平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(尾﨑太郎議員の質疑及び一般質問)


平成29年2月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(尾﨑太郎議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午後1時0分再開
○副議長(服部 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 14番尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕(拍手)
○尾﨑太郎君 議長の許可を得ましたので、一般質問をいたします。
 昨年は、英国のEU離脱の決定、米国のトランプ氏の当選という番狂わせがありました。番狂わせだと騒いだのは、専門家と呼ばれる人たちのバイアスのかかったコメントをマスコミが垂れ流した結果なのか、選挙は水もの、もともとそういうものなのか。恐らくはその両方なのでしょうが、最近の中東アフリカ7カ国に対するトランプ大統領の入国制限措置の大統領令に対する報道を見れば、これは本日の朝刊によればイラクを除いた新たなものが出るとのことですが、やはり考えさせられるものがあります。
 おおむねこの大統領令について我が国マスコミは否定的な論調ですが、米国での世論調査では、大統領令に賛成が反対を上回っています。英国と米国、2大グローバリズム、新自由主義の信奉者にて推進者であった両国で、国民が選挙を通じて行き過ぎたグローバリズムに対してブレーキをかけることになったのです。
 しかし、かの国の国民の声も偏りなく報道してくれなければ、一方の陣営の声だけを聞くことになります。バランスのとれた報道がなければ、グローバリズム、新自由主義の限界について日本国民の考える機会が失われてしまうのではないかと危惧します。手放しでグローバリズムを礼賛するときは過ぎ、再び強く国境を意識する時代に入ったと言えるのではないでしょうか。この400~500年にわたり世界文明を牽引してきたアングロサクソンの潮流の変化を見逃してはなりません。
 さて、新聞報道によりますと、日高の老健施設で3億円もの介護報酬の不正請求が発覚いたしました。不正請求額としては全国を見ても例がないほど巨額であり、またこの施設では虐待も行われていたとのことですから、取り消し処分とならなかったことには納得しがたいものがあります。この問題につきましては、常任委員会においてただしてまいりたいと存じます。
 ここであえて申し上げておきたいのは、この老健施設の不正が県の監査で発覚したものではなく、内部通報によるものであったということであります。これほどの不正を県の監査が見逃してしまっていたということについては、県監査のあり方、手法を検討し、今後の教訓とすべきですが、もし通報がなければ巨額の不正請求、虐待は放置されていたわけであり、この種の通報の有用性は疑うべくもありません。
 ただ、残念なことに、この通報をもたらしてくれた方は当該施設を退職なさったようです。退職に至った理由は存じておりませんが、公益通報を行ったゆえのことであるとしたらゆゆしき事態と言わねばなりません。
 平成16年に公益通報者保護法が制定され、これを受けて平成17年には関係省庁申し合わせ、国の行政機関の通報処理ガイドラインが作成されております。ガイドラインの目的は、公益通報者の保護を図り、事業者の法令遵守を推進することとされており、通報処理のあり方として、各行政機関は、通報処理の仕組みについて内部規定を作成し、公表することとされています。
 また、秘密保持及び個人情報保護の徹底、利益相反関係の排除の点から、当然、通報または相談の処理に関与した者は通報または相談に関する秘密を漏らしてはならないとされ、各行政機関の職員はみずから関係する通報事案の処理に関与してはならないとなっています。通報の処理については、通報者の秘密は保持されること及び個人情報は保護されることを通報者に対し説明する、当該行政機関が権限を有しないときは権限を有する行政機関を通報者に対し遅滞なく教示する、通報がなされた後、これを法に基づく公益通報として受理したときは受理した旨を、受理しないときは受理しない旨または情報提供として受け付ける旨を、通報者に対し遅滞なく通知しなければならないとしております。
 調査の実施については、調査中には調査の進捗状況について通報者に対し適宜通知するとともに、調査結果は可及的速やかに取りまとめ、その結果を遅滞なく通知するように努めるとされており、調査結果に基づく措置を実施したときには、その内容を通報者に遅滞なく通知するよう努めるものとし、また、各行政機関は通報の受理から終了までの標準処理期間を定め、または必要と見込まれる期間を通報者に対し遅滞なく通知するよう努めると定めております。
 よくできたガイドラインであり、各行政機関は当然このガイドラインに沿って事務を進めるべきですが、本県においては適切に本ガイドラインに基づいた処理がなされているのでしょうか。
 平成18年、知事の認可法人、和歌山県職業能力開発協会と職業訓練法人和歌山技能訓練協会の2団体が、97年から2000年にかけて、県からの補助金と中央職業能力開発協会からの委託金、計778万円を不正受給していたことが発覚しました。県はこの件に関し、私的流用が認められず、加算金を含めて全額が返還されていることを理由に、刑事告発はおろか業務停止などの処分すら行われず、文書での厳重注意で済ましております。この不正受給の発覚もまた、知事へのメールでの通報がきっかけとなっています。
 残念ながら、この職員もまた、その後さまざまなハラスメントを受けることになりますが、事件発覚の後、経理から配置がえさせられた部署においても、協会の法令遵守の徹底を図るべく孤軍奮闘します。しかし、この職員へのハラスメントはエスカレートし、ついに平成25年には突如退職を勧告されます。この勧告は、威圧的な言動と理不尽な理由をもとに行われており、法令違反の疑いが濃厚であり、少なくとも極めて不適切なものであると言えます。この意思決定は協会内でどのように行われたのか。理事会で諮られた様子がないところを見れば会長の独断であったのか。会長は非常勤であり事務を詳細に把握していたとは到底思えないことを勘案すれば、会長の責任は免れないにせよ、会長をそそのかした職員がいるのではないかと推察されます。
 退職勧告を受けた職員の日ごろの真摯な業務遂行を知る協会の複数の会員は、この職員の雇用を守るべく、嘆願書を協会に提出しています。複数の嘆願書によれば、この職員は会員にとって必要であるとの認識で一致しており、この職員が有能であることをうかがわせます。そもそも、退職を勧告するには、その勧告を職員が受け入れる必要がないことを前もって伝えなければなりません。この職員が不当な圧力にさらされ、退職を余儀なくされる寸前まで苦しんでいるのを見たからこそ、協会員は嘆願書を提出したのでありましょう。
 ちなみに、協会副会長は、この職員が解雇を受け入れていないにもかかわらず、本人が解雇を受け入れたとのうその証言をしたと嘆願書で指摘されています。
 ところで、改めて平成18年に発覚した不正受給事件を振り返ってみますと、幾つか不可解な点が浮かび上がってきます。加算金を含め1334万円にも上る返還金を誰が負担したのか。県によりますと、協会の職員3人で負担したとのことですが、1人当たり400万円以上にもなる負担を協会はなぜ職員だけにさせたのか。私的流用がないはずなのに、職員はなぜ甘んじて自分たちだけで返還することに応じたのか。
 和歌山県職業能力開発協会規約の第11条には、理事は、協会の業務運営に関し、連帯してその責任を負うとあります。理事長を初め理事の誰ひとりとして返還金を負担していないのは、どう考えてもおかしい。また、このような処理をなぜ県は是認したのか、不可解でありますが、自分たちだけで返還しなければならなかった職員は、内部通報者を恨んだとしても不思議はありますまい。
 理事とは名ばかり、この協会の理事たちはもともと重大な責任を負っているなどとは思っておらず、当事者意識など全くないと断言せざるを得ません。しかしながら、この団体は、厚生労働大臣の委任を受けた和歌山県にかわって国家試験を実施する団体なのです。このようなガバナンスでよいわけはありません。
 理事会が有効に機能しない結果、協会の運営は特定の職員が会長の袞竜の袖に隠れてこれを専横し、不適切な事務が行われているのではないでしょうか。これに異を唱える者はさまざまな圧力をかけて排除しようとかかっているのではないか、そんな構造が私の目には透けて見えてくるのです。
 くだんの職員は、会員からの嘆願が功を奏したのか、このときは何とか退職に追い込まれることは避けられました。ちなみに、経理であったこの職員とタッグを組んで委託金不正受給を指摘することに貢献することになる県職OBである当時の事務局長は、協会内職員とのあつれきがもとで会長に休職を勧告され、その後、辞職しています。
 この職員は、その後、体調を崩しながらも懸命に職務を遂行していましたが、傷病休暇を経て出勤した昨年の6月13日に、まさにその日に休職を命じられます。辞令には「休職を命じる。休職期間は追って通知する。休職期間の給与は100分の80を支給する」とだけ記載されています。協会の事務局長は、病気で休んでいるようにするため診断書をもらってくるように指示し、診断書の代金は払ってやると発言しています。職員は6月20日付の診断書を提出していますが、それには「現在、ぜんそくコントロール状態は安定しており、予防薬吸入を行いながら通常の就業が可能である」と記されております。
 また、休職期間については、「平成27年度後期技能検定型枠施工職種型枠工事作業の採点用紙並びに得点表の書き直しに係る事実確認、発生原因等が解明されるまでの間とする」との文書が別に発出されております。しかし、県担当課によればこの職員の不正は確認されなかったとのことであり、早急に休職命令を取り下げるべきところでありますが、いまだなされておりません。そもそも、仮に何らかの問題があるにせよ、処分を科す前に休職を命じること自体、極めて不適切であります。協会は、よほどこの職員に出勤されては困ると見えます。
 この職員は、経理を外された後は検定試験の担当となっており、職業能力開発協会の主な事業である技能検定試験の実施について不適切な事務があれば、その都度、持ち前の熱心さで指摘していました。強い正義感の持ち主ですから、なあなあで済ませたい人たちにとっては邪魔な存在であったはずです。
 技能検定試験とは、職業能力開発促進法において定められた技能士を認定するための試験です。それぞれの職種で等級に応じ、3級、2級は都道府県知事から、1級は厚生労働大臣から合格証書が交付されます。厚生労働省に確認したところによりますと、技能士は国家資格とのことであります。本県においても県内入札参加審査において加点の対象となっており、近年では下請業者は受注の条件として技能士を求められるなど、技能士の社会的地位は高まりつつあります。それだけに、どうにかして、たとえ不正な手段を用いても合格したい、させたいと考えるやからが出てくることは容易に推察されます。であればこそ、国家試験たる技能検定試験は、厳正な手続に従い公正に実施されるべきであることは言うまでもありません。
 職業能力開発促進法は、第89条において、「都道府県協会が行う技能検定試験に関する業務に従事する都道府県協会の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす」と定めております。そして、技能検定員もまた職員と解釈されますので、公務に従事する者なのです。残念ながら、私の調査では、本県における技能検定試験の中にはずさんかつ不適切きわまるものが散見されると言わざるを得ません。
 平成28年10月28日、和歌山県職業能力開発協会において理事会が開催されております。ここでは、平成28年度前期技能検定試験における防水施工職種において、実技試験前日に開催された講習会に技能検定委員が参加していた件が議題となっています。技能検定委員は、実技試験審査のための審査基準を知り得る立場であり、実際に審査するわけですから、当然、事前の講習会に参加することは不適切であります。例えば、面接試験において採用基準を知る審査員が事前の講習会に参加していたとすればどうでしょうか。そのような試験は、公平・公正な試験であるとは言えないとするのが国民、県民の常識というものでありましょう。
 理事会では、冒頭、協会事務局長から次のような発言がありました。正確を期すため、議事録からそのまま引用します。
 「この事前講習会は補佐員さんが運営を行っていましたが、技能検定委員が翌日の実技試験実施準備のために会場に来ておりました。技能検定委員は、各種団体や事業所等が実施する技能検定試験に係る事前講習会の講師をしてはならないことや秘密の保持について充分理解はしておりましたが、認識が甘く、事前講習会が行われる会場に同席したという事案でございます」。
 要するに、この事務局長は、検定委員は事前講習会の会場に来ていたが、ただぼうっと突っ立っていただけで、運営は補佐員が行っていたので、認識の甘さを指摘するぐらいでよいのではないかと言いたいのです。そのような話をうのみにする者がいるとは信じられませんが、果たして、理事会でも納得できない旨の発言が相次いでいます。
 この問題が発覚した経緯について、協会事務局長は次のように発言しています。これも議事録からそのまま引用いたします。
 「ある方から、防水施工職種の講習会において、検定委員さんが参加しているという、写真、カメラ、あっ動画かと思いますが、それを見せられました。それに基づいて私の方で、防水組合さん、事務局のほうに電話を入れて、一度お越しくださいと、ちょっと至急にお話しを聞きたいということで、来ていただきました。来ていただいて、講習会に検定委員さんが出席されているという情報を得ましたので、その辺のところを正直にお話しくださいということで、その講習会の場に検定委員さん、その建物の中に検定委員さんはいましたということを聞きましたので、それを県に報告しました」。
 私もこの動画を見ましたが、検定委員とおぼしき人が講習会で指導しているところが映っていました。動画には補佐員も映っていましたが、おおむね補佐員はポロシャツ、検定委員はカッターシャツを着ているようです。これは本来、検定委員は補佐員に指図をするのが常であり、実際作業をするのは補佐員であるからでありましょう。いずれにせよ、単に事前講習会が行われている会場に同席したということでないことは明らかであります。
 では、この事前講習会の主催者は誰なのでしょう。これは、和歌山県防水事業協同組合が主催しております。もちろん受講代を取っておりまして、私の手元にある資料によりますと、この検定の受検者は2名で13万1600円を防水事業協同組合に支払っています。これは、実技試験の検定料1万7900円と学科試験の検定料3100円を含むものなので、4万4800円が1人当たりの事前講習会の受講料ではないかと推察されます。
 協会事務局長は、「技能検定委員は実施試験準備のために会場に来ておりました」と発言しております。確かに、通常、検定の前日には検定委員は準備のため会場に出向きますが、それは検定の主催者である職業能力開発協会の要請であり、経費が協会より検定委員に支払われます。これはいずれの検定でもそうであり、防水施工職種についてもしかりであります。前日に準備のため検定委員が会場入りするのは、いわばルーチンなのです。
 防水事業協同組合が主催する講習会は、受講生の間ではトライアルと呼ばれ、常態化しておりました。1日で4万円を超える受講料は少なくない負担ですし、長年特に不満の声も聞かれなかったようですから、恐らくそれなりに検定を受ける人には価値ある講習だったのでありましょう。
 協会事務局長は、検定委員が指導している講習会の動画、写真を見た。大ごとになることを恐れた彼は、県には動画の件は伏せて、講習会へ検定委員が来ていたことだけを報告した。そして、事前準備のために来ていた検定委員が、つい講習会へ同席してしまったというストーリーをつくり上げた。このストーリーであれば、不適切ではあるが検定結果には影響がないということで、検定のやり直しという事務局長としては何としても阻止したい事態を回避しようとしたのでありましょう。
 大体、「その講習会の場に検定委員さん、その建物の中に検定委員さんはいましたということを聞きましたので、それを県に報告しました」などという報告に意味があるでしょうか。先ほど申し上げたように、検定前日、会場に検定委員に出向くように要請しているのは、ほかならぬこの協会事務局なのです。検定委員が会場にいたことは当初から明らかなのです。聞き取るべきことは、検定委員の講習会への関与の度合い、検定委員が教示していたか否かであるはずです。県への報告に動画の件が抜け落ちていることは、意図的であると言わざるを得ません。
 この問題について、県は聞き取り調査を県職員が行ったと言い、協会事務局長は自分が関係者を呼び出して事情を聞いて県に報告したと言う。協会事務局長は動画を見せられたと言い、県は動画は知らないと言う。10月28日の協会理事会議事録からは、このような説明を聞かされた出席者の困惑と憤りが伝わってきます。
 結局、この日の理事会は紛糾したまま終わります。これも議事録からそのまま引用します。「まあ会長、いずれにしても、この決着またね、再度理事会で報告ちゃんとせないかんと思いますわ」、「はい、わかりました」「それだけ確認して」、「はい」。会長は、理事会の開催を約束して会を閉じます。
 現在休職に追いやられている職員は、検定試験の担当者であります。この職員は、事前準備のために会場に来ていた検定委員に対して、常々講習会への立ち入りを厳しくいさめていたそうであります。防水事業協同組合としては、当然1人でも多くの検定合格者を出したい。そのための講習会であり、講習会ではできれば検定委員から有益なサジェスチョンがあればと考える可能性は十分にあります。また、実際にそのような危うい場面をこの職員は何度か目撃したからこそ、検定試験の厳格さを保つため、事あるごとに目を光らせ、指導してきたのです。
 配置がえさせられた部署で研さんを積み、協会員から協会内随一の検定のスペシャリストと認められるようになった人物を正当な理由なく休職に追い込んでいる間に問題は発生し、その職員が不在のままこの問題はふたをされようとしています。結局、約束した理事会を開くことなく、協会長は、昨年12月27日付で「平成28年度前期技能検定事前講習会開催事案における再発防止について(報告)」なる文書を商工観光労働部長に出しております。これで終わりにするつもりであったのでしょう。理事会は、現在に至るまで開催されておりません。全くあきれ果てた団体であります。
 この事案以外にも、実に多くの検定試験に関する不適切な事務、情報がもたらされております。その一部を御紹介申し上げますと、ある検定の現場では、不合格になることを正式な採点の前に受検生の雇用主に告げ、雇用主から懇願され、その場で再試験の検定料を受け取り、午後から再試験を行った協会職員がいるそうであります。また、塗装職種噴霧塗装作業における検定で、必要な課題を抜かして検定を行っていたことも判明しています。
 さらには、これは県も情報を得ているようですが、検定の現場で金品を受け取っている検定委員がいるとのこと。これらの情報は日時、場所、氏名等、具体的な内容を伴っており、信憑性は高く、早急に調査すべきものであります。まるで、検定を所管する有能な職員が不在である間隙をつき、検定の不正が横行しているかのように見えます。
 以上、現在、和歌山県職業能力開発協会は極めて重大な問題を抱えております。理事の皆様におかれましては、御自身の職責をよく認識され、直ちに理事会を開催し、問題の処理に当たっていただきますよう強く要請をいたします。自浄作用が全く働かない団体であれば、もはや本県の技能検定試験を請け負う団体としてふさわしくないと判断せざるを得ません。
 そこで、まず知事には公益通報制度についてどのようにお考えなのか、お尋ねをいたします。
○副議長(服部 一君) ただいまの尾﨑太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員のお話にありましたことは大問題でありまして、県においても調査をしているところであります。議員御指摘のお話しされた内容については、これまでの調査で全てオーソライズされる内容というわけではございませんけれども、御指摘のように、今までの県の対応が十分とは決して言えません。
 そこで、改めて問題があるんじゃないかという前提で調査をもう一度行い、事実を明らかにしていきたいと考えております。
 さて、公益通報でございますけれども、国民生活の安心・安全を損なう民間事業者の不祥事が、事業者内部からの通報を契機に相次いで明らかになってまいりました。こうした状況を踏まえ、通報した労働者が解雇等の不利益な取り扱いを受けないように、平成18年4月に公益通報者保護法が施行され、公益通報に関する保護制度が整備されました。法律の趣旨からも当然のことでありますけれども、公益通報者が通報を理由として不利益な取り扱いを受けることは、断じて許されるわけではありません。
 県は、国が定めたガイドラインに基づき、労働者からの通報に対する通報窓口及び通報への対応方法などを定めた要綱を作成して、適切に対応できる体制を整備しております。
 私は、就任以来、県政ポストなどに来た投書、通報には全て目を通しております。全てが今申し上げました公益通報の場合に当たるわけではありませんけれども、どんなに県庁職員の批判をその投書がしていても、職員はそれを私に対して反証してもいいけれども、投書者に意趣返しをしたらそのことだけで処罰するという注意をしています。これは、徹底されていると思っております。
 平成18年の不適正受給に係る知事へのメールは、私の就任前のもので私は見ていませんでしたけれども、物の道理としては以上のとおりでございますし、それから公益通報に該当することから、通報者の権利が侵害されてはならないというのが当然であります。
 平成25年の整理解雇も今回の休職処分も、平成18年の通報とは関係がないとこれまでの調査で我が職員が協会から聞いておりますけれども、他の問題ともあわせて公益通報者の権利が侵害されるような事実がなかったかについて、改めて調べるように指示を出したところであります。
○副議長(服部 一君) 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 公益通報について、知事のお考え、賜りました。もう一度、一遍調べるということでありましたが、そのお答えは非常にありがたいお答えでありますけれども、県庁の中では、確かに公益通報者に意趣返しするようなことをすれば知事は目を光らせてらっしゃるというのはわかるんですが、例えばこういう協会の中でそういうことがあった場合、協会の中においてどんな扱いがされてたというのは、ちょっと知事の目が届きにくいと思うんです。だけれども、このガイドラインにもありますように、やっぱりこういうことを調べるのはその関係者が調べたらちょっとよくないから、協会に聞いて「そんなことやってません」と言うて「そうか」というような報告ではなしに、やっぱりちょっとちゃんと客観的に調査をしてもらいたいなと、これは要望しておきます。
 そこで、とりあえず今、知事もよくないと言っていただいたんですが、今、休職に追い込まれてる職員があるわけですよね。この現在休職に追い込まれている職業能力開発協会の職員の早急な職場復帰に向けて環境を整備していく必要があると思いますが、商工観光労働部長の見解をお尋ねいたします。
○副議長(服部 一君) 商工観光労働部長岡本圭剛君。
  〔岡本圭剛君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本圭剛君) 職業能力開発協会が平成28年6月13日に当該協会職員に対して行った休職処分は、協会の職員就業規程に基づかない不当な処分であります。そのため、県としましては、速やかな処分取り消しと職場復帰を図るよう協会へ指導を行ってきたところです。
 協会は、平成28年10月20日に当該休職処分を6月13日にさかのぼって自宅待機に変更し、給与差額を支給することを決定しました。その旨を説明するため電話や出勤を求める内容証明郵便等を送付しておりますが、現在まで出勤に至っていない状況です。
 一日も早く職員が復帰できるよう、休職処分を取り消す書面の交付とともに、適切な意思疎通ができる職場環境を整備するよう協会に指導してまいります。
○副議長(服部 一君) 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 指導してるけど、あんまり言うこと聞かんということなんでしょ、今のお話は。やってくれてるみたいです、県は、これはよくないと。だけれども、協会は何かのらりくらりと、自宅待機に変更して給与差額を支給することを決定とかいって、本質とずれてるんですよ、そんなことは。まずすべきことは、出した休職命令が適切でなかったから取り消しますということを通知しなければならない。そうしないと、今この職員と協会との間にもう大きな溝ができてしまってるんです。そら、会社へ行ってて突然、「もうあしたから来いでええわ」と言われたら「何や、これ」と思いますよ。まして、協会というのは大会社じゃありませんから、小ぢんまりしたとこですから、そこで精神的な圧迫を受けたことは容易に推察されるわけでありますよね。
 ですから、今の話を聞いて、県は確かに協会に指導してくれてるようでありますけれども、協会は自分の出した休職命令がそんなに悪いもんじゃないということを繕うために、とりあえず自宅待機に変更して給料をもとへ戻してますから、それでちょっと説明するために電話とかしていろいろ送ってるんですけど、いっこも連絡来ませんと。それはちょっと協会の体質を、今のお話は浮かび上がらせてくると思うんですよ。
 だから、やっぱり今に至るまでその指導に従ってないわけですから、何か別の方法でとにかく職場復帰させれるようにちょっと考えてもらいたいなと思います。またこの問題は後でちょっとかかわるとこもありますんで、もう一度そのときに知事にお聞きをいたしますが、次にまいります。
 和歌山県職業能力開発協会は、厚生労働大臣の委任を受けた都道府県にかわり、国家試験である技能検定試験を実施する団体としては、そのガバナンスに大きな問題があると言わざるを得ません。知事は、本県がその事務を委任している当該団体の現在のガバナンスについてどう思われておりますか、御見解をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 職業能力開発協会は、職業能力の開発や向上を促進するため、職業訓練や技能検定の実施を主な業務として法に基づいて各都道府県に設置された法人で、その認可は都道府県知事が行っております。協会は、技能検定の実施や技能者の育成という重要な役割を担っており、事務が適正に行われるよう役職員全員が責任を持って運営に取り組まなければならないというのが当然であります。
 そういう意味で、私は昨年末、本件の経緯を初めて聞いたのでございますけれども、それは問題だなあというような、問題だと思うようなガバナンスの欠如や、あるいは県の指導監督の不十分さがあると思いました。昨年末以来、徹底的に問題点を洗い直せという指示をしているところでございます。
 今回、休職処分の問題が発生し、また過去にも補助金の不正受給や整理解雇の問題があったことから、県としては協会の運営実態をこの際徹底的に調査し、誤りある部分を正すだけではなくて、正常な運営に復帰できるように組織の立て直しを図らなきゃいけない、そういうふうに思っております。
○副議長(服部 一君) 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 知事がそのような御認識をお持ちいただいてるということは非常に心強い限りでありまして、知事が先頭に立って今回の協会の正常化に向けて取り組んでいってもらいたい。
 しかし、知事がここへ委任してるんですからね。和歌山県が委任してるんだから。もうそんなもんあかんかったら、自分でその事務やってもええわけですよ、法律的には。厚生労働大臣が和歌山県、都道府県に委任している事務を、またそれをこの協会に委任してもいいと書いてるから、もうこんなもんあかんと思ったら、自分でやっても法理論上はいいのかもしれませんよね。だけど、実際はどうなのかわかりませんから、それは知事が強力なリーダーシップを発揮してこの協会を正常にして、検定事務という国家試験を行う事務ですから、一日も早く正常だと知事が太鼓判を押せるように改革をしていってもらいたいと思います。
 先ほど答弁の最初に、いろいろあるけど、また一から精査しますよという意味の答弁を知事がしてくれましたんで、ちょっと重複しますけど、この防水事業協同組合が主催した事前講習会についてはちょっと不透明な点が多いと思うんです。というのは、県は県で独自に調べてくれてます。それは私は聞きました。だけれども、やっぱり協会というのは独立した一応団体ですから、その理事会の中でどんな議論が行われてるかというのも大事なんですよ。だから、その県の調べたことというのは他の理事の方に伝わってるのかなとやっぱり思うんです。そこで理事会でかんかんがくがく議論をして、協会これやったらあかんやないかというような議論が行われてなかったらあかんのに、せっかく県の調べたその調査というのが議事録を見たら全然出てこないですよ、知事。それはどうなのかな。
 ただ県は県で調べてる。事務局は事務局で調べたけど、県の報告はこんなに県は言うてますというだけで、きちんとした文書なりなんなりで県の報告は出てきて、「お、県はこうかい。そやけど県、おかしいやないか」とか、「いや、県はこう言うてんのやったら」というようなやりとりがあんまりないんですよね。ただ、県のその調査というのはしかるべき手順にのっとって行われてると思いますが、それにしても人間のやることですから、知事が見るところ十分だと思えないところもあるということでしたから、もう一遍これを一から見直してもらって、そしてその情報をもとにして、できれば協会の理事会の中で、本来あるべきガバナンスの一環としてこの問題について議論していけるようにするのが本筋だと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 平成28年度前期技能検定防水施工職種において、当該検定委員等がかかわる事前講習会が実施されたとの指摘があり、県において当該検定委員10名及び補佐員5名、それぞれ全員から個別に事情聴取を行うとともに、受講者20名のうち17名から事情聴取を行ったという報告を受けています。その結果、当該事前講習会は和歌山県防水事業協同組合が主催し、検定委員及び補佐員が関与した事実が認められましたが、検定の結果に影響を与えるものとは認められなかったので、実技試験自体は有効なものと判断をしたということであります。
 検定委員等が事前講習会に関与することは、技能検定の公平性について重大な疑念を抱かせる行為として国の通知で禁止されていることからも、だめに決まってるわけでありまして、職業能力開発協会に対して厳重に注意し、28年度後期技能検定試験より当該検定委員及び補佐員を外すとともに、全ての検定委員及び補佐員に対し、事前講習会に一切関与しないよう職業能力開発協会を通じ文書で指導したということでございます。
 この件につきましては、一連の問題のある行為の中では、県の処置については厚生労働省とも協議をしながら対応してきたというふうに考えておりますけれども、他の問題もあることから、御指摘を踏まえて再度点検し、必要な調査を行って対応してまいりたいと思いますし、その中には現在の理事会の方々にもちゃんと理解してもらえるように、その辺の指導も含めてやっていかなきゃいけない、そういうふうに思っております。
○副議長(服部 一君) 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 その調査についても再度行っていただけるということを知事からおっしゃっていただきました。よろしくお願いいたします。
 次に、この検定事務の担当である有能な職員を休職にした結果、技能検定事務は人員不足によって支障を来しているというふうに私、聞いております。しかも、この職員には、当初100分の80の給与が支払われておったんです。ところが、今聞いた答弁によると、これを100分の100に戻している。この職員ってほんの何人かしかいないですよ、協会って。その職員を1人、無駄と言ったら悪いですけど、給料を全部出してて、それで職務に支障を来さしめて、検定が十全に行われてないという不評が私の耳に入ってくるんです。こんな、これは全部県の補助金で行われてる事業ですから、県の補助金の使い方としては甚だ不適切であると言わざるを得ません。
 そこで、この観点から、平成28年度の和歌山県職業能力開発協会の業務に関し、監査の必要があると思料いたします。代表監査の御見解をお伺いいたします。
○副議長(服部 一君) 代表監査委員江川和明君。
  〔江川和明君、登壇〕
○代表監査委員(江川和明君) 和歌山県職業能力開発協会につきましては、地方自治法第199条第7項の「財政的援助を与えているもの」に該当するため、地方自治法に定められた範囲内で監査を行うことができます。
 当該協会への監査につきましては、所管課に経緯と状況を確認した上で、必要があると判断する場合は監査を実施してまいります。
○副議長(服部 一君) 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 監査の対象になる、必要があると判断したら監査をしてくれる、こういう答弁でした。
 今、代表監査も他の監査委員の方もこの議会のやりとり聞いておって、他の部署どころか知事が問題あるん違うかと言うてるわけですから、これ、監査になると私は理解しておりますけど、ぜひこの無駄なお金の使い方の観点からも監査をしていただきたいなと思います。
 実は、この職員の方、この方は女性なんです。それで、このことを女性と言っていいのかどうか、私わからんかったんで、質問の中でずうっと書いてて「この職員」という表現をしておりましたが、御自身に確認したらもうその女性だということを言ってくれて構わないと。むしろ、他の女性でも苦しんでおられる、こういう問題で苦しんでおられる方もいらっしゃるかわからんので、明らかにしてくださいというふうにおっしゃったので、あえて今申し上げます。
 今議会でも、女性の活躍について女性の議員から質問が出ておりました。私、男ですけど、ちょっと知事が、女性が安心して働くことのできる環境整備に率先して取り組む企業、団体を女性活躍企業同盟として組織化してまいりますと、こう高らかにおっしゃったわけですね、知事説明で。
 ということは、前提として、あんまり女性というのが団体や企業の中で活躍しづらい状況にあるということを前提としてるんですね。もともとそういうことでなかったら、別に優秀な企業、こんなもんつくっていかなくてええわけですよね。だから、もともとちょっと自分が能力発揮しようと思ったら、職場の雰囲気として頭押さえられるような雰囲気があるんですよ、確かにこの日本の社会においてはね。
 それで、この女性は頑張って頑張って、不正を見つけて知事に通報したり、いろいろ問題点指摘して厚労省に言いに行ったり、仕事熱心なんですよ。でも、熱心にやればやるほど、「何やねん、おまえ」って、心の中にもしかしたら女性蔑視の気持ちがあって、女のくせになんていうことを思っておったかもわからんじゃないですか。そうでなかったら、休職命令して、なかなか泣き寝入りって─男やったらそれは言えるかわかりませんよ。「何で俺がそんなもん休職にされやなあかんのな」と言うかもわかりません。うちの奥さんでも言うかもわかりません。だけど、大方の女性というのは、やっぱりちょっと今、日本社会の中では男性ばかりの職場の中で物が言いにくい状況にあることは事実なんです。だから、知事は、こういう環境整備に率先して取り組む企業は女性活躍企業同盟として組織化していくとおっしゃってるんだと思うんです。
 他団体を啓蒙していく、これも大事なことです。だけど、知事も、この女性が今こういう理不尽な休職で苦しんでるという事例を今お聞きになったわけだから、まず「隗より始めよ」で、御自身が関係してるこの団体から正常化を図っていくべきだと思いますが、知事の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(服部 一君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指摘のお話は、関係者が女性であるか否かをはるかに超えた問題であると私は思っておりますけれども、御質問ですからお答え申し上げますと、女性が安心して働くことのできる環境整備に率先して取り組む企業や団体を女性活躍企業同盟として組織化し、すぐれた取り組みを顕彰、PRすることによって、企業や団体が女性が安心して働くことのできる環境整備に自主的に取り組むように進めていきたいと思ってるわけでございます。御指摘のとおりであります。
 県全体に働きやすい環境を整えていくためには、県が率先して働きやすい職場環境づくりを進めるとともに、多くの企業や団体が企業同盟に参加することが必要である、これもおっしゃるとおりでございます。
 補助金交付団体や県の関係団体に対しても、女性が安心して働くことのできる職場環境の整備を促し、企業同盟への参加を働きかける必要があると思います。これも御指摘のとおりです。
 そういう意味では、この団体は根本的に立て直して、ちゃんと参加できるようにまずはしないといけない、そういうふうに思います。
○副議長(服部 一君) 尾﨑太郎君。
  〔尾﨑太郎君、登壇〕
○尾﨑太郎君 知事の決意を聞かせていただきましたので、今後の知事の指導力に期待をいたします。
 やっぱり、この和歌山県職業能力開発協会、これは全国にこういう組織があるんです。全国の会議行ったら「和歌山どうよ」と言われたら恥ずかしいです。和歌山の国家検定ってむちゃくちゃやなと、どないなってるのと思われることのないように、一日も早くこれを正常化して、検定を厳正、公正なるものにして、国民、県民から見て、ああやっぱり県の、厚生労働大臣や知事の認定を受けた技能士にやってもうた仕事はええな、こういう方を雇ってる会社はすばらしいな、そしてまた県の公共事業にもどんどん参画をしていただく、そのような国民が思っていただけるような検定制度にちゃんとやっぱり戻っていっていただきたいなと思います。
 そして、もう1つ個別の問題ですけれども、今苦しんでいるこの女性の職員の方が安心して職場で御自身の能力が発揮できるように、早急に取り組んでいただけるようにお願いを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(服部 一君) 以上で、尾﨑太郎君の質問が終了いたしました。

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