平成29年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成29年6月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


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平成29年6月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成29年6月22日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第128号から議案第141号まで並びに報第1号から報第5号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第128号から議案第141号まで並びに報第1号から報第5号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 中西峰雄
 2番 秋月史成
 3番 立谷誠一
 4番 泉 正徳
 5番 前芝雅嗣
 6番 花田健吉
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 川畑哲哉
 10番 玉木久登
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 尾﨑太郎
 14番 藤山将材
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 服部 一
 20番 山本茂博
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 堀 龍雄
 24番 中 拓哉
 25番 岸本 健
 26番 森 礼子
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
〔備考〕
 40番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      藤川 崇
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     山田成紀
 福祉保健部長     山本等士
 商工観光労働部長   山西毅治
 農林水産部長     原 康雄
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      野田孝雄
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       田村公一
 次長         西原龍也
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     武田 稔
 議事課議事班長    岩谷隆哉
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中平 博
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  午前10時0分開議
○議長(尾﨑太郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第128号から議案第141号まで、並びに知事専決処分報告報第1号から第5号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 17番岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)
○岩田弘彦君 おはようございます。
 議長のお許しをただいまいただきましたので、早速、一般質問をさせていただきます。
 今回の質問は、大項目2問、全て一問一答方式にてよろしくお願いいたします。
 大項目1番、サイクリング王国わかやまの実現に向けてであります。
 今議会における県政の最近の動きにおいて、3月に開催しました「わかやまサイクリングフェスタ2017」では、国内外の参加者から、本県のサイクリング環境に対して大変高い評価をいただきました。さらに、「安全性と快適性の向上を図りつつ、サイクリング王国わかやまとして、国内外に向け広くPRしてまいります」と知事がおっしゃっておられました。
 また、本年5月には、国民の健康を増進、環境への負荷の軽減、災害時における交通機能の維持、自動車への依存の程度を低減し、交通混雑の緩和などを図るため、自転車活用推進法が施行され、基本方針に即した推進目標及び法制上、財政上の措置を定めた計画(自転車活用推進計画)を国において策定予定とお聞きしております。
 私は、単なる移動手段でありました自転車が、新たな自転車文化の到来を感じております。また、自転車の活用となれば、和歌山県の持つ、いわゆるポテンシャル、潜在能力は非常に高いものが私はあると思います。今、追い風が吹いていると思います。サイクリング王国わかやまの実現に向けては、全県民総力をもって取り組むに値すると私は考えております。
 そのことから、以下何点か質問をいたします。
 1番、まずは、今年度から始まる新長期総合計画に位置づけていますサイクリング王国わかやまの実現に向けて、目標も含めて知事の思いをお伺いいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの岩田弘彦君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) サイクリングの全国的な状況は、最近ちょっと脚光を浴びております、しまなみ海道の自転車通行量が3年で倍増したり、琵琶湖を一周するサイクリングコースであるビワイチの体験者数も前年比約138%となるなど、サイクリングブームは依然として高い状態であります。
 本県でもこういうブームに乗じて、川、山、海のすばらしい景観はもちろんのこと、起伏の激しい変化に富んだ、サイクリストにとっては魅力的な約800キロのサイクリングロードを整備しているところであります。特に本県のサイクリングロードは、2大聖地である世界遺産、高野山・熊野エリアを含め、全市町村を網羅した、月並みな言葉でございますけれども、サイクリング王国わかやまと言えるようなもんだと確信しております。
 この魅力的なサイクリングロードに、国の内外からたくさんのサイクリングを楽しむお客様にお越しいただきたいと考えておりまして、最近の健康ブームに合わせて、昼間のサイクリングで疲れた体を温泉で癒やし、本県のおいしい食を味わっていただくといった、心身ともにリフレッシュできる旅の楽しみ方なども提案をどんどんしてまいりたいと考えております。
 また、サイクリストの中には高価なロードバイクに乗る国内外の富裕層も多く、そういった時間やお金に余裕がある方々には、サイクリングと旅を組み合わせて、特に長く滞在していただけるものと期待しております。
 いずれにいたしましても、本県がサイクリングに適したすばらしい魅力を持っているということを国内外に情報発信することで、新しい層のお客様にも県内くまなく周遊していただき、消費拡大や地域活性化を図り、全国に誇れるサイクリング王国わかやまの地位を築いてまいりたいと考えております。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 全国に誇れるサイクリング王国わかやまとしての地位を築くということで、もうそれだけの勢いの答弁をいただきましたら、私も一生懸命頑張って、そうなるようにいきたいと思っておりますので、その方向性のもと、2番から何点か質問さしていただきます。
 (2)サイクリング王国わかやまとしての発信についてであります。
 サイクリングといえばサイクリング王国わかやまと認知し、和歌山県にお越しいただくためには、まず県内外にアピールすることが大切やと考えております。サイクリングイベントの定期開催が重要であるのはもちろんのことでありますが、と同時に、地域資源と組み合わせたモデルコースの提案、ツアー商品の造成並びにPR、そして、県内サイクリング観光映像コンテンツの配信、全国に向けたプロモーション、サイクリストに人気の旅行先にランクインするなど、いろんなことが考えられますが、取り組みの現状と今後について、商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長山西毅治君。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) サイクリング王国わかやまをブランド化するためには、サイクリング愛好者やこれから始めようとする初心者、女性サイクリストなど、幅広いターゲットにリーチできるよう、雑誌、ウエブ、映像等の媒体を駆使した戦略的な情報発信が重要と考えております。
 具体的には、本年7月から、全国JR主要駅約1000カ所にPRポスターを掲出いたします。このほかにも、サイクリング専門誌等への掲載、さらに、サイクリング王国わかやまを広く国内外に発信するため、有名バイクメーカーとタイアップし、和歌山でのサイクリングのすばらしさを実現した映像を制作するほか、メディアや情報発信機能を持つ自転車小売店を対象にファムツアーを実施してまいります。
 情報発信に加えて、お越しいただいたお客様に対してきめ細やかな受け入れ体制の整備を行うことも重要と考えており、今後、サイクリストが安心して滞在できる宿泊施設等のさらなる拡充とともに、温泉、グルメなどを盛り込んだお客様がわくわくするようなサイクリングコースの設定について、地域等へ積極的に働きかけてまいります。
 これら情報発信と受け入れ環境の整備に加え、旅行会社や宿泊予約サイト等への旅行商品化の取り組みを総合的に推進することで、近い将来、サイクリストに人気の旅行先に選ばれることを目指してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 いろいろな積極的な取り組み、ありがとうございます。ぜひとも、旅行先の人気サイトでベストテン、トップに上っていただきますようによろしくお願いいたします。
 それでは、次に行きます。
 (3)おもてなし体制の充実についてであります。
 本年5月25日木曜日に、自転車振興策の調査研究のために愛媛県に行ってまいりました。愛媛県では、受け入れ環境整備の1つとして、サイクルオアシスの整備に取り組んでおりました。
 また、「日本経済新聞」6月15日木曜日の紙面においては、「関西の自治体が相次ぎ自転車を活用した地域振興策を打ち出している」とし、関西各府県の取り組みが紹介されておりました。その中でも和歌山県は、自転車利用者向けの拠点、サイクルステーションの整備が評価されておりまして、取り上げられておりました。
 和歌山県にお越しいただくサイクリストが気楽に立ち寄って休憩したり、情報収集したり、皆さんとの交流やおもてなしを通じて、また来たい、そう思ってもらえるような場を提供することは必要不可欠であります。情報の中でも地元しか知らないような情報は、非常に喜ばれるそうであります。
 本県が整備しているサイクリングステーションの現状と、サイクリストの利便性の向上のための今後の取り組みについて、企画部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) サイクルステーションの現状につきましては、昨年度、全県で68カ所設置し、トイレやスポーツサイクル用の空気入れ、自転車工具の貸し出しや自転車用ラックを配置してきたところでございます。
 今後は、空気入れを備えつけ、トイレの貸し出し等、サイクリストのおもてなしに協力いただける飲食店や物販店などの民間事業者等をサイクルステーションとして登録し、全県で拡充していく予定でございます。
 また、さらにサイクリストの利便性向上を図るため、最寄りの自転車店やサイクルステーションの場所、観光スポットなど、県内に訪れたサイクリストが欲しい情報を手に入れられるサイトの作成に現在取り組んでいるところでございます。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 今後とも、「やっぱり和歌山に来てよかったよ」、「また来たいよ」って言ってもらえるようによろしくお願いいたします。
 それでは、(4)サイクルトレインについてであります。
 愛媛県では取り組みの1つとして、サイクルトレインにも取り組んでおりました。サイクルトレインは、自転車を鉄道車両内に輪行状態ではなく解体せずに持ち込むことができるサービスのことのようであります。
 本年5月施行の自転車活用推進法では、公共交通関係事業者の責務として、自転車と公共交通機関との連携の促進等に努め、国、地方公共団体が実施する自転車活用の推進に関する施策に協力するよう努めるとなっております。
 四国地方では、団体臨時列車方式で期間限定、土日祝限定で運行されているようであります。
 サイクリング王国わかやまといたしまして、サイクルトレインの運行について今後どのように考えているのか、企画部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 企画部長。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 和歌山県内でのサイクルトレインの取り組みについては、地域のサイクリングイベントなどで実施されており、県主催では、平成27年度にサイクリングイベント「紀の川“ぐるっと”グルメライド2016」を開催し、JR和歌山線の田井ノ瀬駅から高野口駅間のサイクルトレインを実施いたしました。
 今後も、イベント等での活用のほか、先進地域での活用の状況を踏まえ、鉄道事業者に働きかけを行ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 相手さんのあることでございますので、相手さんと協議してということになると思うんですけど、1つ思うことがございまして、やっぱりサイクルトレインが走っているかいないか。毎日ではなくていいんですよ。都度、都度、走っているか走っていないかというのが、今後のサイクリングを推進している県であるかないかの──目立ちますんでね、そのように思いますので、相手のあることでございますが、頑張っていただいて、なるべく1本でも機会があったら多く走らしていただきますようによろしくお願いします。
 次、(5)であります。県内の健康づくりを目的とした自転車利用についてであります。
 サイクリング王国わかやまの実現には、県内の自転車利用の推進が私は重要やと考えます。県内の自転車利用が進めば、県民の健康増進を初め、環境への負荷の軽減、災害時における交通の機能維持、自動車への依存程度の低減で交通混雑が緩和するなど、多様な効果が期待されると思います。また、地元に自転車を利用される方がふえれば、地域における自転車に対する意識が向上するとともに、やっぱり和歌山県に訪れていただいたサイクリストに対するおもてなしの心も向上するんではないでしょうか。自転車を愛する県には自転車を愛する人が集まると考えるのが自然だと思います。
 自転車利用の推進においてはさまざまな観点からの取り組みが考えられると思いますが、最近、NHKのBSプレミアムの番組「にっぽん縦断こころ旅」、これがアクティブシニアを中心に人気があるようでございます。火野正平さん(68歳)が単にサイクリングで全国各地をめぐるだけの番組なんですが、それが結構アクティブシニア世代に人気があるんです。この影響もありまして、特にアクティブシニアの方々がサイクリングを通じて生涯の生きがいの実感や健康づくりに取り組まれているようであります。
 本県の平均寿命は、男女とも年々延びていますが、全国レベルでは下位の状況で、特に女性はワースト3位となっております。さらに、健康寿命についても、全国順位は中位にあり、上位にはほど遠い状況にあることから、健康寿命への原則である運動が重要と考えます。また、自転車活用推進法の大きな目的の1つに、国民の健康増進があります。
 そこで、法の設置を契機に、自転車利用で健康づくりに取り組んではどうでしょうか。健康づくりを目的とした自転車利用について、県民の健康づくりの観点から福祉保健部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 生活習慣病の予防には、サイクリングを初め、適度な運動を習慣的に実施することが効果的であることから、県では、本年10月から「みんなで実践!健康づくり運動ポイント事業」を実施することとしております。
 この事業では、サイクリングなどの運動を県民1人が1日に30分以上行った場合、所属自治会に1ポイントが加算されるなど、その年間獲得ポイントの多い自治会を表彰する仕組みとなっております。
 今後、県民が日常生活の中で自転車を気軽に利用するなど、楽しく継続できる健康づくり運動を推進し、健康長寿日本一わかやまを実現してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 今回は自転車で健康づくりということで、おっしゃったとおりに、やっぱり気楽に楽しく、継続できそうなのは自転車利用が一番ええん違うかなと。私の周りでも、運動せんなん、運動せんなんという気持ちはどえらい出るんですけど、いざ運動するって、じゃあ、ほんなら走るのか何とかなといったときに、もうそれやったら日ごろ自動車で買い物に行ってるところを、ママチャリでもいいですから、ちょっと自転車で買い物行ってみたらとかね、そういう気楽な乗りがいいと思いますので、健康づくりに自転車を利用していただいて、進めていただきますようによろしくお願いします。
 次、(6)レンタサイクルの仕組みについてであります。
 これにつきましては、参考資料を配付ということで議長のお許しをいただいておりますんで、地図のほうを配らしていただいております。
 これ、しまなみ海道サイクリングロードです。表裏になっておりまして、縦にひっくり返してもらうとつながるということになってます。片方は愛媛県、片方は向かい側の広島県ということで、見ながらお話を聞いていただけたらと思います。
 本年5月25日木曜日に、しまなみ海道サイクリングロードの調査研究に行ってまいりました。しまなみ海道サイクリングロードは、愛媛県今治市から瀬戸内海の島々をつなぎ、広島県尾道市までの約70キロで、自転車専用道と一般道の組み合わせであります。
 今治市サイクリングターミナル・サンライズ糸山、これは市の施設で指定管理ということで、そこのレンタサイクルターミナル、そこへお邪魔いたしました。お話を聞きますと、このサイクリングロードにはレンタサイクルターミナルが15カ所、大体、市民センター、港湾施設、観光案内所、道の駅、駅、市役所などにあるとのことでありました。この指定管理者の方にお話を聞くと、幾つかのところをここの指定管理者が管理されておるということでございました。
 レンタサイクルの仕組みは、どのターミナルで借りても、どのターミナルに返却してもいいというのが基本で、ただ、電動アシスト自転車、タンデム自転車は貸し出しターミナルへ必ず返すことってなっておりました。
 私は、クロスバイク電動アシストつき、1日1500円プラス保証料1000円を選びました。保証料は、貸し出しターミナルまたは貸し出しターミナルと同じ島内のターミナルへ自転車を返却した場合、保証料を返却するということでございました。
 サンライズ糸山から次のターミナルである道の駅よしうみいきいき館まで片道約7キロを往復し、楽しく14キロを体験しました。平日の木曜日、午後2時からの走行開始でしたので走行中に出会う方は少ないと思っていましたが、予想に反し、多くの方と対面いたしました。修学旅行生のような集団にも出会いました。特に驚いたのが、修学旅行生のような集団を除けば、外国人の方がほとんどに感じました。自転車については、ほとんどがレンタサイクルのようでありました。外国人の方は、ほとんどがシティーサイクル──通称ママチャリ──で、前のかごに荷物を積んで走行しているのが印象的でありました。
 そこで、よく考えてみますと、このレンタサイクルの仕組みがなければ、私自身この場に来ていないわけであります。また、出会ったほとんどの方はレンタサイクルでしたので、このレンタサイクルの仕組みがなければ、私が訪れたときには地元の島関係者以外はいないわけであります。
 愛媛県庁の自転車新文化推進室にお聞きしますと、しまなみ海道のレンタサイクル貸出台数は、平成22年度の年間4万8178台から、昨年であります平成28年度で年間14万1205台、約3倍の増加とのことでした。新たな自転車文化の到来ですから、サイクリスト層は年々増加傾向にあります。と同時に、その予備軍と思われる層はもっと大きいんではないでしょうか。
 また、自分の自転車を飛行機に乗せて和歌山県にお越しいただける外国人の方は少ないんではないかな、その心配をしております。その予備軍と思われる層の皆様にも、外国の皆様にも、サイクリング王国わかやまにお越しいただき、新たな観光振興につなげるためにも、一例を挙げますと、以前の予算委員会でも提案さしてもらったんですが、私の地元、橋本市でしたら、南海高野線に乗って難波から電車で来て、橋本の駅で自転車を借りて、紀の川の自転車道をずっと下ってくる。下りは楽です。で、和歌山市に来ます。和歌山市のお城とかめぐってもらって、そこで自転車を返して、また電車に乗っていただいて紀南のほうに移動して、言えば熊野三山めぐり、またそこで自転車借りて回ってもうて、そういういろんな組み合わせができるん違うかな、期待が大きいんではないかなと思います。
 全国、世界に注目されるような、どこで借りても、どこに返却してもいい、広域のレンタサイクルを和歌山県なりに構築してはどうでしょうか。商工観光労働部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 商工観光労働部長。
  〔山西毅治君、登壇〕
○商工観光労働部長(山西毅治君) サイクリング目的で来県されるお客様がふえている中、レンタサイクルの相互返却の仕組みづくりにつきましては、お客様の利便性を高めるためにも必要と認識しております。
 県内のレンタサイクル施設は、平成29年5月現在で43カ所ございます。相互に返却を行うなど連携をして取り組んでいる地域もございますので、今後、全県的な連携を見据えて関係団体等に働きかけを行ってまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 今、もう既にそのレンタサイクルをやられてるところが43カ所ということですんで、民間で頑張っていただいてるということなんですけど、それを上手につないでいって、働きかけということで、全県的に行うということで、これはありがとうございます。
 ただ、上手に働きかけをしただけで、このしまなみ海道のサイクリングロードのレンタサイクルの仕組みはできていません。市の施設にレンタサイクルのところをつけて、それ全体を指定管理をするとか、そういうふうな1つのまとまりの中でやってると思うんで、これは先の話になると思うんで、一番ええのは、民間の皆さんが集まってみんなでやろうというのが一番ええと思います。できたら、民間の皆さんがやろうという思いにさしていただいて、そこを応援するという形をとっていただけたら、持続可能になったらええんではないかなって私は思っておりますので、その第1弾として働きかけのほうをよろしくお願いいたします。
 次に行きます。(7)タンデム自転車の走行についてであります。
 このことにつきましては、委員会のほうで以前、長坂議員のほうからも提言があったと思うんですが、タンデム自転車とは、2以上の乗車装置及びペダル装置が縦列に設けられた自転車のことです。難しく言うとこうなるそうであります。
 タンデム自転車は、現在、和歌山県では自転車専用道路及び自転車歩行者専用道路は通行できますが、一般公道は通行することができません。全国的には、2人で息を合わせてペダルをこぐが、後部座席の人はハンドル操作が必要ないため、障害のある方が楽しめます。このことから、社会参加の促進、共生社会の促進という大きな利点があること、次に、パラリンピックの競技種目になっていること、一般道を走れる府県では、海外からの観光客や障害のある方と健常者、カップルなどが一緒にサイクリングを楽しんでいるなど、観光誘客に非常に効果があることなどから、公道走行を認める自治体が年々増加しております。現在、大阪府、京都府、兵庫県、愛媛県、広島県、佐賀県など16府県になっております。
 心配事がありまして、和歌山県に行かなくても、お隣の大阪府で自由に楽しめるからというようなことを思われるんではないかと私も心配しておるところでございますが、佐賀県の事例によりますと、タンデム自転車に関する提案を受けた佐賀県警は、その後の試走により公道走行に問題がないと判断、同年、道路交通法施行細則の改正を経て、翌月よりタンデム自転車の公道走行が可能になったそうであります。
 タンデム自転車の安全性能の向上、そして本年5月の自転車活用推進法の施行、サイクリング王国わかやまを目指す県として、近隣府県を初め全国の状況、全長約800キロのサイクリングロードの整備を推進している本県において走行可能なのは約40キロであることなどを総合的に考慮して、タンデム自転車に関する道路交通法施行細則の改正を行ってはどうでしょうか。警察本部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 警察本部長宮沢忠孝君。
  〔宮沢忠孝君、登壇〕
○警察本部長(宮沢忠孝君) タンデム自転車の走行についてですが、本県では、平成22年12月14日に和歌山県道路交通法施行細則を改正し、それまで全ての道路において走行ができないこととされていたタンデム自転車については、平成23年1月1日以降、自転車専用道路及び自転車歩行者専用道路において走行できることとなっています。
 自転車専用道路等は、県、市町村など道路管理者が指定しており、平成29年4月末現在、県内でタンデム自転車の走行可能な自転車専用道路等は、有田川町の旧有田鉄道跡地に整備されている町道明王寺庄線約5.2キロメートル、和歌山市から橋本市の紀の川に沿って整備されている県道紀の川自転車道線約29キロメートル、紀の川市桃山町から貴志川町の紀の川から貴志川に沿って整備されている県道貴志川自転車道線約5キロメートルの3路線となっております。
 タンデム自転車の特性として、一般公道を走行すると歩行者や車両等との関係から道路における危険を生じさせるおそれがあるとの理由から、現在、自転車専用道路、自転車歩行者専用道路のみを走行可能としております。
 一方、全国では、議員御指摘のとおり、条件つきで一般公道を走行可能としている府県が、隣接する大阪府も含め16府県ございますので、今後、全国的な状況やタンデム自転車の安全性、利用状況等を総合的に考慮しながら、道路交通法施行細則の改正について精力的に検討してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 これにつきましては、いろいろやっぱり検討していただかないと、今すぐどうこうという話は難しいと思いますので、いろんな面から検討していただきたいんですが、1つお願いがあるのは、先ほど言わしていただいた、私も勇気を持って議場で取り上げさしていただいてるんですが、それには大きな理由がありますよ。だから、安全性が向上してる、自転車の活用推進法がことしから施行された、サイクリング王国わかやまを目指す、近隣府県、全国的にもふえてきている、800キロのサイクリングロードの中で今走行できるのは40キロである、この5つの条件がそろってんのは今年度やと思います。
 サイクリング王国わかやま、もうことしから長計始まってますんで、進んでいくと。自転車活用推進法も進んでいく。じゃ、ほんな今度、いつのタイミングで──もしですよ、もし改正するとしたら、改正する理由、やっぱり要ると思うんで、タイミングもあると思うんでね。僕は何で今回提案さしていただいたというたら、今年度が一番、どっちにするにしてでも検討されるということですんで、タイミング的には今年度かなあと思っておりますので、どうか積極的な検討をいただきまして、改正のほうに向かっていただきますようよろしくお願いいたします。
 次に、(8)推進体制についてであります。
 愛媛県では、サイクリングパラダイスえひめの実現に向けて、県庁に自転車新文化推進室を創設して取り組んでおりました。また、県・市町連携推進本部を設置し、官民連携組織・愛媛県自転車新文化推進協会を設立し、民間応援組織サイクリング・パラダイスえひめ推進会議を立ち上げ、愛媛県自転車新文化推進基金の設置を行い、推進体制の強化を図っていました。
 本県においても、全国に誇れるサイクリング王国、その地位を築くため、そして自転車活用推進法の動向も踏まえましてさらに推進体制を強化する必要があると考えますが、推進体制の強化について、県土整備部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 自転車施策の推進体制についてお尋ねを頂戴いたしました。
 自転車施策の推進体制につきましては、自転車活用推進法が平成28年12月に議員立法により成立し、本年5月に施行されており、その基本方針には、自転車専用道路・通行帯等の整備、良質な自転車の供給体制の整備、交通安全に係る教育及び啓発、国民の健康保持増進など、さまざまな行政分野にわたる項目が挙げられております。
 また、この法律では、さきの基本方針に即して目標及び講ずべき必要な措置等を定めた推進計画を閣議決定で定めると規定しており、国土交通大臣を本部長とした自転車活用推進本部が設置されるとともに、その案の作成などの事務を行うため、本部事務局も国土交通省内に設置されたところでございます。
 一方、各都道府県、市区町村は、区域の実情に応じた自転車活用推進計画を定めるよう努めることとされており、和歌山県といたしましても、国の推進計画策定に係る動向に注視し、自転車施策推進の体制について、庁内でもその検討を進める必要があると考えてございます。
 今後とも、自転車施策の推進のため、庁内各課や市町村、関係機関や民間団体とより一層連携を強化の上、自転車の活用を総合的かつ計画的に推進してまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 ありがとうございます。積極的にお取り組みいただきますように。
 今回、愛媛県の具体的な事例を出さしてもうたんですけど、愛媛県は愛媛県です。うちはうちとしてのやり方をやっていただいたらいいんですが、何かといろいろ、スマガツオの話もあるし、ミカンの話もあるし、いろいろあるんで、何かと切磋琢磨している県ですが、私としたら、愛媛県もすばらしいけど、和歌山もっとすばらしいって思うてますんで、どうかよろしくお願いいたします。
 大項目2番、広域ネットワークについて質問さしていただきます。
 (1)(仮称)京奈和自転車道計画についてであります。
 多くの歴史、自然、観光資源などを有する京都府、奈良県、和歌山県が連携し、観光地などの拠点施設を結ぶ広域自転車道を整備するとともに、サイクリングマップの作成などPRを行うことにより、府県内外から誘客を促進し、自転車をツールとした観光振興や地域活性化を図ることを目的に、広域連携事業として、京都、奈良、和歌山における自転車を活用した広域観光活性化計画を進めていると聞いております。
 私の地元、橋本市──特に私は東のほうに住んでおるんですが──はもう奈良県の県境であります。その奈良県の県境あたりには紀の川の両岸に、一方は万葉人が往来した飛び越え石の里、もう一方は中将姫、あじさい園の里があるんです。この両園とも──飛び越え石の里は真土地区になるんですが、もう一方の中将姫あじさい園の里は恋野地区、プロ野球の筒香選手のふるさとであります。もう1個、溝端淳平君もこの恋野出身であります。
 知事はよく御存じやと思いますが、ここの両区の皆さんは、僕はすばらしいと思うのは、自分たちの観光資源を磨き上げて、自分たちでやっていこうという勢いがすごいんです。だから、僕は、すばらしい地域力を両方持ってる。今まで、サイクリングロードも和歌山は先行してるようですので、ここでとまってしまっていたんで、奈良のほうにはつながりにくかったやつが、今度これができますと、まあいうたら私、期待してんのは、奈良県から和歌山県の玄関になるで、皆さん、もっと頑張ろうよと、こういうふうになったら、自分たちでやるんですから、この地域の皆さんは、その気持ちがどえらい盛り上がると思うんで、私はやっぱりこの計画がよりすばらしいようになっていただけたらなあと思っております。
 まだ仮称だそうでありますが、(仮称)京奈和自動車道計画の推進について、県土整備部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) (仮称)京奈和自転車道計画についてお尋ねを頂戴いたしました。
 (仮称)京奈和自転車道につきましては、京都府、奈良県、和歌山県が連携し、歴史、自然観光資源などの観光名所をめぐり、京都市の嵐山から和歌山市の和歌山港に至る延長約180キロメートルの広域的な自転車道計画でございます。
 本県におきましては、この自転車道の一部を構成するものとして、川のルートである約60キロメートルの紀の川自転車道線において、紀の川河川敷を利用した自転車専用道路の整備を進めてございます。これに引き続き、奈良県域では、全長約75キロメートルの大和青垣吉野川自転車道線において順次整備が進められてございます。また、京都府域でも、全長約45キロメートルの京都八幡木津自転車道線において順次整備が進められてございます。さらに、これらの府県境部を一体的につなぐよう、各府県が鋭意取り組むこととしているところでございます。
 今後、(仮称)京奈和自転車道が早期に整備され、自転車をツールとした高野山や吉野などの世界遺産を含めた観光振興や地域活性化に大きな効果をもたらすよう、各府県が連携して取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 積極的に連携してよろしくお願いします。
 もう1つあるのは、今おっしゃっていただいたように、すごくうれしかったんですが、紀の川で──私たちのところは高野山の麓です。紀の川をずうっと通っていきますと、吉野、紀の川のそばにありますので、そこがうまく連携できたら。私が思ってんのは、奈良の人に和歌山に来てもらう戦略でございます。それを地元の人と「玄関やさかい、頑張ろうな」とやっていきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
 (2)大阪橋本道路府県境部の現状と見通しについてであります。
 これにつきましては、私が県会議員に──選挙のときにいつも言うとんですけど、この道の進捗をチェックするということで公約で来ておりますので、お気づきいただいたと思いますが、毎年1回、6月議会が多いんですが、チェックさしていただいておると思うんですが、まずあるのは、最近、地元橋本市でよく聞く話題は、やっぱり和歌山市までびっくりするほど早なったな、もう1個は、やっぱり480号って便利やなというのが、これが今の実感でございます。
 まずもって、知事初め県当局、県議会を初め御尽力いただいた皆様に厚く感謝申し上げます。私が一番恩恵を受けております。ありがとうございます。
 次に、地元橋本市の待ち望む大きな期待は、もう次は、新紀見トンネルが貫通した、そして大阪橋本道路の国道371号バイパスが全線開通した、これを待っていると思います。大阪橋本道路府県境部の進捗状況について、大阪府側の今年度の予算も含め、県土整備部長にお伺いします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 府県境部の大阪橋本道路についてお尋ねを頂戴をいたしました。
 大阪橋本道路の府県境部は、国道371号、(仮称)新紀見トンネルとして、大阪府との費用負担等を定めた協定に基づき、和歌山県においてトンネル本体工事の推進に努めているところでございます。
 工事の進捗につきましては、平成28年7月より和歌山県側から掘削を開始し、平成29年5月末現在、延長2105メーターのうち約550メーターまで掘削を進めております。これに続く、大阪府側の区間である6.1キロメートルの石仏バイパスのうち河内長野市石仏から新紀見トンネル坑口までの4.7キロメートル区間につきましては、大阪府において事業が進められてございます。
 大阪府側の今年度の予算につきましては、和歌山県が施工している新紀見トンネル本体工事費の負担分も含め約36億円と聞いてございます。
 大阪府側の工事進捗につきましては、河内長野市石仏から岩瀬間の1.8キロメートル区間は既に供用されております。また、岩瀬から天見までの現国道371号までの取りつけ工事を含めた1.9キロメートル区間につきましては、予定より少しおくれておりますが、平成30年内の供用を目標に整備が進められていると聞いてございます。さらに、残る天見から新紀見トンネルまでの1キロメートル区間につきましては、トンネルや橋梁の工事を大阪府が平成30年代半ばの供用を目指し進めていると聞いてございます。
 なお、和歌山県としましては、本県側から掘削を進めている新紀見トンネル工事の進捗を図りますとともに、引き続き大阪府と工程調整を行い、平成30年代の一日も早い全線供用に向け、連携して取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
○岩田弘彦君 相手のあることで、大変頑張っていただいてありがとうございます。知事のほうも、松井知事と出会ったときには一生懸命言うていただいておった場面を私は見ておりますので、ありがとうございます。私も負けとったらあきませんので、地元──相手側は河内長野市さんが地元になるんですが、先日もそこの大阪府議会議員さんと一緒に、「まずは371号バイパス完成さして、そこから次は外環状線の立体交差とか、その辺頑張っていきましょうよ」というお話をさしてもうたところであります。
 また、今度も会いに行きまして、「371号バイパスに大阪府が予算をたくさんつけていただけましたら、何か協力できることありましたら、ウイン・ウインでやりましょうよ」と言うて話をしてきたところでございますので、今後とも、また来年度も予算が大きくつきますように。
 今、うれしかったのは、この371の推進協議会というのも橋本市であって、私、市会議員のときからもあったんですが、少ないときでしたら大阪府は、富田林土木のほうに行ったときに、私の記憶が間違いなかったら2~3億しかついてないときもあったんです。それから比べたら結構ついてくれてるんかな。これでも、まだまだ多いか少ないかは現場のほうでないとわからないと思いますが、また来年もいい予算がつきますようにお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、岩田弘彦君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕(拍手)
○堀 龍雄君 議長のお許しを得ましたので、大連訪問についての報告と2項目についての一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、大連訪問について報告をさせていただきます。和歌山県産柿の輸出振興と和歌山県に中国からの観光誘致を目的とした大連市について報告をさせていただきます。
 和歌山県産柿の輸出振興及び観光振興交渉訪問団は第5回目となりますが、かつらぎ町井本泰造町長を団長に、総勢19人の参加のもと、大連市へ5月26日から29日までの3泊4日の行程で行われました。参加者は、県議会議員から最高顧問の井出益弘議員、顧問の岸本健議員、同じく顧問の鈴木太雄議員、中本浩精議員、私の4名が派遣されました。また、かつらぎ町から団長として井本町長を初め、かつらぎ町議会議員、総務産業常任委員長の雑賀増己議員、産業観光課の西上智哉君を通訳として、橋本市から久保進理事と農林振興課長の蛭本義治課長の2名が、九度山町から三浦和徳企画公室長と企画公室主任の玉置和弘主任の2名が参加され、観光誘致ということで、今回、高野町から副団長の平野嘉也町長と岡北修治企画公室係長が参加され、紀北川上農業協同組合からはマルい選果場販売委員長蓮沼正委員長、大西輝幸販売課主任の2名が参加され、渡辺産業株式会社から岡本純一郎課長とり礼云氏が同行され、ほか事務員浜本由賀さんも含めた一行で大連を訪問させていただきました。
 5月27日に、ジェトロ・大連の安藤主席初め4人の職員及び現地バイヤー、大連海英貿易有限公司の陳総経理と、柿と加工柿のあんぽ柿の輸出に関する4時間にわたる長時間の交渉が行われました。
 以前の商談会の際には、李省長時代に幹部の方々に柿の試食をしていただいて好評を得ており、柿の売り込みになるきっかけとなりました。昨年、我々が訪問したときは、民間レベルで見た場合、和歌山県産の農産物である柿は買ってもらえるか、その可能性はあるのかの問いに、そこは政治にある。政治問題が強まる前は青森県産のリンゴ、鳥取県産の梨は検疫なしのフリーで輸出ができていた。現在は政治問題が影響し、両県の果物もフリーな形で輸入ができない状態にあります。こうした状況のもとで、柿輸出交渉が頓挫した背景にあります。
 この状況からこの事態を打開するには、民間同士の交流が大事でありますけれども、国同士の関係が大きいとのことでした。私たちも日本の中央政府のほうにたびたび出向いて中国に交渉していただけるようにお願いしなければならないと、また、中国側にとっては、早急に輸出できるように中国政府に働きかけてくださいとお願いをしてきたのでありました。
 ことしは、そのことを踏まえて大連を訪問させていただきました。ジェトロ・大連事務所の安藤勇生所長からは、「ことしも中国を訪問していただいて大変ありがたい」と歓迎を受けました。バイヤーの陳総経理からは、中国3省に広い販路を持っており、主に中国料理店、現地レストラン、スーパー、ホテルに日本から輸入品を供給している非常に力のあるバイヤーです。あんぽ柿の市場調査は非常によい結果が得られたのだと報告がありました。陳総経理からは、全体的なフォローに関しては、大阪に窓口があるので、いい話になればすぐにも交渉に入りたい、現在でも梅の食品と梅酒の取引を行っている、あんぽ柿についても中国のバイヤーの中でもおいしいと好評で、ぜひ輸入したいとのことでした。また、賞味期限のことについてや輸入に対するロットについてなど、詳細な質問もありました。その上、柿を含めて、鮮魚についてもよい養殖魚があれば紹介してほしいとのことでした。
 訪問団は、「賞味期限については解凍後30日あり、ロットは希望のロットに対応させていただきます」、また、訪問団の質問の中には、「あんぽ柿は加工品であるが、レア度が高いので生果として判断されることはないのか。そのときの対応はどうなるのか」という質問がありました。バイヤーは、「確かに途中で急に輸入できなくなる可能性はあります。実際に、お茶の通関が通らなかったことがあり、焼却処分をしたことがある」とのことでした。また、「大連がだめでも、以外の地域では輸入が可能な場合もあるかもしれないし、全て現地の検疫官の判断です」とのことでした。
 ジェトロ側からは、中国の果物輸入推進品目の中で柿の優先度は第3番手の状況にあると。加工品から始めるほうが有利であるため、真空パックにすれば加工品扱いになる可能性があるので試してみる。また、中国は各港によって検査基準が異なるので、トライしてみないとわからない。そのために確認することを約束してくれました。
 私たちの目的は生柿の輸出が目的なので、以前できていた青森県産リンゴ、鳥取県産梨のように、検疫なしで和歌山産の柿も輸出できないものかをお願いしました。私たちも、農林水産省管轄になるので、たびたび出向いて要望活動をして輸出できるように努めなければならないと感じました。
 5月28日、大連中日友好協会及び盤錦紅海灘観光区管理委員会と会見を行い、高野町を中心とした伊都・橋本の観光PRを目的として、現地旅行社8社13人と商談会を行い、中日友好協会于健軍会長から歓迎の挨拶があり、訪問団の井出益弘顧問からも挨拶のあった後、井本団長から、「和歌山県伊都・橋本地域には、世界遺産である寺社と参詣道があり、歴史的にも古く、中国で修行した僧侶空海が開いた仏教の聖地高野山との関係も深い。また、フルーツの栽培も盛んで、観光農園などで一年中四季折々のフルーツを直接もぎ取り、その場で食べていただくことができる。また、インフラの整備も整い、関西空港から1時間と交通アクセスも飛躍的によくなっております。ぜひ和歌山への観光にお越しください」と挨拶がありました。
 続いて、高野町平野町長からは、高野山開創のことや弘法大師空海の概要、日中合作である「空海」のPRや観光客誘客への取り組み、観光客への補助制度などを動画で紹介しました。特に、高野町の団体観光客の補助制度については好印象でした。また、大連ジェトロ事務所にも高野山のポスターの掲示もさせていただきました。
 柿の輸出については、両国同士の関係が非常に大きいと痛感し、帰国したら国のほうに要望に上京することを決意し、29日に帰国しました。
 その後、6月8日に、井出議員、立谷議員、鈴木議員、私と4名の議員と井本かつらぎ町長、JA紀北かわかみから亀井専務理事と職員1名、計7名で上京し、山本有二農林水産大臣、今城健晴農林水産省消費・安全局長、二階幹事長、世耕経済産業大臣、鶴保内閣府特命大臣、石田衆議院議員、門衆議院議員に、中国向け柿輸出解禁要請のお願いに伺いました。
 平成16年10月から中国に対して輸出解禁要請に必要な資料を提供しているが、応答がないとのことでした。国家同士のことになるので、全力を尽くしますと約束をいただきました。後日連絡があり、大使館のほうにも連絡してあるので、県も含めて足を運んでくださいとのことでした。早急にお願いに上京したいと考えております。
 以上で、中国に対する柿の輸出解禁と観光推進の報告とさしていただきます。
 仁坂知事には、和歌山県産柿の一日も早い中国への輸出の現実化ができますように御努力のほうお願い申し上げます。また、私たちより以上に上京する機会も数多くあると思いますので、多くの知り合いの方にもお願いしていただけるように、重ねてお願いを申し上げます。
 それでは、2項目について、通告に従い一般質問をさせていただきます。
 まず、1項目めの生活環境についてということでお尋ねをさせていただきます。
 この質問をさせていただくきっかけになったのは、ことしの3月に配布された「指標からみた和歌山県のすがた」を見て印象に残ったのは、私たちが生活をしている身の回りの環境に対する意識の低さかわかりませんけれども、公共下水道の普及率や汚水処理人口普及率が全国でワースト2位で、1人当たりのごみの排出量も多く、リサイクル率も低いとデータ化されています。
 家庭から出される汚水に対することや、ごみについての考え方を見直さなければならないと思い、環境月間である6月議会で質問しようといろいろ調査をしておりました。そうしていると、「水の国、わかやま。」の冊子が届きました。それは清らかな水を中心とした、平成28年7月21日から平成30年3月31日まで行われている観光のキャンペーンでした。この美しく豊かな水資源を汚さないためにも、私たちがすべきことを訴えようと思っております。
 和歌山県知事も同じことを考えてあったのか、6月11日と18日にテレビ放映された「きのくに21」で、和歌山県の汚水対策とごみに対する意識と取り組みに触れられておりました。重複することがありますけれども、質問に入らせていただきます。
 まず、1つ目の下水道についてであります。
 6月11日の「きのくに21」において、私たちの水環境を守っていくためには、家庭から排出されるし尿、台所の水、風呂の水、洗濯水など、全て汚水処理することが必要であると放映されていました。平成27年度末の段階で、汚水処理普及率は60.6%であり、全国ワースト2位とのことでした。普及率を向上させ、水環境を守る必要があると思います。
 また、汚水処理の推進のためには、両輪となる下水道整備と合併処理浄化槽設置が必要だと思われます。
 まず初めに、汚水処理の柱である下水道は、どういったところに適した整備手法であるのか、また現在どのような地域で整備されているのか、県土整備部長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) ただいまの堀龍雄君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 下水道整備に関してお尋ねを頂戴いたしました。
 御質問のありました下水道につきましては、都市の健全な発達及び公衆衛生環境の向上に寄与し、あわせて公共用水域の水質の保全に資することを目的としており、一定程度人口の密集した地域に適し、より安定した処理水質が確保できるものでありますため、それぞれの地域において、将来のまちづくりのあり方や費用対効果を検討した上でその整備を実施しております。
 和歌山県内の下水道の整備状況につきましては、県が事業主体となる流域下水道事業として、紀の川流域沿いの伊都・那賀地方において5市町とともに進めております。
 また、市町村が主体となる事業として、流域下水道事業も含め、和歌山市を初めとする市街地や、特に水質保全を必要とする観光地など19市町23処理区で事業を実施してございます。今後も引き続き市町と連携し、下水道事業の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 それでは、今後の汚水処理について質問に入らせていただきます。
 汚水処理の進め方についてですが、下水道整備には処理場の建設や汚水管の設置など、供用まで相当な時間が必要です。汚水処理人口普及率が上がらない原因の1つでもあると考えられます。また、人口も減少の傾向にあることなども勘案して、汚水処理の推進を図るため、これまでの汚水処理の考え方を見直して、集合処理である下水道などの整備から個別処理になる合併処理浄化槽への転換が必要と思われます。
 また、し尿だけ処理する単独処理浄化槽では、家庭から排出された汚水の3割しか処理できていないため、合併処理浄化槽への転換が必要と思われます。
 汚水処理人口普及率を上げるためにも、処理方式を見直し、単独処理浄化槽から転換も含めた合併処理浄化槽への普及促進について、県の考え方及びその取り組みについて、県土整備部長にお尋ねいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 処理方式の見直しと合併処理浄化槽の普及についてお尋ねがございました。
 議員から御指摘のありました汚水処理方式の見直しにつきましては、市町とともに、昨今の人口減少や財政の状況、さらに供用開始までの時間軸を考慮し、集合処理である下水道等の整備から個別処理となる合併処理浄化槽の設置へと計画を変更するなど、効率的な取り組みの推進に努めているところでございます。
 本年3月に策定した和歌山県長期総合計画においては、平成38年度の汚水処理人口普及率を80%とすることを目標としてございます。
 合併処理浄化槽の普及促進につきましては、新築時に新たに設置する費用、単独処理浄化槽またはくみ取り便所から合併処理浄化槽に転換する費用及び単独処理浄化槽を撤去する費用、これにつきまして、国、県、市町村で支援を行ってございます。また、県有施設につきましては、単独処理浄化槽を合併処理浄化槽に転換するなどの取り組みを昨年度から5カ年計画で実施してございます。さらに、県民の方々を対象に、下水道の日、浄化槽の日に合わせた広報活動や小学生を対象とした出前授業の実施など、市町村及び関係団体と協働で進めてございます。
 今後も引き続き市町村と連携し、効率的、効果的な汚水処理施設の整備を推進し、水環境の保全に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 すばらしい環境を前に打ち出して観光客の誘客に努めるのも本当に大切なことでありますし、それを汚さないために、自分たちの周りももっときれいであれば観光客も来てくれるだろうし、それを早く進んでいくように、自治体が早く改善できますように、今まで以上に御支援のほどよろしくお願いを申し上げます。
 3番目に、ごみの排出量についてということでお尋ねをいたします。
 自治体にも差があると思いますが、皆さんも御存じのとおり、集められた普通ごみは通常、焼却処分されます。焼却を行うためには膨大な燃料が必要であり、焼却処分することで二酸化炭素やその他の有害物質が排出されます。焼却技術が上達して有害物質の排出量が少なくなっていますが、全くないとは言えません。ごみがふえると環境が悪いというのはそのためだと思います。
 また、焼却した後のごみや燃やせないごみは最終処分場に埋められます。この処分場にもごみの埋める量に限界があり、少しでもごみを減らすことが必要で、埋立地を長く使うことができるのです。そういったことから、ごみを減らすことは燃料の節約や環境面で非常に重要だと思われます。
 和歌山県のごみの1人当たりの排出量は、最近の27年度のデータでは978グラムで、全国平均は939グラムであるため、本県は全国平均よりも高い排出量であります。
 こういう状況の中、ごみを減らすため、県としての対策はどのようなことを行っているのか、環境生活部長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) ごみの排出量につきましては、議員御指摘のとおり、環境保全及び地球温暖化防止に影響を与えるため、削減することが重要であると考えております。
 県では、これまで4次にわたり廃棄物処理計画を策定し、その中でごみの減量目標を立て、市町村への減量指導を初め、「わかやまこどもエコチャレンジ」や3Rなど、県民への啓発に取り組んでまいりました。その結果、本県の1日1人当たりのごみ排出量は、平成12年度の1138グラムから平成27年度の978グラムへと160グラムの減量、14.1%の減少率となっており、一定の成果があったと考えております。
 しかしながら、ごみの排出量は全国的に減量が進んでいるため、全国平均よりも高い状況にあります。
 今後は、さらに県民意識を向上させるため、食品ロス削減などの啓発に努めるとともに、市町村に対し、生ごみ減量に効果のあるコンポストや生ごみ処理機の普及など、先進事例の情報提供及び技術的助言を行い、ごみ排出量削減に努めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 ごみのリサイクル率について質問に入らせていただきます。
 分別収集を行い、リサイクルすることによって、製品の原料として使われる新たな資源を節約することも挙げられております。紙の原料となる木を得るためには森林の伐採が必要ですし、木を伐採すれば地域の環境も変わり、生物の生態も変わり、よい方向になるとは考えられません。その上、二酸化炭素を吸収する森林もなくなります。プラスチック製品や、多く見られるペットをつくるにも、限りある石油を使わなくてはなりません。
 全ての原料をリサイクルで補えるとは思いませんけれども、使う原料を減らすことは確かです。地球上の資源には限りがあります。今のペースで使い続けると、数十年で枯渇するとも言われております。リサイクルは、そんな資源を節約できるメリットを持っております。
 環境問題は今や深刻な問題であることから、エコについて活動を行っている和歌山県となれば、イメージが左右される重要な問題となってきます。リサイクルについて取り組みを推し進め、それをPRすることによってイメージアップにつながり、和歌山県に住みたいと思う人が増加すると思います。
 和歌山県の一般廃棄物のリサイクル率は、最近の27年度データでは13.6%であり、全国平均は20.4%になるので、本県は全国よりも低いリサイクル率であります。
 こういう状況の中で、環境に優しくなるようにリサイクル率を上げるためにもどのようなことを行っているのか、環境生活部長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) ごみのリサイクルにつきましても、議員御指摘のとおり、資源の消費抑制及び環境負荷の低減に寄与することから、推進することが重要であると考えております。
 県では、これまで廃棄物処理計画の中で再生利用率の目標を定め、市町村と一体となって取り組んでまいりましたが、リサイクル率は全国に比べ低位のまま推移しております。しかしながら、リサイクル率には反映されないものの、例えば和歌山市などで焼却処理に伴う熱回収利用、いわゆるサーマルリサイクルなどの取り組みが進められております。
 今後は、リサイクル率向上のため、県民に対する広報啓発の強化や、市町村に対しては分別品目の増加、集団回収等、リサイクルに有効な取り組みに関する情報提供及び技術的助言を行うとともに、サーマルリサイクルに取り組むことで廃棄物の有効利用を推進してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 リサイクル率を向上するにはやはり分別収集ということになって、県民の皆様に大変御協力をしていただかなければできないことだと思います。それをしていただけるように、県民の皆様にわかっていただけるような広報をこれからも続けていっていただきたいなあと、そう思いますので、よろしくお願いいたします。
 2番目のひきこもりについてお尋ねいたします。
 ひきこもりとは、厚生労働省で、仕事や学校に行かず、家庭以外の人との交流もほとんどせずに6カ月以上自宅に引きこもる状態で、時々買い物などで外出することもあるという場合もひきこもりに含まれます。
 内閣府の発表では、昨年のひきこもりの人の人数は54万人に上るとしていますが、これは15歳から39歳に限定した推計で、一方では、KHJ全国ひきこもり家族会連合会のことしの調査では、40歳以上の人が25%を占めていますよと。また、10年前と比べて平均年齢は3.9歳高くなり33.5歳で、ひきこもり平均期間が2.5年長くなり、10.8年に達したと新聞で報じてありました。
 ひきこもりは、大きな社会問題の1つになっており、国の施策としても大きく取り上げられるほどになっております。
 ひきこもりの程度は人それぞれですが、おおむねの人は、学生時代や就職してすぐに挫折を経験し、その恐怖やコンプレックスから長続きせず、次第に他人とのかかわりがなくなり、外出することを避け、家族とのコミュニケーションもなくなり、自室に閉じこもり、昼夜逆転の生活になっています。高齢化した親が子供の将来を悲観して思い詰めるケースもふえ、親が亡くなった後の問題としての支援の大きな課題ともなりつつあるとも報じてありました。
 このことから、ひきこもりの県内の相談件数についてということで質問さしていただきます。
 ひきこもりの種類に、統合失調症や鬱病、社会不安障害など、精神的な疾患を生じて人と接することに恐怖心や抵抗感を感じる心の病気が原因となるのと、通院しても効果が見られず改善しない場合の第一原因が病気でない社会的なひきこもりがあります。これ以外にも原因は数多く存在しています。いずれの場合も、その人の性格や性質、現在の状況をしっかり見きわめなければなりません。
 国としても実態は推計でしかつかめておりませんので、県としてもその実態の把握は難しいこともわかりますけれども、その中で県が把握している相談件数などの状況を福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長山本等士君。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 県では、ひきこもりの相談窓口をひきこもり地域支援センターや保健所に設置するとともに、市町村及び若者サポートステーションWith Youにおいても相談に対応しております。
 県が把握している平成28年度の相談件数としましては、まず、ひきこもり地域支援センターでは、電話相談は延べ63件、来所相談は延べ48件となっております。次に、保健所における電話相談は延べ126件、来所相談は延べ59件、訪問相談は延べ91件となっております。また、市町村における電話相談は延べ287件、来所相談は延べ248件となっており、若者サポートステーションWith Youにおける相談は延べ366件となっております。これらの相談の総計は延べ1288件となり、平成27年度と比較して約5%の減少となっております。
 ひきこもりは、その把握自体が難しく、支援者側からの働きかけも困難なことから、相談につながっていない潜在的なケースもあると考えられるため、今後も引き続き相談窓口の周知に努め、関係機関と連携して対応してまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 ひきこもりに対する県の支援についてということでお尋ねをいたします。
 ひきこもりの状態から早く立ち直り、社会復帰できるように、その方々にかかわる多くの原因を取り除くために県はどのような支援を行っておるのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 福祉保健部長。
  〔山本等士君、登壇〕
○福祉保健部長(山本等士君) 県では、電話相談や来所相談等の内容に応じ、医療機関等の適切な機関へつなげるなどの対応を行っております。
 ひきこもり地域支援センターでは、週に1回、同様の悩みを抱えるひきこもりの方が交流し、仲間づくりができる場所を提供するフリースペースを開設するとともに、ひきこもりの方と暮らす家族同士の気持ちの分かち合いや情報交換を目的に、毎月1回、家族のつどいを開催しております。さらには、ひきこもりの方の回復を支援する法人職員のための研修会や、ひきこもりの方が抱える悩みなどを広く県民に理解していただくことを目的とした講習会も開催しております。
 また、社会体験、就労体験を通じて自立を支援するとともに、ひきこもりの方に居場所の提供を行うNPOや社会福祉法人をひきこもり者社会参加支援センターとして指定し、ひきこもりの状態にある15歳以上の方やその家族の支援を行っております。平成16年度の指定以来、平成28年度までに142名の方を支援し、65名の方が就労や就学へとつながっております。
 加えて、若者サポートステーションWith Youにおいても、相談者の状況に応じて、助言や情報提供、適切な支援機関への橋渡しを行うほか、ビジネスマナー研修等を実施しております。
 県としましては、今後とも、ひきこもりの方の状況に応じた対応ができるよう、支援者の資質向上を図るとともに、関係機関と連携し、取り組んでまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 ひきこもりにつながる可能性がある不登校の状況についてということでお尋ねをいたします。
 不登校の児童生徒数の推移は、人数では国公立で小学校では254人、中学校で788人、高校で458人と前年度より少なくなっております。1000人当たりの児童生徒数は、小学校で5.2人、中学校で28.5人、高校で16.4人と全国平均よりも上回っております。
 このことから、ひきこもりにつながる可能性のある不登校の状況について、教育長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 不登校は、特定の子供に特定の問題があることによって起こるのではなく、どの子供にも起こり得るものです。
 不登校の要因は児童生徒個々に異なり、無気力や情緒不安定、友人や教員との関係、学業、進路選択の不安、家庭環境など、ほとんどの場合、こうしたことが複雑に絡み合っております。このため、不登校の解消に向けては、児童生徒一人一人に個別の支援計画を立て、丁寧に対応する必要があります。
 このようなことから、本県では、欠席しがちな児童生徒について、累計5日以上欠席した児童生徒の状況・学校対応状況シートを活用し、すぐに教職員間で情報を共有するとともに、支援のための校内体制を整え、適切な対応に努めてまいりました。また、関係機関と連携を図りつつ、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとともに、児童生徒や保護者などに支援を進めてまいりました。これらの状況については、県教育委員会、市町村教育委員会で把握し、個々に学校を指導してきたところです。
 その結果、直近の調査結果では、全国的に不登校児童生徒数が増加する中、本県においては減少いたしました。しかしながら、依然として全国平均より高い状況にあり、本県の学校教育の根幹にかかわる最重要課題でございます。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 不登校解消に向けた取り組みについてということで、不登校になる原因はたくさんあると考えられます。寝る前にスマホやパソコンによる夜更かしの生活習慣、学校での先輩、後輩の関係や学校行事の勉強によるプレッシャーなどの精神的な負担など、原因はさまざまだと思います。
 その状況を見きわめ、不登校解消に向けての取り組みはどのように行っているのか、教育長にお尋ねをいたします。
○議長(尾﨑太郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 不登校の解消に向けた取り組みについてお答えいたします。
 昨年7月の和歌山県不登校対策に係る有識者会議の提言を受けて、本年度から不登校等総合対策事業に取り組んでおります。
 まず、児童生徒一人一人の状況を把握し、解消に向けた具体的な支援計画を立てて対応するよう、不登校問題対応の手引きを作成し、この4月に全ての教職員に配布いたしました。現在、各学校で活用しているところであり、今後、県内7カ所で実施する不登校問題に対応する研修を通して、より効果的な指導となるよう支援してまいります。
 また、相談体制を充実するため、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置を拡充するとともに、その力量を高めるためのスーパーバイザーを新たに配置し、指導を行っております。さらに、県内21市町の小中学校に、不登校児童生徒支援員を40名配置し、教室に入りづらい児童生徒に別室で学習支援を行ったり、欠席しがちな児童生徒の家庭を教員とともに訪問し、学校への登校や適応指導教室へ通えるよう支援したりしています。加えて、現在、不登校児童生徒を受け入れる施設として、14市町が15の適応指導教室を設置していますが、今後、全ての市町村に適応指導教室の設置を働きかけるとともに、スクールカウンセラーを配置する予定です。
 また、保護者の方々が不登校問題を理解し、家庭においても早期に適切な対応ができるよう、保護者向けのマニュアルを作成しております。
 なお、本年度、不登校やいじめ等に関する施策について、生徒指導と教育相談の両面で一体的に取り組むよう、義務教育課内に児童生徒支援室を設置いたしました。また、各学校で行われている取り組みを支援するため、専門家から成る不登校対策プロジェクトチームを設置し、取り組みの改善や充実を図ってまいります。
 今後とも、不登校の解消に向けて、未然防止、早期発見、早期対応、学校復帰支援の各段階に応じた取り組みを総合的に進めてまいります。
○議長(尾﨑太郎君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
○堀 龍雄君 不登校やひきこもりの調査をさせていただきました。その原因が複雑で本当に絡み合っていて、解決が非常に難しいなあと思いました。
 難題を解決するには、相談の電話や訪問して原因を細かく分析し、また、保健師さんの意見を聞き入れて、関係する全ての機関が今まで以上に手を取り合って連携を密にして課題解消に努めていっていただきたいなあと、重ねてお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(尾﨑太郎君) 以上で、堀龍雄君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時37分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(山本茂博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 皆さん、こんにちは。午後からのきょうの日程の3番目ということで、ぜひ皆さんの御清聴をよろしくお願い申し上げます。
 議長のお許しを得ましたので、通告に従って3点について質問をいたします。
 まず1点目は、共謀罪法について知事にお尋ねいたします。
 通常国会が閉会しました。今国会で最大の問題となった共謀罪法の問題点、学校法人加計学園の獣医学部新設をめぐる疑惑や森友疑惑など、徹底審議を求める国民の声がありながら、その声を無視しました。共謀罪法では、与党は一方的に審議を打ち切りました。参議院法務委員会審議を事実上封じ、委員会採決を抜きにした中間報告という形で国会ルールを無視し、強行採決。そして、国会を閉じました。
 このような最近の安倍政権の国会運営に対して、知事はどのようにお感じになっておられるか、お尋ねをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御質問の国会運営につきましては、県議会に対する知事の対応ならばともかく、国会のこと、まして国会が議事をどう進めるかということでありますので、県知事として意見を述べることは差し控えたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 私は、国会運営に対して知事はどのように感じておられますかということをお尋ねしたんですが、国会運営に知事が介入してほしいと、そういった意味では全く、また国会運営に対してさまざまな運営に参加する、それはできないことも重々わかっています。その上で、今こういった国会で、最高機関の法律を決めるところで審議が打ち切られたり、そういう形で進めていることに、県知事としては、県民の皆さんの選挙で選ばれた方ですし、そういった点でどのようにそういったことを感じられているのか、お聞きをしたかったんですが、残念でございます。
 次に、共謀罪法について知事にお尋ねします。
 安倍首相は、2020年までに憲法9条を改憲すると表明をしました。国民に不安が広がっています。これまでの特定秘密保護法、安保法制、そして共謀罪法成立という流れを見て、戦争する国になっていくようで怖いというまちの声をよく聞きます。私も大変危機感を感じるところです。
 5月29日に、和歌山弁護士会からも、共謀罪法成立に反対する会長声明が政府や各政党に送付されました。この法律は思想や内心を処罰する違憲立法であると思いますが、知事はどうお考えでしょうか、お答えいただきたくお願いいたします。
○副議長(山本茂博君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) そもそもテロリズムは、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れ等を強要し、社会に恐怖等を与えることを目的として人を殺傷するような行為でありまして、断じて許されるものではないと思います。私は、そうした思想を抱くこと自体許されるべきものではないと思うんであります。
 奥村議員には、そんな思想を抱き、犯行を心中で計画しているやからを是認していいと、あるいは、是認とまではいかなくても等閑視していいとおっしゃるのでしょうか。私は、心優しい奥村議員はそんなことはないと信じております。しかし、そういう正義の気持ちをそのまま可罰罪にするということは、やっぱり憲法との関係で踏みとどまったと私は推測しております。
 憲法で保障された思想・信条の自由を尊重する立場から、今回のテロ等準備罪処罰法は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に絞り、かつ対象犯罪を限定的に列挙するとともに、計画行為に実行準備行為が加わって初めて処罰されることになっておりまして、違憲の議論が出てくる可能性がある手前で法秩序をつくったものと私は思います。これでも奥村議員は違憲だと言うならば、その憲法解釈はどうなっているのか、お聞かせ願いたいというふうに思います。
 世界中、現在、テロなどの凶悪犯罪が行われる中で、テロ等準備処罰法を制定することによりテロ犯罪による被害の発生を未然に防止するための規範をつくるということは、私は市民として、一国民としてありがたいことだと思っています。仮に、そういう犯罪を実行しようとしている人々を、法の規定がないからといって、わかっているのに警察が手をこまねいていたら、それこそ恐怖でありますし、逆に、テロを起こしそうだというやからがわかっているので、法の規定がないんだけど、だけど正義の気持ちから勇気を持って何か警察権力が動いてしまったとすれば、それこそやっぱり、まあ一部喝采はあるかもしれないけど、問題は問題、法治国家として問題だということなんで、法規範をつくっておくということは大事なことだというふうに思います。
 一方、法の規範を超えた運用が行われるということを、戦前の警察の横暴になぞらえて懸念する声があるということも私は承知しております。しかし、これは、仮に警察がそのようなことをしても、今それを懸念して問題にしておられる奥村議員のような方が何も言わないで、マスコミも全然騒がないで、司法も判断を放棄して、最後は国民が選挙という最大の手段で何もしないという前提で考えている議論ではないかと私は思うわけであります。
 現実には、今の民主主義の日本においてはそんなことが行われるはずがない、あるいは許されるはずがないというふうに私は思います。一般に起こり得る不都合をいろいろ想像して議論しておくことは大変大事でありまして、そのための対策をとっておくということも同様であります。しかし、昨今よく起こることは、その生じるかもしれない不都合を恐れる余り、その原因となる本当の不都合を等閑視する風潮ではないか、そんなふうに私は思います。
 「あつものに懲りてなますを吹く」という言葉があります。しかし、現在よくあり得るのは、あつものに懲りて一切物を食べなくなって死んでしまうというようなことがあってはやっぱりいかんのではないか。社会でもそうであろうと思います。今回の議論では、そういう心配があるのに、みんなそういうことを言わないなあというふうに私は感じております。
 いずれにしても、近年、世界各地において大規模なテロが続発するなど、国際情勢が不安定な状況にあり、3年後の2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えていることを踏まえれば、我が国において、テロを含む組織犯罪を防止し、国民の生命、安全を守る体制を整備しておく、それが欠けてるところがあったら欠けてないように補っていくということは、極めて重要なことであると私は思います。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ことしは、憲法施行70年です。安保法制の強行可決により、立憲主義が危うくなっていると感じずにはおられません。TPPや年金、カジノと3つの重大法案も会期末の衆議院で強行採決によって可決しました。山本農水大臣は、審議前からTPP承認案を強行採決する発言を行い、三権分立を侵す大問題となりました。
 年金カット法案では、衆議院厚労委員会で安倍総理は「私が述べたことを全く理解いただけないのであれば、こんな議論を何時間やっても同じ」と審議打ち切りを示唆する発言まで行いました。カジノ解禁推進法に至っては、会期延長して審議入りし、わずか6時間足らずで強行採決、さらに再度の会期延長まで行い、成立させました。そして、先日の共謀罪法の強行採決です。どう考えても横暴なやり方です。トップの政治姿勢が大きく問われる問題ではないでしょうか。
 共謀罪法の成立は、県民生活にも大きく影響するものだと思います。監視社会をつくるものだと私は考えています。この法律は、その人が何をしたかではなく、何を考えたか、何を合意したかが処罰の対象になり、内心の処罰につながるのが問題の本質だと考えます。憲法が保障する思想・良心の自由、表現の自由などを侵害する違憲立法です。
 政府は、東京五輪・パラリンピックを開催するには国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結が必要であり、そのためのテロなどの準備罪だと言います。TOC条約がテロを対象としていないのは明らかです。この条約は2000年につくられ、その主眼はマフィア等による麻薬の密輸で、人身売買など国際的な経済犯罪の処罰化です。国連がテロ防止のための国際社会の文書として挙げている14件の条約に、TOC条約は入っていません。このうち日本は13件の条約に加入しています。そもそも、この条約を持ち出してくるのが筋違いではないでしょうか。安倍首相は、東京五輪・パラリンピック開催では、東京は世界有数の安全な都市と言って誘致したのに、全く矛盾していると思います。
 日本には、銃刀法、凶器準備集合罪ほか66の重大犯罪について、未遂の前段階で処罰できる国内法が整備されています。ハイジャック防止法、サリン防止法など具体的なテロを想定した法律もあり、既に現行法で対応できるものです。戦争法をやめるほうが、日本がテロのターゲットにならないことにつながると思います。
 政府は、組織的犯罪集団や実行準備行為という要件を加えたから一般人は対象にならないと言ってきましたが、金田法務大臣は、NPO法人、サークル、草野球チームも対象となることを認めています。捜査機関が怪しいと思った時点でその集団を調べる、結局誰もが対象になり得るということだと思います。金田法務大臣は、行為の目的をしっかり調べると答弁しています。まさに、内心を探って処罰するということです。日本弁護士連合会や単位弁護士会52のうち47弁護士会、日本ペンクラブ、刑法学者有志、地方紙の社説・論説でも反対しています。共謀罪法は廃止すべき法律であることを述べて、次の質問に行かせていただきます。
 2点目は、元請企業による一人親方の雇用保険加入の強要問題についてお尋ねいたします。
 建設業などで、労働者を雇用せずに自身のみで事業を行う事業主を一人親方と言います。従業員を持たない点で、個人事業主とは異なるということです。今回、民主商工会の団体の方から相談を受け、私自身、新たに認識することになった一人親方の問題について、お伺いいたします。
 大手企業の現場で働く一人親方に対し、元請企業が平成24年11月施行の社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの趣旨を無視して、法令上加入義務のない保険への加入を迫られた結果、廃業に至るという異常な事態が起き、多くの相談が和歌山民主商工会に寄せられました。昨年春以降だけで10数件に上ります。
 「雇用保険に入ってくれ。そうでないと仕事を出せない。現場から出ていってもらうことになる」と言われました。県内大手企業の下請で働く一人親方の事業主Aさんが、元請企業の管理職から突然声をかけられました。最初は、何を言われているのかさっぱりわからなかったと言われていました。雇用保険の対象は労働者、従業員であって、事業主ではありません。さらに、この管理職の方は、Aさんを含め一緒に仕事をしている5人の一人親方のグループに「事業体をつくり、雇用保険に入ってくれ」と打診してきました。ほかにも、電気工事や鍛冶工、とび工などの一人親方からの相談が相次いでいるということです。
 インターネットでも以下のような声を見つけました。2017年、ことしの3月22日、一人親方の雇用保険加入について質問されている方のお話です。
 「ことしから建設業界で仕事を受ける場合、労災や雇用保険の加入が必要になってるようで、当方も仕事をもらうために労災や雇用保険の加入を余儀なくされています。 労災に関しては数ある労災組合の中から適宜選んで加入すれば済むことなのですが、問題が雇用保険です。雇用保険は、一人親方である当方には加入資格がありません。加入するには、誰か1人でも雇用しているということが条件になるようです。当方に仕事を投げてもらうには雇用保険が必須と言われ、それなら投げてくれる会社の雇用保険に加入させてもらえればと考えたのですが、その会社の従業員ではないので加入させられないとの回答でした。 そこで、是が非にも仕事をもらうために、雇ってもいない人を雇用しているという状況をつくってまで雇用保険に加入しなければならないと思い詰めています。要するに、知人に頼み、当方で雇用していることにしてもらうということです。大手建設会社からA社、工務店、そして当方という順番で仕事を投げられてきますが、私の収入は、A社から工務店の口座を挟んで振り込まれてくるそうです。当方に仕事を回す条件として、労災に加入、雇用保険に加入、工務店を挟むということが条件です。ただ、労災と雇用保険の加入に関して元請の大手建設会社がうるさく言ってくるので、A社が当方に雇用保険の加入の強要をしてくるわけです。それがなされないと仕事を回せないとA社が言ってくるわけです。今後、建設関係は一人親方の雇用保険の問題をどうすればいいのかわかりません」と、このように切々とつづられています。
 建設業に従事する一人親方については、建築物が完成するまでそれぞれ専門的な技能が要求され、さまざまな工事が建設工事全体をなしています。一人一人プライドを持って仕事をされていると思います。出入りする業者さんを見るとわかります。「全国商工新聞」には、「私は事業主として生きてきた。従業員になることは自分の性に合わない。これからも一人親方としてやっていきたい。事業主としての一人親方は生き方の問題でもあります」と書かれています。
 プライドを踏みにじられ、希望をなくし、その上に生活不安がのしかかってくる事態を早急に改善すべきと考えます。県としての対応と対策について、県土整備部長にお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 一人親方の雇用保険加入について、お尋ねをいただきました。
 雇用保険につきましては、社会保険とともに、その未加入対策の推進が労働者の就労環境の改善となり、建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保が可能となりますとともに、各事業者の公平な負担により健全な競争環境の構築が可能となりますことから、国土交通省を初めとする関係者が一体となって取り組みを進めてございます。
 それに際し、国土交通省が平成24年11月に、社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインを施行し、建設業における雇用保険や社会保険の加入促進の取り組みを進めてまいってございます。
 このガイドラインにおきましては、遅くとも平成29年度以降、適切な保険に未加入の作業員は、特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取り扱いとすべきとしてございます。しかしながら、この「適切な保険」については、雇用する企業の法人と個人事業主の別や規模等により加入すべき保険が異なっておりますため、ガイドラインでは、法令上義務のある保険への加入を求めているものでありまして、義務のない保険への加入まで求めているものではないとされてございます。
 和歌山県としては、県内の建設産業においてガイドラインの内容を十分に御理解いただけるよう、ホームページや建設業協会を通じて正しい趣旨の周知に努めますとともに、建設業全般に関する相談窓口を県庁技術調査課及び各振興局建設部に設置してございますので、この利用促進を図ってまいりたいと考えてございます。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 国のガイドラインを示して、それに沿って、誤った形で元請会社がそれぞれの一人親方にそういう雇用保険に加入することを強要するというようなことが実際にあったということは知っていただけたかと思います。その点では、まだこういった方については適切な形で働きかけができますが、実際にわからない人もたくさんいらっしゃるんじゃないかなと思いますので、そういった点で、先ほどおっしゃってくださいました各振興局や技術調査課、県庁においても、相談窓口を通して利用促進を図っていきたいとおっしゃってくださったので、ぜひともしっかりとやっていただきたいなと思います。
 そうでないと、こういった中で無理にグループをつくって、一人親方から事業主になって、それぞれにまた給与を払わないといけないとか、そういった中では消費税も生じてくる中で、本当に生活困難に陥っているという状況も出てきていますので、実態などもぜひつかんでいただいて、対応を今後とも強めていただきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
 3点目、行かせていただきます。最後、3点目の質問をさせていただきます。
 これまで、12月議会、2月議会において、太陽光発電計画についてお聞きしてまいりました。今回は、園部、六十谷、直川地区の計画についてお尋ねしたいと思います。
 1つ目は、環境影響評価条例の対象とならない開発事業における環境保全についてお尋ねいたします。
 まず最初に、環境生活部長にお尋ねいたします。
 この事業は、環境影響評価法、県の環境影響評価条例の対象外になっていますが、75ヘクタール未満であれば、要件を満たせば次々と事業が可能となってしまいます。これでは、環境保全を進めている県にとってもぐあいの悪いことになるのではないかと思いますが、その点で環境生活部長、お答えいただきたいと思います。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長山田成紀君。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 環境影響評価条例の対象とならない開発事業における環境保全についてですが、土地の状況や事業内容に応じ、森林法など個別法令による規制がありますことから、その中で環境の保全が図られることになります。
 なお、事業者が環境影響評価手続を免れるために意図的に事業を分割していると認められるような場合には、手続の実施を求めてまいります。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 ほかの県では、環境アセスを厳しく行っているところもあると聞いています。例えば、隣の県の三重県なんかでは20ヘクタール以上はアセスをするということで、また30ヘクタールや、全国的にも幾つかあるかと思います。国も、環境保全施策は一般的に、地方公共団体による先駆的な取組により開始され、やがて国の施策を定着させることにつながっていったという認識を環境庁の平成11年版「環境白書」にも述べられています。日本の環境行政における自治体の役割の重要性という点でも、OECD環境政策委員会の国別レビューでも指摘されています。そういったことは、国際的な認識になってきていると思います。
 地方分権の進展に伴って、自治体環境行政現場からの法政策の発信を積極的に行っていただきたい。そういった点からも、和歌山県、和歌山市は、ある程度景観を守る立場から景観のガイドラインなどを決め、取り組みが進められていると思います。さらに、今の和泉山脈全体を守る立場から、積極的な取り組み、検討が必要ではないでしょうか。
 和歌山県の森林による二酸化炭素の吸収等環境保全活動認証事業、認証実績というのがせんだって資料提供され、その中で今現在、団体数が48団体、企業の森というようなことだと思うんですが、その点で植栽面積が今は125ヘクタールになって、100年で5万3200トン二酸化炭素を吸収できると、そういった計算をされています。一方で森林を守るためにこういったことの事業を取り組みながら、これで植栽面積125ですから、今度の林地開発は74.3ですが、また、その反対側でも開発事業を計画されていると。それも含めて2つ合わせると、やはりかなりの、植栽面積より大幅に大きくなっています。
 一方でそういったことで森をつくるということをやりながら、こっちでは森を壊していく、伐採するというようなことになっている点で、ぜひとも今後ともそういった点も含めて、和泉山脈を全体としてどう森を守っていけるのか、そんな観点で県としても取り組んでいっていただきたいなということを要望させていただきます。
 次に、県は事業の執行に当たって、周辺の自然景観並びに種の保存法で指定されている国内希少種及び和歌山県レッドデータブック記載の絶滅危惧種の保護について、十分な配慮を求めています。
 私は、この間何度か、専門家の方や住民の方と、御協力をいただいて、ごくごく一部の地域ですが調査に出かけました。そこで、レッドデータブックに掲載されている希少動植物にも出会うことができました。
 ここで、十分な配慮とはどのような内容でしょうか、その点について環境生活部長にお尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 環境生活部長。
  〔山田成紀君、登壇〕
○環境生活部長(山田成紀君) 希少動植物保護への配慮についてでございますが、開発事業者に配慮いただきたい内容としては、種の保存法及び和歌山県レッドデータブック記載の絶滅危惧種につきまして理解し、開発予定区域内における状況を把握すること、また、対象種の存在が判明した場合の保全方法といった点について、適切な対応をお願いするということでございます。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 事業者に求めるということですが、その事業者が適切にやってるのかどうか、適切な対応をお願いしていると言われていますので、適切な対応をしているかどうかというところで、県がしっかり見ていただきたいなと思っています。
 この間、調査にも行かせていただいたら、鳥ではキビタキ、植物ではナンゴクウラシマソウ、また、両生類ではヤマアカガエル、いずれも絶滅危惧Ⅱ類また準絶滅危惧種の動植物を発見することができました。そういった点で、県としましても実態、自然環境の状況、そういったことも含めてしっかりと調査や把握をしていただきたいなというふうに思います。山の自然の実態をしっかりと把握して、そのためには、市民の皆さんからも協力を得ることも私は大事ではないかなと思うんですが、通報があれば積極的な対応をお願いをいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 3つ目は、私は12月議会で、一般的に林地開発許可に必要な利害関係者の同意についての対象範囲をお聞きしました。農林水産部長は、対象範囲については「森林法の許可基準である災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全に関する4つの要件で、直接的に影響が及ぶ範囲内の関係者で、一般的には隣接する土地所有者や地元自治会、水利組合等を想定しております」と答弁されました。林地開発事前協議申出書に対する意見では、地元関係住民の理解を得ることとなっています。
 この森林法の許可基準とはどういったものでしょうか。具体的に答弁をお願いいたします。農林水産部長、お答えください。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長原 康雄君。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 林地開発許可制度では、災害の防止、水害の防止、水の確保、環境保全という4つの要件が許可要件となってございます。
 まず、第1点目の災害の防止につきましては、切り取り勾配や盛り土勾配が適切に計画されているか、のり面保護ののり面安定対策がなされているか、開発地内の土砂流出対策、排水対策が適切であるかなどを審査いたします。
 次に、2点目の水害の防止につきましては、森林を開発することによって増加する水量を下流河川等に安全に流下させるよう、適切に調整する計画になっているかなどを審査いたします。
 3点目の水の確保につきましては、飲料水やかんがい用水等の水源となっている森林を開発する場合、周辺における水利用の実態等から見て、必要な水量が適切に確保されている計画となっているかどうかなどを審査いたします。
 最後に、4点目の環境の保全につきましては、開発行為の目的に応じて定められている残すべき森林の割合や、その配置が適切かなどについて審査することになります。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、4点について災害の防止等を含め非常に大事な点ばかりで、直接やはり住民の暮らしにもかかわってくる問題ばかりだと思います。特に、私は、ここで災害の防止という点で、どのように具体的に調査、探査をするのかという点で再度お聞きしたいと思います。というのは、実はこの行かせていただいた中でも、この計画地の中で、かなり地質やそういった面で地すべり状況というのは認められました。
 地すべりは、斜面の一部あるいは全部が重力によって斜面の土砂や地層が塊となって斜面下に滑り、移動する現象だということで言われています。したがって、すべり面がない土砂崩れによる斜面崩壊や崖崩れとは違うということです。こんな点で、地震とか地すべりと地層は密接に関係しているのではないかということで、降雨とか雨とか、そういった地下水の上昇とともに、地震や斜面形状の変化、あるいは人為的に変化などがあれば、きっかけとなって地すべりを発生させるということで、地層災害は地すべりなど地層の突然の動きによる災害ですということで言われています。
 そういった点も含めて、ぜひとも、この4点について審査をするということですので、地質図も含めてしっかりと見ていただいて、災害防止をしていただきたいと思いますので、もう一度、どのように具体的に調査を進めていくのか、再度お尋ねいたします。
○副議長(山本茂博君) 農林水産部長。
  〔原 康雄君、登壇〕
○農林水産部長(原 康雄君) 具体的な調査や探査についてでございますが、申請書が提出されました場合に、申請書に記載されている地形、地質等について地形図や参考文献等により確認するとともに、主要防災施設の設置計画箇所が適切であるかどうか、森林の状況等を現地にて調査いたします。
○副議長(山本茂博君) 奥村規子さん。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 皆さんのお手元に、きょうは地形図を配らせていただきました。これは、加太から今回の計画地の全体を示して、その隣に詳しくこの計画地の地質図を資料として出させていただいています。
 皆さんの、この茶色と黄土色ということですが、その点について、これは茶色は泥岩優勢の砂岩、泥岩ということの互層になってます。黄土色が砂岩優勢のものです。そういったことで、ここは非常にそういった砂岩、泥岩の互層になっているということで、あと、千手川のほうは水位が上昇したり、洪水時には非常に狭くなっていまして、下流のほうに行くと集積域ということで、この点々があるところは古い扇状地を示しています。この堆積域というところが非常に古い扇状地に挟まれた下流のところですが、土地が少し低くなっていて、堆積域ということですので、洪水やそういったときに非常に危険な状況があるんではないかと思っています。こういう意味では、この時代は随分、中世代ということで、恐竜があったり隕石の衝突があったり生物の大量絶滅とか、そういった時期の白亜紀という地層だそうです。
 こういった点で、非常にこんなところの木を伐採する、森を切る、そういったことで言えば、どのようなことが起こっていくかということも大変不安な要素と思っていますので、その点も含めてしっかりと地質の調査も、ぜひ、もしそういうことがあればしていただきたいと思いますし、そういう計画の前の段階でも、住民の方が安心して、やはりどういう基準でどうされているのかをぜひわかりやすく丁寧に対応していただきたいなというふうに思っています。
 最後なんですが、要望ですが、こういった大変な計画の中では、幾つもまだまだ住民の方が不安を持っています。例えば、私も大変不安に感じているのは、事業者さんが調整池を防災のためにつくります。その調整池を20年後には、事業を終えれば砂防ダムにして地域の人にお返ししますと言われていますが、砂防ダムと調整池との構造は多分違うんだと思うんです。そういうことを住民の皆様に言われて、そうやって説明をするという点についてもぜひ知っていただきたいなという点とか、また、前回の議会のときもお話ししましたが、井戸水で生活している方にとっては、水の確保とか、また水の汚染の問題とか、そういったことも含めて、十分現場の調査の基本的な基礎調査をしっかりとやっていただきたいなと思います。
 今、5月13日には、いずみ山系の巨大太陽光発電を考える会というのが結成されて、県知事宛てに3455筆の林地開発を許可しないでくださいという、そういった署名が届いていると思います。今後もこういった点についても、ぜひとも住民の皆さんの疑問とか、そういったことも住民の皆さんの不安にも寄り添って県が対応もしていただけたらということをお願いして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山本茂博君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時50分散会

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