平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(藤山将材議員の質疑及び一般質問)


平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録

第7号(藤山将材議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第117号まで及び議案第119号から議案第126号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 19番藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○藤山将材君 おはようございます。議長にお許しをいただきましたので、今回は、5項目にわたって質問をさしていただきたいと思います。
 まず初めに、県立自然博物館の建てかえについて伺います。
 私の地元にある県立自然博物館は、和歌山県の豊かな自然を紹介する施設で、水に住む生き物の展示だけでなく、動植物、昆虫、貝、化石などの標本も収集、保管、展示されていて、研究や教育普及活動を通じて地域に親しまれている博物館であります。
 この自然博物館は、1979年の国際児童年事業として計画されましたが、開館した昭和57年当時は、全国で初めて水族館を併設した自然博物館として注目をされ、多くの入館者が訪れていたと聞いていますが、その後、各地での同様の施設や大規模水族館の開館などで、入館者数が減少し始めました。
 理由の1つに、まず、入館者を迎えるための駐車場が54台分しかなく、通常を超えれば周辺の駐車場を借りる状況というのが問題であります。そして、この博物館も老朽化が進み、また狭隘なため、入館者を初め職員や学芸員にとっても、今では使い勝手の悪い施設となっています。
 その例の1つは、展示スペースの不足です。先月、博物館のバックヤードを案内していただきましたが、展示スペースが狭いため、保管している貴重な標本や資料を入館者に見てもらいたくても、なかなかその機会を設けることができない状況とのことでありました。これでは、宝の持ち腐れになってしまいます。
 また、標本や資料の保管スペースの不足も深刻です。職員のロッカーも保管物に囲まれていて、もはや更衣室なのか保管庫なのかわかりません。それに、幾らなれているとはいえ、ホルマリン漬けなどの標本に囲まれて着がえをするという職務環境はいかがなものでしょうか。それでも足りないため、保管物は近所の民間倉庫や小学校の空き教室などに保管しているそうですが、温度や湿度管理といった保管環境、セキュリティーの面からも問題があると言えます。通常、博物館などにおいては、展示スペースの数倍もの保管スペースを備えるものと聞きます。
 さらに、研究スペースも不足しています。学芸員の部屋は、標本や資料に囲まれて十分なスペースも確保されていない環境で研究に従事しており、これでは博物館としての本分である研究や調査が十分できないであろうと感じました。当時どんな事情があったのか知りませんが、そもそも県立自然博物館は、その設計段階から問題があったと言わざるを得ません。
 そのような状況下で、職員や学芸員がさまざまなアイデアを出して日々入館者の増加に努めた結果、一時期と比べてある程度回復をしてきています。例えば、クリスマスの時期にサンタクロースやトナカイの衣装を着て行う水槽の潜水清掃や夏休み中の合宿で行う夜の観察会などは、大変好評だと聞いています。
 このように、今ある施設で精いっぱい頑張る職員や学芸員の涙ぐましい努力には頭が下がる思いです。個人的にも自然博物館は思い入れのある場所ですし、今でも夏の暑い盛りのころは、近くで昼食をとった後など、博物館を訪れて大水槽の前のソファーに腰かけて涼ませてもらっています。
 それに、ここ数年は、何といっても有田川町で発掘されたモササウルスに心引かれています。化石や恐竜が大好きで、考古学者になることを夢見ていたころの童心に返ることのできる、すてきな場所です。私も、利用者の1人として以前から狭いと感じていましたし、南海地震など防災面からも早く建てかえてほしいとも思っていました。仁坂知事も、個人的には、寄贈された貴重な標本が津波で流されたりはしないか、心配もされていることと思います。
 今回、バックヤードを見学さしていただき、よりその思いが一層強くなりました。幸い、次期県長期総合計画に県立自然博物館を移転・リニューアルするとの記述があり、大いに歓迎をしています。
 そこで、知事に質問です。県立自然博物館を移転とありますが、どの場所への移転を想定されており、その時期はいつごろになるのでしょうか。また、どのようなコンセプトで建設に臨まれるのか、お聞かせ願います。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの藤山将材君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県立自然博物館は、本県の豊かで貴重な自然を調査研究し、その魅力を広く伝える博物館として、年間10万人を超える来館者となっております。とりわけ、海南・海草地域にとっては、開館から30数年を経て地域を代表する教育文化施設として認識され、地域に親しまれていると思います。
 私も就任後すぐ視察に行ってびっくりいたしましたのは、議員御指摘のように、収蔵スペースの弱さであります。博物館というのは、これまた議員御指摘のように、来館者に展示を見せるのも大事でございますけれども、それ以上に標本、文献などを収蔵して研究の用に供するということも大事でございます。これはいかんということで、すぐに館外施設──これは倉庫でございます──それに空調をつけて少し一応使えるようにして、それで借用してスペースをふやしたんですけれども、まだまだ足りないし、さらに収蔵能力に限界が来ていることは事実であります。
 また、海南の現地と、それから現在の建物、これは津波が来たときに極めて脆弱でありまして、この対策がなければ貴重な標本などが失われてしまうと、こういうおそれが強うございます。その中で、これまた御指摘のように、学芸員や職員がけなげに頑張っておるということは評価すべきだと思っております。
 そういうことでございますので、今議会提案の長期総合計画にも、貴重で膨大な所蔵品を最適な状態に保ち、これらの価値を効果的かつ魅力的に展示する機能を充実するというコンセプトで、移転・リニューアルの記載をいたしました。コンセプトというのは、かたい言葉で言うとそういうことなんですが、やっぱり収蔵スペースをきっちりとって、かつ、それがいろんな災害のときに失われることがないようにするということが、やっぱり大事なことだなというふうに思っております。
 場所については、防災の観点、それから地域の受け入れ体制などの諸条件を十分に勘案し、これまで大切に育ててくれた海南市の意向も尊重した上で決定をしなきゃいかんと、そういうふうに思っております。
 博物館の移転・リニューアルは、県としては一大プロジェクトでございまして、それに必要な体制の整備とか──要するにお金でございますね。これをどういうふうにして工面してはめていくかという課題がございますが、しかし、建物のことでございますから、設計から始めると完成までは5年程度かかるというふうに思います。したがって、検討は早目に始めておかなきゃいかんということではないか。とにかく、10年間の期間中につくりましょうというふうに計画に書いたわけですから、実現するように頑張っていきたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 知事は、収蔵展示物の中でマックアルパイン石というのを御存じございませんか。僕も知らなくて、中村議員に教えていただいたんですが、ググってみると、世界中でアメリカの2カ所と、そして岩出市から、この3例しか発見されていない大変貴重な鉱石なんだそうですけども、見に行きますと、ガラスケースの中にほかの鉱石と同じように並べられていて、本当に玉石混交だなというふうに思いました。
 それだけの貴重な鉱石ですから、本当に1部屋上げてもええぐらいのもんだというふうに思っております。やはり、それだけの大変貴重な収蔵物もありますんで、それなりの場所でそれなりの展示をしてあげたいというふうに思っております。
 また、この今回の質問をするに当たって、先日、開館5周年を迎えた京都水族館のほうへ濱口議員と一緒に調査に行ってきました。
 館の表でロゴの前でお互い写真を撮り合ってたら若いお嬢さんからクスクスと笑われながら入場したんですけれども、中へ入ってみて驚いたのが、イルカやペンギンとかそういったもんは別にして、生き物、泳いでるもんについては全然うちも負けてないなというふうに自信を持ったわけでありますし、あと驚いたのが展示の仕方ですね。ただ見せるというだけでなくて、本当に工夫を凝らして展示されてましたし、あと、大水槽の前なんかはラグなんかをいっぱい敷いて、皆さん靴を脱いでその上でゆったりごらんになられてましたし、授乳室であったりとかカフェであったりとか、あともう至るところに腰かけがたくさん設置されていて、本当に来られる方の憩いの場ともなっているなというふうに感じてきました。
 そのリニューアルに当たって、海遊館のようにまたニックネームなんかも考えてもええかと思いますので、ぜひその際には県民からの公募も考えてほしいというふうに思います。
 そして、最後に移転先についてでありますけれども、県内で唯一振興局がないのが海南市、海草郡でありまして、ただでさえ貴重な県の施設を引き剥がされては困りますんで、ぜひとも海南・海草郡の中で移転先の検討を進めていただきたいとお願いして、次の質問に移ります。
 2番目に、全国に先駆けた次世代移動通信システム網、いわゆる5Gの本県への導入について伺います。
 ことしの1月6日、「日経新聞」は、中国通信大手3社が2020年までに約5兆円規模を投じ、次世代の無線通信規格である第5世代、いわゆる5Gの通信網を整備すると報じました。
 5Gとは、現在整備が進められている第4世代の4Gや、今、我々よく携帯電話で使っている3.9Gに比べて通信速度が格段に速いだけでなく、あらゆるものがネットにつながるIoTや自動運転のインフラを想定した規格のことであります。4Gと比べてみると、通信可能な容量は実に1000倍で、移動性は時速500キロメートルで走るリニアモーターカー乗車中でも途切れずに、データ送信から受信までの時間も10分の1であります。ピーク速度は10倍で、例えば2時間の映画も4Gだと約30秒かかるのに対して、5Gはたった3秒でダウンロードできます。
 情報通信基盤は、過疎と高齢化を抱える地域の地方創生のためには、道路などと同様に不可欠なインフラです。地域活性化のお手本に、徳島県上勝町の葉っぱビジネスがあります。この地域は、面積の9割以上が山林で、過疎と高齢化で悩んでいた地域でしたが、地域に自生している葉っぱに着目し、日本料理に添える葉っぱ、いわゆるつまものを情報通信を使ってビジネス化することで、地域が活性化しました。高齢者みずからがパソコンやタブレットを使って市場の相場を分析し、採取したり栽培した葉っぱを出荷し、中には年収1000万円を稼ぐ人もいるなど、多くの高齢者が生き生きとした暮らしをしています。
 また、そのお隣には、平成25年9月定例会で取り上げた神山町があります。ここの注目点は、光ファイバーの世帯普及率が全国1位という徳島県の強みを生かしたIT企業などの誘致に成功したことであります。インターネットさえつながればどこでも仕事ができるIT企業からすると、都会より回線がすいていて生活環境のよい徳島県のほうが仕事をする上での効率がよく、首都圏の企業と地元の思惑が一致した結果、IT企業を都会から呼び込み、2011年には町史上初めて人口が社会増となりました。人がふえればビジネスチャンスもふえます。町には次々と飲食店がオープンして、イタリアンレストランやカフェ、国産小麦にこだわったパン専門店やフレンチの店までオープンしていました。
 こうした成功例は、情報通信基盤の整備なしでは実現できないものです。しかし、情報通信技術は日々進化しており、それに乗りおくれると、住民生活はもとより経済活動も停滞してしまいます。
 これはもちろん本県にも当てはまることで、次世代通信網の整備がおくれれば、せっかく白浜町ITビジネスオフィスに進出してくれているIT企業も、また都会に戻ってしまうことになるでしょう。
 さて、その情報通信基盤の整備に関する国の一連の動きとして、平成26年12月に総務省の電波政策ビジョン懇談会が、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、我が国において世界に先駆けて5Gを実現し、事業化に向けて進めることが重要であると報告しました。
 また、平成28年6月に閣議決定された日本再興戦略2016では、IoTに対応する情報通信インフラを高度化するため、研究開発の成果を踏まえて、来年度から5Gの総合実証試験を地方都市を含めて先行的に実施するとされています。さらに、平成28年7月の総務省の電波政策2020懇談会報告書では、平成29年度から5Gの総合実証試験を東京だけでなく地方都市を含め先行的に実施すべきであるとの提言がされたところであります。
 これらを受け、総務省では、平成29年度当初予算の施策として、2020年の5G実現に向け、研究開発や総合実証等を推進するため、5Gの総合実証試験の実施費用として約25億円が計上されました。
 このような国の状況下において、今般の長期総合計画には、5Gなど新たな通信技術、サービスの動向を的確に捉え、導入を促進するということが示されています。地方創生の観点からも、この機会を逃さずに、全国に先駆けて5Gを本県に導入してほしいと思います。事業化は通信事業者が行うものですが、事業者任せでは利用者の少ない地方はいつも後回しになります。
 そこで、今回の国の実証試験に対する県の取り組みについて、企画部長にお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 5Gにつきましては、現在の移動通信システムと比べ、はるかに大容量で超高速な通信の実現を可能とするすぐれた性能を有するものであり、平成32年の東京オリンピック・パラリンピックまでの実現に向け、総務省等において研究開発や国際標準化などが推進されているところです。
 また、総務省では、平成29年度より、地域の活性化や地方創生における5Gの活用可能性を検証すべく、東京だけでなく地方でも、通信分野以外の関係者や利用者を巻き込んだ総合実証試験を実施する予定とのことです。
 県内で5Gの総合実証試験が実施されると、全国に先駆けた5Gの導入や利活用促進が期待されるため、現在、同試験の県内実施に向けて具体的にさまざまな検討や働きかけを行っており、今後とも必要な取り組みを積極的に実施してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 普通の生活をするんであれば、今我々が使ってるような、そういう3.9Gであるとか4Gで十分だと思いますけれども、この5Gが整備されるかされないかというのは、本当に高速道路が通ったり新幹線が通ったりするぐらいの差があると思いますし、それについてはもう通ったところ、通っていないところの差が歴然でありますので、ぜひとも進めていただきたいというふうに思っております。
 また、やっぱりこの5Gの整備というのは、和歌山県にとって、また日本にとっても将来を左右する大変重要なインフラの整備だというふうに思っておりますんで、国のほうでも、また県のほうでも取り組んでいただいてるということでありますが、一層機運を盛り上げて加速さしていくために、また知事会などでもぜひ取り上げていただけるように、この場をおかりして知事に要請しておきます。
 次に入ります。3番目に鳥獣害対策について。
 まず1点目に、狩猟者の確保についてお尋ねをいたします。
 過疎化や耕作放棄地の拡大により農作物の鳥獣被害が増加し、鳥獣害対策が講じられるようになって久しく時間が経過をいたしました。しかし、依然として農作物への鳥獣害の被害は深刻であります。
 その対策として農地への侵入を防ぐ電気柵の設置などの事業を行ってきましたが、イノシシや鹿、猿などの個体は増加し続けています。動物たちには気の毒ですが、やはり効果的なのはハンターによる捕獲であります。
 しかし、肝心のハンターは年々減少し、本県では現在1500人足らずと、この10年で約1000人も減少し、高齢化も相まってペーパーハンターも多数あることから、担い手不足の状況が続いています。これは全国的な傾向で、新しい担い手確保のため、若年や女性を対象にした新人ハンターセミナーの開催や、女性狩猟会への補助の検討をしている他府県の事例がありますが、今後ともさまざまな対策を組み合わせてハンターの確保を図っていく必要があります。
 本県においても、ハンティングの魅力を知ってもらう研修会なども開催されていますが、担い手不足の解決にはまだまだ道半ばであります。
 このような状況下において、より多くのハンターを確保していくためにどのような対策をとっていくのか、農林水産部長にお答え願います。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 県では、平成29年度からの5カ年計画として、イノシシ、鹿、猿を対象に管理方針を定める第二種特定鳥獣管理計画を今年度末を目途に策定する予定で現在作業を進めてございます。この中でこれまで以上の捕獲強化を図ることとしており、計画を達成するためには狩猟者の育成、確保が不可欠であります。
 平成27年度の県猟友会員で、わな猟免許の所持者数は1024人であり、この10年間で599人増加しているものの、銃猟免許の所持者数は1472人と高齢化等により1050人減少しており、全体では2496名と451名の減少となっています。
 このため、県では、狩猟者の育成を対策の柱の1つと位置づけ、従来よりさまざまな取り組みを行っているところでございます。具体的には、狩猟のおもしろさなどを広くPRする狩猟の魅力研修の開催を初め、わな猟については免許取得や取得後の捕獲技術向上を、また銃猟については、免許取得や銃所持許可に係る射撃教習、免許取得後の狩猟前の射撃訓練をそれぞれ支援しています。さらに今年度からは、現場経験のない銃猟免許所持者、免許取得予定者を対象に、実際の狩猟現場を見学する体験研修を始めたところでございます。
 こうした取り組みの結果、平成27年度の県猟友会員数は9年ぶりに前年度を上回ることとなりました。今後も引き続き、狩猟者の育成、確保に向け積極的に取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 続いて、駆除後の有効活用についてお尋ねをいたします。
 駆除した鳥獣肉を有効に活用することは、鳥獣の弔いになるとともに、地域振興になる大変重要なことであります。ヨーロッパでは、野生鳥獣の肉は家畜よりも高値で取引されており、その肉を使ったジビエ料理は高級料理です。高値で売却できれば、狩猟者の確保にもつながっていきます。既に県では、駆除後の鳥獣をジビエ料理などの地域資源として有効活用できるよう、さまざまな施策を進めています。
 しかし、駆除された鳥獣は、大部分が埋設処分など捨てられているのが実態です。平成27年度においては、イノシシと鹿を合わせて捕獲した約2万8000頭のうち、食肉処理されたのはたった1500頭とのことでした。わずか5%です。
 私は、その有効活用の1つとして、平成24年6月議会で、学校給食でのジビエの使用について提案させていただきました。そして、ようやく来年度の新政策で学校給食にジビエが導入されることとなり、提案者としては喜ばしいことなのですが、現時点ではその使用量は少量にとどまる見込みとのことで、今後の成果を見守りたいと思っています。
 さて、自民党においても、ジビエの普及によって中山間地域の振興を図ろうと、二階幹事長の呼びかけで、1月下旬、党本部においてイベントが開催されたところであります。
 ジビエの普及は、国、地方双方が民間を巻き込んで取り組んでいく重要な対策であることは確かです。しかし、駆除した鳥獣が有効活用されていない実態を受けて、農家民泊のメニューやペットフードなど、新しい分野への活用も検討する必要があると考えます。
 そこで、農林水産部長にお伺いします。
 駆除後の鳥獣の有効活用が余り進まない要因とその対応について、お答え願います。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 駆除後の有効活用についてでございますが、捕獲したイノシシや鹿を有効に活用していくためには、捕獲、解体処理、流通・消費の各段階を一連として捉え、施策を進めていく必要があると考えてございます。
 県では、これまで捕獲から解体処理においては処理施設の整備に取り組み、現在17の処理施設がございます。また、近年、県内の主要施設では、捕獲された個体をより広い範囲で収集し、食肉処理への活用を図る取り組みが開始されました。イノシシと鹿を合わせた処理頭数は、平成20年度の225頭から、平成27年度では1532頭に増加しております。
 流通・消費の段階では、安全・安心な「わかやまジビエ」を提供するとともに、県内外に広くPRするため、わかやまジビエ認証制度やジビエフェスタを継続して開催するなどの取り組みを進めてまいりました。また、本年度は、7月に県内の処理業者、料理店等の関係者によるわかやまジビエ振興協議会が設立され、今後は民間主導による取り組みも期待されます。
 来年度は、本議会の議案に上程させていただいております学校給食での和歌山産品利用拡大プロジェクト事業により、学校給食へジビエを提供することにより子供のころからジビエに親しんでいただくとともに、教育面からも県内の鳥獣害対策の取り組み等、広く子供たちへの理解促進を図ってまいります。
 また、食肉に供せない個体については、県内3業者でペットフードとしての活用の取り組みを始めており、皮革等利用も少しずつですが取り組みが始まっております。
 今後も引き続き、積極的にわかやまジビエの取り組みを進めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 幾ら農作物を食い荒らすといっても、殺してしまうだけでは本当に殺生でありますんで、引き続き取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に行きます。4番目として、道路周辺の景観美化について伺います。
 県では、高速道路沿いの屋外広告物の規制に取り組むこととしており、パブリックコメントも昨年からこれまで2回実施されています。一方で、町なかに目を向けると、歩道を違法に占有している立て看板やのぼりなどの屋外広告物が目につきます。
 この点については、国体開催前の平成24年12月議会で質問をいたしました。道路や歩道を占有した立て看板や広告板、信号機や電柱などにべたべたと張られた張り紙がまちの美観を損なっていると強く感じ、紀三井寺競技場周辺など国道42号線や国体道路について、和歌山の印象をよくするために、屋外広告物条例を所管する和歌山市と連携し、景観美化を図るよう質問しました。
 県当局からは、和歌山市を初め各市町村と連携を図りながら、規制やパトロールなど良好な景観づくりに取り組んでいくとの答弁をいただきました。
 その後、張り紙の減少など、目に見えて対策効果があらわれていると感じますが、冒頭でも述べたように、今でも相変わらず歩道を占有している立て看板やのぼり、悪質なものになると支柱つきの日よけなどが見受けられます。
 数が減っても素直に喜べないのは、かつて犯罪の多発に悩んでいたニューヨークのジュリアーニ市長が治安の回復のPRに使った割れ窓理論というのがありますが、これは、建物の窓が割れているのを放置すると誰も注意を払っていないという印象になり、やがてほかの窓も間もなく全て壊される、そういう理論のことであり、この考え方が頭をよぎるからであります。1つでも違反物があると、隣にもう1つ、また隣にもう1つとふえてしまわないか心配します。
 観光立県を目指す本県として、県外や海外から来られた方々によい印象を持ってもらうには、町なかの景観美化の推進は欠かせません。
 そこで、県土整備部長に質問ですが、和歌山市の道路周辺の屋外広告物対策の現状はどうなっているのか。また、今後、有効な対策としてどのような取り組みを考えているのか。道路管理面での対策とあわせてお聞かせ願います。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 和歌山市内の道路周辺の屋外広告物等への対策について、お尋ねがございました。
 違反物広告への対策については、県と各市町村で組織する和歌山県違反広告物対策連絡協議会において必要な対策を協議し、それぞれが連携した取り組みを推進してございます。議員御指摘の和歌山市内におきましては、屋外広告物法に基づき、中核市である和歌山市が町なかの張り紙や放置されている立て看板等の除却、和歌山城周辺に存在する違反広告物の是正指導などの違反広告物対策を実施し、町なかの美化に一定の効果を上げてきたものと認識しております。
 一方で、道路管理面におきましては、道路法に基づき、道路管理者が道路上に不法に設置された支柱つき日よけや可搬式の看板、のぼり等の設置者に対して撤去の指導を行っております。しかしながら、これらの中でも支柱つき日よけについては、指導を行ったものの、撤去されずに難航しているのが実情でございます。また、可搬式の看板やのぼり等については、一時的に撤去されるものの再び設置されるという、いわゆるイタチごっこの状況にあると認識してございます。
 議員御指摘の割れ窓理論とならないよう、道路管理の観点からは、県及び市が連携し、それぞれが管理する道路の適正管理に向けた取り組みを進めるとともに、屋外広告物の適正管理の観点からは、和歌山県違反広告物対策連絡協議会を活用して、和歌山市と問題意識を共有し、必要な対策が実施されるよう連携してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 高速道路沿いの屋外広告物をきれいにしていくというその趣旨は賛同するんですけども、しかし、町なかが今のような状態であれば、例えば家にお客さんを招くのに、玄関先だけきれいに掃除して、応接間やリビングがとっ散らかってるんと同じようなことになってしまうんではないかというように思っております。引き続き、和歌山市と連携して取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 それでは、最後の項目であります。道路整備のあり方について、質問をさせていただきます。
 初当選以来、これまで機会あるごとに海南─和歌山市間の道路ネットワークを中心に、道路整備について質問をしてまいりました。それは何よりも、和歌山─海南間の幹線道路が国道42号のみであるために一日中といっても過言ではないぐらい渋滞しており、観光面、産業面はもちろん、救急搬送といった面でも問題と言える状況にあるからであります。
 何度も本会議場の場で訴えさしていただき、都市計画道路の松島本渡線については、まずは竈山神社付近までの開通が一昨年の国体開催を勘案し早められ、平成30年度には智辯学園付近まで延伸すると知事にも約束をいただきました。また、海南市東部からのネットワーク整備の重要性については、県道秋月海南線の海南市亀川地区における狭隘区間の解消に向け、拡幅等が進められるようになりました。
 先週の3月4日には念願久しかった国道424号の木津バイパスが開通し、それに接続する国道370号の阪井バイパスも、平成29年度中の完成を目指して整備が進められているところであります。地元選出の議員として大いに感謝をいたしますが、至るところで課題となっているのは、幹線道路の整備が進んでも、周辺道路の交通渋滞、特に通勤時間帯の渋滞が一向に解消されないことで、これは6月議会でも松島本渡線などについてただしたところであります。
 今の点々とした整備では、周辺のアクセス対策など、完了するまでにタイムラグが生じるため、せっかく新しい幹線道路が開通しても、地元住民にはその効果が実感をできません。海南から和歌山市方面への夜間を除いて、さほど時間短縮にはつながらず、経済、観光、防災、救急面からも、もう少し改善できないものかと思います。車が対向できない狭いところもところどころにあり、今は車のナビゲーションのせいでしょうか、時には大型車が入り込んできて大変なことになっています。
 現在開通している松島本渡線は、国体までに急ピッチで整備が進められ、暫定措置として秋月海南線につながっていますが、今の状態を見ると、このようなことを想定して開通までに周辺道路の対向できない狭いところを拡幅するなど対策を講じてきているものの、用地の問題もあるのか、なかなか一気には進んできていないように思います。
 市道も含めたネットワークの形成となると、時々、市のほうから整備の要望がないという説明を受けることもありますが、積極的に県から市に働きかけ、県市一体となって整備を推し進めていくこと、つまり、4車線の幹線道路としてのバイパス道路を整備するにおいては、整備途中で暫定的に細い道につなぐ場合、県道、市道も含めてそれぞれの道路を面的に考え、交通量の増加を予測して、問題となる対向できない狭いところや曲がりにくい交差点などをバイパスの開通までに並行して改修しておくべきだと思います。
 松島本渡線は南伸し、智辯学園付近まで伸び、さらにこの幹線道路は海南方向の幹線道路と接続するところまで伸びるとは思いますが、円滑交通の悪化を防ぐために、できる限りタイムラグを短くするとともに、暫定的な細い道につなげる場合は、問題となる区間の改良を開通までに行っておくべきであると思います。
 海南─和歌山市間の整備におけるこれらの現状も踏まえて、今後の道路整備のあり方についてお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 海南─和歌山間におきましては、従来その間の主要な交通を国道42号線だけに依存してきたということから、交通の集中による渋滞という問題が発生しておりまして、その分散を図るべく、もう1つの幹線として松島本渡線の整備を進めようとしているところでございます。
 このように、交通の流れを大きく変化させようとする場合、バイパスなどの事業が大規模になる傾向がありますが、投資効果をできるだけ早期に発現させるという観点から、段階的に整備を進めて、順次供用を行うというふうにしています。
 その際、御指摘のように、完全なネットワークが形成されていないことに起因して、かえって今通行が不自由なところが余計混むということもあり得ると思うわけであります。御指摘のとおりでございますんで、そのような場合には段階的供用はやむを得ないとして、周辺道路への影響を考え、地元市町村とともにできるだけ円滑な交通が確保できるようにしていきたい。そのためには、地元の用地協力を得ながら、可能な限り支障となる交差点の改良とか狭隘箇所の拡幅などの現道対策にも努めなきゃいけないというふうに思っております。
 今後ともこうしたことに配慮しながら、ネットワークの早期完成に努めていきたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。

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