平成29年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(堀 龍雄議員の質疑及び一般質問)


平成29年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(堀 龍雄議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕(拍手)
○堀 龍雄君 議長のお許しを得ましたので、大連訪問についての報告と2項目についての一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、大連訪問について報告をさせていただきます。和歌山県産柿の輸出振興と和歌山県に中国からの観光誘致を目的とした大連市について報告をさせていただきます。
 和歌山県産柿の輸出振興及び観光振興交渉訪問団は第5回目となりますが、かつらぎ町井本泰造町長を団長に、総勢19人の参加のもと、大連市へ5月26日から29日までの3泊4日の行程で行われました。参加者は、県議会議員から最高顧問の井出益弘議員、顧問の岸本健議員、同じく顧問の鈴木太雄議員、中本浩精議員、私の4名が派遣されました。また、かつらぎ町から団長として井本町長を初め、かつらぎ町議会議員、総務産業常任委員長の雑賀増己議員、産業観光課の西上智哉君を通訳として、橋本市から久保進理事と農林振興課長の蛭本義治課長の2名が、九度山町から三浦和徳企画公室長と企画公室主任の玉置和弘主任の2名が参加され、観光誘致ということで、今回、高野町から副団長の平野嘉也町長と岡北修治企画公室係長が参加され、紀北川上農業協同組合からはマルい選果場販売委員長蓮沼正委員長、大西輝幸販売課主任の2名が参加され、渡辺産業株式会社から岡本純一郎課長とり礼云氏が同行され、ほか事務員浜本由賀さんも含めた一行で大連を訪問させていただきました。
 5月27日に、ジェトロ・大連の安藤主席初め4人の職員及び現地バイヤー、大連海英貿易有限公司の陳総経理と、柿と加工柿のあんぽ柿の輸出に関する4時間にわたる長時間の交渉が行われました。
 以前の商談会の際には、李省長時代に幹部の方々に柿の試食をしていただいて好評を得ており、柿の売り込みになるきっかけとなりました。昨年、我々が訪問したときは、民間レベルで見た場合、和歌山県産の農産物である柿は買ってもらえるか、その可能性はあるのかの問いに、そこは政治にある。政治問題が強まる前は青森県産のリンゴ、鳥取県産の梨は検疫なしのフリーで輸出ができていた。現在は政治問題が影響し、両県の果物もフリーな形で輸入ができない状態にあります。こうした状況のもとで、柿輸出交渉が頓挫した背景にあります。
 この状況からこの事態を打開するには、民間同士の交流が大事でありますけれども、国同士の関係が大きいとのことでした。私たちも日本の中央政府のほうにたびたび出向いて中国に交渉していただけるようにお願いしなければならないと、また、中国側にとっては、早急に輸出できるように中国政府に働きかけてくださいとお願いをしてきたのでありました。
 ことしは、そのことを踏まえて大連を訪問させていただきました。ジェトロ・大連事務所の安藤勇生所長からは、「ことしも中国を訪問していただいて大変ありがたい」と歓迎を受けました。バイヤーの陳総経理からは、中国3省に広い販路を持っており、主に中国料理店、現地レストラン、スーパー、ホテルに日本から輸入品を供給している非常に力のあるバイヤーです。あんぽ柿の市場調査は非常によい結果が得られたのだと報告がありました。陳総経理からは、全体的なフォローに関しては、大阪に窓口があるので、いい話になればすぐにも交渉に入りたい、現在でも梅の食品と梅酒の取引を行っている、あんぽ柿についても中国のバイヤーの中でもおいしいと好評で、ぜひ輸入したいとのことでした。また、賞味期限のことについてや輸入に対するロットについてなど、詳細な質問もありました。その上、柿を含めて、鮮魚についてもよい養殖魚があれば紹介してほしいとのことでした。
 訪問団は、「賞味期限については解凍後30日あり、ロットは希望のロットに対応させていただきます」、また、訪問団の質問の中には、「あんぽ柿は加工品であるが、レア度が高いので生果として判断されることはないのか。そのときの対応はどうなるのか」という質問がありました。バイヤーは、「確かに途中で急に輸入できなくなる可能性はあります。実際に、お茶の通関が通らなかったことがあり、焼却処分をしたことがある」とのことでした。また、「大連がだめでも、以外の地域では輸入が可能な場合もあるかもしれないし、全て現地の検疫官の判断です」とのことでした。
 ジェトロ側からは、中国の果物輸入推進品目の中で柿の優先度は第3番手の状況にあると。加工品から始めるほうが有利であるため、真空パックにすれば加工品扱いになる可能性があるので試してみる。また、中国は各港によって検査基準が異なるので、トライしてみないとわからない。そのために確認することを約束してくれました。
 私たちの目的は生柿の輸出が目的なので、以前できていた青森県産リンゴ、鳥取県産梨のように、検疫なしで和歌山産の柿も輸出できないものかをお願いしました。私たちも、農林水産省管轄になるので、たびたび出向いて要望活動をして輸出できるように努めなければならないと感じました。
 5月28日、大連中日友好協会及び盤錦紅海灘観光区管理委員会と会見を行い、高野町を中心とした伊都・橋本の観光PRを目的として、現地旅行社8社13人と商談会を行い、中日友好協会于健軍会長から歓迎の挨拶があり、訪問団の井出益弘顧問からも挨拶のあった後、井本団長から、「和歌山県伊都・橋本地域には、世界遺産である寺社と参詣道があり、歴史的にも古く、中国で修行した僧侶空海が開いた仏教の聖地高野山との関係も深い。また、フルーツの栽培も盛んで、観光農園などで一年中四季折々のフルーツを直接もぎ取り、その場で食べていただくことができる。また、インフラの整備も整い、関西空港から1時間と交通アクセスも飛躍的によくなっております。ぜひ和歌山への観光にお越しください」と挨拶がありました。
 続いて、高野町平野町長からは、高野山開創のことや弘法大師空海の概要、日中合作である「空海」のPRや観光客誘客への取り組み、観光客への補助制度などを動画で紹介しました。特に、高野町の団体観光客の補助制度については好印象でした。また、大連ジェトロ事務所にも高野山のポスターの掲示もさせていただきました。
 柿の輸出については、両国同士の関係が非常に大きいと痛感し、帰国したら国のほうに要望に上京することを決意し、29日に帰国しました。
 その後、6月8日に、井出議員、立谷議員、鈴木議員、私と4名の議員と井本かつらぎ町長、JA紀北かわかみから亀井専務理事と職員1名、計7名で上京し、山本有二農林水産大臣、今城健晴農林水産省消費・安全局長、二階幹事長、世耕経済産業大臣、鶴保内閣府特命大臣、石田衆議院議員、門衆議院議員に、中国向け柿輸出解禁要請のお願いに伺いました。
 平成16年10月から中国に対して輸出解禁要請に必要な資料を提供しているが、応答がないとのことでした。国家同士のことになるので、全力を尽くしますと約束をいただきました。後日連絡があり、大使館のほうにも連絡してあるので、県も含めて足を運んでくださいとのことでした。早急にお願いに上京したいと考えております。
 以上で、中国に対する柿の輸出解禁と観光推進の報告とさしていただきます。
 仁坂知事には、和歌山県産柿の一日も早い中国への輸出の現実化ができますように御努力のほうお願い申し上げます。また、私たちより以上に上京する機会も数多くあると思いますので、多くの知り合いの方にもお願いしていただけるように、重ねてお願いを申し上げます。
 それでは、2項目について、通告に従い一般質問をさせていただきます。
 まず、1項目めの生活環境についてということでお尋ねをさせていただきます。
 この質問をさせていただくきっかけになったのは、ことしの3月に配布された「指標からみた和歌山県のすがた」を見て印象に残ったのは、私たちが生活をしている身の回りの環境に対する意識の低さかわかりませんけれども、公共下水道の普及率や汚水処理人口普及率が全国でワースト2位で、1人当たりのごみの排出量も多く、リサイクル率も低いとデータ化されています。
 家庭から出される汚水に対することや、ごみについての考え方を見直さなければならないと思い、環境月間である6月議会で質問しようといろいろ調査をしておりました。そうしていると、「水の国、わかやま。」の冊子が届きました。それは清らかな水を中心とした、平成28年7月21日から平成30年3月31日まで行われている観光のキャンペーンでした。この美しく豊かな水資源を汚さないためにも、私たちがすべきことを訴えようと思っております。
 和歌山県知事も同じことを考えてあったのか、6月11日と18日にテレビ放映された「きのくに21」で、和歌山県の汚水対策とごみに対する意識と取り組みに触れられておりました。重複することがありますけれども、質問に入らせていただきます。
 まず、1つ目の下水道についてであります。
 6月11日の「きのくに21」において、私たちの水環境を守っていくためには、家庭から排出されるし尿、台所の水、風呂の水、洗濯水など、全て汚水処理することが必要であると放映されていました。平成27年度末の段階で、汚水処理普及率は60.6%であり、全国ワースト2位とのことでした。普及率を向上させ、水環境を守る必要があると思います。
 また、汚水処理の推進のためには、両輪となる下水道整備と合併処理浄化槽設置が必要だと思われます。
 まず初めに、汚水処理の柱である下水道は、どういったところに適した整備手法であるのか、また現在どのような地域で整備されているのか、県土整備部長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの堀龍雄君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 下水道整備に関してお尋ねを頂戴いたしました。
 御質問のありました下水道につきましては、都市の健全な発達及び公衆衛生環境の向上に寄与し、あわせて公共用水域の水質の保全に資することを目的としており、一定程度人口の密集した地域に適し、より安定した処理水質が確保できるものでありますため、それぞれの地域において、将来のまちづくりのあり方や費用対効果を検討した上でその整備を実施しております。
 和歌山県内の下水道の整備状況につきましては、県が事業主体となる流域下水道事業として、紀の川流域沿いの伊都・那賀地方において5市町とともに進めております。
 また、市町村が主体となる事業として、流域下水道事業も含め、和歌山市を初めとする市街地や、特に水質保全を必要とする観光地など19市町23処理区で事業を実施してございます。今後も引き続き市町と連携し、下水道事業の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 それでは、今後の汚水処理について質問に入らせていただきます。
 汚水処理の進め方についてですが、下水道整備には処理場の建設や汚水管の設置など、供用まで相当な時間が必要です。汚水処理人口普及率が上がらない原因の1つでもあると考えられます。また、人口も減少の傾向にあることなども勘案して、汚水処理の推進を図るため、これまでの汚水処理の考え方を見直して、集合処理である下水道などの整備から個別処理になる合併処理浄化槽への転換が必要と思われます。
 また、し尿だけ処理する単独処理浄化槽では、家庭から排出された汚水の3割しか処理できていないため、合併処理浄化槽への転換が必要と思われます。
 汚水処理人口普及率を上げるためにも、処理方式を見直し、単独処理浄化槽から転換も含めた合併処理浄化槽への普及促進について、県の考え方及びその取り組みについて、県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 処理方式の見直しと合併処理浄化槽の普及についてお尋ねがございました。
 議員から御指摘のありました汚水処理方式の見直しにつきましては、市町とともに、昨今の人口減少や財政の状況、さらに供用開始までの時間軸を考慮し、集合処理である下水道等の整備から個別処理となる合併処理浄化槽の設置へと計画を変更するなど、効率的な取り組みの推進に努めているところでございます。
 本年3月に策定した和歌山県長期総合計画においては、平成38年度の汚水処理人口普及率を80%とすることを目標としてございます。
 合併処理浄化槽の普及促進につきましては、新築時に新たに設置する費用、単独処理浄化槽またはくみ取り便所から合併処理浄化槽に転換する費用及び単独処理浄化槽を撤去する費用、これにつきまして、国、県、市町村で支援を行ってございます。また、県有施設につきましては、単独処理浄化槽を合併処理浄化槽に転換するなどの取り組みを昨年度から5カ年計画で実施してございます。さらに、県民の方々を対象に、下水道の日、浄化槽の日に合わせた広報活動や小学生を対象とした出前授業の実施など、市町村及び関係団体と協働で進めてございます。
 今後も引き続き市町村と連携し、効率的、効果的な汚水処理施設の整備を推進し、水環境の保全に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 すばらしい環境を前に打ち出して観光客の誘客に努めるのも本当に大切なことでありますし、それを汚さないために、自分たちの周りももっときれいであれば観光客も来てくれるだろうし、それを早く進んでいくように、自治体が早く改善できますように、今まで以上に御支援のほどよろしくお願いを申し上げます。
 3番目に、ごみの排出量についてということでお尋ねをいたします。
 自治体にも差があると思いますが、皆さんも御存じのとおり、集められた普通ごみは通常、焼却処分されます。焼却を行うためには膨大な燃料が必要であり、焼却処分することで二酸化炭素やその他の有害物質が排出されます。焼却技術が上達して有害物質の排出量が少なくなっていますが、全くないとは言えません。ごみがふえると環境が悪いというのはそのためだと思います。
 また、焼却した後のごみや燃やせないごみは最終処分場に埋められます。この処分場にもごみの埋める量に限界があり、少しでもごみを減らすことが必要で、埋立地を長く使うことができるのです。そういったことから、ごみを減らすことは燃料の節約や環境面で非常に重要だと思われます。
 和歌山県のごみの1人当たりの排出量は、最近の27年度のデータでは978グラムで、全国平均は939グラムであるため、本県は全国平均よりも高い排出量であります。
 こういう状況の中、ごみを減らすため、県としての対策はどのようなことを行っているのか、環境生活部長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) ごみの排出量につきましては、議員御指摘のとおり、環境保全及び地球温暖化防止に影響を与えるため、削減することが重要であると考えております。
 県では、これまで4次にわたり廃棄物処理計画を策定し、その中でごみの減量目標を立て、市町村への減量指導を初め、「わかやまこどもエコチャレンジ」や3Rなど、県民への啓発に取り組んでまいりました。その結果、本県の1日1人当たりのごみ排出量は、平成12年度の1138グラムから平成27年度の978グラムへと160グラムの減量、14.1%の減少率となっており、一定の成果があったと考えております。
 しかしながら、ごみの排出量は全国的に減量が進んでいるため、全国平均よりも高い状況にあります。
 今後は、さらに県民意識を向上させるため、食品ロス削減などの啓発に努めるとともに、市町村に対し、生ごみ減量に効果のあるコンポストや生ごみ処理機の普及など、先進事例の情報提供及び技術的助言を行い、ごみ排出量削減に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 ごみのリサイクル率について質問に入らせていただきます。
 分別収集を行い、リサイクルすることによって、製品の原料として使われる新たな資源を節約することも挙げられております。紙の原料となる木を得るためには森林の伐採が必要ですし、木を伐採すれば地域の環境も変わり、生物の生態も変わり、よい方向になるとは考えられません。その上、二酸化炭素を吸収する森林もなくなります。プラスチック製品や、多く見られるペットをつくるにも、限りある石油を使わなくてはなりません。
 全ての原料をリサイクルで補えるとは思いませんけれども、使う原料を減らすことは確かです。地球上の資源には限りがあります。今のペースで使い続けると、数十年で枯渇するとも言われております。リサイクルは、そんな資源を節約できるメリットを持っております。
 環境問題は今や深刻な問題であることから、エコについて活動を行っている和歌山県となれば、イメージが左右される重要な問題となってきます。リサイクルについて取り組みを推し進め、それをPRすることによってイメージアップにつながり、和歌山県に住みたいと思う人が増加すると思います。
 和歌山県の一般廃棄物のリサイクル率は、最近の27年度データでは13.6%であり、全国平均は20.4%になるので、本県は全国よりも低いリサイクル率であります。
 こういう状況の中で、環境に優しくなるようにリサイクル率を上げるためにもどのようなことを行っているのか、環境生活部長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) ごみのリサイクルにつきましても、議員御指摘のとおり、資源の消費抑制及び環境負荷の低減に寄与することから、推進することが重要であると考えております。
 県では、これまで廃棄物処理計画の中で再生利用率の目標を定め、市町村と一体となって取り組んでまいりましたが、リサイクル率は全国に比べ低位のまま推移しております。しかしながら、リサイクル率には反映されないものの、例えば和歌山市などで焼却処理に伴う熱回収利用、いわゆるサーマルリサイクルなどの取り組みが進められております。
 今後は、リサイクル率向上のため、県民に対する広報啓発の強化や、市町村に対しては分別品目の増加、集団回収等、リサイクルに有効な取り組みに関する情報提供及び技術的助言を行うとともに、サーマルリサイクルに取り組むことで廃棄物の有効利用を推進してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 リサイクル率を向上するにはやはり分別収集ということになって、県民の皆様に大変御協力をしていただかなければできないことだと思います。それをしていただけるように、県民の皆様にわかっていただけるような広報をこれからも続けていっていただきたいなあと、そう思いますので、よろしくお願いいたします。
 2番目のひきこもりについてお尋ねいたします。
 ひきこもりとは、厚生労働省で、仕事や学校に行かず、家庭以外の人との交流もほとんどせずに6カ月以上自宅に引きこもる状態で、時々買い物などで外出することもあるという場合もひきこもりに含まれます。
 内閣府の発表では、昨年のひきこもりの人の人数は54万人に上るとしていますが、これは15歳から39歳に限定した推計で、一方では、KHJ全国ひきこもり家族会連合会のことしの調査では、40歳以上の人が25%を占めていますよと。また、10年前と比べて平均年齢は3.9歳高くなり33.5歳で、ひきこもり平均期間が2.5年長くなり、10.8年に達したと新聞で報じてありました。
 ひきこもりは、大きな社会問題の1つになっており、国の施策としても大きく取り上げられるほどになっております。
 ひきこもりの程度は人それぞれですが、おおむねの人は、学生時代や就職してすぐに挫折を経験し、その恐怖やコンプレックスから長続きせず、次第に他人とのかかわりがなくなり、外出することを避け、家族とのコミュニケーションもなくなり、自室に閉じこもり、昼夜逆転の生活になっています。高齢化した親が子供の将来を悲観して思い詰めるケースもふえ、親が亡くなった後の問題としての支援の大きな課題ともなりつつあるとも報じてありました。
 このことから、ひきこもりの県内の相談件数についてということで質問さしていただきます。
 ひきこもりの種類に、統合失調症や鬱病、社会不安障害など、精神的な疾患を生じて人と接することに恐怖心や抵抗感を感じる心の病気が原因となるのと、通院しても効果が見られず改善しない場合の第一原因が病気でない社会的なひきこもりがあります。これ以外にも原因は数多く存在しています。いずれの場合も、その人の性格や性質、現在の状況をしっかり見きわめなければなりません。
 国としても実態は推計でしかつかめておりませんので、県としてもその実態の把握は難しいこともわかりますけれども、その中で県が把握している相談件数などの状況を福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 県では、ひきこもりの相談窓口をひきこもり地域支援センターや保健所に設置するとともに、市町村及び若者サポートステーションWith Youにおいても相談に対応しております。
 県が把握している平成28年度の相談件数としましては、まず、ひきこもり地域支援センターでは、電話相談は延べ63件、来所相談は延べ48件となっております。次に、保健所における電話相談は延べ126件、来所相談は延べ59件、訪問相談は延べ91件となっております。また、市町村における電話相談は延べ287件、来所相談は延べ248件となっており、若者サポートステーションWith Youにおける相談は延べ366件となっております。これらの相談の総計は延べ1288件となり、平成27年度と比較して約5%の減少となっております。
 ひきこもりは、その把握自体が難しく、支援者側からの働きかけも困難なことから、相談につながっていない潜在的なケースもあると考えられるため、今後も引き続き相談窓口の周知に努め、関係機関と連携して対応してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 ひきこもりに対する県の支援についてということでお尋ねをいたします。
 ひきこもりの状態から早く立ち直り、社会復帰できるように、その方々にかかわる多くの原因を取り除くために県はどのような支援を行っておるのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 県では、電話相談や来所相談等の内容に応じ、医療機関等の適切な機関へつなげるなどの対応を行っております。
 ひきこもり地域支援センターでは、週に1回、同様の悩みを抱えるひきこもりの方が交流し、仲間づくりができる場所を提供するフリースペースを開設するとともに、ひきこもりの方と暮らす家族同士の気持ちの分かち合いや情報交換を目的に、毎月1回、家族のつどいを開催しております。さらには、ひきこもりの方の回復を支援する法人職員のための研修会や、ひきこもりの方が抱える悩みなどを広く県民に理解していただくことを目的とした講習会も開催しております。
 また、社会体験、就労体験を通じて自立を支援するとともに、ひきこもりの方に居場所の提供を行うNPOや社会福祉法人をひきこもり者社会参加支援センターとして指定し、ひきこもりの状態にある15歳以上の方やその家族の支援を行っております。平成16年度の指定以来、平成28年度までに142名の方を支援し、65名の方が就労や就学へとつながっております。
 加えて、若者サポートステーションWith Youにおいても、相談者の状況に応じて、助言や情報提供、適切な支援機関への橋渡しを行うほか、ビジネスマナー研修等を実施しております。
 県としましては、今後とも、ひきこもりの方の状況に応じた対応ができるよう、支援者の資質向上を図るとともに、関係機関と連携し、取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 ひきこもりにつながる可能性がある不登校の状況についてということでお尋ねをいたします。
 不登校の児童生徒数の推移は、人数では国公立で小学校では254人、中学校で788人、高校で458人と前年度より少なくなっております。1000人当たりの児童生徒数は、小学校で5.2人、中学校で28.5人、高校で16.4人と全国平均よりも上回っております。
 このことから、ひきこもりにつながる可能性のある不登校の状況について、教育長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 不登校は、特定の子供に特定の問題があることによって起こるのではなく、どの子供にも起こり得るものです。
 不登校の要因は児童生徒個々に異なり、無気力や情緒不安定、友人や教員との関係、学業、進路選択の不安、家庭環境など、ほとんどの場合、こうしたことが複雑に絡み合っております。このため、不登校の解消に向けては、児童生徒一人一人に個別の支援計画を立て、丁寧に対応する必要があります。
 このようなことから、本県では、欠席しがちな児童生徒について、累計5日以上欠席した児童生徒の状況・学校対応状況シートを活用し、すぐに教職員間で情報を共有するとともに、支援のための校内体制を整え、適切な対応に努めてまいりました。また、関係機関と連携を図りつつ、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとともに、児童生徒や保護者などに支援を進めてまいりました。これらの状況については、県教育委員会、市町村教育委員会で把握し、個々に学校を指導してきたところです。
 その結果、直近の調査結果では、全国的に不登校児童生徒数が増加する中、本県においては減少いたしました。しかしながら、依然として全国平均より高い状況にあり、本県の学校教育の根幹にかかわる最重要課題でございます。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 不登校解消に向けた取り組みについてということで、不登校になる原因はたくさんあると考えられます。寝る前にスマホやパソコンによる夜更かしの生活習慣、学校での先輩、後輩の関係や学校行事の勉強によるプレッシャーなどの精神的な負担など、原因はさまざまだと思います。
 その状況を見きわめ、不登校解消に向けての取り組みはどのように行っているのか、教育長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 不登校の解消に向けた取り組みについてお答えいたします。
 昨年7月の和歌山県不登校対策に係る有識者会議の提言を受けて、本年度から不登校等総合対策事業に取り組んでおります。
 まず、児童生徒一人一人の状況を把握し、解消に向けた具体的な支援計画を立てて対応するよう、不登校問題対応の手引きを作成し、この4月に全ての教職員に配布いたしました。現在、各学校で活用しているところであり、今後、県内7カ所で実施する不登校問題に対応する研修を通して、より効果的な指導となるよう支援してまいります。
 また、相談体制を充実するため、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置を拡充するとともに、その力量を高めるためのスーパーバイザーを新たに配置し、指導を行っております。さらに、県内21市町の小中学校に、不登校児童生徒支援員を40名配置し、教室に入りづらい児童生徒に別室で学習支援を行ったり、欠席しがちな児童生徒の家庭を教員とともに訪問し、学校への登校や適応指導教室へ通えるよう支援したりしています。加えて、現在、不登校児童生徒を受け入れる施設として、14市町が15の適応指導教室を設置していますが、今後、全ての市町村に適応指導教室の設置を働きかけるとともに、スクールカウンセラーを配置する予定です。
 また、保護者の方々が不登校問題を理解し、家庭においても早期に適切な対応ができるよう、保護者向けのマニュアルを作成しております。
 なお、本年度、不登校やいじめ等に関する施策について、生徒指導と教育相談の両面で一体的に取り組むよう、義務教育課内に児童生徒支援室を設置いたしました。また、各学校で行われている取り組みを支援するため、専門家から成る不登校対策プロジェクトチームを設置し、取り組みの改善や充実を図ってまいります。
 今後とも、不登校の解消に向けて、未然防止、早期発見、早期対応、学校復帰支援の各段階に応じた取り組みを総合的に進めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 不登校やひきこもりの調査をさせていただきました。その原因が複雑で本当に絡み合っていて、解決が非常に難しいなあと思いました。
 難題を解決するには、相談の電話や訪問して原因を細かく分析し、また、保健師さんの意見を聞き入れて、関係する全ての機関が今まで以上に手を取り合って連携を密にして課題解消に努めていっていただきたいなあと、重ねてお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、堀龍雄君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時37分休憩
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