平成29年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(泉 正徳議員の質疑及び一般質問)


平成29年6月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(泉 正徳議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第128号から議案第141号まで、並びに知事専決処分報告報第1号から報第5号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 4番泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕(拍手)
○泉 正徳君 皆さん、おはようございます。
 一般質問もいよいよ最終日となってきましたが、もうしばらくおつき合いを願いたいと思います。
 では早速、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 昨年の9月議会で鈴木議員が、仮称ですが、森林環境税について質問されていますが、その中で農林水産部長は、「平成28年度与党税制改正大綱において、森林環境税の創設が盛り込まれ、一歩前進しましたが、『その時期については、適切に判断する』との表記にとどまっていることから、関係省庁への働きかけをこれまで以上に強めてまいります」とお答えいただいております。
 その後、平成28年12月8日に決定された平成29年度税制改正大綱では、森林吸収源対策として、2020年度及び2020年以降の温室効果ガス削減目標の達成に向けて、森林吸収源対策及び地方の地球温暖化対策に関する安定的な財源の確保を講ずる、幾つかの施策を講じることにより市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、個人住民税均等割の枠組みの活用を含め都市・地方を通じて国民に等しく負担を求めることを基本とする森林環境税の創設に向けて、地方公共団体の意見も踏まえながら、具体的な仕組み等について総合的に検討し、平成30年度税制改正において結論を得ると表記されています。
 森林環境税については皆さん御存じだと思いますが、今日までの経過を少し振り返りたいと思います。
 平成3年秋に旧本宮町長の中山喜弘町長が、国税の中から森林の持つ公益的機能を考慮して市町村に交付税措置をという森林交付税構想を提唱して、町議会では意見書の採択を行い、翌年の平成4年2月には、本宮町長の呼びかけで賛同された36市町村を初め、県内外から多くの自治体が参加して森林交付税フォーラムが開催されました。
 当時の国際日本文化研究センター所長、哲学者の梅原猛先生により、「森と日本文化」というテーマで基調講演が行われました。その講演の中での話ですが、「森は人類にとって何であったか。狩猟採集時代の長い間、恐らく50万年、人間は森で生きてきた。ところが、約1万年前に農耕牧畜という新しい生産方法を人類は獲得し、そして農耕は小麦と稲作の文化に分かれ、小麦の生産地は主に石の文化となり、稲作地域は森の文化に分かれていった」とつないでいます。
 そこで、岩手県の漁業協同組合の募集した標語を例に挙げ、「『森は海の恋人』というのがあって、これはいい言葉です。あの肥沃な漁場は森が補償している。森のないところに肥沃な漁場はない。肥沃な森から出た養分が海へ行って海の海藻を養い、貝を養い、魚を養っている。そればかりか、この森は長い間、稲作農業を支えてきた。森があるから常に流れる川がある。川があるから米ができる。単純なことですが、日本人はよく知っていた。そして、森の神を敬い、お祭りする鎮守の森を平地にも残す。これを大切にしていかなくてはならない」。残さなければならない日本のよき文化であると言われたのでしょう。「これを自治体だけで守ることは不可能で、国の支援が必要であり、森を守る資金を出さなくてはならない」と述べられています。
 また、当時の諸塚村長──宮崎県にあるんですが、諸塚村国土保全森林作業隊を平成2年に発足させて、10名の隊員がいるそうです。パネルディスカッションの中で村長は、「気の早い話でございますが、森林交付税が実現して、もしお金をもらったら、どう使おうかと今ちょっと考えておるところです。うちの森林作業隊、昨年は高校卒業生が2名入りました。真夏の暑い盛りに下刈りに行って帰ってきたものですから、隊長格に『どうだった』と聞いたら、3時ごろにぶっ倒れたそうでございます。私も自分で下刈りをやっておるから、その折はとめどなく涙が流れました。お金を持って海外旅行をする若者があふれている中で、いかに森林が大切とはいえ、この子供たちをこういうところで育てていいのかと自問自答をいたしました。しかし、私が隊員に申しておりますことは、国土を防衛するために自衛隊がございます、国土保全をするために我々の任務があるのだと、そういう気持ちで頑張ろうじゃないかと言っておるのです。何も甘えてお金だけを下さいと申し上げているわけではございません。村民とともに産み落とした作業隊でありますから、3度の食事を2度に減らしても、これは育てなければ我が村が潰れてしまう」と熱い思いを語られました。
 あれから、もう26年の歳月が経過しました。本宮町の一町民だった私は、山村地域を抱える首長の熱い思いと会場の熱意を感じながらも、森林交付税の深い意味もわからず、そう遠くない時期に交付税が創設されるものと思いながら聞いていたものでした。また、当時、和歌山県議会でも、平成5年の2月議会で「林業・山村活性化のための森林交付税(仮称)の創設についての意見書」が出されています。
 26年前のフォーラム、最後の宣言ではこう語られています。「森林は、私たち人類にとってかけがえのない大切な宝であり、命の源です。このすばらしい森林を21世紀、さらに未来永遠に承継していくことは、現在を生きる私たちに託された最も大きく重要な課題です。しかしながら、この森林を祖先から営々と守り育ててきた山村では、今、過疎化と高齢化に悩み、存続さえも難しくなっています。こうした状況に対する国民世論の高まりと国の施策の進展は、大きな希望と勇気を与えてくれました。今こそ、森林の持つ公益的機能と、それを守り育てていく山村社会の役割を広く国民に訴え、大きな運動として森林交付税の創設を強く政府に要望していくことをここに宣言します」と述べられています。
 もう一度、梅原先生の言葉をかりますと、「先進国が熱帯雨林を破壊することはけしからんという世論が強くなると、日本の森が見直されてくる。20年後、30年後の将来はまだ考えていないと言うかもしれない。しかし、20年、30年後のことを考えなければならない」と言われました。
 あの当時の本宮町長の提唱から36市町村でスタートした森林交付税創設促進連盟は、11年の活動の後に、平成15年には全国森林環境・水源税創設促進連盟に改称、この時点での加盟は全国で924市町村でした。その後、平成18年には「水源」を削除して全国森林環境税として創設を目指すことになり、名称も全国森林環境税創設促進連盟と改称され、現在に至っています。
 十年一昔と言いますが、もう既に宣言文で言われている21世紀も17年が経過をして、梅原先生の言われた20年後は過ぎてしまいました。その間に交付税から環境税へと名称も変わり、日本の未来のために全国の3分の1の市町村が待ち焦がれた森林環境税の創設です。
 和歌山県でも、平成2年には2312人いた県内の林業就業者数は、平成27年、半数以下の1145人となり、当時は酸性雨や地球温暖化、オゾン層の破壊などの問題は語られていましたが、近年では花粉症や獣害の被害など、山を守る状況はさらに厳しくなっています。
 最初に述べましたが、29年度税制改正大綱では、平成30年税制改正で結論を得ると記されています。「木の国わかやま」の豊かな森林を次の世代に残すためにも必要な森林環境税と思われますが、知事の御所見を伺います。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの泉正徳君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘の森林環境税につきましては、それを広い意味で捉えた場合はもちろん必要であると思いますし、私もポジティブであります。
 議員御指摘のように、和歌山でも長い運動があり、それが県では、国に先駆けていち早く紀の国森づくり税に結実してると思っております。県では、森林を県民の財産として守り育て、次の世代に引き継いでいくことを目的とした紀の国森づくり税を平成19年4月から徴収しているわけでございます。これによりまして、手入れが放棄された森林の間伐等の森林整備や貴重な天然林等の公的な管理、森林を守り育てる意識の醸成など、森林環境の保全に取り組んでおります。
 現在、国では、所有者等による自発的な間伐等が見込めない森林を市町村が主体となって実施する森林整備等の財源となる森林環境税の創設に向け、その具体的な仕組みが検討されているところであると承知しております。全国的に徴収して森林の多い市町村に配分するという案が検討されておりますので、和歌山県の市町村は少しだけほかよりも多くもらえるかもしれないと期待しているところでございます。
 しかしながら、現在示されている森林整備にかかわる使途が人工林の間伐のみであることや、実施主体とされている市町村には森林行政専門職員が少ないため、一体どうやって事業を実施するんだという課題もあると私は思います。
 問題は、この制度ができると国民や県民が、二重行政になるので現行の紀の国森づくり税を廃止せよとおっしゃるかもしれないという議論もあると思います。そういたしますと、これまで本県が紀の国森づくり税を財源として行ってきた、市町村の行う間伐のみならず、自然林の保護、森林環境学習など、多面的な事業がなくなってしまうという懸念もあります。
 それに、何もしないで山林をほったらかしておいた山林地主が、市町村が間伐の手入れをしてくれたため、その山林の財産価値が何もしないでも上がってしまうというモラルハザードをどうしてくれるんだという気持ちもあります。事業がうまくいかなかったら倒産あるいは財産喪失になってしまうという危機感を感じながらも事業をしている他の業種の中小企業の方々の気持ちを考えると、そんなふうに思うわけであります。
 このため、こういう問題を森林環境税を創設するならばきちんと整理して、間違いのない制度をつくってもらいたいという気持ちでおるわけであります。
○議長(尾﨑太郎君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 知事より、森林環境税のお考えをお聞きいたしました。ありがとうございました。
 それでは、次の質問に移ります。
 林業の振興についてお伺いしたいと思います。
 林業振興の現状と対策について。
 ことし1月に谷、秋月議員とともに大分県の佐伯森林組合に2日間視察に行き、森林組合長や担当職員から森林組合の現状と取り組みについて説明いただき、その後、苗づくりや搬出現場の作業状況と皆伐後の植林現場などを案内していただきました。さらに、組合が経営する木材加工場で製品の説明や作業工程を見学させていただき、最後にもう一度、組合長や担当者から計画的な施業の説明を受けました。
 その中での話ですが、特に感銘を受けたのが、組合が率先して組合員や山林所有者に対して誠意を持って施業手順やお金の流れまできめ細かく説明をしてから事業に着手すると言われていました。このことにより、山林保有者や隣接者とのトラブルの回避や組合の信用につながるというお話を聞きました。
 この地域は、和歌山県の森林に比べて緩やかな地形など、地形的な優位性はありますが、計画的な施業で出材をすることにより雇用の安定にもつながり、協力会社との関係もうまくいくとの話でした。ここでの話は1単位森林組合の話ですが、施業の流れや林業経営の取り組みには多くの学ぶべきことがありました。
 今回の和歌山県長期総合計画の中でも林業・木材産業の成長産業化がうたわれ、進捗管理目標を掲げて取り組まれているようですが、現状と今後の取り組む対策について農林水産部長にお伺いします。また、一昨年の9月には林業の人材育成と高性能林業機械について質問を行いましたが、その後の人材育成の経過についてもあわせてお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 県内の森林資源は利用期を迎え、林業再生の好機となっております。今までも、路網整備や高性能林業機械の導入を図り、低コスト林業を推進してきましたが、平成28年次の素材生産量は約17万立米で、ここ5年間でもほぼ横ばいの状況です。
 こうした状況を踏まえ、昨年、長期総合計画を見直し、今後さらなる生産性の向上を図るため、森林ゾーニングを行い、経済林と環境林に区分し、さらに、経済林の中でも素材生産の条件のよいエリアを重点エリアとし、基盤整備や素材生産を集中支援することで素材生産量の増大に取り組み、長期総合計画では、平成38年度の素材生産量を30万立米まで引き上げることを進捗管理目標に上げているところです。
 また、これにあわせて、コンテナ苗を活用した伐採と植栽の一貫システムによる再造林の効率化、木材需給と生産情報のマッチング、紀州材の利用拡大などの取り組みを総合的に推進し、造林・伐採から流通・加工販売までの一貫した流れを築き上げられるよう、「新・紀州林業への挑戦」に積極的に取り組んでまいります。
 人材育成といたしましては、以前、泉議員から御質問のありましたように、すぐれた経営感覚と実践的な技術や知識を持ち、川上から川下までをトータルにサポートできる人材を育成するため、ことし4月に農業大学校を農林大学校に改編し、林業研修部を新設いたしました。林業経営コースでは現在5名が受講し、それぞれが一生懸命頑張っております。県もその状況をいろんな機会を通じて発信することにより、林業就労者の確保につなげてまいりたいと思います。
○議長(尾﨑太郎君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 ありがとうございました。学校へ私も行ってきたんですが、5名の生徒さんというんですか、女性の方もいましたし、60歳を超えて再就職のために頑張ってる方もいました。一生懸命頑張ってる姿に本当に感銘を受けました。
 それでは、次の質問に入ります。
 田辺市林業成長産業化モデルの推進についてであります。
 林野庁は、本年4月28日に全国的なモデルとなる16の林業成長産業化地域を発表しました。モデル地域の選定と育成は、昨年6月に閣議決定された政府の新成長戦略に盛り込まれていた重点施策であり、今年度は林野予算で10億円の必要経費が確保されています。
 この中の16市町村の1つに、伝統的な林業地域の復活という選定基準で、建築士と協定を締結するなどして無垢紀州材の需要拡大という特色と目標を掲げて田辺市が選ばれています。このことは、紀州材、特に無垢材のすぐれた点をアピールし、他の産地との区別化を図り、紀州材のブランド化につながり、紀州材のよさを全国または世界に発信する機会を得たものと大変うれしく思い、期待をしています。
 具体的な計画はこれから詳細に入っていくものと思われますが、県のかかわりについて農林水産部長のお考えをお聞きします。
○議長(尾﨑太郎君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 林野庁の平成29年度新規事業となる林業成長産業化地域創出モデル事業では、和歌山県田辺地域を含む全国で16の地域が選定されており、近畿地区では和歌山県田辺地域のみが選定されました。
 田辺地域では、増産を目的に、田辺市が中心となって今後5年間において、中間土場等において適切に原木を仕分ける人材を育成するとともに、ICTを活用したサプライチェーンを構築することとしています。さらに、無垢材や木質バイオマス等、積極的な活用を進めることとしており、県の長期総合計画の林業の振興対策とも合致しております。
 紀州材は、色艶がよい、目が込んでいる、強度があるなど、見た目も性能もすぐれた木材として評価されており、県としても、首都圏など大消費地での紀州材の魅力発信にも取り組んでいるところです。
 今後の取り組みは田辺市が中心となりますが、本県の林業振興を図るため、田辺市と連携し、田辺地域林業成長産業化を推進してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 ありがとうございました。ぜひ、新しい取り組みなんで、大きく紀州材をPRするように部長にもお助けをいただきたいと思います。
 それでは、次の質問に入ります。
 紀州3人っこ施策についてでございます。
 国立社会保障・人口問題研究所の発表によれば、このままの出生率が続けば、200年後の日本の人口は1391万人、300年後には423万人、2900年には4000人、3000年には1000人になるそうです。あくまでも出生率が上がらなければという前提での計算ですが。
 そこで、まち・ひと・しごと創生法の大きなポイントの1つは国の定めた長期ビジョンです。ここでは、日本の人口を2060年に1億人程度の人口を確保するということを明確に示されました。これを受けて和歌山県長期人口ビジョンを作成し、目指すべき県の人口を2060年に70万人程度と目標を掲げています。
 最近よく、結婚を煩わしいと思っている若者がふえたとか男性の草食化などと言われますが、内閣府の調査によると、未婚の方の6割以上は、できれば結婚したい、将来欲しい子供の数は2人と答えた人が最多だそうです。
 石破前地方創生大臣の言葉をかりますと、「国家の存立要件は何かというと3つあります。国土であり、国民であり、排他的統治機構だ」と言っています。また、「国土を守る、国民を守るということの重要性については、ほぼ全ての国民が理解している。しかし、人口問題はもう既に起こっていることであり、現在進行形の問題です。にもかかわらず、政治家も国民もまだ危機意識が薄い。だからこそ有事である」と述べられています。
 子供を産み育てられる環境づくりは、和歌山県でも長期人口ビジョンの目的達成のための大きな課題です。現在行われている県の子育て支援策、紀州3人っこ施策について、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 平均結婚年齢や生涯未婚率が上昇している中、少子化対策として第3子以降の出生割合を向上させることは極めて重要であります。しかしながら、まだ若く収入も少ない世代が子供を3人以上育てるとなると、幼児期の保育料や大学進学に係る授業料等への保護者の経済的負担が大きくなるため、その負担を軽減する必要があります。
 こうしたことから、県では、従来から第3子以降の保育料について無料化を行う紀州3人っこ施策を実施してきましたが、昨年度からさらに無料化の対象範囲を拡大いたしました。具体的には、対象となる年齢については、従来の3歳未満児から就学前まで引き上げるとともに、施設についても、幼稚園や認可外保育施設等を新たに対象としたところでございます。
 なお、出生総数に占める3人目以降の出生数の割合は、平成18年度は15.2%であったのに対し、直近の平成27年度には17.5%に増加していることや、3人目以降を妊娠した方を対象に実施しましたアンケート調査でも、約7割の方が本事業が3人以上の子供を持つきっかけになったと回答していることから、一定の成果があらわれているものと考えております。
 今後とも、安心して子供を産み育てることができる環境づくりを推進するために、事業が十分活用されていない市町に対しても積極的に働きかけてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 ありがとうございました。成果が出ていることを大変うれしく思ってます。
 私も孫を持つ身でありまして、最近は3人目の孫ができましたんで、大変3人っこ施策に期待してるところでありますし、できれば4人目もいってほしいと思うぐらいであります。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 保育士の確保でございますが、子育て支援策は広範囲で多岐にわたりますが、乳幼児を預かる保育園でも保育士の確保には相当御苦労されているようであります。
 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準によりますと、保育士1人で保育できる子供の人数は、ゼロ歳児が3人、1~2歳児が6人、3歳児が20人、4歳児以上が30人となっています。乳幼児を預かる日々の職場での責任の重さはもとより、閉園後も保護者との連絡帳の作成等、残務も多く、我々の想像以上の激務だと聞いております。
 よりよい保育環境の確保は、保育に従事する方々のみならず、子供を預ける親御さんにとっても重要な大きな課題です。今回の補正予算にも計上されていますが、保育士の確保について、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 県では、保育士人材確保対策としまして、保育士資格の新規取得者の確保、潜在保育士の再就職支援及び保育士の離職防止の3つの対策を進めております。
 まず、1つ目の保育士資格の新規取得者の確保対策の主なものといたしましては、保育士養成施設に在学する学生に対する修学資金等の貸付事業でありまして、卒業後、県内の保育所等で5年間勤務するなど、一定の要件を満たせば返還免除とする仕組みを昨年度から導入しております。
 次に、2つ目の潜在保育士の再就職支援対策の主なものといたしましては、保育士コーディネーターを配置し、保育士を必要とする現場と復帰を希望する潜在保育士のマッチングや、潜在保育士が現場へ復帰する不安を取り除くための研修会や相談会を平成26年度から実施しておりまして、平成28年度までに50名の方の再就職につなげております。
 最後に、3つ目の保育士の離職防止対策の主なものといたしましては、今年度実施の民間保育所に勤務する全職員に対する2%の給与改善に加え、今議会でお願いしております保育士のキャリアアップ研修を通じ、さらなる処遇改善と資質の向上を図ってまいります。
 今後とも、保育士を安定的に確保し、充実した保育が提供できるよう、これらの対策に精力的に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 ありがとうございました。子育て支援のトップランナーだと言われる県を目指して頑張っていただきたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 地方創生における移住推進の取り組みについてであります。
 まず第1点、本県の移住・定住施策にどのような地方創生の成果があったかということなんですが、昨年2月にも同じような趣旨で質問をしていますが、地方創生総合戦略は、先ほども申し上げましたように、2060年に我が国の人口を1億人程度とする人口ビジョンを明確にしてございます。地方では、子供を産み育てやすい環境をつくっていく子育て支援策、もう一方では、都市に集中する人口を子育てのしやすい地方へと人の流れをつくることだと言われています。
 「日本列島創生論」の中で石破前地方創生大臣は、「国土交通省の資料で紹介されているデータでは、ドイツの保険会社が自然災害のリスクを世界主要都市で算出したところ、東京が断トツで危険だという結果で、2位がサンフランシスコ、以下、ロサンゼルス、大阪と続きます。東京一極集中は東京にとってもデメリットだと言われ、地方創生は、単純に東京の富を地方に移すという話ではなく、東京をより安全で安心で活気のあるまちにすることにもつながる話です」と述べられています。
 和歌山県では、以前より移住・定住大作戦を展開して、首都圏や大都市部からの移住・定住の取り組みが行われています。従来の取り組みを加速させるために、国のまち・ひと・しごと創生総合戦略を踏まえて県はどのように移住施策に取り組み、どのような成果があったか、企画部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 本県では、加速化する人口減少に対応するため、平成27年6月に和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、安定した雇用を創出する、和歌山県への新しい「人の流れ」を創造する、少子化をくい止める、安全・安心な暮らしを実現する、時代に合った地域をつくるの5つの基本目標を掲げ、さまざまな施策を実施しているところです。その中で、和歌山県への新しい人の流れを創造するための施策の1つとして、移住を推進する移住・定住大作戦を位置づけ、従来の施策に加え、国の交付金を最大限活用することで移住推進の強化と充実を図っているところでございます。
 大作戦では、主として、首都圏を初め大都市部の子育て世代等を中心に受け入れていくことが重要であると考え、若年移住者暮らし奨励金制度やハローワークと連携した相談窓口の設置、全県版空き家バンクの管理運営等、暮らし、仕事、住まいの視点からさまざまな取り組みを行っているところです。
 その結果、本県への移住実績としては、平成26年度以前の3年間平均で84世帯、約150人程度でしたが、交付金活用後の平成27年度は113世帯223人、平成28年度は114世帯192人と、世帯数で両年度とも約1.3倍となり、このうち平成28年度における40歳未満の世帯数は、平成26年度以前の3年間平均の約2倍となっています。
 さらに実績が上がるようさまざまな工夫をし、移住政策に積極的に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 最後に、地方への移住を促進する国のまち・ひと・しごと創生総合戦略は、この趣旨に賛同するそれぞれの県が積極的に移住・定住を促進する取り組みを進めることによって、各県・自治体間の競争が今まで以上に厳しく、激しくなっていると思います。
 また、最近の移住希望者の中には、農山漁村より、むしろ地方都市に魅力を感じる人が多くなっているようであり、自宅から適当な距離で通学や買い物ができ、居住する環境は緑に囲まれた地域や場所を望むという傾向が見られていると言われています。
 従来の田舎暮らしをPRすることに異論はありませんが、幅を広げて、和歌山県には他県に比べて地形的にも山、川、海の3拍子がそろい、また大阪にも近く、大都市近郊と言える地域があります。このような和歌山県の持つよさを強く、うまくアピールして自治体間の競争に臨むべきだと考えますが、企画部長の御所見をお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 国の地方創生の流れを受け移住を推進する自治体が全国的にふえ、地域間での競争が激しくなっております。また、最近の傾向としては、移住希望者が若年化するとともに、農山漁村地域よりも地方都市を希望する方が増加しています。
 本県では、これまで、過疎市町村を中心に移住相談を一手に引き受けるワンストップパーソンと、地域に受入協議会を設置する和歌山モデルにより移住者を受け入れてきましたが、本年1月には和歌山市を含む全ての市町村にワンストップパーソンを配置し、受け入れ体制を拡充させ、これまでの田舎暮らしだけでなく、県内都市部へ移住を希望する方にも相談対応できる体制を整えたところでございます。
 今後は、首都圏等での県内都市部を中心とした移住相談会の開催や、先輩移住者の暮らしぶりなどを、SNS等を活用し、より多く紹介することで情報発信を強化するとともに、新たな空き家や空き店舗を掘り起こすことにより、空き家バンク情報の充実等にも取り組んでまいります。
 さらに、自治体間競争に勝ち抜くためにも、豊かな自然環境の中での子育てやアウトドアなど充実した余暇活動を含め、和歌山ならではの暮らし方の提案を積極的に行うとともに、大都市近郊に位置する地域においてはその地理的優位性をアピールするなど、従来の田舎暮らし支援とあわせ、県内都市部も含めた移住推進に取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕
○泉 正徳君 いろいろと御答弁をいただきましてありがとうございました。
 今の移住推進につきましても、子育てにつきましても、これから和歌山県の将来を担う大変な事業だと思いますが、これからも一生懸命頑張っていただきたいと思います。
 これをもちまして一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、泉正徳君の質問が終了いたしました。

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