平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成29年9月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


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平成29年9月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成29年9月21日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第152号から議案第166号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第152号から議案第166号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 中西峰雄
 2番 秋月史成
 3番 立谷誠一
 4番 泉 正徳
 5番 前芝雅嗣
 6番 花田健吉
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 川畑哲哉
 10番 玉木久登
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 尾﨑太郎
 14番 藤山将材
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 服部 一
 20番 山本茂博
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 堀 龍雄
 24番 中 拓哉
 25番 岸本 健
 26番 森 礼子
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 40番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      藤川 崇
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     山田成紀
 福祉保健部長     山本等士
 商工観光労働部長   山西毅治
 農林水産部長     原 康雄
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      野田孝雄
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   溝端莊悟
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       田村公一
 次長         西原龍也
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     武田 稔
 議事課議事班長    岩谷隆哉
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中平 博
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  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第152号から議案第166号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 3番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 それでは、通告に従いまして一般質問に入らせていただきます。
 まず、大項目の1つとして、北朝鮮の核実験とICBMなどミサイル発射実験についてでございます。この議会で先輩の議員の皆さん方もこのテーマについて発言がございましたが、私のほうからも御質問をさせていただきたいと思います。
 北朝鮮がアメリカや国際社会に核兵器保有国と認めさせるための核実験と、ICBMと言われている大陸間弾道ミサイルの発射実験を繰り返し、国連など国際機関や世界各国から非難を浴び続けていますが、国際社会の意に反してむしろロケット発射回数は増加し、去る9月3日12時30分ごろには、北朝鮮の豊渓里付近でマグニチュード6.1の地震が発生いたしました。これは、北朝鮮による水爆実験だったと言われています。
 核拡散を防ぎ平和な世界を願う世界各国政府は、国連安保理の審議と決議を踏まえ、北朝鮮に自制を促すために、貿易の制限など繰り返し制裁という名の決議を重ねていますが、マスコミの報道等によりますと、去る9月11日には北朝鮮外務省が声明を発表し、大陸間弾道ミサイル装着用の水爆実験実施に対して、米国が国連安保理で史上最悪の制裁決議をでっち上げようとしていると非難し、その上で、「我々は、いかなる手段も辞さない準備ができている」と警告をしています。そして、「我々が講じている次の措置は、史上例を見ないほど米国を混乱させることになる。米国が想像すらできない強力な措置を連続的にとり、どのように米国を罰するかを世界はしっかりと目の当たりにすることになる」と予告をしています。これでは、県民の多くは、もういつ戦争が勃発するかわからない状況だと感じています。
 そして、北朝鮮は、9月15日朝9時2分に再び日本列島越えにICBMの発射実験を強行しました。そして、昨夜の夕刊では、アメリカのトランプ大統領は、「今日地球上にある苦難の根源は、国連がよって立つあらゆる原理原則を少数のならず者国家が侵していることにある」と主張、「日本の13歳の少女が自国の海岸から誘拐された」と述べ、拉致被害者の横田めぐみさんを念頭に、北朝鮮による拉致問題に触れました。その上で、「アメリカは大いなる強さと忍耐力があるが、米国と同盟国を守らなければならないとき、北朝鮮を完全に破壊するほか選択肢はない」と強い口調で牽制し、「アメリカはその準備ができているが、できれば必要でないことを望む」とも発言したと言われています。
 さらに、フランスのマクロン大統領は、「北朝鮮は、軍事的な挑発行為で重大な一線を越えてしまった。これは、我々全員を懸念させる脅威だ」と批判もしています。それから、けさの朝刊によりましたら、国連総会でこの発言に対して大きなどよめきが起こったとなっております。
 こうした事態を踏まえまして、県民の生命と財産を守る立場にある仁坂知事は、どのような見解と対策をお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 日本上空を通過したたび重なる北朝鮮による弾道ミサイルの発射や核実験の実施は、県民の生命、身体及び財産を脅かす許しがたい暴挙であり、断じて容認できません。
 国においては、国際社会の結束により、北朝鮮がさらなる暴挙に出ることがないよう断固とした対応をとることや、ミサイルが発射された場合などには、国民への情報提供を適時的確に実施されたいというふうに思います。
 県では、弾道ミサイル落下時の行動について、ホームページのほか、テレビやラジオ、「県民の友」など、あらゆる広報手段を用いて県民の皆様に周知を行っているところであり、ミサイル落下時には、爆風や落下物から身を守るため、直ちに建物の中や地下に避難することが重要であります。ミサイルがいつ、どこへ落下するのかの情報提供がなされるならば、それに見合った訓練をして、あっちへ行こう、こっちへ行こうというようなこともできますけれども、その情報提供は無理だと防衛省が言っておりますので、現実的な最善の方法をとらざるを得ないと思っております。
 森議員への答弁と重なりますけれども、Jアラート等によるミサイル発射の情報伝達後、日本へのミサイル到達は10分程度しかないため、県民の皆様には、直ちに近くにあるできるだけ頑丈な建物の中に避難するとともに、その後の情報にも注視しながら冷静に行動していただきたいと繰り返し県民に伝えていく所存であります。
○議長(尾﨑太郎君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 知事のほうからそうした御答弁をいただきました。ちょっと心配事がございまして、それをお聞きいただきたいと思います。
 せんだっての東北の市町村では、ICBM通過のときにJアラート等が正常に機能しなかったことが指摘をされていましたが、和歌山県では大丈夫なんか、そんなことなんかも検証をしておいてほしいなと思います。
 それから、日本国民は、さきの大戦以降、平和憲法のもと、戦争のない平和な日々を重ねてきました。日本国民にとって幸せな年月だったと思います。こうしたことを称して「平和ぼけ」と言われてる方々もいます。72年に至る平和な時代が続いていたため、今回の突然の事態に何をどうすればよいのか、理解さえできていない国民が多いのが現状だと考えます。
 さらに、心配事の幾つかをこれから申し上げますので、お聞きいただきたいと思います。
 県のほうでは、こうした資料が県民のほうに配布されてるということで、(資料を示す)この資料を読ましていただいたときに「うん?」と思いました。一体この資料って、この資料を見せてもうて、本当に県民のことを考えたときに、例えば、今、知事のほうからも答弁いただきましたが、強固な建物に逃げ込むって、これまさか、強固な建物の持ち主に了解をもうてもうてるわけでしょうねと思うわけです。勝手に皆が逃げ込んでいったときに不法侵入というふうなことにはならないやろか。銀行やローソン的なところに逃げたときに泥棒が入ってきたような扱いを受けることはないやろか、そうしたことの許可をとってもらってるんやろか、そんなふうに思いました。それから、どの建物に地下室があるかとか、そんなことなんか、ほとんど無防備で知識がありません。
 そんなこととか、例えば、こうしたことを通知するということは万が一のことですから、ヘルメットの配布ぐらいは考えていただいたやろか。Jアラートが鳴っても車を走らせたままでええんやろか、とめなあかんのやろか。電車はとまってるんやろか。夜などの場合は電灯をつけたままでも構いませんか。もし被弾した場合は、何人か大量に被弾したとすれば、病院へ個人で駆け込んでいって、それで対応は大丈夫なんでしょうねと、そんなこと。そしたら、障害者はどうしてくれるんやろか。それから、聴覚障害者はJアラートの音が聞こえません。こんなことの対策は考えていただいてるんやろか。わからないことばかりです、正直なところ。
 県の配布されてる資料から私が思うことは、ちょっと嫌みなこと言うて悪いんですが、戦争が起こらない、こんなことが大前提のもとにつくられているようにちょっと思われます。こんなことで本当に県民の命や財産を守ってくれることになるんだろうか、ちょっとそんなふうに感じましたので、またそんなことも精査をいただいて、もっともっとより細かい、本当にそういう事態が起こったときの指針をやっぱり県民に教えといていただきたいというふうに考えますので、どうぞよろしくお願いいたします。要望とさせていただきます。
 そしたら、2点目、南紀白浜空港の国際線の導入と民営化の進捗状況につきましてお尋ねをしたいと思います。
 南紀白浜空港へLCCなど国際線の導入に関する発議をしてから数年が経過しました。昨年2月議会で関連予算が計上され議決されましたが、消化されずに流され、ことし2月議会で再び計上され、今日を迎えていますが、その姿が見えてこず、大変心配しています。
 現時点での国際線の導入と民営化の進捗状況について、お伺いをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 南紀白浜空港への国際線の誘致や空港民営化の進捗状況についてお尋ねを頂戴いたしました。
 南紀白浜空港への国際線の誘致は、空港の利用促進とあわせて国際観光の推進や紀南地域の活性化につながることから、これまでにも、商工観光労働部と連携してチャーター便の運航会社等を中心に誘致活動を行っており、平成8年の開港時から延べ114回のチャーター便の受け入れを行ってございます。
 しかし、現在の南紀白浜空港は、国内線専用空港として運用しているため、国際チャーター便を受け入れる場合、限られたスペースで検疫や入国管理のための施設を仮設して対応せざるを得ず、到着便の旅客全員の入国手続が終わるまでは出国者の手続が始められない実態があり、これらに要する時間と定期便のスケジュールとの関係で、受け入れ可能な時間帯が極めて限定されるという課題がございます。
 したがいまして、チャーター便を含め、国際線のより一層の誘致を行うためには、国際線対応のターミナルの設置が不可欠であると認識しております。
 一方、空港の民間運営につきましては、既に民営化された関西国際空港や仙台空港のほか、南紀白浜空港を含め7空港で取り組みが始まっております。関西国際空港や仙台空港では就航便の増加等の効果があらわれていることから、南紀白浜空港の民営化の導入に際しては、路線誘致のノウハウがある民間事業者から国際線対応ターミナルの施設計画も含めて提案を受けることが望ましいと考えておりまして、昨年度から、参画が想定される事業者へのヒアリングや具体的な事業手法の検討等を行ってございます。現在、早期の事業者公募の開始に向けて、公募に必要な書面等の準備を進めている中で、運営条件等の整理を行っているところです。
 引き続き、民営化に向けた手続を着実に進め、国際線の誘致による地域の活性化を実現してまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 答弁をいただきました。
 和歌山県内において経済力をあらわす言葉として、昔から北高南低とよく言われてるんです。南に住んでる者としては、そういう言葉がたびたび年配者の方々から聞かれた時代が続きました。
 しかし、今日においても同じ状況だと思われます。県南部地方の発展のカードは、やはり大きな発展の可能性を秘めている南紀白浜空港のその持てる力の100%の活用だと考えています。ぜひ時代のスピードに乗りおくれることのないよう、国際便の導入が一日も早く完成できますよう要望させていただきたいと思います。
 引き続きまして、3つ目の和歌山県町村会の平成30年度予算編成及び施策の策定に関する要望書というのがございまして、その中から御質問をさせていただきたいと思います。
 ことしも県下の町村会から要望が上がっています。いずれも、町村の運営を預かる首長の立場から大変重要な案件ばかりと考えられます。その中から2点と、関連して1点の質問をいたします。
 まず1点目に、津波対策の促進として、「津波浸水想定区域内の公共施設については、高台への移転が必要となります。ついては、国庫補助化への支援と共に県独自の補助化等も加えた高台移転促進策の充実強化をお願いします」となっており、津波対策として高台移転促進のための支援策を求められていますが、県における支援策の現状と今後のお考えをお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監藤川 崇君。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 津波浸水想定区域内にあり、地域防災計画上、津波対策の観点から移転が必要と位置づけられた公共施設の移転につきましては、起債充当率が100%、元利償還金の70%が交付税措置される緊急防災・減災事業債を活用することが有効な手段であると考えております。
 この緊急防災・減災事業債につきましては、平成28年度までの時限措置とされておりましたが、政府等に対し県議会からも意見書を提出していただき、県当局においても、あらゆる機会を捉まえて国に対し延長を働きかけてきた結果、平成32年度まで延長されたところでございます。
 庁舎等の公共施設は、大規模災害時において、災害対応や救援、救助等の防災活動の拠点として重要な役割を果たすものでありますので、計画的に移転を進めるよう、引き続き市町村に対して適切に助言してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 どうぞよろしくお願いします。
 関連いたしまして、知事は、津波から逃げ切るのだと、逃げ切るための取り組みを推奨してます。今議会における知事説明要旨でも、「今後とも津波情報の伝達強化を進め、住民のより迅速な避難を実現し、地震・津波による犠牲者ゼロを目指してまいります」と述べられています。私も、大事な、大切な視点だと思います。
 さて、その逃げ切る方策の1つであるところの県下の避難路の整備が、私の知るところでは、さほど進んでいるようには見えません。県内の避難路の整備状況と市町村に対する支援策をお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 危機管理監。
  〔藤川 崇君、登壇〕
○危機管理監(藤川 崇君) 県では、東日本大震災の直後から防災・減災対策の総点検を行い、避難場所の見直し、防災情報伝達の多重化など、地震・津波から県民の命を守る対策を進めております。
 避難路の整備につきましては、津波から逃げ切るための取り組みの最重要施策に位置づけ、わかやま防災力パワーアップ補助金等により市町村を強力に支援してまいりました。その結果、避難路の整備は、東日本大震災以前の平成22年度では年間20カ所程度の整備であったものが、平成23年度から昨年度までの6年間で県内全域で700カ所以上の避難路が整備されるなど、着実に進んでいるところでございます。
 県といたしましては、津波から県民の命を守るためには、避難路の整備をさらに推し進めていく必要があると考えております。引き続き、市町とともに全力で取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 危機管理監から答弁をいただきましたが、ちょっと辛口の発言をさしてもらいます。
 700カ所というお話だったんで、県下30市町村ありますので、割ってみましたら1市町村当たり23カ所あたり、山間部の市町村もありますので一概に──不要な市町村には設置がないということがあるかわかりませんが、いずれにしましても少な過ぎると思います。3軒、5軒、10軒ぐらいの集落があればもう1つや2つ要る、そんなふうに考えているんです。
 大きな地震の後、数分で来るという話に対して、いろいろ識者の皆さん方からお聞きしましても、なかなか、気が動転していたりとか、人ごとですけれども、そら元気で達者で、そんなもん物ともせんと逃げていける人もあれば、大方の人は、あれだけの来ると言われてる震災が起これば、気の動転も入ってなかなか思うようにいかない、気づいたら数分たってて、もう津波が来てる、そんなことなんかも予想されるわけです。そしたら、もう本当に3軒、5軒ぐらいのところでも、家のすぐ近くに、家のすぐ裏山に逃げられるぐらいの数の量が要るんではないかと私は思うんです。
 それから、津波は冬なのか夏なのか、昼間なんか夜なんか、自宅にいるときなんか外出中なんか、その瞬間はまだ決まっていない、そのタイミングで来るというふうに考えられますので、そんなふうに考えます。もっともっとたくさんの避難路の設置をお願いしたいな。
 私の住んでる集落でいえば、たった10数軒あるわけですけれども、でも結構敷地が広くて、左と右の場所によったら、とてもやないけど左の人が右まで来て避難路に駆け上がるようなことは難しいだろうな。ちなみに、私らのところは14メートル水没すると言われてまして、そら家の横に1軒に1個ずつ欲しいなと思うぐらいのところです。こんな集落が結構たくさんある。その数からいえば700カ所というのはまだまだ圧倒的に少ない、そう考えますので、ぜひこうした取り組みを、引き続き市町とともに全力で取り組んでいただくということでありますので、そういう方向性でお願いをしたいと思います。
 それから、避難路の設置がなかなか思いのほかふえない理由の1つとして考えてみましたら、設置要件として自主防災組織の設置や負担金を求めてることにあると思います。津波から1人でも命を助けようとするときに、ほかの補助要綱と同じように負担金を求めてる、このことになかなか作業が進まない大きな理由があるんではないかなと思います。
 高い確率で来ると言われてる地震に伴う津波、津波と地震による推定死亡者は3万2000人ぐらいと言われてて、そのうちの2万8000人が津波で亡くなると公表されています。繰り返しですが、もっともっときめ細かい施策を求めたいところです。市町村に対する御指導を、どうぞよろしくお願いいたします。
 そしたら、次に入らしていただきます。
 次に、社会福祉施設の充実として、町村会の要望書では、県単独医療費助成制度の堅持と乳幼児医療費対象年齢の引き上げとなってございまして、その文面を朗読しますと、「福祉医療費の充実を図るため、今後とも恒久的な制度として単独医療費助成制度を堅持願います。また、乳幼児医療費については、現行の小学校就学前から対象年齢を引き上げ、少子化対策をより充実するようお願いします」と、県内の子供たちの健康を守り、元気にすくすくと育てるための財政支援を求めておられるところです。
 全国的に見ましても子供たちの医療に対する支援対策が広がっていまして、少子時代と言われるなど、新たに生まれてくる子供が少ない時代ですが、医療に対する費用の心配なく大切に育てたいとの保護者の願いと思いを市町村の行政に訴えてくる方々が増加をしているように感じます。
 県下の市町村に対する支援策の現状とお考えをお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 乳幼児期は、免疫が少ないため病気にかかりやすく、病気にかかった場合には重症化しやすいため、早期に医療機関を受診できるように、乳幼児医療費助成制度として県と市町村とで乳幼児を対象に医療費助成を行い、自己負担分を無料化しています。
 なお、助成制度の対象年齢拡大等の上乗せの部分につきましては、市町村がそれぞれの地域の実情に応じて、施策の特色を出すために実施しているものであると考えております。
 県といたしましては、引き続き就学前の乳幼児医療費助成制度を堅持しまして市町村支援を行うとともに、国の施策として子供の医療にかかわる全国一律の制度を創設するよう、全国知事会などを通して国に働きかけているところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ぜひ、どうぞよろしくお願いいたします。
 もう子供は宝であるというような言葉を聞かされる時代が、すごく長い年月が経過しました。本当に少子と言われれる時代ですので、生まれた子供たちを大切に大切に育てていく、その1つのことに、親御さん方が医療費の心配のない、そういう支援も、子供をたくさんつくってほしいな、そんなふうなことのお願いというか希望を持ってる立場の側とすれば、ぜひこれからもいろんな手厚い、手厚過ぎるかなと、そんなふうに思える時代でもあるかもわかりませんが、手厚い保護をこれからも重ねていただいて、子供たちが安心して生活できる環境をつくっていく、これも我々の世代の次の世代に対する責任の1つではないか、そんなふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次に移らせていただきます。4点目です。
 紀南地域におけるIT関係企業の誘致と人材育成確保についてでございます。
 白浜町では、10数年前よりITを業とする会社の企業誘致を進めてまいりました。木村知事時代にIHS(イノベーション・ホット・スプリング)というニックネームをつけた取り組みがスタートをいたしました。廃止されていた保養所を改修して8ブース分の部屋をつくり、誘致を進めてまいりました。
 当時、木村知事立ち会いのもと、知事室で進出企業と協定書を交わし、報道もされるなど、有意義なスタートを切りましたが、数年が経過し、ふと振り返ってみましたら、いっぱいになっていたはずの貸し部屋がほとんど空部屋となっていました。企業進出を果たし、活動を始めていた事業所のほとんどが白浜町から撤退をしていたのです。
 温泉につかり、美しい景色を見て、静かな環境の中で仕事の瞑想を深める、そして、部屋利用料は都心の数分の1という安さもアピールのポイントでもありました。木村知事は、当時、温泉があり、広大な太平洋が眼下に広がる風光明媚な白浜温泉だからよいと力説していましたが、なぜ白浜町からほぼ全社が撤退するという結末を迎えてしまったのか。
 当時、関係企業の職員が言っていたことを思い出します。いわく、人材がないということでした。人はたくさんいても、即戦力となる若い人材がないと言っていたのです。撤退の全ての理由がそれであったかどうかはわかりませんが、昔から「企業は人なり」という言葉があります。ITの深い知識があり、深夜まで働ける体力のある若い人材がなかったということです。
 今回、仁坂知事や白浜町当局の取り組みにより、せっかく進出が決まり、活動が始まった企業に根づいてもらうためには、企業が求める知識と経験を持ち合わせた人材の育成がどうしても必要です。ぜひIT企業誘致と同時に、将来にわたる人材育成対策も考えるべきでありますが、当局のお考えをお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) IT業界では、Wi-Fiやクラウドなど、IT技術の進歩とともに、以前にも増して場所にとらわれない働き方が可能となってまいりました。そのような中、白浜町を初め紀南地域は、豊かな自然環境の中で業務を行うことで生産性の向上が期待されることや、首都圏からの利便性が高い南紀白浜空港と近距離にあることなどから、IT企業の誘致にすぐれた地域であると考えております。
 白浜町のITビジネスオフィスは、長らく空室が多い状況でしたが、株式会社セールスフォース・ドットコムなどIT企業の新規立地により満室となってございます。現在、白浜町とともに第2のITビジネスオフィスの整備を進めているところですが、既に複数の企業が新オフィスへの入居を検討している状況です。
 また、最近では、働き方改革の中で、テレワークと休暇を組み合わせたワーケーションに注目が集まり、本県におけるワーケーション体験を希望する企業が増加をしております。地域のビジネス環境を体験するワーケーションの受け入れをふやすとともに、企業の現地視察や研修会を受け入れて誘致につなげていきたいと考えております。
 議員御指摘のとおり、IT企業の誘致活動とともにIT人材の確保や育成が必要であると考え、取り組みを進めているところです。
 具体的には、今年度から、首都圏での地方への転職イベントに誘致企業と出展するとともに、8月には田辺市でわかやまIT企業説明会を開催いたしました。
 また、誘致企業を初めとした地元企業を支えるIT人材の育成も重要であることから、来年4月には、田辺産業技術専門学院に、1学年10人、2年課程の情報システム科を開設することとしております。その上で、授業はすぐれたIT環境が整っている県立情報交流センターBig・Uで行い、企業の方を講師に招いた講義や企業に出向いた実習やインターンシップなど、カリキュラムを工夫し、企業が求めるIT人材の育成に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 部長からそうした答弁をいただきました。
 新しい情報システム科をつくっていただけるということですので、ぜひ気合いを入れて、若い次代の子供たちのニーズを取り入れた新しいそういう学園であってほしいと思います。
 それから、少しお願い申し上げさしていただければ、10人という定員という数字のことなんですが、これだけ誘致を進めてて、それで10人が2年で卒業するとしたら、あと2年ほど待たなきゃならないわけでもありますけれども、もう少し子供たちのニーズは多いんじゃないかな、またそうあってほしいなと思います。
 そういった意味で、まず10人の定員というのはもう少し御検討いただけんかと思うことが1つと、次代の子供たちは、我々が育った時代ともまた違うて、やっぱり学校の雰囲気だったりとか、学園というそのもの自体に魅力を感じる、そのこと自体も学園の開設にはやっぱり重要なポイントの1つだと思うんです。
 たくさんの子供たちが応募してくれて、その中で優秀な人材がどんどんと地元に進出してきたITの企業に就職ができて、それで企業自体が地域の子供たちを雇うたおかげで大きく業績が向上したと、そうしたいい意味での循環が回っていけるように、そうしたことを踏まえましたら、もっともっとこのことに対して深く研究もしていただけないかと思います。それが今の時代の我々が対応しておく責任あることなんではないかなと考えるからであります。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最後の質問に移らせていただきます。
 人口減少社会についてでございます。
 今、日本国内では、人口減少問題について議論が活発にされています。人口減少問題は、国民の生活基盤はもとより、文化まで破壊させてしまう大変重要な政治的・国民的課題であると考えています。
 さて、45年前の1972年当時の新聞によりますと、この年の穀物は世界的な大不況となり、翌73年には穀物価格が急騰して豆腐騒動が発生するなど、食料自給率の低かった日本では、近い将来、世界的な食料戦争が起こると危機感が高まった時代でありました。
 そして、その翌年開催された日本人口会議の大会宣言の要旨を朗読させていただくと、日本家族計画連盟の斎藤得七理事は、「日本の人口は、現在の低い増加率であっても50年後には1億4000万人以上になる。そこで、海外依存度の高い我が国は、資源、食料、過密の3面から破局を迎える危険が大だ。手おくれにならないうちに全国民がまず人口問題に関心を持ち、総意に基づいた行動をできるだけ早く起こすべきである」と強調し、さらに、マレーシア国から出席をいただいていた、参加していたソディ氏は、「アジアの先進国としての日本人は、人口爆発に悩む東南アジアに対し指導的役割を果たしてほしいと協力を要請する」となっています。
 恐らく私ぐらいの年代の方々は、こうしたことの記憶をまだ残している方があるんではないかと思います。
 日本人口会議は、大会宣言要旨の中で、「国連世界人口年に当たって、広く我が国各界、世界各国の人々を集め、自由かつ真剣な討議を行った。 我が国の人口増加率がアジアで最低だからといって安心できない。このままでも年間130万人の増加が続き、資源、食料の大半を海外に依存する我が国は、早晩、経済と国民生活が行き詰まり、破綻を招く。我々は、国土のより計画的、効率的利用、食料の増産、資源の供給などとともに、人口問題について真剣な問題意識を持って臨まなければならない。 さきに人口問題審議会は我が国の静止人口達成計画の採用を答申したが、我々はこの趣旨に賛成であり、子供は2人までという国民的合意を得るよう努力すべきであるとさえ考える。 そして、我々は政府に対し、1つ、人口庁設置と人口研究機関の拡充、2つ、人口教育の促進、3つ、家族計画などのより積極的な展開、4つ目、ピルと避妊リングの公認と新避妊法の開発、5番目に、国連人口活動基金、国際家族計画連盟及び開発途上国への協力の強化、6つ目に、ブカレスト会議で政府として人口抑制の立場から積極的に寄与する、以上の諸事項について、可能なところから直ちに実行するよう要請する」と、こうなっていました。
 そして、子供は2人までにすべきである、さらに、人口の現状維持には1夫婦で0.7人まで減らさなければならない──これは3家族で子供2人であるとこの数字になっていくわけですけれども──と警告したことが当時のマスコミに報じられています。したがって、今日の人口減少に伴う大騒動のもとは、43年前に政府が考え取り組んできた方針のその結果であると考えられます。
 さらに記憶をたどれば、たしか4年ほど前の年末、自民党県議団の東京での議員研修会に講師として招請し、講演をいただいた財務省の幹部の講演の内容は、「人口激減に対応するために外国から移民の受け入れを考えています。しかし、そのストレスに日本国民が耐えられるのか、その研究をしている」とのことでありました。人口減少対策として、今度は移民政策を取り入れることを考えているとのことだったのです。ダッチロールを繰り返す人知の浅はかさを考えずにはいられません。
 そこで、過去の時代の人口推移を調べてみますと、日本でもこれまで3回、人口が減少した時代があったことがわかります。1回目は縄文時代後半、2回目は鎌倉時代後半から室町時代にかけて、3回目は江戸時代後半に減少しています。いずれも時代の大きな変革期に入る前に減少していることがわかります。
 詳しく調べてみますと、縄文時代後半には、大陸から水稲栽培の技術が伝えられたことで食料事情が大きく改善することになったことと符合しています。したがいまして、大量にたくさんの子供たちを産んで、まあ目減りを考えて産んだと思いますが、でも食料事情が改善したらそんなにたくさんの子供たちを産む必要がなくなった、そういうことが水稲栽培によって可能ならしめることになったんだろうと思います。
 次に、鎌倉時代から室町時代は、日明貿易が盛んとなり、市場経済が成立し、国民生活の向上と大きな発展につながっていきました。
 そして、3回目の江戸時代後期には、黒船が来航したことにより明治維新へとつながり、近代工業国家への道が開かれることになったのです。
 ヨーロッパを見てみましても、中世の人口減少期にルネサンスが起こり、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロなど、世界的な芸術家がたくさん誕生しています。今日においてもそれらの作品に対する評価は世界的に高く、そのほかにもすばらしい作品を残した芸術家がたくさん誕生してございます。
 以上のように、いずれも人口減少期は技術革新が起こり、経済と文化が大きく花開くきっかけとなっています。
 さらに、日本における江戸時代後期には──唐箕って御存じでしょうか。私は農家の子供だったんで、唐箕というのは私の時代もありまして、これは生産性を上げる農機具としては画期的なものだったのです。そうした唐箕の発明であったりとか、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」や喜多川歌麿の美人画など、町民によるたくさんの化政文化が生まれたと言われています。
 こうして考えてみますと、人口減少社会を迎える時代は、技術革新や新しい文化がさらに大きく花開く機会となっていったのではないでしょうか。「人口の増減は、社会が成熟するとともに波のように繰り返し訪れるものです」と発言している学者の方々もおられます。
 さて、時あたかもAIの時代に突入しようとしており、AIの時代は今日までの仕事の60%は不要になると言われており、このままでは大量の失業者が出てしまうことになるといった報道もされています。だとすれば、労働という言葉の概念も大きく変わることが考えられます。今日のように働く人がたくさんは要らない、少しの労働でたくさんの収入を得ることができる時代になるかもしれません。
 今、県当局は、人口減少対策の1つとして他府県から人を呼び込む政策をとるとしており、このまま何も対策をとらなければ2060年には県人口は50万人程度になる、したがって、人口減少対策として、社会減の抑制や、出生率を高め自然減を減らしていくことを表明しています。しかし、日本全体で減少社会に突入することが避けられない現実を考えるとき、大変申しわけございませんが、その見通しや対策に私は懐疑的です。
 報道等によると、わずか20年後にはAI時代に突入すると言われているのです。まさに過去の時代がそうであったように、今回も、人口減少に合わせたAI・人工知能の技術を取り入れた新しい産業革命が始まろうとしているのです。
 政府の施策の影響もあり、若い方々の生活観や結婚観、人生観や社会観等の変化が社会の成熟につながり、今日の人口減少、少子化時代を迎えていると考えます。だとすれば、人口減少時代の流れにあらがうことは大変困難なことだと思います。むしろ、政策として提案している当局の視点も持ちながらも、県人口が50万人時代に突入しようが、県域全体の生活や文化が守られ、県民一人一人が心豊かな日々を送れるような新しい視点の施策を加えるなど、科学的で現実的な対応を考えていく必要を思います。
 例えば、それは現在どの都道府県も力を入れて取り組もうとしていないように感じる人工知能の技術を取り入れた科学的に思考されたコンパクトシティーのまちづくりであり、県の重要な産業である農林水産業等に対する大胆な発想の転換であり、衣食住や医療技術の発展等による平均寿命の伸びに対応した高齢者施策の概念の変革等々であると考えます。
 織田信長の時代は人生わずか50年とうたわれていましたが、今日では人生100歳時代を迎えようとしているのです。人口減少はあっても一人一人に密度の濃いライフスタイルの提案など、未来志向の指針を求めたいと考えますが、知事の御見解をお示しいただきたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず最初に、立谷議員の崇高な歴史的知識について大変感服をつかまつっております。
 その上で、日本人口会議のお話をされましたけれども、当時をちょっと振り返ってみると、ローマクラブというのがあって、人口爆発で大変だぞと言って大騒ぎをしていたわけであります。実はローマクラブが言ってた現象というのは全く変わっておりませんで、地球全体で考えたら人口爆発でこれは大変なんですが、日本人口会議のほうの話としては、全く逆に予測してるということではないかと思います。お話を聞いておりましたら、例えば何人に子供をすべきだとか、ああすればこうなるということについて、先行きどうなるかというのを中長期的に見る視点はこの人たちに全くなかったんだなあというふうに思う次第であります。
 それでも、時代は刻々と変わりますので、できるだけ我々として、そんなに知恵がなくても一生懸命考えて、状況をちゃんと把握して対応していかなきゃいけないというのが大事なことではないかと思います。
 人口については、絶対的な人口が少ないということが問題であるかというと、例えば問題の場合もあります。国の強さとか、そういうところを考えるとありますけれども、しかし、それほど問題ではなくて、どちらかというと減っていくプロセスで物すごい社会のハードのつらさが出てくるというのが大問題であるということを認識しとかないといけないというふうに思います。
 和歌山県ではどうなるかというと、増田さんたちがやった方法で議論をしますと50万人ぐらいになってしまうということで、これはちょっと社会保障と、それから納税との関係をいろいろ考えると、なかなか維持困難な感じになるなあというふうに思うわけです。しかも、そうなるということは、またさらにどんどんその問題が加速していくということにもなります。
 したがって、70万人ぐらいにして、2対1ぐらいで高齢者世代を支えようというのが今の長計であり、それから、地方創生計画の我々の基本的なコンセプトにしようと思ってるわけでございます。県議会からも、それは長計という意味では御賛成いただいてるということです。
 立谷議員のお話で、他府県から人口を呼び込むということを主眼にとおっしゃったんですが、もちろんそれを排除するものではございませんが、出生率を上げていこうというほうにより主眼をあの長計は書いております。
 そんなことでございますが、このためには今までよりも一歩も二歩も踏み込んだ人口減少対策を推進しなきゃいかんということで、特に自然減対策、これを何とか緩和して、できることなら自然増対策に持っていきたいということで、結婚から出産、子育てと切れ目のない少子化対策の取り組みを行って、それから子育て家族への経済的支援とか、あるいは仕事と子育ての両立支援、そういうようなものを進め、それの一番大事な要素である企業や団体──働く場所ですね──そういうものを巻き込んで、社会全体で子育てを支援する仕組みを強化しつつあるところであります。
 社会減ももちろん大きいとちょっとつらいわけでございますので、県内に働く場を確保するために、積極的な企業誘致や創業、第二創業の促進、県内企業への技術開発支援に加え、県内産業を支える人材を確保するための大学生や高校生向けの就職促進対策を進め、それから、都会から和歌山への再就職を支援することにも役立つ就活サイクルプロジェクトを立ち上げ、県として社会構造を少しでも変えていくように施策を展開しつつあるところでございます。
 議員御提案の政策については、御指摘がありましたが、それはいつの時代でも大事なことでございますので、それを全く排除するわけじゃないし、むしろこれからもっと熱心に進めていかなきゃいけないということではないかと思います。
 この目標の達成は決して容易でございませんけれども、ずるずると強烈に減っていくとますます苦しくなっていくというのが計算すればすぐわかることでございますので、和歌山県長期総合計画に掲げる県民みんなが楽しく暮らす社会の実現に向けて、こういう人口問題という困難な課題に対しても果敢に取り組んでいかなきゃいけない、そんなふうに思っております。
○議長(尾﨑太郎君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 御答弁、ありがとうございます。
 本当に人ごとではなくて、知事1人が悩むということでなくて、やっぱり我々も含めて県民全員が今後の県土のあり方について考えていかなあかんと思うんですが、その中で、1つ2つちょっと気になったことをお聞きください。
 何もせんかったら人口50万になってしまう、頑張って70万にしておきたい、その70万の時代を迎えた県土づくりを希求していく、そのための対策もいろいろとっていくという、それはすごく大事なことではあるんですが、実はこれ各市町村が策定した人口ビジョン表というのをいただいてるわけですけど、(資料を示す)このデータを基本の1つに、データづくりの1つに考えてるんだとしたら注意してほしいなと思うことがあります。
 例えば、これ2010年国勢調査で和歌山市は37万364人となってるんですが、50年後の2060年には36万3000人となってます。この50年間に減る人数は7364人というデータを使ってるんです。あとほかに、日高町でしたら、むしろ7432名から50年後の60年には人口がふえる数値を出してるんですよ。8000人にふえて568人がふえてる、こんなデータです。
 こうしたデータをもとに県の将来の人口の推計、あるいは取り組み方を考える1つの資料にしたんだとしたら注意が要るな。あり得んでしょうと。和歌山市で37万人が36万3000人ぐらいの数字におさまることであれば、こんなに大騒動する必要なくて、この間にたった7364人の減少で済んでることになるんですから、ちょっと私はそんなふうに考えました。
 それから、施策の中で他府県から人口流入することを柱の1つにも挙げていましたので、僕はこれもどうかなと思います。今はまだそんな激しい取り合い競争にはなってないかわかりませんが、もう少しいくと和歌山県だけがよそから人口が来てほしいという行動をとるんではなくて、そら大阪も、奈良県も、兵庫県も、京都府も、みんな同じことを始めると思います。そういう意味では、その競争状態が起こってくると思うんです。
 この競争に打ち勝って人数を70万人ぐらいに──そのことの数字だけで70万人ということではないと思いますけど──人口をふやす考え方の根拠にしてるとしたら、それも僕は懐疑的です。みんな恐ろしいほどの競争が始まると思います。それぞれ町村を守ることを真剣にした取り組みで、恐らく長期総合計画的なところにそれぞれのまちが入れてると思うんです。そうした中でのことでもありますので、そう簡単にいくようなことにはならない、そんなふうに1つ1つにちょっと感じることがございました。
 いずれにいたしましても、これから我々全員、このことに対して頑張っていかなければならないと痛感をしているところです。
 勝手なことを申し上げまして、一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、通告に従って一般質問させていただきます。
 まず1項目めは、太陽光発電所建設のあり方について質問をさせていただきます。
 これまで、昨年の12月議会から毎議会、和歌山市の和泉山脈に計画されている太陽光発電所計画にかかわる質問をさせていただきました。知事は、地元同意がなければ申請を受け付けないとおっしゃってくださいました。大変心強く思っています。
 住民の皆さんの中には、この計画が明らかになってから大変なストレスを感じながら毎日生活を送っていらっしゃる方々がおられます。事業者から説明を受けても計画そのものへの不安や疑問が解消されないまま、自治会内での賛否の問い方などにも問題が生じ、隣近所で今まで笑顔で挨拶をしていたのに、顔をそむけられたり、言えないような心ない言葉を耳にすることなど、精神的な苦痛を受けています。
 かつて、1988年4月──29年前です──今の太陽光発電所計画地を含む場所に総面積324万8000平方メートル、約100万坪、甲子園球場80個分がすっぽり入るほどの森林が、ゴルフ場や宅地開発のため、県に事前協議の申請が提出されたことがあります。翌年、いずみ山系の開発を考える会がつくられ、住民がどのような思いで闘ったかが記されている本を見させていただきました。「有功の山を守ろう『乱開発にたちむかう10年の歩み』」、2000年12月に発行されています。この寝耳に水の開発計画を知ることによって住民が立ち上がり、事業者が住民に対してきちんと説明を行わず、協力金で事を進めようとした姿勢に住民の怒りが広がったと書かれています。
 1993年9月、大阪地検が県、市及び事業者などを国土法違反、所得税法違反などで強制捜査し、95年には会社社長らに有罪判決が下されました。97年には県は開発許可を出したため、98年に住民は提訴しました。その後、2000年まで11回の裁判が続きます。その間、99年5月には会社は倒産しました。この住民の長い闘いは、幾つもの難問を乗り越え、有功の山を守ることができました。
 本の冒頭に住民代表の方の挨拶文があります。少し御紹介させていただきます。
 「我々の暮らしている周りには裏山があるのが普通であり、これを里山と呼び、かつては日常使う燃料を補給してくれる山として、あるいは、日常生活に必須のタケザオやヨシを供給してくれる山として利用してきた。しかし、これらの必要性が弱まり、裏山を今度どう利用して行くべきかを、環境問題との関わりの中で見いだしていかなければならない重要な時期にあるのが現状で、我々がこの問題にどう取り組み、どう処理しようとしたかを記録しておくことは、20世紀の終わりにあたり、必要不可欠であると感じているからである。 里山をどう位置づけ、どう利用していくかが非常に重要な問題の一つとなり、次の世代を担う21世紀のはじめの世代の宿題となると考える」と述べられています。
 事業者も含め、それぞれの立場で、今、再びその宿題を考えるときだと痛感をしています。
 昨日は雑賀議員も企業の倫理について質問されていましたが、本事業者も、6月議会で片桐議員から、開発に同意する自治会とは協定書を締結し、協力金を支払うという資料を配布し、地元同意を得ようとしていることが紹介されました。先月、業者により「Q&A集」というパンフレットが4000部近く各戸に配布されたと聞いています。その中に、皆様のお手元にあります「和歌山市メガソーラー計画に関するQ&A集」、これが挟み込まれていました。
 パンフレットは、このように6ページ立てになっておりまして、(資料を示す)いろいろな疑問の特徴的なことを挙げ、それについて説明をしているというものです。これに挟み込まれていたわけですが、この中で一瞬これを見たときに、和歌山市が作成したように勘違いするほどのものです。
 まだ正式に同意された地元自治会がないと聞いていますが、既にこの裏面には、「同意をいただいた自治会様とお約束した事項」というふうに書かれています。まだこの計画に対しての賛否をとられていない自治会もありましたが、その後、自治会では賛否をとられて、ある自治会では計画に反対が圧倒的多数であったという結果もお聞きしていますが、これでは同意を誘導しているようなものではないかと思います。事業者自身が住民を分断するようなやり方では、信頼関係をつくることはできないと思います。まちの住民の皆さんの、人々のきずなを壊すようなことは控えるべきではないでしょうか。このことを私からもぜひ皆さんにお伝えしておきたいと思います。
 さて、ことしは新たな長期総合計画の初年度です。その中で地球温暖化対策の推進を掲げ、再生可能エネルギーの導入促進の一方、森林吸収源対策や生物多様性の保全の推進で豊かな自然の継承を挙げています。こういった中で、再生可能エネルギーの導入、普及の推進は喫緊の課題です。事業化に当たって環境保全や住民の健康、安全にかかわる問題が引き起こされないように、きちんとしたルールや規制の整備が必要ではないでしょうか。
 そこで、再度、環境アセスについてお聞きをしておきたいと思います。
 太陽光発電事業自体は法では環境影響評価の対象ではなく、県条例では、土地造成を伴う場合、環境影響評価の対象としています。しかし、アセスの対象は75ヘクタール以上です。対象事業に火力や水力、その他の発電所も入っていますが、太陽光発電は対象に入っていません。75ヘクタール未満の事業についてもアセスの対象となるようお願いをしたいと思いますが、環境生活部長の答弁をお願いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 75ヘクタール未満の事業についても環境影響評価の対象にとの御質問ですが、そもそも環境影響評価とは、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業の実施に際し、事業者みずからがあらかじめその事業を実施した際に想定される環境影響について調査、予測、評価し、事業計画に反映させる制度です。その考えに基づき、県条例では、環境影響評価法で規定されている第2種事業と同等規模のものを対象としているところであります。
 なお、環境影響評価条例の対象とならない開発事業における環境保全については、6月議会でお答えしたとおり、土地の状況や事業内容に応じて個別の法令による規制があることから、その中で環境の保全が図られることになります。
○議長(尾﨑太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 昨日の新聞に、和歌山市議会の一般質問で尾花市長が、和泉山脈の南斜面がソーラーパネルで埋めつくされるのは望ましくないとの考えを示したという記事が載っていました。全国でも環境影響評価条例の対象事業──工場、事業用地造成、工業団地造成などの対象事業ですが、神奈川県では10ヘクタール、栃木県では20ヘクタール、三重県20ヘクタール、滋賀県20ヘクタール、大阪50ヘクタール、奈良50ヘクタールなど、他の都道府県でもそういった基準になっていますが、県条例においてぜひ御検討をいただきたいと思います。
 先ほども述べましたが、太陽光自体は法では環境影響評価の対象ではありません。乱開発を規制するため、法的な位置づけを明らかにし、環境アセスメントを強化するように、あわせて国にも求めていっていただきたいと思います。住民の皆さんが穏やかな日々を早く送れるように、ぜひよろしくお願いいたします。
 続いて、次の質問に行かせていただきます。
 和歌山市駅前地区第一種市街地再開発事業についてお尋ねをいたします。
 現在、駅舎の解体が進んでいます。乗降客数1日平均、37年前は4万8000人余りで、昨年は2万人余りです。その間、駅前の商店は、どんどんと廃業、閉店してしまいました。一時は、市駅がなくなるのではないかといううわさが横行していました。しかし、本事業によって、和歌山市の玄関口としてより一層のにぎわいと魅力のある都心形成を目指すということで取り組まれています。
 ここでお尋ねをいたします。
 まず、第一種市街地再開発事業とはどういった事業でしょうか。その事業目的及び補助内容はどうなっていますか。
 また、市駅前については、施行者と県と市の共同した取り組み内容と総事業費、補助金についてもお答えください。そして、どのように取り組まれてきたかもお答えいただきたいと思います。県土整備部長、御答弁よろしくお願い申し上げます。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 現在、和歌山市駅前で行われております第一種市街地再開発事業の目的や補助の内容等についてお尋ねを頂戴いたしました。
 第一種市街地再開発事業は、都市計画法及び都市再開発法に基づき行われる事業であり、市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図ることを目的としております。駅前など利便性の高い地域の特性を生かし、老朽化した建築物を除却し、再開発地区内の敷地を共同利用して、住宅や商業施設等を面的に整備するのがその一例でございます。
 事業の仕組みとしては、従前の土地や建物の権利が従後の敷地と新しい再開発ビルの床の権利に置きかえられます。
 また、事業に係る費用は、新たに生み出された床の売却費と国、地方公共団体からの補助金等を財源とする仕組みとなってございます。補助金の対象は、再開発ビル等の建設のための地質調査や設計等に係る調査設計計画費、既存建築物の除却や補償に係る土地整備費、再開発ビルの共用通路やエレベーター、駐車場等の整備に係る共同施設整備費となってございます。
 また、和歌山市駅前地区の再開発につきましては、和歌山市、南海電鉄、和歌山県の3者で構成される南海和歌山市駅周辺活性化調整会議において、駅ビルの更新や周辺公共施設の集約・再編について検討するなど、取り組みを進めてきたところでございます。
 なお、総事業費は約121億円を予定しており、補助金額は、国、県、市合わせて約62億円の予定となってございます。
○議長(尾﨑太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 次に、市駅前地区の再開発事業の目的と進捗状況、今後の見込みについて、県土整備部長にお尋ねいたします。御答弁、よろしくお願いします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 和歌山市駅前地区の再開発事業の目的と進捗状況などについてお尋ねをいただきました。
 人口減少に対応したまちづくりは、それぞれの市町村において、都市の外縁部への拡大をやめて、既存市街地などの拠点の再開発等により都市機能や居住機能を集約するとともに、必要に応じて各拠点間を交通ネットワークで結ぶことが重要であると考えてございます。
 和歌山市駅前地区の再開発事業においても、商業施設、市立図書館やホテル等、多様な都市機能の集約によるにぎわいの創出や駅前広場の再整備とあわせた利便性の向上などを目的に、老朽化し耐震性の不足する駅ビルを更新し、和歌山市駅を魅力ある拠点として再生していくこととしております。
 進捗状況といたしましては、和歌山市が平成28年3月に都市計画決定を行いました。その後、南海電鉄が施行者となり、ことし4月から既存施設の除却工事に着手しており、平成31年度末には建築工事が竣工予定となってございます。
 なお、建築される各施設は、和歌山県福祉のまちづくり条例に基づいて、高齢者や身体障害者等が安全かつ円滑に利用いただけるよう、バリアフリー化される計画になってございます。
 地元住民の声の事業への反映につきましては、さまざまな手法が考えられますが、市駅前広場の再整備に当たっては、地元の自治会、商店街組合、南海電鉄、バス・タクシー事業者、学識経験者、警察、市、県で構成される和歌山市駅前広場整備推進協議会において公共空間の整備方針を検討しているところでございます。さらに、その利活用方策についても広く提案を募集するなど、各方面の御意見を伺いながら進めているところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、再開発事業に費用としては62億円という公費を投入する、そういった事業であるということと、それで、いろんな関係団体も含めて、関係者も入れて会議をしながら進めてきたというお話なんですが、私は、住民参加のまちづくりのところで、ぜひ要望をさせていただきたい点についてお伝えしたいと思います。
 この間、高度経済成長期、それは日本の人口、産業が急増した時代で、ふえる人口、産業が大きな課題だったように思います。無計画に工場用地を造成すると効率の悪い工場地帯になるため、道路、工業用水等が整備された工場用地の効率的な造成が求められ、各地で工業団地の整備がこれまで行われてきました。
 また、中心部では高い容積のオフィスビルが必要となって、密集して建ち並んでいる木造家屋を撤去して高層ビルを建てる制度が必要となってきました。そのため、都市再開発法や土地区画整理法、また新住宅市街地開発法が制定されてきました。ふえ続ける人口を効率的に受けとめるためだと私は考えます。
 しかし、今直面している問題は、人口減少という社会的問題が大きく変化していることではないでしょうか。人口の減少に対応したまちづくりが必要と考えます。先ほど述べてくださいました福祉のまちづくりも含めて、住民参加のそういったまちづくりが大切だと思います。
 地元の住民の声の事業への反映についてということで、ぜひとも地元の皆さんの声、また、商業関係の人だけではなく、そこに戦後何年も住み続けてる1人の御高齢の方がその場から出ていかなければいけない、そういったことにならないように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。地域で暮らし続けられるまちづくりが大変大切です。
 高度経済成長期のように、大工場で雇用を確保することは無理です。それにかわる重要な雇用先は、私は、第1次産業や教育、医療、福祉ではないかと思います。人口が減少する時代、大切なことは、人口が減っても生活の質が低下しないようにすること、さらに、生活の質を向上させることです。そして、住民の定着が進むようにしなければなりません。市民参加のまちづくりこそ地域の活性化の力になっていくのではないでしょうか。
 本事業がその点で住民の生活とどうかかわるのか、地区レベルでのきめ細かな施策が必要ではないでしょうか。高齢者施設や障害者施設、まちづくりがばらばらに動くのではなく、相互に調整しながら動くようにするべきだと思います。そのためには、地域の皆さん、さまざまな関係の皆さん、団体の皆さんとあわせて、その中で行政職員がきちんと配置されることが大事だと思います。
 その点も含めて、これから、ハードの面ではなく、本当に活性化するためにはどのような仕組みでどのようにしていくのか、その点、ぜひともお考えいただき──今、広場整備推進協議会というのを先ほども言われていましたが、その中で話をされています。しかし、それだけではなく、その広場を活用したり、また、先に市民会館の移転、その後の土地活用、そういった問題も出てくるかと思います。そういった点も含めて、和歌山市全体の玄関口として十分皆さんの意見が反映され、そして議論ができるような仕組みをよろしくお願いしたいと思います。
 これは要望させていただいて、次の質問に行かせていただきます。
 次は、医療保険制度改革について質問をさせていただきます。
 国は、社会保障予算の自然増削減を基本方針として医療制度を次々と変えて、医療にかかれない事態が深刻化しています。70歳から74歳の窓口負担1割から2割への引き上げが2014年度から対象年齢を1歳ずつ引き上げる形で実施され、既に70歳から73歳の方が2割負担となっています。
 2015年に可決された医療保険改正法による入院食費の負担増、患者申し出療養の導入、紹介状なしで大病院を受診した患者からの追加負担徴収など、患者負担をふやし、保険外診療を拡大する改悪も実行に移されました。
 市町村によっては国民健康保険料(税)のさらなる引き上げにつながりかねない国保の都道府県化、医療費適正化計画による給付費の抑制、地域医療構想による病床削減など、患者、住民に負担増と削減を押しつけるものになっていると思います。
 また、介護についても、医療介護総合法により、要支援1、2と認定された人は、ホームヘルパーによる訪問介護、デイサービスなどの通所介護が介護保険の給付から外されました。これらのサービスを保険給付から外すかわりに、自治体が実施する地域支援事業に新しいメニューを設け、代替サービスを提供すると国は説明しています。
 デイサービスの保険給付外し、特養入所の要介護3以上への限定、利用料の2割負担導入、介護施設の食費、居住費に対する補足給付の対象の限定など、介護制度の大改悪が進められています。ほかにも、年金や生活保護費の切り下げなどを行っています。
 特に今回、医療の分野についてお尋ねをいたします。これまでの国の医療保険制度改革についてどう認識されていますか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 誰もが安心して日常生活を送るためには、必要なときに適切な医療を受けられることが重要であります。そのため、我が国では、国民皆保険制度のもと、保険料や税負担によって医療保険制度を充実させ、その結果、長寿社会が実現してきました。
 一方、少子化が進展する中、制度を持続可能なものとしていく必要があることから、これまで国が行ってきた医療保険制度改革は、税収の確保とともに、負担能力や世代間の公平に配慮した負担の仕組みづくりや、生活習慣病の予防などによる医療費適正化の取り組みを推進するという方針で実施されてきたものと認識しております。
○議長(尾﨑太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁をいただきました。誰もが安心して日常生活を送るためには、必要なときに適切な医療を受けられるということでおっしゃっていただきました。
 全ての人が今の憲法25条のもとで安心して生活を送る、その1つが社会保障をきちっと提供していくことだと私は思っています。そういった点で、医療についても、必要なときに適切な医療ということで言われましたが、私は、必要なときに必要な医療を受けられることが大切だと思っています。この「必要な医療」と「適切な医療」、私は微妙に違うんではないかというふうに思いますので、その点、意見を述べて、次の2番目に行かせていただきたいと思います。
 医療保険制度改革で国が取り組もうとしていることについてお伺いします。
 国は、今年度から後期高齢者医療保険料の特例軽減を打ち切り、低所得の高齢者に大幅な負担増を押しつけるなど、さらに県民負担がふえていますが、今後どこまでふえていくのか、果てしない不安が広がっています。今後、国が取り組もうとしていることは何ですか。この点について、福祉保健部長、答弁をよろしくお願いします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 今後、国が取り組もうとしている医療保険制度改革の内容といたしましては、所得の低い方に配慮した上で、入院時の食事代の負担額や高額医療費の自己負担限度額引き上げなどにより負担の公平性を図ることに加えて、都道府県が国民健康保険の保険者となり財政運営の安定を図ることや、医療費適正化計画を見直すことなどがあります。
 なお、国が決定した医療保険制度改革骨子では、医療保険制度の安定化と持続可能性の確保に向け、負担能力に応じた負担のあり方などが今後さらに検討を進めるべき事項として示されております。
○議長(尾﨑太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、こういう国の制度について、るる説明をしていただいたんですけども、こういった状況の中で、次の3番目に行かせていただきますが、非正規雇用がふえて、労働者の平均年収はここ20年で50万以上も下がっています。貧困が拡大する一方、医療保険の負担増は暮らしを破壊し、脅かすものになっていると思います。県民の暮らしへの影響をどのように考えられていますか。この点についても、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 今回の医療保険制度改革では、国民健康保険や後期高齢者医療制度における保険料の軽減対象となる所得基準が大幅に拡大されるなど、所得の低い方への配慮が行われております。一方で、改革により負担のふえた県民もおられます。
 県といたしましては、誰もが安心して適切な医療サービスを受けられることが重要であると考えております。そのため、国に対して要望を行ってきた結果、所得の低い方の多い国民健康保険への財政支援が拡充され、一定の成果が見られたところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 国民健康保険料のことで特に要望したいと思いますが、実際に各市町村で国民健康保険料を滞納と、納入できていないと、その中身は、納入できるのに納めていないと、そういった状況があるのか、所得の状況なのかをしっかりと分析していただいて、決して私の周りではそのようなことがないんです。特に子供さんを抱えたシングルの人が、全国的にもひとり親家庭の半数以上の相対的貧困率がまだ50%以上やと、そういったことが新聞にも報道されています。
 そういった客観的な状況も含めて、やはり非常に厳しい生活の方たちの状況も踏まえて、実際にどう保険制度があればいいのか、そういった点も今後考えていただきたいなというふうに思います。県としても、誰もが安心して必要な医療サービスを受けられる、こういった点でぜひとも考えていただきたいというようなことで、次に保健医療計画のことで質問をさせていただきます。
 保健医療計画は、良質かつ適切な医療を効果的に提供する体制を構築し、県民の皆さんの医療に対する安心、信頼の確保を図るために医療法に基づき策定とあります。県としての基本的な考え方について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 次期計画である第7次和歌山県保健医療計画は、将来にわたり県民が安心で質の高い医療を受けることができるよう、在宅医療や救急医療などの医療提供体制構築の方向性を示すものであります。また、高齢化の進展に伴い、医療と介護の連携が重要であることから、同時改定となる次期和歌山県介護保険事業支援計画との整合性を図ってまいります。
 県といたしましては、県民が引き続き住みなれた地域で安心して暮らせるよう、地域の実情に合った医療提供体制と地域包括ケアシステムの構築に向け、計画の策定に鋭意取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 この保健医療計画について、国は、医療提供体制を考える上で、地域医療構想や、また医療費適正化計画を含めて考えていくような、そういったことが示されていると思います。
 そういうことの中で、私はぜひともお願いをしたいんですが、県としてはやっぱり県民の暮らしに寄り添って、県民の暮らしの実態、医療の要求や困り事や、ぜひそういったことを十分把握した上で計画をつくっていくと、そういう立場で頑張ってほしいと思います。
 例えば、先ほど乳幼児医療費の問題が出ていましたけど、佛教大学の総合研究所共同研究「脱貧困プロジェクト」、入院診療での子育て世代実情調査というのがあります。その中で、ぜんそく発作で入院したのが、貧困と、またそうでない家庭と比べると、2倍も違いがあります。また、受診を控えた、控える、そういったことは4.3倍の違いがあります。貧困の家庭ということでいえば、入院を4回以上しているのが1.7倍、やはり貧困と病気とが密接につながっている、そういったことが調査の中で明らかになっています。
 現場のある先生は、ぜんそくの子供に継続した治療が必要なのに予約の日に来ない、発作を起こすと受診するのが常で、その都度定期受診の必要性を説明するんですが、お母さんは「わかりました」ということですが、やはり来ないという繰り返しをしているということです。次にお母さんが受診したとき、勇気を出して、「予約日に来ないのは、もしかして経済的に大変だからですか」と聞いてみると、実はそうですと打ち明けてくれたという。そして、給料日のすぐ後でないと来られないと、そんな話もあります。
 現場では、もっともっと命にかかわる、病院に来たときには既に大変手おくれの状態だった、そういったことも報告されています。そういう1つ1つ、一人一人の状況を把握して、そして今度の保健医療計画をつくっていっていただきたいと思います。
 また、最後に、2018年の予算案づくりが今、国では始まっていると思います。その中で社会保障の削減を早々と打ち出しているのが今の政府だと思います。社会保障費の伸びを1300億円削減する大枠まで決めています。来年度は、医療、介護、障害者福祉などの各分野での報酬やサービスの改定が同時に行われる大きな節目の年度になっています。
 国民の暮らしを支えるには、医療、介護などの分野で財源をしっかり確保して、制度を拡充させることが必要だと思います。社会保障削減ありきではなくて、県民の声をしっかりと受けとめて、県政が暮らし、命を守る防波堤になることを願って、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時46分休憩
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  午後1時0分再開
○副議長(山本茂博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 ただいま議長のお許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。
 今回は、過去にも何度か当局に見解をただした問題について、再度質問させていただきますが、まず冒頭に、ことしの激しい気候変動により、梅雨前線上を次々と通過する積乱雲による集中豪雨が九州北部を初めとして全国各地に甚大な被害をもたらしました。被災しお亡くなりになった方々に衷心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様に心からお悔やみ申し上げます。また、家屋等の損壊に遭われた方々にも心からお見舞いを申し上げます。
 線状降水帯という言葉がマスコミ等で幾度となく放送されていました。私にとっては余り聞きなれない言葉でしたが、前線の上に次々と雨雲が発生し、大量の雨を一定の地域に集中的に降らせる状況を言うのだそうです。
 今回の集中豪雨は、福岡県朝倉市黒川地区や大分県日田市の山麓が崩壊し、河川にかかる橋が壊れ、堤防が決壊し家屋を飲み込む様子が報道されていました。マスコミは、山が崩壊し、樹木や切り捨てられていた木材が流出し、家屋や橋梁を押し流したと大きな見出しで取り上げていました。紀伊水害の折も同じように流木による被害が多く見られましたが、1000ミリを超える大雨量に圧倒され、余り大きく取り上げられませんでした。しかし、災害後、各地を視察したときに、その流木の多さに驚いた記憶があります。
 最近、人が山に入ることが少なくなり、山の環境が一変いたしました。昼でも鬱蒼として薄暗い山の斜面は、太陽光が入らないため下草もなく、表土が長年の雨に流され、石や岩がごろごろ浮き出し、今にも崩落しそうな山が私たちの身近に存在しています。
 現在、日本の山は、経営林はもとより一般の森林も手入れが行き届かず、相対的に高木化が進んでいます。簡単に申し上げれば、山の重心が高くなっているということです。今後、さらに山を放置する状況が続くと、最近多発する集中豪雨に耐え切れない山がたくさん出てくるのではないかと憂慮しています。
 そこで、災害時、少しでも被害を少なくするために山林の管理をしていかなくてはならないと、私は常々申し上げてまいりました。
 森林整備は、山の環境整備にとどまらず、災害から人を守り、水質を正常な状態に保つことで、豊かな川や海の資源を育成し、鳥獣被害の対策にも大きな効果をもたらすと思います。
 知事は、紀伊水害の経験を踏まえ、災害復興と同時に河川の整備に大変御尽力をいただいていますことに対しては敬意を表します。私の地元の江川の河口における大規模改修にも御尽力をいただきました。先般の台風5号の豪雨においても、まだ改修途中にあるにもかかわらず一定の効果を発揮し、浸水被害を最小限に抑えることができました。完成すれば、きっと浸水被害はなくなると確信をいたしました。知事に改めて御礼を申し上げます。
 そこで、まず農林水産部長にお伺いいたします。
 自然のダムと言われる森林を整備することによる環境調整能力や災害対応能力の向上について、どのようにお考えですか。
○副議長(山本茂博君) ただいまの花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 議員御指摘のように、森林の整備は、水質を浄化したり二酸化炭素の吸収により地球温暖化を緩和するなど環境調整機能を高めるとともに、洪水の緩和や土砂流出を防止するなど防災機能の向上に役立つなど、非常に重要であると認識しております。
○副議長(山本茂博君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 まあ、わかっていただいてるようで。
 次に、関連してるんですけども、最近、ナラ枯れというのが顕著に見えます。このナラ枯れ問題を取り上げたいと思います。
 ナラ枯れは菌による伝染病ですが、媒介するカシノナガキクイムシによって集団感染し、被害が拡散いたします。山で仕事をしてる方にお伺いをいたしますと、ナラだけではなくブナ科のウバメガシやカシの木の特に老木に伝染し、倒木のおそれがあると聞きました。
 最近、山を見上げるとナラ枯れが目立っています。ウバメガシやカシの木の比較的若い木にはカシノナガキクイムシは寄生しておらず、大きくなった老木に多く寄生するようで、寄生されると枯れてしまい、倒木のおそれが生じます。この現象が続くと山の斜面の崩落にもつながるのではないかと心配していました。
 そこで、農林水産部長にお伺いいたします。
 カシノナガキクイムシの被害の現状と対策についてお答えください。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) カシノナガキクイムシによるナラ枯れ被害についてですが、被害の対象となる樹木は、議員がおっしゃるとおりコナラやシイ、ウバメガシ、アラカシなどへの被害が確認されているところであります。被害は、平成11年に新宮市で確認され、その後、徐々に北上し、平成28年には広川町で確認されるなど、昨年度は県内で約250立方メートルの被害が確認されています。
 県といたしましては、紀の国森づくり基金を活用し、被害木の伐倒駆除を行うとともに、神社林などにある価値の高い樹木に対して薬剤の樹幹注入や粘着シートによる防除を行っているところであります。
 また、防除技術を普及するため、県、市町村、国有林野の職員や森林組合等の林業関係者を対象に、伐倒駆除の仕方や防除方法の研修会を実施しており、今後も、こうした取り組みを通じ、各種対策を実施してまいります。
○副議長(山本茂博君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 枯れるというても、ずっと山の再生からすれば、30年ぐらいすればまた山の木も育つわけですから、そんなに脅威ではないとは思いますけども、それでもやはり山の全体的な防災とか、先ほどお伺いしたいろんな機能を持っている山の生態系といいますか、それをちゃんと守っていく上では、やはりこういうことにも対応していただきたいと思います。
 次に、山もまた生きておりますから、新陳代謝が必要ではないかと考えます。中山間地域の住民生活や雇用対策、CO2削減や水質保全のための自然環境対策、地震や豪雨による大規模な崩落対策や鳥獣害被害対策にも関係し、林業のみならず農業、漁業にも影響が大きく、私たち一人一人の社会生活にもかかわる重要な課題を内包していますので、災害に強い健全な森林の保全対策について、今後、県はどのようにかかわり、どのような有効的かつ具体的な政策を遂行していくのかを知事にお答えいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 健全な森林の保全対策についてお答え申し上げます。
 林業の衰退等に伴い、人々は森林から遠のき、適正な管理が行われない森林が増加しております。このような状況を改善していくためには、適切な時期に刈って、出荷して、また植えて育てるという森林の循環利用を進めることが必要でありますが、それには森林から生産された木材を有効に活用して、森林所有者を含む地域全体にお金が残る仕組みが必要でございます。
 このため、和歌山県では、需要対策、これにも力を入れております。紀州材を住宅などでたくさん使っていただく、公共事業も含めて力を入れております。また、間伐材の需要なんかもつけないといけないので、これはエネルギー利用できるんじゃないかということで、バイオの幾つかの利用方法は既に確立してるんですが、もっと量をふやそうということで、発電、これに大チャレンジをしとるんですが、今のところまだ完成しておりませんが、ちょっと仕掛品が大分できてまいりまして、期待を持てるかなあというふうに思っております。
 こうしたことを踏まえまして、和歌山県長期総合計画では、産業政策として林業・木材産業の成長産業化、環境政策として多様で健全な森林づくりを進めていくことにしております。
 本年7月に策定した和歌山県森林・林業総合戦略では、林業・木材産業の成長産業化を進めるため、造林・伐採から加工・流通・販売まで一体的な取り組みを行うこととしておりまして、農林大学校での人材育成などもあわせて、もうかる林業を目指していきたいと思っております。
 また、多様で健全な森林づくりを進めるため、獣害や森林病害虫の被害対策に取り組むとともに、企業の森による植栽や、紀の国森づくり基金を活用した森林整備等により、森林機能の維持・回復を図ってまいりたいと思っております。
 さらに、貴重な自然生態系を持つ森林及び景観保全上重要な森林については、県民の共有の財産として永続的に保全するため、新紀州御留林として県や市町村による公有林化を図りたいと思っております。
 これら、林業・木材産業の成長産業化、多様で健全な森林づくりの2本の柱を進めることにより、県土の保全や生物多様性等、森林機能の重要性に鑑み、森林環境の保全にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○副議長(山本茂博君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ありがとうございます。
 知事のおっしゃるとおりだと思います。知事も認識は十分していただいてるようでございますし。ただ、今、南のほうへ行くと、山の中をずうっと道も走ってるんです。そのときに、木が県道の上へかぶってきたりして、バスなんかが通るとやっぱりセンターラインへ寄って通行しないと、バスに枝が当たるもんですからこう出てくる。じゃ、ここ全部、今ちゃんとできるかというと、なかなか延長距離も長いでしょうからできないという状況になっておりまして、できるだけ森林を管理するというか森林をちゃんと整備していくということは、そういう交通の安全にもかかわってくることでもありますし、そういう意味でぜひ今後とも森林の適正な管理、整備というのを県行政でもお願いしたいと思います。
 続きまして、昨年6月議会で質問させていただきました株井峠の改修についてです。質問後、早速、消えかけていたはみ出し禁止のセンターライン、黄色いラインですけども、引き直していただきました。大変ありがとうございます。
 今回、株井隧道の改修について、少し観点を変えて取り上げてみたいと思います。
 株井トンネルは、昭和43年完成、経過年数49年、延長215メートル、幅員7.5メートルで、当時の県道の改修規模からすると大変大規模な工事であり、難工事の末、完成した立派な隧道でした。
 御承知のとおり、株井隧道は、日高郡の背骨とも言える県道御坊美山線であり、古くから産業、経済、生活、観光と多岐にわたる、まさしく御坊・日高地方の最重要路線であり、通行量も多く、それゆえに約50年前に、当時としては大規模な株井峠の改修が行われたと考えます。
 しかし、その後、経済が飛躍的に伸びて、当時の予想をはるかに上回り、車は大きくなり、台数もふえました。平成になって完成した県道のトンネルの幅員は、狭くても8メートル、広いトンネルは10メートル以上もあり、株井隧道の幅員7.5メートルは現在の規格からすれば少し狭く感じます。
 6年前の紀伊半島を襲った大水害の際は、川沿い道路の多くは通行不能になりました。株井隧道も、御坊方面の出口が崩落し、一時通行どめになり、日高川沿いは分断されました。しかし、日高地方の生活、経済に余りにも影響が大きいため、地元建設業界の皆様の御尽力により速やかに片側通行に復旧していただきましたが、数年後、今度は美山側の出入り口が崩落し、通行どめになりました。
 当然、私たちは当該区間の早期の全面改修を強く望むものですが、さきの議会での私の質問の趣旨と当局の御答弁が少しかみ合わなかったように思え、再度お尋ねをいたします。
 そもそも、株井峠は川中迂回線の代替道路の意味合いが強いわけであります。本来、災害に強く、大水害時もほとんど影響を受けないバイパスで、所要時間も約20分短縮できる大変利便性の高い区間であります。
 しかし、さきの議会で株井峠の抜本的改修をお願いしたのですが、当局とは見解が食い違いました。そこで、このたびは株井隧道の老朽化に絞ってお尋ねをいたします。
 先般、冒頭で述べましたとおり、株井隧道は完成から約半世紀がたち、老朽化が目立っています。内部はコンクリートの劣化が進み、至るところを鉄筋の網で補強されています。大きな雨が降りますと、隧道の入り口は滝のように水が落ち、内部も壁面から水が噴き出しています。
 ちょっと写真を皆さんにお配りさせていただいてるんですが、この間もこのような状況だったらしいです。これは、台風5号のときに、過ぎ去った後、警戒警報が終わってから私ちょっと見に行ったんですけども、そのときこういう状況でした。これは大体過ぎても半日ぐらいはこんな状況で続いてるようですけども、こういう状況ですんで、そこで、県土整備部長にお伺いをいたします。
 先般、国は、トンネルの経過年数を考慮して老朽化等、調査をするとの報道を見ましたし、首都高速もコンクリートの劣化が目立ち、改修していくとの報道がありました。橋本市の紀見トンネル内のコンクリートの崩落があったことは記憶に新しいのですが、紀見トンネルは昭和44年完成、経過年数48年でした。当時は48年じゃなかったと思いますけど、今でいえば48年、当時は45年ぐらいでしたかね。
 当局は、9月補正予算でも橋梁等の老朽化対策の経費を計上していますが、トンネルの寿命は一般的に何年くらいとお考えなのか、県内のトンネルの老朽化の調査と対策はどのようになっているのか、お答えください。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) トンネルの寿命と県内のトンネルの老朽化の調査と対策について、御質問を頂戴いたしました。
 まず、トンネルの寿命につきましては、明記されたものはないと認識をしてございまして、トンネル自体は基本的に永久的な構造物であると考えてございます。しかしながら、覆工コンクリート等の老朽化が見られることもありますことから、管理、補修を適切に行うことにより長寿命化を図っているのが現状でございます。
 具体的なトンネルの老朽化対策として、従来から必要に応じて点検や補修を行ってきたところですが、平成24年に中央自動車道笹子トンネル内の天井板が落下する事故が発生したことを受け、平成25年度に県が管理する全トンネルを対象として点検を行いました。その結果、剥落防止対策等、緊急を要する補修が必要と判断された33のトンネルについては、既に対策を完了しております。その後、平成26年に道路法が改正され、トンネル、橋梁等の道路構造物は5年に1回の近接目視による点検が義務づけられたことから、県が管理する166のトンネルについて、平成28年度から定期的な点検を順次行っているところでございます。
 使えるものは使うという考え方を基本として点検の結果、早急に対策を行う必要があるとされたものについては、損傷に応じた補修を行い、長寿命化を図ることとしております。
○副議長(山本茂博君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 長寿化というのは、それも限られた予算で私たちの公共の施設を維持していくということも、これはもう命題ですからそれは仕方がないことだと思うんですけども、一方で、部長も──部長は行ったことありますか。大雨が降ったときに、この株井トンネル。それは大変ですよ、ここへ行ったら。むちゃくちゃ怖い。僕も行って、これどうしようかなあって。入るのが、入ってもしこの辺崩れたらどうかなと、前もここ崩れたしなと。
 トンネルだけじゃなくて、僕が言うてるのは、前は株井峠の改修ということでお願いをしたんだけども、どうも話がかみ合わなかったので、今回、ちょっとインパクトの強いというか、取り上げて、地元の人がいつも言うてる、「花田君、雨降ったら一回行ってみ。別に車洗うとるわけじゃないけども、シャワーみたいやで」と。中も外もこないなってるというの、僕もちょっとにわかにはあんまり信用してなかったんやけども、実際、僕もちょっと行ってみたらこんな状況でした。
 この期間でも、車はやっぱり往来してました。これ、皆怖くないんかなと思いながら僕も見てましたけども、5分ぐらいの間に10台ぐらい車が往来はしてましたけども、これもししてるときに中のあれが崩落したり出口が崩れてきて、そこで車が押さえられるようなことがあったらどうするのかなあと。前もここ1回崩落したしなあと思いながら通ったんですけども。
 長寿命化も、それは大事やと僕は思います。思いますけども、この株井トンネルというのは、さっきも言いましたように昭和43年当時、この規模の道路改修というのは御坊美山線では一番最初のほうに取りかかった区間だと思うんですよね。それが今一番古い区間になってまして、そのときのコンクリートの状況とか。今この中に入ってもらったら、鉄筋の網で随分押さえてますよね。あれで大丈夫なんかなあと。走ってるときは、おりて見ませんから、鉄筋で押さえてるというのだけしか見ませんけども、この間おりて改めて見ると、まだ黒くしみてるというかコンクリートも随分何か劣化しているようにも、素人目に見てですけど思いますんで、長寿命化、長寿命化と言いますけど、もし万が一、それ長寿命化してて、それでこの間の紀見トンネルのように崩落をするようなことがあったときにはどうするのかなあと。もし、車なんかが押さえられたら大変だなというような思いをしながら、知事にお伺いをいたします。
 この日高地方を東西に貫く基幹道路の県道御坊美山線の一番の難所と言える株井峠の隧道の老朽化に伴う改修について、御見解をお聞かせください。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、もちろん何度も通ったことがございますが、大雨のときではなかったので、シャワーに当たったことはありませんでした。
 議員御指摘のこのトンネルについては、現在、点検業務を進めているところでありますが、議員からの御指摘があり、写真まであるわけですから、特に入念に、注意深く慎重に点検をせないかんなあと、そういうふうに思っており、その結果を踏まえて具体的な対策を検討してまいります。
 今後も、そういう点検を継続していく中で、補修による対策が困難であるという場合は、抜本的な改修の検討が必要になってくる場合もあるかなあというふうに思っております。
○副議長(山本茂博君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 今回はトンネルを取り上げましたけど、一番象徴的な部分なんで隧道、トンネルを取り上げましたけども、実はこの株井トンネルというのは、ずうっとあの擁壁も、あの斜面押さえてるのり面、あのコンクリートも随分昔にやったやつで、たまに崩壊したときも昔あって補修したときもありますけども、この隧道自体、峠の全体の構造自体がちょっと危険じゃないかなと僕は前々から思ってますんで、もしトンネルの俗に言う寿命が、これはもうこれ以上は延命化できないなということになったときは、抜本的にあの区間の改修をお願いしたいと思います。
 次に、印南町印南地区の津波対策についてお尋ねをいたします。
 この項目も過去の県議会で質問させていただきました。今回、再度質問させていただくことにしたのは、先般、由良町において津波防災の防波堤の着工式がありました。由良町では、昭和の南海地震津波による浸水標高は3.37メートルでしたが、流失13、全壊54、半壊541、床上浸水594、床下浸水52戸でした。当事業着手に御尽力いただいた仁坂知事初め、県御当局や国交省の皆さんに心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。由良町での知事の並々ならぬ「県民の生命と財産を守っていく」という決意をお聞かせいただき、感きわまるものがありました。
 そこで、知事の日ごろの災害対策についての姿勢を拝見し、もう一度、印南地区の津波対策について県議会議場において議論を深めたいと思い、質問させていただくことにいたしました。
 まず、県土整備部長にお伺いをいたします。
 さきの議会でも一度質問させていただきましたが、昭和21年、南海地震の際、印南町印南地区の津波標高は、串本町袋の6.57メートルに次いで5.51メートルで、家屋流失6、半壊15、床上200、床下400、浸水いたしました。田辺市新庄、由良町に続く被害です。
 田辺市や、先ほど述べた由良町の津波対策はある程度進んでいると思いますが、比べて印南町印南地区の津波対策の現状はどのようになっていますか。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 印南地区の津波対策の現状について、お尋ねをいただきました。
 和歌山県では、平成26年10月に策定しました「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」に基づき、東海・東南海・南海3連動地震の津波避難困難地域の解消と、経済被害を抑え、早期の復旧・復興につなげるための港湾、漁港等の既存施設のかさ上げや、防波堤の強化等の津波対策を実施してございます。
 印南地区には、3連動地震による津波避難困難地域は存在しないため、印南漁港においては、同プログラムに基づき、背後地域の被害低減や早期の復旧・復興につなげることを目的とした既存防波堤の強化を図ることとしておりまして、今後、早急に着手をする予定でございます。
○副議長(山本茂博君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 次に、知事の、政治家は皆そうですけども、原点であります「一人の命も犠牲にしない、そして財産も同時に守る」という決意に心から賛同するものであります。
 先ほど述べた昭和21年の南海地震の際、印南地区は印南川河口から津波が流入し、印南地区の6割以上が床上・床下浸水に見舞われ、お亡くなりになった方もいらっしゃるんですけども、甚大な被害を及ぼしたことを思うと、知事の御見解を聞かずにはおれなくなりました。
 印南地区は、津波の破壊力の脅威というよりも、印南川をさかのぼってくる津波による浸水被害を懸念しています。昭和21年当時は、今ほど高齢化も進んでおらず、家屋の胸まで浸水したそうですが、比較的早い時期に高台等に避難できたと文献には書かれており、死者も比較的少なかったと聞いております。
 しかし、現在は、御多分に漏れず印南町も高齢化が進み、将来、津波が来たときには昭和の津波のときのように避難ができず、浸水による人命の危機も大変危惧されます。
 さきに発表された南海トラフ地震の津波想定波高は15メートル、東南海地震が連動したら7メートルとなっていますが、津波の衝撃波にはある程度耐えられると思います。
 しかし、押し寄せる津波は印南川を逆流し、中心市街地を海水で浸してしまうことは避けられません。印南地区には、役場やこども園は高台に移転いたしましたが、まだ小学校、中学校、そして町民が使う体育館、内科・外科・歯科病院、生活必需品販売の商店街や大型店舗、銀行、郵便局、農協等の金融機関、JRの駅や葬祭場があり、町民にとって必要不可欠な施設が集中し、また雇用も生んでいます。何よりも、3割以上の町民の皆さんが生活しています。
 南海トラフ地震や東南海地震のような大規模地震が起こると、近隣市町村も同じ被害に遭われているのでライフラインの確保を期待することはできません。災害当初は自助・共助を求められるのですが、町の主要機関が機能しないということは大変な脅威であります。
 しかし、逆に印南地区を守ることができれば、印南町全体の災害からの復旧も自力可能になります。町の形成上、この重要な印南地区を守るための津波対策として、私は水門の設置が最も有力な手段の1つと考えますが、知事の御見解をお伺いいたします。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 東海・東南海・南海3連動地震の津波避難困難地域の解消と経済被害を抑える、あわせて、巨大地震が来たときも人間の命だけは絶対助ける、これが我々の大目標であります。そういう意味では、我々は「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」というのを最優先にしております。
 先ほど、議員は「一人の命も失わせない、財産も守る」とおっしゃったんですけども、それはおのずとちょっと差があります。財産を全部守ろうとすると、それをしかも公平にやろうとすると、到底和歌山県は、はっきり言うとできません。1つやるとほかはどうするんだと、こういう話になって、ちょっと無理かなあと思うし、東北の例でも明らかなように、全部守ろうとすると、家屋、その他も物すごい設備をつくらないといけないんですけど、そうすると、果たしてそれが生活との関係でいいのかどうかという議論もあるし、かつ、乗り越えられることが現実には起こっております。したがって、できれば財産も守りたいというのは当然でございますけれども、必ず守るところは生命にしようということで考えております。
 また、議員から御指摘のあった津波の河川への遡上による浸水被害の防止のための水門の設置ということについては、その遡上を防ぐ効果があることは明らかでありますので、ある意味では、上流部の人たちはそれで財産はより守られるということは明らかだろうと思いますが、一方で、水門を設置すると、下流部についてはより浸水の高度といいますか水位が高くなるわけでございますので、かえって被害が大きくなるという面もあります。
 極論をすると、時間とか水量によりますけども、これはそのときに計算すれば済むことですけれども、一般論として言うと、ひょっとしたら川を締め切ったら上流から水がどんどん流れてくるわけですから、ちょっと大変なことになる可能性もあるというようなことがありまして、印南について、ほかのところもそうですが、ちょっと危ないかなというところを水門で全部とめてしまうというのは、今のところちょっと無理かなあというふうに考えております。
 それのかわりと言ったらおかしいんですけど、上下流を問わず、津波による犠牲者ゼロになるように、堤防の強化をある程度して、それで内陸部の対策を、例えば避難路とかタワーとか、そういうところに力を入れていきたいなということを今考えてるわけでございます。
 あわせて、多分、津波の現状を見てると、財産のある程度の浸害というのはもうしょうがないというふうには思いますけれども、それでも被害があったところを、今度は復旧が終わるとできるだけ早く復興していかないと、人々の生活が確立しないとみんな人口が減ってしまうということになります。したがいまして、それができるだけ早くできるように、南海トラフ地震からの復興計画の事前策定に向けた統一手法研究会、すなわち復興計画の事前策定の研究会をきちんとやっといて、復興計画を事前策定しといて、それで、被害があったところについては、さらに、例えば道が狭いところなんかを改良して、いいまちをぱっとつくってしまうというようなことができるように考えておくのがいいんじゃないかなと、そんなふうに思ってる次第でございます。
○副議長(山本茂博君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 まだちょっと見解は違いますけどね。あそこに樋門をつくって、その波返しというか、それがほかのところにどれだけ影響があるかというのは、私も専門家ではないからわからないところはあります、確かに。
 それは私も自分でも言いながら懸念するとこもあるんですけども、先ほど申したように、私は個人の財産を守ってくれと言うてるんではありません。それは、全部の和歌山県、津波で皆やられるわけですから、各地、そんなことを私申し上げてるんじゃなくて、印南町の印南川の川幅が狭い。例えば、日高川に水門つくれとか南部川に──私の地元ですよ──水門つくれと、これはちょっと荒唐無稽な話だと私も思いますんで、そんなことは申し上げませんが、印南川というのは比較的コンパクトで川幅も案外狭くて、人口が密集してるのもあって、きちっと護岸もできてるんで、それで国道42号線も南北にここを縦断しておりますし、さっき言うたように、印南町に、津波の被害に遭わない地域の人たちのライフラインもあそこに全部集中してるということですんで、この印南町の特異性の中で、私は、財産というのは、町民の全体のそういう病院であったり、さっき言うた銀行業務であったり、いろんな機能があそこに集中してるんで、あそこを何とかその機能を、ライフラインを守れば、比較的復興も早くできるだろうと思うし、そやから、その意味で私はあそこに水門をつくって、あそこの町全体の機能をできるだけ被害を最小限にとどめれば、印南町に限っての復興は早いと僕は思います。
 幸いにして、役場はこの間、知事もお越しいただきました、新築して高台に上がりましたんで、役場機能は失われることはこれでなくなっておりますので、それにあわせて生活のライフラインも守ることができる可能性があるんであれば、一考していただきたいという思いで今回一般質問いたしました。
 そういう声も、実際、印南町の地域の人にはございます。樋門してもうてたら津波防げるん違うんかと。僕も含めて素人ですから、科学的に、物理学的に押さえられるかどうかというのは、それはまた研究していただきたいと思いますけども、そういう声も実際あるということを知事も心におとめ置きをいただきたいと思います。
 次に、小学校の不登校児童生徒の学力保障について、文教委員会及び本会議場において再三再四お伺いをいたしました。またかと思われるかもしれませんが、この不登校問題は、個人やその家庭だけの問題ではなく、個人の人生はもとより、社会全体にもかかわることなので放ってはおけません。
 全国で小中学校における不登校児童生徒は毎年12万人を超えています。この現象は、若年層の就職率にも影響を及ぼし、婚姻率の低下、ひいては出生率の低迷、さらには超高齢化社会を支える社会基盤にも大きくかかわっているということを私たちは知るべきであります。この不登校やひきこもり状態の若い世代が活躍できない社会がどれほど我が国にとって大きな損失であるかを我々は重く受けとめ、解決策を講じなければなりません。
 青少年が近年多発する事件、事故に巻き込まれ、巻き込んでしまった事例を見るたびに、本当は一番楽しい青春時代のはずなのにと心が痛みます。背景には、行き場のない、将来の夢や希望、身近な目標が持てない青少年の心の悩みが聞こえてくるような気がします。
 政府は、平成16年12月、特区803「不登校児童生徒等を対象とする学校設置に係る教育課程弾力化事業」を閣議決定し、全国化するとしました。それを受けて、文部科学省は、平成17年、学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行等を各都道府県に通知いたしました。その趣旨は、不登校児童生徒等の実態に配慮した特別の教育課程を編成する必要があると認められた場合、特定の学校において教育課程の基準によらずに特別の教育課程を編成することができるようにするというものであり、構造改革特別区域法第2条第3項に規定する規制の特例措置である不登校児童生徒を対象とする学校設置に係る教育課程弾力化事業を同法の定める手続によらずに実施できることとするものであることとあります。
 長い間、問題提起してきたことを国が特区制において──長い間というか、もう大分このひきこもりというのは随分長い社会問題になっておりますので、国が特区制において解決しようと動き出したことは大きな前進だと大変評価するものであります。既に、不登校児童生徒を対象として、その実態に配慮した特別の教育課程を編成している学校が全国に八王子市、京都市、岐阜市の公立中学校、ほか私学で4校あり、その中の一例ですが、横浜市の学校法人国際学園星槎中学校では、不登校生徒に対し学力を保障するため、個別指導計画を作成し、習熟度別クラス編制や体験学習等の導入を行うとともに、授業時間をふやし、指導を行っていると聞いています。
 そこで、教育長にお伺いをいたします。
 学校は、児童生徒に教育を提供する義務が課せられている前提でお伺いをいたしますが、義務教育課程における不登校児童生徒の学力を保障するためにどのような対策があるとお考えですか。
○副議長(山本茂博君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 不登校は、学校教育の根幹にかかわる最重要課題であり、本年度から不登校等総合対策事業に取り組んでおります。
 不登校の要因は、児童生徒個々に異なるため、一人一人の状況を把握し、支援計画を立て、組織的に対応するよう、不登校問題対応の手引きを作成し、この4月に県内全ての教職員に配布するとともに、6月から7月にかけて全ての学校を対象に、この手引きを活用した研修を行いました。学校では、対象となる児童生徒についてケース会議を開き、学習支援策も組み入れた支援計画を作成し、補充学習、別室での学習指導、家庭訪問における学習支援等の取り組みを進めております。
 このような学校の取り組みに加え、今年度から新たに不登校児童生徒支援員を県内20市町村の小中学校に40人配置し、学校の支援計画に基づき、別室での学習指導や家庭への訪問支援を行っております。
 また、現在、14の市町村が不登校児童生徒を受け入れる施設として適応指導教室を設置し、学力補充や登校支援を行っております。加えて、県が設置している教育相談電話では、学習方法や学習内容等の学習の悩みについて丁寧に聞き取り、助言したり、子供の心のケアを行ったりするなどの対応をしております。
 全ての児童生徒の学力を保障することは、学校教育の基盤であります。今後とも引き続き、欠席しがちな児童生徒の学力支援に取り組むとともに、不登校の解消に向けて、未然防止、早期発見・早期対応、学校復帰支援の各段階に応じた取り組みを総合的に進めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 前段で述べましたように、小泉内閣のときの特区ですけども、国ももう12年前に特区制までしいてこの不登校に対しての何らかの解決を教育長や知事に求めてるわけですけども、じゃ、この12年の間に和歌山県の不登校児童はふえたのか減ったのかというと、大体一定にずうっと1400人前後、3年か4年前に「読売新聞」だったと思いますけども、1000人当たりの不登校率は和歌山県が全国で1番だという衝撃的な記事が載って、ちょっとこの議会でも皆えっというような感じだったと思うんですけども。
 それ以後、もう何年かたつわけですけども、私もたんびたんび質問してるんで難しい問題だというのは私もよくわかってるんですけど、でも難しいからといって成果の上がるような具体的な政策ができないで、この1400人が毎年ずうっとエスカレーターに乗ったまま上がっていってるというこの現状を見ると、これ以上、まだほっとけないなあと、まだちょっと今の教育長の答弁では不十分だなと私は思います。
 そこで、次に、和歌山県のように人口が点在している状況、人口密度が低い地域で、不登校児童生徒も多分点在してるわけでしょうから、1つの学校に集めて指導するということは困難ではないかと考えています。
 そこで、特区にある、教育課程の基準によらずに特別の教育課程を編成することができるとありますが、双方向性の通信教育を取り入れ、特区制度に提案できないかと考えますが、教育長、いかがですか。
○副議長(山本茂博君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 中学校の通信教育を受けることができるのは、学校教育法で、尋常小学校卒業者及び国民学校初等科修了者に限られております。このような通信制中学校は、現在、全国に1校で、学齢期の生徒は対象となっておりません。
 また、構造改革特区制度を活用した中学校の通信教育については、義務教育段階において、児童生徒と教員あるいは児童生徒同士の人間的なかかわりを深め、児童生徒の社会性や豊かな人間性を育むことが極めて重要であるとの観点から、文部科学省からは特区としての対応は困難であるとの判断が示されております。
 なお、現在、ICTを活用した学習システム等の研究、開発が進められる中、県教育委員会としましては、不登校児童生徒に対しても、その効果的な方法を研究してまいります。
○副議長(山本茂博君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 今の教育長の御答弁を、もし引きこもってる家庭の人が聞いたらどんなに思うんだろうなと思います。
 今言うたように、確かに第8条で尋常高等小学校卒業、これ戦時中の話ですよね。昭和23年に定められた学校教育基本法の中で、国民学校、尋常高等小学校、戦争の期間中行けなかったんで、その人に通信による教育を行うことができると書いてるだけで、ほかの者に対して通信教育をしてはいけないとはどこにも書いてないような気が僕はしますけど、時代が変わって、今、この当時、全く想定されてないほどの通信の発達、今で言えば、本当に瞬時に世界の情報がインターネットで自分の家庭の中に入ってくるようなこんな時代に、この科学の力をなぜ教育に使わないのか。
 不登校の子は、先ほどおっしゃってましたけども、発達段階に照らし、一定の教育目標の意図で計画された教育活動を通じて、児童生徒と教師あるいは児童生徒同士の人間的なかかわりを深め、児童生徒の社会性や豊かな人間性を育むことが極めて重要だから、通信教育ではそれができないから余り適切ではないという政府の見解であるとすれば、もともと不登校で出てこれない子供たちは、不登校というのは出てこれないから、こういうことができないから家にいてるんでしょう。じゃ、通信を認めることによって、通信教育を認めるということは、その不登校を認めるということ、また助長するということというふうに変に捉まえて、その不登校の1400人、毎年中学校で3年間家に閉じこもってる子供たちに対する教育の保障をどうするのかという議論をしない。
 もう1つは、なぜ不登校になってるかという原因と、僕は単純に思うんですけども、その子供たちに学力の自信をつけさせる。例えば、1年のときは不登校だったけど、2年に学校へ行けるような状況になったと。しかし、行ったけども、全く同級生と同じ授業を受けてもわからないと、理解できないと。こんな状況で、ちょっと続けられるはずないじゃないですか。また家庭へ戻って不登校になってしまうと。
 それが顕著なのが、僕は15歳の春だと思うんですよ。みんな一応高校へ行くんです。行くけども、この中学校時代不登校だった長期欠席者の子供たちが、また退学する、学校を続けられないというのが、次の毎年500人前後の高校中退者が出ている。
 これ、私が当選してからずっとこの状況は続いてるわけですけども、この現状を教育長はどのように感じられ、またこの高校の中途退学者に対する対策をどのように講じていくのかをお答えください。
○副議長(山本茂博君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 公立高校の中途退学者数につきましては、平成26年度までの7年間において、毎年500人前後、中退率は約2.0%で推移してきましたが、平成27年度は382人、1.5%に減少してございます。
 中途退学の理由として進路変更や学校生活等への不適応などが挙げられることから、多様な課題を持つ生徒が安心して学校生活を送れるよう、より丁寧な対応と粘り強い支援を行うように各高校で指導をしてまいりました。
 例えば、問題行動を起こした生徒の指導に当たっては、登校を控えさせることが結果的に中途退学につながることもあるため、できる限り登校させて指導する方法に変え、学校生活から離れさせないこととしております。また、よりわかりやすい授業を目指した授業改善に取り組むとともに、学習面で課題のある生徒には、学び直しの授業を設定したり補充学習を行っております。
 県教育委員会といたしましては、希望する全ての県立高校にスクールカウンセラーを配置するとともに、外部機関と連携した組織的な支援ができるよう、平成25年度から県立高校にスクールソーシャルワーカーの配置を始め、今年度は6校に拡充しております。各高校では、こうした専門家や関係機関等との協力も得ながら、ケース会議を開き、生徒個々の支援計画を立てるなど、生徒、保護者へのよりきめ細かな対応を行っております。
 さらに、さまざまな理由で進路変更を望む生徒には、定時制、通信制の両課程を併設する拠点3校を初め、定時制課程では、生徒を柔軟に受け入れる体制を整えております。
 今後も、こうした取り組みをさらに徹底してまいります。
○副議長(山本茂博君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 ちょっと時間も押してきましたんで、知事にお伺いをいたしたいと思います。段々の話ありましたんで、もう前略、飛ばして。
 和歌山県に生まれて育った全ての子供たちの夢や目標を達成できるような教育環境を整えていくということは知事の責務だと私は思いますが、不登校児童生徒や高校中退、また、ひきこもりという社会現象の対策について、県行政を預かる知事としてのお考えをお聞かせください。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) この不登校問題は、和歌山県の初等・中等教育の中で最大の問題の1つだというふうに認識しております。
 本来は、学校は、みんな子供たちが集まってきて、それで勉強もするし集団生活も覚えていくというふうになってるはずだし、それに役に立つのに、学校へ来れない、あるいは来ない、そういう子供がいたらそれは十分な教育ができないわけで、大変憂慮すべき事態であると認識しております。
 特に、議員御指摘のように、学力をつけるという点でも、やっぱりそれは来ないと学力がつかんわけでありますので、これまた大問題という、大問題はたくさんあるんですが、大問題の1つと、一番大事な大問題ということではないかというふうに思います。
 御指摘のように、よくおわかりであろうかと思いますが、不登校の要因とか背景とかいっぱいあって、どうも、どういうふうにして支援していったらいいのかということについても、あんまり単純ではない。
 いじめというのは、それに比べると1つの要素であって、これはまあ私が中心になっていろいろ考えて、それでいろんなところの勢力を動員して何とか対応してるんですけども、不登校はもっと大変で、知恵が全部回り切らんという状況でありました。
 そこで、そういうときは人の知恵をかりればよろしいということなんで、御指摘にもありましたように、国も随分危機感を持って真面目にもう一度対応し始めているので、ちょうどその国の中心人物ですね、国で考えてる中心人物を和歌山県に引っ張ってきて、それで一昨年の12月から昨年6月にかけて和歌山県不登校対策に係る有識者会議を開催いたしました。当時、国の不登校に関する調査研究協力者会議の座長であった森田洋司さんと座長代理であった野田正人さんのお力もかりて、実は私も出させてもらって、かなり精力的に議論をしてきました。
 その結果、不登校を生まない学校づくり、未然防止、早期発見・早期対応、学校復帰支援の4つの項目に分けて、こういうことをやったらよろしいということについて提言をしてもらいました。その提言をもとにして、今度は教育委員会のほうで作業してもらって、それでマニュアルというか不登校問題対応の手引きというのを作成して、先生方に全員、勉強してもらって、それで対策を進めているということになっとるんですけど、いじめのときのものに比べるとちょっと、何と言うんですか、精度もそれほどでもなくて、先生もこれがあれば問題をすぐ解決できるなというわけでもないなあというふうなのが現状でございます。
 ただし、そのときの知恵の結果、国の通知どおり累計30日以上の欠席を不登校としてこれまで対応してまいったんですけれども、自主的に連続3日間の欠席または累計5日以上の欠席をした児童生徒に対して、早い段階で通知をしてもらって丁寧に対応しようということにした結果、実はちょっと不登校が減りました。
 だからといって、もうこれで解決というわけにいきませんので、さっき言いましたように議員のお力もかりながら、今後さらにもっといい対策を進めていかないかんなあ、そんなふうに思ってるとこです。
○副議長(山本茂博君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 不登校の解決の問題というのはちゃんとあるんです。私が今回ここで議論したかったのは、不登校を解決するための1つのツールとして通信教育もありではないかということを提案したかった、それをまたちょっと知事も心にとめ置いていただきたいと思います。
 時間もですんで、稲の品種改良について知事にお尋ねいたします。ちょっとはしょります。
 私は、前々から稲の品種改良をなぜ和歌山県はしないのだろうかと思ってました。しかし、今までずっと和歌山県では稲の品種改良はされませんでした。しかし、我が国の農業の基本は稲作にあると思います。米づくりは、日本人の文化そのものであります。
 そこで、和歌山県の気候に合った新品種の研究開発、和歌山県の農業試験場でもぜひ取り組んでいただきたいというのが、先般、私の地元で農業士会の皆さんとの意見交換会で出ていた要望事項でございますんで、取り上げさせていただきました。
 和歌山では、米はつくるより買うほうが安いと言われ、やゆされるような現状が長く続いておりますが、特にそんな和歌山でも、やっぱり春になるとレンゲソウが田んぼを覆い、やがて田ごしらえが始まり、水を張った田んぼが鏡のようにきらきら光り、田植えの季節の到来、初夏になると風になびく青々とした稲穂を見ると心も体も元気になります。
 そんな稲作ですんで、今、空き地がふえてきたとか何とかという問題も含めて、この稲の品種改良をすることによって、農家に、県政も稲づくりに対して力を入れてるんだというメッセージを、ぜひ知事に送っていただきたいという意味で質問させていただきました。
 知事の御答弁をお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私もちょっとはしょって御答弁申し上げます。
 私も日本人でございますので、大変、心を打つようなお話でございました。ただ、和歌山県は、御承知のように果樹の生産比率が高くて、それについてもいろんな課題がある。
 米農家としては、県独自の研究をした場合、大変勇気づけられるところがあるというのは全くそのとおりだと思うんですけれども、やっぱり同時に、我々は限られた予算の中でコストパフォーマンスも考えていかないかんというふうにも思います。
 米の研究に関しては、和歌山県で問題になってるような温暖化に対応するような話とか、そういうことについて結構熱心にやってくれてます。多分、今の実力を考えると、現在、そっちのほうが高いだろうと。で、そういうのを積極的に取り入れてきて、それで普及の力をかりて米農家を力づけていったほうがいいんじゃないかというふうに現状は思っております。
○副議長(山本茂博君) 花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕
○花田健吉君 もう時間がありませんけども、知事、僕も毎年、家族で、稲つくってるんですけど、毎年どの品種にするかというのを大変悩むんです。毎年変わります。それは、いい、おいしい米がないか、つくってみて食べてみないとわからないので、毎年品種を変えてうちはやってますけども、本当に専業農家で稲をつくってる皆さん、またこれから農業に参画しようという若いそういう人、やっぱり田んぼ、稲づくりというのは基本だと思いますんで、和歌山県でも夢のある米づくりの県政というのを、ぜひ県民、農家の皆さんにお示しをいただきたい。この件に関しては、もう一度また話をさせていただきます。
 ありがとうございました。終わります。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 皆さん、こんにちは。37番議員の谷口和樹でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 先週末の台風18号において、列島各地で大きな被害が出ております。改めまして、被災された皆様方に謹んでお見舞いを申し上げます。
 我々の和歌山県でも、2011年9月に紀伊半島大水害で大きな被害を受けました。痛ましい被害を受けた際に、全国から多くの支援や励ましの声をいただいた中で今があるわけですから、受けた御恩に深く感謝をしつつ、被災された皆様方の一日も早い復旧・復興をお祈りするところでございます。
 話は変わります。
 一昨日、「紀伊民報」に第11回田辺・弁慶映画祭のコンペティションノミネート9作品が決まって載っておりました。ことしは147作品の応募からということで、いずれも秀逸な作品がそろっていると思いますので、ぜひ11月10日から12日、紀南文化会館にお足をお運びください。
 そして、質問に入らせていただきます。
 1つ目、乳がん検診について質問をさせていただきます。
 1項目め、和歌山県の乳がん検診受診率について、資料2をおめくりいただきましたらありがたいです。
 日本の乳がんにかかる方は年々増加しており、2016年には約9万人の日本人女性が罹患し、亡くなられる女性は2013年には1万3000人を超え、2016年においても残念ながら1万4000人を超えて増加し続けております。これは、35年前に比べて3倍以上、また、女性の30歳から64歳では乳がんが死亡原因のトップとなっております。
 資料3を見ていただきましたらありがたいいです。
 特徴的なのは、他のがんのように年齢が高まるとともにふえるがんとは異なり、乳がんは30代から増加し始め、40代後半から50歳代前半にピークを迎えます。グラフで見ると比較的若い世代で多くなっており、20代で患う人もいますので、若いときから関心を持つことが大切ですが、最近では閉経後もふえており、ピークの年齢を過ぎても注意が必要であります。
 資料4を見ていただけたらと思います。
 欧米などでは、乳がん検診受診率の向上と治療の進展に伴い死亡率が年々減少していますが、日本の乳がん検診受診率はOECD加盟国30カ国の中で最低レベルに位置し、注意すべきは死亡率は年々増加傾向にあるということであります。
 現在、日本人女性の11人に1人が生涯のうちに乳がんを患うと言われています。しかし、他のがんと比べ、早期発見と早期治療で生存率が高いという特徴があり、いずれにしても、1、早い年齢から、2、発見率の高い乳がん検診の受診を、3、定期的に行う習慣の奨励が必要であると思います。
 この受診時の検査には、乳房エックス線いわゆるマンモグラフィー検査と超音波検査があり、この乳房エックス線・マンモグラフィー検査は、乳房をプラスチックの板で挟んで平たくして、乳房専用のエックス線装置で全体を撮影いたします。医師の触診や自己チェックでは発見できないしこりや石灰化のある小さな乳がんの発見に適しており、死亡率減少効果を示すことが証明されています。検査の感度、がんをがんだと判断できる精度は80%前後だと言われています。ただ、乳房を平たくして挟むので痛みを伴うのと、デンスブレスト(高密度乳房)や若い人の場合はわかりにくいときがあります。
 超音波検査とは、超音波を使って医師の触診や自己チェックでは発見できないしこりや見つかったしこりが良性か悪性かといった診断に用いられています。針を刺したり放射線や薬を使わないので体への負担は軽く、これは乳腺密度の高い人や若い人への検査に適していると言われています。
 この乳がん検診受診の啓発運動がピンクリボン運動であり、ピンクリボン運動は、アメリカの乳がんで亡くなられた患者さんの御家族がこのような悲劇が繰り返されないようにと願いを込めてつくったリボンから、1980年代、アメリカでスタートしたと言われています。
 以来、1990年代から急激に世界中で広がり、行政、市民団体、企業などが乳がんの早期発見を啓発するためのイベントを展開したり、ピンクリボンに関連した商品を販売したりして、その売り上げを団体や研究に寄附したりして社会の意識を変え、1993年にはナショナルマンモグラフィーデー(10月の第3金曜日)が制定をされました。
 資料1を見ていただきますとありがたいです。
 このピンクリボン運動の象徴的なものが、社会的なシンボルをピンクにライトアップして啓発のメッセージを送るピンクライトアップであり、日本でも2000年に東京タワーがピンクにライトアップされました。その後、徐々に広がり、和歌山県でも、紀三井寺、そして金剛峯寺など運動が始まっています。
 紀南では、紀南病院の検査技師さんたちを中心にピンクリボン紀南が2010年に運動を始め、乳がん検診啓発月間の10月には、熊野本宮大社の大きな御協力を得まして大斎原の大鳥居をピンクにライトアップし、啓発を行っています。また、春には、手づくりのピンクリボンを市民の方に約1万個配布して、つけてもらって啓発運動を行っています。
 その成果もあってか、紀南の受診率は軒並み少しずつ上がっております。直近では田辺市45.3%、上富田町55.3%、白浜町48.5%となっています。
 和歌山県でも広がるピンクリボン運動ですが、その乳がん検診の受診率について、厚生労働省は受診率50%を目指しています。
 4年前の一般質問でも取り組みについてお聞きをいたしました。その後、和歌山県の乳がん検診受診率は取り組みの成果が出ているか、また何年をめどに50%を達成するのか、福祉保健部長にお聞きをいたします。
○副議長(山本茂博君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 乳がん検診受診率の向上につきましては、検診対象者への郵送による個別通知を初め、各種イベントにおいて乳房の模型を活用した啓発や、県立図書館における乳がん経験者やその家族を講師に招いた講演会の開催など、さまざまな機会を捉え、検診による早期発見の重要性を県民に周知しております。
 これらの取り組みによりまして、本県における69歳以下の乳がん検診の受診率は、地域保健・健康増進事業報告によりますと、平成24年度の38.1%から平成27年度の45.2%まで上昇してまいりました。ちなみに、同じ平成27年度の全国の受診率は35.0%となっております。
 検診による早期発見・早期治療は非常に重要であると考えており、平成30年度の乳がん検診受診率が50%を超えるよう、引き続き取り組みを進めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 御答弁ありがとうございます。ぜひ、30年度と年度を区切っていただいたので、数字を追いかけて懸命のお取り組みをよろしくお願いいたします。
 続きまして、2つ目の質問に入ります。
 マンモグラフィーと超音波検査を併用する乳がん検診についてお聞きをいたします。多少重複する部分もございます。
 乳がん検診の方法としては、視触診、超音波検査、マンモグラフィー検査の3つの方法があります。
 触診。医師の視触診により、進んだ乳がんの見落としがなくなります。
 2、超音波検査。全年齢に適応。特に乳腺の多い乳房には有効であります。
 3、マンモグラフィー検査。40歳以上の方に適応。乳腺が少なくなった閉経後の乳房には威力を発揮します。
 国際標準的にもマンモグラフィー検査というのは基本の検診方法ですが、日本人は欧米人と違い、40歳代に乳がん罹患のピークがあり、それより前の年代の若年女性のデンスブレスト(高密度乳房)には、マンモグラフィー検査はがん発見率がやや低いと言われています。マンモグラフィー検査によって見つかるのは非浸潤性乳管がんが非常に多く、超音波検査・エコーで見つかってくるのは、マンモグラフィー検査では発見できない2センチ以下の浸潤がんが多くあります。マンモグラフィー検査と乳房超音波検査を併用することによって、マンモグラフィー検査単独に比べて、特に40歳代まではがん発見率が上昇するということが言われています。
 平成17年、平成18年の2カ年にわたって、国の健康フロンティア整備事業、女性がん対策ということで、マンモグラフィー検査の緊急整備のほか、撮影技師、読影医師の養成等も行われ、現在は10年前に比べますとはるかに機器も技師の精度管理も向上しています。
 超音波検査は、精度管理をこれからさらに徹底され、超音波検査を併用するような形に40歳代が置きかわっていくのだろうと、2015年の健康局がん対策・健康増進課、第14回がん検診のあり方に関する検討会でも言われています。
 そこで、質問です。
 乳がん検診については、マンモグラフィー検査だけでは見つけられないものもあることから、超音波検査との併用推奨を考えられないか、福祉保健部長にお聞きをいたします。
○副議長(山本茂博君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 市町村が実施するがん検診は国の指針において定められた方法で実施されておりまして、乳がん検診につきましてはマンモグラフィー検査を実施しております。
 超音波検査を併用する検診につきましては、国の設置する有識者会議であるがん検診のあり方に関する検討会において集中的に議論されているところでありまして、今後、超音波検査の有効性が認められれば、国の指針に位置づけられることとなります。
 県といたしましては、引き続き、国における検討会での議論の動向を注視してまいります。
○副議長(山本茂博君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 マンモグラフィーが見逃しやすい年代、若年女性が不幸な目に遭わないように、よりよい検診を進めていただけたらなと思います。
 検診というのは、受けたらやっぱり皆さん、検診受けてきたということで絶対な信頼度を検診の機器に対して、検診に対して持っておられます。そのよりよい完璧な検診方法を和歌山県でぜひとも推奨して、不幸なことをなくしていただけたらなと切に思うところでございます。
 それでは、続きまして、2番目の質問に入らせていただきます。
 龍神村B29搭乗米兵慰霊祭について、お聞きをいたします。
 昭和20年(1945年)5月5日午前11時ごろ、和歌山県田辺市龍神村の殿原地区上空で日本の戦闘機にアメリカのB29爆撃機が撃墜され、轟音とともに墜落しました。搭乗アメリカ兵11名のうち7名が死亡し、敵機墜落を喜ぶ一方で、終戦前にもかかわらず、村人は遺体を探してひそかに埋葬し、木製の十字架を建てました。また、村人は、生き残った4人にも危害は加えず、おにぎりやたくあんを食べさせたといいます。
 ただ、この生き残った4人は、残念ながら、一度は村人たちに看護され助けられましたが、その後、大阪信太山に連れていかれ、後に玉音放送の後、捕虜拷問が発覚するのを恐れてか、日本軍に3人が斬首処刑され、1人は不明となっています。
 繰り返しますが、終戦前にもかかわらず、墜落の翌月には現場で仏式の供養をし、以降続き、ことし5月に、死亡した米兵を弔う73回目の慰霊祭が行われております。
 現在の慰霊碑は、水害や道路拡幅で何度か移設し、現場から1キロほど離れた今の場所になっています。
 1945年、国民学校初等科2年でB29の墜落を目撃した龍神村殿原在住の元中学校教諭、古久保健さんは、「ばれたら処刑されていてもおかしくないが、戦争中でも人間として当たり前の行動をしたんだと思う」、そのように振り返っておられました。
 古久保さんは、まだ母親のおなかにいるときに父を戦争で失っています。幼心に焼きついた戦争の恐怖と慰霊祭を幼いころから見続けてきたことから、古久保さんは、遠くアメリカにいるであろうB29の搭乗兵の御遺族が家族の亡くなった場所を知りたいんじゃないか、そのように考えて、退職後にB29乗務員の遺族探しを始め、2013年10月に奇跡的につながった遺族とアメリカで対面しています。
 その様子も含め、B29慰霊祭、そして史実の掘り起こしから遺族探しの活動を、大阪芸大出身の笠原栄理監督が映画「轟音」として制作をされています。また、活動の中心となってきた古久保さんは、2005年に墜落時の様子などを伝える「轟音 B29墜落の記」、昨年には墜落で戦死した米兵の遺族との対面などを描いた「轟音 その後」を出版されています。
 さらに、戦時中から慰霊祭が続けられてきたことを知った和歌山市の元航空自衛官がアメリカ空軍関係者にその話を伝えたところ、70年にわたって地元の人たちが搭乗兵の供養をしていたことをアメリカ政府を代表して感謝の気持ちを伝えたいということで、2014年10月20日にアメリカ兵による追悼式典、そして、その追悼式典後には、同地区住民の慰霊に感謝してアメリカ太平洋空軍音楽隊によるコンサートが殿原小学校で開かれています。
 古久保さんによると、米軍関係者が慰霊碑を訪問するのは、昭和24年に連合国軍総司令部(GHQ)が訪問して以来とおっしゃられていました。
 古久保さんの、「ばれたら処刑されていてもおかしくないが、戦争中でも人間として当たり前の行動をしたんだと思う」という言葉のとおり、終戦前にもかかわらず、当時の村民が亡くなったアメリカ兵を弔い、けがした兵を助けた行いや、平和への思いとともに慰霊祭が今なお続いていること、後に探し出したアメリカの遺族に遺品を届けたこと、70年たってアメリカ軍による追悼式典が行われたことなど、いずれの行動も和歌山県にとって誇れるものだと考えますが、現在、過疎が進む山間部の状況から、積み重ねてきた歴史の編さんが途切れてしまうことも考えられます。
 そこで、お伺いいたします。
 慰霊祭が続いてきたことや歴史的にも高い価値を持つ遺品や残骸の保管について和歌山県はどのように考えるか、教育長にお伺いいたします。
○副議長(山本茂博君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 明治期から第2次世界大戦ごろまでの遺跡は近代遺跡といい、政治、経済、文化、社会などさまざまな分野に及びます。議員御指摘の場所は、文化財として考えるならば、この近代遺跡に当たる可能性があります。近代遺跡については、歴史が浅いため、その重要性について認識や評価が定まっていませんでした。そのため保護措置が講じられた遺跡が少ない状況にあったことから、国においては平成8年に調査が開始されております。しかしながら、保護措置を講じるに当たり、いまだなお評価が定まっていないなど課題が残されております。
 県教育委員会におきましては、今後、国の動向も見ながら、市町村教育委員会とともに、近代遺跡の調査研究をしてまいりたいと考えております。
 なお、田辺市では、市立歴史民俗資料館や旧殿原小学校において、墜落機の遺物などの展示、さらに地元公民館において、このエピソードを題材に制作された映画「轟音」の上映や講演会の開催など、次世代へ伝える取り組みを行っていると聞いております。これら田辺市の取り組みは、他の市町村においても参考になるものと考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 続きまして、3番の質問に入りたいと思います。
 高レベル放射性廃棄物の最終処分場に関する科学的特性マップについて、お聞きをいたします。
 8月1日、経済産業省が示した高レベル放射性廃棄物の最終処分場の科学的特性マップについて、和歌山県内ほぼ全域が適地とされたことを受け──項目3の資料1を見ていただけたら──知事は、定例記者会見で、「誘致するとかいいですよと言うつもりは全くない。県内への最終処分場候補の可能性についても、国から打診されることも嫌ですし、初めから全くノーだ。市町村が手を挙げた場合についても、やめたらいかがでしょうかと言う」と述べられたと新聞を通して聞いています。
 その理由として、県内では大規模地震が予想され、地下が変形する可能性があること、地形的にも複雑なこと、人家などから隔離すべきだが、山間地を含めてほとんどの地域に人が居住していることを挙げ、「処分場として余りいいところではないと思う」と述べられたとのことです。全く同じくそのとおりだと考えます。
 この科学的特性マップとは、原子力発電に伴って発生する高レベル放射性廃棄物を地下深くの岩盤に埋設する地層処分を行う場所について示した地図であって、選ぶ際にどのような科学的特性を考慮する必要があるのか、それらは日本全国にどのように分布しているのかといったことを示したものだということです。
 高レベル放射性廃棄物とは、原子力発電においてウランを核分裂反応させる過程で生じる熱を取り出して電気にしていますが、資源の少ない日本では、この過程を経て発生する使用済み燃料の中からウランやプルトニウムを再処理し、これらを再利用する核燃料サイクルを推進していっています。
 使用済み燃料は、再処理により重量にして約95%が再利用可能と言われていますが、再利用できない残りの5%の廃液をガラス原料と溶かし合わせ、ステンレス製の容器に流し込んで冷やして固めたガラス固化体が高レベル放射性廃棄物になります。
 この高レベル放射性廃棄物は、オーバーパックという厚さ約20センチの金属容器に包まれ、貯蔵管理されています。
 この地層処分についてですが、オーバーパックという分厚い金属容器に封入された高レベル放射性廃棄物をさらにベントナイトと呼ばれる粘土質の緩衝材でオーバーパックに封入されたガラス固化体を囲うということです。このガラス固化体、オーバーパック、ベントナイトの3つで覆われた高レベル放射性廃棄物は、地下深くの岩盤に埋設されるということです。
 このマップによりますと、和歌山県の3分の2が「好ましくない特性があると推定される地域ではない地域」、「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」となっていることについて、どのように考えるか。会見での発言を疑うわけではございませんが、核のごみの最終処分場が和歌山にできてしまう可能性があるのかどうか、大事なことですので、つけ加えたいこと、会見で言えなかったこともございましたら、あわせて知事にお聞きをいたします。
○副議長(山本茂博君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 会見で言えなかったこと、つけ加えることって別にありませんけれども、改めて議場で申し上げたいと思います。
 国から公表された科学的特性マップは、火山活動とか断層活動とかいった自然現象の影響など限られた要素で日本の地質環境等を整理したものでありまして、最終処分施設の建設地を決めるに当たっては、これは私もそう思いますが、ほかにも地震とか、津波とか、地形とか、土地の利用方法とか、人がどのように住んでいるかとか、さまざまな要素を考慮する必要があると考えております。
 また、科学的特性マップで見ると全国の約7割が「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」とされておりまして、このマップをもって直ちに建設地が決まるようなものではないと考えております。
 いずれにしても、既に表明しているとおり、県内に最終処分施設を受け入れる考えはございません。
○副議長(山本茂博君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。
 7割が当てはまっているんですけど、その時点で既に3割がもうそこから外れておりますので、7割残っているということでもあると思います。
 ちょっと個人的な見解も申し上げつつ、最近の国の動向をメディアを通して見ておりますと、答えありきで、答えが出る方法をいかに透明に見えるようにつくり上げるか、このように映るようにメディアで報道もされているのかもしれませんけれども、そういうことも危惧しながら感じています。
 経済産業省から出された科学的特性マップですが、もしかしたらこの和歌山県ありきじゃないのかと危惧していたところ、知事の報道で安心をしたところです。
 原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場がどこが適地なのか、これは、識者の方々がかんかんがくがくで御議論されるでしょうが、本当にその高レベル放射性廃棄物の処分方法が安全だと言うなら、実は人は昔々からより暮らしやすいところ、生きやすいところ、安全な住まいを求めて移動して住まわれておりますので、長い歴史を経て一番人の集まっているところが、このことが適地を証明しているのではないかと自分は思っています。
 ただ、それ以前に、今を快適に生きるためだけに手に負えない危険物をふやし続けていること自体が、やっぱり賢い人間のすることじゃないんじゃないかなというのも日々感じておるところでございます。
 それでは、続いての2つ目の質問に入ります。
 高レベル放射性廃棄物の最終処分場に関する国からの調査要請について、お聞きをいたします。
 科学的特性マップ作成に至るまでのワーキンググループの報告の中に、「地下深部の長期安定性等が現時点で保証されているものではなく、最終処分施設建設地として特性を確認するためには、詳細な現地調査が必要である。すなわち、将来的に詳細な現地調査等を行った場合、安全な地層処分が成立すると確認できる可能性が相対的に高いことを意味する」、このような文言がございました。詳細な現地調査によっては、より好ましい特性が認められる地域になっていくこともあるとされています。
 今回、明確に調査にも反対をされていますが、自治体が反対を表明した上においても、国から調査の受け入れ要請や勧告があった場合に自治体は断れるのか、これを知事にお聞きいたします。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国は、科学的特性マップの公表後、地域での対話活動を積み重ね、調査を受け入れる地域が出てくれば、法律に基づく処分地選定調査を実施するということにしております。
 また、当該処分地選定調査を実施する地区を定めようとするときは、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律により、所在地を管轄する都道府県知事及び市町村長の意見を聞き、これを十分尊重しなければならないとされております。
 さらに、国は、資源エネルギー庁のホームページにおいて、調査地区の選定に当たっては、知事及び市町村長の意見を聞き、反対の場合には次に進めないと明記しておりまして、地方自治体の意向を無視して調査が行われることはないんじゃないかなと考えております。
 いずれにしても、県内での調査を受け入れる考えはありません。
○副議長(山本茂博君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。心配ないよというようなことではあると思いますので、そのように受け取りたいと思います。
 昨年12月から、埼玉県から川保麻弥さんという女子プロ野球の元埼玉アストライアの監督をされていた方が田辺に移住してきてくれまして、ボランティアで女子硬式野球のクラブチームを立ち上げていただいてます。地元の女の子たちだけじゃなくて、彼女を慕って県外から移住組も交えて、地域に話題を振りまきつつ、にぎやかにやっております。
 玉木議員も有田で女子軟式のクラブチームを頑張っておられると聞いてますが、御存じのとおり、和歌山県では中学生以降は女の子が野球を続ける、特に女子野球の環境というのが今までなかなかできなかったのですが、有田では玉木議員が頑張っておられまして女子軟式が、紀南では川保監督が女子硬式野球を立ち上げて、ことし和歌山県の女子野球というのは初めて確実に大きな一歩を踏み出した、そういう年であると思います。
 そんな関係で、人の足りないときにたまにバッティングピッチャーをずっとやってまして、それが今回、全国の議員野球大会で割かしいいピッチングにつながったんじゃないかなと思います。(拍手)本当に議員各位、10数年ぶりの全国優勝、お疲れさまでございました。(「ナイスピッチング」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 実は、本心はちょっと自民党の人ばっかりなんで行きにくいんですけども、過去ずっと県議会の伝統で、向井先輩も、託されたわけではないんですけども続けて出るように言われてましたし、行けるところまで行きたいなと思っていますし。やっぱり行きますと、人口の多い財政の豊かな自治体のチームに当たりますと、県に当たりますと、これはやっぱり負けとうないなと思いますし、裕福で何か頼んだらすぐ道路も直してくれるん違うんかなと、そんなとこには負けとうないなと思いながらやってしまうんですけども。
 やっぱり人がいないと野球はできませんので、議員が野球なんかやってると思われるんじゃないかと考えると思うんですけど、やっぱり年1回なんで、できましたらみんなで行きまして和歌山県に優勝を持って帰りたいですし、やっぱり議員が真っすぐ元気にやっていないと和歌山県も元気にならないと思いますので、ぜひ来年は皆さんの万障繰り合わせをいただきまして、連覇にまいりたいと思いますので、御協力をよろしくお願いします。キャプテン、出しゃばって済みません。
 あと、今後、和歌山県の女の子が野球を続けられる場所づくり、女子野球の発展にもぜひとも御協力をお願いいたしまして、一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時38分散会

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