平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、通告に従って一般質問させていただきます。
 まず1項目めは、太陽光発電所建設のあり方について質問をさせていただきます。
 これまで、昨年の12月議会から毎議会、和歌山市の和泉山脈に計画されている太陽光発電所計画にかかわる質問をさせていただきました。知事は、地元同意がなければ申請を受け付けないとおっしゃってくださいました。大変心強く思っています。
 住民の皆さんの中には、この計画が明らかになってから大変なストレスを感じながら毎日生活を送っていらっしゃる方々がおられます。事業者から説明を受けても計画そのものへの不安や疑問が解消されないまま、自治会内での賛否の問い方などにも問題が生じ、隣近所で今まで笑顔で挨拶をしていたのに、顔をそむけられたり、言えないような心ない言葉を耳にすることなど、精神的な苦痛を受けています。
 かつて、1988年4月──29年前です──今の太陽光発電所計画地を含む場所に総面積324万8000平方メートル、約100万坪、甲子園球場80個分がすっぽり入るほどの森林が、ゴルフ場や宅地開発のため、県に事前協議の申請が提出されたことがあります。翌年、いずみ山系の開発を考える会がつくられ、住民がどのような思いで闘ったかが記されている本を見させていただきました。「有功の山を守ろう『乱開発にたちむかう10年の歩み』」、2000年12月に発行されています。この寝耳に水の開発計画を知ることによって住民が立ち上がり、事業者が住民に対してきちんと説明を行わず、協力金で事を進めようとした姿勢に住民の怒りが広がったと書かれています。
 1993年9月、大阪地検が県、市及び事業者などを国土法違反、所得税法違反などで強制捜査し、95年には会社社長らに有罪判決が下されました。97年には県は開発許可を出したため、98年に住民は提訴しました。その後、2000年まで11回の裁判が続きます。その間、99年5月には会社は倒産しました。この住民の長い闘いは、幾つもの難問を乗り越え、有功の山を守ることができました。
 本の冒頭に住民代表の方の挨拶文があります。少し御紹介させていただきます。
 「我々の暮らしている周りには裏山があるのが普通であり、これを里山と呼び、かつては日常使う燃料を補給してくれる山として、あるいは、日常生活に必須のタケザオやヨシを供給してくれる山として利用してきた。しかし、これらの必要性が弱まり、裏山を今度どう利用して行くべきかを、環境問題との関わりの中で見いだしていかなければならない重要な時期にあるのが現状で、我々がこの問題にどう取り組み、どう処理しようとしたかを記録しておくことは、20世紀の終わりにあたり、必要不可欠であると感じているからである。 里山をどう位置づけ、どう利用していくかが非常に重要な問題の一つとなり、次の世代を担う21世紀のはじめの世代の宿題となると考える」と述べられています。
 事業者も含め、それぞれの立場で、今、再びその宿題を考えるときだと痛感をしています。
 昨日は雑賀議員も企業の倫理について質問されていましたが、本事業者も、6月議会で片桐議員から、開発に同意する自治会とは協定書を締結し、協力金を支払うという資料を配布し、地元同意を得ようとしていることが紹介されました。先月、業者により「Q&A集」というパンフレットが4000部近く各戸に配布されたと聞いています。その中に、皆様のお手元にあります「和歌山市メガソーラー計画に関するQ&A集」、これが挟み込まれていました。
 パンフレットは、このように6ページ立てになっておりまして、(資料を示す)いろいろな疑問の特徴的なことを挙げ、それについて説明をしているというものです。これに挟み込まれていたわけですが、この中で一瞬これを見たときに、和歌山市が作成したように勘違いするほどのものです。
 まだ正式に同意された地元自治会がないと聞いていますが、既にこの裏面には、「同意をいただいた自治会様とお約束した事項」というふうに書かれています。まだこの計画に対しての賛否をとられていない自治会もありましたが、その後、自治会では賛否をとられて、ある自治会では計画に反対が圧倒的多数であったという結果もお聞きしていますが、これでは同意を誘導しているようなものではないかと思います。事業者自身が住民を分断するようなやり方では、信頼関係をつくることはできないと思います。まちの住民の皆さんの、人々のきずなを壊すようなことは控えるべきではないでしょうか。このことを私からもぜひ皆さんにお伝えしておきたいと思います。
 さて、ことしは新たな長期総合計画の初年度です。その中で地球温暖化対策の推進を掲げ、再生可能エネルギーの導入促進の一方、森林吸収源対策や生物多様性の保全の推進で豊かな自然の継承を挙げています。こういった中で、再生可能エネルギーの導入、普及の推進は喫緊の課題です。事業化に当たって環境保全や住民の健康、安全にかかわる問題が引き起こされないように、きちんとしたルールや規制の整備が必要ではないでしょうか。
 そこで、再度、環境アセスについてお聞きをしておきたいと思います。
 太陽光発電事業自体は法では環境影響評価の対象ではなく、県条例では、土地造成を伴う場合、環境影響評価の対象としています。しかし、アセスの対象は75ヘクタール以上です。対象事業に火力や水力、その他の発電所も入っていますが、太陽光発電は対象に入っていません。75ヘクタール未満の事業についてもアセスの対象となるようお願いをしたいと思いますが、環境生活部長の答弁をお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 75ヘクタール未満の事業についても環境影響評価の対象にとの御質問ですが、そもそも環境影響評価とは、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業の実施に際し、事業者みずからがあらかじめその事業を実施した際に想定される環境影響について調査、予測、評価し、事業計画に反映させる制度です。その考えに基づき、県条例では、環境影響評価法で規定されている第2種事業と同等規模のものを対象としているところであります。
 なお、環境影響評価条例の対象とならない開発事業における環境保全については、6月議会でお答えしたとおり、土地の状況や事業内容に応じて個別の法令による規制があることから、その中で環境の保全が図られることになります。
○議長(尾﨑太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 昨日の新聞に、和歌山市議会の一般質問で尾花市長が、和泉山脈の南斜面がソーラーパネルで埋めつくされるのは望ましくないとの考えを示したという記事が載っていました。全国でも環境影響評価条例の対象事業──工場、事業用地造成、工業団地造成などの対象事業ですが、神奈川県では10ヘクタール、栃木県では20ヘクタール、三重県20ヘクタール、滋賀県20ヘクタール、大阪50ヘクタール、奈良50ヘクタールなど、他の都道府県でもそういった基準になっていますが、県条例においてぜひ御検討をいただきたいと思います。
 先ほども述べましたが、太陽光自体は法では環境影響評価の対象ではありません。乱開発を規制するため、法的な位置づけを明らかにし、環境アセスメントを強化するように、あわせて国にも求めていっていただきたいと思います。住民の皆さんが穏やかな日々を早く送れるように、ぜひよろしくお願いいたします。
 続いて、次の質問に行かせていただきます。
 和歌山市駅前地区第一種市街地再開発事業についてお尋ねをいたします。
 現在、駅舎の解体が進んでいます。乗降客数1日平均、37年前は4万8000人余りで、昨年は2万人余りです。その間、駅前の商店は、どんどんと廃業、閉店してしまいました。一時は、市駅がなくなるのではないかといううわさが横行していました。しかし、本事業によって、和歌山市の玄関口としてより一層のにぎわいと魅力のある都心形成を目指すということで取り組まれています。
 ここでお尋ねをいたします。
 まず、第一種市街地再開発事業とはどういった事業でしょうか。その事業目的及び補助内容はどうなっていますか。
 また、市駅前については、施行者と県と市の共同した取り組み内容と総事業費、補助金についてもお答えください。そして、どのように取り組まれてきたかもお答えいただきたいと思います。県土整備部長、御答弁よろしくお願い申し上げます。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 現在、和歌山市駅前で行われております第一種市街地再開発事業の目的や補助の内容等についてお尋ねを頂戴いたしました。
 第一種市街地再開発事業は、都市計画法及び都市再開発法に基づき行われる事業であり、市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図ることを目的としております。駅前など利便性の高い地域の特性を生かし、老朽化した建築物を除却し、再開発地区内の敷地を共同利用して、住宅や商業施設等を面的に整備するのがその一例でございます。
 事業の仕組みとしては、従前の土地や建物の権利が従後の敷地と新しい再開発ビルの床の権利に置きかえられます。
 また、事業に係る費用は、新たに生み出された床の売却費と国、地方公共団体からの補助金等を財源とする仕組みとなってございます。補助金の対象は、再開発ビル等の建設のための地質調査や設計等に係る調査設計計画費、既存建築物の除却や補償に係る土地整備費、再開発ビルの共用通路やエレベーター、駐車場等の整備に係る共同施設整備費となってございます。
 また、和歌山市駅前地区の再開発につきましては、和歌山市、南海電鉄、和歌山県の3者で構成される南海和歌山市駅周辺活性化調整会議において、駅ビルの更新や周辺公共施設の集約・再編について検討するなど、取り組みを進めてきたところでございます。
 なお、総事業費は約121億円を予定しており、補助金額は、国、県、市合わせて約62億円の予定となってございます。
○議長(尾﨑太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、市駅前地区の再開発事業の目的と進捗状況、今後の見込みについて、県土整備部長にお尋ねいたします。御答弁、よろしくお願いします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 和歌山市駅前地区の再開発事業の目的と進捗状況などについてお尋ねをいただきました。
 人口減少に対応したまちづくりは、それぞれの市町村において、都市の外縁部への拡大をやめて、既存市街地などの拠点の再開発等により都市機能や居住機能を集約するとともに、必要に応じて各拠点間を交通ネットワークで結ぶことが重要であると考えてございます。
 和歌山市駅前地区の再開発事業においても、商業施設、市立図書館やホテル等、多様な都市機能の集約によるにぎわいの創出や駅前広場の再整備とあわせた利便性の向上などを目的に、老朽化し耐震性の不足する駅ビルを更新し、和歌山市駅を魅力ある拠点として再生していくこととしております。
 進捗状況といたしましては、和歌山市が平成28年3月に都市計画決定を行いました。その後、南海電鉄が施行者となり、ことし4月から既存施設の除却工事に着手しており、平成31年度末には建築工事が竣工予定となってございます。
 なお、建築される各施設は、和歌山県福祉のまちづくり条例に基づいて、高齢者や身体障害者等が安全かつ円滑に利用いただけるよう、バリアフリー化される計画になってございます。
 地元住民の声の事業への反映につきましては、さまざまな手法が考えられますが、市駅前広場の再整備に当たっては、地元の自治会、商店街組合、南海電鉄、バス・タクシー事業者、学識経験者、警察、市、県で構成される和歌山市駅前広場整備推進協議会において公共空間の整備方針を検討しているところでございます。さらに、その利活用方策についても広く提案を募集するなど、各方面の御意見を伺いながら進めているところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、再開発事業に費用としては62億円という公費を投入する、そういった事業であるということと、それで、いろんな関係団体も含めて、関係者も入れて会議をしながら進めてきたというお話なんですが、私は、住民参加のまちづくりのところで、ぜひ要望をさせていただきたい点についてお伝えしたいと思います。
 この間、高度経済成長期、それは日本の人口、産業が急増した時代で、ふえる人口、産業が大きな課題だったように思います。無計画に工場用地を造成すると効率の悪い工場地帯になるため、道路、工業用水等が整備された工場用地の効率的な造成が求められ、各地で工業団地の整備がこれまで行われてきました。
 また、中心部では高い容積のオフィスビルが必要となって、密集して建ち並んでいる木造家屋を撤去して高層ビルを建てる制度が必要となってきました。そのため、都市再開発法や土地区画整理法、また新住宅市街地開発法が制定されてきました。ふえ続ける人口を効率的に受けとめるためだと私は考えます。
 しかし、今直面している問題は、人口減少という社会的問題が大きく変化していることではないでしょうか。人口の減少に対応したまちづくりが必要と考えます。先ほど述べてくださいました福祉のまちづくりも含めて、住民参加のそういったまちづくりが大切だと思います。
 地元の住民の声の事業への反映についてということで、ぜひとも地元の皆さんの声、また、商業関係の人だけではなく、そこに戦後何年も住み続けてる1人の御高齢の方がその場から出ていかなければいけない、そういったことにならないように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。地域で暮らし続けられるまちづくりが大変大切です。
 高度経済成長期のように、大工場で雇用を確保することは無理です。それにかわる重要な雇用先は、私は、第1次産業や教育、医療、福祉ではないかと思います。人口が減少する時代、大切なことは、人口が減っても生活の質が低下しないようにすること、さらに、生活の質を向上させることです。そして、住民の定着が進むようにしなければなりません。市民参加のまちづくりこそ地域の活性化の力になっていくのではないでしょうか。
 本事業がその点で住民の生活とどうかかわるのか、地区レベルでのきめ細かな施策が必要ではないでしょうか。高齢者施設や障害者施設、まちづくりがばらばらに動くのではなく、相互に調整しながら動くようにするべきだと思います。そのためには、地域の皆さん、さまざまな関係の皆さん、団体の皆さんとあわせて、その中で行政職員がきちんと配置されることが大事だと思います。
 その点も含めて、これから、ハードの面ではなく、本当に活性化するためにはどのような仕組みでどのようにしていくのか、その点、ぜひともお考えいただき──今、広場整備推進協議会というのを先ほども言われていましたが、その中で話をされています。しかし、それだけではなく、その広場を活用したり、また、先に市民会館の移転、その後の土地活用、そういった問題も出てくるかと思います。そういった点も含めて、和歌山市全体の玄関口として十分皆さんの意見が反映され、そして議論ができるような仕組みをよろしくお願いしたいと思います。
 これは要望させていただいて、次の質問に行かせていただきます。
 次は、医療保険制度改革について質問をさせていただきます。
 国は、社会保障予算の自然増削減を基本方針として医療制度を次々と変えて、医療にかかれない事態が深刻化しています。70歳から74歳の窓口負担1割から2割への引き上げが2014年度から対象年齢を1歳ずつ引き上げる形で実施され、既に70歳から73歳の方が2割負担となっています。
 2015年に可決された医療保険改正法による入院食費の負担増、患者申し出療養の導入、紹介状なしで大病院を受診した患者からの追加負担徴収など、患者負担をふやし、保険外診療を拡大する改悪も実行に移されました。
 市町村によっては国民健康保険料(税)のさらなる引き上げにつながりかねない国保の都道府県化、医療費適正化計画による給付費の抑制、地域医療構想による病床削減など、患者、住民に負担増と削減を押しつけるものになっていると思います。
 また、介護についても、医療介護総合法により、要支援1、2と認定された人は、ホームヘルパーによる訪問介護、デイサービスなどの通所介護が介護保険の給付から外されました。これらのサービスを保険給付から外すかわりに、自治体が実施する地域支援事業に新しいメニューを設け、代替サービスを提供すると国は説明しています。
 デイサービスの保険給付外し、特養入所の要介護3以上への限定、利用料の2割負担導入、介護施設の食費、居住費に対する補足給付の対象の限定など、介護制度の大改悪が進められています。ほかにも、年金や生活保護費の切り下げなどを行っています。
 特に今回、医療の分野についてお尋ねをいたします。これまでの国の医療保険制度改革についてどう認識されていますか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 誰もが安心して日常生活を送るためには、必要なときに適切な医療を受けられることが重要であります。そのため、我が国では、国民皆保険制度のもと、保険料や税負担によって医療保険制度を充実させ、その結果、長寿社会が実現してきました。
 一方、少子化が進展する中、制度を持続可能なものとしていく必要があることから、これまで国が行ってきた医療保険制度改革は、税収の確保とともに、負担能力や世代間の公平に配慮した負担の仕組みづくりや、生活習慣病の予防などによる医療費適正化の取り組みを推進するという方針で実施されてきたものと認識しております。
○議長(尾﨑太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁をいただきました。誰もが安心して日常生活を送るためには、必要なときに適切な医療を受けられるということでおっしゃっていただきました。
 全ての人が今の憲法25条のもとで安心して生活を送る、その1つが社会保障をきちっと提供していくことだと私は思っています。そういった点で、医療についても、必要なときに適切な医療ということで言われましたが、私は、必要なときに必要な医療を受けられることが大切だと思っています。この「必要な医療」と「適切な医療」、私は微妙に違うんではないかというふうに思いますので、その点、意見を述べて、次の2番目に行かせていただきたいと思います。
 医療保険制度改革で国が取り組もうとしていることについてお伺いします。
 国は、今年度から後期高齢者医療保険料の特例軽減を打ち切り、低所得の高齢者に大幅な負担増を押しつけるなど、さらに県民負担がふえていますが、今後どこまでふえていくのか、果てしない不安が広がっています。今後、国が取り組もうとしていることは何ですか。この点について、福祉保健部長、答弁をよろしくお願いします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 今後、国が取り組もうとしている医療保険制度改革の内容といたしましては、所得の低い方に配慮した上で、入院時の食事代の負担額や高額医療費の自己負担限度額引き上げなどにより負担の公平性を図ることに加えて、都道府県が国民健康保険の保険者となり財政運営の安定を図ることや、医療費適正化計画を見直すことなどがあります。
 なお、国が決定した医療保険制度改革骨子では、医療保険制度の安定化と持続可能性の確保に向け、負担能力に応じた負担のあり方などが今後さらに検討を進めるべき事項として示されております。
○議長(尾﨑太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、こういう国の制度について、るる説明をしていただいたんですけども、こういった状況の中で、次の3番目に行かせていただきますが、非正規雇用がふえて、労働者の平均年収はここ20年で50万以上も下がっています。貧困が拡大する一方、医療保険の負担増は暮らしを破壊し、脅かすものになっていると思います。県民の暮らしへの影響をどのように考えられていますか。この点についても、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 今回の医療保険制度改革では、国民健康保険や後期高齢者医療制度における保険料の軽減対象となる所得基準が大幅に拡大されるなど、所得の低い方への配慮が行われております。一方で、改革により負担のふえた県民もおられます。
 県といたしましては、誰もが安心して適切な医療サービスを受けられることが重要であると考えております。そのため、国に対して要望を行ってきた結果、所得の低い方の多い国民健康保険への財政支援が拡充され、一定の成果が見られたところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 国民健康保険料のことで特に要望したいと思いますが、実際に各市町村で国民健康保険料を滞納と、納入できていないと、その中身は、納入できるのに納めていないと、そういった状況があるのか、所得の状況なのかをしっかりと分析していただいて、決して私の周りではそのようなことがないんです。特に子供さんを抱えたシングルの人が、全国的にもひとり親家庭の半数以上の相対的貧困率がまだ50%以上やと、そういったことが新聞にも報道されています。
 そういった客観的な状況も含めて、やはり非常に厳しい生活の方たちの状況も踏まえて、実際にどう保険制度があればいいのか、そういった点も今後考えていただきたいなというふうに思います。県としても、誰もが安心して必要な医療サービスを受けられる、こういった点でぜひとも考えていただきたいというようなことで、次に保健医療計画のことで質問をさせていただきます。
 保健医療計画は、良質かつ適切な医療を効果的に提供する体制を構築し、県民の皆さんの医療に対する安心、信頼の確保を図るために医療法に基づき策定とあります。県としての基本的な考え方について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 次期計画である第7次和歌山県保健医療計画は、将来にわたり県民が安心で質の高い医療を受けることができるよう、在宅医療や救急医療などの医療提供体制構築の方向性を示すものであります。また、高齢化の進展に伴い、医療と介護の連携が重要であることから、同時改定となる次期和歌山県介護保険事業支援計画との整合性を図ってまいります。
 県といたしましては、県民が引き続き住みなれた地域で安心して暮らせるよう、地域の実情に合った医療提供体制と地域包括ケアシステムの構築に向け、計画の策定に鋭意取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 この保健医療計画について、国は、医療提供体制を考える上で、地域医療構想や、また医療費適正化計画を含めて考えていくような、そういったことが示されていると思います。
 そういうことの中で、私はぜひともお願いをしたいんですが、県としてはやっぱり県民の暮らしに寄り添って、県民の暮らしの実態、医療の要求や困り事や、ぜひそういったことを十分把握した上で計画をつくっていくと、そういう立場で頑張ってほしいと思います。
 例えば、先ほど乳幼児医療費の問題が出ていましたけど、佛教大学の総合研究所共同研究「脱貧困プロジェクト」、入院診療での子育て世代実情調査というのがあります。その中で、ぜんそく発作で入院したのが、貧困と、またそうでない家庭と比べると、2倍も違いがあります。また、受診を控えた、控える、そういったことは4.3倍の違いがあります。貧困の家庭ということでいえば、入院を4回以上しているのが1.7倍、やはり貧困と病気とが密接につながっている、そういったことが調査の中で明らかになっています。
 現場のある先生は、ぜんそくの子供に継続した治療が必要なのに予約の日に来ない、発作を起こすと受診するのが常で、その都度定期受診の必要性を説明するんですが、お母さんは「わかりました」ということですが、やはり来ないという繰り返しをしているということです。次にお母さんが受診したとき、勇気を出して、「予約日に来ないのは、もしかして経済的に大変だからですか」と聞いてみると、実はそうですと打ち明けてくれたという。そして、給料日のすぐ後でないと来られないと、そんな話もあります。
 現場では、もっともっと命にかかわる、病院に来たときには既に大変手おくれの状態だった、そういったことも報告されています。そういう1つ1つ、一人一人の状況を把握して、そして今度の保健医療計画をつくっていっていただきたいと思います。
 また、最後に、2018年の予算案づくりが今、国では始まっていると思います。その中で社会保障の削減を早々と打ち出しているのが今の政府だと思います。社会保障費の伸びを1300億円削減する大枠まで決めています。来年度は、医療、介護、障害者福祉などの各分野での報酬やサービスの改定が同時に行われる大きな節目の年度になっています。
 国民の暮らしを支えるには、医療、介護などの分野で財源をしっかり確保して、制度を拡充させることが必要だと思います。社会保障削減ありきではなくて、県民の声をしっかりと受けとめて、県政が暮らし、命を守る防波堤になることを願って、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時46分休憩
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