平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(谷口和樹議員の質疑及び一般質問)


平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録

第7号(谷口和樹議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきたいと思います。
 最終日となりました。お疲れのところと思いますけれども、ぜひとも最後までよろしくお願いいたします。
 まず1番目、田辺・西牟婁県立高等学校の1クラス減について御質問させていただきます。
 昨年夏に、田辺・西牟婁PTA連合会で教育長、教育委員会に要望に伺いました。普通科の維持、募集定員の維持などを盛り込んだ内容の要望でしたが、保護者の熱意は届かず、一昨年に引き続き、同じ神島高校普通科で募集定員1クラス減となりました。
 その結果、せんだっての一般出願では、資料1のとおり、田辺高校、神島高校両普通科で合わせて、近年ないくらい大きく偏った90人強の定員超過でございました。本出願でも神島高校普通科で大幅に定員を超えたことから、一昨年に引き続き、1年しかあけずに市街地で人気の高い高校の普通科を1クラス減らした理由をお聞きしていきたいと思います。
 まず神島高校ですが、田辺駅から約2キロのところ、市の中心部にあります。大正5年に創設され、田辺商業高等学校から平成18年には神島高等学校となり、現在は経営科学科と普通科の2学科、生徒数約880名、昨年100周年を迎えた地域の伝統校であります。進路状況は、約7割が進学し、約3割が地元企業に就職をしています。
 部活動も大変活発で、運動クラブでは、少林寺拳法、カヌー、陸上競技、弓道部は毎年全国大会に、また、アーチェリー、バスケットボール、柔道、剣道、卓球、ソフトテニス、女子サッカー部なども全国大会や近畿大会等に出場を果たしています。文化クラブでは、商業クラブが毎年、簿記、情報処理、珠算等の全国大会に出場するほか、美術部や写真部は全国規模の作品展で常にさまざまな賞を受賞しており、その他のクラブも熱心に取り組んでいます。
 さらに、授業の一環で行われる神島高校経営科学科の商品開発プロジェクトは、第5回うまいもん甲子園において「紀州うめどりの親子バーガー」で優勝して農林水産大臣賞のほか、「紀州産カリカリ梅のタルタルチキンバーガー」、「梅からあげ」、「めはり風おむすび」でファミリーマートとのコラボ商品を、最近はケータリング会社との共同開発で、地元の熊野米を使った「かしまや梅づくしのご褒美弁当」をつくり、即完売の大人気でございました。
 このような活躍と田辺市街地という立地、地域の普通科志向から、例年、高校受験生から一般出願で常に安定した人気とニーズを保っています。その神島高校が、一昨年、田辺・西牟婁地域の募集定員3クラスが減った際1クラス減ったのに引き続き、ことしも募集定員が1クラス削減されました。
 改めて、今回の田辺・西牟婁全日制の一般出願状況は資料1のとおりです。資料のCの欄を見ていただくとわかると思いますが、普通科に限って言うならば、田辺市内中心部にある田辺高校普通科が60人超、同じく市内中心部にある神島高校が34人超、市内から離れた熊野高校総合学科が2欠で合計92人超であり、田辺・西牟婁の普通科志望の高さがうかがわれます。あわせて、市内から離れた南部高校の普通科が34人欠ですので、差し引いても58人超の子供たちが普通科志望から出願変更する状況であります。
 例年の受験動向を考えても、普通科志望に限って言うならば、市内中心部の田辺高校から同じく市内中心部の神島高校へ、神島から西牟婁郡にある熊野高校へ、熊野から日高郡にある南部高校へ、一般出願後に移動する傾向にあることは教育委員会も御周知のとおりであると思いますが、今回の神島高校普通科を減らした影響で、約90人もの田辺、神島の志望の偏りを生み、余りの偏りに、近年ない多くの受験生、家族が志望校の変更に右往左往する状況になってしまいました。
 間を1年しかあけずに同じ高校を減らしたことも、傾向が読めず拍車をかけたところだと感じています。
 1、一昨年に引き続き同じ高校を減らした理由、2、普通科から40人減らした理由、3、市内中心部の利便性もよく人気も高い高校を減らした理由、以上について教育長にお聞きをいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県立高等学校募集定員の決定につきましては、「和歌山の子供は和歌山で育てる」の方針のもと、中学校卒業生徒数の推移、高等学校への入学状況、地域の状況及び進学率等を踏まえ、総合的な観点に立って決定しております。
 本年度については、全県的に中学校卒業生徒数が減少している状況であり、田辺・西牟婁地域やその周辺地域の卒業生徒数も減少してございます。こうした中、生徒数の減少や高校への入学状況、普通科・職業学科等のバランス、学校規模、地域の状況及び進学率なども踏まえ、全ての学校について総合的に判断し、平成29年度の生徒募集定員においては、神島高等学校普通科を1学級減といたしました。
 なお、今募集では、神島高校が6学級、南部高校は6学級、田辺高校は県立中学校からの進学の2学級と高校からの募集が6学級、田辺工業高校は4学級、熊野高校は5学級といたしました。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 私も、ことしPTAの会長をさせていただいていますので、自分の学校だけでなく、各校さまざまな多くの受験生の親と会話をいたします。
 和歌山市のように交通の便がいいわけではございませんので、受験校変更で通学距離、時間、費用、これが大きく変わった、そういう方々が本当に多くあったと思います。神島高校普通科の1クラス減で、これが影響して、テストもあるのにぎりぎりまで進路変更に頭を悩ませた、こういう御家庭が多かったと思います。あわせて、何より子供に寄り添う中学校の先生方も本当に大変だったと思っています。最終的に出願倍率で数が合えばいいということではないんじゃないかと思います。
 最後に、2つ要望させていただきます。
 田辺・西牟婁周辺全日制5校については、ことしの出願の偏りを鑑み、バランスを考えて早い段階でクラス数の再編制をお願いしたい。もう1つ、ルールとして、隔年で同じ高校の募集定員を減らさないでいただきたい。このことを強く要望いたして、次の質問に移ります。
 2つ目、県立高等学校への他府県からの進学について質問します。
 ことしは、県下で合計2クラスの減でした。毎年減っていく人口のことを考えると、2クラス減らすくらいなら他府県からの生徒枠を2クラスつくったらどうかという、そういう質問でございます。
 特殊学科を持つ紀北農芸以外で、現在、全国募集枠は龍神、中津、美里、清水の4分校、そして串本古座高校ということで、基本、他府県からの県内県立高校への進学は認められていません。今後の生徒数減の中、クラス数の少ない県立高ばかりになると、学力レベルやスポーツレベルの低下、多様性がもたらす人格の成長のおくれをもたらすことから、クラス数、生徒数を維持することが必要と考えます。
 そもそも、今現在まで他府県からの入学が認められない理由と、あわせて、今後は県内生徒数減に合わせてクラス数を減らすのではなく、県内生徒数減を補う他府県からの受け入れ生徒数を学力、スポーツの特色校などで拡大、一部解禁して学校規模を維持できないか、このことについて教育長にお聞きします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県立高等学校は、本県の子供たちに高等学校教育を受ける機会を保障することを基本にしてございます。串本古座高等学校や全日制課程4分校のように、本県生徒の進学に影響を与えない地域においては、学校の教育活動や地域の活性化のため、また、本県の自然や歴史文化など豊かな学習資源を活用した学びを希望する生徒のため、県外からの入学者を募集してございます。
 今後も、本県の子供たちに高等学校教育を受ける機会を保障することを基本とし、他県からの募集のあり方については、各地域や学校の状況を踏まえて検討する必要があると考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 再質問します。
 和歌山県で、2060年には52万5000人になるという予測を70万人に減少を抑えよう、年間に換算すると年9600人ぐらい減っている人口を毎年5700人ぐらいに抑えていこうとするわけですが、毎年県下でクラスを減らして学校を縮小したりクラブが減ったり、こういう方針がこの和歌山県が掲げる人口政策に合っているのか。
 県庁各課で体制を整えていく中で、教育だけが毎年県下でクラス数を削減していく従来の方針でよいのか、果たして縮小路線が子供たちのためになるのか、以上を教育長に再度お聞きいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 今後の予測の1つでありますが、現在、県内の中学校卒業予定者は、私立も含めまして約9300人でございます。現小学校1年生が中学校3年生になる8年後には、このまま推移いたしますと約7700人になり、約1600人、40クラス分の生徒数が減少する見込みであります。
 県立高等学校全日制課程の適正規模は、本年度作成いたしました県立高等学校再編整備基本方針において、1学年4から8学級を基本とし、地域の状況を踏まえて決定していくこととしてございます。この方針に基づき、将来の生徒数も見通して各学校の学級数を決定していくこととしてございます。今年度は生徒数の減少に伴い学級数を減じておりますが、県全体では中学校卒業生が約160人減少いたしましたが、2クラスの減にとどめました。
 人口政策に関連しましては、県外から移住される場合、その地域に魅力があり、安心して学べる学校があることが大切であり、そのためにも各学校については、一定の規模を維持しつつ特色化を図り、安心して教育を受ける環境を整えていきたいと考えてございます。
 全国募集や本県に移住されてきた方々には、子供同士、また地域の方々と交流を深め、和歌山で暮らすよさを実感することにより、和歌山に定着し、本県を担う人に育つことが期待できるものと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。
 続いて、3番目の質問に入ります。過疎地域へのアトリエつき住宅建築事業の成果についてでございます。
 和歌山県では、以前、緑の雇用事業を進めており、田辺市龍神村ではこの緑の雇用事業の一環として、新世紀山村居住モデル実験事業をスタートさせました。
 新世紀山村居住モデル実験事業は、紀州材の利用促進と山村定住を目的としたアトリエつき木造住宅を建設し、山村地域での芸術、工芸等の創作活動の拠点として、5年間の入居実証体験を行い、山村地域への定住を図る事業で、この事業を引き継ぎ、田辺市はアトリエ龍神の家住宅を設置しています。
 現在、このアトリエつき住宅には、2008年ドイツで開催された世界大会・ハスクバーナ・ワールドカップ総合チャンピオン、チェーンソーアートの世界王者・城所ケイジさん、2004年よりエルトゥールル号海洋発掘調査プロジェクトに参加し、数々のプロジェクトの水中撮影を記録してきたプロの水中撮影カメラマン・赤木正和さん、国内での活動はもとより、昨年は5月ロンドン、11月シンガポールと活動の幅を広げているイラストレーター・やのともこさんを初め、有能で将来有望な創作活動家が住まわれ、過疎化が進む地域の担い手として、産業振興の中核として、また世界への発信力として、非常に貴重な存在、活力になっています。
 また、今までの移住者の評判や人脈で、誰かが引っ越しされ、空き部屋ができても、すぐ続けて違う創作活動家の方々が移住してきてくれるといった、そういう流れが続いています。
 創作活動家たちを呼び寄せ、地域の活力にする新世紀山村居住モデル実験事業。時間がたち、大きな成果となっていることから、この紀州材を使ったアトリエつき住宅事業の成果について、県土整備部長にお聞きをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) アトリエつき木造住宅の成果について、お尋ねがございました。
 アトリエつき木造住宅については、旧龍神村が主体となった新世紀山村居住モデル推進協議会が、平成14年度から平成17年度にかけ、木造住宅の振興を図ることなどを目的とした国と県の補助金を活用し、紀州材を利用した木造モデル住宅として、合計9戸を建設いたしました。
 現在、協議会は解散していますが、協議会が全国から公募し、選考した芸術家の方などが入居されており、引き続き、田辺市が「田辺市アトリエ龍神の家住宅」として維持管理を行っておられます。
 議員から御紹介いただいているとおり、入居されている方々は過疎地における地域活性化や情報発信等に貢献されていると田辺市から伺ってございます。県といたしましては、芸術家の方などが行われる情報発信の中で木造住宅のよさなどもあわせて発信していただいていると考えてございまして、一定の成果があったものと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 人口政策と地域再生を結びつけるには、人数をふやす移住政策とともに、地域の能力を高める人材誘致が必要と考えます。
 特に、このアトリエつき住宅の運営は、時間がたって最もよい結果が出ていますので、和歌山県の移住政策と地域再生のモデルとして、形を変えてでも再開できないか、こういう思いで質問さしていただきました。ぜひ、今後の検討課題として、また考えていただけたらと思います。
 続いて、4番目の質問に入ります。過疎地域への県営住宅の建築再開について御質問させていただきます。
 県営住宅は、住宅に困窮している人に対して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を低廉な家賃で賃貸するための住宅でございます。公営住宅には、県で管理する県営住宅と市町村で管理する市町村営住宅がありますが、高齢者が自立して安全かつ快適に生活できるサービスが受けられる住宅として、高齢者世話つき住宅(シルバーハウジング)などもあります。
 この公営住宅において、新婚世帯は勤務年数とともに所得が上がると家賃も上がるので、転出し、比較的周辺に家を建てる傾向にあります。特に山間部では、地域住民の子供の若い世代が結婚して、子育てを手伝ってほしい、ふるさとに戻りたい、親が心配、そういった理由で親の近くに住みたいが、住宅を建てるまでは収入が安定せず、県営住宅を希望するといったケースが見られます。
 タイミングよく抽せんに当たり入れた新婚世帯は一旦県営住宅に入居しますが、当然、後々勤務年数に応じて収入が上がった場合、それに応じて家賃も上がりますので、いずれ近くに家を建てる、そういった形で新婚世帯がUターンで定住する理想的な住宅政策の形になります。
 この県営住宅ですが、次の条件のいずれかを満たす者は、入居の選定について優先的な取り扱いを受けることができる場合があります。1、政令月収21万4000円以下で、入居申し込みができる特例を満たすもの、2、母子または父子家庭、3、多子世帯、4、配偶者からの暴力にかかわる被害者の方、5、犯罪被害等に遭われた方、次のいずれかに該当することが客観的に証明される方であること。
 具体的には、選定において優先枠と一般枠の2回の抽せんの機会を得ることができます。少しでも過疎地域への若年世帯の回帰を復活させる意味でも、新婚世帯入居の際の優先制度、インセンティブをつくれないか、お聞きをいたします。
 また同時に、ニーズの高い過疎地域、山間部、農村部に回帰する世帯の受け入れのための県営住宅建築再開、もしくは市街地の老朽化した県営住宅の建てかえに際して、ニーズの高い過疎地域、山間部、農村部への戸数の振りかえをできないか、県土整備部長にお聞きをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 県営住宅への新婚世帯の入居優先制度等について、お尋ねをいただきました。
 公営住宅につきましては、住宅に困窮する低額所得者の方の居住の安定を図ることを目的に、県及び市町村が建設し、管理を行っているものでございます。
 議員からも御紹介がございましたが、県では、住宅に困窮する低額所得者の方の中でも、高齢者世帯、障害者世帯、母子または父子世帯、多子世帯、小学校就学前の子供を持つ世帯などの特に困窮度が高いと考えられる世帯については、入居者選定において優先的な取り扱いを行ってございます。
 現在、新婚世帯についての優先的な取り扱いは実施しておりませんが、定住促進や地域の活性化という観点から、他府県の事例も参考にしながら今後の対応を考えていく必要性を認識してございます。
 県営住宅の建設につきましては、老朽化する既存ストックの更新を最優先課題と考え、現在、建てかえ事業のみ実施しているところでございます。また、県営住宅の供給戸数については、地域におけるニーズや実情に合わせて決定しているところでございます。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 5番目の質問に入ります。文化芸術の振興について。
 1、国民文化祭を契機とする文化施設の環境整備について、お聞きをいたします。
 国民文化祭は、全国各種の文化活動の競演または交流する場の提供により国民の文化活動参加の機運を高め、新しい芸術文化の創造を促すことを目的とする祭典であります。そして、このたび和歌山県においても、平成33年に国民文化祭が開催されることが内定したということで、大変喜ばしいことであり、和歌山県の文化レベルを向上していくには絶好の機会であると考えます。
 しかし、国民文化祭内定を契機として文化活動を活性化させていただきたいその一方で、県内の施設は老朽化が進む中、現状では演芸、演劇その他の公演を地方に呼んで文化活動を盛り上げていくには、映像、照明、音響機材の持ち込みやオペレーターの出張など、そのほか余分なコストがかかるといった厳しい状況にあります。そのことで、地方への招聘回数を減らす原因にもなっています。
 また、雇用時に高い能力の人材を雇用したが、十分な機材や機会がないと、本人が育っていきません。
 そこで、これからの文化活動の活性化に向け、文化館員の機材オペレーションの今後のスキルアップや設備環境が求められる中、今後の機材整備を含めた文化施設の環境整備の必要性について、知事にお聞きをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 地域の文化施設は、文化芸術の活動、交流、発信の拠点となっていることから地域の文化力向上に大きな役割を担っておりまして、平成33年度に国民文化祭を本県で開催することが内定した今、その役割はますます高まっているということだと思います。また、新長期総合計画案に掲げる「健康で心豊かにすごせる社会づくり」を推進するためにも、文化芸術に親しむことができる環境の充実は欠かせないものと考えております。
 こうしたことから、文化施設の環境整備は必要でありますけれども、それぞれの文化施設がより快適に利用され、地域の人々に親しまれるよう、当該施設の設置主体が計画的に環境整備に努めていくことが大切であると考えております。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 なかなか、ふだん舞台裏というのは目立ちませんが、拠点文化施設の機材、オペレーターあっての地域の文化芸術レベルでありますし、切れない包丁でよい料理人は育たないということもありますので、この国民文化祭を通じて、地域の文化芸術の拠点の映像、照明、音響など、舞台設備が少しでも整備されればと思っています。
 続いて、2番目の質問に入ります。アウトリーチ事業の拡大について、お聞きをいたします。
 アウトリーチとは、もともと手を伸ばすことという意味の言葉ですが、文化芸術では、劇場、音楽堂など、芸術を鑑賞する場から手を外に伸ばしていく芸術普及活動の意味で使われ、アーティストの学校や福祉施設などへの派遣や施設にとらわれないミニコンサートや参加体験型事業の実施など、館外活動のことを指します。その狙いは、ふだん自館に足を運ばない人や文化芸術に余り触れていない人に文化芸術に触れる機会を提供することにあります。同時に、アウトリーチには拠点の文化会館の存在やふだんの活動を知らしめる効果があり、施設利用者、鑑賞者の拡大につながります。
 近年は、公演団体やアーティストもアウトリーチ活動に協力的になっていて、例えば、自主公演事業の出演者にアウトリーチの実施で出張公演に応じてもらうケースもふえています。また、地域の若手アーティストにアウトリーチ活動の協力をしてもらえば、その育成にもつながっていきます。そうした観点からも、自主事業の一環として、アウトリーチ事業は非常に効果的、効率的な文化芸術振興の手法と考えます。
 文化芸術振興の新しい手法として、今後の和歌山県内のアウトリーチ事業の拡大について、知事にお聞きをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) アウトリーチ事業は、文化会館が遠方にある等の理由で日ごろクラシック音楽や演劇など文化芸術に触れる機会の少ない県民に、文化に親しんでもらい興味や関心を持ってもらうことで、本県の文化芸術の新たな担い手が育ち、文化力の向上を促すことができる、大変意義深い事業であると考えております。
 そのため、県では、平成22年度から県内市町村と協力して、公立文化施設はもとより、学校でのお出かけ音楽会や公民館等を利用したアウトリーチ事業に積極的に取り組んできたところでございます。
 例えば、一例を申し上げますと、これを始めましたころ、2011年12月には、橋本市各地におきまして、和歌山県文化奨励賞をもらいました村田千佳さんを含むゼッパールトリオというのが当時あったんですが、その方々が各小学校を回ってアクティビティーをしていたいだいた後、橋本市産業文化会館でコンサートをするというようなこともやっておりますし、テレビでおなじみの桂枝曾丸さんが、平成25年ですけれども、太地町で古典落語──あのおばちゃんではなくて古典落語ですね──の公演を小人数にやってもらうとか、同じく文化奨励賞をもらわれた小川友子さんは、これは今年度なんですけども、「支援学校のためのお出かけ音楽会」を4つの支援学校でやってもらうとか、こういうことをたくさん重ねておりまして、実は本年度、今まで46回事業を開催いたしまして、多くの参加者に音楽に触れてもらうことができております。
 県としては、御指摘のようにより多くの県民に文化芸術に親しんでもらえるように、例えば市町村や文化施設の担当者等を対象とした研修会、こういうのができますよというようなことを開催するなど、市町村と一緒になってアウトリーチ事業に取り組んでまいりたいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。ぜひ、今後よろしくお願いいたします。
 最後の質問に入ります。6番、世界遺産追加登録エリアの利活用についてお聞きをいたします。
 小項目の1、追加登録エリアの環境整備についてお聞きします。
 昨年、関係各位の多大なる御尽力のおかげで、田辺市は鬪鶏神社を初め5つのエリアが追加登録をいただきました。今後は、多くの観光客、特に外国人も含めトレッキングの方々の来訪が予測されますが、今後の今回の追加エリアにおけるトイレ、案内板、Wi-Fiなどの周辺整備の方針について、商工観光労働部長にお聞きをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 本県には、ブランド力の高い高野山や熊野という世界遺産がある中、今回の追加登録を契機とし、参詣道を安全・安心に歩いていただけるよう、さまざまな取り組みを行うとともに、積極的な情報発信を行っております。
 具体的には、世界遺産追加登録に合わせ、多言語表記の案内板、誘導板を新たに142カ所設置しているところでございます。さらに、世界遺産地域を含む県内全域で、市町村や民間事業者等と連携し、観光客用の公衆トイレを654カ所、和歌山フリーWi-Fiを1630アクセスポイント、それぞれ整備しております。
 また、観光客の皆さんが何度も参詣道を訪れていただけるよう、追加登録地域にスタンプ台を増設し、押印帳もあわせて改訂を行うとともに、全てのスタンプを収集された方に「“超(スーパー)”完全踏破証明書」を発行する新たな取り組みも今月からスタートしております。
 今後、訪れていただく観光客の皆さんに世界遺産の追加登録地域を満足していただけるよう、地元と協力し、ニーズに合った受け入れ環境の整備を進めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 続きまして、トレッキング女性客の受け入れ体制整備についてお聞きをいたします。
 新しい客層へのアプローチということで、トレッキング市場の新しい牽引力でもあり、SNS、写真など情報発信力、経済効果の高い女子に視線を合わせたデザインの案内板や男女別々のトイレの整備などの推進について、商工観光労働部長にお聞きをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 議員御指摘のとおり、女性は高い情報発信力と旅の決定権をあわせ持つことから、県では、7年前から若い女性をメーンターゲットとして、SNSや女性に高い支持のある雑誌、テレビなどのメディアを活用した情報発信等、さまざまな取り組みを進めてまいりました。それにより、近年では地域の観光関係者から、世界遺産地域を中心に既に女性客が増加しているとの話も聞き及んでいます。実際、県実施の環境保全トレッキングでは、参加者の約8割以上が女性となっています。
 このような状況の中、女性観光客の視点も踏まえ受け入れ環境整備が行われているところですが、地元市町村が実施する男女別トイレや案内板の整備等を支援するとともに、民間事業者に対してWi-Fiアクセスポイントの設置など、受け入れ環境の充実を働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひ、よろしくお願いします。
 男女別々のトイレ、公道沿いで困っておられる方、団体で来られて本当に苦労されてるところをよく見ます。あわせて、やはりインスタグラムなりさまざまなSNSを使うに当たって、当然、通信環境の整備というのも要ってくると思います。そういう写真がネット上で流れていくことでPRにもつながりますので、ぜひとも女性の目線に合った環境整備、少しずつでもよろしいので進めていただきたいなと思います。
 以上で、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時24分休憩
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