政の努力はもとより、児童虐待、里親制度等に係る県民の意識の向上を一層図っていかないと困難ではないかと考えます。
 そもそも、児童養護施設の役割というものを県はどのように考え、今後、児童養護施設に何を求めるのか、最後、知事にお伺いをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 児童養護施設は、児童虐待等さまざまな事情で家庭で暮らすことのできない児童を、児童相談所による一時保護から受け入れ、公的な責任のもと養育する施設であります。
 児童が受けた心身の傷を癒やすため、心理士によるカウンセリングを行うほか、児童一人一人に合わせて作成する自立計画に沿った生活上の支援を行うなど、児童養護施設は、児童の生活全般に親身になってかかわる、児童が自立するためのよりどころと考えております。
 家庭的な環境のもと、愛着関係を育みながら児童を養育する里親制度は、児童の健全育成を図る上で大変重要であり、県においては、今後、里親委託をさらに推進することとしております。
 しかしながら、社会的養護を必要とする児童の中には、近年、身体的な虐待だけではなくて、心理的虐待による不適切な養育経験を持つ児童や、発達障害等の障害を持つ児童など、里親制度では対応が困難な場合もある児童が増加しております。
 こうしたことから、今後とも児童養護施設については、児童指導員や保育士、心理士など専門性を持つ職員が配置され、高度専門的な手厚いケアを集中的に提供できることから、家庭環境での養育が困難で、特別なケアを必要とする児童の受け入れ先となるものと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事、御答弁ありがとうございました。
 私も、新しい社会的養育ビジョンの趣旨は十分理解をいたしておりますが、県内の社会的養育支援の現状を十分に踏まえた上で、児童養護施設とも連携しながら今後とも取り組みを進めていただきたいと、そのことを御要望申し上げ、質問を終わりにしたいと思います。
 なお、今、知事の答弁の中で発達障害という言葉が出てまいりました。非常にこれも気になる課題の1つであります。昨今、新聞やテレビ等々でも、この発達障害のいろんな例や発達障害についての議論が出てまいりました。私も大変気になり、次のまた議会の機会があれば、この発達障害についてもまた一度県の皆さんと議論をさせていただきたい、そのように考えております。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾﨑太郎君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第152号から議案第164号までは所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。9月25日及び26日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾﨑太郎君) 御異議なしと認めます。よって、9月25日及び26日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、9月27日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時44分散会

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