平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録

第7号(全文)


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平成29年2月
和歌山県議会定例会会議録
第7号
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議事日程 第7号
 平成29年3月8日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、
    議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第117号まで及び議案第119号から議案第126号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、
    議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第117号まで及び議案第119号から議案第126号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
 第5 休会決定の件
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出席議員(40人)
 1番 堀 龍雄
 2番 中西峰雄
 3番 森 礼子
 4番 立谷誠一
 5番 前芝雅嗣
 6番 浅井修一郎
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 秋月史成
 10番 川畑哲哉
 11番 泉 正徳
 12番 濱口太史
 14番 尾﨑太郎
 15番 尾崎要二
 16番 中村裕一
 17番 鈴木太雄
 18番 岩田弘彦
 19番 藤山将材
 20番 服部 一
 21番 冨安民浩
 22番 吉井和視
 23番 中本浩精
 24番 中 拓哉
 25番 山本茂博
 26番 岸本 健
 27番 谷 洋一
 28番 新島 雄
 29番 岩井弘次
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 山下直也
 35番 山田正彦
 36番 菅原博之
 37番 谷口和樹
 38番 奥村規子
 39番 雑賀光夫
 41番 坂本 登
 42番 長坂隆司
欠席議員(2人)
 13番 花田健吉
 40番 松坂英樹
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       宮﨑 泉
 危機管理監      和歌哲也
 総務部長       浦上哲朗
 企画部長       髙瀨一郎
 環境生活部長     日吉康文
 福祉保健部長     幸前裕之
 商工観光労働部長   岡本圭剛
 農林水産部長     鎌塚拓夫
 県土整備部長     森戸義貴
 会計管理者      岩橋良晃
 教育長        宮下和己
 公安委員会委員長   大桑いく嗣
 警察本部長      宮沢忠孝
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     江川和明
 選挙管理委員会委員長 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       上坊 晃
 次長         西原龍也
 議事課長       中谷政紀
 議事課副課長     浜野幸男
 議事課課長補佐兼議事班長
            長谷哲生
 議事課主任      保田良春
 議事課主任      岸裏真延
 議事課主査      浅田晃秀
 総務課長       糸川 徹
 政策調査課長     中口 匠
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  午前10時0分開議
○議長(浅井修一郎君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第117号まで及び議案第119号から議案第126号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 19番藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○藤山将材君 おはようございます。議長にお許しをいただきましたので、今回は、5項目にわたって質問をさしていただきたいと思います。
 まず初めに、県立自然博物館の建てかえについて伺います。
 私の地元にある県立自然博物館は、和歌山県の豊かな自然を紹介する施設で、水に住む生き物の展示だけでなく、動植物、昆虫、貝、化石などの標本も収集、保管、展示されていて、研究や教育普及活動を通じて地域に親しまれている博物館であります。
 この自然博物館は、1979年の国際児童年事業として計画されましたが、開館した昭和57年当時は、全国で初めて水族館を併設した自然博物館として注目をされ、多くの入館者が訪れていたと聞いていますが、その後、各地での同様の施設や大規模水族館の開館などで、入館者数が減少し始めました。
 理由の1つに、まず、入館者を迎えるための駐車場が54台分しかなく、通常を超えれば周辺の駐車場を借りる状況というのが問題であります。そして、この博物館も老朽化が進み、また狭隘なため、入館者を初め職員や学芸員にとっても、今では使い勝手の悪い施設となっています。
 その例の1つは、展示スペースの不足です。先月、博物館のバックヤードを案内していただきましたが、展示スペースが狭いため、保管している貴重な標本や資料を入館者に見てもらいたくても、なかなかその機会を設けることができない状況とのことでありました。これでは、宝の持ち腐れになってしまいます。
 また、標本や資料の保管スペースの不足も深刻です。職員のロッカーも保管物に囲まれていて、もはや更衣室なのか保管庫なのかわかりません。それに、幾らなれているとはいえ、ホルマリン漬けなどの標本に囲まれて着がえをするという職務環境はいかがなものでしょうか。それでも足りないため、保管物は近所の民間倉庫や小学校の空き教室などに保管しているそうですが、温度や湿度管理といった保管環境、セキュリティーの面からも問題があると言えます。通常、博物館などにおいては、展示スペースの数倍もの保管スペースを備えるものと聞きます。
 さらに、研究スペースも不足しています。学芸員の部屋は、標本や資料に囲まれて十分なスペースも確保されていない環境で研究に従事しており、これでは博物館としての本分である研究や調査が十分できないであろうと感じました。当時どんな事情があったのか知りませんが、そもそも県立自然博物館は、その設計段階から問題があったと言わざるを得ません。
 そのような状況下で、職員や学芸員がさまざまなアイデアを出して日々入館者の増加に努めた結果、一時期と比べてある程度回復をしてきています。例えば、クリスマスの時期にサンタクロースやトナカイの衣装を着て行う水槽の潜水清掃や夏休み中の合宿で行う夜の観察会などは、大変好評だと聞いています。
 このように、今ある施設で精いっぱい頑張る職員や学芸員の涙ぐましい努力には頭が下がる思いです。個人的にも自然博物館は思い入れのある場所ですし、今でも夏の暑い盛りのころは、近くで昼食をとった後など、博物館を訪れて大水槽の前のソファーに腰かけて涼ませてもらっています。
 それに、ここ数年は、何といっても有田川町で発掘されたモササウルスに心引かれています。化石や恐竜が大好きで、考古学者になることを夢見ていたころの童心に返ることのできる、すてきな場所です。私も、利用者の1人として以前から狭いと感じていましたし、南海地震など防災面からも早く建てかえてほしいとも思っていました。仁坂知事も、個人的には、寄贈された貴重な標本が津波で流されたりはしないか、心配もされていることと思います。
 今回、バックヤードを見学さしていただき、よりその思いが一層強くなりました。幸い、次期県長期総合計画に県立自然博物館を移転・リニューアルするとの記述があり、大いに歓迎をしています。
 そこで、知事に質問です。県立自然博物館を移転とありますが、どの場所への移転を想定されており、その時期はいつごろになるのでしょうか。また、どのようなコンセプトで建設に臨まれるのか、お聞かせ願います。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの藤山将材君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県立自然博物館は、本県の豊かで貴重な自然を調査研究し、その魅力を広く伝える博物館として、年間10万人を超える来館者となっております。とりわけ、海南・海草地域にとっては、開館から30数年を経て地域を代表する教育文化施設として認識され、地域に親しまれていると思います。
 私も就任後すぐ視察に行ってびっくりいたしましたのは、議員御指摘のように、収蔵スペースの弱さであります。博物館というのは、これまた議員御指摘のように、来館者に展示を見せるのも大事でございますけれども、それ以上に標本、文献などを収蔵して研究の用に供するということも大事でございます。これはいかんということで、すぐに館外施設──これは倉庫でございます──それに空調をつけて少し一応使えるようにして、それで借用してスペースをふやしたんですけれども、まだまだ足りないし、さらに収蔵能力に限界が来ていることは事実であります。
 また、海南の現地と、それから現在の建物、これは津波が来たときに極めて脆弱でありまして、この対策がなければ貴重な標本などが失われてしまうと、こういうおそれが強うございます。その中で、これまた御指摘のように、学芸員や職員がけなげに頑張っておるということは評価すべきだと思っております。
 そういうことでございますので、今議会提案の長期総合計画にも、貴重で膨大な所蔵品を最適な状態に保ち、これらの価値を効果的かつ魅力的に展示する機能を充実するというコンセプトで、移転・リニューアルの記載をいたしました。コンセプトというのは、かたい言葉で言うとそういうことなんですが、やっぱり収蔵スペースをきっちりとって、かつ、それがいろんな災害のときに失われることがないようにするということが、やっぱり大事なことだなというふうに思っております。
 場所については、防災の観点、それから地域の受け入れ体制などの諸条件を十分に勘案し、これまで大切に育ててくれた海南市の意向も尊重した上で決定をしなきゃいかんと、そういうふうに思っております。
 博物館の移転・リニューアルは、県としては一大プロジェクトでございまして、それに必要な体制の整備とか──要するにお金でございますね。これをどういうふうにして工面してはめていくかという課題がございますが、しかし、建物のことでございますから、設計から始めると完成までは5年程度かかるというふうに思います。したがって、検討は早目に始めておかなきゃいかんということではないか。とにかく、10年間の期間中につくりましょうというふうに計画に書いたわけですから、実現するように頑張っていきたいと思います。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 知事は、収蔵展示物の中でマックアルパイン石というのを御存じございませんか。僕も知らなくて、中村議員に教えていただいたんですが、ググってみると、世界中でアメリカの2カ所と、そして岩出市から、この3例しか発見されていない大変貴重な鉱石なんだそうですけども、見に行きますと、ガラスケースの中にほかの鉱石と同じように並べられていて、本当に玉石混交だなというふうに思いました。
 それだけの貴重な鉱石ですから、本当に1部屋上げてもええぐらいのもんだというふうに思っております。やはり、それだけの大変貴重な収蔵物もありますんで、それなりの場所でそれなりの展示をしてあげたいというふうに思っております。
 また、この今回の質問をするに当たって、先日、開館5周年を迎えた京都水族館のほうへ濱口議員と一緒に調査に行ってきました。
 館の表でロゴの前でお互い写真を撮り合ってたら若いお嬢さんからクスクスと笑われながら入場したんですけれども、中へ入ってみて驚いたのが、イルカやペンギンとかそういったもんは別にして、生き物、泳いでるもんについては全然うちも負けてないなというふうに自信を持ったわけでありますし、あと驚いたのが展示の仕方ですね。ただ見せるというだけでなくて、本当に工夫を凝らして展示されてましたし、あと、大水槽の前なんかはラグなんかをいっぱい敷いて、皆さん靴を脱いでその上でゆったりごらんになられてましたし、授乳室であったりとかカフェであったりとか、あともう至るところに腰かけがたくさん設置されていて、本当に来られる方の憩いの場ともなっているなというふうに感じてきました。
 そのリニューアルに当たって、海遊館のようにまたニックネームなんかも考えてもええかと思いますので、ぜひその際には県民からの公募も考えてほしいというふうに思います。
 そして、最後に移転先についてでありますけれども、県内で唯一振興局がないのが海南市、海草郡でありまして、ただでさえ貴重な県の施設を引き剥がされては困りますんで、ぜひとも海南・海草郡の中で移転先の検討を進めていただきたいとお願いして、次の質問に移ります。
 2番目に、全国に先駆けた次世代移動通信システム網、いわゆる5Gの本県への導入について伺います。
 ことしの1月6日、「日経新聞」は、中国通信大手3社が2020年までに約5兆円規模を投じ、次世代の無線通信規格である第5世代、いわゆる5Gの通信網を整備すると報じました。
 5Gとは、現在整備が進められている第4世代の4Gや、今、我々よく携帯電話で使っている3.9Gに比べて通信速度が格段に速いだけでなく、あらゆるものがネットにつながるIoTや自動運転のインフラを想定した規格のことであります。4Gと比べてみると、通信可能な容量は実に1000倍で、移動性は時速500キロメートルで走るリニアモーターカー乗車中でも途切れずに、データ送信から受信までの時間も10分の1であります。ピーク速度は10倍で、例えば2時間の映画も4Gだと約30秒かかるのに対して、5Gはたった3秒でダウンロードできます。
 情報通信基盤は、過疎と高齢化を抱える地域の地方創生のためには、道路などと同様に不可欠なインフラです。地域活性化のお手本に、徳島県上勝町の葉っぱビジネスがあります。この地域は、面積の9割以上が山林で、過疎と高齢化で悩んでいた地域でしたが、地域に自生している葉っぱに着目し、日本料理に添える葉っぱ、いわゆるつまものを情報通信を使ってビジネス化することで、地域が活性化しました。高齢者みずからがパソコンやタブレットを使って市場の相場を分析し、採取したり栽培した葉っぱを出荷し、中には年収1000万円を稼ぐ人もいるなど、多くの高齢者が生き生きとした暮らしをしています。
 また、そのお隣には、平成25年9月定例会で取り上げた神山町があります。ここの注目点は、光ファイバーの世帯普及率が全国1位という徳島県の強みを生かしたIT企業などの誘致に成功したことであります。インターネットさえつながればどこでも仕事ができるIT企業からすると、都会より回線がすいていて生活環境のよい徳島県のほうが仕事をする上での効率がよく、首都圏の企業と地元の思惑が一致した結果、IT企業を都会から呼び込み、2011年には町史上初めて人口が社会増となりました。人がふえればビジネスチャンスもふえます。町には次々と飲食店がオープンして、イタリアンレストランやカフェ、国産小麦にこだわったパン専門店やフレンチの店までオープンしていました。
 こうした成功例は、情報通信基盤の整備なしでは実現できないものです。しかし、情報通信技術は日々進化しており、それに乗りおくれると、住民生活はもとより経済活動も停滞してしまいます。
 これはもちろん本県にも当てはまることで、次世代通信網の整備がおくれれば、せっかく白浜町ITビジネスオフィスに進出してくれているIT企業も、また都会に戻ってしまうことになるでしょう。
 さて、その情報通信基盤の整備に関する国の一連の動きとして、平成26年12月に総務省の電波政策ビジョン懇談会が、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、我が国において世界に先駆けて5Gを実現し、事業化に向けて進めることが重要であると報告しました。
 また、平成28年6月に閣議決定された日本再興戦略2016では、IoTに対応する情報通信インフラを高度化するため、研究開発の成果を踏まえて、来年度から5Gの総合実証試験を地方都市を含めて先行的に実施するとされています。さらに、平成28年7月の総務省の電波政策2020懇談会報告書では、平成29年度から5Gの総合実証試験を東京だけでなく地方都市を含め先行的に実施すべきであるとの提言がされたところであります。
 これらを受け、総務省では、平成29年度当初予算の施策として、2020年の5G実現に向け、研究開発や総合実証等を推進するため、5Gの総合実証試験の実施費用として約25億円が計上されました。
 このような国の状況下において、今般の長期総合計画には、5Gなど新たな通信技術、サービスの動向を的確に捉え、導入を促進するということが示されています。地方創生の観点からも、この機会を逃さずに、全国に先駆けて5Gを本県に導入してほしいと思います。事業化は通信事業者が行うものですが、事業者任せでは利用者の少ない地方はいつも後回しになります。
 そこで、今回の国の実証試験に対する県の取り組みについて、企画部長にお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 企画部長髙瀨一郎君。
  〔髙瀨一郎君、登壇〕
○企画部長(髙瀨一郎君) 5Gにつきましては、現在の移動通信システムと比べ、はるかに大容量で超高速な通信の実現を可能とするすぐれた性能を有するものであり、平成32年の東京オリンピック・パラリンピックまでの実現に向け、総務省等において研究開発や国際標準化などが推進されているところです。
 また、総務省では、平成29年度より、地域の活性化や地方創生における5Gの活用可能性を検証すべく、東京だけでなく地方でも、通信分野以外の関係者や利用者を巻き込んだ総合実証試験を実施する予定とのことです。
 県内で5Gの総合実証試験が実施されると、全国に先駆けた5Gの導入や利活用促進が期待されるため、現在、同試験の県内実施に向けて具体的にさまざまな検討や働きかけを行っており、今後とも必要な取り組みを積極的に実施してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 普通の生活をするんであれば、今我々が使ってるような、そういう3.9Gであるとか4Gで十分だと思いますけれども、この5Gが整備されるかされないかというのは、本当に高速道路が通ったり新幹線が通ったりするぐらいの差があると思いますし、それについてはもう通ったところ、通っていないところの差が歴然でありますので、ぜひとも進めていただきたいというふうに思っております。
 また、やっぱりこの5Gの整備というのは、和歌山県にとって、また日本にとっても将来を左右する大変重要なインフラの整備だというふうに思っておりますんで、国のほうでも、また県のほうでも取り組んでいただいてるということでありますが、一層機運を盛り上げて加速さしていくために、また知事会などでもぜひ取り上げていただけるように、この場をおかりして知事に要請しておきます。
 次に入ります。3番目に鳥獣害対策について。
 まず1点目に、狩猟者の確保についてお尋ねをいたします。
 過疎化や耕作放棄地の拡大により農作物の鳥獣被害が増加し、鳥獣害対策が講じられるようになって久しく時間が経過をいたしました。しかし、依然として農作物への鳥獣害の被害は深刻であります。
 その対策として農地への侵入を防ぐ電気柵の設置などの事業を行ってきましたが、イノシシや鹿、猿などの個体は増加し続けています。動物たちには気の毒ですが、やはり効果的なのはハンターによる捕獲であります。
 しかし、肝心のハンターは年々減少し、本県では現在1500人足らずと、この10年で約1000人も減少し、高齢化も相まってペーパーハンターも多数あることから、担い手不足の状況が続いています。これは全国的な傾向で、新しい担い手確保のため、若年や女性を対象にした新人ハンターセミナーの開催や、女性狩猟会への補助の検討をしている他府県の事例がありますが、今後ともさまざまな対策を組み合わせてハンターの確保を図っていく必要があります。
 本県においても、ハンティングの魅力を知ってもらう研修会なども開催されていますが、担い手不足の解決にはまだまだ道半ばであります。
 このような状況下において、より多くのハンターを確保していくためにどのような対策をとっていくのか、農林水産部長にお答え願います。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 県では、平成29年度からの5カ年計画として、イノシシ、鹿、猿を対象に管理方針を定める第二種特定鳥獣管理計画を今年度末を目途に策定する予定で現在作業を進めてございます。この中でこれまで以上の捕獲強化を図ることとしており、計画を達成するためには狩猟者の育成、確保が不可欠であります。
 平成27年度の県猟友会員で、わな猟免許の所持者数は1024人であり、この10年間で599人増加しているものの、銃猟免許の所持者数は1472人と高齢化等により1050人減少しており、全体では2496名と451名の減少となっています。
 このため、県では、狩猟者の育成を対策の柱の1つと位置づけ、従来よりさまざまな取り組みを行っているところでございます。具体的には、狩猟のおもしろさなどを広くPRする狩猟の魅力研修の開催を初め、わな猟については免許取得や取得後の捕獲技術向上を、また銃猟については、免許取得や銃所持許可に係る射撃教習、免許取得後の狩猟前の射撃訓練をそれぞれ支援しています。さらに今年度からは、現場経験のない銃猟免許所持者、免許取得予定者を対象に、実際の狩猟現場を見学する体験研修を始めたところでございます。
 こうした取り組みの結果、平成27年度の県猟友会員数は9年ぶりに前年度を上回ることとなりました。今後も引き続き、狩猟者の育成、確保に向け積極的に取り組んでまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 続いて、駆除後の有効活用についてお尋ねをいたします。
 駆除した鳥獣肉を有効に活用することは、鳥獣の弔いになるとともに、地域振興になる大変重要なことであります。ヨーロッパでは、野生鳥獣の肉は家畜よりも高値で取引されており、その肉を使ったジビエ料理は高級料理です。高値で売却できれば、狩猟者の確保にもつながっていきます。既に県では、駆除後の鳥獣をジビエ料理などの地域資源として有効活用できるよう、さまざまな施策を進めています。
 しかし、駆除された鳥獣は、大部分が埋設処分など捨てられているのが実態です。平成27年度においては、イノシシと鹿を合わせて捕獲した約2万8000頭のうち、食肉処理されたのはたった1500頭とのことでした。わずか5%です。
 私は、その有効活用の1つとして、平成24年6月議会で、学校給食でのジビエの使用について提案させていただきました。そして、ようやく来年度の新政策で学校給食にジビエが導入されることとなり、提案者としては喜ばしいことなのですが、現時点ではその使用量は少量にとどまる見込みとのことで、今後の成果を見守りたいと思っています。
 さて、自民党においても、ジビエの普及によって中山間地域の振興を図ろうと、二階幹事長の呼びかけで、1月下旬、党本部においてイベントが開催されたところであります。
 ジビエの普及は、国、地方双方が民間を巻き込んで取り組んでいく重要な対策であることは確かです。しかし、駆除した鳥獣が有効活用されていない実態を受けて、農家民泊のメニューやペットフードなど、新しい分野への活用も検討する必要があると考えます。
 そこで、農林水産部長にお伺いします。
 駆除後の鳥獣の有効活用が余り進まない要因とその対応について、お答え願います。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 駆除後の有効活用についてでございますが、捕獲したイノシシや鹿を有効に活用していくためには、捕獲、解体処理、流通・消費の各段階を一連として捉え、施策を進めていく必要があると考えてございます。
 県では、これまで捕獲から解体処理においては処理施設の整備に取り組み、現在17の処理施設がございます。また、近年、県内の主要施設では、捕獲された個体をより広い範囲で収集し、食肉処理への活用を図る取り組みが開始されました。イノシシと鹿を合わせた処理頭数は、平成20年度の225頭から、平成27年度では1532頭に増加しております。
 流通・消費の段階では、安全・安心な「わかやまジビエ」を提供するとともに、県内外に広くPRするため、わかやまジビエ認証制度やジビエフェスタを継続して開催するなどの取り組みを進めてまいりました。また、本年度は、7月に県内の処理業者、料理店等の関係者によるわかやまジビエ振興協議会が設立され、今後は民間主導による取り組みも期待されます。
 来年度は、本議会の議案に上程させていただいております学校給食での和歌山産品利用拡大プロジェクト事業により、学校給食へジビエを提供することにより子供のころからジビエに親しんでいただくとともに、教育面からも県内の鳥獣害対策の取り組み等、広く子供たちへの理解促進を図ってまいります。
 また、食肉に供せない個体については、県内3業者でペットフードとしての活用の取り組みを始めており、皮革等利用も少しずつですが取り組みが始まっております。
 今後も引き続き、積極的にわかやまジビエの取り組みを進めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 幾ら農作物を食い荒らすといっても、殺してしまうだけでは本当に殺生でありますんで、引き続き取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に行きます。4番目として、道路周辺の景観美化について伺います。
 県では、高速道路沿いの屋外広告物の規制に取り組むこととしており、パブリックコメントも昨年からこれまで2回実施されています。一方で、町なかに目を向けると、歩道を違法に占有している立て看板やのぼりなどの屋外広告物が目につきます。
 この点については、国体開催前の平成24年12月議会で質問をいたしました。道路や歩道を占有した立て看板や広告板、信号機や電柱などにべたべたと張られた張り紙がまちの美観を損なっていると強く感じ、紀三井寺競技場周辺など国道42号線や国体道路について、和歌山の印象をよくするために、屋外広告物条例を所管する和歌山市と連携し、景観美化を図るよう質問しました。
 県当局からは、和歌山市を初め各市町村と連携を図りながら、規制やパトロールなど良好な景観づくりに取り組んでいくとの答弁をいただきました。
 その後、張り紙の減少など、目に見えて対策効果があらわれていると感じますが、冒頭でも述べたように、今でも相変わらず歩道を占有している立て看板やのぼり、悪質なものになると支柱つきの日よけなどが見受けられます。
 数が減っても素直に喜べないのは、かつて犯罪の多発に悩んでいたニューヨークのジュリアーニ市長が治安の回復のPRに使った割れ窓理論というのがありますが、これは、建物の窓が割れているのを放置すると誰も注意を払っていないという印象になり、やがてほかの窓も間もなく全て壊される、そういう理論のことであり、この考え方が頭をよぎるからであります。1つでも違反物があると、隣にもう1つ、また隣にもう1つとふえてしまわないか心配します。
 観光立県を目指す本県として、県外や海外から来られた方々によい印象を持ってもらうには、町なかの景観美化の推進は欠かせません。
 そこで、県土整備部長に質問ですが、和歌山市の道路周辺の屋外広告物対策の現状はどうなっているのか。また、今後、有効な対策としてどのような取り組みを考えているのか。道路管理面での対策とあわせてお聞かせ願います。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 和歌山市内の道路周辺の屋外広告物等への対策について、お尋ねがございました。
 違反物広告への対策については、県と各市町村で組織する和歌山県違反広告物対策連絡協議会において必要な対策を協議し、それぞれが連携した取り組みを推進してございます。議員御指摘の和歌山市内におきましては、屋外広告物法に基づき、中核市である和歌山市が町なかの張り紙や放置されている立て看板等の除却、和歌山城周辺に存在する違反広告物の是正指導などの違反広告物対策を実施し、町なかの美化に一定の効果を上げてきたものと認識しております。
 一方で、道路管理面におきましては、道路法に基づき、道路管理者が道路上に不法に設置された支柱つき日よけや可搬式の看板、のぼり等の設置者に対して撤去の指導を行っております。しかしながら、これらの中でも支柱つき日よけについては、指導を行ったものの、撤去されずに難航しているのが実情でございます。また、可搬式の看板やのぼり等については、一時的に撤去されるものの再び設置されるという、いわゆるイタチごっこの状況にあると認識してございます。
 議員御指摘の割れ窓理論とならないよう、道路管理の観点からは、県及び市が連携し、それぞれが管理する道路の適正管理に向けた取り組みを進めるとともに、屋外広告物の適正管理の観点からは、和歌山県違反広告物対策連絡協議会を活用して、和歌山市と問題意識を共有し、必要な対策が実施されるよう連携してまいります。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 高速道路沿いの屋外広告物をきれいにしていくというその趣旨は賛同するんですけども、しかし、町なかが今のような状態であれば、例えば家にお客さんを招くのに、玄関先だけきれいに掃除して、応接間やリビングがとっ散らかってるんと同じようなことになってしまうんではないかというように思っております。引き続き、和歌山市と連携して取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 それでは、最後の項目であります。道路整備のあり方について、質問をさせていただきます。
 初当選以来、これまで機会あるごとに海南─和歌山市間の道路ネットワークを中心に、道路整備について質問をしてまいりました。それは何よりも、和歌山─海南間の幹線道路が国道42号のみであるために一日中といっても過言ではないぐらい渋滞しており、観光面、産業面はもちろん、救急搬送といった面でも問題と言える状況にあるからであります。
 何度も本会議場の場で訴えさしていただき、都市計画道路の松島本渡線については、まずは竈山神社付近までの開通が一昨年の国体開催を勘案し早められ、平成30年度には智辯学園付近まで延伸すると知事にも約束をいただきました。また、海南市東部からのネットワーク整備の重要性については、県道秋月海南線の海南市亀川地区における狭隘区間の解消に向け、拡幅等が進められるようになりました。
 先週の3月4日には念願久しかった国道424号の木津バイパスが開通し、それに接続する国道370号の阪井バイパスも、平成29年度中の完成を目指して整備が進められているところであります。地元選出の議員として大いに感謝をいたしますが、至るところで課題となっているのは、幹線道路の整備が進んでも、周辺道路の交通渋滞、特に通勤時間帯の渋滞が一向に解消されないことで、これは6月議会でも松島本渡線などについてただしたところであります。
 今の点々とした整備では、周辺のアクセス対策など、完了するまでにタイムラグが生じるため、せっかく新しい幹線道路が開通しても、地元住民にはその効果が実感をできません。海南から和歌山市方面への夜間を除いて、さほど時間短縮にはつながらず、経済、観光、防災、救急面からも、もう少し改善できないものかと思います。車が対向できない狭いところもところどころにあり、今は車のナビゲーションのせいでしょうか、時には大型車が入り込んできて大変なことになっています。
 現在開通している松島本渡線は、国体までに急ピッチで整備が進められ、暫定措置として秋月海南線につながっていますが、今の状態を見ると、このようなことを想定して開通までに周辺道路の対向できない狭いところを拡幅するなど対策を講じてきているものの、用地の問題もあるのか、なかなか一気には進んできていないように思います。
 市道も含めたネットワークの形成となると、時々、市のほうから整備の要望がないという説明を受けることもありますが、積極的に県から市に働きかけ、県市一体となって整備を推し進めていくこと、つまり、4車線の幹線道路としてのバイパス道路を整備するにおいては、整備途中で暫定的に細い道につなぐ場合、県道、市道も含めてそれぞれの道路を面的に考え、交通量の増加を予測して、問題となる対向できない狭いところや曲がりにくい交差点などをバイパスの開通までに並行して改修しておくべきだと思います。
 松島本渡線は南伸し、智辯学園付近まで伸び、さらにこの幹線道路は海南方向の幹線道路と接続するところまで伸びるとは思いますが、円滑交通の悪化を防ぐために、できる限りタイムラグを短くするとともに、暫定的な細い道につなげる場合は、問題となる区間の改良を開通までに行っておくべきであると思います。
 海南─和歌山市間の整備におけるこれらの現状も踏まえて、今後の道路整備のあり方についてお尋ねをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 海南─和歌山間におきましては、従来その間の主要な交通を国道42号線だけに依存してきたということから、交通の集中による渋滞という問題が発生しておりまして、その分散を図るべく、もう1つの幹線として松島本渡線の整備を進めようとしているところでございます。
 このように、交通の流れを大きく変化させようとする場合、バイパスなどの事業が大規模になる傾向がありますが、投資効果をできるだけ早期に発現させるという観点から、段階的に整備を進めて、順次供用を行うというふうにしています。
 その際、御指摘のように、完全なネットワークが形成されていないことに起因して、かえって今通行が不自由なところが余計混むということもあり得ると思うわけであります。御指摘のとおりでございますんで、そのような場合には段階的供用はやむを得ないとして、周辺道路への影響を考え、地元市町村とともにできるだけ円滑な交通が確保できるようにしていきたい。そのためには、地元の用地協力を得ながら、可能な限り支障となる交差点の改良とか狭隘箇所の拡幅などの現道対策にも努めなきゃいけないというふうに思っております。
 今後ともこうしたことに配慮しながら、ネットワークの早期完成に努めていきたいと考えております。
○議長(浅井修一郎君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
○藤山将材君 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきたいと思います。
 最終日となりました。お疲れのところと思いますけれども、ぜひとも最後までよろしくお願いいたします。
 まず1番目、田辺・西牟婁県立高等学校の1クラス減について御質問させていただきます。
 昨年夏に、田辺・西牟婁PTA連合会で教育長、教育委員会に要望に伺いました。普通科の維持、募集定員の維持などを盛り込んだ内容の要望でしたが、保護者の熱意は届かず、一昨年に引き続き、同じ神島高校普通科で募集定員1クラス減となりました。
 その結果、せんだっての一般出願では、資料1のとおり、田辺高校、神島高校両普通科で合わせて、近年ないくらい大きく偏った90人強の定員超過でございました。本出願でも神島高校普通科で大幅に定員を超えたことから、一昨年に引き続き、1年しかあけずに市街地で人気の高い高校の普通科を1クラス減らした理由をお聞きしていきたいと思います。
 まず神島高校ですが、田辺駅から約2キロのところ、市の中心部にあります。大正5年に創設され、田辺商業高等学校から平成18年には神島高等学校となり、現在は経営科学科と普通科の2学科、生徒数約880名、昨年100周年を迎えた地域の伝統校であります。進路状況は、約7割が進学し、約3割が地元企業に就職をしています。
 部活動も大変活発で、運動クラブでは、少林寺拳法、カヌー、陸上競技、弓道部は毎年全国大会に、また、アーチェリー、バスケットボール、柔道、剣道、卓球、ソフトテニス、女子サッカー部なども全国大会や近畿大会等に出場を果たしています。文化クラブでは、商業クラブが毎年、簿記、情報処理、珠算等の全国大会に出場するほか、美術部や写真部は全国規模の作品展で常にさまざまな賞を受賞しており、その他のクラブも熱心に取り組んでいます。
 さらに、授業の一環で行われる神島高校経営科学科の商品開発プロジェクトは、第5回うまいもん甲子園において「紀州うめどりの親子バーガー」で優勝して農林水産大臣賞のほか、「紀州産カリカリ梅のタルタルチキンバーガー」、「梅からあげ」、「めはり風おむすび」でファミリーマートとのコラボ商品を、最近はケータリング会社との共同開発で、地元の熊野米を使った「かしまや梅づくしのご褒美弁当」をつくり、即完売の大人気でございました。
 このような活躍と田辺市街地という立地、地域の普通科志向から、例年、高校受験生から一般出願で常に安定した人気とニーズを保っています。その神島高校が、一昨年、田辺・西牟婁地域の募集定員3クラスが減った際1クラス減ったのに引き続き、ことしも募集定員が1クラス削減されました。
 改めて、今回の田辺・西牟婁全日制の一般出願状況は資料1のとおりです。資料のCの欄を見ていただくとわかると思いますが、普通科に限って言うならば、田辺市内中心部にある田辺高校普通科が60人超、同じく市内中心部にある神島高校が34人超、市内から離れた熊野高校総合学科が2欠で合計92人超であり、田辺・西牟婁の普通科志望の高さがうかがわれます。あわせて、市内から離れた南部高校の普通科が34人欠ですので、差し引いても58人超の子供たちが普通科志望から出願変更する状況であります。
 例年の受験動向を考えても、普通科志望に限って言うならば、市内中心部の田辺高校から同じく市内中心部の神島高校へ、神島から西牟婁郡にある熊野高校へ、熊野から日高郡にある南部高校へ、一般出願後に移動する傾向にあることは教育委員会も御周知のとおりであると思いますが、今回の神島高校普通科を減らした影響で、約90人もの田辺、神島の志望の偏りを生み、余りの偏りに、近年ない多くの受験生、家族が志望校の変更に右往左往する状況になってしまいました。
 間を1年しかあけずに同じ高校を減らしたことも、傾向が読めず拍車をかけたところだと感じています。
 1、一昨年に引き続き同じ高校を減らした理由、2、普通科から40人減らした理由、3、市内中心部の利便性もよく人気も高い高校を減らした理由、以上について教育長にお聞きをいたします。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮下和己君。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県立高等学校募集定員の決定につきましては、「和歌山の子供は和歌山で育てる」の方針のもと、中学校卒業生徒数の推移、高等学校への入学状況、地域の状況及び進学率等を踏まえ、総合的な観点に立って決定しております。
 本年度については、全県的に中学校卒業生徒数が減少している状況であり、田辺・西牟婁地域やその周辺地域の卒業生徒数も減少してございます。こうした中、生徒数の減少や高校への入学状況、普通科・職業学科等のバランス、学校規模、地域の状況及び進学率なども踏まえ、全ての学校について総合的に判断し、平成29年度の生徒募集定員においては、神島高等学校普通科を1学級減といたしました。
 なお、今募集では、神島高校が6学級、南部高校は6学級、田辺高校は県立中学校からの進学の2学級と高校からの募集が6学級、田辺工業高校は4学級、熊野高校は5学級といたしました。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 私も、ことしPTAの会長をさせていただいていますので、自分の学校だけでなく、各校さまざまな多くの受験生の親と会話をいたします。
 和歌山市のように交通の便がいいわけではございませんので、受験校変更で通学距離、時間、費用、これが大きく変わった、そういう方々が本当に多くあったと思います。神島高校普通科の1クラス減で、これが影響して、テストもあるのにぎりぎりまで進路変更に頭を悩ませた、こういう御家庭が多かったと思います。あわせて、何より子供に寄り添う中学校の先生方も本当に大変だったと思っています。最終的に出願倍率で数が合えばいいということではないんじゃないかと思います。
 最後に、2つ要望させていただきます。
 田辺・西牟婁周辺全日制5校については、ことしの出願の偏りを鑑み、バランスを考えて早い段階でクラス数の再編制をお願いしたい。もう1つ、ルールとして、隔年で同じ高校の募集定員を減らさないでいただきたい。このことを強く要望いたして、次の質問に移ります。
 2つ目、県立高等学校への他府県からの進学について質問します。
 ことしは、県下で合計2クラスの減でした。毎年減っていく人口のことを考えると、2クラス減らすくらいなら他府県からの生徒枠を2クラスつくったらどうかという、そういう質問でございます。
 特殊学科を持つ紀北農芸以外で、現在、全国募集枠は龍神、中津、美里、清水の4分校、そして串本古座高校ということで、基本、他府県からの県内県立高校への進学は認められていません。今後の生徒数減の中、クラス数の少ない県立高ばかりになると、学力レベルやスポーツレベルの低下、多様性がもたらす人格の成長のおくれをもたらすことから、クラス数、生徒数を維持することが必要と考えます。
 そもそも、今現在まで他府県からの入学が認められない理由と、あわせて、今後は県内生徒数減に合わせてクラス数を減らすのではなく、県内生徒数減を補う他府県からの受け入れ生徒数を学力、スポーツの特色校などで拡大、一部解禁して学校規模を維持できないか、このことについて教育長にお聞きします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 県立高等学校は、本県の子供たちに高等学校教育を受ける機会を保障することを基本にしてございます。串本古座高等学校や全日制課程4分校のように、本県生徒の進学に影響を与えない地域においては、学校の教育活動や地域の活性化のため、また、本県の自然や歴史文化など豊かな学習資源を活用した学びを希望する生徒のため、県外からの入学者を募集してございます。
 今後も、本県の子供たちに高等学校教育を受ける機会を保障することを基本とし、他県からの募集のあり方については、各地域や学校の状況を踏まえて検討する必要があると考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 再質問します。
 和歌山県で、2060年には52万5000人になるという予測を70万人に減少を抑えよう、年間に換算すると年9600人ぐらい減っている人口を毎年5700人ぐらいに抑えていこうとするわけですが、毎年県下でクラスを減らして学校を縮小したりクラブが減ったり、こういう方針がこの和歌山県が掲げる人口政策に合っているのか。
 県庁各課で体制を整えていく中で、教育だけが毎年県下でクラス数を削減していく従来の方針でよいのか、果たして縮小路線が子供たちのためになるのか、以上を教育長に再度お聞きいたします。
○議長(浅井修一郎君) 教育長。
  〔宮下和己君、登壇〕
○教育長(宮下和己君) 今後の予測の1つでありますが、現在、県内の中学校卒業予定者は、私立も含めまして約9300人でございます。現小学校1年生が中学校3年生になる8年後には、このまま推移いたしますと約7700人になり、約1600人、40クラス分の生徒数が減少する見込みであります。
 県立高等学校全日制課程の適正規模は、本年度作成いたしました県立高等学校再編整備基本方針において、1学年4から8学級を基本とし、地域の状況を踏まえて決定していくこととしてございます。この方針に基づき、将来の生徒数も見通して各学校の学級数を決定していくこととしてございます。今年度は生徒数の減少に伴い学級数を減じておりますが、県全体では中学校卒業生が約160人減少いたしましたが、2クラスの減にとどめました。
 人口政策に関連しましては、県外から移住される場合、その地域に魅力があり、安心して学べる学校があることが大切であり、そのためにも各学校については、一定の規模を維持しつつ特色化を図り、安心して教育を受ける環境を整えていきたいと考えてございます。
 全国募集や本県に移住されてきた方々には、子供同士、また地域の方々と交流を深め、和歌山で暮らすよさを実感することにより、和歌山に定着し、本県を担う人に育つことが期待できるものと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。
 続いて、3番目の質問に入ります。過疎地域へのアトリエつき住宅建築事業の成果についてでございます。
 和歌山県では、以前、緑の雇用事業を進めており、田辺市龍神村ではこの緑の雇用事業の一環として、新世紀山村居住モデル実験事業をスタートさせました。
 新世紀山村居住モデル実験事業は、紀州材の利用促進と山村定住を目的としたアトリエつき木造住宅を建設し、山村地域での芸術、工芸等の創作活動の拠点として、5年間の入居実証体験を行い、山村地域への定住を図る事業で、この事業を引き継ぎ、田辺市はアトリエ龍神の家住宅を設置しています。
 現在、このアトリエつき住宅には、2008年ドイツで開催された世界大会・ハスクバーナ・ワールドカップ総合チャンピオン、チェーンソーアートの世界王者・城所ケイジさん、2004年よりエルトゥールル号海洋発掘調査プロジェクトに参加し、数々のプロジェクトの水中撮影を記録してきたプロの水中撮影カメラマン・赤木正和さん、国内での活動はもとより、昨年は5月ロンドン、11月シンガポールと活動の幅を広げているイラストレーター・やのともこさんを初め、有能で将来有望な創作活動家が住まわれ、過疎化が進む地域の担い手として、産業振興の中核として、また世界への発信力として、非常に貴重な存在、活力になっています。
 また、今までの移住者の評判や人脈で、誰かが引っ越しされ、空き部屋ができても、すぐ続けて違う創作活動家の方々が移住してきてくれるといった、そういう流れが続いています。
 創作活動家たちを呼び寄せ、地域の活力にする新世紀山村居住モデル実験事業。時間がたち、大きな成果となっていることから、この紀州材を使ったアトリエつき住宅事業の成果について、県土整備部長にお聞きをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) アトリエつき木造住宅の成果について、お尋ねがございました。
 アトリエつき木造住宅については、旧龍神村が主体となった新世紀山村居住モデル推進協議会が、平成14年度から平成17年度にかけ、木造住宅の振興を図ることなどを目的とした国と県の補助金を活用し、紀州材を利用した木造モデル住宅として、合計9戸を建設いたしました。
 現在、協議会は解散していますが、協議会が全国から公募し、選考した芸術家の方などが入居されており、引き続き、田辺市が「田辺市アトリエ龍神の家住宅」として維持管理を行っておられます。
 議員から御紹介いただいているとおり、入居されている方々は過疎地における地域活性化や情報発信等に貢献されていると田辺市から伺ってございます。県といたしましては、芸術家の方などが行われる情報発信の中で木造住宅のよさなどもあわせて発信していただいていると考えてございまして、一定の成果があったものと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 人口政策と地域再生を結びつけるには、人数をふやす移住政策とともに、地域の能力を高める人材誘致が必要と考えます。
 特に、このアトリエつき住宅の運営は、時間がたって最もよい結果が出ていますので、和歌山県の移住政策と地域再生のモデルとして、形を変えてでも再開できないか、こういう思いで質問さしていただきました。ぜひ、今後の検討課題として、また考えていただけたらと思います。
 続いて、4番目の質問に入ります。過疎地域への県営住宅の建築再開について御質問させていただきます。
 県営住宅は、住宅に困窮している人に対して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を低廉な家賃で賃貸するための住宅でございます。公営住宅には、県で管理する県営住宅と市町村で管理する市町村営住宅がありますが、高齢者が自立して安全かつ快適に生活できるサービスが受けられる住宅として、高齢者世話つき住宅(シルバーハウジング)などもあります。
 この公営住宅において、新婚世帯は勤務年数とともに所得が上がると家賃も上がるので、転出し、比較的周辺に家を建てる傾向にあります。特に山間部では、地域住民の子供の若い世代が結婚して、子育てを手伝ってほしい、ふるさとに戻りたい、親が心配、そういった理由で親の近くに住みたいが、住宅を建てるまでは収入が安定せず、県営住宅を希望するといったケースが見られます。
 タイミングよく抽せんに当たり入れた新婚世帯は一旦県営住宅に入居しますが、当然、後々勤務年数に応じて収入が上がった場合、それに応じて家賃も上がりますので、いずれ近くに家を建てる、そういった形で新婚世帯がUターンで定住する理想的な住宅政策の形になります。
 この県営住宅ですが、次の条件のいずれかを満たす者は、入居の選定について優先的な取り扱いを受けることができる場合があります。1、政令月収21万4000円以下で、入居申し込みができる特例を満たすもの、2、母子または父子家庭、3、多子世帯、4、配偶者からの暴力にかかわる被害者の方、5、犯罪被害等に遭われた方、次のいずれかに該当することが客観的に証明される方であること。
 具体的には、選定において優先枠と一般枠の2回の抽せんの機会を得ることができます。少しでも過疎地域への若年世帯の回帰を復活させる意味でも、新婚世帯入居の際の優先制度、インセンティブをつくれないか、お聞きをいたします。
 また同時に、ニーズの高い過疎地域、山間部、農村部に回帰する世帯の受け入れのための県営住宅建築再開、もしくは市街地の老朽化した県営住宅の建てかえに際して、ニーズの高い過疎地域、山間部、農村部への戸数の振りかえをできないか、県土整備部長にお聞きをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 県営住宅への新婚世帯の入居優先制度等について、お尋ねをいただきました。
 公営住宅につきましては、住宅に困窮する低額所得者の方の居住の安定を図ることを目的に、県及び市町村が建設し、管理を行っているものでございます。
 議員からも御紹介がございましたが、県では、住宅に困窮する低額所得者の方の中でも、高齢者世帯、障害者世帯、母子または父子世帯、多子世帯、小学校就学前の子供を持つ世帯などの特に困窮度が高いと考えられる世帯については、入居者選定において優先的な取り扱いを行ってございます。
 現在、新婚世帯についての優先的な取り扱いは実施しておりませんが、定住促進や地域の活性化という観点から、他府県の事例も参考にしながら今後の対応を考えていく必要性を認識してございます。
 県営住宅の建設につきましては、老朽化する既存ストックの更新を最優先課題と考え、現在、建てかえ事業のみ実施しているところでございます。また、県営住宅の供給戸数については、地域におけるニーズや実情に合わせて決定しているところでございます。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 5番目の質問に入ります。文化芸術の振興について。
 1、国民文化祭を契機とする文化施設の環境整備について、お聞きをいたします。
 国民文化祭は、全国各種の文化活動の競演または交流する場の提供により国民の文化活動参加の機運を高め、新しい芸術文化の創造を促すことを目的とする祭典であります。そして、このたび和歌山県においても、平成33年に国民文化祭が開催されることが内定したということで、大変喜ばしいことであり、和歌山県の文化レベルを向上していくには絶好の機会であると考えます。
 しかし、国民文化祭内定を契機として文化活動を活性化させていただきたいその一方で、県内の施設は老朽化が進む中、現状では演芸、演劇その他の公演を地方に呼んで文化活動を盛り上げていくには、映像、照明、音響機材の持ち込みやオペレーターの出張など、そのほか余分なコストがかかるといった厳しい状況にあります。そのことで、地方への招聘回数を減らす原因にもなっています。
 また、雇用時に高い能力の人材を雇用したが、十分な機材や機会がないと、本人が育っていきません。
 そこで、これからの文化活動の活性化に向け、文化館員の機材オペレーションの今後のスキルアップや設備環境が求められる中、今後の機材整備を含めた文化施設の環境整備の必要性について、知事にお聞きをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 地域の文化施設は、文化芸術の活動、交流、発信の拠点となっていることから地域の文化力向上に大きな役割を担っておりまして、平成33年度に国民文化祭を本県で開催することが内定した今、その役割はますます高まっているということだと思います。また、新長期総合計画案に掲げる「健康で心豊かにすごせる社会づくり」を推進するためにも、文化芸術に親しむことができる環境の充実は欠かせないものと考えております。
 こうしたことから、文化施設の環境整備は必要でありますけれども、それぞれの文化施設がより快適に利用され、地域の人々に親しまれるよう、当該施設の設置主体が計画的に環境整備に努めていくことが大切であると考えております。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 なかなか、ふだん舞台裏というのは目立ちませんが、拠点文化施設の機材、オペレーターあっての地域の文化芸術レベルでありますし、切れない包丁でよい料理人は育たないということもありますので、この国民文化祭を通じて、地域の文化芸術の拠点の映像、照明、音響など、舞台設備が少しでも整備されればと思っています。
 続いて、2番目の質問に入ります。アウトリーチ事業の拡大について、お聞きをいたします。
 アウトリーチとは、もともと手を伸ばすことという意味の言葉ですが、文化芸術では、劇場、音楽堂など、芸術を鑑賞する場から手を外に伸ばしていく芸術普及活動の意味で使われ、アーティストの学校や福祉施設などへの派遣や施設にとらわれないミニコンサートや参加体験型事業の実施など、館外活動のことを指します。その狙いは、ふだん自館に足を運ばない人や文化芸術に余り触れていない人に文化芸術に触れる機会を提供することにあります。同時に、アウトリーチには拠点の文化会館の存在やふだんの活動を知らしめる効果があり、施設利用者、鑑賞者の拡大につながります。
 近年は、公演団体やアーティストもアウトリーチ活動に協力的になっていて、例えば、自主公演事業の出演者にアウトリーチの実施で出張公演に応じてもらうケースもふえています。また、地域の若手アーティストにアウトリーチ活動の協力をしてもらえば、その育成にもつながっていきます。そうした観点からも、自主事業の一環として、アウトリーチ事業は非常に効果的、効率的な文化芸術振興の手法と考えます。
 文化芸術振興の新しい手法として、今後の和歌山県内のアウトリーチ事業の拡大について、知事にお聞きをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) アウトリーチ事業は、文化会館が遠方にある等の理由で日ごろクラシック音楽や演劇など文化芸術に触れる機会の少ない県民に、文化に親しんでもらい興味や関心を持ってもらうことで、本県の文化芸術の新たな担い手が育ち、文化力の向上を促すことができる、大変意義深い事業であると考えております。
 そのため、県では、平成22年度から県内市町村と協力して、公立文化施設はもとより、学校でのお出かけ音楽会や公民館等を利用したアウトリーチ事業に積極的に取り組んできたところでございます。
 例えば、一例を申し上げますと、これを始めましたころ、2011年12月には、橋本市各地におきまして、和歌山県文化奨励賞をもらいました村田千佳さんを含むゼッパールトリオというのが当時あったんですが、その方々が各小学校を回ってアクティビティーをしていたいだいた後、橋本市産業文化会館でコンサートをするというようなこともやっておりますし、テレビでおなじみの桂枝曾丸さんが、平成25年ですけれども、太地町で古典落語──あのおばちゃんではなくて古典落語ですね──の公演を小人数にやってもらうとか、同じく文化奨励賞をもらわれた小川友子さんは、これは今年度なんですけども、「支援学校のためのお出かけ音楽会」を4つの支援学校でやってもらうとか、こういうことをたくさん重ねておりまして、実は本年度、今まで46回事業を開催いたしまして、多くの参加者に音楽に触れてもらうことができております。
 県としては、御指摘のようにより多くの県民に文化芸術に親しんでもらえるように、例えば市町村や文化施設の担当者等を対象とした研修会、こういうのができますよというようなことを開催するなど、市町村と一緒になってアウトリーチ事業に取り組んでまいりたいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。ぜひ、今後よろしくお願いいたします。
 最後の質問に入ります。6番、世界遺産追加登録エリアの利活用についてお聞きをいたします。
 小項目の1、追加登録エリアの環境整備についてお聞きします。
 昨年、関係各位の多大なる御尽力のおかげで、田辺市は鬪鶏神社を初め5つのエリアが追加登録をいただきました。今後は、多くの観光客、特に外国人も含めトレッキングの方々の来訪が予測されますが、今後の今回の追加エリアにおけるトイレ、案内板、Wi-Fiなどの周辺整備の方針について、商工観光労働部長にお聞きをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 本県には、ブランド力の高い高野山や熊野という世界遺産がある中、今回の追加登録を契機とし、参詣道を安全・安心に歩いていただけるよう、さまざまな取り組みを行うとともに、積極的な情報発信を行っております。
 具体的には、世界遺産追加登録に合わせ、多言語表記の案内板、誘導板を新たに142カ所設置しているところでございます。さらに、世界遺産地域を含む県内全域で、市町村や民間事業者等と連携し、観光客用の公衆トイレを654カ所、和歌山フリーWi-Fiを1630アクセスポイント、それぞれ整備しております。
 また、観光客の皆さんが何度も参詣道を訪れていただけるよう、追加登録地域にスタンプ台を増設し、押印帳もあわせて改訂を行うとともに、全てのスタンプを収集された方に「“超(スーパー)”完全踏破証明書」を発行する新たな取り組みも今月からスタートしております。
 今後、訪れていただく観光客の皆さんに世界遺産の追加登録地域を満足していただけるよう、地元と協力し、ニーズに合った受け入れ環境の整備を進めてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 続きまして、トレッキング女性客の受け入れ体制整備についてお聞きをいたします。
 新しい客層へのアプローチということで、トレッキング市場の新しい牽引力でもあり、SNS、写真など情報発信力、経済効果の高い女子に視線を合わせたデザインの案内板や男女別々のトイレの整備などの推進について、商工観光労働部長にお聞きをいたします。
○議長(浅井修一郎君) 商工観光労働部長。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 議員御指摘のとおり、女性は高い情報発信力と旅の決定権をあわせ持つことから、県では、7年前から若い女性をメーンターゲットとして、SNSや女性に高い支持のある雑誌、テレビなどのメディアを活用した情報発信等、さまざまな取り組みを進めてまいりました。それにより、近年では地域の観光関係者から、世界遺産地域を中心に既に女性客が増加しているとの話も聞き及んでいます。実際、県実施の環境保全トレッキングでは、参加者の約8割以上が女性となっています。
 このような状況の中、女性観光客の視点も踏まえ受け入れ環境整備が行われているところですが、地元市町村が実施する男女別トイレや案内板の整備等を支援するとともに、民間事業者に対してWi-Fiアクセスポイントの設置など、受け入れ環境の充実を働きかけてまいります。
○議長(浅井修一郎君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひ、よろしくお願いします。
 男女別々のトイレ、公道沿いで困っておられる方、団体で来られて本当に苦労されてるところをよく見ます。あわせて、やはりインスタグラムなりさまざまなSNSを使うに当たって、当然、通信環境の整備というのも要ってくると思います。そういう写真がネット上で流れていくことでPRにもつながりますので、ぜひとも女性の目線に合った環境整備、少しずつでもよろしいので進めていただきたいなと思います。
 以上で、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時24分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(浅井修一郎君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 15番尾崎要二君。
  〔尾崎要二君、登壇〕(拍手)
○尾崎要二君 一般質問もきょう私が最終ということでありますので、最後までおつき合いのほど、よろしくお願いを申し上げます。
 まず、報告に入らしていただきたいと思います。あきばさんプールを建設いただきました。その建設着工から今日までの状況についての報告でございます。
 知事の英断と議会の皆様方の御同意を得て、あきばさんプールを国体に向けて建設するということで、競技団体といたしましても、国体を開催する中で大変うれしいビッグニュースでございました。
 これで3つの大きな、困難を伴うであろうという柱の1つが解決をされたわけであります。あとは選手の強化、もう1つが競技役員をいかにして確保するか。
 水泳の場合は、プールサイドで役員、すなわち競技の関係を扱う者は、競技役員資格を自分で自腹で講習を受けて、そしてその資格を獲得しなければならないという決まりがございます。今まで県の大会では、県下で70名余りの競技役員がいて、そして、いつも大会にはそのうち30人、40人の出席を得て大会をしてたわけでありますけれども、いざ国体となれば、250人から300人という競技役員が県内で必要だという重い責任を背負っておりました。
 プールを建設するということでつち音が立ってまいりますと、水泳関係者、現場から離れたOBの皆さんや多くの人から、「せっかくプールまでつくっていただいての大会だ。よし、協力しよう」ということで役員の数が急に多くなり、大会直前では400人を超える競技役員資格を持った人があらわれるというような、いい状況が生まれました。そして、大会前に、プールが完成してから期日前の大会等、幾つも大会を開いたんですけれども、プールに合ったようなきびきびとした、できれば世界大会を誘致しても十分こなせるような競技運営をしようというような形で、一生懸命取り組んでくれておりました。
 そんないい流れの中で期日前の大会を開いて、またうれしいことが起こりました。それは何かというと、あきばさんプールで泳ぐ選手の口から「何と泳ぎやすいプールだろう」と、そして「大会運営もきびきびしてすばらしい」というような高い評価を得ることができました。自信を持って本大会に臨めるなと、和歌山県のあきばさんプールはいい記録が出る高速プールだというようなうわさすら──いいうわさでありますけれども──立ったような次第であります。
 本大会も大変な盛り上がりで、大成功のうちに国体・わかやま大会を終えさしていただくことができました。本大会のNHKの実況放送がございました。解説者から言ってくれた言葉が、「和歌山のこのあきばさんプールは、選手の中から、いい記録が出る、これは高速プールだ」というようなうれしい紹介すらしていただいたような次第であります。
 そして、大会の最中に県水泳連盟と日本水泳連盟との会合も持たれまして、その場所で和歌山県側から、せっかく県でこんな立派なプールをつくっていただいた、役員も多くなって大会運営も自信を持てている、できれば国の大きな大会、また日本のトップ選手の合宿等でもこのプールをぜひ利用してもらいたいというようなお願いをその場でさしていただきました。当時、日本水泳連盟の会長は鈴木大地、ソウルオリンピックの金メダリストであり、その翌日、閣議があって日本スポーツ庁長官就任が発表されたということで、あきばさんプールで翌日、その記者会見も行われておりました。
 大会を通じてそういうお願いをさしていただいてたという中で、日本水泳連盟も全面的に協力していこうというような言葉もいただいておりまして、まだ国体の感動が冷めやらぬうちでありますけれども、カナダのナショナルチームが、来年行われるパンパシフィック大会、そして3年後に行われる東京オリンピックに、国内の事前キャンプ地としてあきばさんを利用するというような話が舞い込んでまいりました。うれしいなあという思いでおりましたら、昨年の11月でありますか、知事と市長が出席のもとで正式にその調印もされたということでございます。
 また、和歌山県の水泳連盟のほうへ、リオオリンピックの前でありますけれども、日本水泳連盟の強化コーチ、ヘッドコーチでありますけれども、平井コーチのほうから──平井さんというのは北島康介選手を育てた名コーチでありますけれども──大会を前にして、和歌山県選手権へ、リレーメンバーを中心としたオリンピックへ派遣する選手の参加を認めていただけないかというような問い合わせがありまして、当然即答でウエルカムですと、どうぞ参加をしてくださいというようなことと同時に、少し事前合宿もというような話がありましたので、早速、県のスポーツ課も入れて、そして、ぜひ御利用いただこうではないかということで、1週間の合宿もしてくれました。それを歓迎するセレモニーで、県のほうからは宮下教育長、出席をいただいて、私もその場へ出させていただいたんでありますけれども、もう大変、オリンピック選手が来るということでのにぎわいがございました。
 そんな中で、水泳連盟のほうからは、何か地域の名産を食べていただこうということで選んだのが、印南でつくっております小玉スイカであります。「これ、大変おいしいスイカです」と挨拶の中で私も申し上げて、あわせて、「このスイカの名前は『ひとりじめ』というネーミングがついております。ぜひオリンピックでメダルをひとり占めしてもらいたい」というようなことも話をさせていただいたようなわけでありまして、そしてにぎやかな合宿と同時に、2日間の県水泳選手権大会に全員9名、参加をしてくれました。和歌山県の選手にとって、世界を相手にして戦うオリンピック選手とともに泳げるんだと、貴重な経験もそれでさせていただきました。
 いい経験が続いたのか、その後、岩手で行われました国体においては、和歌山北高校の住岡叶夢さん、女子の競泳として30年ぶりに優勝もしてくれております。
 また、リオのオリンピック大会では800メートルリレー──水泳競技では800メートルリレーというのは最終日の最終レース、花形と言われているリレーでありますけれども、それに出場した松田、小堀、江原、この3選手は合宿へ参加をしていただいた選手です。頑張っていただいて、前の東京オリンピック以来52年ぶりの銅メダルを獲得してくれた、大活躍をしていただいたと。やはりあのスイカを食べたおかげかなというようなところも思ったような次第ですけれども、いい状況が次から次へと続いてございます。
 例えば、ことし1月の21日、22日、2日間、県短水路選手権を開催いたしましたところ、参加してくれた選手の数が1256名、うち県下から参加した選手が350名ですので、残り900名は県外から参加をしてくれております。そして引き続き、先月2月11日、12日と2日間で行われましたわかやまオープンという大会には、参加選手が2281名、そして県内の選手は280名でありますので、2000名は県外から参加をしてくれております。東は埼玉県まで、北は富山県、西は愛媛県、各地から大勢の選手が参加をしてくれて、そして、紀の国わかやま国体のときですら1200人の選手が4日間かけて泳いだわけでありますけれども、2日間でその倍に近い2200名が泳ぐということでありますので、県の水泳連盟の競技役員もくたくたになりながらも、2日間きびきびとした試合運営を続けてくれて、大変盛り上がった大会となりました。
 そして、大勢が泳ぐわけでありますので、朝8時半から夜の8時まで2日間、昼の休憩もとらず、一切休憩をとらずにぶっ続けでする競技を行いました。大変な大会新記録も次から次へと生まれて、大変ありがたいなという思いも私自身も持たしていただきました。
 水泳連盟の役員に「何人ぐらいこのうち泊まってくれてるであろうかな」というような話をしたところ、「それは少なくても1000人は超えてると思います」と。もう大変、競技を運営するだけで多忙でありますので、宿泊をどこにされてるか、何人泊まっているかなんていうような集計というか調査をする余裕もなかったのできちっとした数字はわからないですけれども、1000人ぐらいは超えてるかなという話でありました。
 たまたま、お隣の奈良県の水泳連盟の理事長が来ておりました。奈良県からどんな参加状況か教えてもらいたいと尋ねたところ、奈良県選抜という選抜された選手が34名、コーチが6人、その40人が紀三井寺のはやしさんへ泊まってますと。あわせて、父兄──保護者でありますけれども──80人来ているけれども、全員和歌山市内のホテルか旅館に泊まっておりますと。この大会へ来ると、昨年もそうでしたが、和歌山で宿泊施設がとれないということでありますので、もう来年の予約を帰り際に各チームがして、そして帰るんだというような話です。それ以外には、選抜から漏れた選手が奈良県から150名、そのコーチやスタッフ、保護者、ひっくるめたら奈良県からも随分和歌山市内を中心として泊まらしていただいているというような話でございました。
 県も市もそうでありますけれども、10年ほど前からコンベンション事業ということで補助制度を設けて全国大会を誘致して、ちょっとでも多くの人に和歌山へ来ていただいて、和歌山のよさを知っていただこうという努力を積み重ねてこられているようであります。
 水泳の大会はこの制度は利用しておりませんけれども、そんな中で、大会が終わって、毎回ですけれども、閉会式が終わるとすぐコーチの皆さん、スタッフの皆さんに集まっていただいて、最後、終礼という会合を行います。大会に対する御苦労に対して礼を言う会でありますけれども、その場所で私のほうから、皆さんが御苦労いただくおかげで和歌山県でも今いろんな事業をして、県外の皆さんにお越しいただく努力をしている、皆さんの大会での活動が元気な和歌山の創造、それに大変役に立っていただいてるというようなことを申し述べて礼も言ったわけであります。
 一競技団体でありますけれども、県で立派なプールをつくっていただいたおかげで、輝くというようなところまで言うと大変語弊があるかもしれませんけれども、和歌山県の元気な創造の一助にならしていただいてるということにみんなで誇りを持っていけるなというように感じた次第でございます。
 まず、報告をこれで終わらしていただきたいと思います。
 早速、質問に入らせていただきます。
 まず第1に、新長期総合計画、これについてであります。
 この議会の初日、仁坂知事のほうから知事説明がございました。知事説明の中で、知事に就任してから10年という言葉を言われておりました。私もその言葉を聞きながら、平成18年12月の就任だからもう10年がたったんか、早いなあと、そういうようなことを思いながらその知事説明を聞いておりました。
 知事に就任されてから1年目に、現在の長期総合計画を平成20年の2月定例会で上程をされるという話を聞いたときに、私はまず思ったのは、知事に就任されてわずか1年、えらい慌てて長計を発表するんだなと、少し肩に力が入り過ぎてるんじゃないんかなあというようなことを思いつつ新長計に目を通したところ、なるほどなと思いました。と申しますのは、それまでの長期総合計画というのは、和歌山県の人口が右上がりにどんどんとふえていくと。着々、ますますと、あとは書いてる文章を見たら大体そんな文章ですけれども、そんな形での長期総合計画。
 ところが、知事に就任して、和歌山県の人口がどうなっていくかと見ると、カーブを描いて減少していくという予測が立っているという中でありますので、まず長期総合計画をつくる土台が根本から変わってしまってるなと。
 これならば、やはり急いで、それに即した長計でなければなということで、私もその当時、2月定例会で長計の質問をして、その方向を変えたことを了とし、あわせて、どうしてそういう思いに至ったのか、また、どんなに頑張っていくんかというような質問をさせていただいて、知事のほうからは、和歌山県の目標を示して、そして一歩一歩着実に努力を重ねたいと、至極当然な答弁がありました。そのとおりだろうと思うわけでありますけれども、そしてそれから9年が現在でたってるわけでありますけれども、うまくいったこと、また大変うまくいかないこと、長計で示したことに対しての結果というのが、この9年の間に出てきております。
 まず、一番長計で示してよかったなと思うのは、広域インフラを整備していくと。就任されたのは平成18年。ちょうどそのころから、もう公共事業はそろそろやめにしたらどうだと、もう道路も要らんのじゃないかというような空気がどんどんどんどんと広がってきてました。その当時のマスコミ初め評論家は何と言ったかというと、砂防事業なんていうのは自然破壊だと、もうやめてしまったほうがええというような話が随分ありました。
 つい先般、長野県で、広島県で、砂防の土石流で大勢の犠牲者が出て、そして和歌山の大水害のときにも残念ながら大きな被害が出た。その当時そんな無責任なことを言った人たちには、その場所へ行って謝ってもらいたいなと。何とも評論家とはのんきだなという思いがするわけですけれども、そんな逆風の中で道路整備を訴えていくということであります。
 そして、和歌山県が「命の道」という言葉を常に全国に向けて発信し、言ってきたわけでありますけれども、その「命の道」という言葉すらあざけ笑うような形で評論するような人たちもいたのも現実でございます。
 そんな逆風の中で、特に政権が変わりました。御承知のとおりであります。そこに所属されてる皆さんもおいででございますので、もう多くを語りませんけれども、そのときに串本勝浦道路へ来られた人には、あの紀南の水害があったときにまた来られたようですから、謝ってから見に来てもらいたいなというような思いすらした。
 そんな逆風の中で、知事は常に先頭になって、和歌山県にとって命の道だと。そして、よそが整備されたからもう和歌山はいいんじゃないかと、そんな理屈はないと、不公平だということで先頭切ってその問題に対して頑張られたというようなことで、高速道路も、当時46%の整備率が、今現在80%まで来ております。1周までまだまだ課題もあろうと思うんですけれども、県民の悲願でありますから、新しい長計でもそれをうたって頑張っていかねばならんというようなことで、大変交通インフラには実績を残せたし、長計で示したとおりよくなってきたなと。
 2番手には、先ほども申し上げた国体でありますけれども、総合優勝して大盛会であったなと。ましてよかったのは、県もそう、市町村もそう、議会もそう、そして何よりも競技団体も県民の皆さんもボランティアで一生懸命手伝って成功さそうと、県民が1つになった。このことが一番すばらしかったかなということで、国体に対しても二重丸をつけたいと思います。
 ただし、二重丸はつけるんですけれども、昨年の状況を見てみますと、県の目標は10番台ということであったようですけれど、20番。それはそんなに悪くはないかなと思うけど、冷静に見てみますと、特に球技、チームでする球技においてはほとんどがもう近畿大会で負けてしまって、国体の本大会にすら出られてないという結果でございます。
 そして、私も県民の皆さんから厳しく言われてるんですけれども、和歌山県の駅伝、なぜこんな弱いんなと。もうテレビ見てたら腹立ってきて、テレビ切ってしまいたいなというぐらいなんだと。これは、言葉は悪いですけれども、ふるさと和歌山を思う郷土愛から出てくる言葉であろうと思うんですけれども、これも芳しくないと。
 ついこの間も、市町村駅伝が終わりました。県民総合体育大会という今日まで各競技で参加した、それを全て取りやめて唯一、1つにしてしまったのが市町村駅伝です。そのとき私は、10数年前ですけど、教育長に申し上げました。随分和歌山県の駅伝は強くなるんだろうなということを教育長に尋ねたら、口ごもりながらも「強くなると思います」。今現在の結果を見たら、見たとおりでありますので、何とも頼りない返事をもらったなということであります。
 やはりこれらについても、現状がこうであるということを率直に認めて、そして、あの盛り上がった感動を忘れず、ぜひひとつ頑張ってほしいなというように思っております。
 また次、これも二重丸つけたいなというのは観光客に対して。随分どんどんどんどんふえてきていると。今まで当局も、また市町村も、各団体もみんな頑張って、和歌山をと。もともといい温泉があり、すばらしい景観があるという和歌山であるけれども、外国へ行くより和歌山へ行くほうが時間がかかって遠いと言われたような和歌山も、先ほど申したように道路改良も進み、そして、みんなその努力をしてくれたと。世界遺産もしかり、日本遺産もしかり、ジオパークしかり、「1890」しかり。また、パンダも生まれたし、梅の農業遺産もと、みんなで取り組んで、いい結果がどんどん出ていると。この流れを引き続き、続けてもらいたいなというように思っております。
 今、丸のほうを言ったんですけれども、次、余りよくないというペケのほうですけれども、まず学力の問題。もうこの間から議場で随分議論もされてございます。なぜ成績が低いのか。一言で言えば勉強してないからであります。それゆえにどうしていくかということに関して真剣に考えていかなければと。
 私は、第一義には、まず教員の指導力、技量の問題、これが第1に挙がると思います。ただし、その先生ばかりを責めてもこれは解決する問題ではない。学校には校長や教頭さんという管理職もある。その人たちもやはり学校でスクラムを組んでひとつこれを改善していこうというようにすべきであろうと思います。市町村の教育委員会並びに県教育委員会にも大きな責任がある。それを果たしていないという結果であるがゆえに、大変厳しく先般からも質問が出ていることであろうと思います。
 また、父兄、保護者の協力も大変必要でございます。PTAしかりでございます。あわせて地域も、子供たちは国の宝、和歌山の宝なんだということで、いい背中を見せるようにやはり励んでいかなければならんであろうと思います。
 例えば昨年の9月定例会、私は岡公園の奥にある議員会館をよく利用するんですけれども、どういうわけか岡公園のとこを通ろうと思ったら車が通れないんです。黒山の人だかり。隣に保育所があるんですけど、保育所の子供たちを迎えに行く車すら満足に通れないと。もう大変なことだな、祭りかなと思ったんですけれども、後で聞いたら、ポケモンGOがどうでと。私も携帯電話は古い形の携帯電話でありますので、その内容はよく知らないんですけれども、大変ひどい状況でありました。
 自転車も単車もたくさんとまっておりました。後でパトカーも来ていただいたり、警察官もその指導に来ていただいたので、どれぐらい通報があったのかということを警察のほうへお尋ねしたところ、西署に26件、110番が15件、合計41件、岡公園のその騒ぎに対してもあったと。何度も何度もパトカーも来ていただいて注意しなければ道も通れないようなありさまであったと。その大人の背中を見て、子供が本当に賢くなるんかなと。
 何しろ、テレビやテレビゲームの時間が長いからだと言われて、そういう状況調査が出てるわけでありますから、本当にこれをしていこうと思ったら、国体でしたみたいに、観光振興で実績残したみたいに、みんなで本気になってやらなければ子供たちの学力はと思います。なぜならば、和歌山県は子育て日本一、学校の成績はびりに近いと、これではちょっと寂しい限りでありますので、頑張っていきましょうではありませんか。
 また、人口目標も、この平成29年に97万5000人という減少で食いとめたいということでありましたが、95万1000人。2万4000人、人口が減っていくのが前へ進んでいるという状況が出ております。
 また、きょうも藤山議員のほうから鳥獣害の話がございました。一生懸命頑張っていることは理解をするわけでありますけれども、私どもの地元のミカンの山でもイノシシは暴れたい放題であります。自然の営みというのは難しいなと。四国に橋をかければ日本の技術力、科学の力で立派な橋がかかるのに、その足元に生えている松の木に対して発生する松くい虫を退治し切れない、そんなことと近いんかなと思うんですけれども、これも「やってみよう、田舎暮らし」と言うて都会の皆さんに呼びかけて、和歌山へおいでくださいよというようなことと同時に、やはり中山間地域で命をつなぐ、生きていくということに至っては、この有害鳥獣の問題というのはどうしても避けて通れない、またなお、これも本腰を入れて頑張らねばならんのかなと思ってございます。
 新長計を見させていただいたら、書いてることは全ていいことを書いております。いい言葉を言って、いい言葉で文章をつくるぐらいなら、これは誰でもできることではなかろうかなと。要はその書いてることをいかにして実行していくか、この辺が問われるこれからの10年間になるのではないかなと思います。
 10年を経過して、新長計に対する知事の意気込み、また、現在の長計と新しい長計はどう違うのか。それと、毎年進行管理や検査、また、注意を喚起して指令を出すというような意味でも新しい部署も必要になってくるんじゃないかなと、そのような思いもあって質問させていただきました。それに対する知事の所見を承りたいと思います。
 2番目に、長計の中でうたわれている紀淡海峡ルートについてであります。
 昭和40年に国連の調査団、日本政府の要請で調査をしたようであります。そのワイズマンレポートの中に、やはり1本の道路、鉄道へ集中して国の方向を示していくというような形は危険だと。例えば和歌山から四国へ渡って九州へ通るような東西の第二軸が必要ではないかというのが、そのワイズマンレポートの内容であります。
 それを証明したのが阪神・淡路大震災。神戸で大変な被害になって、そして交通も麻痺をしたと。和歌山県庁の前は、フェリーに乗って四国へ行く、物資を運ばねばならんというトラックで大渋滞を起こしたというようなことで、やはりこれも重要な大きな課題だと思います。評論家に言わせたら、無責任ですから「そんなものは必要ない」と言うような評論家、進歩的文化人もおるようでありますけれども、そんな無責任な話は耳を傾ける必要がないと。
 当局もそれぞれ関係県で連絡をとり合って、そして、関係の議会も議長連絡協議会を設けて国へ要望し、国も県も部分的な調査もずっと続けてたんですけれども、平成20年ごろからそれがアウトという形になって、どういうわけかぷつんと切られてしまいました。
 ところが、平成23年に起こった東日本大震災、それでやはりそういうことに対する考え方が大きく変わってきたように思います。
 私も、平成25年の関西広域連合でこのことについて質問させていただいて、時間の関係もありますから、まあやりましょうやということで質問したところ、広域連合としても積極的に取り組んでまいりたいというような答弁でありました。「和歌山の加太から石を投げたら淡路島に当たるぐらいのとこなんですよ」と言うて、井戸連合長にもそのときは私、話をしたわけでありますけれども、これをひとつ進めていこうという動きで、少しよくなってきたんですけれども。
 また、今、1つチャンスじゃないかなと思うのは、新幹線を見てみると、もう既に九州から本州、北海道とつながりました。北陸新幹線ももうルートが最終的に決まると。あと基本の整備計画の中で残っている一番のメーンは四国新幹線だろうと思います。その四国新幹線をいかにこの関西とつなげるかということになってくると、この紀淡ルートというのも大きな可能性があると。これを関西国際空港へつなぐなり、奈良へ向いて行かすなり、どうしてもこの和歌山を通るようなコースで通ってもらいたいなと。
 先ほど私は、例の駅伝の話をいたしました。高校生もそうです。都道府県の駅伝もそうです。下位の県を見てみたら、全く新幹線が通ってないような県ばかりがその後半へずらっと並ぶんです。和歌山も一番下へ並んだり、ちょっと上へ行ったり、奈良県があったり、鳥取県があったり、沖縄があったり、九州各県があったりということでありますので、いかに新幹線というのが地域にとって大事かということはそれ1つ見てでもわかるなと。新幹線みたいな速い電車をふだん見ていないから走るのが遅くなるのかなと心配するぐらいであります。
 ことし1月の30日ですけれども、堺市でシンポジウムが行われました。和歌山県、徳島県、そして堺市と。それぞれ仁坂知事、飯泉徳島県知事、竹山堺市長も出席の中でのシンポジウム。京都大学、内閣参与の藤井先生の話を聞かしていただいた後、そういう討論会的なこともございました。大変熱気で盛り上がって、そして、紀淡海峡早期実現のために頑張ろうと。申しおくれましたが、関西エアポートの社長もお見えでございました。
 今申し上げた紀淡海峡ルートに対して、関西広域連合インフラ検討会幹事長も務められている知事に、その辺に関しての思いを、御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
 次の質問に入ります。
 果樹振興、今回は温暖化と、そして直売交流、2点について質問をしてまいりたいと思います。
 まず、うれしいニュースですけれども、和歌山県の果樹試験場が育成して、そして県当局が一生懸命その普及に努力をしたゆら早生というわせがございます。極わせですけれども、最初それを出した時点では、酸味がきつくて、糖度も高いんだけれども、少し酸いんではないかなとか、玉の形がピンポン玉みたいに丸いとか、菊がつぼみになるとでこぼこになりますけれども、少しそういう菊ミカンが出やすいとかというようなこともあったんですけれども、味はいいなあというような、農家の評価が分かれましたけれども、それだけ県が推奨してくれるんならつくろうかという農家もふえてまいりました。そのゆら早生ですけれども、今シーズン、温州ミカンで日本一の高値をつけてくれました。大変うれしいな、よかったなと。県の試験場、あっぱれやなと。私も随分辛口で物を言うほうですけれども、本当にこれはありがたいなと。農家は随分喜んでおります。「何かの機会があったら、要二さんのほうからもそうして褒めたげてよ、礼言うてよ」というようなことをよく言われるわけであります。
 そういういい話もあるんですけれども、片や農家のほうからは、最近どうもミカン、早く熟し過ぎるなと。熟すというのはどういうことかというと、字のごとくですから、もうすぐ食べられる状況になる、これが早くなったと。その結果、どんなことが起こってきたかというと、ミカンの浮き皮という問題が出ております。ミカンの食べる実と外の皮の間に空間ができるのを浮き皮と言うんですけれども、これが出てくると随分傷がつきやすくなります。そして、よく腐るようになります。そういう問題が出てくる。そして厄介なのは、今までもう産地中の産地ですばらしいミカンをつくるという、そういういいミカンほどそういう状況になりやすいという浮き皮現象でありますけれども、この原因は温暖化であろうと言われております。
 また、温暖化になってまいりますと色がつくのが遅くなる。実はおいしくでき上がってるのに、赤いミカンにならんのです。青いところが残るんです。というのは、秋になると、もみじの紅葉を見ていただいたら、昼と夜の温度差がどんどん開いてくると、もみじも紅葉する。ミカンの実も色づくわけでありますけれども、その色づきが悪い。そうするとどんな現象が起こるかというと、それが全国的に集中すると一気に市場へ出てくるわけであります。そうすると値崩れを起こすというような問題もございます。
 そして、これも言われる話なんですけれども、「今までわしとこはつくってる場所がもう高い山の上なんで、親類へミカンを送ると必ず礼の電話が入ってくる。ミカンを送ってくれてありがとうと。ただし、わしとこの親類も正直なんで、決してうまかったという言葉はない」と。ところが「ここ2シーズン、送ると、えらいおいしかったよと言うて褒めてくれた」と。すなわち、今までできの悪いような厳しい条件のほうがいいのができて、いいのができるところが腐りや浮き皮というような問題点も出てきております。日本一の温州ミカンの産地和歌山県でありますので、ぜひこの温暖化に対する対応をお考えいただきたいと。
 実は、私とこの地元で仁義という地域がございます。漢字は兄弟仁義と書く「仁義」と書いて「ニンギ」という地域なんですけど、ビワの産地でございます。昨年のビワ、8割アウトです。もうひどいところは家全滅しております。これも何かというと、温暖化でビワの花が咲くのが早くなる。早くなるとどうしても実がついてしまう。そして寒う、すなわち寒波が来ると、みんな真っ黒になって腐ってしまう。だめになるということで、これも私の知り合いですけれども、ビワ農家で頑張ってるところ、いつも親類や知り合いへビワを送るんだと。でもことし、自分とこの家でビワは全滅したんで、わずかできた近所から分けてもらって親類へ送ったんだというようなことで、ビワも大変な被害でございます。
 温暖化に対して、品種改良や、またそういう浮き皮などの問題に対して、試験場でも頑張ってもらいたい。その辺の答弁を農林水産部長にお願いを申し上げたいと思います。
 また、2番目の果樹振興、直売交流です。
 関西広域連合ができて、私も初めて行ってびっくりしました。大体、会議へ行くと目がくらむようなことはないんですけれども、初めて議会が結成されたときに行ってみると、花火大会してるほど前が見えないんです、テレビのライト、フラッシュで。これはこれはというような形で、一部の知事がパフォーマンスでもうマスコミ受けを狙って何かしてるような舞台みたいに見えて仕方なかったんですけれども、実直に物を進めていこうかという姿勢には少し欠けるなという感じを持ったのが関西広域連合の第一印象です。
 そして、そんな中で吉井議員、私も農林水産振興にもっと頑張ろうじゃないかと。地産地消もお互い2000万もある地域なんだから、そういうのをやろうじゃないかと言うて申し上げたところ、答えだけはいいんです。「大変重要な御提案と受けとめて頑張っていきましょう」と、言うだけで何にもしないんですけれども。そんなことが続いて、そして、そんな中で私も地産地消のことに関して少し「ううん」という思いを持ってたら、頼りにしてた滋賀県ですら、「域内で地産地消というのはおかしいんじゃないか」と。
 議会で全員で一旦農林水産委員会を設けてやってくれというようなことまでしているのに不熱心でありますので、滋賀県の県の幹部に申し上げました。「みんなでやろうかということを一生懸命しようとしないのはどういうことか」と。「ならば申し上げるけれども、琵琶湖のウを関西広域連合、広域の課題として、大きな柱として取り上げてくれ」と。「和歌山にとって見たら、別にウらどうでもええんや。それでも、せっかく、滋賀が苦しんでおられるなら自分たちも一緒にやろうやないかと言うてそういう思いも示してるのに、我々が言う地産地消、農業振興に何で不真面目なんだ」というようなことで、少し声も大きくなってたようですけれども。
 そうしますと、滋賀のある県会議員がその場へ来られて、「うちの者が何ぞ先生を怒らすこと言うたんか」と言うから、「もう、ちょっとでないんや。思い切り怒ってんねん」というような話をして、そして農業振興に不熱心だという話をしたところ、「もう頼りにならん当局置いといてでも、一遍自分らで直売所でお互い地産地消をやってみようか」というような話を言ってくれて、これはまあ当局をおいておくわけにいきませんので、すぐ私も県の農林水産部長に、滋賀県も農林水産部長に話をしてくれて、そしてできたのが私どものJAながみね「とれたて」という直売所があります。滋賀県のJAおうみ冨士「おうみんち」という直売所があるんですけれども、お互いに一度、試験的にやってみようというようなことで始まりました。
 そして、和歌山から蔵出しミカンを持って向こうへ行ったら、向こうの県会議員が4人、はっぴ着て、そして和歌山のミカンを一生懸命売ってくれたと。それはありがたいなと、我々もそれに応えねばならんということで、地元の藤山議員、それから農林水産の議連の長である冨安さん、またあと広域連合ということで山下、岸本議員にもお見えいただいて、そしてはっぴ着て、今度は近江の近江米、米を販売するのに小さいおにぎりをどんどんたくさんつくって、それを一生懸命配って「皆さん買ってください」というようなことをして続けてまいりましたところ、正式に広域連合でもそういうのを取り組んでやろうやないかと。
 また、その前に委員会も設置をされたというようなことで、それが前へ進んでまいりまして、そして新たにJA京都やましろ、兵庫のたじまの「たじまんま」、こういうところも一緒にやろうと言うて、今おかげさまで広がってきて、京都からはつい先般、ミカンの注文、蔵出しミカン1000ケース、10キロのを注文くれたようです。同じミカンを買うんなら、京都にはないわけですので、御縁のある和歌山から買おうと。また、県内のJA紀北かわかみや紀州やと、5つのJAもそれへ入って、今1つの輪になってきております。
 こういう、実際販売につながる目に見えるような事業もこれからももっともっと広げてほしいし、新たな事業もあるであろうと思いますので、その点について知事の答弁を求めたいと思います。
 最後に、道路整備についてであります。
 まず、国道42号線の有田─海南間。平成4年に下津と有田で協議会を立ち上げて、海南、有田郡も入っていただいて、その後、正式に42号線の整備を進めてほしいというようなことで頑張ってまいりまして、昨年やっと起工式をしていただいたと。いよいよだなあと。それまではええんですけれども、前の前の知事、名前は申し上げませんけれど、その当時にも重点項目として進めていこうと。そのときには第二阪和と海南─有田間は同時で進めましょうよというて言うていただいたんですけれども、気がついてみたら第二阪和の竣工式がもうこの近い間にやると。まだ我々のところはほとんど姿も見えていないということなんですけれども、そのことを十分お知りおきをいただいて、今の速度をひとつぜひ進めていただきたいなと、これが国道42号線に対して。
 それから、国道370号線。これも我々海草郡の住民、実は県会議員にとっては耳の痛い話ですけど、地元でよく言われたんです。こんなに道路が進まないのは海草郡に県会議員がおらんのかと。よほど頑張りませんと皆さんも地元でそういうことを言われるかもしれませんけれども、そんな中で道路整備に一生懸命携わってきたつもりでありますし、今、X軸ということであちらこちらでつち音を立てていただいて、この歩みをぜひ引き続き進めていただきたいと思います。これについて。
 それから、先ほど藤山議員からも都市計画道路松島本渡線について質問ございました。今できたところを走ってみると、すごい便利になったなあ、ええなという思いがいたします。実は私、当選したときに、都市計画道路があるということで先輩議員に尋ねたことがあるんです。「要ちゃんよ、都市計画道路というのはね、名前だけ書いといていっこもさわらない、工事をしないのを都市計画道路と言うんだ」というような話を私は30年近く前に聞いたことがあったんですけれども、実際できてくるとすばらしいなと。
 ところが、途中でぷつんととまるんです。とめねばしようがないんでしょうけれども、これを一刻も早く海南市の4車線である370号までつないでほしいなというのが地元の思いでありますので、その点についても頑張っていただきたい。
 そして、同じく出ました海南秋月線。これは大変車がよく通るんです。でも、普通車同士で交わらないところが何カ所もあると。ようこんなひどい道で長いことほってきたなというぐらい、あきれるような道でありますので、それに対しても鋭意精力的に取り組んでいただきたいと。
 以上で、第1回目の質問を終わります。
○議長(浅井修一郎君) ただいまの尾崎要二君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、知事就任以来、元気な和歌山の実現に全力で取り組んできましたが、県民や県内事業者が、国内はもとより世界を見据えて積極果敢にチャレンジできる条件がだんだん整ってきたというふうに考えております。
 このチャンスをより確実なものにするために、新たな長計の策定に際しては、議員各位からも貴重な意見をいただいた結果、県民に、将来、和歌山は持続的に発展していくという希望を持っていただけるような、そういう計画案になったと考えておりまして、目指す将来像の実現に向け頑張っていきたいと思います。
 現計画との違いにつきましては、世界とつながる戦略的な施策をさまざまな分野で力強く打ち出したことや、持続可能な地域をつくるためにふるさと生活圏の再編・活性化を図ること、さらには、80歳現役社会や女性の多様な働き方の実現など、これからの時代の潮流を見据え、新たな仕掛けの数々を随所に盛り込んだところでございます。
 また、紀伊半島大水害からの早期復興を成し遂げた経験等も踏まえ、災害による犠牲者ゼロやよりよい復興の実現など、安全・安心な和歌山をさらに強化していくつもりでございます。
 次に、計画の進行管理や検証は、御指摘のように大変大事でございます。そういう意味で、策定を担当し、内容を熟知している企画部が計画の進捗状況を常に把握し、全庁に対して既存の施策の見直しや新たな施策の展開を指示するなど、計画全体をグリップすることが重要であります。そのためには、今年度強化した企画総務課の組織を解散とか縮小させないで維持をいたしまして、新計画の進行管理や検証をしっかりやらせたいと、こう考えております。
 次に、紀淡海峡ルートについてでございます。
 この実現は、第1に第二国土軸としてリダンダンシーを確保するもの、日本全体としてリダンダンシーを確保するもの、第2に西日本の大動脈の代替機能を有する四国新幹線の実現を可能とするもの、第3に関西国際空港と大阪都心を結ぶ超高速鉄道の整備につながる、関空の機能強化に資するもの、第4に関西大環状道路や大阪湾環状道路の形成につながるもので、効果は非常に大きいものと考えております。
 しかし、国においては、現在、紀淡海峡ルートを初めとする海峡横断プロジェクトに係る調査が行われなくなってしまっていました。
 そこで、本県では、国への提案活動を積極的に行うとともに、私が関係府県に呼びかけ、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会を立ち上げ、紀淡海峡ルートや四国新幹線の実現に向けた取り組みを行ってきたところでございまして、実は関西広域連合におきましても、私が幹事長を務める広域インフラ検討会が中心となって、紀淡海峡ルート実現に向けた活動を行ってまいりました。
 こうした中、国の平成29年度予算で四国新幹線を初めとする基本計画路線についての調査費が盛り込まれ、かつ増額査定されました。実現に向けて新しい兆しが見えてまいりました。さらに近々、京奈和自動車道の和歌山─岩出間の供用が開始され、名阪国道を経由して名古屋までの新たな物流が創出されつつあります。
 このような動きを踏まえ、シンポジウムを開催したところ、議員を初め400名を上回る方々に御参加いただき、紀淡海峡ルートに対する関心の高まりを実感いたしました。
 紀淡海峡ルートは、和歌山県のみならず関西の発展、日本の将来の発展のかなめとなる重要なプロジェクトであるとともに、東京一極集中からの脱却を図り、双極型国土構造の構築や地方創生回廊の整備、さらには国土強靱化を図る上で必要不可欠なプロジェクトであり、ぜひとも実現させなければならないと考えております。
 そこで、3月5日に開催されました関西広域連合委員会において私が提案をいたしまして、四国新幹線を初め、関西における新幹線の早期整備について国に要望することになりました。
 今後も、紀淡海峡ルートが早期に実現されるよう、シンポジウムの開催による機運醸成、関係団体と連携した国への要望や提言活動など、積極的に進めてまいりたいと思います。
 次に、農業振興、特に直売所交流でございます。
 県では、これまで直売所の開設支援を実施するとともに、私が担当委員を務めております関西広域連合農林水産部では地産地消の取り組みを他に先行して行っており、直売所交流はその取り組みの核となるものと考えております。
 尾崎議員からの御提案により平成25年度に行われました直売所交流の取り組みは、集客増加や販路拡大につながる意義ある効果的な取り組みであり、平成26年度より広域連合の事業として実施しております。直売所交流の取り組みは着実に回数が増加するとともに、参加府県も拡大してきております。また、交流に参加された直売所の方々からは、毎年お客様が楽しみに待ってくれている、交流により品ぞろえがよくなり来店客数がふえたといった声が寄せられております。
 今後とも、県内での取り組み拡大を働きかけるとともに、関西広域連合の担当委員として、構成府県市により多くの直売所が参加できるように新たな仕組みも検討して、できれば提案も行って、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
○議長(浅井修一郎君) 農林水産部長鎌塚拓夫君。
  〔鎌塚拓夫君、登壇〕
○農林水産部長(鎌塚拓夫君) 果樹の温暖化対策についてでございますが、本県の基幹作物である果樹につきましては、議員御指摘のとおり、一旦植えると長期にわたって営農を続けていかなければならないことや、気温や降水量といった気象変化の影響を受けやすい品目であることから、温暖化対策は重要な課題であると認識しております。
 このため、これまで県では、浮き皮になりにくい温州ミカンの選抜や梅の黒星病抵抗性品種の育成などに加え、柿の軟化防止技術や桃の果肉障害軽減技術の開発等の試験研究に取り組んでまいりました。また、県単独事業により、新たな品目や浮き皮を軽減するための新技術に加え、貯蔵ミカンの低温貯蔵施設の導入等に支援をしているところでございます。
 今後も、品種育成や浮き皮防止技術など温暖化に関する試験研究を積極的に行うとともに、単一経営でのリスクを避ける複合経営化の推進や農業共済の加入促進などにより、農家経営の安定を図ってまいりたいと考えてございます。
○議長(浅井修一郎君) 県土整備部長森戸義貴君。
  〔森戸義貴君、登壇〕
○県土整備部長(森戸義貴君) 国道42号有田─海南間についてでございます。
 有田─海南間では、国道42号冷水拡幅及び有田海南道路が、これらの地域の連携強化や渋滞解消などを目的として国において整備が進められております。
 本県では、国体開催等を契機として近年多くの区間で道路が開通しており、今後は、42号の有田─海南間の整備に一層重点的に取り組んでいかなければならないと考えております。
 こうした中、海南市域では来年度から、梅田地区のトンネル工事に向けた坑口までの本線工事や藤白トンネルの開削を行うための工事などを進め、各所で大規模工事に着手できるよう鋭意事業が推進されております。
 また、用地取得については、今年度から県と地元市で立ち上げた専属チームにおいて進めているところでありまして、現在約5割の進捗となっております。さらに来年度からは、全線において用地取得に着手し、一日も早い工事の全面展開が図られるよう取り組んでまいります。
 加えて、事業進捗のために不可欠となる予算の確保についても、政府提案など、機会あるごとに国に対し引き続き働きかけてまいります。
 次に、国道370号海南市重根から紀美野町毛原下間でございます。
 国道370号阪井バイパスにつきましては、海南市重根地内から木津地内の2.6キロについて、現在、用地取得率が約99%で、工区全体において切り土や擁壁などの工事を進めており、引き続き残る用地取得と工事を推進し、早期の完成を目指してまいります。この阪井バイパスと一体的に整備を進めてきた木津バイパス0.9キロは、3月4日に供用を行いました。
 次に、紀美野町大角地内から赤木地内の2.7キロにつきましては、用地を取得した箇所から順次工事を進めており、早期の完成を目指してまいります。
 紀美野町高畑地内から松ケ峯地内の1.1キロにつきましては、桂瀬松ケ峯トンネルが本年1月に完成をいたしまして、引き続き工事を推進し、平成29年度の完成を目指してまいります。
 紀美野町田地内から毛原下地内の2.7キロにつきましては、紀美野町が実施している地籍調査が完了する平成29年度から用地取得を進めてまいります。
 3点目、都市計画道路松島本渡線でございますが、松島本渡線につきましては、現在、供用済みの区間に引き続き、冬野地区の県道三田海南線との交差点までの区間について用地取得の推進に努めており、平成30年度の供用を目指している仮称・和歌山南スマートインターチェンジと同時供用できるよう、整備の推進に取り組んでおります。
 さらに、冬野地区以南については、原則海南市が施工主体となる街路事業区間もあることから、県といたしましては、役割分担などの調整を市に対して精力的に働きかけ、事業中区間の完成に引き続き海南市方面に向けて事業着手できるよう、都市計画道路周辺の土地利用状況を勘案し、道路構造などの検討を進めてまいりたいと思います。
 最後に、県道秋月海南線でございます。
 県道秋月海南線につきましては、海南市東部地域や紀美野町方面から和歌山市の中心市街地や仮称・和歌山南スマートインターチェンジに向かう道路として、また、地域住民の生活道路としての役割を担う路線であると認識しております。
 県では、これまで狭隘な区間の拡幅などに努めてきました。しかしながら、人家が連檐している区間においては、依然として乗用車同士のすれ違いも困難な狭隘箇所が一部で残っており、朝夕などに交通量が多い時間には円滑な通行に支障を来しております。
 そうしたことから、県としましては、松島本渡線の冬野地区までが完成した時点で、交通混雑が課題となる可能性がある海南市多田地区から且来地区において、沿道の家屋移転等、地元の御協力を得ながら集中的に整備を進めております。
 さらに、残る狭隘箇所の中でも、海南市と和歌山市の境界付近で交通の支障となっている区間において今年度から現道対策の検討に着手したところであり、早期に工事着手できるよう来年度から測量、設計等を進めてまいります。
 今後、残る狭隘箇所につきましても、交通の状況を勘案し、用地の取得など、地元の皆様の御理解、御協力をいただく中で、支障となる箇所から順次解消するよう努めてまいります。(拍手)
○議長(浅井修一郎君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 余り時間がありませんけど、再質問されますか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 以上で、尾崎要二君の質問が終了いたしました。(拍手)
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第1号から議案第16号までは予算特別委員会に、また、議案第79号、議案第119号及び議案第120号は行政改革・基本計画等に関する特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第32号から議案第59号まで、議案第61号から議案第71号まで、議案第73号、議案第74号、議案第76号から議案第78号まで、議案第80号から議案第117号まで及び議案第121号から議案第126号までは所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。3月9日、10日、13日及び14日は、委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(浅井修一郎君) 御異議なしと認めます。よって、3月9日、10日、13日及び14日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、3月15日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時2分散会

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